説明

画像処理装置、画像処理装置の制御方法、及びプログラム

【課題】 プリントジョブの操作において、ユーザにとって操作性のよい仕組みを提供する。
【解決手段】 複数のプリントジョブを保持する保持手段と、前記保持手段に保持された複数のプリントジョブの中から操作者が選択したプリントジョブを受け付けるジョブ受付手段と、前記操作者によるプリントジョブの選択を受け付けた場合に、前記プリントジョブに関する操作の種別を前記操作者から受け付ける操作種別受付手段と、前記操作種別受付手段で受け付けた操作の種別に基づいて、前記複数のプリントジョブの中から操作の対象とするプリントジョブを自動的に選択する選択手段と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリントジョブに対して各種の処理を行う画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタやMFPなどの画像処理装置において、ホストコンピュータ(PCなど)から受信したプリントジョブを一時的に保持し、保持されているジョブを操作者が選択して印刷を指示することで印刷を開始する機能が実現化されている。この機能は印刷物がプリンタの排紙トレイに放置されることによる情報漏えいの防止や、印刷物の取り間違いの防止を目的としている。さらに、装置内に保持されているジョブを印刷することなく中止(削除)することが可能であるため、間違ってホストコンピュータで印刷指示をしてしまった場合や、印刷指示後に印刷が不要になった場合に紙の無駄遣いを防止できる効果もある。なお、このような機能は、一般的に「セキュアプリント」、「溜置きプリント」、「機密印刷」など呼ばれているが、以下、本機能を「セキュアプリント」、本機能で使用するジョブを「セキュアプリントジョブ」と呼ぶこととする。
【0003】
また、操作者が印刷装置に保持されているセキュアプリントジョブを一つ一つ選択する操作が面倒であることから、この操作を省略するため、ある一定の条件に従って操作対象のジョブを自動的に選択する機能もある。一定の条件による自動的な選択とは、例えば、操作者が一つのセキュアプリントジョブを選択するだけで、選択されたジョブと同じユーザIDを持つ全てのセキュアプリントジョブを選択するものである。またこれ以外にも、操作者が印刷装置にログインした時点で、ログインした操作者のユーザIDと同じユーザIDを持つ全てのセキュアプリントジョブを自動的に選択するものもある。
【0004】
特許文献1には、操作者が印刷装置に入力したユーザIDやPINコードと、プリントジョブに付加されているユーザIDやPINコードが一致するジョブを全て印刷するジョブ自動選択を用いた印刷方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−31061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術には以下の課題がある。
【0007】
従来技術のジョブ自動選択を用いた場合、セキュアプリントジョブの印刷操作を行う場合であっても中止操作を行う場合であっても、ある一定の条件に合致したジョブ全てが操作の対象となってしまっていた。すなわち、操作の目的などに応じて操作対象のジョブの選択を変えることができなかった。
【0008】
例えば、印刷中止したいセキュアプリントジョブを操作者が選択した場合はその選択されたジョブだけ中止し、印刷したいセキュアプリントジョブを操作者が選択した場合はその操作者のジョブを自動選択して印刷する、等の柔軟な選択が従来はできなかった。
【0009】
本発明は、上述の課題を鑑みてなされたものであり、プリントジョブの操作目的に応じてジョブの選択動作を切り替えることによる操作性の向上を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明における画像処理装置は、プリントジョブの選択を操作者から受け付ける第1受付手段と、前記第1受付手段で前記操作者によるプリントジョブの選択を受け付けると、プリントジョブに対して行う処理の種類の選択を前記操作者から更に受け付ける第2受付手段と、前記第1受付手段で受け付けた前記操作者によるプリントジョブの選択と、前記第2受付手段で受け付けた前記処理の種類の選択とに応じて、処理の対象とするプリントジョブを変更する制御手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、プリントジョブの操作目的に応じて操作対象ジョブの選択動作を切り替えることにより、操作性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】印刷システムの構成を示す図である。
【図2】印刷装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】印刷装置のソフトウェア構成を示す図である。
【図4】端末からプリントジョブを受信する処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】印刷装置で管理されているジョブ管理テーブルの一例を示す図である。
【図6】セキュアプリントジョブの操作に従った処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】セキュアプリントジョブ状況を表示する画面の一例である。
【図8】プリントジョブ状況を表示する画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【0014】
<印刷システムの構成>
まず図1を参照して、本実施形態における印刷システムの構成例について説明する。図1に示すように、本実施形態における印刷システムには、画像処理装置101、端末102がLAN110を介して接続されている。画像処理装置101は少なくともプリントジョブを実行する印刷機能を備えており、端末102やその他のデバイスから印刷データを受信し印刷処理を行う。端末102は例えばパーソナルコンピュータ(PC)であり、端末102にインストールされているプリンタドライバにより印刷データを生成し、生成した印刷データに基づき画像処理装置101に印刷指示することができる。
【0015】
図1では、端末102はLAN110に接続されているものとして説明しているがその限りではなく、他の接続形態であってもよい。また画像処理装置101や端末102と同等の機能を持つ装置が図1の印刷システムに複数台存在してもよい。
【0016】
<画像処理装置のハードウェア構成>
次に、図2を参照して、画像処理装置101のハードウェア構成について説明する。画像処理装置101は、ハードウェア構成として、制御部210、操作部219、プリンタ220、及びスキャナ221を備える。制御部210は、CPU211、ROM212、RAM213、HDD214、操作部I/F215、プリンタI/F216、スキャナI/F217、及びネットワークI/F218を備える。
【0017】
CPU211を含む制御部210は、画像処理装置101全体の動作を統括的に制御する。CPU211は、ROM212に記憶された制御プログラムを読み出して受信制御や印刷制御などの各種制御を行う。RAM213は、CPU211の主メモリ、ワークエリア等の一時記憶領域として用いられる。HDD214は、画像データや各種プログラム、或いは各種情報テーブルを記憶する。操作部I/F215は、操作部219と制御部210とを接続する。操作部219には、例えば、タッチパネル機能を有する液晶表示部やキーボードなどが備えられている。
【0018】
プリンタI/F216は、プリンタ220と制御部210とを接続する。プリンタ220で印刷すべき画像データはプリンタI/F216を介して制御部210から転送され、プリンタ220において記録媒体上に印刷される。スキャナI/F217は、スキャナ221と制御部210とを接続する。スキャナ221は、原稿上の画像を読み取って画像データを出力し、スキャナI/F217を介して制御部210に入力する。ネットワークI/F218は、制御部210(画像処理装置101)をLAN110に接続する。ネットワークI/F218は、LAN110上の外部装置に画像データや情報を送信したり、LAN110上の外部装置から各種情報を受信したりする。
【0019】
<画像処理装置のソフトウェア構成>
次に、図3を参照して、画像処理装置101のソフトウェア構成について説明する。図3に示す各機能部は、画像処理装置101のCPU211がROM212やHDD214から制御プログラムをRAM213に読み出して実行することにより実現される。画像処理装置101は、ソフトウェア構成として以下の構成を有する。すなわち、画面表示部300、通信部301、セキュアプリント制御部302、ジョブ管理部303、ジョブ処理部304、プリントジョブデータベース305、画像処理部306、および、印刷処理部307を有する。プリントジョブデータベース305は、以下では、プリントジョブDBと略記する。
【0020】
なお、後述の説明において、「プリントジョブ」は、画像データに基づく画像の印刷を実行するジョブを意味する。また、「セキュアプリントジョブ」は、画像データを画像処理装置101のHDD214に一時的に保持し、画像処理装置101で操作する者(操作者)の指示により印刷を実行するプリントジョブを意味する。さらに「通常プリントジョブ」は、通常の印刷を実行、すなわち、即座に印刷を実行するプリントジョブを意味し、セキュアプリントジョブとの対比で用いる場合がある。
【0021】
画面表示部300は、セキュアプリントジョブの操作を実行するための画面を操作部219に表示する。また画面表示部300は、操作者からの指示によりセキュアプリント制御部302に対しセキュアプリントジョブを実行する指示を行う。通信部301は、ネットワークI/F218を介して端末102から送信されるプリントジョブを受信し、ジョブ処理部304にプリントジョブを渡す。
【0022】
セキュアプリント制御部302は、画面表示部300からのセキュアプリントジョブのリスト取得の指示を受けてジョブ管理部303からジョブの属性情報を取得したり、ジョブに対する操作の指示を受けてジョブ管理部303に操作の実行を依頼したりする。
【0023】
ジョブ管理部303は、プリントジョブDB305に格納されているプリントジョブの属性情報、およびプリントジョブの画像データを管理する。
【0024】
ジョブ処理部304は、通信部301から受け取ったプリントジョブに対する各種処理を行う。ここで、プリントジョブがセキュアプリントジョブである場合は、プリントジョブDB305にプリントジョブを格納する。
【0025】
プリントジョブDB305は、プリントジョブの属性情報、およびプリントジョブの画像データが格納されているデータベースである。詳細については図5を用いて説明する。
【0026】
画像処理部306は、ジョブ処理部304からの指示によりプリントジョブの画像データの画像処理を行う。
【0027】
印刷処理部307は、画像処理部306によって印刷用の画像処理が施されたプリントジョブの画像データを受け取り、プリンタI/F216を介してプリンタ220に記録媒体上への印刷を実行させる。
【0028】
<プリントジョブ受信処理>
次に、図4を参照して、本実施形態における画像処理装置101でプリントジョブを受信した際の処理手順について説明する。以下で説明する処理は、画像処理装置101のCPU211がROM212やHDD214から制御プログラムをRAM213に読み出して実行することにより実現される。
【0029】
S401において、通信部301は、端末102から送信されるプリントジョブをネットワークI/F218を用いて受信し、受信したプリントジョブをジョブ処理部304に渡す。ここで受信したプリントジョブは、画像データに関連づけて、ジョブ名、ユーザ名(ユーザID)、ジョブ種別(セキュアプリントジョブ、または通常プリントジョブ)の属性情報を持つものとする。更に、ジョブ種別がセキュアプリントジョブである場合には、上記の属性情報の他にジョブパスワードを属性情報として持つ。
【0030】
S402において、ジョブ処理部304は、通信部301から渡されたプリントジョブのジョブ種別(セキュアプリントジョブか通常プリントジョブか)を判断する。セキュアプリントジョブと判断した場合には、S403に進む。
【0031】
S403において、ジョブ処理部304は、プリントジョブDB305に上述の属性情報を登録するとともに画像データを保持する。なおHDD214に保持された画像データの印刷は、操作者からジョブパスワードの入力を受け付けるまで待機される。
【0032】
ここで、図5を参照して、プリントジョブDB305に登録されているジョブ管理テーブルについて説明する。
【0033】
受付番号501は、ジョブ処理部304が受け付けたプリントジョブに対して画像処理装置101で一意に割り当てられる番号である。時刻502は、プリントジョブを端末から受け付けた時刻である。ジョブ名503、ユーザ名(ユーザID)504、ジョブ種別505、および、ジョブパスワード506は、それぞれS401で受信したプリントジョブに含まれている属性情報が格納される。状況507は、プリントジョブの状態(「認証待ち」、「印刷中」、「印刷待ち」、「中止中」)を示している。
【0034】
「認証待ち」の状態である場合には、そのプリントジョブはセキュアプリントジョブであり、操作者によるジョブパスワードの入力を待っている状態を意味している。操作者により正しいジョブパスワードが入力されると、そのプリントジョブは「認証待ち」の状態から「印刷中」あるいは「印刷待ち」に遷移する。
【0035】
「印刷中」の状態である場合は、そのプリントジョブが実行中であることを意味している。プリントジョブを実行して画像の印刷が完了すると、当該プリントジョブのエントリはジョブ管理テーブルから削除される。
【0036】
「印刷待ち」は、他のプリントジョブが実行中であるため印刷を待機している状態を意味している。なお「印刷待ち」の状態では、プリントジョブの画像データの印刷を待機している状態ではあるが、画像処理部306による各種の画像処理に関しては行っていてもよい。
【0037】
「中止中」は、操作者が印刷を中止する指示したことによって遷移する状態である。「中止中」は、そのプリントジョブの実行を中止するために画像データの削除等の処理を実行している最中を意味する。そのプリントジョブの状態が「中止中」に変わり、その後プリントジョブの実行が中止された時点で、当該プリントジョブのエントリをジョブ管理テーブルから削除する。
【0038】
図4の説明に戻る。S402において、ジョブ処理部304が、通常プリントジョブと判断した場合には、S404に進む。
【0039】
S404において、ジョブ処理部304は、S403と同様、プリントジョブDB305に上述の属性情報を登録する。そして、ジョブ処理部304は、S501で受け取ったプリントジョブの画像データを、「印刷待ち」の状態としてプリントジョブDB305に格納する。そして、プリントジョブの画像データを画像処理部306に渡し、印刷用の画像処理を依頼する。画像処理の依頼を受けた画像処理部306は、適切な画像処理を施した後に、「印刷中」の他のプリントジョブがないことを確認した上で印刷処理部307に画像データを渡し、記録媒体上への印刷を行う処理を依頼する。依頼を受けた印刷処理部307は、プリンタI/F216を介してプリンタ220に記録媒体上への印刷を実行し、本フローチャートの処理を終了する。
【0040】
<セキュアプリントジョブ操作処理>
次に、図6を参照して、画像処理装置101におけるセキュアプリントジョブの操作に従った処理の手順について説明する。以下で説明する処理は、画像処理装置101のCPU211がROM212やHDD214から制御プログラムをRAM213に読み出して実行することにより実現される。なお、図6の処理手順が開始される前に、画面表示部300によって、セキュアプリント制御部302を介して取得したセキュアプリントジョブの状況画面が表示されているものとする。セキュアプリントジョブの状況を表示する画面を図7に示す。
【0041】
図7において、セキュアプリントジョブ状況画面701は、セキュアプリントジョブの状況を表示する画面である。702は、画像処理装置101内に保持されているセキュアプリントジョブのリストを表示するフィールドである。ここに表示されるセキュアプリントジョブのリストは、図5に示したジョブ管理テーブルを元に表示している。具体的には、図5のジョブ管理テーブルで管理しているプリントジョブのうち、状況507が「認証待ち」のプリントジョブ(すなわち未だ印刷されていないセキュアプリントジョブ)を表示する。
【0042】
703は印刷ボタンであり、操作者がセキュアプリントジョブを選択した後にジョブの印刷操作を行うためのボタンである。704は印刷を中止するための中止ボタンであり、703と同じく操作者がセキュアプリントジョブを選択した後に、ジョブの中止操作を行うためのボタンである。印刷ボタン703と中止ボタン704は、フィールド702に表示されているジョブのリストからジョブを少なくとも1つ選択した状態でなければ押下できない。
【0043】
705と706は、操作者がセキュアプリントジョブを選択した状態を表すマークである。マーク内の数字は、操作者が図7の画面にてジョブを選択した順番を表す。図7の例では、マーク705は、受付番号0001のセキュアプリントジョブを操作者が1番目に選択したジョブであることを表しており、マーク706は、受付番号0005のセキュアプリントジョブを操作者が2番目に選択したジョブであることを表している。
【0044】
なお本実施形態では、図7に示すように、異なるユーザ名のセキュアプリントジョブが1人の操作者により選択可能な構成となっている。例えば、User1のセキュアプリントジョブとUser2のセキュアプリントジョブが1人の操作者により同時に選択可能となっている。ただし、情報漏えいの防止や印刷物の取り間違いの防止の観点から他人のセキュアプリントジョブに対する操作をさせたくない場合もある。このような場合には、ユーザログイン環境を構築し、例えば操作者がユーザIDを入力してログインした後に画像処理装置101を操作可能とするとともに、そのログインした操作者のジョブだけを図7に選択可能なジョブとして表示するようにしてもよい。
【0045】
図6の説明に戻る。
【0046】
S601において、画面表示部300は、操作者が選択した1又は複数のセキュアプリントジョブを受け付ける。複数のセキュアプリントジョブを操作者が選択した場合には、その操作者がジョブを選択した順番を示す情報も受け付ける。例えば、図7の例においては、受付番号0001および受付番号0005のジョブを受け付けるとともに、受付番号0001のジョブが1番目に選択したジョブであり、受付番号0005のジョブが2番目に選択したジョブであることを示す情報を受け付ける。
【0047】
次にS602において、画面表示部300は、セキュアプリントジョブの操作種別を受け付ける。図7において操作者が印刷ボタン703を押下した場合は印刷操作を受け付け、中止ボタン704を押下した場合は中止操作を受け付ける。
【0048】
次にS603では、画面表示部300はジョブパスワード入力画面(不図示)を表示し、操作者が入力するジョブパスワードを受け付ける。その後、画面表示部300は、S601で受け付けたセキュアプリントジョブの情報(及びジョブの順番を示す情報)と、S602で受け付けた操作種別の情報と、S603で受け付けたジョブパスワードとを、セキュアプリント制御部302に送信する。
【0049】
S604において、セキュアプリント制御部302は、画面表示部300から受け取った情報を元に、セキュアプリントジョブに対する処理として操作者が印刷処理を指示したのかそれとも印刷中止処理を指示したのかを判断する。印刷中止処理が指示されたと判断した場合はS605に進み、印刷処理が指示されたと判断した場合にはS609に進む。
【0050】
S605において、セキュアプリント制御部302は、画面表示部300から受け取った情報を元に、操作者によりS601で選択されたセキュアプリントジョブのうち、まだ下記S606〜S607の処理を行っていないジョブを任意に一つ抽出する。本実施形態では、最初に受付番号0001のジョブを抽出するものとする。
【0051】
次にS606において、セキュアプリント制御部302は、S605で抽出したジョブのジョブパスワード506を図5に示すジョブ管理テーブルから取得し、S603で受け付けたジョブパスワードと比較する。例えば、ジョブ管理テーブルから取得した受付番号0001のジョブパスワード506は“123”であり、このジョブパスワードとS603で受け付けたジョブパスワードとの比較をする。両者のジョブパスワードが一致する場合はS607に進み、両者のジョブパスワードが一致しない場合はS608に進む。
【0052】
なお本実施形態では、S606でジョブパスワードが一致しなかったと判断した場合はS608に進むものとして説明した。ただし、変形例として、ジョブパスワードが一致しなかった場合に、再度ジョブパスワードの入力を操作者から受け付け可能な画面(不図示)を操作部219に表示し、S606の判定を繰り返すようにしてもよい。
【0053】
S607において、セキュアプリント制御部302は、ジョブ管理部303に対して当該ジョブの中止の実行を依頼する。依頼を受けたジョブ管理部303は、図5に示すジョブ管理テーブルの当該ジョブの状況507を「認証待ち」から「中止中」に変更し、さらにジョブ処理部304に当該ジョブの中止実行を依頼する。その後、ジョブ管理部303は、中止動作が完了した時点で図5に示すジョブ管理テーブルから当該ジョブのエントリを削除し、セキュアプリント制御部302に当該ジョブの中止が完了したことを通知する。
【0054】
S608において、セキュアプリント制御部302は、操作者により選択されたセキュアプリントジョブのうち、上記S606〜S607の処理をしていないジョブが有るか否かを判断する。上記S606〜S607の処理をしていないジョブが有ると判断した場合はS605に戻り、処理を繰り返す。例えば受付番号0005のジョブが未処理であれば、受付番号0005のジョブについてS606の処理を繰り返す。未処理のジョブが無いと判断した場合には、画面表示部300に全ての処理が完了したことを通知した後に処理を終了する。
【0055】
本実施形態では、S608で未処理のジョブがあると判断した場合に一律にS605に戻るものとして説明した。ただし、変形例として、S608で未処理のジョブが有ると判断した場合でも、未処理のジョブと既に中止処理したジョブとでユーザ名が異なる場合はS608でNOと判定してもよい。このようにすることで、ユーザ名が異なる複数のジョブが操作者により選択された場合、選択された複数ジョブのうち1つしか印刷中止しないよう構成することができる。このような構成としたときは、選択された複数ジョブのうち1つしか印刷中止しなかったことや、印刷中止しなかったジョブの受付番号をユーザに警告する画面を操作部219に表示することが好ましい。
【0056】
S604において、セキュアプリント制御部302は、画面表示部300から受け取った操作種別が印刷操作と判断した場合にはS609へ進む。
【0057】
S609において、セキュアプリント制御部302は、画面表示部300から受け取った情報を元に、操作者により選択されたセキュアプリントジョブのうち1つジョブを特定する。具体的には、操作者が1番目に選択したジョブを特定する。図7の例では、マーク705が付加されている受付番号0001のジョブが特定される。なお、画面表示部300から受け取ったセキュアプリントジョブが1つである場合は当然そのセキュアプリントジョブが特定されることになる。
【0058】
さらに、操作者が1番目に選択したジョブのユーザ名(ユーザID)と同じユーザ名のセキュアプリントジョブを、図5のジョブ管理テーブルから抽出する。図7の例では、操作者が1番目に選択したジョブは受付番号が0001のセキュアプリントジョブであり、そのジョブのユーザ名はUser1であることがわかる。よって、User1というユーザ名を持つセキュアプリントジョブを図5に示すジョブ管理テーブルから全て検索する。すなわち、ユーザ名504がUser1である受付番号0001、受付番号0002、および受付番号0005のジョブが操作対象のジョブとして特定される。
【0059】
S610において、セキュアプリント制御部302は、S609で検索したジョブのリストから未処理のジョブを任意に一つ抽出する。
【0060】
S611の処理はS606と同様であり、ジョブパスワードが一致しなかった場合はS613に進む。このとき、検索して抽出されたジョブに関して、ジョブパスワードが一致せず印刷ができなかったことや、そのジョブの受付番号等を操作部219に表示することにより操作者にその旨を通知する。一方、S611でジョブパスワードが一致した場合はS612に進む。
【0061】
S612において、セキュアプリント制御部302は、ジョブ管理部303に対して、S610で抽出されたプリントジョブの印刷の実行を依頼する。依頼を受けたジョブ管理部303は、図5に示すジョブ管理テーブルの当該プリントジョブの状況507を「認証待ち」から「印刷待ち」に変更する。その後は、図4のS404での処理と同様であり、「印刷中」の状態を示す他のプリントジョブがなければ、S610で抽出されたプリントジョブを「印刷待ち」から「印刷中」に変更し、ジョブ処理部304に当該ジョブの印刷実行を依頼する。その後、ジョブ管理部303は、印刷処理部307による印刷動作が完了した時点で図5に示すジョブ管理テーブルから当該ジョブのエントリを削除し、セキュアプリント制御部302に当該ジョブの印刷が完了したことを通知する。
【0062】
S613において、セキュアプリント制御部302は、S609で検索したジョブリストの中でまたS611〜S612の処理を行っていないジョブが有るか否かを判断する。またS611〜S612の処理を行っていないジョブが有ると判断した場合はS610に戻って処理を繰り返す。図7の例では、S609の検索結果としてユーザ名User1を持つ受付番号0001、受付番号0002、および受付番号0005のジョブが検索されたので、これらのジョブに対して全てS611(又はS612)の処理を繰り返す。S609で検索した全てのジョブについてS611(又はS612)を行ったと判断した場合には、S614に進む。
【0063】
S614において、セキュアプリント制御部302は、S601で選択されたジョブの中で未処理のジョブがあるか否かを判断し、未処理のジョブがあると判断した場合にはS609に戻る。そして、操作者が2番目以降に選択した未処理のジョブに対して再度S610の処理を行う。未処理のジョブが無いと判断した場合は、画面表示部300に全ての処理が完了したことを通知した後に本フローチャートの処理を終了する。なお、図7の例では、操作者が1番目に選択した受付番号0001のジョブも、2番目に選択した受付番号0005のジョブも、既に印刷処理されている。そのためS614では“NO”と判定される。
【0064】
本実施形態では、S614において、操作者が選択したジョブの中で未処理のジョブが有るか否かを判定するものとして説明した。しかしながら、このS614の判定で未処理のジョブが有る(すなわちS614においてYES”)と判定されるのは、実際には、S601で操作者が異なるユーザ名のセキュアプリントジョブを複数選択した場合に限られる。従って、S614でYESと判定した場合には、操作者が異なるユーザ名のセキュアプリントジョブを複数選択したことを警告したり、情報漏えいの防止や印刷物の取り間違いの防止の観点から印刷実行をキャンセルしたりしてもよい。あるいはS614の処理自体を行わないようにしてもよい。このような構成とすることにより、操作者が異なるユーザ名のセキュアプリントジョブを複数選択した場合、1番目に選択したジョブのユーザ名とは異なるユーザ名のジョブを実行することを制限できる。
【0065】
また本実施形態では、操作者がセキュアプリントジョブに対する操作の種別として印刷処理を選択した場合、操作者が選択したジョブの他、ユーザ名やジョブパスワードが一致するジョブも自動選択して印刷を行うようにした。このとき、ユーザに混乱を与えないように、自動で選択されたジョブが図7の画面などで識別できるように表示してもよい。
【0066】
次に図8を参照して、S612またはS404で実行を依頼されたプリントジョブの状況画面の一例について説明する。ジョブ管理部303は、図5に示すジョブ管理テーブルの当該プリントジョブの状況507が「印刷中」または「印刷待ち」のプリントジョブの属性情報を抽出し、画面表示部306が図8のような画面を表示する。
【0067】
ジョブ状況画面801は、S612又はS404で実行を依頼されたプリントジョブの状況を表示する画面である。802は、画像処理装置101内に保持されている「印刷中」または「印刷待ち」のプリントジョブのリストを表示するフィールドである。ここに表示されるセキュアプリントジョブのリストは、図5に示したジョブ管理テーブルを元に表示している。具体的には、図5のジョブ管理テーブルで管理しているプリントジョブのうち、状況507が「印刷中」または「印刷待ち」のプリントジョブを抽出し表示する。
【0068】
804は印刷を中止するための中止ボタンである。
【0069】
操作者は、802のリストから「印刷待ち」のプリントジョブを1つ選択することが可能である。そして図8の画面で中止ボタン804を押下すると、プリントジョブの実行を中止することができる。具体的には、ジョブ管理部303は、図5に示すジョブ管理テーブルの当該ジョブの状況507を「印刷待ち」から「中止中」に変更し、さらにジョブ処理部304に当該プリントジョブの中止実行を依頼する。その後、ジョブ管理部303は、中止動作が完了した時点で図5に示すジョブ管理テーブルから当該ジョブのエントリを削除する。
【0070】
以上より、本実施形態においては、操作者がセキュアプリントジョブに対する操作の種類として印刷処理を指示した場合、操作者が選択したジョブの他、ユーザ名やジョブパスワードが一致する他のセキュアプリントジョブも自動選択して印刷するようにした。
【0071】
更に、操作者でなく自動的に選択されたプリントジョブを後から印刷中止することを望む場合は、図8のプリントジョブ状況画面で中止を指示することもできるようにした。なお図8の画面で「印刷待ち」のプリントジョブを選択して印刷中止を指示した場合、選択したプリントジョブのみを中止するので、選択されたプリントジョブ以外のプリントジョブまで実行が中止されることはない。
【0072】
以上より、本実施形態における画像処理装置では、セキュアプリントジョブの操作の目的に応じて、どのセキュアプリントジョブを操作対象とするかを異ならせるように構成した。具体的には、セキュアプリントジョブに対する操作の目的が印刷中止である場合には、操作者が選択したセキュアプリントジョブだけを印刷中止するようにした。
【0073】
一方、操作の目的が印刷操作である場合には、操作者に選択されたセキュアプリントジョブだけでなく、その選択されたセキュアプリントジョブと同じユーザ名及びパスワードのセキュアプリントジョブをも印刷実行できるようにした。
【0074】
すなわち、操作者によって選択されたジョブは同じでも、その操作者が指示した操作が印刷操作か中止操作かに従って操作対象のジョブが異なるよう構成することにより、操作の目的に応じて柔軟に操作対象のジョブを切り替えることが可能となる。
【0075】
例えば、画像処理装置内に保持されている複数のセキュアプリントジョブの中で、印刷が不要となったジョブのみを操作者が選択して中止することができる。そして、その後、印刷が必要なジョブ全てを操作者が選択することなく印刷することもできる。このように、操作者にとって操作性を向上させることが可能となる。
【0076】
また本実施形態では、図7の画面での指示が“印刷中止”を指示するものである場合(S604で“中止操作”と判定した場合)、操作者が選択したセキュアプリントジョブの実行のみを中止するように構成した。しかし、図7の画面での指示が“印刷中止”を指示するものであっても、選択したセキュアプリントジョブと同じユーザIDのセキュアプリントジョブを一括で中止することを望む操作者もいるかもしれない。このような問題を考慮して、S604で“中止操作”と判定した場合に操作部219に問い合わせ画面(不図示)を表示するようにしてもよい。そして、操作者が選択したセキュアプリントジョブの実行のみを中止するか、操作者が選択したセキュアプリントジョブと同じユーザIDのセキュアプリントジョブを一括で中止するかを操作者に問い合わせるように構成してもよい。このような構成とすることにより、操作者にとって更に利便性の高い画像処理装置を提供することができる。
【0077】
(他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0078】
101 画像処理装置
102 端末
210 制御部
211 CPU
212 RAM
219 操作部
220 プリンタ
300 画面表示部
301 通信部
302 セキュアプリント制御部
303 ジョブ管理部
304 ジョブ処理部
305 プリントジョブDB
306 画像処理部
307 印刷処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリントジョブの選択を操作者から受け付ける第1受付手段と、
前記第1受付手段で前記操作者によるプリントジョブの選択を受け付けると、プリントジョブに対して行う処理の種類の選択を前記操作者から更に受け付ける第2受付手段と、
前記第1受付手段で受け付けた前記操作者によるプリントジョブの選択と、前記第2受付手段で受け付けた前記処理の種類の選択とに応じて、処理の対象とするプリントジョブを変更する制御手段を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第2受付手段は、印刷処理、及び、印刷を中止する処理の何れかの選択を受け付けることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第2受付手段が前記印刷処理の選択を受け付けた場合、前記操作者により選択されたプリントジョブ以外のプリントジョブについても処理の対象とすることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記プリントジョブにはユーザIDが関連づけられており、
前記制御手段は、前記第2受付手段が前記印刷処理の選択を受け付けた場合、前記操作者により選択されたプリントジョブと、当該操作者により選択されたプリントジョブと同じユーザIDが関連づけられているプリントジョブとを処理の対象とすることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第2受付手段が前記印刷を中止する処理の選択を受け付けた場合、前記操作者により選択されたプリントジョブのみを処理の対象とすることを特徴とする請求項2ないし4の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記プリントジョブにはパスワードが関連づけられており、
前記操作者が選択したプリントジョブと同じパスワードが関連づけられているプリントジョブを処理の対象とすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
プリントジョブの選択を操作者から受け付ける第1受付ステップと、
前記第1受付ステップで前記操作者によるプリントジョブの選択を受け付けると、プリントジョブに対して行う処理の種類の選択を前記操作者から更に受け付ける第2受付ステップと、
前記第1受付ステップで受け付けた前記操作者によるプリントジョブの選択と、前記第2受付ステップで受け付けた前記処理の種類の選択とに応じて、処理の対象とするプリントジョブを変更するステップとを有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−39678(P2013−39678A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176046(P2011−176046)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】