説明

画像処理装置、方法、プログラムおよび記録媒体

【課題】原稿画像をスキャニングした画像データを利用して連続処理を行う場合に、後続の処理を効率化して実行時間を削減すると共に、画像データが消失した場合でも、後続の処理を実行可能な画像処理装置、方法、プログラムおよび記録媒体を提供すること。
【解決手段】本発明の画像処理装置は、原稿をスキャンして生画像データを生成し、この生画像データを使用して、ユーザからの第1の処理に対応するフォーマットの変換画像データを生成する。また、後続の処理に備えて、その他のフォーマット変換画像データを生成して記憶装置に保存する。そして、第1の処理を実行した後、後続の処理に対応するフォーマット変換画像データを記憶装置から取得して、後続の処理要求が示す処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関し、より詳細には、原稿画像をスキャニングした画像データを利用して連続処理を行う画像処理装置、方法、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、MFP(Multi-Function Peripheral)等の画像処理装置は、原稿画像をスキャニングして特定のデータ形式の画像データを生成し、コピー処理や印刷処理、配信処理等の画像処理装置が実行すべき処理に応じたデータ形式に変換して、これらの処理を実行する。
【0003】
例えば、特許文献1は、スキャナが原稿画像を読み取って画像データを生成して保存し、その保存された画像データをプロッタ出力およびネットワーク配信それぞれに対応したフォーマットに変換して、これらの処理を実行する画像処理装置を開示する。より詳細には、この画像処理装置は、プロッタ出力およびネットワーク配信処理を連続して実行する場合、HDDに保存された画像データを、プロッタ出力用のフォーマット、例えば、CMYKの色空間を用いたフォーマット等にフォーマット変換し、変換された画像データをプロッタ出力する。そして、同様に、HDDに保存された画像データを、ネットワーク配信用のフォーマット、例えば、PDFファイルフォーマットやTIFFフォーマット、JPEGフォーマット等にフォーマット変換し、ネットワークI/Fが当該画像データを配信する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1が開示する画像処理装置は、後続の処理を実行する際にハードディスクから画像データを取得して、実行すべき処理に対応したフォーマットに変換した後に当該処理を実行するため、後続の処理を実行する度に、必ずフォーマット変換処理をしなければならず、後続の処理全体の実行時間が長くなるという問題があった。
【0005】
また、特許文献1が開示する画像処理装置は、後続処理で原稿画像をスキャニングして生成された画像データをHDDから取得するため、仮に当該画像データがハードディスクエラーによって消失した場合、後続の処理が実行できないという問題もあった。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、原稿画像をスキャニングした画像データを利用して連続処理を行う場合に、後続の処理を効率化して実行時間を削減すると共に、画像データが消失した場合でも、後続の処理を実行可能な画像処理装置、方法、プログラムおよび記録媒体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の画像処理装置は、原稿をスキャンして生画像データを生成し、この生画像データを使用して、ユーザからの第1の処理に対応するフォーマットの変換画像データを生成する。また、後続の処理に備えて、その他のフォーマット変換画像データを生成して記憶装置に保存する。そして、第1の処理を実行した後、後続の処理に対応するフォーマット変換画像データを記憶装置から取得して、後続の処理要求が示す処理を実行する。これにより、本発明は、後続の処理を実行する際に、既に当該処理に対応するフォーマットに変換されたフォーマット変換画像データを使用するため、後続の処理の効率化を図ることができ、後続の処理の実行時間を削減することができる。
【0008】
また、本発明では、後続の処理要求が示す処理に対応するフォーマット変換画像データを取得できなかった場合に、記憶装置に保存された生画像データのフォーマットを使用して、後続の処理要求が示す処理に対応するフォーマット変換画像データを再生成する。これにより、本発明は、記憶装置に保存されたフォーマット変換画像データが消失した場合でも、後続の処理を実行することができる。
【0009】
さらに、本発明では、後続の処理用のフォーマット変換画像データを生成する場合、実行頻度の高い処理に対応するフォーマットから順にフォーマット変換画像データを生成する。これにより、後続の処理で使用される可能性の高いフォーマット変換画像データから先に生成することできるため、後続の処理で必要とされるフォーマット変換画像データを効果的に準備でき、後続の処理を円滑に実行することができる。
【0010】
さらに、本発明は、原稿画像をスキャニングした画像データを利用して連続処理を行う場合に、後続の処理を効率化して実行時間を削減すると共に、画像データが消失した場合でも、後続の処理を実行可能な方法、プログラムおよび記録媒体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の画像処理装置のハードウェア構成および機能構成を示す図。
【図2】本実施形態の画像処理装置が実行する処理を示すフローチャート。
【図3】本実施形態の画像処理装置に含まれる変換部が実行する処理を示すフローチャート。
【図4】本実施形態の変換部が変換可能なフォーマットの実施形態を示す図。
【図5】本実施形態の画像処理装置が実行する処理の他の実施形態を示すフローチャート。
【図6】本実施形態の画像処理装置が実行する処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について実施形態をもって説明するが、本発明は、後述する実施形態に限定されるものではない。図1は、本実施形態の画像処理装置のハードウェア構成および機能構成を示す図である。以下、図1を参照して、画像処理装置110が実装するハードウェア構成および機能構成100について説明する。
【0013】
画像処理装置110は、原稿画像をスキャニングして生成した画像データを印刷してコピーし、画像データをローカルネットワーク等のネットワークを介して配信し、画像データをFAX送信するMFP(Multi-Function Peripheral)として構成される。画像処理装置110は、プロセッサ、RAM、ハーディスク装置(HDD)などを含んで実装されており、UNIX(登録商標)、LINUX(登録商標)などのOSの制御下で、アセンブラ、C、C++、JAVA(登録商標)、Java(登録商標)Scriptなどのプログラミング言語で記述された本実施形態のプログラムをRAM(Random Access Memory)に展開して実行し、後述する機能を当該画像処理装置上で実現する。
【0014】
図1に示す画像処理装置110は、コントローラ112と、オペレーションパネル128と、変換部130と、FCU(Facsimile Control Unit)132と、エンジン134とを含んで構成される。
【0015】
コントローラ112は、画像処理装置110が実行する処理の全体制御を行う機能手段であり、CPU(Central Processing Unit)114と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)116と、画像データバッファ118と、補助記憶装置120と、ROM(Read Only Memory)122と、ネットワークI/F124とを含んで構成されている。
【0016】
CPU114は、画像処理装置110の処理制御を行うプロセッサであり、ROM122に格納されたプログラムをRAMに展開して、後述する機能を実現する。
【0017】
ASIC116は、原稿画像のスキャニングや画像データの各種配信処理、画像データの印刷処理を実行させる集積回路である。ASIC116は、ユーザがオペレーションパネル128を使用して指示した各種処理の実行要求を受領すると、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス126を介して接続されている変換部130、FCU132およびエンジン134に対して当該要求された処理を実行させる。本実施形態では、ASICを使用してこれらの処理を実現するが、他の実施形態では、ASIC116が実行する処理が実装されたプログラムをRAMに展開して各種処理を実行するように構成してもよい。
【0018】
画像データバッファ118は、処理対象である画像データが一時的に保存されるデータバッファである。画像データバッファ118には、原稿画像をスキャンして生成された画像データ(以下、「生画像データ」とする。)に対し、後述するフォーマット変換が施された画像データ(以下、「フォーマット変換画像データ」とする。)がバッファリングされる。ASIC116は、画像データバッファ118からFIFO形式でフォーマット変換画像データを取得して印刷処理やFAX送信、ネットワーク配信処理等を実行する。
【0019】
補助記憶装置120は、生画像データおよびフォーマット変換画像データが格納される記憶装置である。ASIC116は、補助記憶装置120に生画像データおよびフォーマット変換画像データを保存する際、これらの画像データを固有に識別可能な情報(以下、「画像データ識別情報」とする。)をメタデータとして付加して保存する。ASIC116は、当該画像データ識別情報を使用して、ユーザが要求する処理に必要な生画像データおよびフォーマット変換画像データを補助記憶装置120から取得することができる。本実施形態では、補助記憶装置120として、HDDやフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶装置を採用することができる。
【0020】
ネットワークI/F124は、LAN回線やインターネット回線、電話回線等の外部ネットワークとのインタフェースである。ネットワークI/F124では、ASIC116の指示によりフォーマット変換画像データが外部ネットワークに送信される。また、ネットワークI/F124は、外部ネットワークから印刷データやFAXデータを受領することもできる。
【0021】
オペレーションパネル128は、ユーザが画像処理装置110の提供する種々の処理を選択し、実行させることが可能な操作パネルである。オペレーションパネル128には、画像処理装置110が提供する処理が表示され、ユーザが要求する処理およびその設定情報を選択することにより、当該処理の実行要求が、実行すべき処理の種別情報および設定情報と共に、ASIC116に送られる。
【0022】
より詳細には、オペレーションパネル128には、原稿画像のコピーやFAX送信処理、ネットワーク配信処理を選択するボタン等が表示される。原稿画像のコピーの場合には、設定情報として、コピー枚数やカラー指定、用紙サイズ、画像品質、画像データの圧縮形式、拡大率、縮小率等を選択または指定することができる。FAX送信処理の場合には、設定情報として、FAX送信先の電話番号、画像品質、画像データの圧縮形式、再送指定等を選択または指定することができる。ネットワーク配信処理の場合には、設定情報として、画像データの配信先のファイルパスや電子メールアドレス、画像データの圧縮形式等を選択または指定することができる。さらに、オペレーションパネル128には、上述した処理の設定情報として、複数の処理を連続して実行する際に必要となる画像データの蓄積を指示する情報が表示され、ユーザは、画像処理装置110に対して画像データの蓄積を指示することができる。
【0023】
変換部130は、生画像データのフォーマットを変換してフォーマット変換画像データを生成する機能手段である。変換部130は、ASIC116の指示により、要求されている処理種別に応じたフォーマットに生画像データのフォーマットを変換する。本実施形態では、変換部130として変換処理用のASICを採用することができる。他の実施形態では、変換部130が実行する処理を実装したプログラムによって変換部130の機能を実現してもよい。また、図1に示す実施形態では、変換部130は、コントローラ112と独立した機能手段として構成されているが、コントローラ112の構成要素としてもよい。なお、変換部130が変換する画像データのフォーマットについては、図4を参照してより詳細に説明する。
【0024】
FCU132は、画像データをFAX送信する機能手段である。FCU132は、ASIC116の指示により、変換部130が生成したフォーマット変換画像データを電話回線やインターネット回線等を介してFAX送信する。
【0025】
エンジン134は、原稿画像のスキャニングや画像データの印刷出力を行う機能手段であり、ASIC136と、スキャナ部138と、印刷部140とを含んで構成される。
【0026】
ASIC136は、原稿画像のスキャニングや画像データの印刷処理を実行させる集積回路である。ASIC136は、コントローラ112の指示に応じてスキャナ部138に原稿画像をスキャニングさせ、または印刷部140に画像データを印刷させる。本実施形態では、ASICを使用してこれらの処理を実現するが、他の実施形態では、ASIC136が実行する処理が実装されたプログラムをRAMに展開して各種処理を実行するように構成してもよい。
【0027】
スキャナ部138は、原稿画像のスキャニングを実行して生画像データを生成する機能手段であり、CCD(Charge Coupled Device)センサなどを含んで構成される。スキャナ部138は、ASIC136のスキャン指示により、CCDセンサが原稿画像をスキャニングし、スキャンデータにA/D変換処理やガンマ補正等の補正処理を施して生画像データを生成する。スキャナ部138は、生成した生画像データを、PCIバス126を介してコントローラ112に提供する。
【0028】
印刷部140は、変換画像データを用紙等に印刷して出力する機能手段である。印刷部140は、ASIC136の印刷指示により、設定情報に基づいて変換画像データを印刷出力する。印刷部140は、コピー処理を実行する場合には、画像処理装置110がスキャンした画像データを出力する。また、印刷部140は、ネットワークを介して受信した印刷データを印刷出力することもできる。
【0029】
図2は、本実施形態の画像処理装置が実行する処理を示すフローチャートである。以下、図2を参照して、画像処理装置110が実行する処理について説明する。
【0030】
図2の処理は、画像処理装置110の電源が投入されることによりステップS200から開始する。ステップS201では、ASIC116がオペレーションパネル128から処理要求を受信したか否か判断する。処理要求を受信していない場合には(no)、ステップS201の処理を反復する。一方、処理要求を受信した場合には(yes)、処理をステップS202に分岐させる。
【0031】
ステップS202では、ASIC116がエンジン134に原稿画像のスキャニング命令を送信し、エンジン134が原稿画像をスキャニングして生画像データを生成する。ステップS203では、ASIC116は、ステップS202で生成した生画像データを補助記憶装置120に保存する。ステップS204では、ASIC116は、ステップS202で生成した生画像データを変換部130に渡し、要求されている処理に対応するフォーマットのフォーマット変換画像データを生成させる。
【0032】
本実施形態では、変換部130は、処理要求と共に受信した処理種別情報を使用して、要求されている処理を判断することができる。また、変換部130は、設定情報に含まれる圧縮形式を、要求されている処理に対応するフォーマットとすることができる。ユーザによる明示的な圧縮形式の指定が無い場合には、変換部130が変換可能な任意の圧縮形式をフォーマット変換画像データのフォーマットとすることができる。
【0033】
ステップS205では、ASIC116は、変換部130が生成したフォーマット変換画像データを補助記憶装置120に保存し、画像データバッファ118にバッファリングする。ステップS206では、ASIC116は変換部130に対して、図3を参照して説明する画像データの連続変換処理を実行させる。なお、本実施形態では、ステップS206の処理と、ステップS207以降の処理とは並行して実行する。
【0034】
ステップS207では、ASIC116は、スキャンすべき原稿が存在するか否か判断する。スキャンすべき原稿が存在する場合には(yes)、処理をステップS202に分岐させ、ステップS202〜S206の処理を反復させる。一方、スキャンすべき原稿が存在しない場合には(no)、処理をステップS208に分岐させる。本実施形態では、エンジン134のスキャナ部138が1の原稿のスキャンが終了すると、スキャンすべき原稿を複数セット可能な給紙部に原稿が存在するか否か判断し、その判断結果をASIC116に通知する。ASIC116は、スキャナ部138の通知内容により、スキャンすべき原稿が存在するか否か判断することができる。
【0035】
ステップS208では、ASIC116は、画像データバッファ118からFIFO形式でフォーマット変換画像データを取得し、要求されている処理を実行可能な機能手段に提供して当該処理を実行させる。ステップS209では、ASIC116は、同一の原稿画像に対する後続の処理要求を受信したか否か判断する。後続の処理要求を受信した場合には(yes)、処理をステップS210に分岐させる。一方、後続の処理要求を受信しない場合には(no)、処理をステップS213に分岐させる。
【0036】
本実施形態では、ASIC116は、設定情報として画像データの蓄積指示を受信した場合には、ステップS209で後続の処理要求を待機し、当該後続の処理要求を受信すると、ステップS210の処理を実行する。一方、設定情報として画像データの蓄積指示を受信していない場合には、後続の処理要求が無いとして判断し、処理が終了する。また、設定情報として画像データの蓄積指示を受信した場合であっても、一定時間が経過しても後続の処理要求を受信しない場合には処理を終了させる。
【0037】
ステップS210では、ASIC116は、ステップS206の処理によって補助記憶装置120に格納されたフォーマット変換画像データの中から、ステップS209で要求されている後続の処理に対応するフォーマット変換画像データを取得する。本実施形態では、ASIC116は、後続の処理要求とともに受信した処理要求種別情報、設定情報に含まれる圧縮形式の情報および補助記憶装置120に保存されているフォーマット変換画像に付加された画像データ識別情報を使用して、後続の処理に対応するフォーマット変換画像データを取得することができる。
【0038】
ステップS211では、ASIC116は、ステップS210で取得したフォーマット変換画像データを、要求されている処理を実行可能な機能手段に提供して当該処理を実行させる。ステップS212では、ASIC116は、ステップS209と同様に、同一の原稿画像に対する後続の処理要求を受信したか否か判断する。後続の処理要求を受信した場合には(yes)、処理をステップS210に分岐させる。一方、後続の処理要求を受信しない場合には(no)、処理をステップS213に分岐させる。
【0039】
ステップS213では、ASIC116は、補助記憶装置120に保存された生画像データおよびフォーマット変換画像データを消去すると共に、画像データバッファ118に保持されている生画像データを消去し、ステップS214で処理が終了する。
【0040】
図3は、本実施形態の画像処理装置に含まれる変換部が実行する処理を示すフローチャートである。以下、図3を参照して、変換部130が実行する画像データの連続変換処理について説明する。
【0041】
図3の処理は、図2に示すステップS206で変換部130が実行する処理であり、ステップS300から開始する。ステップS301では、変換部130は、補助記憶装置120から生画像データを取得し、フォーマット変換画像データを順次生成する。本実施形態では、変換部130は、図2に示すステップS204で生成したフォーマット変換画像データ以外のフォーマットのフォーマット変換画像データを投機的に生成する。
【0042】
ステップS302では、変換部130は、生成したフォーマット変換画像データを画像データ識別情報と共に補助記憶装置120に保存し、ステップS303で処理が終了する。本実施形態では、変換部130が変換可能なフォーマットの画像データを順次生成する。なお、変換部130が変換するフォーマットの実施形態については、図4を参照して説明する。
【0043】
図4は、本実施形態の変換部が変換可能なフォーマットの実施形態を示す図である。図4に示す実施形態では、画像処理装置110が実行可能なコピー処理、FAX送信処理および配信処理について、生画像データのフォーマットとフォーマット変換画像データのフォーマットとが示されている。コピー処理、FAX送信処理および配信処理の生画像データのフォーマットは、RGBの各色が8bitのデータフォーマットである。
【0044】
コピー処理のフォーマット変換画像データのフォーマットは、CMYKの各色が2bitのデータフォーマット(圧縮形式A)およびCMYKの各色が2bitのデータフォーマット(圧縮形式B)である。圧縮形式Aおよび圧縮形式Bは、任意の画像圧縮形式である。
【0045】
FAX送信処理のフォーマット変換画像データのフォーマットは、CMYKの各色が1bitのデータフォーマット(MH圧縮形式)、CMYKの各色が1bitのデータフォーマット(MR圧縮形式)、CMYKの各色が1bitのデータフォーマット(MMR圧縮形式)、CMYKの各色が1bitのデータフォーマット(JBIG圧縮形式)である。
【0046】
配信処理のフォーマット変換画像データのフォーマットは、CMYKの各色が1bitのデータフォーマット(非圧縮)、CMYKの各色が1bitのデータフォーマット(MH圧縮形式)、CMYKの各色が1bitのデータフォーマット(MR圧縮形式)、CMYKの各色が1bitのデータフォーマット(MMR圧縮形式)、CMYKの各色が1bitのデータフォーマット(JBIG圧縮形式)、RGBの各色が8bitのデータフォーマット(非圧縮)、RGBの各色が8bitのデータフォーマット(JPEG圧縮)、RGBの各色が8bitのデータフォーマット(JPEG2000圧縮)、RGBの各色が8bitのデータフォーマット(クリアライトPDF圧縮)、RGBの各色が8bitのデータフォーマット(サーチャブルPDF圧縮)である。
【0047】
本実施形態では、補助記憶装置120に保存されるフォーマット変換画像データの画像データ識別情報として、上述した処理種別情報と変換後のフォーマットとの結合を使用することができる。
【0048】
変換部130は、画像データの連続変換処理においてフォーマット変換画像データを順次生成する場合、既定の順序でフォーマット変換画像データを生成することができる。すなわち、先行する処理において指定された処理以外の処理に対応するフォーマットの画像データを順次生成する。
【0049】
例えば、先行する処理がコピー処理の場合、まず、配信処理に対応するフォーマットでフォーマット変換画像データを生成し、次に、FAX送信処理に対応するフォーマットでフォーマット変換画像データを生成することができる。また、先行する処理が配信処理の場合、まず、コピー処理に対応するフォーマットでフォーマット変換画像データを生成し、次に、FAX送信処理に対応するフォーマットでフォーマット変換画像データを生成することができる。先行する処理がFAX送信処理の場合、まず、配信処理に対応するフォーマットでフォーマット変換画像データを生成し、次に、コピー処理に対応するフォーマットでフォーマット変換画像データを生成することができる。なお、これらの順序は例示であり、その他の組み合わせもフォーマットの変換順序として指定することができる。
【0050】
また、変換部130は、ユーザが要求した処理の実行頻度に応じて、フォーマット変換画像データを生成することができる。この場合、ASIC116は、要求された処理の回数を処理種別毎にカウントして不揮発性記憶装置に保存しておき、変換部130は、このカウント数を参照し、カウント数が多い処理に対応するフォーマットから順にフォーマット変換画像データを生成することができる。これにより、後続の処理で使用される可能性の高いフォーマット変換画像データから先に生成することできるため、後続の処理で必要とされるフォーマット変換画像データを効果的に準備でき、後続の処理を円滑に実行することができる。
【0051】
図5は、本実施形態の画像処理装置が実行する処理の他の実施形態を示すフローチャートである。以下、図5を参照して、画像処理装置110が実行する処理について説明する。なお、図5に示すステップS500〜ステップS510の処理は、図2に示すステップS200〜ステップS210の処理と同一であるため、以下、説明を省略する。
【0052】
ステップS511では、ASIC116が、ステップS509で受信した処理要求に対応するフォーマットのフォーマット変換画像データを正常に取得したか否か判断する。フォーマット変換画像データを正常に取得した場合には(yes)、処理をステップS514に分岐させる。一方、正常に取得できなかった場合には(no)、処理をステップS512に分岐させる。
【0053】
ステップS512では、ASIC116は、補助記憶装置120から生画像データを取得する。ステップS513では、ASIC116は変換部130に対して、ステップS512で取得した生画像データのフォーマットを、要求されている処理に対応するフォーマットに変換してフォーマット変換画像データを生成させる。
【0054】
本実施形態では、図2に示す実施形態と同様に、変換部130は、処理要求と共に受信した処理種別情報を使用して、要求されている処理を判断することができる。また、変換部130は、設定情報に含まれる圧縮形式を、要求されている処理に対応するフォーマットとすることができる。ユーザによる明示的な圧縮形式の指定が無い場合には、変換部130が変換可能な任意の圧縮形式をフォーマット変換画像データのフォーマットすることができる。
【0055】
ステップS514では、ASIC116は、ステップS510で取得したフォーマット変換画像データまたはステップS513で生成したフォーマット変換画像データを、要求されている処理を実行可能な機能手段に提供して当該処理を実行させる。ステップS515では、ASIC116は、ステップS509と同様に、同一の原稿画像に対する後続の処理要求を受信したか否か判断する。後続の処理要求を受信した場合には(yes)、処理をステップS510に分岐させる。一方、後続の処理要求を受信しない場合には(no)、処理をステップS516に分岐させる。
【0056】
ステップS516では、ASIC116は、補助記憶装置120に保存された生画像データおよびフォーマット変換画像データを消去すると共に、画像データバッファ118に保持されている生画像データを消去し、ステップS517で処理が終了する。本実施形態では、フォーマット変換画像データが消失した場合でも、後続の処理を実行することができる。
【0057】
図6は、本実施形態の画像処理装置が実行する処理を示すフローチャートである。以下、図6を参照して、画像処理装置110が実行する処理の他の実施形態について説明する。
【0058】
図6の処理は、画像処理装置110の電源が投入されることによりステップS600から開始する。ステップS601では、ASIC116がオペレーションパネル128から処理要求を受信したか否か判断する。処理要求を受信していない場合には(no)、ステップS601の処理を反復する。一方、処理要求を受信した場合には(yes)、処理をステップS602に分岐させる。
【0059】
ステップS602では、ASIC116がエンジン134に原稿画像のスキャニング命令を送信し、エンジン134が原稿画像をスキャニングして生画像データを生成する。ステップS603では、ASIC116は、ステップS602で生成した生画像データを補助記憶装置120に保存する。ステップS604では、ASIC116は、ステップS602で生成した生画像データを変換部130に渡し、要求されている処理に対応するフォーマットのフォーマット変換画像データを生成させる。
【0060】
ステップS605では、ASIC116は、変換部130が生成したフォーマット変換画像データを補助記憶装置120に保存し、画像データバッファ118にバッファリングする。
【0061】
ステップS606では、ASIC116は、スキャンすべき原稿が存在するか否か判断する。スキャンすべき原稿が存在する場合には(yes)、処理をステップS602に分岐させ、ステップS602〜S605の処理を反復させる。一方、スキャンすべき原稿が存在しない場合には(no)、処理をステップS607に分岐させる。
【0062】
ステップS607では、ASIC116は、画像データバッファ118からFIFO形式でフォーマット変換画像データを取得し、要求されている処理を実行可能な機能手段に提供して当該処理を実行させる。ステップS608では、ASIC116は、同一の原稿画像に対する後続の処理要求を受信したか否か判断する。後続の処理要求を受信した場合には(yes)、処理をステップS609に分岐させる。一方、後続の処理要求を受信しない場合には(no)、処理をステップS616に分岐させる。
【0063】
ステップS609では、ASIC116は、補助記憶装置120に格納された生画像データを取得する。ステップS610では、ASIC116が、生画像データを正常に取得したか否か判断する。生画像データを正常に取得した場合には(yes)、処理をステップS613に分岐させる。一方、正常に取得できなかった場合には(no)、処理をステップS611に分岐させる。
【0064】
ステップS611では、ASIC116は、補助記憶装置120からフォーマット変換画像データを取得する。ステップS612では、ASIC116はオペレーションパネル128に対して、生画像データの取得エラーにより、フォーマット変換画像データを利用する旨の通知を表示させる。ステップS613では、ASIC116は、変換部130に対して、ステップS609で取得した生画像データまたはステップS611で取得したフォーマット変換画像データを、要求されている処理に対応するフォーマットに変換させて、フォーマット変換画像データを生成させる。
【0065】
ステップS614では、ASIC116は、ステップS613で生成したフォーマット変換画像データを、要求されている処理を実行可能な機能手段に提供して当該処理を実行させる。ステップS615では、ASIC116は、ステップS608と同様に、同一の原稿画像に対する後続の処理要求を受信したか否か判断する。後続の処理要求を受信した場合には(yes)、処理をステップS610に分岐させる。一方、後続の処理要求を受信しない場合には(no)、処理をステップS616に分岐させる。
【0066】
ステップS616では、ASIC116は、補助記憶装置120に保存された生画像データおよびフォーマット変換画像データを消去すると共に、画像データバッファ118に保持されている生画像データを消去し、ステップS617で処理が終了する。本実施形態では、生画像データが消失した場合でも、後続の処理を実行することができる。
【0067】
これまで本実施形態につき説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0068】
100…ハードウェア構成および機能構成、110…画像処理装置、112…コントローラ、114…CPU、116…ASIC、118…画像データバッファ、120…補助記憶装置、122…ROM、124…ネットワークI/F、126…PCIバス、128…オペレーションパネル、130…変換部、132…FCU、134…エンジン、136…ASIC、138…スキャナ部、140…印刷部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】
【特許文献1】特開2008−73895号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを処理する画像処理装置であって、
ユーザからの複数の処理要求を受信可能な手段と、
原稿をスキャンして生画像データを生成するスキャナ手段と、
前記生画像データのフォーマットを変換して変換画像データを生成する変換手段と、
前記生画像データおよび前記変換画像データを記憶装置に保存する手段と、
前記変換画像データを使用して前記処理要求が示す処理を実行する手段とを含み、
前記変換手段は、第1の処理要求が示す処理に対応する変換画像データを生成すると共に、前記変換画像データ以外のフォーマットの変換画像データを投機的に生成し、
前記実行する手段は、前記第1の処理要求が示す処理を実行した後、前記第1の処理要求に後続する処理要求が示す処理に対応する変換画像データを前記記憶装置から取得して、前記後続する処理要求が示す処理を実行する、画像処理装置。
【請求項2】
前記変換手段は、前記実行する手段が前記後続する処理要求が示す処理に対応する変換画像データを取得できなかった場合に、前記記憶装置に保存された生画像データを取得して、前記後続する処理要求が示す処理に対応する変換画像データを再生成し、
前記実行する手段は、前記再生成された変換画像データを使用して、前記後続する処理要求が示す処理を実行する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記変換手段は、前記第1の処理要求が示す処理に対応する変換画像データ以外のフォーマットの変換画像データを生成する場合、実行頻度の高い処理に対応するフォーマットから順に変換画像データを生成する、請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記変換手段は、前記第1の処理要求が示す処理に対応する変換画像データ以外のフォーマットの変換画像データを生成する場合、既定の順序で変換画像データを生成する、請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
画像データを処理する画像処理装置であって、
ユーザからの複数の処理要求を受信可能な手段と、
原稿をスキャンして生画像データを生成するスキャナ手段と、
前記生画像データのフォーマットを変換して変換画像データを生成する変換手段と、
前記生画像データおよび前記変換画像データを記憶装置に保存する手段と、
前記変換画像データを使用して前記処理要求が示す処理を実行する手段とを含み、
前記変換手段は、前記実行する手段が第1の処理要求が示す処理を実行した後に、前記記憶装置から前記生画像データを取得して、前記第1の処理要求に後続する処理要求が示す処理に対応する変換画像データを生成し、
前記実行する手段は、前記後続する処理要求が示す処理に対応する変換画像データを使用して、前記後続する処理要求が示す処理を実行する、画像処理装置。
【請求項6】
前記変換手段は、前記記憶装置から前記生画像データを取得できなかった場合に、前記記憶装置に保存された変換画像データを使用して、前記後続する処理要求が示す処理に対応する変換画像データを生成する、請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像処理装置は、前記記憶装置から前記生画像データを取得できなかった場合に、その旨を通知する手段をさらに含む、請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記実行する手段は、前記処理要求を受信可能な手段が画像データの蓄積指示を受信した場合にのみ、前記後続する処理要求を実行する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記処理要求が示す処理は、コピー処理、ネットワーク配信処理およびFAX送信処理である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
画像データを処理する画像処理装置が実行する方法であって、前記方法は、前記画像処理装置が、
ユーザからの複数の処理要求を受信するステップと、
原稿をスキャンして生画像データを生成するステップと、
前記生画像データのフォーマットを変換して変換画像データを生成するステップと、
前記生画像データおよび前記変換画像データを記憶装置に保存するステップと、
前記変換画像データを使用して前記処理要求が示す処理を実行するステップとを含み、
前記変換画像データを生成するステップは、第1の処理要求が示す処理に対応する変換画像データを生成し、前記変換画像データ以外のフォーマットの変換画像データを投機的に生成するステップを含み、
前記実行するステップは、前記第1の処理要求が示す処理を実行した後、前記第1の処理要求に後続する処理要求が示す処理に対応する変換画像データを前記記憶装置から取得して、前記後続する処理要求が示す処理を実行するステップを含む、方法。
【請求項11】
前記変換画像データを生成するステップは、前記後続する処理要求が示す処理に対応する変換画像データを取得できなかった場合に、前記記憶装置に保存された生画像データを取得して、前記後続する処理要求が示す処理に対応する変換画像データを再生成するステップを含み、
前記実行するステップは、前記再生成された変換画像データを使用して、前記後続する処理要求が示す処理を実行するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記変換画像データを生成するステップは、前記第1の処理要求が示す処理に対応する変換画像データ以外のフォーマットの変換画像データを生成する場合、実行頻度の高い処理に対応するフォーマットから順に変換画像データを生成する、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか1項に記載の各ステップを画像処理装置が実行するためのコンピュータ実行可能なプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載されたプログラムを記録したコンピュータ可読な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−124802(P2012−124802A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275294(P2010−275294)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】