画像処理装置、画像処理方法並びに画像処理プログラム
【課題】画像に含まれる周期的パターンの傾きを、複数の方向について検出された周期的パターンに対応する周波数成分により特定する。
【解決手段】画像を表す画像信号Sdから第1の方向および/または第1の方向と異なる第2の方向について、画像の被写体成分を粗除去するために被写体成分を含む低周波成分を除去する被写体成分除去フィルタHPFを用いて1次元フィルタリング処理を行うことにより被写体成分除去済信号Shを取得し、被写体成分除去済信号Shから第1および第2の両方向について周期的パターンに対応する周波数成分を検出する。
【解決手段】画像を表す画像信号Sdから第1の方向および/または第1の方向と異なる第2の方向について、画像の被写体成分を粗除去するために被写体成分を含む低周波成分を除去する被写体成分除去フィルタHPFを用いて1次元フィルタリング処理を行うことにより被写体成分除去済信号Shを取得し、被写体成分除去済信号Shから第1および第2の両方向について周期的パターンに対応する周波数成分を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像信号における周期的パターンに応じた空間周波数成分を抑制する画像処理装置、方法およびプログラム、特に放射線画像において、撮影に使用されたグリッドに起因する周期的パターンを抑制する画像処理装置、方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、放射線(X線、α線、β線、γ線、電子線、紫外線等)を照射するとこの放射線エネルギーの一部が蓄積され、その後、可視光やレーザ光などの励起光を照射すると、蓄積された放射線エネルギーに応じて輝尽発光光が発光される蓄積性蛍光体(輝尽性蛍光体)を利用して、例えば支持体上にこの蓄積性蛍光体を積層した蓄積性蛍光体シートに人体などの被写体を透過した放射線を照射することにより、放射線画像情報を一旦蓄積記録し、この蓄積性蛍光体シートにレーザ光などの励起光を照射して、輝尽発光光を生じさせ、この輝尽発光光を光電変換して画像信号を得る放射線画像読取装置がCR(Computed Radiography)として、広く実用に供されている。
【0003】
ここで、上述した蓄積性蛍光体シートなどに被写体の放射線画像を撮影記録する際に、被写体により散乱された放射線がシートに照射されないように4本/mm程度の細かなピッチで放射線の透過しない鉛等と透過しやすいアルミニウムや木材等とが交互に配置されたグリッドを被写体とシートとの間に配置して撮影を行うことがある。グリッドを用いて撮影を行うと被写体により散乱された放射線がシートに照射されにくくなるため、被写体の放射線画像のコントラストを向上させることができるが、このグリッド像が含まれた画像を拡大縮小すると、拡大縮小率に応じて折り返しによるエリアジングが生じる。さらに、エリアジングがグリッド像等の空間周波数と重なると、細かな縞模様(モアレ)が生じ、再生画像が見難いものとなってしまう。そこで、グリッド像やモアレなどの周期的パターンの方向と周期的パターンに対応する空間周波数成分を検出し、検出された方向に周期的パターンに対応する空間周波数成分を除去する方法が要求されている。
【0004】
特許文献1には、このような周期的パターンを画像から除去する方法として、画像の縦横2方向に対して高域通過フィルタによるフィルタリング処理を行い、フィルタリング結果の分散値を縦横2方向について算出し、分散値の比率によりグリッド像が存在する方向を検出する方法が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、水平方向と垂直方向について周波数パターンのピークを検出し、水平方向および垂直方向の両方で周波数パターンのピークを検出した場合に、ピークの大きさが所定のしきい値より大きい方向をグリッド像の方向として判断する方法が開示されている。
【0006】
また、特許文献3には、画像データに2次元フーリエ変換を施し、周期的パターンに対応する空間周波数成分を検出し、検出された空間周波数成分のみを除去するフィルタによりフィルタリング処理を行う画像処理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平08−293020号公報
【特許文献2】特開2003−233818号公報
【特許文献3】特開2009−195512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、このような周期的パターンは、画像の水平方向または垂直方向に対して平行に存在する場合だけでなく、画像の水平方向または垂直方向に対して傾いて存在する場合がある。しかし、特許文献1乃至2に記載された方法では、水平方向または垂直方向のいずれか一方の方向に周期的パターンが存在することを検出するものであって、周期的パターンの傾きを正確に検出することはできない。
【0009】
また、特許文献3に記載された方法によれば、2次元フーリエ変換により周期的パターンに対応する空間周波数成分を検出するため計算負荷が高く、より少ない計算負荷で周期的パターンの傾きを正確に検出する方法が求められている。
【0010】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、比較的小さい計算負荷で周期的パターンの傾きを検出することができる画像処理装置および画像処理方法ならびに画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による画像処理装置は、画像に含まれる周期的パターンの傾きを、複数の方向について検出された周期的パターンに対応する周波数成分により特定する画像処理装置であって、前記画像を表す画像信号から第1の方向および/または前記第1の方向と異なる第2の方向について、前記画像の被写体成分を粗除去するために前記被写体成分を含む低周波数成分を除去する被写体成分除去フィルタを用いて1次元フィルタリング処理を行うことにより被写体成分除去済信号を取得する被写体成分除去手段と、前記被写体成分除去済信号から前記第1および前記第2の両方向について前記周期的パターンに対応する周波数成分の検出を行う周期的パターン検出手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0012】
本発明による画像処理方法は、画像に含まれる周期的パターンの傾きを、複数の方向について検出された周期的パターンに対応する周波数成分により特定する画像処理方法であって、前記画像を表す画像信号から第1の方向および/または前記第1の方向と異なる第2の方向について、前記画像の被写体成分を粗除去するために前記被写体成分を含む低周波成分を除去する被写体成分除去フィルタを用いて1次元フィルタリング処理を行うことにより被写体成分除去済信号を取得し、前記被写体成分除去済信号から前記第1および前記第2の両方向について前記周期的パターンに対応する周波数成分の検出を行うことを特徴とするものである。
【0013】
本発明による画像処理プログラムは、画像に含まれる周期的パターンの傾きを、複数の方向について検出された周期的パターンに対応する周波数成分により特定する画像処理プログラムであって、コンピュータを、前記画像を表す画像信号から第1の方向および/または前記第1の方向と異なる第2の方向について、前記画像の被写体成分を粗除去するために前記被写体成分を含む低周波成分を除去する被写体成分除去フィルタを用いて1次元フィルタリング処理を行うことにより被写体成分除去済信号を取得する被写体成分除去手段と、前記被写体成分除去済信号から前記第1および前記第2の両方向について前記周期的パターンに対応する周波数成分の検出を行う周期的パターン検出手段として機能させることを特徴とするものである。
【0014】
上記「周期的パターン」とは、原画像が含む周期的なパターンを持ったノイズを意味する。例えば、上記グリッドを利用して放射線画像を蓄積性蛍光体シートに撮影したときに原画像に含まれるグリッド像やモアレ等を意味する。
【0015】
ここで、「第1の方向と異なる第2の方向」とは、周期的パターンの傾きを特定できる程度に第1の方向に対して一定以上の角度をなすものであればいかなる方向であればよく、好ましくは、第2の方向が第1の方向に対してより直交する角度に近いもの程好適である。
【0016】
また、上記被写体成分除去手段は、水平方向または垂直方向など所定の1方向にのみ被写体成分を含む低周波数成分を除去するものであってもよく、複数の方向に低周波成分を除去するもので合ってよい。
【0017】
また、被写体成分除去フィルタにより除去する低周波数成分の範囲は、被写体成分を含むものであれば任意の範囲に設定してよい。さらに、前記被写体成分除去フィルタは、前記画像信号から前記第1の方向および前記第2の方向の少なくとも一方について検出された周期的パターンに対応する周波数成分より低い周波数成分を除去する高域通過フィルタであってもよく、前記画像信号から前記第1の方向または前記第2の方向の少なくとも一方について検出された周期的パターンに対応する周波数成分を含む空間周波数成分を抽出する帯域通過フィルタであってもよい。
【0018】
また、前記被写体成分除去フィルタは、前記画像信号から前記第1の方向および前記第2の方向のうち、より顕著な前記周期的パターンに対応する周波数成分の周波数スペクトルのピークを有する一方について、該方向について検出された前記周期的パターンに対応する周波数成分より低い空間周波数成分を除去するものであり、前記周期的パターン検出手段は、前記被写体成分除去済信号から前記第1の方向および前記第2の方向のうち少なくとも他方について、前記周期的パターンに対応する周波数成分を検出するものであってもよい。
【0019】
ここで、「より顕著な周波数スペクトルのピークを有する」とは、周期的パターンに対応する周波数成分であることがより明確に把握できる特徴を有するものであればいかなる方法で判断してもよく、例えば、複数の方向ごとに検出された周波数スペクトルのピークのうち、各ピークと近傍の周波数スペクトルに対する周波数スペクトルの差が最も大きいものをより顕著であると判断してもよい。
【0020】
また、本発明における画像処理装置において、前記第1および第2の両方向について検出された前記周期的パターンに対応する周波数成分を抑制する1次元のフィルタリング処理を、前記第1および前記第2の両方向について前記画像に対して施すことにより、前記画像の周期的パターンに対応する周波数成分を抑制する抑制手段をさらに備えることが好ましい。
【0021】
また、本発明における画像処理装置において、前記第1および前記第2の両方向について周期的パターンに対応する周波数成分が検出された場合に警告する警告手段をさらに備えることが好ましい。
【0022】
なお、上記の場合、警告はユーザに識別可能に警告するものであればいかなる方法でもよく、例えば、音声によるものでも視覚的手段によるものでもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムによれば、画像信号から第1の方向および/または第1の方向と異なる第2の方向について、画像の被写体成分を粗除去するために被写体成分を含む低周波成分を除去する被写体成分除去フィルタを用いて1次元フィルタリング処理を行うことにより被写体成分除去済信号を取得し、被写体成分除去済信号から第1および第2の両方向について周期的パターンに対応する周波数成分を検出するため、低周波数成分を粗除去することにより低周波数帯域に含まれる被写体成分によって周期的パターンの周波数スペクトルのピークが検出しにくくなることを低減し、被写体成分除去済信号により好適に周期的パターンに対応する周波数成分を検出できる。また、被写体成分除去処理および周期的パターンの検出処理を1次元フィルタリング処理により実行するため、比較的小さい計算負荷で好適に周期的パターンに対応する周波数成分を精度よく検出することができる。この結果、検出した画像の傾きに基づいてモアレ等の周期的パターンを好適に除去することができ、画像診断に適した高品質な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】放射線画像撮影装置の概略を示した図
【図2】グリッド撮影により得られた放射線画像を示す図
【図3】放射線画像読取装置の一例を示す斜視図
【図4】走査方向と読取画像との関係を示した図
【図5A】第1の実施形態による画像処理装置の処理の流れを表す図
【図5B】第1の実施形態の変形例による画像処理装置の処理の流れを表す図
【図6】第1の実施形態による被写体成分除去特性を表す図
【図7A】第1の実施形態による垂直方向周期的パターン検出処理を説明する図
【図7B】第1の実施形態による水平方向周期的パターン検出処理を説明する図
【図7C】第1の実施形態により検出された周期的パターンに対応する周波数成分を表す図
【図8A】従来方法による垂直方向周期的パターン検出処理を説明する図
【図8B】従来方法による水平方向周期的パターン検出処理を説明する図
【図9】第2の実施形態による被写体成分除去特性を表す図
【図10】第2の実施形態による画像処理装置の処理の流れを表す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。尚、以下の実施の形態では、本発明における周期的パターン抑制処理装置を放射線画像読取装置に用いた場合について説明するが、デジタルカメラ等を用いた通常撮影において網戸やブラインド等を介して撮影した際に撮影画像に含まれる周期的パターンを抑制するための画像処理装置等に用いられてもよい。尚、放射線画像読取装置は、蓄積性蛍光体シートに記録された人体の放射線画像をレーザビーム走査によりデジタル画像信号として読み取るものである。
【0026】
図1は放射線画像撮影装置の概略図である。放射線源1から放射された放射線2は、被写体3を透過して静止グリッド(以下、単に「グリッド」と表記する)4に到達する。グリッド4は放射線2を吸収する鉛4aと、放射線2を透過するアルミニウム4bとが例えば4本/mm程度のピッチで交互に配置されているものである。また、放射線2がアルミニウム4bを透過して蓄積性蛍光体シート11に入射するように鉛4aは位置に応じて多少傾きを変化させて設置されている。
【0027】
従って、被写体3を透過した放射線2は、鉛4aに吸収されて蓄積性蛍光体シート11への到達を遮られる一方で、アルミニウム4bを透過して蓄積性蛍光体シート11に到達する。蓄積性蛍光体シート11には被写体像と共に4本/mmの縞模様状のグリッド像が記録される。一方、被写体3内で散乱された散乱放射線2aは、位置に応じて傾きを持って設置された鉛4aによって吸収され、又はグリッド4の表面で反射するため、蓄積性蛍光体シート11には到達しない。従って、蓄積性蛍光体シート11は散乱放射線2aの照射の少ない鮮明な放射線画像を記録することができる。図2は、図1に示した放射線画像撮影装置を用いて撮影した際に蓄積性蛍光体シート11に蓄積記録された被写体像5とグリッド像6の放射線画像の一例である。
【0028】
図3は、放射線画像読取装置の斜視図と機能ブロック図を組み合わせた図である。読取部10の所定位置にセットされた蓄積性蛍光体シート11は、駆動手段(不図示)によって駆動されるエンドレスベルト等のシート搬送手段15によって、例えば走査ピッチ10本/mmで矢印Y方向に搬送(副走査)される。一方、レーザ光源16から発せられた光ビーム17は、モータ24により駆動され矢印方向に高速回転する回転多面鏡18によってfθレンズ等の集束レンズ19に向けて反射される。光ビーム17は集束レンズ19を通過した後、ミラー20によって蓄積性蛍光体シート11に向けて反射される。蓄積性蛍光体シート11は光ビーム17によって副走査方向(矢印Y方向)と略直角な矢印X方向に主走査される。
【0029】
蓄積性蛍光体シート11において光ビーム17が照射された箇所からは蓄積記録されている放射線画像情報に応じた光量の輝尽発光光21が発散される。輝尽発光光21は光ガイド22の入射端面22aから入射し、光ガイド22内の内部を全反射を繰り返して出射端面22bから出射する。出射された輝尽発光光22はフォトマルチプライヤ23によって受光されて光電変換され、アナログ画像信号Saに変換される。
【0030】
アナログ画像信号Saはログアンプ26によって対数的に増幅された後、A/D変換器28において空間周波数fs=10cycle/mmに対応するサンプリング間隔でサンプリングされてデジタル化され、デジタル画像信号Sd(以下、単に「画像信号Sd」と表記する)を出力する。この画像信号Sdは、図4に示すように、蓄積性蛍光体シート11に対して主走査方向(横方向)に光ビーム17を走査させながら蓄積性蛍光体シート11を副走査方向(縦方向)に移動させることにより蓄積性蛍光体シート11を2次元走査して得られた放射線画像情報を示す。尚、このようにして得られた画像信号Sdには、被写体3に対応する放射線画像5の情報の他に、グリッド4に対応するグリッド像6の情報も含まれている。
【0031】
画像信号Sdは一旦記憶部29に記憶された後、画像信号処理部30に入力される。画像信号処理部30は本発明における画像処理方法を実行するための画像処理装置40を備えている。
【0032】
図5Aは第1の実施の形態の画像処理装置40の処理の流れを表す図である。図6は第1の実施形態による被写体成分除去特性を表す図であり、図7A、7Bおよび7Cは、本実施形態による周期的パターン検出処理を説明するための図である。図7A、7Bは、それぞれ被写体成分除去済信号Shを高速フーリエ変換して得られた周波数スペクトル(垂直方向周波数スペクトルPy、水平方向周波数スペクトルPx)をそれぞれ示している。また、図7Cは検出された周波数成分pxm、pymにより周期的パターンの傾きが示されている。図5Aおよび図6乃至図7Cを用いて、本実施形態による画像処理装置40について以下説明する。
【0033】
図5Aに示すように、本実施形態の画像処理装置40は、画像を表す画像信号から第1の方向(水平方向)および/または第1の方向と異なる第2の方向(垂直方向)について、画像の被写体成分を粗除去するために被写体成分を含む低周波成分を除去する被写体成分除去フィルタ(図5AにおいてはHPF)を用いて1次元フィルタリング処理を行うことにより被写体成分除去済信号を取得する被写体成分除去手段41と、被写体成分除去済信号Shから第1および第2の両方向について周期的パターンに対応する周波数成分の検出を行う周期的パターン検出手段42と第1および第2の両方向について検出された周期的パターンに対応する周波数成分を抑制する帯域除去フィルタBSFを用いて1次元のフィルタリング処理を、第1および第2の両方向について画像に対して施すことにより、画像の周期的パターンに対応する周波数成分を抑制する抑制手段43を備えるものである。
【0034】
本実施形態における画像処理プログラムと画像処理プログラムが参照するデータは、インストール時に記憶部29に記憶され、起動時に記憶部29に含まれるメモリにロードされる。画像処理プログラムは、画像処理装置40を構成する画像信号処理部30の中央処理装置に実行させる処理として、被写体成分除去処理と、周期的パターン検出処理と、抑制処理とを規定している。そして、プログラムの規定にしたがって、中央処理装置が上記各処理を実行することにより、画像信号処理部30の中央処理装置は、被写体成分除去手段41、周期的パターン検出手段42、抑制手段43として機能する。
【0035】
図6は、本実施形態の被写体成分除去処理に用いる高域通過フィルタHPFの例を示す図である。被写体成分除去手段41は、図6に示すような高域通過フィルタにより水平方向に周波数fx以上および垂直方向に周波数fy以上の周波数成分を通過させる1次元フィルタリング処理を行い、被写体成分除去済信号Shを取得する。
【0036】
周期的パターン検出手段42は、図7A、図7Bに示すように、取得された被写体成分除去済信号Shについて、水平方向および垂直方向について周波数解析を行い、周知の方法により、各方向についての周波数スペクトルのピークを周期的パターンに対応する周波数成分pxm、pymとして検出する。そして、図7Cに示すように、検出された周波数成分pxm、pymにより周期的パターンの傾きが特定される。
【0037】
本実施形態における抑制手段43は、検出された周期的パターンに対応する周波数成分pxm、pymを含むように周知の方法により周期的パターンを抑制するための通過帯域特性を決定し、決定した通過帯域特性に基づいて水平方向および垂直方向にそれぞれ1次元の帯域除去フィルタBSPを生成し、画像信号Sdから帯域除去フィルタBSPによるフィルタリング処理によって周期的パターンを抑制した処理済信号Spを抽出する。そして、この処理済信号Spに対応する画像がモニタ等の表示手段(不図示)に表示され、又はプリンタ等の出力手段(不図示)に出力される。
【0038】
本実施形態によれば、被写体成分除去手段41が低周波数成分を除去することで、低周波数帯域に含まれる被写体成分によって周期的パターンの周波数スペクトルのピークが検出しにくくなることを低減し、被写体成分除去済信号により好適に周期的パターンに対応する周波数成分を検出できる。また、被写体成分除去処理および周期的パターンの検出処理を1次元フィルタリング処理により実行するため、比較的小さい計算負荷で好適に周期的パターンに対応する周波数成分を精度よく検出することができる。この結果、検出した画像の傾きに基づいてモアレ等の周期的パターンのみを好適に除去することができ、画像診断に適した高品質な画像を得ることができる。
【0039】
図8A、図8Bは上記実施形態と同じ画像信号Sdに対して周波数解析を行って周波数スペクトルを算出し、周波数スペクトルに基づいて周期的パターンの検出する方法を説明する図であり、それぞれ水平方向および垂直方向に画像信号Sdを高速フーリエ変換して得られた周波数スペクトルを示している。この方法では、図8Aに示すように、垂直方向において低周波数帯域に周期的パターンに対応する周波数スペクトルのピークが存在するが、低周波帯域には被写体成分が多く含まれるため、被写体成分と周波数スペクトルのピークとを区別して検出することが難しい。しかしながら、本実施形態によれば、図8Aのように低周波数帯域に周期的パターンに対応する周波数スペクトルが存在した場合でも、図7Aのように低周波数帯域に含まれる被写体成分が除去した被写体成分除去信号により周期的パターンの検出処理を行うため、周期的パターンの周波数スペクトルのピーク検出が容易である。また、図8Bのように高周波帯域に周波数スペクトルが存在する場合においても、図7Bに示すように、低周波数帯域に含まれる被写体成分を除去した被写体成分除去信号を用いて周期的パターンの検出処理を行う方がより容易に周波数スペクトルのピークを検出できる。
【0040】
上記実施形態において、被写体成分除去手段41は、水平方向または垂直方向など所定の1方向にのみ低周波数成分を除去するものであってもよい。また、低周波数成分を除去するものであれば、高域通過フィルタおよび帯域通過フィルタのいずれを用いてもよい。また、除去する低周波数成分は、被写体成分を多く含む低周波成分を含むものであれば任意の範囲に設定してよい。
【0041】
なお、上記実施形態における抑制手段43は、画像信号Sdから周期的パターンに対応する周波数成分を抑制した処理済信号Spが得られるものであれば、いかなる抑制処理を行ってもよい。図5Bは、第1実施形態による抑制処理の変形例を説明する図である。例えば、図5Bに示すように、検出された周期的パターンに対応する周波数成分を含む帯域を通過させる帯域通過フィルタBPFを生成し、帯域通過フィルタBPFにより抽出された画像信号Seを画像信号Sdから減算してもよい。
【0042】
以下、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、被写体成分除去手段41が画像信号から第1の方向または第2の方向の少なくとも一方について検出された周期的パターンに対応する周波数成分を含む空間周波数成分を抽出する帯域通過フィルタを被写体成分除去フィルタとして用いる。図9は、第2の実施形態における被写体成分除去フィルタのフィルタ特性を示す図であり、図10は、第2の実施形態による画像処理装置40の処理の流れを説明する図である。以下、図8A乃至図10を用いて第1の実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1の実施形態と共通する部分については説明を省略する。
【0043】
第2の実施形態において、周期的パターン検出手段42は、まず、水平方向および垂直方向について周波数解析を行い画像信号Sdから周期的パターンに対応する空間周波数の候補である水平方向および垂直方向の周波数スペクトルのピークを検出する。
【0044】
具体的には、周期的パターン検出手段42は、図8A、図8Bに示すように、垂直方向および水平方向について周波数スペクトルを算出し、水平方向および垂直方向の周波数スペクトルのピークを、近傍の周波数における周波数スペクトルに対して最も差の大きい周波数スペクトルとして検出する。ここでは、図8Bに示すように水平方向にはピーク周波数pxmにおいてピークが検出され、図8Aに示すように垂直方向にはピーク周波数pymにおいてピークが検出されたものとする。
【0045】
第2の実施形態において、被写体成分除去手段41は、画像信号Sdから第1の方向(水平方向)および第2の方向(垂直方向)のうち、より顕著な周期的パターンに対応する周波数成分の周波数スペクトルのピークを有する一方について、該方向について検出された前記周期的パターンに対応する周波数成分より低い空間周波数成分を除去する被写体成分除去フィルタを用いる。
【0046】
具体的には、被写体成分除去手段41は、水平方向についてのピーク周波数pxmと垂直方向についてのピーク周波数pymのうち、周辺の周波数における周波数スペクトルに対しての差分値の大きいピーク周波数pxmを周期的パターンに対応する周波数成分である蓋然性が高いと判断する。そして、水平方向についてのピーク周波数pxmに基づいて、除去すべき低周波成分を決定する。
【0047】
図9に示すように、被写体成分除去手段41は、ピーク周波数pxmを含むfx1≦f≦fx2の通過帯域を有する帯域通過フィルタを生成し、該帯域通過フィルタにより画像信号Sdのフィルタリング処理を行って被写体成分除去済信号Shを取得する。なお、通過帯域特性におけるfx1,fx2は、pxmを含むものであれば任意に設定してよいが、ここでは、pxmに所定値fc1を加減算して、fx1=pxm―fc1、fx2=pxm+fc1として算出する。
【0048】
次いで、第2の実施形態による周期的パターン検出手段42は、被写体除去信号から第1の方向および第2の方向のうち少なくとも他方(より顕著な周期的パターンに対応する周波数成分の周波数スペクトルのピークを有する方向と異なる方向)について、周期的パターンに対応する周波数成分を検出する。ここでは、周期的パターン検出手段42は、被写体成分除去済信号Shから垂直方向について、周波数解析を行い、得られた周波数スペクトルに基づいて、垂直方向の周期パターンに対応する周波数成分pymを検出する。
【0049】
そして第1の実施形態同様に抑制手段43は、検出された周期的パターンに対応する周波数成分pxm、pymを含むように通過帯域特性を周知の方法により決定し、決定した通過帯域特性に基づいて水平方向および垂直方向に帯域除去フィルタBSPを生成し、画像信号Sdから帯域除去フィルタBSPによる1次元フィルタリング処理を施して周期的パターンを抑制した処理済信号Spを抽出する。そして、この処理済信号Spに対応する画像がモニタ等の表示手段(不図示)に表示され、又はプリンタ等の出力手段(不図示)に出力される。
【0050】
第2の実施形態によれば、被写体成分除去手段41が画像信号から第1の方向または第2の方向の少なくとも一方について検出された周期的パターンに対応する周波数成分を含む空間周波数成分を抽出する帯域通過フィルタを被写体成分除去フィルタとして用いる。このため、検出した周期的パターンに対応する周波数成分に基づいて被写体成分除去処理を行うことにより、被写体成分を除去するためにより好適な除去範囲を設定でき、より適切に被写体成分を除去できる。このため、精度よく周期的パターンに対応する周波数成分を行えるとともに周期的パターンに対応する周波数成分の誤検出を抑制することができる。また、第2の実施形態によれば、被写体成分除去処理を帯域除去フィルタにより行うため、被写体成分をより好適に除去できる効果が著しい。
【0051】
また、第2の実施形態によれば、被写体成分除去手段41は、画像信号Sdから第1の方向(水平方向)および第2の方向(垂直方向)のうち、より顕著な周期的パターンに対応する周波数成分の周波数スペクトルのピークを有する一方について、該方向について検出された前記周期的パターンに対応する周波数成分より低い空間周波数成分を除去する被写体成分除去フィルタを用いている。このため、周期的パターンに対応する周波数成分であることをより明確に判断できる方向についての周波数成分に基づいて、周期的パターンに対応する周波数成分であるかが明確に判断しにくい方向についての周期的パターンに対応する周波数成分検出処理を行うため、精度よく周期的パターンに対応する周波数成分を行うことができる。このことにより、好適に周期的パターンに対応する周波数成分の誤検出を抑制することができる。
【0052】
第2の実施形態において、周期的パターン検出手段42は、被写体成分除去済信号Shから垂直方向について、周波数解析を行い、得られた周波数スペクトルに基づいて、垂直方向の周期パターンに対応する周波数成分pymを検出するだけでなく、水平方向にも再度周波数成分pxmを検出してもよい。この場合には、水平方向についても周波数スペクトルに対応する周波数成分の検出精度をさらに高めることができる。
【0053】
第2の実施形態は、垂直方向または水平方向の一方にしか周波数スペクトルのピークが検出されなかった場合にも、まずピークが検出された方向について検出されたピークに基づく被写体成分除去処理を行い、その後ピークが検出されなかった方向について被写体成分除去済信号から周期的パターン検出処理を行うことにより好適に適用できる。垂直方向または水平方向の一方にしか周波数スペクトルのピークが検出されなかった場合、周期的パターンが一方向にのみ存在するとユーザまたは画像処理装置が誤認識し、周期的パターンに傾きがないとみなして、周期的パターンが存在しないと認識した方向について誤った周期的パターンの抑制処理を施してしまうなど、適切な周期的パターンの抑制処理が施されず、周期的パターンが残留してしまう恐れがあった。しかし、第2の実施形態を周波数スペクトルのピークが検出されなかった方向に適用することにより、周期的パターンの傾きを精度よく検出でき、周期的パターンに対応する周波数成分が検出されなかった方向についても、周期的パターンの抑制処理が適切に施せる。
【0054】
また、第2の実施形態において、周期的パターン検出手段42は、垂直方向または水平方向の一方にのみ、被写体成分抽出処理を行うものであってもよい。また、第2の実施形態による被写体成分除去処理を高域通過フィルタにより行ってもよい。
【0055】
第2の実施形態において、周期的パターン検出手段42は、検出されたピーク周波数pxmおよびpymの両方に基づいて各方向について被写体成分除去特性を決定してもよい。例えば、水平方向について検出されたピーク周波数pxmを含む帯域を通過する帯域通過フィルタ(または高域通過フィルタ)を生成し、垂直方向について検出されたピーク周波数pymを含む帯域を通過する帯域通過フィルタ(または高域通過フィルタ)を生成し、生成された各フィルタによりフィルタリング処理を行うことが考えられる。両方向に被写体成分をより除去するためにより好適な除去範囲を設定でき、より適切に被写体成分を除去できる。このため、より精度よく周期的パターンに対応する周波数成分を行えるとともに周期的パターンに対応する周波数成分の誤検出を抑制することができる。
【0056】
また、第2の実施形態においても抑制手段43は、画像信号Sdから周期的パターンに対応する周波数成分を抑制した処理済信号Spが得られるものであれば、いかなる抑制処理を行ってもよく、例えば、検出された周期的パターンに対応する周波数成分を含む帯域を通過させる帯域通過フィルタBPF(または高域通過フィルタHPF)を生成し、帯域通過フィルタBPF(または高域通過フィルタHPF)により抽出された画像信号Seを画像信号Sdから減算してもよい。
【0057】
また、第3の実施形態として、第1および第2の方向の両方向について周期的パターンに対応する周波数成分が検出された場合に警告する不図示の警告手段を備えてもよい。かかる警告は、ユーザに識別可能に警告するものであればいかなる方法でもよく、例えば、音声によるものでも視覚的によるものでもよい。一例として、表示画面上に警告表示を行うことが考えられる。かかる場合には、周期的パターンが傾斜を有するものであることをユーザに通知できるため、周期的パターンが一方向にのみ存在するとユーザまたは画像処理装置が誤認識し、周期的パターンに傾きがないとみなして周期的パターンが存在しないと認識した方向について誤った周期的パターンの抑制処理を施してしまうなど、適切な周期的パターンの抑制処理が施されない可能性を低減でき、周期的パターンを好適に抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態において、絶縁基板上に夫々が画素に対応する複数個の光電変換素子を2次元状に形成した放射線画像読取装置であって、この放射線画像読取装置上に形成された画像情報を担持する放射線が照射されると照射された放射線を可視光に変換する蛍光体層(シンチレータ)を積層して成る放射線固体検出器(以下、「光変換方式」の放射線固体検出器という)を用いた放射線画像読取装置に本発明を適用した例について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されず種々のタイプの放射線固体検出器を用いた放射線画像読取装置に適用可能である。例えば、絶縁基板上に夫々が画素に対応する複数個の電荷収集電極を2次元状に形成した放射線画像読取装置であって、この2次元画像読取装置上に形成された、画像情報を担持する放射線が照射されると前記画像情報を担持する電荷を発生する放射線導電体とを積層して成る放射線固体検出器(以下、「直接変換方式」の放射線固体検出器という)を用いた放射線画像撮影装置に適用してもよい。
【0059】
また、光変換方式の放射線固体検出器としては、例えば特開昭59-211263 号、特開平2-164067号、PCT国際公開番号WO92/06501号、Signal,noise,and read out considerations in the development of amorphous silicon photodiode arrays for radiotherapy and diagnostic x-ray imaging,L.E.Antonuk et.al ,University of Michigan,R.A.Street Xerox,PARC,SPIE Vol.1443 Medical Imaging V;Image Physics(1991) ,p.108-119 等に記載された放射線固体検出器が適用できる。
【0060】
一方、直接変換方式の放射線固体検出器としては、例えば、(i) 放射線の透過方向の厚さが通常のものより10倍程度厚く設定された放射線固体検出器(MATERIAL PARAMETERS IN THICK HYDROGENATED AMORPHOUS SILICON RADIATION DETECTORS,Lawrence Berkeley Laboratory.University of California,Berkeley.CA 94720 XeroxParc.Palo Alto.CA 94304)、あるいは(ii)放射線の透過方向に、金属板を介して2つ以上積層された放射線固体検出器(Metal/Amorphous Silicon Multilayer Radiation Detectors,IEE TRANSACTIONS ON NUCLEAR SCIENCE.VOL.36.NO.2.APRIL 1989) 、あるいは(iii) CdTe等を使用した放射線固体検出器(特開平1-216290号)等に記載された放射線固体検出器が適用できる。
【0061】
上記の各実施形態はあくまでも例示であり、上記のすべての説明が本発明の技術的範囲を限定的に解釈するために利用されるべきものではない。この他、上記の実施形態におけるシステム構成、ハードウェア構成、処理フロー、モジュール構成や具体的処理内容等に対して、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な改変を行ったものも、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1 放射線源
2 放射線
3 被写体
4 グリッド
5 被写体像
6 グリッド線
10 読取部
29 記憶部
30 画像信号処理部
40 画像処理装置
41 被写体成分除去手段
42 周期的パターン検出手段
43 抑制手段
44 減算器
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像信号における周期的パターンに応じた空間周波数成分を抑制する画像処理装置、方法およびプログラム、特に放射線画像において、撮影に使用されたグリッドに起因する周期的パターンを抑制する画像処理装置、方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、放射線(X線、α線、β線、γ線、電子線、紫外線等)を照射するとこの放射線エネルギーの一部が蓄積され、その後、可視光やレーザ光などの励起光を照射すると、蓄積された放射線エネルギーに応じて輝尽発光光が発光される蓄積性蛍光体(輝尽性蛍光体)を利用して、例えば支持体上にこの蓄積性蛍光体を積層した蓄積性蛍光体シートに人体などの被写体を透過した放射線を照射することにより、放射線画像情報を一旦蓄積記録し、この蓄積性蛍光体シートにレーザ光などの励起光を照射して、輝尽発光光を生じさせ、この輝尽発光光を光電変換して画像信号を得る放射線画像読取装置がCR(Computed Radiography)として、広く実用に供されている。
【0003】
ここで、上述した蓄積性蛍光体シートなどに被写体の放射線画像を撮影記録する際に、被写体により散乱された放射線がシートに照射されないように4本/mm程度の細かなピッチで放射線の透過しない鉛等と透過しやすいアルミニウムや木材等とが交互に配置されたグリッドを被写体とシートとの間に配置して撮影を行うことがある。グリッドを用いて撮影を行うと被写体により散乱された放射線がシートに照射されにくくなるため、被写体の放射線画像のコントラストを向上させることができるが、このグリッド像が含まれた画像を拡大縮小すると、拡大縮小率に応じて折り返しによるエリアジングが生じる。さらに、エリアジングがグリッド像等の空間周波数と重なると、細かな縞模様(モアレ)が生じ、再生画像が見難いものとなってしまう。そこで、グリッド像やモアレなどの周期的パターンの方向と周期的パターンに対応する空間周波数成分を検出し、検出された方向に周期的パターンに対応する空間周波数成分を除去する方法が要求されている。
【0004】
特許文献1には、このような周期的パターンを画像から除去する方法として、画像の縦横2方向に対して高域通過フィルタによるフィルタリング処理を行い、フィルタリング結果の分散値を縦横2方向について算出し、分散値の比率によりグリッド像が存在する方向を検出する方法が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、水平方向と垂直方向について周波数パターンのピークを検出し、水平方向および垂直方向の両方で周波数パターンのピークを検出した場合に、ピークの大きさが所定のしきい値より大きい方向をグリッド像の方向として判断する方法が開示されている。
【0006】
また、特許文献3には、画像データに2次元フーリエ変換を施し、周期的パターンに対応する空間周波数成分を検出し、検出された空間周波数成分のみを除去するフィルタによりフィルタリング処理を行う画像処理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平08−293020号公報
【特許文献2】特開2003−233818号公報
【特許文献3】特開2009−195512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、このような周期的パターンは、画像の水平方向または垂直方向に対して平行に存在する場合だけでなく、画像の水平方向または垂直方向に対して傾いて存在する場合がある。しかし、特許文献1乃至2に記載された方法では、水平方向または垂直方向のいずれか一方の方向に周期的パターンが存在することを検出するものであって、周期的パターンの傾きを正確に検出することはできない。
【0009】
また、特許文献3に記載された方法によれば、2次元フーリエ変換により周期的パターンに対応する空間周波数成分を検出するため計算負荷が高く、より少ない計算負荷で周期的パターンの傾きを正確に検出する方法が求められている。
【0010】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、比較的小さい計算負荷で周期的パターンの傾きを検出することができる画像処理装置および画像処理方法ならびに画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による画像処理装置は、画像に含まれる周期的パターンの傾きを、複数の方向について検出された周期的パターンに対応する周波数成分により特定する画像処理装置であって、前記画像を表す画像信号から第1の方向および/または前記第1の方向と異なる第2の方向について、前記画像の被写体成分を粗除去するために前記被写体成分を含む低周波数成分を除去する被写体成分除去フィルタを用いて1次元フィルタリング処理を行うことにより被写体成分除去済信号を取得する被写体成分除去手段と、前記被写体成分除去済信号から前記第1および前記第2の両方向について前記周期的パターンに対応する周波数成分の検出を行う周期的パターン検出手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0012】
本発明による画像処理方法は、画像に含まれる周期的パターンの傾きを、複数の方向について検出された周期的パターンに対応する周波数成分により特定する画像処理方法であって、前記画像を表す画像信号から第1の方向および/または前記第1の方向と異なる第2の方向について、前記画像の被写体成分を粗除去するために前記被写体成分を含む低周波成分を除去する被写体成分除去フィルタを用いて1次元フィルタリング処理を行うことにより被写体成分除去済信号を取得し、前記被写体成分除去済信号から前記第1および前記第2の両方向について前記周期的パターンに対応する周波数成分の検出を行うことを特徴とするものである。
【0013】
本発明による画像処理プログラムは、画像に含まれる周期的パターンの傾きを、複数の方向について検出された周期的パターンに対応する周波数成分により特定する画像処理プログラムであって、コンピュータを、前記画像を表す画像信号から第1の方向および/または前記第1の方向と異なる第2の方向について、前記画像の被写体成分を粗除去するために前記被写体成分を含む低周波成分を除去する被写体成分除去フィルタを用いて1次元フィルタリング処理を行うことにより被写体成分除去済信号を取得する被写体成分除去手段と、前記被写体成分除去済信号から前記第1および前記第2の両方向について前記周期的パターンに対応する周波数成分の検出を行う周期的パターン検出手段として機能させることを特徴とするものである。
【0014】
上記「周期的パターン」とは、原画像が含む周期的なパターンを持ったノイズを意味する。例えば、上記グリッドを利用して放射線画像を蓄積性蛍光体シートに撮影したときに原画像に含まれるグリッド像やモアレ等を意味する。
【0015】
ここで、「第1の方向と異なる第2の方向」とは、周期的パターンの傾きを特定できる程度に第1の方向に対して一定以上の角度をなすものであればいかなる方向であればよく、好ましくは、第2の方向が第1の方向に対してより直交する角度に近いもの程好適である。
【0016】
また、上記被写体成分除去手段は、水平方向または垂直方向など所定の1方向にのみ被写体成分を含む低周波数成分を除去するものであってもよく、複数の方向に低周波成分を除去するもので合ってよい。
【0017】
また、被写体成分除去フィルタにより除去する低周波数成分の範囲は、被写体成分を含むものであれば任意の範囲に設定してよい。さらに、前記被写体成分除去フィルタは、前記画像信号から前記第1の方向および前記第2の方向の少なくとも一方について検出された周期的パターンに対応する周波数成分より低い周波数成分を除去する高域通過フィルタであってもよく、前記画像信号から前記第1の方向または前記第2の方向の少なくとも一方について検出された周期的パターンに対応する周波数成分を含む空間周波数成分を抽出する帯域通過フィルタであってもよい。
【0018】
また、前記被写体成分除去フィルタは、前記画像信号から前記第1の方向および前記第2の方向のうち、より顕著な前記周期的パターンに対応する周波数成分の周波数スペクトルのピークを有する一方について、該方向について検出された前記周期的パターンに対応する周波数成分より低い空間周波数成分を除去するものであり、前記周期的パターン検出手段は、前記被写体成分除去済信号から前記第1の方向および前記第2の方向のうち少なくとも他方について、前記周期的パターンに対応する周波数成分を検出するものであってもよい。
【0019】
ここで、「より顕著な周波数スペクトルのピークを有する」とは、周期的パターンに対応する周波数成分であることがより明確に把握できる特徴を有するものであればいかなる方法で判断してもよく、例えば、複数の方向ごとに検出された周波数スペクトルのピークのうち、各ピークと近傍の周波数スペクトルに対する周波数スペクトルの差が最も大きいものをより顕著であると判断してもよい。
【0020】
また、本発明における画像処理装置において、前記第1および第2の両方向について検出された前記周期的パターンに対応する周波数成分を抑制する1次元のフィルタリング処理を、前記第1および前記第2の両方向について前記画像に対して施すことにより、前記画像の周期的パターンに対応する周波数成分を抑制する抑制手段をさらに備えることが好ましい。
【0021】
また、本発明における画像処理装置において、前記第1および前記第2の両方向について周期的パターンに対応する周波数成分が検出された場合に警告する警告手段をさらに備えることが好ましい。
【0022】
なお、上記の場合、警告はユーザに識別可能に警告するものであればいかなる方法でもよく、例えば、音声によるものでも視覚的手段によるものでもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムによれば、画像信号から第1の方向および/または第1の方向と異なる第2の方向について、画像の被写体成分を粗除去するために被写体成分を含む低周波成分を除去する被写体成分除去フィルタを用いて1次元フィルタリング処理を行うことにより被写体成分除去済信号を取得し、被写体成分除去済信号から第1および第2の両方向について周期的パターンに対応する周波数成分を検出するため、低周波数成分を粗除去することにより低周波数帯域に含まれる被写体成分によって周期的パターンの周波数スペクトルのピークが検出しにくくなることを低減し、被写体成分除去済信号により好適に周期的パターンに対応する周波数成分を検出できる。また、被写体成分除去処理および周期的パターンの検出処理を1次元フィルタリング処理により実行するため、比較的小さい計算負荷で好適に周期的パターンに対応する周波数成分を精度よく検出することができる。この結果、検出した画像の傾きに基づいてモアレ等の周期的パターンを好適に除去することができ、画像診断に適した高品質な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】放射線画像撮影装置の概略を示した図
【図2】グリッド撮影により得られた放射線画像を示す図
【図3】放射線画像読取装置の一例を示す斜視図
【図4】走査方向と読取画像との関係を示した図
【図5A】第1の実施形態による画像処理装置の処理の流れを表す図
【図5B】第1の実施形態の変形例による画像処理装置の処理の流れを表す図
【図6】第1の実施形態による被写体成分除去特性を表す図
【図7A】第1の実施形態による垂直方向周期的パターン検出処理を説明する図
【図7B】第1の実施形態による水平方向周期的パターン検出処理を説明する図
【図7C】第1の実施形態により検出された周期的パターンに対応する周波数成分を表す図
【図8A】従来方法による垂直方向周期的パターン検出処理を説明する図
【図8B】従来方法による水平方向周期的パターン検出処理を説明する図
【図9】第2の実施形態による被写体成分除去特性を表す図
【図10】第2の実施形態による画像処理装置の処理の流れを表す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。尚、以下の実施の形態では、本発明における周期的パターン抑制処理装置を放射線画像読取装置に用いた場合について説明するが、デジタルカメラ等を用いた通常撮影において網戸やブラインド等を介して撮影した際に撮影画像に含まれる周期的パターンを抑制するための画像処理装置等に用いられてもよい。尚、放射線画像読取装置は、蓄積性蛍光体シートに記録された人体の放射線画像をレーザビーム走査によりデジタル画像信号として読み取るものである。
【0026】
図1は放射線画像撮影装置の概略図である。放射線源1から放射された放射線2は、被写体3を透過して静止グリッド(以下、単に「グリッド」と表記する)4に到達する。グリッド4は放射線2を吸収する鉛4aと、放射線2を透過するアルミニウム4bとが例えば4本/mm程度のピッチで交互に配置されているものである。また、放射線2がアルミニウム4bを透過して蓄積性蛍光体シート11に入射するように鉛4aは位置に応じて多少傾きを変化させて設置されている。
【0027】
従って、被写体3を透過した放射線2は、鉛4aに吸収されて蓄積性蛍光体シート11への到達を遮られる一方で、アルミニウム4bを透過して蓄積性蛍光体シート11に到達する。蓄積性蛍光体シート11には被写体像と共に4本/mmの縞模様状のグリッド像が記録される。一方、被写体3内で散乱された散乱放射線2aは、位置に応じて傾きを持って設置された鉛4aによって吸収され、又はグリッド4の表面で反射するため、蓄積性蛍光体シート11には到達しない。従って、蓄積性蛍光体シート11は散乱放射線2aの照射の少ない鮮明な放射線画像を記録することができる。図2は、図1に示した放射線画像撮影装置を用いて撮影した際に蓄積性蛍光体シート11に蓄積記録された被写体像5とグリッド像6の放射線画像の一例である。
【0028】
図3は、放射線画像読取装置の斜視図と機能ブロック図を組み合わせた図である。読取部10の所定位置にセットされた蓄積性蛍光体シート11は、駆動手段(不図示)によって駆動されるエンドレスベルト等のシート搬送手段15によって、例えば走査ピッチ10本/mmで矢印Y方向に搬送(副走査)される。一方、レーザ光源16から発せられた光ビーム17は、モータ24により駆動され矢印方向に高速回転する回転多面鏡18によってfθレンズ等の集束レンズ19に向けて反射される。光ビーム17は集束レンズ19を通過した後、ミラー20によって蓄積性蛍光体シート11に向けて反射される。蓄積性蛍光体シート11は光ビーム17によって副走査方向(矢印Y方向)と略直角な矢印X方向に主走査される。
【0029】
蓄積性蛍光体シート11において光ビーム17が照射された箇所からは蓄積記録されている放射線画像情報に応じた光量の輝尽発光光21が発散される。輝尽発光光21は光ガイド22の入射端面22aから入射し、光ガイド22内の内部を全反射を繰り返して出射端面22bから出射する。出射された輝尽発光光22はフォトマルチプライヤ23によって受光されて光電変換され、アナログ画像信号Saに変換される。
【0030】
アナログ画像信号Saはログアンプ26によって対数的に増幅された後、A/D変換器28において空間周波数fs=10cycle/mmに対応するサンプリング間隔でサンプリングされてデジタル化され、デジタル画像信号Sd(以下、単に「画像信号Sd」と表記する)を出力する。この画像信号Sdは、図4に示すように、蓄積性蛍光体シート11に対して主走査方向(横方向)に光ビーム17を走査させながら蓄積性蛍光体シート11を副走査方向(縦方向)に移動させることにより蓄積性蛍光体シート11を2次元走査して得られた放射線画像情報を示す。尚、このようにして得られた画像信号Sdには、被写体3に対応する放射線画像5の情報の他に、グリッド4に対応するグリッド像6の情報も含まれている。
【0031】
画像信号Sdは一旦記憶部29に記憶された後、画像信号処理部30に入力される。画像信号処理部30は本発明における画像処理方法を実行するための画像処理装置40を備えている。
【0032】
図5Aは第1の実施の形態の画像処理装置40の処理の流れを表す図である。図6は第1の実施形態による被写体成分除去特性を表す図であり、図7A、7Bおよび7Cは、本実施形態による周期的パターン検出処理を説明するための図である。図7A、7Bは、それぞれ被写体成分除去済信号Shを高速フーリエ変換して得られた周波数スペクトル(垂直方向周波数スペクトルPy、水平方向周波数スペクトルPx)をそれぞれ示している。また、図7Cは検出された周波数成分pxm、pymにより周期的パターンの傾きが示されている。図5Aおよび図6乃至図7Cを用いて、本実施形態による画像処理装置40について以下説明する。
【0033】
図5Aに示すように、本実施形態の画像処理装置40は、画像を表す画像信号から第1の方向(水平方向)および/または第1の方向と異なる第2の方向(垂直方向)について、画像の被写体成分を粗除去するために被写体成分を含む低周波成分を除去する被写体成分除去フィルタ(図5AにおいてはHPF)を用いて1次元フィルタリング処理を行うことにより被写体成分除去済信号を取得する被写体成分除去手段41と、被写体成分除去済信号Shから第1および第2の両方向について周期的パターンに対応する周波数成分の検出を行う周期的パターン検出手段42と第1および第2の両方向について検出された周期的パターンに対応する周波数成分を抑制する帯域除去フィルタBSFを用いて1次元のフィルタリング処理を、第1および第2の両方向について画像に対して施すことにより、画像の周期的パターンに対応する周波数成分を抑制する抑制手段43を備えるものである。
【0034】
本実施形態における画像処理プログラムと画像処理プログラムが参照するデータは、インストール時に記憶部29に記憶され、起動時に記憶部29に含まれるメモリにロードされる。画像処理プログラムは、画像処理装置40を構成する画像信号処理部30の中央処理装置に実行させる処理として、被写体成分除去処理と、周期的パターン検出処理と、抑制処理とを規定している。そして、プログラムの規定にしたがって、中央処理装置が上記各処理を実行することにより、画像信号処理部30の中央処理装置は、被写体成分除去手段41、周期的パターン検出手段42、抑制手段43として機能する。
【0035】
図6は、本実施形態の被写体成分除去処理に用いる高域通過フィルタHPFの例を示す図である。被写体成分除去手段41は、図6に示すような高域通過フィルタにより水平方向に周波数fx以上および垂直方向に周波数fy以上の周波数成分を通過させる1次元フィルタリング処理を行い、被写体成分除去済信号Shを取得する。
【0036】
周期的パターン検出手段42は、図7A、図7Bに示すように、取得された被写体成分除去済信号Shについて、水平方向および垂直方向について周波数解析を行い、周知の方法により、各方向についての周波数スペクトルのピークを周期的パターンに対応する周波数成分pxm、pymとして検出する。そして、図7Cに示すように、検出された周波数成分pxm、pymにより周期的パターンの傾きが特定される。
【0037】
本実施形態における抑制手段43は、検出された周期的パターンに対応する周波数成分pxm、pymを含むように周知の方法により周期的パターンを抑制するための通過帯域特性を決定し、決定した通過帯域特性に基づいて水平方向および垂直方向にそれぞれ1次元の帯域除去フィルタBSPを生成し、画像信号Sdから帯域除去フィルタBSPによるフィルタリング処理によって周期的パターンを抑制した処理済信号Spを抽出する。そして、この処理済信号Spに対応する画像がモニタ等の表示手段(不図示)に表示され、又はプリンタ等の出力手段(不図示)に出力される。
【0038】
本実施形態によれば、被写体成分除去手段41が低周波数成分を除去することで、低周波数帯域に含まれる被写体成分によって周期的パターンの周波数スペクトルのピークが検出しにくくなることを低減し、被写体成分除去済信号により好適に周期的パターンに対応する周波数成分を検出できる。また、被写体成分除去処理および周期的パターンの検出処理を1次元フィルタリング処理により実行するため、比較的小さい計算負荷で好適に周期的パターンに対応する周波数成分を精度よく検出することができる。この結果、検出した画像の傾きに基づいてモアレ等の周期的パターンのみを好適に除去することができ、画像診断に適した高品質な画像を得ることができる。
【0039】
図8A、図8Bは上記実施形態と同じ画像信号Sdに対して周波数解析を行って周波数スペクトルを算出し、周波数スペクトルに基づいて周期的パターンの検出する方法を説明する図であり、それぞれ水平方向および垂直方向に画像信号Sdを高速フーリエ変換して得られた周波数スペクトルを示している。この方法では、図8Aに示すように、垂直方向において低周波数帯域に周期的パターンに対応する周波数スペクトルのピークが存在するが、低周波帯域には被写体成分が多く含まれるため、被写体成分と周波数スペクトルのピークとを区別して検出することが難しい。しかしながら、本実施形態によれば、図8Aのように低周波数帯域に周期的パターンに対応する周波数スペクトルが存在した場合でも、図7Aのように低周波数帯域に含まれる被写体成分が除去した被写体成分除去信号により周期的パターンの検出処理を行うため、周期的パターンの周波数スペクトルのピーク検出が容易である。また、図8Bのように高周波帯域に周波数スペクトルが存在する場合においても、図7Bに示すように、低周波数帯域に含まれる被写体成分を除去した被写体成分除去信号を用いて周期的パターンの検出処理を行う方がより容易に周波数スペクトルのピークを検出できる。
【0040】
上記実施形態において、被写体成分除去手段41は、水平方向または垂直方向など所定の1方向にのみ低周波数成分を除去するものであってもよい。また、低周波数成分を除去するものであれば、高域通過フィルタおよび帯域通過フィルタのいずれを用いてもよい。また、除去する低周波数成分は、被写体成分を多く含む低周波成分を含むものであれば任意の範囲に設定してよい。
【0041】
なお、上記実施形態における抑制手段43は、画像信号Sdから周期的パターンに対応する周波数成分を抑制した処理済信号Spが得られるものであれば、いかなる抑制処理を行ってもよい。図5Bは、第1実施形態による抑制処理の変形例を説明する図である。例えば、図5Bに示すように、検出された周期的パターンに対応する周波数成分を含む帯域を通過させる帯域通過フィルタBPFを生成し、帯域通過フィルタBPFにより抽出された画像信号Seを画像信号Sdから減算してもよい。
【0042】
以下、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、被写体成分除去手段41が画像信号から第1の方向または第2の方向の少なくとも一方について検出された周期的パターンに対応する周波数成分を含む空間周波数成分を抽出する帯域通過フィルタを被写体成分除去フィルタとして用いる。図9は、第2の実施形態における被写体成分除去フィルタのフィルタ特性を示す図であり、図10は、第2の実施形態による画像処理装置40の処理の流れを説明する図である。以下、図8A乃至図10を用いて第1の実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1の実施形態と共通する部分については説明を省略する。
【0043】
第2の実施形態において、周期的パターン検出手段42は、まず、水平方向および垂直方向について周波数解析を行い画像信号Sdから周期的パターンに対応する空間周波数の候補である水平方向および垂直方向の周波数スペクトルのピークを検出する。
【0044】
具体的には、周期的パターン検出手段42は、図8A、図8Bに示すように、垂直方向および水平方向について周波数スペクトルを算出し、水平方向および垂直方向の周波数スペクトルのピークを、近傍の周波数における周波数スペクトルに対して最も差の大きい周波数スペクトルとして検出する。ここでは、図8Bに示すように水平方向にはピーク周波数pxmにおいてピークが検出され、図8Aに示すように垂直方向にはピーク周波数pymにおいてピークが検出されたものとする。
【0045】
第2の実施形態において、被写体成分除去手段41は、画像信号Sdから第1の方向(水平方向)および第2の方向(垂直方向)のうち、より顕著な周期的パターンに対応する周波数成分の周波数スペクトルのピークを有する一方について、該方向について検出された前記周期的パターンに対応する周波数成分より低い空間周波数成分を除去する被写体成分除去フィルタを用いる。
【0046】
具体的には、被写体成分除去手段41は、水平方向についてのピーク周波数pxmと垂直方向についてのピーク周波数pymのうち、周辺の周波数における周波数スペクトルに対しての差分値の大きいピーク周波数pxmを周期的パターンに対応する周波数成分である蓋然性が高いと判断する。そして、水平方向についてのピーク周波数pxmに基づいて、除去すべき低周波成分を決定する。
【0047】
図9に示すように、被写体成分除去手段41は、ピーク周波数pxmを含むfx1≦f≦fx2の通過帯域を有する帯域通過フィルタを生成し、該帯域通過フィルタにより画像信号Sdのフィルタリング処理を行って被写体成分除去済信号Shを取得する。なお、通過帯域特性におけるfx1,fx2は、pxmを含むものであれば任意に設定してよいが、ここでは、pxmに所定値fc1を加減算して、fx1=pxm―fc1、fx2=pxm+fc1として算出する。
【0048】
次いで、第2の実施形態による周期的パターン検出手段42は、被写体除去信号から第1の方向および第2の方向のうち少なくとも他方(より顕著な周期的パターンに対応する周波数成分の周波数スペクトルのピークを有する方向と異なる方向)について、周期的パターンに対応する周波数成分を検出する。ここでは、周期的パターン検出手段42は、被写体成分除去済信号Shから垂直方向について、周波数解析を行い、得られた周波数スペクトルに基づいて、垂直方向の周期パターンに対応する周波数成分pymを検出する。
【0049】
そして第1の実施形態同様に抑制手段43は、検出された周期的パターンに対応する周波数成分pxm、pymを含むように通過帯域特性を周知の方法により決定し、決定した通過帯域特性に基づいて水平方向および垂直方向に帯域除去フィルタBSPを生成し、画像信号Sdから帯域除去フィルタBSPによる1次元フィルタリング処理を施して周期的パターンを抑制した処理済信号Spを抽出する。そして、この処理済信号Spに対応する画像がモニタ等の表示手段(不図示)に表示され、又はプリンタ等の出力手段(不図示)に出力される。
【0050】
第2の実施形態によれば、被写体成分除去手段41が画像信号から第1の方向または第2の方向の少なくとも一方について検出された周期的パターンに対応する周波数成分を含む空間周波数成分を抽出する帯域通過フィルタを被写体成分除去フィルタとして用いる。このため、検出した周期的パターンに対応する周波数成分に基づいて被写体成分除去処理を行うことにより、被写体成分を除去するためにより好適な除去範囲を設定でき、より適切に被写体成分を除去できる。このため、精度よく周期的パターンに対応する周波数成分を行えるとともに周期的パターンに対応する周波数成分の誤検出を抑制することができる。また、第2の実施形態によれば、被写体成分除去処理を帯域除去フィルタにより行うため、被写体成分をより好適に除去できる効果が著しい。
【0051】
また、第2の実施形態によれば、被写体成分除去手段41は、画像信号Sdから第1の方向(水平方向)および第2の方向(垂直方向)のうち、より顕著な周期的パターンに対応する周波数成分の周波数スペクトルのピークを有する一方について、該方向について検出された前記周期的パターンに対応する周波数成分より低い空間周波数成分を除去する被写体成分除去フィルタを用いている。このため、周期的パターンに対応する周波数成分であることをより明確に判断できる方向についての周波数成分に基づいて、周期的パターンに対応する周波数成分であるかが明確に判断しにくい方向についての周期的パターンに対応する周波数成分検出処理を行うため、精度よく周期的パターンに対応する周波数成分を行うことができる。このことにより、好適に周期的パターンに対応する周波数成分の誤検出を抑制することができる。
【0052】
第2の実施形態において、周期的パターン検出手段42は、被写体成分除去済信号Shから垂直方向について、周波数解析を行い、得られた周波数スペクトルに基づいて、垂直方向の周期パターンに対応する周波数成分pymを検出するだけでなく、水平方向にも再度周波数成分pxmを検出してもよい。この場合には、水平方向についても周波数スペクトルに対応する周波数成分の検出精度をさらに高めることができる。
【0053】
第2の実施形態は、垂直方向または水平方向の一方にしか周波数スペクトルのピークが検出されなかった場合にも、まずピークが検出された方向について検出されたピークに基づく被写体成分除去処理を行い、その後ピークが検出されなかった方向について被写体成分除去済信号から周期的パターン検出処理を行うことにより好適に適用できる。垂直方向または水平方向の一方にしか周波数スペクトルのピークが検出されなかった場合、周期的パターンが一方向にのみ存在するとユーザまたは画像処理装置が誤認識し、周期的パターンに傾きがないとみなして、周期的パターンが存在しないと認識した方向について誤った周期的パターンの抑制処理を施してしまうなど、適切な周期的パターンの抑制処理が施されず、周期的パターンが残留してしまう恐れがあった。しかし、第2の実施形態を周波数スペクトルのピークが検出されなかった方向に適用することにより、周期的パターンの傾きを精度よく検出でき、周期的パターンに対応する周波数成分が検出されなかった方向についても、周期的パターンの抑制処理が適切に施せる。
【0054】
また、第2の実施形態において、周期的パターン検出手段42は、垂直方向または水平方向の一方にのみ、被写体成分抽出処理を行うものであってもよい。また、第2の実施形態による被写体成分除去処理を高域通過フィルタにより行ってもよい。
【0055】
第2の実施形態において、周期的パターン検出手段42は、検出されたピーク周波数pxmおよびpymの両方に基づいて各方向について被写体成分除去特性を決定してもよい。例えば、水平方向について検出されたピーク周波数pxmを含む帯域を通過する帯域通過フィルタ(または高域通過フィルタ)を生成し、垂直方向について検出されたピーク周波数pymを含む帯域を通過する帯域通過フィルタ(または高域通過フィルタ)を生成し、生成された各フィルタによりフィルタリング処理を行うことが考えられる。両方向に被写体成分をより除去するためにより好適な除去範囲を設定でき、より適切に被写体成分を除去できる。このため、より精度よく周期的パターンに対応する周波数成分を行えるとともに周期的パターンに対応する周波数成分の誤検出を抑制することができる。
【0056】
また、第2の実施形態においても抑制手段43は、画像信号Sdから周期的パターンに対応する周波数成分を抑制した処理済信号Spが得られるものであれば、いかなる抑制処理を行ってもよく、例えば、検出された周期的パターンに対応する周波数成分を含む帯域を通過させる帯域通過フィルタBPF(または高域通過フィルタHPF)を生成し、帯域通過フィルタBPF(または高域通過フィルタHPF)により抽出された画像信号Seを画像信号Sdから減算してもよい。
【0057】
また、第3の実施形態として、第1および第2の方向の両方向について周期的パターンに対応する周波数成分が検出された場合に警告する不図示の警告手段を備えてもよい。かかる警告は、ユーザに識別可能に警告するものであればいかなる方法でもよく、例えば、音声によるものでも視覚的によるものでもよい。一例として、表示画面上に警告表示を行うことが考えられる。かかる場合には、周期的パターンが傾斜を有するものであることをユーザに通知できるため、周期的パターンが一方向にのみ存在するとユーザまたは画像処理装置が誤認識し、周期的パターンに傾きがないとみなして周期的パターンが存在しないと認識した方向について誤った周期的パターンの抑制処理を施してしまうなど、適切な周期的パターンの抑制処理が施されない可能性を低減でき、周期的パターンを好適に抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態において、絶縁基板上に夫々が画素に対応する複数個の光電変換素子を2次元状に形成した放射線画像読取装置であって、この放射線画像読取装置上に形成された画像情報を担持する放射線が照射されると照射された放射線を可視光に変換する蛍光体層(シンチレータ)を積層して成る放射線固体検出器(以下、「光変換方式」の放射線固体検出器という)を用いた放射線画像読取装置に本発明を適用した例について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されず種々のタイプの放射線固体検出器を用いた放射線画像読取装置に適用可能である。例えば、絶縁基板上に夫々が画素に対応する複数個の電荷収集電極を2次元状に形成した放射線画像読取装置であって、この2次元画像読取装置上に形成された、画像情報を担持する放射線が照射されると前記画像情報を担持する電荷を発生する放射線導電体とを積層して成る放射線固体検出器(以下、「直接変換方式」の放射線固体検出器という)を用いた放射線画像撮影装置に適用してもよい。
【0059】
また、光変換方式の放射線固体検出器としては、例えば特開昭59-211263 号、特開平2-164067号、PCT国際公開番号WO92/06501号、Signal,noise,and read out considerations in the development of amorphous silicon photodiode arrays for radiotherapy and diagnostic x-ray imaging,L.E.Antonuk et.al ,University of Michigan,R.A.Street Xerox,PARC,SPIE Vol.1443 Medical Imaging V;Image Physics(1991) ,p.108-119 等に記載された放射線固体検出器が適用できる。
【0060】
一方、直接変換方式の放射線固体検出器としては、例えば、(i) 放射線の透過方向の厚さが通常のものより10倍程度厚く設定された放射線固体検出器(MATERIAL PARAMETERS IN THICK HYDROGENATED AMORPHOUS SILICON RADIATION DETECTORS,Lawrence Berkeley Laboratory.University of California,Berkeley.CA 94720 XeroxParc.Palo Alto.CA 94304)、あるいは(ii)放射線の透過方向に、金属板を介して2つ以上積層された放射線固体検出器(Metal/Amorphous Silicon Multilayer Radiation Detectors,IEE TRANSACTIONS ON NUCLEAR SCIENCE.VOL.36.NO.2.APRIL 1989) 、あるいは(iii) CdTe等を使用した放射線固体検出器(特開平1-216290号)等に記載された放射線固体検出器が適用できる。
【0061】
上記の各実施形態はあくまでも例示であり、上記のすべての説明が本発明の技術的範囲を限定的に解釈するために利用されるべきものではない。この他、上記の実施形態におけるシステム構成、ハードウェア構成、処理フロー、モジュール構成や具体的処理内容等に対して、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な改変を行ったものも、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1 放射線源
2 放射線
3 被写体
4 グリッド
5 被写体像
6 グリッド線
10 読取部
29 記憶部
30 画像信号処理部
40 画像処理装置
41 被写体成分除去手段
42 周期的パターン検出手段
43 抑制手段
44 減算器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像に含まれる周期的パターンの傾きを、複数の方向について検出された周期的パターンに対応する周波数成分により特定する画像処理装置であって、
前記画像を表す画像信号から第1の方向および/または前記第1の方向と異なる第2の方向について、前記画像の被写体成分を粗除去するために前記被写体成分を含む低周波数成分を除去する被写体成分除去フィルタを用いて1次元フィルタリング処理を行うことにより被写体成分除去済信号を取得する被写体成分除去手段と、
前記被写体成分除去済信号から前記第1および前記第2の両方向について前記周期的パターンに対応する周波数成分の検出を行う周期的パターン検出手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記被写体成分除去フィルタは、前記画像信号から前記第1の方向および前記第2の方向の少なくとも一方について検出された周期的パターンに対応する周波数成分より低い周波数成分を除去する高域通過フィルタであることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記被写体成分除去フィルタは、前記画像信号から前記第1の方向または前記第2の方向の少なくとも一方について検出された周期的パターンに対応する周波数成分を含む空間周波数成分を抽出する帯域通過フィルタであることを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記被写体成分除去フィルタは、前記画像信号から前記第1の方向および前記第2の方向のうち、より顕著な前記周期的パターンに対応する周波数成分の周波数スペクトルのピークを有する一方について、該方向について検出された前記周期的パターンに対応する周波数成分より低い空間周波数成分を除去するものであり、
前記周期的パターン検出手段は、前記被写体成分除去済信号から前記第1の方向および前記第2の方向のうち少なくとも他方について、前記周期的パターンに対応する周波数成分を検出するものであることを特徴とする請求項2または3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1および前記第2の両方向について検出された前記周期的パターンに対応する周波数成分を抑制する1次元のフィルタリング処理を、前記第1および前記第2の両方向について前記画像に対して施すことにより、前記画像の周期的パターンに対応する周波数成分を抑制する抑制手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第1および前記第2の方向の両方向について周期的パターンに対応する周波数成分が検出された場合に警告する警告手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項7】
画像に含まれる周期的パターンの傾きを、複数の方向について検出された周期的パターンに対応する周波数成分により特定する画像処理方法であって、
前記画像を表す画像信号から第1の方向および/または前記第1の方向と異なる第2の方向について、前記画像の被写体成分を粗除去するために前記被写体成分を含む低周波成分を除去する被写体成分除去フィルタを用いて1次元フィルタリング処理を行うことにより被写体成分除去済信号を取得し、
前記被写体成分除去済信号から前記第1および前記第2の両方向について前記周期的パターンに対応する周波数成分の検出を行うことを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
画像に含まれる周期的パターンの傾きを、複数の方向について検出された周期的パターンに対応する周波数成分により特定する画像処理プログラムであって、
コンピュータを、
前記画像を表す画像信号から第1の方向および/または前記第1の方向と異なる第2の方向について、前記画像の被写体成分を粗除去するために前記被写体成分を含む低周波成分を除去する被写体成分除去フィルタを用いて1次元フィルタリング処理を行うことにより被写体成分除去済信号を取得する被写体成分除去手段と、
前記被写体成分除去済信号から前記第1および前記第2の両方向について前記周期的パターンに対応する周波数成分の検出を行う周期的パターン検出手段として機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項1】
画像に含まれる周期的パターンの傾きを、複数の方向について検出された周期的パターンに対応する周波数成分により特定する画像処理装置であって、
前記画像を表す画像信号から第1の方向および/または前記第1の方向と異なる第2の方向について、前記画像の被写体成分を粗除去するために前記被写体成分を含む低周波数成分を除去する被写体成分除去フィルタを用いて1次元フィルタリング処理を行うことにより被写体成分除去済信号を取得する被写体成分除去手段と、
前記被写体成分除去済信号から前記第1および前記第2の両方向について前記周期的パターンに対応する周波数成分の検出を行う周期的パターン検出手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記被写体成分除去フィルタは、前記画像信号から前記第1の方向および前記第2の方向の少なくとも一方について検出された周期的パターンに対応する周波数成分より低い周波数成分を除去する高域通過フィルタであることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記被写体成分除去フィルタは、前記画像信号から前記第1の方向または前記第2の方向の少なくとも一方について検出された周期的パターンに対応する周波数成分を含む空間周波数成分を抽出する帯域通過フィルタであることを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記被写体成分除去フィルタは、前記画像信号から前記第1の方向および前記第2の方向のうち、より顕著な前記周期的パターンに対応する周波数成分の周波数スペクトルのピークを有する一方について、該方向について検出された前記周期的パターンに対応する周波数成分より低い空間周波数成分を除去するものであり、
前記周期的パターン検出手段は、前記被写体成分除去済信号から前記第1の方向および前記第2の方向のうち少なくとも他方について、前記周期的パターンに対応する周波数成分を検出するものであることを特徴とする請求項2または3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1および前記第2の両方向について検出された前記周期的パターンに対応する周波数成分を抑制する1次元のフィルタリング処理を、前記第1および前記第2の両方向について前記画像に対して施すことにより、前記画像の周期的パターンに対応する周波数成分を抑制する抑制手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第1および前記第2の方向の両方向について周期的パターンに対応する周波数成分が検出された場合に警告する警告手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項7】
画像に含まれる周期的パターンの傾きを、複数の方向について検出された周期的パターンに対応する周波数成分により特定する画像処理方法であって、
前記画像を表す画像信号から第1の方向および/または前記第1の方向と異なる第2の方向について、前記画像の被写体成分を粗除去するために前記被写体成分を含む低周波成分を除去する被写体成分除去フィルタを用いて1次元フィルタリング処理を行うことにより被写体成分除去済信号を取得し、
前記被写体成分除去済信号から前記第1および前記第2の両方向について前記周期的パターンに対応する周波数成分の検出を行うことを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
画像に含まれる周期的パターンの傾きを、複数の方向について検出された周期的パターンに対応する周波数成分により特定する画像処理プログラムであって、
コンピュータを、
前記画像を表す画像信号から第1の方向および/または前記第1の方向と異なる第2の方向について、前記画像の被写体成分を粗除去するために前記被写体成分を含む低周波成分を除去する被写体成分除去フィルタを用いて1次元フィルタリング処理を行うことにより被写体成分除去済信号を取得する被写体成分除去手段と、
前記被写体成分除去済信号から前記第1および前記第2の両方向について前記周期的パターンに対応する周波数成分の検出を行う周期的パターン検出手段として機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−200315(P2012−200315A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65509(P2011−65509)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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