説明

画像処理装置、画像処理プログラム、及びシール製造システム

【課題】シールの形状を表す画像に含まれる所定値より細い部分を修正前よりも太く修正できる画像処理装置及び画像処理プログラム、並びにシール製造システムを提供する。
【解決手段】画像処理装置100は、画像の一領域である画像領域の形状でシールの形状を表すデータを取得する切抜データ取得部112と、切抜データ取得部112が取得したデータで表される画像領域の輪郭線の位置を所定値だけ内側へ補正した領域へ、画像領域を縮小する領域縮小部140と、領域縮小部140による縮小によって画像領域が分断されると、データで表される画像領域の輪郭線の位置を外側に補正した領域へ、画像領域を拡大する領域拡大部170と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールの形状を表す画像を処理する画像処理装置及び画像処理プログラム、並びにシール製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像の欠損部を修復する技術について開示されている。この技術は、欠損により分断された画像を構成する線分の端点を検出すると共に、線分を太線化することで、検出した一方の端点と他方の端点とを接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−172336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に係る技術は、シールの形状を表す画像が、シールの形状として十分な幅を有しない部分を有していても、当該部分は画像の欠損部分ではないため、当該部分の幅を修正できないという問題がある。よって、この画像に基づいた形状のシールを製造する場合には、当該細い部分の扱いが困難なシールが製造されてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、このような点に鑑み、その目的とするところは、シールの形状を表す画像に含まれる所定値より細い部分を修正前よりも太く修正できる画像処理装置及び画像処理プログラム、並びにシール製造システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第一の観点に係る画像処理装置は、
画像の一領域である画像領域の形状でシールの形状を表すデータを取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段が取得した前記データで表される前記画像領域の輪郭線の位置を所定値だけ内側へ補正した領域へ、前記画像領域を縮小する領域縮小手段と、
前記領域縮小手段による縮小によって前記画像領域が分断されると、前記データで表される前記画像領域の前記輪郭線の位置を外側に補正した領域へ、前記画像領域を拡大する領域拡大手段と、を備えることを特徴としている。
【0007】
また上記目的を達成するため、本発明の第二の観点に係る画像処理プログラムは、
コンピューターを、
画像の一領域である画像領域の形状でシールの形状を表すデータを取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段が取得した前記データで表される前記画像領域の輪郭線の位置を所定値だけ内側へ補正した領域へ、前記画像領域を縮小する領域縮小手段と、
前記領域縮小手段による縮小によって前記画像領域が分断されると、前記データで表される前記画像領域の前記輪郭線の位置を外側に補正した領域へ、前記画像領域を拡大する領域拡大手段と、して機能させることを特徴としている。
【0008】
更に、上記目的を達成するため、本発明の第三の観点に係るシール製造システムは、
画像の一領域である画像領域の形状でシールの形状を表すデータを取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段が取得した前記データで表される前記画像領域の輪郭線の位置を所定値だけ内側へ補正した領域へ、前記画像領域を縮小する領域縮小手段と、
前記領域縮小手段による縮小によって前記画像領域が分断されると、前記データで表される前記画像領域の前記輪郭線の位置を外側に補正した領域へ、前記画像領域を拡大する領域拡大手段と、
前記領域拡大手段が拡大した前記画像領域の形状に基づいて前記シールを製造するシール製造手段と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る画像処理装置及び画像処理プログラム並びにシール製造システムによれば、シールの形状を表す画像に含まれる所定値より細い部分を修正前よりも太く修正できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)は、本実施例のシール製造システムの一構成例を表すシステム構成図であり、(b)は、画像処理装置の一構成例を表すハードウェア構成図である。
【図2】制御部が実行する切抜データ生成処理の一例を表すフローチャートである。
【図3】(a)は、画像処理装置が有する機能の一例を表す機能ブロック図であり、(b)は、領域縮小部の一例を表す機能ブロック図であり、(c)は、領域拡大部の一例を表す機能ブロック図である。
【図4】(a)は、画像データで表される画像の一例を表す図であり、(b)は、マスクデータで表される画像領域の一例を表す図であり、(c)は、切抜データで表される切抜領域の一例を表す図である。
【図5】(a)は、制御部が実行するマイナスオフセット処理の一例を表すフローチャートであり、(b)は、制御部が実行するプラスオフセット処理の一例を表すフローチャートである。
【図6】SVG形式の切抜データの一例を表す図である。
【図7】(a)は、ストロークを設定する切抜データの一部分を表す図であり、(b)は、ストロークを設定された切抜領域の一例を表す図であり、(c)は、縮小領域の一例を表す図である。
【図8】縮小領域を表す切抜データの一例を表す図である。
【図9】(a)は、拡大領域の一例を表す図であり、(b)は、拡大領域を縮小した領域の一例を表す図であり、(c)は、切抜画像の一例を表す図であり、(d)は、シール製造装置が製造するシールの一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の最良の実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。
【0012】
本実施形態に係るシール製造システム1は、図1(a)に示す様に、画像処理装置100及びシール製造装置200で構成される。シール製造システム1は、画像処理装置100でシールを切り抜く形状(以下、切抜形状という)を決定すると共に、決定した切抜形状に基づいてシール製造装置200でシールを製造する。ここで、画像処理装置100は、決定した形状のシールが十分に扱い易いか否かを判定し、十分な扱い易さを有しないと判定すると、十分に扱い易い形状となる様に切抜形状を修正する。
【0013】
尚、シールが十分に扱い易いか否かの判定は、シールが十分に広い幅を有するか否かに基づいて判定される。具体的には、所定の閾値よりも幅が細い部分をシールが有する場合には、十分に扱い易いといえない。例えば、そのような幅の細い部分は十分な強度を有しないため、当該部分で折れ易い又は切れ易いからである。このため、所定の閾値は、シールの種類によって異なるが、当業者は、実験により最適な閾値を決定できる。
【0014】
次に、シール製造システム1を構成する画像処理装置100のハードウェア構成について説明する。
画像処理装置100は、パーソナルコンピューターで構成され、図1(b)に示す様な制御装置100a、一時記憶装置100b、外部記憶装置100c、画像出力装置100d、入力装置100e、表示装置100fを備える。
【0015】
制御装置100aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、外部記憶装置100cに保存されたプログラムに従ってソフトウェア処理を実行することで、画像処理装置100の全体制御を行う。一時記憶装置100bは、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)であり、制御装置100aによるプログラムの実行時において、処理対象とする情報(データ)を一時的に記憶する。外部記憶装置100cは、例えば、ハードディスクドライブであり、画像を表すファイル、画像の一領域である画像領域を表すファイル、又は各種の設定を表す設定ファイルを記憶する。
【0016】
画像出力装置100dは、例えば、通信カードであり、通信によりシール製造装置200へ画像ファイルを出力する。入力装置100eは、例えば、キーボードであり、表示装置100fは、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)である。入力装置100e及び表示装置100fは、ユーザーインターフェースを提供する。
【0017】
次に、画像処理装置100が、図1(b)に示したハードウェアを用いて実行するソフトウェア処理について説明を行う。
図1(b)の制御装置100aは、図2に示す様な、切抜形状を表す切抜データを生成する切抜データ生成処理を実行する。また、制御装置100aは、図3(a)に示す画像取得部111、切抜データ取得部112、マージン設定部130、領域縮小部140、分断判定部150、マージン再設定部160、領域拡大部170、画像切抜部180、切抜画像保存部191、及び切抜データ確定保存部196をとして下記の処理を行い、一時記憶装置100bは、設定記憶部120として機能する。
【0018】
画像処理装置100が切抜情報生成処理を開始すると、図3(a)の画像取得部111は、画像を表す画像データを外部記憶装置100cから取得する(ステップS01)。尚、画像取得部111は、インターネットから画像データをダウンロードしても良い。
【0019】
次に、図3(a)の切抜データ取得部112は、画像取得部111が取得した画像データで表される画像を切り抜く形状(つまり、切抜形状)及び位置を表す切抜データを取得する。シールに印刷される画像領域を画像データから得るためである。具体的には、切抜データ取得部112は、画像データで表される画像から切り抜かない領域をマスクするマスクデータを、外部記憶装置100cから取得する。ここで、画像データで表される画像が、図4(a)に示す様な白鳥を表す画像であり、かつ白鳥を表す画像領域が印刷される画像領域として切り抜かれる場合には、切抜データ取得部112は、図4(b)に示す様な白鳥の形状をした白色の画像領域と、黒色の背景画像領域とを表すマスクデータを外部記憶装置100cから取得する。通常、白色は全ビットが値1のデータで表され、黒色は全ビットが値0のデータで表されるため、マスクデータを構成するビット列と画像データを構成するビット列とのAND演算によって、白色領域の形状及び位置に対応する領域を表すデータを画像データから切り抜けるためである。尚、マスクデータを取得した後に、切抜データ取得部112は、マスクデータの輝度を反転させる。図4(c)に示す様な、画像データで表される画像から切り抜かれる画像領域(以下、切抜領域という)を黒色で表すデータを生成するためである。尚、切抜データ取得部112は、例えば、ユーザーによる入力装置100eの操作に基づいてマスクデータを生成しても良い。この構成によれば、任意の画像領域を切り抜くことができる。
【0020】
図2のステップS02を実行した後に、図3(a)のマージン設定部130は、所定の閾値である切抜マージンを設定記憶部120から読み込む(ステップS03)。次に、マージン設定部130は、切抜領域の幅を太くする量を表すマスクオフセットの値を切抜マージンの値で初期化する(ステップS04)。
【0021】
次に、領域縮小部140は、切抜領域を縮小するマイナスオフセット処理を実行する(ステップS05)。尚、領域縮小部140は、図3(b)に示す様に、第1形式変換部146、輪郭線幅設定部147、輪郭線色設定部148、及び第2形式変換部149で構成される。
【0022】
ここで、領域縮小部140が実行するステップS05のマイナスオフセット処理について説明する。ステップS05の処理は、図5(a)に示す様な処理である。
先ず、領域縮小部140を構成する図3(b)の第1形式変換部146は、切抜データをトレースして、SVG(Scalable Vector Graphics)形式のデータへ変換する(ステップS21)。具体的には、第1形式変換部146は、ビットマップ形式で表される切抜データを、図6の様なSVG形式のデータへ変換する。このSVG形式に変換されたデータは、パスタグで囲まれたパスタグ領域と、Gタグで囲まれたGタグ領域とで構成される。パスタグ領域は、連続した(つまり、分断されていない)1つの連続領域を表すパスを表すパスデータが格納される領域である。尚、パスデータは、1以上の座標値及びコマンドで連続領域の形状及び位置を表す。また、Gタグ領域は、1以上のパスタグ領域をグループ化すると共に、グループ化したパスタグ領域で表される領域の輪郭線の有無、幅、及び色を定めるデータが格納される領域である。具体的には、図6に示す様な、「stroke:none」と記載されているGタグ領域は、切抜領域の輪郭線を「無し」に設定する。
【0023】
図5(a)のステップS21を実行した後に、図3(b)の領域縮小部140は、切抜領域の輪郭線を表す表示線(以下、ストロークという)を「有り(有効)」に設定する(ステップS22)。尚、切抜領域の輪郭線とは、切抜領域と背景領域との境界を表す概念的な線であって、線幅を有しない。一方で、ストロークは、輪郭線をなぞった線であって、設定により変更される線幅を有する。
【0024】
次に、輪郭線幅設定部147は、ストロークの太さを、図2のステップS03で読み込んだ切抜マージンに設定する(ステップS23)。具体的には、輪郭線幅設定部147は、図7(a)に示す様な記載「stroke-width:131.28205872」に、切抜データを構成するGタグ領域の一部を書き換える。Gタグ領域が書き換えられたデータで表される切抜領域は、図7(b)に示す様な、設定された値(つまり、切抜マージンの値「131.28205872」)の太さのストロークを有する。尚、図7(b)は、作図上の都合により、ストロークの色を実際に設定される白色とは異なる黒色で表し、切抜領域の色を実際の黒色とは異なる白色で表している。
次に、輪郭線色設定部148は、切抜領域のストローク色を背景色と同じ白色に設定する(ステップS24)。
【0025】
ここで、輪郭線幅設定部147がストロークの太さを切抜マージンの値に設定すると、ストロークの幅は、ストロークが表す輪郭線を基準として切抜画像の内側と外側との両側に、切抜マージンの値の半分だけそれぞれ拡大する。また、輪郭線色設定部148がストロークの色を切抜領域の背景色に設定すると、切抜領域の輪郭線から切抜マージンの値の半分だけ内側までの輪郭領域(つまり、切抜領域とストロークが表す領域とが重なった領域)が背景と同じ色となる。このため、切抜領域は、図7(c)に示す様に、切抜領域から輪郭領域が取り除かれた縮小領域に縮小される。この構成によれば、ある画像領域から当該画像領域の輪郭領域を容易に取り除くことができる。
【0026】
図5(a)のステップS24を実行した後に、図3(b)の第2形式変換部149は、縮小領域を表すパスデータを、ビットマップ形式のデータへ変換する(ステップS25)。その後、領域縮小部140は、マイナスオフセット処理の実行を終了する。
【0027】
図2のステップS05において、領域縮小部140がマイナスオフセット処理を終了した後に、図3(a)の分断判定部150は、図5(a)のステップS25で生成したビットマップ形式のデータに対してパストレースを行う(ステップS06)。パストレースとは、画像領域を表すビットマップ形式のデータをトレースすることで、画像領域をパスデータで表すSVG形式のデータ(以下、トレースデータという)へビットマップ形式のデータを変換することをいう。
【0028】
次に、分断判定部150は、トレースデータが有するパスの数(つまり、パスデータの数)をカウントする(ステップS07)。ここで、図7(c)に示す縮小領域は、輪郭領域が取り除かれた結果、切抜マージンよりも幅が狭い部分(つまり、白鳥の首の付け根部分)で2つの連続領域に分断されている。この2つの連続領域は、図8に示す様な2つのパス(つまり、パスタグ領域)を有するトレースデータで表される。通常、1つの連続領域は、1つのパスで表されるためである。
【0029】
次に、分断判定部150は、切抜領域から輪郭領域を取り除いた結果、領域が分断されたか否かを判定する。具体的には、分断判定部150は、トレースデータが有するパスの数が、切抜領域を縮小する前のパスの数よりも増えたか否かを判定する。つまり、切抜領域を縮小する前のパスの数が値「1」であったため、制御装置100aは、トレースデータが有するパスの数が値「2」以上であるか否かを判定する(ステップS08)。この構成によれば、切抜領域が所定の閾値よりも細い部分を有するか否かを容易に判定できる。特に、輪郭領域の除去前後における切抜領域を構成する連続領域の数をパスの数で判定するため、切抜領域が所定の閾値よりも細い部分を有するか否かをより容易に判定できる。具体例として、切抜領域の輪郭線上に在る全ての点について、最も近い他の点までの距離を算出すると共に、算出した全ての距離が所定の閾値よりも長いか否かを判定する場合と比べて、切抜領域が所定の閾値よりも幅が細い部分を有するか否か容易に判定できる。
【0030】
ステップS08において、分断判定部150が、パスの数は値「2」以上であると判定した場合(ステップS08;Yes)に、マージン再設定部160は、マスクオフセットを切抜マージンだけさらに増加させた値へ再設定する(ステップS09)。
【0031】
次に、領域拡大部170は、マスクデータから生成された切抜領域を拡大するプラスオフセット処理を実行する(ステップS10)。尚、領域拡大部170は、図3(c)に示す様に、切抜情報生成部171、第1形式変換部176、輪郭線幅設定部177、輪郭線色設定部178、及び第2形式変換部179で構成される。
【0032】
ここで、領域拡大部170が実行するステップS10のプラスオフセット処理について説明する。ステップS10の処理は、図5(b)に示す様な処理である。
先ず、領域拡大部170を構成する図3(c)の切抜情報生成部171は、図2のステップS02の処理と同様に、切抜データを取得する(ステップS31)。次に、第1形式変換部176は、図5(a)のステップS21と同様に、ステップS31で取得した切抜データをSVGデータへ変換する(ステップS32)。
【0033】
次に、領域拡大部170は、ステップS22と同様に、ステップS32で取得したSVGデータで表される切抜領域のストロークを有効化する(ステップS33)。その後、輪郭線幅設定部177は、ステップS23と同様に、ストロークの太さをマスクオフセットに設定する(ステップS34)。次に、輪郭線色設定部178は、ステップS24と異なり、ストロークの色を切抜領域の色と同じ黒色に設定する(ステップS35)。
【0034】
つまり、ステップS34及びS35において、輪郭線幅設定部177がストロークの太さを設定前よりも太く設定すると共に、輪郭線色設定部178が、ストロークを切抜領域と同じ色に設定すると、ストロークと切抜領域とが外見上一体となる。このため、切抜領域に対してストロークで表される領域が追加されて、切抜領域の輪郭線の位置が外側へ移動する。よって、図4(c)に示した切抜領域は、図9(a)に示す様な、マスクオフセットだけより幅が広い拡大領域に補正される。この構成によれば、画像領域が所定の閾値よりも細い部分を有する場合に、当該部分を太く補正できる。またこの構成によれば、輪郭線の幅及び色を設定することで、画像領域を容易に拡大できる。
【0035】
図5(b)のステップS35の処理を実行した後に、図3(c)の第2形式変換部179は、ステップS25と同様に、拡大された切抜領域を表すパスデータをビットマップ形式のデータに変換する(ステップS36)。次に、領域拡大部170は、パスデータをビットマップへ変換したデータを切抜データとする(ステップS37)。その後、領域拡大部170は、プラスオフセット処理の実行を終了する。
【0036】
図2のステップS10において、図3(a)の領域拡大部170がプラスオフセット処理を終了した後に、領域縮小部140は、拡大領域に対してマイナスオフセット処理を実行する(ステップS05)。つまり、領域縮小部140は、拡大領域から拡大領域の輪郭領域を取り除く。
【0037】
次に、分断判定部150は、マイナスオフセット処理で縮小された拡大領域に対して上記のステップS06からS08の処理を実行する(ステップS06からS08)。
ここで、マイナスオフセット処理で輪郭部分を取り除かれた拡大領域は、図9(b)に示す様な1つの連続領域からなる領域である。このため、分断判定部150は、輪郭部分を取り除かれた拡大領域を表すパスの数が値「1」であって、値「2」を越えないと判断する(ステップS08;No)。
【0038】
次に、図3(a)の切抜データ確定保存部196は、拡大領域を表す切抜データをシールの形状を表す領域として確定すると共に、確定した切抜データを外部記憶装置100cへ保存し、シール製造装置200へ出力する(ステップS11)。次に、画像切抜部180は、マスクデータの白色領域に対応する画像領域を、画像データで表される画像から切り抜いて、図9(c)に示す様な切抜画像を取得する(ステップS12)。その後、切抜画像保存部191は、切抜画像を表す切抜画像データを外部記憶装置100cへ保存すると共に、切抜画像データをシール製造装置200へ出力する(ステップS13)。その後、画像処理装置100は、処理の実行を終了する。
【0039】
尚、シール製造装置200は、ステップS11で画像処理装置100が出力した切抜データに基づいて、切抜データで表される拡大領域の形状を有するシールを製造する。また、シール製造装置200は、ステップS13で画像処理装置100が出力した切抜画像データで表される切抜画像を、拡大領域の形状を有するシールに印刷する。ここで、切抜データで表されるシールの形状は、切抜画像の形状よりも切抜マージンだけ広く幅を補正されているため、シール製造装置200が製造するシールは、図9(d)に示す様なシールの端から切抜画像が印刷された部分まで余白(マージン)を有する。この構成によれば、シールを製造する前に、製造されるシールが所定よりも細い部分を有するか否かを容易に判定できるだけでなく、判定結果に基づいて当該部分を太く補正できる。よって、折れ難くかつ切れ難いために取り扱いが容易なシールを製造できる。
【0040】
尚、本実施例において、領域拡大部170は、画像領域の輪郭線を表すストロークの幅及び色を変更することで、画像領域を拡大するとして説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、領域拡大部170は、画像領域の大きさを縦方向(走査方向)及び横方向(副走査方向)に、所定の割合だけ直接的に拡大する構成を採用できる。また例えば、領域拡大部170は、画像領域の輪郭線から予め定めたピクセル値だけ外側の画素を、画像領域を構成する画素の色に変更することで、画像領域を拡大する構成を採用できる。
【0041】
同様に、領域縮小部140は、画像領域の輪郭線を表すストロークの幅及び色を変更することで、画像領域を縮小するとして説明したが、これに限定される訳ではない。領域縮小部140が用いる縮小方法は、縮小により所定値より細い部分で画像領域を分断する縮小方法であれば構わない。例えば、領域縮小部140は、画像領域の大きさを縦方向(走査方向)及び横方向(副走査方向)に、所定の割合だけ直接的に縮小する構成を採用できる。また例えば、領域縮小部140は、画像領域の輪郭線から所定値だけ内側の画素を、背景領域を構成する画素の色に変更することで、画像領域を縮小する構成を採用できる。さらに例えば、領域縮小部140は、画像領域の大きさを縦方向(走査方向)及び横方向(副走査方向)に所定の割合だけ直接的に縮小させた後に、縮小させた画像領域の輪郭線から予め定めたピクセル値だけ内側の画素を、背景領域を構成する画素の色に変更する構成を採用できる。
【0042】
尚、本発明に係る機能を実現するための構成を予め備えた画処理信装置として提供できることはもとより、プログラムの適用により、既存の画像処理装置を本発明に係る画像処理装置として機能させることもできる。すなわち、上記実施形態で例示した画像処理装置100による各機能構成を実現させるための画像処理プログラムを、既存の画像処理装置を制御するコンピュータ(CPUなど)が実行できる様に適用することで、本発明に係る画像処理装置100として機能させることができる。
【0043】
この様プログラムの配布方法は任意であり、例えば、メモリカード、CD−ROM、又はDVD−ROMなどの記録媒体に格納して配布できる他、インターネットなどの通信媒体を介して配布することもできる。
【0044】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1・・・シール製造システム、100・・・画像処理装置、100a・・・制御装置、100b・・・一時記憶装置、100c・・・外部記憶装置、100d・・・画像出力装置、100e・・・入力装置、100f・・・表示装置、111・・・画像取得部、112・・・切抜データ取得部、120・・・設定記憶部、130・・・マージン設定部、140・・・領域縮小部、150・・・分断判定部、160・・・マージン再設定部、170・・・領域拡大部、180・・・画像切抜部、191・・・切抜画像保存部、196・・・切抜データ確定保存部、200・・・シール製造装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の一領域である画像領域の形状でシールの形状を表すデータを取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段が取得した前記データで表される前記画像領域の輪郭線の位置を所定値だけ内側へ補正した領域へ、前記画像領域を縮小する領域縮小手段と、
前記領域縮小手段による縮小によって前記画像領域が分断されると、前記データで表される前記画像領域の前記輪郭線の位置を外側に補正した領域へ、前記画像領域を拡大する領域拡大手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記領域縮小手段によって縮小される前の前記画像領域を構成する連続領域の数と、縮小された後の前記画像領域を構成する連続領域の数とに基づいて、前記領域縮小手段によって前記画像領域が分断されたか否かを判定する分断判定手段を、さらに備え、
前記領域拡大手段は、前記領域縮小手段によって前記画像領域が分断されたと前記分断判定手段が判定した場合に、前記データで表される前記画像領域を拡大することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記領域縮小手段は、前記データ取得手段が取得した前記データで表される前記画像領域の前記輪郭線を表示する表示線の幅を前記所定値に基づいて前記輪郭線よりも内側に太くすることで、前記画像領域を縮小することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記領域縮小手段は、前記画像領域から前記表示線と重なった領域を取り除くことで、前記画像領域を縮小することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記領域縮小手段は、前記表示線の色を、前記画像領域の背景色に設定することで、前記画像領域を縮小することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記領域拡大手段は、前記データ取得手段が取得した前記データで表される前記画像領域の前記輪郭線を表示する表示線の幅を前記輪郭線よりも外側に太くすることで、前記画像領域を拡大することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記領域拡大手段は、前記画像領域に対して前記表示線で表される領域を追加することで、前記画像領域を拡大することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記領域拡大手段は、前記表示線の色を、前記画像領域の色に設定することで、前記画像領域を拡大することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記分断判定手段は、前記画像縮小手段によって縮小された前記画像領域をSVG形式で表すデータを生成すると共に、前記SVG形式の前記データに含まれるパスの数に基づいて前記画像領域を構成する前記連続領域の前記数を算出することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記領域縮小手段による縮小によって前記データで表される前記画像領域が分断されると、前記領域縮小手段は、前記領域拡大手段によって拡大された前記画像領域の輪郭線の位置を所定値だけ内側へ補正した領域へ縮小し、
拡大された前記画像領域が前記領域縮小手段によって分断されると、前記領域拡大手段は、拡大された前記画像領域の前記輪郭線の位置をさらに外側に補正し、
拡大された前記画像領域が前記領域縮小手段によって分断されないと、拡大された前記画像領域をシールの形状を表す領域として確定する領域確定手段を、さらに備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に画像処理装置。
【請求項11】
コンピューターを、
画像の一領域である画像領域の形状でシールの形状を表すデータを取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段が取得した前記データで表される前記画像領域の輪郭線の位置を所定値だけ内側へ補正した領域へ、前記画像領域を縮小する領域縮小手段と、
前記領域縮小手段による縮小によって前記画像領域が分断されると、前記データで表される前記画像領域の前記輪郭線の位置を外側に補正した領域へ、前記画像領域を拡大する領域拡大手段と、
して機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項12】
画像の一領域である画像領域の形状でシールの形状を表すデータを取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段が取得した前記データで表される前記画像領域の輪郭線の位置を所定値だけ内側へ補正した領域へ、前記画像領域を縮小する領域縮小手段と、
前記領域縮小手段による縮小によって前記画像領域が分断されると、前記データで表される前記画像領域の前記輪郭線の位置を外側に補正した領域へ、前記画像領域を拡大する領域拡大手段と、
前記領域拡大手段が拡大した前記画像領域の形状に基づいて前記シールを製造するシール製造手段と、を備えることを特徴とするシール製造システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−150403(P2011−150403A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9056(P2010−9056)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】