説明

画像処理装置、画像処理方法、そのプログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記憶媒体

【課題】紙指紋情報または印刷紙面固有情報の照合に、より適した領域を紙面上から検索することが可能となる画像処理に係る技術を提供する。
【解決手段】紙面上におけるランダムな繊維の凹凸や重なりによるパターン、いわゆる紙指紋を基に、紙の原本性を保証するシステムにおいて、読み取られた紙指紋を含む画像データを複数の領域に分割する領域分割手段と、該領域分割手段により分割された各領域の全画素の階調値の分散を求める手段と、該階調値の分散を求める手段により求められた分散値から、当該領域が紙指紋情報の照合に適しているかを判定する判定手段とを有し、前記判定手段により判定された、原本保証のために、より適した領域の紙指紋情報を、その登録及び照合に用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙指紋や、印刷時に生じたトナーの不規則な飛散による紙面の状態を基に紙の原本性を保証する際に、照合の精度が高い、より最適な領域を紙面上から検索することを可能とする画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙は、太さ20〜30ミクロン程度の植物繊維がからまってできている。そのからまりにより、ランダムなパターンが作り出されている。このランダムなパターンは、指紋と同じように、紙一枚一枚で異なっている。このような紙面上におけるランダムな繊維の凹凸や重なりによるパターンは紙指紋(または紙紋)と呼ばれる。
【0003】
また、プリンタや複写機などから印刷された文書において、画像を形成する際に用いたトナーの微細な飛散というものまでは、制御することができない。このためにトナーの微細な飛散は不規則なものになる。したがって、このような印刷時に生じたトナーの不規則な飛散による紙面の状態も、印刷された紙面上に生じた固有の情報(以下、印刷紙面固有情報と称す)として利用可能となる。
【0004】
上記のように紙面上には、印刷の有無に関わらずそれぞれの紙で異なる紙指紋や、印刷によって生じる印刷された紙面上に固有の情報が存在している。したがって、、「私の発行した原本は、この紙指紋情報を有する紙だ」として、紙毎に異なる紙指紋の情報(以下、紙指紋情報と称す)や上記印刷紙面固有情報を登録しておくと、後で紙が「原本」なのか「偽物」なのかを区別することが可能となる。なお、「偽物」には、「原本の複写物」も当然含まれることになる。
【0005】
ところで、特許文献1の請求項6に、以下の記載がある。
【0006】
「前記基準データ及び前記照合データの少なくとも一方に対し、階調値の分布に基づいてノイズ成分が含まれていると推定される階調値範囲を設定し、設定した階調値範囲に属するデータを除外した後に、前記相関値の演算を行うことを特徴とする真偽判定方法。」
【0007】
【特許文献1】特開2005−038389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで特許文献1の技術を用い、紙指紋情報取得領域または印刷紙面固有情報取得領域を設定したとする。すると、真っ白な領域が、紙指紋情報取得領域または印刷紙面固有情報取得領域として設定されることになる。しかし、その領域が紙面中において紙指紋情報または印刷紙面固有情報を照合する際の照合率が最も高くなる領域かどうかは判断できないという問題がある。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、紙指紋情報または印刷紙面固有情報の照合に、より適した領域を紙面上から検索することが可能となる画像処理に係る技術を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の画像処理装置は、紙面上におけるランダムな繊維の凹凸や重なりによるパターンである紙指紋を基に、紙の原本性を保証するシステムにおいて、読み取られた紙指紋を含む画像データを複数の領域に分割する領域分割手段と、前記領域分割手段により分割された各領域の全画素の階調値の分散を求める手段と、前記階調値の分散を求める手段により求められた分散値から、当該領域が紙指紋情報の照合に適しているかを判定する判定手段とを有し、前記判定手段により判定された領域の紙指紋情報を、登録及び照合に用いることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記階調値の分散を求める手段において、前記領域分割手段により分割された各領域のヒストグラムを求めることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記階調値の分散を求める手段において、分散を求める際に、前記領域分割手段により分割された領域において紙指紋情報照合には適さない階調値以下の画素の数が所定の閾値以上あるときには当該領域が紙指紋情報照合には適さないと判断し、分散を求めないことを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記階調値の分散を求める手段において、分散を求める際に、前記領域分割手段により分割された領域において紙指紋情報照合には適さない階調値以上の画素があるときには当該領域が紙指紋情報照合には適さないと判断し、分散を求めないことを特徴とする。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記判定手段において、前記領域分割手段により分割された領域のうち、前記分散値が大きい方がより紙指紋情報の照合に適していると判定することを特徴とする。
【0015】
また、請求項6に記載の画像処理装置は、印刷時に生じたトナーの不規則な飛散を含む印刷紙面上に生じた固有の情報を基に、紙の原本性を保証するシステムにおいて、読み取られた前記固有の情報を含む画像データを複数の領域に分割する領域分割手段と、前記領域分割手段により分割された各領域の全画素の階調値の分散を求める手段と、前記階調値の分散を求める手段により求められた分散値から、当該領域が、印刷紙面上に生じた前記固有の情報の照合に適しているかを判定する判定手段とを有し、前記判定手段により判定された領域の前記固有の情報をその登録及び照合に用いることを特徴とする。
【0016】
また、請求項7に記載の画像処理装置は、紙面上におけるランダムな繊維の凹凸や重なりによるパターンである紙指紋または、印刷時に生じたトナーの不規則な飛散を含む印刷紙面上に生じた固有の情報を基に、紙の原本性を保証するシステムにおいて、読み取られた紙指紋の情報または前記固有の情報を含む画像データを複数の領域に分割する領域分割手段と、前記領域分割手段により分割された各各領域の全画素の階調値の分散を求める手段と、前記階調値の分散を求める手段により求められた分散値から当該領域が紙指紋の情報または前記固有の情報の照合に適しているかを判定する判定手段とを有し、前記判定手段により判定された領域の紙指紋の情報または前記固有の情報を、登録及び照合に用いることを特徴とする。
【0017】
また、請求項8に記載の発明は、紙面上におけるランダムな繊維の凹凸や重なりによるパターンである紙指紋を基に、紙の原本性を保証するシステムにおいて、該システムに備わる制御手段により実行される画像処理方法であって、読み取られた紙指紋を含む画像データを複数の領域に分割するステップと、前記分割するステップにおいて分割された各領域の全画素の階調値の分散を求めるステップと、前記階調値の分散を求めるステップにおいて求められた分散値から、当該領域が紙指紋情報の照合に適しているかを判定するステップと、前記判定するステップにおいて判定された領域の紙指紋情報を、登録及び照合に用いるステップとを含むことを特徴とする。
【0018】
また、請求項9に記載の発明は、印刷時に生じたトナーの不規則な飛散を含む印刷紙面上に生じた固有の情報を基に、紙の原本性を保証するシステムにおいて、該システムに備わる制御手段により実行される画像処理方法であって、読み取られた前記固有の情報を含む画像を複数の領域に分割するステップと、前記分割するステップにおいて分割された各領域の全画素の階調値の分散を求めるステップと、前記階調値の分散を求めるステップにおいて求められた分散値から、当該領域が、印刷紙面上に生じた前記固有の情報の照合に適しているかを判定するステップと、前記判定するステップにおいて判定された領域の前記固有の情報をその登録及び照合に用いるステップとを含むことを特徴とする。
【0019】
また、請求項10に記載の発明は、紙面上におけるランダムな繊維の凹凸や重なりによるパターンである紙指紋または、印刷時に生じたトナーの不規則な飛散を含む印刷紙面上に生じた固有の情報を基に、紙の原本性を保証するシステムにおいて、該システムに備わる制御手段により実行される画像処理方法であって、読み取られた紙指紋の情報または前記固有の情報を含む画像を複数の領域に分割するステップと、前記分割するステップにおいて分割された各領域の全画素の階調値の分散を求めるステップと、前記階調値の分散を求めるステップにおいて求められた分散値から当該領域が紙指紋の情報または前記固有の情報の照合に適しているかを判定するステップと、前記判定するステップにおいて判定された領域の紙指紋の情報または前記固有の情報を、登録及び照合に用いるステップとを含むことを特徴とする。
【0020】
また、上記各画像処理方法における諸ステップは、各種画像処理装置または情報処理装置に備わるコンピュータに実行させるためのプログラムとして構成することができる。そして、このプログラムを前記コンピュータに読み込ませることにより当該画像処理方法をコンピュータに実行させることができる。また、このプログラムは、このプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介して前記コンピュータに読み込ませることができる。
【0021】
なお、本明細書において、画像処理装置とは、専用の画像処理装置や画像形成装置の他、本発明に係る処理を実行可能な汎用の情報処理装置を含むものとする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、原本保証に用いる紙指紋情報や印刷紙面固有情報の照合に対して、より照合率の高い、紙指紋情報および/または印刷紙面固有情報の登録・照合に適した領域を見つけることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下では、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0024】
[第1の実施形態]
<印刷システム>
はじめに、本発明による第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本第1の実施形態に係る印刷システムの全体構成を示すブロック図である。
【0025】
同図に示す印刷システムでは、ホストコンピュータ40及び3台の画像形成装置(10,20,30)がLAN50に接続されている。もちろん、本発明による印刷システムにおいては、これらの接続数に限られることはない。また、本実施形態では各装置間の接続方法としてLANを適用しているが、これに限られることはない。例えば、WAN(公衆回線)などの任意のネットワーク、USBなどのシリアル伝送方式、セントロニクスやSCSIなどのパラレル伝送方式なども適用可能である。
【0026】
ホストコンピュータ(以下、PCと称する)40はパーソナルコンピュータの機能をもつ。このPC40はLAN50やWANを介してFTPやSMBプロトコルを用いファイルを送受信したり電子メールを送受信したりすることができる。またPC40から画像形成装置10、20、30に対して、プリンタドライバを介した印字命令を行うことが可能となっている。
【0027】
同図に示すように、画像形成装置10と20は同じ構成をもつ。一方、画像形成装置30はプリント機能のみで、画像形成装置10や20が有するスキャナ部がない。以下では、説明の簡単のために、画像形成装置10、20のうちの画像形成装置10に注目して、その構成を詳細に説明する。
【0028】
<画像形成装置10>
画像形成装置10の外観を図2に示す。
【0029】
画像形成装置10は、画像入力デバイスであるスキャナ部13、画像出力デバイスであるプリンタ部14、画像形成装置10全体の動作制御を司るコントローラ11、ユーザインターフェース(UI)である操作部12から構成される。
【0030】
スキャナ部13は、複数のCCDを有している。各CCDの感度が夫々異なっていると、たとえ原稿上の各画素の濃度が同じであったとしても、読み取られた各画素が夫々異なる濃度であると認識されてしまう。そこでその補正を行なうため、スキャナ部13では、最初に白板(一様に白い板)を露光走査し、露光走査して得られた反射光の量を電気信号に変換してコントローラ11に出力している。
【0031】
なお、後述するように、コントローラ11内のシェーディング補正部500は、各CCDから得られた電気信号を元に、各CCDの感度の違いを認識している。そして、この認識された感度の違いを利用して、原稿上の画像をスキャンして得られた電気信号の値を補正している。さらに、シェーディング補正部500は、後述するコントローラ11内のCPU301からゲイン調整の情報を受取ると、当該情報に応じたゲイン調整を行う。ゲイン調整は、原稿を露光走査して得られた電気信号の値を、どのように0〜255の輝度信号値に割り付けるかを調整するために用いられる。このゲイン調整により、原稿を露光走査して得られた電気信号の値を高い輝度信号値に変換したり、低い輝度信号値に変換したりすることができるようになっている。
【0032】
引き続き、原稿上の画像をスキャンする際のスキャナ部13の動作について説明する。
【0033】
スキャナ部13は、原稿上の画像を露光走査して得られた反射光をCCDに入力することで画像の情報を電気信号に変換する。さらに電気信号をR,G,B各色からなる輝度信号に変換し、当該輝度信号を画像データとしてコントローラ11に対して出力する。
【0034】
なお、原稿は原稿フィーダ201のトレイ202にセットされる。ユーザが操作部12から読み取り開始を指示すると、コントローラ11からスキャナ部13に原稿読み取り指示が与えられる。スキャナ部13は、この指示を受けると原稿フィーダ201のトレイ202から原稿を1枚ずつフィードして、原稿の読み取り動作を行う。なお、原稿の読み取り方法は原稿フィーダ201による自動送り方式ではなく、原稿を不図示のガラス面上に載置し露光部を移動させることで原稿の走査を行う方法であってもよい。
【0035】
次にプリンタ部14であるが、これは、コントローラ11から受取った画像データを用紙上に形成する画像形成デバイスである。なお、本実施形態において画像形成方式は感光体ドラムや感光体ベルトを用いた電子写真方式となっているが、本発明はこれに限られることはない。例えば、微少ノズルアレイからインクを吐出して用紙上に印字するインクジェット方式などでも適用可能である。また、プリンタ部14には、異なる用紙サイズ又は異なる用紙向きを選択可能とする複数の用紙カセット203、204、205が設けられている。排紙トレイ206には印字後の用紙が排出される。
【0036】
<コントローラ11の詳細説明>
ここで、画像形成装置10のコントローラ11の構成について説明する。
【0037】
図3は、コントローラ11の構成をより詳細に説明するためのブロック図である。
【0038】
コントローラ11(制御手段)は、スキャナ部13やプリンタ部14と電気的に接続されており、一方ではLAN50やWAN331を介してPC40や外部の装置などと接続されている。これにより画像データやデバイス情報の入出力が可能となっている。
【0039】
CPU301は、ROM303に記憶された制御プログラム等に基づいて接続中の各種デバイスとのアクセスを統括的に制御すると共に、コントローラ内部で行われる各種処理についても統括的に制御する。RAM302は、CPU301が動作するためのシステムワークメモリであり、かつ画像データを一時記憶するためのメモリでもある。このRAM302は、記憶した内容を電源off後も保持しておく不揮発性SRAM及び電源off後には記憶した内容が消去されてしまうDRAMにより構成されている。ROM303には装置のブートプログラムなどが格納されている。HDD304はハードディスクドライブであり、システムソフトウェアや画像データを格納することが可能となっている。
【0040】
操作部I/F305は、システムバス310と操作部12とを接続するためのインターフェース部である。この操作部I/F305は、操作部12に表示するための画像データをシステムバス310から受取り、それを操作部12に出力すると共に、操作部12から入力された情報をシステムバス310へと出力する。
【0041】
ネットワークI/F306はLAN50及びシステムバス310に接続し、情報の入出力を行う。モデム307はWAN331及びシステムバス310に接続しており、情報の入出力を行う。2値画像回転部308は送信前の画像データの方向を変換する。2値画像圧縮・伸張部309は、送信前の画像データの解像度を所定の解像度や相手能力に合わせた解像度に変換する。なお圧縮及び伸張にあたってはJBIG、MMR、MR、MHなどの方式が用いられる。画像バス330は画像データをやり取りするための伝送路であり、PCIバス又はIEEE1394で構成されている。
【0042】
スキャナ画像処理部312は、スキャナ部13からスキャナI/F311を介して受取った画像データに対して、補正、加工、及び編集を行う。なお、スキャナ画像処理部312は、受取った画像データがカラー原稿か白黒原稿か、または文字原稿か写真原稿かなどを判定する。そして、その判定結果を画像データに付随させる。こうした付随情報を属性データと称する。このスキャナ画像処理部312で行われる処理の詳細については後述する。
【0043】
圧縮部313は画像データを受取り、この画像データを32画素×32画素のブロック単位に分割する。なお、この32×32画素の画像データをタイルデータと称する。図4は、このタイルデータを概念的に表している。原稿(読み取り前の紙媒体)において、このタイルデータに対応する領域をタイル画像と称する。なおタイルデータには、その32×32画素のブロックにおける平均輝度情報やタイル画像の原稿上の座標位置がヘッダ情報として付加されている。さらに圧縮部313は、複数のタイルデータからなる画像データを圧縮する。伸張部316は、複数のタイルデータからなる画像データを伸張した後にラスタ展開してプリンタ画像処理部315に送る。
【0044】
プリンタ画像処理部315は、伸張部316から送られた画像データを受取り、この画像データに付随させられている属性データを参照しながら画像データに画像処理を施す。画像処理後の画像データは、プリンタI/F314を介してプリンタ部14に出力される。このプリンタ画像処理部315で行われる処理の詳細については後述する。
【0045】
画像変換部317は、画像データに対して所定の変換処理を施す。この処理部は以下に示すような処理部により構成される。
【0046】
伸張部318は、受取った画像データを伸張する。圧縮部319は受取った画像データを圧縮する。回転部320は受取った画像データを回転する。変倍部321は受取った画像データに対し解像度変換処理(例えば600dpiから200dpi)を行う。色空間変換部322は受取った画像データの色空間を変換する。この色空間変換部322は、所定の変換用マトリクス又はテーブルを用いて公知の下地飛ばし処理を行ったり、公知のLOG変換処理(RGB→CMY)を行ったり、公知の出力色補正処理(CMY→CMYK)を行ったりすることができる。2値多値変換部323は受取った2階調の画像データを256階調の画像データに変換する。逆に多値2値変換部324は受取った256階調の画像データを誤差拡散処理などの手法により2階調の画像データに変換する。
【0047】
合成部327は受取った2つの画像データを合成し1枚の画像データを生成する。なお、2つの画像データを合成する際には、合成対象の画素同士が持つ輝度値の平均値を合成輝度値とする方法や、輝度レベルで明るい方の画素の輝度値を合成後の画素の輝度値とする方法が適用される。また、暗い方を合成後の画素とする方法の利用も可能である。さらに合成対象の画素同士の論理和演算、論理積演算、排他的論理和演算などで合成後の輝度値を決定する方法なども適用可能である。これらの合成方法はいずれも周知の手法である。間引き部326は受取った画像データの画素を間引くことで解像度変換を行い、1/2,1/4,1/8などの画像データを生成する。移動部325は受取った画像データに余白部分をつけたり余白部分を削除したりする。
【0048】
RIP328は、PC40などから送信されたPDLコードデータを元に生成された中間データを受取り、ビットマップデータ(多値)を生成する。圧縮部329は、RIP328から受取ったビットマップデータを圧縮する。
【0049】
<スキャナ画像処理部312>
次に、スキャナ画像処理部312の詳細について図5を参照し説明する。
図5に、スキャナ画像処理部312の内部構成を示している。
【0050】
スキャナ画像処理部312はRGB各8bitの輝度信号からなる画像データを受取る。シェーディング補正部500は、この輝度信号に対してシェーディング補正する。シェーディング補正とは、上述したように、CCDの感度のばらつきによって原稿の明るさが誤認識されてしまうことを防止するための処理である。さらに、上述したように、このシェーディング補正部500は、CPU301からの指示によりゲイン調整を行うことができるようになっている。
【0051】
続いて、この輝度信号は、マスキング処理部501によりCCDのフィルタ色に依存しない標準的な輝度信号に変換される。
【0052】
フィルタ処理部502は、受取った画像データの空間周波数を任意に補正する。この処理部は、受取った画像データに対して、例えば7×7のマトリクスを用いた演算処理を行う。ところで、複写機や複合機では、後述する図15における1504タブの押し下げによりコピーモードとして文字モードや写真モードや文字/写真モードを選択することができる。ここでユーザにより文字モードが選択された場合には、フィルタ処理部502は文字用のフィルタを画像データ全体に適用する。また、写真モードが選択された場合には、写真用のフィルタを画像データ全体に適用する。また、文字/写真モードが選択された場合には、後述の文字写真判定信号(属性データの一部)に応じて画素ごとに適応的に適用するフィルタを切り替える。つまり、画素ごとに写真用のフィルタを適用するか文字用のフィルタを適用するかが決定される。なお、写真用のフィルタには高周波成分のみ平滑化が行われるような係数が設定されている。これは、画像のざらつきを目立たせないためである。また、文字用のフィルタには強めのエッジ強調を行うような係数が設定されている。これは、文字のシャープさを出すためである。
【0053】
ヒストグラム生成部503は、受取った画像データを構成する各画素の輝度データをサンプリングする。より詳細に説明すると、主走査方向、副走査方向にそれぞれ指定した開始点から終了点で囲まれた矩形領域内の輝度データを、主走査方向、副走査方向に一定のピッチでサンプリングする。そして、サンプリング結果を元としてヒストグラムデータを生成する。
【0054】
フィルタ処理部502から送られてきた画像データより生成されたヒストグラムデータは、下地飛ばし処理を行う際に下地レベルを推測するために用いられる。後述する領域分割部508から送られてきた画像データより生成されたヒストグラムデータは、後述するヒストグラム判定部509において、当該分割された領域の画像データが紙指紋情報の照合に適しているかの判定を行うために用いられる。入力側ガンマ補正部504は、所定の変換用テーブル等を利用して非線形特性を持つ輝度データに変換する。
【0055】
カラーモノクロ判定部505は、受取った画像データを構成する各画素が有彩色であるか無彩色であるかを判定し、その判定結果をカラーモノクロ判定信号(属性データの一部)として画像データに付随させる。
【0056】
文字写真判定部506は、画像データを構成する各画素が文字を構成する画素なのか、網点を構成する画素なのか、網点中の文字を構成する画素なのか、ベタ画像を構成する画素なのかを各画素の画素値と各画素の周辺画素の画素値とに基づいて判定する。なお、どれにもあてはまらない画素は、白領域を構成している画素である。そして、その判定結果を文字写真判定信号(属性データの一部)として画像データに付随させる。
【0057】
シェーディング補正部500から入力されマスキング処理部501の処理を受けたRGBの画像データを領域分割部508により分割した複数の領域の内紙指紋情報取得領域として適切な領域を、後述するヒストグラム判定部509が決定する。そして、紙指紋情報取得部507は、当該決定された紙指紋情報取得領域の画像データを取得する。なお、紙指紋情報取得処理の詳細については、図6を用いて、また、紙指紋情報取得領域として適切な領域を決定する方法については、図7、図8を用いて後述する。
【0058】
紙指紋情報取得部507は、上記紙指紋情報取得領域の紙指紋情報を不図示のデータバスを用いてRAM302に送る。
【0059】
領域分割部508は、マスキング処理が終わった画像に対して、画像領域を複数の領域に分割する。分割された後の領域サイズは常に一定にしても構わないし、操作部12のUI等から制御できるようになっていても構わない。
【0060】
ヒストグラム判定部509は、ヒストグラム生成部503により生成されたヒストグラムより、後述のようにして紙指紋情報の照合に適しているかを判定する。
【0061】
ここで、紙指紋情報取得部507における紙指紋情報取得処理の詳細について説明する。
図6は、この紙指紋情報取得部507が行う紙指紋情報取得処理を示すフローチャートである。
【0062】
ステップ601では紙指紋情報取得部507において取得した画像データをグレイスケールの画像データに変換する。なお、ここでは、ヒストグラム判定部509により紙指紋情報の照合に適していると判断された紙指紋情報取得領域の画像データを用いる。
【0063】
ステップ602では、ステップ601においてグレイスケールの画像データへ変換された画像において、印刷や手書きの文字といった誤判定の要因となりうるものを取り除いて照合を行うためのマスクデータを作成する。マスクデータは“0”または“1”の2値データである。グレイスケールの画像データにおいて、輝度信号値が第1の閾値(つまり、所定の明るさのレベル)以上である画素については、マスクデータの値を“1”に設定する。また、輝度信号値が第1の閾値未満である画素についてはマスクデータの値を“0”に設定する。以上の処理を、グレイスケールの画像データに含まれる各画素に対して行う。
【0064】
ステップ603では、ステップ601においてグレイスケールに変換された画像データ及び、ステップ602において作成されたマスクデータの2つのデータを紙指紋情報として取得する。なお、ステップ801においてグレイスケールに変換された画像データ自体のことを紙指紋情報と称することもあるが、本実施形態では、上記二つのデータを紙指紋情報と称することにする。
【0065】
以上、紙指紋情報取得処理の詳細について説明した。
【0066】
次いで、紙指紋情報取得領域として適切な領域を決定する方法について説明する。 図7は、このヒストグラム判定部509が行う、紙指紋情報の照合に適しているかをヒストグラムから判定する処理を示すフローチャートである。
【0067】
ステップ701では、領域分割部508により分割された領域の1番目の領域のヒストグラムから分散を判定するために領域の番号を示すkを初期化する(k=1)。
ステップ702では、k番目の領域中に白レベルの画素(例:(R,G,B)=(255,255,255))がないか、つまり、白飛びしてしまっているかを判断する。白レベルの画素があるときには、その領域は紙指紋情報の照合には適していないと判断して、ステップ708に移行する。
【0068】
ステップ703では、k番目の領域中にあらかじめ設定した色のレベル以下(所定の階調値以下)の画素、つまり領域中に黒等で文字や絵を構成する画素が、所定の閾値以上の数だけ存在しているかを判断する。黒色の画素数が閾値以上存在するときには、その領域は紙指紋情報の照合には適していないと判断して、ステップ708に移行する。
【0069】
ステップ704では、ヒストグラム生成部503により生成されたヒストグラムより当該領域における全画素の階調値の分散(分散値)を求める。この分散が大きいほうが、他の領域の紙指紋情報と比較/照合したときに、2つの領域の画像の差が大きく出るために紙指紋情報の照合に適しているといえる。そこで、この分散が大きい領域を紙指紋情報取得領域とする。
【0070】
ステップ705では、(k−1)番目までの分散の最大値VMAXとステップ704で求められたk番目の分散V(k)の比較を行う。各領域の分散は以下の式(1)より求められる。なお、階調値は、その領域内の各画素の階調値であり、階調値の平均は、領域内の全画素の階調値の平均であり、個数は、領域内の画素数である。
分散=((階調値−階調値の平均)2)の総和÷個数 …(1)
MAX≧V(k)のときにはステップ708に移行し、VMAX<V(k)のときにはステップ706に移行する。
【0071】
ここで、図8に、ヒストグラム生成部503で生成されるヒストグラムの例を示す。なお、同図において、横軸は画像濃度レベルを示し、縦軸はサンプルデータの個数を示している。
【0072】
図8(A)はヒストグラムを生成した領域のほとんどが黒色であるときのヒストグラムである。また、図8(B)はヒストグラムを生成した領域中に、所定の閾値以下の色レベルの画素が多くあるときのヒストグラムである。生成されたヒストグラムが、図8(A)、(B)に示されるような状態であるときは、その領域は紙指紋情報の取得には適さないとして、図7のステップ703で除かれる。
【0073】
次に図8(C)、(D)はヒストグラムを生成した領域中、ほとんどの画素が閾値となる所定の階調値以上の色レベルであって紙面上に印刷やごみが載っていないときのヒストグラムを示している。ここで図8(C)と図8(D)を比較すると、図8(D)のほうがヒストグラムにおける分布が広がっているために階調値の分散が大きいことがわかる。よって、この4通りの領域から紙指紋情報を取得する際には、図8(D)の場合の領域を、紙指紋情報取得領域として紙指紋情報の登録・照合に用いる。ここでは例として分散をあげたが、標準偏差等を用いることも可能である。
【0074】
ここで、話を図7の処理へ戻す。ステップ706では、ステップ705によりVMAX<V(k)と判断されたV(k)をVMAXに代入する。
ステップ707では、k番目の領域の画像データをメモリに格納する。
【0075】
ステップ708では、次の領域のヒストグラムから分散を判定するためにkにk+1を代入する。
ステップ709では、ステップ708でk+1を代入された新しいkが分割した領域数nよりも大きいかを判断する。このステップ709においてk≦nと判断されたときには、ステップ702に戻る。一方、それ以外のときにはステップ710に移行する。
【0076】
ステップ710では、最終的にメモリに格納されている領域の画像データを紙指紋情報取得部507に送り、当該領域の紙指紋情報を抽出する。
【0077】
<プリンタ画像処理部315>
次に、プリンタ画像処理部315における処理の詳細を、図6を参照し説明する。
図9は、プリンタ画像処理315においてなされる処理の流れを説明するためのブロック図である。
【0078】
下地飛ばし処理部901は、スキャナ画像処理部312で生成されたヒストグラムを用いて画像データの下地色を飛ばす(すなわち、除去する)。モノクロ生成部902はカラーデータをモノクロデータに変換する。Log変換部903は輝度濃度変換を行う。このLog変換部903は、例えば、RGB入力された画像データを、CMYの画像データに変換する。
【0079】
出力色補正部904は出力色補正を行う。例えばCMY入力された画像データを、所定の変換用テーブルやマトリックスを用いてCMYKの画像データに変換する。出力側ガンマ補正部905は、この出力側ガンマ補正部905に入力される信号値と、複写出力後の反射濃度値とが比例するように補正を行う。中間調補正部906は、出力するプリンタ部の階調数に合わせて中間調処理を行う。例えば、受取った高階調の画像データに対し2値化や32値化などを行う。
【0080】
なお、スキャナ画像処理部312やプリンタ画像処理部315における各処理部では、受取った画像データに各処理を施さずに出力させることも可能となっている。このような、ある処理部において処理を施さずにデータを通過させることを、「処理部をスルーさせる」とも表現される。
【0081】
次に、本実施形態における紙指紋情報登録処理および紙指紋照合処理の詳細について説明する。
【0082】
<紙指紋情報登録処理>
紙指紋情報登録処理に関し、CPU301は、紙指紋情報取得部507からRAM302に送られてきた所定領域(紙指紋情報取得領域)の紙指紋情報を読出し、当該読出された紙指紋情報を不図示のサーバに登録することが可能となっている。この登録は、RAM302内に格納されたプログラムを実行することによって行われる。
【0083】
<紙指紋照合処理>
紙指紋照合処理に関し、CPU301は、紙指紋取得部507からRAM302に送られてきた紙指紋情報を読出し、当該読出された紙指紋情報と他の紙指紋情報とを照合すべく制御することが可能となっている。なお、他の紙指紋情報は、本実施形態において、上記の紙指紋情報登録処理により不図示のサーバに登録されている紙指紋情報のことを意味する。
【0084】
図10は、この紙指紋情報照合処理を示すフローチャートである。本フローチャートの各ステップは、CPU301により統括的に制御される。
【0085】
まずステップ1001では、上記サーバに登録されている紙指紋情報をRAM302から取出す。
【0086】
ステップ1002では、紙指紋情報取得部507から送られてきた(今、読み取られたばかりの)紙指紋情報と、上記ステップ1001において取出された(サーバに登録されていた)紙指紋情報との照合をする。つまり、これら2つの紙指紋情報のマッチング度合いを算出する。この照合にあたっては、まず、登録されていた紙指紋情報と取出された紙指紋情報とが夫々異なった位置から取得された可能性があることから、位置ずれ補正を行う。この位置ずれ補正は以下のような手法となっている。
【0087】
<位置ずれ補正>
まず、式(2)を用いて2つの紙指紋情報の誤差値E(i,j)、すなわち2つの紙指紋情報の位置を(i,j)ずらしたときの誤差値を、(2n−1)×(2m−1)個求める。詳細は以下のとおりである。なお、ここで、nおよびmはそれぞれ紙指紋情報取得領域から取得された紙指紋情報の横方向および縦方向の画素数である。また、下式において、x=1〜n、y=1〜mであり、Σは、すべてのx、yについて総和をとるものである。
【0088】
【数1】

【0089】
式(2)においてα1はステップ1001で取出された(登録されていた)紙指紋情報中のマスクデータである。f1はステップ1001で取出された(登録されていた)紙指紋情報中のグレイスケール画像データである。α2はステップ1002で紙指紋情報取得部507から送られてきた(今、取得されたばかりの)紙指紋情報中のマスクデータである。f2はステップ1002で紙指紋情報取得部507から送られてきた(今、取得されたばかりの)紙指紋情報中のグレイスケール画像データである。
【0090】
ここで具体的な方法を、図11、12、13、14を用いて説明する。図11の(A),(B)は、それぞれ今回得られた紙指紋情報取得領域の紙指紋情報と登録されている紙指紋情報取得領域の紙指紋情報のイメージ図である。それぞれ、横n画素、縦m画素の画像データから構成されているものとする。
【0091】
式(2)に示した関数において、i,jをそれぞれ−n+1〜n−1、−m+1〜m−1の範囲でそれぞれ1画素ずつずらし、登録されていた紙指紋情報と今回得られたばかりの紙指紋情報の誤差値E(i,j)を(2n−1)×(2m−1)個求める。即ち、E(−n+1,−m+1)〜E(n−1,m−1)を求める。
【0092】
図12(A)は、登録されている紙指紋情報の左上1画素に対して、今回得られた紙指紋情報の右下1画素だけ重なっているイメージ図を表す。この状態において、式(2)の関数により求まる値をE(−n+1,−m+1)とする。図12(B)は、図12(A)よりも今回得られた紙指紋情報を右に1画素分だけ移動したイメージ図を表す。この状態において、式(2)の関数により求まる値をE(−n+2,−m+1)とする。同様に今回得られたばかりの紙指紋情報を移動させながら演算を行う。
【0093】
図12(C)では、今回得られたばかりの紙指紋情報を、登録されていた紙指紋情報と左右両端が重なるところまで移動させており、これによりE(0,−m+1)が求まる。さらに、図12(D)では、今回得られた紙指紋情報の左端を登録されていた紙指紋情報の右端まで移動して、E(n−1,−m+1)を求める。このように、横方向にずらすと、E(i,j)のうちのiが1ずつ加算される。
【0094】
同様に図13(A)では、図12(A)よりも、縦方向下側に1画素だけ今回得られた紙指紋情報を移動して、E(−n+1,−m+2)の値を求める。さらに図13(B)では、図13(A)に対して、今回得られた紙指紋情報を登録されていた紙指紋情報の右端まで移動してE(n−1,−m+2)の値を求める。
【0095】
図14(A)は、登録されている紙指紋情報と今回得られた紙指紋情報が同じ位置の場合、すなわち完全に重なっている状態を表し、このときのE(i,j)の値をE(0,0)とする。
【0096】
以上と同様にして、それぞれの紙指紋情報が少なくとも1画素以上重なるように画像をずらしながら演算を行う。最後に図14(B)のように、登録されていた紙指紋情報の右下1画素と今回得られた紙指紋情報の左上1画素が重なったときの誤差値E(n−1,m−1)を求める。このようにして、(2n−1)×(2m−1)個の誤差値E(i,j)の集合を求める。
【0097】
ここで、この式(2)の意味を考えるために、i=0,j=0であり、かつ、α1(x,y)=1(ただし、x=1〜n,y=1〜m)であり、かつ、α2(x−i,y−j)=1(ただし、x=1〜n,y=1〜m)の場合を考えることにする。つまり、α1(x,y)=1(ただし、x=1〜n,y=1〜m)であり、かつ、α2(x−i,y−j)=1(ただし、x=1〜n,y=1〜m)の場合のE(0,0)を求めることにする。なお、i=0,j=0とは、図14(A)のように、登録されていた紙指紋情報と今回得られた紙指紋情報が同じ位置(完全に重なっている状態)であることを示す。
【0098】
ここで、α1(x,y)=1(ただし、x=1〜n,y=1〜m)は、登録されていた紙指紋情報の全ての画素が明るいことを示す。言い換えると、登録されていた紙指紋情報が取得された際には、紙指紋取得領域上には一切トナーやインクなどの色材やゴミがのっていなかったことを示す。
【0099】
また、α2(x−i,y−j)=1(ただし、x=1〜n,y=1〜m)は、今回取得した紙指紋情報の全ての画素が明るいことを示す。言い換えると、今取得されたばかりの紙指紋情報が取得された際には、紙指紋取得領域上には一切トナーやインクなどの色材やゴミがのっていなかったことを示す。
【0100】
このように、α1(x,y)=1とα2(x−i,y−j)=1とが全ての画素において成り立つ時、(2)式は、E(0,0)={f1(x,y)−f2(x,y)}2/(n×m)と表されることになる。
【0101】
この{f1(x,y)−f2(x,y)}2は、登録されていた紙指紋情報中のグレイスケール画像データと、今取出されたばかりの紙指紋情報中のグレイスケール画像データとの差の二乗値を示す。従って、このときの(2)式は、二つの紙指紋情報同士の各画素における差の二乗を合計したものに比例する。つまり、f1(x,y)とf2(x,y)とが似ている画素が多ければ多いほど、このE(0,0)は、小さな値を取ることになる。
【0102】
以上説明したのは、E(0,0)の求め方であるが、同じようにして他のE(i,j)を求めていく。ちなみに、f1(x,y)とf2(x,y)とが似ている画素が多ければ多いほどE(i,j)が小さな値を取る。このことから、E(k,l)=min{E(i,j)}である場合、登録されていた紙指紋情報を取得した際の位置と、今取得されたばかりの紙指紋情報を取得した際の位置とは、互いにk,lだけずれていたことがわかる。
【0103】
<αの意義>
式(2)の分子は、{f1(x,y)−f2(x−i,y−j)}2に対してα1とα2とがかけられた結果を意味する(正確には、さらにΣ記号により合計値が求められている)。このα1とα2は、濃い色の画素は0、薄い色の画素は1を示す。
【0104】
従って、α1とα2とのうちどちらか一方(又は両方)が0の場合には、α1α2{f1(x,y)−f2(x−i,y−j)}2は0になることになる。
【0105】
即ち、どちらか一方(または両方)の紙指紋情報において対象とする画素が濃い色であった場合には、その画素における濃度差は考慮しないことを示している。これは、ゴミや色材がのってしまった画素を無視するためである。
【0106】
この処理では、Σ記号により合計する数が増減するため、総数Σα1(x,y)α2(x−i,y−j)で割ることで正規化を行っている。なお、式(2)の分母にあるΣα1(x,y)α2(x−i,y−j)が0になる誤差値E(i,j)は、後述の誤差値の集合{E(−(n−1),−(m−1))、…、E(n−1,m−1)}には含めないものとする。
【0107】
<マッチング度合いの決定方法>
上述したように、E(k,l)=min{E(i,j)}である場合、登録されていた紙指紋情報を取得した際の位置と、今取得されたばかりの紙指紋情報を取得した際の位置とは互いにk,lだけずれていたことがわかる。
【0108】
続いて、二つの紙指紋情報がどれだけ似ているのかを示す値(この値を、マッチング度合いと称する)を、そのE(k,l)及び他のE(i,j)を使って求める。
(A)まず、式(2)の関数により求まった誤差値の集合(例えば、E(0,0)=10※,E(0,1)=50,E(1,0)=50,E(1,1)=50)から平均値(40)を求める。なお、※印は、上に示す値とは関係がない。単に注目を得るためであり(以下においても同様)、その理由は後記で明らかとなる。
(B)次に、平均値(40)から各誤差値(10※,50,50,50)を引いて、新たな集合{30※,−10,−10,−10}を求める。
(C)そして、この新たな集合から標準偏差を求める。段階的に計算すると、30×30+10×10+10×10+10×10=1200となり、1200/4=300で、標準偏差は√300=10√3=約17となる。そして、上記新たな集合の要素を17で割り、その商(1※,−1,−1,−1)を求める。
(D)そして、求められた値のうちの最大値をマッチング度合い(1※)とする。なお、この1※という値は、E(0,0)=10※という値と対応した値である。E(0,0)というのは、今回の場合、E(0,0)=min{E(i,j)}を満たす値である。
【0109】
<マッチング度合いの決定方法の概念的な説明>
上記マッチング度合いの決定方法での処理は、結局、複数の誤差値集合の中で最も小さな誤差値が、平均的な誤差値とどれだけ離れているかを計算している(A及びB)。
【0110】
そして、その離れ具合を標準偏差で割り、そのうちの最大値をマッチング度合いとして求めている(C及びD)。
【0111】
このようにして求められたマッチング度合いを閾値と比較することで、照合結果を得ることができる。
【0112】
なお、標準偏差は、「各誤差値と平均値との差」の平均的な値を意味する。言い換えると、標準偏差は、集合の中で大体どれくらいのばらつきが全体的に生じているかを示す値である。
【0113】
このような全体的なばらつき値(標準偏差)で上記離れ具合を割ることで、min{E(i,j)}が集合{E(i,j)}の中でどれだけ小さいか(突出して小さいか、ちょっと小さいか)がわかることになる。
【0114】
そして、min{E(i,j)}が集合{E(i,j)}の中で非常に突出して小さい場合に有効と判断し、それ以外の場合に無効と判断する(E)。
【0115】
<min{E(i,j)}が集合{E(i,j)}の中で非常に突出して小さい場合のみ有効と判断する理由>
ここで、登録されていた紙指紋情報と、今取得されたばかりの紙指紋情報とが、同じ紙から取得されたと仮定する。
【0116】
すると、登録されていた紙指紋情報と、今取得されたばかりの紙指紋情報とが極めて一致する場所(前述の位置ずれと関連し、ここではこの場所をずれ位置と称す)があるはずである。この時、このずれ位置では、登録されていた紙指紋情報と、今取得されたばかりの紙指紋情報とが極めて一致するため、E(i,j)は非常に小さくなるはずである。
【0117】
一方、このずれ位置から少しでもずらすと、登録されていた紙指紋情報と今取得されたばかりの紙指紋情報には何ら関連性がなくなる。従って、E(i,j)は通常、大きな値になるはずである。
【0118】
そのため、「二つの紙指紋情報が同じ紙から取得された」という条件は、「最も小さなE(i,j)、すなわちmin{E(i,j)}が集合{E(i,j)}の中で突出して小さい」という条件と一致する。
【0119】
ここで、<紙指紋情報照合処理>に話を戻す。
ステップ1003では、ステップ902において求められた2つの紙指紋情報のマッチング度合いと所定の閾値との比較を行って、「有効」「無効」を決定する。なお、マッチング度合いのことを類似度と称することもある。また、マッチング度合いと所定の閾値との比較結果のことを、照合結果と称することもある。
【0120】
以上、コントローラ11の説明は以上である。
【0121】
<操作画面の説明>
次いで、画像形成装置10における操作画面について説明する。
図15は、画像形成装置10における操作部12の初期画面である。
【0122】
領域1501は、画像形成装置10がコピーできる状態にあるか否かを示し、かつ設定したコピー部数(同図においては“1”)を示す。原稿選択タブ1504は原稿のタイプを選択するためのタブであり、このタブが押し下げられると文字、写真、文字/写真モードの3種類の選択メニューをポップアップ表示される。フィニッシングタブ1506は各種フィニッシングに関わる設定を行うためのタブである。両面設定タブ1507は両面読込み及び両面印刷に関する設定を行うためのタブである。
【0123】
読み取りモードタブ1502は原稿の読み取りモードを選択するためのタブである。このタブが押し下げられるとカラー/ブラック/自動(ACS)の3種類の選択メニューがポップアップ表示される。なお、カラーが選択された場合にはカラーコピーが、ブラックが選択された場合にはモノクロコピーが行われる。また、ACSが選択された場合には、上述したモノクロカラー判定信号によりコピーモードが決定される。
【0124】
領域1508は、紙指紋情報登録処理を選択するためのタブであり、領域1509は、紙指紋情報照合処理を選択するためのタブである。これらのタブ操作による紙指紋情報登録処理および紙指紋情報照合処理については、後述する。
【0125】
領域1510はシステムの状況を示すためのタブである。このタブが押し下げられると、画像形成装置10内のHDD304に保存されている画像データの一覧が表示画面に表示されるようになっている。
【0126】
<紙指紋情報登録処理のタブが押下された際の動作(コピー時の紙指紋情報登録処理)>
続いて、図15に示す紙指紋情報登録タブ1508がユーザにより押下された後にスタートキーが押下された際に、実行される紙指紋情報登録処理について図16のフローチャートを用いて説明する。
【0127】
ステップ1601では、CPU301は、スキャナ部13で読み取られた原稿を、画像データとしてスキャナI/F311を介してスキャナ画像処理部312に送るように制御する。
【0128】
ステップ1602では、スキャナ画像処理部312は、一般的なゲイン調整値よりも小さいゲイン調整値を、シェーディング補正部500に設定する。そして、画像データに対して上記小さいゲイン調整値を適用することで得られた各輝度信号値から、図6を用いて前述したように紙指紋情報取得部507が、紙指紋情報を取得する。そして、当該取得された紙指紋情報を不図示のデータバスを用いてRAM302に送る。
【0129】
紙指紋取得技術では、白い領域から繊維のパターンを取得する以上、暗めの画像データを得ることは必須である。そのため、本実施形態では、スキャナ画像処理部312が一般的なゲイン調整値よりも小さいゲイン調整値を設定することで、紙指紋情報取得用の暗い画像データを得た。しかしながら、暗い画像データを得る方法としてはこれに限られない。例えば、光量を落としてスキャンするような方法も考えられる。
【0130】
ステップ1603では、CPU301は、サーバから管理番号を発行してもらい、当該管理番号と紙指紋情報と紙指紋情報取得領域の情報とを夫々関連付けてサーバに登録する。なお、紙指紋情報取得領域の情報とは、どこから紙指紋情報を取得したかを示す位置情報のことである。
【0131】
ステップ1604では、管理番号を表示画面に表示するようにCPU301は制御する。
【0132】
<紙指紋情報照合処理のタブが押下された際の動作>
続いて、図7に示す紙指紋情報照合タブ1509がユーザにより押下され、その後、管理番号が入力された後にスタートキーが押下された際の動作について図17を用いて説明する。
【0133】
ステップ1701では、CPU301は、スキャナ部13で読み取られた原稿を、画像データとしてスキャナI/F311を介してスキャナ画像処理部312に送るように制御する。
【0134】
ステップ1702では、スキャナ画像処理部312は、この画像データに対して図5に示した処理を行い、新たな画像データと共に属性データを生成する。また、この属性データを画像データに付随させる。
【0135】
さらに、このステップ1702で、CPU301は、入力された管理番号を基に紙指紋情報取得領域を決定する。前述のようにサーバにおいて管理番号と紙指紋情報と紙指紋情報取得領域の情報とが夫々関連付けられて登録されているので、管理番号から紙指紋情報取得領域がわかる。次いで、スキャナ画像処理部312内の紙指紋情報取得部507が、上記決定された紙指紋情報取得領域から紙指紋情報を取得する。そして、当該取得された紙指紋情報を不図示のデータバスを用いてRAM302に送る。
【0136】
さらに、このステップ1702で、入力された管理番号と関連付けられた状態でサーバに登録されている紙指紋情報を取得する。そして、当該取得された情報を不図示のデータバスを用いてRAM302に送る。
【0137】
ステップ1703では、CPU301は、サーバに登録されていた紙指紋情報と、紙指紋情報取得部507を通じて取得した紙指紋情報とを照合する。この照合処理については、前述の<紙指紋情報照合処理>で図9を用いて説明した通りである。
【0138】
ステップ1704では、CPU301は、<紙指紋情報照合処理>により得られた結果(有効か無効か)を操作部12の表示画面上に表示するように制御する。
【0139】
以上、本発明による第1の実施形態について説明した。
【0140】
[第2の実施形態]
次に、本発明による第2の実施形態について説明する。
【0141】
現在のシステムでは、例えば紙指紋情報の照合をさせて、照合の結果『有効』と判定されたときにコピー動作をさせるような場合には、まず紙指紋情報を取得するためにスキャナのゲインを下げて読み取りを行うことになる。すなわち、原稿を露光走査して得られた電気信号の値を低い輝度信号値に変換して読み取りを行う。そして紙指紋情報の取得後に、今度はコピー動作のために通常コピー動作時のゲインに戻して読み取りを行うことになる。このために、2回のスキャンが必要になってしまう。そこで本実施形態では、このような場合でも、スキャナのゲインを下げずに1回のスキャンでコピー動作まで行うための形態を説明する。
【0142】
本実施形態で文書の照合に用いる情報は、紙指紋情報ではなく、印刷時の不規則なトナーの飛散り等による印刷紙面上に生じた固有の情報(印刷紙面固有情報)である。
【0143】
本実施形態では、このトナーの飛散りといった印刷紙面上に生じる固有の情報を取得するために、原本保証する登録対象の文書を印刷出力する際に、紙面の一部または全面に薄い灰色等を載せてプリントを行う。この紙面に付着させたトナーの不規則な飛散はスキャナのゲインを下げたり、スキャナ光量を下げたりすることなく、通常のスキャンで読み取ることが可能である。
【0144】
このようにすることで、コピー動作をする際に1回の読み取りで印刷紙面固有情報の照合から、コピー動作までを行うことが可能になる。また、トナーのランダムな飛散の方が、紙自体の凹凸や繊維の重なり等による紙指紋情報よりも、画素の階調値の分散が大きくなるために、他の異なる紙指紋情報と比較したときに、より差が大きくなることから照合精度が上がるという効果もある。
【0145】
なお、印刷紙面固有情報の登録・照合の処理は、印刷紙面固有情報を紙指紋情報と同様に扱うことで第1の実施形態における紙指紋情報の登録・照合の際の処理と同様にして行うことができる。
【0146】
[第3の実施形態]
続いて、本発明による第3の実施形態について説明する。
上記第2の実施形態で用いる印刷紙面固有情報の方が、紙指紋情報よりも照合精度が上がるが、現存する文書に対しては、原本である紙面の一部または全面に薄い灰色等を載せてプリントを行うといったことはできないので、第2の実施形態は利用できない。
【0147】
そこで本実施形態では、紙指紋情報と印刷紙面固有情報の両方のうち、より原本保証に適している領域を探す形態を説明する。
【0148】
紙面上の画像の読み取りからヒストグラムの生成や判定までは、前述した第1の実施形態と同様の手段・処理を用いることが可能である。そして、生成されたヒストグラムから紙が真っ白であると判定される領域からは原稿を露光走査して得られた電気信号の値を低い輝度信号値に変換することで紙指紋情報を読み取り可能となる。一方、紙上に薄い背景等が載っていると判定される領域からは輝度変更値を低くすることなく印刷紙面固有情報を取得する。
【0149】
なお、本実施形態における紙指紋情報または印刷紙面固有情報の登録・照合の処理は、印刷紙面固有情報を使用する場合であってもこれを紙指紋情報と同様に扱うことで第1の実施形態における紙指紋情報の登録・照合の際の処理と同様にして行うことができる。
【0150】
以上のようにすることで、現存する文書からも、より原本保証に適した領域を照合に用いることが可能になる。
【0151】
[その他の実施形態]
さらに本発明は、複数の機器(例えばコンピュータ、インターフェース機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用することも、一つの機器からなる装置(複合機、プリンタ、ファクシミリ装置など)に適用することも可能である。
【0152】
また本発明の目的は、上述した実施例で示したフローチャートの手順を実現するプログラムコードを記憶した記憶媒体から、コンピュータがプログラムコードを読出し実行することによっても達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した実施形態の機能を実現することになる。そのため、このプログラムコード及びプログラムコードを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も本発明の一つを構成することになる。
【0153】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】本発明による第1の実施形態に係る印刷システムの全体構成を示すブロック図である
【図2】同実施形態の画像形成装置の外観図である。
【図3】コントローラ11の構成を示す図である。
【図4】タイルデータを概念的に示す図である。
【図5】スキャナ画像処理部の構成を示すブロック図である。
【図6】紙指紋情報取得部507が行う紙指紋情報取得処理を示すフローチャートである。
【図7】ヒストグラム判定部における処理を示すフローチャートである。
【図8】(A)領域のほとんどが黒色であるとき、(B)領域中に閾値以下の色レベルの画素が多くあるとき、(C)、(D)領域中ほとんどの画素が閾値以上の色レベルであって紙面上に印刷やごみが載っていないとき、のヒストグラムの例である。
【図9】プリンタ画像処理部における処理の流れを説明するためのブロック図である。
【図10】紙指紋情報照合処理を説明するフローチャートである。
【図11】(A)今回得られた紙指紋情報、(B)登録されている紙指紋情報を示す図である。
【図12】(A)E(−n+1,−m+1)、(B)E(−n+2,−m+1)、(C)E(0,−m+1)、(D)E(n−1,−m+1)の求め方を説明するための図である。
【図13】(A)E(−n+1,−m+2)の求め方を説明するための図、(B)E(n−1,−m+2)の求め方を説明するための図である。
【図14】(A)E(0,0)の求め方を説明するための図、(B)E(n−1,m−1)の求め方を説明するための図である。
【図15】操作部の初期画面の一例を示す図である。
【図16】同実施形態における紙指紋情報登録処理を示すフローチャートである。
【図17】同実施形態における紙指紋情報照合処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0155】
10,20,30 画像形成装置
11,21,31 コントローラ(Controller Unit)
12,22,32 操作部
13,23 スキャナ
14,24,33 プリンタ
40 PC
50 LAN
500 シェーディング補正部
501 マスキング処理部
502 フィルタ処理部
503 ヒストグラム生成部
504 入力側ガンマ補正部
505 カラーモノクロ判定部
506 文書写真判定部
507 紙指紋情報取得部
508 領域分割部
509 ヒストグラム判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙面上におけるランダムな繊維の凹凸や重なりによるパターンである紙指紋を基に、紙の原本性を保証するシステムにおいて、
読み取られた紙指紋を含む画像データを複数の領域に分割する領域分割手段と、
前記領域分割手段により分割された各領域の全画素の階調値の分散を求める手段と、
前記階調値の分散を求める手段により求められた分散値から、当該領域が紙指紋情報の照合に適しているかを判定する判定手段とを有し、
前記判定手段により判定された領域の紙指紋情報を、登録及び照合に用いることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記階調値の分散を求める手段において、前記領域分割手段により分割された各領域のヒストグラムを求めることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記階調値の分散を求める手段において、分散を求める際に、前記領域分割手段により分割された領域において紙指紋情報照合には適さない階調値以下の画素の数が所定の閾値以上あるときには当該領域が紙指紋情報照合には適さないと判断し、分散を求めないことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記階調値の分散を求める手段において、分散を求める際に、前記領域分割手段により分割された領域において紙指紋情報照合には適さない階調値以上の画素があるときには当該領域が紙指紋情報照合には適さないと判断し、分散を求めないことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記判定手段において、前記領域分割手段により分割された領域のうち、前記分散値が大きい方がより紙指紋情報の照合に適していると判定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
印刷時に生じたトナーの不規則な飛散を含む印刷紙面上に生じた固有の情報を基に、紙の原本性を保証するシステムにおいて、
読み取られた前記固有の情報を含む画像データを複数の領域に分割する領域分割手段と、
前記領域分割手段により分割された各領域の全画素の階調値の分散を求める手段と、
前記階調値の分散を求める手段により求められた分散値から、当該領域が、印刷紙面上に生じた前記固有の情報の照合に適しているかを判定する判定手段とを有し、
前記判定手段により判定された領域の前記固有の情報をその登録及び照合に用いることを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
紙面上におけるランダムな繊維の凹凸や重なりによるパターンである紙指紋または、印刷時に生じたトナーの不規則な飛散を含む印刷紙面上に生じた固有の情報を基に、紙の原本性を保証するシステムにおいて、
読み取られた紙指紋の情報または前記固有の情報を含む画像データを複数の領域に分割する領域分割手段と、
前記領域分割手段により分割された各各領域の全画素の階調値の分散を求める手段と、
前記階調値の分散を求める手段により求められた分散値から当該領域が紙指紋の情報または前記固有の情報の照合に適しているかを判定する判定手段とを有し、
前記判定手段により判定された領域の紙指紋の情報または前記固有の情報を、登録及び照合に用いることを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
紙面上におけるランダムな繊維の凹凸や重なりによるパターンである紙指紋を基に、紙の原本性を保証するシステムにおいて、該システムに備わる制御手段により実行される画像処理方法であって、
読み取られた紙指紋を含む画像データを複数の領域に分割するステップと、
前記分割するステップにおいて分割された各領域の全画素の階調値の分散を求めるステップと、
前記階調値の分散を求めるステップにおいて求められた分散値から、当該領域が紙指紋情報の照合に適しているかを判定するステップと、
前記判定するステップにおいて判定された領域の紙指紋情報を、登録及び照合に用いるステップと
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
印刷時に生じたトナーの不規則な飛散を含む印刷紙面上に生じた固有の情報を基に、紙の原本性を保証するシステムにおいて、該システムに備わる制御手段により実行される画像処理方法であって、
読み取られた前記固有の情報を含む画像を複数の領域に分割するステップと、
前記分割するステップにおいて分割された各領域の全画素の階調値の分散を求めるステップと、
前記階調値の分散を求めるステップにおいて求められた分散値から、当該領域が、印刷紙面上に生じた前記固有の情報の照合に適しているかを判定するステップと、
前記判定するステップにおいて判定された領域の前記固有の情報をその登録及び照合に用いるステップと
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
紙面上におけるランダムな繊維の凹凸や重なりによるパターンである紙指紋または、印刷時に生じたトナーの不規則な飛散を含む印刷紙面上に生じた固有の情報を基に、紙の原本性を保証するシステムにおいて、該システムに備わる制御手段により実行される画像処理方法であって、
読み取られた紙指紋の情報または前記固有の情報を含む画像を複数の領域に分割するステップと、
前記分割するステップにおいて分割された各領域の全画素の階調値の分散を求めるステップと、
前記階調値の分散を求めるステップにおいて求められた分散値から当該領域が紙指紋の情報または前記固有の情報の照合に適しているかを判定するステップと、
前記判定するステップにおいて判定された領域の紙指紋の情報または前記固有の情報を、登録及び照合に用いるステップと
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
請求項8から請求項10のいずれかに記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−75751(P2009−75751A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−242666(P2007−242666)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】