説明

画像処理装置、画像形成装置、カラーモノクロ判別方法、および課金装置

【課題】 実際に画像形成がされる状態を適切に反映して、用紙上に形成された画像がカラー画像であるかモノクロ画像であるかを判別することができる画像処理装置、および適切に課金をすることができる課金装置を提供する。
【解決手段】 色判別部305は、垂直イネーブル信号の受信回数に基づいて、形成される画像がカラー画像であるかモノクロ画像であるかを判別する。課金部309は、垂直イネーブル信号の受信回数に基づいて、適切な課金をする。したがって、課金を計算する負担を少なくしつつ、適切な課金を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、用紙上に形成された画像がカラー画像であるかモノクロ画像であるかを判別する画像処理装置、カラーモノクロ判別方法、この画像処理装置を備える画像形成装置、および画像処理装置に接続される課金装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真式のカラー複写機およびカラープリンタは、一般に、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のトナーを用いてカラー画像を形成し、ブラック(K)のみのトナーを用いてモノクロ画像を形成する。
【0003】モノクロ画像を形成する場合は、4色のトナー像を多重転写してカラー画像を形成する場合と比べて、使用するトナーの種類の数が少なく、また、画像形成に要する時間が短い。この結果、形成される画像がモノクロ画像である場合とカラー画像である場合とでは、画像形成にかかるコストが異なり、課金の内容も異なるべきである。したがって、複写を指示する際に、フルカラー画像を形成するフルカラーモード、モノクロ画像を形成するモノクロモード、または、単色カラー画像を形成する単色カラーモードをユーザーに選択させ、選択されたモードに応じて課金を行う技術が広く利用されている。
【0004】しかしながら、上記技術によれば、1つの印刷ジョブとして複数ページ分の原稿を連続して読み取って複写する際に、当該印刷ジョブに少なくとも1ページ分のカラー画像のページが含まれている場合には、印刷ジョブ全体がカラーモードに設定されるため、印刷ジョブに含まれるすべてのページについてカラー画像を形成した場合と同様の課金がされるといった問題がある。
【0005】また、カラー複写機をカラープリンタとして使用する際、複数ページ分の画像を含む印刷ジョブを受信し、印刷する場合においても同様の問題が生じる。すなわち、受信した印刷ジョブに少なくとも1ページ分のカラー画像が含まれている場合には、印刷ジョブ全体がカラーモードに設定され、すべてのページについてカラー画像を形成した場合と同様の課金がされるといった問題がある。
【0006】これらの点に関しては、従来から、原稿画像に基づいて画像処理を行うことで、原稿画像がカラー画像であるかモノクロ画像であるかを判別し、原稿画像の1ページ毎にカラーモードを設定するACS(Auto Color Selection)機能が実用化されている。
【0007】しかしながら、C,M,Y,Kの画像データに変換後のデータに基いてプリンアウトする際に、プリンタエンジン側で、用紙上に形成された画像がカラー画像であるかモノクロ画像であるかを簡易的に判別できることは望ましい。
【0008】また、カラー複写機がダブルチャックモード(2シート同時プリントモード)で使用される場合には、2ページ分の原稿を共に読み取って、2ページ分の原稿画像全体がカラー画像であるかモノクロ画像であるかをACS機能を用いて判別するため、2ページ分の用紙上に形成される画像の一方がカラー画像であって、もう一方がモノクロ画像である場合であっても、全体としてカラー画像であるとして判断され、2ページともカラー画像である場合と同様の課金がされてしまう場合がある。
【0009】この点に鑑みて、近年、実際に用紙の1ページ分に使用した異なる色のトナーの消費量に基づいて、出力される用紙に対する課金を行う技術が提案されている(特開平11−184336号公報)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記公報に記載の技術では、各色別のトナーの消費量を逐次算出しなければならず、課金額を計算する負担が増大する。また、1色のトナーを使用してモノクロ画像を形成する場合は、4色のトナーを使用してカラー画像を形成する場合と比べて、印刷にかかる所用時間が短いことを重視して課金を行う観点によれば、各トナーの消費量に基いて課金を行うのではなく、使用するトナーの色の数に応じて課金を行うことが望ましい場合がある。
【0011】本発明の目的は、かかる問題を解決することであり、実際に用紙上に形成された画像がフルカラー画像であるか、またはモノクロ画像であるかを簡便に判別することができる技術を提供することである。
【0012】また、本発明の他の目的は、実際に用紙上に形成された画像がフルカラー画像であるか、またはモノクロ画像であるかについての判別結果に基づいて、適切な課金をすることができる技術を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、以下の構成により達成される。
【0014】(1)本発明に係る画像処理装置は、像担持体上に静電潜像を形成する際の書込み開始位置を指示するための各色毎のイネーブル信号を受信する受信手段と、静電潜像に基づいて形成されたトナー像が転写されて画像が形成された用紙が排出されるまでに前記受信手段がイネーブル信号を受信した回数を計数する計数手段と、計数されたイネーブル信号受信回数に基づいて、用紙上に形成された画像がカラー画像であるかモノクロ画像であるかを判別する判別手段と、を有することを特徴とする。
【0015】(2)前記イネーブル信号は、1ページ毎の書込み開始位置を指示するための垂直イネーブル信号であることを特徴とする。
【0016】(3)前記イネーブル信号は、主走査方向における1ライン毎の書込み開始位置を指示するための水平イネーブル信号であることを特徴とする。
【0017】(4)さらに、前記判別手段の判別結果に基づいて、画像形成に対する課金を行う課金手段、を有することを特徴とする。
【0018】(5)前記像担持体上には、用紙保持体に保持された複数ページ分の用紙に転写されるトナー像を形成するための複数ページ分の静電潜像が形成され、前記判別手段は、計数されたイネーブル信号受信回数に基づいて、複数ページ分の用紙上に形成された画像がカラー画像のみであるか、モノクロ画像のみであるか、またはカラー画像とモノクロ画像の両方を含むかを判別することを特徴とする。
【0019】(6)さらに、画像出力形態として両面印刷が設定されている場合、計数されたイネーブル信号受信回数に基づいて、用紙の片面に画像が形成されないページが存在することを判別する第2判別手段を有することを特徴とする(7)前記像担持体上には、1ページ分の静電潜像が形成され、前記受信手段は、イネーブル信号として、1ページ毎の書込み開始位置を指示するための垂直イネーブル信号を受信し、前記計数手段は、画像が形成された1ページ分の用紙が排出されるまでに前記受信手段が垂直イネーブル信号を受信した回数を計数し、前記判別手段は、計数された垂直イネーブル信号受信回数が4回である場合は、1ページ分の用紙上に形成された画像がフルカラー画像であると判別し、計数された垂直イネーブル信号受信回数が1回である場合は、1ページ分の用紙上に形成された画像がモノクロ画像であると判別することを特徴とする。
【0020】(8)前記像担持体上には、用紙保持体に保持された2ページ分の用紙に転写されるトナー像を形成するための2ページ分の静電潜像が形成され、前記受信手段は、イネーブル信号として、1ページ毎の書込み開始位置を指示するための垂直イネーブル信号を受信し、前記計数手段は、画像が形成された2ページ分の用紙が排出されるまでに前記受信手段が垂直イネーブル信号を受信した回数を計数し、前記判別手段は、計数された垂直イネーブル信号受信回数が8回である場合は、2ページ分の用紙上に形成された画像が両方ともフルカラー画像であると判別し、計数された垂直イネーブル信号受信回数が2回である場合は、2ページ分の用紙上に形成された画像が両方ともモノクロ画像であると判別し、計数された垂直イネーブル信号受信回数が5回である場合は、2ページ分の用紙上に形成された画像が一方はフルカラー画像でありもう一方はモノクロ画像であると判別することを特徴とする。
【0021】(9)本発明に係る画像処理装置は、像担持体上に静電潜像を形成する際の書込み開始位置を指示するための各色毎のイネーブル信号を受信する受信手段と、印刷ジョブに含まれる複数ページ分の画像の形成が終了するまでに前記受信手段がイネーブル信号を受信した回数を計数する計数手段と、計数されたイネーブル信号受信回数および当該印刷ジョブに含まれる画像のページ数に基づいて、当該印刷ジョブに含まれるフルカラー画像のページ数およびモノクロ画像のページ数を検出する検出手段と、を有することを特徴とする。
【0022】(10)前記イネーブル信号は、1ページ毎の書込み開始位置を指示するための垂直イネーブル信号であることを特徴とする。
【0023】(11)前記イネーブル信号は、主走査方向における1ライン毎の書込み開始位置を指示するための水平イネーブル信号であることを特徴とする。
【0024】(12)さらに、前記検出手段の検出結果に基づいて、画像形成に対する課金を行う課金手段、を有することを特徴とする。
【0025】(13)前記像担持体上には、用紙保持体に保持された2ページ分の用紙上に画像を形成するために必要な2ページ分の静電潜像が形成されることを特徴とする。
【0026】(14)画像形成装置は、上述の画像処理装置を備える。
【0027】(15)静電潜像が形成される像担持体を有する画像処理装置に接続される課金装置であって、像担持体上に静電潜像を形成する書込み開始位置を指示するための各色毎のイネーブル信号を受信する受信手段と、静電潜像に基づいて形成されたトナー像が転写されて画像が形成された用紙が排出されるまでに前記受信手段がイネーブル信号を受信した回数を計数する計数手段とを有し、計数されたイネーブル信号受信回数に基づいて、画像形成に関する課金を行うことを特徴とする。
【0028】(16)本発明に係るカラーモノクロ判別方法は、像担持体上に静電潜像を形成する際の書込み開始位置を指示するための各色毎のイネーブル信号を受信するステップと、静電潜像に基づいて形成されたトナー像が転写されて画像が形成された用紙が排出されるまでに前記受信手段がイネーブル信号を受信した回数を計数するステップと、計数されたイネーブル信号受信回数に基づいて、用紙上に形成された画像がカラー画像であるかモノクロ画像であるかを判別するステップとを有することを特徴とする。
【0029】(17)本発明に係るコンピュータ読取り可能な記録媒体は、像担持体上に静電潜像を形成する際の書込み開始位置を指示するための各色毎のイネーブル信号を受信するステップと、静電潜像に基づいて形成されたトナー像が転写されて画像が形成された用紙が排出されるまでに前記受信手段がイネーブル信号を受信した回数を計数するステップと、計数されたイネーブル信号受信回数に基づいて、用紙上に形成された画像がカラー画像であるかモノクロ画像であるかを判別するステップとを有するカラーモノクロ判別手順をコンピュータに実行させるプログラムを記録している。
【0030】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施形態である画像処理装置を適用した複写機の構成図である。複写機100は、複写機として機能するのみならず、プリンタとしても機能することができる。
【0031】複写機100は、モノクロの複写およびフルカラーの複写が可能なデジタル複写機であり、イメージリーダ部101とプリント部102とから構成されている。
【0032】イメージリーダ部101は、原稿台ガラス103上に載置された原稿をスキャナ104によって走査し、CCDからなるカラーイメージセンサ105によってR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の3色に分解して読み取る。原稿を読み取って得られたRGBの画像データは、処理系110の内部において、シェーディング補正、YCrCb変換、下地レベル調整、LOG補正、マスキング演算、UCR/BP処理、MTF補正などの画像処理がされ、C,M,Y,Kの各色の画像データに変換される。
【0033】プリント部102は、作像系120と自動給紙機構130とを備える。作像系120は、照射光源である半導体レーザ140、および半導体レーザ140から出力されたレーザ光を主走査方向に走査するためのポリゴンミラー141を備えるビーム走査方式のプリントヘッド142、潜像担持体である感光体ドラム150、帯電チャージャ151、シアン現像器152C、マゼンタ現像器152M、イエロー現像器152Y、ブラック現像器152K、用紙保持体である転写ドラム160、および定着装置153を有している。
【0034】処理系110の内部で処理されたC,M,Y,Kの各色毎の画像データは、露光制御データとして、プリンタヘッド142に送られる。本実施形態では、1回の原稿走査につき、C,M,Y,Kのうちの一つの色の画像データがプリント部102に送られる(面順次転送方式)。読み取って得られた画像データに基づいて用紙上に形成される画像が、モノクロ画像であれば、ブラック(K)色の画像データのみがプリンタヘッド142に送られ、フルカラー画像であれば、C,M,Y,Kの各色毎の画像データがプリンタヘッド142に順番に送られる。
【0035】プリントヘッド142に入力された各色毎の画像データに基づいて、レーザ光が感光体ドラム150上に照射される。その結果、感光体ドラム150上に静電潜像が形成される。感光体ドラム150上に形成された静電潜像は、現像器152C、152M、152Y、152Kによって現像される。
【0036】フルカラー画像を形成する場合には、以下のような処理がされる。
【0037】まず、シアン(C)の画像データに基づいてレーザ光が感光体ドラム150に照射されて、感光体ドラム150上に静電潜像が形成される。その後、シアン現像器152Cによって現像され、転写ドラム160上で上記現像された画像が用紙に転写される。同様にマゼンタ(M)の画像データに基づいてレーザ光が感光体ドラム150に照射されて、感光体ドラム150上に静電潜像が形成されるとともに、マゼンタ現像器152Mによって現像されて、転写ドラム160上で上記現像された画像が用紙に転写される。さらに、イエロー(Y)、ブラック(K)についても同様の処理がされる。なお、C,M,Y,K各色毎の静電潜像を感光体ドラム150上に形成する順序は、C,M,Y,Kの順序に限られない。
【0038】一方、モノクロの画像を形成する場合は、ブラック(K)の画像データに基づいてレーザ光が感光体ドラム150に照射され、感光体ドラム150上に静電潜像が形成される。その後、ブラック現像器152Kによって現像され、転写ドラム160上で用紙に上記現像された画像が用紙に転写される。
【0039】このように、フルカラー画像を形成する場合には、像担持体である感光体ドラム150上に総計4回(C,M,Y,Kの4色分)にわたって静電潜像が形成されることになり、モノクロ画像を形成する場合には、感光体ドラム150上に1回(Kの1色分)の静電潜像が形成されることになる。
【0040】C,M,Y,Kの各色毎の静電潜像に基づいてトナー像が形成され、トナー像が多重転写されてフルカラー画像が形成されるため、各色の位置合せは、重要な技術である。各色の画像間の位置ずれは、画像品質の良否に大きく影響するため、人間の目で判別できない極限まで小さくする必要がある。したがって、各色の画像間の位置ずれを防止するために、感光体ドラム150上に各色毎の静電潜像を形成する書込み開始位置を指示するためのイネーブル信号が出力される。このイネーブル信号が出力されている状態(以下、「アクティブ」という)のときのみ、感光体ドラム150上への静電潜像の形成が許可される。一方、イネーブル信号が出力されていない状態(以下、「ノンアクティブ」という。)のときは、感光体ドラム150上への静電潜像の形成が許可されない。したがって、イネーブル信号がアクティブになることによって、感光体ドラム150上への静電潜像の形成が開始され、イネーブル信号がノンアクティブになることによって、感光体ドラム150上への静電潜像の形成が終了する。このイネーブル信号には、垂直イネーブル信号VDと水平イネーブル信号HDとがある。
【0041】図2は、垂直イネーブル信号VDおよび水平イネーブル信号HDの内容を説明する概念図である。
【0042】レーザ光は、回転するポリゴンミラー141などを用いて感光体ドラム150の軸に沿った方向(主走査方向)に走査される。すなわち、1ライン毎にレーザ光を走査して画像を再現するラスタ走査がなされる。そして、レーザ走査に同期して感光体ドラム150を回転させることで、レーザ走査1ライン毎に画像を再現する。一方、感光体ドラム150の回転方向(主走査方向に垂直な方向)が副走査方向となる。
【0043】ここで、垂直イネーブル信号VDは、副走査方向における1ページ毎の書込み開始位置を指示するためのイネーブル信号であり、水平イネーブル信号HDは、主走査方向における1ライン毎の書込み開始位置を指示するためのイネーブル信号である。
【0044】より具体的には、垂直イネーブル信号VDは、画像の書込み開始位置P1で立ち上がり、副走査方向における1ページ分の画像の書込み終了位置P3で立ち下がる信号である。したがって、各色毎の1ページ分の静電潜像を形成する際に、垂直イネーブル信号VDは1回受信される。
【0045】水平イネーブル信号HDは、図中の画像の書込み位置P1で立ち上がり、主走査方向における1ライン分の画像の書込み終了位置P2で立ち下がる信号である。通常、複数ラインにわたってラスタ走査がされることによって、1ページ分の静電画像が形成されるため、各色毎の1ページ分の静電潜像を形成する際に、水平イネーブル信号HDは、複数回受信される。
【0046】図3は、処理系110を説明するためのブロック図である。
【0047】図3には、複写機100の処理系110と、複写機100に接続されて複写機100をプリンタとして使用する場合の制御を行うコントローラ400とが示されている。また、画像データを送信するパーソナルコンピュータ500は、コントローラ400と接続されている。
【0048】画像処理部301は、原稿を読み取って得られた画像データをC,M,Y,Kの画像データに変換する。画像メモリ302は、C,M,Y,Kの色毎に画像データを格納する。最終的に画像データは、画像メモリ302から読み出され、プリンタヘッド142に出力される。
【0049】制御信号部303は、垂直イネーブル信号VDおよび水平イネーブル信号HDを出力し、各色の画像データに基づいて感光体ドラム150上に静電潜像を形成する際の書込み開始位置を指示する。なお、後述するように、複写機100がプリンタとして機能する場合においては、垂直イネーブル信号VDおよび水平イネーブル信号HDは、コントローラ400側から出力される。そして、この出力された信号ををインターフェース部311を介して複写機100側が受信する。したがって、複写機100がプリンタとして機能するか否かに応じて、セレクタ304は、複写機100内部で作成された画像データおよびイネーブル信号を使用するか、外部のコントローラ400で作成された画像データおよびイネーブル信号を使用するかを選択する。
【0050】色判別部305は、最終的に用紙上に形成される画像がカラー画像であるか、モノクロ画像であるかの判別(以下「カラーモノクロ判別」と称する)を行う。色判別部305は、出力された垂直イネーブル信号VDまたは水平イネーブル信号HDを受信する。そして、イネーブル信号を受信した回数を計数し、この計数されたイネーブル信号受信回数に基いて、用紙上に形成された画像がカラー画像であるか、モノクロ画像であるかを判別する。色判別部305は、イネーブル信号がアクティブとなる毎にイネーブル信号を受信するので、イネーブル信号受信回数は、イネーブル信号がアクティブとなる回数と一致する。
【0051】色判別部305は、イネーブル信号受信回数を計数するためのカウンタ306およびイネーブル信号受信回数の計数結果を記憶するためのメモリ307を有する。
【0052】プリントエンジン制御部308は、新たに給紙が行われた旨の情報を給紙トリガ情報として、色判別部305に出力する。この給紙トリガ情報によって、カウンタ306の値がリセットされる。
【0053】課金部309は、色識別部305によるカラーモノクロ判別の結果に基づいて、適切な課金を行う。課金部309は、設定された課金額を課金情報として記憶するためのメモリ310を有している。
【0054】複写機100をプリンタとして使用する場合においては、コントローラ400が画像処理を行い、イネーブル信号を出力する。この場合、コントローラ400は、C,M,Y,Kの画像データに変換するための画像処理部401、画像データを記憶する画像メモリ402、イネーブル信号を出力する制御信号部403を有し、また、イネーブル信号は、セレクタ404およびインターフェース部411を介して、複写機100の処理系110に送信される。したがって、色判別部305および課金部309は、外部のコントローラ400で作成されたイネーブル信号を受信して、形成される画像のカラーモノクロ判別および課金をする。
【0055】特に、図4に示したように、コントローラ400に複数の画像形成装置100A,100B,100C,100D(以下「100A〜D」と記述する)が接続され、接続されたコントローラ400やパーソナルコンピュータ500などから、イネーブル信号が送信される場合には、各画像形成装置100A〜D毎に、色判別部305や課金部309を設けることができる。この結果、各画像形成装置間で性能の違いがある場合などには、各画像形成装置100A〜Dの性能に応じて定められた課金の係数を各画像形成装置100A〜Dで受信したイネーブル信号の受信回数に乗じることで、各画像形成装置100A〜D毎に適切な課金を設定することができる。
【0056】以下、図5、図6および図7に示すフローチャートに従って本発明の一実施形態の複写機100の処理内容を説明する。なお、図5、図6および図7における説明では、垂直イネーブル信号VDを用いてカラーモノクロ判別を行う場合を例にとって説明する。
【0057】図5は、本発明の一実施形態の複写機100の処理内容を示すフローチャートである。
【0058】まず、ステップS100では、印刷ジョブが受信される。なお、印刷ジョブを受信する場合には、原稿を読み取って画像データを得る場合(複写モード)と、ページ記述言語などによって記述された画像データをパーソナルコンピュータ500から受信する場合(印刷モード)とが含まれる。RGBの画像データが受信された場合、画像処理部301は、上述したシェーディング補正等の処理を必要に応じて行い、C,M,Y,Kの各色の画像データを作成する。一方、コントローラ400によって、すでにCMYKの画像データに変換されている場合、複写機100では、C,M,Y,Kの各色の画像データを作成する必要はない。
【0059】次に、ステップ101では、給紙がされる。用紙は、転写ドラム160に装着され、保持される。ダブルチャックモード(2シート同時印刷)の場合は、供給された2ページ分(2枚)の用紙が転写ドラム160に保持される。
【0060】ステップ102では、新たに給紙が行われた旨の情報である給紙トリガに基づいて色判別部305のカウンタ306の値がリセットされる。
【0061】ステップS103では、垂直イネーブル信号VDが受信される。垂直イネーブル信号VDがコントローラ400側で作成される場合には、色判別部305は、コントローラ400側で作成された垂直イネーブル信号VDを単に受信すればよい。
【0062】ステップS104では、カウンタ306は、垂直イネーブル信号VDがアクティブになる回数、すなわち垂直イネーブル信号受信回数を計数する。なお、ステップS105では、各色毎の静電潜像が感光体ドラム150に順次に形成され、現像され、転写ドラム160上で上記現像されたトナー像が用紙上に転写されることによって、画像形成がされる。最終的に画像が形成された用紙は、排出される。
【0063】ステップS106では、色判別部305は、カウンタ306に記録されている回数、すなわち、垂直イネーブル信号VDがアクティブになる回数に基いて、現実に用紙上に形成された画像がフルカラー画像であるか、モノクロ画像であるかが判別される。さらに、画像が存在しない場合であるかを判別する。
【0064】ステップS107では、課金部309は、この色判別部305における判別結果に基づいて、画像が形成されたページ毎に課金を行う。
【0065】ステップS108では、印刷ジョブに含まれるすべてのページの印刷が完了したか否かが判断される。印刷が完了していない場合(S108:NO)、ステップS101およびステップS102に示すように新たに給紙がされて、カウンタ306の値がリセットされる。このようなリセット処理によれば、カウンタ306は、用紙が給紙されてから、トナー像が転写されて画像が形成された用紙が排出されるまでのイネーブル信号受信回数を計数することになる。例えば、シングルチャックモード、すなわち1つの転写ドラム160に1枚の用紙を保持する1シートプリントモードの場合には、用紙1ページ分の画像を形成する間のイネーブル信号受信回数が計数され、1ページ毎に課金がされる。ダブルチャックモード、すなわち、1つの転写ドラム160に2枚の用紙を保持する2シート同時プリントモードの場合には、用紙2ページ分の画像を形成する間のイネーブル信号受信回数が計数され、2ページ毎に課金がされる。
【0066】ステップS108において、すべてのページの印刷が完了したと判断された場合には、処理が終了する(S108:YES)。
【0067】図6および図7は、図5のカラーモノクロ判別に関するステップS106を詳しく示したフローチャートである。
【0068】ステップS200では、まず、シングルチャックモードであるか、ダブルチャックモードであるかが判断される。ダブルチャックモードと判断された場合(S200:NO)のカラーモノクロ判別については、後述する。
【0069】シングルチャックモードの場合(S200:YES)、以下のように1ページ分の用紙上に形成された画像についてカラーモノクロ判別がされる。
【0070】ステップS201では、垂直イネーブル信号VDがアクティブになった回数が4回であるか否かが判断される。垂直イネーブル信号VDがアクティブになった回数が4回の場合(S201:YES)、ステップS202において、1ページ分の用紙上に形成された画像はフルカラー画像であると判別される。シングルチャックモードにおいて1ページ分の用紙上にフルカラー画像が形成された場合の垂直イネーブル信号の受信例を図8R>8(A)に示す。図8(A)に示すように、用紙上に形成された画像がフルカラー画像の場合、1ページ分の画像としてC,M,Y,Kの各色毎の静電潜像が感光体ドラム150に形成されるため、各色に対応して垂直イネーブル信号が4回受信されることになる。
【0071】次に、ステップS203では、垂直イネーブル信号VDがアクティブになった回数が1回であるか否かが判断される。垂直イネーブル信号VDがアクティブになった回数が1回の場合(S203:YES)、ステップS204において、1ページ分の用紙上に形成された画像はモノクロ画像であると判別される。シングルチャックモードにおいて1ページ分の用紙上にモノクロ画像が形成された場合の垂直イネーブル信号の受信例を図8(B)に示す。図8(B)に示すように、用紙上に形成された画像がモノクロ画像の場合、1ページ分の画像としてブラック(K)に対応する静電潜像が感光体ドラム150に形成されるため、垂直イネーブル信号が1回受信されることになる。
【0072】一方、ステップS203において、垂直イネーブル信号VDがアクティブとなった回数が4回でなく、かつ1回でもない場合(S203:NO)、垂直イネーブル信号VDがまったくアクティブにならない場合であり、垂直イネーブル信号受信回数が0回であると判断される。この場合、ステップS205では、1ページ分の用紙上には画像が形成されない旨が判別される。シングルチャックモードにおいて、1枚の用紙上に画像が形成されない場合の態を図8(C)に示す。
【0073】ステップS206では、判別結果がメモリ307に格納される。以上の処理を行った後、リターンする。
【0074】ステップS200において、ダブルチャックモードであると判断される場合(S200:NO)、以下のようにカラーモノクロ判別がされる。
【0075】ステップS207では、垂直イネーブル信号VDがアクティブとなった回数が8回であるか否かが判断される。垂直イネーブル信号VDがアクティブとなった回数が8回の場合(S207:YES)、ステップS208において、2ページ分の用紙上に形成された画像が両方ともフルカラー画像であると判別される。
【0076】ここで、ダブルチャックモードの場合の給紙状態、垂直イネーブル信号VDおよび画像データの関係を図9にしたがって簡単に説明する。
【0077】ダブルチャックモードでは、1ページ目および2ページ目の用紙が連続して給紙される。2ページ分の用紙の両方ともが転写ドラム160に保持され、2ページ分の用紙の両方に画像が一度に転写される。1ページ目の用紙に転写されるシアン色のトナー像を形成するための静電潜像をC1と表記し、2ページ目の用紙に転写されるシアン色のトナー像を形成するための静電潜像をC2と表記し、マゼンタ、イエロー、およびブラックについても同様に表記すると、2ページ分の用紙上に形成される画像の両方がフルカラー画像である場合、C1,C2,M1,M2,Y1,Y2,K1,K2の8回にわたって、画像データに基づいて感光体ドラム150上に静電潜像が形成される。したがって、垂直イネーブル信号は8回アクティブとなる。ダブルチャックモードにおいて2枚の用紙上に形成される画像の両方がフルカラー画像の場合の垂直イネーブル信号の受信例を図10(A)に示す。
【0078】次に、ステップS209では、垂直イネーブル信号VDがアクティブとなった回数が5回であるか否かが判断される。垂直イネーブル信号VDがアクティブになった回数が5回の場合(S209:YES)、ステップS210において、2枚の用紙上に形成された画像が一方はフルカラー画像であり一方はモノクロ画像であると判別される。この場合のイネーブル信号の受信例を図10(B)に示す。図10(B)に示すように、2枚の用紙上に形成された画像の一方がフルカラー画像でありもう一方がモノクロ画像である場合、1ページ分のフルカラー画像に対して垂直イネーブル信号は4回アクティブになり、1ページ分のモノクロ画像に対して垂直イネーブル信号は1回アクティブになるので、垂直イネーブル信号は、合計して5回アクティブとなる。
【0079】ステップS211では、垂直イネーブル信号VDがアクティブとなった回数が4回であるか否かが判断される。垂直イネーブル信号VDがアクティブになった回数が4回の場合(S211:YES)、ステップS212において、2ページ分の用紙上の一方にフルカラー画像が形成され、もう一方には画像が形成されなかったことが判別される。この場合のイネーブル信号の受信例を図10(C)に示す。一方の用紙上に形成される1ページ分のフルカラー画像に対して垂直イネーブル信号は4回アクティブになるのみである。このように用紙上に画像が形成されないことを判別する機能は、両面印刷が設定されている場合に有用である。すなわち、垂直イネーブル信号VDがアクティブとなった回数に基づいて、用紙の片面に画像が形成されないページが存在することを判別することによって、両面に画像が存在する原稿および片面にのみ画像が存在する原稿を読み取ってダブルチャックモードで複写する場合において両方の原稿を両面印刷をした場合と同様な課金を行うことを防止し、適切な課金を行うことができる。
【0080】ステップS213では、垂直イネーブル信号VDがアクティブとなった回数が2回であるか否かが判断される。垂直イネーブル信号VDがアクティブになった回数が2回の場合(S213:YES)、ステップS214において、2ページ分の用紙上に形成された画像が両方ともモノクロ画像であると判別される。この場合のイネーブル信号の受信例を図10(D)に示す。
【0081】ステップS215では、垂直イネーブル信号VDがアクティブになった回数が1回であるか否かが判断される。垂直イネーブル信号VDがアクティブになった回数が1回の場合(S215:YES)、ステップS216において、2ページ分の用紙上の一方にモノクロ画像が形成され、もう一方には画像が形成されなかったことが判別される。
【0082】更に、ステップS215において、垂直イネーブル信号VDがアクティブになった回数が8回、5回、4回、および1回でない場合(S215:NO)、垂直イネーブル信号VDがまったくアクティブにならない場合であり、垂直イネーブル信号受信回数が0回であると判断される。ステップS217では、2枚の用紙のどちらにも画像が形成されない旨が判別される。
【0083】ステップS218では、変別結果がメモリ307に格納される。以上の処理を行った後、リターンする。
【0084】次に、図11を参照して、課金部310による課金額の設定例を説明する。
【0085】色判別部305による判別結果と用紙サイズとに基づいて課金額を設定することができる。
【0086】図11に示した例では、用紙サイズがA4サイズ以下であって、用紙上に形成された画像がフルカラー画像と判別される場合、1ページあたりの課金(課金の係数)は5となり、モノクロ画像と判別される場合、1ページあたりの課金は3となり、形成される画像がないと判別される場合、1ページあたりの課金は0となる。
【0087】また、用紙サイズがA4サイズよりも大きく、用紙上に形成された画像がフルカラー画像と判別される場合、1ページあたりの課金は8となり、モノクロ画像と判別される場合、1ページあたりの課金は5となり、形成される画像がないと判別される場合、1ページあたりの課金は0となる。すなわち、用紙サイズが大きくなるにしたがって課金額を高くし、形成される画像がフルカラー画像と判別される場合に高い課金額を設定し、モノクロ画像と判別される場合は課金額をより低く設定し、画像なしと判別される場合は、さらに課金額を低く設定することができる。
【0088】なお、以上の説明では、形成される画像がフルカラー画像であるか、モノクロ画像であるかを判別し、さらに、画像がない場合であるかを判別する場合を説明したが、本発明は、用紙上に形成される画像が単色カラー画像や、2色刷り画像であるかなどを判別する場合にも応用できる。以下、シングルチャックモードの場合を例にとって、形成される画像に表された人間の視覚によって認識される色の種類と垂直イネーブル信号VDの受信回数との関係を説明する。
【0089】図12は、垂直イネーブル信号VDの受信回数と、画像の種類との関係を示した図である。
【0090】上述の説明では、潜像担持体である感光体ドラム150に画像を1回形成する例、すなわち垂直イネーブル信号VDが1回アクティブになる例として、モノクロ画像(すなわち、ブラックのみを含む画像)を示した。しかし、形成される画像が、シアン、マゼンタ、イエローのうちの1色で形成される単色カラー画像の場合についても、垂直イネーブル信号VDは1回アクティブになる。なお、形成される画像がシアンの単色カラー画像であるか、マゼンタの単色カラー画像であるかを区別する場合のように、C,M,Y,Kのうちの1色を用いた単色カラー画像間の区別は、垂直イネーブル信号がアクティブとなる回数、すなわち、垂直イネーブル信号受信回数のみに基づいて行うことが難しい。したがって、この場合は、垂直イネーブル信号VDがアクティブになる時期、すなわち垂直イネーブル信号VDを受信した時期を検出し、垂直イネーブル信号VDの受信回数および受信時期に基づいて、形成される画像の種類を判別することができる。
【0091】また、上記の説明では、潜像担持体である感光体ドラム150に画像を2回形成する例、すなわち垂直イネーブル信号VDが2回アクティブになる例を示さなかったが、形成される画像が、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)のうちの1色で形成される単色カラー画像の場合、垂直イネーブル信号VDは、2回アクティブとなる。すなわち、レッドは、マゼンタ(M)とイエロー(Y)とを重ね合わせて表現され、グリーン(G)は、シアン(C)とイエロー(Y)とを重ね合わせて表現され、ブルー(B)は、シアン(C)とマゼンタ(M)とを重ね合わせて表現されるからである。
【0092】また、形成される画像が、C,M,Y,Kの各色の中から選択される2色を用いた2色刷り画像の場合(例えば、イエローと黒の2色刷り画像の場合)は、垂直イネーブル信号VDは、2回アクティブとなる。また、形成される画像が、C,M,B(=C+M)の3色刷り画像の場合も,結局、2つのトナー色CとMで表現できるので、C,M,Y,Kの各色の中から選択される2色を用いた2色刷りと同様である。
【0093】このように垂直イネーブル信号が2回アクティブになる場合には、複数のモードが存在する。各モード間の区別は、垂直イネーブル信号VDがアクティブになる回数および時期に基づいて、行うことができる。
【0094】また、垂直イネーブル信号VDが3回アクティブとなるモードとして、形成される画像がR,G,Bの基本三原色の1つとブラックを用いた2色刷り画像の場合、C,M,B,Kなどの4色刷り画像の場合、ブラックを使用していない3色フルカラー画像の場合がある。各モード間の区別は、垂直イネーブル信号VDがアクティブになる回数および時期に基づいて、行うことができる。
【0095】また、上記説明では、料金が事前に支払われることを条件に、画像形成を行うことが望ましいといった見地から、複写機がシングルチャックモードである場合には、1ページ毎にカラーモノクロ判別を行い、ダブルチャックモードである場合には、2ページ毎にカラーモノクロ判別を行い、その判別結果に基づいて1ページ毎または2ページ毎に課金を行う例を説明したが、本発明はこれらに限定されない。上記説明では、垂直イネーブル信号の受信回数をカウントするカウンタ306の値を、新たに給紙が行われた旨の情報によってリセットしていたが、印刷ジョブに含まれる複数ページ分の画像の形成が終了するまではカウンタ306の値をリセットしないように構成することもできる。この場合、1つの印刷ジョブに含まれる画像のページ数および1つの印刷ジョブの全体の処理において垂直イネーブルを受信した回数に基づいて、その印刷ジョブに含まれるカラー画像のページ数およびモノクロ画像のページ数を適切に検出し、その検出結果に基づいて一括して課金する。
【0096】例えば、シングルチャックモードの場合であって、画像が存在しないページを考慮しない場合を説明すると以下のようになる。1つの印刷ジョブに含まれる画像のページ数が10であり、印刷ジョブに含まれる複数ページ分の画像の形成が終了するまでの垂直イネーブル信号受信回数が40であれば、その印刷ジョブに含まれるフルカラー画像のページ数は10であり、モノクロ画像のページ数は0であると検出することができ、垂直イネーブル信号受信回数が28回であれば、フルカラー画像のページ数は6であり、モノクロ画像のページ数は4であると検出することができる。この検出結果に基づいて、印刷ジョブあたりの処理に関する課金を行うことができる。
【0097】また、上記説明では、カラーモノクロ判別を行い、その判別結果に基づいて課金を行う例を説明したが、適切な課金を行うという観点からは、形成される画像の種類を詳細に特定する必要はなく、垂直イネーブル信号を受信する受信し、静電潜像に基づいて形成されたトナー像が転写されて画像が形成された用紙が排出されるまでに前記受信手段がイネーブル信号を受信した回数を計数し、計数されたイネーブル信号受信回数に基づいて、画像形成に関する課金を行うことが可能である。
【0098】なお、上記説明では、垂直イネーブル信号VDに基づいて、形成される画像の種類を判別する場合を説明したが、水平イネーブル信号HDの受信回数(アクティブになる回数)に基づいて、形成される画像がフルカラー画像であるか、またはモノクロ画像であるかを判別し、判別結果に応じて課金することもできる。水平イネーブル信号HDは、感光体ドラムに画像を1回形成するごとに、N回アクティブになる。ここで、Nは、1ページに含まれる総ライン数である。したがって、水平イネーブル信号HDがN回アクティブになった場合、形成される画像は、モノクロ画像と判別され、水平イネーブル信号HDが4N回アクティブになった場合、画像は、フルカラー画像であると判別される。
【0099】また、上記説明では、1つの感光体ドラム150に対して、順番に各色の静電潜像を形成する4サイクル方式の画像形成装置に本発明を適用した場合を例にとって説明したが、本発明は、これに限られない。本発明は、複数の感光体ドラムを設け、各感光体ドラムに各色の静電潜像を書き込む方式(タンデム方式)の画像形成装置に適用することもできる。タンデム方式の画像形成装置の場合であっても、各感光体ドラムに静電潜像を形成する際に書込み開始位置を指示するための各色毎のイネーブル信号が出力されるため、このイネーブル信号を受信し、その受信回数を計数することによって、用紙上に形成された画像がカラー画像であるかモノクロ画像であるかを判別することが可能である。
【0100】本実施形態における画像のカラーモノクロ判別方法を当業者が実際に実施できることは明らかである。また、カラーモノクロ判別方法の各ステップをコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶させ実行させることによっても、同様の動作を行うことができる。
【0101】
【発明の効果】本発明の画像処理装置によれば、各色別のトナーの消費量を逐次算出するなど複雑な計算をすることなく、用紙上に形成された画像がカラー画像であるか、モノクロ画像であるかを各ページ毎に適切に判別することができる。また、本来、画像を像担持体上に形成する際の書込み開始位置を指示するために出力される垂直イネーブル信号または水平イネーブル信号を有効利用して、用紙上に形成された画像のカラーモノクロ判別を行うことができるので、カラーモノクロ判別をするために付加する装置構成が簡単であり、実用性が高い画像処理装置を実現でき、さらに、プリントエンジン側においても、簡便にカラーモノクロ判別をすることができるようになる。
【0102】本発明の画像処理装置によれば、実際に用紙上に形成された画像がカラー画像であるか、モノクロ画像であるかについての判断結果に基づいて、像形成に対する課金を行うことができるので、各色別のトナーの消費量を逐次算出するなど複雑な計算をすることなく、画像形成に対する適切な課金を行うことができる。
【0103】本発明の画像処理装置によれば、用紙保持体に保持された複数ページ分の用紙に転写されるトナー像を形成するための複数ページ分の静電潜像が形成される複数チャックモードの画像形成装置において、複数ページ分の用紙上に形成される画像にカラー画像とモノクロ画像の両方が含まれる場合であっても適用できるので、同時に保持される複数の用紙上に形成される画像にカラー画像とモノクロ画像とが含まれている場合に、全体としてカラー画像であると判断されることが防止される。さらに、計数されたイネーブル信号受信回数に基づいて、用紙の片面に画像が形成されないページが存在することを判別することもできるので、両面印刷の設定がされている場合であっても、用紙の片面に画像が存在しない場合を考慮して課金を行うことができるようになる。
【0104】本発明の他の画像処理装置によれば、イネーブル信号受信回数および印刷ジョブに含まれる画像のページ数に基づいて、当該印刷ジョブに含まれるフルカラー画像のページ数およびモノクロ画像のページ数を検出することができ、印刷ジョブに対して一括して課金する場合であっても、適切な課金を行えるようになる。
【0105】本発明の課金装置によれば、静電潜像に基づいて形成されたトナー像が転写されて画像が形成された用紙が排出されるまでに前記受信手段がイネーブル信号を受信した回数を計数し、計数されたイネーブル信号受信回数に基づいて、画像形成に関する課金を行うので、実際に用紙上に形成された画像に応じた適切な課金を行うことができる。また、既存の画像処理装置において、画像を像担持体上に形成する際の書込み開始位置を指示するために出力される垂直イネーブル信号または水平イネーブル信号を有効利用して、適切な課金を行うことができるので、装置構成が簡単であり、実用性が高い課金装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態である画像処理装置を適用したデジタル複写機の構成図である。
【図2】 垂直イネーブル信号VDおよび水平イネーブル信号HDの内容を説明するための概念図である。
【図3】 複写機における処理系を説明するためのブロック図である。
【図4】 複数の画像形成装置がコントローラに接続される状況を説明する図である。
【図5】 本発明の一実施形態の複写機の処理内容を説明するフローチャートである。
【図6】 カラーモノクロ判別の処理を詳細に説明するフローチャートである。
【図7】 カラーモノクロ判別の処理を詳細に説明するフローチャートである。
【図8】 シングルチャックモードの場合における、画像の種類に応じた垂直イネーブル信号VDの受信結果を示す図である。
【図9】 ダブルチャックモードの場合の給紙状態と垂直イネーブル信号VDおよび画像データの出力結果を示す図である。
【図10】 ダブルチャックモードの場合における、画像の種類に応じた垂直イネーブル信号VDの受信結果を示す図である。
【図11】 課金額の設定例を示す図である。
【図12】 垂直イネーブル信号VDがアクティブになる回数と、画像の種類との関係を示す図である。
【符号の説明】
100…複写機、
101…イメージリーダ部、
110…処理系、
120…作像系、
140…半導体レーザ、
142…プリントヘッド、
150…感光体ドラム、
152C…シアン現像器、
152M…マゼンタ現像器、
152Y…イエロー現像器、
152K…ブラック現像器、
160…転写ドラム、
301…画像処理部、
302…画像メモリ、
303…制御信号部、
305…色判別部、
306…カウンタ、
308…プリントエンジン制御部、
309…課金部、
400…コントローラ、
500…パーソナルコンピュータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 像担持体上に静電潜像を形成する際の書込み開始位置を指示するための各色毎のイネーブル信号を受信する受信手段と、静電潜像に基づいて形成されたトナー像が転写されて画像が形成された用紙が排出されるまでに前記受信手段がイネーブル信号を受信した回数を計数する計数手段と、計数されたイネーブル信号受信回数に基づいて、用紙上に形成された画像がカラー画像であるかモノクロ画像であるかを判別する判別手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】 前記イネーブル信号は、1ページ毎の書込み開始位置を指示するための垂直イネーブル信号であることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】 前記イネーブル信号は、主走査方向における1ライン毎の書込み開始位置を指示するための水平イネーブル信号であることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】 さらに、前記判別手段の判別結果に基づいて、画像形成に対する課金を行う課金手段、を有することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】 前記像担持体上には、用紙保持体に保持された複数ページ分の用紙に転写されるトナー像を形成するための複数ページ分の静電潜像が形成され、前記判別手段は、計数されたイネーブル信号受信回数に基づいて、複数ページ分の用紙上に形成された画像がカラー画像のみであるか、モノクロ画像のみであるか、またはカラー画像とモノクロ画像の両方を含むかを判別することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項6】 さらに、画像出力形態として両面印刷が設定されている場合、計数されたイネーブル信号受信回数に基づいて、用紙の片面に画像が形成されないページが存在することを判別する第2判別手段を有することを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
【請求項7】 前記像担持体上には、1ページ分の静電潜像が形成され、前記受信手段は、イネーブル信号として、1ページ毎の書込み開始位置を指示するための垂直イネーブル信号を受信し、前記計数手段は、画像が形成された1ページ分の用紙が排出されるまでに前記受信手段が垂直イネーブル信号を受信した回数を計数し、前記判別手段は、計数された垂直イネーブル信号受信回数が4回である場合は、1ページ分の用紙上に形成された画像がフルカラー画像であると判別し、計数された垂直イネーブル信号受信回数が1回である場合は、1ページ分の用紙上に形成された画像がモノクロ画像であると判別することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項8】 前記像担持体上には、用紙保持体に保持された2ページ分の用紙に転写されるトナー像を形成するための2ページ分の静電潜像が形成され、前記受信手段は、イネーブル信号として、1ページ毎の書込み開始位置を指示するための垂直イネーブル信号を受信し、前記計数手段は、画像が形成された2ページ分の用紙が排出されるまでに前記受信手段が垂直イネーブル信号を受信した回数を計数し、前記判別手段は、計数された垂直イネーブル信号受信回数が8回である場合は、2ページ分の用紙上に形成された画像が両方ともフルカラー画像であると判別し、計数された垂直イネーブル信号受信回数が2回である場合は、2ページ分の用紙上に形成された画像が両方ともモノクロ画像であると判別し、計数された垂直イネーブル信号受信回数が5回である場合は、2ページ分の用紙上に形成された画像が一方はフルカラー画像でありもう一方はモノクロ画像であると判別することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項9】 像担持体上に静電潜像を形成する際の書込み開始位置を指示するための各色毎のイネーブル信号を受信する受信手段と、印刷ジョブに含まれる複数ページ分の画像の形成が終了するまでに前記受信手段がイネーブル信号を受信した回数を計数する計数手段と、計数されたイネーブル信号受信回数および当該印刷ジョブに含まれる画像のページ数に基づいて、当該印刷ジョブに含まれるフルカラー画像のページ数およびモノクロ画像のページ数を検出する検出手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】 前記イネーブル信号は、1ページ毎の書込み開始位置を指示するための垂直イネーブル信号であることを特徴とする請求項9記載の画像処理装置。
【請求項11】 前記イネーブル信号は、主走査方向における1ライン毎の書込み開始位置を指示するための水平イネーブル信号であることを特徴とする請求項9記載の画像処理装置。
【請求項12】 さらに、前記検出手段の検出結果に基づいて、画像形成に対する課金を行う課金手段、を有することを特徴とする請求項9記載の画像処理装置。
【請求項13】 前記像担持体上には、用紙保持体に保持された2ページ分の用紙上に画像を形成するために必要な2ページ分の静電潜像が形成されることを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項14】 請求項1〜13のいずれか一つに記載の画像処理装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】 静電潜像が形成される像担持体を有する画像処理装置に接続される課金装置であって、像担持体上に静電潜像を形成する書込み開始位置を指示するための各色毎のイネーブル信号を受信する受信手段と、静電潜像に基づいて形成されたトナー像が転写されて画像が形成された用紙が排出されるまでに前記受信手段がイネーブル信号を受信した回数を計数する計数手段とを有し、計数されたイネーブル信号受信回数に基づいて、画像形成に関する課金を行うことを特徴とする課金装置。
【請求項16】 像担持体上に静電潜像を形成する際の書込み開始位置を指示するための各色毎のイネーブル信号を受信するステップと、静電潜像に基づいて形成されたトナー像が転写されて画像が形成された用紙が排出されるまでに前記受信手段がイネーブル信号を受信した回数を計数するステップと、計数されたイネーブル信号受信回数に基づいて、用紙上に形成された画像がカラー画像であるかモノクロ画像であるかを判別するステップとを有することを特徴とするカラーモノクロ判別方法。
【請求項17】 像担持体上に静電潜像を形成する際の書込み開始位置を指示するための各色毎のイネーブル信号を受信するステップと、静電潜像に基づいて形成されたトナー像が転写されて画像が形成された用紙が排出されるまでに前記受信手段がイネーブル信号を受信した回数を計数するステップと、計数されたイネーブル信号受信回数に基づいて、用紙上に形成された画像がカラー画像であるかモノクロ画像であるかを判別するステップとを有するカラーモノクロ判別手順をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図11】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【公開番号】特開2001−265080(P2001−265080A)
【公開日】平成13年9月28日(2001.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−72229(P2000−72229)
【出願日】平成12年3月15日(2000.3.15)
【出願人】(000006079)ミノルタ株式会社 (155)
【Fターム(参考)】