説明

画像処理装置、画像処理装置の制御方法、および画像処理装置の制御プログラム

【課題】効果的な節電処理を行うことができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置は、CPUと、メモリと、CPUおよびメモリを接続するバスとを備え、プリントデータをプリントするための処理を行う。画像処理装置は、外部装置からプリントデータを入力する入力部と、プリントデータをラスタデータに変換する変換部と、変換部における変換に要する時間を測定する測定部とを備える。測定部による測定が行われ(S102)、その測定結果に基づいて、変換部における変換処理の速度を遅くするための設定(例えばCPUの動作周波数、CPUの電源電圧、およびバスの動作周波数のうち少なくとも1つを低下させるための設定)が行われる(S103〜S108)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像処理装置、画像処理装置の制御方法、および画像処理装置の制御プログラムに関し、特に、プリントデータをラスタデータに変換する処理を行なう画像処理装置、画像処理装置の制御方法、および画像処理装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式の画像形成装置として、スキャナ機能、ファクシミリ機能、複写機能、プリンタとしての機能、データ通信機能、およびサーバ機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)、ファクシミリ装置、複写機、ならびにプリンタなどが存在する。画像形成装置の機能の1つとして、プリントデータをラスタデータに変換し、それに基づいて用紙に画像を形成する機能がある。
【0003】
すなわち画像形成装置は、画像処理装置を有している。例えば画像処理装置は、PC(パーソナルコンピュータ)から受信(入力)したプリントデータをラスタデータに変換する。このような変換処理は、RIP(Raster Image Processing)処理と呼ばれる。画像形成装置は、RIP処理により変換されたラスタデータを印字する。プリントデータは、ページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述されたデータである。ページ記述言語としては、PostScript(PS)、PDF(Portable Document Format)、PCL(Printer Control Language)、XPS(XML Paper Specification)などが存在する。
【0004】
下記特許文献1は、原稿画像を読取り、原稿画像に応じた画像データを出力するリーダ部と、画像データに応じた画像を記録紙上に記録するプリンタ部とを備えた画像入出力装置を開示している。画像入出力装置は、省電力モード時に要求されたジョブの実行に不要なデバイスについては省電力モードを解除しない。すなわち、画像入出力装置にジョブ実行が要求されたときに、電源制御部は先ず、リーダ部およびプリンタ部を除く系統の電源を供給する。そしてジョブの内容に基づいて、リーダ部、プリンタ部に対して選択的に電源が供給される。
【0005】
下記特許文献2は、CPU(Central Processing Unit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)を備えた画像形成装置を開示している。省エネモード時でプリンタ稼働率の低い時間帯(例えば深夜)でかつプリントスピードが要求されない時刻指定プリント時に、CPUやASICのクロック周波数や駆動電流を低減させた状態でプリントを行なうことで、節電が行われる。
【0006】
下記特許文献3では、高速プリントモードを備えた画像形成装置であって、そのモードが選択された場合には、プリント処理のクロック周波数を上げてパフォーマンスを上げる画像形成装置が開示されている。パフォーマンスを上げる一方で、プリント処理に関与しない装置の構成部分に対する電力供給が遮断される。これにより、全体としての消費電力の削減が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−125057号公報
【特許文献2】特開2002−86844号公報
【特許文献3】特開2006−289917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、画像形成装置で節電を行なう方法としては、不要な部分への電力供給を停止する方法と、CPUやASICのクロック周波数や駆動電流を低減させる方法との2種類の方法が存在する。上記特許文献1および3は、不要な部分への電力供給を停止する方法を開示するものであり、特許文献2は、CPUやASICのクロック周波数や駆動電流を低減させる方法を開示するものである。
【0009】
このうち、CPUやASICのクロック周波数や駆動電流を低減させる時期を、待機時、スリープ時などの装置がプリントを行っていない時期や、上記特許文献2に示されるように、深夜の時刻指定プリントなどのプリント速度が遅くてもよい時期とすることが提案されている。しかし、繁忙な日中など、迅速なプリント物の提供が望まれる時間帯においては、プリント速度を優先する必要がある。このために、繁忙な日中などにおいては、装置が待機時やスリープ時である時を除いて、クロック周波数や駆動電流を低減させる処理を行なわないことが一般的である。これにより、プリント速度が優先されるべきときに、それが低下することが防止される。しかしながら一方で、繁忙な日中などでは節電処理の程度が低いという問題がある。
【0010】
そこで本発明は、効果的な節電処理を行なうことができる画像処理装置、画像処理装置の制御方法、および画像処理装置の制御プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するためこの発明のある局面に従うと、画像処理装置は、プリントデータを入力する入力部と、前記プリントデータをラスタデータに変換する変換部と、前記変換部における変換に要する時間を測定する測定部と、前記測定部による測定結果に基づいて、前記変換部における変換処理の速度を遅くするための設定を行う設定部とを備える。
【0012】
好ましくは前記変換部は、処理装置により構成され、前記プリントデータを中間データに変換する処理と、前記中間データをラスタデータに変換する処理とを実行し、画像処理装置は、さらに、前記処理装置により変換された中間データを記憶するメモリと、前記処理装置と前記メモリとの間でデータを転送するバスと、を備え、前記測定部は、前記プリントデータを中間データに変換するのに要する時間と、前記中間データをラスタデータに変換するのに要する時間とを測定する。
【0013】
好ましくは前記設定部は、前記測定されたプリントデータを中間データに変換するのに要する時間に基づいて、前記処理装置の動作周波数を低下させる設定および前記処理装置の電源電圧を低下させる設定の少なくとも1つを行う。
【0014】
好ましくは前記設定部は、前記測定されたプリントデータを中間データに変換するのに要する時間に基づいて、前記処理装置の動作周波数を段階的に低下させる設定および前記処理装置の電源電圧を段階的に低下させる設定の少なくとも1つを行う。
【0015】
好ましくは前記設定部は、前記測定された中間データをラスタデータに変換するのに要する時間に基づいて、前記バスの動作周波数を低下させる設定を行う。
【0016】
好ましくは前記設定部は、前記測定された中間データをラスタデータに変換するのに要する時間に基づいて、前記バスの動作周波数を段階的に低下させる設定を行う。
【0017】
好ましくは前記測定部は、1ページのプリントデータのラスタデータへの変換に関する時間を測定し、前記設定部は、前記測定されたページの次のページの処理における前記処理装置の動作周波数、前記処理装置の電源電圧、および前記バスの動作周波数のうち少なくとも1つを低下させるための設定を行うことが可能である。
【0018】
好ましくは前記設定部は、前記プリントデータをラスタデータに変換する処理が所定速度よりも早い場合に、前記プリントデータをラスタデータに変換する処理の速度を遅くする設定を行う。
【0019】
好ましくは前記設定部は、1ページ目の処理を行うときには、前記変換部における変換処理の速度を遅くしない。
【0020】
この発明の他の局面に従うと、画像処理装置は、プリントデータを入力する入力部と、前記プリントデータを中間データに変換する処理と、前記中間データをラスタデータに変換する処理とを実行する処理装置と、前記処理装置により変換された中間データを記憶するメモリと、前記処理装置と前記メモリとの間でデータを転送するバスと、前記プリントデータ内の印字領域の比率を測定する測定部と、前記測定部による測定結果に基づいて、前記バスの動作周波数を低下させるための設定を行う設定部とを備える。
【0021】
この発明のさらに他の局面に従うと、画像形成装置は、上述のいずれかに記載の画像処理装置と、前記画像処理装置により変換されたプリントデータに基づいて、画像をプリントするプリンタ部とを備える。
【0022】
この発明のさらに他の局面に従うと、画像処理装置の制御方法は、プリントデータを入力する入力ステップと、前記プリントデータをラスタデータに変換する変換ステップと、前記変換ステップにおける変換に要する時間を測定する測定ステップと、前記測定ステップによる測定結果に基づいて、前記変換ステップにおける変換処理の速度を遅くするための設定を行う設定ステップとを備える。
【0023】
この発明のさらに他の局面に従うと、画像処理装置の制御方法は、プリントデータを中間データに変換する処理、および前記中間データをラスタデータに変換する処理を実行する処理装置と、前記処理装置により変換された中間データを記憶するメモリと、前記処理装置と前記メモリとの間でデータを転送するバスとを備えた画像処理装置の制御方法であって、前記プリントデータを入力する入力ステップと、前記プリントデータ内の印字領域の比率を測定する測定ステップと、前記測定ステップによる測定結果に基づいて、前記バスの動作周波数を低下させるための設定を行う設定ステップとを備える。
【0024】
この発明のさらに他の局面に従うと、画像処理装置の制御プログラムは、プリントデータを入力する入力ステップと、前記プリントデータをラスタデータに変換する変換ステップと、前記変換ステップにおける変換に要する時間を測定する測定ステップと、前記測定ステップによる測定結果に基づいて、前記変換ステップにおける変換処理の速度を遅くするための設定を行う設定ステップとをコンピュータに実行させる。
【0025】
この発明のさらに他の局面に従うと、画像処理装置の制御プログラムは、プリントデータを中間データに変換する処理、および前記中間データをラスタデータに変換する処理を実行する処理装置と、前記処理装置により変換された中間データを記憶するメモリと、前記処理装置と前記メモリとの間でデータを転送するバスとを備えた画像処理装置の制御プログラムであって、前記プリントデータを入力する入力ステップと、前記プリントデータ内の印字領域の比率を測定する測定ステップと、前記測定ステップによる測定結果に基づいて、前記バスの動作周波数を低下させるための設定を行う設定ステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0026】
上記発明に従うと、画像処理装置において、プリントデータをラスタデータに変換する処理が行なわれ、変換に要する時間を測定することが可能となる。その測定結果に基づいて、変換処理の速度を遅くするための設定が行われる。このような構成を採用することで、変換処理の速度を効果的に低下させることができるため、効果的な節電処理を行なうことができる画像処理装置、画像処理装置の制御方法、および画像処理装置の制御プログラムを提供することが可能となる。
【0027】
また上記発明に従うと、画像処理装置において、プリントデータ内の印字領域の比率を測定することが可能となる。その測定結果に基づいて、バスの動作周波数を低下させるための設定が行われる。このような構成を採用することで、バスの動作周波数を効果的に低下させることができるため、効果的な節電処理を行なうことができる画像処理装置、画像処理装置の制御方法、および画像処理装置の制御プログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置を示す図である。
【図2】図1の画像形成装置が備える構成要素を機能的に示すブロック図である。
【図3】図2のコントローラ部150が備えるハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】図3のCPU201が機能的に実現する構成を示すブロック図である。
【図5】図4のRIP処理部201dの構成を示す図である。
【図6】RIP処理に要する時間とその後のプリント処理に要する時間との関係を示す図である。
【図7】コントローラ部150のCPU201が実行する節電制御を含むプリント処理のフローチャートである
【図8】60秒間に60枚のプリント処理を行なうことが可能な画像形成装置におけるRIP処理に最大限使うことができる時間を具体的に示した図である。
【図9】周波数の変更制御を行なうための比較テーブルの具体例を示す図である。
【図10】図9のテーブルに基づいて動作周波数を切り替える例を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態における画像形成装置が実行する節電制御を含むプリント処理のフローチャートである。
【図12】本発明の第2の実施の形態における画像形成装置が実行する第1の処理を模式的に示すタイミングチャートである。
【図13】図12の処理を行なう場合におけるコントローラ部150の節電効果の具体例を示す図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態における画像形成装置が実行する第2の処理を模式的に示すタイミングチャートである。
【図15】図14の処理を行なう場合におけるコントローラ部150の節電効果の具体例を示す図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態における画像形成装置が実行する第3の処理を模式的に示すタイミングチャートである。
【図17】図16の処理を行なう場合におけるコントローラ部150の節電効果の具体例を示す図である。
【図18】第3の実施の形態における画像形成装置のCPU201の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態における画像形成装置について説明する。
【0030】
画像形成装置は、プリントデータに基づいて、電子写真方式により用紙に画像をプリント可能である。画像形成装置は、いわゆるタンデム方式で、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の4色の画像を合わせてカラー画像を形成することができるように構成されている。
【0031】
本実施の形態における画像形成装置は、プリント速度への影響を最低限に抑えながら(またはプリント速度へ影響を与えることなく)、クロック周波数や電圧を低減させることで、節電処理をより効果的に実行することを可能としている。
【0032】
[第1の実施の形態]
【0033】
図1は、本発明の第1の実施の形態における画像形成装置を示す図である。本実施の形態における画像形成装置は、スキャナ機能、ファクシミリ機能、複写機能、プリンタとしての機能、データ通信機能、およびサーバ機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)である。画像形成装置は、ファクシミリ装置、複写機、およびプリンタなどであってもよい。
【0034】
始めに図1を参照して、画像形成装置100は、大きく分けてスキャナ部110と、転写部120と、現像部130と、給紙部140とを備えている。スキャナ部110は装置上部に設けられている。転写部120はスキャナ部110の右下に設けられており、現像部130はスキャナ部110の左下に設けられている。給紙部140は転写部120および現像部130の下に設けられている。転写部120と、現像部130と、給紙部140とにより、感光体に静電潜像を形成し、それをトナー現像し、現像されたトナー像を中間転写ベルトを介して用紙に転写するプリンタ部405(図2)が構成される。
【0035】
スキャナ部110は、原稿から画像を読み取るための部分であり、原稿ガラス101と、自動原稿送り装置(ADF)102と、原稿載置台103と、原稿排出トレイ104とを含んでいる。原稿ガラス101上には、ADF102、原稿載置台103、および原稿排出トレイ104が配置されている。原稿載置台103に載置された原稿は、ADF102から原稿ガラス101の上へ搬送され、原稿ガラス101上において画像が読み取られる。原稿ガラス101において画像が読取られた後で、原稿は原稿排出トレイ104へ排出される。
【0036】
転写部120は、中間転写ベルト131上のトナー像を用紙に転写して用紙を排出するための部分であり、2次転写ローラ135と、定着装置136と、排紙ローラ137と、排紙部138とを含んでいる。定着装置136は、2次転写ローラ135よりも用紙搬送経路Rの下流側に配置されており、排紙ローラ137は、定着装置136よりも用紙搬送経路Rの下流側に配置されている。給紙部140から搬送されてきた用紙は、ニップ部Tにおいて2次転写ローラ135を用いてトナー像が転写される。このトナー像は中間転写ベルト131上のトナー像である。次に用紙は定着装置136に送られ、加熱ローラなどを用いて転写されたトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は排紙ローラ137に送られ、排紙部138へ排出される。
【0037】
現像部130は、中間転写ベルト131上にトナー像を形成するための部分であり、走査装置としての光学機器Pと、中間転写ベルト131と、ローラ132〜134と、感光体ドラム125B,125M,125Y,125Cと、複数の1次転写ローラ126とを含んでいる。光学機器Pは、ブラック(B(またはKと表記する。))、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、およびシアン(C)のそれぞれに対応する光走査装置を含んでいる。感光体ドラム125B,125M,125Y,125Cの各々は回転しており、中間転写ベルト131の下部において1次転写ローラ126とともに中間転写ベルト131を挟んでいる。光学機器Pは、中間転写ベルト131の下部に配置されている。光学機器Pのそれぞれの光走査装置は、読み取った画像に基づき得られた濃淡値情報に対応するビーム光B,M,Y,Cを、感光体ドラム125B,125M,125Y,125Cの各々に対して出射する。これにより、感光体ドラム125B,125M,125Y,125Cの各々の表面には潜像が形成され、それに基づきトナー像が形成される。中間転写ベルト131は、ローラ132〜134によって図1中矢印Aで示す方向へ駆動されている。感光体ドラム125B,125M,125Y,125Cの各々の表面のトナー像を中間転写ベルト131に対して転写することにより、中間転写ベルト131上にトナー像が形成される。
【0038】
給紙部140は、2次転写ローラ135へ用紙を供給するための部分であり、用紙トレイ141と、給紙ローラ142と、用紙搬送ローラ143とを含んでいる。画像を形成する複数枚の用紙Sを格納する用紙トレイ141から、必要な枚数の用紙が給紙ローラ142および用紙搬送ローラ143を用いて2次転写ローラ135へ供給される。
【0039】
画像形成装置100は、CPU(中央処理装置)、RAM、ROMなどを含むコントローラ部(画像処理装置の一例)150を備えている。
【0040】
図2は、図1の画像形成装置が備える構成要素を機能的に示すブロック図である。
【0041】
図を参照して画像形成装置は、原稿から画像データを読込むスキャナ部110と、装置全体の制御を行なうコントローラ部150と、用紙にトナー画像を形成するプリンタ部405と、ユーザに対して装置の状態を表示したり、装置の操作のための入力を受け付ける操作パネル部407と、外部機器との間で情報の送受信を行なうインタフェース(I/F)部409とを備えている。
【0042】
図3は、図2のコントローラ部150が備えるハードウェア構成を示すブロック図である。
【0043】
図を参照して、コントローラ部150は、中央処理装置(CPUであり、処理装置の一例)201と、記憶領域(メモリ領域)を構成するDRAM203およびSRAM209と、装置を動作させるためのプログラムなどを記憶するためのROM205およびハードディスク211と、画像に関する処理を行なう画像処理部207と、外部ネットワークとの通信を行なうためのネットワークインタフェース213と、外部機器との間で通信を行なうためのUSBポート215とを備えている。ネットワークインタフェース213は、外部装置(PC)からプリントデータを入力する入力部を構成する。
【0044】
コントローラ部150は、中央処理装置(CPU)201と、DRAM203およびSRAM209と、ROM205と、画像処理部207と、ネットワークインタフェース213の制御回路と、USBポート215の制御回路とを備えた回路基板を含んで構成されてもよい。また、その一部(例えば画像処理部など)は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成されてもよい。
【0045】
ここでは、ハードディスク211がプログラム211aを記憶している。
【0046】
また、コントローラ部150が備える各ハードウェア構成の要素は、バス217により接続される。バスの伝送スピードである動作周波数は、CPU201により制御される。
【0047】
図4は、図3のCPU201が機能的に実現する構成を示すブロック図である。
【0048】
図を参照してCPU201は、CPUの動作周波数を設定することが可能なCPU動作周波数設定部201aと、CPUの電源電圧を設定することが可能なCPU電源電圧設定部201bと、コントローラ150の各構成部分を接続する(例えばCPU201、画像処理部207、およびDRAM203などのメモリの間を相互に接続する)バスの動作周波数を設定することが可能なバス動作周波数設定部201cと、プリントデータのRIP(Raster Image Processing)処理(RIP展開)を行なうRIP処理部201dとを備える。RIP処理部201dは、外部装置からのプリントデータをラスタデータに変換する変換部を構成する。
【0049】
またCPU201は、RIP処理部201dにおける変換に関する時間を測定するRIP時間測定部201eを備えている。
【0050】
CPU201はこれらの構成を用いて、プリントデータをRIP処理する。またCPU201は、CPUの動作周波数を低くすることができ、CPUの電源電圧を低くすることができる。さらにCPU201は、メモリなどと接続するためのバス(メモリバスともいう。)の動作周波数を低くすることができる。
【0051】
より詳しくはCPU201は、CPU動作周波数、CPUの電源電圧、およびメモリバス動作周波数の少なくとも1つを低くする制御を行なう。これら3つのうちのいずれかを低くすることで、コントローラ部150の省電力化を図ることができる。また、このようなCPU動作周波数、CPUの電源電圧、およびメモリバス動作周波数の少なくとも1つを低くする制御は、それを行ってもプリント完了までの時間が長くならないように行われる。これによりプリント完了までの時間を遅らせずに、省電力化を図ることができる。
【0052】
図5は、図4のRIP処理部201dの構成を示す図である。
【0053】
RIP処理部201dは、外部PCから入力された、ページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述されたプリントデータを入力データD1として処理することで、出力データであるラスタデータD3を作成する。それは以下のようにして行われる。なお、ページ記述言語としては、PostScript(PS)、PDF(Portable Document Format)、PCL(Printer Control Language)、およびXPS(XML Paper Specification)などが例示され、特定の種類のものに限定されるものではない。
【0054】
言語解析部301は、入力データD1を処理することで中間データD2を作成する。中間データD2は、CPU201にバスで接続された外部バッファ305に一時的に記憶される。外部バッファ305は、DRAM203やSRAM209などの記憶装置(メモリ)により構成される。
【0055】
ラスタライズ部303は、外部バッファ305の中間データD2をバスを介して読み出す。その後、中間データD2に対するラスタライズ処理を実行する。これにより、出力データD3が作成される。
【0056】
言語解析部301が行なう処理に要する時間と、ラスタライズ部303が行なう処理に要する時間との合計時間が、RIP処理に必要となる時間となる。
【0057】
言語解析部301が実行する中間データD2の作成処理の速度は、CPU201のパフォーマンスに影響される。CPU201のパフォーマンスは、CPU201の動作周波数、電源電圧によって変化する。また、ラスタライズ部303が実行する出力データD3の作成処理の速度は、バスの動作周波数に影響される。
【0058】
本実施の形態においては、あるページにおけるRIP処理の速度が早すぎ、ラスタライズ部303でラスタデータが作成された後に、プリンタ部405でのプリント開始まで、作成されたラスタデータを待機させておく時間的な余裕があることが検出されると、RIP処理の速度を低く(遅く)させる処理が行われる。
【0059】
図6は、RIP処理に要する時間とその後のプリント処理に要する時間との関係を示す図である。
【0060】
説明のため、プリントデータのうちあるページのデータのRIP処理が開始される時刻をTrs、RIP処理が終了する時刻をTreと記載している。また、そのページのデータのRIP処理が完了して、プリンタ部405によりプリントが開始される時刻をTpsと表記している。
【0061】
また、RIP処理に要する時間をT3とし、そのうちプリントデータからの中間データ作成に要する時間をT1、中間データからのラスタデータ作成に要する時間をT2とする。T1+T2=T3の関係が成立する。
【0062】
ここに、プリンタ部405が待機状態にあった場合において、プリントデータが受信されたときを想定する。そのプリントデータのうち1ページ目のデータのRIP処理が終了したときに、1ページ目のプリントが開始される。このとき、プリンタ部405はRIP処理終了後、すぐに1ページ目のプリントを開始することができる(時刻Treと時刻Tpsとの間の時間的間隔を極めて短くすることができる)。
【0063】
プリンタ部405における処理は、感光体や転写ベルトを駆動したり、用紙を搬送したりする機械的な処理を含む。このため、電気的な計算処理のみで行われるRIP処理よりも、プリンタ部405におけるプリント処理は一般に長い時間を要する。これにより、従来の技術においては、2ページ目のRIP処理が完了したときに、プリンタ部405における1ページ目のプリントが完了していないことが多かった。このため、従来の技術においては、2ページ目のRIP処理が終了したときの時刻Treと、2ページ目のプリントを開始する時刻Tpsとの時間的な間隔が長くなっていた。
【0064】
時刻Treと時刻Tpsとの間に時間的な間隔があれば、その間隔は無駄であり、その間隔を詰める必要がある。具体的には、時刻Treをより遅くする、および/またはプリンタ部405におけるプリント処理に要する時間をより短くすることで、その間隔を詰めることができる。
【0065】
ここでプリンタ部405には、感光体や転写ベルトの駆動速度の限界、用紙の搬送速度の限界などの機械的な制限があるため、機械の設計上、プリント処理に要する時間を短くすることは一般に困難である。また、仮にプリント処理に要する時間を短くすることができたとしても、それは節電処理に繋がるものではない。そこで本実施の形態においては、時刻Treと時刻Tpsとの間の時間的な間隔を詰めるために、RIP処理の速度を低くすることで、時刻Treを遅くする処理が行われる。
【0066】
すなわち、あるページのRIP処理の完了時間Treを、そのページのプリントの開始時間Tpsに合わせる(または近づける)制御が行われる。RIP処理の速度を低くすることは、CPU201のパフォーマンス(動作周波数、電源電圧)やメモリバスの動作周波数を落とすことにより行われる。これにより、プリント時の画像処理装置のコントローラ部150の消費電力を削減することができる。
【0067】
RIP処理の速度を遅くすることによる消費電力の低減について、以下に説明する。
【0068】
CPUの処理速度は、CPU動作周波数と比例関係にある。すなわち、CPUの動作周波数が2倍になると、CPUの処理速度は2倍となる。また、CPUの動作周波数が1/2倍になると、CPUの処理速度は1/2倍となる。入力データを中間データに変換する処理に要する時間は、一般的にはCPUの動作周波数に反比例している。
【0069】
図6の時刻Treと時刻Tpsとの間に時間的な間隔が生じることが予測され、CPU動作周波数を1/4に下げることができる場合を想定する。CPU動作周波数を1/4に下げると、中間データ作成に要する時間T1が増加する。これにより、時刻Treを遅くすることができ、時刻Treと時刻Tpsとの間隔を短くすることができる。CPU動作周波数を1/4に下げる場合、CPU電源電圧を1/2に下げる事が出来る。
【0070】
CPUの消費電力は、電源電圧の2乗×動作周波数に比例する。このため、CPU動作周波数を1/4とし、CPU電源電圧を1/2とした場合、CPUの消費電力を、(1/2×1/2)×1/4=1/16に下げる事ができる。
【0071】
また、CPU動作周波数を1/2に下げる場合、CPU電源電圧を3/4に下げることができる。CPU動作周波数を1/2とし、CPU電源電圧を3/4とした場合、CPUの消費電力を、(3/4×3/4)×1/2=9/32に下げる事ができる。
【0072】
前述の通り、RIP処理は、PCから送られてくる入力データ(プリントデータ)を中間データに変換する処理と、中間データをラスタデータに変換する処理とに分けられ、入力データを中間データに変換する処理に要する時間は、一般的にはCPUの動作周波数に比例している。
【0073】
一方で、中間データをラスタデータに変換する処理に要する時間は、メモリバスの転送速度(すなわち、メモリバスの動作周波数)の影響を受ける。これは、メモリバスを用いて、中間データをCPU201と外部バッファ305(図5)との間でやりとりするためである。特に、背景などの画像があるプリントデータについては、データ量が多いため、中間データをラスタデータに変換するのに要する時間は、メモリバスの転送速度の影響を強く受ける。もちろん背景などの画像があるプリントデータについては、データ量が多いため、中間データをラスタデータに変換する処理に要する時間がCPU動作周波数の影響を受ける可能性がある。しかしながら、メモリバスの転送速度と中間データをラスタデータに変換する処理に要する時間との関係のような明確な相関関係は、CPU動作周波数と中間データをラスタデータに変換する処理に要する時間との関係にはみられない。
【0074】
本実施の形態においては、上記CPUの処理速度、メモリバスの転送速度、および消費電力の関係に着目し、RIP処理時に消費する電力を削減することとしている。
【0075】
図7は、コントローラ部150のCPU201が実行する節電制御を含むプリント処理のフローチャートである。
【0076】
このフローチャートでは、画像形成装置が外部PCからPDLのプリントデータを入力し、それをコントローラ部150のCPU201がRIP処理し、プリンタ部405で出力するまでの処理を示している。
【0077】
CPU201は、ネットワークインタフェース213を介して外部PCからプリントデータを受け取ると、ステップS101でその1ページ目(1枚目)のRIP処理を開始する。RIP処理が終了すると、そのデータに基づきプリンタ部405で1ページ目(1枚目)のプリントを行なう。このステップS101での1ページ目(1枚目)のRIP処理に関しては、CPU201のパフォーマンス(動作周波数、電源電圧)を落とすことなく、またバスの動作周波数も落とすことなく、通常の動作環境で行われる。これは、以下の理由による。
【0078】
プリントデータを受信してからプリントジョブが開始されたとき、先ず1ページ目のRIP処理が行われ、その後に、プリンタ部405での1ページ目のプリントが実行される。このため、1ページ目のRIP処理は出来るだけ速い方がプリント実行までの時間が短くなる。従って、ステップS101では、1ページ目のRIP処理については、節電処理を行わないものである。
【0079】
1ページ目のRIP処理が終了すると、ステップS102においてCPU201は、1ページ目のRIP処理における、プリントデータを中間データに変換する時間(T1)と、中間データをラスタデータに変換する時間(T2)とを測定する。
【0080】
ステップS103においてCPU201は、中間データへの変換時間(T1)とラスタデータへの変換時間(T2)の合計時間(T3)が、しきい値(T3’)より小さいかを判定する。ここで、しきい値(T3’)は、プリンタ部405が1枚のプリントを行なう時間であってもよいし、プリンタ部405が1枚のプリントを行なう時間よりも短い時間であってもよい。本実施の形態ではしきい値(T3’)は、後述するようにテーブルに記録されているものとする。
【0081】
ステップS103において、合計時間(T3)がしきい値(T3’)より小さい場合は、RIP処理の速度が早すぎる状態であり、RIP処理の速度を低下させることが可能であることを意味している。また、RIP処理におけるプリントデータの中間データへの変換速度が早すぎるのか、中間データのラスタデータへの変換速度が早すぎるのかを判断する必要がある。
【0082】
そこでステップS103でYESであれば、ステップS104において、中間データへの変換時間(T1)が、しきい値(T1’(但しT1’<T3’))より小さいかを判定する。ここでしきい値(T1’)は、後述するようにテーブルに記録されているものとする。
【0083】
ステップS104において、中間データへの変換時間(T1)がしきい値(T1’)より小さい場合は、CPU201が行なうプリントデータの中間データへの変換処理の速度が早すぎる状態であり、CPU201の処理速度を低下させることが可能であることを意味している。
【0084】
ステップS104でYESであれば、ステップS105において、ラスタデータへの変換時間(T2)が、しきい値(T2’(但しT2’<T3’))より小さいかを判定する。ここでしきい値(T2’)は、後述するようにテーブルに記録されているものとする。
【0085】
ステップS105において、ラスタデータへの変換時間(T2)がしきい値(T2’)より小さい場合は、CPU201の処理速度と共に、メモリバスの動作周波数も早すぎる状態であり、CPU201の処理速度と共に、メモリバスの動作周波数を低下させることが可能であることを意味している。
【0086】
このことから、ステップS104およびS105の双方でYESであれば、ステップS106において、CPU201の動作周波数とメモリバスの動作周波数とを低くする。また同時にCPU201の電源電圧を低下させる。
【0087】
ステップS104でNOであれば、RIP処理の速度が早すぎる状態であるが、CPU201が行なう中間データへの変換処理の速度が早すぎるわけではない。すなわちRIP処理の速度が早すぎる状態にあるのは、メモリバスの動作周波数が早すぎるからである。そこで、ステップS107において、メモリバスの動作周波数を低くする。
【0088】
ステップS105でNOであれば、RIP処理の速度が早すぎる状態であり、CPU201が行なう中間データへの変換処理の速度が早すぎる状態である。但し、メモリバスの動作周波数は早すぎるものではない。そこで、ステップS108において、CPU201の動作周波数を低くする。また同時にCPU201の電源電圧を低下させる。
【0089】
このようにして、1ページ目のプリントデータのRIP処理に要した時間(RIP処理の速度)に基づいて、2ページ目のプリントデータのRIP処理におけるCPU201の動作周波数、メモリバスの動作周波数、およびCPU201の電源電圧が調整される。
【0090】
メモリバスの動作周波数やCPU201の動作周波数および電源電圧が調整された状態で、ステップS114で2ページ目のプリントデータのRIP処理が行われ、プリンタ部405でのプリントが行われる。
【0091】
ステップS115で次のページ(ここでは3ページ目)のプリントデータの処理が必要である場合には(ステップS115でNO)、ステップS102に戻って処理を行なう。このとき、ステップS102〜S108では、1ページ目のプリントデータのRIP処理の速度、および2ページ目のプリントデータのRIP処理の速度に基づいて、3ページ目のプリントデータのRIP処理におけるCPU201の動作周波数、メモリバスの動作周波数、およびCPU201の電源電圧が調整される。より詳しくは、本実施の形態では、
【0092】
(1)1ページ目のプリントデータのRIP処理に要した時間、および2ページ目のプリントデータのRIP処理に要した時間の合計、
【0093】
(2)1ページ目のプリントデータの中間データへの変換に要した時間、および2ページ目のプリントデータの中間データへの変換に要した時間の合計、ならびに
【0094】
(3)1ページ目のプリントデータの中間データからラスタデータへの変換に要した時間、および2ページ目のプリントデータの中間データからラスタデータへの変換に要した時間の合計、
【0095】
の各々が、それぞれに対して予め定められた2ページ目のRIP処理速度判定のためのしきい値T1’,T2’,T3’以上であるか、それよりも小さいかによって、3ページ目のプリントデータのRIP処理におけるCPU201の動作周波数、メモリバスの動作周波数、およびCPU201の電源電圧が調整される。
【0096】
なお本実施の形態において、nページ目のプリントデータの処理においては、
【0097】
(1)1〜(n−1)ページ目のプリントデータのRIP処理に要した時間の総計、
【0098】
(2)1〜(n−1)ページ目のプリントデータの中間データへの変換に要した時間の総計、および
【0099】
(3)1〜(n−1)ページ目のプリントデータの中間データからラスタデータへの変換に要した時間の総計、
【0100】
の各々が、それぞれに対して予め定められた(n−1)ページ目のRIP処理速度判定のためのしきい値T1’,T2’,T3’以上であるか、それよりも小さいかによって、nページ目のプリントデータのRIP処理におけるCPU201の動作周波数、メモリバスの動作周波数、およびCPU201の電源電圧が調整される。
【0101】
すなわち、中間データへの変換時間(T1)と中間データからラスタデータへの変換時間(T2)の合計時間(T3)として、1ページ目からの累積値が測定される。その累積値が、その累積値を評価するためのしきい値(T3’)と比較される。しきい値(T3’)は1ページの処理毎に増えてゆくように設定されている。
【0102】
また、中間データへの変換時間(T1)としては、1ページ目からの変換時間の累積値が測定される。その累積値が、その累積値を評価するためのしきい値(T1’)と比較される。すなわち、しきい値(T1’)は1ページの処理毎に増えてゆくように設定されている。
【0103】
さらに、中間データからラスタデータへの変換時間(T2)としては、1ページ目からの変換時間の累積値が測定される。その累積値が、その累積値を評価するためのしきい値(T2’)と比較される。すなわち、しきい値(T2’)は1ページの処理毎に増えてゆくように設定されている。
【0104】
なお、(1ページ目のプリントデータのRIP処理の速度を考慮せずに)、2ページ目のプリントデータのRIP処理の速度のみに基づいて、3ページ目のプリントデータのRIP処理におけるCPU201の動作周波数、メモリバスの動作周波数、およびCPU201の電源電圧を調整するように装置を構成してもよい。
【0105】
すなわち、nページ目のプリントデータの処理において、
【0106】
(1)(n−1)ページ目のプリントデータのRIP処理に要した時間、
【0107】
(2)(n−1)ページ目のプリントデータの中間データへの変換に要した時間、および
【0108】
(3)(n−1)ページ目のプリントデータの中間データからラスタデータへの変換に要した時間、
【0109】
の各々が、それぞれに対して予め定められたRIP処理速度判定のためのしきい値以上であるか、それよりも小さいかによって、nページ目のプリントデータのRIP処理におけるCPU201の動作周波数、メモリバスの動作周波数、およびCPU201の電源電圧を調整してもよい。
【0110】
図7のステップS103において、合計時間(T3)がしきい値(T3’)以上である場合(ステップS103でNO)は、RIP処理が遅すぎる状態であり、処理速度を上げる必要があることを意味している。
【0111】
そこでステップS103でNOであれば、ステップS109において、中間データへの変換時間(T1)が、しきい値(T1’(但しT1’<T3’))以上であるかを判定する。
【0112】
ステップS109において、中間データへの変換時間(T1)がしきい値(T1’)以上である場合は、CPU201の中間データへの変換処理が遅すぎる状態であり、CPU201の処理速度を上げる必要があることを意味している。
【0113】
ステップS109でYESであれば、ステップS110において、中間データからラスタデータへの変換時間(T2)が、しきい値(T2’(但しT2’<T3’))以上かを判定する。
【0114】
ステップS110において、ラスタデータへの変換時間(T2)がしきい値(T2’)以上である場合は、バスの動作周波数が遅すぎる状態であり、バスの動作周波数を上げる必要があることを意味している。
【0115】
このことから、ステップS109およびS110の双方でYESであれば、ステップS113において、CPU201の動作周波数とメモリバスの動作周波数とを高くする。また同時にCPU201の電源電圧を上げる。
【0116】
また、ステップS109でNOであれば、RIP処理速度は遅すぎる状態ではあるが、CPUの動作周波数が遅すぎるものではない。すなわち、RIP処理速度が遅いのは、メモリバスの動作周波数が低すぎるためである。そこでステップS111において、メモリバスの動作周波数を高くする。
【0117】
ステップS110でNOであれば、RIP処理速度が遅すぎる状態であり、CPUの動作周波数が遅すぎる状態にある。但し、メモリバスの動作周波数が遅すぎるものではない。すなわち、RIP処理速度が遅いのは、CPUの動作周波数が低すぎるためである。従ってステップS112において、CPU201の動作周波数を高くする。また同時にCPU201の電源電圧を上げる。
【0118】
メモリバスの動作周波数やCPU201の動作周波数が調整された状態で、ステップS114でプリントデータのRIP処理が行われ、プリンタ部405でのプリントが行われる。
【0119】
なお、CPU201の動作周波数、メモリバスの動作周波数、およびCPU201の電源電圧は、それぞれに上限値と下限値とが決められ、それらの値を超えないように制御が行われる。
【0120】
CPU201の動作周波数、メモリバスの動作周波数、およびCPU201の電源電圧を変化させるとき、一度に変化させる量は一定(所定量)としている。所定量の変化で不足分があれば、次のページの処理において、さらに所定量の変化が行われることとなる。例えば、1ページ目のRIP処理でのCPUの動作速度が速すぎると判定されたとき、2ページ目のRIP処理ではCPUの動作周波数を所定量低くする処理が行われる。2ページ目のRIP処理でのCPUの動作速度が速すぎると判定されたとき、3ページ目のRIP処理ではCPUの動作周波数をさらに所定量低くする処理が行われる。このようにして、段階的にCPUの動作周波数を低くする設定が行われることとなる。また、同様の処理により、CPUの電源電圧を段階的に低くすることや、メモリバスの動作周波数を段階的に低くすることができる。CPU201の動作周波数、メモリバスの動作周波数、およびCPU201の電源電圧を増加させるときも同様である。
【0121】
一方で、CPU201の動作周波数、メモリバスの動作周波数、およびCPU201の電源電圧を変化させるとき、測定された時間(T1,T2,T3)としきい値(T1’,T2’,T3’)との差に応じた量だけそれらを変化させてもよい。すなわち、測定された時間(T1,T2,T3)としきい値(T1’,T2’,T3’)との差が大きければ大きいほど、CPU201の動作周波数、メモリバスの動作周波数、およびCPU201の電源電圧を変化させる量を大きくするものである。
【0122】
図7においては、ステップS106〜S108の処理により、CPU動作周波数、CPU電源電圧、およびメモリバスの動作周波数の少なくとも1つを低下させることにより、節電を行なうことができる。
【0123】
次に、しきい値T1’,T2’,T3’を記録するテーブルと、そのテーブルを用いて図7のフローチャートによりRIP処理速度を判定し、動作周波数と電源電圧の制御を行なう本実施の形態における処理について説明する。
【0124】
図8は、60秒間に60枚のプリント処理を行なうことが可能な画像形成装置におけるRIP処理に最大限使うことのできる時間を具体的に示した図である。
【0125】
図においては、12ページのプリントデータの処理を行なうための、中間データへの変換時間と、ラスタデータへの変換時間と、その合計(RIP処理に要する時間)の最大値が、1ページ目のプリントスタートからの累積値として記載されている。
【0126】
60秒間に60枚のプリント処理を行なうためには、1ページのRIP処理時間は1.0秒以下である必要がある。1ページのRIP処理時間が1.0秒である場合、その内の中間データへの変換時間は0.4秒、ラスタデータへの変換時間は0.6秒であるものとしている。
【0127】
図9は、周波数の変更制御を行なうための比較テーブルの具体例を示す図である。
【0128】
図においては、12ページの各ページのプリントデータの処理を行なう場合における、中間データへの変換時間のしきい値(比較値)(T1’)と、中間データからラスタデータへの変換時間のしきい値(T2’)と、その合計時間(RIP処理に要する時間)のしきい値(T3’)とが記載されている。
【0129】
このような比較テーブルは、予めプリンタの処理速度に応じて式で求められ、装置に記録されている。比較テーブルの生成方法について、以下に説明する。比較テーブルは、ジョブを受信した毎に生成されてもよいが、ジョブの処理速度を落とさない観点から、予め生成したものを装置に記憶させておくことが望ましい。また、1ページのRIP処理を実行する毎に、そのRIP処理の速度を評価するためのしきい値(T1’〜T3’)を算出してもよい。
【0130】
先ず、比較テーブルの第1ページの中間データへの変換時間のしきい値(T1’)と、ラスタデータへの変換時間のしきい値(T2’)と、その合計時間(RIP処理に要する時間)のしきい値(T3’)とを算出する。図9においては、1ページ目におけるT1’は0.2秒、T2’は0.3秒、T3’は0.5秒としている。これは、図8に示される1ページの処理に最大限使うことのできる中間データへの変換時間(0.4秒)、ラスタデータへの変換時間(0.6秒)、RIP処理時間(1.0秒)のそれぞれの1/2の値を、図9の第1ページのT1’,T2’,T3’の値とするものである。
【0131】
次に、図9の2ページ目のしきい値T1’,T2’,T3’を算出する。これは、図9の第1ページの中間データへの変換時間のしきい値(T1’=0.2秒)と、ラスタデータへの変換時間のしきい値(T2’=0.3秒)と、その合計時間(RIP処理に要する時間)のしきい値(T3’=0.5秒)のそれぞれに、図8に示される1ページの処理に最大限使うことのできる中間データへの変換時間(0.4秒)、ラスタデータへの変換時間(0.6秒)、RIP処理時間(1.0秒)のそれぞれを加えたものである。
【0132】
すなわち、図9の2ページ目のしきい値T1’は、0.2+0.4=0.6秒、しきい値T2’は、0.3+0.6=0.9秒、しきい値T3’は、0.5+1.0=1.5秒となる。
【0133】
同様に、3ページ目のしきい値T1’,T2’,T3’は、図9の第2ページの中間データへの変換時間のしきい値(T1’=0.6秒)と、ラスタデータへの変換時間のしきい値(T2’=0.9秒)と、その合計時間(RIP処理に要する時間)のしきい値(T3’=1.5秒)のそれぞれに、図8に示される1ページの処理に最大限使うことのできる中間データへの変換時間(0.4秒)、ラスタデータへの変換時間(0.6秒)、RIP処理時間(1.0秒)のそれぞれを加えることで求められる。
【0134】
すなわち、図9の3ページ目のしきい値T1’は、0.6+0.4=1.0秒、しきい値T2’は、0.9+0.6=1.5秒、しきい値T3’は、1.5+1.0=2.5秒となる。
【0135】
このように、1ページの処理に最大限使うことのできる時間を、前ページのしきい値に順次加算してゆくことで、図9に示すテーブルを得ることができる。すなわち、図9の2ページ目以降のあるページにおける中間データへの変換時間のしきい値(T1’)と、ラスタデータへの変換時間のしきい値(T2’)と、その合計時間(RIP処理に要する時間)のしきい値(T3’)の各々は、
【0136】
第1ページのしきい値+1ページの処理に最大限使うことのできる時間×(ページ数−1) …(1)
【0137】
の式により、求められる。
【0138】
例えば図9の第3ページの中間データへの変換時間のしきい値(T1’)の算出であれば、第1ページのしきい値=0.2秒、1ページの処理に必要な時間=0.4秒、ページ数=3ページ目であるため、上記(1)式により、0.2秒+0.4秒×(3−1)=1.0秒となる。
【0139】
図10は、図9のテーブルに基づいて動作周波数を切り替える例を示す図である。
【0140】
ここでは、12ページのプリントデータを図9のテーブルに基づいて処理する例を示している。図10の処理時間T1,T2,T3は実測値であるものとする。
【0141】
1ページ目のプリントは、通常の処理速度(周波数倍率=1倍)で実行される(図7のステップS101)。このときの中間データへの変換時間(T1)が0.3秒であり、ラスタデータへの変換時間(T2)が0.6秒であり、RIP処理に要する時間(T3)が0.9秒であると実測されたものとする(図7のステップS102)。2ページ目のプリントでは、これら実測時間に基づいて、CPU201の動作周波数、メモリバスの動作周波数、およびCPU201の電源電圧の制御が行われる。
【0142】
すなわち、1ページ目の処理において実測された中間データへの変換時間(T1)とラスタデータへの変換時間(T2)との合計時間であるRIP処理に要する時間(T3=0.9秒)が、図9のテーブルにおける1ページ目のしきい値(T3’=0.5秒)より小さいかが判定される(図7のステップS103)。ここでは、実測されたRIP処理に要する時間(0.9秒)が、それに対応する図9の1ページ目のしきい値(0.5秒)以上であるため、図7のステップS103ではNOと判断される。
【0143】
その後、図7のステップS109では、1ページ目の処理において実測された中間データへの変換時間(T1=0.3秒)が、それに対応する図9の1ページ目のしきい値(T1’=0.2秒)以上であるため、YESと判定される。
【0144】
図7のステップS110では、1ページ目の処理において実測されたラスタデータへの変換時間(0.6秒)が、それに対応する図9の1ページ目のしきい値(0.3秒)以上であるため、YESと判定される。
【0145】
その後、ステップS113でCPU201の動作周波数、メモリバスの動作周波数、およびCPU201の電源電圧を高くする制御が行われるが、ここではそれらは上限値(節電処理を行わない状態である、通常時(周波数倍率=1倍))であるため、CPU201の動作周波数、メモリバスの動作周波数、およびCPU201の電源電圧は上昇させない。
【0146】
その後、図7のステップS114にて、2ページ目のプリントデータのRIP処理およびプリントが行われる。ステップS115の判断において、次のページ(3ページ目)の処理のためにステップS102へ戻る。
【0147】
3ページ目のプリントを行なうときに、1ページ目および2ページ目のRIP処理の実測時間に基づいて、CPU201の動作周波数、メモリバスの動作周波数、およびCPU201の電源電圧の制御が行われる。
【0148】
すなわち図10の「2ページ」に示されるように、1ページ目および2ページ目の合計である中間データへの変換時間(T1)が0.5秒であり、ラスタデータへの変換時間(T2)が1.1秒であり、RIP処理に要する時間(T3)が1.6秒であると実測されたものとする(図7のステップS102)。3ページ目のプリントでは、これら実測時間に基づいて、CPU201の動作周波数、メモリバスの動作周波数、およびCPU201の電源電圧の制御が行われる。
【0149】
2ページ目の処理を行ったときに実測された中間データへの変換時間(T1)とラスタデータへの変換時間(T2)との合計時間であるRIP処理に要する時間(T3=1.6秒)が、図9のテーブルにおける2ページ目のしきい値(1.5秒)以上であるため(図7のステップS103でNO)、3ページ目の処理においても2ページ目と同様に、CPU201の動作周波数、メモリバスの動作周波数、およびCPU201の電源電圧は上昇させない(それらが全て上限値であるため)。
【0150】
その後、図7のステップS114にて、3ページ目のプリントデータのRIP処理およびプリントが行われる。ステップS115の判断において、次のページ(4ページ目)の処理のためにステップS102へ戻る。
【0151】
4ページ目のプリントでは、1ページ目〜3ページ目のRIP処理の実測時間に基づいて、CPU201の動作周波数、メモリバスの動作周波数、およびCPU201の電源電圧の制御が行われる。
【0152】
すなわち、1ページ目〜3ページ目の処理において実測された中間データへの変換時間とラスタデータへの変換時間との合計時間であるRIP処理に要する時間(2.3秒)が、図9のテーブルにおける3ページ目のしきい値(2.5秒)より小さいかが判定される(図7のステップS103)。ここでは、実測されたRIP処理に要する時間(2.3秒)が、それに対応する図9の3ページ目のしきい値(2.5秒)より小さいため、図7のステップS103ではYESと判断される。
【0153】
その後、図7のステップS104では、1ページ目〜3ページ目の処理において実測された中間データへの変換時間(0.7秒)が、それに対応する図9の3ページ目のしきい値(1.0秒)より小さいため、YESと判定される。
【0154】
その後、図7のステップS105では、1ページ目〜3ページ目の処理において実測されたラスタデータへの変換時間(1.6秒)が、それに対応する図9の3ページ目のしきい値(1.5秒)以上であるため、NOと判定される。
【0155】
これにより、4ページ目の処理においてはステップS108でCPU201の動作周波数および電源電圧を低下させる処理が行われ、図7のステップS114にて、省電力による4ページ目のプリントデータのRIP処理およびプリントが行われる。なお、この例においては動作周波数を低下させるために、動作周波数を通常時の0.75倍としている。
【0156】
その後、ステップS115の判断において、次のページ(5ページ目)の処理のためにステップS102へ戻る。
【0157】
5ページ目、6ページ目の処理でも、それぞれ4ページ目までの実測時間、5ページ目までの実測時間に基づいて以下のように制御が行われる。
【0158】
1ページ目〜4ページ目の処理において実測されたRIP処理に要する時間(3.3秒)は、図9のテーブルにおける4ページ目のしきい値(3.5秒)より小さい(図7のステップS103でYES)。また、1ページ目〜4ページ目の中間データへの変換時間の実測値(1.2秒)は、図9のテーブルにおける4ページ目のしきい値(1.4秒)より小さい(図7のステップS104でYES)。さらに、1ページ目〜4ページ目のラスタデータへの変換時間の実測値(2.1秒)は、図9のテーブルにおける4ページ目のしきい値(2.1秒)以上である(図7のステップS105でNO)。これにより、5ページ目のRIP処理におけるCPU201の動作周波数、およびCPU201の電源電圧を低くする制御が行われるが(ステップS108)、ここではそれらは下限値(動作周波数=0.75倍)であるため、CPU201の動作周波数、メモリバスの動作周波数、およびCPU201の電源電圧は低下させない。6ページ目のRIP処理も同様である。
【0159】
次に、7ページ目のプリントについて説明する。
【0160】
1ページ目〜6ページ目の処理において実測されたRIP処理に要する時間(5.5秒)は、図9のテーブルにおける6ページ目のしきい値(5.5秒)以上である(図7のステップS103でNO)。また、1ページ目〜6ページ目の中間データへの変換時間の実測値(2.2秒)は、図9のテーブルにおける6ページ目のしきい値(2.2秒)以上である(図7のステップS109でYES)。一方で、1ページ目〜6ページ目のラスタデータへの変換時間の実測値(3.3秒)は、図9のテーブルにおける6ページ目のしきい値(3.3秒)以上である(図7のステップS110でYES)。
【0161】
これによりCPU201の動作周波数、およびCPU201の電源電圧を高くする制御が行われる(図7のステップS113)。ここでは0.75倍であったCPUの動作周波数を1倍に戻すものである。また、既に上限値(1.0倍)であるメモリバスの動作周波数は高くされない。
【0162】
次に、8ページ目のプリントについて説明する。
【0163】
1ページ目〜7ページ目の処理において実測されたRIP処理に要する時間(6.3秒)は、図9のテーブルにおける7ページ目のしきい値(6.5秒)より小さい(図7のステップS103でYES)。また、1ページ目〜7ページ目の中間データへの変換時間の実測値(2.5秒)は、図9のテーブルにおける7ページ目のしきい値(2.6秒)より小さい(図7のステップS104でYES)。さらに、1ページ目〜7ページ目のラスタデータへの変換時間の実測値(3.8秒)は、図9のテーブルにおける7ページ目のしきい値(3.9秒)より小さい(図7のステップS105でYES)。これによりCPU201の動作周波数、およびCPU201の電源電圧、ならびにメモリバスの動作周波数を低くする制御が行われる(ステップS106)。これにより、8ページ目のRIP処理では、メモリバスの動作周波数、CPU201の動作周波数ともに0.75倍となっている。
【0164】
9ページ目以降のプリントについての説明は、上記と同様であるため、省略する。
【0165】
このようにして、あるページまでにおけるRIP処理に要する時間の実測値(累積値)に基づいて、その次のページにおけるRIP処理のパフォーマンスが決定される。すなわち、図7のフローチャートのステップS103で、実測された1ページ前までのRIP処理の合計時間(累積値)が、ページ毎に設定されたしきい値より小さい場合(ステップS103でYES)、メモリバス動作周波数、およびCPU動作周波数のいずれかまたは両方を低くすることで、消費電力の削減が行われる。このような削減処理は、1ページの処理毎に実施される。
【0166】
上記処理が毎ページ繰り返して行われることで、メモリバス動作周波数、およびCPU動作周波数は、低くされたり高くされたり(元に戻されたり)を繰り返すこととなる。周波数が変動することで、常にパフォーマンスの調整が行われ、消費電力を抑えつつ、必要な時間以内でプリント処理をすることが可能である。
【0167】
[第2の実施の形態]
【0168】
図11は、本発明の第2の実施の形態における画像形成装置が実行する節電制御を含むプリント処理のフローチャートである。
【0169】
第2の実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成は、第1の実施の形態におけるそれと同じであるためここでの説明を繰り返さない。
【0170】
図11の処理は、コントローラ部150のCPU201により実行される。このフローチャートでは、画像形成装置が外部PCからPDLのプリントデータを入力し、それをコントローラ部150のCPU201がRIP処理し、プリンタ部405で出力するまでの処理を示している。
【0171】
図11を参照して、CPU201は、ネットワークインタフェース213を介して外部PCからプリントデータを受け取ると、ステップS301でその1ページ目(1枚目)のRIP処理を開始する。RIP処理が終了すると、そのデータに基づきプリンタ部405で1ページ目(1枚目)のプリントを行なう。このステップS301での1ページ目(1枚目)のRIP処理に関しては、CPU201のパフォーマンス(動作周波数、電源電圧)を落とすことなく、またバスの動作周波数も落とすことなく、通常の動作環境で行われる。1ページ目のRIP処理を早く行い、プリント実行までの時間を短くするものである。
【0172】
1ページ目のRIP処理が終了すると、ステップS303においてCPU201は、1ページ目のRIP処理における、プリントデータを中間データに変換する時間(T1)と、中間データをラスタデータに変換する時間(T2)とを測定する。
【0173】
ステップS305においてCPU201は、ステップS303で測定されたプリントデータを中間データに変換する時間(T1)が、プリントデータを中間データに変換する時間を評価するためのしきい値(X)以下であるかを判定する。ここで、しきい値(X)は、プリンタ部405が1枚のプリントを行なうのに要する時間の1/4であるものとする。ステップS305でYESである場合には、ステップS307で、CPUの動作周波数を1/2とし、CPU電源電圧を3/4とする。
【0174】
ステップS309においてCPU201は、ステップS303で測定された中間データをラスタデータに変換する時間(T2)が、中間データをラスタデータに変換する時間を評価するためのしきい値(Y)以下であるかを判定する。ここで、しきい値(Y)は、プリンタ部405が1枚のプリントを行なうのに要する時間の1/4であるものとする。ステップS309でYESである場合には、ステップS311で、メモリバスの動作周波数を1/2とする。
【0175】
メモリバスの動作周波数やCPU201の動作周波数および電源電圧が調整された状態で、ステップS313で2ページ目のプリントデータのRIP処理が行われ、プリンタ部405でのプリントが行われる。また、2ページ目と同様に、3ページ目以降の処理が行われる。
【0176】
以上のように本実施の形態では、メモリバスの動作周波数は、標準状態の1/2が下限値であり、CPUの動作周波数は、標準状態の1/2が下限値である。
【0177】
図12は、本発明の第2の実施の形態における画像形成装置が実行する第1の処理を模式的に示すタイミングチャートである。
【0178】
図12中においては、3ページの画像をプリント処理する場合について、そのRIP処理を行なう時間と、プリントを行なう時間とが記載されている。RIP処理を行なう時間としては、プリントデータの中間データへの変換時間と、中間データのラスタデータへの変換時間とが示されている。横軸は、処理開始からの経過時間を示しており、時刻“0”から時刻“13”までの13の単位時間中に行われる処理が示されている。
【0179】
図12(A)は、節電を行わない従来の処理を、図12(B)は節電を行なう本実施の形態における処理を示す。
【0180】
図12(A)に示されるように、節電を行わない従来の処理において、時刻“0”から時刻“1”の間に、1ページ目のプリントデータの中間データへの変換が行なわれている。時刻“1”から時刻“2”の間に、1ページ目の中間データのラスタデータへの変換が行なわれている。時刻“2”から時刻“3”の間に、2ページ目のプリントデータの中間データへの変換が行なわれている。時刻“3”から時刻“4”の間に、2ページ目の中間データのラスタデータへの変換が行なわれている。時刻“4”から時刻“5”の間に、3ページ目のプリントデータの中間データへの変換が行なわれている。時刻“5”から時刻“6”の間に、3ページ目の中間データのラスタデータへの変換が行なわれている。
【0181】
1ページ目のラスタデータのプリントは、時刻“2”に開始され、時刻“5”で終了している。その後、時刻“5”から時刻“6”までプリントのインターバルの時間が設けられ、2ページ目のラスタデータのプリントは、時刻“6”に開始され、時刻“9”で終了している。その後、時刻“9”から時刻“10”までプリントのインターバルの時間が設けられ、3ページ目のラスタデータのプリントは、時刻“10”に開始され、時刻“13”で終了している。
【0182】
このように、1ページのプリントデータの中間データへの変換時間は、1単位時間であり、中間データのラスタデータへの変換時間も1単位時間であるものとする。1ページ目のラスタデータへの変換が完了すると、すぐに2ページ目のプリントデータの中間データへの変換が開始されている。また、2ページ目のプリントデータの中間データへの変換の開始と同時に、1ページ目のプリントデータのプリントが開始される。1ページの画像のプリントには、図中ハッチング部分の3単位時間と、1単位時間のインターバル時間との合計4単位時間が必要となる。
【0183】
すなわち、RIP時間(中間データへの変換時間と、中間データからラスタデータへの変換時間の合計時間)は、プリント時間の1/2である。プリントデータの中間データへの変換時間は、プリント時間の1/4である。中間データのラスタデータへの変換時間は、プリント時間の1/4である。
【0184】
次に、図12(A)の節電を行わない従来の処理と同じデータを、本実施の形態における画像形成装置で処理する場合について説明する。
【0185】
節電を行なう本実施の形態における処理では、図11のステップS301で1枚目のRIP処理が通常の動作で行われる。すなわち、時刻“0”から時刻“1”の間に、1ページ目のプリントデータの中間データへの変換が行なわれる。時刻“1”から時刻“2”の間に、1ページ目の中間データのラスタデータへの変換が行なわれる。1ページ目のラスタデータのプリントは、時刻“2”に開始され、時刻“5”で終了している。その後、時刻“5”から時刻“6”までプリントのインターバルの時間が設けられる。
【0186】
1ページ目のRIP処理が完了したときに、ステップS303でCPU201は、1ページ目のRIP処理における、プリントデータを中間データに変換する時間(T1)と、中間データをラスタデータに変換する時間(T2)とを測定する。
【0187】
また、ステップS305において、ステップS303で測定されたプリントデータを中間データに変換する時間(T1)が、プリントデータを中間データに変換する時間を評価するためのしきい値(X)以下であるかが判定される。ここで、しきい値(X)は、プリンタ部405が1枚のプリントを行なうのに要する時間(インターバルの時間を含めた4単位時間)の1/4であるので、ステップS305ではYESと判定され、ステップS307で、CPUの動作周波数は1/2とされ、CPU電源電圧は3/4とされる。
【0188】
ステップS309においてCPU201は、ステップS303で測定された中間データをラスタデータに変換する時間(T2)が、中間データをラスタデータに変換する時間を評価するためのしきい値(Y)以下であるかを判定する。ここで、しきい値(Y)は、プリンタ部405が1枚のプリントを行なうのに要する時間(インターバルの時間を含めた4単位時間)の1/4であるので、ステップS309でYESと判定され、ステップS311で、メモリバスの動作周波数は1/2とされる。
【0189】
メモリバスの動作周波数やCPU201の動作周波数および電源電圧が調整された状態で、ステップS313で2ページ目のプリントデータのRIP処理が行われ、プリンタ部405でのプリントが行われる。また、2ページ目と同様に、3ページ目の処理が行われる。
【0190】
このようにして、図12(B)に示されるように本実施の形態では、2ページ目、3ページ目の中間データへの変換速度とラスタデータへの変換速度を1/2に落とす処理を行なう。すなわち、2ページ目、3ページ目の処理においては、CPU動作周波数を1/2に、CPU電源電圧を3/4に、メモリバス動作周波数を1/2に変更している。1ページ目のRIP処理は通常の速度(図12(A)と同じ速度)で行なうことで、1枚目のプリントの開始時間を遅らせることが防止されている(図11のステップS301)。
【0191】
図13は、図12の処理を行なう場合におけるコントローラ部150の節電効果の具体例を示す図である。
【0192】
図における「節電」は、図12(B)の処理を行った場合のRIP処理での電力の消費量を示し、図における「従来」は、図12(A)の処理を行った場合のRIP処理での電力の消費量を示す。
【0193】
図を参照して「従来」の処理において、RIP処理を行っている時刻“6”までの各単位時間でのコントローラ部150の消費電力量が「20」であったものとし、それ以降のプリントのみを行っている時刻“13”までのコントローラ部150の消費電力が「5」である場合を想定する。なお、ここではコントローラ部150の消費電力のみを示しており、プリンタ部405の消費電力は含めていない。そのため、プリントが開始されるまでの時刻“2”までの消費電力(「20」)と、プリント開始時の時刻“2”から時刻“6”までの消費電力(「20」)とが同じ値となっている。
【0194】
また、時刻“6”でRIP処理は終了しているが、コントローラ部150内のCPUやメモリバスは、時刻“6”までと同様の速度で動作を続けるので、コントローラ部150の消費電力は「0」にはならない。ここでは、時刻“6”以降でのコントローラ部150の消費電力は「5」である。
【0195】
「節電」の処理を行なう場合には、1ページ目のRIP処理を行なう時刻“2”までは、図11のステップS301の処理に示されるように、コントローラ部150は、「従来」の処理と同様に各単位時間で「20」の電力を消費する。それ以降の時刻“10”までの処理においては、コントローラ部150のCPU動作周波数は1/2に、CPU電源電圧は3/4に、メモリバス動作周波数は1/2に変更される。これにより、時刻“2”から“10”までの各単位時間の電力消費量は「6」となり、時刻“3”から“10”までのトータルの電力消費量を、従来の「80」に対して「42」に低下させることができる。また、RIP処理が終了する時刻である時刻“10”から時刻“13”においては、コントローラ部150のCPUやメモリバスのクロック数は低いままであるため、コントローラ部150の電力消費量を「1」に低下させることができる。
【0196】
これにより、図13の「合計」の欄に見られるように、「従来」の処理では「155」であったトータルの消費電力量を「91」に低下させることが可能となる。
【0197】
図14は、本発明の第2の実施の形態における画像形成装置が実行する第2の処理を模式的に示すタイミングチャートである。
【0198】
図14中においては、3ページの画像をプリント処理する場合について、そのRIP処理を行なう時間と、プリントを行なう時間とが記載されている。RIP処理を行なう時間としては、プリントデータの中間データへの変換時間と、中間データのラスタデータへの変換時間とが示されている。横軸は、処理開始からの経過時間を示しており、時刻“0”から時刻“14”までの14の単位時間中に行われる処理が示されている。
【0199】
図14(A)は、節電を行わない従来の処理を、図14(B)は節電を行なう本実施の形態における処理を示す。
【0200】
図14(A)に示されるように、節電を行わない従来の処理において、時刻“0”から時刻“1”の間に、1ページ目のプリントデータの中間データへの変換が行なわれている。時刻“1”から時刻“3”の間に、1ページ目の中間データのラスタデータへの変換が行なわれている。時刻“3”から時刻“4”の間に、2ページ目のプリントデータの中間データへの変換が行なわれている。時刻“4”から時刻“6”の間に、2ページ目の中間データのラスタデータへの変換が行なわれている。時刻“6”から時刻“7”の間に、3ページ目のプリントデータの中間データへの変換が行なわれている。時刻“7”から時刻“9”の間に、3ページ目の中間データのラスタデータへの変換が行なわれている。
【0201】
1ページ目のラスタデータのプリントは、時刻“3”に開始され、時刻“6”で終了している。その後、時刻“6”から時刻“7”までプリントのインターバルの時間が設けられ、2ページ目のラスタデータのプリントは、時刻“7”に開始され、時刻“10”で終了している。その後、時刻“10”から時刻“11”までプリントのインターバルの時間が設けられ、3ページ目のラスタデータのプリントは、時刻“11”に開始され、時刻“14”で終了している。
【0202】
このように、1ページのプリントデータの中間データへの変換時間は、1単位時間であり、中間データのラスタデータへの変換時間は2単位時間であるものとする。1ページ目のラスタデータへの変換が完了すると、すぐに2ページ目のプリントデータの中間データへの変換が開始されている。また、2ページ目のプリントデータの中間データへの変換の開始と同時に、1ページ目のプリントデータのプリントが開始される。1ページの画像のプリントには、図中ハッチング部分の3単位時間と、1単位時間のインターバル時間との合計4単位時間が必要となる。
【0203】
すなわち、RIP時間(中間データへの変換時間と、中間データからラスタデータへの変換時間の合計時間)は、プリント時間の3/4である。プリントデータの中間データへの変換時間は、プリント時間の1/4である。中間データのラスタデータへの変換時間は、プリント時間の1/2である。
【0204】
次に、図14(A)の節電を行わない従来の処理と同じデータを、本実施の形態における画像形成装置で処理する場合について説明する。
【0205】
節電を行なう本実施の形態における処理では、図11のステップS301で1枚目のRIP処理が通常の動作で行われる。すなわち、時刻“0”から時刻“1”の間に、1ページ目のプリントデータの中間データへの変換が行なわれる。時刻“1”から時刻“3”の間に、1ページ目の中間データのラスタデータへの変換が行なわれる。1ページ目のラスタデータのプリントは、時刻“3”に開始され、時刻“6”で終了している。その後、時刻“6”から時刻“7”までプリントのインターバルの時間が設けられる。
【0206】
1ページ目のRIP処理が完了したときに、ステップS303でCPU201は、1ページ目のRIP処理における、プリントデータを中間データに変換する時間(T1)と、中間データをラスタデータに変換する時間(T2)とを測定する。
【0207】
また、ステップS305において、ステップS303で測定されたプリントデータを中間データに変換する時間(T1)が、プリントデータを中間データに変換する時間を評価するためのしきい値(X)以下であるかが判定される。ここで、しきい値(X)は、プリンタ部405が1枚のプリントを行なうのに要する時間(インターバルの時間を含めた4単位時間)の1/4であるので、ステップS305ではYESと判定され、ステップS307で、CPUの動作周波数は1/2とされ、CPU電源電圧は3/4とされる。
【0208】
ステップS309においてCPU201は、ステップS303で測定された中間データをラスタデータに変換する時間(T2)が、中間データをラスタデータに変換する時間を評価するためのしきい値(Y)以下であるかを判定する。ここで、しきい値(Y)は、プリンタ部405が1枚のプリントを行なうのに要する時間(インターバルの時間を含めた4単位時間)の1/4であるので、ステップS309でNOと判定され、メモリバスの動作周波数は変化しない。
【0209】
CPU201の動作周波数および電源電圧が調整された状態で、ステップS313で2ページ目のプリントデータのRIP処理が行われ、プリンタ部405でのプリントが行われる。また、2ページ目と同様に、3ページ目の処理が行われる。
【0210】
このようにして、図14(B)に示されるように本実施の形態では、2ページ目、3ページ目の中間データへの変換速度を1/2に落とす処理を行なう。すなわち、2ページ目、3ページ目の処理においては、CPU動作周波数を1/2に、CPU電源電圧を3/4に変更している。1ページ目のRIP処理は通常の速度(図14(A)と同じ速度)で行なうことで、1枚目のプリントの開始時間を遅らせることが防止されている(図11のステップS301)。
【0211】
図15は、図14の処理を行なう場合におけるコントローラ部150の節電効果の具体例を示す図である。
【0212】
図における「節電」は、図14(B)の処理を行った場合のRIP処理での電力の消費量を示し、図における「従来」は、図14(A)の処理を行った場合のRIP処理での電力の消費量を示す。
【0213】
図を参照して「従来」の処理において、RIP処理を行っている時刻“9”までの各単位時間でのコントローラ部150の消費電力量が「20」であったものとし、それ以降のプリントのみを行っている時刻“14”までのコントローラ部150の消費電力が「5」である場合を想定する。なお、ここではコントローラ部150の消費電力のみを示しており、プリンタ部405の消費電力は含めていない。そのため、プリントが開始されるまでの時刻“3”までの消費電力(「20」)と、プリント開始時の時刻“3”から時刻“9”までの消費電力(「20」)とが同じ値となっている。
【0214】
また、時刻“9”でRIP処理は終了しているが、コントローラ部150内のCPUやメモリバスは、時刻“9”までと同様の速度で動作を続けるので、コントローラ部150の消費電力は「0」にはならない。ここでは、時刻“9”以降でのコントローラ部150の消費電力は「5」である。
【0215】
「節電」の処理を行なう場合には、1ページ目のRIP処理を行なう時刻“3”までは、図11のステップS301の処理に示されるように、コントローラ部150は、「従来」の処理と同様に各単位時間で「20」の電力を消費する。それ以降の時刻“11”までの処理においては、コントローラ部150のCPU動作周波数は1/2に、CPU電源電圧は3/4に変更される。これにより、時刻“3”から“11”までの各単位時間の電力消費量は「8」となり、時刻“3”から“11”までのトータルの電力消費量を、従来の「130」に対して、「64」に低下させることができる。また、RIP処理が終了する時刻である時刻“11”から
時刻“14”においては、コントローラ部150のCPUのクロック数は低いままであるため、コントローラ部150の電力消費量を「1」に低下させることができる。
【0216】
これにより、図15の「合計」の欄に見られるように、「従来」の処理では「205」であった消費電力量を「127」に低下させることが可能となる。
【0217】
図16は、本発明の第2の実施の形態における画像形成装置が実行する第3の処理を模式的に示すタイミングチャートである。
【0218】
図16中においては、3ページの画像をプリント処理する場合について、そのRIP処理を行なう時間と、プリントを行なう時間とが記載されている。RIP処理を行なう時間としては、プリントデータの中間データへの変換時間と、中間データのラスタデータへの変換時間とが示されている。横軸は、処理開始からの経過時間を示しており、時刻“0”から時刻“14”までの14の単位時間中に行われる処理が示されている。
【0219】
図16(A)は、節電を行わない従来の処理を、図16(B)は節電を行なう本実施の形態における処理を示す。
【0220】
図16(A)に示されるように、節電を行わない従来の処理において、時刻“0”から時刻“2”の間に、1ページ目のプリントデータの中間データへの変換が行なわれている。時刻“2”から時刻“3”の間に、1ページ目の中間データのラスタデータへの変換が行なわれている。時刻“3”から時刻“5”の間に、2ページ目のプリントデータの中間データへの変換が行なわれている。時刻“5”から時刻“6”の間に、2ページ目の中間データのラスタデータへの変換が行なわれている。時刻“6”から時刻“8”の間に、3ページ目のプリントデータの中間データへの変換が行なわれている。時刻“8”から時刻“9”の間に、3ページ目の中間データのラスタデータへの変換が行なわれている。
【0221】
1ページ目のラスタデータのプリントは、時刻“3”に開始され、時刻“6”で終了している。その後、時刻“6”から時刻“7”までプリントのインターバルの時間が設けられ、2ページ目のラスタデータのプリントは、時刻“7”に開始され、時刻“10”で終了している。その後、時刻“10”から時刻“11”までプリントのインターバルの時間が設けられ、3ページ目のラスタデータのプリントは、時刻“11”に開始され、時刻“14”で終了している。
【0222】
このように、1ページのプリントデータの中間データへの変換時間は、2単位時間であり、中間データのラスタデータへの変換時間は1単位時間であるものとする。1ページ目のラスタデータへの変換が完了すると、すぐに2ページ目のプリントデータの中間データへの変換が開始されている。また、2ページ目のプリントデータの中間データへの変換の開始と同時に、1ページ目のプリントデータのプリントが開始される。1ページの画像のプリントには、図中ハッチング部分の3単位時間と、1単位時間のインターバル時間との合計4単位時間が必要となる。
【0223】
すなわち、RIP時間(中間データへの変換時間と、中間データからラスタデータへの変換時間の合計時間)は、プリント時間の3/4である。プリントデータの中間データへの変換時間は、プリント時間の1/2である。中間データのラスタデータへの変換時間は、プリント時間の1/4である。
【0224】
次に、図16(A)の節電を行わない従来の処理と同じデータを、本実施の形態における画像形成装置で処理する場合について説明する。
【0225】
節電を行なう本実施の形態における処理では、図11のステップS301で1枚目のRIP処理が通常の動作で行われる。すなわち、時刻“0”から時刻“2”の間に、1ページ目のプリントデータの中間データへの変換が行なわれる。時刻“2”から時刻“3”の間に、1ページ目の中間データのラスタデータへの変換が行なわれる。1ページ目のラスタデータのプリントは、時刻“3”に開始され、時刻“6”で終了している。その後、時刻“6”から時刻“7”までプリントのインターバルの時間が設けられる。
【0226】
1ページ目のRIP処理が完了したときに、ステップS303でCPU201は、1ページ目のRIP処理における、プリントデータを中間データに変換する時間(T1)と、中間データをラスタデータに変換する時間(T2)とを測定する。
【0227】
また、ステップS305において、ステップS303で測定されたプリントデータを中間データに変換する時間(T1)が、プリントデータを中間データに変換する時間を評価するためのしきい値(X)以下であるかが判定される。ここで、しきい値(X)は、プリンタ部405が1枚のプリントを行なうのに要する時間(インターバルの時間を含めた4単位時間)の1/4であるので、ステップS305ではNOと判定され、CPUの動作周波数およびCPU電源電圧を低下させる処理は行われない。
【0228】
ステップS309においてCPU201は、ステップS303で測定された中間データをラスタデータに変換する時間(T2)が、中間データをラスタデータに変換する時間を評価するためのしきい値(Y)以下であるかを判定する。ここで、しきい値(Y)は、プリンタ部405が1枚のプリントを行なうのに要する時間(インターバルの時間を含めた4単位時間)の1/4であるので、ステップS309でYESと判定され、ステップS311で、メモリバスの動作周波数は1/2とされる。
【0229】
メモリバスの動作周波数が調整された状態で、ステップS313で2ページ目のプリントデータのRIP処理が行われ、プリンタ部405でのプリントが行われる。また、2ページ目と同様に、3ページ目の処理が行われる。
【0230】
このようにして、図16(B)に示されるように、2ページ目、3ページ目のラスタデータへの変換速度を1/2に落とす処理を行なう。すなわち、2ページ目、3ページ目の処理においては、メモリバス動作周波数を1/2に変更している。1ページ目のRIP処理は通常の速度(図16(A)と同じ速度)で行なうことで、1枚目のプリントの開始時間を遅らせることが防止されている(図11のステップS301)。
【0231】
図17は、図16の処理を行なう場合におけるコントローラ部150の節電効果の具体例を示す図である。
【0232】
図における「節電」は、図16(B)の処理を行った場合のRIP処理での電力の消費量を示し、図における「従来」は、図16(A)の処理を行った場合のRIP処理での電力の消費量を示す。
【0233】
図を参照して「従来」の処理において、RIP処理を行っている時刻“9”までの各単位時間でのコントローラ部150の消費電力量が「20」であったものとし、それ以降のプリントのみを行っている時刻“14”までのコントローラ部150の消費電力が「5」である場合を想定する。なお、ここではコントローラ部150の消費電力のみを示しており、プリンタ部405の消費電力は含めていない。そのため、プリントが開始されるまでの時刻“3”までの消費電力(「20」)と、プリント開始時の時刻“3”から時刻“9”までの消費電力(「20」)とが同じ値となっている。
【0234】
また、時刻“9”でRIP処理は終了しているが、コントローラ部150内のCPUやメモリバスは、時刻“9”までと同様の速度で動作を続けるので、コントローラ部150の消費電力は「0」にはならない。ここでは、時刻“9”以降でのコントローラ部150の消費電力は「5」である。
【0235】
「節電」の処理を行なう場合には、1ページ目のRIP処理を行なう時刻“3”までは、図11のステップS301の処理に示されるように、コントローラ部150は、「従来」の処理と同様に各単位時間で「20」の電力を消費する。それ以降の時刻“5”までの処理においては、CPUは通常の速度で動作するため、コントローラ部150は、「従来」の処理と同様に各単位時間で「20」の電力を消費する。
【0236】
時刻“5”から2ページ目の中間データのラスタデータへの変換処理が行われるが、コントローラ部150のメモリバス動作周波数は1/2に変更されている。これにより、時刻“5”から“7”までの各単位時間の電力消費量は「6」に低下させることができる。それ以降の時刻“9”までの処理においては、CPUは通常の速度で動作するため、コントローラ部150は、「従来」の処理と同様に各単位時間で「20」の電力を消費する。時刻“9”からラスタデータへの変換処理が行われるが、コントローラ部150のメモリバス動作周波数は1/2に変更されている。これにより、時刻“9”から“11”までの電力消費量は「6」となる。
【0237】
また、RIP処理が終了する時刻である時刻“11”から 時刻“14”においては、コントローラ部150のメモリバスのクロック数は低いままであるため、コントローラ部150の電力消費量を「1」に低下させることができる。
【0238】
これにより、図17の「合計」の欄に見られるように、「従来」の処理では「205」であった消費電力量を「149」に低下させることが可能となる。
【0239】
[第3の実施の形態]
【0240】
第3の実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成は、第1の実施の形態におけるそれと同じであるためここでの説明を繰り返さない。以下、第3の実施の形態における画像形成装置の特徴的な部分について説明する。
【0241】
中間データからラスタデータへの変換時間は、1ページ内の印字領域の比率に応じて変化する。ここに印字領域の比率は、例えば1ページの画像を構成する画素数に対する描画を行なう画素数の割合で表される。1ページ内において全く描画を行わない場合、印字領域の比率は0%であり、1ページ内の全ての画素に対して描画を行う場合、印字領域の比率は100%である。
【0242】
印字領域の比率が大きい画像であるほど、中間データからラスタデータに画像を変換するときに、コントローラ部150が処理すべきデータの量が多くなる。従って、印字領域の比率が大きい画像は、印字領域の比率が小さい画像に比べて、中間データからラスタデータに画像を変換するまでの時間T2が長くなる傾向にある。
【0243】
そこで、第3の実施の形態における画像形成装置は、1ページ内の印字領域の比率に応じて、メモリバスの動作周波数を制御する。より詳しくは、1ページ内の印字領域の比率が低い場合には、中間データからラスタデータに画像を変換する処理が早く完了する(時間T2が短くなる)と予測されるので、メモリバスの動作周波数を低下させるものである。これにより、中間データからラスタデータに画像を変換する速度を遅くする(そして省電力を図る)。
【0244】
図18は、本実施の形態における画像形成装置のCPU201の動作を示すフローチャートである。
【0245】
このフローチャートでは、印字領域の比率に応じた節電制御が行われる。
【0246】
図を参照してプリントジョブが開始されると、ステップS201においてCPU201は、その1ページ目のプリント処理においては節電を行わず、通常の処理速度でRIP処理を行なう。このときのRIP処理に要する時間が実測される。
【0247】
次にステップS202で、2ページ目のプリントデータの中間データへの変換を行なう。このときに、2ページ目のプリントデータの印字領域の比率を判定する。
【0248】
ステップS204でCPU201により、印字領域の比率が所定の比率(設定値)以下であるかが判定される。ステップS204でYESの場合は、ステップS205で印字領域の比率に応じてメモリバスの動作周波数を低くする処理が行われる。
【0249】
すなわち、印字領域の比率が低ければ低いほど、メモリバスの動作周波数がより低くなるように制御が行なわれる。一方で、メモリバスの動作周波数を低くする量を常に一定にしてもよい。
【0250】
ステップS204でNOであれば、メモリバスの動作周波数を低くする処理は行われない(またはメモリバスの動作周波数を高くする(もしくは元に戻す)処理を行ってもよい)。
【0251】
ステップS206で、制御されたメモリバスの動作周波数の下で、2ページ目の中間データをラスタデータに変換する処理とプリント処理とが実行される。
【0252】
ステップS207で次のページの処理が不要であるかが判定され、YESであれば処理を終了し、NOであればステップS202において3ページ目の処理を開始する。
【0253】
このようにして、本実施の形態においては、印字領域の比率が小さいときにはメモリバスの動作周波数を低くする処理が行われる。このため、省電力化を図ることができる。
【0254】
なお、図18の処理は、図7または図11の処理と組み合わせて行なうこととしてもよい。すなわち、中間データからラスタデータへの変換時間の実測値と、印字領域の比率とに基づいてメモリバスの動作周波数を低くしてもよい。より詳しくは、あるページのRIP処理におけるメモリバスの動作周波数を、そのページの印字領域の比率と、その1ページ前までの中間データからラスタデータへの変換時間の実測値との双方に基づいて決定するものである。
【0255】
[実施の形態における効果]
【0256】
以上のように、本実施の形態の画像処理装置は、画像処理装置のCPU動作周波数を低くすることが可能なCPU動作周波数制御部と、メモリバス動作周波数を低くすることが可能なバス動作周波数制御部と、RIP時間を計測するRIP時間測定部とを備え、RIP処理が早すぎる場合に、RIPスピードをプリントスピードに近づけるため、CPU動作周波数、およびバス動作周波数の少なくとも1つを低くする。
【0257】
本実施の形態では、RIP処理の速度が早すぎる場合、CPUやメモリの処理能力を低くする処理が行われる。これにより、プリント時間中に消費する電力を削減することができる。また、図7のステップS103でNOである場合のように、RIP処理の速度が遅くなりすぎることを防ぐ(RIP処理の速度が遅くなりすぎた場合には、速度を上げる)ことで、プリントスピードを落とすことがなくなる。
【0258】
また、1ページ目の処理においては、ファーストプリント時間を優先するため、CPU動作周波数、およびバス動作周波数を低くする制御を行わないことが望ましい(図7のステップS101、図18のステップS201)。
【0259】
[その他]
【0260】
上記実施の形態においては、(1)CPU動作周波数、および、(2)メモリバス動作周波数の両者を制御する画像処理装置について説明したが、画像処理装置は(1)、(2)のうちいずれか一方のみを制御するものであってもよい。このような画像処理装置においても、従来の技術と比較して節電を行うことができる。さらに、上記実施の形態においては、CPU動作周波数に合わせてCPU電源電圧を制御する画像処理装置について説明したが、画像処理装置はCPU動作周波数およびCPU電源電圧のいずれか一方のみを制御するものであってもよい。
【0261】
画像形成装置は、白黒・カラーの複写機、プリンタ、ファクシミリ装置やこれらの複合機(MFP)などいずれであってもよい。
【0262】
また、画像形成装置は、電子写真方式のものに限られず、インクジェット方式などにより用紙に画像を形成するものであってもよい。
【0263】
さらに、プリントデータを処理するRIP処理に用いるメモリとしては、SRAM、DRAM、ハードディスクなど記憶装置であれば何を用いてもよい。
【0264】
また、上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザに提供することにしてもよい。上記のフローチャートや文章で説明された処理は、当該プログラムに従ってCPUにより実行される。また、プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。
【0265】
なお、上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0266】
100 画像形成装置
150 コントローラ部
201 CPU
201a 動作周波数設定部
201b 電源電圧設定部
201c バス動作周波数設定部
201d RIP処理部
201e RIP時間測定部
203 DRAM
205 ROM
207 画像処理部
209 SRAM
211 ハードディスク
213 ネットワークI/F
217 バス
301 言語解析部
303 ラスタライズ部
405 プリンタ部
D1 入力データ(プリントデータ)
D2 中間データ
D3 出力データ(ラスタデータ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリントデータを入力する入力部と、
前記プリントデータをラスタデータに変換する変換部と、
前記変換部における変換に要する時間を測定する測定部と、
前記測定部による測定結果に基づいて、前記変換部における変換処理の速度を遅くするための設定を行う設定部とを備えた、画像処理装置。
【請求項2】
前記変換部は、処理装置により構成され、前記プリントデータを中間データに変換する処理と、前記中間データをラスタデータに変換する処理とを実行し、
さらに、前記処理装置により変換された中間データを記憶するメモリと、
前記処理装置と前記メモリとの間でデータを転送するバスと、を備え、
前記測定部は、前記プリントデータを中間データに変換するのに要する時間と、前記中間データをラスタデータに変換するのに要する時間とを測定する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記測定されたプリントデータを中間データに変換するのに要する時間に基づいて、前記処理装置の動作周波数を低下させる設定および前記処理装置の電源電圧を低下させる設定の少なくとも1つを行う、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記設定部は、前記測定されたプリントデータを中間データに変換するのに要する時間に基づいて、前記処理装置の動作周波数を段階的に低下させる設定および前記処理装置の電源電圧を段階的に低下させる設定の少なくとも1つを行う、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記設定部は、前記測定された中間データをラスタデータに変換するのに要する時間に基づいて、前記バスの動作周波数を低下させる設定を行う、請求項2から4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記設定部は、前記測定された中間データをラスタデータに変換するのに要する時間に基づいて、前記バスの動作周波数を段階的に低下させる設定を行う、請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記測定部は、1ページのプリントデータのラスタデータへの変換に関する時間を測定し、
前記設定部は、前記測定されたページの次のページの処理における前記処理装置の動作周波数、前記処理装置の電源電圧、および前記バスの動作周波数のうち少なくとも1つを低下させるための設定を行うことが可能である、請求項2から6のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記設定部は、前記プリントデータをラスタデータに変換する処理が所定速度よりも早い場合に、前記プリントデータをラスタデータに変換する処理の速度を遅くする設定を行う、請求項1から7のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記設定部は、1ページ目の処理を行うときには、前記変換部における変換処理の速度を遅くしない、請求項1から8のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項10】
プリントデータを入力する入力部と、
前記プリントデータを中間データに変換する処理と、前記中間データをラスタデータに変換する処理とを実行する処理装置と、
前記処理装置により変換された中間データを記憶するメモリと、
前記処理装置と前記メモリとの間でデータを転送するバスと、
前記プリントデータ内の印字領域の比率を測定する測定部と、
前記測定部による測定結果に基づいて、前記バスの動作周波数を低下させるための設定を行う設定部とを備えた、画像処理装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置により変換されたプリントデータに基づいて、画像をプリントするプリンタ部とを備えた、画像形成装置。
【請求項12】
プリントデータを入力する入力ステップと、
前記プリントデータをラスタデータに変換する変換ステップと、
前記変換ステップにおける変換に要する時間を測定する測定ステップと、
前記測定ステップによる測定結果に基づいて、前記変換ステップにおける変換処理の速度を遅くするための設定を行う設定ステップとを備えた、画像処理装置の制御方法。
【請求項13】
プリントデータを中間データに変換する処理、および前記中間データをラスタデータに変換する処理を実行する処理装置と、前記処理装置により変換された中間データを記憶するメモリと、前記処理装置と前記メモリとの間でデータを転送するバスとを備えた画像処理装置の制御方法であって、
前記プリントデータを入力する入力ステップと、
前記プリントデータ内の印字領域の比率を測定する測定ステップと、
前記測定ステップによる測定結果に基づいて、前記バスの動作周波数を低下させるための設定を行う設定ステップとを備えた、画像処理装置の制御方法。
【請求項14】
プリントデータを入力する入力ステップと、
前記プリントデータをラスタデータに変換する変換ステップと、
前記変換ステップにおける変換に要する時間を測定する測定ステップと、
前記測定ステップによる測定結果に基づいて、前記変換ステップにおける変換処理の速度を遅くするための設定を行う設定ステップとをコンピュータに実行させる、画像処理装置の制御プログラム。
【請求項15】
プリントデータを中間データに変換する処理、および前記中間データをラスタデータに変換する処理を実行する処理装置と、前記処理装置により変換された中間データを記憶するメモリと、前記処理装置と前記メモリとの間でデータを転送するバスとを備えた画像処理装置の制御プログラムであって、
前記プリントデータを入力する入力ステップと、
前記プリントデータ内の印字領域の比率を測定する測定ステップと、
前記測定ステップによる測定結果に基づいて、前記バスの動作周波数を低下させるための設定を行う設定ステップとをコンピュータに実行させる、画像処理装置の制御プログラム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図1】
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【図12】
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【図14】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−6167(P2012−6167A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141583(P2010−141583)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】