説明

画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム

【課題】ユーザ操作を必要とせずに、彩度が低下して色褪せた画像を、鮮やかな画像に補正する。
【解決手段】入力された画像データを処理する画像処理装置において、退色検出部は、少なくとも色相及び彩度の座標軸を有する色空間における、画像データの画素の分布に基づいて、予め施された処理により彩度が低下した画像データを検出し、彩度補正部は、検出された画像データの彩度を補正する。本開示は、例えば画像を処理する画像処理装置に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、画像処理方法、及びプログラムに関し、特に、例えば、彩度が低下して色褪せた画像を、鮮やかな画像に補正できるようにした画像処理装置、画像処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、パーソナルコンピュータ等により、インターネット上のサーバからダウンロードした画像は、彩度が低下して色褪せていることが多い。これは、例えば、インターネット上のサーバに画像をアップロードする際、画像に対して、サーバにアップロード可能なデータ容量や画像フォーマットに変換する変換処理を施す必要があることによる。この変換処理により、アップロードする画像が色褪せてしまう。
【0003】
色褪せた画像を鮮やかな画像に補正して表示する場合には、パーソナルコンピュータ等のユーザが、色褪せた画像を参照しつつ、彩度を補正するための操作を行わなければならない。
【0004】
なお、ユーザの操作を必要とせずに、画像の状態に応じて色相を補正する色補正技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−81849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の色補正技術では、ユーザの操作によらず、画像の状態に応じて色相を補正することができるものの、彩度を補正する際には、やはり、ユーザの操作により、色褪せた画像の彩度を補正しなければならず、非常に手間であった。
【0007】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ユーザの操作を必要とせずに、彩度が低下して色褪せた画像を、鮮やかな画像に補正できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一側面の画像処理装置は、入力された画像データを処理する画像処理装置であって、少なくとも色相及び彩度の座標軸を有する色空間における、前記画像データの画素の分布に基づいて、予め施された処理により彩度が低下した前記画像データを検出する検出部と、検出された前記画像データの彩度を補正する彩度補正部とを含む画像処理装置である。
【0009】
前記色空間は、彩度及び色相に基づき複数の領域に区分されており、前記検出部には、前記複数の領域にそれぞれ含まれる前記画素の分布に基づいて、予め施された処理により彩度が低下した前記画像データを検出させることができる。
【0010】
前記色空間は、明度の座標軸も有するものであり、前記検出部には、前記複数の領域にそれぞれ含まれる前記画素のうち、予め決められた値以上の明度を有する画素の分布に基づいて、予め施された処理により彩度が低下した前記画像データを検出させることができる。
【0011】
前記彩度補正部には、複数の前記画像データのうち、予め施された処理により彩度が低下した前記画像データが所定枚数だけ連続して検出された場合、前記複数の画像データの彩度をそれぞれ補正させることができる。
【0012】
本開示の一側面の画像処理方法は、入力された画像データを処理する画像処理装置の画像処理方法であって、前記画像処理装置による、少なくとも色相及び彩度の座標軸を有する色空間における、前記画像データの画素の分布に基づいて、予め施された処理により彩度が低下した前記画像データを検出する検出ステップと、検出された前記画像データの彩度を補正する彩度補正ステップとを含む画像処理方法である。
【0013】
本開示の一側面のプログラムは、入力された画像データを処理する画像処理装置のコンピュータを、少なくとも色相及び彩度の座標軸を有する色空間における、前記画像データの画素の分布に基づいて、予め施された処理により彩度が低下した前記画像データを検出する検出部と、検出された前記画像データの彩度を補正する彩度補正部として機能させるためのプログラムである。
【0014】
本開示によれば、少なくとも色相及び彩度の座標軸を有する色空間における、前記画像データの画素の分布に基づいて、予め施された処理により彩度が低下した前記画像データが検出され、検出された前記画像データの彩度が補正される。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、ユーザの操作を必要とせずに、彩度が低下して色褪せた画像を、鮮やかな画像に補正することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施の形態である画像処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】HSV色空間の一例を示す図である。
【図3】ヒストグラム生成部による判別結果の一例を示す図である。
【図4】判別結果に応じて生成されたヒストグラムの一例を示す図である。
【図5】画像処理装置が行う画像処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】退色検出処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】コンピュータの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示における実施の形態(以下、本実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.本実施の形態(彩度が低下して色褪せた画像を、鮮やかな画像に補正する場合の一例)
2.変形例
【0018】
<1.本実施の形態>
[画像処理装置21の構成例]
図1は、本実施の形態である画像処理装置21の構成例を示している。
【0019】
なお、この画像処理装置21は、彩度が低下して色褪せた画像を検出し、鮮やかな画像に補正するものである。
【0020】
画像処理装置21は、RGB変換部41、HSV変換部42、ヒストグラム生成部43、退色検出部44、彩度補正部45、画像処理部46、RGB変換部47、及び表示制御部48から構成される。
【0021】
RGB変換部41には、外部から画像データが入力される。RGB変換部41は、外部からの画像データが、RGB形式により表現されるRGB画像ではない場合、その画像データをRGB画像に変換し、HSV変換部42に供給する。なお、RGB変換部41は、外部からの画像データがRGB画像である場合、外部からの画像データとしてのRGB画像を、そのままHSV変換部42に供給する。
【0022】
HSV変換部42は、RGB変換部41からのRGB画像を、HSV形式により表現されるHSV画像に変換する。
【0023】
ここで、RGB画像とは、RGB色空間上に定義されるR,G,Bを画素値(R,G,B)として有する画素から構成される画像である。また、HSV画像とは、HSV色空間上に定義される色相H、彩度S、及び明度Vを画素値(H,S,V)として有する画素から構成される画像である。なお、例えば、色相Hは0乃至360度までの値とされ、彩度S及び明度Vは、それぞれ、0乃至1までの値とされる。
【0024】
したがって、例えば、HSV変換部42は、RGB変換部41からのRGB画像の画素値(R,G,B)を、HSV画像の画素値(H,S,V)に変換する。
【0025】
具体的には、例えば、HSV変換部42は、RGB画像の各画素毎に、画素値(R,G,B)の最大値MAX(=max(R,G,B))、及び画素値(R,G,B)の最小値MIN(=min(R,G,B))を算出する。
【0026】
そして、HSV変換部42は、算出した最大値MAXがRである場合、60×(G-B)/(MAX-MIN)を色相Hとして算出する。また、例えば、HSV変換部42は、算出した最大値MAXがGである場合、{60×(B-R)/(MAX-MIN)}+120を色相Hとして算出する。さらに、例えば、HSV変換部42は、算出した最大値MAXがBである場合、{60×(R-G)/(MAX-MIN)}+240を色相Hとして算出する。なお、HSV変換部42は、算出した色相Hが負である場合、色相Hが正となるまで値360を加算し、その加算により得られる値を、最終的な色相Hとする。
【0027】
また、HSV変換部42は、(MAX-MIN)/MAXを彩度Sとして算出し、MAXを明度Vとして算出する。これにより、HSV変換部42は、RGB画像の画素値(R,G,B)を、算出した色相H、彩度S、及び明度Vからなる画素値(H,S,V)に変換する。
【0028】
HSV変換部42は、変換により得られるHSV画像を、ヒストグラム生成部43及び彩度補正部45に供給する。
【0029】
ヒストグラム生成部43は、HSV変換部42からのHSV画像に基づいて、そのHSV画像の画素値(H,S,V)の分布を表すヒストグラムを算出する。
【0030】
次に、図2乃至図4を参照して、ヒストグラム生成部43が行う処理の詳細を説明する。
【0031】
図2は、HSV色空間の一例を示している。
【0032】
なお、図2において、横軸は色相(Hue)を表し、縦軸は彩度(Saturation)を表している。また、図2では、HSV色空間を定義するための軸として、横軸及び縦軸の他、縦軸及び横軸に垂直な軸(図示せず)が存在する。縦軸及び横軸に垂直な軸は明度(Value)を表す。
【0033】
また、図2に示されるHSV色空間は、彩度Sの閾値S1乃至S3、及び色相Hの閾値H1乃至H8により、24個の領域d11,d12,d13,d21,d22,d23,d31,d32,d33,d41,d42,d43,d51,d52,d53,d61,d62,d63,d71,d72,d73,d81,d82,d83に区分されている。
【0034】
ここで、例えば、閾値S1,S2,S3は、それぞれ、0.33,0.67,1.00とされる。また、例えば、閾値H1,H2,H3,H4,H5,H6,H7,H8は、それぞれ、45,90,135,180,225,270,315,360とされる。
【0035】
ヒストグラム生成部43は、HSV画像の各画素の画素値(H,S,V)に基づいて、HSV画像の各画素が、24個の領域d11乃至d83のいずれに含まれるかを判別する。
【0036】
次に、図3は、ヒストグラム生成部43による判別結果の一例を示している。
【0037】
なお、図3において、色相Hの閾値Hi、及び彩度Sの閾値Sjに対応する数値は、領域dijに含まれる画素の個数を表している。但し、i=1,2,…,7,8とされ、j=1,2,3とされる。
【0038】
ヒストグラム生成部43は、例えば、図3に示されるような判別結果を得た場合、その判別結果に応じて、図4に示されるようなヒストグラムを生成する。
【0039】
ヒストグラム生成部43は、生成したヒストグラムを、退色検出部44に供給する。
【0040】
図1に戻り、退色検出部44は、ヒストグラム生成部43からのヒストグラムに基づいて、HSV変換部42から出力されるHSV画像が、退色画像であるか否かを検出する。ここで、退色画像とは、画像処理装置21に入力される前に予め行われた処理により彩度が低下した画像をいう。なお、退色検出部44が行う処理の詳細は、図6を参照して詳述する。
【0041】
退色検出部44は、HSV画像が退色画像であるとの検出結果を得た場合、HSV変換部42から出力されるHSV画像における彩度Sを補正するための補正値として、例えば予め決められた加算値を、彩度補正部45に供給する。ここで、退色検出部44は、図示せぬメモリを内蔵しており、そのメモリに加算値が予め保持されているものとする。また、退色検出部44は、HSV画像が退色画像ではないとの検出結果を得た場合、その旨を彩度補正部45に供給する。
【0042】
彩度補正部45は、退色検出部44からの補正値に基づいて、HSV変換部42から供給されるHSV画像における彩度Sを補正する。具体的には、例えば、彩度補正部45は、退色検出部44からの補正値としての加算値を、HSV変換部42から供給されるHSV画像の各画素の彩度Sに加算して、彩度Sを補正する。彩度補正部45は、補正後のHSV画像を、画像処理部46に供給する。
【0043】
なお、彩度補正部45は、退色検出部44から、HSV画像が退色画像ではない旨の通知を受けた場合、HSV変換部41からのHSV画像を、そのまま画像処理部46に供給する。
【0044】
画像処理部46は、彩度補正部45からのHSV画像に対して、所定の画像処理を施す。そして、画像処理部46は、所定の画像処理が施されたHSV画像を、RGB変換部47に供給する。
【0045】
RGB変換部47は、画像処理部46からのHSV画像をRGB画像に変換して、表示制御部48に供給する。すなわち、例えば、RGB変換部47は、HSV画像の各画素の画素値(H,S,V)に基づいて、Hk(=H/60 mod 6)、f(=(H/60)-Hk)、p(=V×(1-S))、q(=V×(1-f×S))、t(=V×(1-(1-f)×S))を算出する。
【0046】
そして、RGB変換部47は、Hk=0である場合、HSV画像の画素値(H,S,V)を、画素値(R,G,B)=(V,t,p)に変換し、Hk=1である場合、HSV画像の画素値(H,S,V)を、画素値(R,G,B)=(q,V,p)に変換する。
【0047】
また、例えば、RGB変換部47は、Hk=2である場合、HSV画像の画素値(H,S,V)を、画素値(R,G,B)=(p,V,t)に変換し、Hk=3である場合、HSV画像の画素値(H,S,V)を、画素値(R,G,B)=(p,q,V)に変換する。さらに、例えば、RGB変換部47は、Hk=4である場合、HSV画像の画素値(H,S,V)を、画素値(R,G,B)=(t,p,V)に変換し、Hk=5である場合、HSV画像の画素値(H,S,V)を、画素値(R,G,B)=(V,p,q)に変換する。
【0048】
表示制御部48は、RGB変換部47からのRGB画像に対して、ガンマ補正などの処理を施す。そして、表示制御部48は、処理後のRGB画像を、図示せぬディスプレイに出力して表示させる。
【0049】
[画像処理装置21の動作説明]
次に、図5のフローチャートを参照して、画像処理装置21が行う画像処理について説明する。
【0050】
この画像処理は、例えば、外部からRGB変換部41に画像データが入力されたときに開始される。
【0051】
ステップS21において、RGB変換部41は、外部からの画像データが、RGB形式により表現されるRGB画像ではない場合、その画像データをRGB画像に変換し、HSV変換部42に供給する。なお、RGB変換部41は、外部からの画像データがRGB画像である場合、外部からの画像データとしてのRGB画像を、そのままHSV変換部42に供給する。
【0052】
ステップS22において、HSV変換部42は、RGB変換部41からのRGB画像を、HSV形式により表現されるHSV画像に変換し、ヒストグラム生成部43及び彩度補正部45に供給する。
【0053】
ステップS23において、ヒストグラム生成部43は、HSV変換部42からのHSV画像に基づいて、図4に示されるようなヒストグラムを生成し、退色検出部44に供給する。
【0054】
ステップS24において、退色検出部44は、ヒストグラム生成部43からのヒストグラムに基づいて、HSV変換部42から出力されるHSV画像が、退色画像であるか否かを検出する退色検出処理を行う。なお、退色検出処理の詳細は、図6のフローチャートを参照して詳述する。
【0055】
ステップS25において、退色検出部44は、退色検出処理の検出結果に応じて、HSV変換部42から出力されるHSV画像における彩度Sを補正するための補正値を、彩度補正部45に供給する。
【0056】
すなわち、例えば、退色検出部44は、退色検出処理の検出結果として、HSV画像が退色画像であるとの検出結果を得た場合、補正値として、予め決められた加算値を、彩度補正部45に供給する。
【0057】
なお、退色検出部44は、退色検出処理の検出結果として、HSV画像が退色画像ではないとの検出結果を得た場合、その旨を彩度補正部45に通知する。
【0058】
ステップS26において、彩度補正部45は、退色検出部44からの補正値に基づいて、HSV変換部42から供給されるHSV画像における彩度Sを補正し、補正後のHSV画像を、画像処理部46に供給する。
【0059】
すなわち、例えば、彩度補正部45は、退色検出部44から加算値が供給された場合、その加算値を、HSV変換部42から供給されるHSV画像の各画素の彩度Sに加算し、加算後のHSV画像を、画像処理部46に供給する。
【0060】
なお、彩度補正部45は、退色検出部44から、HSV画像が退色画像ではない旨を通知された場合、HSV変換部42から供給されるHSV画像を、そのまま画像処理部46に供給する。
【0061】
ステップS27において、画像処理部46は、彩度補正部45からのHSV画像に対して、所定の画像処理を施す。そして、画像処理部46は、所定の画像処理が施されたHSV画像を、RGB変換部47に供給する。
【0062】
ステップS28において、RGB変換部47は、画像処理部46からのHSV画像をRGB画像に変換して、表示制御部48に供給する。
【0063】
ステップS29において、表示制御部48は、RGB変換部47からのRGB画像に対して、ガンマ補正などの処理を施す。そして、表示制御部48は、処理後のRGB画像を、図示せぬディスプレイに出力して表示させる。以上で画像処理は終了される。
【0064】
[退色検出処理の詳細]
次に、図6のフローチャートを参照して、ステップS24の退色検出処理の詳細について説明する。
【0065】
ステップS41において、退色検出部44は、HSV変換部42から出力されるHSV画像が、カラー画像であるかモノクロ画像であるかを推定する。この推定は、例えば、モノクロ画像の彩度は低く、カラー画像の彩度は高いことを利用して行われる。
【0066】
すなわち、例えば、ステップS41において、退色検出部44は、ヒストグラム生成部43からのヒストグラムに基づいて、Sat-Highの領域di3(i=1,2,…,7,8)、又はSat-Middleの領域di2の少なくとも1の領域に、予め決められた閾値Th_mono以上の画素数が存在するか否かを判定する。
【0067】
そして、退色検出部44は、Sat-Middleの領域di2又はSat-Highの領域di3の少なくとも1の領域に、閾値Th_mono以上の画素数が存在すると判定した場合、HSV画像はカラー画像であると推定し、処理をステップS42に進める。
【0068】
ステップS42において、退色検出部44は、HSV変換部42から出力されるHSV画像が、比較的、彩度の高い高彩度画像であるか否かを推定する。
【0069】
すなわち、例えば、ステップS42において、退色検出部44は、ヒストグラム生成部43からのヒストグラムに基づいて、Sat-Highの領域di3に、予め決められた閾値Th_standard以上の画素数が存在するか否かを判定する。
【0070】
そして、退色検出部44は、Sat-Highの領域di3に、閾値Th_standard以上の画素数が存在しないと判定した場合、HSV画像は、高彩度画像ではないと推定し、処理をステップS43に進める。
【0071】
ステップS43において、退色検出部44は、HSV変換部42から出力されるHSV画像が、画像処理装置21に入力される前に予め行われた処理により彩度が低下した退色画像であるか、もともと彩度が低い低彩度画像であるかを推定する。この推定は、退色画像において、Sat-Middleの領域dx2に画素数が偏ることを利用して行われる。
【0072】
すなわち、例えば、ステップS43では、退色検出部44は、Sat-Middleの領域dx2が、Sat-Lowの領域dx1(x=1,2,…,7,8)よりも大きいという条件を満たすxが、予め決められた閾値Th_middle以上存在するか否かを判定する。
【0073】
そして、退色検出部44は、Sat-Middleの領域dx2が、Sat-Lowの領域dx1よりも大きいという条件を満たすxが、閾値Th_middle以上存在すると判定した場合、処理をステップS44に進め、HSV画像が退色画像である旨を検出する。
【0074】
なお、ステップS41において、退色検出部44は、Sat-Middleの領域di2又はSat-Highの領域di3の少なくとも1の領域に、閾値Th_mono以上の画素数が存在しないと判定した場合、HSV画像はカラー画像ではない(モノクロ画像である)と推定し、処理をステップS45に進める。
【0075】
また、ステップS42において、退色検出部44は、Sat-Highの領域di3に、閾値Th_standard以上の画素数が存在すると判定した場合、HSV画像は、高彩度画像であると推定し、処理をステップS45に進める。
【0076】
さらに、ステップS43において、退色検出部44は、Sat-Middleの領域dx2が、Sat-Lowの領域dx1よりも大きいという条件を満たすxが、閾値Th_middle以上存在しないと判定した場合、HSV画像は低彩度画像であると推定し、処理をステップS45に進める。ステップS45では、退色検出部44は、HSV画像が退色画像ではない旨を検出する。以上で、退色検出処理は終了され、図5のステップS24にリターンする。
【0077】
以上説明したように、画像処理によれば、HSV画像が退色画像であるか否かを検出し、退色画像であると検出された場合に、HSV画像の彩度を補正するようにした。よって、色褪せたHSV画像は、鮮やかなHSV画像に変更されるので、HSV画像の画質をより向上させることが可能となる。
【0078】
また、図6のステップS41において、HSV画像がモノクロ画像であると推定された場合、ステップS42において、HSV画像が高彩度画像であると推定された場合、及びステップS43において、HSV画像が低彩度画像であると推定された場合、HSV画像は退色画像ではない旨を検出するようにした。これにより、彩度を補正する必要のないモノクロ画像、高彩度画像、及び低彩度画像に対して、誤って彩度を補正する事態を防止することができる。
【0079】
このため、モノクロ画像、高彩度画像、及び低彩度画像において、彩度を補正したことに起因して、ノイズが増幅されてしまう事態を防止できる。
【0080】
<2.変形例>
本実施の形態では、入力される1枚の画像データ毎に、退色画像であるか否かを検出し、退色画像であると検出されたことに対応して彩度を補正するようにした。
【0081】
しかしながら、画像処理装置21において、複数の画像データにより構成される動画像を対象として、彩度を補正するようにしてもよい。すなわち、例えば、退色検出部44が、例えば、動画像を構成する複数の画像データのうち、所定枚数以上の画像データを連続して退色画像であると検出した場合、動画像を構成する複数の画像データ全てが退色画像である旨を検出する。そして、彩度補正部45は、動画像を構成する複数の画像データそれぞれに対応するHSV画像に対して、彩度の補正を行うようにしてもよい。
【0082】
また、本実施の形態では、ヒストグラム生成部43は、HSV画像の各画素が、24個の領域d11乃至d83のいずれに含まれるかを判別し、その判別結果に基づいて、図4に示されたようなヒストグラムを生成するようにしたが、ヒストグラムの生成方法は、これに限定されない。
【0083】
すなわち、例えば、ヒストグラム生成部43は、HSV画像の各画素のうち、明度Vが予め決められた値以上である画素を、ノイズが生じていない画素として、24個の領域d11乃至d83のいずれに含まれるかを判別し、その判別結果に基づいて、ヒストグラムを生成するようにしてもよい。
【0084】
これにより、退色検出部44は、ノイズが生じていない画素についてのヒストグラムに基づいて、HSV画像が退色画像であるか否かを検出することとなるので、より精度良く退色画像を検出することが可能となる。
【0085】
なお、ヒストグラム生成部43において、HSV画像の各画素のうち、明度Vが予め決められた値以上である画素を、ノイズが生じていない画素としているのは、明度Vが低い程に、対応する画素にノイズが生じている可能性が高いことによる。
【0086】
さらに、本実施の形態では、図2に示されるように、HS平面を24個の領域d11乃至d83に区分するようにしたが、区分する領域の個数は24個に限定されない。
【0087】
また、例えば、図1のHSV変換部42は、RGB変換部41からのRGB画像を、HSV画像に変換するようにしたが、その他、例えば、YCbCr形式で表現されるYCbCr画像を、HSV画像に変換するように構成することができる。この場合、RGB変換部41は、外部からの画像データを、YCbCr画像に変換してHSV変換部42に供給することとなる。
【0088】
なお、本実施の形態は、以下の構成もとることができる。
(1)入力された画像データを処理する画像処理装置において、少なくとも色相及び彩度の座標軸を有する色空間における、前記画像データの画素の分布に基づいて、予め施された処理により彩度が低下した前記画像データを検出する検出部と、検出された前記画像データの彩度を補正する彩度補正部とを含む画像処理装置。
(2)前記色空間は、彩度及び色相に基づき複数の領域に区分されており、前記検出部は、前記複数の領域にそれぞれ含まれる前記画素の分布に基づいて、予め施された処理により彩度が低下した前記画像データを検出する前記(1)に記載の画像処理装置。
(3)前記色空間は、明度の座標軸も有するものであり、前記検出部は、前記複数の領域にそれぞれ含まれる前記画素のうち、予め決められた値以上の明度を有する画素の分布に基づいて、予め施された処理により彩度が低下した前記画像データを検出する前記(2)に記載の画像処理装置。
(4)前記彩度補正部は、複数の前記画像データのうち、予め施された処理により彩度が低下した前記画像データが所定枚数だけ連続して検出された場合、前記複数の画像データの彩度をそれぞれ補正する前記(1)乃至(3)に記載の画像処理装置。
【0089】
ところで、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、又は、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0090】
[コンピュータの構成例]
図7は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示している。
【0091】
CPU(Central Processing Unit)61は、ROM(Read Only Memory)62、又は記憶部68に記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM(Random Access Memory)63には、CPU61が実行するプログラムやデータ等が適宜記憶される。これらのCPU61、ROM62、及びRAM63は、バス64により相互に接続されている。
【0092】
CPU61にはまた、バス64を介して入出力インタフェース65が接続されている。入出力インタフェース65には、キーボード、マウス、マイクロホン等よりなる入力部66、ディスプレイ、スピーカ等よりなる出力部67が接続されている。CPU61は、入力部66から入力される指令に対応して各種の処理を実行する。そして、CPU61は、処理の結果を出力部67に出力する。
【0093】
入出力インタフェース65に接続されている記憶部68は、例えばハードディスクからなり、CPU61が実行するプログラムや各種のデータを記憶する。通信部69は、ネットワークやローカルエリアネットワーク等のネットワークを介して外部の装置と通信する。
【0094】
また、通信部69を介してプログラムを取得し、記憶部68に記憶してもよい。
【0095】
入出力インタフェース65に接続されているドライブ70は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等のリムーバブルメディア71が装着されたとき、それらを駆動し、そこに記録されているプログラムやデータ等を取得する。取得されたプログラムやデータは、必要に応じて記憶部68に転送され、記憶される。
【0096】
コンピュータにインストールされ、コンピュータによって実行可能な状態とされるプログラムを記録(記憶)する記録媒体は、図7に示すように、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini-Disc)を含む)、もしくは半導体メモリ等よりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディア71、又は、プログラムが一時的もしくは永続的に格納されるROM62や、記憶部68を構成するハードディスク等により構成される。記録媒体へのプログラムの記録は、必要に応じてルータ、モデム等のインタフェースである通信部69を介して、ローカルエリアネットワーク、ネットワーク、デジタル衛星放送といった、有線又は無線の通信媒体を利用して行われる。
【0097】
なお、本明細書において、上述した一連の処理を記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0098】
また、本開示の実施の形態は、上述した本実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0099】
21 画像処理装置, 41 RGB変換部, 42 HSV変換部, 43 ヒストグラム生成部, 44 退色検出部, 45 彩度補正部, 46 画像処理部, 47 RGB変換部, 48 表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像データを処理する画像処理装置において、
少なくとも色相及び彩度の座標軸を有する色空間における、前記画像データの画素の分布に基づいて、予め施された処理により彩度が低下した前記画像データを検出する検出部と、
検出された前記画像データの彩度を補正する彩度補正部と
を含む画像処理装置。
【請求項2】
前記色空間は、彩度及び色相に基づき複数の領域に区分されており、
前記検出部は、前記複数の領域にそれぞれ含まれる前記画素の分布に基づいて、予め施された処理により彩度が低下した前記画像データを検出する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記色空間は、明度の座標軸も有するものであり、
前記検出部は、前記複数の領域にそれぞれ含まれる前記画素のうち、予め決められた値以上の明度を有する画素の分布に基づいて、予め施された処理により彩度が低下した前記画像データを検出する
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記彩度補正部は、複数の前記画像データのうち、予め施された処理により彩度が低下した前記画像データが所定枚数だけ連続して検出された場合、前記複数の画像データの彩度をそれぞれ補正する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
入力された画像データを処理する画像処理装置の画像処理方法において、
前記画像処理装置による、
少なくとも色相及び彩度の座標軸を有する色空間における、前記画像データの画素の分布に基づいて、予め施された処理により彩度が低下した前記画像データを検出する検出ステップと、
検出された前記画像データの彩度を補正する彩度補正ステップと
を含む画像処理方法。
【請求項6】
入力された画像データを処理する画像処理装置のコンピュータを、
少なくとも色相及び彩度の座標軸を有する色空間における、前記画像データの画素の分布に基づいて、予め施された処理により彩度が低下した前記画像データを検出する検出部と、
検出された前記画像データの彩度を補正する彩度補正部と
して機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−231390(P2012−231390A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99540(P2011−99540)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】