説明

画像処理装置、画像処理方法およびプログラム

【課題】入力画像信号を高解像度化処理する際に、高解像度化に必要な参照情報を豊富にし、高解像度化のための性能を十分に引き出すことができる装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、画像変換装置は、受信装置に対して、変換画像信号を生成して中継装置を介して送信する。前記受信装置は、受信した前記変換画像信号に対して復元処理および超解像処理を施し、解像度が向上した高解像度画像信号を得る。前記画像変換装置では、前記中継装置の容量を低減するために原画像信号を処理して前記変換画像信号を得る。一方、変換特性抽出装置が、前記受信装置での超解像処理の性能を高めるために、前記超解像処理を補助するための画像変換関連情報を生成する。そして接続装置が、前記変換画像信号および前記画像変換関連情報を前記受信装置へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は画像処理装置、画像処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、超解像技術を採用したテレビジョン受信装置やディスプレイが製品として市販されている。超解像技術は、画像の画素サンプリング時(撮像素子による光電変換時や縮小処理時)に失われる詳細な部分を画像処理によって再現する技術である。たとえば、Digital Versatile Disc(DVD)に記録されている解像度の低い画像情報を再生して表示する際、超解像技術を使うと画像の詳細な部分が再現されて、解像度の高い鮮明な画像が得られる。
【0003】
また解像度をさらに向上させるために前処理で画像を解析してノイズ除去を行い、高解像化の処理性能を向上させようという技術がある。また前処理で画像を解析して、解析内容に応じて高解像化する方法を変更する技術もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−65535号公報
【特許文献2】特開2010−130069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
入力画像信号に対する前処理を行うと、前処理でノイズと共に高解像処理に必要な情報が除去されて、高解像化に失敗する場合がある。また入力画像信号の画像解析によって得られる解析情報の精度が低い場合、解析情報が高解像化の参照情報として十分に活用されない場合がある。
【0006】
現行の高解像処理装置は、入力される画像タイプが、予測不能である環境で使用されている。画像タイプとは、例えば撮影対象の違い、撮影環境の違い、カメラやレンズの違い、伝送方法の特性の違い、記録方法の特性の違などに基づいて区分されるタイプである。これらのタイプは、放送信号やDVDからの再生信号からは予測不可能である。
【0007】
このように現行の高解像処理装置は、特定の映像タイプに特化した最適化が十分になされていない。そのために、超解像技術の性能が最大限に発揮されずに、解像度の向上に限界がある。
【0008】
そこでこの発明の目的は、入力画像信号に対して高解像度化処理を実施する際に、高解像度化に必要な参照情報を豊富にし、高解像度化のための性能を十分に引き出すことができる画像処理装置、画像処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によれば、画像変換装置は、変換画像信号を生成して中継装置を介して受信装置に送信する。前記受信装置は、受信した前記変換画像信号に対して復元処理および超解像処理を施し、解像度が向上した高解像度画像信号を得るものである。この場合、前記画像変換装置では、前記中継装置の容量を低減するために原画像信号を処理して前記変換画像信号を得る。一方、変換特性抽出装置が、前記受信装置での超解像処理の性能を高めるために、前記超解像処理を補助するための画像変換関連情報を生成する。そして前記変換画像信号および前記画像変換関連情報が前記受信装置へ送信される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1で示した変換特性情報反映器と補正回路の動作の一例を説明するために示した図である。
【図3】図1で示した変換特性情報反映器と補正回路の動作の他の例を説明するために示した図である。
【図4】図1で示した変換特性情報反映器と補正回路の動作のさらに他の例を説明するために示した図である。
【図5】図1で説明する画像変換関連情報に対応するパラメータ生成装置の一例を示す図である。
【図6】図1で説明する画像変換関連情報に対応する他のパラメータ生成装置の一例を示す図である。
【図7】図1で説明する画像変換関連情報に対応するさらに他のパラメータ生成装置の一例を示す図である。
【図8】さらに他の実施形態の構成例を示すブロック図である。
【図9】さらにまた他の実施形態の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、実施形態の構成の一例を示すブロック図である。100は送信装置であり、200は受信装置である。なお本開示で用いている用語「送信装置」、「受信装置」は、送信受信に限定するものではなく、「記録」、「再生」の関係であっても良い。また「撮像部」と「表示部」、「読み取り部」と「出力部」など種々の用語を適用可能であるが、便宜上、以下「送信装置」、「受信装置」として説明する。
【0012】
したがって、本開示で述べる装置、方法、プログラム及びプログラム製品は、一般的な通信システム、情報記録再生装置、会社或いは公共機関における監視システム、会社内、家庭内におけるLocal Area Network (LAN)などさまざまな分野に適用可能である。
【0013】
送信装置100は、原画像信号の入力装置101を有し、原画像信号は、画像変換装置102、変換特性抽出装置103に入力する。画像変換装置102は、原画像信号を例えば縮小処理して、変換画像信号を出力する。この場合、変換特性抽出装置103は、例えば変換特性として「縮小変換特性」を画像変換関連情報として生成する。
【0014】
ここで、画像変換装置102は、原画像信号を一例として縮小処理すると述べたが、本開示では、縮小処理に限定されるものではなく、後述する各種の変換処理も実施形態として含まれることも留意されたい。したがって、変換特性抽出装置103は、各種の変換処理に応じた変換特性を抽出することになる。
【0015】
上記変換画像信号と画像変換関連情報は、接続装置104により、中継装置400(通信回線401または蓄積媒体402を含む)に出力される。接続装置104は、高周波変調器、高周波受信機、相互認証装置を含んでもよい。また接続装置104は、送受信を目的とした符号化・復号化処理機能なども含んでもよい。ここで、通信回線は、例えばインターネット、有線通信ライン、無線通信ライン、赤外線の通信ライン、光学的な通信ラインなどを含み、通信エリアは限定されない。また蓄積装置は、録再装置、サーバー、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどを含み特定の記憶媒体に限定されることはない。統括制御ブロック111は、送信装置100内の各ブロックの動作シーケンス及び動作内容をソフトウエアプログラムにより統括的に制御する。
【0016】
上記変換画像信号と画像変換関連情報は、中継装置400を介して、受信装置200の接続装置201に入力する。接続装置201は、高周波受信機、高周波変調器、相互認証装置を含んでもよい。また接続装置201は、送受信を目的とした符号化・復号化処理機能なども含んでもよい。接続装置201を介して取り込まれた変換画像信号と画像変換関連情報は、超解像処理装置202に入力する。超解像処理装置202は、変換画像信号に対して復元処理および超解像処理を施し、解像度が向上した高解像度画像信号を得る。超解像処理装置202において、超解像処理が実施されるとき、超解像処理が精度良く行われ、超解像処理の性能が高められるように、前記画像変換関連情報は、超解像処理を補助するために利用される。超解像処理が施された高解像度画像信号は、表示装置203に入力される。統括制御ブロック211は、受信装置200内の各ブロックの動作シーケンス及び動作内容をソフトウエアプログラムにより統括的に制御する。
【0017】
超解像処理装置202は、図1の下段にそのブロック構成の一例を示している。接続装置201から入力した信号、例えばパケット列は、分離器221にて分離され、画像変換関連情報を含むパケットは、変換特性情報反映器230に入力され、画像情報を含むパケットは、画像復元回路223に入力される。画像復元回路223は、送信装置100にて変換された変換画像信号を、元の画像信号に復元するもので復元画像信号を得る。画像復元回路223は、例えばパケットストリームから、画像信号を抽出している。復元画像信号は、例えば初期画像生成器229で画像処理されて高解像度画像生成器225に入力される。また復元画像信号は、誤差検出器224にも入力される。分離器221、画像復元回路223は接続装置201内に含まれていても良い。
【0018】
高解像度画像生成器225は、超解像技術を利用して例えば画素の補正処理などで画像信号の解像度の向上を行う。画像信号は送信側のサンプル数以上に高解像度化されることができる。高解像度画像生成器225の出力は、予測低解像度画像生成器226に入力される。予測低解像度画像生成回路226は、送信装置から送られてきた画像信号と同じ解像度の画像信号(予測低解像度画像信号)を生成し、誤差検出器224に入力する。
【0019】
予測低解像度画像生成回路226は、予測低解像度画像信号を生成する際、Point Spread Function (PSF:点広がり関数)を利用して、予測低解像度画像信号を生成している。ここで、PSFのパラメータを適用する際、変換特性情報反映器230からの補正パラメータが利用される。
【0020】
予測低解像度画像信号は、本来ならば送信された画像信号と同じである筈である。しかし、変換処理・伝送処理・超解像処理の経路で誤差が生じている可能性がある。そこで、上記のように予測低解像度画像生成回路226では、変換特性情報反映器230からの補正パラメータを利用している。変換特性情報は、補正パラメータを指示する為の情報である。指示された補正パラメータは、例えば、原画像信号と予測低解像度画像信号との間の誤差分を改善できる補正パラメータである。
【0021】
予測低解像度画像生成回路226は、補正パラメータを用いて、予測低解像度画像信号に生じる歪成分を抑制すべく処理(例えばフィルタリング処理・レベル調整処理など)を実行している。
【0022】
これにより、誤差検出器224は、送られてきた変換画像信号内における誤差信号の発生箇所、誤差信号の大きさなどを明確にした正確な誤差信号を出力する。この誤差信号を用いて、高解像度画像生成器225における予測原画像信号が原画像信号に近づくように修正される。このような処理が超解像処理として繰り返し実行されている。高解像度画像生成器225は、解像度が向上した超解像の画像信号を出力回路227に供給する。
【0023】
上記したように、画像変換装置102では、中継装置400(通信回線または蓄積媒体)の容量を低減するために原画像信号を処理して変換画像信号を得る。一方、変換特性抽出装置103が、超解像処理を補助するための画像変換関連情報を生成する。そして、接続装置104が、変換画像信号および画像変換関連情報を通信回線または蓄積媒体へ出力するようにしている。
【0024】
受信装置200では、超解像処理の性能を高めるために、前記変換特性情報を反映させている。上記した本実施形態では、直接的に変換特性情報が送信側から送られてくるために、受信側では、変換特性を予測する必要が無く、変換特性情報を正確に認識し、かつ利用することができる。つまり受信装置は、変換特性情報を直接かつ正確に把握することができる。そして、予測原画像信号に含まれる誤差が確実に修正される。このために超解像処理装置202は、その性能を十分に発揮できる。
【0025】
次に、送信側での変換特性情報の作成方法および装置、受信側での変換特性情報の反映方法および装置について説明する。
【0026】
予測低解像度画像生成回路226内でのPSFの情報には、低解像度の例えば1つの画素が、周辺のどの高解像度の複数の画素から生成されるのかが記述される。低解像度の画素が作成される場合、画像サイズの縮小(低解像度化)を行う前に、高解像度の画像に対してローパスフィルタ処理を行い、ナイキスト周波数以上の高周波成分を除去することが好ましい。一方、超解像化処理を行うためには、事前にローパスフィルタ処理しないほうが理論的には超解像化に好都合である。
【0027】
図2の例は、画像変換及び伝送と、受信処理と、変換特性情報の利用状態の例を示している。送信側で原画像信号SIG1(画素X11−X33)をフィルタ処理Fし、次に、1/3に縮小処理し、変換画像信号SIG2(画素Y)を得ている。受信側では、3倍の拡大処理Gを行い、予測原画像信号SIG3(画素X’11−X’33)を得ている。この予測原画像信号SIG3に対して、仮の補正処理が実施され超解像処理が実施される。
【0028】
ここで予測原画像信号SIG3がより一層、原画像信号SIG1に近似する信号となるように、超解像処理が実施される。即ち、予測原画像信号SIG3は、送信側と同じ特性でフィルタ処理Fされ、1/3に縮小される。この予測低解像度画像信号Y’は、誤差検出器224にて、伝送されてきた低解像度画像信号Yと比較される。この比較結果で得られた誤差ERR=Y−Y’は、補正回路228に入力され、予測原画像信号SIG3を補正するために利用される。
【0029】
上記の補正処理が繰り返されることにより、予測原画像信号SIG3は原画像信号SIG1に一層近似するようになる。そして誤差信号のレベルが許容範囲になったときが、有用な高解像度画像信号であるとして判定される。
【0030】
図2には、フィルタ処理Fを行う変換特性情報、つまりここではフィルタ特性の例を2種類示しており、1つは平均値フィルタによるフィルタリングを実施する例であり、他の1つはガウシアンフィルタによりフィルタリングを実施する例であり、いずれが採用されてもよい。
【0031】
上記のように送信側で行った変換特性情報(ここではフィルタ処理Fの特性)が、受信側においても直接利用される。このために、予測原画像信号SIG3を原画像信号SIG1に近似させるための処理速度・処理負担が軽減する。
【0032】
図3は、画像変換及び伝送と、受信処理と、変換特性情報の利用状態とさらに他の例を示している。中継装置の容量を低減するために原画像信号を処理して変換画像信号を得る方法は、図2に示した方法に限定されるものではなく多数存在する。
【0033】
図3において、送信側で原画像信号SIG1(画素X11−X33)に対してフィルタ処理Fを行い、フィルタ処理画像信号SIG2(画素Y11−Y33)を得ている。フィルタ処理Fは、例えば、水平方向フィルタHF,垂直方向フィルタVF1による2次元のフィルタ処理である。このフィルタ処理においては、空間方向(時間方向)のフィルタ処理が実施されてもよい。フィルタ処理された変換画像信号SIG2は、中継装置を介して伝送される。
【0034】
この場合、変換画像信号は符号化されて伝送されてもよいし、そのまま伝送されてもよい。
【0035】
受信側では、フィルタ処理画像信号SIG2に対して逆フィルタ処理Gを実施することにより、予測原画像信号SIG3(画素X’11−X’33)を得ている。逆フィルタ処理Gは、同図(B)の(b1)と(b2)に比較して示すように、フィルタ処理Fが高域周波数を抑圧する特性であるとき、逆フィルタ処理Gは、高域周波数を強調する特性である。このように得られた予測原画像信号SIG3に対して、仮の補正処理が実施され超解像処理が実施される。
【0036】
ここで予測原画像信号SIG3がより一層、原画像信号SIG1に近似する信号となるように、超解像処理が実施される。即ち、予測原画像信号SIG3は、送信側と同じ特性でフィルタ処理Fされ、予測フィルタ処理画像信号SIG4(画素Y’11−Y’33)として再現される。この予測フィルタ処理画像信号SIG4(画素Y’11−Y’33)は、誤差検出器224において、伝送されてきたフィルタ処理画像信号SIG2(画素Y11−Y33)と比較される。この比較結果で得られた誤差ERR=Y−Y’は、補正回路228に入力され、予測原画像信号SIG3を補正するために利用される。
【0037】
上記の補正処理が繰り返されることにより、予測原画像信号SIG3は原画像信号SIG1に一層近似するようになる。そして誤差信号のレベルが許容範囲になったときが、有用な高解像度画像信号であるとして判定される。
【0038】
図4は、画像変換及び伝送と、受信処理と、変換特性情報の利用状態とのさらに他の例を示している。ここでは中継装置の容量を低減するために原画像信号SG1を処理して変換画像信号SG2を得る他の方法として、符号化処理を示している。原画像信号SG1の画素データが、符号化され、中継装置を介して受信側において復号化される。復号化により得られた復号画像信号SG3(画素X’11−X’33)の画素データには、周辺に誤差データが発生している。誤差データは、例えばブロックノイズなどである。
【0039】
このブロックノイズを含む復号画像信号が、超解像処理された後、そのまま、予測原画像信号SIG4(画素Z11−Z33)として採用されると、予測原画像信号にブロックノイズが含まれているか、ブロックノイズの影響で生じた成分が含まれる。
【0040】
そこで、本実施形態では、上記予測原画像信号SIG4(画素Z11−Z33)のノイズを除去するために、予測低解像度画像信号をフィルタFi2でフィルタ処理Fする。そしてフィルタ処理された予測復号画像信号(画素R11−R33)と、復号画像信号SG3(画素X’11−X’33)との比較を行い、その誤差信号ERR=X’−Rに応じて予測原画像信号SIG4(画素Z11−Z33)を補正(フィルタ特性の可変、レベル調整など)し、誤差信号のレベルを低減させる。誤差信号のレベルが許容範囲になったときが、有用な高解像度画像信号である。なお、復号画像信号SG3と予測原画像信号SIG4の間のフィルタ処理Gは、最初の予測原画像信号を生成するときに使用するフィルタ処理であり、例えばランダムなノイズフィルタ処理などである。
【0041】
ここで、上記フィルタ処理Fは、事前にシミュレーションなどで判明している特性を適用できる。したがって、符号化・復号化処理の種類に応じて、対応するフィルタ処理特性のパラメータを送信側から受信側で伝送することができる。
【0042】
上記の処理は、予測低解像度画像信号に対して、修正を行う実施形態を示した。しかし、復号画像信号の超解像処理を行う前に復元画像信号に対して事前処理を行っても良い。
【0043】
そのためには、例えば、復号画像信号に作用するフィルタ特性を決めるための情報が事前に受信装置に設定されていてもよい。
【0044】
図5は、変換特性情報反映器230にセットするための変換特性情報及び補正パラメータを事前に作成する例を示している。中継装置の容量を低減するために原画像信号SG1を処理して変換画像信号SG2を得る例として符号化処理を示している。原画像信号SG1の画素データは送信側で符号化され、中継装置を介して受信側において復号化されるが、復号化したときに誤差データが生じる。そこで、予め、この誤差データを消去或いは低減できるようなフィルタ特性を事前に調査する。
【0045】
即ち、復号画像信号SIG3は、フィルタFi3を介して誤差検出器RrD1に入力される。誤差検出器RrD1には、原画像信号SIG1が入力されている。誤差検出器RrD1は、原画像信号SIG1の画素と復号画像信号SIG3の対応する画素を比較し、誤差を検出する。これにより、誤差データが検出される。誤差データに応じて、フィルタFi3のフィルタ係数が可変される。そして誤差データのレベルが許容値以下になったときのフィルタ係数が変換特性情報反映器230に補正パラメータ(フィルタ係数を補正するパラメータ)として決定される。
【0046】
このときの符号化・復号化方式の識別情報と、対応する補正パラメータは、例えばメモリに格納され、受信装置の変換特性情報反映器230にセットされる。受信装置200は、符号化・復号化方式の識別情報を受信したとき、変換特性情報反映器230にセットされている補正パラメータを出力し、先に説明したフィルタ処理Fに対して補正パラメータに基づくフィルタ係数を設定する。
【0047】
上記の処理により予測原画像信号のノイズが低減され、良質の超解像処理を実現することができる。
【0048】
図6は、さらに変換特性情報反映器230にセットするための変換特性情報及び補正パラメータを事前に作成する他の例を示している。
【0049】
この例は、送信側で画像を縮小して送信し、受信側で縮小画像を拡大するシステムに適用するための変換特性情報及び補正パラメータの作成装置の例である。入力端子501に例えばテスト画像信号を入力する。テスト画像信号(原画像信号)は縮小器502に入力されて縮小される。縮小画像は、拡大器503で拡大されて元の画像信号(予測原画像信号)に復元される。
【0050】
誤差情報検出器504は、原画像信号と予測原画像信号とを、例えば予め設定されたブロック単位で比較している。誤差情報検出器504は、ここで画像縮小・拡大の経路において発生したノイズや歪を検出する。誤差情報検出器504が検出したノイズや歪は、誤差抽出器505で抽出され、誤差低減情報生成器506に入力される。
【0051】
誤差低減情報生成器506は、誤差が低減する方向の補正パラメータを作成して、補正回路511に与える。補正パラメータとしては、水平・垂直フィルタ係数、レベル制御情報などがある。補正回路511は、補正パラメータに応じて、拡大器503からの予測原画像信号にするフィルタ処理特性、あるいはレベル制御特性の可変を実行する。誤差低減情報生成器506は、誤差が許容範囲内に低減したら、そのときの補正パラメータを確定する。
【0052】
確定した補正パラメータは、補正情報テーブル生成器510に入力されて、補正情報テーブルに登録される。補正パラメータが確定したとき、画像変換特性情報も確定される。画像変換特性情報としては、たとえば、拡大・縮小率の値を示す変換方式情報、画像の静止画或いは動画を示す静画・動画情報、動画の場合は画像動き速度はF1,F2,F3のいずれであるかを示す画像動き速度情報、平均輝度レベルはA1,A2,A3のいずれであるかを示す輝度レベル情報、輝度分散の情報があり、これらの特定された画像変換特性情報も前記補正情報テーブルに登録される。
【0053】
これらの登録用の情報は、画像特性判定器507、処理情報認識装置508によって作成されている。画像特性判定器507は、テスト信号としての原画像信号が静止画或いは動画であるか、動画の場合は画像動き速度はF1,F2,F3のいずれであるか、平均輝度レベルはA1,A2,A3のいずれであるかを判定している。また輝度分散・輝度ヒストグラムなどの情報も取得することができる。処理情報認識装置508は、制御ブロックからの制御情報を利用して、拡大・縮小率の値を判定している。
【0054】
この作成された補正情報テーブルは、予め受信装置200の変換特性情報反映器230のメモリに格納されている。変換特性情報反映器230は、送信装置100から、画像変換特性情報を受け取ったとき、画像変換特性情報に対応する補正パラメータ(誤差消去用情報と称しても良い)をテーブル上で指定することができる。そして変換特性情報反映器230は、指定された補正パラメータをメモリから読出し、補正回路228に与える。このために予測原画像信号から、変換経路の特性により固定的に生じる誤差が抑制され、高解像度画像生成器225に入力される。
【0055】
上記のように、特にこのシステムは、原画像信号を変換処理し、変換画像を復元したときに生じる誤差を測定し、予め誤差消去用情報として直接受信装置200に送信して準備している。このために、受信装置200で誤差を抑制するための効果が顕著である。よって、予測原画像信号を原画像信号にできるだけ一致させることができ、超解像処理装置202の性能を最大限に発揮させることができる。
【0056】
上記した例は、画像変換特性が画像の縮小・拡大に関する変換方式情報と、静画・動画情報、画像動き速度情報、輝度レベル情報、輝度分散情報などを示したが、これらの全部の情報が必要なわけではない。少なくとも変換方式情報だけでも本装置の効果は発揮される。上記の変換方式情報は、縮小・拡大に関する情報に限定されることはない。
【0057】
上記の説明では、縮小器502からの変換画像信号を拡大器503に直接入力した。しかし途中に中継装置400に相当する特性(減衰特性・周波数特性など)を擬似中継装置511により与えても良い。また上記の装置は、図1の送信装置100とは独立して構成されてもよいし、図1の送信装置100内部に一体に組み込まれてもよい。
【0058】
図7は、さらに変換特性情報反映器230にセットするための変換特性情報及び補正パラメータを事前に作成するさらにまた他の例を示している。この例は、送信側で、原画像信号を符号化(圧縮)して符号化画像信号を生成し、符号化画像信号を送信する、受信側で、符号化画像信号を受信して復号し、復号化画像信号を生成し、そしてさらに復号化画像信号を高解像度化する装置の例である。図2の装置と同様な機能を持つブロックは図2のブロックと同じ符号を付している。図2のブロックと大きく異なる部分は、テスト信号(原画像信号)を符号化器502が符号化し符号化画像信号を生成し、この符号化画像信号を復号化器503が復号化し復号化画像信号を生成している点である。
【0059】
補正情報テーブル生成器510内の補正情報テーブルには、符号化・復号化方式に応じて変換及び復元誤差を低減するための補正パラメータが登録される。
【0060】
符号化・復号化方式は、各種の方式があり、例えばJoint Photographic Experts Group (JPEG), Moving Picture Experts Group 1/2 (MPEG 1/2), H 264/Advanced Video Coding (AVC) などの方式がある。各方式により、また送信側の変換特性により、特有の復元誤差が生じる。この復元誤差を低減することで、受信側における超解像処理の機能が十分に発揮される。
【0061】
上記の図では、符号化器522からの変換画像信号を復号化器523に直接入力した。しかし途中に中継装置400に相当する特性(減衰特性・周波数特性など)を擬似中継装置511により与えても良い。また上記の装置は、図1の送信装置100とは独立して構成されてもよいし、図1の送信装置100内部に一体に組み込まれてもよい。
【0062】
上記した実施形態において、変換特性情報は上記した例に限定されるものではなく、カラーフォーマット変換特性情報と、カラーフォーマット変換特性に伴う補正パラメータであっても良い。
【0063】
図8はさらに他の実施形態を示している。この実施形態では、送信装置100において、画像特性検出装置106が設けられている。この画像特性検出装置106は、例えば、図6、図7で説明したように動画・静止画、平均輝度レベル、同期乱れ情報などを検出する。さらには、微小な画像動きを含む2エリア以上を選択して、このような画像が存在しないフレームを画像変換装置102が間引くように、該画像変換装置102を制御することができる。このような処理は、例えば、オブジェクトの抽出処理に想到し、背景のみの画像信号のフレームが間引かれることを意味する。またオブジェクトの変位の抽出や分離を意味する。例えば、人の顔などがオブジェクトの場合があり得る。この場合、微小な画像動きを含む2エリアは、人の目の画像の可能性がある。このような機能は監視装置においては重要である。
【0064】
また同期乱れや、平均輝度レベルが異常に大きい場合は、このことが画像特性検出装置106により検出されて、当該フレームの間引きが行われるように、画像変換装置102が制御されても良い。監視システムにおいて、カメラの設置地域が、異常電波の多い地域であり、同期乱れが多い場合の監視映像は不要とされる場合がある。このような場合は、同期乱れにより、同期が乱れている期間のフレームが間引かれるようにしてもよい。また、時々、異常な光線がカメラに入射(例えば車の照明ライト)するような地域の場合、輝度レベルが異常に高くなり、監視映像は不要とされる場合がある。このような場合もフレームが間引かれるか、またはレベルが大きく抑制されるようにしてもよい。
【0065】
なお変換特性情報と対応する画像信号は互いに同期するように、変換特性情報及び画像信号を送信するそれぞれのパケットストリームに含まれる例えばタイムスタンプが同期情報として利用可能である。
【0066】
図9はさらに他の実施形態を示している。この実施形態の送信装置200は、受信装置200からアップストリームで送信される要求データに対して応答することができる。要求データは、例えば、受信装置200の統括制御ブロック211で発生してもよいし、超解像処理装置202が自動的に発生してもよい。また利用者が操作器213を操作することに応答して、統括制御ブロック211が要求データを発生しても良い。
【0067】
要求データにより要求する内容は各種が可能である。例えば、変換画像信号や変換特性情報の送信停止、送信再開などのように、変換特性抽出機能を制御するような要求データがある。また画像変換特性の切替え、画像特徴抽出項目の切り替えや変更などを行う要求データがある。たとえば、動画を変換した変換画像信号のみが送信されることを要求したり、静止画のみを変換した変換画像信号のみが送信されることを要求したりすることができる。また、時間帯(たとえば夜間・昼間)に応じて、輝度レベルを抑制しての画像変換、輝度レベルを増強しての画像変換が実効されるようにしてもよい。
【0068】
また、画像変換装置102で得られる複数枚の画像フレームを、中継装置における通信手段また蓄積手段に含まれる多視点映像符号化によって圧縮するような指令を行う要求データでもよい。またフレーム内から画像変換を行うエリアを特定するような要求データであってもよい。
【0069】
上記した実施形態は装置及び方法として説明したが、このような装置及び方法実現するためのICチップ、コンピュータを動作させるためのプログラム及びこのプログラムを格納した記憶媒体も本発明の範疇である。
【0070】
また、本開示では、送信側で原画像信号のデータ量を低減して伝送するための低解像度画像信号を作成しているが、伝送するための画像信号を得る技術は各種存在する。したがって、本開示では、伝送するための画像信号を変換画像信号と総称してもよい。また、受信側では、原画像信号に近似する画像信号を予測原画像信号、予測フィルタ処理画像信号などと称したが、これらの用語にとらわれることはなく、総称して復元画像信号と称してもよい。
【0071】
即ち、本開示内容は、中継装置を経て受信した変換画像信号に対して復元処理および超解像処理を施し、解像度が向上した高解像度画像信号を得る受信装置に対して、前記変換画像信号を生成して送信する装置に対して画像処理方法を実現するプログラムとして利用できる。そしてこのプログラムは、前記中継装置での容量を低減するために原画像信号を処理して前記変換画像信号を生成するステップと、前記受信装置での超解像処理の性能を高めるために、前記超解像処理を補助するための画像変換関連情報を生成するステップと、前記変換画像信号および前記画像変換関連情報を前記通信回線または蓄積媒体へ出力するステップを有するものである。
【0072】
また、本開示内容は、上記の画像処理方法を実現するプログラムを格納した記憶媒体に対しても適用可能である。即ち、この記憶媒体は、上記ステップをコンピュータに実効させる画像処理プログラムを格納した記憶媒体である。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
100・・・送信装置、101・・・入力装置、102・・・画像変換装置、103・・・変換特性抽出装置、104・・・接続装置、200・・・受信装置、201・・・接続装置、202・・・超解像処理装置、203・・・表示装置、221・・・分離器、223・・・画像復元回路、224・・・誤差検出器、225・・・高解像度画像生成器、226・・・予測低解像度画像生成装置、227・・・出力回路、228・・・補正回路、230・・・変換特性情報反映器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中継装置を経て受信した変換画像信号に対して復元処理および超解像処理を施し、解像度が向上した高解像度画像信号を得る受信装置に対して、前記変換画像信号を生成して送信する装置であって、
前記中継装置での容量を低減するために原画像信号を処理して前記変換画像信号を得る画像変換装置と、
前記受信装置での超解像処理の性能を高めるために、前記超解像処理を補助するための画像変換関連情報を生成する変換特性抽出装置と、
前記変換画像信号および前記画像変換関連情報を前記通信回線または蓄積媒体へ出力する接続装置を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記画像変換装置は、前記原画像信号の画面サイズを縮小処理することで前記変換画像信号を得て出力し、
前記変換特性抽出装置は、前記画面サイズの縮小率情報を含む前記画像変換関連情報を生成する、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記変換特性抽出装置は、前記原画像信号に対して施されたフィルタ処理特性情報を前記画像変換関連情報に付加する、請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像変換装置は、前記原画像信号を符号化処理することで前記変換画像信号を得て出力し、
前記変換特性抽出装置は、前記符号化処理の方式情報を前記画像変換関連情報に付加する、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像変換装置は、前記原画像信号を不可逆圧縮処理することで前記変換画像信号を生成し、
前記変換特性抽出装置は、前記不可逆圧縮処理された前記変換画像信号を復号したときの復号画像信号と前記原画像信号との誤差情報を、前記画像変換関連情報に付加する、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像変換装置は、前記原画像信号のカラーフォーマットを変換することで前記変換画像信号を生成し、
前記変換特性抽出装置は、前記カラーフォーマットの変換情報を、前記画像変換関連情報に付加する、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項7】
さらに、前記原画像信号の画像特性を検出する画像特性検出装置を有し、前記画像変換装置は前記画像特性検出装置の検出結果に応じて適応的に画像変換を行う、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記画像特性検出装置は、前記原画像信号の特定のオブジェクトの変化を検出し、前記画像変換装置は前記オブジェクトの変化の無いフレームを間引きする画像変換を行う、請求項7記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記変換特性抽出装置は、前記受信装置からの要求データに応じて、変換特性抽出機能が制御される請求項1記載の画像処理装置。
【請求項10】
中継装置を経て受信した変換画像信号に対して復元処理および超解像処理を施し、解像度が向上した高解像度画像信号を得る受信装置に対して、前記変換画像信号を生成して送信する装置の画像処理方法であって、
画像変換装置により前記中継装置での容量を低減するために原画像信号を処理して前記変換画像信号を生成し、
変換特性抽出装置により前記受信装置での超解像処理の性能を高めるために、前記超解像処理を補助するための画像変換関連情報を生成し、
接続装置により前記変換画像信号および前記画像変換関連情報を前記通信回線または蓄積媒体へ出力する画像処理方法。
【請求項11】
中継装置を経て受信した変換画像信号に対して復元処理および超解像処理を施し、解像度が向上した高解像度画像信号を得る受信装置に対して、前記変換画像信号を生成して送信する装置に対して画像処理方法を実現するプログラムであって、
前記中継装置での容量を低減するために原画像信号を処理して前記変換画像信号を生成するステップと、
前記受信装置での超解像処理の性能を高めるために、前記超解像処理を補助するための画像変換関連情報を生成するステップと、
前記変換画像信号および前記画像変換関連情報を前記通信回線または蓄積媒体へ出力するステップを有した画像処理プログラム。
【請求項12】
中継装置を経て受信した変換画像信号に対して復元処理および超解像処理を施し、解像度が向上した高解像度画像信号を得る受信装置に対して、前記変換画像信号を生成して送信する装置に対して画像処理方法を実現するプログラムを格納した記憶媒体であって、
前記中継装置での容量を低減するために原画像信号を処理して前記変換画像信号を生成するステップと、前記受信装置での超解像処理の性能を高めるために、前記超解像処理を補助するための画像変換関連情報を生成するステップと、前記変換画像信号および前記画像変換関連情報を前記通信回線または蓄積媒体へ出力するステップを実効させる画像処理プログラム、を格納した記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−195880(P2012−195880A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59828(P2011−59828)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】