説明

画像処理装置、画像処理装置の制御方法、プログラム

【課題】 受信した電子文書をReSend・RePrint対象とするか否かを受信手段毎に切り替えることを目的とする。
【解決手段】 受信条件ごとにReSend・RePrintを許可するか否かを受信ルール登録部に登録し、外部装置から電子文書を受信する際の受信手段に基づきReSend・RePrintを許可するか否かを判定する。この判定の結果に基づいて、受信履歴から再送信・再印刷を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部装置から受信した電子文書に対して所定の動作を行う画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の複合機等の画像処理装置は、大容量のハードディスクを備え、一度実行した印刷ジョブや送信ジョブの電子文書やジョブ設定を記憶しておき、再送信や再印刷を容易に行える機能を備えているものがある。この機能によると、一度送信した電子文書の再送信を容易に行えるだけでなく、一度送信した電子文書の画質やファイル形式が所望のものでは無い場合、再度原稿を読み取らずに設定を変更するだけで再送信することもできる。また一度印刷した電子文書の再印刷を容易に行えるだけでなく、一度印刷した電子文書の出力結果が所望のものではない場合には一部のジョブ設定(部数や印刷レイアウトなど)を変更して再印刷することが可能になる。
【0003】
一方複合機は、ファクス、電子メール等の受信手段により外部の装置からネットワーク又は公衆回線を介して電子文書を受信する機能を従来から備えている。ファクスにより受信する電子文書には取引先からの機密情報が含まれる可能性があるため、制限なく再送信や再印刷が行えてしまうことはセキュリティ上好ましくない。
【0004】
このような問題を解決するために、電子文書のアクセス管理を行うためのポリシーサーバを準備し、このポリシーを電子文書に埋め込みそのポリシーに従って制限を行う方法が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−108883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の方法によると、受信した電子文書に対するアクセスを許可したり禁止したりすることは可能であるが、受信した電子文書自体を送信することを防止することはできない。また、一度実行したジョブのジョブ設定を使用した再印刷の許可又は禁止を切り替えることはできない。
このような課題に鑑みて、本発明では、再送信・再印刷機能を備えた複合機において、受信した電子文書の再送信・再印刷を簡便に制限することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明における画像処理装置は、外部装置と複数の受信方法に従って電子文書を受信することが可能な画像処理装置であって、電子文書の再利用を許可することを示す再利用許可設定を前記複数の受信方法の少なくとも1つに対応づけて登録する登録手段と、前記複数の受信方法の1つに従って前記外部装置から受信した電子文書に所定の処理を行う処理手段と、前記登録された再利用許可設定に対応する受信方法に従って受信した電子文書を、前記処理手段によって行われた所定の処理の履歴に関連づけて記憶する記憶手段と、前記処理手段により行われた所定の処理の履歴を表示する表示手段と、前記表示手段により表示された履歴から特定される電子文書を再利用する再利用手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
また上記目的を達成するために、本発明における画像処理装置は、外部装置と複数の受信方法に従って電子文書を受信することが可能な画像処理装置であって、前記複数の受信方法の1つに従って前記外部装置から受信した電子文書に所定の処理を行う処理手段と、前記処理手段によって行われた所定の処理の履歴に関連づけて前記受信した電子文書を記憶する記憶手段と、前記処理手段により行われた所定の処理の履歴を表示する表示手段と、前記表示手段により表示された履歴から特定される電子文書を再利用する再利用手段と、電子文書の再利用を許可することを示す再利用許可設定を前記複数の受信方法の少なくとも1つに対応づけて登録する登録手段と、前記再利用許可設定に対応づけられている受信方法に従って受信した電子文書を前記再利用手段が再利用することを許可し、前記再利用許可設定に対応づけられていない受信方法に従って受信した電子文書を前記再利用手段が再利用することを制限する制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、再送信・再印刷機能を備えた画像処理装置において、受信した電子文書の再送信・再印刷を簡便に制限することが出来るようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像処理装置を有するシステムの全体構成を示す模式図である。
【図2】図1に示す画像処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す画像処理装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態において、受信した電子文書をReSend・RePrint用に保存するか否かを受信手段別に設定する設定画面である。
【図5】第1の実施形態の画像処理装置において電子文書を受信する処理を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施形態において、受信した電子文書をReSend・RePrint用として記憶するか否かを受信手段別に設定する設定画面である。
【図7】受信ルール登録部に登録されている受信ルールのデータ構造の一例である。
【図8】第2の実施形態の画像処理装置において電子文書を受信する処理を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施形態の画像処理装置において電子文書の受信履歴のリストを表示する処理を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施形態における履歴管理部が操作部212に表示する受信履歴リストの例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る画像処理装置を有するシステムの全体構成を示す模式図である。このシステムでは、画像処理装置101及び102がネットワーク105でメールサーバ用のPC(パーソナルコンピュータ)103と接続されている。更に画像処理装置101は、公衆回線106を介してファクス104と通信可能な構成となっている。
【0013】
画像処理装置101は多機能複写機である。画像処理装置101は、紙原稿を複写する機能のみならず、外部のプリンタドライバから送付された印刷データを印刷する機能、紙原稿を読み込みそのデータを外部のファイルサーバあるいはメールアドレス宛に送信する機能(SEND機能)を持つ。さらには、他の画像処理装置102にデータを送信して、送信先の画像処理装置で印刷する機能(リモートコピー機能、ファクス機能)、後述するPC103から電子メールを、ファクス104からファクスを受信する機能も持つ。
【0014】
PC103は、メールサーバとして設置されたコンピュータであり、画像処理装置101からの電子メール取得要求に応じて、またはPC103から画像処理装置101に対して、電子メールを配信するメールサーバである。
【0015】
ファクス104は、G3プロトコルなどによりデータを転送する機能を持つ通信装置である。
【0016】
画像処理装置101は、画像処理装置102、PC103とイーサネット(登録商標)105により接続され、画像処理装置101はファクス104と公衆回線106により接続されている。このように画像処理装置101は複数の異なる通信媒体を介して接続されている。
【0017】
<画像処理装置のハードウェア構成>
図2は、図1に示す画像処理装置101のハードウェア構成を示すブロック図である。コントローラユニット200は、画像入力デバイスであるスキャナ270や画像出力デバイスであるプリンタ295と接続し、一方ではイーサネット(登録商標)105や公衆回線106と接続することで画像情報やデバイス情報の入出力を行う。
【0018】
CPU201は画像処理装置101を制御するコントローラである。RAM202はCPU201が動作するためのシステムワークメモリであり、画像データを一時記憶するための画像メモリでもある。ROM203はブートROMであり、システムのブートプログラムが格納されている。HDD204はハードディスクドライブで、システムソフトウェア、アプリケーション、画像データを格納する。
【0019】
操作部インタフェース206はタッチパネルを有した操作部212とのインタフェース部で、操作部212に表示する画像データを操作部212に対して出力する。また、操作部212から本システム使用者が入力した情報を、CPU201に伝える役割をする。ネットワークインタフェース210はネットワーク105に接続し、情報の入出力を行う。MODEM250は公衆回線に接続し、情報の入出力を行う。
【0020】
SRAM209は高速動作可能な不揮発性の記録媒体である。RTC211は、リアルタイムクロックであり、コントローラユニット200に電源が入っていない状態でも現在の時刻をカウントし続ける処理を行う。以上のデバイスがシステムバス207上に配置される。
【0021】
イメージバスインタフェース205はシステムバス207と画像データを高速で転送する画像バス208を接続し、データ構造を変換するバスブリッジである。画像バス208は、PCIバスまたはIEEE1394で構成される。画像バス208上には以下のデバイスが配置される。
【0022】
RIP260はラスターイメージプロセッサでありPDLコードをビットマップイメージに展開する。デバイスインタフェース220は、画像入出力デバイスであるスキャナ270やプリンタ295とコントローラユニット200を接続し、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。スキャナ画像処理部280は、入力画像データに対し補正、加工、編集を行う。プリンタ画像処理部290は、プリント出力画像データに対して、プリンタの補正、解像度変換等を行う。画像回転部230は画像データの回転を行う。画像圧縮/伸張部240は、圧縮伸張処理を行う。
【0023】
<画像処理装置のソフトウェア構成>
図3は、図1に示す画像処理装置101のソフトウェア構成を示すブロック図である。このソフトウェアは、いわゆるファームウェアとして画像処理装置101のHDD204に記憶されており、RAM202に読み出されCPU201によって実行される。リアルタイムOS301はリアルタイムオペレーティングシステムであり、組み込みシステムの制御に最適化された各種資源管理のサービスと枠組みを、その上で動作するソフトウェアのために提供する。リアルタイムOSが提供する各種資源管理のサービスと枠組みには、CPUによる処理の実行コンテクストを複数管理することで複数の処理を実質的に並行動作させるマルチタスク(スレッド)管理、タスク間の同期やデータ交換を実現するタスク間通信がある。さらに、メモリ管理、割り込み管理、各種のデバイスドライバ、ローカルインタフェースやネットワークや通信などの各種プロトコルの処理を実装したプロトコルスタック、などもある。
【0024】
コントローラプラットフォーム302は、ファイルシステム303、ジョブ・デバイス制御304等から構成される。ファイルシステム303はHDD204やRAM202などの記憶装置上に構築されたデータを格納するためのシステムである。ジョブ・デバイス制御304は、画像処理装置101のハードウェアを制御し、また、画像処理装置101の主にハードウェアが提供する基本機能(プリント、スキャン、通信、画像変換など)を利用するジョブを制御する。
【0025】
アプリケーション306は、リアルタイムOS301やコントローラプラットフォーム302によって提供される機構を利用し、イーサネット(登録商標)105や公衆回線106を介して画像やテキストデータを入出力する組み込みアプリケーションである。アプリケーション306の主要な機構として、送信ジョブを統合管理する送信管理部307と、受信ジョブを統合管理する受信管理部308とから構成されている。送信管理部307はI−FAX送信309、FAX送信310、FTP送信311、Email送信312を、受信管理部308はI−FAX受信313,FAX受信314、FTP受信315、Email受信316を備え、各種送受信ジョブの制御を行う。さらに、これら送受信を補助する機構として、送信宛先となるメールアドレスやURIを管理するアドレス帳317、受信時の処理ルールを管理する受信ルール登録部318、送受信の履歴を管理する履歴管理部319、各種設定情報を管理する設定管理部320などがある。
【0026】
<電子文書の再利用の制限方法>
図4及び図5を参照し、第1の実施形態における電子文書の再利用の制限方法について説明する。なお本実施形態で説明する電子文書には、ファクシミリ回線を介して送受信される文書データ(画像データ)や、電子メールのようにネットワークを介して送受信される電子データ、またこれ以外にもさまざまな電子データが含まれるものとする。
【0027】
図4は、第1の実施形態における画像処理装置101が外部装置より受信した電子文書を再利用するためにHDD204に記憶するか否かを受信方法と対応づけて設定する設定画面の一例である。図4に示す設定画面は、画像処理装置101の操作部212に表示される。
【0028】
なお本実施形態において、再利用とは、受信した電子文書に関する所定の動作(受信した電子文書の印刷または送信)を行った後に再度その電子文書を印刷または送信することをいう。以降では、再利用のことを「ReSend・RePrint」と表記することとする。
【0029】
図4の設定画面の例では、ファクシミリ回線を介して受信した電子文書(ファクシミリデータ)のみReSend・RePrintを許可する設定がされている。この設定の場合、例えばファクス104からファクシミリ回線を介して受信した電子文書は、ReSend・RePrint用として、その受信した電子文書に所定の動作を行った際の設定(解像度など)および受信した電子文書をHDD204に記憶する。
【0030】
一方図4の設定画面の例ではPC103からイーサネット105を介して受信した電子文書(電子メールデータ)ついては再利用を禁止する。具体的には、イーサネット105を介して受信した電子文書については電子文書に関する所定の動作を行った後にその電子文書を削除することにより電子文書の再利用を禁止する。
【0031】
なお図4においては、受信方法の一例としてファクスと電子メールを図示しているが、画像処理装置101がファクス回線を複数備える場合は、ファクス回線1、ファクス回線2のように回線毎に設定することも可能である。
【0032】
なお図4においては、受信方法ごとにReSend・RePrintを許可するか禁止するかを設定する形態の一例として、ファクス及び電子メールについて説明した。これ以外の形態として、例えば、電子文書をどのようなネットワーク通信プロトコル(FTP、WebDav、SMBなど)やどのポートで受信したかによって、ReSend・RePrint対象とするか否かを設定できるように構成してもよい。
【0033】
図5は、図3に示す画像処理装置101における電子文書の受信処理を示すフローチャートである。このフローチャートの各ステップを実行するための制御プログラムはHDD204に記憶されており、RAM202に読み出されてCPU201によって実行されるものである。
【0034】
まずS501において受信管理部308は、電子文書を受信するジョブの発生を検知すると画像処理装置101が備える複数の受信方法のいずれかにて電子文書を受信し、S502において所定の動作を行う。例えばS501で検知したジョブが電子文書を印刷するジョブであればその電子文書に基づく画像をプリンタ295で印刷する動作を行う。一方電子文書を転送するジョブであれば受信した電子文書を必要に応じて各種処理を施して送信手段(ネットワークインターフェース210等)にて転送(送信)する動作を行う。
【0035】
受信した電子文書に対する所定の動作が完了すると、電子文書の受信日時や電子文書の送信元、受信方法の種別(電子メール、FAX)、受信結果(OK、NG)等の受信履歴データを履歴管理部319に記憶する。またこれ以外にも、所定の動作を行うことにより実行したジョブの設定を受信履歴データとして履歴管理部319に記憶しておく。受信履歴データに基づき電子文書を再利用する場合には、受信履歴データに含まれるジョブの設定を使用してその電子文書を再利用することができる。
【0036】
S502において受信した電子文書に対する所定の動作が完了すると、S504において受信管理部308は、画像処理装置101が備える複数の受信方法のうちいずれの受信方法で電子文書を受信したかを判定する。ファクスの場合はS505に進みファクスの受信方法に対応づけて登録されているReSend・RePrint設定を取得する。例えば図4の設定画面では、ファクスの受信方法にはReSend・RePrint許可が設定されているため、ReSend・RePrint許可設定(再利用許可設定)を取得する。
【0037】
一方電子メールの場合はS506に進み、電子メールの受信方法に対応づけて登録されているReSend・RePrint設定を取得する。例えば図4の設定画面では、電子メールの受信方法にはReSend・RePrintの禁止設定がされているので、ReSend・RePrint禁止設定を取得する。
【0038】
次にS507において、S506又はS507で受信したReSend・RePrint設定に基づきReSend・RePrintを許可するか禁止するかを判定する。許可すると判定した場合はS508に進み、S502で履歴管理部319に記憶した受信履歴データに、再利用可であることを示すReSend・RePrint許可設定の情報を加える。この情報は、受信履歴から特定される電子文書を再利用可能(ReSend・RePrint可能)であることを示すものである。
【0039】
S509において、S501で受信しHDD204に記憶した電子文書を受信履歴データから参照できるよう関連付けをした後に本フローチャートの処理を終了する。
【0040】
一方、S507においてReSend・RePrintを禁止すると判定した場合は、S510に進む。S510では、S502にて履歴管理部319に記憶した受信履歴データにReSend・RePrint禁止設定の情報を加える。そして、S511において受信した電子文書をHDD204から削除し、本フローチャートの処理を終了する。
【0041】
本実施形態によると、画像処理装置が備える複数の受信方法のうちどの受信方法で電子文書を受信したかに応じてReSend・RePrintを許可するか禁止するかを切り替えることが可能になる。この結果、例えばファクスにより受信する電子文書には取引先からの機密情報が含まれる可能性があり、機密情報の漏洩を防止するが、電子メールにて受信する電子文書には制限なくReSend・RePrint対象とすることができる。
【0042】
なお本実施形態では、ReSend・RePrintを許可する場合には電子文書をHDD204に記憶するようにしたが、SDカードやUSBメモリ等の記憶装置に記憶するようにしてもよい。
【0043】
また本実施形態では図4の設定画面を操作部212に表示してユーザに設定を行わせることにより、電子文書の再利用許可設定を登録できるよう構成した。しかし、この設定を操作部212ではなく、ネットワーク上の外部の装置に表示させて遠隔からの指示で設定するよう構成してもよい。この場合には、図4の設定画面のデータを例えばHTTPのプロトコルを用いて外部装置に送信することにより実現する。
【0044】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、電子文書をどのような受信方法で受信したかに従って電子文書をReSend・RePrint対象とするか否かを切り替える構成について説明した。第2の実施形態では、受信した電子文書のReSend・RePrintを許可する場合のルールを更に詳細に設定できるようにした。
【0045】
第2の実施形態の基本的構成は第1の実施の形態における図1、図2、及び図3で説明したものと同様である。以下、第2の実施の形態に特徴的な部分について説明する。
【0046】
図6は、第2の実施形態における画像処理装置101が外部装置より電子文書を受信した場合、どのような受信条件で受信した場合に誰にReSend・RePrintを許可するかを受信方法に対応づけて設定する設定画面の一例である。図6に示す設定画面は、図4の画面と同様、画像処理装置101の操作部212に表示される。
【0047】
図6の画面例では、ファクスで発信者電話番号が“12345678”と等しい場合、“manager1”と“manager2”に対してReSend・RePrintを許可する条件になっている。図6の画面では一例として受信方法としてファクスを図示しているが、画像処理装置がファクス回線を複数備える場合は、ファクス回線1、ファクス回線2のように回線毎に設定することが可能である。
【0048】
図7は、図6のような設定画面を介して設定したルールを管理するテーブルを模式的に示す図である。図7は、図3に示す受信ルール登録部318に登録されている受信ルールのデータ構造の一例である。ルールID601は、それぞれのルールに対してユニークな識別IDであり、内部管理用に利用する。
【0049】
ルール名602はユーザがルールを識別するために用いる任意の名称をあらわす。受信方法603はI−FAX(インターネットファクス)受信313、FAX受信314、FTP受信315、Email受信316など、画像処理装置101が備える複数の受信方法のうち、どの受信方法を比較対象とするかをあらわす。
【0050】
比較属性604は電子文書あるいは電子文書とともに受信した情報含まれる発信者電話番号や発信者メールアドレスなど様々な属性のいずれを比較対象とするかをあらわす。
【0051】
比較値605は比較属性604で指定された属性に関して、受信ジョブと比較するための値をあらわす。
【0052】
式606は値の比較方法をあらわし、“〜と等しい”、“〜で終わる”、“〜で始まる”といった方法を選択する。ReSend・RePrint許可607は、受信ジョブが受信方法603、比較属性604、比較値605、式606であらわされた条件に一致した場合に、ReSend・RePrintをどのユーザに対して許可するか否かをあらわす。*が設定されている場合は全ユーザに対して許可、*以外の文字列が設定されている場合はそのユーザに対して許可、空欄の場合は全ユーザに対して許可しないことをあらわす。
【0053】
図8は、第2の実施形態に係る受信管理部308の電子文書の受信処理を示すフローチャートである。このフローチャートの各ステップを実行するための制御プログラムはHDD204に記憶されており、RAM202に読み出されてCPU201によって実行されるものである。
【0054】
まずS801において受信管理部308が電子文書を受信するジョブ(受信ジョブ)の発生を検知すると、S802において所定の受信動作を行う。所定の受信動作を完了すると、次にS804において、受信ルール登録部318より登録済みルール数Rを取得し、処理カウンタnを0で初期化し、S805においてRがnより大きいかを判定する。Rがnより小さい場合は受信ルールに一致しなかった場合でありS811へ進み、受信した電子文書を削除して本フローチャートの処理を終了する。
【0055】
一方、S805でRがnより大きいと判定した場合はS806へ進み、ルールRnを取得し、S807において受信ジョブの情報がルールRnの条件に一致するかを判定する。一致しない場合はS810へ進みnをインクリメントし処理をS805へ戻る。一方、一致した場合はS808へ進む。S808では、S802で所定の動作を行った際の受信履歴データに、ReSend・RePrint許可設定の情報を付加する。この付加されたReSebd・Reprint許可設定の情報には、ReSend・RePrintを許可するユーザの情報も含まれている。
【0056】
S809では、S801にて受信した電子文書を受信履歴データに関連付け、本フローチャートの処理を終了する。
【0057】
図9は、第2の実施形態に係る受信ジョブの履歴のリストを表示する処理を示すフローチャートである。このフローチャートの各ステップを実行するための制御プログラムはHDD204に記憶されており、RAM202に読み出されてCPU201によって実行されるものである。
【0058】
履歴管理部319は、S901において、操作部212を用いて画像処理装置101を操作しているユーザのユーザ情報(ユーザ名、パスワード)を取得する。このユーザ名は操作部212を用いてユーザが入力した文字列である。次にS902において受信履歴データを読み出し、S903において受信履歴データにReSend・RePrint用として電子文書が関連付けられているかを判定する。電子文書が関連付けられていない場合は、S908において「再利用不可(データなし)」と操作部212に表示し、本フローチャートの処理を終了する。受信履歴データに電子文書が関連付けられている場合は、S904に進み、文書属性からReSend・RePrint設定を読み込み、S901で取得したユーザ情報(ユーザ名)がS904で取得したReSend・RePrint設定に含まれるかを判定する。含まれる場合はS906に進み「再利用可」と操作部212に表示し、含まれない場合はS907において「再利用不可(権限なし)」と表示し、本フローチャートの処理を終了する。
【0059】
上述したS902〜S908までの手順は、一つの受信履歴の場合におけるものであり、受信履歴が複数存在する場合は、前記手順を繰り返し実施することで後述の図10の受信履歴データのリストを表示する。
【0060】
なおS907及びS908での処理は再利用が不可能であることを示す表示を行っているが、再利用不可能である受信履歴データをそもそも操作部212に表示しないように制御してもよい。
【0061】
なお図9のフローチャートでは図示しないが、「再利用可」と表示された受信履歴データをユーザが選択して印刷又は送信指示した場合には、その受信履歴データから特定された電子文書を印刷又は送信することが可能である。一方「再利用不可」と表示された受信履歴データについてはユーザによる印刷又は送信の指示ができないように制限されている。
【0062】
図10は、第2の実施形態に係る画像処理装置101が操作部212に表示する受信履歴のリストの一例である。
【0063】
ReSend・RePrint列1001には、各受信履歴データに対応するReSend・RePrintに関する項目が表示される。
【0064】
再利用不可(データなし)1002は、そのレコードの受信履歴データに電子文書が関連づけられていない、すなわちReSend・RePrint用として電子文書がHDD204に記憶されていないことを表す。
【0065】
再利用不可(権限なし)1003は、そのレコードの受信履歴データに電子文書が関連づけられているが、画像処理装置101を操作中のユーザはその電子文書の再利用を行うことができないことを表す。
【0066】
再利用可1004は、そのレコードの受信履歴データに電子文書が関連づけられており、電子文書の再利用を行うことができることを表す。
【0067】
以上より、第2の実施形態では、発信人電話番号など受信情報毎に切り替えることが可能になり、さらにReSend・RePrintを実行するユーザ毎に再利用を許可することも可能になり、より利便性が増している。
【0068】
本実施形態では図6の設定画面を操作部212に表示してユーザに設定を行わせることにより、電子文書の再利用許可設定を登録できるよう構成した。しかし、この設定を操作部212ではなく、ネットワーク上の外部の装置から遠隔で設定するよう構成してもよい。
【0069】
また第1及び第2実施形態では、電子文書の再利用を禁止する場合の一例として、受信した電子文書に対する所定の動作の完了後にその電子文書をHDD204から削除するように構成した(S511、S811参照)。この構成により、再利用できない電子文書が装置内に記憶され続けることを防止できる。
【0070】
しかし変形例として、電子文書を削除せずに単に受信履歴データとの関連づけを行わないように構成することで電子文書の再利用を禁止するように構成してもよい。この構成によると、再利用禁止設定に対応づけられている受信方法で受信した電子文書も、再利用許可設定に対応づけられている受信方法で受信した電子文書と同様に、HDD204に記憶され続けることになる。しかし、電子文書の受信履歴データとその電子文書自体とが関連づけされていないため、電子文書の再利用を行う際に表示される受信履歴データからはその電子文書を参照(特定)できない。この結果として電子文書の再利用が制限されることになる。
【0071】
またその他の変形例として、再利用禁止設定に対応づけられている受信方法で受信した電子文書の受信履歴データをユーザが選択し再利用を指示する(した)ときに、当該電子文書の再利用を禁止する構成であってもよい。この構成によると、受信した電子文書の再利用が許可されるか禁止されるかに関わらず、電子文書をHDD204に記憶し続け、かつ受信履歴データの関連づけを行う。すなわち、実施形態1では、S507でNOの場合、S510の処理後にS509の処理を実行する。実施形態2では、S805でNOの場合S811の処理を行うことなくS809に進む。しかし、図10の受信履歴を表示するときに再利用禁止設定が付加されている電子文書については「再利用不可」と表示される。この結果として電子文書の再利用が制限されることになる。
【0072】
(他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0073】
101 画像処理装置
103 PC
104 ファクス
200 コントローラユニット
201 CPU
202 RAM
203 ROM
204 HDD
205 イメージバスインタフェース
206 操作部インタフェース
207 システムバス
208 画像バス
209 SRAM
210 ネットワークインタフェース
211 RTC
212 操作部
220 デバイスインタフェース
230 画像回転
240 画像圧縮/伸張
250 MODEM
260 RIP
270 スキャナ
280 スキャナ画像処理
290 プリンタ画像処理
295 プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の受信方法に従って外部装置から電子文書を受信することが可能な画像処理装置であって、
電子文書の再利用を許可することを示す再利用許可設定を前記複数の受信方法の少なくとも1つに対応づけて登録する登録手段と、
前記複数の受信方法の1つに従って前記外部装置から受信した電子文書に所定の処理を行う処理手段と、
前記登録された再利用許可設定に対応する受信方法に従って受信した電子文書を、前記処理手段によって行われた所定の処理の履歴に関連づけて記憶する記憶手段と、
前記処理手段により行われた所定の処理の履歴を表示する表示手段と、
前記表示手段により表示された履歴から特定される電子文書を再利用する再利用手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記登録手段によって登録された再利用許可設定に対応しない受信方法に従って受信した電子文書は、前記処理手段が前記所定の処理を行った後に削除されることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
複数の受信方法に従って外部装置から電子文書を受信することが可能な画像処理装置であって、
前記複数の受信方法の1つに従って前記外部装置から受信した電子文書に所定の処理を行う処理手段と、
前記処理手段によって行われた所定の処理の履歴に関連づけて前記受信した電子文書を記憶する記憶手段と、
前記処理手段により行われた所定の処理の履歴を表示する表示手段と、
前記表示手段により表示された履歴から特定される電子文書を再利用する再利用手段と、
電子文書の再利用を許可することを示す再利用許可設定を前記複数の受信方法の少なくとも1つに対応づけて登録する登録手段と、
前記再利用許可設定に対応づけられている受信方法に従って受信した電子文書を前記再利用手段が再利用することを許可し、前記再利用許可設定に対応づけられていない受信方法に従って受信した電子文書を前記再利用手段が再利用することを制限する制御手段と
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記再利用許可設定に対応づけられていない受信方法に従って受信した電子文書の処理の履歴を前記表示手段に表示されないように制御することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記再利用許可設定に対応づけられていない受信手段により受信した電子文書の処理の履歴を前記表示手段が表示した場合に、その表示された履歴から特定される電子文書を前記再利用手段が再利用することを禁止することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記複数の受信方法は、異なる通信媒体に従って電子文書を受信する方法であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記複数の受信方法は、異なる通信プロトコルに従って電子文書を受信する方法であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記複数の受信方法の1つは、ファクスによる受信方法、電子メールによる受信方法、及びインターネットファクスによる受信方法のいずれかであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記電子文書の再利用は、前記記憶手段に記憶された電子文書の送信及び印刷のいずれかであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記再利用許可設定は、再利用を許可するユーザを示す情報を含み、
前記制御手段は、前記表示手段により表示された履歴を選択したユーザが前記設定に含まれる情報に示されるユーザである場合に、前記電子文書の再利用を許可することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項11】
複数の受信方法に従って外部装置から電子文書を受信することが可能な画像処理装置の制御方法であって、
電子文書の再利用を許可することを示す再利用許可設定を前記複数の受信方法の少なくとも1つに対応づけて登録する登録ステップと、
前記複数の受信方法の1つに従って前記外部装置から受信した電子文書に所定の処理を行う処理ステップと、
前記登録された再利用許可設定に対応する受信方法に従って受信した電子文書を、前記処理ステップで行われた所定の処理の履歴に関連づけて記憶する記憶ステップと、
前記処理ステップで行われた所定の処理の履歴を表示する表示ステップと、
前記表示ステップで表示された履歴から特定される電子文書を再利用する再利用ステップと、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項12】
複数の受信方法に従って外部装置から電子文書を受信することが可能な画像処理装置であって、
前記複数の受信方法の1つに従って前記外部装置から受信した電子文書に所定の処理を行う処理ステップと、
前記処理ステップで行われた所定の処理の履歴に関連づけて前記受信した電子文書を記憶する記憶ステップと、
前記処理ステップで行われた所定の処理の履歴を表示する表示ステップと、
前記表示ステップで表示された履歴から特定される電子文書を再利用する再利用ステップと、
電子文書の再利用を許可することを示す再利用許可設定を前記複数の受信方法の少なくとも1つに対応づけて登録する登録ステップと、
前記再利用許可設定に対応づけられている受信方法に従って受信した電子文書を再利用することを許可し、前記再利用許可設定に対応づけられていない受信方法に従って受信した電子文書を再利用することを制限する制御ステップと
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項13】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−45158(P2013−45158A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180585(P2011−180585)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】