画像処理装置、流体吐出装置、画像処理方法及びそのプログラム
【課題】データ変換処理の高速化をより図る。
【解決手段】プリンター20は、画像変換部56が、すべて白色の画素ラインの先頭の画素、及び画像データに含まれる画素ラインの有色画素と白色画素との境の画素にNullフラグを対応付けたxRGBデータ70を生成する。次に、ライン取得ユニット61が、xRGBデータ70から画素ラインごとに画素を取得し、この取得した画素値を出力する一方、取得した画素にNullフラグが対応付けられているときには、このフラグ付き画素77に隣接する白色画素の出力を省略する。そして、出力された画素値を、データ変換補正処理により印刷データ74の画素値へ変換する。このように、すべて白色の画素ラインに加えて有色画素を含む画素ラインについてもデータ変換補正処理を省略する。
【解決手段】プリンター20は、画像変換部56が、すべて白色の画素ラインの先頭の画素、及び画像データに含まれる画素ラインの有色画素と白色画素との境の画素にNullフラグを対応付けたxRGBデータ70を生成する。次に、ライン取得ユニット61が、xRGBデータ70から画素ラインごとに画素を取得し、この取得した画素値を出力する一方、取得した画素にNullフラグが対応付けられているときには、このフラグ付き画素77に隣接する白色画素の出力を省略する。そして、出力された画素値を、データ変換補正処理により印刷データ74の画素値へ変換する。このように、すべて白色の画素ラインに加えて有色画素を含む画素ラインについてもデータ変換補正処理を省略する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、流体吐出装置、画像処理方法及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像処理装置としては、白ラインデータを記録部へ転送するときに、すべての連続する白ラインの伸長処理が終了した時点で転送する第1の転送処理と、すべての連続する白ラインの伸長処理を待たずに複数ラインごとに記録部へ順次転送する第2の転送処理とを画像の圧縮方式の違いのよって切替制御することにより、見かけ上の印字処理を高速化するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−16440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この特許文献1の装置では、白ラインが連続するときはラインスキップを1ラインごと、記録部に転送せず、有効画素が含まれるラインが見つかるか、画像の終端を見つけるまで伸長処理を続行し、連続する白ライン数が確定したら一括して白ライン数を指定してラインスキップを転送することにより、見かけ上の印字処理を高速化するものであるが、まだ十分でなく、さらなる処理高速化を図ることが求められていた。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、データ変換処理の高速化をより図ることができる画像処理装置、流体吐出装置、画像処理方法及びそのプログラムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の画像処理装置は、
データを記憶する記憶手段と、
画像データに含まれる画素行の連続する有色画素と連続する白色画素との境の画素及びすべて白色画素である画素行の最前の画素に所定の無効情報を対応付けた無効情報設定済画像データを生成するデータ生成手段と、
前記無効情報設定済画像データから前記画素行ごとに前記画素を取得し、該取得した画素値を流体を媒体上へ吐出する流体吐出装置が利用する流体吐出データの画素値へ変換する一方、前記取得した画素に前記無効情報が対応付けられているときには該無効情報が対応付けられている画素に隣接した連続する白色画素の画素値の前記変換を省略するデータ取得変換手段と、
前記変換後の流体吐出データの画素値を前記記憶手段へ記憶させる記憶処理手段と、
を備えたものである。
【0008】
この画像処理装置では、画像データに含まれる画素行の連続する有色画素と連続する白色画素との境の画素及びすべて白色画素である画素行の最前の画素に所定の無効情報を対応付けた無効情報設定済画像データを生成する。次に、無効情報設定済画像データから画素行ごとに画素を取得し、この取得した画素値を流体吐出データの画素値へ変換する一方、取得した画素に無効情報が対応付けられているときには、この無効情報が対応付けられている画素に隣接した連続する白色画素の画素値の変換を省略する。そして、変換後の流体吐出データの画素値を記憶手段へ記憶させる。このように、白色の画素行に加えて有色画素を含む画素行についてもデータ変換処理を省略するのである。したがって、データ変換処理の高速化をより図ることができる。ここで、「所定の無効情報」は、例えば所定のフラグ値としてもよい。また、「有色画素」とは、有彩色の画素としてもよいし、無彩色の画素としてもよいし、白色や無色、透明色を除く画素としてもよい。「白色画素」とは、白色画素のほか、無色の画素、透明色の画素を含むものとしてもよい。また、「有色画素と白色画素との境の画素」は、有色画素と白色画素との切り替わり位置を判定可能であれば特に限定されず、例えば、白色画素に隣接する有色画素としてもよいし、有色画素に隣接する白色画素としてもよい。即ち、「有色画素と白色画素との境の画素」は、該境に位置する有色画素及び該境に位置する白色画素のうち少なくとも一方としてもよい。
【0009】
本発明の画像処理装置において、前記データ取得変換手段は、前記無効情報設定済画像データから前記画素行ごとに前記画素を取得する画素値取得手段と、前記画素値取得手段から出力された前記画素値を前記流体吐出データの画素値へ変換する変換手段と、を備えており、前記データ取得変換手段は、前記取得した画素値を前記変換手段へ前記画素値取得手段が出力する一方、前記取得した画素に前記無効情報が対応付けられているときには該無効情報が対応付けられている画素に隣接した連続する白色画素の画素値の前記変換手段への出力を前記画素値取得手段が省略することによって、前記白色画素の画素値の前記変換を省略するものとしてもよい。こうすれば、画素値の出力を省略することにより変換処理を省略することができるため、より一層処理の簡素化を図りつつ、データ変換処理の高速化を図ることができる。
【0010】
本発明の画像処理装置において、前記データ生成手段は、前記画像データに含まれる画素行の最後尾の有色画素と白色画素との境の画素に所定の無効情報を対応付けた無効情報設定済画像データを生成し、前記データ取得変換手段は、前記取得した画素に前記無効情報が対応付けられているときには該無効情報が対応付けられている画素よりあとの前記画素行の画素値の変換を省略するものとしてもよい。こうすれば、画素行の最後尾の有色画素よりあとの白色画素に対してデータ変換処理を省略し、データ変換処理の高速化をより図ることができる。
【0011】
本発明の画像処理装置において、前記記憶処理手段は、前記データ取得変換手段が変換を省略した画素の数を取得し、該取得した画素数の空白画素を前記画素行の画素として前記記憶手段へ記憶させるものとしてもよい。こうすれば、変換を省略した白色画素を比較的容易に流体吐出データへ加えることができ、データ変換処理の高速化をより図りやすい。ここで、「空白画素」には、無色の画素のほか、透明色の画素、白色の画素を含むものとしてもよい。
【0012】
本発明の画像処理装置において、前記データ生成手段は、前記画像データに含まれる画素行の白色画素と最前の有色画素との境の画素に前記無効情報を対応付けた無効情報設定済画像データを生成し、前記データ取得変換手段は、前記無効情報設定済画像データの前記画素行の先頭画素から前記無効情報が対応付けられた画素を取得するまでは前記画素行の画素値の変換を省略するものとしてもよい。こうすれば、先頭画素から無効情報が対応付けられた画素までの白色画素に対してデータ変換処理を省略し、データ変換処理の高速化をより図ることができる。
【0013】
本発明の画像処理装置において、前記データ生成手段は、前記画像データに含まれる画素行の最前の有色画素と最後尾の有色画素との間に存在する、有色画素と白色画素との境の画素及び白色画素と有色画素との境の画素に前記無効情報を対応付けた無効情報設定済画像データを生成し、前記データ取得変換手段は、前記最前の有色画素と前記最後尾の有色画素との間に存在する、前記無効情報が対応付けられた画素を取得したあとは、次の前記無効情報が対応付けられた画素を取得するまで前記画素行の画素値の変換を省略するものとしてもよい。こうすれば、画素行の最前の有色画素と最後尾の有色画素との間に存在する白色画素に対してデータ変換処理を省略し、データ変換処理の高速化をより図ることができる。
【0014】
最前の有色画素又は、最前の有色画素と最後尾の有色画素との間に存在する画素に無効情報を対応付ける態様の本発明の画像処理装置において、前記データ取得変換手段は、前記画素行の画素値の変換を省略した画素の数をカウントし、前記記憶処理手段は、前記カウントした画素数を取得し、前記カウントした画素数の空白画素を前記画素行の画素として前記記憶手段へ記憶させるものとしてもよい。こうすれば、変換を省略した白色画素を比較的容易に流体吐出データへ加えることができ、データ変換処理の高速化をより図りやすい。
【0015】
本発明の画像処理装置において、前記データ生成手段は、第1形式の画像データから第2形式の画像データへ変換すると共に、前記境の画素に前記無効情報を対応付けて前記無効情報設定済画像データを生成するものとしてもよい。こうすれば、画像データの形式変換に伴い無効情報を画素に対応付け可能であるため、比較的容易に画素に無効情報を対応付けることができる。ここで、「第1形式の画像データ」は、例えば画像読取装置で読み取られた読取画像データや、JPEG画像データなど圧縮画像データとしてもよい。また、第2形式の画像データは、例えばRGB画像データやPDF画像データなど表示画像データとしてもよい。また、「無効情報設定済画像データ」は、例えばxRGB画像データとしてもよい。
【0016】
本発明の画像処理装置において、前記記憶処理手段は、前記画素行の最後尾の画素値を前記記憶手段へ記憶させると共に、前記データ取得変換手段へ所定の無効終了情報を出力し、前記データ取得変換手段は、前記記憶処理手段から前記無効終了情報を取得したあと前記無効情報設定済画像データから次の前記画素行の画素を取得するものとしてもよい。こうすれば、画素値の取得と変換処理後の画素値の出力との同期を容易にとることができ、データ変換処理の高速化をより図りやすい。
【0017】
本発明の流体吐出装置は、上述したいずれか1つに記載の画像処理装置と、前記画像処理装置からの前記流体吐出データに基づいて流体を媒体上へ吐出する吐出部と、を備えたものである。流体吐出装置で画像データの変換や流体吐出データへの変換を行う際には、有色画素と白色画素との区別をつけずにデータ変換処理を行うことがあり、このデータ変換の高速化を図ることができる。
【0018】
本発明の画像処理方法は、
データを記憶する記憶手段、を備えた画像処理装置が実行する画像処理方法であって、
(a)画像データに含まれる画素行の連続する有色画素と連続する白色画素との境の画素及びすべて白色画素である画素行の最前の画素に所定の無効情報を対応付けた無効情報設定済画像データを生成するステップと、
(b)前記無効情報設定済画像データから前記画素行ごとに前記画素を取得し、該取得した画素値を流体を媒体上へ吐出する流体吐出装置が利用する流体吐出データの画素値へ変換する一方、前記取得した画素に前記無効情報が対応付けられているときには該無効情報が対応付けられている画素に隣接した連続する白色画素の画素値の前記変換を省略するステップと、
(c)前記変換後の流体吐出データの画素値を前記記憶手段へ記憶させるステップと、
を含むものである。
【0019】
この画像処理方法では、上述した画像処理装置と同様に、白色の画素行に加えて有色画素を含む画素行についてもデータ変換処理を省略するため、データ変換処理の高速化をより図ることができる。なお、この画像処理方法において、上述した画像処理装置の種々の態様を採用してもよいし、また、上述した画像処理装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
【0020】
本発明のプログラムは、上述した画像処理方法の各ステップを1以上のコンピューターに実現させるためのものである。このプログラムは、コンピューターが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピューターから別のコンピューターへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムを一つのコンピューターに実行させるか又は複数のコンピューターに各ステップを分担して実行させれば、上述した画像処理方法の各ステップが実行されるため、該制御方法と同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】プリンターシステム10の構成の概略の一例を示す構成図。
【図2】画像変換部56の構成の概略の一例を示す構成図。
【図3】画像処理部60の構成の概略の一例を示す構成図。
【図4】画像生成フラグ設定処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図5】xRGBデータ70の一例を示す説明図。
【図6】xRGBデータ70の画素行76の一例の説明図。
【図7】印刷データ生成処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図8】データ変換処理の一例を示す説明図。
【図9】xRGBデータ70Bの画素行76の一例の説明図。
【図10】別の印刷データ生成処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図11】別のデータ変換処理の一例を示す説明図。
【図12】xRGBデータ70Cの画素行76の一例の説明図。
【図13】別の印刷データ生成処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図14】別のデータ変換処理の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、本実施形態であるプリンターシステム10の構成の概略の一例を示す構成図である。図2は、画像変換部56の構成の概略の一例を示す構成図である。図3は、画像処理部60の構成の概略の一例を示す構成図である。本実施形態のプリンターシステム10は、図1に示すように、プリンター20へデータ通信可能に接続され画像データを出力するパソコン(PC)11と、媒体としての記録紙Sに流体としてのインクを吐出して印刷対象である画像データの印刷処理を行うプリンター20と、を備えている。
【0023】
PC11は、ユーザーが使用する情報処理装置として構成されたパソコンである。このPC11は、装置全体の制御を司るコントローラーと、各種アプリケーションプログラムや各種データファイルを記憶する大容量メモリであるHDD15と、プリンター20などの外部機器とのデータの入出力を行う図示しないネットワークインターフェイス(I/F)とを備えている。コントローラーは、各種制御を実行するCPU12や各種制御プログラムを記憶するフラッシュROM13、データを一時記憶するRAM14などを備えている。また、PC11は、ユーザーが各種指令を入力するキーボード及びマウス等の入力装置17や、各種情報を表示するディスプレイ18などを備えている。このPC11は、ディスプレイ18に表示されたカーソル等をユーザーが入力装置17を介して入力操作するとその入力操作に応じた動作を実行する機能を有している。
【0024】
プリンター20は、印刷処理を実行するプリンター部30と、原稿の読み取り処理を実行するスキャナー部33と、メモリーカードMCとのデータのやりとりを行うメモリーカードコントローラー36と、装置全体をコントロールするメインコントローラー50と、を備えている。プリンター部30は、プリンターASIC31と印刷機構32とを備えている。プリンターASIC31は、印刷機構32を駆動制御する機能を備えたICチップである。印刷機構32は、ベルト37によりキャリッジ軸48に沿って左右(主走査方向)に往復動するキャリッジ41と、インクに圧力をかけノズル42からインク滴を吐出する印刷ヘッド44と、各色のインクを収容しこの収容したインクを印刷ヘッド44へ供給するカートリッジ45と、駆動モーター38により駆動され記録紙Sを搬送する紙送りローラー39とを備えている。印刷ヘッド44は、キャリッジ41の下部に設けられており、圧電素子に電圧をかけることによりこの圧電素子を変形させてインクを加圧する方式により、印刷ヘッド44の下面に設けられたノズル42から各色のインクを吐出するものである。なお、インクへ圧力をかける機構は、ヒーターの熱による気泡の発生によるものとしてもよい。カートリッジ45は、本体側に装着され、シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(K)などの各色のインクを個別に収容しており、図示しないチューブを介して印刷ヘッド44へインクを供給する。
【0025】
スキャナー部33は、スキャナーASIC34と読取機構35とを備えている。スキャナーASIC34は、読取機構35を駆動制御する機能を備えたICチップである。読取機構35は、図示しないが、いわゆるフラットベッド型であり、画像を読み取る原稿載せるガラス面と、このガラス面を介して原稿を光学的に読み取るラインイメージセンサと、ラインイメージセンサを走査させる移動部とを備えている。このラインイメージセンサは、原稿に向かって発光した後の反射光をレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の各色に分解してスキャンデータとする周知のカラーイメージセンサである。
【0026】
メインコントローラー50は、CPU52を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、各種処理プログラムを記憶しデータを書き換え可能なフラッシュROM53と、一時的にデータを記憶したりデータを保存したりするメインメモリとしてのRAM54と、PC11などの外部機器とのデータの入出力を行うI/F55と、JPEGデータやスキャンデータ、RGBデータなどの入力データから付記情報を含むxRGBデータへの変換を実行する画像変換部56と、画像データを印刷データへ変換する機能を有する画像処理部60と、を備えている。このメインコントローラー50は、PC11や、メモリーカードコントローラー36を介してメモリーカードMCなどから画像データを受信すると共に、印刷処理を実行するようプリンターASIC31へ指令を送信する。
【0027】
画像変換部56は、図1,2に示すように、入力された画像データの変換処理を実行する変換処理ユニット57や、RGBデータの画素に付記情報としてのフラグを対応付けるフラグ付加ユニット58などを備えた回路として構成されている。変換処理ユニット57は、図2に示すように、JPEGデータなどの圧縮画像データを展開し、インテントデータ領域を有する表示可能なxRGBデータ70に変換したり、YUVデータなどのスキャンデータをxRGBデータ70に変換する機能を有する回路として構成されている。フラグ付加ユニット58は、詳しくは後述するが、xRGBデータ70に設けられた各画素のインテントデータ領域へ処理省略に関するNullフラグを対応付ける機能を有している。
【0028】
画像処理部60は、図1,3に示すように、ライン取得ユニット61や、エッジ検出ユニット62、色空間変換ユニット63、濃度補正ユニット64、平均化ユニット65、ハーフトーンユニット66、記憶処理ユニット67、印刷データ出力ユニット68などを備えた回路として構成されている。ライン取得ユニット61は、例えば、RAM54に記憶されているxRGBデータ70(画像データ)の画素ラインに含まれる画素の画素値を取得し、後段のエッジ検出ユニット62へ出力する機能を有する回路により構成されている。また、ライン取得ユニット61は、画素に対応付けられているNullフラグに基づいて、エッジ検出ユニット62への画素値の出力を省略したり、出力を省略した画素の数(画素数)をカウントする機能を有している。エッジ検出ユニット62は、取得した画素ラインの画素値を用い、エッジ領域を検出する機能を有する回路により構成されている。色空間変換ユニット63は、図3に示すように、ルックアップテーブル(LUT)71を用い、RGB色空間の画像データをCMYK色空間の印刷データへ変換する機能を有する回路により構成されている。LUT71は、RGBの画素値とCMYKの画素値とを経験的に対応付けた対応関係情報として構成されている。濃度補正ユニット64は、図示しないテーブルを用い、印刷出力先の各ライン(ノズル列)ごとに最適な画素値となるよう画素値の補正を実行する機能を有している。
【0029】
平均化ユニット65は、複数の画素値を平均化する機能を有する回路として構成されている。ハーフトーンユニット66は、カラーデータ(C,M,Y)の画素値にハーフトーン処理を施したり、黒データ(K)の画素値にハーフトーン処理を施したりする機能を有している。このハーフトーンユニット66は、ハーフトーン処理としてディザ処理を実行するよう構成されている。ディザ処理では、予め設定されたディザマトリックス(ハーフトーンテーブル)によって与えられる閾値と各画素の階調値との大小比較によって、ドットのオン/オフに2値化する処理を実行する。ここでは、ドット形成なし、小ドット形成、中ドット形成、大ドット形成の4種類のドット形成に関する閾値が吐出量閾値テーブル72として定められている。このハーフトーン処理により、ドットなし、小ドット、中ドット及び大ドットを形成するという、ドットの有無を表す印刷データへ画像データから画質をより高めつつ変換することができる。なお、ハーフトーン処理の具体的な内容については、特開2007−82090号公報や特開2007−76306号公報などに詳しく記載されているから、ここでの詳細な説明は省略する。また、ハーフトーン処理としてディザ処理を実行するものとしたが、特にこれに限定されず、例えば、誤差拡散法やその他のハーフトーン処理を実行するものとしてもよい。
【0030】
記憶処理ユニット67は、ハーフトーン処理され2値化されたデータ(印刷データ74)を、各々の色種別(C,M,Y,K)に応じてRAM54に設けられたバッファ領域に記憶させる機能を有している。この記憶処理ユニット67は、ライン取得ユニット61で出力が省略された画素の数を取得し、取得した画素の数の空白画素をRAM54へ記憶させて印刷データ74とする機能を有している。ここで、「空白画素」は、無色の画素とするが、白色の画素、透明の画素などとしても構わない。印刷データ出力ユニット68は、RAM54にバッファされた印刷データ74のうち、印刷ヘッド44で印刷処理する1パス分のデータを回転処理や間引き処理などを行いつつ取り出し、プリンター部30のプリンターASIC31へ出力する機能を有している。
【0031】
また、図3に示すように、色空間変換ユニット63や、濃度補正ユニット64、平均化ユニット65、ハーフトーンユニット66は、それぞれパスユニット83〜86を備えている。このパスユニットは、パスユニットが接続されているメインユニットにデータが伝達するのと同期して、データが順次伝達する構成となっている。このパスユニット83〜86では、ライン取得ユニット61で取得された画素値(図3の実線矢印参照)やNullフラグの値(図3の点線矢印参照)を伝達する機能を有する。こうすれば、パスユニットを転送されている種々のデータを、対応するメインユニットに容易に取り込み可能であり、またメインユニットでの処理を省略可能であり、回路の拡張性をより高めることができる。また、取り扱うデータの容量が増加し、メインユニット間のバス幅が不足した場合にも、パスユニットを利用することでより多くのデータを扱うことが可能になる。
【0032】
次に、こうして構成された本実施形態のプリンター20の動作、特に、PC11やメモリーカードMCから入力された画像データ(JPEGデータ)や、スキャナー部33からのスキャンデータ(YUVデータ)を、プリンター20が直接印刷する処理について説明する。このプリンター20では、PC11にインストールされた印刷ドライバーで印刷データを生成し、この印刷データをPC11から受信して印刷処理を実行するドライバー印刷モードのほか、JPEGデータなどの画像データを直接プリンター20で印刷処理する直接印刷モードを備えている。まず、画像変換部56でのxRGBデータ70の生成処理について説明する。図4は、プリンター20のCPU52が実行する、画像生成フラグ設定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、図示しない画像選択画面で、印刷用の画像データを選択したあと、CPU52により画像変換部56を利用して実行される。
【0033】
このルーチンを開始すると、CPU52は、入力データ80をRAM54に記憶させる(ステップS100)。CPU52は、印刷用の画像データがユーザーによって選択されたのち、図2に示すように、スキャナー部33、メモリーカードコントローラー36及びI/F55を介して得られた画像データを入力データ80としてRAM54のバッファ領域に記憶する。次に、CPU52は、変換処理ユニット57により入力データ80を変換し、xRGBデータ70を生成する処理を実行する(ステップS110)。ここでは、入力データ80がJPEGデータであるときには、変換処理ユニット57のCODECによりこのJPEGデータからxRGBデータへの変換を実行し、入力データ80がスキャンデータ(YUVデータ)であるときには、このYUVデータからxRGBデータへの変換を実行する(図2参照)。また、入力データ80がRGBデータであるときには、RGBデータからxRGBデータへの変換を実行する。図5は、画像データとしてのxRGBデータ70の一例を示す説明図である。図5に示すように、xRGBデータ70は、RGB色空間の1画素であるR,G,Bの3バイトのデータの他に1バイトのインテントデータ領域が設けられており、このインテントデータ領域に、様々な情報、例えば、この画像データに関する情報や、処理省略に関するNullフラグなどを格納している。
【0034】
続いて、CPU52は、RGBデータに対して、画像の回転や2アップ配置などのレイアウト処理を実行すると共に、画素ライン(画素行)ごとにNullフラグのフラグ値を設定し(ステップS120)、このルーチンを終了する。Nullフラグは、後述する画像処理部60でのデータ変換補正処理の省略に関する情報であり、値「0」から値「1」へ切り替わると、画像処理部60での画像処理の実行と省略との切り替えを行うよう設定されている。この省略される画像処理部60のデータ変換補正処理には、例えば、エッジ検出ユニット62によるエッジ領域の検出処理、色空間変換ユニット63による色空間変換処理、濃度補正ユニット64による画素値の補正処理、平均化ユニット65による平均化処理、ハーフトーンユニット66によるハーフトーン処理などが含まれている。フラグ付加ユニット58は、xRGBデータ70に含まれる画素ラインの連続する有色画素と連続する白色画素との境の画素、及びすべて白色画素である画素ラインの最前の画素にNullフラグ値「1」を対応付けるものとした。ここで、「有色画素」には、有彩色の画素のほか、白色及び透明色以外の無彩色の画素をも含むものとする。また、「白色画素」には、白色画素のほか、無色の画素、透明色の画素をも含むものとする。このxRGBデータの生成処理時や、レイアウト処理時には、画像データに含まれるすべての画素値を把握することから、各画素に対してNullフラグのフラグ値を設定しやすい。なお、説明の便宜により、Nullフラグが値「1」に対応付けられた画素を「フラグ付き画素」や、「Nullフラグが対応付けられている画素」などと称して以下説明する。このNullフラグの設定方法や印刷データの生成について、場合分けして説明する。
【0035】
[第1実施形態]
ここでは、xRGBデータ70に含まれる画素ラインの最後尾の有色画素と白色画素との境の有色画素にNullフラグ「1」を対応付けたフラグ付き画素を設定し、このフラグ付き画素よりあとの画素値に対する画像処理部60でのデータ変換補正処理を省略する場合について説明する。図6は、xRGBデータ70の画素行76の一例の説明図であり、図7は、印刷データ生成処理ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図8は、データ変換処理の一例を示す説明図である。ここでは、図6上段に示すように、画像生成フラグ設定処理ルーチンのステップS120で、画素ライン76の有色画素の最後尾の画素、及び白色画素ラインの先頭画素をフラグ付き画素77に設定したxRGBデータ70を生成するものとした。なお、印刷データにおいては、xRGBデータ70での白色画素は、無色画素となることから、ここでは、白色画素データをNullデータとも称するものとする。
【0036】
次に、xRGBデータ70から、プリンター20の印刷処理に用いる印刷データを生成する処理について説明する。上述したように、xRGBデータ70を生成すると、画像処理部60が、図7に示す印刷データ生成処理ルーチンを実行する。この印刷データ生成処理は、ライン取得ユニット61、エッジ検出ユニット62、色空間変換ユニット63、濃度補正ユニット64、平均化ユニット65、ハーフトーンユニット66、記憶処理ユニット67及び印刷データ出力ユニット68によって実行される。図6に示す印刷データ生成処理が実行されると、ライン取得ユニット61がxRGBデータ70から画素値を画素ラインごとに順次取得し(ステップS200)、取得した画素にNullフラグが対応付けられているか否かを判定する(ステップS210)。ライン取得ユニット61は、xRGBデータ70から画素値を取得すると共に、この画素に対応付けられたNullフラグ値も取得する。画素値の取得は、例えばxRGBデータ70の左端の画素から順に右端の画素に向かって行うものとした。また、Nullフラグが対応付けられているか否かの判定は、Nullフラグが値「1」か否かにより行うものとした。Nullフラグが対応付けられていないときには、ライン取得ユニット61は、取得した画素値を後段のエッジ検出ユニット62へ出力する(図3参照)。
【0037】
続いて、ステップS220〜S270のデータ変換補正処理を実行する(ステップS400)。このデータ変換補正処理では、まず、エッジ検出ユニット62がxRGBデータ70に含まれるエッジを検出する処理などを実行する(ステップS220)。次に、色空間変換ユニット63が、LUT71を用い、この画素値をRGB色空間からCMYK色空間へ変換する(ステップS230)。次に、変換した画素値に対して濃度補正ユニット64がインク量補正を行う(ステップS240)。ノズル列は製造誤差に起因してその内径や圧電素子の変形度が異なることがあることから、この誤差を補正する補正テーブルを予め記憶しておき、濃度補正ユニット64は、この補正テーブルを用いてインクの吐出量を補正する処理を行う。ここでは、濃度補正ユニット64では、CMYK色空間の画素値としてCMYK色空間のインク吐出量を用いて補正処理するものとした。次に、平均化ユニット65が濃度補正した画素値の平均化を実行し(ステップS250)、続いて、ハーフトーンユニット66が、ハーフトーン処理を各画素に対して行う(ステップS260)。ハーフトーンユニット66は、吐出量閾値テーブル72を用いてインク吐出量の設定を行うと共に、ハーフトーンテーブル73を用いてディザ処理を実行する。そして、記憶処理ユニット67が、ハーフトーン処理を行った2値化データを印刷データ74としてRAM54へ記憶させる(ステップS270)。
【0038】
次に、画素ラインの最後尾の画素に至ったか、即ちラインエンドであるか否かを判定し(ステップS280)、ラインエンドでないときには、ステップS200以降の処理を実行する。即ち、ステップS210でNullフラグありの判定になるまで、画素ラインの画素を取得し、ステップS400のデータ変換補正処理を繰り返し実行する。
【0039】
一方、ステップS210で、取得した画素にNullフラグが対応付けられているときには、Nullフラグが対応付けられている画素に対してステップS400のデータ変換補正処理を実行し、ラインエンドまでデータ変換補正処理を省略するNull処理を実行する(ステップS300)。このNull処理は、ライン取得ユニット61が画素値の取得及び出力を中断すると共に、記憶処理ユニット67が空白画素をRAM54へ記憶させる処理を行う。なお、記憶処理ユニット67は、ラインエンドまでの画素の数の空白画素をRAM54へ記憶させると、Null−end信号(無効終了情報)をライン取得ユニット61へ出力する。これを受けたライン取得ユニット61は、xRGBデータ70の次の画素ラインの画素値の取得を実行する。
【0040】
ステップS300のあと、又はステップS280でラインエンドであったときには、ライン取得ユニット61がxRGBデータ70に次の画素ラインがあるか否かを判定し(ステップS290)、次のラインがあるときには、ステップS200以降の処理を実行する。一方、次の画素ラインがないときには、そのままこのルーチンを終了する。その後、印刷データ出力ユニット68により、印刷データ74が印刷ヘッド44側に出力され、印刷機構32で記録紙Sへインクが吐出される印刷処理が実行される。このように、Nullフラグが対応付けられている画素よりあとの白色画素については、データ変換補正処理を省略するよう切り替えるのである。
【0041】
ここで、印刷データ生成処理ルーチンの内容を具体例を用いて説明する。ここでは、図8の1段目に示すように、画素ラインに含まれる画素が50pixであり、11〜21pix及び31〜40pixが有色画素であり、40pixがフラグ付き画素77である場合について説明する。なお、図8には、画像処理部60のうち、ライン取得ユニット61、色空間変換ユニット63、ハーフトーンユニット66及び記憶処理ユニット67のみ示した。まず、ライン取得ユニット61は、フラグ付き画素77を取得するまで、画素の色にかかわらず、xRGBデータ70の1pixから順に取得し、後段の色空間変換ユニット63へ出力する(図8の2段目)。このとき、各ユニットは各々の画像処理を取得した画素値に対し実行し、記憶処理ユニット67は、RAM54へ印刷データ74の一部としてこの画素値を記憶させる。続いて、ライン取得ユニット61がフラグ付き画素77を取得するとラインエンド処理を実行すると共に、画素の取得及び出力を停止し、Null−end信号待ちとする(図8の3段目)。フラグ付き画素77を受けた各ユニットも、ラインエンド処理を行うと共にデータ待ち状態とする(図8の4段目)。記憶処理ユニット67がフラグ付き画素77を取得すると、Null処理を実行し(図8の5段目)、残りの画素の数の空白画素(Nullデータ)をRAM54へ記憶させる(図8の6段目)。そして、Null処理が終了すると、記憶処理ユニット67は、ライン取得ユニット61へNull−end信号を出力し、これを受けたライン取得ユニット61は次の画素ラインがあるときには、次の先頭の画素を取得する。なお、すべてが白色画素である画素ラインについては、画素ラインの先頭からNull処理を実行し、データ変換補正処理を省略するのである。このように、有色画素を含む画素ラインについてもデータ変換補正処理を省略するのである。図6の下段に示すように、フラグ付き画素77よりあとの白色画素のデータ変換補正処理を省略することができる。
【0042】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のRAM54が本発明の記憶手段に相当し、画像変換部56がデータ生成手段に相当し、画像処理部60のうち、ライン取得ユニット61,エッジ検出ユニット62,色空間変換ユニット63,濃度補正ユニット64,平均化ユニット65,ハーフトーンユニット66がデータ取得変換手段に相当し、記憶処理ユニット67が記憶処理手段に相当する。また、ライン取得ユニット61が画素値取得手段に相当し、エッジ検出ユニット62、色空間変換ユニット63、濃度補正ユニット64、平均化ユニット65及びハーフトーンユニット66が変換手段に相当する。また、入力データ80が画像データ及び第1形式の画像データに相当し、xRGBデータ70が無効情報設定済画像データ及び第2形式の画像データに相当し、印刷データ74が流体吐出データに相当し、Nullフラグが無効情報に相当し、Null−end信号が無効終了情報に相当する。また、インクが流体に相当し、記録紙Sが媒体に相当し、プリンター20が流体吐出装置に相当し、プリンター部30が吐出部に相当する。なお、本実施形態では、プリンター20の動作を説明することにより本発明の画像処理方法の一例も明らかにしている。
【0043】
以上詳述した第1実施形態のプリンター20によれば、画像変換部56が、画像データに含まれる画素ラインの最後尾の有色画素にNullフラグを対応付けたxRGBデータ70を生成する。次に、ライン取得ユニット61が、xRGBデータ70から画素ラインごとに画素を取得し、この取得した画素値をエッジ検出ユニット62へ出力する一方、取得した画素にNullフラグが対応付けられているときには、このフラグ付き画素77よりあとの白色画素の出力を停止する。そして、出力されたxRGBデータ70に含まれる画素値を、印刷データ74の画素値へ変換し、変換後の画素値をRAM54へ記憶させる。このように、すべて白色の画素ラインに加えて有色画素を含む画素ラインについてもデータ変換補正処理を省略するのである。したがって、画素ラインの最後尾の有色画素よりあとの白色画素に対してデータ変換補正処理を省略し、データ変換補正処理の高速化をより図ることができる。また、ライン取得ユニット61が出力を省略した画素の数を記憶処理ユニット67が取得し、この画素数の空白画素を画素ラインの画素としてRAM54へ記憶させるため、出力を省略した白色画素を比較的容易に印刷データ74へ加えることができ、データ変換補正処理の高速化をより図りやすい。
【0044】
また、第1実施形態のプリンター20によれば、画像変換部56が、入力データ80のxRGBデータ70への形式変換に伴いNullフラグを画素に対応付け可能であるため、比較的容易に画素にNullフラグを対応付けることができる。特に、xRGBデータ70への変換処理では、各画素が有色画素であるか白色画素であるかを把握しながら行うことから、Nullフラグをより効率よく設定することができる。更に、Null−end信号の受信までライン取得ユニット61が待機するため、画素値の取得とデータ変換補正処理後の画素値の出力との同期を容易にとることができ、データ変換補正処理の高速化をより図りやすい。更にまた、プリンター20で入力データ80からxRGBデータ70への変換やxRGBデータ70から印刷データ74への変換を行う際には、有色画素と白色画素との区別をつけずにデータ変換補正処理を行うことが通常であるが、ここでは、できるだけ白色画素のデータ変換補正処理を省略して高速化を図ることができる。そして、画素ラインの最後尾の有色画素にのみNullフラグを対応付けることから、より一層容易な処理により、データ変換補正処理の高速化をより図ることができる。
【0045】
[第2実施形態]
ここでは、第1実施形態に加え、xRGBデータ70に含まれる画素ラインの白色画素と最前の有色画素との境の画素にNullフラグ「1」を対応付けたフラグ付き画素を設定し、このフラグ付き画素より前の画素値に対する画像処理部60でのデータ変換補正処理をも省略する場合について説明する。図9は、xRGBデータ70Bの画素行76の一例の説明図であり、図10は、別の印刷データ生成処理ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図11は、別のデータ変換補正処理の一例を示す説明図である。ここでは、図9上段に示すように、画像生成フラグ設定処理ルーチンのステップS120で、画素ライン76の最前の有色画素、最後尾の有色画素、及び白色画素ラインの先頭画素をフラグ付き画素77に設定したxRGBデータ70Bを生成するものとした。なお、上述した構成と同様の構成については同じ図番号を付してその説明を省略する。
【0046】
次に、xRGBデータ70Bから、プリンター20の印刷処理に用いる印刷データを生成する処理について説明する。上述したように、xRGBデータ70Bを生成すると、画像処理部60が、図10に示す印刷データ生成処理ルーチンを実行する。この印刷データ生成処理において、上述した内容と同様の処理については同じステップ番号を付し、その説明を省略する。図10に示す印刷データ生成処理が実行されると、上述したステップS200,S210と同様に、ライン取得ユニット61がxRGBデータ70Bから画素値を画素ラインごとに順次取得し(ステップS310)、取得した画素にNullフラグが対応付けられているか否かを判定する(ステップS320)。Nullフラグが対応付けられていないときには、ライン取得ユニット61は、取得した画素が白色画素であると見なし、画素値の出力を省略すると共に、省略した画素の数(読捨数)のカウントを行い(ステップS330)、ステップS310以降の処理を繰り返し実行する。一方、ステップS320で、取得した画素にNullフラグが対応付けられているときには、現在の処理位置をカウントした読捨数に基づいて更新すると共に、Null処理を実行し(ステップS340)、ステップS400でデータ変換補正処理を実行する。即ち、フラグ付き画素77を取得するまで、画素ラインの先頭からNull処理を実行してデータ変換補正処理を省略すると共に、フラグ付き画素77を取得するとデータ変換補正処理を開始するのである。
【0047】
ステップS400でデータ変換補正処理を実行すると、ステップS280でラインエンドであるか否かを判定し、ラインエンドでないときには、ステップS200で画素値を取得し、ステップS210で、取得した画素にNullフラグが対応付けられているか否かを判定する。取得した画素にNullフラグが対応付けられていないときには、最後尾の有色画素ではないものと見なし、ステップS400以降の処理を繰り返し実行する。即ち、取得した画素に対して、データ変換補正処理を実行する。一方、ステップS210で取得した画素にNullフラグが対応付けられているときには、最後尾の有色画素であるものと見なし、ステップS300でラインエンドまでデータ変換補正処理を省略するNull処理を実行する。ステップS300のあと、又は、ステップS280でラインエンドであったときには、ステップS290でライン取得ユニット61がxRGBデータ70に次の画素ラインがあるか否かを判定し、次のラインがあるときには、ステップS310以降の処理を実行する。一方、次の画素ラインがないときには、そのままこのルーチンを終了する。このように、有色画素を含む画素ラインにおいて、最前の有色画素の前の白色画素に対し、データ変換補正処理を省略すると共に、最後尾の有色画素のあとの白色画素に対し、データ変換補正処理を省略するのである(図9下段参照)。
【0048】
ここで、第2実施形態の印刷データ生成処理ルーチンの内容を具体例を用いて説明する。ここでは、図11の1段目に示すように、画素ラインに含まれる画素が50pixであり、11〜21pix及び31〜40pixが有色画素であり、11pix及び40pixがフラグ付き画素77である場合について説明する。まず、ライン取得ユニット61は、フラグ付き画素77を取得するまで、xRGBデータ70の1pixから順に読み捨てると共に、読捨数をカウントし、後段の色空間変換ユニット63への画素値の出力を停止する(図11の2段目)。このとき、各ユニットは、それぞれデータ待ち状態とする。次に、ライン取得ユニット61がフラグ付き画素77(11pix)を取得すると、画素値を読捨数と共に出力する(図11の3段目)。これを受けた各ユニットは、処理位置(pix)を読捨数に基づいて再設定し、取得した画素値に対し各々の画像処理を実行する(図11の4段目)。次に、フラグ付き画素77を受けると、記憶処理ユニット67は、処理位置を読捨数に基づいて再設定し、Null処理を実行し読捨数の空白画素(Nullデータ)をRAM54へ記憶させる(図11の5段目)。続いて、ライン取得ユニット61は、次のフラグ付き画素77を取得するまでxRGBデータ70Bから画素値を取得し、取得した画素値を後段のユニットに出力する。これを受けた各ユニットは、取得した画素値に対し各々の画像処理を実行する(図11の6段目)。そして、ライン取得ユニット61が再度、フラグ付き画素77を取得すると、ラインエンド処理を実行すると共に、画素の取得及び出力を停止し、Null−end信号待ちとする(図11の7段目)。以降は、上述した第1実施形態と同様の処理を実行する。このように、有色画素を含む画素ラインについてもデータ変換補正処理を省略するのである。
【0049】
以上詳述した第2実施形態のプリンター20によれば、画像変換部56が、画像データに含まれる画素ラインの最前の有色画素にNullフラグを対応付けたxRGBデータ70Bを生成し、画像処理部60が、xRGBデータ70Bの画素ラインの先頭画素からフラグ付き画素77を取得するまでは画素ラインの画素値の出力を省略する。このため、先頭画素からフラグ付き画素77までの白色画素に対してデータ変換補正処理を省略し、データ変換補正処理の高速化を更に図ることができる。また、画素ラインの最後尾の有色画素よりあとの白色画素に対してデータ変換補正処理を省略し、データ変換補正処理の高速化をより図ることができる。更に、ライン取得ユニット61が出力を省略した画素の数をカウントし、記憶処理ユニット67がこの読捨数を取得し、この読捨数の空白画素を画素ラインの画素としてRAM54へ記憶させるため、出力を省略した白色画素を比較的容易に印刷データ74へ加えることができ、データ変換補正処理の高速化をより図りやすい。また、画像変換部56が、入力データ80のxRGBデータ70への形式変換に伴いNullフラグを画素に対応付け可能であるため、比較的容易に画素にNullフラグを対応付けることができる。特に、xRGBデータ70への変換処理では、各画素が有色画素であるか白色画素であるかを把握しながら行うことから、Nullフラグをより効率よく設定することができる。更に、Null−end信号の受信までライン取得ユニット61が待機するため、画素値の取得とデータ変換補正処理後の画素値の出力との同期を容易にとることができ、データ変換補正処理の高速化をより図りやすい。更にまた、プリンター20で入力データ80からxRGBデータ70への変換やxRGBデータ70から印刷データ74への変換を行う際には、有色画素と白色画素との区別をつけずにデータ変換補正処理を行うことが通常であるが、ここでは、できるだけ白色画素のデータ変換補正処理を省略して高速化を図ることができる。そして、画素ラインの最前の有色画素及び最後尾の有色画素にNullフラグを対応付けることから、比較的容易な処理により、データ変換補正処理の高速化をより図ることができる。
【0050】
[第3実施形態]
ここでは、第1,第2実施形態に加え、画素ラインに含まれる最前の有色画素と最後尾の有色画素との間に存在する連続した白色画素に対してもデータ変換補正処理を省略する場合について説明する。図12は、xRGBデータ70Cの画素行76の一例の説明図であり、図13は、別の印刷データ生成処理ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図14は、別のデータ変換補正処理の一例を示す説明図である。ここでは、図12上段に示すように、画像生成フラグ設定処理ルーチンのステップS120で、画素ライン76に含まれる最前の有色画素と最後尾の有色画素との間においても、有色画素と白色画素との境の画素をフラグ付き画素77に設定したxRGBデータ70Cを生成するものとした。また、最後尾の有色画素の次の白色画素をフラグ付き画素77に設定して、フラグ付き画素77を2連続とすることで、最後尾であると判定可能となるようにした。なお、上述した構成と同様の構成については同じ図番号を付してその説明を省略する。
【0051】
次に、xRGBデータ70Cから、プリンター20の印刷処理に用いる印刷データを生成する処理について説明する。上述したように、xRGBデータ70Cを生成すると、画像処理部60が、図13に示す印刷データ生成処理ルーチンを実行する。この印刷データ生成処理において、上述した内容と同様の処理については同じステップ番号を付し、その説明を省略する。図13に示す印刷データ生成処理が実行されると、上述したステップS310の処理を実行し、最後尾のNullフラグが対応付けられているか否かを、2連続のフラグ付き画素77を取得したか否かに基づいて判定する(ステップS350)。取得した画素に最後尾Nullフラグが対応付けられていないときには、上述したステップS320,S330の処理を実行し、フラグ付き画素77を取得するまで、ライン取得ユニット61が画素値の出力を省略することにより、データ変換補正処理を省略する。一方、ステップS320でライン取得ユニット61がフラグ付き画素77を取得すると、ステップS340で、Null処理を実行し、ステップS400で、取得した画素にデータ変換補正処理を実行する。なお、ステップS340では、先頭画素がフラグ付き画素77であるときは、Null処理を省略するものとした。
【0052】
次に、ステップS280でラインエンドであるか否かを判定し、ラインエンドでないときには、ステップS200で画素値を取得し、ステップS210で画素に通常のNullフラグが対応付けられているか否かを判定し、画素にNullフラグが対応付けられていないときには、ステップS400以降の処理を実行する。即ち、最前の有色画素と最後尾の有色画素との間であって、連続する白色画素ではないものと見なし、取得した画素に対してデータ変換補正処理を実行するのである。一方、ステップS210でNullフラグが対応付けられているときには、このフラグ付き画素77に対して、ステップS400のデータ変換補正処理を実行し、ステップS310以降の処理を実行する。即ち、次のフラグ付き画素77を取得するまで、ステップS310で画素値を取得し、ステップS350で最後尾Nullフラグの有無を判定し、最後尾Nullフラグが対応付けられていないときには、ステップS330でライン取得ユニット61が画素値の読み捨てと読捨数をカウントするのである。一方、ステップS320で、再度、フラグ付き画素77を取得すると、ステップS340でNull処理を実行し、取得した画素に対してデータ変換補正処理を再開するのである。
【0053】
そして、ステップS350で、取得した画素に最後尾Nullフラグが対応付けられているときには、ステップS300でラインエンドまでNull処理を実行し、ステップS290で次の画素ラインがあるか否かを判定する。次の画素ラインがあるときには、ステップS310以降の処理を実行する一方、次の画素ラインがないときには、そのままこのルーチンを終了する。このように、有色画素を含む画素ラインにおいて、最前の有色画素の前の白色画素に対しデータ変換補正処理を省略し、最後尾の有色画素のあとの白色画素に対しデータ変換補正処理を省略し、更に、最前の有色画素と最後尾の有色画素との間の白色画素に対してもデータ変換補正処理を省略するのである(図12下段参照)。
【0054】
ここで、第3実施形態の印刷データ生成処理ルーチンの内容を具体例を用いて説明する。ここでは、図14の1段目に示すように、画素ラインに含まれる画素が50pixであり、11〜21pix及び31〜40pixが有色画素であり、11pix、20pix、31pix及び40pixがフラグ付き画素77であり、連続する41pixが白色画素且つフラグ付き画素77(最後尾Nullフラグ画素)である場合について説明する。まず、ライン取得ユニット61は、フラグ付き画素77を取得するまで、xRGBデータ70の1pixから順に読み捨てると共に、読捨数をカウントし、後段の色空間変換ユニット63への画素値の出力を停止する(図14の2段目)。このとき、各ユニットは、それぞれデータ待ち状態とする。次に、ライン取得ユニット61がフラグ付き画素77(11pix)を取得すると、画素値を読捨数と共に出力し、記憶処理ユニット67がフラグ付き画素77を受けると、処理位置を読捨数に基づいて再設定し、Null処理を実行し読捨数の空白画素(Nullデータ)をRAM54へ記憶させる(図14の3段目)。ライン取得ユニット61が次のフラグ付き画素77を取得すると、最後尾の有色画素でない場合は、更に次のフラグ付き画素77を取得するまで、取得順に画素値を読み捨てると共に、読捨数をカウントし、後段の色空間変換ユニット63への画素値の出力を停止する(図14の4段目)。ライン取得ユニット61が、更に次のフラグ付き画素77を取得すると、最後尾の有色画素でない場合は、更に次のフラグ付き画素77を取得するまで、データ変換補正処理を実行するのである(図14の5段目)。このように、フラグ付き画素77を取得するたびに、ライン取得ユニット61は取得した画素値の出力を切り替え、データ変換補正処理の実行及び省略を切り替えるのである。更に、2連続のフラグ付き画素77(41pix)をライン取得ユニット61が取得すると、この画素の出力を停止し、Null処理を実行し、この画素ラインの処理を終了する。そして、最後尾の有色画素以降の変換処理や最前の白色画素の変換処理の省略については、上述した第1及び第2実施形態と同様の処理を繰り返し、実行するのである。このように、有色画素を含む画素ラインについても白色画素が続く領域に対して、データ変換補正処理を省略するのである。
【0055】
以上詳述した第3実施形態のプリンター20によれば、画像変換部56が、入力データ80に含まれる画素ラインの最前の有色画素と最後尾の有色画素との間に存在する、有色画素と白色画素との境の画素及び白色画素と有色画素との境の画素にNullフラグを対応付けたxRGBデータ70Cを生成し、画像処理部60が、最前の有色画素と最後尾の有色画素との間に存在する、Nullフラグが対応付けられた画素を取得したあとは、次のNullフラグが対応付けられた画素を取得するまで画素ラインの画素値の出力を省略する。このため、最前の有色画素と最後尾の有色画素との間の白色画素に対してデータ変換補正処理を省略し、データ変換補正処理の高速化を更に図ることができる。また、画素ラインの、最前の有色画素より前、及び最後尾の有色画素よりあとの白色画素に対してデータ変換補正処理を省略し、データ変換補正処理の高速化をより図ることができる。更に、ライン取得ユニット61が出力を省略した画素の数をカウントし、記憶処理ユニット67がこの読捨数を取得し、この読捨数の空白画素を画素ラインの画素としてRAM54へ記憶させるため、出力を省略した白色画素を比較的容易に印刷データ74へ加えることができ、データ変換補正処理の高速化をより図りやすい。また、画像変換部56が、入力データ80のxRGBデータ70への形式変換に伴いNullフラグを画素に対応付け可能であるため、比較的容易に画素にNullフラグを対応付けることができる。特に、xRGBデータ70への変換処理では、各画素が有色画素であるか白色画素であるかを把握しながら行うことから、Nullフラグをより効率よく設定することができる。更に、Null−end信号の受信までライン取得ユニット61が待機するため、画素値の取得とデータ変換補正処理後の画素値の出力との同期を容易にとることができ、データ変換補正処理の高速化をより図りやすい。更にまた、プリンター20で入力データ80からxRGBデータ70への変換やxRGBデータ70から印刷データ74への変換を行う際には、有色画素と白色画素との区別をつけずにデータ変換補正処理を行うことが通常であるが、ここでは、より確実に白色画素のデータ変換補正処理を省略して高速化を図ることができる。そして、画素ラインに含まれる白色画素のほぼすべてのデータ変換補正処理を確実に省略可能であり、容易な処理により、データ変換補正処理の高速化をより図ることができる。
【0056】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0057】
例えば、上述した実施形態では、第1〜第3実施形態において白色画素のデータ変換補正処理を省略するプリンター20を説明したが、画素ラインに含まれる、最前の有色画素よりも前の白色画素、最後尾の有色画素よりもあとの白色画素、画素ラインの最前の有色画素と最後尾の有色画素との間に存在する白色画素について、いずれか1以上の白色画素に対してデータ変換補正処理を省略するものとすれば、特に組み合わせは限定されない。例えば、すべて白色の画素ラインに加え、最前の有色画素よりも前の白色画素に対してデータ変換補正処理を省略してもよいし、画素ラインの最前の有色画素と最後尾の有色画素との間に存在する白色画素に対してデータ変換補正処理を省略してもよい。あるいは、すべて白色の画素ラインに加え、最前の有色画素よりも前の白色画素と、最前の有色画素と最後尾の有色画素との間に存在する白色画素と、についてデータ変換補正処理を省略してもよい。こうしても、データ変換補正処理の高速化をより図ることができる。
【0058】
上述した実施形態において、ライン取得ユニット61がフラグ付き画素77を判定し、画素値の出力を停止することによって、色空間変換ユニット63、濃度補正ユニット64及びハーフトーンユニット66などによるデータ変換補正処理を省略するものとしたが、特にこれに限定されず、例えば、画像処理部60のいずれかのユニットでフラグ付き画素77を判定し、画像処理部60でのデータ変換補正処理を省略するものとしてもよい。こうしても、データ変換補正処理の高速化をより図ることができる。
【0059】
上述した実施形態では、記憶処理ユニット67が空白画素を記憶させるものとしたが、印刷データ74に白色画素に対応する画素値が加わるものとすれば、特にこれに限定されない。
【0060】
上述した実施形態では、ライン取得ユニット61が画素値を読み捨てる際に、カウントするものとし、このカウントした読捨数を記憶処理ユニット67が取得してNull処理を行うものとしたが、特にこれに限定されない。また、ライン取得ユニット61がNull−end信号を待って次の画素ラインの画素の取得を再開するものとしたが、画像処理部60での入力と出力との同期をとるものとすれば、特にこれに限定されず、連続的に画素の取得を行ってもよい。
【0061】
上述した実施形態では、入力データ80から、xRGBデータ70を生成する際にNullフラグを設定するものとしたが、Nullフラグを設定するものとすれば、特にこれに限定されない。また、入力データ80は、スキャンデータ(YUVデータ)、メモリーカードMCからのJPEGデータ、PC11からのRGBデータなどとしたが、このうち1以上を省略してもよいし、これ以外の画像データを追加してもよい。また、変換処理ユニット57で第1形式の画像データと第2形式の画像データとを変換するとした際に、第1形式の画像データはスキャンデータやJPEGデータとし、第2形式の画像データはRGB画像データやPDF画像データなど表示画像データとしてもよい。更に、xRGBデータから印刷データを生成するものとしたが、特にこれに限定されない。
【0062】
上述した実施形態では、エッジ検出ユニット62、色空間変換ユニット63、濃度補正ユニット64、平均化ユニット65及びハーフトーンユニット66によりデータ変換補正処理を実行するものとしたが、特にこれに限定されず、これらのうちいずれか1以上を省略してもよいし、これら以外の1以上の処理を追加してもよい。こうしても、データ変換補正処理の高速化をより図ることができる。なお、データ変換補正処理としたが、データ変換処理としてもよい。
【0063】
上述した実施形態では、NullフラグをxRGBデータ70のインテントデータ領域に格納するものとしたが、特にこれに限定されず、Nullフラグを画像データと別に保存してもよい。また、上述した実施形態では、画素ラインにおいて、最前の有色画素、最後尾の有色画素にNullフラグを対応付けるものとしたが、最前の有色画素の前の白色画素や最後尾の有色画素の次の白色画素にNullフラグを対応付けてもよい。また、上述した実施形態では、Nullフラグとしたが、有色画素と白色画素との境が認識可能な情報であれば特にフラグに限定されない。また、Nullフラグは値「0」から値「1」へ切り替わると画像処理部60での画像処理の実行と省略との切替を行うよう設定されているものとしたが、特にこれに限定されず、例えば、画素値を出力するのがフラグ値「0」とし、画素値の出力を省略するのがフラグ値「1」としてもよい。
【0064】
上述した第3実施形態において、最後尾の有色画素については、フラグ付き画素77を2連続とすることで判定可能としたが、特にこれに限定されず、新たなフラグ、例えば、最後尾有色画素フラグなどを設定してもよい。また、画素ラインにおいて最前の有色画素に対応付けるフラグや、画素ラインにおいて最後尾の有色画素に対応付けるフラグ、最前の有色画素と最後尾の有色画素との間の画素に対応付けるフラグなどを、それぞれ別のフラグとしてもよい。
【0065】
上述した実施形態では、画像処理部60は、回路により構成されているものとして説明したが、上述した処理を実現可能なものとすれば、特にこれに限定されず、ソフトウエアにより実現してもよいし、画像処理方法としてもよいし、プログラムとしてもよい。
【0066】
上述した実施形態では、スキャナー部33やメモリーカードコントローラー36を備えたプリンター20として説明したが、特に限定されず、スキャナー部33やメモリーカードコントローラー36を省略してもよいし、FAX装置としてもよい。また、プリンター部30は、インクジェット方式に限定されず、例えば、電子写真方式、熱転写方式、ドットインパクト方式などとしてもよい。
【0067】
上述した実施形態では、流体が着色剤(インク)であるものとしたが、媒体S上に画像を形成する際に利用可能なものであれば特にこれに限定されない。媒体に形成可能な機能性材料、例えば、ジェルのような流状体、トナーなどの粉体などとしてもよい。また、インクとしては、溶媒に溶解したものであってもよいし、機能材料の粒子が分散されている液状体(分散液)であってもよい。また、インクは、溶媒や分散媒以外の液体を含有してもよい。なお、インクには、透明インクも含まれる。
【符号の説明】
【0068】
10 プリンターシステム、11 パソコン(PC)、12 CPU、13 フラッシュROM、14 RAM、15 HDD、17 入力装置、18 ディスプレイ、20 プリンター、30 プリンター部、31 プリンターASIC、32 印刷機構、33 スキャナー部、34 スキャナーASIC、35 読取機構、36 メモリーカードコントローラー、37 ベルト、38 駆動モーター、39 紙送りローラー、41 キャリッジ、42 ノズル、44 印刷ヘッド、45 カートリッジ、48 キャリッジ軸、50 メインコントローラー、52 CPU、53 フラッシュROM、54 RAM、55 ネットワークインターフェイス(I/F)、56 画像変換部、57 変換処理ユニット、58 フラグ付加ユニット、60 画像処理部、61 ライン取得ユニット、62 エッジ検出ユニット、63 色空間変換ユニット、64 濃度補正ユニット、65 平均化ユニット、66 ハーフトーンユニット、67 記憶処理ユニット、68 印刷データ出力ユニット、70,70B,70C xRGBデータ、71 ルックアップテーブル(LUT)、72 吐出量閾値テーブル、73 ハーフトーンテーブル、74 印刷データ、76 画素ライン、77 フラグ付き画素、80 入力データ、83〜86 パスユニット、MC メモリーカード、S 記録紙。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、流体吐出装置、画像処理方法及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像処理装置としては、白ラインデータを記録部へ転送するときに、すべての連続する白ラインの伸長処理が終了した時点で転送する第1の転送処理と、すべての連続する白ラインの伸長処理を待たずに複数ラインごとに記録部へ順次転送する第2の転送処理とを画像の圧縮方式の違いのよって切替制御することにより、見かけ上の印字処理を高速化するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−16440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この特許文献1の装置では、白ラインが連続するときはラインスキップを1ラインごと、記録部に転送せず、有効画素が含まれるラインが見つかるか、画像の終端を見つけるまで伸長処理を続行し、連続する白ライン数が確定したら一括して白ライン数を指定してラインスキップを転送することにより、見かけ上の印字処理を高速化するものであるが、まだ十分でなく、さらなる処理高速化を図ることが求められていた。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、データ変換処理の高速化をより図ることができる画像処理装置、流体吐出装置、画像処理方法及びそのプログラムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の画像処理装置は、
データを記憶する記憶手段と、
画像データに含まれる画素行の連続する有色画素と連続する白色画素との境の画素及びすべて白色画素である画素行の最前の画素に所定の無効情報を対応付けた無効情報設定済画像データを生成するデータ生成手段と、
前記無効情報設定済画像データから前記画素行ごとに前記画素を取得し、該取得した画素値を流体を媒体上へ吐出する流体吐出装置が利用する流体吐出データの画素値へ変換する一方、前記取得した画素に前記無効情報が対応付けられているときには該無効情報が対応付けられている画素に隣接した連続する白色画素の画素値の前記変換を省略するデータ取得変換手段と、
前記変換後の流体吐出データの画素値を前記記憶手段へ記憶させる記憶処理手段と、
を備えたものである。
【0008】
この画像処理装置では、画像データに含まれる画素行の連続する有色画素と連続する白色画素との境の画素及びすべて白色画素である画素行の最前の画素に所定の無効情報を対応付けた無効情報設定済画像データを生成する。次に、無効情報設定済画像データから画素行ごとに画素を取得し、この取得した画素値を流体吐出データの画素値へ変換する一方、取得した画素に無効情報が対応付けられているときには、この無効情報が対応付けられている画素に隣接した連続する白色画素の画素値の変換を省略する。そして、変換後の流体吐出データの画素値を記憶手段へ記憶させる。このように、白色の画素行に加えて有色画素を含む画素行についてもデータ変換処理を省略するのである。したがって、データ変換処理の高速化をより図ることができる。ここで、「所定の無効情報」は、例えば所定のフラグ値としてもよい。また、「有色画素」とは、有彩色の画素としてもよいし、無彩色の画素としてもよいし、白色や無色、透明色を除く画素としてもよい。「白色画素」とは、白色画素のほか、無色の画素、透明色の画素を含むものとしてもよい。また、「有色画素と白色画素との境の画素」は、有色画素と白色画素との切り替わり位置を判定可能であれば特に限定されず、例えば、白色画素に隣接する有色画素としてもよいし、有色画素に隣接する白色画素としてもよい。即ち、「有色画素と白色画素との境の画素」は、該境に位置する有色画素及び該境に位置する白色画素のうち少なくとも一方としてもよい。
【0009】
本発明の画像処理装置において、前記データ取得変換手段は、前記無効情報設定済画像データから前記画素行ごとに前記画素を取得する画素値取得手段と、前記画素値取得手段から出力された前記画素値を前記流体吐出データの画素値へ変換する変換手段と、を備えており、前記データ取得変換手段は、前記取得した画素値を前記変換手段へ前記画素値取得手段が出力する一方、前記取得した画素に前記無効情報が対応付けられているときには該無効情報が対応付けられている画素に隣接した連続する白色画素の画素値の前記変換手段への出力を前記画素値取得手段が省略することによって、前記白色画素の画素値の前記変換を省略するものとしてもよい。こうすれば、画素値の出力を省略することにより変換処理を省略することができるため、より一層処理の簡素化を図りつつ、データ変換処理の高速化を図ることができる。
【0010】
本発明の画像処理装置において、前記データ生成手段は、前記画像データに含まれる画素行の最後尾の有色画素と白色画素との境の画素に所定の無効情報を対応付けた無効情報設定済画像データを生成し、前記データ取得変換手段は、前記取得した画素に前記無効情報が対応付けられているときには該無効情報が対応付けられている画素よりあとの前記画素行の画素値の変換を省略するものとしてもよい。こうすれば、画素行の最後尾の有色画素よりあとの白色画素に対してデータ変換処理を省略し、データ変換処理の高速化をより図ることができる。
【0011】
本発明の画像処理装置において、前記記憶処理手段は、前記データ取得変換手段が変換を省略した画素の数を取得し、該取得した画素数の空白画素を前記画素行の画素として前記記憶手段へ記憶させるものとしてもよい。こうすれば、変換を省略した白色画素を比較的容易に流体吐出データへ加えることができ、データ変換処理の高速化をより図りやすい。ここで、「空白画素」には、無色の画素のほか、透明色の画素、白色の画素を含むものとしてもよい。
【0012】
本発明の画像処理装置において、前記データ生成手段は、前記画像データに含まれる画素行の白色画素と最前の有色画素との境の画素に前記無効情報を対応付けた無効情報設定済画像データを生成し、前記データ取得変換手段は、前記無効情報設定済画像データの前記画素行の先頭画素から前記無効情報が対応付けられた画素を取得するまでは前記画素行の画素値の変換を省略するものとしてもよい。こうすれば、先頭画素から無効情報が対応付けられた画素までの白色画素に対してデータ変換処理を省略し、データ変換処理の高速化をより図ることができる。
【0013】
本発明の画像処理装置において、前記データ生成手段は、前記画像データに含まれる画素行の最前の有色画素と最後尾の有色画素との間に存在する、有色画素と白色画素との境の画素及び白色画素と有色画素との境の画素に前記無効情報を対応付けた無効情報設定済画像データを生成し、前記データ取得変換手段は、前記最前の有色画素と前記最後尾の有色画素との間に存在する、前記無効情報が対応付けられた画素を取得したあとは、次の前記無効情報が対応付けられた画素を取得するまで前記画素行の画素値の変換を省略するものとしてもよい。こうすれば、画素行の最前の有色画素と最後尾の有色画素との間に存在する白色画素に対してデータ変換処理を省略し、データ変換処理の高速化をより図ることができる。
【0014】
最前の有色画素又は、最前の有色画素と最後尾の有色画素との間に存在する画素に無効情報を対応付ける態様の本発明の画像処理装置において、前記データ取得変換手段は、前記画素行の画素値の変換を省略した画素の数をカウントし、前記記憶処理手段は、前記カウントした画素数を取得し、前記カウントした画素数の空白画素を前記画素行の画素として前記記憶手段へ記憶させるものとしてもよい。こうすれば、変換を省略した白色画素を比較的容易に流体吐出データへ加えることができ、データ変換処理の高速化をより図りやすい。
【0015】
本発明の画像処理装置において、前記データ生成手段は、第1形式の画像データから第2形式の画像データへ変換すると共に、前記境の画素に前記無効情報を対応付けて前記無効情報設定済画像データを生成するものとしてもよい。こうすれば、画像データの形式変換に伴い無効情報を画素に対応付け可能であるため、比較的容易に画素に無効情報を対応付けることができる。ここで、「第1形式の画像データ」は、例えば画像読取装置で読み取られた読取画像データや、JPEG画像データなど圧縮画像データとしてもよい。また、第2形式の画像データは、例えばRGB画像データやPDF画像データなど表示画像データとしてもよい。また、「無効情報設定済画像データ」は、例えばxRGB画像データとしてもよい。
【0016】
本発明の画像処理装置において、前記記憶処理手段は、前記画素行の最後尾の画素値を前記記憶手段へ記憶させると共に、前記データ取得変換手段へ所定の無効終了情報を出力し、前記データ取得変換手段は、前記記憶処理手段から前記無効終了情報を取得したあと前記無効情報設定済画像データから次の前記画素行の画素を取得するものとしてもよい。こうすれば、画素値の取得と変換処理後の画素値の出力との同期を容易にとることができ、データ変換処理の高速化をより図りやすい。
【0017】
本発明の流体吐出装置は、上述したいずれか1つに記載の画像処理装置と、前記画像処理装置からの前記流体吐出データに基づいて流体を媒体上へ吐出する吐出部と、を備えたものである。流体吐出装置で画像データの変換や流体吐出データへの変換を行う際には、有色画素と白色画素との区別をつけずにデータ変換処理を行うことがあり、このデータ変換の高速化を図ることができる。
【0018】
本発明の画像処理方法は、
データを記憶する記憶手段、を備えた画像処理装置が実行する画像処理方法であって、
(a)画像データに含まれる画素行の連続する有色画素と連続する白色画素との境の画素及びすべて白色画素である画素行の最前の画素に所定の無効情報を対応付けた無効情報設定済画像データを生成するステップと、
(b)前記無効情報設定済画像データから前記画素行ごとに前記画素を取得し、該取得した画素値を流体を媒体上へ吐出する流体吐出装置が利用する流体吐出データの画素値へ変換する一方、前記取得した画素に前記無効情報が対応付けられているときには該無効情報が対応付けられている画素に隣接した連続する白色画素の画素値の前記変換を省略するステップと、
(c)前記変換後の流体吐出データの画素値を前記記憶手段へ記憶させるステップと、
を含むものである。
【0019】
この画像処理方法では、上述した画像処理装置と同様に、白色の画素行に加えて有色画素を含む画素行についてもデータ変換処理を省略するため、データ変換処理の高速化をより図ることができる。なお、この画像処理方法において、上述した画像処理装置の種々の態様を採用してもよいし、また、上述した画像処理装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
【0020】
本発明のプログラムは、上述した画像処理方法の各ステップを1以上のコンピューターに実現させるためのものである。このプログラムは、コンピューターが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピューターから別のコンピューターへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムを一つのコンピューターに実行させるか又は複数のコンピューターに各ステップを分担して実行させれば、上述した画像処理方法の各ステップが実行されるため、該制御方法と同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】プリンターシステム10の構成の概略の一例を示す構成図。
【図2】画像変換部56の構成の概略の一例を示す構成図。
【図3】画像処理部60の構成の概略の一例を示す構成図。
【図4】画像生成フラグ設定処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図5】xRGBデータ70の一例を示す説明図。
【図6】xRGBデータ70の画素行76の一例の説明図。
【図7】印刷データ生成処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図8】データ変換処理の一例を示す説明図。
【図9】xRGBデータ70Bの画素行76の一例の説明図。
【図10】別の印刷データ生成処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図11】別のデータ変換処理の一例を示す説明図。
【図12】xRGBデータ70Cの画素行76の一例の説明図。
【図13】別の印刷データ生成処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図14】別のデータ変換処理の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、本実施形態であるプリンターシステム10の構成の概略の一例を示す構成図である。図2は、画像変換部56の構成の概略の一例を示す構成図である。図3は、画像処理部60の構成の概略の一例を示す構成図である。本実施形態のプリンターシステム10は、図1に示すように、プリンター20へデータ通信可能に接続され画像データを出力するパソコン(PC)11と、媒体としての記録紙Sに流体としてのインクを吐出して印刷対象である画像データの印刷処理を行うプリンター20と、を備えている。
【0023】
PC11は、ユーザーが使用する情報処理装置として構成されたパソコンである。このPC11は、装置全体の制御を司るコントローラーと、各種アプリケーションプログラムや各種データファイルを記憶する大容量メモリであるHDD15と、プリンター20などの外部機器とのデータの入出力を行う図示しないネットワークインターフェイス(I/F)とを備えている。コントローラーは、各種制御を実行するCPU12や各種制御プログラムを記憶するフラッシュROM13、データを一時記憶するRAM14などを備えている。また、PC11は、ユーザーが各種指令を入力するキーボード及びマウス等の入力装置17や、各種情報を表示するディスプレイ18などを備えている。このPC11は、ディスプレイ18に表示されたカーソル等をユーザーが入力装置17を介して入力操作するとその入力操作に応じた動作を実行する機能を有している。
【0024】
プリンター20は、印刷処理を実行するプリンター部30と、原稿の読み取り処理を実行するスキャナー部33と、メモリーカードMCとのデータのやりとりを行うメモリーカードコントローラー36と、装置全体をコントロールするメインコントローラー50と、を備えている。プリンター部30は、プリンターASIC31と印刷機構32とを備えている。プリンターASIC31は、印刷機構32を駆動制御する機能を備えたICチップである。印刷機構32は、ベルト37によりキャリッジ軸48に沿って左右(主走査方向)に往復動するキャリッジ41と、インクに圧力をかけノズル42からインク滴を吐出する印刷ヘッド44と、各色のインクを収容しこの収容したインクを印刷ヘッド44へ供給するカートリッジ45と、駆動モーター38により駆動され記録紙Sを搬送する紙送りローラー39とを備えている。印刷ヘッド44は、キャリッジ41の下部に設けられており、圧電素子に電圧をかけることによりこの圧電素子を変形させてインクを加圧する方式により、印刷ヘッド44の下面に設けられたノズル42から各色のインクを吐出するものである。なお、インクへ圧力をかける機構は、ヒーターの熱による気泡の発生によるものとしてもよい。カートリッジ45は、本体側に装着され、シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(K)などの各色のインクを個別に収容しており、図示しないチューブを介して印刷ヘッド44へインクを供給する。
【0025】
スキャナー部33は、スキャナーASIC34と読取機構35とを備えている。スキャナーASIC34は、読取機構35を駆動制御する機能を備えたICチップである。読取機構35は、図示しないが、いわゆるフラットベッド型であり、画像を読み取る原稿載せるガラス面と、このガラス面を介して原稿を光学的に読み取るラインイメージセンサと、ラインイメージセンサを走査させる移動部とを備えている。このラインイメージセンサは、原稿に向かって発光した後の反射光をレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の各色に分解してスキャンデータとする周知のカラーイメージセンサである。
【0026】
メインコントローラー50は、CPU52を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、各種処理プログラムを記憶しデータを書き換え可能なフラッシュROM53と、一時的にデータを記憶したりデータを保存したりするメインメモリとしてのRAM54と、PC11などの外部機器とのデータの入出力を行うI/F55と、JPEGデータやスキャンデータ、RGBデータなどの入力データから付記情報を含むxRGBデータへの変換を実行する画像変換部56と、画像データを印刷データへ変換する機能を有する画像処理部60と、を備えている。このメインコントローラー50は、PC11や、メモリーカードコントローラー36を介してメモリーカードMCなどから画像データを受信すると共に、印刷処理を実行するようプリンターASIC31へ指令を送信する。
【0027】
画像変換部56は、図1,2に示すように、入力された画像データの変換処理を実行する変換処理ユニット57や、RGBデータの画素に付記情報としてのフラグを対応付けるフラグ付加ユニット58などを備えた回路として構成されている。変換処理ユニット57は、図2に示すように、JPEGデータなどの圧縮画像データを展開し、インテントデータ領域を有する表示可能なxRGBデータ70に変換したり、YUVデータなどのスキャンデータをxRGBデータ70に変換する機能を有する回路として構成されている。フラグ付加ユニット58は、詳しくは後述するが、xRGBデータ70に設けられた各画素のインテントデータ領域へ処理省略に関するNullフラグを対応付ける機能を有している。
【0028】
画像処理部60は、図1,3に示すように、ライン取得ユニット61や、エッジ検出ユニット62、色空間変換ユニット63、濃度補正ユニット64、平均化ユニット65、ハーフトーンユニット66、記憶処理ユニット67、印刷データ出力ユニット68などを備えた回路として構成されている。ライン取得ユニット61は、例えば、RAM54に記憶されているxRGBデータ70(画像データ)の画素ラインに含まれる画素の画素値を取得し、後段のエッジ検出ユニット62へ出力する機能を有する回路により構成されている。また、ライン取得ユニット61は、画素に対応付けられているNullフラグに基づいて、エッジ検出ユニット62への画素値の出力を省略したり、出力を省略した画素の数(画素数)をカウントする機能を有している。エッジ検出ユニット62は、取得した画素ラインの画素値を用い、エッジ領域を検出する機能を有する回路により構成されている。色空間変換ユニット63は、図3に示すように、ルックアップテーブル(LUT)71を用い、RGB色空間の画像データをCMYK色空間の印刷データへ変換する機能を有する回路により構成されている。LUT71は、RGBの画素値とCMYKの画素値とを経験的に対応付けた対応関係情報として構成されている。濃度補正ユニット64は、図示しないテーブルを用い、印刷出力先の各ライン(ノズル列)ごとに最適な画素値となるよう画素値の補正を実行する機能を有している。
【0029】
平均化ユニット65は、複数の画素値を平均化する機能を有する回路として構成されている。ハーフトーンユニット66は、カラーデータ(C,M,Y)の画素値にハーフトーン処理を施したり、黒データ(K)の画素値にハーフトーン処理を施したりする機能を有している。このハーフトーンユニット66は、ハーフトーン処理としてディザ処理を実行するよう構成されている。ディザ処理では、予め設定されたディザマトリックス(ハーフトーンテーブル)によって与えられる閾値と各画素の階調値との大小比較によって、ドットのオン/オフに2値化する処理を実行する。ここでは、ドット形成なし、小ドット形成、中ドット形成、大ドット形成の4種類のドット形成に関する閾値が吐出量閾値テーブル72として定められている。このハーフトーン処理により、ドットなし、小ドット、中ドット及び大ドットを形成するという、ドットの有無を表す印刷データへ画像データから画質をより高めつつ変換することができる。なお、ハーフトーン処理の具体的な内容については、特開2007−82090号公報や特開2007−76306号公報などに詳しく記載されているから、ここでの詳細な説明は省略する。また、ハーフトーン処理としてディザ処理を実行するものとしたが、特にこれに限定されず、例えば、誤差拡散法やその他のハーフトーン処理を実行するものとしてもよい。
【0030】
記憶処理ユニット67は、ハーフトーン処理され2値化されたデータ(印刷データ74)を、各々の色種別(C,M,Y,K)に応じてRAM54に設けられたバッファ領域に記憶させる機能を有している。この記憶処理ユニット67は、ライン取得ユニット61で出力が省略された画素の数を取得し、取得した画素の数の空白画素をRAM54へ記憶させて印刷データ74とする機能を有している。ここで、「空白画素」は、無色の画素とするが、白色の画素、透明の画素などとしても構わない。印刷データ出力ユニット68は、RAM54にバッファされた印刷データ74のうち、印刷ヘッド44で印刷処理する1パス分のデータを回転処理や間引き処理などを行いつつ取り出し、プリンター部30のプリンターASIC31へ出力する機能を有している。
【0031】
また、図3に示すように、色空間変換ユニット63や、濃度補正ユニット64、平均化ユニット65、ハーフトーンユニット66は、それぞれパスユニット83〜86を備えている。このパスユニットは、パスユニットが接続されているメインユニットにデータが伝達するのと同期して、データが順次伝達する構成となっている。このパスユニット83〜86では、ライン取得ユニット61で取得された画素値(図3の実線矢印参照)やNullフラグの値(図3の点線矢印参照)を伝達する機能を有する。こうすれば、パスユニットを転送されている種々のデータを、対応するメインユニットに容易に取り込み可能であり、またメインユニットでの処理を省略可能であり、回路の拡張性をより高めることができる。また、取り扱うデータの容量が増加し、メインユニット間のバス幅が不足した場合にも、パスユニットを利用することでより多くのデータを扱うことが可能になる。
【0032】
次に、こうして構成された本実施形態のプリンター20の動作、特に、PC11やメモリーカードMCから入力された画像データ(JPEGデータ)や、スキャナー部33からのスキャンデータ(YUVデータ)を、プリンター20が直接印刷する処理について説明する。このプリンター20では、PC11にインストールされた印刷ドライバーで印刷データを生成し、この印刷データをPC11から受信して印刷処理を実行するドライバー印刷モードのほか、JPEGデータなどの画像データを直接プリンター20で印刷処理する直接印刷モードを備えている。まず、画像変換部56でのxRGBデータ70の生成処理について説明する。図4は、プリンター20のCPU52が実行する、画像生成フラグ設定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、図示しない画像選択画面で、印刷用の画像データを選択したあと、CPU52により画像変換部56を利用して実行される。
【0033】
このルーチンを開始すると、CPU52は、入力データ80をRAM54に記憶させる(ステップS100)。CPU52は、印刷用の画像データがユーザーによって選択されたのち、図2に示すように、スキャナー部33、メモリーカードコントローラー36及びI/F55を介して得られた画像データを入力データ80としてRAM54のバッファ領域に記憶する。次に、CPU52は、変換処理ユニット57により入力データ80を変換し、xRGBデータ70を生成する処理を実行する(ステップS110)。ここでは、入力データ80がJPEGデータであるときには、変換処理ユニット57のCODECによりこのJPEGデータからxRGBデータへの変換を実行し、入力データ80がスキャンデータ(YUVデータ)であるときには、このYUVデータからxRGBデータへの変換を実行する(図2参照)。また、入力データ80がRGBデータであるときには、RGBデータからxRGBデータへの変換を実行する。図5は、画像データとしてのxRGBデータ70の一例を示す説明図である。図5に示すように、xRGBデータ70は、RGB色空間の1画素であるR,G,Bの3バイトのデータの他に1バイトのインテントデータ領域が設けられており、このインテントデータ領域に、様々な情報、例えば、この画像データに関する情報や、処理省略に関するNullフラグなどを格納している。
【0034】
続いて、CPU52は、RGBデータに対して、画像の回転や2アップ配置などのレイアウト処理を実行すると共に、画素ライン(画素行)ごとにNullフラグのフラグ値を設定し(ステップS120)、このルーチンを終了する。Nullフラグは、後述する画像処理部60でのデータ変換補正処理の省略に関する情報であり、値「0」から値「1」へ切り替わると、画像処理部60での画像処理の実行と省略との切り替えを行うよう設定されている。この省略される画像処理部60のデータ変換補正処理には、例えば、エッジ検出ユニット62によるエッジ領域の検出処理、色空間変換ユニット63による色空間変換処理、濃度補正ユニット64による画素値の補正処理、平均化ユニット65による平均化処理、ハーフトーンユニット66によるハーフトーン処理などが含まれている。フラグ付加ユニット58は、xRGBデータ70に含まれる画素ラインの連続する有色画素と連続する白色画素との境の画素、及びすべて白色画素である画素ラインの最前の画素にNullフラグ値「1」を対応付けるものとした。ここで、「有色画素」には、有彩色の画素のほか、白色及び透明色以外の無彩色の画素をも含むものとする。また、「白色画素」には、白色画素のほか、無色の画素、透明色の画素をも含むものとする。このxRGBデータの生成処理時や、レイアウト処理時には、画像データに含まれるすべての画素値を把握することから、各画素に対してNullフラグのフラグ値を設定しやすい。なお、説明の便宜により、Nullフラグが値「1」に対応付けられた画素を「フラグ付き画素」や、「Nullフラグが対応付けられている画素」などと称して以下説明する。このNullフラグの設定方法や印刷データの生成について、場合分けして説明する。
【0035】
[第1実施形態]
ここでは、xRGBデータ70に含まれる画素ラインの最後尾の有色画素と白色画素との境の有色画素にNullフラグ「1」を対応付けたフラグ付き画素を設定し、このフラグ付き画素よりあとの画素値に対する画像処理部60でのデータ変換補正処理を省略する場合について説明する。図6は、xRGBデータ70の画素行76の一例の説明図であり、図7は、印刷データ生成処理ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図8は、データ変換処理の一例を示す説明図である。ここでは、図6上段に示すように、画像生成フラグ設定処理ルーチンのステップS120で、画素ライン76の有色画素の最後尾の画素、及び白色画素ラインの先頭画素をフラグ付き画素77に設定したxRGBデータ70を生成するものとした。なお、印刷データにおいては、xRGBデータ70での白色画素は、無色画素となることから、ここでは、白色画素データをNullデータとも称するものとする。
【0036】
次に、xRGBデータ70から、プリンター20の印刷処理に用いる印刷データを生成する処理について説明する。上述したように、xRGBデータ70を生成すると、画像処理部60が、図7に示す印刷データ生成処理ルーチンを実行する。この印刷データ生成処理は、ライン取得ユニット61、エッジ検出ユニット62、色空間変換ユニット63、濃度補正ユニット64、平均化ユニット65、ハーフトーンユニット66、記憶処理ユニット67及び印刷データ出力ユニット68によって実行される。図6に示す印刷データ生成処理が実行されると、ライン取得ユニット61がxRGBデータ70から画素値を画素ラインごとに順次取得し(ステップS200)、取得した画素にNullフラグが対応付けられているか否かを判定する(ステップS210)。ライン取得ユニット61は、xRGBデータ70から画素値を取得すると共に、この画素に対応付けられたNullフラグ値も取得する。画素値の取得は、例えばxRGBデータ70の左端の画素から順に右端の画素に向かって行うものとした。また、Nullフラグが対応付けられているか否かの判定は、Nullフラグが値「1」か否かにより行うものとした。Nullフラグが対応付けられていないときには、ライン取得ユニット61は、取得した画素値を後段のエッジ検出ユニット62へ出力する(図3参照)。
【0037】
続いて、ステップS220〜S270のデータ変換補正処理を実行する(ステップS400)。このデータ変換補正処理では、まず、エッジ検出ユニット62がxRGBデータ70に含まれるエッジを検出する処理などを実行する(ステップS220)。次に、色空間変換ユニット63が、LUT71を用い、この画素値をRGB色空間からCMYK色空間へ変換する(ステップS230)。次に、変換した画素値に対して濃度補正ユニット64がインク量補正を行う(ステップS240)。ノズル列は製造誤差に起因してその内径や圧電素子の変形度が異なることがあることから、この誤差を補正する補正テーブルを予め記憶しておき、濃度補正ユニット64は、この補正テーブルを用いてインクの吐出量を補正する処理を行う。ここでは、濃度補正ユニット64では、CMYK色空間の画素値としてCMYK色空間のインク吐出量を用いて補正処理するものとした。次に、平均化ユニット65が濃度補正した画素値の平均化を実行し(ステップS250)、続いて、ハーフトーンユニット66が、ハーフトーン処理を各画素に対して行う(ステップS260)。ハーフトーンユニット66は、吐出量閾値テーブル72を用いてインク吐出量の設定を行うと共に、ハーフトーンテーブル73を用いてディザ処理を実行する。そして、記憶処理ユニット67が、ハーフトーン処理を行った2値化データを印刷データ74としてRAM54へ記憶させる(ステップS270)。
【0038】
次に、画素ラインの最後尾の画素に至ったか、即ちラインエンドであるか否かを判定し(ステップS280)、ラインエンドでないときには、ステップS200以降の処理を実行する。即ち、ステップS210でNullフラグありの判定になるまで、画素ラインの画素を取得し、ステップS400のデータ変換補正処理を繰り返し実行する。
【0039】
一方、ステップS210で、取得した画素にNullフラグが対応付けられているときには、Nullフラグが対応付けられている画素に対してステップS400のデータ変換補正処理を実行し、ラインエンドまでデータ変換補正処理を省略するNull処理を実行する(ステップS300)。このNull処理は、ライン取得ユニット61が画素値の取得及び出力を中断すると共に、記憶処理ユニット67が空白画素をRAM54へ記憶させる処理を行う。なお、記憶処理ユニット67は、ラインエンドまでの画素の数の空白画素をRAM54へ記憶させると、Null−end信号(無効終了情報)をライン取得ユニット61へ出力する。これを受けたライン取得ユニット61は、xRGBデータ70の次の画素ラインの画素値の取得を実行する。
【0040】
ステップS300のあと、又はステップS280でラインエンドであったときには、ライン取得ユニット61がxRGBデータ70に次の画素ラインがあるか否かを判定し(ステップS290)、次のラインがあるときには、ステップS200以降の処理を実行する。一方、次の画素ラインがないときには、そのままこのルーチンを終了する。その後、印刷データ出力ユニット68により、印刷データ74が印刷ヘッド44側に出力され、印刷機構32で記録紙Sへインクが吐出される印刷処理が実行される。このように、Nullフラグが対応付けられている画素よりあとの白色画素については、データ変換補正処理を省略するよう切り替えるのである。
【0041】
ここで、印刷データ生成処理ルーチンの内容を具体例を用いて説明する。ここでは、図8の1段目に示すように、画素ラインに含まれる画素が50pixであり、11〜21pix及び31〜40pixが有色画素であり、40pixがフラグ付き画素77である場合について説明する。なお、図8には、画像処理部60のうち、ライン取得ユニット61、色空間変換ユニット63、ハーフトーンユニット66及び記憶処理ユニット67のみ示した。まず、ライン取得ユニット61は、フラグ付き画素77を取得するまで、画素の色にかかわらず、xRGBデータ70の1pixから順に取得し、後段の色空間変換ユニット63へ出力する(図8の2段目)。このとき、各ユニットは各々の画像処理を取得した画素値に対し実行し、記憶処理ユニット67は、RAM54へ印刷データ74の一部としてこの画素値を記憶させる。続いて、ライン取得ユニット61がフラグ付き画素77を取得するとラインエンド処理を実行すると共に、画素の取得及び出力を停止し、Null−end信号待ちとする(図8の3段目)。フラグ付き画素77を受けた各ユニットも、ラインエンド処理を行うと共にデータ待ち状態とする(図8の4段目)。記憶処理ユニット67がフラグ付き画素77を取得すると、Null処理を実行し(図8の5段目)、残りの画素の数の空白画素(Nullデータ)をRAM54へ記憶させる(図8の6段目)。そして、Null処理が終了すると、記憶処理ユニット67は、ライン取得ユニット61へNull−end信号を出力し、これを受けたライン取得ユニット61は次の画素ラインがあるときには、次の先頭の画素を取得する。なお、すべてが白色画素である画素ラインについては、画素ラインの先頭からNull処理を実行し、データ変換補正処理を省略するのである。このように、有色画素を含む画素ラインについてもデータ変換補正処理を省略するのである。図6の下段に示すように、フラグ付き画素77よりあとの白色画素のデータ変換補正処理を省略することができる。
【0042】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のRAM54が本発明の記憶手段に相当し、画像変換部56がデータ生成手段に相当し、画像処理部60のうち、ライン取得ユニット61,エッジ検出ユニット62,色空間変換ユニット63,濃度補正ユニット64,平均化ユニット65,ハーフトーンユニット66がデータ取得変換手段に相当し、記憶処理ユニット67が記憶処理手段に相当する。また、ライン取得ユニット61が画素値取得手段に相当し、エッジ検出ユニット62、色空間変換ユニット63、濃度補正ユニット64、平均化ユニット65及びハーフトーンユニット66が変換手段に相当する。また、入力データ80が画像データ及び第1形式の画像データに相当し、xRGBデータ70が無効情報設定済画像データ及び第2形式の画像データに相当し、印刷データ74が流体吐出データに相当し、Nullフラグが無効情報に相当し、Null−end信号が無効終了情報に相当する。また、インクが流体に相当し、記録紙Sが媒体に相当し、プリンター20が流体吐出装置に相当し、プリンター部30が吐出部に相当する。なお、本実施形態では、プリンター20の動作を説明することにより本発明の画像処理方法の一例も明らかにしている。
【0043】
以上詳述した第1実施形態のプリンター20によれば、画像変換部56が、画像データに含まれる画素ラインの最後尾の有色画素にNullフラグを対応付けたxRGBデータ70を生成する。次に、ライン取得ユニット61が、xRGBデータ70から画素ラインごとに画素を取得し、この取得した画素値をエッジ検出ユニット62へ出力する一方、取得した画素にNullフラグが対応付けられているときには、このフラグ付き画素77よりあとの白色画素の出力を停止する。そして、出力されたxRGBデータ70に含まれる画素値を、印刷データ74の画素値へ変換し、変換後の画素値をRAM54へ記憶させる。このように、すべて白色の画素ラインに加えて有色画素を含む画素ラインについてもデータ変換補正処理を省略するのである。したがって、画素ラインの最後尾の有色画素よりあとの白色画素に対してデータ変換補正処理を省略し、データ変換補正処理の高速化をより図ることができる。また、ライン取得ユニット61が出力を省略した画素の数を記憶処理ユニット67が取得し、この画素数の空白画素を画素ラインの画素としてRAM54へ記憶させるため、出力を省略した白色画素を比較的容易に印刷データ74へ加えることができ、データ変換補正処理の高速化をより図りやすい。
【0044】
また、第1実施形態のプリンター20によれば、画像変換部56が、入力データ80のxRGBデータ70への形式変換に伴いNullフラグを画素に対応付け可能であるため、比較的容易に画素にNullフラグを対応付けることができる。特に、xRGBデータ70への変換処理では、各画素が有色画素であるか白色画素であるかを把握しながら行うことから、Nullフラグをより効率よく設定することができる。更に、Null−end信号の受信までライン取得ユニット61が待機するため、画素値の取得とデータ変換補正処理後の画素値の出力との同期を容易にとることができ、データ変換補正処理の高速化をより図りやすい。更にまた、プリンター20で入力データ80からxRGBデータ70への変換やxRGBデータ70から印刷データ74への変換を行う際には、有色画素と白色画素との区別をつけずにデータ変換補正処理を行うことが通常であるが、ここでは、できるだけ白色画素のデータ変換補正処理を省略して高速化を図ることができる。そして、画素ラインの最後尾の有色画素にのみNullフラグを対応付けることから、より一層容易な処理により、データ変換補正処理の高速化をより図ることができる。
【0045】
[第2実施形態]
ここでは、第1実施形態に加え、xRGBデータ70に含まれる画素ラインの白色画素と最前の有色画素との境の画素にNullフラグ「1」を対応付けたフラグ付き画素を設定し、このフラグ付き画素より前の画素値に対する画像処理部60でのデータ変換補正処理をも省略する場合について説明する。図9は、xRGBデータ70Bの画素行76の一例の説明図であり、図10は、別の印刷データ生成処理ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図11は、別のデータ変換補正処理の一例を示す説明図である。ここでは、図9上段に示すように、画像生成フラグ設定処理ルーチンのステップS120で、画素ライン76の最前の有色画素、最後尾の有色画素、及び白色画素ラインの先頭画素をフラグ付き画素77に設定したxRGBデータ70Bを生成するものとした。なお、上述した構成と同様の構成については同じ図番号を付してその説明を省略する。
【0046】
次に、xRGBデータ70Bから、プリンター20の印刷処理に用いる印刷データを生成する処理について説明する。上述したように、xRGBデータ70Bを生成すると、画像処理部60が、図10に示す印刷データ生成処理ルーチンを実行する。この印刷データ生成処理において、上述した内容と同様の処理については同じステップ番号を付し、その説明を省略する。図10に示す印刷データ生成処理が実行されると、上述したステップS200,S210と同様に、ライン取得ユニット61がxRGBデータ70Bから画素値を画素ラインごとに順次取得し(ステップS310)、取得した画素にNullフラグが対応付けられているか否かを判定する(ステップS320)。Nullフラグが対応付けられていないときには、ライン取得ユニット61は、取得した画素が白色画素であると見なし、画素値の出力を省略すると共に、省略した画素の数(読捨数)のカウントを行い(ステップS330)、ステップS310以降の処理を繰り返し実行する。一方、ステップS320で、取得した画素にNullフラグが対応付けられているときには、現在の処理位置をカウントした読捨数に基づいて更新すると共に、Null処理を実行し(ステップS340)、ステップS400でデータ変換補正処理を実行する。即ち、フラグ付き画素77を取得するまで、画素ラインの先頭からNull処理を実行してデータ変換補正処理を省略すると共に、フラグ付き画素77を取得するとデータ変換補正処理を開始するのである。
【0047】
ステップS400でデータ変換補正処理を実行すると、ステップS280でラインエンドであるか否かを判定し、ラインエンドでないときには、ステップS200で画素値を取得し、ステップS210で、取得した画素にNullフラグが対応付けられているか否かを判定する。取得した画素にNullフラグが対応付けられていないときには、最後尾の有色画素ではないものと見なし、ステップS400以降の処理を繰り返し実行する。即ち、取得した画素に対して、データ変換補正処理を実行する。一方、ステップS210で取得した画素にNullフラグが対応付けられているときには、最後尾の有色画素であるものと見なし、ステップS300でラインエンドまでデータ変換補正処理を省略するNull処理を実行する。ステップS300のあと、又は、ステップS280でラインエンドであったときには、ステップS290でライン取得ユニット61がxRGBデータ70に次の画素ラインがあるか否かを判定し、次のラインがあるときには、ステップS310以降の処理を実行する。一方、次の画素ラインがないときには、そのままこのルーチンを終了する。このように、有色画素を含む画素ラインにおいて、最前の有色画素の前の白色画素に対し、データ変換補正処理を省略すると共に、最後尾の有色画素のあとの白色画素に対し、データ変換補正処理を省略するのである(図9下段参照)。
【0048】
ここで、第2実施形態の印刷データ生成処理ルーチンの内容を具体例を用いて説明する。ここでは、図11の1段目に示すように、画素ラインに含まれる画素が50pixであり、11〜21pix及び31〜40pixが有色画素であり、11pix及び40pixがフラグ付き画素77である場合について説明する。まず、ライン取得ユニット61は、フラグ付き画素77を取得するまで、xRGBデータ70の1pixから順に読み捨てると共に、読捨数をカウントし、後段の色空間変換ユニット63への画素値の出力を停止する(図11の2段目)。このとき、各ユニットは、それぞれデータ待ち状態とする。次に、ライン取得ユニット61がフラグ付き画素77(11pix)を取得すると、画素値を読捨数と共に出力する(図11の3段目)。これを受けた各ユニットは、処理位置(pix)を読捨数に基づいて再設定し、取得した画素値に対し各々の画像処理を実行する(図11の4段目)。次に、フラグ付き画素77を受けると、記憶処理ユニット67は、処理位置を読捨数に基づいて再設定し、Null処理を実行し読捨数の空白画素(Nullデータ)をRAM54へ記憶させる(図11の5段目)。続いて、ライン取得ユニット61は、次のフラグ付き画素77を取得するまでxRGBデータ70Bから画素値を取得し、取得した画素値を後段のユニットに出力する。これを受けた各ユニットは、取得した画素値に対し各々の画像処理を実行する(図11の6段目)。そして、ライン取得ユニット61が再度、フラグ付き画素77を取得すると、ラインエンド処理を実行すると共に、画素の取得及び出力を停止し、Null−end信号待ちとする(図11の7段目)。以降は、上述した第1実施形態と同様の処理を実行する。このように、有色画素を含む画素ラインについてもデータ変換補正処理を省略するのである。
【0049】
以上詳述した第2実施形態のプリンター20によれば、画像変換部56が、画像データに含まれる画素ラインの最前の有色画素にNullフラグを対応付けたxRGBデータ70Bを生成し、画像処理部60が、xRGBデータ70Bの画素ラインの先頭画素からフラグ付き画素77を取得するまでは画素ラインの画素値の出力を省略する。このため、先頭画素からフラグ付き画素77までの白色画素に対してデータ変換補正処理を省略し、データ変換補正処理の高速化を更に図ることができる。また、画素ラインの最後尾の有色画素よりあとの白色画素に対してデータ変換補正処理を省略し、データ変換補正処理の高速化をより図ることができる。更に、ライン取得ユニット61が出力を省略した画素の数をカウントし、記憶処理ユニット67がこの読捨数を取得し、この読捨数の空白画素を画素ラインの画素としてRAM54へ記憶させるため、出力を省略した白色画素を比較的容易に印刷データ74へ加えることができ、データ変換補正処理の高速化をより図りやすい。また、画像変換部56が、入力データ80のxRGBデータ70への形式変換に伴いNullフラグを画素に対応付け可能であるため、比較的容易に画素にNullフラグを対応付けることができる。特に、xRGBデータ70への変換処理では、各画素が有色画素であるか白色画素であるかを把握しながら行うことから、Nullフラグをより効率よく設定することができる。更に、Null−end信号の受信までライン取得ユニット61が待機するため、画素値の取得とデータ変換補正処理後の画素値の出力との同期を容易にとることができ、データ変換補正処理の高速化をより図りやすい。更にまた、プリンター20で入力データ80からxRGBデータ70への変換やxRGBデータ70から印刷データ74への変換を行う際には、有色画素と白色画素との区別をつけずにデータ変換補正処理を行うことが通常であるが、ここでは、できるだけ白色画素のデータ変換補正処理を省略して高速化を図ることができる。そして、画素ラインの最前の有色画素及び最後尾の有色画素にNullフラグを対応付けることから、比較的容易な処理により、データ変換補正処理の高速化をより図ることができる。
【0050】
[第3実施形態]
ここでは、第1,第2実施形態に加え、画素ラインに含まれる最前の有色画素と最後尾の有色画素との間に存在する連続した白色画素に対してもデータ変換補正処理を省略する場合について説明する。図12は、xRGBデータ70Cの画素行76の一例の説明図であり、図13は、別の印刷データ生成処理ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図14は、別のデータ変換補正処理の一例を示す説明図である。ここでは、図12上段に示すように、画像生成フラグ設定処理ルーチンのステップS120で、画素ライン76に含まれる最前の有色画素と最後尾の有色画素との間においても、有色画素と白色画素との境の画素をフラグ付き画素77に設定したxRGBデータ70Cを生成するものとした。また、最後尾の有色画素の次の白色画素をフラグ付き画素77に設定して、フラグ付き画素77を2連続とすることで、最後尾であると判定可能となるようにした。なお、上述した構成と同様の構成については同じ図番号を付してその説明を省略する。
【0051】
次に、xRGBデータ70Cから、プリンター20の印刷処理に用いる印刷データを生成する処理について説明する。上述したように、xRGBデータ70Cを生成すると、画像処理部60が、図13に示す印刷データ生成処理ルーチンを実行する。この印刷データ生成処理において、上述した内容と同様の処理については同じステップ番号を付し、その説明を省略する。図13に示す印刷データ生成処理が実行されると、上述したステップS310の処理を実行し、最後尾のNullフラグが対応付けられているか否かを、2連続のフラグ付き画素77を取得したか否かに基づいて判定する(ステップS350)。取得した画素に最後尾Nullフラグが対応付けられていないときには、上述したステップS320,S330の処理を実行し、フラグ付き画素77を取得するまで、ライン取得ユニット61が画素値の出力を省略することにより、データ変換補正処理を省略する。一方、ステップS320でライン取得ユニット61がフラグ付き画素77を取得すると、ステップS340で、Null処理を実行し、ステップS400で、取得した画素にデータ変換補正処理を実行する。なお、ステップS340では、先頭画素がフラグ付き画素77であるときは、Null処理を省略するものとした。
【0052】
次に、ステップS280でラインエンドであるか否かを判定し、ラインエンドでないときには、ステップS200で画素値を取得し、ステップS210で画素に通常のNullフラグが対応付けられているか否かを判定し、画素にNullフラグが対応付けられていないときには、ステップS400以降の処理を実行する。即ち、最前の有色画素と最後尾の有色画素との間であって、連続する白色画素ではないものと見なし、取得した画素に対してデータ変換補正処理を実行するのである。一方、ステップS210でNullフラグが対応付けられているときには、このフラグ付き画素77に対して、ステップS400のデータ変換補正処理を実行し、ステップS310以降の処理を実行する。即ち、次のフラグ付き画素77を取得するまで、ステップS310で画素値を取得し、ステップS350で最後尾Nullフラグの有無を判定し、最後尾Nullフラグが対応付けられていないときには、ステップS330でライン取得ユニット61が画素値の読み捨てと読捨数をカウントするのである。一方、ステップS320で、再度、フラグ付き画素77を取得すると、ステップS340でNull処理を実行し、取得した画素に対してデータ変換補正処理を再開するのである。
【0053】
そして、ステップS350で、取得した画素に最後尾Nullフラグが対応付けられているときには、ステップS300でラインエンドまでNull処理を実行し、ステップS290で次の画素ラインがあるか否かを判定する。次の画素ラインがあるときには、ステップS310以降の処理を実行する一方、次の画素ラインがないときには、そのままこのルーチンを終了する。このように、有色画素を含む画素ラインにおいて、最前の有色画素の前の白色画素に対しデータ変換補正処理を省略し、最後尾の有色画素のあとの白色画素に対しデータ変換補正処理を省略し、更に、最前の有色画素と最後尾の有色画素との間の白色画素に対してもデータ変換補正処理を省略するのである(図12下段参照)。
【0054】
ここで、第3実施形態の印刷データ生成処理ルーチンの内容を具体例を用いて説明する。ここでは、図14の1段目に示すように、画素ラインに含まれる画素が50pixであり、11〜21pix及び31〜40pixが有色画素であり、11pix、20pix、31pix及び40pixがフラグ付き画素77であり、連続する41pixが白色画素且つフラグ付き画素77(最後尾Nullフラグ画素)である場合について説明する。まず、ライン取得ユニット61は、フラグ付き画素77を取得するまで、xRGBデータ70の1pixから順に読み捨てると共に、読捨数をカウントし、後段の色空間変換ユニット63への画素値の出力を停止する(図14の2段目)。このとき、各ユニットは、それぞれデータ待ち状態とする。次に、ライン取得ユニット61がフラグ付き画素77(11pix)を取得すると、画素値を読捨数と共に出力し、記憶処理ユニット67がフラグ付き画素77を受けると、処理位置を読捨数に基づいて再設定し、Null処理を実行し読捨数の空白画素(Nullデータ)をRAM54へ記憶させる(図14の3段目)。ライン取得ユニット61が次のフラグ付き画素77を取得すると、最後尾の有色画素でない場合は、更に次のフラグ付き画素77を取得するまで、取得順に画素値を読み捨てると共に、読捨数をカウントし、後段の色空間変換ユニット63への画素値の出力を停止する(図14の4段目)。ライン取得ユニット61が、更に次のフラグ付き画素77を取得すると、最後尾の有色画素でない場合は、更に次のフラグ付き画素77を取得するまで、データ変換補正処理を実行するのである(図14の5段目)。このように、フラグ付き画素77を取得するたびに、ライン取得ユニット61は取得した画素値の出力を切り替え、データ変換補正処理の実行及び省略を切り替えるのである。更に、2連続のフラグ付き画素77(41pix)をライン取得ユニット61が取得すると、この画素の出力を停止し、Null処理を実行し、この画素ラインの処理を終了する。そして、最後尾の有色画素以降の変換処理や最前の白色画素の変換処理の省略については、上述した第1及び第2実施形態と同様の処理を繰り返し、実行するのである。このように、有色画素を含む画素ラインについても白色画素が続く領域に対して、データ変換補正処理を省略するのである。
【0055】
以上詳述した第3実施形態のプリンター20によれば、画像変換部56が、入力データ80に含まれる画素ラインの最前の有色画素と最後尾の有色画素との間に存在する、有色画素と白色画素との境の画素及び白色画素と有色画素との境の画素にNullフラグを対応付けたxRGBデータ70Cを生成し、画像処理部60が、最前の有色画素と最後尾の有色画素との間に存在する、Nullフラグが対応付けられた画素を取得したあとは、次のNullフラグが対応付けられた画素を取得するまで画素ラインの画素値の出力を省略する。このため、最前の有色画素と最後尾の有色画素との間の白色画素に対してデータ変換補正処理を省略し、データ変換補正処理の高速化を更に図ることができる。また、画素ラインの、最前の有色画素より前、及び最後尾の有色画素よりあとの白色画素に対してデータ変換補正処理を省略し、データ変換補正処理の高速化をより図ることができる。更に、ライン取得ユニット61が出力を省略した画素の数をカウントし、記憶処理ユニット67がこの読捨数を取得し、この読捨数の空白画素を画素ラインの画素としてRAM54へ記憶させるため、出力を省略した白色画素を比較的容易に印刷データ74へ加えることができ、データ変換補正処理の高速化をより図りやすい。また、画像変換部56が、入力データ80のxRGBデータ70への形式変換に伴いNullフラグを画素に対応付け可能であるため、比較的容易に画素にNullフラグを対応付けることができる。特に、xRGBデータ70への変換処理では、各画素が有色画素であるか白色画素であるかを把握しながら行うことから、Nullフラグをより効率よく設定することができる。更に、Null−end信号の受信までライン取得ユニット61が待機するため、画素値の取得とデータ変換補正処理後の画素値の出力との同期を容易にとることができ、データ変換補正処理の高速化をより図りやすい。更にまた、プリンター20で入力データ80からxRGBデータ70への変換やxRGBデータ70から印刷データ74への変換を行う際には、有色画素と白色画素との区別をつけずにデータ変換補正処理を行うことが通常であるが、ここでは、より確実に白色画素のデータ変換補正処理を省略して高速化を図ることができる。そして、画素ラインに含まれる白色画素のほぼすべてのデータ変換補正処理を確実に省略可能であり、容易な処理により、データ変換補正処理の高速化をより図ることができる。
【0056】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0057】
例えば、上述した実施形態では、第1〜第3実施形態において白色画素のデータ変換補正処理を省略するプリンター20を説明したが、画素ラインに含まれる、最前の有色画素よりも前の白色画素、最後尾の有色画素よりもあとの白色画素、画素ラインの最前の有色画素と最後尾の有色画素との間に存在する白色画素について、いずれか1以上の白色画素に対してデータ変換補正処理を省略するものとすれば、特に組み合わせは限定されない。例えば、すべて白色の画素ラインに加え、最前の有色画素よりも前の白色画素に対してデータ変換補正処理を省略してもよいし、画素ラインの最前の有色画素と最後尾の有色画素との間に存在する白色画素に対してデータ変換補正処理を省略してもよい。あるいは、すべて白色の画素ラインに加え、最前の有色画素よりも前の白色画素と、最前の有色画素と最後尾の有色画素との間に存在する白色画素と、についてデータ変換補正処理を省略してもよい。こうしても、データ変換補正処理の高速化をより図ることができる。
【0058】
上述した実施形態において、ライン取得ユニット61がフラグ付き画素77を判定し、画素値の出力を停止することによって、色空間変換ユニット63、濃度補正ユニット64及びハーフトーンユニット66などによるデータ変換補正処理を省略するものとしたが、特にこれに限定されず、例えば、画像処理部60のいずれかのユニットでフラグ付き画素77を判定し、画像処理部60でのデータ変換補正処理を省略するものとしてもよい。こうしても、データ変換補正処理の高速化をより図ることができる。
【0059】
上述した実施形態では、記憶処理ユニット67が空白画素を記憶させるものとしたが、印刷データ74に白色画素に対応する画素値が加わるものとすれば、特にこれに限定されない。
【0060】
上述した実施形態では、ライン取得ユニット61が画素値を読み捨てる際に、カウントするものとし、このカウントした読捨数を記憶処理ユニット67が取得してNull処理を行うものとしたが、特にこれに限定されない。また、ライン取得ユニット61がNull−end信号を待って次の画素ラインの画素の取得を再開するものとしたが、画像処理部60での入力と出力との同期をとるものとすれば、特にこれに限定されず、連続的に画素の取得を行ってもよい。
【0061】
上述した実施形態では、入力データ80から、xRGBデータ70を生成する際にNullフラグを設定するものとしたが、Nullフラグを設定するものとすれば、特にこれに限定されない。また、入力データ80は、スキャンデータ(YUVデータ)、メモリーカードMCからのJPEGデータ、PC11からのRGBデータなどとしたが、このうち1以上を省略してもよいし、これ以外の画像データを追加してもよい。また、変換処理ユニット57で第1形式の画像データと第2形式の画像データとを変換するとした際に、第1形式の画像データはスキャンデータやJPEGデータとし、第2形式の画像データはRGB画像データやPDF画像データなど表示画像データとしてもよい。更に、xRGBデータから印刷データを生成するものとしたが、特にこれに限定されない。
【0062】
上述した実施形態では、エッジ検出ユニット62、色空間変換ユニット63、濃度補正ユニット64、平均化ユニット65及びハーフトーンユニット66によりデータ変換補正処理を実行するものとしたが、特にこれに限定されず、これらのうちいずれか1以上を省略してもよいし、これら以外の1以上の処理を追加してもよい。こうしても、データ変換補正処理の高速化をより図ることができる。なお、データ変換補正処理としたが、データ変換処理としてもよい。
【0063】
上述した実施形態では、NullフラグをxRGBデータ70のインテントデータ領域に格納するものとしたが、特にこれに限定されず、Nullフラグを画像データと別に保存してもよい。また、上述した実施形態では、画素ラインにおいて、最前の有色画素、最後尾の有色画素にNullフラグを対応付けるものとしたが、最前の有色画素の前の白色画素や最後尾の有色画素の次の白色画素にNullフラグを対応付けてもよい。また、上述した実施形態では、Nullフラグとしたが、有色画素と白色画素との境が認識可能な情報であれば特にフラグに限定されない。また、Nullフラグは値「0」から値「1」へ切り替わると画像処理部60での画像処理の実行と省略との切替を行うよう設定されているものとしたが、特にこれに限定されず、例えば、画素値を出力するのがフラグ値「0」とし、画素値の出力を省略するのがフラグ値「1」としてもよい。
【0064】
上述した第3実施形態において、最後尾の有色画素については、フラグ付き画素77を2連続とすることで判定可能としたが、特にこれに限定されず、新たなフラグ、例えば、最後尾有色画素フラグなどを設定してもよい。また、画素ラインにおいて最前の有色画素に対応付けるフラグや、画素ラインにおいて最後尾の有色画素に対応付けるフラグ、最前の有色画素と最後尾の有色画素との間の画素に対応付けるフラグなどを、それぞれ別のフラグとしてもよい。
【0065】
上述した実施形態では、画像処理部60は、回路により構成されているものとして説明したが、上述した処理を実現可能なものとすれば、特にこれに限定されず、ソフトウエアにより実現してもよいし、画像処理方法としてもよいし、プログラムとしてもよい。
【0066】
上述した実施形態では、スキャナー部33やメモリーカードコントローラー36を備えたプリンター20として説明したが、特に限定されず、スキャナー部33やメモリーカードコントローラー36を省略してもよいし、FAX装置としてもよい。また、プリンター部30は、インクジェット方式に限定されず、例えば、電子写真方式、熱転写方式、ドットインパクト方式などとしてもよい。
【0067】
上述した実施形態では、流体が着色剤(インク)であるものとしたが、媒体S上に画像を形成する際に利用可能なものであれば特にこれに限定されない。媒体に形成可能な機能性材料、例えば、ジェルのような流状体、トナーなどの粉体などとしてもよい。また、インクとしては、溶媒に溶解したものであってもよいし、機能材料の粒子が分散されている液状体(分散液)であってもよい。また、インクは、溶媒や分散媒以外の液体を含有してもよい。なお、インクには、透明インクも含まれる。
【符号の説明】
【0068】
10 プリンターシステム、11 パソコン(PC)、12 CPU、13 フラッシュROM、14 RAM、15 HDD、17 入力装置、18 ディスプレイ、20 プリンター、30 プリンター部、31 プリンターASIC、32 印刷機構、33 スキャナー部、34 スキャナーASIC、35 読取機構、36 メモリーカードコントローラー、37 ベルト、38 駆動モーター、39 紙送りローラー、41 キャリッジ、42 ノズル、44 印刷ヘッド、45 カートリッジ、48 キャリッジ軸、50 メインコントローラー、52 CPU、53 フラッシュROM、54 RAM、55 ネットワークインターフェイス(I/F)、56 画像変換部、57 変換処理ユニット、58 フラグ付加ユニット、60 画像処理部、61 ライン取得ユニット、62 エッジ検出ユニット、63 色空間変換ユニット、64 濃度補正ユニット、65 平均化ユニット、66 ハーフトーンユニット、67 記憶処理ユニット、68 印刷データ出力ユニット、70,70B,70C xRGBデータ、71 ルックアップテーブル(LUT)、72 吐出量閾値テーブル、73 ハーフトーンテーブル、74 印刷データ、76 画素ライン、77 フラグ付き画素、80 入力データ、83〜86 パスユニット、MC メモリーカード、S 記録紙。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを記憶する記憶手段と、
画像データに含まれる画素行の連続する有色画素と連続する白色画素との境の画素及びすべて白色画素である画素行の最前の画素に所定の無効情報を対応付けた無効情報設定済画像データを生成するデータ生成手段と、
前記無効情報設定済画像データから前記画素行ごとに前記画素を取得し、該取得した画素値を流体を媒体上へ吐出する流体吐出装置が利用する流体吐出データの画素値へ変換する一方、前記取得した画素に前記無効情報が対応付けられているときには該無効情報が対応付けられている画素に隣接した連続する白色画素の画素値の前記変換を省略するデータ取得変換手段と、
前記変換後の流体吐出データの画素値を前記記憶手段へ記憶させる記憶処理手段と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記データ取得変換手段は、前記無効情報設定済画像データから前記画素行ごとに前記画素を取得する画素値取得手段と、前記画素値取得手段から出力された前記画素値を前記流体吐出データの画素値へ変換する変換手段と、を備えており、
前記データ取得変換手段は、前記取得した画素値を前記変換手段へ前記画素値取得手段が出力する一方、前記取得した画素に前記無効情報が対応付けられているときには該無効情報が対応付けられている画素に隣接した連続する白色画素の画素値の前記変換手段への出力を前記画素値取得手段が省略することによって、前記白色画素の画素値の前記変換を省略する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記データ生成手段は、前記画像データに含まれる画素行の最後尾の有色画素と白色画素との境の画素に所定の無効情報を対応付けた無効情報設定済画像データを生成し、
前記データ取得変換手段は、前記取得した画素に前記無効情報が対応付けられているときには該無効情報が対応付けられている画素よりあとの前記画素行の画素値の変換を省略する、請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記記憶処理手段は、前記データ取得変換手段が変換を省略した画素の数を取得し、該取得した画素数の空白画素を前記画素行の画素として前記記憶手段へ記憶させる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記データ生成手段は、前記画像データに含まれる画素行の白色画素と最前の有色画素との境の画素に前記無効情報を対応付けた無効情報設定済画像データを生成し、
前記データ取得変換手段は、前記無効情報設定済画像データの前記画素行の先頭画素から前記無効情報が対応付けられた画素を取得するまでは前記画素行の画素値の変換を省略する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記データ生成手段は、前記画像データに含まれる画素行の最前の有色画素と最後尾の有色画素との間に存在する、有色画素と白色画素との境の画素及び白色画素と有色画素との境の画素に前記無効情報を対応付けた無効情報設定済画像データを生成し、
前記データ取得変換手段は、前記最前の有色画素と前記最後尾の有色画素との間に存在する、前記無効情報が対応付けられた画素を取得したあとは、次の前記無効情報が対応付けられた画素を取得するまで前記画素行の画素値の変換を省略する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記データ取得変換手段は、前記画素行の画素値の変換を省略した画素の数をカウントし、
前記記憶処理手段は、前記カウントした画素数を取得し、前記カウントした画素数の空白画素を前記画素行の画素として前記記憶手段へ記憶させる、請求項5又は6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記データ生成手段は、第1形式の画像データから第2形式の画像データへ変換すると共に、前記境の画素に前記無効情報を対応付けて前記無効情報設定済画像データを生成する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記記憶処理手段は、前記画素行の最後尾の画素値を前記記憶手段へ記憶させると共に、前記データ取得変換手段へ所定の無効終了情報を出力し、
前記データ取得変換手段は、前記記憶処理手段から前記無効終了情報を取得したあと前記無効情報設定済画像データから次の前記画素行の画素を取得する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置からの前記流体吐出データに基づいて流体を媒体上へ吐出する吐出部と、を備えた流体吐出装置。
【請求項11】
データを記憶する記憶手段、を備えた画像処理装置が実行する画像処理方法であって、
(a)画像データに含まれる画素行の連続する有色画素と連続する白色画素との境の画素及びすべて白色画素である画素行の最前の画素に所定の無効情報を対応付けた無効情報設定済画像データを生成するステップと、
(b)前記無効情報設定済画像データから前記画素行ごとに前記画素を取得し、該取得した画素値を流体を媒体上へ吐出する流体吐出装置が利用する流体吐出データの画素値へ変換する一方、前記取得した画素に前記無効情報が対応付けられているときには該無効情報が対応付けられている画素に隣接した連続する白色画素の画素値の前記変換を省略するステップと、
(c)前記変換後の流体吐出データの画素値を前記記憶手段へ記憶させるステップと、
を含む画像処理方法。
【請求項12】
請求項11に記載された画像処理方法の各ステップを1以上のコンピューターに実行させるプログラム。
【請求項1】
データを記憶する記憶手段と、
画像データに含まれる画素行の連続する有色画素と連続する白色画素との境の画素及びすべて白色画素である画素行の最前の画素に所定の無効情報を対応付けた無効情報設定済画像データを生成するデータ生成手段と、
前記無効情報設定済画像データから前記画素行ごとに前記画素を取得し、該取得した画素値を流体を媒体上へ吐出する流体吐出装置が利用する流体吐出データの画素値へ変換する一方、前記取得した画素に前記無効情報が対応付けられているときには該無効情報が対応付けられている画素に隣接した連続する白色画素の画素値の前記変換を省略するデータ取得変換手段と、
前記変換後の流体吐出データの画素値を前記記憶手段へ記憶させる記憶処理手段と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記データ取得変換手段は、前記無効情報設定済画像データから前記画素行ごとに前記画素を取得する画素値取得手段と、前記画素値取得手段から出力された前記画素値を前記流体吐出データの画素値へ変換する変換手段と、を備えており、
前記データ取得変換手段は、前記取得した画素値を前記変換手段へ前記画素値取得手段が出力する一方、前記取得した画素に前記無効情報が対応付けられているときには該無効情報が対応付けられている画素に隣接した連続する白色画素の画素値の前記変換手段への出力を前記画素値取得手段が省略することによって、前記白色画素の画素値の前記変換を省略する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記データ生成手段は、前記画像データに含まれる画素行の最後尾の有色画素と白色画素との境の画素に所定の無効情報を対応付けた無効情報設定済画像データを生成し、
前記データ取得変換手段は、前記取得した画素に前記無効情報が対応付けられているときには該無効情報が対応付けられている画素よりあとの前記画素行の画素値の変換を省略する、請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記記憶処理手段は、前記データ取得変換手段が変換を省略した画素の数を取得し、該取得した画素数の空白画素を前記画素行の画素として前記記憶手段へ記憶させる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記データ生成手段は、前記画像データに含まれる画素行の白色画素と最前の有色画素との境の画素に前記無効情報を対応付けた無効情報設定済画像データを生成し、
前記データ取得変換手段は、前記無効情報設定済画像データの前記画素行の先頭画素から前記無効情報が対応付けられた画素を取得するまでは前記画素行の画素値の変換を省略する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記データ生成手段は、前記画像データに含まれる画素行の最前の有色画素と最後尾の有色画素との間に存在する、有色画素と白色画素との境の画素及び白色画素と有色画素との境の画素に前記無効情報を対応付けた無効情報設定済画像データを生成し、
前記データ取得変換手段は、前記最前の有色画素と前記最後尾の有色画素との間に存在する、前記無効情報が対応付けられた画素を取得したあとは、次の前記無効情報が対応付けられた画素を取得するまで前記画素行の画素値の変換を省略する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記データ取得変換手段は、前記画素行の画素値の変換を省略した画素の数をカウントし、
前記記憶処理手段は、前記カウントした画素数を取得し、前記カウントした画素数の空白画素を前記画素行の画素として前記記憶手段へ記憶させる、請求項5又は6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記データ生成手段は、第1形式の画像データから第2形式の画像データへ変換すると共に、前記境の画素に前記無効情報を対応付けて前記無効情報設定済画像データを生成する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記記憶処理手段は、前記画素行の最後尾の画素値を前記記憶手段へ記憶させると共に、前記データ取得変換手段へ所定の無効終了情報を出力し、
前記データ取得変換手段は、前記記憶処理手段から前記無効終了情報を取得したあと前記無効情報設定済画像データから次の前記画素行の画素を取得する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置からの前記流体吐出データに基づいて流体を媒体上へ吐出する吐出部と、を備えた流体吐出装置。
【請求項11】
データを記憶する記憶手段、を備えた画像処理装置が実行する画像処理方法であって、
(a)画像データに含まれる画素行の連続する有色画素と連続する白色画素との境の画素及びすべて白色画素である画素行の最前の画素に所定の無効情報を対応付けた無効情報設定済画像データを生成するステップと、
(b)前記無効情報設定済画像データから前記画素行ごとに前記画素を取得し、該取得した画素値を流体を媒体上へ吐出する流体吐出装置が利用する流体吐出データの画素値へ変換する一方、前記取得した画素に前記無効情報が対応付けられているときには該無効情報が対応付けられている画素に隣接した連続する白色画素の画素値の前記変換を省略するステップと、
(c)前記変換後の流体吐出データの画素値を前記記憶手段へ記憶させるステップと、
を含む画像処理方法。
【請求項12】
請求項11に記載された画像処理方法の各ステップを1以上のコンピューターに実行させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−179858(P2012−179858A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45497(P2011−45497)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]