説明

画像処理装置、画像処理装置の制御方法、及びプログラム

【課題】 ユーザ認証した後、各アプリケーションへのログイン通知が完了する前に、認証されたユーザが登録した画像処理機能に適応した初期画面を表示する。
【解決手段】
画像処理装置において、認証したユーザのログインの通知を受けて前記特定のアプリケーションにログインを通知した後、前記表示部の画面の表示を前記特定のアプリケーションに対応づけた初期画面の表示に切り替える。そして、表示部の表示を前記初期画面の表示に切り替えた後、前記第1のグループに属するアプリケーションのうち、ログインが通知されていないアプリケーションおよび前記第2のグループに属するアプリケーションにログインの通知を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ログイン処理を行う画像処理装置、画像処理装置の制御方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の複合機を始めとする画像処理装置では、ログインしたユーザに応じてジョブやリソースに対するアクセスを制限する機能や、ログインしたユーザの情報に基づいて画面を構成するパーソナライズ機能の重要性が非常に高まっている。
【0003】
このような画像処理装置の一実施形態として、ユーザが自己のユーザ名とパスワードを入力し、ユーザ管理システムにおいて認証および承認を受けることでログインし、利用終了時にログアウトを行うことでユーザに関わるセッション管理を行うものがある。このセッション中、画像処理装置はログインユーザの承認情報に基づいてアクセス制御を行い、操作画面、操作方法のパーソナライズを行う。
【0004】
このようなユーザに関わるセッション管理に関わる実施形態として、既にいくつかの方法が提案されている。例えば、認証したユーザが弱視者の場合は、専用の画面を表示する方法が提案されている(特許文献1)。また、認証したユーザのカスタマイズ情報を読み出し、カスタマイズした画面を表示するといった方法も提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−28202号公報
【特許文献2】特開2009−75451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
オフィスに設置され共用利用を前提とした画像処理装置では、素早くログインして所定の操作が行えることが重要であり、ログインに要する時間が秒のオーダになるだけで利便性が低下することになる。このため、出来る限り短いことが望ましい。
【0007】
しかし、画像処理装置の高機能化に伴い、ログインしたユーザの情報にあわせて行う処理は年々増加している。ログイン後に表示する画面はログインユーザの情報に基づいて構成する必要があるため、ログイン時間も増加してしまうという課題があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、ユーザ認証した後、各アプリケーションへのログイン通知が完了する前に、認証されたユーザが登録した画像処理機能に適応した画面を表示できる仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明の画像処理装置は以下に示す構成を備える。
複数のアプリケーションを実行する画像処理装置であって、前記複数のアプリケーションから選択されたアプリケーションを、ユーザのログインに応じて表示する画面に係るアプリケーションとして登録する登録手段と、ユーザの前記画像処理装置へのログインを受け付ける受付手段と、前記ログインを受け付けた場合、前記複数のアプリケーションにログイン通知を行うログイン通知手段と、前記登録手段に登録されたアプリケーションにログイン通知を行ったことに応じて、当該登録されたアプリケーションを実行するための画面を表示する表示手段と、前記登録手段により登録されたアプリケーションを実行するための画面から、前記複数のアプリケーションのうち前記ログイン通知が行われていないアプリケーションを実行するための画面への画面遷移を禁止する制御手段と、を有することを特徴とする。
また上記目的を達成するために本発明のその他の画像処理装置は以下に示す構成を備える。
画像処理装置のオペレーティングシステムである第1の実行環境と、前記第1の実行環境上で動作する仮想マシンにより実現される第2の実行環境とを有する画像処理装置であって、前記第1又は第2の実行環境上で動作する複数のアプリケーションから選択されたアプリケーションを、ユーザのログインに応じて表示する画面に係るアプリケーションとして登録する登録手段と、ユーザの前記画像処理装置へのログインを受け付ける受付手段と、前記ログインを受け付けたことに応じて前記第2の実行環境上で動作するアプリケーションにログイン通知を行った後に、前記登録手段により登録されたアプリケーションが前記第1の実行環境上で動作するアプリケーションであるか前記第2の実行環境上で動作するアプリケーションであるかを判定する判定手段と、前記判定手段により前記登録されたアプリケーションが第1の実行環境上で動作するアプリケーションであると判定された場合に、前記登録されたアプリケーションにログイン通知を行ったことに応じて前記登録されたアプリケーションを実行するための画面を表示する表示手段と、前記登録手段により登録されたアプリケーションを実行するための画面から、前記第1の実行環境で動作するアプリケーションのうち前記ログイン通知が行われていないアプリケーションを実行するための画面への画面遷移を禁止する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザ認証した後、各アプリケーションへのログイン通知が完了する前に、認証されたユーザが登録した画像処理機能に適応した画面を表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態を示す画像処理装置を含むデータ処理システムを示す図である。
【図2】図1に示した画像処理装置の構成を説明するブロック図である。
【図3】画像処理装置のソフトウエア構成を示すブロック図である。
【図4】図2に示した操作部に表示されるUI画面の一例を示す図である。
【図5】画像処理装置におけるログイン処理シーケンスを説明する図である。
【図6】画像処理装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【図7】画像処理装置におけるログイン処理シーケンスを説明する図である。
【図8】画像処理装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
<システム構成の説明>
〔第1実施形態〕
【0012】
図1は、本実施形態を示す画像処理装置を含むデータ処理システムの一例を示す図である。本例は、ネットワークを介して情報処理装置、サーバ装置、画像処理装置が通信可能に接続されるシステム例である。なお、本実施形態に示す画像処理装置において実行可能な画像処理は、コピー処理、データ送信処理、画像データ送受信処理を含むが、これに限定されるものではない。また、本実施形態に示す画像処理装置において実行可能な表示処理は、メニュー画面表示処理、ブラウザ画面表示処理を含むが、これに限定されるものではない。
【0013】
図1において、100はクライアントPC(以下、AUと呼ぶ)で、システム管理者ユーティリティが動作するクライアントPCであり、本システムの設定・管理を行う。特に、画像処理装置(DS)101で、実行可能な複数の画像処理機能のうち、ユーザ毎やグループ毎にいずれかの画像処理機能を制限するための機能制限情報(以下、ACE)の設定を行う。
【0014】
ここで、DS101は、ユーザ情報サーバとして機能する。具体的には、ユーザIDとパスワードといったユーザ情報、さらにはシステムにおいてユーザ毎や画像処理装置毎にどの機能の使用が許可されているかというACEの集合である機能制限情報リスト(以下、ACL)が後述するようなハードディスク等に保持されている。
【0015】
DS101は、例えばライトウェイトディレクトリアクセスプロトコル(Lightweight Directory Access Protocol(LDAP:エルダップ))を用いるLDAPサーバあるいはMicrosoft社製のActiveDirectoryサーバなどを用いて構成される。
【0016】
102はチケット発行サーバとして機能するサーバ装置(SA)であって、DS101に格納されているACLに基づいて、使用可能な機能についての情報を記述したチケットを発行する。このチケットに関しては後述する。
【0017】
103は画像処理装置で、コピー機能、プリント機能、ファクシミリ通信機能、データ通信機能等を含む多機能のデータ処理を行う。具体的に、画像処理装置103は、紙原稿を複写する機能のみならず、外部のプリンタドライバから送付された印刷データを印刷する機能を備える。
【0018】
さらに、画像処理装置103は、紙原稿を読み込みその画像データを外部のファイルサーバあるいはメールアドレス宛に送信する機能(SEND機能)も持つ。さらには、画像処理装置103は、他の画像処理装置にデータを送信して、送信先の画像処理装置で印刷する機能(リモートコピー機能、ファクシミリ機能)なども持つ
ここで、画像処理装置103には、後述するような操作部を備えて、各種のユーザインタフェースをユーザに提供して、ログイン処理や、画像処理を行う。
【0019】
104はAccessControlToken(ACT)で、ログインしたユーザが画像処理装置103において実行可能な機能についての情報や、画像処理装置103への機能制限情報が記載されている。なお、上記情報が含むACT104は、ネットワーク105を介してSA102から画像処理装置103に通知される。そして画像処理装置内の各アプリケーションは、このSA102から受け取ったACT104を含むログイン通知に従って機能の利用権限を制御する。
【0020】
AU100から画像処理装置103は、イーサネット(登録商標)で構成されるネットワーク105により接続されているものとするが、あくまでもシステムの一例である。画像処理装置103以外のAU100、DS101,SA102は全て同一のコンピュータで構成できても良い。さらにAU100、DS101,SA102を画像処理装置103に実装し、画像処理装置103のみで構成できても良い。
<画像処理装置のハードウェア構成>
図2は、図1に示した画像処理装置103の構成を説明するブロック図である。
【0021】
図2において、コントローラユニット200は、画像入力デバイスであるスキャナ270や画像出力デバイスであるプリンタ295と接続し、一方ではネットワーク105や公衆回線と接続することで、画像情報やデバイス情報の入出力を行う。 CPU201は、画像処理装置103を制御するコントローラである。RAM202はCPU201が動作するためのシステムワークメモリであり、画像データを一時記憶するための画像メモリでもある。ROM203はブートROMであり、システムのブートプログラムが格納されている。HDD204はハードディスクドライブで、システムソフトウェア、アプリケーション、画像データ、ACT104等を格納する。
【0022】
操作部I/F206は、タッチパネルを有した操作部212とのインターフェース部で、操作部212に表示する画像データを操作部212に対して出力する。なお、操作部212には表示部を備え、各種のユーザインタフェース画面(UI画面)を表示可能に構成されている。また、操作部212から本システム使用者が入力した情報を、CPU201に伝える役割をする。Network I/F210はネットワークに接続し、情報の入出力を行う。MODEM250は公衆回線に接続し、情報の入出力を行う。
【0023】
SRAM209は、高速動作可能な不揮発性の記録媒体である。211はリアルタイムクロック(RTC)であり、コントローラユニット200に電源が入っていない状態でも現在の時刻をカウントし続ける処理を行う。以上のデバイスがシステムバス207上に配置される。
【0024】
Image Bus I/F205は、システムバス207と画像データを高速で転送する画像バス208を接続し、データ構造を変換するバスブリッジである。画像バス208は、PCIバスまたはIEEE1394で構成される。画像バス208上には以下のデバイスが配置される。
【0025】
RIP260は、ラスターイメージプロセッサでありPDLコードをビットマップイメージに展開する。デバイスI/F部220は、画像入出力デバイスであるスキャナ270やプリンタ295とコントローラユニット200を接続し、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。スキャナ画像処理部280は、入力画像データに対し補正、加工、編集を行う。プリンタ画像処理部290は、プリント出力画像データに対して、プリンタの補正、解像度変換等を行う。画像回転部230は画像データの回転を行う。画像圧縮/伸張部240は、圧縮伸張処理を行う。
【0026】
<画像処理装置のソフトウエア構成>
【0027】
図3は、本実施形態を示す画像処理装置103のソフトウエア構成を示すブロック図である。後述する各ソフトウェア(モジュール)は、いわゆるファームウェアとして画像処理装置103のHDD204に記憶されており、RAM202に読み出されCPU201によって実行される。また、各ソフトウエアは、いわゆるファームウェア350として画像処理装置103のHDD204に記憶されており、RAM202に読み出されCPU201によって実行される。
【0028】
図3において、リアルタイムOS301はリアルタイムオペレーティングシステムであり、組み込みシステムの制御に最適化された各種資源管理のサービスと枠組みを、その上で動作するソフトウエアのために提供する。
【0029】
リアルタイムOSが提供する各種資源管理のサービスと枠組みには、CPUによる処理の実行コンテクストを複数管理することで複数の処理を実質的に並行動作させるマルチタスク(スレッド)管理、タスク間の同期やデータ交換を実現するタスク間通信がある。さらに、メモリ管理、割り込み管理、各種のデバイスドライバ、ローカルインタフェースやネットワークや通信などの各種プロトコルの処理を実装したプロトコルスタック、などもある。
【0030】
コントローラプラットフォーム302は、ファイルシステム303、ジョブ・デバイス制御304、及びカウンタ305等から構成される。ファイルシステム303は、HDD204やRAM202などの記憶装置上に構築されたデータを格納するための機構である。ジョブ・デバイス制御304は、画像処理装置103のハードウェアを制御し、また、画像処理装置103の主にハードウェアが提供する基本機能(プリント、スキャン、通信、画像変換など)を利用するジョブを制御する。カウンタ305は、SRAM209に格納される、アプリケーション毎の有効期限や、プリント、スキャンのカウンタ値を管理する。
【0031】
システムサービス306は、アプリケーション管理308、及びウィンドウ管理309等から構成される。アプリケーション管理308は、アプリケーション310、311、312、313、314等をインストール、アンインストール、起動、停止するための管理モジュールである。ウィンドウ管理309は、アプリケーション310、311、312、313、314等が備えるアプリケーションウィンドウの表示順序を制御するための管理モジュールである。
【0032】
アプリケーションプラットフォーム307は、リアルタイムOS301、コントローラプラットフォーム302の機構を、アプリケーション310、311、312,313、アプリケーション314等から利用可能とするためのミドルウェアである。
【0033】
アプリケーション310、311、312、313は、アプリケーションプラットフォーム307によって提供される機能を利用して、様々なビジネスモデルを実現する応用ソフトウエアである。
【0034】
ここで、アプリケーション310は、各アプリケーションを選択するメニュー機能を備える。さらに、ウェブブラウザ用のアプリケーション311は、ウェブサーバを閲覧するウェブブラウザ機能を提供するアプリケーションである。
コピー用のアプリケーション312は、紙原稿を複写するコピー機能を提供するアプリケーションである。ファクス用のアプリケーション313は、データを送信するファクス機能を提供するアプリケーションである。
【0035】
なお、本実施形態において、各アプリケーションは、ログイン通知によりACT104を受信すると、その情報に基づきログインユーザに応じた画面生成処理を行う。なお、本実施形態においては、ログイン通知には、ユーザがログインしたことに応じてSAから取得したACT104を含むものとする。ただし、ログイン通知はこれ以外の情報を含むものであってもよく、例えばユーザを識別するためのIDやパスワード、ログインが成功したことを示すログインコンテキストなどであってもよい。
ここで、ログインユーザに応じた機能制限の一例として、ログインユーザがウェブブラウザ利用禁止、カラーコピー禁止、ファクス番号手入力禁止と制限されていた場合の処理を挙げる。
【0036】
この場合、メインメニュー用のアプリケーション310は、ログインユーザが利用できないウェブブラウザを選択できないようにメニュー機能を処理する。すなわち、ウェブブラウザ用のアプリケーション311を実行するための画面に遷移できないようにメニュー画面上のアイコンを網掛けにしたり非表示にしたりする。コピー用のアプリケーション312は、カラーコピーボタンを選択できないように処理する。アプリケーション313は、ファクス番号を新規に入力することを禁止し、アドレス帳からの選択しか許可しないように処理する。
【0037】
ログイン用のアプリケーション314は、ユーザ認証を行うための認証ソフトウエアである。アプリケーション314は、画像処理装置103へのログインを受付けるためのログイン画面を操作部212に表示する。そして、操作部212で入力されたユーザ名とパスワードをSA102へ送信し、その認証結果をもとにログイン処理を行う。認証失敗の場合はエラー表示を行い、認証成功の場合は認証後の一連の処理を行う。
<第1実施形態に係る特徴的な処理>
次に、第1実施形態の制限方法について、図4、図5A、図5B、図6を参照して説明する。
【0038】
図4は、図2に示した操作部212に表示されるユーザインタフェース画面(UI画面)の一例を示す図である。本例は、初期アプリケーション設定画面に対応する。
【0039】
図4において、初期アプリケーション設定画面401は、ウィンドウ管理309が操作部212に対して出力するものである。ウィンドウ管理309は、ファームウェア350として画像処理装置103のHDD204に記憶されており、RAM202に読み出されCPU201によって実行される。
【0040】
初期アプリケーション設定画面401では、ウィンドウ管理309にアプリケーション登録されているアプリケーションを一覧表示する。ここでアプリケーションを選択し、OK402を押下することで、初期アプリケーションとしてHDD204に設定される。初期アプリケーションとは、本実施形態においては、図4の画面に表示されているアプリケーションの一覧からユーザにより選択されたアプリケーションをいう。ここで設定されたアプリケーションは、ユーザ認証後に最初にアプリケーションが選択された状態を表示した画面となる。具体的にいうと、ユーザ認証後、コピーが選択されている状態を初期画面として操作部212に表示した例である。なお、本実施形態においては、初期画面とは、ユーザが画像処理装置にログインするための画面(ログイン画面)を介してログインを受け付けた場合に、ログイン画面から遷移される画面のことである。
【0041】
図5A、図5Bは、本実施形態を示す画像処理装置におけるログイン処理シーケンスを説明する図である。以下、登録されたユーザがログインした際に初期画面を操作部212に表示するとともに、ログイン通知を各アプリケーションに行う際の処理を詳述する。なお、本実施の形態のログイン処理に係るファームウェア350は、画像処理装置103のHDD204に記憶されており、RAM202に読み出されCPU201によって実行される。
【0042】
図5Aに示すように第1の実施の形態では、実行環境およびアプリケーションの特性に応じて、二つの第1のグループと第2のグループに分けてアプリケーションを管理する構成となっている。第1のグループに属するアプリケーションは、画像処理を実行するアプリケーションであって、例えばファクシミリシミ機能を実行するアプリケーション313やコピー機能を実行するアプリケーション312が含まれる。同様に、第2のグループに属するアプリケーションは、表示処理を実行するアプリケーションであって、メインメニューを表示するアプリケーション310と、ウェブブラウザを実行するアプリケーション311が含まれる。
第1グループには、アプリケーション314、ファクス用のアプリケーション313、コピー用のアプリケーション312が属する。
さらに、第2グループには、メインメニュー用のアプリケーション310、ウェブブラウザ用のアプリケーション311が属する。
【0043】
第1グループに属するアプリケーションがログイン通知を必要とする場合、ログイン通知を必要とする第1グループに属するアプリケーションは、ログイン用のアプリケーション314に対してログイン通知のイベント登録を行う必要がある。また、第2グループに属するアプリケーションがログイン通知を必要とする場合、ログイン通知を必要とする第2グループに属するアプリケーションは、ウィンドウ管理309に対してログイン通知のイベント登録を行う必要がある。そして、第1グループに属するアプリケーションへのログイン通知はログイン用のアプリケーション314が行うのに対して、第2グループに属するアプリケーションへのログイン通知はウィンドウ管理309が行う。すなわち、ログイン通知を行う主体(アプリケーション)が第1グループと第2グループとで異なることに注意されたい。
なお、ログイン用のアプリケーション314はウィンドウ管理309へログイン通知を行うよう予め構成されている。
【0044】
図5は、図4の初期アプリケーション設定画面において初期画面がコピー用のアプリケーション312に設定された場合のシーケンスを示している。以下、S501〜S504に従う処理を説明する。
【0045】
図5の(A)において、ログイン用のアプリケーション314は、S501において、ユーザによる画像処理装置103へのログインを受け付けると、初期画面が何のアプリケーションに設定されているかに拘わらず、第1グループに属する全てのアプリケーションにログイン通知を送信する。すなわち、第1グループのアプリケーションであるファクス用のアプリケーション313、コピー用のアプリケーション312へログインに通知を行う。その後、ログイン用のアプリケーション314は、第1グループに属するアプリケーションへのログイン通知が完了するとウィンドウ管理309へログイン通知を行う。次にウィンドウ管理309は、S502において図4で設定された初期画面設定を取得し、初期画面が第1グループに属するアプリケーションであるか、第2グループに属するアプリケーションではあるかを判定する。。この判定は、ウィンドウ管理309がログイン通知を受信して時点において、初期画面に設定されているアプリケーションに対して既にログイン通知が通知されているかを判断するために行うものである。
【0046】
図5の(A)では、初期画面がコピー用のアプリケーション312であるため(すなわち第1グループに属するアプリケーションであるため)、ウィンドウ管理309は、S503において、アプリケーション314の画面からコピー用のアプリケーション312へ画面を切り替える。この時点では、メインメニュー用のアプリケーション310、ウェブブラウザ用のアプリケーション311に対してログイン通知が完了していない。このように、本実施形態によれば、ログイン通知を全てのアプリケーションに対して行う前に初期画面を表示することができ、ログイン後に初期画面が表示されるまでの時間が短縮できるという効果がある。
ただし、本実施形態のように、全てのアプリケーションにログイン通知を行う前に初期画面を表示すると、以下のような事態が起こるかもしれない。すなわち、ユーザが、初期画面表示後、別の画面(例えばメインメニュー用のアプリケーション310やウェブブラウザ用のアプリケーション311により表示される画面)に画面遷移することを指示するかもしれない。そこで、ウィンドウ管理309は、まだログイン通知が完了していないアプリケーション、すなわちメインメニュー用のアプリケーション310、ウェブブラウザ用のアプリケーション311への画面遷移を禁止する。これはログイン未通知のアプリケーションの画面へ切り替えてしまい、ログインユーザの情報に基づかない画面を表示しないための保護処理である。
【0047】
その後、ウィンドウ管理309は、メインメニュー用のアプリケーション310、ウェブブラウザ用のアプリケーション311へログイン通知を行う。そして、S504において、メインメニュー用のアプリケーション310、ウェブブラウザ用のアプリケーション311への画面切り替えを許可とする。
【0048】
図5の(B)は、図4に示した初期アプリケーション設定画面において、初期画面がメインメニュー用のアプリケーション310に設定された場合のシーケンス例である。
【0049】
アプリケーション314は、S511において、ユーザによるログインを検知すると、図5の(A)と同様のシーケンスでウィンドウ管理309へログイン通知を行い、ウィンドウ管理309はS512においてS502と同様の判定をする。
【0050】
本シーケンスでは、初期画面がメインメニュー用のアプリケーション310であるため、ウィンドウ管理309はメインメニュー用のアプリケーション310へログイン通知を行う。その後、S513において、ログイン用のアプリケーション314の画面からメインメニュー用のアプリケーション310へ画面を切り替える。
【0051】
この時点では、ウェブブラウザ用のアプリケーション311に対してログイン通知が完了していないため、ウィンドウ管理309は、ウェブブラウザ用のアプリケーション311への画面切り替えを禁止する。その後、ウィンドウ管理309は、ウェブブラウザ用のアプリケーション311へログイン通知を行い、S514において、ウェブブラウザ用のアプリケーション311への画面切り替えを許可とする。
【0052】
図6は、本実施形態を示す画像処理装置の制御方法を説明するフローチャートである。本例は、画像処理装置103のログイン処理例に対応する。なお、本実施形態のログイン処理に係るファームウェア350は、画像処理装置103のHDD204に記憶されており、RAM202に読み出されCPU201が各ステップを実行することで実現される。なお、主体は、対応するアプリケーションとして説明を行う。以下、本実施形態では、第1のグループに属するアプリケーションであって、ユーザに登録された特定のアプリケーションがコピー機能対応する画像処理を行うアプリケーション312である例を示すが、アプリケーション313であってもよい。
【0053】
S601において、アプリケーション314は、ログインを検知すると、S602において、第1グループのアプリケーションへログイン通知を行い、S603においてウィンドウ管理309へログイン通知を行う。
【0054】
ウィンドウ管理309は、S604において初期画面設定を取得し、S605において初期画面のアプリケーションは、第一グループに属するアプリケーションであるかを判定する。この判定は、S502の手順により行う。具体的には、ウィンドウ管理309は、各アプリケーション起動時にアプリケーションの識別子と、どちらのグループに属するアプリケーションであるかの登録を受けており、この情報を元に判定する。ここで、第一グループでないとウィンドウ管理309が判断した場合は、S606において、初期画面のアプリケーションへログイン通知を行った後、S607に進む。
【0055】
一方、S605で、第一グループであるとウィンドウ管理309が判断した場合にはそのままS607に進む。
次に、ウィンドウ管理309は、S607において、初期画面へ切り替え、S608において、ログイン未通知のアプリケーションへの画面切り替えを禁止する。
【0056】
次に、S609において、ログイン未通知のアプリケーションへログイン通知を行い、S610において、S608で画面切り替えを禁止したアプリケーションへの画面切り替えを許可して、本処理を終了する。
【0057】
本実施形態によれば、初期画面のアプリケーションに対してログイン通知済みである場合、ログインシーケンスが全て完了する前に初期画面を表示することが可能になる。これにより、ログイン毎にログインユーザの情報に基づいた正しい画面を構成しつつ、ログイン時間の短縮化を図ることが出来るようになる。
なお、本実施形態においては、画像処理を実行するアプリケーションを第1グループに属するアプリケーションとし、表示処理を実行するアプリケーションを第2グループに属するアプリケーションとして説明した。しかし、上記のようにしてアプリケーションを区分する以外に、アプリケーションがどのようなソフトウェア実行環境(動作環境)で動作するものかに応じて第1グループと第2グループを区分するようにしてもよい。
より具体的に説明すると、図3で説明したリアルタイムOS301上にさらに別の組み込みシステム向けの実行環境として、仮想マシンにより実現されるJava(登録商標)の実行環境を構築する。そして、リアルタイムOS301上(第1の実行環境上)で動作するアプリケーションを第2グループに属するアプリケーションとし、Java(登録商標)の実行環境上(第2の実行環境上)で動作するアプリケーションを第1グループに属するアプリケーションとする。すなわち、ログイン用のアプリケーション314、コピー用のアプリケーション312、ファクス用のアプリケーション314をJava(登録商標)の実行環境で動作させる。そして、ウェブブラウザ用のアプリケーション311やメインメニュー用のアプリケーション310をリアルタイムOS上で動作させる。そして、各々のグループに属するアプリケーションへのログイン通知の方法や初期画面への画面表示制御については、上述した図5で説明したシーケンスに基づいて行う。
このように、実行するアプリケーションの実行環境の違いに基づいてグループ分けをすることで以下のような効果がある。すなわち、この形態においては、ユーザのログインを受け付けるログイン用のアプリケーションはJava(登録商標)の実行環境で動作するものとする。そして、Java(登録商標)の実行環境で動作するログイン用アプリケーションは、同じくJava(登録商標)の実行環境で動作する他のアプリケーションに、初期画面の設定に拘わらず必ずログイン通知を行い、リアルタイムOS301上で動作するウィンドウ管理309にログイン通知を行う。このようにすることで、複数の異なるソフトウェア実行環境間でのデータ(ログイン通知)のやり取りを最小限に抑えることができるという効果がある。
【0058】
〔第2実施形態〕
【0059】
第1の実施形態では、初期画面に設定されているかを判定するタイミングが第一グループのアプリケーションへのログイン通知後とされていた。このため、第1の実施形態では、初期画面に設定されているアプリケーションが第2グループに属する場合には初期画面を表示するまでの時間を短縮できるという効果を得られる。しかし第1の実施形態では、初期画面に設定されているアプリケーションが第1グループに属する場合には時間短縮の効果を得られず、限定的であった。以下、第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態における画像処理装置の基本的な構成は、上記第1実施形態における図1、図2、図3、及び図4で説明したものと同様である。以下、第2実施形態に特徴的な部分について説明する。
【0060】
図7は、本実施形態を示す画像処理装置におけるログイン処理シーケンスを説明する図である。本例は、図4の初期アプリケーション設定画面において初期画面がコピー用のアプリケーション312に設定された場合のシーケンス例である。本実施の形態のログイン処理に係るファームウェア350は、画像処理装置103のHDD204に記憶されており、RAM202に読み出されCPU201によって実行される。
【0061】
まず、アプリケーション314は、S701において、ユーザからのログインを検知すると、ウィンドウ管理309へログイン通知を行う。ウィンドウ管理309はS702において初期画面設定を取得し、S703において初期画面に設定されているコピー用のアプリケーション312へログイン通知を行う。そして、S704において、アプリケーション314の画面からコピー用のアプリケーション312へ画面を切り替える。すなわち第2実施形態は、ログイン用のアプリケーション314はユーザによるログインを受け付けると、ファクス用のアプリケーション313ではなく、ウィンドウ管理309へログイン通知を送信する点で第1実施形態と異なる。そしてウィンドウ管理309は、初期画面に設定されているアプリケーション(図7の例ではコピー用のアプリケーション312)へログイン通知を行い、他のアプリケーションにログイン通知を送信する前に初期画面の表示を制御する。この結果、初期画面に設定されているアプリケーションがどのようなアプリケーションであるかに拘わらず画面表示の高速化を図ることができる。
【0062】
なお、初期画面を表示する時点ではコピー用のアプリケーション312以外に対してログイン通知が完了していないため、ウィンドウ管理309はコピー用のアプリケーション312以外への画面切り替えを禁止する。その後、ウィンドウ管理309はファクス用のアプリケーション313、メインメニュー用のアプリケーション310、ウェブブラウザ用のアプリケーション311へログイン通知を行う。そして、S705において、コピー用のアプリケーション312以外への画面切り替えを許可とする。
【0063】
図8は、本実施形態を示す画像処理装置の制御方法を説明するフローチャートである。本例は、画像処理装置103のログイン処理例に対応する。なお、本実施形態のログイン処理に係るファームウェア350は、画像処理装置103のHDD204に記憶されており、RAM202に読み出されCPU201が各ステップを実行することで実現される。なお、主体は、対応するアプリケーションとして説明を行う。
【0064】
アプリケーション314は、S801においてログインを検知すると、S802において、アプリケーション314は、ウィンドウ管理309へログイン通知を行う。ウィンドウ管理309は、S803において、初期画面設定を取得し、S804において、アプリケーション314は、初期画面のアプリケーション(図4の例ではコピー用のアプリケーション312)へログイン通知を行う。
【0065】
次に、ウィンドウ管理309は、S805において初期画面へ切り替え、S806において、アプリケーション314は、ログイン通知を行っていないアプリケーション、すなわち初期画面のアプリケーション以外のアプリケーションへの画面切り替えを禁止する。次にS807においてログイン通知を行っていないアプリケーションへログイン通知を順次行う。そして、S808において、アプリケーション314は、S806で画面切り替えを禁止したアプリケーションへの画面切り替えを許可する。
【0066】
本実施形態によれば、グループに関わらず、まず始めに初期画面のアプリケーションへログイン通知を行い、画面を切り替えるよう構成したため、より良い効果を得ることが可能となる。
【0067】
本発明の各工程は、ネットワーク又は各種記憶媒体を介して取得したソフトウエア(プログラム)をパソコン(コンピュータ)等の処理装置(CPU、プロセッサ)にて実行することでも実現できる。
【0068】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【符号の説明】
【0069】
100 クライアントPC
101 ユーザ情報サーバ
102 チケット発行サーバ
10 画像処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアプリケーションを実行する画像処理装置であって、
前記複数のアプリケーションから選択されたアプリケーションを、ユーザのログインに応じて表示する画面に係るアプリケーションとして登録する登録手段と、
ユーザの前記画像処理装置へのログインを受け付ける受付手段と、
前記ログインを受け付けた場合、前記複数のアプリケーションにログイン通知を行うログイン通知手段と、
前記登録手段に登録されたアプリケーションにログイン通知を行ったことに応じて、当該登録されたアプリケーションを実行するための画面を表示する表示手段と、
前記登録手段により登録されたアプリケーションを実行するための画面から、前記複数のアプリケーションのうち前記ログイン通知が行われていないアプリケーションを実行するための画面への画面遷移を禁止する制御手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
画像処理装置のオペレーティングシステムである第1の実行環境と、前記第1の実行環境上で動作する仮想マシンにより実現される第2の実行環境とを有する画像処理装置であって、
前記第1又は第2の実行環境上で動作する複数のアプリケーションから選択されたアプリケーションを、ユーザのログインに応じて表示する画面に係るアプリケーションとして登録する登録手段と、
ユーザの前記画像処理装置へのログインを受け付ける受付手段と、
前記ログインを受け付けたことに応じて前記第2の実行環境上で動作するアプリケーションにログイン通知を行った後に、前記登録手段により登録されたアプリケーションが前記第1の実行環境上で動作するアプリケーションであるか前記第2の実行環境上で動作するアプリケーションであるかを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記登録されたアプリケーションが第1の実行環境上で動作するアプリケーションであると判定された場合に、前記登録されたアプリケーションにログイン通知を行ったことに応じて前記登録されたアプリケーションを実行するための画面を表示する表示手段と、
前記登録手段により登録されたアプリケーションを実行するための画面から、前記第1の実行環境で動作するアプリケーションのうち前記ログイン通知が行われていないアプリケーションを実行するための画面への画面遷移を禁止する制御手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記ログイン通知を受けたアプリケーションは、前記画像処理装置にログインしたユーザに応じて機能制限を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1の実行環境で動作するアプリケーションは、メインメニューの画面表示、およびブラウザ画面の表示のいずれかの機能を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第2の実行環境で動作するアプリケーションは、コピー処理、データ送信処理のいずれかの機能を含むことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
複数のアプリケーションを実行する画像処理装置の制御方法であって、
前記複数のアプリケーションから選択されたアプリケーションを、ユーザのログインに応じて表示する画面に係るアプリケーションとして登録する登録工程と、
ユーザの前記画像処理装置へのログインを受け付ける受付工程と、
前記ログインを受け付けた場合、前記複数のアプリケーションにログイン通知を行うログイン通知工程と、
前記登録工程で登録されたアプリケーションにログイン通知を行ったことに応じて、当該登録されたアプリケーションを実行するための画面を表示する表示工程と、
前記登録されたアプリケーションを実行するための画面から、前記複数のアプリケーションのうち前記ログイン通知が行われていないアプリケーションを実行するための画面への画面遷移を禁止する制御工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項7】
画像処理装置のオペレーティングシステムである第1の実行環境と、前記第1の実行環境上で動作する仮想マシンにより実現される第2の実行環境とを有する画像処理装置の制御方法であって、
前記第1又は第2の実行環境上で動作する複数のアプリケーションから選択されたアプリケーションを、ユーザのログインに応じて表示する画面に係るアプリケーションとして登録する登録工程と、
ユーザの前記画像処理装置へのログインを受け付ける受付工程と、
前記ログインを受け付けたことに応じて前記第2の実行環境上で動作するアプリケーションにログイン通知を行った後に、前記登録工程で登録されたアプリケーションが前記第1の実行環境上で動作するアプリケーションであるか前記第2の実行環境上で動作するアプリケーションであるかを判定する判定工程と、
前記判定工程で前記登録されたアプリケーションが第1の実行環境上で動作するアプリケーションであると判定された場合に、前記登録されたアプリケーションにログイン通知を行ったことに応じて前記登録されたアプリケーションを実行するための画面を表示する表示工程と、
前記登録工程で登録されたアプリケーションを実行するための画面から、前記第1の実行環境で動作するアプリケーションのうち前記ログイン通知が行われていないアプリケーションを実行するための画面への画面遷移を禁止する制御工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項8】
請求項5または6に記載の画像処理装置の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−115487(P2013−115487A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257628(P2011−257628)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】