説明

画像処理装置、画像処理方法およびプログラム

【課題】ノイズ除去を行っても、図形の検出率を高めることが可能な画像処理装置、画像処理方法およびプログラムを提供すること。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る画像処理装置は、検出対象のからノイズを除去するノイズ除去部201を備える。また、検出対象画像を検出する際の検出誤差を決定する検出誤差決定部202を備える。さらに、ノイズが除去された検出対象画像を検出する図形検出部203を備える。該図形検出部203は、決定された検出誤差に基づいて、ノイズ除去された画像が、検出対象画像か否かを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置および画像処理方法に関し、より詳細には、画像から図形を検出する画像処理方法、画像処理装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドキュメントスキャナのようなドキュメントを搬送して読み込むタイプのスキャナの場合、ガラス面にゴミや汚れがつくと、シートフィード方向に線状のノイズが発生する。そこで、ノイズ除去を行うと、ノイズのないきれいな画像を得ることができる。しかしながら、画像から、予め定められた形状部分を含む図形(例えば、3隅に切り出しシンボルを含むQRコード(登録商標))を検出するとき、ノイズ除去を行った画像を考慮していなかった。
【0003】
【特許文献1】特許第3094892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スキャナから入力した画像にノイズが発生する場合があるが、ノイズが図形上にあると、図形が検出できない場合が生じてしまう。一方、特許文献1のように、ノイズ除去を行うと、ノイズのないきれいな画像を得ることができる。しかしながら、ノイズが存在する位置が図形の縁等に存在する場合にノイズの除去を行うと、図形の線の太さが変わってしまうことがありうる。したがって、線の太さの分布に基づいて図形の検出を行うような場合、線幅が変わってしまったために該図形を検出できない場合が生じてしまう。すなわち、ノイズ除去後の図形の一部の線の太さが、予め定められた線の形状を有する図形と異なる場合、上記ノイズ除去後の図形を正しい図形と判断しないことになる。例えば、QRコードに含まれる切り出しシンボルの形状が変わってしまい、QRコードの検出ができなくなってしまう可能性がある。よって、単なるノイズ除去を行うだけの場合、図形の検出率が低下するという課題があった。
【0005】
本発明は、このような問題を鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ノイズ除去を行っても、図形の検出率を高めることが可能な画像処理装置、画像処理方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明の画像処理装置は、画像から線状のノイズを除去するノイズ除去手段と、前記ノイズ除去に用いた値に基づいて、検出対象画像の判定に用いる誤差を決定する決定手段と、前記決定された誤差に基づいて、前記ノイズ除去手段によりノイズ除去された画像から前記検出対象画像を検出する図形検出手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ノイズ除去を行っても、画像の検出率を高める効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する図面で、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
(第1の実施形態)
図1は本発明を実施するための画像処理装置の構成を示すブロック図である。符号101はROM102に格納されている制御プログラムに従って本装置全体の制御を行うCPUである。後述する、図2に示す各構成もこのCPU101によって統合して制御される。符号102はCPU101が実行する後述するフローチャートに示す処理等本装置の制御プログラム等を格納するROMである。この制御プログラムは、コンピュータを後述する各処理部として機能させるためのコンピュータプログラムである。符号103は文書画像等を記憶したり、CPU101の作業領域を提供するRAMである。符号104は磁気ディスク等の外部記憶装置である。符号105はディスプレイであり、符号106はキーボードであり、符号107はマウス等のポインティングデバイスであり、符号108は画像を読み取るためのスキャナ部である。
【0009】
本発明は汎用的なコンピュータでも実施可能であり、その場合、媒体等で提供される制御プログラムを外部記憶装置104に記憶し、オペレータの指示等によりCPU101で実行するように構成されてもよい。また、符号109はネットワークインターフェースであり、図示しない遠隔地に存在する装置と通信し、プログラムやデータなどを読み込んだり、書き込んだりする。
【0010】
また、スキャナ108やディスプレイ105などがインターフェイスを介して接続された構成でもよい。
【0011】
本実施形態では、画像は、スキャナ108によって入力されるが、この画像入力方法は他のデバイスからの入力であっても良い。例えば、ネットワークIF109を介してネットワークに接続された装置から入力しても良い。光ディスクや磁気ディスク等の可搬型メディアを介して入力しても良い。
【0012】
図2は本発明の一実施形態の各処理部の動作を説明する図である。符号201は、入力された画像からノイズを検出して、検出したノイズを除去するノイズ除去部である。符号202は、ノイズを除去した結果から画像(図形)を検出する際の検出誤差を決定する検出誤差決定部である。符号203は、検出誤差を考慮して、検出対象画像(図形)か否かを判定して、画像(図形)を検出する図形検出部である。すなわち、図形検出部203は、ノイズが除去された検出対象画像を検出する際に、上記決定された検出誤差に基づいて、ノイズ除去された画像が検出対象画像か否かを判断する。
【0013】
このように、本発明の一実施形態では、検出誤差決定部202にて決定された検出誤差に基づいて、図形検出部203が、ノイズ除去後の図形が検出対象の図形か否かの判断を行っている。図形検出部203は、ノイズ除去後の図形の一部の幅がノイズ除去後に太くなったとしても、該太くなった領域の幅が、少なくとも検出誤差以下にあれば、検出対象の図形である、と判断する。従って、ある図形において、ノイズ除去前後で太さが変わる部分があったとしても、変わった太さが決定した検出誤差内であれば許容するので、図形の検出率を向上することができる。
【0014】
図3は、本発明の実施形態に係るノイズ除去の処理を説明する例である。なお、ここでは、QRコード(登録商標)に含まれる切り出しシンボルを例として説明するが、本発明は、QRコードの切り出しシンボルの検出に限るものではない。
図3(a)は、スキャナ等から入力された画像であって、ノイズがないときの画像である。横方向301の位置で、左から走査して、黒画素、白画素、黒画素、白画素、黒画素の順で出現し、それぞれの画素数がx1、x2、x3、x4、x5であったとする。また、縦方向302の位置で、上から走査して、黒画素、白画素、黒画素、白画素、黒画素の順で出現し、それぞれの画素数はy1、y2、y3、y4、y5であったとする。なお、図3(a)のようなQRコードの切り出しシンボルの場合、横方向および縦方向それぞれの比率は、(x1:x2:x3:x4:x5)=(y1:y2:y3:y4:y5)=(1:1:3:1:1)の関係にある。
【0015】
図3(b)はスキャナ等から入力された画像であって、図3(a)の図形にノイズが入った画像である。図3(b)に示す画像に対してノイズ除去をする。ノイズ除去は、特許文献1など、公知の方法がある。ここでは、ある幅a以下であり、かつある長さb以上続く黒画素がある場合、該黒画素群をノイズと判定し、ノイズを除去する。ノイズを除去する方法は、ノイズと判断した黒画素の左右両側に黒画素がない場合、その黒画素を白画素にし、ノイズと判断した黒画素の左右どちらか片側にでも黒画素がある場合、その黒画素は残すとする。ここで、幅a以下であり、かつある長さb以上続く黒画素を判定して、3本(311、312、313)のラインノイズがあると判断されたとする。
【0016】
ノイズ除去実行結果は図3(c)のようになる。ノイズ311を除去すると、ノイズ311において、右側が図形と接している部分は、右側に黒画素があるため、黒画素を残し、接していない部分は、両側に黒画素がないため、黒画素を白画素にする。そのため、ノイズの幅分、すなわち領域321の部分が、太くなる。ノイズ312も同様に領域322の部分が太くなる。ノイズ313は、ノイズの両側に黒画素がある部分の黒画素は残り、ノイズの両側に黒画素がない部分は、白画素にするが、元の図形に影響しない。
【0017】
このようにノイズがない画像とノイズ除去した画像とで、図形の太さに変化が生じる場合がある。ノイズの幅の画素数をaとすると、図3(c)は、横方向の黒画素と白画素の数は、x1+a、x2−a、x3+a、x4、x5となるので、図形を構成する横方向の画素数の比率は、(x1+a:x2−a:x3+a:x4:x5)となる。したがって、この横方向の画素数の比率は、図3(a)の(1:1:3:1:1)と異なってくる。一方、縦方向の黒画素と白画素の数は、図3(a)と同じで、y1、y2、y3、y4、y5となる。そこで、ノイズ除去結果の誤差を考慮せずに画素数の比率を使用して、図形を検出すると、図形の検出率が下がる。
【0018】
すなわち、ノイズ除去後の図形が検出対象の図形か否かの判断を、従来の技術では、ラインノイズによる誤差は考慮せずに、ノイズ除去前の図形の太さに基づいて行っている。例えば、図3(c)に示すノイズ除去後の図形(画像)の黒画素・白画素の数(太さ)と、図3(a)に示す元図形(元画像)の横方向301の黒画素・白画素の数(太さ)とを比較する。この比較の結果、同じ太さであると判断した場合に、図3(c)に示す図形が検出対象画像であると判定している。一方、上述の太さが異なると判断した場合、図3(c)に示す図形は、検出対象の図形ではないと判断することになり、図形の検出率の低下に繋がっていた。
【0019】
そこで、本実施形態では、ノイズ除去結果の検出誤差を求め、該検出誤差に基づき図形を検出する。このように検出することによって、ノイズ除去後の画像に太さが増大する領域があったとしても、該増大量が、設定された検出誤差内にある場合は検出対象画像であると判断するので、検出率を向上させることができる。
【0020】
図4は、本発明の第1の実施形態を示すフローチャートである。
まず、例えば、QRコードの切り出しシンボル等の、黒画素・白画素の画素数の比率を用いて検出可能な図形を含む画像をスキャナ108等から入力する。なお、印刷サイズやスキャン解像度に応じて、画像内に含まれるQRコードの切り出しシンボルはさまざまなサイズになるが、後述する処理を行うことによりサイズが違っていてもほぼ相似形であれば検出できることになる。
【0021】
S401では、ノイズ除去部201は、入力された画像に対し、線状のノイズを判定する。ノイズ除去を行う幅をa、ノイズ除去を行う長さをbとする。すなわち、ノイズ除去部201は、入力された画像について、幅の画素数が幅の閾値a以下で、長さの画素数が長さの閾値b以上の黒画素(領域)がある場合、その黒画素をノイズと判定する。なお、幅の閾値aおよび長さの閾値bはそれぞれ予め設定されている。S401にて、ノイズが判定されなかった(抽出されなかった)場合は、そのまま本処理を終了し、ノイズが判定された場合は、S402に進む。
【0022】
S402では、ノイズ除去部201は、S401にて抽出されたノイズについてノイズ除去を行う。具体的には、ノイズ除去部201は、縦線のノイズと判定した黒画素の左右両側が白画素であれば、当該黒画素を白画素に変更し、一方、左右のどちらかが黒画素であれば、当該ノイズと判定した黒画素を黒画素のまま残すことにより、ノイズを除去する。
【0023】
S403では、検出誤差決定部202は、ノイズ除去する幅aを検出誤差と決定する。すなわち、検出誤差決定部202は、幅の閾値aを検出誤差と決定する。
本実施形態では、ノイズ検出後の画像において、ノイズ除去の影響により元画像よりも太くなる領域があっても、増大した幅が検出誤差内に収まる場合、本処理を行う画像処理装置は、増大した分を誤差と認識する。従って、検出対象画像を検出する際に、上記増大した分の幅が検出誤差までは許容するのである。
【0024】
従って、検出誤差を、ノイズに対する幅の判断基準である幅の閾値aと設定することにより、ノイズの幅がa以下のいずれの値であっても、それらを検出誤差内に収めることができる。よって、本処理にて除去されるノイズの全てについて、除去されたノイズの影響により太くなった部分を誤差と見なすことができる。
【0025】
S404では、図形検出部203は、まず、S402でノイズ除去を行った後の画像において、ラベリング処理や輪郭追跡処理などの公知の技術を用いて、連結黒画素(白画素に囲まれた黒画素の塊で構成されるオブジェクト)を抽出する。なお、連結黒画素の内部に連結白画素と連結黒画素が入れ子状に存在する場合は、最外郭の連結黒画素を判断対象とする。更に、連結黒画素のサイズを参照して予め定めておいた範囲内であるかどうかに応じて判断対象にするかどうか決めるようにしてもよい。
【0026】
そして、この抽出した各連結黒画素が検出対象の図形とほぼ同じ特徴(画素分布)を有するか判断し、検出対象の図形であると判断した場合は、当該連結黒画素を検出対象の図形として検出する。ここでは、検出対象の図形の理想的な比率(雛型となる図形における比率;特徴値)と検出誤差とに基づいて、当該図形を検出する際に用いる黒画素と白画素の画素数の範囲を求め、それを用いて検出する。
【0027】
本実施形態では、連結黒画素の中心を通る位置の横方向と縦方向の走査を行い、横方向及び縦方向の黒画素白画素の画素数と縦方向の黒画素白画素の画素数が、検出対象の図形の理想的な画素分布とほぼ同じ比率の分布であるかどうかに基づいて判断する。なお、連結黒画素の中心位置は、例えば連結黒画素の水平方向の最大値と最小値の中心値と、垂直方向の最大値と最小値の中心値とに基づいて決定するものとするが、この方法に限るものではないし、位置も中心位置に限るものでもない。
【0028】
連結黒画素の中心を通る位置を横方向に走査したとき、黒画素、白画素、黒画素、・・・の画素数を順にx1、x2、・・・xnとすると、連結黒画素の横方向のトータルの長さ(画素数)は、(x1+・・・+xn)となる。一方、予め定められた形状の図形(雛型となる図形)の中心位置を通って横方向に走査したときの、黒画素・白画素の分布比率を(α1:α2:・・・:αn)とする。このとき、誤差aを考慮すると、xi(i=1、2、・・・n)が取ることの許される画素数の範囲は、{αi×(x1+x2+・・・+xn)/(α1+α2+・・・+αn)−a}の小数点以下切り捨てた値と、次の値との間の範囲とする。すなわち、上記小数点以下切り捨てた値と、{αi×(x1+x2+・・・+xn)/(α1+α2+・・・+αn)+a}の小数点以下切り上げた値との間の範囲とする。つまり、xi(i=1、2、・・・n)全てが上記範囲内に収まっているときに、当該連結黒画素は検出対象の図形とほぼ同じ比率の黒画素白画素の分布を有すると判断する。
【0029】
例えば、抽出対象の図形がQRコードの切り出しシンボル(図3(a))である場合、α1:α2:α3:α4:α5=1:1:3:1:1である。一方、線ノイズ除去後の画像から抽出した連結黒画素(図3(c))について、横方向に走査したときの画素数が、(x1、x2、x3、x4、x5)=(7、3、17、5、5)ピクセルであったとする。また、線ノイズ除去をおこなったときのしきい値aが2(2ピクセル以下の太さの縦線を除去)であったとする。このとき、(α1+α2+・・・+αn)=7、(x1+x2+・・・+xn)=37であるので、各xiがとりうる値の範囲は{37/7×αi−2}と{37/7×αi+2}に基づいて計算できる。したがって、この例では、各xiは、それぞれ(3〜8)、(3〜8)、(13〜18)、(3〜8)、(3〜8)の範囲に収まっているので、該連結黒画素は検出対象の図形(切り出しシンボル)であると判断する。
【0030】
なお、上述した例では、計算を簡単にするため、黒画素・白画素の両方とも同じ計算式を用いて、許される値の範囲の計算を行ったが、上述した式に限るものではなく、ノイズ除去に用いた値を用いて許される誤差を計算するものであればよい。例えば、黒画素部分と白画素部分に対して許される値の範囲を以下の式のように異ならせるようにしてもよい。黒画素部分に対しては、{αi×(x1+x2+・・・+xn−2×a)/(α1+α2+・・・+αn)}と{αi×(x1+x2+・・・+xn)/(α1+α2+・・・+αn)+2×a}の間の範囲であればよいとする。一方、白画素部分に対しては、{αi×(x1+x2+・・・+xn−2×a)/(α1+α2+・・・+αn)−2×a}と{αi×(x1+x2+・・・+xn)/(α1+α2+・・・+αn)}の間の範囲であればよいとする。
【0031】
なお、縦線のラインノイズ除去を行った場合、上述したように、横方向に走査したときの黒画素白画素分布はノイズ除去による誤差を考慮するが、縦方向に走査したときの黒画素白画素分布はノイズ除去による誤差を考慮せずに、一致するかどうか判断する。ただし、読み取り誤差が生じている可能性があるため、例えば±1の誤差は許容するようにしてもよい。例えば、図3(c)の場合、縦方向の画素数が、順に(5±1、5±1、15±1、5±1、5±1)の範囲に収まっていれば、検出対象の図形であると判断する。
【0032】
そして、S405では、図形検出部203は、連結黒画素を横方向に走査したときの黒画素部分と白画素部分の画素数xiと、縦方向に走査したときの画素数Yiの両方が前述の式で計算したそれぞれの範囲内に収まっている場合、検出図形であると判定する。
【0033】
このように、本実施形態では、ノイズ除去後の画像を検出する際に、ラインノイズ除去による誤差を考慮して検出を行うので、たとえノイズ除去後の画像の一部の太さがノイズ除去の影響で増大しても、検出対象画像であると判断する。よって、ノイズ除去後の画像の検出率を向上することができる。
【0034】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態を示すフローチャートである。
まず、S501、S502では、ノイズ除去部201は、S401、S402と同様にして、スキャナ108等から入力された画像に対し、ノイズを判定し、ノイズ除去を行う。
【0035】
S503では、ノイズ除去部201は、S502でノイズ除去を行った領域(ノイズ領域とも呼ぶ)の位置、幅、長さをRAM103に記憶しておく。
【0036】
S504では、検出誤差決定部202は、ノイズ除去を行った位置、幅、長さから、検出誤差eを求める。具体的には、検出誤差決定部202は、RAM103に記憶されたノイズ領域の位置に関する位置情報、幅に関する幅情報、長さに関する長さ情報を読み出し、これら情報、および元画像に基づいて、検出誤差eを算出する。すなわち、検査する図形の位置に基づき、記憶しているノイズ除去した位置、幅、長さから図形に影響する画素数を検出誤差eとする。
【0037】
S505では、図形検出部203は、検出対象図形の理想的な画素分布とノイズ除去した位置と検出誤差eとから、許される画素数の範囲を求める。ノイズ除去の影響を受けない部分と影響を受ける部分とで、許される画素数の範囲を求める計算式を変更する。例えば、ノイズ除去の影響を受けると判断したxi(例えば図3(c)の場合はx1、x2、x3)に対しては、{αi×(x1+x2+・・・+xn)/(α1+α2+・・・+αn)−e}の小数点以下切り捨てた値と、次の値のとの間の範囲とする。すなわち、該小数点以下切り捨てた値と、{αi×(x1+x2+・・・+xn)/(α1+α2+・・・+αn)+e}の小数点以下切り上げた値との間の範囲とする。一方、ノイズ除去の影響を受けないと判断したxi(図3(c)の場合はx4、x5)に対しては、読み取り誤差や計算誤差を考慮(例えば±1)して、以下範囲とする。すなわち、{αi×(x1+x2+・・・+xn)/(α1+α2+・・・+αn)−1}の値と、{αi×(x1+x2+・・・+xn)/(α1+α2+・・・+αn)+1}の値との間の範囲とする。
【0038】
そして、S506では、図形検出部203は、連結黒画素を走査したときの画素数xiが計算した範囲内に収まっている場合、検出図形であると判定する。
【0039】
本実施形態では、上述のように、検出誤差決定部202は、ノイズ除去した位置から、検出誤差を算出しているので、ノイズ除去にて増大した領域を検出誤差とすることができる。すなわち、ノイズ除去した位置、その幅および長さと、元画像とを比較することによって、元画像において、ノイズ除去にて増大した部分の幅を求めることができる。本実施形態では、この求められた幅を検出誤差eと設定するのである。
【0040】
(第3の実施形態)
図6は、本発明の第3の実施形態を示すフローチャートである。
まず、S601、S602では、ノイズ除去部201は、S401、S402と同様にして、スキャナ108から入力された画像に対し、ノイズを判定し、ノイズ除去を行う。
【0041】
S603では、CPU101ノイズ除去の影響を受けない方向(縦線ノイズを除去した時は縦方向)を判定し、その判定した方向に基づいて、ノイズ除去しないときに対応する検出画素数範囲とし、図形検出画素数範囲1を求めておく。すなわち、CPU101は、ノイズ除去の影響を受けないときに対応する図形検出範囲(画像検出範囲)を定める。
【0042】
S604では、検出誤差決定部202は、ノイズ除去の影響を受ける方向(縦線ノイズを除去した時は横方向)の検出誤差を求める。例えば、QRコードの切り出しシンボルの場合は、正方形であるので、S603で求めた縦方向の画素数に基づいて、横方向の幅が増えているかどうかを考慮して、検出誤差を求める。
【0043】
S605では、CPU101は、図形検出画素数範囲1と検出誤差とから、図形を検出する画素数の範囲を求める。すなわち、CPU101は、図形検出画素数範囲1±検出誤差を図形検出画素数範囲2とする。
【0044】
S605では、図形検出部203は、ノイズ除去した方向により、ノイズ除去の影響を受けない方向(縦線ノイズを除去した時は縦方向)のときは、図形検出画素数範囲1で、検出図形であるか否かを判定する。また、ノイズ除去の影響を受ける方向(縦線ノイズを除去した時は横方向)のときは、図形検出画素数範囲2で、検出図形かを判定する。このようにして、CPU101は、方向別図形検出に係る処理を行う。
【0045】
(第4の実施形態)
図7は、本発明の第4の実施形態を示すフローチャートである。
まず、S701、S702では、ノイズ除去部201は、S401、S402と同様にして、スキャナから入力された画像に対し、ノイズを判定し、ノイズ除去を行う。
【0046】
S703では、CPU101は、S603と同様にして、ノイズ除去の影響を受けない方向(縦線ノイズを除去した時は縦方向)の図形検出画素数範囲1を求めておく。
【0047】
S704では、CPU101は、まず、ノイズ除去の影響を受けない方向(縦線ノイズを除去した時は縦方向)を図形検出画素数範囲1で、検出図形かを判定する。S705では、CPU101は、S704で検出図形と判定された図形に対し、ノイズ除去の影響を受ける方向(縦線ノイズを除去した時は横方向)のノイズ除去したときの検出誤差を求めておく。検出誤差決定部202は、S604と同様にして、検出誤差を求める。そして、S706では、CPU101は、S605と同様にして、図形検出画素数範囲2を求める。
【0048】
S707では、図形検出部203は、S704で検出図形と判定された図形に対し、ノイズ除去の影響を受ける方向(縦線ノイズを除去した時は横方向)で、図形検出画素数範囲2を使用して、検出図形かを判定する。
【0049】
このように、本実施形態では、ノイズ除去した方向により、ノイズ除去の影響を受けない方向を先に図形検出する。その結果、検出された図形について後から、ノイズ除去の影響を受ける方向を走査して図形検出する。このようにして、方向順図形検出に係る処理を行う。
【0050】
(その他の実施形態)
本発明は、複数の機器(例えばコンピュータ、インターフェース機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用することも、1つの機器からなる装置(複合機、プリンタ、ファクシミリ装置など)に適用することも可能である。
【0051】
前述した実施形態の機能を実現するように前述した実施形態の構成を動作させるプログラムを記憶媒体に記憶させ、該記憶媒体に記憶されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も上述の実施形態の範疇に含まれる。即ちコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も実施例の範囲に含まれる。また、前述のコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体はもちろんそのコンピュータプログラム自体も上述の実施形態に含まれる。
【0052】
かかる記憶媒体としてはたとえばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD―ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROMを用いることができる。
【0053】
また前述の記憶媒体に記憶されたプログラム単体で処理を実行しているものに限らず、他のソフトウエア、拡張ボードの機能と共同して、OS上で動作し前述の実施形態の動作を実行するものも前述した実施形態の範疇に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像処理装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る動作を説明する図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るノイズ除去の処理を説明する図である。
【図4】本発明の第1の実施形態を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の第3の実施形態を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の第4の実施形態を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
201 ノイズ除去部
202 検出誤差決定部
203 図形検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像から線状のノイズを除去するノイズ除去手段と、
前記ノイズ除去に用いた値に基づいて、検出対象画像の判定に用いる誤差を決定する決定手段と、
前記決定された誤差に基づいて、前記ノイズ除去手段によりノイズ除去された画像から前記検出対象画像を検出する図形検出手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記線状のノイズであるか否かを判定するための幅の閾値に基づいて誤差を決定することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記図形検出手段は、前記ノイズ除去に用いた値に基づいて決定された誤差と雛型となる前記検出対象画像の特徴とに基づいて、前記検出対象画像を検出するための特徴値に許される値の範囲を決定し、当該決定した値の範囲に基づいて、前記ノイズ除去された画像の中から前記検出対象画像を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記決定手段は、
前記ノイズ除去した位置を記憶する手段と、
前記記憶された位置に基づいて、前記誤差を算出する手段と
を有することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記図形検出手段は、
前記ノイズ除去の影響を受けない方向の特徴に基づいて前記検出対象画像の検出を行い、当該検出された画像について、更に、前記ノイズ除去の影響を受ける方向についての特徴に基づいて、前記検出対象画像の検出を行う
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記検出対象画像は、画素数の分布比率を用いて検出可能な図形であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記図形は、QRコード(登録商標)に含まれるシンボルであることを特徴とする請求項6記載の画像処理装置。
【請求項8】
ノイズ除去手段が、画像から線状のノイズを除去するノイズ除去工程と、
決定手段が、前記ノイズ除去に用いた値に基づいて、検出対象画像の判定に用いる誤差を決定する決定工程と、
図形検出手段が、前記決定された誤差に基づいて、前記ノイズ除去工程でノイズ除去された画像から前記検出対象画像を検出する図形検出工程と
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
コンピュータを請求項1乃至7のいずれかに記載の画像処理装置として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項10】
コンピュータにより読み出し可能なプログラムを格納した記憶媒体であって、請求項9記載のコンピュータプログラムを格納したことを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−93360(P2009−93360A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−262384(P2007−262384)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】