説明

画像処理装置、画像処理システム及び画像処理プログラム

【課題】情報画像の画素塊の大きさの調整を行うにあたって、評価用の機会を設けなくとも、情報画像の画素塊の大きさを調整するようにした画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置の解析結果受付手段は、情報画像読取手段によって読み取られた情報画像の解析結果を受け付け、傾き受付手段は、情報画像を読み取ったときの傾きを受け付け、日時受付手段は、情報画像を読み取ったときの日時を受け付け、日時抽出手段は、読み取られた情報画像が印刷された日時を抽出し、判断手段は、読取り日時は印刷日時から予め定められた期間内にあるか否かに基づいて、情報画像を構成する画素塊の大きさを調整するか否かを判断し、調整手段は、解析結果又は傾きに基づいて、情報画像を構成する画素塊の大きさを調整し、情報画像生成手段は、調整された画素塊によって構成される情報画像を生成し、出力手段は、情報画像が合成された文書を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理システム及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報画像の出力を制御する技術がある。
これに関連する技術として、例えば、特許文献1には、ユーザ個々の使用条件に合致した適切なバーコードの生成を、短時間且つ最小限のインクや用紙の消耗で実現することができるバーコード生成システムを提供することを課題とし、バーコード用の黒バー及び白バーを、それぞれ複数の異なるドット数の幅で印刷するためのテストチャート画像に基づいて、印刷装置でテストチャートを印刷し、出力されたテストチャートをイメージスキャナで読み取り、情報処理装置は、この読み取られたイメージを解析して、関係テーブルを生成し、さらに、バーコードの種別や細バー幅等の情報に基づき、関係テーブルを参照して、当該バーコードを構成するバー要素の幅の補正値(バーコード補正値)を求めることが開示されている。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、一定の印字品質を実現するとともに、印字条件の調整を容易にすることを課題とし、印字したバーコードシンボルを読み取るセンサと、該センサから出力されるアナログ信号をデジタルデータに変換するA/Dコンバータと、該A/Dコンバータからのバーコードシンボルのデジタルデータを記憶、演算し、エレメントの幅とエレメントの反射率に関する値の算出を行い、前記バーコードシンボルの各エレメントの種類を認識するとともに、各エレメントの幅を算出して印字制御信号を出力するコントローラと、該コントローラから出力される印字制御信号に基づき印字条件を制御する印字装置とから成るバーコード印字装置が開示されている。
【0004】
また、例えば、特許文献3には、必要以上に装置のメインテナンスを行うことなくバーコードの読み取りエラーの発生を防止することを課題とし、バーコードの各バーの太さを基準値に対しドット単位で異ならせた複数の調整用パターンを含むバーコード調整シートを印刷するための印刷データを取込み、印刷を行い、印刷された調整シート上の調整用パターンをスキャナユニットによって読み込み、各パターンにおける各バーの幅寸法を各々演算し、演算した幅寸法が許容範囲内か判断し、各バーの幅寸法が許容範囲内のパターンがあれば、該当するパターンに対し各バーの幅寸法と基準値との差の絶対値の和(誤差の和)を各々演算し、演算した誤差の和が最も小さいパターンを選択し、選択したパターンにおける各バーのドット数をバーコードの指定値として設定することが開示されている。
【0005】
また、例えば、特許文献4には、オリジナルの電子文書の共有化を妨げずに筆記情報を電子文書に関連付けることを課題とし、端末装置、文書サーバ、識別情報サーバからなるシステムであり、端末装置は、電子ペンから得た位置情報に基づいて筆記生成部により筆記情報を生成し、電子ペンから得た識別情報と共に識別情報サーバに送信し、識別情報サーバは、制御部による制御の下、受信した識別情報に対応する電子文書をDB記憶部に基づいて特定し、受信した筆記情報をこの電子文書に対する生成済の複製文書に追加するか、この電子文書に対する新たな複製文書に付加するかを決定し、その旨を文書サーバに指示し、登録部は、この決定に従いDB記憶部を更新し、文書サーバは、識別情報サーバの指示に従い、文書生成部により複製文書を生成し、筆記付加部により複製文書に筆記情報を付加することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−305137号公報
【特許文献2】特開平09−300711号公報
【特許文献3】特開平09−030054号公報
【特許文献4】特開2007−288285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、情報画像の画素塊の大きさの調整を行うにあたって、評価用の機会を設けなくとも、情報画像の画素塊の大きさを調整するようにした画像処理装置、画像処理システム及び画像処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
請求項1の発明は、情報画像読取手段によって読み取られた情報画像の解析結果を受け付ける解析結果受付手段と、前記情報画像読取手段が情報画像を読み取ったときの傾きを受け付ける傾き受付手段と、前記情報画像読取手段が情報画像を読み取ったときの日時を受け付ける日時受付手段と、前記情報画像読取手段によって読み取られた情報画像が印刷された日時を抽出する日時抽出手段と、前記日時受付手段によって受け付けられた日時は前記日時抽出手段によって抽出された日時から予め定められた期間内にあるか否かに基づいて、情報画像を構成する画素塊の大きさを調整するか否かを判断する判断手段と、前記判断手段によって画素塊の大きさを調整すると判断された場合は、前記解析結果受付手段によって受け付けられた解析結果又は前記傾き受付手段によって受け付けられた傾きに基づいて、情報画像を構成する画素塊の大きさを調整する調整手段と、前記調整手段によって調整された画素塊によって構成される情報画像を生成する情報画像生成手段と、前記情報画像生成手段によって生成された情報画像が合成された文書を出力する出力手段を具備することを特徴とする画像処理装置である。
【0009】
請求項2の発明は、前記判断手段は、前記傾き受付手段によって受け付けられた傾きが予め定められた範囲内にあるか否かを判断し、前記判断手段によって傾きが予め定められた範囲内にないと判断された場合は、前記情報画像読取手段の利用者に対して警告を発する警告手段をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
【0010】
請求項3の発明は、前記警告手段は、警告を発するように設定されている場合は、前記情報画像読取手段の利用者に対して警告を発し、前記調整手段は、警告を発しないように設定されている場合は、少なくとも前記解析結果受付手段によって受け付けられた解析結果に基づいて、情報画像を構成する画素塊の大きさを調整することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置である。
【0011】
請求項4の発明は、前記調整手段は、前記日時受付手段によって受け付けられた日時と前記日時抽出手段によって抽出された日時の間の期間の長さに基づいて、情報画像を構成する画素塊の大きさを調整することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理装置である。
【0012】
請求項5の発明は、情報画像を読み取る情報画像読取手段と、前記情報画像読取手段が読み取った情報画像を解析する情報画像解析手段と、前記情報画像読取手段が情報画像を読み取ったときの傾きを検出する傾き検出手段と、前記情報画像読取手段が情報画像を読み取ったときの日時を抽出する日時抽出手段を具備する情報画像読取装置と、請求項1から4のいずれか一項に記載の画像処理装置を有する画像処理システムであって、前記画像処理装置は、前記情報画像読取装置と接続されており、前記画像処理装置の解析結果受付手段は、前記情報画像解析手段による解析結果を受け付け、前記画像処理装置の傾き受付手段は、前記傾き検出手段によって検出された傾きを受け付け、前記画像処理装置の日時受付手段は、前記日時抽出手段によって抽出された日時を受け付けることを特徴とする画像処理システムである。
【0013】
請求項6の発明は、コンピュータを、情報画像読取手段によって読み取られた情報画像の解析結果を受け付ける解析結果受付手段と、前記情報画像読取手段が情報画像を読み取ったときの傾きを受け付ける傾き受付手段と、前記情報画像読取手段が情報画像を読み取ったときの日時を受け付ける日時受付手段と、前記情報画像読取手段によって読み取られた情報画像が印刷された日時を抽出する日時抽出手段と、前記日時受付手段によって受け付けられた日時は前記日時抽出手段によって抽出された日時から予め定められた期間内にあるか否かに基づいて、情報画像を構成する画素塊の大きさを調整するか否かを判断する判断手段と、前記判断手段によって画素塊の大きさを調整すると判断された場合は、前記解析結果受付手段によって受け付けられた解析結果又は前記傾き受付手段によって受け付けられた傾きに基づいて、情報画像を構成する画素塊の大きさを調整する調整手段と、前記調整手段によって調整された画素塊によって構成される情報画像を生成する情報画像生成手段と、前記情報画像生成手段によって生成された情報画像が合成された文書を出力する出力手段として機能させるための画像処理プログラムである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の画像処理装置によれば、情報画像の画素塊の大きさの調整を行うにあたって、評価用の機会を設けなくとも、情報画像の画素塊の大きさを調整することができる。
【0015】
請求項2の画像処理装置によれば、ペンの傾きが予め定められた範囲内にない場合には利用者に対して警告を発することができる。
【0016】
請求項3の画像処理装置によれば、警告を発するか否かの設定によって、警告を発すること、又は画素塊の大きさを調整する場合はペンの傾きに基づいた調整を行うことができる。
【0017】
請求項4の画像処理装置によれば、印刷日時と読取日時の期間の長さに基づいて画素塊の大きさを調整することができる。
【0018】
請求項5の画像処理システムによれば、情報画像の画素塊の大きさの調整を行うにあたって、評価用の機会を設けなくとも、情報画像の画素塊の大きさを調整することができる。
【0019】
請求項6の画像処理プログラムによれば、情報画像の画素塊の大きさの調整を行うにあたって、評価用の機会を設けなくとも、情報画像の画素塊の大きさを調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態(デジタルペン)の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図2】本実施の形態(画像処理装置)の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図3】本実施の形態を実現するためのシステム構成例を示す説明図である。
【図4】情報画像の例を示す説明図である。
【図5】デジタルペンの構造例を示す説明図である。
【図6】本実施の形態(デジタルペン)による処理例を示すフローチャートである。
【図7】本実施の形態(画像処理装置)による処理例を示すフローチャートである。
【図8】本実施の形態(画像処理装置)による処理例を示すフローチャートである。
【図9】印刷日時テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
【図10】画素塊のサイズの調整例を示す説明図である。
【図11】本実施の形態を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づき本発明を実現するにあたっての好適な一実施の形態の例を説明する。
図1は、本実施の形態(デジタルペン)の構成例についての概念的なモジュール構成図を示している。
なお、モジュールとは、一般的に論理的に分離可能なソフトウェア(コンピュータ・プログラム)、ハードウェア等の部品を指す。したがって、本実施の形態におけるモジュールはコンピュータ・プログラムにおけるモジュールのことだけでなく、ハードウェア構成におけるモジュールも指す。それゆえ、本実施の形態は、それらのモジュールとして機能させるためのコンピュータ・プログラム(コンピュータにそれぞれの手順を実行させるためのプログラム、コンピュータをそれぞれの手段として機能させるためのプログラム、コンピュータにそれぞれの機能を実現させるためのプログラム)、システム及び方法の説明をも兼ねている。ただし、説明の都合上、「記憶する」、「記憶させる」、これらと同等の文言を用いるが、これらの文言は、実施の形態がコンピュータ・プログラムの場合は、記憶装置に記憶させる、又は記憶装置に記憶させるように制御するの意である。また、モジュールは機能に一対一に対応していてもよいが、実装においては、1モジュールを1プログラムで構成してもよいし、複数モジュールを1プログラムで構成してもよく、逆に1モジュールを複数プログラムで構成してもよい。また、複数モジュールは1コンピュータによって実行されてもよいし、分散又は並列環境におけるコンピュータによって1モジュールが複数コンピュータで実行されてもよい。なお、1つのモジュールに他のモジュールが含まれていてもよい。また、以下、「接続」とは物理的な接続の他、論理的な接続(データの授受、指示、データ間の参照関係等)の場合にも用いる。「予め定められた」とは、対象としている処理の前に定まっていることをいい、本実施の形態による処理が始まる前はもちろんのこと、本実施の形態による処理が始まった後であっても、対象としている処理の前であれば、そのときの状況・状態に応じて、又はそれまでの状況・状態に応じて定まることの意を含めて用いる。
また、システム又は装置とは、複数のコンピュータ、ハードウェア、装置等がネットワーク(一対一対応の通信接続を含む)等の通信手段で接続されて構成されるほか、1つのコンピュータ、ハードウェア、装置等によって実現される場合も含まれる。「装置」と「システム」とは、互いに同義の用語として用いる。もちろんのことながら、「システム」には、人為的な取り決めである社会的な「仕組み」(社会システム)にすぎないものは含まない。
また、各モジュールによる処理毎に又はモジュール内で複数の処理を行う場合はその処理毎に、対象となる情報を記憶装置から読み込み、その処理を行った後に、処理結果を記憶装置に書き出すものである。したがって、処理前の記憶装置からの読み込み、処理後の記憶装置への書き出しについては、説明を省略する場合がある。なお、ここでの記憶装置としては、ハードディスク、RAM(Random Access Memory)、外部記憶媒体、通信回線を介した記憶装置、CPU(Central Processing Unit)内のレジスタ等を含んでいてもよい。
【0022】
本実施の形態であるデジタルペン100は、情報画像を読み取るものであって、図1の例に示すように、情報画像読取モジュール110、情報画像解析モジュール120、時計モジュール130、読取日時抽出モジュール140、ペン傾き検出モジュール150、出力モジュール160を有している。
【0023】
情報画像とは、機械可読な態様で電子データを表すために体系的に作られた画像コードをいい、具体的な例として、図4の例を用いて説明する。図4は、情報画像の例を示す説明図である。
この例は、米国ゼロックス社のパロアルト研究所で開発された、角度の異なる斜線でデータを表現するグリフコード(例えば、特開平6−103390号公報、特開平6−75795号公報)を情報画像であるコードシンボルとして用いた2次元コードパターン画像である。
【0024】
この例では、単位領域400は8シンボル×8シンボルの正方形領域である。各シンボルの値は、図4(b)、図4(c)に示すように斜線パターンで表現される。この例では、シンボル値0は垂直線に対して反時計回りに45度の角度をなす右下がりの斜線(図4(b)の例のパターン0)で、シンボル値1は垂直線に対して時計回りに45度の角度をなす右上がりの斜線(図4(c)の例のパターン1)で表現される。
【0025】
このうち、位置コード画像402は、単位領域400の左上隅の6シンボル×6シンボルの正方形の画像であり、識別コード画像404は、単位領域400からその6×6シンボルの正方形を引いた残りの逆L字領域の画像となる。
【0026】
また、この例では、単位領域400の外周に沿って縦横の各方向に、同期コード406の列及び行を設けている。この例では、同期コード406は、右上がり(「1」)の斜線シンボルの連続であり、シンボルのサイズと配列ピッチは単位領域400内のシンボルサイズ及びピッチと同じである。同期コード406は、縦及び横に等間隔で設けられ、それら同期コード406で囲まれる正方形領域に各単位領域400が設けられる。同期コード406は、各単位領域400の区切りを示す。すなわち、2次元コードパターン画像を読み取った装置では、右上がりのシンボルが連続している行及び列を検出すると、それら行と列とで形成される格子の網目の内部を単位領域400と認識することができ、その単位領域400の左上隅の6×6のシンボルが位置コード画像402と認識できる。
【0027】
なお、同期コード406は、単位領域400又は位置コード画像402の場所を特定することができるものであれば、図4に例示したようなものでなくてもよい。例えば、単位領域400の四隅に斜線シンボルとは異なる特定形状のシンボルを配置したものを同期コード406としてもよい。図4の例では、同期コード406のためにシンボル1つ分の幅の行及び列を使ったが、同期コード406を構成するマークが十分に小さいものであれば、単位領域400を隙間なく2次元配列し、隣接する単位領域400の余白部分にそのマークを配置するようにしてもよい。
【0028】
図4の例では、1つの位置コード画像402には合計36シンボル、すなわち36ビットのデータが格納されている。36ビットのうち、18ビットをx座標の符号化に、18ビットをy座標の符号化に使用することができる。各18ビットを全て位置の符号化に使用すると、2^18通り(約26万通り)の位置を符号化できる。各斜線パターンが、図4(b)、図4(c)の例に示したように8画素×8画素で構成されている場合、600dpi(ドット・パー・インチ)で印刷すると、600dpiの1ドットの縦横の長さは0.0423mmなので、縦横共に、図4の2次元コード(同期コード406を含む)の縦、横の長さは3mm程度(=1シンボル当たり8画素×9シンボル×0.0423mm)となる。3mm間隔で26万通りの位置を符号化した場合、約786mの長さを符号化できる。読取の精度がよければ18ビット全てを位置の符号化に使用することもできるが、読取エラーが問題となる場合は、誤り検出や誤り訂正のための冗長ビットを含めることが好適である。18ビットに占める冗長ビットの割合を増やすと誤り検出や誤り訂正の能力が増えるが、表現できる位置の範囲が小さくなる。
【0029】
また、図4の例では、識別コード画像404は、2ビット×8ビットの矩形領域及び2ビット×6ビットの矩形領域に配置されており、合計28ビットの識別情報等を格納できる。識別情報等として28ビットを使用した場合は、約2億7千万通り(2^28通り)の識別情報等を表現できるが、28ビットのうちのいくつかのビットを誤り検出や誤り訂正のための冗長ビットとすることで読取エラーに対処できるようにしてもよい。なお、識別情報等として、本実施の形態において印刷媒体(紙文書)を一意に識別する印刷媒体ID(IDentification)、文書ID、ページID等を含めてもよい。1つの用紙の記入欄内に印刷される単位領域400内の識別コード画像404は同じものとなる。もちろん、単位領域400内の位置コード画像402によって表される位置情報は、その用紙内における位置を示す情報であるので、それぞれの単位領域400内の位置コード画像402は異なったものとなる。
【0030】
以上の例では、互いに角度が90度異なる2つの斜線パターンをシンボルとして用いることで1シンボルで1ビットのデータを表現したが、これは一例にすぎない。例えばシンボルに垂直線と水平線のパターンを追加すれば2ビットの情報を1シンボルで表現できる。このように、1シンボルの斜線パターンの角度種類を増やすことで、1シンボルが表現できるビット数を増加することも可能である。また、グリフコード以外の情報画像を用いてもよい。
【0031】
デジタルペン100(スキャナ付きペン、電子ペンとも言われる)は、ペンとしての機能も有し、情報画像が合成された印刷物である文書(紙文書)に書き込みを行い、その際に筆記された位置にある情報画像を読み込むものである。そして、筆跡をストローク情報として抽出し、他の情報処理装置へ送信する。そして、その情報処理装置では、ストローク情報を利用して、元の電子文書に反映する等の処理を行う。なお、ここでストローク情報とは、情報画像付文書に対してデジタルペン100で書き込みを行って得られた座標の系列として表現される情報である。図5の例を用いて説明する。
【0032】
図5は、デジタルペン100の構造例を示す説明図である。デジタルペン100は、芯511、画像読取モジュール512、制御・送信モジュール513を有している。
【0033】
デジタルペン100の利用者の操作に応じて、芯511によって情報画像付文書300上に文字等が筆記される。そして、画像読取モジュール512は、例えば数十〜百数十フレーム毎秒程度の比較的高速な連続撮像を行い、フレーム毎にスキャンしてから読取画像を制御・送信モジュール513へ出力する。制御・送信モジュール513は、画像読取モジュール512が読み取った画像中から同期コード406を検出する。図4の例のようなコードパターン画像の場合、右上がりの斜線パターンが連続して現れる行及び列を同期コード406の行、列として検出する。なお、同期コードとしては図4に例示したもの以外にも従来から提案されている様々なものを用いることができ、その同期コードの種類に応じた従来からある検出方式で検出できる。
【0034】
読取画像から、位置コード画像402と識別コード画像404とが抽出される。制御・送信モジュール513は、それら位置コード画像402と識別コード画像404に対してコード認識処理を施すことで、位置情報と識別情報等を再生する。ここで行われるコード認識処理は、大略的にいえば、情報画像の生成処理の逆の処理である。識別コード画像404を代表として説明すると、制御・送信モジュール513は、まず識別コード画像404から各斜線シンボルを認識することで、各シンボルの値を求め、各シンボルの値を識別コード画像404中での各シンボルの配列位置に合わせて配列した識別コード行列を求める。そして、この識別コード行列に対し、直列的(シリアル)な識別コードを求め、この識別コードに対し、符号化方式に対応した復号処理を施すことで、識別情報を復号する。位置コード画像402についても、同等の処理により、位置情報を復号できる。1フレーム毎に前述の抽出及び認識の処理を行い、位置情報及び識別情報等を求める。
【0035】
このようにして各フレームの読取画像から求められた位置情報及び識別情報は、これら情報を利用する情報処理装置に提供され、利用される。例えば、情報画像が印刷された用紙に対し、操作者がデジタルペン100で書き込んだ筆記跡を電子情報として取り込む情報処理装置の場合、識別情報からその用紙を特定してその用紙の原文書を取得し、連続して読み取られる各フレームから取得した位置情報から操作者の筆記の軌跡を求め、その軌跡を示す画像を原文書に重畳して記録するなどの処理を行う。
【0036】
また、デジタルペン100は、図5に例示するような角度で情報画像付文書300を読み取った場合は、情報画像を精度よく解析し得るが、利用者によるデジタルペン100の持ち方等によって、図5に例示するようにA方向、B方向に傾きが発生することがある。A方向、B方向に傾ける角度が大きくなると、情報画像を構成している画素塊(ドット)のサイズが、情報画像から情報を抽出するのに影響を及ぼすこととなる。例えば、A方向に傾けると光量不足の画像になる。この場合、画素塊が小さいと、画素塊としての認識が困難になる。例えば、B方向に傾けるとピントのぼけた画像になりやすい。この場合、画素塊が大きいと、ぼけの影響もあり、画素塊と画素塊の境界があいまいになり、画素塊としての認識が困難になる。また、デジタルペン100の持ち方は利用者の癖である場合もあり、無理に矯正できない場合もある。その場合は、その利用者に合わせて(デジタルペン100が用いられる傾きに合わせて)、画素塊のサイズを調整するようにしてもよい。
【0037】
一方、情報画像付文書300に印刷される情報画像は、印刷する時の環境(温度、湿度等)や印刷装置の経時変化(光量等)で、その情報を構成する画素塊の印字精度がばらつく場合がある。特に、この傾向は、電子写真方式を用いた印刷装置で発生することが多い。そして、この場合には、デジタルペン100で読み取った情報画像から情報を抽出することが困難になることがある。そのため、印刷装置で、評価用チャートを出力し、それを読み取ることで、画素塊の評価を行い、その結果を印刷装置に反映することが行われる。この方式の場合、評価を行った時しか、反映できない。つまり、評価を頻繁に行わないと、印刷装置の状態が変化しているにも関わらず、印刷装置に反映できないこととなる。また、複数の印刷装置があった場合、この評価を印刷装置毎に実施しなければならないこととなる。本実施の形態では、実際に利用者が使用している場合の結果を用いて画素塊の大きさを調整する。
【0038】
図1に例示したデジタルペン100内の各モジュールと図5に例示したデジタルペン100内のモジュールの関係について説明する。
図1に例示の情報画像読取モジュール110は図5に例示の画像読取モジュール512によって実現され、図1に例示の情報画像解析モジュール120、時計モジュール130、読取日時抽出モジュール140、ペン傾き検出モジュール150、出力モジュール160は図5に例示の制御・送信モジュール513によって実現される。
【0039】
情報画像読取モジュール110は、情報画像解析モジュール120と接続されている。情報画像読取モジュール110は、デジタルペン100によって筆記された位置にある画像を読み取る。書き込みが行われる文書に情報画像が合成されており、その情報画像がある位置に書き込みが行われるならば、その情報画像を読み取ることになる。そして、読み込んだ画像を情報画像解析モジュール120に渡す。
【0040】
情報画像解析モジュール120は、情報画像読取モジュール110、出力モジュール160と接続されている。情報画像解析モジュール120は、情報画像読取モジュール110によって読み込まれた画像を受け取り、その画像内の情報画像を解析する。なお、情報画像には、その文書内における座標が埋め込まれているので、情報画像を解析して、埋め込まれている座標を時系列に抽出することによって、筆記された座標(ストローク情報)を抽出し得る。そして、印刷媒体IDも抽出し得る。
また、情報画像解析モジュール120は、情報画像を解析するにあたって、画素塊の解析のエラー率、画素塊の大きさを解析結果として抽出する。エラー率とは、解析対象の画素塊の数と解析できなかった画素塊の数の比率、又は解析できた画素塊の数と解析できなかった画素塊の数の比率等である。画素塊の大きさとは、読み取った画素塊の画像そのものであってもよいし、その画素塊の縦長さ、横幅の画素数等であってもよい。
【0041】
時計モジュール130は、読取日時抽出モジュール140と接続されている。時計モジュール130は、現在の日時を計測するものであり、画像処理装置200の時計と同期させられている。なお、ここで、日時とは、日と時だけでなく、年、分、秒、秒以下を含んでいてもよく、印刷日時との比較ができるのであれば日のみ、時であってもよい。
読取日時抽出モジュール140は、時計モジュール130、出力モジュール160と接続されている。読取日時抽出モジュール140は、情報画像読取モジュール110が情報画像を読み取ったときの日時を時計モジュール130から抽出する。
ペン傾き検出モジュール150は、出力モジュール160と接続されている。ペン傾き検出モジュール150は、デジタルペン100の傾きを検出する。例えば、ジャイロセンサ、加速度センサ、磁気センサ等によって実現され得る。
【0042】
出力モジュール160は、情報画像解析モジュール120、読取日時抽出モジュール140、ペン傾き検出モジュール150と接続されている。出力モジュール160は、情報画像解析モジュール120による情報画像の解析結果、読取日時抽出モジュール140が検出した読取日時、ペン傾き検出モジュール150が検出したデジタルペン100の傾きを画像処理装置200に渡すために出力する。ここでの出力とは、通信(有線、無線のいずれであってもよい)によって出力することであってもよいし、メモリ媒体(例えば、USBメモリ等)に記憶させることであってもよい。また、出力モジュール160は、情報画像解析モジュール120によって抽出された印刷媒体IDを出力するようにしてもよい。
なお、情報画像解析モジュール120によって抽出されたストローク情報は、そのストローク情報を利用する情報処理装置(画像処理装置200内にあってもよいし、画像処理装置200とは異なる情報処理装置であってもよい)へ出力する。
【0043】
図2は、本実施の形態(画像処理装置)の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
画像処理装置200は、情報画像を構成する画素塊を調整して、情報画像付きの文書を出力するものであり、図2の例に示すように、受付モジュール210、情報画像解析結果受付モジュール220、読取日時受付モジュール230、印刷日時抽出モジュール240、ペン傾き受付モジュール250、判断モジュール260、アラームモジュール270、画素塊サイズ調整モジュール280、情報画像生成モジュール290、出力モジュール295を有している。
【0044】
受付モジュール210は、情報画像解析結果受付モジュール220、読取日時受付モジュール230、ペン傾き受付モジュール250と接続されている。デジタルペン100の出力モジュール160が出力した情報を受け付ける。デジタルペン100が通信によって送信してきた場合はそれを受信し、メモリ媒体に記憶されている場合はそのメモリ媒体から情報を読み出す。そして、情報画像解析モジュール120による解析結果を情報画像解析結果受付モジュール220へ渡し、読取日時抽出モジュール140によって抽出された読取日時を読取日時受付モジュール230へ渡し、ペン傾き検出モジュール150によって検出されたデジタルペン100の傾きをペン傾き受付モジュール250へ渡す。また、受付モジュール210は、デジタルペン100から印刷媒体IDを受け付けるようにしてもよい。
【0045】
情報画像解析結果受付モジュール220は、受付モジュール210、判断モジュール260と接続されている。情報画像解析結果受付モジュール220は、デジタルペン100によって読み取られた情報画像の解析結果を受け付ける。
読取日時受付モジュール230は、受付モジュール210、判断モジュール260と接続されている。読取日時受付モジュール230は、デジタルペン100が情報画像を読み取ったときの日時を受け付ける。
ペン傾き受付モジュール250は、受付モジュール210、判断モジュール260と接続されている。ペン傾き受付モジュール250は、デジタルペン100が情報画像を読み取ったときの傾きを受け付ける。
【0046】
印刷日時抽出モジュール240は、判断モジュール260と接続されている。印刷日時抽出モジュール240は、受付モジュール210が受け付けた印刷媒体IDを用いて、その印刷媒体IDによって示される印刷媒体が印刷された日時を抽出する。例えば、印刷日時テーブル900を用いて、印刷媒体IDに対応する印刷日時を抽出する。図9は、印刷日時テーブル900のデータ構造例を示す説明図である。印刷日時テーブル900は、印刷媒体ID欄910、印刷日時欄920を有している。印刷媒体ID欄910は、本実施の形態において印刷媒体を一意に識別する印刷媒体IDを記憶している。印刷日時欄920は、その印刷媒体IDによって示される印刷媒体が印刷された日時を記憶している。なお、印刷日時テーブル900は、印刷日時抽出モジュール240内にあってもよいし、画像処理装置200と通信可能な情報処理装置内に記憶されていてもよい。
【0047】
判断モジュール260は、情報画像解析結果受付モジュール220、読取日時受付モジュール230、印刷日時抽出モジュール240、ペン傾き受付モジュール250、アラームモジュール270、画素塊サイズ調整モジュール280と接続されている。判断モジュール260は、情報画像解析結果受付モジュール220によって受け付けられた解析結果、ペン傾き受付モジュール250によって受け付けられた傾き、読取日時受付モジュール230によって受け付けられた読取日時は印刷日時抽出モジュール240によって抽出された印刷日時から予め定められた期間内にあるか否かに基づいて、情報画像を構成する画素塊の大きさを調整するか否かを判断する。なお、判断モジュール260は、読取日時受付モジュール230によって受け付けられた読取日時は印刷日時抽出モジュール240によって抽出された印刷日時から予め定められた期間内にあるか否かだけに基づいて、情報画像を構成する画素塊の大きさを調整するか否かを判断するようにしてもよい。また、更に、情報画像解析結果受付モジュール220によって受け付けられた解析結果、ペン傾き受付モジュール250によって受け付けられた傾きのいずれか一方又は両方を加えて、情報画像を構成する画素塊の大きさを調整するか否かを判断するようにしてもよい。
ここで、判断対象となるものは、次の4つである。
(1)情報画像解析結果受付モジュール220によって受け付けられた解析結果
(2)ペン傾き受付モジュール250によって受け付けられたデジタルペン100の傾き
(3)読取日時受付モジュール230によって受け付けられた読取日時
(4)印刷日時抽出モジュール240によって抽出された印刷日時
【0048】
そして、次のような判断を行う。
(A1)解析結果内のエラー率は、予め定められた値よりも高いか否かを判断する。つまり、エラー率が高くない場合は、画素塊の大きさを調整する必要がない。エラー率が高い場合は、画素塊の大きさを調整する可能性がある。
(A2)デジタルペン100の傾きは、予め定められた範囲内にあるか否かを判断する。つまり、デジタルペン100の傾きが予め定められた範囲内にある場合は、適正な持ち方が行われている場合である。デジタルペン100の傾きが予め定められた範囲内にない場合は、適正な持ち方が行われていない場合である。
(A3)読取日時は印刷日時から予め定められた期間内にあるか否かを判断する。つまり、印刷日時から長期間経ている場合は、現在の印刷装置の状態を表しているとはいえないので、読取日時が印刷日時から予め定められた期間以上経ている場合は、画素塊の大きさを調整すべきではない。
【0049】
例えば、画素塊の大きさを調整すると判断する場合とは、(A1)で、エラー率は予め定められた値よりも高いと判断し、(A2)で、デジタルペン100の傾きは予め定められた範囲内にあると判断し、(A3)で、読取日時は印刷日時から予め定められた期間内にあると判断した場合である。
また、(A1)と(A3)の判断は前述と同じであるが、(A2)で、警告を発しないように設定されている場合であって、デジタルペン100の傾きは予め定められた範囲内にないと判断した場合も、画素塊の大きさを調整すると判断する場合としてよい。つまり、利用者のデジタルペン100の持ち方を矯正しない場合であって、適正な傾きの範囲内にはない傾きで使用されている場合にも対応するものである。
なお、(A1)、(A2)、(A3)の判断の順番は、どのような順番であってもよいし、並列的に行うようにしてもよい。
また、前述の判断は、(A3)だけであってもよい。また、(A3)と(A1)の組み合わせ、(A3)と(A2)の組み合わせ、(A3)と(A1)と(A2)の組み合わせであってもよい。
【0050】
アラームモジュール270は、判断モジュール260と接続されている。アラームモジュール270は、判断モジュール260によって傾きが予め定められた範囲内にないと判断された場合は、デジタルペン100の利用者に対して警告を発する。なお、警告は、その装置において警告を発するようにしてもよいし、デジタルペン100において警告を発するようにしてもよい。また、アラームモジュール270はデジタルペン100内にあってもよい。発する警告の態様としては、音(警告音、音声による注意等)、光(光源の点滅、予め定められた色の出力等)、表示、振動等であってもよい。
また、アラームモジュール270は、警告を発するように設定されている場合は、デジタルペン100の利用者に対して警告を発するようにしてもよい。警告を発するように設定されている場合とは、例えば、フラグ(記憶装置内の変数)を用意し、そのフラグが予め定められた値であれば、警告を発するように設定されていると判断すればよい。また、そのフラグは、利用者によって設定してもよいし、予め定められていてもよい。
【0051】
画素塊サイズ調整モジュール280は、判断モジュール260、情報画像生成モジュール290と接続されている。画素塊サイズ調整モジュール280は、判断モジュール260によって画素塊の大きさを調整すると判断された場合は、情報画像解析結果受付モジュール220によって受け付けられた解析結果又はペン傾き受付モジュール250によって受け付けられたデジタルペン100の傾きに基づいて、情報画像を構成する画素塊の大きさを調整する。解析結果、デジタルペン100の傾きのいずれか一方を用いてもよいし、解析結果とデジタルペン100の傾きの両方を用いるようにしてもよい。
解析結果としては、画素塊の大きさが含まれている。その画素塊の大きさが予め定められた値よりも大きい場合は、画素塊の大きさを小さくなるように調整すればよく、その画素塊の大きさが予め定められた値よりも小さい場合は、画素塊の大きさを大きくなるように調整すればよい。
また、デジタルペン100の傾きを用いる場合は、その傾きによる画素塊の大きさの変化を相殺するように調整する。例えば、デジタルペン100の傾きが画素塊の大きさを大きくするような方向への傾きであるならば、その傾きによって大きくなっている分を差し引いて画素塊の大きさを調整すればよい。同様に、デジタルペン100の傾きが画素塊の大きさを小さくするような方向への傾きであるならば、その傾きによって小さくなっている分を加えて画素塊の大きさを調整すればよい。
【0052】
また、画素塊サイズ調整モジュール280は、警告を発しないように設定されている場合は、少なくとも情報画像解析結果受付モジュール220によって受け付けられた解析結果に基づいて、情報画像を構成する画素塊の大きさを調整するようにしてもよい。つまり、デジタルペン100の傾きを用いないで、情報画像を構成する画素塊の大きさを調整する。デジタルペン100の傾きを矯正しない場合であるからである。
また、画素塊サイズ調整モジュール280は、読取日時受付モジュール230によって受け付けられた読取日時と印刷日時抽出モジュール240によって抽出された印刷日時の間の期間に基づいて、情報画像を構成する画素塊の大きさを調整する。つまり、印刷日時から読取日時までの期間を重みとして、画素塊の大きさを調整する。例えば、期間が短くなれば、調整が少なくなる(調整前の画素塊のサイズと調整後の画素塊のサイズの差が小さくなる)ようにしてもよいし、期間が長くなれば、調整が大きくなる(調整前の画素塊のサイズと調整後の画素塊のサイズの差が大きくなる)ようにしてもよい。
【0053】
情報画像生成モジュール290は、画素塊サイズ調整モジュール280、出力モジュール295と接続されている。情報画像生成モジュール290は、画素塊サイズ調整モジュール280によって調整された画素塊によって構成される情報画像を生成する。情報画像に埋め込む情報としては、少なくとも位置情報が含まれており、その他に、例えば、印刷媒体ID、文書ID、ページID等がある。
出力モジュール295は、情報画像生成モジュール290と接続されている。出力モジュール295は、情報画像生成モジュール290によって生成された情報画像が合成された文書を出力する。ここで、画像を出力するとは、例えば、プリンタ等の印刷装置で印刷すること、ファックス等の画像送信装置で画像を送信すること等が含まれる。また、印刷媒体としては、主に紙であるが、紙状であればプラスチック等の材質であってもよい。
【0054】
図3は、本実施の形態を実現するためのシステム構成例を示す説明図である。
利用者の筆記によって、デジタルペン100がペン先にある情報画像付文書300内の情報画像を読み取る。そして、デジタルペン100が前述の処理を行い、解析結果、読取日時、デジタルペン100の傾きを画像処理装置200へ送信する。画像処理装置200は、デジタルペン100から送信された情報を受け取り、画素塊の大きさを調整し、新たな情報画像付文書300を出力する。
【0055】
図6は、本実施の形態(デジタルペン100)による処理例を示すフローチャートである。
ステップS602では、情報画像読取モジュール110が、情報画像を読み取る。
ステップS604では、読取日時抽出モジュール140が、情報画像を読み取った日時を抽出する。
ステップS606では、ペン傾き検出モジュール150が、デジタルペン100の傾きを検出する。
ステップS608では、情報画像解析モジュール120が、情報画像を解析する。
ステップS610では、出力モジュール160が、解析結果を出力する。
ステップS612では、出力モジュール160が、読取日時を出力する。
ステップS614では、出力モジュール160が、デジタルペン100の傾きを出力する。
なお、ステップS602からステップS606までの処理は、どのような順番で行ってもよいし、また、並列的に処理を行ってもよい。また、ステップS610からステップS614までの処理についても同様である。
【0056】
図7、図8は、本実施の形態(画像処理装置200)による処理例を示すフローチャートである。
ステップS702では、受付モジュール210が、デジタルペン100から情報を受け付ける。
ステップS704では、受付モジュール210が、受け付けた情報から解析結果、読取日時、デジタルペン100の傾きを抽出する。
ステップS706では、情報画像解析結果受付モジュール220が、解析結果を受け付ける。
ステップS708では、読取日時受付モジュール230が、読取日時を受け付ける。
ステップS710では、ペン傾き受付モジュール250が、デジタルペン100の傾きを受け付ける。
ステップS712では、印刷日時抽出モジュール240が、対象とする情報画像が印刷された日時を抽出する。例えば、受付モジュール210が受け付けた情報内の印刷媒体IDに対応する印刷日時を印刷日時テーブル900から抽出する。
【0057】
ステップS714では、判断モジュール260が、解析結果に基づいて調整が必要か否かを判断し、調整が必要な場合はステップS716へ進み、それ以外の場合はステップSステップS726へ進む。
ステップS716では、判断モジュール260が、デジタルペン100の傾きは予め定められた範囲内か否かを判断し、範囲内である場合はステップS722へ進み、それ以外の場合はステップS718へ進む。
ステップS718では、判断モジュール260が、アラームを出力するように設定されているか否かを判断し、設定されている場合はステップS720へ進み、それ以外の場合はステップS722へ進む。
ステップS720では、アラームモジュール270が、デジタルペン100の傾きを矯正するようアラームを出力する。この出力によって、画像処理装置200がアラームを発生してもよいし、デジタルペン100がアラームを発生してもよい。
ステップS722では、判断モジュール260が、印刷日時から予め定められた期間内に読取日時があるか否かを判断し、ある場合はステップS724へ進み、それ以外の場合はステップS726へ進む。
【0058】
ステップS724では、画素塊サイズ調整モジュール280が、画素塊のサイズを調整する。例えば、画素塊を図10(a)に例示するように4画素からなるとした場合、サイズを3/4に小さく調整するとは、図10(b1)から(b6)に例示するように3画素からなる画素塊にすることである。いずれを選択するかは、読み取られた画素塊の形状等に基づいて選択する。例えば、読み取られた画素塊の上部が下部よりも大きい場合には図10(b1)、(b3)に例示の画素塊を選択し、読み取られた画素塊の横方向に広がっている場合には図10(b5)に例示の画素塊を選択する。また、サイズを5/4に大きく調整するとは、図10(c1)から(c8)に例示するように5画素からなる画素塊にすることである。いずれを選択するかは、読み取られた画素塊の形状等に基づいて選択する。例えば、読み取られた画素塊の上部が下部よりも大きい場合には図10(c5)、(c6)に例示の画素塊を選択し、読み取られた画素塊の横方向に広がっている場合には図10(c3)、(c4)、(c7)、(c8)に例示の画素塊を選択する。
【0059】
ステップS726では、情報画像生成モジュール290が、情報画像を生成する。
ステップS728では、出力モジュール295が、情報画像を合成した文書を出力する。
なお、ステップS706からステップS712までの処理は、どのような順番で行ってもよいし、また、並列的に処理を行ってもよい。また、ステップS714、ステップS716、ステップS722の判断処理も、その3つの判断処理の結果、ステップS724、ステップS720又はステップS726のいずれかに進むのであれば、どのような順番で行ってもよいし、また、並列的に処理を行ってもよい。
また、ステップS714、ステップS716の判断処理のいずれか一方、又は両方を行わない処理であってもよい。
【0060】
図11を参照して、本実施の形態の画像処理装置のハードウェア構成例について説明する。図11に示す構成は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)などによって構成されるものであり、スキャナ等のデータ読み取り部1117と、プリンタなどのデータ出力部1118を備えたハードウェア構成例を示している。
【0061】
CPU1101は、前述の実施の形態において説明した各種のモジュール、すなわち、情報画像解析結果受付モジュール220、読取日時受付モジュール230、印刷日時抽出モジュール240、ペン傾き受付モジュール250、判断モジュール260、アラームモジュール270、画素塊サイズ調整モジュール280、情報画像生成モジュール290等の各モジュールの実行シーケンスを記述したコンピュータ・プログラムにしたがった処理を実行する制御部である。
【0062】
ROM(Read Only Memory)1102は、CPU1101が使用するプログラムや演算パラメータ等を格納する。RAM1103は、CPU1101の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を格納する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス1104により相互に接続されている。
【0063】
ホストバス1104は、ブリッジ1105を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス1106に接続されている。
【0064】
キーボード1108、マウス等のポインティングデバイス1109は、操作者により操作される入力デバイスである。ディスプレイ1110は、液晶表示装置又はCRT(Cathode Ray Tube)などがあり、各種情報をテキストやイメージ情報として表示する。
【0065】
HDD(Hard Disk Drive)1111は、ハードディスクを内蔵し、ハードディスクを駆動し、CPU1101によって実行するプログラムや情報を記録又は再生させる。ハードディスクには、情報画像、文書、印刷日時テーブル900などが格納される。さらに、その他の各種のデータ処理プログラム等、各種コンピュータ・プログラムが格納される。
【0066】
ドライブ1112は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体1113に記録されているデータ又はプログラムを読み出して、そのデータ又はプログラムを、インタフェース1107、外部バス1106、ブリッジ1105、及びホストバス1104を介して接続されているRAM1103に供給する。リムーバブル記録媒体1113も、ハードディスクと同様のデータ記録領域として利用可能である。
【0067】
接続ポート1114は、外部接続機器1115を接続するポートであり、USB、IEEE1394等の接続部を持つ。接続ポート1114は、インタフェース1107、及び外部バス1106、ブリッジ1105、ホストバス1104等を介してCPU1101等に接続されている。通信部1116は、ネットワークに接続され、外部とのデータ通信処理を実行する。データ読み取り部1117は、例えばスキャナであり、ドキュメントの読み取り処理を実行する。データ出力部1118は、例えばプリンタであり、ドキュメントデータの出力処理を実行する。
【0068】
なお、図11に示す画像処理装置のハードウェア構成は、1つの構成例を示すものであり、本実施の形態は、図11に示す構成に限らず、本実施の形態において説明したモジュールを実行可能な構成であればよい。例えば、一部のモジュールを専用のハードウェア(例えば特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)等)で構成してもよく、一部のモジュールは外部のシステム内にあり通信回線で接続しているような形態でもよく、さらに図11に示すシステムが複数互いに通信回線によって接続されていて互いに協調動作するようにしてもよい。また、複写機、ファックス、スキャナ、プリンタ、複合機(スキャナ、プリンタ、複写機、ファックス等のいずれか2つ以上の機能を有している画像処理装置)などに組み込まれていてもよい。
【0069】
前述の実施の形態においては、印刷日時テーブル900を示したが、情報画像内に、印刷日時を埋め込むようにしてもよい。つまり、情報画像生成モジュール290は、印刷日時を含めた情報画像を生成し、出力モジュール295は、その情報画像を合成した文書を出力する。デジタルペン100の情報画像解析モジュール120は、その印刷日時を情報画像から抽出し、出力モジュール160が画像処理装置200へ出力する。そして、受付モジュール210は印刷日時を受け付けて、印刷日時抽出モジュール240はその印刷日時を抽出すればよい。
また、印刷日時テーブル900にその印刷媒体IDによって示される印刷媒体を印刷した印刷装置を一意に識別する印刷装置IDを対応させて記憶するようにしてもよい。複数の印刷装置がある場合に対応するためである。画素塊サイズ調整モジュール280が調整する画素塊のサイズは、その印刷媒体を印刷した印刷装置とする。
【0070】
なお、説明したプログラムについては、記録媒体に格納して提供してもよく、また、そのプログラムを通信手段によって提供してもよい。その場合、例えば、前記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明として捉えてもよい。
「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、プログラムのインストール、実行、プログラムの流通などのために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。
なお、記録媒体としては、例えば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)であって、DVDフォーラムで策定された規格である「DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等」、DVD+RWで策定された規格である「DVD+R、DVD+RW等」、コンパクトディスク(CD)であって、読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)等、ブルーレイ・ディスク(Blu−ray Disc(登録商標))、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去及び書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM(登録商標))、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)等が含まれる。
そして、前記のプログラム又はその一部は、前記記録媒体に記録して保存や流通等させてもよい。また、通信によって、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等に用いられる有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにこれらの組み合わせ等の伝送媒体を用いて伝送させてもよく、また、搬送波に乗せて搬送させてもよい。
さらに、前記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。また、複数の記録媒体に分割して
記録されていてもよい。また、圧縮や暗号化など、復元可能であればどのような態様で記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0071】
100…デジタルペン
110…情報画像読取モジュール
120…情報画像解析モジュール
130…時計モジュール
140…読取日時抽出モジュール
150…ペン傾き検出モジュール
160…出力モジュール
200…画像処理装置
210…受付モジュール
220…情報画像解析結果受付モジュール
230…読取日時受付モジュール
240…印刷日時抽出モジュール
250…ペン傾き受付モジュール
260…判断モジュール
270…アラームモジュール
280…画素塊サイズ調整モジュール
290…情報画像生成モジュール
295…出力モジュール
511…芯
512…画像読取モジュール
513…制御・送信モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報画像読取手段によって読み取られた情報画像の解析結果を受け付ける解析結果受付手段と、
前記情報画像読取手段が情報画像を読み取ったときの傾きを受け付ける傾き受付手段と、
前記情報画像読取手段が情報画像を読み取ったときの日時を受け付ける日時受付手段と、
前記情報画像読取手段によって読み取られた情報画像が印刷された日時を抽出する日時抽出手段と、
前記日時受付手段によって受け付けられた日時は前記日時抽出手段によって抽出された日時から予め定められた期間内にあるか否かに基づいて、情報画像を構成する画素塊の大きさを調整するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段によって画素塊の大きさを調整すると判断された場合は、前記解析結果受付手段によって受け付けられた解析結果又は前記傾き受付手段によって受け付けられた傾きに基づいて、情報画像を構成する画素塊の大きさを調整する調整手段と、
前記調整手段によって調整された画素塊によって構成される情報画像を生成する情報画像生成手段と、
前記情報画像生成手段によって生成された情報画像が合成された文書を出力する出力手段
を具備することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記判断手段は、前記傾き受付手段によって受け付けられた傾きが予め定められた範囲内にあるか否かを判断し、
前記判断手段によって傾きが予め定められた範囲内にないと判断された場合は、前記情報画像読取手段の利用者に対して警告を発する警告手段
をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記警告手段は、警告を発するように設定されている場合は、前記情報画像読取手段の利用者に対して警告を発し、
前記調整手段は、警告を発しないように設定されている場合は、少なくとも前記解析結果受付手段によって受け付けられた解析結果に基づいて、情報画像を構成する画素塊の大きさを調整する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記調整手段は、前記日時受付手段によって受け付けられた日時と前記日時抽出手段によって抽出された日時の間の期間の長さに基づいて、情報画像を構成する画素塊の大きさを調整する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
情報画像を読み取る情報画像読取手段と、
前記情報画像読取手段が読み取った情報画像を解析する情報画像解析手段と、
前記情報画像読取手段が情報画像を読み取ったときの傾きを検出する傾き検出手段と、
前記情報画像読取手段が情報画像を読み取ったときの日時を抽出する日時抽出手段
を具備する情報画像読取装置と、
請求項1から4のいずれか一項に記載の画像処理装置
を有する画像処理システムであって、
前記画像処理装置は、前記情報画像読取装置と接続されており、
前記画像処理装置の解析結果受付手段は、前記情報画像解析手段による解析結果を受け付け、
前記画像処理装置の傾き受付手段は、前記傾き検出手段によって検出された傾きを受け付け、
前記画像処理装置の日時受付手段は、前記日時抽出手段によって抽出された日時を受け付ける
ことを特徴とする画像処理システム。
【請求項6】
コンピュータを、
情報画像読取手段によって読み取られた情報画像の解析結果を受け付ける解析結果受付手段と、
前記情報画像読取手段が情報画像を読み取ったときの傾きを受け付ける傾き受付手段と、
前記情報画像読取手段が情報画像を読み取ったときの日時を受け付ける日時受付手段と、
前記情報画像読取手段によって読み取られた情報画像が印刷された日時を抽出する日時抽出手段と、
前記日時受付手段によって受け付けられた日時は前記日時抽出手段によって抽出された日時から予め定められた期間内にあるか否かに基づいて、情報画像を構成する画素塊の大きさを調整するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段によって画素塊の大きさを調整すると判断された場合は、前記解析結果受付手段によって受け付けられた解析結果又は前記傾き受付手段によって受け付けられた傾きに基づいて、情報画像を構成する画素塊の大きさを調整する調整手段と、
前記調整手段によって調整された画素塊によって構成される情報画像を生成する情報画像生成手段と、
前記情報画像生成手段によって生成された情報画像が合成された文書を出力する出力手段
として機能させるための画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−100137(P2012−100137A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247257(P2010−247257)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】