説明

画像処理装置、画像処理方法及びコンピュータプログラム

【課題】検査対象物の部分画像データを検査に用いる場合であっても、検査対象物の特徴部分まで視認することができる画像処理装置、該画像処理装置で実行する画像処理方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】検査対象物を撮像する撮像部と、該撮像部で撮像して取得した画像データに対して圧縮処理を実行して圧縮画像データを生成する圧縮処理部と、検査のための画像処理を実行する画像処理部とを備える。画像処理部は、取得した画像データの一部である部分画像データを生成し、画像処理に用いる画像データとして、圧縮画像データ又は部分画像データのいずれかの選択を受け付ける。画像処理部は、選択を受け付けた圧縮画像データ又は部分画像データを用いて、検査のための画像処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物を検査する検査条件を設定する場合に、より鮮明な拡大画像を用いて詳細な検査条件を設定することができる画像処理装置、該画像処理装置で実行する画像処理方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
検査対象物の外観検査を実行する場合、撮像装置で撮像して取得した画像データに画像処理を実行することで、より高い精度で検査対象物の良否を判定する。撮像して取得した画像データに対してそのまま画像処理を実行する場合、データ量が膨大であることから演算処理負荷が過大となるので、撮像して取得した画像データを圧縮した圧縮画像データに対して画像処理を実行する技術が開発されている。
【0003】
例えば特許文献1では、検査対象物を撮像して取得した画像データごとにデータ圧縮することにより、データ量を低減して、画像処理を実行する場合の演算処理負荷を軽減することができる検査装置が開示されている。画像処理を実行する場合の演算処理負荷を軽減することができるので、演算処理時間を短縮することができ、検査タクトタイムを短縮することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−063365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、圧縮画像データを用いて検査を実行する場合、圧縮率によっては、圧縮前の元の画像データでは視認することができた特徴部分がつぶれることも起こり得る。したがって、検査対象物の特徴部分を視認することが困難になり、検査対象物の欠陥を正しく検出することができないおそれがあるという問題点があった。
【0006】
また、画像データの一部を切り出した部分画像データを用いて検査を実行しても良い。しかし、検査対象物の輪郭を検査する外周検査等を実行する場合、部分画像データのみでは正しく検査を実行することができない場合がある。つまり、常に部分画像データのみを用いる場合、用いる部分画像データ以外の画像データについて、外周検査を実行することができないおそれがあるという問題点があった。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、検査対象物の部分画像データを検査に用いる場合であっても、検査対象物の特徴部分まで視認することができる画像処理装置、該画像処理装置で実行する画像処理方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために第1発明に係る画像処理装置は、検査対象物を撮像する撮像部と、該撮像部で撮像して取得した画像データに対して圧縮処理を実行して圧縮画像データを生成する圧縮処理部と、検査のための画像処理を実行する画像処理部とを備える画像処理装置において、前記画像処理部は、取得した画像データの一部である部分画像データを生成する部分画像生成部と、画像処理に用いる画像データとして、前記圧縮画像データ又は前記部分画像データのいずれかの選択を受け付ける選択受付部とを備え、該選択受付部で選択を受け付けた前記圧縮画像データ又は前記部分画像データを用いて、検査のための画像処理を実行することを特徴とする。
【0009】
また、第2発明に係る画像処理装置は、第1発明において、画像処理に用いる画像データとして、前記圧縮画像データ又は前記部分画像データのいずれを用いるかを示すパラメータを含む、検査対象物を検査する条件に関する検査条件データを設定する検査条件データ設定部を備え、前記選択受付部は、前記検査条件データに含まれる前記パラメータに基づいて、画像処理に用いる画像データの選択を受け付けることを特徴とする。
【0010】
また、第3発明に係る画像処理装置は、第1又は第2発明において、前記検査条件データの切替指示を受け付ける検査条件切替指示受付手段を備え、前記選択受付部は、前記検査条件切替指示受付手段で前記検査条件データの切替指示を受け付けた場合、切替後の前記検査条件データに含まれる前記パラメータに基づいて、画像処理に用いる画像データの選択を受け付けることを特徴とする。
【0011】
また、第4発明に係る画像処理装置は、第1乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記選択受付部で選択を受け付けた前記圧縮画像データ又は前記部分画像データを基準画像として記憶する基準画像記憶部を備え、前記画像処理部は、記憶してある前記基準画像と比較することにより、検査のための画像処理を実行することを特徴とする。
【0012】
また、第5発明に係る画像処理装置は、第1乃至第4発明のいずれか1つにおいて、前記部分画像生成部は、取得した画像データの中央を含む前記部分画像データを生成することを特徴とする。
【0013】
また、第6発明に係る画像処理装置は、第1乃至第4発明のいずれか1つにおいて、前記部分画像生成部は、前記部分画像データとして抽出される範囲を設定する抽出範囲設定部を備えることを特徴とする。
【0014】
また、第7発明に係る画像処理装置は、第1乃至第6発明のいずれか1つにおいて、前記部分画像生成部は、前記部分画像データの縦横比が、画像が表示される画面の縦横比と同一となるよう前記部分画像データを生成することを特徴とする。
【0015】
また、第8発明に係る画像処理装置は、第1乃至第7発明のいずれか1つにおいて、前記部分画像生成部は、前記部分画像データの画素数が、画像が表示される画面の画素数と同一となるよう前記部分画像データを生成することを特徴とする。
【0016】
次に、上記目的を達成するために第9発明に係る画像処理方法は、検査対象物を撮像する撮像部と、該撮像部で撮像して取得した画像データに対して圧縮処理を実行して圧縮画像データを生成する圧縮処理部と、検査のための画像処理を実行する画像処理部とを備える画像処理装置で実行することが可能な画像処理方法において、前記画像処理部は、取得した画像データの一部である部分画像データを生成し、画像処理に用いる画像データとして、前記圧縮画像データ又は前記部分画像データのいずれかの選択を受け付け、選択を受け付けた前記圧縮画像データ又は前記部分画像データを用いて、検査のための画像処理を実行することを特徴とする。
【0017】
また、第10発明に係る画像処理方法は、第9発明において、画像処理に用いる画像データとして、前記圧縮画像データ又は前記部分画像データのいずれを用いるかを示すパラメータを含む、検査対象物を検査する条件に関する検査条件データを設定し、前記検査条件データに含まれる前記パラメータに基づいて、画像処理に用いる画像データの選択を受け付けることを特徴とする。
【0018】
また、第11発明に係る画像処理方法は、第9又は第10発明において、前記検査条件データの切替指示を受け付け、前記検査条件データの切替指示を受け付けた場合、切替後の前記検査条件データに含まれる前記パラメータに基づいて、画像処理に用いる画像データの選択を受け付けることを特徴とする。
【0019】
また、第12発明に係る画像処理方法は、第9乃至第11発明のいずれか1つにおいて、選択を受け付けた前記圧縮画像データ又は前記部分画像データを基準画像として記憶し、記憶してある前記基準画像と比較することにより、検査のための画像処理を実行することを特徴とする。
【0020】
また、第13発明に係る画像処理方法は、第9乃至第12発明のいずれか1つにおいて、取得した画像データの中央を含む前記部分画像データを生成することを特徴とする。
【0021】
また、第14発明に係る画像処理方法は、第9乃至第12発明のいずれか1つにおいて、前記部分画像データとして抽出される範囲を設定することを特徴とする。
【0022】
また、第15発明に係る画像処理方法は、第9乃至第14発明のいずれか1つにおいて、前記部分画像データの縦横比が、画像が表示される画面の縦横比と同一となるよう前記部分画像データを生成することを特徴とする。
【0023】
また、第16発明に係る画像処理方法は、第9乃至第15発明のいずれか1つにおいて、前記部分画像データの画素数が、画像が表示される画面の画素数と同一となるよう前記部分画像データを生成することを特徴とする。
【0024】
次に、上記目的を達成するために第17発明に係るコンピュータプログラムは、検査対象物を撮像する撮像部と、該撮像部で撮像して取得した画像データに対して圧縮処理を実行して圧縮画像データを生成する圧縮処理部と、検査のための画像処理を実行する画像処理部とを備える画像処理装置で実行することが可能なコンピュータプログラムにおいて、前記画像処理部を、取得した画像データの一部である部分画像データを生成する部分画像生成手段、画像処理に用いる画像データとして、前記圧縮画像データ又は前記部分画像データのいずれかの選択を受け付ける選択受付手段、及び選択を受け付けた前記圧縮画像データ又は前記部分画像データを用いて、検査のための画像処理を実行する手段として機能させることを特徴とする。
【0025】
また、第18発明に係るコンピュータプログラムは、第17発明において、前記画像処理部を、画像処理に用いる画像データとして、前記圧縮画像データ又は前記部分画像データのいずれを用いるかを示すパラメータを含む、検査対象物を検査する条件に関する検査条件データを設定する検査条件データ設定手段として機能させ、前記選択受付手段を、前記検査条件データに含まれる前記パラメータに基づいて、画像処理に用いる画像データの選択を受け付ける手段として機能させることを特徴とする。
【0026】
また、第19発明に係るコンピュータプログラムは、第17又は第18発明において、前記画像処理部を、前記検査条件データの切替指示を受け付ける検査条件切替指示受付手段として機能させ、前記選択受付手段を、前記検査条件切替指示受付手段で前記検査条件データの切替指示を受け付けた場合、切替後の前記検査条件データに含まれる前記パラメータに基づいて、画像処理に用いる画像データの選択を受け付ける手段として機能させることを特徴とする。
【0027】
また、第20発明に係るコンピュータプログラムは、第17乃至第19発明のいずれか1つにおいて、前記画像処理部を、前記選択受付部で選択を受け付けた前記圧縮画像データ又は前記部分画像データを基準画像として記憶する基準画像記憶手段、及び記憶してある前記基準画像と比較することにより、検査のための画像処理を実行する手段として機能させることを特徴とする。
【0028】
また、第21発明に係るコンピュータプログラムは、第17乃至第20発明のいずれか1つにおいて、前記部分画像生成手段を、取得した画像データの中央を含む前記部分画像データを生成する手段として機能させることを特徴とする。
【0029】
また、第22発明に係るコンピュータプログラムは、第17乃至第20発明のいずれか1つにおいて、前記部分画像生成手段を、前記部分画像データとして抽出される範囲を設定する抽出範囲設定手段として機能させることを特徴とする。
【0030】
また、第23発明に係るコンピュータプログラムは、第17乃至第22発明のいずれか1つにおいて、前記部分画像生成手段を、前記部分画像データの縦横比が、画像が表示される画面の縦横比と同一となるよう前記部分画像データを生成する手段として機能させることを特徴とする。
【0031】
また、第24発明に係るコンピュータプログラムは、第17乃至第23発明のいずれか1つにおいて、前記部分画像生成手段を、前記部分画像データの画素数が、画像が表示される画面の画素数と同一となるよう前記部分画像データを生成する手段として機能させることを特徴とする。
【0032】
第1発明、第9発明及び第17発明では、検査対象物を撮像する撮像部と、該撮像部で撮像して取得した画像データに対して圧縮処理を実行して圧縮画像データを生成する圧縮処理部と、検査のための画像処理を実行する画像処理部とを備える。画像処理部は、取得した画像データの一部である部分画像データを生成し、画像処理に用いる画像データとして、圧縮画像データ又は部分画像データのいずれかの選択を受け付ける。圧縮画像データ又は部分画像データを用いて、検査のための画像処理を実行する。選択を受け付けた圧縮画像データ又は部分画像データのいずれかを、検査の内容に応じて適宜選択することにより、不要な画像データを生成する必要がない。また、部分画像データを用いて画像処理を実行する場合であっても、検査の精度を低下させることがなく、見掛け上、視野倍率を高めたのと同様の効果を奏することが可能となる。
【0033】
第2発明、第10発明及び第18発明では、画像処理に用いる画像データとして、圧縮画像データ又は部分画像データのいずれを用いるかを示すパラメータを含む、検査対象物を検査する条件に関する検査条件データを設定し、検査条件データに含まれるパラメータに基づいて、画像処理に用いる画像データの選択を受け付ける。これにより、検査条件データに含まれるパラメータにより、圧縮画像データ又は部分画像データのいずれかを、検査の内容に応じて適宜選択することができ、不要な画像データを生成する必要がない。また、部分画像データを用いて画像処理を実行する場合であっても、検査の精度を低下させることがなく、見掛け上、視野倍率を高めたのと同様の効果を奏することが可能となる。
【0034】
第3発明、第11発明及び第19発明では、検査条件データの切替指示を受け付け、検査条件データの切替指示を受け付けた場合、切替後の検査条件データに含まれるパラメータに基づいて、画像処理に用いる画像データの選択を受け付ける。これにより、検査条件データを切り替える都度、検査条件データに含まれるパラメータにより、圧縮画像データ又は部分画像データのいずれを用いるかの選択を切り替えることができ、不要な画像データを生成する必要がない。また、部分画像データを用いて画像処理を実行する場合であっても、検査の精度を低下させることがなく、見掛け上、視野倍率を高めたのと同様の効果を奏することが可能となる。
【0035】
第4発明、第12発明及び第20発明では、選択を受け付けた圧縮画像データ又は部分画像データを基準画像として記憶し、記憶してある基準画像と比較することにより、検査のための画像処理を実行するので、不要な画像データを生成する必要がない。また、部分画像データを用いて画像処理を実行する場合であっても、検査の精度を低下させることがなく、見掛け上、視野倍率を高めたのと同様の効果を奏することが可能となる。
【0036】
第5発明、第13発明及び第21発明では、取得した画像データの中央を含む部分画像データを生成することにより、画像の中心に配置して撮像することが多い検査対象物の特徴部分が含まれる部分画像データを生成することが可能となる。
【0037】
第6発明、第14発明及び第22発明では、部分画像データとして抽出される範囲を設定することにより、検査対象物の特徴部分が含まれる部分画像データを確実に生成することが可能となる。
【0038】
第7発明、第15発明及び第23発明では、部分画像データの縦横比が、画像が表示される画面の縦横比と同一となるよう部分画像データを生成することにより、部分画像データを画面表示した場合に、元の画像データと異なる縦横比で拡大又は縮小されて表示されることがない。
【0039】
第8発明、第16発明及び第24発明では、部分画像データの画素数が、画像が表示される画面の画素数と同一となるよう部分画像データを生成することにより、部分画像データを画面表示した場合であっても、元の画像データと鮮明さが同一となり、検査対象物の特徴部分を視認することが可能となる。
【発明の効果】
【0040】
本発明では、圧縮画像データ又は部分画像データのいずれかを、検査の内容に応じて適宜選択することにより、不要な画像データを生成する必要がない。また、部分画像データを用いて画像処理を実行する場合であっても、検査の精度を低下させることがなく、見掛け上、視野倍率を高めたのと同様の効果を奏することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像処理センサの構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像処理センサの撮像装置の構成を示す外形図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像処理センサの撮像装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る画像処理センサの表示装置の構成を示す正面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像処理センサの表示装置のモード切り替え画面の例示図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る画像処理センサの表示装置の設定画面の例示図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る画像処理センサの圧縮処理の概要を示す模式図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る画像処理センサの圧縮処理を実行した後に表示される画像の例示図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る画像処理センサの部分画像データの生成処理の概要を示す模式図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る画像処理センサの部分画像データの生成処理を実行した後に表示される画像の例示図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る画像処理センサの撮像装置の機能ブロック図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る画像処理センサの抽出範囲設定の例示図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る画像処理センサの撮像装置のメイン基板のFPGAの処理手順を示すフローチャートである。
【図14】位置補正ツール及び輪郭判別ツールの検査条件データの一覧を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態に係る画像処理装置について、図面を参照して説明する。なお、本実施の形態の説明で参照する図面を通じて、同一又は同様の構成又は機能を有する要素については、同一又は同様の符号を付して、詳細な説明を省略する。以下、画像処理装置として画像処理センサを例に挙げて説明する。
【0043】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像処理センサの構成を示す模式図である。図1に示すように、本実施の形態に係る画像処理センサは、撮像装置1と、撮像装置1とデータ通信することが可能に接続ケーブル3で接続されている表示装置2とで構成されている。もちろん、表示装置2の代わりに、ディスプレイを有する外部コンピュータであっても良い。なお、撮像装置1と表示装置2とが一体として構成されていても良い。
【0044】
撮像装置1は、内部に画像処理を実行するFPGA、DSP等を備えており、検査対象物を撮像して画像データを取得するカメラモジュール(撮像部)と、検査対象物に対して光を照射する照明部とを備えている。撮像装置1をコンパクトにするべく、例えば図1に示すように、撮像装置1の正面の中央近傍にレンズ12を配置し、レンズ12の周囲を囲むように、照明部として複数のLED11を配置してある。なお、撮像装置1とは別に外部照明(リング照明等)を設けても良い。
【0045】
図2は、本発明の実施の形態に係る画像処理センサの撮像装置1の構成を示す外形図である。図2(a)は、本発明の実施の形態に係る画像処理センサの撮像装置1の構成を示す正面図を、図2(b)は、本発明の実施の形態に係る画像処理センサの撮像装置1の構成を示す平面図を、図2(c)は、本発明の実施の形態に係る画像処理センサの撮像装置1の構成を示す背面図を、それぞれ示している。
【0046】
図2(a)に示すように、撮像装置1はレンズ12を正面の中央近傍に配置しており、レンズ12の周囲を囲むように複数のLED11を配置してある。撮像時には、複数のLED11を点灯させることにより、検査対象物に光を照射し、検査対象物を明瞭に撮像することができる。
【0047】
図2(b)及び図2(c)に示すように、撮像装置1の背面には、外部の電源から電力の供給を受ける電源ケーブルを接続する電源コネクタ102と、表示装置2とデータ通信する接続ケーブル3を接続することが可能な接続コネクタ103とを備えている。また、手動でフォーカスを調整することができるフォーカス調整ネジ101も背面に備えている。
【0048】
図3は、本発明の実施の形態に係る画像処理センサの撮像装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。図3において、コネクタ基板16は、電源インタフェース161に設けてある電源コネクタ102(図2(b)及び図2(c)参照)を介して、外部の電源から電力の供給を受ける。電源基板18は、供給された電力を各基板に供給する。本実施の形態では、カメラモジュール14にはメイン基板13を介して電力を供給している。電源基板18のモータドライバ181は、カメラモジュール14のモータ141に駆動電力を供給し、オートフォーカスを実現している。
【0049】
通信基板17は、メイン基板13から出力された欠陥を検出したか否かで検査対象物の良否を示すOK/NG信号(判定信号)、画像データ等を表示装置2へ送信する。判定信号を受信した表示装置2は、判定結果を表示する。なお、本実施の形態では、通信基板17を介してOK/NG信号(判定信号)を出力する構成にしているが、例えばコネクタ基板16を介してOK/NG信号(判定信号)を出力する構成にしても良い。
【0050】
照明基板15は、検査対象物を撮像する撮像領域に光を照射する、複数のLED11が設けてあり、図示しないリフレクタはLED11の前方に設けてある。また、レンズ12は、短距離用又は長距離用のレンズユニットとして交換可能となっている。
【0051】
カメラモジュール(撮像部)14は、モータ141が駆動することにより、オートフォーカス動作の制御を行うことができる。メイン基板13からの撮像指示信号に応じて検査対象物を撮像する。本実施の形態では、撮像素子としてCMOS基板142を備えており、撮像したカラー画像は、CMOS基板142にてダイナミックレンジを広げる変換特性に基づいてHDR画像へ変換され、メイン基板13のFPGA131へ出力される。
【0052】
メイン基板13は、接続してある各基板の動作を制御する。例えば照明基板15に対しては、複数のLED11の点灯/消灯を制御する制御信号を、LEDドライバ151へ送信する。LEDドライバ151は、FPGA131からの制御信号に応じて、例えばLED11の点灯/消灯、光量等を調整する。また、カメラモジュール14のモータ141に対しては、電源基板18のモータドライバ181を介してオートフォーカス動作を制御する制御信号を、CMOS基板142に対しては、撮像指示信号等を、それぞれ送信する。
【0053】
メイン基板13のFPGA131は、照明制御、撮像制御をするとともに、撮像部で撮像して取得した画像データに対して圧縮処理を実行し(圧縮処理部)、検査のための画像処理を実行する(画像処理部)。また、メイン基板13のDSP132は、画像データについて、エッジ検出処理、パターン検索処理等を実行する。パターン検索処理の結果として、欠陥を検出したか否かで検査対象物の良否を示すOK/NG信号(判定信号)を通信基板17へ出力する。演算処理結果等はメモリ133に記憶される。また、メモリ133には、画像処理の基準となる基準画像として、所定の圧縮率で圧縮処理を実行した圧縮画像データ、又は設定した範囲を抽出した画像データである部分画像データを記憶する。なお、本実施の形態では、FPGA131が照明制御、撮像制御等を実行するが、DSP132が実行しても良い。また、FPGA131とDSP132とが一体となった回路、すなわち主制御回路(主制御部)を設けても良い。要するに、複数のLED11の点灯/消灯を制御する制御信号をLEDドライバ151へ送信したり、オートフォーカス動作を制御する制御信号をカメラモジュール14のモータ141へ送信したり、撮像指示信号等をCMOS基板142へ送信したり、FPGA131及びDSP132の双方の機能を有する主制御部を設けても良い。
【0054】
図4は、本発明の実施の形態に係る画像処理センサの表示装置2の構成を示す正面図である。図4に示すように、表示装置2の前面の中央部分にはタッチパネル21が設けてあり、撮像した検査対象物のカラー画像を画面に表示するとともに、ユーザによる選択入力を受け付ける。
【0055】
また、表示装置2は、外部の電源から電力が供給される電源ケーブルを接続する電源コネクタ24と、撮像装置1とデータ通信する接続ケーブル3を接続することが可能な接続コネクタ25とを備えている。さらにUSBメモリ等と接続することが可能なUSBポート22を前面に設けてある。
【0056】
ユーザは、表示装置2のタッチパネル21の画面に表示されているボタンを選択することにより、画像処理センサの動作を制御する。そして、検査対象物の検査を実行する「検査モード」と、画像処理センサの条件設定を行う「設定モード」との切り替えを行うこともできる。言い換えると、本実施の形態に係る画像処理センサは、検査対象物の良否を判定する検査モード(Runモード)と、検査に用いる各種パラメータ(撮像パラメータ、照明パラメータ、画像処理パラメータ等)の設定を行う設定モード(非Runモード)とを切り替えるためのモード切替部を有している。図5は、本発明の実施の形態に係る画像処理センサの表示装置2のモード切り替え画面の例示図である。
【0057】
図5(a)は、「検査モード」の画面表示の例示図である。図5(a)に示すように、検査対象物表示領域51に、撮像装置1が撮像した検査対象物の画像を表示する。左下の「センサ設定」ボタン52がモード切替部として機能し、「センサ設定」ボタン52が選択された場合、「設定モード」へと切り替わり、図5(b)に示す画面へと画面遷移する。
【0058】
図5(b)は、「設定モード」の画面表示の例示図である。図5(b)に示すように、プログラム選択領域53にて、検査対象物の種類又は検査環境を選択する。ここで、「プログラム」とは、検査対象物の種類又は検査環境に応じて設定された一連のデータ群(パラメータ値の組み合わせ)を意味しており、検査対象物の種類又は検査環境ごとに異なるデータ群をプログラムとして記憶することができる。
【0059】
また、検査対象物と比較する基準となるマスタ画像が記憶されている場合、マスタ画像表示領域54にマスタ画像が表示される。「設定ナビ」ボタン55が選択された場合、詳細な設定を行う設定画面に画面遷移する。図5(b)の「運転開始」ボタン56はモード切替部として機能し、「運転開始」ボタン56が選択された場合、「検査モード」へと切り替わり、図5(a)に示す画面へと画面遷移する。
【0060】
図6は、本発明の実施の形態に係る画像処理センサの表示装置2の設定画面の例示図である。図6に示す設定画面を通じて、ユーザは、撮像条件の設定(図6(a))、パターンサーチする基準となるマスタ画像の登録(図6(b))、マスタ画像に対する輪郭サーチ等のツール設定(図6(c)〜図6(e))、出力割り当て(図6(f))、という流れで順次設定を行う。以下、詳細に説明する。図5(b)に示す「設定ナビ」ボタン55が選択された場合、まず図6(a)に示す撮像条件設定画面が表示される。撮像条件設定画面では、マスタ画像が記憶されている場合にはマスタ画像が主表示領域61に表示され、画面下部に撮像条件を設定する設定ボタン群が表示されている。例えば「トリガ条件」ボタンが選択された場合には、撮像装置1が検査対象物を撮像するタイミングを特定するトリガ条件を設定することができる。詳細な設定画面は省略するが、それぞれのボタンが選択された場合、それぞれの設定条件に応じて図4に示すタッチパネル21上に表示される。
【0061】
なお、マスタ画像が記憶されていない場合、又はマスタ画像が記憶されている場合であっても、主表示領域61に、現在撮像されている画像(以下、ライブ画像)を表示しても良い。この場合も、後述するように「Live画像登録」ボタン64が選択されたとき、現在撮像されている画像がマスタ画像として登録される。
【0062】
また、より詳細な設定をするには、図6(a)の「拡張機能」ボタン62を選択すれば良い。「拡張機能」ボタン62が選択された場合、詳細な設定を行うためのボタンが別途表示される。このように撮像条件設定画面では、明るさの調整、フォーカスの調整、撮像範囲、照明のオン/オフ、ズームのオン/オフ等を設定することができる。
【0063】
図6(a)の「進む」と表示された「画面遷移」ボタン63が選択された場合、図6(b)に示すマスタ画像登録画面が表示される。登録されたマスタ画像上に、以後、検査用の様々なツールを設定する。本実施の形態では、1つのマスタ画像に対して1つのプログラムを記憶する。つまり、特定のマスタ画像に対して異なるツールを設定し、特定のマスタ画像に対して1つのプログラムを記憶しておく。なお、場合によっては、異なるプログラム間で同一のマスタ画像を使用するようにしても良い。
【0064】
マスタ画像は、現在撮像している画像を登録しても良いし、以前に撮像しておいた画像から選択して登録しても良い。現在撮像している画像を登録する場合、ユーザは「Live画像登録」ボタン64を選択すればよい。「Live画像登録」ボタン64が選択された時点で撮像されている画像がマスタ画像として登録される。
【0065】
図6(b)の「進む」と表示された「画面遷移」ボタン65が選択された場合、図6(c)に示すマスタ画像ごとのツール設定画面が表示される。マスタ画像上に、以後、検査用の様々なツールを設定する。
【0066】
ツール設定画面では、表示されているマスタ画像に、検査を実行するためのツールを追加設定する。図6(c)に示す「追加」ボタン66が選択された場合、図6(d)に示すツール選択画面が表示される。ツール選択画面で選択されたツールを追加設定する。例えば「輪郭サーチ」ボタン67が選択された場合、図6(e)に示す輪郭サーチ設定画面が表示される。輪郭サーチ設定画面で、マスタ画像のどの輪郭を撮像された検査対象物の画像と照合するのか設定しておくことにより、欠陥を検出したか否かで検査対象物の良否を判定することができる。以下、色面積、位置補正等の設定をすることができる。
【0067】
図6(c)の「進む」と表示された「画面遷移」ボタン68が選択された場合、図6(f)に示す出力割当画面が表示される。出力割当画面では、検査の結果として画面に表示される出力線が何を意味するのか設定することができる。「完了」ボタン69が選択された場合、図5(b)に示す「設定モード」の画面表示に戻る。このように、ユーザは、図6に示す表示装置2のタッチパネル21上で、「進む」と表示された「画面遷移」ボタン63、65、68を順に選択することで、簡単かつ短時間に、検査に用いる各種パラメータを設定することができる。また、画像処理センサに慣れていないユーザであっても、表示装置2上で次の操作へ誘導されるので、各種パラメータを容易に設定することができる。
【0068】
本発明は、メイン基板13のFPGA131が、取得した画像データに対して画像処理を実行する前の前処理に関する。例えば、画像処理センサのカメラモジュール14のCMOS基板142に、WVGAの撮像素子を用いる場合、撮像される画像データの画素数は752ピクセル×480ピクセルとなる。画像処理に用いる場合、レンズ12による画像歪が比較的大きい両端部分を削除して、640ピクセル×480ピクセルの画像データを使用する。
【0069】
図7は、本発明の実施の形態に係る画像処理センサの圧縮処理の概要を示す模式図である。図7(a)に示すように、撮像される画像データの画素数は752ピクセル×480ピクセルであり、両端部分を削除した640ピクセル×480ピクセルの画像データを画像処理に用いる。表示装置2の最大表示ピクセル数が320ピクセル×240ピクセルである場合、640ピクセル×480ピクセルの画像データに対して圧縮処理を実行し、ピクセル数が表示装置2の最大表示ピクセル数と一致するように圧縮画像データを生成する。
【0070】
圧縮処理の方法は特に限定されるものではないが、例えば周囲4ピクセルの画素値の平均値を算出することで圧縮すれば良い。図7(b)に示す圧縮画像データのピクセル数が表示装置2の最大表示ピクセル数と一致しているので、図7(c)に示すように、圧縮画像データをそのまま表示装置2に表示出力する。
【0071】
図8は、本発明の実施の形態に係る画像処理センサの圧縮処理を実行した後に表示される画像の例示図である。図8(a)に示す検査対象物の画像は、圧縮画像データをそのまま表示出力したものである。表示出力された圧縮画像データを2倍にズームした場合に表示出力される画像を図8(b)に示す。
【0072】
図8(b)では、検査対象物自体は拡大されて表示されるものの、表示分解能は粗くなり、ぼやけた表示となっている。同様に、3倍にズームした画像を図8(c)に示す。図8(c)では、より検査対象物が拡大されて表示されるものの、表示分解能はより粗くなり、不鮮明さが増している。
【0073】
したがって、拡大すればするほど、検査対象物の特徴部分を視認することが困難になり、検査の精度を高く維持することが難しい。
【0074】
本実施の形態に係る画像処理センサでは、ユーザによる選択を受け付けることにより、圧縮画像データの代わりに画像データの一部である部分画像データを用いて画像処理を実行することもできる。撮像される画像データの画素数は752ピクセル×480ピクセルであり、両端部分を削除した640ピクセル×480ピクセルの画像データを使用する点では、圧縮画像データを生成する場合と同じである。しかし、表示装置2の最大表示ピクセル数が320ピクセル×240ピクセルである場合、640ピクセル×480ピクセルの画像データから、320ピクセル×240ピクセルの範囲を抽出し、部分画像データを生成する点で相違している。
【0075】
図9は、本発明の実施の形態に係る画像処理センサの部分画像データの生成処理の概要を示す模式図である。図9(a)に示すように、撮像される画像データの画素数は752ピクセル×480ピクセルであり、両端部分を削除した640ピクセル×480ピクセルの画像データを画像処理に用いる。そして、表示装置2の最大表示ピクセル数に合わせて、部分画像データとして抽出する範囲を抽出範囲901に設定し、320ピクセル×240ピクセルの部分画像データを生成する。
【0076】
部分画像データのピクセル数は、表示装置2の最大表示ピクセル数と一致しているので、図9(c)に示すように、部分画像データをそのまま表示装置2に表示出力する。
【0077】
図10は、本発明の実施の形態に係る画像処理センサの部分画像データの生成処理を実行した後に表示される画像の例示図である。図10(a)に示す検査対象物の画像は、撮像して取得した画像データを表示出力したものである。図10(b)は、図10(a)のズームボタン91で「ON」を選択した場合に表示される画像の例示図である。
【0078】
図10(b)では、640ピクセル×480ピクセルの画像データから生成した、320ピクセル×240ピクセルの部分画像データが表示されている。すなわち、ズームボタン91が、表示する画像を選択する画像選択部として機能しており、見た目は2倍にズームしているように見えるが、実際には部分画像データに表示を切り替えている。
【0079】
本実施の形態に係る画像処理センサでは、部分画像データを用いる場合、画像データ全体ではなく一部分のみを用いるので、画像表示のための演算処理負荷を軽減することができるとともに、表示される画像の表示分解能が粗くなることがなく、鮮明に表示することができる。したがって、表示を拡大した場合であっても、検査対象物の特徴部分を視認することができ、検査の精度を高く維持することが可能となる。
【0080】
図11は、本発明の実施の形態に係る画像処理センサの撮像装置1の機能ブロック図である。部分画像生成部1101は、撮像して取得した画像データの一部である部分画像データを生成する。部分画像データとして、撮像して取得した画像データの中央を含む部分画像データを生成することが好ましい。通常は、検査対象物が画面の中央になるよう撮像することが多いからである。
【0081】
しかし、検査対象物の特徴部分が、検査対象物の中央に存在するとは限らない。そこで、抽出範囲設定部1102を設け、部分画像データとして抽出される範囲を自由に設定できるようにしてある。図12は、本発明の実施の形態に係る画像処理センサの抽出範囲設定の例示図である。
【0082】
図12に示すように、通常、部分画像データは、撮像して取得した画像データの中央を含む抽出範囲1201を抽出して生成する。しかし、検査対象物によっては、検査対象物の特徴部分が検査対象物の中央には存在せず、周辺部分に存在する場合もある。そこで、部分画像データとして抽出される範囲が、抽出範囲1202となるようにドラッグ操作等で移動させることにより、検査対象物の特徴部分が画像データの中央近傍に存在するよう部分画像データを生成することができる。
【0083】
なお、部分画像データの縦横比は、表示装置2の画面の縦横比と同一となるよう部分画像データを生成することが好ましい。表示時に拡大率・縮小率を表示装置2で自動調整する場合には、表示される画像が元の画像データと異なる縦横比で拡大・縮小して表示される可能性があるからである。ただし、完全に同一である必要はなく、ユーザが検査対象物の特徴部分を視認することができる範囲であれば、検査に支障はない。
【0084】
また、部分画像データの画素数は、表示装置2の画面の画素数と同一となるように部分画像データを生成することが好ましい。表示時に元の画像データと鮮明さが同一となり、検査対象物の特徴部分を視認することができるからである。ただし、完全に同一である必要はなく、表示された画像から、ユーザが特徴部分を視認することができる範囲であれば、検査に支障はない。
【0085】
図11に戻って、選択受付部1103は、画像処理の基準となる基準画像として記憶する画像データとして、圧縮画像データ又は部分画像データの選択を受け付ける。つまり、選択受付部1103で受け付ける選択に応じて、圧縮画像データを生成するか、部分画像データを生成するか、いずれか一方の処理を実行する。
【0086】
基準画像記憶部1104は、選択を受け付けた圧縮画像データ又は部分画像データを基準画像としてメモリ133に記憶する。つまり、通常は圧縮画像データをメモリ133から読み出して表示装置2で表示し、図10(a)のズームボタン91で「ON」が選択された場合、部分画像データをメモリ133から読み出して表示装置2で表示する。このようにすることで、見かけ上は画像が拡大されたように見えるが、実際には表示装置2の画面のピクセル数に対応した部分画像データに表示を切り替えることにより、鮮明な画像を表示することができる。
【0087】
図13は、本発明の実施の形態に係る画像処理センサの撮像装置1のメイン基板13のFPGA131の処理手順を示すフローチャートである。図13において、撮像装置1のメイン基板13のFPGA131は、DSP132からカメラモジュール14での撮像指示を受信する(ステップS1301)。
【0088】
FPGA131は、ズームが「ON」状態であるか否かを判断する(ステップS1302)。FPGA131が、ズームが「ON」状態であると判断した場合(ステップS1302:YES)、FPGA131は、部分画像データとして抽出される範囲を設定し(ステップS1303)、CMOS基板142へ指示信号を送信する。
【0089】
部分画像データとして抽出される範囲の設定は、撮像された画像データの一部を含んでいれば特に限定されるものではない。指示信号を受信したCMOS基板142は、設定された範囲の画像データを部分画像データとしてFPGA131へ送信する。
【0090】
FPGA131は、部分画像データをCMOS基板142から取得し(ステップS1304)、部分画像データをメモリ133に記憶する(ステップS1308)。以後、画像処理部へ部分画像データを渡して、検査を実行するための画像処理を実行する。
【0091】
FPGA131が、ズームが「OFF」状態であると判断した場合(ステップS1302:NO)、FPGA131は、画像データを抽出する範囲を全範囲に設定し(ステップS1305)、CMOS基板142へ指示信号を送信する。
【0092】
指示信号を受信したCMOS基板142は、全範囲の画像データをFPGA131へ送信する。
【0093】
FPGA131は、全範囲の画像データをCMOS基板142から取得し(ステップS1306)、取得した画像データに対して圧縮処理を実行する(ステップS1307)。例えば画像データを640ピクセル×480ピクセルの画像データとして取得した場合、表示装置2の最大表示ピクセル数である320ピクセル×240ピクセルまで画像圧縮して、圧縮画像データを生成する。
【0094】
FPGA131は、圧縮画像データをメモリ133に記憶し(ステップS1308)、以後、画像処理部へ圧縮画像データを渡して、検査を実行するための画像処理を実行する。
【0095】
以上説明したステップS1301〜ステップS1308の処理は、上述した「設定モード」においても「検査モード」においても実行される。図14は、位置補正ツール及び輪郭判別ツールの検査条件データの一覧を示す表である。具体的には、まず「設定モード」においては、ユーザは、表示装置2を介して、例えば図14に示すようなパラメータを含む、検査対象物を検査する条件に関する検査条件データを設定する。ここで、ズームを「ON」状態にした場合(ステップS1302:YES)、部分画像データを取得し(ステップS1304)、部分画像データに対して検査ツールを設定し、基準画像として登録する(ステップS1308)。一方、ズームを「OFF」状態にした場合(ステップS1302:NO)、画像圧縮処理を実行し(ステップS1307)、圧縮画像データに対して検査ツールを設定し、基準画像として登録する(ステップS1308)。
【0096】
次に、「検査モード」においては、「設定モード」において設定された検査条件データに含まれる、画像処理に用いる画像データとして圧縮画像データ又は部分画像データのいずれを用いるかを示すパラメータに基づいて、画像処理に用いる画像データの選択を受け付ける(ステップS1302)。つまり、「検査モード」において、画像処理に用いる画像データとして圧縮画像データを用いる場合には(ステップS1302:NO)、ステップS1306において、順次取得される検査対象物の画像データに対して、画像圧縮処理が実行され(ステップS1307)、「設定モード」のステップS1308において登録された基準画像との比較(例えばパターンサーチ等の処理)が行われる。一方、「検査モード」において、画像処理に用いる画像データとして部分画像データを用いる場合には(ステップS1302:YES)、ステップS1304において順次取得される部分画像データに対し、「設定モード」のステップS1308において登録された基準画像との比較(例えばパターンサーチ等の処理)が行われる。
【0097】
このように、図13に示す処理フローは、「設定モード」においても「検査モード」においても実行される。なお、本実施の形態では、「設定モード」のステップS1308において登録された基準画像との比較(例えばパターンサーチ等の処理)を行うようにしているが、特に基準画像と比較することに限定されるものではない。例えば、色面積が事前に定めておいた所定の範囲内に入っているか否かの検査を行う場合には、必ずしも基準画像との比較を行う必要はなく、所定の範囲を定める閾値(上限値及び下限値)が設定されていれば良い。要するに、検査条件データに含まれるパラメータに基づいて、画像処理に用いる画像データ(圧縮画像データ又は部分画像データ)の選択を受け付け、選択を受け付けた圧縮画像データ又は部分画像データを用いて、色面積検査等の画像処理を実行すれば良い。
【0098】
また、本発明は、いわゆるバンク切り替え(プログラム切り替え、品種切り替え)にも適用することが可能である。具体的には、例えばベルトコンベアを流れてくる検査対象物の種類が変更になった場合、当然のことながら検査条件データも変更する必要がある。そこで、検査対象物の種類に応じて、事前に複数種類の検査条件データを記憶しておき、PLC等からの品種切替信号が入力された場合に、検査条件データを切り替えるようにすれば良い。つまり、圧縮画像データ又は部分画像データのいずれを用いるかを示すパラメータを検査条件データに含めておくことにより、検査条件データの切り替えとともに、圧縮画像データ又は部分画像データの切り替えを行うことができる。
【0099】
図14に示すパラメータリストの「ズーム設定」を一例として説明する。「ズーム設定」の設定値としては、「標準」又は「2倍ズーム」のいずれかを選択することができる。「標準」が選択された検査条件データに切り換えた場合、圧縮画像データを用いて画像処理が実行され、「2倍ズーム」が選択された検査条件データに切り替えた場合には、部分画像データを用いて画像処理が実行される。
【0100】
要するに、画像処理センサに、検査条件データの切替指示を受け付ける検査条件切替指示受付手段を備え、検査条件データの切替指示を受け付けた場合に、切替後の検査条件データに含まれるパラメータに基づいて、画像処理に用いる画像データの選択を受け付ける。なお、ここでは検査条件データの切替指示として、PLC等からの品種切替信号を想定しているが、例えば図5(b)のプログラム選択領域53にて、所望の検査条件データ(プログラム)を選択する等、手動で検査条件データを切り替えても良い。
【0101】
なお、図14に示す各種設定項目(設定パラメータ)のうち、トリガ関連でいえば、少なくとも内部トリガ又は外部トリガのいずれかを選択するためのパラメータ「トリガ方式」を必須設定項目とすることが好ましい。撮像関連でいえば、少なくとも標準/2倍ズーム(圧縮画像データを用いるか部分画像データを用いるか)のいずれかを選択するためのパラメータ「ズーム設定」を必須設定項目とすることが好ましい。ツール関連でいえば、少なくともどのような種別のツールで画像処理を行うかを決定するためのパラメータ「ツール種別」及び検査精度の基準となるパラメータ「閾値」(一致度)を必須設定項目とすることが好ましい。特に、検査対象物の良否判定を行う場合、「ツール種別」を必須設定項目とすることが好ましい。
【0102】
以上のように本実施の形態によれば、選択を受け付けた圧縮画像データ又は部分画像データを、検査のための画像処理の基準となる基準画像として生成して記憶するので、検査の内容に応じてどちらの画像データを用いるかを適宜選択することにより、不要な画像データを生成する必要がない。また、部分画像データを用いて画像処理を実行する場合であっても、検査の精度を低下させることがなく、見掛け上、視野倍率を高めたのと同様の効果を奏することが可能となる。
【0103】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変更、改良等が可能である。例えば撮像装置1と表示装置2とは、接続ケーブル3で直結されている形態に限定されるものではなく、LAN、WAN等のネットワーク網を介して接続されていても良いことは言うまでもない。また、本実施の形態では撮像装置1と表示装置2とは別体となっているが、両者が一体になった画像処理センサであっても良い。
【0104】
さらに、表示装置2は、画像処理装置の表示部として機能する。より具体的には、画像処理装置は、圧縮画像データを表示するための表示部を備えており、表示部には、生成された部分画像データも表示される。そして、「検査モード」である場合、上述した選択受付部1103にて選択を受け付けた圧縮画像データ又は部分画像データのいずれかを表示部に表示させながら、検査のための画像処理を実行する。また、「設定モード」である場合、選択受付部1103で選択を受け付けた圧縮画像データ又は部分画像データを表示部に表示させながら、基準画像として記憶する。このように、「検査モード」においても「設定モード」においても、選択受付部1103で選択を受け付けた圧縮画像データ又は部分画像データを表示部に表示させながら、各種処理を実行することが可能となっている。
【符号の説明】
【0105】
1 撮像装置
2 表示装置
3 接続ケーブル
13 メイン基板
14 カメラモジュール(撮像部)
21 タッチパネル
131 FPGA(圧縮処理部、画像処理部)
1101 部分画像生成部
1102 抽出範囲設定部
1103 選択受付部
1104 基準画像記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物を撮像する撮像部と、
該撮像部で撮像して取得した画像データに対して圧縮処理を実行して圧縮画像データを生成する圧縮処理部と、
検査のための画像処理を実行する画像処理部と
を備える画像処理装置において、
前記画像処理部は、
取得した画像データの一部である部分画像データを生成する部分画像生成部と、
画像処理に用いる画像データとして、前記圧縮画像データ又は前記部分画像データのいずれかの選択を受け付ける選択受付部と
を備え、
該選択受付部で選択を受け付けた前記圧縮画像データ又は前記部分画像データを用いて、検査のための画像処理を実行することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
画像処理に用いる画像データとして、前記圧縮画像データ又は前記部分画像データのいずれを用いるかを示すパラメータを含む、検査対象物を検査する条件に関する検査条件データを設定する検査条件データ設定部を備え、
前記選択受付部は、前記検査条件データに含まれる前記パラメータに基づいて、画像処理に用いる画像データの選択を受け付けることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記検査条件データの切替指示を受け付ける検査条件切替指示受付手段を備え、
前記選択受付部は、前記検査条件切替指示受付手段で前記検査条件データの切替指示を受け付けた場合、切替後の前記検査条件データに含まれる前記パラメータに基づいて、画像処理に用いる画像データの選択を受け付けることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記選択受付部で選択を受け付けた前記圧縮画像データ又は前記部分画像データを基準画像として記憶する基準画像記憶部を備え、
前記画像処理部は、記憶してある前記基準画像と比較することにより、検査のための画像処理を実行することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記部分画像生成部は、取得した画像データの中央を含む前記部分画像データを生成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記部分画像生成部は、前記部分画像データとして抽出される範囲を設定する抽出範囲設定部を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記部分画像生成部は、前記部分画像データの縦横比が、画像が表示される画面の縦横比と同一となるよう前記部分画像データを生成することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記部分画像生成部は、前記部分画像データの画素数が、画像が表示される画面の画素数と同一となるよう前記部分画像データを生成することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
検査対象物を撮像する撮像部と、
該撮像部で撮像して取得した画像データに対して圧縮処理を実行して圧縮画像データを生成する圧縮処理部と、
検査のための画像処理を実行する画像処理部と
を備える画像処理装置で実行することが可能な画像処理方法において、
前記画像処理部は、
取得した画像データの一部である部分画像データを生成し、
画像処理に用いる画像データとして、前記圧縮画像データ又は前記部分画像データのいずれかの選択を受け付け、
選択を受け付けた前記圧縮画像データ又は前記部分画像データを用いて、検査のための画像処理を実行することを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
画像処理に用いる画像データとして、前記圧縮画像データ又は前記部分画像データのいずれを用いるかを示すパラメータを含む、検査対象物を検査する条件に関する検査条件データを設定し、
前記検査条件データに含まれる前記パラメータに基づいて、画像処理に用いる画像データの選択を受け付けることを特徴とする請求項9記載の画像処理方法。
【請求項11】
前記検査条件データの切替指示を受け付け、
前記検査条件データの切替指示を受け付けた場合、切替後の前記検査条件データに含まれる前記パラメータに基づいて、画像処理に用いる画像データの選択を受け付けることを特徴とする請求項9又は10に記載の画像処理方法。
【請求項12】
選択を受け付けた前記圧縮画像データ又は前記部分画像データを基準画像として記憶し、
記憶してある前記基準画像と比較することにより、検査のための画像処理を実行することを特徴とする請求項9乃至11のいずれか一項に記載の画像処理方法。
【請求項13】
取得した画像データの中央を含む前記部分画像データを生成することを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一項に記載の画像処理方法。
【請求項14】
前記部分画像データとして抽出される範囲を設定することを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一項に記載の画像処理方法。
【請求項15】
前記部分画像データの縦横比が、画像が表示される画面の縦横比と同一となるよう前記部分画像データを生成することを特徴とする請求項9乃至14のいずれか一項に記載の画像処理方法。
【請求項16】
前記部分画像データの画素数が、画像が表示される画面の画素数と同一となるよう前記部分画像データを生成することを特徴とする請求項9乃至15のいずれか一項に記載の画像処理方法。
【請求項17】
検査対象物を撮像する撮像部と、
該撮像部で撮像して取得した画像データに対して圧縮処理を実行して圧縮画像データを生成する圧縮処理部と、
検査のための画像処理を実行する画像処理部と
を備える画像処理装置で実行することが可能なコンピュータプログラムにおいて、
前記画像処理部を、
取得した画像データの一部である部分画像データを生成する部分画像生成手段、
画像処理に用いる画像データとして、前記圧縮画像データ又は前記部分画像データのいずれかの選択を受け付ける選択受付手段、及び
選択を受け付けた前記圧縮画像データ又は前記部分画像データを用いて、検査のための画像処理を実行する手段
として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項18】
前記画像処理部を、
画像処理に用いる画像データとして、前記圧縮画像データ又は前記部分画像データのいずれを用いるかを示すパラメータを含む、検査対象物を検査する条件に関する検査条件データを設定する検査条件データ設定手段として機能させ、
前記選択受付手段を、
前記検査条件データに含まれる前記パラメータに基づいて、画像処理に用いる画像データの選択を受け付ける手段として機能させることを特徴とする請求項17記載のコンピュータプログラム。
【請求項19】
前記画像処理部を、
前記検査条件データの切替指示を受け付ける検査条件切替指示受付手段として機能させ、
前記選択受付手段を、
前記検査条件切替指示受付手段で前記検査条件データの切替指示を受け付けた場合、切替後の前記検査条件データに含まれる前記パラメータに基づいて、画像処理に用いる画像データの選択を受け付ける手段として機能させることを特徴とする請求項17又は18に記載のコンピュータプログラム。
【請求項20】
前記画像処理部を、
前記選択受付手段で選択を受け付けた前記圧縮画像データ又は前記部分画像データを基準画像として記憶する基準画像記憶手段、及び
記憶してある前記基準画像と比較することにより、検査のための画像処理を実行する手段として機能させることを特徴とする請求項17乃至19のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項21】
前記部分画像生成手段を、取得した画像データの中央を含む前記部分画像データを生成する手段として機能させることを特徴とする請求項17乃至20のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項22】
前記部分画像生成手段を、前記部分画像データとして抽出される範囲を設定する抽出範囲設定手段として機能させることを特徴とする請求項17乃至20のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項23】
前記部分画像生成手段を、前記部分画像データの縦横比が、画像が表示される画面の縦横比と同一となるよう前記部分画像データを生成する手段として機能させることを特徴とする請求項17乃至22のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項24】
前記部分画像生成手段を、前記部分画像データの画素数が、画像が表示される画面の画素数と同一となるよう前記部分画像データを生成する手段として機能させることを特徴とする請求項17乃至23のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−108799(P2013−108799A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252905(P2011−252905)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】