説明

画像処理装置、画像処理プログラムおよび画像処理システム

【課題】印刷情報を画素情報に変換する処理と媒体に出力する印刷処理とを合致させること。
【解決手段】本発明は、受信した印刷情報を画素情報に変換する情報変換手段13と、印刷情報を情報変換手段13で画素情報に変換する処理の終了時刻を予測し、終了時刻と印刷手段2で画素情報を印刷し終わる時刻とが合致するよう印刷手段2の印刷開始時刻を制御する印刷開始制御手段16とを有する画像処理装置1、画像処理システム、画像処理プログラムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理プログラムおよび画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
高速で大量の処理を要求される印刷装置では、印刷速度に画像処理速度が追いつかないケースが発生する。特に、連続紙を用いる印刷装置では、印刷開始後に印刷を中断すると、白紙印刷による用紙の無駄や装置停止に伴う機械的負荷等が発生するため、予め画像処理した情報を記憶装置に格納し、印刷装置の印字速度に合わせて送り出すことが行われている。
【0003】
特許文献1では、ページプリンタにおいて、受信済みのジョブに対し、受信情報量と印刷可能データへの変換速度、および印刷速度から印刷開始時期を判断する構成が記載されている。また、特許文献2では、ページプリンタにおいて、印刷時間を予測し、印刷データベース中の空き時間中に印刷を実施する構成が記載されている。また、特許文献3では、ページプリンタにおいて、ホストより間歇に送られてくるデータを、予め決められた時間毎、または一定量になったら印刷する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−190838号公報
【特許文献2】特許第4132610号明細書
【特許文献3】特許第3426419号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、印刷情報を画素情報に変換する処理の完了時刻と、媒体に出力する印刷処理の完了時刻とを合致させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願請求項1に係る発明は、受信した印刷情報を画素情報に変換する情報変換手段と、前記印刷情報を前記情報変換手段で画素情報に変換する処理の終了時刻を予測し、前記終了時刻と印刷手段で前記画素情報を印刷し終わる時刻とが合致するよう前記印刷手段の印刷開始時刻を制御する印刷開始制御手段とを有する画像処理装置である。
【0007】
本願請求項2に係る発明は、前記印刷開始制御手段が、前記終了時刻を予測するにあたり、前記印刷手段で印刷可能な頁数分の印刷情報を画素情報に変換する処理の終了時刻を予測する請求項1記載の画像処理装置である。
【0008】
本願請求項3に係る発明は、前記印刷開始制御手段が、前記印刷情報を受信してから予測した前記終了時刻までの時間をT1、前記画素情報について前記印刷手段による印刷の開始から前記印刷し終わる時刻までの時間をT2とした場合、T1<T2の場合には、前記印刷手段での印刷を即座に開始するよう制御する請求項1または2記載の画像処理装置である。
【0009】
本願請求項4に係る発明は、前記印刷開始制御手段が、前記印刷情報の頁数が予め設定された頁数に満たない場合には、前記印刷手段での印刷を即座に開始するよう制御する請求項1または2記載の画像処理装置である。
【0010】
本願請求項5に係る発明は、前記印刷開始制御手段が、前記印刷情報を受信してから前記印刷開始時刻までの時間が予め設定された時間を超える場合、当該予め設定した時間が経過した段階で前記印刷手段の印刷を開始するよう制御する請求項1または2記載の画像処理装置である。
【0011】
本願請求項6に係る発明は、前記印刷開始制御手段が、前記情報変換手段で予め設定した頁数分の印刷情報を画素情報に変換した時間に基づき前記終了時刻を予測する請求項1から5のうちいずれか1項に記載の画像処理装置である。
【0012】
本願請求項7に係る発明は、前記印刷開始制御手段が、複数の印刷情報の印刷開始を制御するにあたり、各印刷情報の頁数と、前記印刷手段で印刷可能な残り頁数とから、いずれかの印刷情報の印刷の途中で印刷が途切れないよう前記複数の印刷情報の印刷順序を入れ替える制御を行う請求項1から7のうちいずれか1項に記載の画像処理装置である。
【0013】
本願請求項8に係る発明は、受信した印刷情報を画素情報に変換する処理を行うステップと、前記印刷情報を前記画素情報に変換する処理の終了時刻を予測し、前記終了時刻と印刷手段で前記画素情報を印刷し終わる時刻とが合致するよう前記印刷手段の印刷開始時刻を制御するステップとをコンピュータに実行させる画像処理プログラムである。
【0014】
本願請求項9に係る発明は、受信した印刷情報を画素情報に変換し、当該画素情報を順次記憶手段に記憶するステップと、前記画素情報を前記記憶手段に記憶した際に一杯となるまでの時刻を予測し、前記一杯となるまでの時刻と印刷手段で前記画素情報を印刷し終わる時刻とが合致するよう前記印刷手段の印刷開始時刻を制御するステップとをコンピュータに実行させる画像処理プログラムである。
【0015】
本願請求項10に係る発明は、受信した印刷情報を画素情報に変換する情報変換手段と、前記情報変換手段で変換して得た画素情報を媒体に印刷する印刷手段と、前記印刷情報を前記情報変換手段で画素情報に変換する処理の終了時刻を予測し、前記終了時刻と前記印刷手段で前記画素情報を印刷し終わる時刻とが合致するよう前記印刷手段の印刷開始時刻を制御する印刷開始制御手段とを有する画像処理システムである。
【0016】
本願請求項11に係る発明は、受信した印刷情報を画素情報に変換する情報変換手段と、前記情報変換手段で変換して得た画素情報を一時記憶する記憶手段と、前記記憶手段に一時記憶された画素情報を媒体に印刷する印刷手段と、前記画素情報を前記記憶手段に記憶した際に一杯となるまでの時刻を予測し、前記一杯となるまでの時刻と前記印刷手段で前記画素情報を印刷し終わる時刻とが合致するよう前記印刷手段の印刷開始時刻を制御する印刷開始制御手段とを有する画像処理システムである。
【発明の効果】
【0017】
本願請求項1に係る発明によれば、印刷情報を画素情報に変換する処理の完了時刻と、媒体に出力する印刷処理の完了時刻とを合致させることが可能となる。
【0018】
本願請求項2に係る発明によれば、印刷手段で印刷可能な枚数分の印刷情報を画素情報に変換し終わるときに印刷出力も終了する画像処理が可能となる。
【0019】
本願請求項3に係る発明によれば、印刷情報を画素情報に変換し終わるまでの時間に応じた印刷出力の開始を制御することが可能となる。
【0020】
本願請求項4に係る発明によれば、印刷情報を画素情報に変換し終わるときに印刷出力も終了する画像処理が可能となるとともに、印刷情報の頁数が予め設定された頁数に満たない場合に即座に印刷を実行することが可能となる。
【0021】
本願請求項5に係る発明によれば、印刷手段による印刷を予め設定された時間以上待たされることなく開始することが可能となる。
【0022】
本願請求項6に係る発明によれば、予め設定した頁数分の印刷情報を画素情報に変換した時間から印刷開始の時刻を制御することが可能となる。
【0023】
本願請求項7に係る発明によれば、印刷情報の頁の途中で印刷が途切れない印刷出力を行うことが可能となる。
【0024】
本願請求項8に係る発明によれば、印刷情報を画素情報に変換し終わるときに印刷出力も終了する画像処理プログラムを提供することが可能となる。
【0025】
本願請求項9に係る発明によれば、画素情報を記憶手段に記憶し終わるまでの時間に応じた印刷出力の開始を制御するプログラムの提供が可能となる。
【0026】
本願請求項10に係る発明によれば、印刷情報を画素情報に変換し終わるときに印刷出力も終了するシステムを提供することが可能となる。
【0027】
本願請求項11に係る発明によれば、画素情報を記憶手段に記憶し終わるまでの時間に応じた印刷出力の開始を制御するシステムの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態に係る画像処理装置の構成例を説明するブロック図である。
【図2】印刷装置の構成例を示す図である。
【図3】本実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図4】本実施形態に係る画像処理システムを説明する図である。
【図5】第1実施形態に係る情報処理プログラムを説明するフローチャートである。
【図6】描画速度が印刷速度より遅い場合における印刷開始指示のタイミングを説明する図である。
【図7】第2実施形態における印刷開始指示のタイミング(その1)を説明する図である。
【図8】第2実施形態における印刷開始指示のタイミング(その2)を説明する図である。
【図9】第2実施形態における印刷開始指示のタイミング(その3)を説明する図である。
【図10】Nページ分の処理から描画処理速度を計算する処理の流れを説明するフローチャートである。
【図11】第2実施形態における印刷開始指示のタイミング(その1)に対応した画像処理プログラムの流れを説明するフローチャートである。
【図12】第2実施形態における印刷開始指示のタイミング(その1)に対応した画像処理プログラムの流れを説明するフローチャートである。
【図13】第2実施形態における印刷開始指示のタイミング(その2)に対応した画像処理プログラムの流れを説明するフローチャートである。
【図14】第2実施形態における印刷開始指示のタイミング(その2)に対応した画像処理プログラムの流れを説明するフローチャートである。
【図15】第2実施形態における印刷開始指示のタイミング制御において、描画処理速度の計算の他の例を説明するフローチャートである。
【図16】第3実施形態における印刷開始指示のタイミング(その1)を説明するフローチャートである。
【図17】第3実施形態における印刷開始指示のタイミング(その2)を説明するフローチャートである。
【図18】複数のジョブを受信した場合の入れ替え処理の流れを説明するフローチャートである。
【図19】ジョブの並び換えの一例を説明するジョブリストの遷移を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.画像処理装置の構成例
2.印刷装置の構成例
3.画像処理装置のハードウェア構成例
4.画像処理システム
5.画像処理プログラム
【0030】
<1.画像処理装置の構成例>
図1は、本実施形態に係る画像処理装置の構成例を説明するブロック図である。画像処理装置1は、受信手段11、計数手段12、情報変換手段13、記憶手段14、印刷制御手段15、印刷開始制御手段16を備えている。
【0031】
受信部11は、外部装置(例えば、コンピュータ)からネットワーク等を介して印刷情報を受信する部分である。印刷情報は、例えばページごとに処理されるPDL(Page Description Language)であり、ジョブ単位で外部装置から送られる。
【0032】
計数手段12は、受信手段11で受信した印刷情報を先読みして、ページの区切りを検出する部分である。また、計数手段12は、印刷情報からジョブ情報を検出する。検出したページの情報およびジョブ情報は、印刷開始制御手段16へ出力される。
【0033】
情報変換手段13は、印刷情報を印刷手段2が印刷処理するための画素情報(ビットマップデータ)に変換する処理を行う部分である。本実施形態では、情報変換手段13による変換処理を描画処理ともいう。情報変換手段13は、印刷開始制御手段16に、処理完了したページ数を通知する。また、情報変換手段13は、変換して得た画素情報を記憶手段14に送る。なお、図示しないが、記憶手段14への記憶ページ数を増やすため、画像圧縮機能を備える場合もある。
【0034】
記憶手段14は、情報変換手段13で変換して得た画素情報を一時記憶する部分である。記憶手段14は、情報変換手段13から送られる画素情報を順次蓄積していく。また、記憶手段14は、印刷開始制御手段16に、記憶容量の空き(空き容量)の情報を出力する。なお、記憶手段14は、印刷制御手段15を動作させるためのプログラムやデータを記録する手段を兼ねる場合もある。
【0035】
印刷制御手段15は、印刷開始制御手段16から送られる印刷開始指示を受けて、記憶手段14から画素情報を読み出し、印刷手段2へ送出する処理を行う。また、印刷制御手段15は、印刷手段2から送られる制御情報に基づき、用紙残量情報などを受信する。印刷制御手段15は、受信した用紙残量情報から用紙残量ページ数の情報を印刷開始制御手段16へ送る。
【0036】
印刷開始制御手段16は、計数手段12、情報変換手段13、記憶手段14、印刷制御手段14から送られる各種の情報に基づき、印刷開始指示を印刷制御手段15に出力する制御を行う。印刷開始制御手段16は、制御手段16aおよび計算手段16bを備えている。計算手段16bは、各部から送られる情報(メッセージ)に基づき計算を行う。制御手段16aは、計算手段16bによる計算結果に基づき、印刷開始指示を出力する判断を行う。
【0037】
印刷手段2は、印刷制御手段15から送出された画素情報に基づき、用紙等の媒体に画像を印刷し出力する部分である。
【0038】
本実施形態の画像処理装置1は、上記印刷開始制御手段16による印刷開始指示の送出に特徴がある。
【0039】
印刷開始制御手段16の一つの制御の例としては、印刷情報を情報変換手段13で画素情報に変換する処理の終了時刻を予測し、この終了時刻と印刷手段2で画素情報を印刷し終わる時刻とが合致するよう印刷手段2の印刷開始時刻を制御するものである。
【0040】
印刷開始制御手段16の別な一つの制御の例としては、印刷情報を情報変換手段13で画素情報に変換する処理の終了時刻を予測するにあたり、印刷手段2で印刷可能なページ数分の印刷情報を画素情報に変換する処理の終了時刻を予測するものである。
【0041】
印刷開始制御手段16の別な一つの制御の例としては、印刷情報を受信してから予測した終了時刻(印刷情報を情報変換手段13で画素情報に変換する処理の終了時刻)までの時間をT1、画素情報について印刷手段2による印刷の開始から印刷し終わる時刻までの時間をT2とした場合、次のような制御を行う。
(1)T1<T2の場合には、印刷手段2での印刷を即座に開始するよう制御する。
(2)T1≧T2の場合には、終了時刻と印刷手段2で画素情報を印刷し終わる時刻とが合致するよう印刷手段2の印刷開始時刻を制御する。
【0042】
印刷開始制御手段16の別な一つの制御の例としては、印刷情報のページ数が予め設定されたページ数に満たない場合には、印刷手段2での印刷を即座に開始するよう制御し、印刷情報のページ数が予め設定されたページ数以上の場合には、終了時刻と印刷手段2で画素情報を印刷し終わる時刻とが合致するよう印刷手段2の印刷開始時刻を制御するものである。
【0043】
印刷開始制御手段16の別な一つの制御の例としては、印刷情報を受信してから印刷開始時刻までの時間が予め設定された時間を超える場合、この予め設定した時間が経過した段階で印刷手段2の印刷を開始するよう制御するものである。
【0044】
印刷開始制御手段16の別な一つの制御の例としては、情報変換手段13で予め設定したページ数分の印刷情報を画素情報に変換した時間に基づき変換処理の終了時刻を予測し、この終了時間に基づいて印刷開始時刻を制御するものである。
【0045】
<2.印刷装置の構成例>
図2は、印刷装置の構成例を示す図である。この印刷装置PR1は連続紙に印刷を行う装置である。本実施形態に係る画像処理装置1は印刷装置PR1とネットワークNとの間に接続されており、同じネットワークNに接続される端末装置20からの指示をネットワークNを介して受け取り、印刷装置RP1へ印刷のための情報を送信している。
【0046】
印刷装置PR1には、用紙の搬送方向上手側に前処理装置3、バッファ装置4が設けられている。また、用紙の搬送方向下手側にはバッファ装置5、後処理装置6が設けられている。印刷装置PR1は、前処理装置3およびバッファ装置4から順次送られる印刷前の連続紙501を搬送しながら各色に対応した像担持体より各色のトナー像を転写していく。トナー像が転写された連続紙は定着装置7に送られ、トナー像を定着する。印刷後の連続紙502は、バッファ装置5および後処理装置6へと送られる。
【0047】
なお、図2に示す構成例では、画像処理装置1と印刷装置PR1とが別体に設けられている例を示しているが、画像処理装置1が印刷装置PR1に組み込まれている構成であってもよい。また、1つの画像処理装置1に複数の印刷装置PR1が接続され、画像処理装置1から複数の印刷装置PR1へ各々印刷のための情報を送るよう制御する構成でもよい。また、画像処理装置1と印刷装置PR1との組みがネットワークNに複数接続されている構成も考えられる。
【0048】
<3.画像処理装置のハードウェア構成例>
図3は、本実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。すなわち、本実施形態に係る画像処理装置1は、CPU110、メモリ120、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置130、ネットワークNを介して端末装置20との間でデータの送信および受信を行う通信インタフェース(IF)部140、タッチパネルや液晶ディスプレイにより構成されたユーザインタフェース(UI)装置150、印刷装置PR1との間でデータの素受信を行うエンジンIF部160を備えている。また、これらの構成が制御バス170を介して互いに接続されている。
【0049】
CPU110は、メモリ120または記憶装置130に格納された画像処理プログラムに基づいて所定の処理を実行し、画像処理装置の動作を制御する。
【0050】
<4.画像処理システム>
図4は、本実施形態に係る画像処理システムを説明する図である。すなわち、本実施形態に係る画像処理システムSTMは、上記説明した本実施形態の画像処理装置1が、ネットワークNを介して複数接続された構成である。
【0051】
図4(a)に示す例では、画像処理装置1と印刷装置PR1との組みが、ネットワークNを介して複数接続された構成のシステムとなっている。この画像処理システムSTMでは、ネットワークNを介して端末装置20から送られた印刷情報を、複数組みの画像処理装置1および印刷装置PR1で並列処理する。
【0052】
図4(b)に示す例では、画像処理装置1と印刷装置PR1との組みが複数設けられ、これらの組みが統括制御部100によって統括された構成のシステムとなっている。この画像処理システムSTMでは、ネットワークNを介して端末装置20から送られた印刷情報を統括制御部100が受けて、これを複数組みの画像処理装置1および印刷装置PR1に振り分けて処理する。
【0053】
いずれのシステム構成であっても、画像処理装置1は上記説明した本実施形態に係る構成および動作となっている。
【0054】
<5.画像処理プログラム>
本実施形態に係る画像処理プログラムは、コンピュータに実行させるステップを有している。すなわち、本実施形態に係る画像処理プログラムは、上記説明した画像処理装置1のハードウェア構成例をコンピュータで実現し、このコンピュータに実行させるステップを有する。ここで、本実施形態の画像処理プログラムは、CD−ROM等の記録媒体に記録されていたり、ネットワークを介して配信されたりするものでもある。
【0055】
以下、具体的な画像処理プログラムの例を説明する。なお、以下の説明で図に示されない符号は図1を参照するものとする。
【0056】
[第1実施形態]
図5は、第1実施形態に係る情報処理プログラムを説明するフローチャートである。先ず、受信手段11で印刷情報を受信し、情報変換手段13で印刷情報を画素情報に変換する処理を開始する。情報変換手段13は、描画済みの処理ページ数を印刷開始制御手段16へ送る。印刷開始制御手段16は、情報変換手段13から送られた処理ページ数に基づき、情報変換手段13による描画速度(PPM:ページ数/分)を算出する(ステップS101)。
【0057】
次に、印刷開始制御手段16は、算出した描画速度と、印刷手段2による印刷速度(PPM:ページ数/分)とを比較する(ステップS102)。ここで、描画速度が印刷速度より速い場合、印刷制御手段15へ印刷開始指示を送る(ステップS108)。これは、描画処理を待つまでもなく印刷処理を実行するためである。
【0058】
一方、描画速度が印刷速度より速くない場合、記憶手段14の空き容量があるか否かを判断する(ステップS103)。記憶手段14の空き容量がない場合、印刷開始制御手段16は、印刷制御手段15へ印刷開始指示を送る(ステップS108)。これは、記憶手段14から画素情報を読み出して、記憶手段14の空き容量を作るためである。
【0059】
記憶手段14に空き容量がある場合、印刷情報の受信を完了したか否かを判断する(ステップS104)。完了している場合、印刷開始制御手段16は、印刷制御手段15へ印刷開始指示を送る(ステップS108)。完了していない場合、印刷開始制御手段16は、印刷可能ページ数を取得する(ステップS105)。
【0060】
ここで、印刷可能ページ数を取得するには、印刷制御手段15から送られる用紙残量ページ数や、後処理装置での区切り時点までの印刷ページ数、消耗品(トナー等)不足予測時点までの印刷ページ数などである。印刷手段2による印刷速度は一定とする。
【0061】
例えば、連続帳票用紙の残り給紙可能ページ数は、前処理機がセンサにより給紙ロールの厚みを検出し、用紙の厚さと幅とから給紙可能な残りページ数を算出する。トナーの残量に対しては、現在印刷中のジョブのページ単位のトナー平均使用量を検出し、今後印刷可能なページ数を算出する。これら算出された印刷可能ページ数のうち、最小のページ数を基に印刷に必要な時間から印刷予測時間を算出する。印刷停止条件としては、給紙切れ、排出先容量満杯、トナー・インクなどの消耗品切れ、定期保守、印刷停止予定、などが挙げられる。
【0062】
次に、印刷開始制御手段16は、印刷可能ページ数と描画速度とから求まる描画完了予測時刻と、印刷可能ページ数と印刷手段2の印刷速度とから求まる印刷予測時間とを求め、現在時刻>(描画完了予測時刻−印刷予測時間)が成り立つか判断する(ステップS106)。成り立つ場合、印刷開始制御手段16は、印刷制御手段15へ印刷開始指示を送る(ステップS108)。成り立たない場合、描画ページを記憶手段14に記憶し(ステップS107)、ステップS101へ戻る。つまり、描画完了予測時刻から印刷予測時間を差し引くことで算出される時刻に達した段階で印刷を開始すれば、描画完了時刻と印刷完了時刻とが合致することになる。
【0063】
図6は、描画速度が印刷速度より遅い場合における印刷開始指示のタイミングを説明する図である。この図では、横軸が時間、縦軸がページ数となっている。図中傾斜(1)は、情報変換手段による描画ページ数、図中傾斜(2)は、印刷手段による印刷ページ数である。
【0064】
上記図5に示すフローチャートによって、印刷開始制御手段16は、印刷可能ページ数の描画を完了する時間から描画完了予測時刻を求める。ここで、描画速度は、描画を開始してから予め設定されたページ数分の描画時間から求める。また、印刷開始制御手段16は、印刷手段2の印刷速度から、印刷可能ページ数の印刷を完了する印刷予測時間を求める。ここで、印刷速度は印刷手段2の印刷処理能力によって予め決められたものである。
【0065】
上記図5に示すフローチャートによって、印刷開始制御手段16は、描画完了予測時刻から印刷予測時間を差し引いた時刻を求める。これにより、描画完了予測時刻と印刷完了時刻とが合致するための印刷開始指示の出力タイミングが求まることになる。ステップS図5に示すステップS106の判断はこの印刷開始時刻を求めるための判断となっている。印刷開始制御手段16によって出された印刷開始指示によって印刷処理を開始すると、印刷可能ページ数の描画処理が完了する時刻と印刷手段2による印刷出力が完了する時刻とが合致することになる。
【0066】
本実施形態の画像処理プログラムでは、連続して印刷することが要求される印刷装置において、給紙が途切れたり、消耗品が不足するなど予測される印刷停止条件までの印刷可能ページ数を取得し、そのページ数を描画する時間と印刷する時間を予測することで、印刷停止条件までの連続印刷を最適なタイミングで開始している。したがって、大量ページのジョブでは給紙の切り替えや消耗品補充などで印刷が中断するタイミングが定期的に存在するが、本実施形態により印刷停止が必要な時点までのスループットが向上し、大量ジョブの印刷の効率的な運用が図られることになる。
【0067】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態における印刷開始指示のタイミング(その1)を説明する図である。この図では、横軸が時間、縦軸がページ数となっている。図中傾斜(1)は、情報変換手段による描画ページ数、図中傾斜(2)は、印刷手段による印刷ページ数である。
【0068】
第2実施形態では、図中原点の位置である描画処理の開始から、ある一定のページ数(ここではNページ)の描画処理速度を印刷開始制御手段16で計測し、計測した値と、計数手段12から取得したジョブの総ページ数の情報とから、ジョブ全体の描画処理時間(T1)を算出する。一方、予め決められた印刷手段2の印刷速度と上記の総ページ数とから印刷処理時間(T2)を印刷開始制御手段16で算出する。そして、現在の時点から、(描画処理時間−印刷処理時間)が経過したときに、印刷開始制御手段16から印刷制御手段15へ印刷開始指示を与える制御を行う。これにより、描画処理と印刷処理との完了時刻が合致することになる。
【0069】
図8は、第2実施形態における印刷開始指示のタイミング(その2)を説明する図である。この図では、横軸が時間、縦軸がページ数となっている。図中傾斜(1)は、情報変換手段による描画ページ数、図中傾斜(2)は、印刷手段による印刷ページ数である。
【0070】
この例では、図中原点の位置である描画処理の開始から、ある一定のページ数(ここではNページ)の描画処理速度を印刷開始制御手段16で計測し、この計測した描画処理速度が、予め決められた印刷手段2の印刷速度より速い場合、即座に印刷開始指示を与える制御を行っている。すなわち、この場合、ジョブ全体の描画処理時間(T1)より印刷処理時間(T2)の方が小さくなり、即座に印刷開始指示を与えることになる。
【0071】
図9は、第2実施形態における印刷開始指示のタイミング(その3)を説明する図である。この図では、横軸が時間、縦軸がページ数となっている。図中傾斜(1)は、情報変換手段による描画ページ数、図中傾斜(2)は、印刷手段による印刷ページ数である。
【0072】
この例では、図中原点の位置である描画処理の開始から、ある一定のページ数(ここではNページ)の描画処理速度を印刷開始制御手段16で計測し、計測した値と、記憶手段14の記憶容量が一杯となるまでのページ数から、描画処理時間(T1)を算出する。一方、予め決められた印刷手段2の印刷速度と上記の総ページ数とから印刷処理時間(T2)を印刷開始制御手段16で算出する。そして、現在の時点から、(描画処理時間−印刷処理時間)が経過したときに、印刷開始制御手段16から印刷制御手段15へ印刷開始指示を与える制御を行う。
【0073】
次に、第2実施形態に対応する画像処理プログラムの処理の流れを説明する。図10は、Nページ分の処理から描画処理速度を計算する処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は印刷開始制御手段16に設けられる計算手段16bが行う。
【0074】
先ず、情報変換手段13から送られる通知メッセージの受信待ちを行う(ステップS201)。次に、受信したメッセージの内容を判断する(ステップS202)。メッセージが描画処理完了であれば処理を終了する。完了でなければ1ページ分の描画が完成であるか否か判断する(ステップS203)。
【0075】
1ページ分の描画が完成であれば、1ページ目であるか否かを判断する(ステップS204)。1ページ目であれば、計測用カウンタをクリアし(ステップS205)、現在時刻を取得する(ステップS206)。これが計測開始時刻となる。
【0076】
1ページ目でない場合、計測用カウンタをインクリメント(1加算)する(ステップS207)。次に、計測用カウンタがNであるか否かを判断する(ステップS208)。NでなければステップS201へ戻り、以降の処理を繰り返す。
【0077】
Nであれば、現在時刻を取得する(ステップS209)。これが計測終了時刻となる。次に、情報変換手段13での描画処理速度を計算する(ステップS210)。すなわち、先に取得した計測開始時刻と計測終了時刻とからNページ分の描画処理時間を求め、1分当たりの描画処理枚数(PPM)を計算する。そして、計算後の描画処理速度を制御手段16aにメッセージ通知する(ステップS211)。
【0078】
図11〜図12は、第2実施形態における印刷開始指示のタイミング(その1)に対応した画像処理プログラムの流れを説明するフローチャートである。この処理は、印刷開始制御手段16の制御部16aが行う。
【0079】
先ず、印刷手段2の印刷処理速度を印刷制御手段15を介して取得する(ステップS301)。次に、通知メッセージの受信待ちを行う(ステップS302)。受信したメッセージが情報変換手段13から送られる描画処理完了であれば(ステップS303)、図12のステップS314へ進み、印刷制御手段15へ印刷開始指示のメッセージを通知する。
【0080】
描画処理完了でない場合、計算手段16bから送られる描画処理速度のメッセージであるか否かを判断する(ステップS304)。描画処理速度のメッセージである場合、描画処理速度と印刷処理速度との比較を行う(ステップS305)。比較の結果、描画処理速度の方が印刷処理速度より速ければ、図12のステップS314へ進み、印刷制御手段15へ印刷開始指示のメッセージを通知する。一方、描画処理速度が印刷処理速度より速くない場合、描画処理速度を一時記憶し(ステップS306)、図12のステップS309へ進む。
【0081】
ステップS304の判断で、メッセージが描画処理速度でなかった場合、図12のステップS307へ進む。ここでは、メッセージが総ページ数であるか否かを判断する。総ページ数でなければ、ステップS313へ進む。総ページ数であれば、総ページ数を一時記憶する(ステップS306)。
【0082】
次に、総ページ数および描画処理速度を受信して一時記憶したか否かを判断する(ステップS309)。一時記憶していなければ図11のステップS302へ戻り、以降の処理繰り返す。一時記憶していれば、印刷処理時間および描画処理時間を計算する(ステップS310)。次に、待ち時間の計算を行う(ステップS311)。ここでは、待ち時間=(描画処理時間−印刷処理時間)の計算を行う。そして、タイマーを起動する(ステップS312)。タイマーは、先に計算した待ち時間経過後に、「待ち時間経過」のメッセージを制御部16aに通知するものである。
【0083】
そして、メッセージが待ち時間経過か否かを判断し(ステップS313)、待ち時間経過のメッセージであれば、印刷制御手段15へ印刷開始指示のメッセージを通知する(ステップS314)。
【0084】
図13は、第2実施形態における印刷開始指示のタイミング(その2)に対応した画像処理プログラムの流れを説明するフローチャートである。この処理は、印刷開始制御手段16の制御部16aが行う。
【0085】
先ず、印刷手段2の印刷処理速度を印刷制御手段15を介して取得する(ステップS401)。次に、通知メッセージの受信待ちを行う(ステップS402)。受信したメッセージが情報変換手段13から送られる描画処理完了であれば(ステップS403)、印刷制御手段15へ印刷開始指示のメッセージを通知する(ステップS406)。
【0086】
描画処理完了でない場合、計算手段16bから送られる描画処理速度のメッセージであるか否かを判断する(ステップS404)。描画処理速度のメッセージでない場合、ステップS402へ戻る。描画処理速度のメッセージである場合、描画処理速度と印刷処理速度との比較を行う(ステップS405)。比較の結果、描画処理速度の方が印刷処理速度より速ければ、印刷制御手段15へ印刷開始指示のメッセージを通知する(ステップS406)。一方、描画処理速度が印刷処理速度より速くない場合、ステップS402へ戻り、以降の処理を繰り返す。
【0087】
図14は、第2実施形態における印刷開始指示のタイミング(その2)に対応した画像処理プログラムの流れを説明するフローチャートである。この処理は、印刷開始制御手段16の制御部16aが行う。
【0088】
先ず、印刷手段2の印刷処理速度を印刷制御手段15を介して取得する(ステップS501)。次に、通知メッセージの受信待ちを行う(ステップS502)。受信したメッセージが情報変換手段13から送られる描画処理完了であれば(ステップS503)、印刷制御手段15へ印刷開始指示のメッセージを通知する(ステップS510)。
【0089】
描画処理完了でない場合、計算手段16bから送られる描画処理速度のメッセージであるか否かを判断する(ステップS504)。メッセージが描画処理速度でなかった場合、ステップS509へ進む。一方、描画処理速度のメッセージである場合、描画処理速度と印刷処理速度との比較を行う(ステップS505)。比較の結果、描画処理速度の方が印刷処理速度より速ければ、印刷制御手段15へ印刷開始指示のメッセージを通知する(ステップS510)。
【0090】
一方、描画処理速度が印刷処理速度より速くない場合、記憶手段14の記憶容量が一杯(スプールフル)のときの全ページの印刷処理時間および描画処理時間を計算する(ステップS506)。
【0091】
次に、待ち時間の計算を行う(ステップS507)。ここでは、待ち時間=(描画処理時間−印刷処理時間)の計算を行う。そして、タイマーを起動する(ステップS508)。タイマーは、先に計算した待ち時間経過後に、「待ち時間経過」のメッセージを制御部16aに通知するものである。タイマーを起動した後は、ステップS502へ戻る。
【0092】
ステップS504の判断で、メッセージが描画処理速度でなく、ステップS509へ進んだ場合、メッセージが待ち時間経過であるか否かを判断する。待ち時間経過でなければステップS502へ戻り、以降の処理を繰り返す。一方、待ち時間経過であれば、印刷制御手段15へ印刷開始指示のメッセージを通知する(ステップS510)。
【0093】
図15は、第2実施形態における印刷開始指示のタイミング制御において、描画処理速度の計算の他の例を説明するフローチャートである。この処理は印刷開始制御手段16に設けられる計算手段16bが行う。
【0094】
先ず、情報変換手段13から送られる通知メッセージの受信待ちを行う(ステップS601)。次に、受信したメッセージの内容を判断する(ステップS602)。メッセージが描画処理完了であれば処理を終了する。完了でなければ1ページ分の描画が完成であるか否か判断する(ステップS603)。
【0095】
1ページ分の描画が完成であれば、1ページ目であるか否かを判断する(ステップS604)。1ページ目であれば、計測用カウンタをクリアし(ステップS605)、現在時刻を取得する(ステップS606)。これが計測開始時刻となる。
【0096】
1ページ目でない場合、計測用カウンタをインクリメント(1加算)する(ステップS607)。次に、計測用カウンタをNで割った余り(計数カウンタ%N)が0であるか否かを判断する(ステップS608)。0でなければステップS601へ戻り、以降の処理を繰り返す。0であれば、現在時刻を取得する(ステップS609)。これが計測終了時刻となる。
【0097】
次に、情報変換手段13での描画処理速度を計算する(ステップS610)。すなわち、先に取得した計測開始時刻と計測終了時刻とからNページ分の描画処理時間を求め、1分当たりの描画処理枚数(PPM)を計算する。そして、計算後の描画処理速度を制御手段16aにメッセージ通知する(ステップS611)。
【0098】
図15に示すフローチャートの処理では、一定間隔(ここではNページ間隔)で描画処理速度の計算を行い、制御手段16aへ通知している。これにより、Nページ間隔で描画処理速度の見直しを図り、より正確な描画処理時間を予測することになる。
【0099】
[第3実施形態]
図16は、第3実施形態における印刷開始指示のタイミング(その1)を説明するフローチャートである。この処理は印刷開始制御手段16に設けられる制御手段16aおよび計算手段16bが行う。
【0100】
先ず、メッセージの受信を行う(ステップS701)。受信したメッセージがジョブ情報であれば(ステップS702)、ステップS708へ進む。受信したメッセージが計数手段12から送られるページ情報であれば(ステップS703)、計数手段12が受信ページ数に1を加算し(ステップS704)、受信ページ数と予め印刷制御手段15を介し取得された用紙残量ページ数とを比較する(ステップS705)。ここでは、ページサイズを固定(例えば、JIS(日本工業規格)、A4)に固定とするが、計数手段12による先読みでページサイズを適宜得ることで、サイズが混合したジョブにも対応できる。この場合、用紙残量ページ数ではなく、用紙残量長さが取得される。
【0101】
ステップS705の比較判断で、受信ページ数が用紙残量ページ数より多くない場合、受信ページの容量を計算手段16bで計算し(ステップS706)、計算した受信ページの容量と、記憶手段14の残り記憶容量とを比較する(ステップS707)。ここで、受信ページ容量とは、印刷データを処理した画像データの容量でページサイズにより決まる。受信ページ容量が、記憶手段14の残り記憶容量より小さい場合は、ステップS701のメッセージ受信待ちに戻る。
【0102】
受信ページ数が用紙残量ページ数より多い場合、もしくは受信ページ容量が記憶手段14の残り記憶容量より大きい場合、印刷開始判断を実施する(ステップS708)。そして、印刷開始であれば(ステップS709)、印刷開始制御手段16から印刷制御手段15へ印刷開始指示を送る(ステップS710)。
【0103】
ここで、ステップS708の印刷開始判断は、次の式によって行われる。
(式)…処理待ちページ処理時間>処理済みページ印刷時間
ここで、
・処理待ちページ処理時間=(未処理ページ数−処理済みページ数)×1ページ当たりの処理時間
・処理済みページ印刷時間=処理済みページ数/印刷装置の印刷速度
・未処理ページ数=最初に印刷開始判断した時の受信ページ数
である。
【0104】
なお、1ページ当たりの処理時間は、情報変換手段13での処理状況から計算される。
【0105】
上記式が成り立つ場合、すなわち、処理待ちページ処理時間が処理済みページ印刷時間より大きい間は計数手段12からのメッセージ待ちの状態に戻り(ステップS701)、小さくなった場合、印刷開始制御手段16から印刷制御手段15に対し、印刷開始を指示する。つまり、上記式の成立、不成立の切り替わりのタイミングを求め、そのタイミングで印刷開始指示を与えると、描画処理の完了する時刻と印刷処理の完了する時刻との合致が成されることになる。
【0106】
以上の処理を計数手段12からジョブ情報(ジョブの境目)を受け取るまで繰り返す。これにより、画像データ不足による印刷中断を発生させること無しに、ジョブ受信完了と印刷完了との合致が行われることになる。
【0107】
図17は、第3実施形態における印刷開始指示のタイミング(その2)を説明するフローチャートである。この処理は印刷開始制御手段16に設けられる制御手段16aおよび計算手段16bが行う。図16に示す印刷開始指示のタイミング(その1)の流れに対し、図17に示す印刷開始指示のタイミング(その1)の流れでは、以下の点で相違する。
【0108】
(1)メッセージ待ちの間に、「受信待ち時間」と「最大印刷待ち時間」とを比較し、「受信待ち時間」が長くなった時、印刷開始判断を実施する。これは、ホストから長時間データが送られてこない場合に、自動的に印刷を開始させるためである。
(2)メッセージ待ちの間に、「ドレイン(強制印刷)」を受け付ける。これは、(1)と同様にホストから長時間データが送られてこない場合にオペレータによる印刷開始を実行するためである。
(3)ジョブ情報を受け取った際に、受信ページ数が最低印刷ページより少ない場合、印刷を開始せずに次のジョブの処理を継続する。これは、多数の小容量ジョブを受信した際に印刷装置の不必要な起動・停止を抑止するためである。
【0109】
先ず、メッセージの受信を行う(ステップS801)。メッセージを受信しない場合は、受信待ち時間と最大印刷待ち時間との比較を行う(ステップS807)。受信待ち時間は、メッセージを受けてから次のメッセージを受けるまでの待ち時間である。また、最大印刷待ち時間は、予め設定された時間である。受信待ち時間が最大印刷待ち時間より長くなった場合、印刷開始制御手段16から印刷制御手段15へ印刷開始指示を送る(ステップS811)。
【0110】
一方、受信したメッセージがジョブ情報であれば(ステップS802)、受信ページ数と最低印刷ページ数との比較を行う(ステップS803)。受信ページ数が最低印刷ページ数より大きい場合、ステップS809の印刷開始判断へ進む。受信ページ数が最低印刷ページ数より大きくない場合、ステップS804へ進む。
【0111】
受信したメッセージが計数手段12から送られるページ情報であれば(ステップS804)、受信ページ数と予め印刷制御手段15を介し取得された用紙残量ページ数とを比較する(ステップS805)。受信ページ数が用紙残量ページ数より大きい場合、ステップS809の印刷開始判断へ進む。一方、受信ページ数が用紙残量ページ数より大きくない場合、受信ページの容量と、記憶手段14の残り記憶容量とを比較する(ステップS806)。受信ページ容量が記憶手段14の残り記憶容量より大きい場合、印刷開始判断を実施する(ステップS809)。
【0112】
ステップS809の印刷開始判断は、図16に示す印刷開始指示のタイミング(その1)の流れで説明した手法と同じである。ここで印刷開始と判断されれば(ステップS810)、印刷開始制御手段16から印刷制御手段15へ印刷開始指示を送る(ステップS811)。
【0113】
図18は、複数のジョブを受信した場合の入れ替え処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、図16のステップS705、もしくは図17に示すステップS805の「受信ページ数>用紙残量ページ数」判断で真になった後に実施されるものである。
【0114】
先ず、用紙一杯に印刷するか、ジョブの区切りで印刷するかの判断を行う(ステップS901)。ここで、用紙一杯に印刷するとは、ジョブの途中であっても用紙を最後まで使い切る印刷のことである。また、ジョブの区切りで印刷するとは、ジョブの途中で用紙切れが発生しないよう、ジョブの区切りまで印刷することをいう。この判断は、印刷装置に予め設定されたものを用いる。
【0115】
用紙一杯に印刷する場合には、印刷開始判断へ進む。一方、ジョブの区切りで印刷する場合、ジョブの並び換えを行うか否かを判断する(ステップS902)。ジョブの並べ替えを行うか否かは、予め設定された条件によって判断する。
【0116】
ここで、ジョブを受信すると、ジョブリストにジョブが登録される。ジョブリストは、受信した順番にジョブNo.が付され、ジョブNo.に対応して、計数手段12によって計数されたページ数、処理済みページ数、ジョブの処理状態が登録されたテーブルデータである。ジョブの並べ換えは、ジョブリストに登録されたジョブの順番を入れ替えるものである。
【0117】
ステップS902の判断で、ジョブの並び換えを行わない場合は、ジョブリストに登録されたジョブのうち、用紙残量以内で印刷完了できる最後のジョブまでを対象として印刷開始判断へ進む(ステップS903)。ここで処理の対象となったジョブの印刷が終わった後、印刷装置の画面等にメッセージを表示し、用紙の追加(交換)を促すようにしてもよい。また、この際、処理されずに残ったジョブの取り扱いをオペレータに問い合わせるようにしてもよい。
【0118】
ステップS902の判断で、ジョブの並び換えを行う場合は、ジョブの区切りまで受信を継続する(ステップS904)。次に、ジョブの区切りまで受信を完了した後、ジョブリストの古いジョブからページ数を加算し、用紙残量以内に収まるジョブを求め、ジョブリスト内でジョブの順番の並び換えを実施する(ステップS905)。
【0119】
次いで、再度、受信完了しているジョブの中からページの合計が用紙残量以内に収まるジョブを求め、ジョブリスト内でジョブの順番の並び換えを実施する(ステップS906)。そして、この並び換え後のジョブリストに沿って、印刷開始判断へ進む。
【0120】
図19は、ジョブの並び換えの一例を説明するジョブリストの遷移を説明する図である。ジョブの並べ換えは、図19(a)〜(d)の順に行われる。図19に示すジョブリストの例では、4つのジョブの受信が完了し、現在N番目のジョブを受信している途中の状態を示している。ジョブNo.には、N番目のジョブのほか、4つ前までのジョブ(N−4、N−3、N−2、N−1)のジョブが登録されている。
【0121】
図19(a)に示すジョブリストは、ジョブを受信した順に下から上にジョブが登録されている。この例では、N−4のジョブが、ページ数4000ページ、処理済みページ数4000ページであり、状態として「処理済み」となっている。また、N−3のジョブは、ページ数2000ページ、処理済みページ数1500ページであり、状態として「画像処理中」となっている。また、N−2のジョブは、ページ数2000ページ、処理済みページ数0ページであり、状態として「受信完了」となっている。また、N−1のジョブは、ページ数1000ページ、処理済みページ数0ページであり、状態として「受信完了」となっている。また、Nのジョブは、ページ数2000ページ、処理済みページ数0ページであり、状態として「受信中」となっている。
【0122】
ここで、N−4のジョブを受信した段階で、用紙残量ページが10000ページであるとすると、ジョブリストに登録されている全てのジョブのページ数の合計が11000ページとなることから、図16のステップS705および図17のステップS805に示す「受信ページ数>用紙残量ページ数」の条件が成立する。
【0123】
そして、図18のステップS902で示す「並び替えを実施する」が選択されていない場合は、用紙残量以内で印刷完了する最後のジョブまで印刷対象とする。図19に示す例では、ジョブN−4からジョブN−1までの合計のページ数が9000ページであることから、ジョブN−1までであれば用紙残量以内で印刷が完了することになる。
【0124】
「並び替えを実施する」が選択されていると、印刷開始処理をせずに受信を継続し、ジョブNの受信を完了する。受信完了時、ジョブNは3000ページであることが判明する。図19(b)は、ジョブNの受信を完了した状態のジョブリストを示している。ジョブNの受信を完了すると、次のジョブN+1が受信中となってジョブリストに登録されている。
【0125】
次に、ジョブリストに登録された古いジョブからページ数を加算し、用紙残量(10000ページ)−最新のジョブのページ数(3000ページ)以内に収まるジョブを求める。すなわち、図19(b)に示す例では、1000ページ−3000ページ=7000ページ以内に収まるジョブは、下からジョブN−4、N−3(合計6000ページ)であるため、ジョブN−3が該当する。したがって、ジョブNをジョブN−3の次に並べ替える(図19(c)参照)。
【0126】
次に、再度、ジョブリスト中の受信完了しているジョブの中からリストの下から順にページ数を加算し、用紙残量(10000ページ)−最上のジョブのページ数(1000ページ)以内に収まるジョブを求める。図19(c)に示す例では、10000ページ−1000ページ=9000ページ以内に収まるジョブは、下からN−4、N−3、N(合計9000ページ)であるため、ジョブNが該当する。したがって、ジョブN−1をジョブNの次に並べ替える(図19(d)参照)。
【0127】
以上で、並べ替えが終了するので、ジョブN−1までを一括印刷の対象として印刷開始判断処理へ移行する。これにより、ジョブが用紙残量に収まりきれない場合、一つのジョブが2つのロールに分かれてしまうこと回避し、かつ、用紙を極力無駄にしない印刷処理となる。
【0128】
また、ジョブN−1まで印刷が終わった後、印刷装置の画面等にメッセージを表示し、用紙の追加(交換)を促すようにしてもよい。また、この際、処理されずに残ったジョブN+1の取り扱いをオペレータに問い合わせるようにしてもよい。
【0129】
なお、上記の例では、ジョブリストの自動的な並べ換えについて説明しているが、受信中のジョブの受信が完了した後に、印刷装置の画面等にジョブリストを表示し、オペレータによるジョブリストの操作によって並び換えを行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0130】
1…画像処理装置、2…印刷手段、11…受信手段、12…計数手段、13…情報変換手段、14…記憶手段、15…印刷制御手段、16…印刷開始制御手段、16a…制御手段、16b…計算手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した印刷情報を画素情報に変換する情報変換手段と、
前記印刷情報を前記情報変換手段で画素情報に変換する処理の終了時刻を予測し、前記終了時刻と印刷手段で前記画素情報を印刷し終わる時刻とが合致するよう前記印刷手段の印刷開始時刻を制御する印刷開始制御手段と
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記印刷開始制御手段は、前記終了時刻を予測するにあたり、前記印刷手段で印刷可能な頁数分の印刷情報を画素情報に変換する処理の終了時刻を予測する
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記印刷開始制御手段は、
前記印刷情報を受信してから予測した前記終了時刻までの時間をT1、前記画素情報について前記印刷手段による印刷の開始から前記印刷し終わる時刻までの時間をT2とした場合、
T1<T2の場合には、前記印刷手段での印刷を即座に開始するよう制御する
請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記印刷開始制御手段は、
前記印刷情報の頁数が予め設定された頁数に満たない場合には、前記印刷手段での印刷を即座に開始するよう制御する
請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記印刷開始制御手段は、前記印刷情報を受信してから前記印刷開始時刻までの時間が予め設定された時間を超える場合、当該予め設定した時間が経過した段階で前記印刷手段の印刷を開始するよう制御する
請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記印刷開始制御手段は、前記情報変換手段で予め設定した頁数分の印刷情報を画素情報に変換した時間に基づき前記終了時刻を予測する
請求項1から5のうちいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記印刷開始制御手段は、複数の印刷情報の印刷開始を制御するにあたり、各印刷情報の頁数と、前記印刷手段で印刷可能な残り頁数とから、いずれかの印刷情報の印刷の途中で印刷が途切れないよう前記複数の印刷情報の印刷順序を入れ替える制御を行う
請求項1から7のうちいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
受信した印刷情報を画素情報に変換する処理を行うステップと、
前記印刷情報を前記画素情報に変換する処理の終了時刻を予測し、前記終了時刻と印刷手段で前記画素情報を印刷し終わる時刻とが合致するよう前記印刷手段の印刷開始時刻を制御するステップと
をコンピュータに実行させる画像処理プログラム。
【請求項9】
受信した印刷情報を画素情報に変換し、当該画素情報を順次記憶手段に記憶するステップと、
前記画素情報を前記記憶手段に記憶した際に一杯となるまでの時刻を予測し、前記一杯となるまでの時刻と印刷手段で前記画素情報を印刷し終わる時刻とが合致するよう前記印刷手段の印刷開始時刻を制御するステップと
をコンピュータに実行させる画像処理プログラム。
【請求項10】
受信した印刷情報を画素情報に変換する情報変換手段と、
前記情報変換手段で変換して得た画素情報を媒体に印刷する印刷手段と、
前記印刷情報を前記情報変換手段で画素情報に変換する処理の終了時刻を予測し、前記終了時刻と前記印刷手段で前記画素情報を印刷し終わる時刻とが合致するよう前記印刷手段の印刷開始時刻を制御する印刷開始制御手段と
を有する画像処理システム。
【請求項11】
受信した印刷情報を画素情報に変換する情報変換手段と、
前記情報変換手段で変換して得た画素情報を一時記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に一時記憶された画素情報を媒体に印刷する印刷手段と、
前記画素情報を前記記憶手段に記憶した際に一杯となるまでの時刻を予測し、前記一杯となるまでの時刻と前記印刷手段で前記画素情報を印刷し終わる時刻とが合致するよう前記印刷手段の印刷開始時刻を制御する印刷開始制御手段と
を有する画像処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−45999(P2011−45999A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193758(P2009−193758)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】