説明

画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラムおよび印刷装置

【課題】赤目画素か否かの判定を行うことなく、結果的に赤目画素が適切に補正され赤目画素ではない画素に不要な補正が施されないようにする。
【解決手段】取得した画像データが表す画像内から赤目領域を含む補正領域を検出する領域検出部と、上記検出された補正領域に含まれる画素を対象として、画素毎に彩度を算出し、算出した彩度に応じて画素毎の補正度合を決定し、決定した補正度合に基づいて色情報が低下するように画素毎の補正を行なう赤目補正部とを備える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラムおよび印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人物をフラッシュ撮影した画像において人物の目がいわゆる「赤目」になっている場合、当該赤目の状態を緩和するための補正を画像に施す。これまでは、画像内におけるいずれの画素が赤目に該当するか否かを検出し、検出した画素(赤目に該当すると推測された画素)に対して上記補正を行なっていた。
【0003】
また、赤目ピクセルを識別する最終ピクセルマスクのピクセルのオリジナル色値を補正する際に、オリジナル色値の輝度又はグレーレベルに応じて暗化係数を計算し(輝度又はグレーレベルが低いほど暗化係数を低下させる)、この係数に従ってオリジナル色値を彩度低下し暗化させる赤目補正の方法が知られている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3810776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、画像内から赤目に該当するとして検出された画素に対して上記赤目の状態を緩和するための補正を行なう場合には、当該検出の精度が重要となり、当該検出の精度が低いと、実際には赤目に該当しない画素にも当該補正が実行されてしまう。また、このような赤目補正を適用する画像領域をユーザーに指定させることも可能であるが、かかる指定作業はユーザーにとって煩雑であり、また、正確な赤目補正の結果を得るには詳細かつ正確な指定がなされる必要があり、ユーザーの負担が大きい。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、赤目に該当する画素が結果的に適切に補正され且つ赤目に該当しない画素には不要な補正が施されないようにすることにより優れた画質の画像を得ることが可能な画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラムおよび印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の画像処理装置は、取得した画像データが表す画像内から赤目領域を含む補正領域を検出する領域検出部と、上記検出された補正領域に含まれる画素を対象として、画素毎に彩度を算出し、算出した彩度に応じて画素毎の補正度合を決定し、決定した補正度合に基づいて色情報が低下するように画素毎の補正を行なう赤目補正部とを備える。
本発明によれば、補正領域に含まれる各画素について、画素の彩度に応じた補正度合に基づいて色情報を補正する。つまり、赤目に該当する画素は彩度が高くなる傾向があるため、このように画素の彩度に応じた補正度合で補正を行うことで、結果的に、赤目に該当する画素について適切に色情報を低下させる赤目補正が実行され、赤目に該当しない画素については赤目補正が(殆ど)実行されない。
【0008】
上記赤目補正部は、上記算出した彩度が高い値であるほど、補正度合を大きくすることにより、補正度合に基づいて画素を表すRGB値のうちのR値を大きく低下させるとしてもよい。当該構成によれば、彩度が高い画素ほどつまり赤目らしさが高い画素ほど、R値を大きく低下させるように補正するため、結果的に、赤目に該当する画素について適切に色情報を低下させる赤目補正が実行される。
【0009】
上記赤目補正部は、補正対象の画素を含む所定領域におけるカラーバランスを調整することにより補正対象の画素のRGB値を修正し、修正後のRGB値に基づいて上記彩度の算出を行なうとしてもよい。当該構成によれば、上記補正領域の各画素について、カラーバランスを修正した後のRGB値に基づいて彩度算出を行なって補正度合を決定するため、補正度合が大きくなり過ぎることによる過剰な補正(色情報の過剰な低下)を防止することができる。
【0010】
上記赤目補正部は、補正の前後において画素のRGB間の比が略維持されるように画素毎の補正を行うとしてもよい。当該構成によれば、補正前後において上記補正領域の画像の色味が大きく変化することを防止できる。
上記赤目補正部は、補正の前後における画素の輝度差が上記補正領域の重心からの距離が遠い画素ほど略小さくなるように画素毎の補正を行うとしてもよい。当該構成によれば、補正後の上記補正領域の内と外との境界部分で大きく輝度が変化して却って画像に違和感が生じてしまう、ということを防止できる。
【0011】
本発明の技術的思想は、画像処理装置以外によっても実現可能である。例えば、画像処理装置の各部が実行する処理工程を備える方法の発明や、画像処理装置の各部が実行する処理を装置(印刷装置や、コンピューターや、撮像装置等)に実行させる画像処理プログラムの発明をも把握可能である。さらに、取得した画像データが表す画像内から赤目領域を含む補正領域を検出する領域検出部と、上記検出された補正領域に含まれる画素を対象として、画素毎に彩度を算出し、算出した彩度に応じて画素毎の補正度合を決定し、決定した補正度合に基づいて色情報が低下するように画素毎の補正を行なう赤目補正部と、上記補正がなされた後の画像データに基づいて印刷を実行する印刷部とを備える印刷装置を一つの発明として捉えることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】プリンターの構成等を概略的に示したブロック図である。
【図2】プリンターが実行する画像補正処理を示したフローチャートである。
【図3】赤目領域を含む補正領域の検出結果の一例を示した図である。
【図4】赤目補正の詳細を示したフローチャートである。
【図5】RGB毎のヒストグラムの一例を示した図である。
【図6】補正係数決定テーブルの一例を示した図である。
【図7】距離係数決定テーブルの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.画像処理装置の概略構成
図1は、本発明の画像処理装置および印刷装置の一例に該当するプリンター10の構成等を概略的に示している。プリンター10は、CPU11と、ROMやRAMからなる内部メモリー12と、汎用インターフェース(GIF)13と、ボタンやタッチパネルにより構成された操作部14と、液晶ディスプレーにより構成された表示部15と、プリントエンジン16とを備える。これら各要素11〜16は、バス17によって通信を実現している。CPU11は、ROMに記憶された所定のプログラム(画像処理プログラム等)をRAMに展開してプログラムに従った演算処理を行なう。
【0014】
GIF13は、例えばUSB規格に準じたインターフェースを提供するものであり、デジタルスチルカメラ(DSC)20やコンピューター30と接続可能である。プリンター10は、GIF13を介して接続したDSC20やコンピューター30から、印刷対象となる画像を表した画像データを入力することができる。さらにGIF13は、図示しないカードスロットと接続したカードインターフェースの機能も備えており、カードスロットに挿入された所定の記憶メディア(メモリーカード)40から当該メモリーカード40に記憶されている画像データを入力することができる。
【0015】
プリントエンジン16は、印刷データに基づき印刷を行う印刷機構であり、例えば、インクジェット方式の印刷機構を採用する。むろん、プリンター10はインクジェット方式の機種に限られず、レーザープリンターやLEDプリンター等であってもよい。またプリンター10は、コンシューマ向けの印刷装置であってもよいし、DPE向けの業務用印刷装置(いわゆるミニラボ機)であってもよいし、或いは、印刷機能以外にもコピー機能やスキャナ機能など多種の機能を備えたいわゆる複合機であってもよい。
【0016】
図1では、内部メモリー12内にプログラムによって実現される機能ブロックとしての、画像補正部121、表示処理部122、印刷処理部123等を示している。画像補正部121は、プログラムモジュールとして、領域検出部121aと赤目補正部121bとを有している。これら各部の機能については後述する。表示処理部122は、表示部15を制御して、表示部15の画面にユーザーインターフェース(UI)やメッセージやサムネイル画像など所定の表示を行なわせるディスプレードライバーである。印刷処理部123は、印刷対象の画像データ(例えば、画像補正部121による画像補正が行われた後の画像データ)に対して色変換処理やハーフトーン処理などの所定処理を適宜施すことにより印刷データを生成し、プリントエンジン16を駆動制御して印刷データに基づいて画像の印刷を実行させるためのプリンタードライバーである。
【0017】
2.画像補正処理
図2は、プリンター10が実行する画像補正処理をフローチャートにより示している。当該処理は、主に画像補正部121の機能によって実現される。
ステップS(以下、ステップの表記は省略。)100では、画像補正部121は、処理対象となる一枚の画像を表した画像データを、上記DSC20やコンピューター30やメモリーカード40等から取得し、内部メモリー12に読み込む。画像データは、複数の画素によって画像を表現しており、各画素は、例えばRGB(レッド、グリーン、ブルー)各チャネルの階調(例えば0〜255の256階調)の組み合わせで表現されている。画像データは、メモリーカード40等に記録されている段階で圧縮されていてもよいし、他の表色系で各画素の色が表現されていてもよい。これらの場合、画像補正部121は、画像データの展開や表色系の変換を実行して、所要の表色系による画像データを取得する。本実施形態では、S100で取得する画像データは、少なくとも人物の顔(特に目)を含む写真画像であり、かつフラッシュ撮影をしたことによって人物の目が「赤目」の状態となっている写真画像であるとする。
【0018】
S110では、領域検出部121aは、S100で取得された画像データが表す画像内から赤目領域A1を含む補正領域A2を検出する。この場合、まず領域検出部121aは画像内から赤目領域A1の検出を行なう。赤目領域とは、赤目の特徴的な色のパターンと合致する概ね円形の画像領域である。領域検出部121aは、赤目領域の検出を公知の手法(例えば、特開2007‐156694号公報に記載された手法)により行なう。赤目領域A1の検出後、領域検出部121aは、赤目領域A1を含む補正領域A2を画像データ上において設定する。例えば、領域検出部121aは、1つの赤目領域A1の全体を含む矩形を画像データ上に設定し、当該矩形を補正領域A2とする。
【0019】
図3は、S110における検出結果の一例を示す図である。図3の例では、画像データD内に人物P1が含まれており、人物P1の左右の目の一部がそれぞれ赤目領域A1,A1として検出されている。また、赤目領域A1,A1毎に補正領域A2,A2が設定されている。例えば、赤目領域A1に対する補正領域A2の大きさの比率は予め決められており、補正領域A2はその重心に赤目領域A1の重心が略一致するように設定される。領域検出部121aは、補正領域A2の検出結果として、画像データ上における補正領域A2毎の位置情報(例えば、矩形の左上の頂点の座標)およびサイズ情報(縦幅および横幅)を取得し保存する。なお、補正領域A2の形状は矩形に限られず、円形などであってもよい。
【0020】
S120では、画像補正部121は、S100で取得した画像データを構成する各ラスターのうち一本のラスターを処理対象ラスターとして選択し、内部メモリー12における所定のバッファに記憶する。ラスターとは、画像データにおける水平方向(x方向)の画素行である。
S130では、画像補正部121は、直近のS120で選択した処理対象ラスターを構成する画素のうち一つの画素を注目画素として設定する。
【0021】
S140では、赤目補正部121bは、直近のS130で設定された注目画素がS110で検出された補正領域A2に属するか否かを判定し、注目画素がいずれかの補正領域A2に属すると判定した場合にはS150に進み、注目画素がいずれの補正領域A2にも属さないと判定した場合にはS160に進む。注目画素が補正領域A2に属するか否かは、画像データ上における注目画素の座標と、S110で補正領域A2毎に保存された位置情報およびサイズ情報とに基づいて判定する。
【0022】
なお、S120では処理対象ラスターを一つ選択しているが、ラスターによってはそのラスターを構成する画素のいずれもが補正領域A2に属さないものもある。このようなラスターについては画素毎にS140の判定を繰り返し行なうのは無駄である。そのため、画素特定部121bは、S120で選択された処理対象ラスターにおける最初の注目画素についてS140の判定を行う場合には、画像データにおける垂直方向(y方向)での注目画素の座標と、y方向における補正領域A2の存在範囲とを比較し、注目画素がこのような存在範囲に属さない場合には、共通のラスターに属する他の画素も補正領域A2に属さないと判定してS170に進む(図2における鎖線)としてもよい。
【0023】
S150では、赤目補正部121bは、直近のS140で補正領域A2に属すると判定された注目画素について赤目補正を実行する。赤目補正とは、概略的には、注目画素の彩度を算出し、算出した彩度に応じて注目画素の補正度合を決定し、決定した補正度合に基づいて色情報(特にR値)が低下するように注目画素の補正を行なう処理を言う。
【0024】
図4は、赤目補正の詳細の一例をフローチャートにより示している。
S151では、赤目補正部121bは、注目画素を含む画像領域におけるカラーバランスを調整することにより注目画素のRGB値を修正する。カラーバランス調整とは、当該画像領域におけるRGBの分布のずれを小さくする処理を言い、カラーバランス調整を行なうことで、例えば画像が赤かぶりであった場合に、当該赤かぶりを低減させることができる。カラーバランス調整の手法は特に限られないが、例えば、赤目補正部121bは、注目画素が属するラスター(直近のS120で選択された処理対象ラスター)を構成する全画素を用いて、RGB毎のヒストグラム(度数分布)を生成する。
【0025】
図5は、S151のカラーバランス調整の過程で生成されるRGB毎のヒストグラムを例示している。赤目補正部121bは、RGBの各ヒストグラムの最大値Rmax,Gmax,Bmaxから、ヒストグラム生成に用いられた画素の所定パーセント(例えば10パーセント)に対応する画素数分だけ低階調側にある値を、調整基準値Rs,Gs,Bsとして認定する。そして、調整基準値RsGsBsの成分間の相対的な階調差(例えば、ΔGR=Gs−Rs、ΔGB=Gs−Bs)に基づいてRGBそれぞれに対するカラーバランスの調整量を求め、調整量に基づいて上記ヒストグラムの生成に用いられた各画素のRGB値を修正する。この結果、注目画素はもちろん、当該注目画素が属するラスターを構成する各画素のRGB値が修正され、当該ラスターにおけるカラーバランスが整えられる。赤目補正部121bは、各画素についてのカラーバランス調整後(修正後)のRGB値(修正後R´G´B´)を保存する。
【0026】
本実施形態では、補正領域A2に属さない画素には赤目補正は実行されない。そのため、当該S151では、注目画素が属するラスターを構成する画素のうち補正領域A2に属する画素に対してのみ、上記調整量に基づく修正を行なうとしてもよい。また、図4の赤目補正のフローチャートは、基本的に注目画素単位で繰り返し実行されるが、S151のカラーバランス調整はラスターを共通としている各画素についてまとめて行なわれる。そのため、一つの注目画素が上記S140で補正領域A2に属すると判定された後のS150(S151)で、その注目画素が属する処理対象ラスターに関してカラーバランス調整を行なった後は、同じ処理対象ラスターに属する他の画素が注目画素となって上記S140で補正領域A2に属すると判定された場合であってもS151のカラーバランス調整は行わず、既に行なわれたカラーバランス調整の結果(そのときの注目画素に関して既に保存されている修正後R´G´B´)を用いてS152以下の処理を行なう。
【0027】
S152では、赤目補正部121bは、注目画素の修正後R´G´B´に基づいて輝度値Y´を算出するとともに、当該修正後R´G´B´に基づいて彩度Sを算出する。輝度値は、RGB各成分(R´G´B´)の公知の重み付け加算により算出可能である。彩度Sは、修正後R´G´B´の各成分のうち最大値をImax、最小値をIminとした場合、彩度S=(Imax−Imin)・255/Imaxによって求めることができる。
S153では、赤目補正部121bは、彩度Sに応じて補正度合を求める。
【0028】
図6は、S153で用いる補正係数決定テーブルT1を例示している。補正係数決定テーブルT1は、横軸を彩度S、縦軸を補正係数(0.0〜1.0)Csとした関数である。補正係数Cs=1.0は、補正度合が最小である(補正しない)ことを意味し、補正係数Csが小さくなるほどに補正度合は大きくなる。本実施形態では、補正係数決定テーブルT1が予め内部メモリー12に保存されており(図1参照)、赤目補正部121bは、補正係数決定テーブルT1を参照することで、彩度Sに応じた補正係数Cs(補正度合)を決定する。補正係数決定テーブルT1は、入力値(彩度S)が高くなるほど補正係数Csを小さくする特性を有しており、具体的には、所定の彩度Sr以上になると、それまで高かった補正係数Csが急激に低下する特性を有している。彩度Srは、例えば、予め実験等で求められた赤目画素の彩度の最低値などに該当する。
【0029】
S154では、赤目補正部121bは、修正後R´G´B´の各成分のうち、修正後R´を、上記決定した補正度合に応じて補正する。つまり、修正後R´に上記決定した補正係数Csを乗算する(R´×Cs)ことにより、補正後R''を算出する。
S155では、赤目補正部121bは、補正前後で注目画素の成分間の比が維持されるように、GおよびBの値を補正する。具体的には、修正後R´G´B´の成分間の比と補正後R''に基づいて、補正後G''および補正後B''を算出する。
つまり、R´:G´=R'':G''およびR´:B´=R'':B''が成立する補正後G''および補正後B''を算出する。
【0030】
S156では、赤目補正部121bは、補正後R''G''B''に基づいて上記重み付け加算により輝度値Y''(補正後輝度値Y'')を算出するとともに、補正前後における注目画素の輝度差ΔY=Y´−Y''を算出する。
S157では、赤目補正部121bは、補正前後における注目画素の輝度差が補正領域A2の重心からの距離が遠い画素ほど略小さくなるように注目画素の補正を行う。ここでは補正領域A2の重心と、その中に含まれる赤目領域A1の重心とが一致することを前提としているが、両重心が一致しない場合には、赤目補正部121bは、上記輝度差が赤目領域A1の重心からの距離が遠い画素ほど略小さくなるように注目画素の補正を行うとしてもよい。
【0031】
図7は、S157で用いる距離係数決定テーブルT2を例示している。距離係数決定テーブルT2は、横軸を補正領域A2の重心からの注目画素の距離d、縦軸を距離係数Cd(ただしCd≧0)とした関数である。本実施形態では、距離係数決定テーブルT2が予め内部メモリー12に保存されており(図1参照)、赤目補正部121bは、距離係数決定テーブルT2を参照することで、距離dに応じた距離係数Cdを決定する。距離係数決定テーブルT2は、入力値(距離d)が大きいほど距離係数Cdを大きくする特性を有している。
【0032】
赤目補正部121bは、上記決定した距離係数Cdを上記輝度差ΔYに乗算する(ΔY×Cd)ことにより、補正輝度差ΔY´を算出する。そして、補正輝度差ΔY´を、注目画素の補正後R''G''B''それぞれに加算する。つまり、赤目補正部121bは、演算結果として、Rf=R''+ΔY´、Gf=G''+ΔY´、Bf=B''+ΔY´を得、これらRfGfBfを注目画素についての赤目補正の最終的な結果として保存する。このように補正後R''G''B''のそれぞれに加算される補正輝度差ΔY´を決定する距離係数Cdは、上記距離dが遠い注目画素ほど大きくなる。そのため、RfGfBfによって表される注目画素は、基本的には、上記距離dが遠い画素ほど赤目補正前後での輝度の変動が小さいものとなる。
【0033】
図2に戻って説明を続ける。
S160では、画像補正部121は、直近のS120で選択した処理対象ラスターを構成する全ての画素について注目画素として設定し終えているか否か判定し、処理対象ラスターの全画素を一通り注目画素として設定し終えていると判定した場合にはS170に進む。一方、処理対象ラスターの画素の中に注目画素として未設定である画素が存在している場合には、S130に戻り、未設定の画素のうち一つを注目画素に設定してS140以下の処理を繰り返す。
【0034】
S170では、画像補正部121は、S100で取得した画像データを構成する全てのラスターについて処理対象ラスターとして選択し終えているか否か判定し、全ラスターを一通り処理対象ラスターとして選択し終えていると判定した場合には図2のフローチャートを終える。一方、全ラスターの中に処理対象ラスターとして未選択であるラスターが存在している場合には、S120に戻り、未選択のラスターのうち一つを処理対象ラスターに選択し、S130以下の処理を繰り返す。この結果、画像データを構成する画素のうち補正領域A2に属する画素のみに対し、赤目補正が実行されたことになる。
【0035】
3.まとめ
このように本実施形態によれば、画像データから赤目を含む領域として検出した補正領域A2に属する各画素について赤目補正を実行する際に、赤目画素は彩度が高いことに着目し、彩度が高いほど補正度合を大きくすることにより、彩度が高い画素ほどR値を大きく低減するようにした。そのため、結果的に赤目画素が適切にその赤味を低減させ、赤目が解消された画像が得られる。特に、補正度合は画素の彩度が上記彩度Sr以上になると急激に大きくなる(補正係数Csが急激に小さくなる)ため、真に赤目に該当する画素の赤味を適切に低減させることができる。よって従来のように、本来赤目画素でない画素に対して不要な補正をしてしまうということが無くなる。また、画素の彩度に応じて補正度合を決定する前に、カラーバランスを調整して画像の赤かぶり等を修正するため、上記算出される彩度も極端に高い値ではなくなる。その結果、画素のR値を低減させる補正において過補正が防止される。
【0036】
さらに、赤目補正の前後で補正対象の画素のRGB成分の比が略維持されるように補正を行うため、補正対象の画素の色味が補正前後において大きく変ることが防止される。さらに、赤目補正では、補正領域A2の重心から遠い画素ほど、補正前後の輝度差が小さくなるように補正するため、補正領域A2と補正領域A2以外の領域との境目において急激に輝度が変化して違和感のある画像となることを防止する。さらに画像補正部121は、ラスター単位の画像データに基づいて赤目補正を行うため、赤目補正を少ないリスースで行なうことができ、特に印刷前の画像に対する補正処理等に充てられるリソースに限度があるプリンター10においては好適な構成である。このように赤目補正が実行された後の画像データに基づいてプリンター10が印刷を行なうことにより、赤目が適切に補正された人物画像を印刷結果として得ることができる。
【0037】
なお上記では、プリンター10を本実施形態の実行主体として説明したが、プリンター10以外のハードウェア、例えば、DSC20やコンピューター30に上記画像補正部121の機能を備えさせ、これらDSC20やコンピューター30によって図2のフローチャートを実行する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0038】
10…プリンター、11…CPU、12…内部メモリー、16…プリントエンジン、20…DSC、30…コンピューター、40…メモリーカード、121…画像補正部、121a…領域検出部、121b…赤目補正部、122…表示処理部、123…印刷処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取得した画像データが表す画像内から赤目領域を含む補正領域を検出する領域検出部と、
上記検出された補正領域に含まれる画素を対象として、画素毎に彩度を算出し、算出した彩度に応じて画素毎の補正度合を決定し、決定した補正度合に基づいて色情報が低下するように画素毎の補正を行なう赤目補正部とを備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
上記赤目補正部は、上記算出した彩度が高い値であるほど、補正度合を大きくすることにより、補正度合に基づいて画素を表すRGB値のうちのR値を大きく低下させることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
上記赤目補正部は、補正対象の画素を含む所定領域におけるカラーバランスを調整することにより補正対象の画素のRGB値を修正し、修正後のRGB値に基づいて上記彩度の算出を行なうことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
上記赤目補正部は、補正の前後において画素のRGB間の比が略維持されるように画素毎の補正を行うことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
上記赤目補正部は、補正の前後における画素の輝度差が上記補正領域の重心からの距離が遠い画素ほど略小さくなるように画素毎の補正を行うことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
取得した画像データが表す画像内から赤目領域を含む補正領域を検出する領域検出工程と、
上記検出された補正領域に含まれる画素を対象として、画素毎に彩度を算出し、算出した彩度に応じて画素毎の補正度合を決定し、決定した補正度合に基づいて色情報が低下するように画素毎の補正を行なう赤目補正工程とを備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
取得した画像データが表す画像内から赤目領域を含む補正領域を検出する領域検出機能と、
上記検出された補正領域に含まれる画素を対象として、画素毎に彩度を算出し、算出した彩度に応じて画素毎の補正度合を決定し、決定した補正度合に基づいて色情報が低下するように画素毎の補正を行なう赤目補正機能とをコンピューターに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項8】
取得した画像データが表す画像内から赤目領域を含む補正領域を検出する領域検出部と、
上記検出された補正領域に含まれる画素を対象として、画素毎に彩度を算出し、算出した彩度に応じて画素毎の補正度合を決定し、決定した補正度合に基づいて色情報が低下するように画素毎の補正を行なう赤目補正部と、
上記補正がなされた後の画像データに基づいて印刷を実行する印刷部とを備えることを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−246052(P2010−246052A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95399(P2009−95399)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】