説明

画像処理装置、同装置によるデータ送信装置の電源低下検出警告方法及びプログラム

【課題】ユーザが装着したデータ送信装置から出力されユーザの人体を通信経路として送信されてきた信号を受信して、ログイン時のユーザ認証を行うことが可能で、データ送信装置の電源の残容量低下を確実にユーザに認識させ得る画像処理装置等を提供する。
【解決手段】ユーザが装着したデータ送信装置4から出力されユーザの人体を通信経路として送信されてきた信号を受信する受信手段192と、ログイン時のユーザ認証の度に、前記受信されたデータ送信装置4からの信号のレベルとノイズレベルの比であるS/N比を検出するS/N比検出手段194と、自装置の内部または外部に設けられ、検出されたS/N比をログとして保存する保存手段15と、保存されているS/N比の変化から、データ送信装置との通信が不能になるタイミングを予測する予測手段11と、予測された通信不能になるタイミングが近いときは警告を報知する警告報知手段172を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ユーザが装着したデータ送信装置から出力され人体を通信経路として送信されてきた信号を受信して、ログイン時のユーザ認証を行うことが可能な画像処理装置、同装置によるデータ送信装置の電源低下検出警告方法及びデータ送信装置の電源低下検出警告プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の新しい通信技術として、人体を通信経路とする「人体通信」が発案されている。この技術では、人体を介して通信を行うことにより、有線通信のセキュリティレベルを確保している。
【0003】
このような人体通信技術を応用して、ユーザが装着したデータ送信装置から出力され人体を通信経路として送信されてきた信号を受信し、ログイン時のユーザ認証を行うことが可能な画像処理装置が提案されている。この画像処理装置では、ユーザが画像処理装置に接している場合に、データ送信装置と画像処理装置との間で人体を介して通信が行われる。
【0004】
前記ユーザが装着するデータ送信装置には、電源(バッテリー)が装備されており、そのバッテリーにより電界を発生することによって通信を実現しているが、バッテリーの残容量が低下すると、データ送信装置の信号出力が小さくなり、画像処理装置側で通信エラーが発生してしまう。特に、データ送信装置は人体に装着されたまま放置される場合が多く、ユーザがバッテリーの残容量低下に気付くことは容易でない。
【0005】
このため、データ送信装置側にバッテリーが低下するとこれを表示するインジケータを設ける等の対策が考えられているが、ユーザはデータ送信装置をポケットに入れたり首からぶら下げることが多く、通常はデータ送信装置を見る機会は極めて少なく、このため警告表示に気付かないことが多い。
【0006】
なお、特許文献1には、人体通信の通信データから抽出された信号レベルが、予め定められた基準値と較べて高いか低いかを読み取り、信号波形と基準値とのレベルの相対関係を最適な状態に補正して人体通信を行うデータ通信装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−111602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術は、信号レベルの基準値を変更することにより人体通信を確保するものであり、通信可能な期間は延びるものの、バッテリーの残容量がやがては無くなってしまうことに変わりなく、ユーザがバッテリーの残容量低下に気付きにくいという問題に対して、根本的な解決策を与えうるものではなかった。
【0009】
この発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたものであって、ユーザが装着したデータ送信装置から出力されユーザの人体を通信経路として送信されてきた信号を受信して、ログイン時のユーザ認証を行うことが可能な画像処理装置であって、データ送信装置の電源の残容量低下を確実にユーザに認識させることができる画像処理装置、及びこの画像処理装置によるデータ送信装置の電源低下検出警告方法を提供し、更には前記画像処理装置のコンピュータにデータ送信装置の電源低下検出警告処理を実行させるためのプログラムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は以下の手段により解決される。
(1)ユーザが装着したデータ送信装置から出力されユーザの人体を通信経路として送信されてきた信号を受信する受信手段と、ログイン時のユーザ認証の度に、前記受信手段により受信された前記データ送信装置からの信号のレベルとノイズレベルの比であるS/N比を検出するS/N比検出手段と、自装置の内部または外部に設けられ、前記S/N比検出手段により検出されたS/N比をログとして保存する保存手段と、前記保存手段にログとして保存されているS/N比の変化から、データ送信装置との通信が不能になるタイミングを予測する予測手段と、前記予測手段により予測された通信不能になるタイミングが近いときは警告を報知する警告報知手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置。
(2)前記保存手段は、自装置を含む複数の画像処理装置が接続可能な外部サーバーに設けられている前項1に記載の画像処理装置。
(3)前記S/N比検出手段は、1回のログイン中に、前記データ送信装置から送信され前記受信手段で受信される信号に対して1回又は複数回のタイミングでS/N比を検出し、前記予測手段は、前記ログイン中に検出した1個または複数個のS/N比を用いて、通信不能になるタイミングを予測し、予測されたタイミングが近いときは、以後のデータ送信装置への自装置からのアクセスを制限する前項1または2に記載の画像処理装置。
(4)前記S/N比検出手段により検出された前回ログイン時のS/N比と今回ログイン時のS/N比が、連続して低下しているときは、前記警告報知手段は、ユーザ操作による消去可能な態様で表示手段に警告を表示する前項1〜3のいずれかに記載の画像処理装置。
(5)前記S/N比検出手段により検出された前回ログイン時のS/N比と今回ログイン時のS/N比が、連続して低下しているときは、前記警告報知手段は、ユーザのメールアドレスに警告通知メールを送信する前項1〜4のいずれかに記載の画像処理装置。
(6)前記S/N比検出手段は、前記データ送信装置から出力され複数の異なる通信経路を介して前記受信手段で受信された信号に対してS/N比を検出し、前記保存手段は、前記検出された異なる通信経路毎のS/N比を保存し、前記予測手段は、前記保存手段に保存されている異なる通信経路毎のS/N比の変化から、通信不能になるタイミングを異なる通信経路毎に予測し、前記警告報知手段は、前記予測手段により予測された異なる通信経路毎の全てにおいて、通信不能になるタイミングが近いときに警告を報知する前項1〜5のいずれかに記載の画像処理装置。
(7)自装置がジョブ処理中のときに、前記予測手段により通信不能になるタイミングが近いことが予測された場合は、前記警告報知手段は警告報知を行わない前項1〜6のいずれかに記載の画像処理装置。
(8)ユーザが装着したデータ送信装置から出力されユーザの人体を通信経路として送信されてきた信号を受信する受信ステップと、ログイン時のユーザ認証の度に、前記受信ステップにおいて受信された前記データ送信装置からの信号のレベルとノイズレベルの比であるS/N比を検出するS/N比検出ステップと、自装置の内部または外部に設けられ、前記S/N比検出ステップにおいて検出されたS/N比をログとして保存手段に保存するステップと、前記保存手段にログとして保存されているS/N比の変化から、データ送信装置との通信が不能になるタイミングを予測する予測ステップと、前記予測ステップにおいて予測された通信不能になるタイミングが近いときは警告を報知する警告報知ステップと、を備えたことを特徴とする画像処理装置によるデータ送信装置の電源低下検出警告方法。
(9)ユーザが装着したデータ送信装置から出力されユーザの人体を通信経路として送信されてきた信号を受信する受信ステップと、ログイン時のユーザ認証の度に、前記受信ステップにおいて受信された前記データ送信装置からの信号のレベルとノイズレベルの比であるS/N比を検出するS/N比検出ステップと、自装置の内部または外部に設けられ、前記S/N比検出ステップにおいて検出されたS/N比をログとして保存手段に保存するステップと、前記保存手段にログとして保存されているS/N比の変化から、データ送信装置との通信が不能になるタイミングを予測する予測ステップと、前記予測ステップにおいて予測された通信不能になるタイミングが近いときは警告を報知する警告報知ステップと、を画像処理装置のコンピュータに実行させるためのデータ送信装置の電源低下検出警告プログラム。
【発明の効果】
【0011】
前項(1)に記載の発明によれば、画像処理装置が通信不能になるタイミングを予測して、通信不能になるタイミングが近いときは警告を報知するから、ユーザが所持するデータ送信装置で警告が報知される場合に較べて、ユーザは電源の容量低下を確実に認識することができる。しかも、ログイン時のユーザ認証の度に検出されログとして保存されているS/N比の変化から、通信不能になるタイミングが予測され、通信不能になるタイミングが近いときは警告が報知されるから、電源の容量がなくなる前に警告を報知でき、ユーザは通信エラーが発生する前に早めに対処することができる。
【0012】
前項(2)に記載の発明によれば、複数の画像処理装置で検出されたデータ送信装置のS/N比のログをサーバーで一括管理できるから、ログインしようとしている画像処理装置において、他の画像処理装置で検出されたS/N比の履歴を参照し、S/N比の変化から通信不能になるタイミングを予測することができる。
【0013】
前項(3)に記載の発明によれば、1回のログイン中に検出した1個または複数個のS/N比を用いて、通信不能になるタイミングを予測し、予測されたタイミングが近いときは、以後のデータ送信装置への画像処理装置からのアクセスが制限されるから、ログイン中に通信エラーが発生するのを確実に防止することができる。
【0014】
前項(4)に記載の発明によれば、S/N比検出手段により検出された前回ログイン時のS/N比と今回ログイン時のS/N比が、連続して低下しているときは、表示手段に警告が表示されるから、ユーザはデータ送信装置の電源の残容量が徐々に低下していることを認識できる。また、ユーザは警告表示を消去することができる。
【0015】
前項(5)に記載の発明によれば、S/N比検出手段により検出された前回ログイン時のS/N比と今回ログイン時のS/N比が、連続して低下しているときは、ユーザのメールアドレスに警告通知メールが送信されるから、ユーザはデータ送信装置の電源の残容量が徐々に低下していることを認識できる。
【0016】
前項(6)に記載の発明によれば、データ送信装置から出力され複数の異なる通信経路を介して受信手段で受信された信号に対してS/N比が検出されるとともに、異なる通信経路毎の全てにおいて、通信不能になるタイミングが近いときに警告が報知されるから、データ送信装置の電源の残容量低下の検知精度を高めることができる。
【0017】
前項(7)に記載の発明によれば、自装置がジョブ処理中のときはノイズレベルが増大し、電源の残容量が十分であってもS/N比が低下することがあるが、このようなノイズレベルの増大による誤判定を防止できる。
【0018】
前項(8)に記載の発明によれば、ユーザは電源の容量低下を確実に認識することができるうえ、電源の容量がなくなる前に警告を報知でき、通信エラーが発生する前に早めに対処することができる。
【0019】
前項(9)に記載の発明によれば、データ送信装置との通信が不能になるタイミングを予測して、通信不能になるタイミングが近いときは警告を報知する処理を、画像処理装置のコンピュータに実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の一実施形態に係る画像処理装置が用いられた通信システムの構成を示す図である。
【図2】画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】ユーザが装着するデータ送信装置と画像処理装置に装備された人体受信部の構成を示す外観図である。
【図4】人体受信部の構成を示すブロック図である。
【図5】同一ユーザが複数回に亘ってログインしたときのS/N比の推移を示すグラフである。
【図6】S/N比の履歴を示す表である。
【図7】ログイン時の画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】この発明の他の実施形態を示すもので、ログイン時のS/N比の他、ログイン中にデータ送信装置からデータを受信したときのS/N比の推移を示すグラフである。
【図9】S/N比の履歴を示す表である。
【図10】この発明のさらに他の実施形態を示すもので、異なる複数の人体通信経路を説明するための図である。
【図11】異なる複数の人体通信経路が用いられた時のS/N比の履歴を示す表である。
【図12】この発明のさらに他の実施形態を示すもので、同一ユーザが複数回に亘ってログインしたときのS/N比の推移を示すグラフである。
【図13】S/N比の履歴を示す表である。
【図14】図12及び図13に示した実施形態における画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図15】検出したS/N比を外部のサーバに保存する場合のネットワーク構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1はこの発明の一実施形態に係る画像処理装置が用いられた通信システムの構成を示す図である。
【0023】
図1の通信システムでは、画像処理装置1とパーソナルコンピュータ等からなるユーザ端末2とがネットワーク3を介して接続されている。符号4は、画像処理装置1を使用するユーザが装着しているデータ送信装置であり、このデータ送信装置4にはユーザ情報等が記録されたカード42が装填されている。
【0024】
この実施形態では、前記画像処理装置1として、コピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を集約したMFP(Multi Function Perirherals)が用いられている。以下、画像処理装置1をMFP1ともいう。
【0025】
図2は、MFP1の構成を示すブロック図である。
【0026】
図2に示すように、MFP1は、CPU11と、RAM12と、ROM13と、スキャナ部14と、記憶部15と、通信インターフェース(通信I/F)16と、操作パネル17と、エンジン部18と、人体通信受信部19等を有している。
【0027】
CPU1は、MFP1の全体を統括的に制御するものである。具体的には、MFP1が有するコピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能、スキャン機能等の各機能を実現するほか、この実施形態では特に、ログイン時にデータ送信装置4から送信されてきたユーザ情報を基にユーザ認証を行ったり、データ送信装置4に搭載されている電源(バッテリー)の残容量低下によりデータ送信装置4との通信が不能になるタイミングを予測したり、予測した通信不能になるタイミングが近いときは操作パネル17に警告を表示したりするが、詳細な処理は後述する。
【0028】
RAM12は、CPU11が動作する際の作業領域を提供するメモリであり、ROM13は、CPU11を動作させるための動作プログラムやその他のデータが記録されているメモリである。
【0029】
スキャナ部14は、原稿台(図示せず)にセットされた原稿の画像を読み取って電子データである画像データに変換するものである。
【0030】
記憶部15は例えばハードディスク装置(HDD)からなり、ユーザ毎(データ送信装置毎)に後述するS/N比の履歴であるログ情報、ユーザ認証のための認証情報、各ユーザに対応するメールアドレス等を記憶したり、スキャナ部14で読み取られた原稿の画像データや外部から送信されたプリントデータ等の各種データを記憶する。
【0031】
通信インターフェース16は、ネットワーク3を介して外部機器である例えばユーザ端末2等とデータの送受信を行うための通信部として機能する。
【0032】
操作パネル17は、ユーザがMFP1の操作を行うためのものであると共に、ユーザに対して各種のメッセージや動作状態等を表示するものであり、スタートキー、ストップキー等のハードキー部171と、液晶タッチパネル等により構成された表示部172を備えている。
【0033】
エンジン部18は、スキャナ部14で読み取られた原稿の画像データやユーザ端末2から送信されたプリントデータ等を、電子写真方式等により用紙に印刷する印刷部として機能する。
【0034】
人体通信受信部19は、データ送信装置4からユーザの人体を通信経路として送信されてくる信号を受信して、信号のレベルとノイズレベルを測定し、その信号のS/N比を検出するものである。
【0035】
図3は、ユーザが装着する前記データ送信装置4と、MFP1に装備された人体通信受信部19の外観構成を示す図、図4は人体通信受信部19の電気的構成を示すブロック図である。
【0036】
データ送信装置4は、薄型ケース41内にICカード42、カードリードライタ43、D/Aコンバータ44、電界送受信部45、バッテリー46が装填されている。
【0037】
ICカード42は、データ送信装置4を所持するユーザを示すユーザ情報である例えばユーザIDや、個人証明書、電子署名、その他の情報が格納されており、MFP1へのログインに際しては、ICカード42内のユーザ情報が読み出されてMFP1に送信され、MFP1の記憶部15等に記憶されている認証情報と比較照合されることにより、ユーザ認証が行われる。
【0038】
カードリードライタ43は、ICカード42から前記ユーザ情報等を読み取ると共に、ICカード42に情報を書き込むものである。
【0039】
D/Aコンバータ44は、カードリードライタ43によりICカード42から読み取られた情報等をアナログ信号に変換するものである。
【0040】
電界送受信部45は、バッテリー46により電界を発生することによって、前記アナログ変換された情報をユーザの人体を介してMFP1に送信し、あるいはMFP1から送信された信号をユーザの人体を介して受信する。
【0041】
バッテリー46は、MFP1と通信を行うための電界を発生させる等、データ送信装置4の各部に電力を供給する。ケース本体1の側面には、前記バッテリー46の残容量を示すLED製のインジケータ47が設けられている。このインジケータ47は、残容量が少なくなると、点滅や輝度低下等により残容量が少なくなったこと警告表示するが、ユーザはデータ送信装置4をポケット等に入れたり首からぶら下げることが多く、通常はデータ送信装置4を見る機会は極めて少なく、この警告表示に気付かないことが多い。
【0042】
一方、人体通信受信部19は、受信用アンテナ191と、電界送受信部192と、A/Dコンバータ193と、S/N比検出部194と、USBインターフェース195等を備えている。
【0043】
受信用アンテナ191は、ユーザが該アンテナに直接にまたはMFP1の外面を介して接触することにより、データ送信装置4から人体を介して送信されるユーザ情報等を取り込む。
【0044】
電界送受信部192は、電界を発生することによって、前記受信用アンテナ191を介して、データ送信装置4から送信された信号を受信したり、MFP1からの信号をデータ送信装置4に送信する。
【0045】
A/Dコンバータ193は、電界送受信部192で受信されたデータ送信装置4からのアナログ信号を、デジタル信号に変換するものである。
【0046】
S/N比検出部194は、電界送受信部192で受信したデータ送信装置4からの信号に対するS/N比を検出するものである。
【0047】
USBインターフェース195は、人体通信受信部19とMFP1の本体とを接続するものであり、USB通信データ生成部195aと、USB通信制御部195bと、USBホスト195cを備えている。
【0048】
USB通信データ生成部195aは、A/Dコンバータ193でデジタル信号に変換されたデータ送信装置4からの信号、及びS/N比検出部194により検出されたS/N比から、USB通信データを生成するものである。また、USB通信データ生成部195bは、前記生成されたUSB通信データの送信を制御するものである。USBホスト195cは、USBケーブル195dを介してMFP1の本体と接続される。
【0049】
次に、図1〜4に示したMFP1で実施される、データ送信装置4のバッテリーの残容量の低下(以下、単にバッテリーの低下ともいう)を予測し警告を報知する動作を説明する。
【0050】
MFP1を使用するユーザは、ICカード42を装填したデータ送信装置4を身体に装着して、MFP1に出向き、ログインに際して、人体通信受信部19の受信用アンテナ191に手等の身体の一部を接触させる。すると、データ送信装置4のカードリードライタ43により読み取られたICカード内のユーザ情報等が、データ送信装置4のD/Aコンバータ44でアナログ信号に変換され、電界送受信部45、ユーザ自身の人体を介して送信され、人体通信受信部19の電界送受信部192はこれを受信する。
【0051】
受信された信号(受信データ)は、A/Dコンバータ193でデジタル信号に変換され、USB通信データ生成部195aに送信され、USB通信データ生成部195aによりUSB通信データとなされたのち、USB通信制御部195bの制御により、USBホスト195c、USBケーブル195dを経由してMFP1の本体に送信される。
【0052】
MFP1のCPU11は、送信されてきたユーザ情報等を記憶部15に記憶されている認証情報と照合して認証を行い、認証成功であればログインを許可し、認証失敗であればログインを拒否する。
【0053】
一方、人体通信受信部19の電界送受信部192で受信された信号(受信データ)は、S/N比検出部194にも入力され、S/N比検出部194はこの入力信号のレベルとノイズレベルを測定し、両者の比率であるS/N比を検出する。検出されたS/N比はUSB通信データ生成部195a、USBホスト195c、USBケーブル195dを介してMFP1の本体に送信される。
【0054】
MFP1のCPU11は、送信されてきたS/N比を記憶部15に履歴情報であるログ情報として記憶させると共に、記憶部15に記憶されている前回までのS/N比と今回のS/N比の変化から、バッテリーの低下に伴うデータ送信装置4との通信が不能になるタイミングを予測する。
【0055】
図5は、同一ユーザが複数回に亘ってMFP1にログインしたときのS/N比の推移を示すグラフである。
【0056】
横軸の丸数字1〜6は6回のログインの各タイミングを示し、縦軸のV1〜V6は6回のログイン時のそれぞれ入力信号Sのレベルを示す。また、符号Nはノイズレベルを示す。
【0057】
丸数字1〜6で示される各ログイン時に測定され、記憶部15にログとして記録されているS/N比の履歴は、この実施形態では図6の表に示すとおりであり、1回目のログイン時から順に90、80、70、60、50、35となっている。
【0058】
この各ログイン時のS/N比を結ぶ推移線Hは、図5に示すように徐々に低下し、また、第6回目のログイン時のS/N比は35であり、例えばS/N比40に設定されている警告レベルL1を下回っている。
【0059】
このためこの実施形態では、過去5回のログイン時のS/N比が徐々に低下しており、今回(第6回)のログイン時のS/N比が、予め設定された警告レベルL1を下回っていることから、次のログイン時にはS/N比が、通信不能レベルL2を下回ってしまうと予測し、通信不能になるタイミングが近いことを予測する。
【0060】
そこで、第6回目のログイン時に、操作パネル17の表示部172に、バッテリーが低下していることを示すメッセージを表示することによりユーザに警告を報知する。
【0061】
つまり、図6の表に示すように、MFP1は過去5回のログイン時には、データ送信装置4のバッテリー低下はなく「正常」、換言すればバッテリー低下による通信不能となるタイミングは近くないと判定する。一方、6回目のログイン時にはデータ送信装置4のバッテリー低下が予測されたので「警告」、換言すればバッテリー低下による通信不能となるタイミングが近いと判定し、警告を行ってこれを報知する。なお、「正常」または「警告」の判定内容もS/N比と関連付けて記憶部15に記憶されても良いし、記憶されなくても良い。
【0062】
このように、データ送信装置4のバッテリー46の低下に起因して生じる通信不能になるタイミングをMFP1が予測して、通信不能になるタイミングが近いときは操作パネル17の表示部172にその旨を表示して警告を報知するから、ユーザが所持するデータ送信装置4側で警告が表示される従来に較べて、ユーザは電源の容量低下を確実に認識することができる。しかも、ログイン時のユーザ認証の度に検出されログとして保存されているS/N比の変化から、通信不能になるタイミングが予測され、通信不能になるタイミングが近いときは警告が報知されるから、バッテリー46の容量がなくなる前に警告を報知でき、ユーザは通信エラーが発生する前に早めに対処することができる。
【0063】
なお、通信不能になるタイミングの予測方法は、上記のように、過去のログイン時のS/N比が低下しており、今回のログイン時のS/N比が、予め設定された警告レベルL1を下回った場合に、タイミングが近いと判定する方法に限定されることはない。例えば、前回のS/N比よりも今回のS/N比が小さく、今回を含めて過去2回以上においてログイン時のS/N比が徐々に低下しており、今回のログイン時のS/N比が予め設定された警告レベルL1を下回った場合に、通信不能になるタイミングが近いと判定しても良い。
【0064】
また、警告報知の態様も、操作パネル17の表示部172への警告メッセージの表示に限定されることはなく、MFP1が音声により警告を報知しても良い。また、操作パネル17への警告表示と共に、または操作パネル17への警告表示に代えて、ユーザのメールアドレスに警告通知メールを送信しても良い。
【0065】
図7は、ログイン時のMFP1の動作を示すフローチャートである。この動作は、MFP1のCPU11がROM13等の記録媒体に記録された動作プログラムに従って動作することにより実行される。
【0066】
ステップS01では、ユーザが自装置の前に立ったことを検出したかどうかを、人体通信受信部19の電界送受信部192がデータ送信装置4からの信号を受信したかどうかにより判断し、検出しなければ(ステップS01でNO)、検出するまで待つ。検出すると(ステップS01でYES)、ステップS02で、データ送信装置4との間でユーザの人体を介した通信(人体通信)を開始する。
【0067】
次にステップS03で、データ送信装置4から受信したユーザ情報を記憶部15に記憶されている認証情報と照合し、ユーザ認証を行ったのち、ステップS04で、人体通信受信部19のS/N被検出部194を介して、データ送信装置4から受信した信号の強さとノイズの強さを測定し、S/N比を計算する。
【0068】
次いで、ステップS05では、検出したS/N比を、認証ユーザのS/N比履歴として記憶部15に保存したのち、ステップS06で、そのユーザについてのS/N比の今回を除く過去の履歴が存在しているかどうかを判断する。
【0069】
存在していなければ(ステップS06でNO)、ステップS10に進む。存在していれば(ステップS06でYES)、ステップS07で、過去のS/N比と今回とS/N比の変化からバッテリー低下を予測する。例えば、過去のS/N比が連続的に低下しており、今回のS/N比が警告レベルL1を下回っていれば、バッテリー低下により通信不能となるタイミングが近いと判断する。
【0070】
次に、ステップS08で、バッテリー低下により通信不能となるタイミングが近いことを示す警告の報知が必要か否かを判断する。必要でなければ(ステップS08でNO)、ステップS10に進む。必要であれば(ステップS08でYES)、ステップS09で、操作パネル17の表示部172に警告メッセージを表示した後、ステップS10に進む。
【0071】
ユーザは、操作パネル17の表示部172に表示された警告を見て、バッテリー低下を認識した後、消去ボタンなどで警告表示を消去し、コピー等のジョブを実行し、操作終了後はMFP1から立ち去る。
【0072】
ステップS10では、ユーザが自装置の前から離れたかどうかを、例えば一定時間以上MFP1の操作がなされなかったこと等を基に判断する。ユーザに、ログインを解除するためのログオフの操作を要求することにより、ユーザが自装置の前から離れたかどうかを判断しても良い。
【0073】
ユーザが自装置の前から離れていなければ(ステップS10でNO)、離れるのを待ち、離れると(ステップS10でYES)、ステップS01に戻り、次のログインを待つ。
【0074】
次に、この発明の他の実施形態について説明する。
【0075】
1回のログイン中に、MFP1の各種機能設定を行う場合、MFPはその機能を動作させるためにデータ送信装置4のICカード42内のデータを必要とする場合がある。この実施形態では、ICカード42内のデータが送信されるたびにS/N比を検出し、ログイン中に検出した1個または複数個のS/N比を用いて、通信不能になるタイミングを予測し、予測されたタイミングが近いときは、以後のデータ送信装置4へのMFP1からのアクセスを制限するものである。
【0076】
つまり、ログインに際して測定されたS/N比と過去のS/N比の履歴からは、バッテリー47の低下による通信不能のタイミングが近くないと判定された場合であっても、ログイン中のバッテリー46の使用によりバッテリー46の残容量が低下し、通信不能となるタイミングが近くなる場合がある。この実施形態では、このような場合にも警告を表示するものである。
【0077】
図8は、ログイン時のS/N比の他、ログイン中にデータ送信装置4からデータを受信したときのS/N比の推移を示すグラフである。図中横軸の丸数字11はログインのタイミング(ユーザ認証のタイミング)を、丸数字12は、MFP1の所定の機能を使用するために、データ送信装置4から再度ユーザ情報を取得した時のタイミングを、丸数字13は、MFP1の所定の機能を使用するために、データ送信装置4から証明書を読み取った時のタイミングを、丸数字14は、MFP1の所定の機能を使用するために、データ送信装置4から電子署名を取得した時のタイミングをそれぞれ示す。
【0078】
各タイミングにおけるS/N比の値は、図9の表に示すとおりである。
【0079】
MFP1のCPU11は、各タイミングで検出したS/N比を記憶部15に履歴として記憶させると共に、検出の度にバッテリー46の低下による通信不能となるタイミングを予測する。
【0080】
丸数字14で示される電子署名を取得したときのS/N比が検出された時に、各タイミングでのS/N比が徐々に低下しており、電子署名を取得したときのS/N比が警告レベルを下回っていることから、CPU11は、S/N比が通信不能レベルを下回るタイミングが近いと判断する。
【0081】
このため、CPU11はその時点で、操作パネル17の表示部172に警告を表示すると共に、以後のデータ送信装置4への自装置からのアクセスを制限して、ユーザによる機能設定を中断させる。
【0082】
なお、図8及び図9に示した実施形態では、ログイン時のS/N比の他、ログイン中に3回のS/N比を測定したが、ログイン中のS/N比の測定は1回でも良く、このS/N比とログイン時のS/N比とから、バッテリー46の低下による通信不能のタイミングを予測しても良い。
【0083】
このように、この実施形態では1回のログイン中に検出した1個または複数個のS/N比を用いて、通信不能になるタイミングを予測し、予測されたタイミングが近いときは、以後のデータ送信装置4へのMFP1からのアクセスが制限されるから、ログイン中に通信エラーが発生するのを確実に防止することができる。
【0084】
次に、この発明のさらに他の実施形態について説明する。
【0085】
この実施形態では、データ送信装置4とMFP1の間に異なる複数の人体通信経路を形成し、異なる通信経路毎の全てにおいて、通信不能になるタイミングが近いと判定されたときに警告を報知するものである。
【0086】
異なる人体通信経路として、この実施形態では図10に示すように、ユーザが人体通信受信部19のアンテナ191に身体の一部を接触し又は接近させることにより形成される第1の通信経路R1に加えて、次のような第2の通信経路R2が形成されている。即ち、MFP1の正面のユーザが立つ位置の床面にカーペット100が配置されている。このカーペット100には、MFP1の人体通信受信部19の電界送受信部192に通信可能に接続されたアンテナ用の鉄板や銅板が設けられており、ユーザがこのカーペット100を踏むことで、データ送信装置4からユーザの人体及びカーペット100を介して人体通信受信部19へと至る第2の通信経路R2が形成される。
【0087】
MFP1を使用するユーザは、ICカード42を装填したデータ送信装置4を身体に装着して、MFP1に出向きカーペット100上に立つ。また、ログインに際して、人体通信受信部19の受信用アンテナ191に手等の身体の一部を接触させる。すると、データ送信装置4のカードリードライタ43により読み取られたICカード42内のユーザ情報等が、前記第1の通信経路R1及び第2の通信経路路R2を介して、人体通信受信部19へと送信され、電界送受信部192により受信される。
【0088】
そして、S/N比検出部194は第1及び第2の通信経路R1、R2で受信した信号のS/N比を計算し、MFP1のCPU11は検出された各S/N比をそのユーザの履歴として記憶部15に記憶すると共に、過去のS/N比及び今回のS/N比に基づいて、バッテリー低下による通信不能となるタイミングを通信経路毎に予測する。
【0089】
図11に、記憶部15に記憶されている各ログイン時に検出された2つの通信経路R1、R2毎のS/N比の履歴を示す。図11では、第1の通信経路R1を「手」、第2の通信経路R2を「床」と記している。また、「判定」の項目は、各S/N比が検出された時の警告表示を行うか否かを、第1及び第2の通信経路単独で評価した場合の判定結果を示し、「総合判定」の項目は、第1及び第2の通信経路毎の判定結果の両方を考慮して評価した場合の判定結果を示す。
【0090】
図11の表に示す4回及び5回目のログイン時のように、第2の通信経路R2で得られた信号についてのS/N比を基に判定すると、「警告」と判定され、第1の通信経路R1で得られた信号についてのS/N比を基に判定すると、「正常」と判定されている場合は、総合判定として「正常」と判定される。つまり、一方の人体通信経路のみが「警告」の場合は警告を行わない。
【0091】
これに対し、6回目のログイン時のように、両通信経路R1、R2からの信号を基にした判定結果がいずれも「警告」である場合には、総合判定が「警告」となり、警告が行われる。
【0092】
なお、図10及び図11の実施形態では2つの異なる人体通信経路R1、R2が形成された場合を示したが、3つ以上の人体通信経路を形成し、それぞれについてのS/N比を検出し、全ての人体通信経路において「警告」と判定された場合に限って警告を行うものとしても良い。
【0093】
このように、データ送信装置4から出力され複数の異なる通信経路を介して人体通信受信部19で受信された信号に対してS/N比が検出されるとともに、異なる通信経路毎の全てにおいて通信不能になるタイミングが近いときに警告が報知されるから、データ送信装置4のバッテリー低下の検知精度を高めることができる。
【0094】
なお、複数の通信経路毎にS/N比を検出して判断する実施形態においても、ログイン中に1回又は複数回のタイミングでS/N比を検出し、ログイン中にバッテリー低下による通信不可のタイミングが近いことを予測して、通信を遮断するものとしても良い。
【0095】
次に、この発明のさらに他の実施形態について説明する。
【0096】
MFP1は例えばコピー、ファクシミリ送信等のようにジョブの処理中である場合は、ノイズレベルが上昇し、データ送信装置4からの信号のレベルが大きくてもS/N比が低下してしまう場合がある。
【0097】
この実施形態では、このようなジョブの処理中に検出された低S/N比に基づく誤判定を防止するものである。
【0098】
図12は、同一ユーザが複数回に亘ってログインしたときのS/N比の推移を示すグラフである。
【0099】
横軸の丸数字1〜6は6回のログインのタイミングを示し、縦軸のV1〜V6は6回のログイン時のそれぞれ入力信号Sのレベルを示す。
【0100】
また、1回目〜4回目及び6回目のログイン時には、MFP1は待機状態にあり、MFP1のノイズレベルNは低い。一方、第5回目のログイン時には、MFP1はコピー中であり、ノイズレベルNは高くなっている。
【0101】
このため、図13の表に示すように、5回目のログイン時のS/N比は、1回目〜4回目に較べて極端に小さくなっている。従って第5回目のログイン時の判定は、MFP1が待機中であれば「警告」と判定されるが、コピー中のためにノイズレベルNが高くなっているものと判断して、「正常」と判定する。
【0102】
このように、この実施形態では、バッテリー46の残容量が十分であっても、MFP1がジョブ処理中のときの高ノイズレベルに起因して、誤って警告が報知されるのを回避することができる。
【0103】
図14は、図12及び図13に示した実施形態におけるMFP1の動作を示すフローチャートである。この動作は、MFP1のCPU11がROM13等の記録媒体に記録された動作プログラムに従って動作することにより実行される。
【0104】
ステップS21では、ユーザが自装置の前に立ったことを検出したかどうかを、人体通信受信部19の電界送受信部192がデータ送信装置4からの信号を受信したかどうかにより判断し、検出しなければ(ステップS21でNO)、検出するまで待つ。検出すると(ステップS21でYES)、ステップS22で、データ送信装置4との間で人体を介した通信(人体通信)を開始する。
【0105】
次にステップS23で、データ送信装置4から受信したユーザ情報を記憶部15に記憶されている認証情報と照合し、ユーザ認証を行ったのち、ステップS24で、人体通信受信部19のS/N被検出部194を介して、データ送信装置4から受信した信号の強さとノイズの強さを測定し、S/N比を計算する。
【0106】
次いで、ステップS25では、検出したS/N比を、認証ユーザのS/N比の履歴として記憶部15に保存したのち、ステップS26で、そのユーザについてのS/N比の今回を除く過去の履歴が存在しているかどうかを判断する。
【0107】
存在していなければ(ステップS26でNO)、ステップS31に進む。存在していれば(ステップS26でYES)、ステップS27で、過去のS/N比と今回とS/N比の変化からバッテリー低下を予測する。
【0108】
次に、ステップS28で、バッテリー低下により通信不能となるタイミングが近いことを示す警告の報知が必要か否かを判断する。必要でなければ(ステップS28でNO)、ステップS31に進む。必要であれば(ステップS28でYES)、ステップS29で、自装置は例えばコピー中等のジョブ処理中であるかどうかを判断する。
【0109】
ジョブ処理中であれば(ステップS29でYES)、今回のS/N比の低下はMFP1の高ノイズによる影響と推測されるため、警告を行うことなくステップS31に進む。ジョブ処理中でなければ(ステップS29でNO)、ステップS30で、操作パネル17の表示部172に警告メッセージを表示した後、ステップS31に進む。
【0110】
ユーザは、操作パネル17の表示部172に表示された警告を見て、バッテリー低下を認識した後、消去ボタンなどで警告表示を消去し、コピー等のジョブを実行し、操作終了後はMFP1から立ち去る。
【0111】
ステップS31では、ユーザが自装置の前から離れたかどうかを判断する。ユーザが自装置の前から離れていなければ(ステップS31でNO)、離れるのを待ち、離れると(ステップS31でYES)、ステップS21に戻り、次のログインを待つ。
【0112】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることはない。例えば、検出したユーザ毎のS/N比をMFP1の内部の記憶部15にログとして保存した例を示したが、図15に示すように、ネットワーク3に外部サーバー5を接続し、このサーバー5に検出したS/N比をログとして保存しても良い。このようにサーバー5に保存することにより、複数台のMFP1A、1Bがネットワーク3に接続されている場合、各MFP1A、1B毎にS/N比を保存する必要はなくなり、ユーザ毎のS/N比をサーバー5で一括的に管理でき、より効率的な管理を行うことができる。この場合、各MFP1A、1Bはサーバー5からS/N比の履歴を呼び出して、バッテリー低下による通信不可のタイミングを予測することになる。
【0113】
また、バッテリー低下による通信不可のタイミングが近い場合に警告を報知する構成としたが、バッテリー低下による通信不可のタイミングが近くなくても、前回ログイン時のS/N比と今回ログイン時のS/N比が、連続して低下しているときは、ユーザ操作による消去可能な態様で操作パネル17に警告を表示しても良いし、ユーザのメールアドレスに警告メールを送信しても良い。これにより、ユーザは、データ送信装置4のバッテリー46の残容量が徐々に低下していることを認識することができる。
【符号の説明】
【0114】
1 MFP
3 ネットワーク
4 データ送信装置
42 ICカード
46 バッテリー
5 サーバー
11 CPU
13 ROM
15 記憶部
17 操作パネル
172 表示部
19 人体通信受信部
192 電界送受信部
194 S/N比検出部
100 カーペット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが装着したデータ送信装置から出力されユーザの人体を通信経路として送信されてきた信号を受信する受信手段と、
ログイン時のユーザ認証の度に、前記受信手段により受信された前記データ送信装置からの信号のレベルとノイズレベルの比であるS/N比を検出するS/N比検出手段と、
自装置の内部または外部に設けられ、前記S/N比検出手段により検出されたS/N比をログとして保存する保存手段と、
前記保存手段にログとして保存されているS/N比の変化から、データ送信装置との通信が不能になるタイミングを予測する予測手段と、
前記予測手段により予測された通信不能になるタイミングが近いときは警告を報知する警告報知手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記保存手段は、自装置を含む複数の画像処理装置が接続可能な外部サーバーに設けられている請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記S/N比検出手段は、1回のログイン中に、前記データ送信装置から送信され前記受信手段で受信される信号に対して1回又は複数回のタイミングでS/N比を検出し、
前記予測手段は、前記ログイン中に検出した1個または複数個のS/N比を用いて、通信不能になるタイミングを予測し、予測されたタイミングが近いときは、以後のデータ送信装置への自装置からのアクセスを制限する請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記S/N比検出手段により検出された前回ログイン時のS/N比と今回ログイン時のS/N比が、連続して低下しているときは、前記警告報知手段は、ユーザ操作による消去可能な態様で表示手段に警告を表示する請求項1〜3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記S/N比検出手段により検出された前回ログイン時のS/N比と今回ログイン時のS/N比が、連続して低下しているときは、前記警告報知手段は、ユーザのメールアドレスに警告通知メールを送信する請求項1〜4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記S/N比検出手段は、前記データ送信装置から出力され複数の異なる通信経路を介して前記受信手段で受信された信号に対してS/N比を検出し、
前記保存手段は、前記検出された異なる通信経路毎のS/N比を保存し、
前記予測手段は、前記保存手段に保存されている異なる通信経路毎のS/N比の変化から、通信不能になるタイミングを異なる通信経路毎に予測し、
前記警告報知手段は、前記予測手段により予測された異なる通信経路毎の全てにおいて、通信不能になるタイミングが近いときに警告を報知する請求項1〜5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
自装置がジョブ処理中のときに、前記予測手段により通信不能になるタイミングが近いことが予測された場合は、前記警告報知手段は警告報知を行わない請求項1〜6のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
ユーザが装着したデータ送信装置から出力されユーザの人体を通信経路として送信されてきた信号を受信する受信ステップと、
ログイン時のユーザ認証の度に、前記受信ステップにおいて受信された前記データ送信装置からの信号のレベルとノイズレベルの比であるS/N比を検出するS/N比検出ステップと、
自装置の内部または外部に設けられ、前記S/N比検出ステップにおいて検出されたS/N比をログとして保存手段に保存するステップと、
前記保存手段にログとして保存されているS/N比の変化から、データ送信装置との通信が不能になるタイミングを予測する予測ステップと、
前記予測ステップにおいて予測された通信不能になるタイミングが近いときは警告を報知する警告報知ステップと、
を備えたことを特徴とする画像処理装置によるデータ送信装置の電源低下検出警告方法。
【請求項9】
ユーザが装着したデータ送信装置から出力されユーザの人体を通信経路として送信されてきた信号を受信する受信ステップと、
ログイン時のユーザ認証の度に、前記受信ステップにおいて受信された前記データ送信装置からの信号のレベルとノイズレベルの比であるS/N比を検出するS/N比検出ステップと、
自装置の内部または外部に設けられ、前記S/N比検出ステップにおいて検出されたS/N比をログとして保存手段に保存するステップと、
前記保存手段にログとして保存されているS/N比の変化から、データ送信装置との通信が不能になるタイミングを予測する予測ステップと、
前記予測ステップにおいて予測された通信不能になるタイミングが近いときは警告を報知する警告報知ステップと、
を画像処理装置のコンピュータに実行させるためのデータ送信装置の電源低下検出警告プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−46118(P2013−46118A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180996(P2011−180996)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)