説明

画像処理装置、画像処理装置の制御方法及びプログラム

【課題】 揮発性のメモリにジョブを受信していない状態が継続した場合に、特定のジョブを受信しても、特定のジョブを消失することなく適切なタイミングで揮発性のメモリへの電源をオフ状態に移行させて節電状態に速やかに遷移させる。
【解決手段】
不揮発性のメモリと、受信するジョブを揮発性のメモリとを備える画像処理装置において、揮発性のメモリへの電源をオフ状態に移行させるための移行条件と、特定のジョブを不揮発性のメモリで保持しておくための保持条件とを設定する。そして、移行条件で揮発性のメモリへの電源をオフ状態に移行させる前に、CPUが保持条件を満たすように、揮発性のメモリに保持される特定のジョブを不揮発性のメモリに退避させた後、移行条件に従い揮発性のメモリへの電源をオフ状態に移行させる(605)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動電源オフ機能を備える画像処理装置、画像処理装置の制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷機能や読取機能を持つ画像処理装置は、ユーザからの動作要求が一定期間以上ない場合、プリンタエンジンやスキャナエンジンや操作部画面などハードウェア各部の電力を切断してスリープ状態に移行する省電力機能を備える。スリープ状態中に外部インターフェースとの通信プロトコルもしくは操作部からの動作要求があった場合、画像処理装置は必要なハードウェア各部に電力供給を再開して要求された動作を実行する。スリープ状態の画像処理装置は、動作要求を検知するためにイーサネット(登録商標)やUSBなどの外部インターフェースや操作部の一部に一定の電力供給を行い、また揮発性メモリに実行中のデータが残存している場合はデータ保持のために揮発性メモリに一定の電力供給を行う。
【0003】
上記の省電力機能に対して現在さらなる省電力化が推進されており、ユーザからの動作要求が一定時間以上ない場合に画像処理装置を電源オフ状態に移行する自動電源オフ機能が検討されている。
これにより外部インターフェースや揮発性メモリに供給していた電力も削減され消費電力はほぼ「0」となる。ただし自動電源オフ機能を実施する際に揮発性メモリに実行中のデータが残存している場合データ退避が必要となる。
従来は特許文献1のように電源オフ処理において、実行中のデータを圧縮し、外部記憶装置または不揮発性メモリまたはバッテリバックアップの揮発性メモリへの退避を実施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−165827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、外部受信した印刷画像データを装置内部に記憶し、ユーザの認証操作によって印刷を実行するセキュアプリント機能を有する画像処理装置において、自動電源オフ時のデータ退避に揮発性メモリしか有さない場合、特許文献1のデータ退避方法を適用してもユーザの意図に反して認証処理が必要なジョブが消去されてしまう。
一方、ユーザの意図に反するジョブが消去されてしまうことを回避するためには自動電源オフの実行を中止する制御が想定されるが、その場合、省電力化に移行するまでの時間が助長され有効な節電処理が実現できない。つまり、従来の節電制御では、揮発性メモリ内に保持されたジョブが消失されないことを保証しながら、他方で省電力化を実現することが難しいという課題があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、揮発性のメモリにジョブを受信していない状態が継続した場合に、特定のジョブを受信しても、特定のジョブを消失することなく適切なタイミングで揮発性のメモリへの電源をオフ状態に移行させることができる仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明の画像処理装置は以下に示す構成を備える。
受信するジョブを揮発性のメモリに保持して処理する画像処理装置であって、不揮発性のメモリと、前記揮発性のメモリへの電源をオフ状態に移行させるための移行条件と、特定のジョブを前記不揮発性のメモリで保持しておくための保持条件とを設定する設定手段と、前記移行条件で前記揮発性のメモリへの電源をオフ状態に移行させる前に、前記保持条件を満たすように、前記揮発性のメモリに保持される特定のジョブを前記不揮発性のメモリに退避させた後、前記移行条件に従い前記揮発性のメモリへの電源をオフ状態に移行させる制御手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、揮発性のメモリにジョブを受信していない状態が継続した場合に、特定のジョブを受信しても、特定のジョブを消失することなく適切なタイミングで揮発性のメモリへの電源をオフ状態に移行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態を示す画像処理装置の構成を説明するブロック図である。
【図2】画像処理装置の節電制御とセキュアプリント制御とを示す図である。
【図3】画像処理装置における動作を説明するタイミングチャートである。
【図4】画像処理装置におけるデータ待避処理例を説明する図である。
【図5】画像処理装置における動作を説明するタイミングチャートである。
【図6】画像処理装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【図7】画像処理装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
<システム構成の説明>
〔第1実施形態〕
図1は、本実施形態を示す画像処理装置の構成を説明するブロック図である。本例は、セキュアプリント機能を有し、かつ、省電力制御を実行可能な画像処理装置101の例である。
本発明のハードウェア構成を示す。
【0010】
図1において、102は外部装置接続部で、LANやUSBや電話回線接続によって外部装置とデータのやり取りし、画像データの受信などを行い、また外部装置を利用するユーザへの情報通知を行う。103は読取部で、紙媒体の原稿を光学的に読取り画像データへ変換する。
【0011】
104は画像変換部で、外部装置接続部102および読取部103で取得した画像データに色空間変換や色濃度など所定の画像処理を行って印刷画像データを生成する。105は印刷部で、画像変換部104で生成した印刷画像データを紙媒体に印字する。
106は電源制御部で、装置各部の電源供給を制御する。107はCPUで、ROM108に記憶された制御プログラムを実行することで、各種の画像処理、データ通信処理、省電力制御、セキュアプリント機能を実行する。109は汎用メモリで、RAM等で構成される。110は電池付メモリで、電池111から電力でバックアップされ、不揮発性メモリとして機能する。
なお、CPU107は、画像処理装置101の制御部であり、装置全体を制御する。
【0012】
また、汎用メモリ109および電池付メモリ110はCPU107の制御プログラムの変数や画像データを格納する揮発性メモリであり、電源制御部106からの電源供給がない状態ではデータ保存はできない。
【0013】
電池付メモリ110は、汎用メモリ109と同様に画像データを格納する揮発性メモリであり電源制御部106からの電源供給を受けるが、電池111からの電源供給に切り替えることで電源制御部106からの電源供給がない状態でも一定時間データ保存が可能である。
電池111は、電源制御部106からの電源供給がある状態では蓄電動作を行い、電源供給がない状態では電池付メモリ110に対して一定時間電源供給を行う。操作部112は、ボタンや表示パネルなどのユーザインターフェース(UI)を有し、ユーザからの動作要求を受け付け、また画像処理装置101からの情報通知をユーザに対して行う。
このように構成された画像処理装置、受信するジョブを揮発性のメモリ(汎用メモリ)と、不揮発性のメモリ(電池付きメモリ)とを備えて以下の機能処理を実行する。
ユーザが設定する汎用メモリへの電源をオフ状態に移行させるための移行条件と、特定のジョブを電池付きメモリで保持しておくための保持条件とを、例えば電池付きメモリで保持する。そして、図5に示すようにジョブの処理終了後、移行条件(移行時間=60分)を満たすと判断した場合、電源制御部106は、汎用メモリへの電源をオフ状態に移行させる。ここで、保持条件には特定のジョブを保持しておく保持時間が含まれる。
ここで、電源制御部106は、移行時間が経過する前に、特定のジョブ(セキュア印刷ジョブ(認証処理を行うジョブ)が、汎用メモリに保持されているかどうかを判断する。ここで、特定のジョブが汎用メモリに保持されていると判断した場合、CPU107がセキュア印刷ジョブを電池付きメモリに退避させる。そして、ユーザからの指示で電源をオン状態に移行させる要求を受付けたら、電源制御部106が電池付メモリに保持されているセキュア印刷ジョブを汎用メモリに復旧させる。なお、詳細は図6に示すフローチャートを参照して説明する 以下、図2と図3を参照して、従来の画像処理装置の具体的な省電力制御について説明する。
〔従来の省電力制御〕
図2は、この種の画像処理装置における節電制御とセキュアプリント制御との対応について説明する図である。
本例は、画像処理装置が実行する自動電源オフ機能と自動ジョブキャンセル機能とが重なる状態を示す。
【0014】
図2において、201−1は自動電源オフ設定で、例えば60分と設定された状態を示す。201−2はセキュアプリントの自動ジョブキャンセル設定を示し、例えば60分と設定された状態を示す。電源オン状態202において、自動電源オフは、例えば設定された時間経過をトリガーとしてユーザからの動作要求が一定時間(60分)以上ない場合に自動電源オフを実施する。これにより、電源オフ状態204となる。
また、セキュアプリントジョブは、例えば画像処理装置101が認証待ちデータ203を受け付けてから予め設定されたタイムアウト時間(60分)経過後に自動キャンセルを実施する。ここで、認証待ちデータ203にはセキュアプリントジョブが含まれる。
【0015】
画像処理装置101が外部装置からセキュアプリントジョブを受け付けると、電源オン状態202でセキュアプリントジョブの認証待ちデータ203を揮発性メモリである汎用メモリ109に保持する。
このとき自動電源オフを実行すると、汎用メモリ109への電源供給がなくなり認証待ちデータ203は削除され、セキュアプリントジョブに設定されたタイムアウト時間以前にジョブキャンセルされてしまいユーザの意図に反する。そのため、自動電源オフの実行を中止または延期する制御がなされる。以下、その具体例を図3に示す。
図3は、図2に示した画像処理装置101における自動電源オフ実行制御のタイミングを説明するタイミングチャートである。
【0016】
図3において、301は自動電源オフ制御のタイムチャートであり、302はセキュアプリントジョブの認証待ち状態を示すタイムチャートである。
ここで、自動電源オフおよびセキュアプリントの自動キャンセルの設定は自動電源オフ設定201−1を用いる。303はセキュアプリント以前に実行したジョブ終了したタイミングを示し、画像処理装置101はここから一定時間動作要求がなければ自動電源オフを電源制御部106へ要求する。
【0017】
304はセキュアプリントジョブの受信したタイミングを示し、画像処理装置101は受信した画像データを汎用メモリ109に格納し設定されたタイムアウト時間の間、認証待ちデータとして保持する。
【0018】
305は自動電源オフ要求を出力するタイミングを示し、画像処理装置101に関わる機能処理に対する動作要求がない場合、タイミング303から一定時間後に発生する。
画像処理装置101は自動電源オフ要求するタイミング305に対して、認証待ちデータを保持している場合は自動電源オフの実行を中止または延期する。ここで、自動電源オフの実行を延期した場合は、セキュアプリントの認証待ち状態はタイミングチャート302が示すように、自動キャンセルされるときに自動電源オフ実行するタイミング306で実施する。つまり、図3に示すように、タイミング303からタイミング305が経過するまでに、セキュアプリントジョブを受信した場合、タイミング304からタイミング305までの差分時間T1を60分から差し引いた時間の間、自動電源オフタイミングが延長される。
【0019】
図2、図3に示した制御を実行すると、自動電源オフ機能と自動キャンセルジョブ機能とが重なる場合に、自動電源オフ実行のタイミングが遅れ消費電力が増大してしまう。そこで本実施形態では、汎用メモリ109に保持されている認証待ちデータを電池付メモリ110に退避させ後、タイミング305とタイミング306との間で実施することで消費電力を低減する。
【0020】
ここで、電池付メモリ110は主として、外部装置接続部102から受信したFAX画像データのバックアップ用に用いられるが、自動電源オフ実行時に空き容量があればデータ退避に使用することが可能である。
〔第1の節電制御〕
図4は、図1に示した画像処理装置101におけるデータ待避処理例を説明する図である。本例は、汎用メモリ109に保持されている認証待ちデータを電池付メモリ110に退避させる例である。
【0021】
図4において、401はメモリ領域で、汎用メモリ109にセキュアプリントジョブの認証待ちデータ402を保持している状態を示す。ここで、認証待ちデータ402は、自動キャンセルまでの残りタイムアウト時間が30minであるとする。
電源制御部106は、図5に示すタイミングチャートで示す自動電源オフするタイミングT506で、汎用メモリ109への電源供給を停止する。
【0022】
404はメモリ領域で、電池111からの電源供給によって電池付メモリ110に自動電源オフ実行後でも一定時間データ保持が可能となることを示ししている。407はデータ保持可能時間で、電池111による電源供給で退避されるデータを保持する状態を示している。本実施形態では、データ保持可能時間407が、例えば30min(タイムアウト時間に対応する)の場合を示す。
【0023】
画像処理装置101は自動電源オフ要求が発生した場合、認証待ちデータ402の残りタイムアウト時間がデータ保持可能時間以内であるなら認証待ちデータ402を電池付メモリ404に退避させ、認証待ちデータ405が格納される。
【0024】
また、画像処理装置101が電源制御部106からの電源供給が復帰した場合、認証待ちデータ405の残りタイムアウト時間があれば、汎用メモリ109のメモリ領域401に認証待ちデータ405を認証待ちデータ402として格納し直してデータ復旧を行う。
図5は、本実施形態を示す画像処理装置における動作を説明するタイミングチャートである。本例は、自動電源オフ実行制御を示す例である。
【0025】
図5において、501は自動電源オフ制御のタイムチャートであり、502は電源オンでのセキュアプリントジョブの認証待ち状態を示すタイムチャートであり、503は電源オフでのセキュアプリントジョブの認証待ち状態を示すタイムチャートである。
【0026】
ここで自動電源オフおよびセキュアプリントの自動キャンセルの設定として、設定201−1、201−2を用いる。
504はセキュアプリント以前に実行したジョブ終了のタイミングを示し、画像処理装置101はここから一定時間動作要求がなければ自動電源オフを電源制御部106へ要求する。
505はセキュアプリントジョブの受信のタイミングを示し、画像処理装置101は受信した画像データを汎用メモリ109に格納し設定されたタイムアウト時間の間、認証待ちデータとして保持する。
【0027】
506は自動電源オフ要求および実行するタイミングを示し、画像処理装置101に対する動作要求を受け付けていない場合、タイミング504から一定時間後に発生する。画像処理装置101のCPU107は自動電源オフ要求および実行するタイミング506に対して、汎用メモリ109内の認証待ちデータを電池付メモリ110にデータ退避して電源オフ状態に移行する。
【0028】
507は電源オンするタイミング示し、ユーザが操作部112等を操作すると電源制御部106への要求が通知される。電源オフでのセキュアプリント認証待ち状態を示すタイミングチャート503の継続中に電源オンするタイミング507が発生した場合は、画像処理装置101のCPU107は電池付メモリ110内の認証待ちデータを汎用メモリ109に復旧する制御を実行する。
図6は、本実施形態を示す画像処理装置の制御方法を説明するフローチャートである。本例は、第1の自動電源オフ実行制御例である。なお、各ステップは、CPU107がROM108に記憶される制御プログラムを汎用メモリ109にロードして実行することで実現される。なお、図6の(A)はメイン処理であり、図6の(B)は図6の(A)のサブルーチンとして実行される。
S601で、CPU107は、前ジョブ終了するタイミング504から自動電源オフの設定に基づく自動電源オフの発生時刻を監視して、発生時刻であるとCPU107が判断した場合は、S602に進む。
【0029】
そして、S602で、CPU107は、汎用メモリ109にセキュアプリントのような自動キャンセルジョブでない通常ジョブが存在するかを判断する。ここで、通常ジョブが存在しないとCPU107が判断した場合は、S603へ進み、存在すると判断した場合はS607へ進む。
そして、S607で、CPU107は、汎用メモリ109に存在する通常ジョブを実行してジョブ処理が完了したら、S608で、CPU107は、自動電源オフの設定に基づく自動電源オフの発生時刻を汎用メモリ109上に再設定して、S601へ戻る。
一方、S603に進んだ場合、CPU107は、汎用メモリ109に自動キャンセルジョブが存在するかを判断する。ここで、自動キャンセルジョブが存在するとCPU107が判断した場合は、S604に進み、存在しないと判断した場合は、S606に進み、CPU107は、自動電源オフを実行して、S609へ進む。
【0030】
そして、S604で、CPU107は、自動キャンセルジョブと電池付メモリ110の比較処理を行い、受信した自動キャンセルジョブを電池付メモリ110に全てデータ退避可能かどうかを判断する。ここで、データ退避可能であるとCPU107が判断した場合はS605に進み、データ退避できないとCPU107が判断した場合は、S608に進み、自動電源オフの発生時刻を再設定して、S601へ戻る。
S605では、CPU107は、電池付メモリ110へ自動キャンセルジョブの画像データを退避して、S606で、CPU107からの指示に従い電源制御部106が自動電源オフを実行して、S609へ進む。
そして、S609で、図5に示すようなタイミング507に従いユーザからの操作などにより電源オン要求を受け付けたと電源制御部106が判断した場合、S610へ進む。
【0031】
そして、S610で、CPU107は、S605で電池付メモリ110に退避した画像データがあるかを判断する。ここで、退避した画像データがないと判断した場合は、本処理を終了する。
一方、S610で、退避した画像データがあるとCPU107が判断した場合、S611で、CPU107は、電池付メモリ110に退避した画像データがタイムアウト前かどうかを判断する。ここで、タイムアウト前でないと判断した場合は、電池付メモリ110に保持されている特定のジョブを破棄した後、本処理を終了する。ここで、特定のジョブは、認証処理を行うセキュア印刷ジョブが含まれる。
一方、S611で、タイムアウト前であると判断した場合は、S612で、電池付メモリ110に退避した画像データを汎用メモリ109へ復旧して、本処理を終了する。
以下、S604の処理の詳細を、図6の(B)に示すフローチャートを参照して説明する。なお、各ステップは、CPU107がROM108に記憶される制御プログラムを汎用メモリ109にロードして実行することで実現される。
S613およびS614は、S604の詳細を示す。
S613で、CPU107は、自動キャンセルジョブの画像データサイズと電池付メモリの空きサイズを比較し、空きサイズの方が大きいかどうかを判断する。ここで、空きサイズの方が小さいとCPU107が判断した場合は、データ退避できないと判断して、データ退避NGとなって、S608へ進む。
一方、S613で、空きサイズの方が大きいとCPU107が判断した場合は、S614へ進み、CPU107は、自動キャンセルジョブの残りタイムアウト時間と電池付メモリの保存可能時間を比較し、保存可能時間の方が大きいかどうかを判断する。ここで、保存可能時間の方が大きいとCPU107が判断した場合は、データ退避可能と判断して、S605へ処理を移す。
一方、S614で、保存可能時間の方が小さいとCPU107が判断した場合は、データ退避できないと判断して、データ退避NGとなって、S608へ進む。
これにより、適切なタイミングで揮発性メモリに保持されたセキュアプリント認証待ちデータを電池付きメモリに退避させ、データ保持を保証しながら省電力化を実現することが可能となる。
〔第2実施形態〕
以下、自動電源オフ実行制御において自動電源オフの実行や電源オン時に自動キャンセルジョブの状態をユーザに通知する実施形態について説明する。
〔第2の節電制御〕
図7は、本実施形態を示す画像処理装置の制御方法を説明するフローチャートである。本例は、第2の自動電源オフ実行制御例である。
なお、各ステップは、CPU107がROM108に記憶される制御プログラムを汎用メモリ109にロードして実行することで実現される。なお、図7の(A)はメイン処理であり、図7の(B)は図6の(A)のサブルーチンとして実行される。
S701で、CPU107は、前ジョブ終了するタイミング504から自動電源オフの設定に基づく自動電源オフの発生時刻を監視して、発生時刻であるとCPU107が判断した場合は、S702に進む。
【0032】
そして、S702で、CPU107は、汎用メモリ109にセキュアプリントのような自動キャンセルジョブでない通常ジョブが存在するかを判断する。ここで、通常ジョブが存在しないとCPU107が判断した場合は、S703へ進み、存在すると判断した場合はS708へ進む。
【0033】
S708では、CPU107は、通常ジョブを実行完了して、S709で、CPU107は、通常ジョブの完了後に自動電源オフの設定に基づく自動電源オフの発生時刻を再設定して、S701へ戻る。
一方、S702で、通常ジョブが存在しないとCPU107が判断した場合は、S703で、CPU107は、自動キャンセルジョブが存在するかを判別する。ここで、自動キャンセルジョブが存在すると判断した場合は、S704に進み、図6の(B)に示した処理を実行する。
一方、S703で、自動キャンセルジョブが存在しないとCPU107が判断した場合は、S707に進み、電源制御部106は、自動電源オフを実行して、S710へ進む。
【0034】
一方、S703で、自動キャンセルジョブが存在するとCPU107が判断した場合、S704で、CPU701は、自動キャンセルジョブのデータ量と、電池付メモリ110のメモリ空き容量とを比較して、自動キャンセルジョブのデータを退避可能かどうか判断する。ここで、自動キャンセルジョブのデータを退避可能であるとCPU107が判断した場合は、S705に進み、自動キャンセルジョブのデータを退避できないとCPU107が判断した場合は、S709に進む。そして、S709で、CPU107は、電源制御部106に対する自動電源オフの発生時刻を再設定して、S701へ戻る。
そして、S705では、CPU701は、汎用メモリ109に保持されている自動キャンセルジョブの画像データを電池付メモリ110へ退避して、S706へ進む。
【0035】
S706で、CPU701は、操作部112に対して、自動電源オフを実行する旨およびS705でデータ退避した自動キャンセルジョブの残りタイムアウト時間をユーザへ通知する第1のユーザ通知処理を実行する。なお、S706における第1の通知処理は外部装置接続部102からのデータ通信で外部装置に通知する処理としてもよい。
そして、S710で、ユーザが操作部112に対して行う操作に同期して、電源制御部106が各部に電力を供給するため電源をオン状態に遷移させる。
【0036】
そして、S711で、CPU701は、S705で電池付メモリ110に退避した画像データがあるかどうか判断する。ここで、電池付メモリ110に退避した画像データがないとCPU107が判断した場合は、本処理を終了する。
一方、S711で電池付メモリ110に退避した画像データがあるとCPU107が判断した場合は、S712へ進む。そして、S712で、CPU107は、電池付メモリ110に退避した画像データがタイムアウト前かどうかどうか判断する。ここで、タイムアウト前であるとCPU107が判断した場合は、S713で、CPU107は、電池付メモリ110に退避した画像データを汎用メモリ1009へ復旧する処理を実行する。具体的には、CPU107が電池付メモリ110に退避した画像データを汎用メモリ1009の所定領域にコピーし、複写元となる電池付メモリ110に退避した画像データを削除する処理を実行する。
【0037】
次に、S714で、CPU107は、操作部112に対して、電源オンが発生した旨、自動キャンセルジョブが存在している旨およびその残りタイムアウト時間をユーザへ通知する第2の通知処理を実行する。なお、S706における第2の通知処理は外部装置接続部102からのデータ通信で外部装置に通知する処理としてもよい。
これにより、第1実施形態と同様の効果並びに、省電力モードに従って自動キャンセルジョブがどのように処理されているかをユーザに通知することができる。
具体的には、自動電源オフ実行制御において自動電源オフの実行や電源オン時に自動キャンセルジョブの状態をユーザに的確なタイミングで通知することができる。
【0038】
本発明の各工程は、ネットワーク又は各種記憶媒体を介して取得したソフトウエアプログラムをパソコンコンピュータ等の処理装置CPU、プロセッサにて実行することでも実現できる。
【0039】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形各実施形態の有機的な組合せを含むが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【符号の説明】
【0040】
106 電源制御部
107 CPU
108 ROM
109 汎用メモリ
110 電池付きメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信するジョブを揮発性のメモリに保持して処理する画像処理装置であって、
不揮発性のメモリと、
前記揮発性のメモリへの電源をオフ状態に移行させるための移行条件と、特定のジョブを前記不揮発性のメモリで保持しておくための保持条件とを設定する設定手段と、
前記移行条件で前記揮発性のメモリへの電源をオフ状態に移行させる前に、前記保持条件を満たすように、前記揮発性のメモリに保持される特定のジョブを前記不揮発性のメモリに退避させた後、前記移行条件に従い前記揮発性のメモリへの電源をオフ状態に移行させる制御手段を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記電源をオン状態に移行させる要求を受け付ける受付手段を備え、
前記制御手段は、前記受付手段が前記電源をオン状態に移行させる要求を受け付けて前記保持条件を満たすと判断した場合、前記不揮発性のメモリに保持されている前記特定のジョブを前記揮発性のメモリに復旧させることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記特定のジョブは認証処理を行うセキュア印刷ジョブであることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記受付手段が前記電源をオン状態に移行させる要求を受け付けても前記保持条件を満たさない場合、前記不揮発性のメモリに保持されている前記特定のジョブを破棄することを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御手段が揮発性のメモリに保持された特定のジョブを前記不揮発性のメモリに退避させたことを通知する第1の通知手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記制御手段が前記不揮発性のメモリに保持された特定のジョブを前記揮発性のメモリに復旧させたことを通知する第2の通知手段を備えたことを特徴とする請求項1または3に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記不揮発性のメモリは、電池から供給される電源でバックアップされていることを特徴とする請求項1,3乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
不揮発性のメモリと、受信するジョブを揮発性のメモリとを備える画像処理装置の制御方法であって、
前記揮発性のメモリへの電源をオフ状態に移行させるための移行条件と、特定のジョブを前記不揮発性のメモリで保持しておくための保持条件とを設定する設定工程と、
前記移行条件で前記揮発性のメモリへの電源をオフ状態に移行させる前に、前記保持条件を満たすように、前記揮発性のメモリに保持される特定のジョブを前記不揮発性のメモリに退避させた後、前記移行条件に従い前記揮発性のメモリへの電源をオフ状態に移行させる制御工程と、
を備えることを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の画像処理装置の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−218244(P2012−218244A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84769(P2011−84769)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】