説明

画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラム

【課題】読取画像データの補正処理の補正精度を向上できる画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置1は、読取対象の媒体に対応する媒体領域40を含む読取画像データから媒体領域40の輪郭情報を抽出して、抽出された輪郭情報に基づいて媒体領域の歪みを補正する読取画像データの画像処理装置1であって、読取画像データを取得する画像取得部11と、読取画像データから媒体領域40の輪郭情報を抽出する輪郭抽出部12と、抽出された輪郭情報を読取画像データ上に表示する画像表示部13と、輪郭情報の読取画像データに対する位置を変更する指示を検出する指示検出部14と、を備える。輪郭抽出部12は、指示検出部14により変更する指示が検出された場合、変更する指示を反映させて、輪郭情報を再抽出する。画像表示部13は、輪郭抽出部12により再抽出された輪郭情報を再表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
オーバーヘッドスキャナなどの読取装置において、本などの見開き媒体を読み取って読取画像データを生成すると、媒体の厚みや綴じ部の影響によってページが半円筒形に歪んだ画像となる場合がある。このような歪み形状を検出して、検出した歪み形状の情報に基づいて読取画像データの歪みを補正する処理を行う画像処理装置が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−087027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されるような従来の画像処理装置では、装置が検出した歪み形状の候補をユーザに提示し、ユーザの選択結果に応じて補正処理を行う構成であった。このため、装置が提示する歪み形状の候補の中に正確なものが無い場合には、充分な補正処理を実施できない虞がある。このように、従来の画像処理装置では、読取画像データの補正処理においてさらなる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、読取画像データの補正処理の補正精度を向上できる画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像処理装置は、読取対象の媒体に対応する媒体領域を含む読取画像データから前記媒体領域の輪郭情報を抽出して、抽出された前記輪郭情報に基づいて前記媒体領域の歪みを補正する読取画像データの画像処理装置であって、前記読取画像データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記読取画像データから前記媒体領域の輪郭情報を抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された前記輪郭情報を前記読取画像データ上に表示する表示手段と、前記表示手段により表示された前記輪郭情報の前記読取画像データに対する位置を変更する指示を検出する検出手段と、を備え、前記抽出手段は、前記検出手段により前記変更する指示が検出された場合、前記変更する指示を反映させて、前記輪郭情報を再抽出し、前記表示手段は、前記抽出手段により再抽出された前記輪郭情報を再表示する、ことを特徴とする。
【0007】
また、上記の画像処理装置では、前記輪郭情報は、前記媒体領域のコーナー点と前記コーナー点の間を結ぶ輪郭線とを含み、前記変更する指示は、前記コーナー点の位置変更に関する情報、もしくは前記輪郭線に対する補助点の追加または位置変更に関する情報の少なくともいずれか一方であり、前記抽出手段は、前記コーナー点の位置変更の指示があった場合、前記位置変更された前記コーナー点を反映させて前記輪郭線を修正し、前記補助点の追加の指示があった場合、前記コーナー点及び前記補助点に基づき前記輪郭線を修正することが好適である。
【0008】
また、上記の画像処理装置では、前記変更する指示で指定される位置が前記輪郭情報に対して指定範囲より離れている場合は、前記変更する指示を受け付けないことが好適である。
【0009】
また、上記の画像処理装置では、前記抽出手段は、前記媒体が見開きの媒体である場合には、前記媒体のページ上下に対応する輪郭情報を抽出するよう構成され、前記媒体領域のうちの一方のページに対応する輪郭情報を抽出できない場合には、輪郭情報を抽出できた他方のページに対応する輪郭情報に基づいて、前記一方のページに対応する輪郭情報を生成することが好適である。
【0010】
同様に、上記課題を解決するために、本発明に係る画像処理方法は、読取対象の媒体に対応する媒体領域を含む読取画像データから前記媒体領域の輪郭情報を抽出して、抽出された前記輪郭情報に基づいて前記媒体領域の歪みを補正する読取画像データの画像処理方法であって、前記読取画像データを取得する取得ステップと、前記取得ステップにて取得された前記読取画像データから前記媒体領域の輪郭情報を抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップにて抽出された前記輪郭情報を前記読取画像データ上に表示する表示ステップと、前記表示ステップにて表示された前記輪郭情報の前記読取画像データに対する位置を変更する指示を検出する検出ステップと、前記検出ステップにおいて前記変更する指示が検出された場合、前記変更する指示を反映させて、前記輪郭情報を再抽出する再抽出ステップと、前記再抽出ステップにて再抽出された前記輪郭情報を再表示する再表示ステップと、を含む。
【0011】
同様に、上記課題を解決するために、本発明に係る画像処理プログラムは、読取対象の媒体に対応する媒体領域を含む読取画像データから前記媒体領域の輪郭情報を抽出して、抽出された前記輪郭情報に基づいて前記媒体領域の歪みを補正する機能をコンピュータに実現させるための読取画像データの画像処理プログラムであって、前記読取画像データを取得する取得機能と、前記取得機能により取得された前記読取画像データから前記媒体領域の輪郭情報を抽出する抽出機能と、前記抽出機能により抽出された前記輪郭情報を前記読取画像データ上に表示する表示機能と、前記表示機能により表示された前記輪郭情報の前記読取画像データに対する位置を変更する指示を検出する検出機能と、前記検出機能により前記変更する指示が検出された場合、前記変更する指示を反映させて、前記輪郭情報を再抽出する再抽出機能と、前記再抽出機能により再抽出された前記輪郭情報を再表示する再表示機能と、をコンピュータに実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラムは、読取画像データ内の媒体領域の湾曲を補正するために用いる媒体領域の輪郭情報を、読取画像データに対する位置を変更する指示に応じて修正することが可能となり、最終的に修正された精度の良い輪郭情報を利用して読取画像データの歪みを補正する処理を行うことができるので、この結果、読取画像データの補正処理の補正精度を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る画像処理装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図2は、第1実施形態の画像処理装置により実施される歪み補正処理のフローチャートである。
【図3】図3は、輪郭情報の抽出処理を説明するための図である。
【図4】図4は、コーナー点の位置修正を説明するための図である。
【図5】図5は、補助点の追加による輪郭線の修正を説明するための図である。
【図6】図6は、修正された輪郭情報に基づく読取画像データの歪み補正を説明するための図である。
【図7】図7は、第2実施形態の画像処理装置により実施される歪み補正処理のフローチャートである。
【図8】図8は、第3実施形態の画像処理装置により実施される歪み補正処理のフローチャートである。
【図9】図9は、未検出のコーナー点の配置手法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る画像処理装置、画像処理方法、および画像処理プログラムの実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0015】
[第1実施形態]
図1〜6を参照して本発明の第1実施形態について説明する。まず図1を参照して本実施形態に係る画像処理装置の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る画像処理装置1の概略構成を示す機能ブロック図である。また、以下の説明において、上下方向及び左右方向とは、特に記載のない限り図3または図6などの上下方向及び左右方向を示すものとする。
【0016】
図1に示すように、画像処理装置1は、スキャナ装置20から読取画像データが入力されると、この画像を補正処理して、記憶装置やプリンタなどの外部機器30に出力するものである。本実施形態の画像処理装置1は、特に、例えば本など、中央に綴じ部があり、綴じ部の両側にページがある見開き媒体を主な読取対象の媒体としている。画像処理装置1は、このような見開き媒体に対応する媒体領域を含む読取画像データを生成したときに起こりうる、ページの湾曲などの歪みを精度良く補正することができる。
【0017】
画像処理装置1は、画像取得部11(取得手段)、輪郭抽出部12(抽出手段)、画像表示部13(表示手段)、指示検出部14(検出手段)、画像補正部15、及び画像出力部16を備えている。
【0018】
画像取得部11は、スキャナ装置20が媒体を読み取って作成した読取画像データをスキャナ装置20から取得する。
【0019】
輪郭抽出部12は、画像取得部11により取得された読取画像データから媒体の輪郭情報を抽出する。輪郭情報とは、読取対象の媒体の輪郭に関する情報であり、例えば媒体領域の角部の位置を示す「コーナー点」と、これらのコーナー点を結ぶ輪郭線とを含む。
【0020】
また、輪郭抽出部12は、後述の指示検出部14により輪郭修正指示を受信した場合には、修正指示に含まれる情報を反映させて、輪郭情報の再抽出を行う。
【0021】
画像表示部13は、輪郭抽出部12により抽出された(または再抽出された)輪郭情報を、読取画像データの媒体領域の輪郭の上に重ねた輪郭抽出結果画像を、例えばディスプレイなどの表示装置に表示して、ユーザに提示する。
【0022】
指示検出部14は、マウスやキーボード、タッチパネルなどの入力装置を介してユーザの指示入力を検出する。
【0023】
具体的には、指示検出部14は、画像表示部13によりユーザに提示された輪郭抽出結果画像について、輪郭情報の読取画像データに対する位置を変更する指示(以下「輪郭修正指示」とも表現する)がユーザから入力されたことを検出する。指示検出部14は、この輪郭修正指示を受け付けると、輪郭修正指示に含まれる情報を輪郭抽出部12に送信する。
【0024】
また、指示検出部14は、画像表示部13により輪郭抽出結果画像がユーザに提示された後に、輪郭情報が正確なものであるとユーザに判断され、この輪郭情報を利用して読取画像データの歪み補正処理を実行する指示(以下「画像補正指示」とも表現する)がユーザから入力されたことも検出する。指示検出部14は、この画像補正指示を受け付けると、その旨を画像補正部15に送信する。
【0025】
画像補正部15は、指示検出部14により画像補正指示を受信すると、輪郭抽出部12により抽出された輪郭情報に基づいて、読取画像データ内の媒体領域の歪みを補正する。画像補正部15は、歪み補正処理を行った読取画像データを、画像表示部13に送信して画像表示部13によりユーザに提示させると共に、画像出力部16に送信する。
【0026】
画像出力部16は、画像補正部15により歪み補正処理を施された読取画像データを、記憶装置やプリンタなどの外部機器30へ出力する。
【0027】
なお、画像処理装置1は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などを有するコンピュータである。上述した画像処理装置1の各機能の全部または一部は、ROMに保持されるアプリケーションプログラムをRAMにロードしてCPUで実行することによって、RAMやROMにおけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。また、画像処理装置1は、キーボートやマウスなどの入力装置、ディスプレイなどの表示装置、入出力ポートなどの通信装置を備えており、CPUで実行されるアプリケーションプログラムがこれらの装置を利用して、ユーザによる指示操作や画像読取データの入力、輪郭情報や補正済み読取画像データの表示や外部機器30への出力を行うことで、上述した画像処理装置1の各機能の全部または一部が実現される。
【0028】
また、上記のアプリケーションプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USBメモリ、SDカード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM、EEPROM、CD−ROM、MO、DVD、および、Blu−ray Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。また、アプリケーションプログラムは、画像読取装置1に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0029】
次に、図2〜6を参照して、本実施形態に係る画像処理装置1の動作について説明する。図2は本実施形態の画像処理装置1により実施される歪み補正処理のフローチャートであり、図3は、輪郭情報の抽出処理を説明するための図であり、図4は、コーナー点の位置修正処理を説明するための図であり、図5は、補助点の追加による輪郭線の修正処理を説明するための図であり、図6は、修正された輪郭情報に基づく読取画像データの歪み補正処理を説明するための図である。
【0030】
図2のフローチャートにしたがって、画像処理装置1により実施される歪み補正処理について説明する。なお、以下では、読取対象の媒体として見開き媒体(図3参照)を用いた場合を例示して説明する。
【0031】
まず、画像取得部11により、スキャナ装置20から読取画像データが取得される(S101:取得ステップ)。読取対象の媒体が見開き媒体である場合、図3の(a)に示すように、読取画像データに含まれる媒体領域40は、中央に綴じ部41、その左右両側にページ42,43が配置され、左右のページ42,43が湾曲している状態となる。画像取得部11は、取得した読取画像データを輪郭抽出部12に送信する。
【0032】
次に、輪郭抽出部12により、画像取得部11から受信した読取画像データのエッジ検出処理が行われ、読取画像データ内の媒体領域40と背景との境界(エッジ)を抽出したエッジ画像が生成される(S102)。続いてこのエッジ画像を用いて、媒体領域の角部の位置を示すコーナー点が検出される(S103:抽出ステップ)。具体的には、コーナー点は、見開き媒体の場合、図3の(b)に示すように、綴じ部41の上端部のコーナー点44a、綴じ部41の下端部のコーナー点44b、左ページ42の上側の角部のコーナー点44c、左ページ42の下側の角部のコーナー点44d、右ページ43の上側の角部のコーナー点44e、右ページ43の下側の角部のコーナー点44f、の6箇所となる。
【0033】
引き続き、輪郭抽出部12により、検出されたコーナー点を始点に、2つのコーナー点を結ぶ輪郭線が作成される(S104:抽出ステップ)。輪郭線は、見開き媒体の場合、図3の(b)に示すように、見開き媒体のページ上下に対応するものが抽出され、具体的には、左ページ42の上側の輪郭線45a、左ページ42の下側の輪郭線45b、右ページ43の上側の輪郭線45c、右ページ43の下側の輪郭線45dの4本となる。輪郭線の作成には、周知の動的計画法(Dynamic programing:DP)を使用することができる。
【0034】
より詳細には、輪郭抽出部12は、綴じ部41の上端部のコーナー点44aまたは左ページ42の上側の角部のコーナー点44cを始点として、動的計画法を使用してコーナー点44cまたはコーナー点44aまで軌道生成することで、左ページ42の上側の輪郭線45aを作成する。同様に、綴じ部41の下端部のコーナー点44bまたは左ページ42の下側の角部のコーナー点44dを始点として、動的計画法を使用してコーナー点44dまたはコーナー点44bまで軌道生成することで、左ページ42の下側の輪郭線45bを作成する。同様に、綴じ部41の上端部のコーナー点44aまたは右ページ43の上側の角部のコーナー点44eを始点として、動的計画法を使用してコーナー点44eまたはコーナー点44aまで軌道生成することで、右ページ43の上側の輪郭線45cを作成する。同様に、綴じ部41の下端部のコーナー点44bまたは右ページ43の下側の角部のコーナー点44fを始点として、動的計画法を使用してコーナー点44fまたはコーナー点44bまで軌道生成することで、右ページ43の下側の輪郭線45dを作成する。
【0035】
輪郭抽出部12は、検出した6箇所のコーナー点44a〜44f(以下これらをまとめてコーナー点44ともいう)及び作成した4本の輪郭線45a〜45d(以下これらをまとめて輪郭線45ともいう)を、見開き媒体の媒体領域40の輪郭情報として画像表示部13に送信する。
【0036】
次に、画像表示部13により、輪郭抽出部12で抽出された輪郭情報が、ディスプレイなどの表示装置に表示される(S105:表示ステップ)。画像表示部13は、例えば図3(b)に示すように、読取画像データの媒体領域の輪郭の上に輪郭情報、すなわちコーナー点44及び輪郭線45、を重ねた輪郭抽出結果画像を作成し、この輪郭抽出結果画像を表示装置に表示して、ユーザに提示する。
【0037】
抽出された輪郭情報は、画像表示部13により表示された輪郭抽出結果画像から、ユーザにより読取画像データ中の実際の見開き媒体の輪郭と比較され、その正確性を判断される。そして、ユーザにより輪郭情報が正しいか否かが確認され(S106:検出ステップ)、その結果に応じた指示が入力装置を介してユーザにより入力されると、指示検出部14がこれを検出する。指示検出部14により検出された指示の内容が、輪郭情報の読取画像データに対する位置を変更する指示である「輪郭修正指示」の場合には、輪郭情報が正しくないものと判断して、輪郭修正指示が輪郭抽出部12に送信され、ステップS107に移行する。一方、指示内容が、この輪郭情報を利用して読取画像データの歪み補正処理を実行する指示である「画像補正指示」の場合には、輪郭情報が正しいものと判断して、画像補正指示が画像補正部15に送信され、ステップS108に移行する。
【0038】
ステップS106において、輪郭情報が正しくないと判定された場合には、輪郭抽出部12により、輪郭修正指示に基づいて輪郭情報の修正が行われる(S107)。輪郭修正指示に含まれる輪郭情報の修正情報は、具体的には、コーナー点44の位置修正、または補助点46の追加/位置修正である。コーナー点44の位置修正に関する指示は、例えば図4に示すように、ユーザのドラッグ&ドロップ操作などによってあるコーナー点44を移動することにより入力検知される。図4の例では、コーナー点44の位置が望ましい位置より左寄りだったため、ユーザ操作によって右方へ移動されている。
【0039】
補助点46の追加について図5を参照して説明すると、補助点46とは、輪郭線45の軌道を修正するために新たに追加される点のことである。補助点46は、図5(a)に示すように、現在の提示されている輪郭線45に対して、ユーザが望む輪郭線の軌道(図5に破線で示される)に変更するように、この軌道上に追加される。補助点46の追加に関する指示は、ユーザが補助点46の追加を希望する任意のカーソル位置におけるクリック操作などにより入力検知される。
【0040】
補助点46が追加されると、図5(b)に示すように、輪郭線45は、後述のステップS104において、両端の2つのコーナー点44と、追加された補助点46を通過するように再生成される。また、図5の(c)に示すように、補助点46は、輪郭線45の再生成の後に、さらにユーザのドラッグ&ドロップ操作などによって移動して位置修正することが可能であり、また、新たな補助点46をさらに追加することも可能である。
【0041】
そして、ステップS104に戻り、引き続き輪郭抽出部12により、ステップS107にて位置変更/追加されたコーナー点44または補助点46の位置情報を反映して、例えば図5の(b),(c)に示すように、輪郭線45が再作成され(再抽出ステップ)、再びステップS105において、の輪郭抽出部12で再抽出された輪郭情報(コーナー点44、輪郭線45、補助点46)が、読取画像データの媒体領域40上に描画された状態で表示される(再表示ステップ)。ステップS106において輪郭情報が正しいと判定されるまで、ステップS104〜S107の処理が繰り返される。
【0042】
このような輪郭情報の修正処理によって、輪郭情報が読取媒体40の輪郭に対して高精度に一致するようになる。例えば図3の(b)に示すように、輪郭線45の一部(輪郭線45c)がページのエッジからずれているなど修正が必要な輪郭情報が、例えば図6の(a)に示すように修正され、媒体領域のエッジと一致したものとなる。
【0043】
ステップS106において、輪郭情報が正しいと判定された場合には、画像補正部15により、この輪郭情報に基づいて読取画像データの媒体領域40の形状が認識され(S108)、例えば図6の(a)から(b)へ変換するように、媒体領域40の歪みが補正される(S109)。
【0044】
補正された読取画像データは、画像表示部13に送信されてユーザに提示されると共に、画像出力部16に送信されて外部機器30に出力される(S110)。
【0045】
次に本実施形態に係る画像処理装置1の作用効果を説明する。
【0046】
本実施形態の画像処理装置1は、読取対象の媒体に対応する媒体領域40を含む読取画像データから媒体領域40の輪郭情報を抽出して、抽出された輪郭情報に基づいて媒体領域の歪みを補正する読取画像データの画像処理装置1であって、読取画像データを取得する画像取得部11と、画像取得部11により取得された読取画像データから媒体領域40の輪郭情報を抽出する輪郭抽出部12と、輪郭抽出部12により抽出された輪郭情報を読取画像データ上に表示する画像表示部13と、画像表示部13により表示された輪郭情報の読取画像データに対する位置を変更する指示(輪郭修正指示)を検出する指示検出部14と、を備える。輪郭抽出部12は、指示検出部14により輪郭修正指示が検出された場合、輪郭修正指示を反映させて、輪郭情報を再抽出する。画像表示部13は、輪郭抽出部12により再抽出された輪郭情報を再表示する。
【0047】
この構成により、読取画像データ内の媒体領域40の歪みを補正するために用いる媒体領域の輪郭情報を、ユーザの輪郭修正指示に応じて修正することが可能となり、最終的に修正された精度の良い輪郭情報を利用して読取画像データの歪みを補正する処理を行うことができるので、読取画像データの補正処理の補正精度を向上できる。
【0048】
ここで、読取画像データを作成するスキャナ装置20が、載置台に載置された媒体を上方から撮像するオーバーヘッドスキャナであり、特に、撮像部が走査方向に平行な回転軸まわりに回転移動することで媒体全体の読み取りを行うよう構成された首振りタイプである場合を考える。このようなタイプのスキャナ装置では、撮像部の回転移動によって媒体との距離が変化するので、単一の読取画像データ内で撮像部の回転移動方向に沿って歪みの度合いが変化することになる。特に読み取り対象の媒体が見開き媒体であり、撮像部の回転移動方向に沿って綴じ部41が配置される場合、左右のページ42,43の上下の湾曲の形状が異なるものとなる。
【0049】
このような読取画像データでは、媒体領域40の輪郭情報を正確に抽出できないと、ページ内で連続的に変化する湾曲歪みに対応することができず、歪み補正の精度が低下する虞がある。本実施形態の画像処理装置1は、ページの上下の輪郭線を個別に修正して再抽出することができ、各輪郭線を精度良く抽出することができるので、このような首振りタイプのオーバーヘッドスキャナによって撮像された、単一ページ内で歪み度合いが変化する読取画像データであっても、精度良く歪み補正を行うことが可能となる。
【0050】
また、本実施形態の画像処理装置1では、輪郭情報は、媒体領域40のコーナー点44とこのコーナー点44の間を結ぶ輪郭線45とを含み、輪郭修正指示は、コーナー点44の位置変更に関する情報、もしくは輪郭線45に対する補助点46の追加または位置変更に関する情報の少なくともいずれか一方であり、輪郭抽出部12は、コーナー点44の位置変更の指示があった場合、位置変更されたコーナー点を反映させて輪郭線45を修正し、補助点46の追加の指示があった場合、コーナー点44及び補助点46に基づき輪郭線45を修正する。
【0051】
この構成により、抽出された輪郭情報は、読取画像データの媒体領域のエッジ上にコーナー点44及び輪郭線45として重ねて配置されて表示されるので、ユーザに輪郭情報の精度の優劣を直感的に確認させることが可能となる。このため精度の良い輪郭情報を迅速に取得することができ、読取画像データの湾曲補正処理を効率よく実施することができる。また、輪郭修正指示の内容が、コーナー点44の位置移動か、または補助点46の追加/位置変更のみなので、変更指示内容の入力操作を簡易とすることができる。
【0052】
[第2実施形態]
次に、図7を参照して本発明の第2実施形態について説明する。図7は第2実施形態の画像処理装置により実施される歪み補正処理のフローチャートである。
【0053】
本実施形態は、輪郭修正指示で指定される輪郭情報、すなわちコーナー点44または補助点46の変更位置が、元の輪郭情報の位置に対して指定範囲より離れている場合には、位置修正の許容範囲から外れているものと判断して、この輪郭修正指示を受け付けず輪郭情報の修正を行わない点で、第1実施形態とは異なるものである。
【0054】
図7のフローチャートを参照してこの相違点について説明する。なお図7のフローチャートのステップS201〜210は、第1実施形態のステップS101〜110と同一であるので説明を省略する。
【0055】
ステップS207においてコーナー点44の位置修正または、補助点46の追加/位置修正の指示(輪郭修正指示)が輪郭抽出部12により取得されると、この修正指示によるコーナー点44または補助点46の変更位置が、もとの輪郭情報の位置に対して指定範囲内であるか否かが確認される(S211)。この指定範囲とは、予め設定することができ、例えば、もとの修正情報の輪郭線45の軌道から直交方向に数ピクセルまたは数ミリ以内の領域を設定することができる。または、もとの修正情報のコーナー点44または補助点46から遠心方向の所定距離以内の領域を設定してもよい。
【0056】
変更位置が指定範囲内である場合(S211のYES)には、ステップS204に戻り、引き続き輪郭抽出部12により、輪郭修正指示を反映して輪郭線45が再作成される。
【0057】
変更位置が指定範囲外である場合(S211のNO)には、今回の入力された輪郭修正指示は、例えばユーザが誤って入力したなど、位置修正の許容範囲から外れている不正データであるものと判断され、修正位置の情報がリセットされて、ステップS207に戻り、再度の輪郭修正指示の入力まで待機する。
【0058】
第2実施形態では、このような構成により、修正指示の誤入力などによる不正な輪郭修正指示が輪郭情報の修正に利用されることを抑制することができるので、輪郭情報の修正効率を向上でき、高精度な輪郭情報をより一層迅速に取得することができる。また、当初抽出された輪郭情報が本来の輪郭から大きく逸脱してしまい、コーナー点44または補助点46を変更したい位置が指定範囲外となってしまう場合でも、指定範囲内の修正を複数回繰り返すことで対応することが可能であり、所望の修正を行うことができる。
【0059】
[第3実施形態]
次に、図8,9を参照して本発明の第3実施形態について説明する。図8は第3実施形態の画像処理装置により実施される歪み補正処理のフローチャートであり、図9は、未検出のコーナー点の配置手法を説明するための図である。
【0060】
本実施形態は、媒体領域のうち、見開き媒体の一方のページに対応する輪郭情報(コーナー点44の一部)が抽出できない場合に、輪郭情報を抽出できた他方のページに対応する輪郭情報(コーナー点)に基づいて、抽出できなかった一方のページに対応する輪郭情報を生成する点で、第1実施形態とは異なるものである。
【0061】
図8のフローチャートを参照してこの相違点について説明する。なお図8のフローチャートのステップS301〜310は、第1実施形態のステップS101〜110と同一であるので説明を省略する。
【0062】
ステップS303においてコーナー点44が検出されると、続いて輪郭抽出部12により、コーナー点44を6箇所分検出できたか否かが確認される(S311)。ここで、コーナー点44を6箇所検出できなかった状況とは、例えば図9の(a)に示すように、媒体領域40の色と、背景47の色とが近似している場合などに発生しうる。図9の例では、左ページ42はエッジ検出されているものの、右ページ43の色が、背景47の色と近似しているためエッジ検出に失敗し、この結果右ページ43の上側のコーナー点44eが未検出となっている。また、右ページ43の上側のコーナー点44eが未検出のため、右ページ43の上側の輪郭線45cも作成することができていない。
【0063】
図9の(a)のような状況など、コーナー点44を6箇所検出できていないと判定された場合には、検出されたコーナー点44の情報を元に未検出のコーナー点44が配置される(S312)。例えば、図9の(a)に示すように右ページ43の上側のコーナー点44eが未検出の場合には、図9の(b)に示すように、左ページ42の上側のコーナー点44cを、綴じ部41を対称軸として折り返した位置にプロットし、未検出だったコーナー点44eとして配置することができる。また、輪郭線45cは、左ページ42の輪郭線45aを、綴じ部41を対称軸として反転させて作成してもよいし、今回新たに配置したコーナー点44eと、綴じ部41の上端のコーナー点44aとの間で動的計画法により作成してもよい。
【0064】
また、図9には図示しないが、左右ページ両側のコーナー点44c,44eが検出され、綴じ部41の上端のコーナー点44aが未検出の場合には、例えばコーナー点44c,44eの中間位置に未検出のコーナー点44cを配置することができる。さらに、コーナー点44や輪郭線45が全く検出できなかった場合には、汎用的な用紙サイズを想定した仮の輪郭情報を表示してもよい。
【0065】
一方、ステップS311にてコーナー点を6箇所検出できていると判定された場合には、ステップS304に移行して以降のステップS304〜S310の処理を行う。
【0066】
第3実施形態では、このような構成により、例えば読取画像データから媒体領域40の輪郭情報(コーナー点44)を完全に検出できない状況であっても、他の輪郭情報や仮の輪郭情報に基づいて未検出の輪郭情報を生成することができるので、例えば媒体色と背景色が類似している場合など、従来では輪郭情報を抽出できず歪み補正も実施できなかった読取画像データでも、歪み補正のために必要な輪郭情報を作成することが可能となる。このように輪郭情報を作成することができれば、輪郭情報の抽出が不十分な場合でも輪郭情報を利用して修正作業が可能であり、修正作業によって適切な輪郭情報を得ることができる。この結果、歪み補正を適用可能な読取画像データの範囲を拡大することができ、画像処理装置1の汎用性を向上できる。
【0067】
本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0068】
例えば、上記実施形態では、読取画像データの主な対象として本などの見開き媒体を例示して説明したが、読取対象の媒体は見開き媒体以外であってもよい。特にスキャナ装置20がオーバーヘッドスキャナなど、載置台に載置された媒体を上方から読み取るタイプの場合には、媒体の読み取り面が押圧されないため、1枚の紙などの媒体であっても、ページの角がめくれたり、ページが波打ったりして、読取画像データに歪みが生じる状況が考えられるが、本発明の画像処理装置1は、このように生じた媒体領域の歪みに対しても精度良く輪郭情報を抽出することが可能であり、歪み補正を好適に行うことができる。
【0069】
また、上記実施形態では、読取画像データ内の媒体領域40の輪郭情報を抽出するために動的計画法を使用したが、背景色との差分により原稿(媒体領域)を浮き上がらせる手法や、フィルタリングによるエッジ成分を強調する手法など、その他の公知の輪郭抽出アルゴリズムを用いることもできる。
【0070】
また、上記実施形態では、読取画像データ内の媒体領域40の輪郭情報として、媒体領域のコーナー点44と輪郭線45とを含む構成としたが、少なくとも一方を含む構成としてもよいし、媒体の輪郭に関する他の情報を含む構成としてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 画像処理装置
11 画像取得部(取得手段)
12 輪郭抽出部(抽出手段)
13 画像表示部(表示手段)
14 指示検出部(検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象の媒体に対応する媒体領域を含む読取画像データから前記媒体領域の輪郭情報を抽出して、抽出された前記輪郭情報に基づいて前記媒体領域の歪みを補正する読取画像データの画像処理装置であって、
前記読取画像データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記読取画像データから前記媒体領域の輪郭情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された前記輪郭情報を前記読取画像データ上に表示する表示手段と、
前記表示手段により表示された前記輪郭情報の前記読取画像データに対する位置を変更する指示を検出する検出手段と、
を備え、
前記抽出手段は、前記検出手段により前記変更する指示が検出された場合、前記変更する指示を反映させて、前記輪郭情報を再抽出し、
前記表示手段は、前記抽出手段により再抽出された前記輪郭情報を再表示する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記輪郭情報は、前記媒体領域のコーナー点と前記コーナー点の間を結ぶ輪郭線とを含み、
前記変更する指示は、前記コーナー点の位置変更に関する情報、もしくは前記輪郭線に対する補助点の追加または位置変更に関する情報の少なくともいずれか一方であり、
前記抽出手段は、
前記コーナー点の位置変更の指示があった場合、前記位置変更された前記コーナー点を反映させて前記輪郭線を修正し、
前記補助点の追加または位置変更の指示があった場合、前記コーナー点及び前記補助点に基づき前記輪郭線を修正することを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記変更する指示で指定される位置が前記輪郭情報に対して指定範囲より離れている場合は、前記変更する指示を受け付けないことを特徴とする、請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記抽出手段は、前記媒体が見開きの媒体である場合には、前記媒体のページ上下に対応する輪郭情報を抽出するよう構成され、
前記媒体領域のうちの一方のページに対応する輪郭情報を抽出できない場合には、輪郭情報を抽出できた他方のページに対応する輪郭情報に基づいて、前記一方のページに対応する輪郭情報を生成することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
読取対象の媒体に対応する媒体領域を含む読取画像データから前記媒体領域の輪郭情報を抽出して、抽出された前記輪郭情報に基づいて前記媒体領域の歪みを補正する読取画像データの画像処理方法であって、
前記読取画像データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにて取得された前記読取画像データから前記媒体領域の輪郭情報を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにて抽出された前記輪郭情報を前記読取画像データ上に表示する表示ステップと、
前記表示ステップにて表示された前記輪郭情報の前記読取画像データに対する位置を変更する指示を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおいて前記変更する指示が検出された場合、前記変更する指示を反映させて、前記輪郭情報を再抽出する再抽出ステップと、
前記再抽出ステップにて再抽出された前記輪郭情報を再表示する再表示ステップと、
を含む画像処理方法。
【請求項6】
読取対象の媒体に対応する媒体領域を含む読取画像データから前記媒体領域の輪郭情報を抽出して、抽出された前記輪郭情報に基づいて前記媒体領域の歪みを補正する機能をコンピュータに実現させるための読取画像データの画像処理プログラムであって、
前記読取画像データを取得する取得機能と、
前記取得機能により取得された前記読取画像データから前記媒体領域の輪郭情報を抽出する抽出機能と、
前記抽出機能により抽出された前記輪郭情報を前記読取画像データ上に表示する表示機能と、
前記表示機能により表示された前記輪郭情報の前記読取画像データに対する位置を変更する指示を検出する検出機能と、
前記検出機能により前記変更する指示が検出された場合、前記変更する指示を反映させて、前記輪郭情報を再抽出する再抽出機能と、
前記再抽出機能により再抽出された前記輪郭情報を再表示する再表示機能と、
をコンピュータに実現させるための画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−110578(P2013−110578A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253952(P2011−253952)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000136136)株式会社PFU (354)
【Fターム(参考)】