画像処理装置、画像処理方法及びプログラム
【課題】画像処理装置において、記録されたログ情報のみからでは原因の特定が困難な障害について、顧客から印刷データの提供を受けられない場合においても、障害発生時の印刷データを的確に再現した再現テスト用の印刷画像データを作成することを課題とする。
【解決手段】顧客の印刷画像データに含まれる画像の内、例えばフォント画像であれば文字コードや配置座標、直線画像であれば配置座標や方向、といった属性情報を変更した印刷画像データを作成する。また、画像処理装置内に設けられたフォントデータ格納部や、イメージ画像データ格納部のデータを用いて印刷画像データの変更及び入れ替え処理を行う。この様にして変更された印刷画像データを用いることで、顧客の個人情報等を置換でき、且つ、元の印刷画像データに近いため再現テストに適した画像データを生成することができる。
【解決手段】顧客の印刷画像データに含まれる画像の内、例えばフォント画像であれば文字コードや配置座標、直線画像であれば配置座標や方向、といった属性情報を変更した印刷画像データを作成する。また、画像処理装置内に設けられたフォントデータ格納部や、イメージ画像データ格納部のデータを用いて印刷画像データの変更及び入れ替え処理を行う。この様にして変更された印刷画像データを用いることで、顧客の個人情報等を置換でき、且つ、元の印刷画像データに近いため再現テストに適した画像データを生成することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機などの画像形成装置において、障害発生時の印刷内容を再現してテストするための画像データを生成する画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ等における印刷実行時に、画像処理プロセスの生産性低下や誤印字、不正な給排紙動作といった障害が顧客先で発生する場合がある。顧客先で発生した障害を早期に解決するために、印刷に関する情報(以下、ログ情報という)を常に記録しておき、障害発生時にログ情報を直ちに取得して原因を特定し、障害の早期解決を図る、といったことが行われている。
【0003】
しかし、記録するログ情報の量が多い程、障害の原因解析は容易になるが、記録する量によってはログ情報自体が印刷の生産性低下を招くおそれがある。従って、ログ情報としては必要最低限の情報のみを記録しておくことしか出来ず、その様なログ情報からでは原因の特定が困難な障害も数多く発生していた。
【0004】
このように、ログ情報から障害の原因を特定することが困難な場合には、障害が発生した印刷データを顧客から入手して実際に再現テストを実施した上で、障害の原因を特定して解決を図る必要があった。
【0005】
しかしながら、顧客の印刷データには個人情報が含まれていることも多く、この様な場合には印刷データの提供を受けることが困難であり、障害発生時の印刷内容を再現したテストを行うことが出来ない場合があった。そのため、この様な場合には障害の原因追求や対策までに多大な時間を要してしまう、という問題があった。
【0006】
特に、障害の原因がプリンタコントローラ内部で行う印刷データの解析処理や、印刷画像データの生成処理などに起因する場合には、印刷データが提供されないことにより障害解析がさらに長期化してしまうという問題が発生することがあった。
【0007】
このような問題を解決するために、例えば特許文献1では、顧客の印刷データを画像イメージデータと出力制御情報データに分割し、出力制御情報データのみを画像処理システムの記憶装置に保存しておく方法が開示されている。当該方法によれば、保存した出力制御情報データを読み出し、新たな画像イメージデータを作成することで、顧客の個人情報に関する部分を秘匿した状態で、障害発生時の印刷データを再現することができる。
【0008】
また、例えば特許文献2では、印刷データに含まれる個人情報に関する文字やグラフィックなどの画像データを、当該画像データとは異なる画像データに置換する方法が開示されている。当該方法によれば、 文字コード等に基づいて文字種を検出して、当該文字コードを予め決められた文字コードに置換すると同時に、印刷データにグラフィックが含まれる場合には、当該グラフィックとは異なるグラフィックに置換することで障害解析用の印刷データを生成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1では、顧客の印刷データの中から出力制御情報データのみを用いて画像イメージデータを再現しているため、再現した画像のデータフォーマットやデータサイズが実際に処理された画像データとは大きく異なってしまう可能性がある。従って、障害が発生した時点における顧客の印刷データを必ずしも再現したことにはならず、障害の解析に適した画像イメージを再現しているとはいえない場合があった。
【0010】
また、特許文献2では、予め用意したデータを元印刷画像の画像領域部に描画することで再現性を高めているが、顧客の印刷画像とは異なるフォーマットやサイズのデータに置換されるため、障害の再現には適さない画像が再現される可能性があった。
【0011】
従って、顧客から印刷データが提供されない場合に上記した方法を用いても、障害の内容の解析から原因特定、解決に至るまでの時間が長期化するという問題を解消できない場合があった。
【0012】
そこで本発明では、記録されたログ情報のみからでは原因の特定が困難な障害について、顧客側で障害が発生した印刷データを基に、機密情報を含まず且つ障害原因の解析・特定の容易性に優れた再現テスト用印刷データを作成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像処理装置は、印刷データを受信する印刷データ受信部と、受信した印刷データから、前記印刷データに含まれる画像の種類を示す基本情報と、前記画像の座標等を示す属性情報とを含む印刷画像データと、前記印刷画像データから障害発生時の印刷画像を再現してテストするための再現テスト用画像データとを生成する印刷画像データ生成部と、前記印刷画像データ生成部から受信した前記印刷画像データから印刷画像を生成する画像生成部と、を有し、前記印刷画像データ生成部は、前記印刷画像データの属性情報を変更して前記再現テスト用画像データを生成することを特徴とする。
【0014】
この様な構成によって、印刷画像データに含まれる画像データの内、例えばフォント画像であれば文字コードや配置座標、直線画像であれば配置座標や方向、といった属性情報を変更することで、顧客の個人情報等を置換でき、且つ、元の印刷画像に近い再現テスト用画像データを生成することができる。
【0015】
また、本発明に係る画像処理装置は、複数のフォントデータを格納するフォントデータ格納部を有し、前記印刷画像データが、画像処理装置内に存在しないフォントを含む場合に、前記印刷画像データ生成部が、当該フォントに係る画像データの属性情報の一部を、前記フォントデータ格納部が保持するフォントデータに変更して、前記再現テスト用画像データを生成することを特徴とする。
【0016】
このような構成によって、印刷画像データに、画像処理装置内に存在しないフォントに係る画像がある場合でも、当該フォントに係る画像データを変更することができる。従って、どの様なフォントであっても、異なるフォントに置き換えて再現テスト用画像データを生成することができる。
【0017】
また、本発明に係る画像処理装置は、複数のイメージ画像データを格納するイメージ画像データ格納部を有し、前記印刷画像データがイメージ画像を含む場合に、前記印刷画像データ生成部は、当該イメージ画像を、前記イメージ画像データ格納部が保持するイメージ画像に入れ替えて再現テスト用画像データを生成することを特徴とする。
【0018】
このような構成によって、印刷画像データがイメージ画像を含む場合であっても、元のイメージ画像を、イメージ画像データ格納部が保持するフォーマットやサイズ等が近い画像に入れ替えることで、再現テスト用画像データを生成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の実施の形態によれば、印刷データに含まれる画像データを、近似する画像データに変更することで、顧客の個人情報等に関する画像データを使用することなく、障害発生時の印刷画像を的確に再現したテスト用画像データを生成することができる。この再現テスト用画像データを用いることによって、顧客先で発生した障害についても早期に解決することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置の概要を示す図
【図2】印刷画像イメージと印刷画像データの例を示す図
【図3】印刷画像データにおけるフォントの属性情報を変更する際の処理例を示すフローチャート
【図4】再現テスト用画像データの生成例とその印刷画像イメージの例を示す図
【図5】本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置の概要を示す図
【図6】印刷画像イメージと印刷画像データの例を示す図
【図7】ダウンロードフォントの場合に印刷画像データの属性情報変更処理例を示すフローチャート
【図8】画像生成部の作業メモリエリアの概念図
【図9】印刷画像データのイメージ画像を入れ替える際の処理例を示すフローチャート
【図10】印刷画像データがダウンロードフォント及びイメージ画像を含む場合の再現テスト用画像データの生成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下「実施形態」という)について、図面を用いて詳細に説明する。
[第1の実施形態]
<画像処理装置の概要>
本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置100の概要を図1に示す。
【0022】
ホスト装置101から送信された印刷データは、画像処理装置100内部の印刷データ受信部102が受信する。印刷データ受信部102は、受信した印刷データを逐次印刷画像データ生成部103に転送する。印刷画像データ生成部103は、転送された印刷データを、出力制御データと、印刷画像に含まれている画像についての基本情報及び属性情報で構成される印刷画像データとに分離する。分離した出力制御データを印刷制御部106に転送し、印刷画像データを画像生成部104に転送する。画像生成部104は、印刷画像データから印刷画像を生成して印刷制御部106に転送し、印刷制御部106は、受信した出力制御用データ及び印刷画像に基づいて、接続された画像形成装置107を制御して印刷を実行する。
【0023】
図2に、印刷画像イメージ200と、印刷画像データ生成部103によって生成された印刷画像データ201の例を示す。印刷画像データ201は、印刷画像イメージ200に含まれている、例えば直線1〜3、フォント1〜4といった画像の種類を示す基本情報と、各画像についての、例えば座標等を示す属性情報とで構成される。属性情報としては、直線の場合には、例えば座標、長さ、太さ、方向といった情報を含む。また、フォントの場合には、例えば座標、大きさ、回転、装飾、文字コード等といった情報が含まれる。
<再現テスト用画像データの生成>
前記印刷画像データ生成部103では、前記した様に印刷画像データを印刷画像に含まれている画像についての基本情報及び属性情報で構成される印刷画像データを生成するだけではなく、障害発生時の印刷画像を再現してテストするための再現テスト用画像データの生成も行う。
【0024】
再現テスト用画像データの生成は、印刷画像データの属性情報を変更し、変更したデータに基づいて画像データを生成することによって行う。属性情報の変更は、例えばフォントデータの場合には、図3に示すフローチャートに従って処理される。
【0025】
まず、ステップS100において、印刷データ受信部102から印刷画像データを受信し、ステップS101で印刷画像データ中にフォントデータが存在する場合にはその属性情報を読み込む。ステップS102では、読み込んだ属性情報を元にフォントデータ用のテーブルを作成する。続いて、ステップS103において、擬似ランダム関数を使用して新しく文字コードを生成する。文字コードを変更することで、確実に異なるフォント画像に変更することができる。次に、ステップS104で、擬似ランダム関数を使用して新たに座標データを算出し、ステップS105においてフォント画像が印刷画像範囲内にあることを確認する。同様に、ステップS106において回転角度についても擬似ランダム関数によって新たな回転角度を算出する。新たに算出した文字コード等の属性情報は、ステップS107において、元の印刷画像データに上書きされる。本実施例においては、文字コードや座標といった属性情報の変更例を示したが、これ以外の大きさ等の属性情報についても、同様に変更することができる。
【0026】
また、フォントデータ以外の印刷画像データとして、例えば直線画像についても座標及び方向についての属性情報を上記と同様に変更し、印刷画像データを上書きする。
【0027】
印刷画像データ生成部103は、以上で例示した方法によって属性情報が変更された印刷画像データを生成し、再現テスト用データ格納部105に保存する。
【0028】
図4に、変更された属性情報によって生成された再現テスト用画像データ202とそのデータを印刷した際の印刷画像イメージ203を示す。生成された再現テスト用画像データ202は、顧客の個人情報に関する部分については確実に変更して保存され、障害発生時に読み出されて再現テストに供される。従って、顧客の個人情報が漏洩するおそれがなく、且つ、元の印刷画像イメージに極力近似した画像データを用いて障害再現テストを行うことができる。
【0029】
この様な再現テスト用画像データの生成を常時行う設定にしても良いが、必要な場合にのみ行うことで処理の負荷を低減し、格納されるデータ量を削減することができる。この場合には、例えば「通常印刷モード」と「再現テスト用画像生成モード」を用意しておき、「再現テスト用画像生成モード」の場合にのみ上記した印刷画像データ生成処理を実施する様な印刷モードを設定する。
【0030】
また、再現テスト用データ格納部105に格納された再現テスト用画像データは、ネットワークを介してホスト装置101等によって取り出せるようにしても良い。顧客先で発生した障害についても、再現テスト用画像データを取得してテストすることで、障害の原因を解析し、早期解決に導くことが可能になる。
[第2の実施形態]
<画像処理装置の概要>
本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置100の概要を図5に示す。
【0031】
第1の実施形態に係る画像処理装置とは、フォントデータ格納部108及びイメージ画像データ格納部109を、印刷画像データ生成部103に接続して有している点で異なっている。
【0032】
本実施形態に係る画像処理装置100は、印刷画像データ生成部103が再現テスト用画像データを生成する際に、必要に応じてフォントデータ格納部108及びイメージ画像データ格納部109からデータを取得出来る様に構成されている。
【0033】
フォントデータ格納部108は、複数のフォントデータを保持している。また、イメージ画像データ格納部109は、例えばハーフトーンパターンや、ビットマップイメージといった異なるフォーマットやサイズ等を含む多数の画像イメージデータを保持している。これらのイメージ画像データは、例えばフォーマット形式や画像の縦サイズ、横サイズ、色数といった情報と共に格納されている。
<再現テスト用画像データの生成>
画像処理装置100が受信する印刷画像データには、画像処理装置100が保持しないフォント(以下、「ダウンロードフォント」という)や、イメージ画像を含む場合がある。ダウンロードフォントや、イメージ画像を含む場合の印刷画像イメージ600と、印刷画像データ601の例を図6に示す。
【0034】
印刷画像データ生成部103では、フォント画像がダウンロードフォントであった場合には、該当するフォントの属性情報が文字データを含むように生成する。また、イメージ画像については属性情報として、例えばフォーマット、縦サイズ、横サイズ、色数といった情報を含む印刷画像データ601が生成される。
【0035】
印刷画像データ生成部103は、この様な印刷画像データ601の各画像の属性情報を変更して再現テスト用画像データを生成する。
<ダウンロードフォント画像の属性情報変更処理>
図7に、印刷画像データ中にダウンロードフォントが含まれていた場合の処理例のフローチャートを示す。フォント画像のデータがダウンロードフォントであるか否かは、印刷画像データの属性情報中の文字データの存在によって判断される。ダウンロードフォントでない場合には、第1の実施形態と同様の処理によって属性情報が変更される。
【0036】
まず、ステップS200では、取得したフォントデータの属性情報から、フォントデータ(A)のテーブルを作成する。次に、ステップS201でフォントデータ(A)を画像生成部104に送信してビットイメージ(A)の生成を依頼する。その後、ステップS202及びステップS203において、フォントデータ格納部108にアクセスして同一フォーマットのフォントデータの検索を行う。同一フォーマットのフォントデータが有る場合には、ステップS205においてフォントデータを読み込み、同一フォーマットのフォントデータが無い場合には、ステップS204において異なるフォーマットのフォントデータを読み込む。読み込んだフォントデータを用いて、ステップS206においてフォントデータ(B)のテーブルを作成し、ステップS207において画像生成部104にフォントデータを送信してビットイメージ(B)の生成とビットイメージの比較を依頼する。ステップS208において、画像生成部104はビットイメージ(A)とビットイメージ(B)を比較し、同一フォントであった場合には、その旨を印刷画像データ生成部103に報告し、報告を受けた印刷画像データ生成部103は、ステップS202から再度やり直す。異なるフォントであることが確認された場合には、ステップS209によって印刷画像データの属性情報の文字データ部分の上書きを行う。
【0037】
図8に、画像生成部104がダウンロードフォントについて属性情報の変更処理を行う際の作業メモリエリアの概念図を示す。作業メモリエリアには、2つのフォントデータのテーブルと、それに対応するビットイメージが生成される。図7に示したステップS208における、同一フォントであるか否かの判断は、ビットイメージ内における複数の比較ポイントの画像を比較することによって行う。この様な処理を行うことによって、確実に異なる文字データに変更することができる。
【0038】
印刷画像データがダウンロードフォントを含んでいた場合には、以上の処理によって、フォントの属性情報を変更し、異なるフォント画像に変更することができる。さらに、第1の実施形態と同様にして、例えば座標や回転角度といった他の属性情報も同時に変更して印刷画像データを上書きすることもできる。この様な処理によって、フォント画像部分に含まれる個人情報を秘匿した再現テスト用画像データを生成できる。
<イメージ画像の入れ替え処理>
図9に、印刷画像データにイメージ画像が含まれている場合の処理例のフローチャートを示す。まず、ステップS300において、イメージ画像の属性情報を読み込む。次に、イメージ画像データ格納部109にアクセスしてイメージ画像を取得する。続いて、ステップS302〜S309において、取得したイメージ画像と元のイメージ画像とフォーマット、縦サイズ、横サイズ、色数を比較し、同一でない場合には変更フラグを「ON」にする。ステップS310では、フォーマットやサイズ等の違いが所定範囲内か、取得したイメージ画像がイメージ画像データ格納部109に存在する最後のイメージ画像であるか、について判断する。所定範囲外であり、最後のイメージ画像ではない場合には、再度ステップS301のイメージ画像検索からの処理を実施する。所定範囲内又は最後のイメージ画像であった場合には、ステップS311にて変更フラグの確認を行い、変更フラグが「ON」になっているフォーマットやサイズ等については、元のイメージ画像と同一になる様にステップS312において変更する。最後のステップS313において、印刷画像データのイメージ画像を、フォーマット、サイズ、色数は同一であるが異なるイメージ画像に置き換える。
【0039】
また、イメージ画像についての属性情報である、例えば座標等について、擬似ランダム関数によって新たな座標値等を算出して変更することもできる。さらに、元のイメージ画像については、警告表示を行った上で、新たにイメージ画像データ格納部109にダウンロードして保存しても良い。
【0040】
図10に、印刷画像データがダウンロードフォント及びイメージ画像を含む場合の再現テスト用画像の生成例(再現テスト用印刷画像イメージ602)を示す。図に示した様に、印刷画像データにダウンロードフォントやイメージ画像が含まれている場合であっても、それぞれフォントデータ格納部108又はイメージ画像データ格納部109のデータを用いることで、個人情報を秘匿することができ、なお且つ、障害の再現テスト用画像データとして好適な印刷画像データを生成することができる。
<まとめ>
本実施形態に係る画像処理装置によれば、印刷データに含まれる画像データを、近似する画像データに変更することができるため、顧客の個人情報を確実に秘匿し、且つ、障害発生時の印刷画像に近い画像データを再現することができる。従って、顧客先において障害が発生した場合であっても、再現テスト用画像データを用いることで障害の発生原因の特定を速やかに行うことができ、障害を早期に解決することが可能になる。
【0041】
また、画像処理装置内に存在しないフォントが印刷画像データに含まれる場合にも、フォントデータ格納部が保持するフォントデータを用いて文字データを変更し、異なるフォントに変更することができる。
【0042】
さらに、印刷画像データに含まれるイメージ画像についても、イメージ画像データ格納部が保持する異なるイメージ画像データに置き換えることができる。置き換えるイメージ画像データは、元のイメージ画像データとフォーマット、サイズ等が同一であるため、障害の原因解析に適した印刷画像データの生成が可能になる。
【符号の説明】
【0043】
102 印刷データ受信部
103 印刷画像データ生成部
104 画像生成部
105 再現テスト用データ格納部
106 印刷制御部
108 フォントデータ格納部
109 イメージ画像データ格納部
200 印刷画像イメージ
201 印刷画像データ
202 再現テスト用画像データ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】特開2008―117255号公報
【特許文献2】特開2007−334539号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機などの画像形成装置において、障害発生時の印刷内容を再現してテストするための画像データを生成する画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ等における印刷実行時に、画像処理プロセスの生産性低下や誤印字、不正な給排紙動作といった障害が顧客先で発生する場合がある。顧客先で発生した障害を早期に解決するために、印刷に関する情報(以下、ログ情報という)を常に記録しておき、障害発生時にログ情報を直ちに取得して原因を特定し、障害の早期解決を図る、といったことが行われている。
【0003】
しかし、記録するログ情報の量が多い程、障害の原因解析は容易になるが、記録する量によってはログ情報自体が印刷の生産性低下を招くおそれがある。従って、ログ情報としては必要最低限の情報のみを記録しておくことしか出来ず、その様なログ情報からでは原因の特定が困難な障害も数多く発生していた。
【0004】
このように、ログ情報から障害の原因を特定することが困難な場合には、障害が発生した印刷データを顧客から入手して実際に再現テストを実施した上で、障害の原因を特定して解決を図る必要があった。
【0005】
しかしながら、顧客の印刷データには個人情報が含まれていることも多く、この様な場合には印刷データの提供を受けることが困難であり、障害発生時の印刷内容を再現したテストを行うことが出来ない場合があった。そのため、この様な場合には障害の原因追求や対策までに多大な時間を要してしまう、という問題があった。
【0006】
特に、障害の原因がプリンタコントローラ内部で行う印刷データの解析処理や、印刷画像データの生成処理などに起因する場合には、印刷データが提供されないことにより障害解析がさらに長期化してしまうという問題が発生することがあった。
【0007】
このような問題を解決するために、例えば特許文献1では、顧客の印刷データを画像イメージデータと出力制御情報データに分割し、出力制御情報データのみを画像処理システムの記憶装置に保存しておく方法が開示されている。当該方法によれば、保存した出力制御情報データを読み出し、新たな画像イメージデータを作成することで、顧客の個人情報に関する部分を秘匿した状態で、障害発生時の印刷データを再現することができる。
【0008】
また、例えば特許文献2では、印刷データに含まれる個人情報に関する文字やグラフィックなどの画像データを、当該画像データとは異なる画像データに置換する方法が開示されている。当該方法によれば、 文字コード等に基づいて文字種を検出して、当該文字コードを予め決められた文字コードに置換すると同時に、印刷データにグラフィックが含まれる場合には、当該グラフィックとは異なるグラフィックに置換することで障害解析用の印刷データを生成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1では、顧客の印刷データの中から出力制御情報データのみを用いて画像イメージデータを再現しているため、再現した画像のデータフォーマットやデータサイズが実際に処理された画像データとは大きく異なってしまう可能性がある。従って、障害が発生した時点における顧客の印刷データを必ずしも再現したことにはならず、障害の解析に適した画像イメージを再現しているとはいえない場合があった。
【0010】
また、特許文献2では、予め用意したデータを元印刷画像の画像領域部に描画することで再現性を高めているが、顧客の印刷画像とは異なるフォーマットやサイズのデータに置換されるため、障害の再現には適さない画像が再現される可能性があった。
【0011】
従って、顧客から印刷データが提供されない場合に上記した方法を用いても、障害の内容の解析から原因特定、解決に至るまでの時間が長期化するという問題を解消できない場合があった。
【0012】
そこで本発明では、記録されたログ情報のみからでは原因の特定が困難な障害について、顧客側で障害が発生した印刷データを基に、機密情報を含まず且つ障害原因の解析・特定の容易性に優れた再現テスト用印刷データを作成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像処理装置は、印刷データを受信する印刷データ受信部と、受信した印刷データから、前記印刷データに含まれる画像の種類を示す基本情報と、前記画像の座標等を示す属性情報とを含む印刷画像データと、前記印刷画像データから障害発生時の印刷画像を再現してテストするための再現テスト用画像データとを生成する印刷画像データ生成部と、前記印刷画像データ生成部から受信した前記印刷画像データから印刷画像を生成する画像生成部と、を有し、前記印刷画像データ生成部は、前記印刷画像データの属性情報を変更して前記再現テスト用画像データを生成することを特徴とする。
【0014】
この様な構成によって、印刷画像データに含まれる画像データの内、例えばフォント画像であれば文字コードや配置座標、直線画像であれば配置座標や方向、といった属性情報を変更することで、顧客の個人情報等を置換でき、且つ、元の印刷画像に近い再現テスト用画像データを生成することができる。
【0015】
また、本発明に係る画像処理装置は、複数のフォントデータを格納するフォントデータ格納部を有し、前記印刷画像データが、画像処理装置内に存在しないフォントを含む場合に、前記印刷画像データ生成部が、当該フォントに係る画像データの属性情報の一部を、前記フォントデータ格納部が保持するフォントデータに変更して、前記再現テスト用画像データを生成することを特徴とする。
【0016】
このような構成によって、印刷画像データに、画像処理装置内に存在しないフォントに係る画像がある場合でも、当該フォントに係る画像データを変更することができる。従って、どの様なフォントであっても、異なるフォントに置き換えて再現テスト用画像データを生成することができる。
【0017】
また、本発明に係る画像処理装置は、複数のイメージ画像データを格納するイメージ画像データ格納部を有し、前記印刷画像データがイメージ画像を含む場合に、前記印刷画像データ生成部は、当該イメージ画像を、前記イメージ画像データ格納部が保持するイメージ画像に入れ替えて再現テスト用画像データを生成することを特徴とする。
【0018】
このような構成によって、印刷画像データがイメージ画像を含む場合であっても、元のイメージ画像を、イメージ画像データ格納部が保持するフォーマットやサイズ等が近い画像に入れ替えることで、再現テスト用画像データを生成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の実施の形態によれば、印刷データに含まれる画像データを、近似する画像データに変更することで、顧客の個人情報等に関する画像データを使用することなく、障害発生時の印刷画像を的確に再現したテスト用画像データを生成することができる。この再現テスト用画像データを用いることによって、顧客先で発生した障害についても早期に解決することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置の概要を示す図
【図2】印刷画像イメージと印刷画像データの例を示す図
【図3】印刷画像データにおけるフォントの属性情報を変更する際の処理例を示すフローチャート
【図4】再現テスト用画像データの生成例とその印刷画像イメージの例を示す図
【図5】本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置の概要を示す図
【図6】印刷画像イメージと印刷画像データの例を示す図
【図7】ダウンロードフォントの場合に印刷画像データの属性情報変更処理例を示すフローチャート
【図8】画像生成部の作業メモリエリアの概念図
【図9】印刷画像データのイメージ画像を入れ替える際の処理例を示すフローチャート
【図10】印刷画像データがダウンロードフォント及びイメージ画像を含む場合の再現テスト用画像データの生成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下「実施形態」という)について、図面を用いて詳細に説明する。
[第1の実施形態]
<画像処理装置の概要>
本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置100の概要を図1に示す。
【0022】
ホスト装置101から送信された印刷データは、画像処理装置100内部の印刷データ受信部102が受信する。印刷データ受信部102は、受信した印刷データを逐次印刷画像データ生成部103に転送する。印刷画像データ生成部103は、転送された印刷データを、出力制御データと、印刷画像に含まれている画像についての基本情報及び属性情報で構成される印刷画像データとに分離する。分離した出力制御データを印刷制御部106に転送し、印刷画像データを画像生成部104に転送する。画像生成部104は、印刷画像データから印刷画像を生成して印刷制御部106に転送し、印刷制御部106は、受信した出力制御用データ及び印刷画像に基づいて、接続された画像形成装置107を制御して印刷を実行する。
【0023】
図2に、印刷画像イメージ200と、印刷画像データ生成部103によって生成された印刷画像データ201の例を示す。印刷画像データ201は、印刷画像イメージ200に含まれている、例えば直線1〜3、フォント1〜4といった画像の種類を示す基本情報と、各画像についての、例えば座標等を示す属性情報とで構成される。属性情報としては、直線の場合には、例えば座標、長さ、太さ、方向といった情報を含む。また、フォントの場合には、例えば座標、大きさ、回転、装飾、文字コード等といった情報が含まれる。
<再現テスト用画像データの生成>
前記印刷画像データ生成部103では、前記した様に印刷画像データを印刷画像に含まれている画像についての基本情報及び属性情報で構成される印刷画像データを生成するだけではなく、障害発生時の印刷画像を再現してテストするための再現テスト用画像データの生成も行う。
【0024】
再現テスト用画像データの生成は、印刷画像データの属性情報を変更し、変更したデータに基づいて画像データを生成することによって行う。属性情報の変更は、例えばフォントデータの場合には、図3に示すフローチャートに従って処理される。
【0025】
まず、ステップS100において、印刷データ受信部102から印刷画像データを受信し、ステップS101で印刷画像データ中にフォントデータが存在する場合にはその属性情報を読み込む。ステップS102では、読み込んだ属性情報を元にフォントデータ用のテーブルを作成する。続いて、ステップS103において、擬似ランダム関数を使用して新しく文字コードを生成する。文字コードを変更することで、確実に異なるフォント画像に変更することができる。次に、ステップS104で、擬似ランダム関数を使用して新たに座標データを算出し、ステップS105においてフォント画像が印刷画像範囲内にあることを確認する。同様に、ステップS106において回転角度についても擬似ランダム関数によって新たな回転角度を算出する。新たに算出した文字コード等の属性情報は、ステップS107において、元の印刷画像データに上書きされる。本実施例においては、文字コードや座標といった属性情報の変更例を示したが、これ以外の大きさ等の属性情報についても、同様に変更することができる。
【0026】
また、フォントデータ以外の印刷画像データとして、例えば直線画像についても座標及び方向についての属性情報を上記と同様に変更し、印刷画像データを上書きする。
【0027】
印刷画像データ生成部103は、以上で例示した方法によって属性情報が変更された印刷画像データを生成し、再現テスト用データ格納部105に保存する。
【0028】
図4に、変更された属性情報によって生成された再現テスト用画像データ202とそのデータを印刷した際の印刷画像イメージ203を示す。生成された再現テスト用画像データ202は、顧客の個人情報に関する部分については確実に変更して保存され、障害発生時に読み出されて再現テストに供される。従って、顧客の個人情報が漏洩するおそれがなく、且つ、元の印刷画像イメージに極力近似した画像データを用いて障害再現テストを行うことができる。
【0029】
この様な再現テスト用画像データの生成を常時行う設定にしても良いが、必要な場合にのみ行うことで処理の負荷を低減し、格納されるデータ量を削減することができる。この場合には、例えば「通常印刷モード」と「再現テスト用画像生成モード」を用意しておき、「再現テスト用画像生成モード」の場合にのみ上記した印刷画像データ生成処理を実施する様な印刷モードを設定する。
【0030】
また、再現テスト用データ格納部105に格納された再現テスト用画像データは、ネットワークを介してホスト装置101等によって取り出せるようにしても良い。顧客先で発生した障害についても、再現テスト用画像データを取得してテストすることで、障害の原因を解析し、早期解決に導くことが可能になる。
[第2の実施形態]
<画像処理装置の概要>
本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置100の概要を図5に示す。
【0031】
第1の実施形態に係る画像処理装置とは、フォントデータ格納部108及びイメージ画像データ格納部109を、印刷画像データ生成部103に接続して有している点で異なっている。
【0032】
本実施形態に係る画像処理装置100は、印刷画像データ生成部103が再現テスト用画像データを生成する際に、必要に応じてフォントデータ格納部108及びイメージ画像データ格納部109からデータを取得出来る様に構成されている。
【0033】
フォントデータ格納部108は、複数のフォントデータを保持している。また、イメージ画像データ格納部109は、例えばハーフトーンパターンや、ビットマップイメージといった異なるフォーマットやサイズ等を含む多数の画像イメージデータを保持している。これらのイメージ画像データは、例えばフォーマット形式や画像の縦サイズ、横サイズ、色数といった情報と共に格納されている。
<再現テスト用画像データの生成>
画像処理装置100が受信する印刷画像データには、画像処理装置100が保持しないフォント(以下、「ダウンロードフォント」という)や、イメージ画像を含む場合がある。ダウンロードフォントや、イメージ画像を含む場合の印刷画像イメージ600と、印刷画像データ601の例を図6に示す。
【0034】
印刷画像データ生成部103では、フォント画像がダウンロードフォントであった場合には、該当するフォントの属性情報が文字データを含むように生成する。また、イメージ画像については属性情報として、例えばフォーマット、縦サイズ、横サイズ、色数といった情報を含む印刷画像データ601が生成される。
【0035】
印刷画像データ生成部103は、この様な印刷画像データ601の各画像の属性情報を変更して再現テスト用画像データを生成する。
<ダウンロードフォント画像の属性情報変更処理>
図7に、印刷画像データ中にダウンロードフォントが含まれていた場合の処理例のフローチャートを示す。フォント画像のデータがダウンロードフォントであるか否かは、印刷画像データの属性情報中の文字データの存在によって判断される。ダウンロードフォントでない場合には、第1の実施形態と同様の処理によって属性情報が変更される。
【0036】
まず、ステップS200では、取得したフォントデータの属性情報から、フォントデータ(A)のテーブルを作成する。次に、ステップS201でフォントデータ(A)を画像生成部104に送信してビットイメージ(A)の生成を依頼する。その後、ステップS202及びステップS203において、フォントデータ格納部108にアクセスして同一フォーマットのフォントデータの検索を行う。同一フォーマットのフォントデータが有る場合には、ステップS205においてフォントデータを読み込み、同一フォーマットのフォントデータが無い場合には、ステップS204において異なるフォーマットのフォントデータを読み込む。読み込んだフォントデータを用いて、ステップS206においてフォントデータ(B)のテーブルを作成し、ステップS207において画像生成部104にフォントデータを送信してビットイメージ(B)の生成とビットイメージの比較を依頼する。ステップS208において、画像生成部104はビットイメージ(A)とビットイメージ(B)を比較し、同一フォントであった場合には、その旨を印刷画像データ生成部103に報告し、報告を受けた印刷画像データ生成部103は、ステップS202から再度やり直す。異なるフォントであることが確認された場合には、ステップS209によって印刷画像データの属性情報の文字データ部分の上書きを行う。
【0037】
図8に、画像生成部104がダウンロードフォントについて属性情報の変更処理を行う際の作業メモリエリアの概念図を示す。作業メモリエリアには、2つのフォントデータのテーブルと、それに対応するビットイメージが生成される。図7に示したステップS208における、同一フォントであるか否かの判断は、ビットイメージ内における複数の比較ポイントの画像を比較することによって行う。この様な処理を行うことによって、確実に異なる文字データに変更することができる。
【0038】
印刷画像データがダウンロードフォントを含んでいた場合には、以上の処理によって、フォントの属性情報を変更し、異なるフォント画像に変更することができる。さらに、第1の実施形態と同様にして、例えば座標や回転角度といった他の属性情報も同時に変更して印刷画像データを上書きすることもできる。この様な処理によって、フォント画像部分に含まれる個人情報を秘匿した再現テスト用画像データを生成できる。
<イメージ画像の入れ替え処理>
図9に、印刷画像データにイメージ画像が含まれている場合の処理例のフローチャートを示す。まず、ステップS300において、イメージ画像の属性情報を読み込む。次に、イメージ画像データ格納部109にアクセスしてイメージ画像を取得する。続いて、ステップS302〜S309において、取得したイメージ画像と元のイメージ画像とフォーマット、縦サイズ、横サイズ、色数を比較し、同一でない場合には変更フラグを「ON」にする。ステップS310では、フォーマットやサイズ等の違いが所定範囲内か、取得したイメージ画像がイメージ画像データ格納部109に存在する最後のイメージ画像であるか、について判断する。所定範囲外であり、最後のイメージ画像ではない場合には、再度ステップS301のイメージ画像検索からの処理を実施する。所定範囲内又は最後のイメージ画像であった場合には、ステップS311にて変更フラグの確認を行い、変更フラグが「ON」になっているフォーマットやサイズ等については、元のイメージ画像と同一になる様にステップS312において変更する。最後のステップS313において、印刷画像データのイメージ画像を、フォーマット、サイズ、色数は同一であるが異なるイメージ画像に置き換える。
【0039】
また、イメージ画像についての属性情報である、例えば座標等について、擬似ランダム関数によって新たな座標値等を算出して変更することもできる。さらに、元のイメージ画像については、警告表示を行った上で、新たにイメージ画像データ格納部109にダウンロードして保存しても良い。
【0040】
図10に、印刷画像データがダウンロードフォント及びイメージ画像を含む場合の再現テスト用画像の生成例(再現テスト用印刷画像イメージ602)を示す。図に示した様に、印刷画像データにダウンロードフォントやイメージ画像が含まれている場合であっても、それぞれフォントデータ格納部108又はイメージ画像データ格納部109のデータを用いることで、個人情報を秘匿することができ、なお且つ、障害の再現テスト用画像データとして好適な印刷画像データを生成することができる。
<まとめ>
本実施形態に係る画像処理装置によれば、印刷データに含まれる画像データを、近似する画像データに変更することができるため、顧客の個人情報を確実に秘匿し、且つ、障害発生時の印刷画像に近い画像データを再現することができる。従って、顧客先において障害が発生した場合であっても、再現テスト用画像データを用いることで障害の発生原因の特定を速やかに行うことができ、障害を早期に解決することが可能になる。
【0041】
また、画像処理装置内に存在しないフォントが印刷画像データに含まれる場合にも、フォントデータ格納部が保持するフォントデータを用いて文字データを変更し、異なるフォントに変更することができる。
【0042】
さらに、印刷画像データに含まれるイメージ画像についても、イメージ画像データ格納部が保持する異なるイメージ画像データに置き換えることができる。置き換えるイメージ画像データは、元のイメージ画像データとフォーマット、サイズ等が同一であるため、障害の原因解析に適した印刷画像データの生成が可能になる。
【符号の説明】
【0043】
102 印刷データ受信部
103 印刷画像データ生成部
104 画像生成部
105 再現テスト用データ格納部
106 印刷制御部
108 フォントデータ格納部
109 イメージ画像データ格納部
200 印刷画像イメージ
201 印刷画像データ
202 再現テスト用画像データ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】特開2008―117255号公報
【特許文献2】特開2007−334539号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データを受信する印刷データ受信部と、
前記印刷データに含まれる画像の種類を示す基本情報と前記画像の座標等を示す属性情報とを含む印刷画像データと、前記印刷画像データから障害発生時の印刷画像データを再現してテストするための再現テスト用画像データと、を生成する印刷画像データ生成部と、
前記印刷画像データから印刷画像を生成する画像生成部と、を有し、
前記印刷画像データ生成部は、前記印刷画像データの属性情報を変更して前記再現テスト用画像データを生成する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
複数のフォントデータを格納するフォントデータ格納部を有し、
前記印刷画像データが、画像処理装置内に存在しないフォントを含む場合に、
前記印刷画像データ生成部が、当該フォントに係る画像の属性情報の一部を、前記フォントデータ格納部が保持するフォントデータに変更して、前記再現テスト用画像データを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
複数のイメージ画像データを格納するイメージ画像データ格納部を有し、
前記印刷画像データがイメージ画像を含む場合に、
前記印刷画像データ生成部は、当該イメージ画像を、前記イメージ画像データ格納部が保持するイメージ画像に入れ替えて前記再現テスト用画像データを生成する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記印刷画像データ生成部が、前記印刷画像データに含まれるイメージ画像を、前記イメージデータ格納部が保持するイメージ画像に入れ替える際に、
前記イメージデータ格納部が保持するイメージ画像の、フォーマット、縦サイズ、横サイズ、色数を、前記印刷画像データのイメージ画像と一致する様に変更して入れ替える
ことを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記イメージデータ格納部に、前記印刷画像データのイメージ画像と、フォーマット、縦サイズ、横サイズ、色数が一致するイメージ画像が無い場合に、
一定の条件下で、前記イメージ画像データ格納部が、前記印刷画像データのイメージ画像を保存できることを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
印刷データを受信する印刷データ受信手段と、
前記印刷データに含まれる画像の種類を示す基本情報と前記画像の座標等を示す属性情報とを含む印刷画像データと、前記印刷画像データから障害発生時の印刷画像データを再現してテストするための再現テスト用画像データと、を生成する印刷画像データ生成手段と、
前記印刷画像データから印刷画像を生成する画像生成手段と、を有し、
前記印刷画像データ生成手段は、前記印刷画像データの属性情報を変更して前記再現テスト用画像データを生成する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
複数のフォントデータを格納するフォントデータ格納手段を有し、
前記印刷画像データが、画像処理装置内に存在しないフォントを含む場合に、
前記印刷画像データ生成手段が、当該フォントに係る画像の属性情報の一部を、前記フォントデータ格納手段が保持するフォントデータに変更して、前記再現テスト用画像データを生成することを特徴とする請求項6に記載の画像処理方法。
【請求項8】
複数のイメージ画像データを格納するイメージ画像データ格納手段を有し、
前記印刷画像データがイメージ画像を含む場合に、
前記印刷画像データ生成手段は、当該イメージ画像を、前記イメージ画像データ格納手段が保持するイメージ画像に入れ替えて前記再現テスト用画像を生成する
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の画像処理方法。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか一項に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
印刷データを受信する印刷データ受信部と、
前記印刷データに含まれる画像の種類を示す基本情報と前記画像の座標等を示す属性情報とを含む印刷画像データと、前記印刷画像データから障害発生時の印刷画像データを再現してテストするための再現テスト用画像データと、を生成する印刷画像データ生成部と、
前記印刷画像データから印刷画像を生成する画像生成部と、を有し、
前記印刷画像データ生成部は、前記印刷画像データの属性情報を変更して前記再現テスト用画像データを生成する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
複数のフォントデータを格納するフォントデータ格納部を有し、
前記印刷画像データが、画像処理装置内に存在しないフォントを含む場合に、
前記印刷画像データ生成部が、当該フォントに係る画像の属性情報の一部を、前記フォントデータ格納部が保持するフォントデータに変更して、前記再現テスト用画像データを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
複数のイメージ画像データを格納するイメージ画像データ格納部を有し、
前記印刷画像データがイメージ画像を含む場合に、
前記印刷画像データ生成部は、当該イメージ画像を、前記イメージ画像データ格納部が保持するイメージ画像に入れ替えて前記再現テスト用画像データを生成する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記印刷画像データ生成部が、前記印刷画像データに含まれるイメージ画像を、前記イメージデータ格納部が保持するイメージ画像に入れ替える際に、
前記イメージデータ格納部が保持するイメージ画像の、フォーマット、縦サイズ、横サイズ、色数を、前記印刷画像データのイメージ画像と一致する様に変更して入れ替える
ことを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記イメージデータ格納部に、前記印刷画像データのイメージ画像と、フォーマット、縦サイズ、横サイズ、色数が一致するイメージ画像が無い場合に、
一定の条件下で、前記イメージ画像データ格納部が、前記印刷画像データのイメージ画像を保存できることを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
印刷データを受信する印刷データ受信手段と、
前記印刷データに含まれる画像の種類を示す基本情報と前記画像の座標等を示す属性情報とを含む印刷画像データと、前記印刷画像データから障害発生時の印刷画像データを再現してテストするための再現テスト用画像データと、を生成する印刷画像データ生成手段と、
前記印刷画像データから印刷画像を生成する画像生成手段と、を有し、
前記印刷画像データ生成手段は、前記印刷画像データの属性情報を変更して前記再現テスト用画像データを生成する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
複数のフォントデータを格納するフォントデータ格納手段を有し、
前記印刷画像データが、画像処理装置内に存在しないフォントを含む場合に、
前記印刷画像データ生成手段が、当該フォントに係る画像の属性情報の一部を、前記フォントデータ格納手段が保持するフォントデータに変更して、前記再現テスト用画像データを生成することを特徴とする請求項6に記載の画像処理方法。
【請求項8】
複数のイメージ画像データを格納するイメージ画像データ格納手段を有し、
前記印刷画像データがイメージ画像を含む場合に、
前記印刷画像データ生成手段は、当該イメージ画像を、前記イメージ画像データ格納手段が保持するイメージ画像に入れ替えて前記再現テスト用画像を生成する
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の画像処理方法。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか一項に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−186603(P2012−186603A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47477(P2011−47477)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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