説明

画像処理装置、画像処理方法、およびプログラム

【課題】 簡単な処理で、且つ適切に画像を解析することができる画像処理装置、画像処理方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】 オリジナル画像を縮小する縮小し、当該縮小で得られた縮小画像を拡大する。また、オリジナル画像を拡大する。そして、縮小画像の拡大で得られた第1の拡大画像と、オリジナル画像の拡大で得られた第2の拡大画像とを比較することにより、オリジナル画像を解析する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を解析するための画像処理装置、画像処理方法、およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、品質の低いデジタル画像として、撮影時の「手ブレ」や被写体が動くことによる「被写体ブレ」が生じている画像がある。さらに、撮影時の主要被写体に焦点距離が合わないことに起因する「ピンボケ」が生じている画像などがある。
【0003】
このような品質の低いデジタル画像を解析する技術として、特許文献1では、原画像にフィルタを用いることでボケ画像を生成し、原画像とボケ画像とを比較したときの差分量により、原画像においてピントが合致している度合いを測定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−98435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来技術では、フィルタを用いてボケ画像を生成している。しかしながら、解析対象の画像に対してフィルタを用いてボカシ処理を行う場合、処理負荷が大きくなってしまう。
【0006】
従って、本発明は上記の課題を鑑みて、画像を解析するときに、簡単な処理で、且つ適切に画像を解析することができる画像処理装置、画像処理方法、およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像処理装置は、オリジナル画像を縮小する縮小手段と、前記縮小手段による縮小で得られた縮小画像を拡大する第1の拡大手段と、前記オリジナル画像を拡大する第2の拡大手段と、前記第1の拡大手段による拡大で得られた第1の拡大画像と、前記第2の拡大手段による拡大で得られた第2の拡大画像とを比較することにより、前記オリジナル画像を解析する解析手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、オリジナル画像を縮小、拡大した画像と、オリジナル画像を拡大した画像とを比較することで、オリジナル画像を解析するため、簡単な処理で、且つ適切に画像を解析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】画像処理装置のブロック図である。
【図2】本実施例のブレボケ推定方法を説明するための図である。
【図3】画像の縮小・拡大処理による、画素のずれを説明するための図である。
【図4】本発明のブレボケ推定の手順を示すフローチャートである。
【図5】解析領域を示す図である。
【図6】多段階の縮小率で縮小した縮小画像を拡大したときの、画素のずれを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施例1)
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施例における画像処理装置のブロック図である。
CPU101は、中央演算ユニット(Central Processing Unit)で、他の機能ブロックや装置の制御を行う。ブリッジ部102は、CPU101と他の機能ブロックの間でデータのやり取りを制御する機能を提供している。
【0011】
ROM(Read Only Memory) 103は読み込み専用の不揮発メモリであり、BIOS(Basic Input/Output System)と呼ばれるプログラムが格納されている。BIOSは画像処理装置が起動したときに最初に実行されるプログラムであり、2次記憶装置105、表示装置107、入力装置109、出力装置110などの周辺機器の基本入出力機能を制御するものである。
【0012】
RAM(Random Access Memory)104は、高速の読み/書き可能な記憶領域を提供する。
【0013】
2次記憶装置105は、大容量の記憶領域を提供するHDD(Hard Disk Drive)である。BIOSが実行されると、HDDに格納されているOS(Operating System)が実行される。OSはすべてのアプリケーションで利用可能な基本的な機能や、アプリケーションの管理、基本GUI(Graphical User Interface)を提供する。アプリケーションは、OSが提供するGUIを組み合わせることで、アプリケーション独自の機能を実現するUIを提供できる。
【0014】
なお、上記のOSや、他のアプリケーションの実行プログラムや作業用に使用しているデータは、必要に応じてROM103または2次記憶装置105に格納される。また、本実施例の処理を実行する画像処理アプリケーションは、ROM103または2次記憶装置105に格納され、ユーザの操作で起動するアプリケーションとして提供される。以下で説明する処理は、CPU101が、ROM103や2次記憶装置105に記憶されている、OS、画像処理アプリケーション等のプログラムを、RAM104をワークメモリとして実行することで実現する。
【0015】
表示制御部106は、OSやアプリケーションに対して行われるユーザの操作の結果をGUIの画像データとして生成し、表示装置107で表示するための制御を行う。表示装置107には液晶ディスプレイや、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイが使用できる。
【0016】
I/O制御部108は、複数の入力装置109、出力装置110とのインターフェースを提供するものである。代表的なインターフェースとして、USB(Universal Serial Bus)やPS/2(Personal System/2)がある。
【0017】
入力装置109は、キーボード、マウスといった操作デバイスであり、I/O制御部108は、入力装置109を介してユーザの指示を画像処理装置に入力する。
【0018】
I/O制御部108は、各種の出力装置110を接続して、接続されている出力装置110にデータを出力する。出力装置110は例えばプリンターであり、I/O制御部が印刷データを出力装置に出力することで、印刷データに対応する画像を印刷させることができる。
【0019】
なお、画像処理装置には、デジタルカメラ、USBメモリ、CF(Compact Flash)メモリ、SD(Secure Digital)メモリカードといった記憶装置などを接続することもできる。そして、I/O制御部は、そのデジタルカメラやメモリに画像データなどのデータを転送することや、逆にデジタルカメラやメモリからデータを取得することも可能である。
【0020】
後述するが、本実施例では、動画像に含まれているフレーム(静止画像)における、ブレ、ボケを判定する。その動画像のデータは、上記の2次記憶装置105や、画像処理装置に接続されているUSBメモリやCFメモリ、SDメモリカード等から供給される。
【0021】
また、本実施例では、動画像に含まれる静止画像を縮小して、その縮小した静止画像を拡大する。そして、そのように縮小・拡大された静止画像と、上記の縮小処理を実行していない静止画像とを比較することにより、当該静止画像のブレ、ボケの判定を行う。このブレ、ボケ判定を、図2を用いて説明する。
【0022】
図2は本実施例のブレボケ推定方法を説明するための図である。
まず、オリジナル画像201の所定領域を縮小して縮小画像202を作成する。この縮小処理は、例えばオリジナル画像の画素を間引く、またはオリジナル画像の複数の画素値の平均を取って新たな画素とする、等の処理により行われる。このように縮小された縮小画像202は、オリジナル画像よりも情報量が減少した分だけオリジナル画像よりも画質が劣化する。縮小画像202を再拡大して再拡大画像203を生成する。この拡大処理は、縮小画像202に含まれる画素により、新たな画素を生成することで行われる。具体的には、縮小画像202に含まれる画素の画素値により、新たな画素の画素値を決定し、その画素値の画素が、縮小画像202の画素の間に配置されるように、再拡大画像203を生成する。
【0023】
この場合、上記のように、縮小画像202はオリジナル画像の画素の間引き処理や平均化処理により実行されるため、その縮小画像202を再拡大して再拡大画像203を生成しても、オリジナル画像201に戻ることはない。よって、オリジナル画像201と再拡大画像203には少なからず差分が発生する。
【0024】
ここで、画像におけるブレやボケとは、本来あるべき画素データに周辺の画素データが畳込まれることによって劣化したものと考えれば、上記のような画像の縮小、拡大処理により、ブレ、ボケが画像に生じる。従って、もともとオリジナル画像201のブレ量やボケ量が大きかった場合には、上記の縮小、拡大を行ったとしても、大きな変化はない。しかしながら、オリジナル画像にブレ量やボケ量が少なかった場合には、縮小、拡大により、初めてブレ、ボケが発生することになる。よって、もともとオリジナル画像201のブレ量やボケ量が大きかった場合と、ブレ量やボケ量が少なかった場合で、上記の差分量に違いが生じることになる。具体的には、オリジナル画像が元々ブレやボケを多く含む画像であるほど、差分量が小さくなると考えられる。
【0025】
そこで、本実施例では、オリジナル画像を縮小・拡大した画像と、オリジナル画像との差分値により、オリジナル画像のブレ、ボケを判定する。
【0026】
また、本実施例では、画像の縮小処理を行うときに、上記の平均化処理によって、縮小を行う。即ち、オリジナル画像に含まれる複数の画素の画素値の平均を取り、その平均値を有する画素を、縮小画像の画素とする。
【0027】
なお、本実施例では、オリジナル画像201と、再拡大画像203との差分を取るときに、両方の画像に含まれる画素の画素値(画素レベル)を比較し、所定値以上の差分がある画素の数により、オリジナル画像201と再拡大画像203の差分を判定する。なお、この画素値は、輝度や濃度といった各種のデータでよい。
【0028】
また、上記の縮小処理において、平均化を実行する複数の画素の数が多いほど、縮小画像の1つの画素に畳込まれるオリジナル画像の画素が多くなり、オリジナル画像との差分が広範囲で発生することになる。これにより、再拡大して比較したときにオリジナルとの差が発生しやすくなってしまう。つまり、エッジ部がなまることによって生まれた差と、より広い範囲の画素が畳込まれたことによる差が混在してしまうことになり、ブレボケ推定値において後者がノイズとして作用することになる。つまり、差分をブレボケ推定の評価量とする場合には、畳込む画素が多くなればなるほど評価量を求める際にノイズとして作用することになる。
【0029】
この場合、オリジナル画像がブレ、ボケが多い画像であったとしても、その画像を縮小・拡大すればオリジナル画像との差分が大きくなるため、オリジナル画像がブレ、ボケの少ない画像と誤判定してしまう可能性がある。
【0030】
従って、オリジナル画像において、平均化を実行する画素を、可能な限り微小な領域で特定することが望ましい。従って、本実施例では、オリジナル画像における2×2画素の領域を平均化する。詳細については図3を用いて説明する。
【0031】
なお、本実施例では、上記のように、画像の縮小・拡大処理を行い、オリジナルの画像と比較することにより、画像のブレ、ボケを判定している。しかしながら、画像の先鋭度を判断することによって、画像のブレ、ボケを判定することもできる。この場合、ピクセル単位でエッジ判定できるのが理想ではあるが、実際のデジタル画像処理としては周辺画素との差分を利用することになる。一般的に、ラブラシアン・フィルタなどのように3×3のフィルタ処理でエッジを抽出する方法があるが、例えば背景から構造物への切り替わりを判定するために必要な最小ピクセル数は2画素である。つまり、3画素の幅で判定すると、その分だけ領域変動に対するノイズ成分が入ると考えることもできる。よって、この場合も、2×2画素のフィルタを用いることによって、演算コストの低減だけでなく、ブレ、ボケを正確に判定することが期待できる。
【0032】
上記のように本実施例では、平均化処理を行って1/2の縮小画像を作成するが、これを2倍に拡大してオリジナル画像と比較すると、画素が本来の位置から1/2画素分ずれることになる。図3を用いて説明する。
【0033】
図3は、画像の縮小・拡大処理による、画素のずれを説明するための図である。ここでは、上述したように、2×2画素の4画素の平均処理を行う。
【0034】
図3(a)において点線で示した画素301は、その周辺の実線で示した4画素で平均化したときの画素である。そして、既に平均化処理を行った画素と重複しないように、平均化処理の対象となる4つの画素を2×2画素ずつずらして特定し、その4つの画素に平均化処理を実行して、画素302、画素303と、順次平均化処理を行う。これによってオリジナル画像から1/2に縮小された縮小画像を作成する。
【0035】
この縮小画像を再拡大して、オリジナル画像との差分量を出すことで、ブレボケ推定量を算出する。例えば、再拡大画像とオリジナル画像とにおいて対応する画素ごとに差分を算出し、所定の差分以上となる画素の数を、そのオリジナル画像のブレボケ量として推定する評価量としてもよい。また、各画素に対して算出された差分を、全画素分加算したものを、プレボケの評価量として定義してもよい。また、解析領域の大きさが異なる場合には、解析領域の画素数で評価量を正規化してもよい。
【0036】
ここで、図3(a)の1/2の縮小画像の画素301に着目すると、オリジナル画像における位置は、オリジナル画像に含まれる画素に対して0.5画素分のずれをもつことが分かる。そして、縮小画像を拡大したときに、2倍の大きさに拡大して、オリジナル画像と同じサイズにしたとする。このとき、画素301〜303は、図3(a)に示すように4つの画素の間の位置に配置することはできず、画素301〜303のそれぞれを平均化したときの4つの画素のいずれかに対応する位置に配置される。すると、図3(a)のように本来はオリジナル画像の画素から0.5画素分ずれた位置にあるはずの画素301〜303を、本来の位置から0.5画素分ずらして配置することになる。すると、縮小画像を2倍に拡大したときの拡大画像とオリジナル画像とを比較する場合、本来の位置から0.5画素分ずらして配置された画素301〜303と、オリジナル画像との差分を判定してしまう。これにより、拡大画像とオリジナル画像との差分を適切に判定できない場合がある。
【0037】
そこで本実施例では、縮小画像を縦横に4倍した拡大画像を作成し、またオリジナル画像を縦横に2倍に拡大して、両者の比較を行う。図3(b)は、1/2の縮小画像を、4倍した拡大画像を示す。また、図3(c)は、オリジナル画像を2倍に拡大した画像であり、304〜309は、オリジナル画像の画素の本来の位置を示す。すると、この図3(b)、図3(c)に示すように、上記の2つ画像がともに、比較対象となる画素が本来の位置から0.5画素分ずれることがわかる。
【0038】
この2つの画像において、水平および垂直方向それぞれ1ピクセルずらして差分値を構成することで、0.5画素のずれがちょうど0.5×2=1画素のずれとなり、本来あるべき対応画素として調整することができる。例えば図3(b)、図3(c)に示す場合、図3(c)の画像に対して、図3(b)の画像を左に1画素分、上に1画素分調整することにより、2つの画像の適切な画素同士を比較することができる。これによって、ブレボケ推定における差分値をブレ、ボケを正確に判定することができる。
【0039】
また、以上説明したように本実施例においては、画像の縮小および拡大処理を2のべき乗数単位で行っているため、シフト演算による処理負荷低減の効果がある。また、従来技術のようにぼかし画像を2×2フィルタで行ってもよいが、この場合でも上記位置ずれの問題は発生するため、推定精度を高めるためには本実施例によるピクセルずらしの構成が必要になる。
【0040】
図4は本実施例のブレボケ推定方法の動作を示すフローチャートである。この図4に示すフローチャートの処理に対応するプログラムがROM103に記録されており、CPU101がこのプログラムをRAM104に読み出して実行することにより、図4に示す処理を実現することができる。
【0041】
S401において、デジタル写真画像501の中で、ブレ、ボケの判定のために、解析すべき解析領域を決定する。図5は解析領域を示す図である。解析領域は画像の全領域でもよいし、顔検出による主要被写体領域など一部の領域でもよい。また、複数の解析領域を設定してもよい。
【0042】
次に、S402において、設定した解析領域502に含まれる画素の輝度データを平均化することで、先に説明したように、水平および垂直方向それぞれ1/2に縮小した縮小画像を作成する。S403において、S402で作成した縮小画像を水平および垂直方向それぞれ4倍に拡大した拡大画像を作成する。さらに、S404において、オリジナル画像を水平および垂直方向それぞれ2倍に拡大した拡大画像を作成する。
【0043】
上述したように、S403において縮小画像を4倍に拡大した拡大画像と、S404において、オリジナル画像を2倍に拡大した拡大画像で、1ピクセル分のずれがある。そこで、S405において、拡大画像間で1ピクセル分位置をスライドさせた状態で差分値を取得する。即ち、縮小画像を4倍に拡大した拡大画像と、オリジナル画像を2倍に拡大した拡大画像との相対位置を決定し、その決定された相対位置で比較する。つまり、上記2つの拡大画像において対応する、比較対象の領域同士を比較して、その2つの拡大画像における比較対象の領域の差分を取得する。
【0044】
このとき、ブレボケ推定の評価量としては、各画素間での差分値を加算して解析領域の画素数で正規化したものなどが利用できる。また、差分値に関しても、所定の閾値を超えるものだけを加算するようにしてもよい。
【0045】
以上のように、本実施例によれば、オリジナル画像を縮小・拡大した画像と、縮小を行っていないオリジナル画像とを比較して、差分を求めることで、オリジナル画像のブレ、ボケを判定することできる。また、オリジナル画像に1/2縮小、4倍拡大を行った画像に対して、オリジナル画像を2倍に拡大し、1ピクセル単位でずれを修正することで、上記2枚の画像における、適切な画素同士を比較することができる。
【0046】
従って、本実施例によれば、画像におけるブレ、ボケを正確に判定することができる。よって、例えば複数の画像から、ブレ、ボケの少ない画像を抽出するときに、適切な画像を抽出することができる。例えば、動画像を構成する複数のフレームから、ブレ、ボケの少ないフレームを抽出するときに有効である。そのように動画像から抽出されたフレームを、表示装置に表示させる、または印刷装置に印刷させるなど、各種の出力処理を行うことができる。この場合でも、本実施例によれば、ブレ、ボケの少ない画像を抽出できるので、適切な画像を抽出して表示や印刷を行うことができる。なお、そのように動画像からフレームを抽出する場合に、動画像から抽出された複数フレームを並べて表示や印刷を実行してもよいし、複数フレームを合成して表示や印刷を実行してもよい。
【0047】
なお、本実施例では処理の高速化を優先して、輝度データによるブレボケ推定方法を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各カラーのチャンネルごとに行ってもよい。さらに、それぞれのブレボケ推定値を複合的に組み合わせて全体の推定値を構成してもよい。
【0048】
さらに、本実施例によるブレ、ボケの判定対象の画像は、上述したように動画像に含まれるフレームに限らず、スチールカメラで撮影された静止画像など、各種の画像であってよい。
【0049】
(実施例2)
実施例1では、縮小画像の縮小率を1段階とする方法を説明した。これに対して、本実施例では、多段階の縮小率で縮小した画像を利用したブレボケ推定方法について説明する。すなわち、実施例1で作成した水平および垂直方向それぞれ1/2縮小した縮小画像をレベル1として、さらに水平および垂直方向それぞれ1/2縮小したレベル2の縮小画像を作成する。同様に、レベルNの劣化画像を水平および垂直方向それぞれ1/2縮小をすることでレベルN+1の劣化化画像を作成することができる。
【0050】
ここで、各レベルの縮小画像をオリジナル画像のサイズに拡大したときには、実施例1でも説明したレベル1の1/2縮小の縮小画像と同様に、0.5画素のずれを持つことが分かる。また、多段階の縮小率で縮小した縮小画像を拡大したときには、さらに大きなずれとなる。
【0051】
図6は、多段階の縮小率で縮小した縮小画像を拡大したときの、画素のずれを説明するための図である。例えば、レベル2の縮小画像をオリジナル画像のサイズに拡大したときには、縮小画像では4×4画素の平均となるため、縮小画像の画素601は、本来の位置から1.5画素のずれを持つ。同様に、オリジナル画像のサイズに拡大したときには、縮小画像では8×8画素の平均となるため、縮小画像の画素602は、本来の位置から3.5画素のずれを持つ。
【0052】
よって、レベル2の縮小画像を8倍して、オリジナル画像の2倍のサイズにしたときには、本来の位置から1.5×2=3画素分ずれる。同様に、レベル3の縮小画像を16倍して、オリジナル画像の2倍のサイズにしたときには、本来の位置から3.5×2=7画素分ずれる。
【0053】
よって、ブレボケ推定のための評価量は、オリジナル画像の2倍の拡大画像に対して、レベル2では3画素、レベル3では7画素を水平および垂直方向それぞれにスライドした状態で差分値を取得すればよい。
【0054】
このように実施例2では、縮小画像を作成するときの縮小率に従って、上記2つの画像の比較の際に、相対位置を調整するときの調整量を決定する。なお、上記の縮小率に限らず、縮小画像を拡大率によって、調整量を決定してもよい。即ち、オリジナル画像の縮小時の縮小率と、縮小率の拡大時の拡大率に応じて、画素の本来の位置からのずれ量が決まる。よって、縮小画像202のサイズと再拡大画像203のサイズとの比率によって、2つの画像の相対位置を調整するときの調整量を決定する。
【0055】
また、このように実施例2では、多段階のブレボケ推定値が算出されることになるが、最終的なブレボケ推定は、これらを組み合わせて行えばよい。例えば、オリジナル画像のブレボケが大きくなるにつれて、多レベルでも差分値が小さくなることが考えられるため、各レベルの差分値に重み付けするなどして最終評価量を決めることができる。
【0056】
(実施例3)
実施例1において、解析領域502を設定することを説明した。実施例3では、顔検出技術を利用して画像における顔領域を検出し、検出された顔領域を、解析領域とする。そして、その解析領域にブレボケ推定を行えば、複数の画像から顔のブレボケの少ない画像を抽出することができる。
【0057】
ここで、解析領域を顔領域とすると、画像ごとに領域の大きさが異なり、さらに同一画像に複数の顔が存在すると、それぞれ大きさが異なることが一般的である。
【0058】
そこで、大きさの異なる複数の解析領域でブレボケ推定を行う場合には、事前に解析領域を所定の大きさに正規化してから本実施例のブレボケ推定方法を適用すればよい。このように、解析領域を予め正規化することによって、ブレボケ推定の精度を高めることができる。
【0059】
以上のように、本実施例によれば、オリジナル画像を縮小・拡大した画像と、縮小を行っていないオリジナル画像とを比較して、差分を求めることで、オリジナル画像のブレ、ボケを判定することできる。また、オリジナル画像に縮小、拡大を行うとともに、オリジナル画像を拡大して、両者の画素数を合わせる。すると、オリジナル画像を縮小、拡大した画像において、0.5画素分のずれが生じてしまうが、オリジナル画像にも同様に0.5画素分のずれが生じる。そのため、上記2枚の画像をピクセル単位でずれを修正することで、2枚の画像における、適切な画素同士を比較して、差分を求めることができる。
【0060】
また、以上の実施例では、オリジナル画像を2倍する例を示したが、4倍、8倍等の拡大率で拡大して、その画素数に合うように縮小画像を拡大すればよい。
【0061】
さらに、以上の実施例で、ブレ、ボケの判定対象となる画像は、動画像から抽出されたフレームに限らず、任意の画像であってよい。
【0062】
また、以上の実施例で説明した画像処理装置は、表示装置107や出力装置110を含むものであったが、画像処理装置に接続されている、外部の表示装置に画像を表示させる、また外部の出力装置110に画像を出力する場合であってもよい。また、この画像処理装置の例としては、PC(Personal Computer)や、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置、印刷装置、携帯電話などのモバイル機器など、種々の装置であってよい。
【0063】
(他の実施形態)
前述した実施形態の機能を実現するように前述した実施形態の構成を動作させるプログラムを記録媒体に記憶させ、該記録媒体に記憶されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も上述の実施形態の範疇に含まれる。
【0064】
該記録媒体は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。また、前述のプログラムが記憶された記録媒体はもちろんそのプログラム自体も上述の実施形態に含まれる。かかる記録媒体としてはたとえばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD―ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROMを用いることができる。
【0065】
また前述の記録媒体に記憶されたプログラム単体で処理を実行しているものに限らず、他のソフトウエア、拡張ボードの機能と共同して、OS上で動作し前述の実施形態の動作を実行するものも前述した実施形態の範疇に含まれる。
【0066】
また、上述した実施例を1つのプロセッサが実行する場合に限らず、複数のプロセッサが協働することでも、上記の実施例の処理を実現することができる。
【符号の説明】
【0067】
101 CPU
102 ブリッジ部
103 ROM
104 RAM
105 2次記憶装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリジナル画像を縮小する縮小手段と、
前記縮小手段による縮小で得られた縮小画像を拡大する第1の拡大手段と、
前記オリジナル画像を拡大する第2の拡大手段と、
前記第1の拡大手段による拡大で得られた第1の拡大画像と、前記第2の拡大手段による拡大で得られた第2の拡大画像とを比較することにより、前記オリジナル画像を解析する解析手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記解析手段は、前記第1の拡大画像と、前記第2の拡大画像との相対位置を決定して、決定された当該相対位置に基づき、当該第1の拡大画像と当該第2の拡大画像とにおける比較対象の領域を特定し、特定された比較対象の領域同士を比較することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記解析手段は、前記相対位置に基づき、前記第1の拡大画像と、前記第2の拡大画像とに含まれる、比較対象の画素を特定し、特定された当該比較対象の画素のレベルを比較することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記解析手段は、前記縮小画像の大きさと前記第1の拡大画像の大きさとの比率に応じた相対位置を決定することを特徴とする請求項2または3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
オリジナル画像を縮小する縮小し、
前記縮小で得られた縮小画像を拡大し、
前記オリジナル画像を拡大し、
前記縮小画像の拡大で得られた第1の拡大画像と、前記オリジナル画像の拡大で得られた第2の拡大画像とを比較することにより、前記オリジナル画像を解析することを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−26936(P2013−26936A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161438(P2011−161438)
【出願日】平成23年7月23日(2011.7.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】