画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体
【課題】本発明は、画像にクリアトナーの付与を伴う画像処理を効果的に行う。
【解決手段】MFP1は、画像データの出力モードが文字原稿モードであるか否かを検出して、文字原稿モードであると、該画像データの画素データ毎に文字の画素データであるか否かを判断し、文字領域毎にその文字領域サイズを判定して、画像データに対して、該画像データの出力画像としてクリアトナーを付与した画像を形成させるクリアトナー付与画像データを生成するクリアトナー付与画像データ生成処理を含む複数種類の画像処理を施す場合の該画像処理の内容として、該画像データの出力モードが該文字原稿モード以外であると、該クリアトナー付与画像データ生成処理を採用し、該画像データの出力モードが該文字原稿モードであると、該文字領域の文字領域サイズの大きさに基づいて該文字領域の画像データに対して施す画像処理の内容を採用する。
【解決手段】MFP1は、画像データの出力モードが文字原稿モードであるか否かを検出して、文字原稿モードであると、該画像データの画素データ毎に文字の画素データであるか否かを判断し、文字領域毎にその文字領域サイズを判定して、画像データに対して、該画像データの出力画像としてクリアトナーを付与した画像を形成させるクリアトナー付与画像データを生成するクリアトナー付与画像データ生成処理を含む複数種類の画像処理を施す場合の該画像処理の内容として、該画像データの出力モードが該文字原稿モード以外であると、該クリアトナー付与画像データ生成処理を採用し、該画像データの出力モードが該文字原稿モードであると、該文字領域の文字領域サイズの大きさに基づいて該文字領域の画像データに対して施す画像処理の内容を採用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に関し、詳細には、画像にクリアトナーの付与を伴う画像処理を行う画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
複写装置、複合装置等の画像形成装置においては、近年、出力画像の高品質化が要望され、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の基準4色のトナー(現像剤)の他に、透明トナーや白色トナー等の特殊な色のトナー(以下、クリアトナーという。)を加えて5色以上のトナーで画像形成することで画像品質を向上させることが行われている。
【0003】
また、今日、省資源を図るために、トナー等の画像形成材料を削減して画像形成する省材料画像形成(例えば、トナーセーブ印刷)が行われるようになってきており、この省材料画像形成で画像形成材料を削減して画像形成すると、形成画像を見る人を引きつける力である訴求効果や周囲画像との判別性が低減する。ここでいう訴求効果とは、形成画像を見る人の視線を引きつける効果のことをいう。
【0004】
そして、従来、光沢度の高い透明画像形成モードと光沢度の低い透明画像形成モードのうち指定された画像形成モードに応じて記録材に形成すべき透明画像の単位面積当たりのトナー量を設定することで、透明画像の光沢的な視認性を変更する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
すなわち、この従来技術は、例えば、トナーセーブ印刷を行うことで、訴求効果や判別性が低減する文字領域にクリアトナー(特に、透明トナー)を載せることで、文字領域の光沢的な視認性の向上を図っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記公報記載の従来技術にあっては、文字に訴求効果や判別性を向上させるために、単に文字領域にクリアトナーを載せているのみであるため、細かい文字の場合、背景との境界をまたいでクリアトナーが載ってしまい、かえって細かい文字の判読性が低減するという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、細かい文字についても、判読性を向上させつつ、訴求性を向上させることのできるクリアトナーの付与を伴う画像処理を行う画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、画像データの出力モードが文字原稿モードであるか否かを検出して、文字原稿モードであると、該画像データの画素データ毎に文字の画素データであるか否かを判断し、文字領域毎にその文字領域サイズを判定して、画像データに対して、該画像データの出力画像としてクリアトナーを付与した画像を形成させるクリアトナー付与画像データを生成するクリアトナー付与画像データ生成処理を含む複数種類の画像処理を施す場合の該画像処理の内容として、該画像データの出力モードが該文字原稿モード以外であると、該クリアトナー付与画像データ生成処理を決定し、該画像データの出力モードが該文字原稿モードであると、該文字領域の文字領域サイズの大きさに基づいて該文字領域の画像データに対して施す画像処理の内容を決定することを特徴としている。
【0009】
また、本発明は、前記文字領域を、大サイズ、中サイズ及び小サイズの3種類の文字領域サイズに判定し、前記画像処理の内容として、該小サイズの文字領域の画像データに対して、背景濃度を小さくさせるγ変換処理、強調フィルタ処理、文字色を変更する色変換処理を行わせるとともに、前記クリアトナー付与画像データ生成処理を禁止する画像処理内容を決定することを特徴としてもよい。
【0010】
さらに、本発明は、前記文字領域を、大サイズ、中サイズ及び小サイズの3種類の文字領域サイズに判定し、前記画像処理の内容として、該中サイズの文字領域の画像データに対して、太線化処理と大サイズの文字への拡大処理を行わせるとともに、前記クリアトナー付与画像データ生成処理を行わせる画像処理内容を決定することを特徴としてもよい。
【0011】
また、本発明は、前記文字領域を、大サイズ、中サイズ及び小サイズの3種類の文字領域サイズに判定し、前記画像処理の内容として、該大サイズの文字領域の画像データに対して、弱いエッジ強調フィルタ処理を行わせるとともに、前記クリアトナー付与画像データ生成処理を行わせる画像処理内容を決定することを特徴としてもよい。
【0012】
さらに、本発明は、前記文字領域と該文字領域の背景領域との色差の所定の閾値色差に対する大小を検出し、前記文字領域を大サイズと小サイズの2種類の文字領域サイズに判定して、前記画像処理の内容として、該小サイズであって該色差の大きい文字領域に対しては、前記クリアトナー付与画像データ生成処理を禁止し、該小サイズであって該色差の小さい文字領域に対しては、強いエッジ強調フィルタ処理と該背景領域の色とのコントラストが強くなる色変換処理を行わせるとともに、該クリアトナー付与画像データ生成処理を禁止し、該大サイズであって該色差の小さい文字領域に対しては、弱いエッジ強調フィルタ処理を行わせるとともに、通常よりも多くのクリアトナーを付与させる該クリアトナー付与画像データ生成処理を行わせ、該大サイズであって色差が大きく、文字色が白色である文字領域に対しては、弱いエッジ強調フィルタ処理を行わせるとともに、該クリアトナー付与画像データ生成処理を禁止し、該大サイズであって色差が大きく、文字色が白色以外の色である文字領域に対しては、弱いエッジ強調フィルタ処理を行わせるとともに、該クリアトナー付与画像データ生成処理を選択に応じて処理させる画像処理内容を決定することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、細かい文字についても、判読性を向上させつつ、訴求性を向上させるクリアトナー付与を伴う画像処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施例を適用したMFPのブロック構成図。
【図2】読み取り画像データ処理部のブロック構成図。
【図3】色変換&クリアトナー付与処理部のブロック構成図。
【図4】プロッタ画像データ処理部のブロック構成図。
【図5】クリアトナー付与画像データ生成処理を示すフローチャート。
【図6】文字サイズ判断方法の説明図。
【図7】文字のエッジ強調を行なった場合の一例を示す図。
【図8】太線化処理の説明図。
【図9】文字拡大処理の説明図。
【図10】中サイズの文字のみを拡大処理する場合の説明図。
【図11】第2実施例におけるMFPの読み取り画像データ処理部のブロック構成図。
【図12】色差算出処理部のブロック構成図。
【図13】文字と背景との色差の求め方の説明図。
【図14】文字サイズと色差に基づくクリアトナー付与画像データ生成処理を示すフローチャート。
【図15】図14の続きの処理を示すフローチャート。
【図16】黒地上に白文字がある場合の一例を示す図。
【図17】ユーザ設定と色差及びトナー付与量の関係を示す図。
【図18】グレー地上に黒文字がある場合の一例を示す図。
【図19】シアン地上に青文字がある場合の一例を示す図。
【図20】色相調整方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【実施例1】
【0016】
図1〜図10は、本発明の画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体の第1実施例を示す図であり、図1は、本発明の画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体の第1実施例を適用したMFP(Multi Functional Products:複合装置)1のブロック構成図である。
【0017】
図1において、MFP(画像形成装置)1は、読み取り部2、読み取り画像データ処理部3、バス制御部4、プロッタ画像データ処理部5、プロッタI/F部6、プロッタ部7、HDD(ハードディスク)8、CPU(Central Processing Unit )9、メモリ10、SB(サウスブリッジ)11及びROM(Read Only Memory)12、操作表示部13、回線I/F部14、外部I/F部15等を備えており、CPU9とSB11とは、拡張バス16で接続されている。
【0018】
読み取り部2は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)を利用したラインイメージセンサ、アナログ/デジタル(A/D)変換回路及びこれらを駆動する駆動回路等を備えており、一般的にADFを備えている。ADFには、複数枚の原稿がセットされ、ADFは、セットされた原稿を1枚ずつ読み取り部2の原稿読み取り位置に送給する。読み取り部2は、ADFから搬送されてきた原稿を主走査及び副走査して原稿の濃淡情報から画像を所定の解像度で読み取って、RGB各所定ビット(例えば、各8ビット)の画像データを生成して読み取り画像データ処理部3に出力する。なお、読み取り部2は、CCDを用いたものに限るものではなく、例えば、CIS(Contact Image Sensor:密着イメージセンサ)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor )等を用いたものであってもよい。
【0019】
読み取り画像データ処理部(画像処理装置)3は、読み取り部2からのデジタル画像データに対して、予め定められている特性に統一する処理を施す。この読み取り画像データ処理部3の統一する特性は、画像データをMFP1内部に蓄積して、再利用する場合に出力先の変更に適した特性であり、例えば、MFP1の動作モードがコピーモードであると、CMYK形式+透明トナー(クリアトナーともいわれている。)、MFPの動作モードが読み取り画像を配信するスキャナ配信モードであると、RGB形式である。
【0020】
バス制御部4は、MFP1内で必要な画像データや制御コマンド等の各種データのやり取りを行うデータバスの制御を司り、複数種のバス規格間のブリッジ機能も有している。バス制御部4は、本実施例のMFP1では、読み取り画像データ処理部3、プロッタ画像データ処理部5及びCPU9とはPCI(Peripheral Component Interconnect)−Expressバスで接続し、HDD8とはATAバスで接続して、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)化されている。
【0021】
プロッタ画像データ処理部5は、読み取り画像データ処理部3で予め定められた特性に統一されたデジタルの画像データ及び回線I/F部14や外部I/F部15を通じて入力される画像データに対して、画像の調整・加工やユーザから指定される出力先に適した画像処理を施す。
【0022】
HDD8は、通常のパーソナルコンピュータ等にも用いられている大容量記憶装置のハードディスクであり、主にデジタルの画像データ及び該画像データの付帯情報(画像関連情報)を蓄積する。また、本実施例のHDD8は、IDE(Integrated Development Environment)を拡張して規格化されているATAバス接続のハードディスクが用いられている。なお、大容量の記憶装置としては、HDD8に限るものではなく、例えば、近年大容量化してきているフラッシュメモリを用いたシリコンディスク等を用いてもよい。
【0023】
CPU(画像処理制御手段)9は、MFP1全体の制御を行うマイクロプロセッサであり、本実施例では、近年普及してきているCPUコア単体に所定の周辺機能を追加したIntegrated CPUを使用している。このIntegrated CPUは、汎用規格I/Fとの接続機能やクロスバースイッチを使用したこれらバス接続機能がインテグレートされたCPUである。
【0024】
メモリ10は、複数種のバス規格間をブリッジする際の速度差や接続された部品自体の処理速度差を吸収するために、一時的にやりとりするデータの記憶やCPU9がMFP1の制御を行う際に、プログラムや中間処理データを一時的に記憶する揮発性メモリである。CPU9には高速処理が求められるため、通常起動時にROM12に記憶されたブートプログラムによってシステムを起動し、その後は高速にアクセス可能なメモリ10に展開されたプログラムによって処理を行う。本実施例のMFP1では、メモリ10として、規格化されパーソナルコンピュータに使用されているDIMM(Dual Inline Memory Module)が使用されている。
【0025】
プロッタI/F部6は、CPU9にインテグレートされた汎用規格I/F経由で送られてくるCMYKやCMYK+クリアトナー(以下、必要に応じて、CMYK+αという。)からなるデジタル画像データを受け取ると、該画像データをプロッタ部7の専用I/Fに出力するバスブリッジ処理を行い、この汎用規格I/Fとしては、PCI−Expressバスが用いられている。
【0026】
プロッタ部7は、CMYKからなるデジタル画像データを受け取ると、レーザビームを用いた電子写真プロセスによって、記録材に該画像データの画像を記録出力する。プロッタ部7は、CMYK+αの5色をプロットする機能を備えており、プロット+定着器としては、CMYK4版とクリアトナー(主に、透明トナー)を別々にしてもよい。
【0027】
SB11は、パーソナルコンピュータに使用されるチップセットのひとつであり、サウスブリッジ(South Bridge)と呼ばれる汎用の電子デバイスである。SB11は、主にPCI−Expressである汎用規格の拡張バス16とISA(Industrial Standard Architecture)ブリッジを含むCPUシステムを構築する際によく使用されるバスのブリッジ機能を汎用回路化したものであり、ROM12との間をブリッジしている。
【0028】
ROM12は、MFP1の基本プログラム及び後述する本発明の画像処理方法を実行する画像処理プログラム等のプログラム及び必要なシステムデータが格納されており、CPU9が、該ROM12内のプログラムに基づいて上記メモリ10をワークメモリとして利用しつつ、MFP1の各部を制御して、MFP1の基本動作制御及び後述する画像処理を実行する。
【0029】
操作表示部(クリアトナー処理選択手段)13は、ユーザへのインターフェイスを行う部分であって、ディスプレイ、例えば、LCD(Liquid Crystal Display:液晶表示装置)及びキースイッチ等を備えている。操作表示部13は、PCI−Expressバスである拡張バス16を介してCPU9と接続されており、CPU9の制御下で、MFP1の各種状態や操作方法をディスプレイに表示し、また、ユーザからのキースイッチ入力操作を検知する。特に、操作表示部13では、画像データの出力モード(写真原稿モード、文字原稿モード等)を選択する操作が行われる。上記CPU9及び操作表示部13は、全体として、出力モード検出手段として機能している。
【0030】
回線I/F部14は、PCI−Expressバスである拡張バス16と電話回線を接続し、MFP1の電話回線を介した各種データのやり取り、例えば、外部のファクシミリ装置FXとのファクシミリ通信を可能として、外部のファクシミリ装置FXとの間で、画像データの入出力を行う。
【0031】
外部I/F部15は、PCI−Expressバスである拡張バス16と外部装置GSを接続し、外部装置GSと各種データのやり取りを行う。外部I/F部15は、例えば、イーサネット(登録商標)等のネットワークに接続され、該ネットワーク上の外部装置GSと接続されて、該外部装置GSとの間で画像データの入出力を行う。
【0032】
外部装置GSは、例えば、パーソナルコンピュータ等であり、ユーザは、パーソナルコンピュータ等の外部装置GSにインストールされているアプリケーションソフトやドライバを利用して、外部I/F部15を介して、MFP1の各種制御や画像データの入出力を行うことができる。
【0033】
上記読み取り画像データ処理部3は、図2に示すようにブロック構成されており、像域分離&文字サイズ判断処理部21、地肌除去処理部22、γ変換部23、孤立点除去処理部24、フィルタ処理部25、変倍処理部26及び色変換&クリアトナー付与処理部27等を備えている。読み取り画像データ処理部3は、像域分離&文字サイズ判断処理部21に、読み取り部2からの画像データが入力画像データとして入力され、入力画像データを予め定めた特性に統一して、バス制御部4に送る。
【0034】
像域分離&文字サイズ判断処理部(文字画素判断手段、文字領域サイズ判定手段)21は、読み取り部2から受け取ったRGB画像データを1画素毎に文字であるか絵柄(網点)であるか等を判断し、文字と認識した場合には、その文字サイズがどの程度の大きさであるかを複数の閾値に基づいて分類する。
【0035】
地肌除去処理部22は、読み取り部2から受け取ったRGB画像データの地肌部を、ライン毎に追従しながら算出し、適切な地肌値を除去する処理を行う。地肌除去処理部22は、この地肌処理において、通常の白い紙の原稿だけでなく、新聞紙や色紙等の地肌を飛ばして、真っ白い原稿として出力する効果も発揮する。
【0036】
γ変換部23は、読み取り部2から入力されるデジタル化された入力画像データをγ変換(ガンマ変換処理)して反射率を基にした特性から予め定められた明るさの特性、例えば、明度リニアな特性に変換する。γ変換部23は、特に、階調性の補正、グレーバランスの補正等を行う。
【0037】
孤立点除去処理部24は、画像データ中の孤立点を検出し、削除を行う。
【0038】
フィルタ処理部25は、γ補正された入力画像データに対して、像域分離処理で得られた分離情報に応じて、RGB画像データの文字部では、鮮鋭性を向上させ、RGB画像データの絵柄部(網点部)では、平滑処理を行って、滑らかな階調性を向上させるフィルタ処理を行う。
【0039】
変倍処理部26は、読み取り部2から入力された画像データのサイズ(解像度)の変換(特に拡大処理)及び文字の線を太くする太線化処理を行う。
【0040】
色変換&クリアトナー付与処理部27は、図3に示すようにブロック構成されており、色相分割マスキング処理部31、三次元LUT処理部32、UCR/UCA処理部33及びクリアトナー付与処理部34を備えている。
【0041】
色変換&クリアトナー付与処理部27は、変倍処理部26から入力されるRGB信号を色相分割マスキング処理部31により、予め統一された色空間、例えば、色空間がAdobe社で定義されるAdobe−RGBのような色空間になるように変換し、三次元LUT処理部32が、非線形変換によって、出力の形式にあった色空間に変換する。例えば、三次元LUT処理部32は、コピーモードでは、RGBデータをCMYK各8ビットに変換する。
【0042】
UCR(下色除去:Under Color Removal)/UCA(下色追加:Under Color Addition)処理部33は、墨生成を行った後、像域分離&文字サイズ判断処理部21で求めた文字サイズ情報に基づいて、クリアトナー量の付与量を求める。このクリアトナー付与量は、MFP1のユーザが操作表示部13や外部装置GSからの指示に基づいてもよいし、MFP1自身が判断してもよい。例えば、ユーザが操作表示部13で写真原稿を選択した場合に、MFP1自身が写真であればトナーの凸凹をなくし、画像全体が均一の光沢であるほうが出力画像がきれいに見えると判断して、凸凹をなくすようにクリアトナー量を決める。また、クリアトナー量を決定する場合は、CMYK+αのトータルでの総量規制量に注意する必要がある。ただし、MFP1が、定着器がクリアトナー用にCMYK用とは別に設けられている場合やCMYKで一度定着して、その後に別途クリアトナーを定着するような場合には、CMYKの総量規制とクリアトナーの総量規制を独立に扱うことが可能であり、それぞれのトナーを載せる量を増やすことができるため、自由度があがる。本発明では、一度の定着であっても二度の定着であっても適用することができる。なお、UCR/UCA処理部33は、ユーザからウォーターマークやセキュリティマーク等が指示された場合は、その指示に従って、各画素のクリアトナー量を決定する。
【0043】
少なくとも上記γ変換部23、フィルタ処理部25、変倍処理部26及び色変換&クリアトナー付与処理部27は、全体として、ガンマ変換処理、フィルタ処理、太線化処理、拡大処理及び色変換処理を行う画像処理手段として機能している。
【0044】
プロッタ画像データ処理部5は、図4に示すようにブロック構成されており、エッジ抽出処理部41、γ変換処理部42及び階調処理部43を備えている。
【0045】
エッジ抽出処理部41は、CMYK画像データまたはCMYK+α画像データから、エッジ部、絵柄部等を切り分け、主に、1次微分フィルタや2次微分フィルタ等を上下左右斜め方向でそれぞれ算出して、その最大の値をエッジ量として求める。
【0046】
γ変換処理部42は、CMYK画像データまたはCMYK+α画像データをプロッタ部7の特性に合わせるγ変換処理を行って、滑らかな階調表現を出力可能とし、また、このγ変換処理においては、エッジ抽出処理で抽出されたエッジ部や絵柄部に応じて、γ変換を切り替えて、処理を行うようにしてよい。
【0047】
階調処理部43は、CMYK各8bitのデータをプロッタ部7で再現可能なbit数に変換する。本実施例のMFP1では、2bitに変換する。階調処理部43は、通常の文字写真原稿での処理においては、エッジ抽出処理部41のエッジ抽出処理結果から、文字と絵柄部の閾値を変化させながら、疑似中間調処理の誤差拡散処理を実施する。なお、クリアトナー量については、色変換&クリアトナー付与処理部27で、予め2bitのデータとなっているので、特に階調処理で処理を行う必要はない。
【0048】
なお、MFP1は、ROM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )、DVD(Digital Video Disk)、SD(Secure Digital)カード、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている本発明の画像処理方法を実行する画像処理プログラムを読み込んでROM12やHDD8に導入することで、後述する細かい文字でも判別性・訴求性を向上させるクリアトナー付与を含む画像処理方法を実行する画像処理装置を搭載する画像形成装置として構築されている。この画像処理プログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記記録媒体に格納して頒布することができる。
【0049】
次に、本実施例の作用について説明する。本実施例のMFP1は、細かい文字についても、判読性を向上させつつ、訴求性を向上させるクリアトナー付与を伴う画像処理を行う。
【0050】
なお、本実施例は、コピー動作において、クリアトナー付与画像データ生成処理を行うものとして、以下説明するが、外部装置GSからの印刷データに基づくプリント動作においても、同様にクリアトナー付与画像データ生成処理を行うことができるが、この場合には、読み取り画像データ処理部3の色変換&クリアトナー付与処理部27のクリアトナー付与処理を外部装置GSのプリンタドライバまたはMFP1のCPUが実行することで、対応することができる。また、本発明では、CMYKのトナー量が十分でない場合に、より効果的であるが、CMYKのトナー量が十分な場合であっても適切な効果を得ることができるため、以下の説明においては、トナー量については、言及しない。なお、CMYKトナー量が十分でない場合としては、例えば、トナー残量が少ないが、現在行っているジョブの印刷処理を、トナーを補給することなく完了させたい場合、高速出力(特に、ファーストプリント)のために、トナー量を抑えて定着温度を低くしたい場合やトナーセーブモード等がある。
【0051】
まず、MFP1におけるコピー動作について説明する。MFP1は、ユーザが原稿を読み取り部2の原稿台にセットして、所望するモード等の設定とコピー開始の入力を操作表示部13で行うと、操作表示部13が、ユーザから入力された情報を、制御コマンドデータに変換して、発行する。MFP1は、操作表示部13の発行した制御コマンドデータを、PCI-Expressバスを介してCPU9に通知し、CPU9は、コピー開始の制御コマンドデータに従って、コピー動作プロセスのプログラムを実行して、コピー動作に必要な設定や動作を順に行う。
【0052】
すなわち、MFP1は、CPU9の制御下で、読み取り部2に原稿をスキャンさせて、取得されたRGB各8ビットのデジタル画像データを、読み取り画像データ処理部3に送って、読み取り画像データ処理部3が、読み取り画像データに対して、必要な補正処理を行って、CMYK+α(クリアトナー)画像データとして、バス制御部4に送り出す。
【0053】
バス制御部4は、読み取り画像データ処理部3からのCMYK+α画像データを受け取ると、CPU9を介してメモリ10に蓄積する。
【0054】
次に、CPU9は、メモリ10に蓄積されたCMYK+α画像データを、バス制御部4を介して、プロッタ画像データ処理部5に送る。
【0055】
プロッタ画像データ処理部5は、受け取ったCMYK+α画像データを、プロッタ出力用に階調処理を行って、プロッタ出力用のCMYK+αデータに変換し、プロッタI/F部6を介して、プロッタ部7に送り出す。
【0056】
プロッタ部7は、受け取ったCMYK+α画像データに基づいてCMYKトナー及びクリアトナーを用いて画像を用紙に出力し、原稿のコピーを生成する。
【0057】
そして、MFP1は、上記コピー処理において、図5に示すように、読み取り画像データ処理部3が、クリアトナー付与画像データ生成処理を行う。すなわち、読み取り画像データ処理部3は、まず、文字に訴求効果を与え、かつ、判読性を向上させるために、操作表示部13でのユーザによるコピー開始操作によって設定された情報がCPU9から通知されると、該通知によって文字原稿モードであるかどうかを確認する(ステップS101)。
【0058】
ステップS101で、NOのとき、すなわち、原稿モードが文字原稿モードでないときには、読み取り画像データ処理部3は、色変換&クリアトナー付与処理部27に、それぞれのモードに応じたクリアトナーの載せ方でクリアトナー付与量を設定したクリアトナー付与画像データを生成するクリアトナー付与画像データ生成処理を行わせる(ステップS102)。例えば、読み取り画像データ処理部3は、写真原稿モードの場合は、トナーの凸凹をなくし、画像全体が均一の光沢であったほうが写真画像はきれいに見えるため、色変換&クリアトナー付与処理部27に、凸凹をなくすように、クリアトナー量を決定させる。
【0059】
ステップS101で、YESのとき、すなわち、文字原稿モードのときには、読み取り画像データ処理部3の像域分離&文字サイズ判断処理部21が、各々の画素が文字であるかどうかを判定した後に、文字領域のサイズを判断する(ステップS103、S105)。文字サイズの判断方法は、OCR(Optical Character Reader)機能によって、辞書データとマッチング処理を行って、その文字が何ポイントのデータであるかを検出する方法、簡略的に縦横の文字領域における画素数のうち最小の値をサイズとする方法等の種々の方法を用いることができる。
【0060】
例えば、図6に示すように、「H」の文字の場合、主走査(横)画素の最小幅は、図6にa、または、bで示す画素領域であり、副走査(縦)画素の最小幅は、cで示す画素領域となる。そして、像域分離&文字サイズ判断処理部21は、これらの画素領域の最小幅に基づいて、以下に示すような文字サイズ分類用の2つの閾値TH1、TH2と比較して、文字サイズを、以下のように、大、中、小の3種類のサイズに分類する。
【0061】
文字サイズ大:文字の大きさ≧TH1
文字サイズ中:TH2≦文字の大きさ<TH1
文字サイズ小:文字の大きさ<TH2
なお、以下の説明では、文字サイズを大、中、小、3つのサイズに分類するものとして説明するが、文字サイズを分類する数は、3つに限るものではなく、4つ以上であってもよいし、2つであってもよい。
【0062】
なお、本実施例のMFP1は、文字原稿モードであれば、原稿に存在する文字の全部の訴求性、判読性を向上させるように処理を行うが、文字全てに対して訴求性、判読性を向上させる処理方法に限るものではなく、例えば、原稿の中で特に訴求性を向上させたい文字部分があるときには、その文字部分のみを、操作表示部13等で選択する等の方法で訴求性対象文字部分を選択し、該当する文字部分のみを対象にして、以下に説明するクリアトナー付与画像データ生成処理を行うようにしてもよい。また、後述するように、赤色等の他の文字と色の異なる文字を、読み取り画像データ処理部3が訴求性対象文字として自動選択して、以下に説明するクリアトナー付与画像データ生成処理を行うようにしてもよい。
【0063】
ステップS103で、YESのとき、すなわち、文字サイズが大サイズのときには、像域分離&文字サイズ判断処理部21は、文字サイズが大サイズである旨の情報を、後続の各画像処理モジュール22〜27に画素データとともに送信する。すなわち、像域分離&文字サイズ判断処理部21は、RGB各8bitデータの他に、分離データ(文字、白背景、絵柄のいずれかを示すデータ)及び文字サイズデータ(大、中、小のいずれかを示すデータ)も合わせて、後続の各画像処理モジュール22〜27に送信する。
【0064】
この場合、読み取り画像データ処理部3は、色変換&クリアトナー付与処理部27で、基本的には、クリアトナーを文字領域全体に載せることで、訴求性と判読性を向上させる処理を行って、クリアトナー付与画像データ生成処理を終了する(ステップS104)。具体的には、読み取り画像データ処理部3は、フィルタ処理部25で、文字サイズが大サイズの画像データにおいては、訴求性の向上を図ることができる場合であっても、必要以上にエッジ部を強調しないように、すなわち、エッジ強調フィルタを弱くする。すなわち、エッジ部を強調すると、図7に示すように、背景部と文字部との境界部分の画素のみが濃くなり、文字の線の中が薄くなって、濃度ムラが発生するおそれがある。また、読み取り画像データ処理部3は、色変換&クリアトナー付与処理部27で、文字サイズが大サイズの画像データに対して、クリアトナーを付与するために、α=1(αは、1bitデータであり、クリアトナーを付与する場合、α=1、付与しない場合、α=0)として、バス制御部4に送信する。
【0065】
ステップS103で、NOのとき、すなわち、文字サイズが大サイズでないときには、読み取り画像データ処理部3は、文字サイズが中サイズであるかチェックして(ステップS105)、YESのとき、すなわち、文字サイズが中サイズのときには、文字サイズが中サイズである旨の情報を、後続の各画像処理モジュールに画素データとともに送信し、変倍処理部26で文字領域の拡大処理を行うとともに、色変換&クリアトナー付与処理部27で、クリアトナーを文字領域残対に載せることで、訴求性と判読性を向上させる処理を行って、クリアトナー付与画像データ生成処理を終了する(ステップS106)。すなわち、文字サイズが中サイズのときには、通常の文字データ処理と同様に処理を行うと、クリアトナーが文字の背景部にまたがって付与されて、判読性が悪化するおそれがある。そこで、文字サイズが中サイズのときには、読み取り画像データ処理部3は、まず、変倍処理部26で、文字データの太線化処理及び拡大処理を行う。すなわち、変倍処理部26は、例えば、図8に示すように、文字が「H」の場合、線を大きく(太く)させる太線化処理を行い、クリアトナーを載せやすくする。また、変倍処理部26は、図9(a)に示す中サイズの文字(例えば、「A」)を、図9(b)に示すように、大サイズの文字へ拡大処理を行う。変倍処理部26は、文字の線の太線化処理においては、あまり線を太くする割合を増やしてしまうと、文字の鮮鋭性が損なわれたり、文字のなかの非エッジ部(例えば、図9の斜線部)が小さくなってしまうため、線を太くする割合のバランスを考慮する必要があり、特に、文字サイズが「小」の場合には、後述するように、文字の線の太線化を行うことができない。また、変倍処理部26は、文字サイズの拡大処理においては、文字サイズを拡大しすぎると、文章のバランスが崩れてしまうため、画像全体の文字のサイズを考慮した拡大処理を行うことが好適である。すなわち、中サイズの文字の場合、図9(a)に示すように、文字エッジに囲まれている斜線部の面積が小さいため、版ズレにより文字領域をはみ出たクリアトナーによって斜線部のほとんどが塗られてしまう可能性があるが、図9(b)に示すように、拡大処理を行うと、クリアトナーが塗られない斜線部の面積が大きくなり、斜線部と文字自体との間における光沢差を鮮明にさせて、判読性を向上させることができる。
【0066】
なお、文字サイズがもともと「大」の場合、または、「中」の文字サイズを「大」にした場合、図9(b)に示したように、背景部にクリアトナーが多少はみ出しても、文字の中部分が全て塗られることもなく、文字が大きいために、明度差がくっきり保たれているため、訴求性及び判読性が損なわれることがないだけでなく、上記処理を行うことで、文字品質を向上させることができる。
【0067】
すなわち、MFP1は、読み取り画像データ処理部3において、原稿の画像データに、図10に示すように、文字領域の有無を判別して、サイズの異なる文字が混在する場合、中サイズの文字に対してのみ、文字サイズを大サイズに拡大処理して、クリアトナーを載せ易くしているとともに、文字サイズを大きくすることによって、明度差を向上させている。
【0068】
そして、ステップS105で、NOのとき、すなわち、文字サイズが小サイズのときには、像域分離&文字サイズ判断処理部21が、文字サイズが小サイズである旨の情報を、後続の各画像処理モジュールに画素データとともに送信する。そして、文字サイズが小サイズの場合、上述のように、文字部にクリアトナーを載せると、背景部にもクリアトナーが載ってしまい、文字の判読性が低下するおそれがある。そこで、読み取り画像データ処理部3は、小サイズの文字の判読性、訴求性の低下を防止するために、γ変換部23で、文字の背景部の濃度を通常よりも小さくし、フィルタ処理部25で、文字部の強調フィルタを通常よりも大きく、さらに、色変換&クリアトナー付与処理部27で、文字色を変更する、すなわち、文字色変更処理を行うとともに、色変換&クリアトナー付与処理部27で、クリアトナーの付与を禁止する処理(α=0)を行う(ステップS107)。
【0069】
すなわち、文字サイズが小サイズのときには、読み取り画像データ処理部3は、小サイズの文字の訴求性、判読性を向上させるために、まず、γ変換部23で、小サイズの文字の背景部の濃度を、通常よりも小さくし、フィルタ処理部25で、文字部の強調フィルタを通常よりも大きくする。読み取り画像データ処理部3は、さらに、色変換&クリアトナー付与処理部27の色変換処理で、文字色を変更する。色変換&クリアトナー付与処理部27の色変換処理においては、基本的に、トナー量が制限されている場合には、2次色、3次色であると、彩度が出にくい方向となるため、1次色方向で、かつ、視認性の高い色相の方向に文字色の色相をずらすことで、彩度を上げて訴求性を向上させる。例えば、赤文字の場合、CMYKのうち、Y(イエロー)方向よりも、M(マゼンタ)方向に、小サイズ文字の色をずらすことで訴求性を上げる。そして、読み取り画像データ処理部3は、色変換&クリアトナー付与処理部27のクリアトナー付与画像データ生成処理では、文字が小さい場合には、訴求性、判読性にとっては、クリアトナーを付与しない方が良好であるため、小サイズの文字領域には、α=0として、バス制御部4に画像データを送信する。このように、小サイズの文字に対しては、クリアトナーを付与しないことで、訴求効果や判読性を上げることができる。
【0070】
ところが、フィルタ処理部25のフィルタ処理において、強調フィルタを通常よりも強くすると、特に、文字が大きくなると、図7に示したように、副作用が目立ってくるため、全ての文字サイズに使用できるわけではない。さらに、色変換&クリアトナー付与処理部27の色補正処理で、文字色を変更しているため、原稿に忠実ではなくなっているが、最も重要である文字の訴求性や判読性を向上させることができる。
【0071】
このように、本実施例のMFP1は、画像データの出力モードが文字原稿モードであるか否かを検出して、文字原稿モードであると、該画像データの画素データ毎に文字の画素データであるか否かを判断し、文字領域毎にその文字領域サイズを判定して、画像データに対して、該画像データの出力画像としてクリアトナーを付与した画像を形成させるクリアトナー付与画像データを生成するクリアトナー付与画像データ生成処理を含む複数種類の画像処理を施す場合の該画像処理の内容として、該画像データの出力モードが該文字原稿モード以外であると、該クリアトナー付与画像データ生成処理を決定し、該画像データの出力モードが該文字原稿モードであると、該文字領域の文字領域サイズの大きさに基づいて該文字領域の画像データに対して施す画像処理の内容を決定している。
【0072】
したがって、細かい文字についても、判読性を向上させつつ、訴求性を向上させることのできるクリアトナーの付与を伴う画像処理を行うことができる。
【0073】
また、本実施例のMFP1は、文字領域を、大サイズ、中サイズ及び小サイズの3種類の文字領域サイズに判定し、該文字領域に施す画像処理の内容として、該小サイズの文字領域の画像データに対して、γ変換処理部23で、背景濃度を小さくさせ、フィルタ処理部25で、強調フィルタ処理を行わせ、色変換&クリアトナー付与処理部27の色変換処理で、文字色の変更処理を行わせるとともに、クリアトナー付与画像データ生成処理を禁止する画像処理内容を採用している。
【0074】
したがって、文字サイズが小さい場合に、文字領域にクリアトナーを載せないことで、文字の背景部にもクリアトナーがまたがって付与されることで判読性が低下することを防止することができるとともに、小サイズの文字を、通常の文字データ処理よりも訴求性を向上させる画像処理を行うことができる。
【0075】
さらに、本実施例のMFP1は、中サイズの文字領域の画像データに施す画像処理の内容として、変倍処理部26で、太線化処理を行わせ、該変倍処理部26で、大サイズの文字への拡大処理を行わせるとともに、色変換&クリアトナー付与処理部27で、クリアトナー付与画像データ生成処理を行わせている。
【0076】
したがって、文字サイズが中サイズの場合に、文字の印字面積を大きくさせることで、文字領域にそのままクリアトナーを載せることによる文字の背景部にもクリアトナーがまたがって付与されることで、判読性が低下することを防止することができ、判読性を向上させることができる。
【0077】
また、本実施例のMFP1は、大サイズの文字領域の画像データに施す画像処理の内容として、フィルタ処理部25で、弱いエッジ強調フィルタ処理を行わせるとともに、色変換&クリアトナー付与処理部27で、クリアトナー付与画像データ生成処理を行わせる画像処理内容を採用している。
【0078】
したがって、文字サイズが大サイズの場合に、文字の輪郭部での強調フィルタを弱くすることで、強調フィルタで単純にエッジ部を強調すると、文字の輪郭のみ目立って、文字のなか部が薄くなり、線に濃度ムラができてしまうことを防止することができるとともに、文字が大サイズであることから背景部にまたがることなく、クリアトナーを載せることで、文字の訴求性を向上させることができる。
【実施例2】
【0079】
図11から図20は、本発明の画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体の第2実施例を示す図であり、図11は、本発明の画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体の第2実施例を適用したMFP1の読み取り画像データ処理部50のブロック構成図である。
【0080】
なお、本実施例は、第1実施例のMFP1と同様のMFPに適用したものであり、本実施例の説明においては、第1実施例のMFP1と同様の構成部分には、同一の符号を伏してその説明を省略するとともに、図示しない部分についても、必要に応じて、第1実施例の説明で用いた符号をそのまま用いて説明する。
【0081】
本実施例のMFP1は、図1に示した第1実施例のMFP1と同様の構成を有しており、その読み取り画像データ処理部50が、図11に示すようにブロック構成されている。
【0082】
図11において、読み取り画像データ処理部50は、像域分離&文字サイズ判断処理部21、色差算出処理部51、地肌除去処理部22、γ変換部23、孤立点除去処理部24、フィルタ処理部25、変倍処理部26、色変換&クリアトナー付与処理部27を備えている。
【0083】
像域分離&文字サイズ判断処理部21は、第1実施例と同様であるが、本実施例では、1つの閾値THに基づいて、文字サイズの大きさを、「大」と「小」の2種類の文字サイズに分類する。
【0084】
色差算出処理部(色差検出手段)51は、図12に示すようにブロック構成されており、ラインバッファ61、文字領域ラベリング部62、文字色抽出部63、文字背景色抽出部64、色差算出部65及び色差分類処理部66等を備えており、文字領域と背景領域との色差の所定の閾値色差に対する大小を検出する。
【0085】
ラインバッファ62は、像域分離&文字サイズ判断処理部21からの画像データを数百〜数千ライン分蓄積し、文字領域ラベリング部62は、ラインバッファ61の画像データの画素毎の文字領域情報を用いて、文字領域ラベリングを行う。
【0086】
文字色抽出部63は、文字領域ラベリング部62のラベリングを行った文字領域の各画素のRGN値から、その平均のRGB値を求める。
【0087】
文字背景色抽出部64は、図13に示すように、文字領域の周囲数画素を抽出して、その平均のRGB値を求め、色差算出部65は、文字領域の平均RGB値と背景部の平均RGB値から、色差、主に、色相の相違を求める。この色差の求め方は、RGBからLabに色変換を行い、Lab空間上のユークリッド距離を算出する正規の手法であってもよいし、R信号、G信号、B信号の相対的な差分から色相角を算出して、その色相角がどの程度離れているかを比較することで求める方法であってもよい。
【0088】
色差分類処理部66は、色差算出部65の求めた色差の数値と、ある所定の閾値とを比較して、文字色と背景色とが同系色かどうかを判断する。
【0089】
再び、図11に戻って、読み取り画像データ処理部50は、地肌除去処理部22、γ変換部23、孤立点除去処理部24、フィルタ処理部25、変倍処理部26及び色変換&クリアトナー付与処理部27は、第1実施例と同様であるが、色差算出処理部51の求めた色差と文字サイズに基づいて画像処理とクリアトナー付与画像データ生成処理を行う。
【0090】
次に、本実施例の作用について説明する。本実施例のMFP1は、文字サイズだけでなく、文字色と文字背景色の色差に基づいて文字に対する画像処理とクリアトナー付与画像データ生成処理を制御する。
【0091】
なお、本実施例においても、コピー動作において、クリアトナー付与画像データ生成処理を行うものとして、以下説明するが、外部装置GSからの印刷データに基づくプリント動作においても、同様にクリアトナー付与画像データ生成処理を行うことができる。また、以下の説明では、出力モードが文字原稿モードであるものとして説明する。
【0092】
MFP1は、コピー処理において、図14に示すように、読み取り画像データ処理部3が、文字サイズと色差に基づくクリアトナー付与画像データ生成処理を行う。すなわち、読み取り画像データ処理部50は、まず、文字に訴求効果を与え、かつ、判読性を向上させるために、操作表示部13でのユーザによるコピー開始操作によって設定された情報がCPU9から通知されて、該通知によって文字原稿モードであることを確認すると、像域分離&文字サイズ判断処理部21で、各々の画素が文字であるかどうかを判定した後に、文字領域のサイズを判断する(ステップS201)。文字サイズの判断方法は、第1実施例の場合と同様であるが、本実施例の像域分離&文字サイズ判断処理部21は、文字サイズ判定用の1つの閾値に基づいて、文字サイズを、大サイズと小サイズの2種類に分類する。
【0093】
なお、以下の説明では、文字サイズを大、小の2つのサイズに分類するものとして説明するが、文字サイズを分類する数は、2つに限るものではない。
【0094】
ステップS201で、YESのとき、すなわち、文字サイズが大サイズのときには、像域分離&文字サイズ判断処理部21は、文字サイズが大サイズである旨の情報を、後続の各画像処理モジュールに画素データとともに送信し、色差算出処理部51が、文字色と文字背景色との色差が、所定の閾値(閾値色差)と比較して、大きいか否か判断する(ステップS202)。
【0095】
ステップS202で、YESのとき、すなわち、文字色と背景色との色差が大きい(文字色と背景色が同系色でない)ときには、図15に示すように、色差算出処理部51が、文字色が白色(白文字)であるかチェックする(ステップS203)。
【0096】
ステップS203で、YESのとき、すなわち、例えば、図16に示すように、白文字(黒地上の白文字)のときには、色差算出処理部51が、文字サイズが大サイズで、文字色と背景色との色差が大きく、文字色が白文字であるとの情報を後段の画像処理モジュールに送信して、フィルタ処理部25が、エッジ強調フィルタを弱くしてエッジ強調処理を行ない、色変換&クリアトナー付与処理部27は、クリアトナー付与画像データ生成処理が自動的にOFFとなって、白文字の箇所へのクリアトナーの付与を行わない(α=0)(ステップS204)。すなわち、図16に示すように、文字サイズが大サイズで、文字色と背景色との色差が大きく、文字色が白文字である場合、白文字は、トナーが無く、背景には、ある程度濃度の濃いトナー(図16では、黒色トナー)が載っているため、クリアトナーを載せない方が相対的な光沢差がでて、訴求性を向上させることができる。
【0097】
ステップS203で、NOのとき、すなわち、文字色が白文字でないときには、色差算出処理部51が、文字サイズが大サイズで、文字色と背景色との色差が大きく、文字色が白文字ではないとの情報を後段の画像処理モジュールに送信して、フィルタ処理部25が、エッジ強調フィルタを弱くしてエッジ強調処理を行ない、色変換&クリアトナー付与処理部27が、クリアトナーの消費量をセーブするのか、画質を優先するのかのユーザによる操作表示部13での選択に応じて文字部にクリアトナーを付与するかしないかを決定する(ステップS205)。このユーザによる設定情報(クリアトナーセーブモードか、画質優先(高画質)モードか)、文字色と文字背景色との色差の大きさ及びクリアトナーの付与量の関係は、例えば、図17に示すような関係にある。図17では、クリアトナー(透明トナー)セーブモードであって、色差が中程度であると、少量のクリアトナーを文字部に載せ、色差が大程度であると、クリアトナーを文字部に載せない設定となっている。また、ユーザの設定が画質優先(高画質)モードであり、色差が中程度であると、中程度の量のクリアトナーを文字部に載せ、色差が大程度であると、少量のクリアトナーを文字部に載せる。すなわち、色差が大きいほどクリアトナーの量を少なくし、高画質モードよりもクリアトナーセーブモードの方が、クリアトナーを少なくする。要するに、文字サイズが大サイズで、文字色と背景色との色差が大きく、文字色が白文字でないときには、クリアトナーを載せなくても判別性がある程度のレベルに達しているため、クリアトナーを載せる量を、ユーザの判断に任せている。
【0098】
図14のステップS202で、NOのとき、すなわち、例えば、図18に示すように、グレー地上に黒文字がある場合のように、文字色と背景色との色差が小さい(文字色と背景色が同系色である)ときには、色差算出処理部51が、文字サイズが大サイズで、文字色と背景色との色差が小さいとの情報を後段の画像処理モジュールに送信して、フィルタ処理部25が、エッジ強調フィルタを弱くしてエッジ強調処理を行ない、色変換&クリアトナー付与処理部27が、通常文字よりも多くのクリアトナーを付与する(ステップS206)。すなわち、文字の背景が同系色であると、訴求性が弱いため、フィルタ処理部25では、文字サイズが大サイズの画素においては訴求性を上げる場合であっても、必要以上にエッジ部を強調しないようにする。この場合、エッジ部を強調すると、図7に示したように、背景部と文字部との境界部の画素のみが濃くなり、文字の線の中が薄くなってしまう。そして、色変換&クリアトナー付与処理部27では、文字領域とされた箇所にクリアトナーを付与するが、クリアトナーの付与量を、通常の付与量よりも多く(厚く)して、文字部の光沢度を向上させる。この場合、クリアトナーの付与量をさらに増やすと、文字が立体的に見えるようにすることができ、訴求性をより一層向上させることができる。また、この場合、文字サイズが大サイズであるので、多少クリアトナーがずれても、文字の判読性が低下することがない。このように、文字サイズが大サイズで、文字色と背景色との色差が小さいときには、エッジ強調フィルタを弱くし、文字部に付与するクリアトナーの量を通常よりも多くすることで、文字の訴求性をより一層向上させ、かつ、判読性も維持することができる。
【0099】
そして、ステップS201で、NOのとき、すなわち、文字サイズが小サイズのときには、色差算出処理部51が、文字色と背景色との色差が大きいか判断し(ステップS207)、YESのとき、すなわち、文字色と背景色との色差が大きいときには、色差算出処理部51が、文字サイズが小サイズで、文字色と背景色との色差が大きいとの情報を後段の画像処理モジュールに送信して、特に大きな画像処理の変更を行わず、また、クリアトナーの文字部への付与も行わない(ステップS208)。すなわち、文字サイズが小さく、文字色と背景色との色差が大きいときには、コントラストがとれていて、文字部は、訴求性、判読性をある程度有していると考えられる。したがって、読み取り画像データ処理部50は、γ変換部23で背景部の濃度を多少低くしたり、フィルタ処理部25で多少エッジ強調を強く行ったりする程度の画像処理を行わせる程度として、特に大きな画像処理の変更を行わず、かつ、色変換&クリアトナー付与処理部27でのクリアトナーの付与も行わない。すなわち、文字サイズが小さく、文字色と背景色との色差が大きいときには、通常の状態において既に判読性、訴求性ともに、一定レベルに達していると考えられ、画像処理を行なってしまうと、かえって、副作用の方が大きくなる可能性が高いため、あえてなんの画像処理も行わない。
【0100】
ステップS207で、NOのとき、すなわち、文字色と背景色との色差が小さいときには、色差算出処理部51は、文字サイズが小サイズで、文字色と背景色との色差が小さいとの情報を後段の画像処理モジュールに送信して、フィルタ処理部25で、文字部の強調フィルタを通常よりも大きくすることで、訴求性を上げるようにし、また、色変換&クリアトナー付与処理部27で、文字色を文字背景色に対して色差が大きくなる方向に色変換を行うとともに、文字部にクリアトナーを付与しない(α=0)(ステップS209)。すなわち、文字サイズが小サイズで、色差が小さい場合は、訴求性が低い。例えば、図19に示すようにシアン色が背景で、青文字の場合(シアン地上に青文字の場合)、図20に太い矢印で示すように、青(B)の二次色をシアン(C)とは逆のマゼンタ(M)の方向に文字の色相をずらす処理を行うことで、背景色とのコントラストをつけ、訴求性を向上させることができる。また、同色のグレー地に黒文字であれば、背景の濃度を低くすることで、コントラストをつけることができる。
【0101】
また、文字サイズが小サイズの場合、上述のように、クリアトナーを文字に付与すると、文字背景にクリアトナーがはみ出てしまうため、クリアトナーを付与することができない。そこで、文字サイズが小さく、文字色と背景色との色差が小さいときには、エッジ強調を行ったり、色相を変化させたりすることで、訴求性と判読性を向上させる。ただし、画像処理を通常よりも強く行っている分、原稿からは少しずれてしまうが、より一層重要である訴求性や判読性を向上させることができる。
【0102】
なお、上記各実施例においては、原稿の文字部全てを対象として、クリアトナーの付与を伴う画像処理を行っているが、原稿のうち特定の文字部分のみをクリアトナーの付与を伴う画像処理の対象としてもよい。
【0103】
例えば、赤色と黒色が混在する赤黒原稿の場合、ユーザが通常最も重要と考えていると思われる赤文字部をクリアトナーの付与を伴う画像処理対象として、訴求性を向上させる上記クリアトナー付与画像データ生成処理を行う。また、例えば、蛍光ペンが使用されている原稿においては、蛍光ペンで塗られている文字をクリアトナーの付与を伴う画像処理対象として、訴求性を向上させる上記クリアトナー付与画像データ生成処理を行う。さらに、蛍光ペンが使用されている原稿においては、文字が蛍光ペンで塗られている分、訴求性はあっても判読性が低減している場合があるため、蛍光ペン部に対して積極的にクリアトナーを付与するようにしてもよい。
【0104】
そして、原稿の画像データから赤文字部分や蛍光ペンで塗られた部分の検出は、赤文字部であれば、第2実施例の場合では、文字色抽出部63で、赤文字であるか否かを判断することで行ない、蛍光ペンであれば、第2実施例の場合では、文字背景色抽出64で、白背景以外であることを判断することで行う。
【0105】
このようにすると、赤黒原稿の重要な赤文字部分や蛍光ペンの施された原稿の蛍光ペンで塗られた文字を自動的に判別して、訴求性を向上させることができる。
【0106】
このように、本実施例のMFP1は、文字領域と該文字領域の背景領域との色差の所定の閾値色差に対する大小を検出し、文字領域を大サイズと小サイズの2種類の文字領域サイズに判定する。そして、MFP1は、文字領域に施す画像処理の内容として、小サイズであって色差の大きい文字領域に対しては、色変換&クリアトナー付与処理部27でのクリアトナー付与画像データ生成処理を禁止し、小サイズであって色差の小さい文字領域に対しては、フィルタ処理部25で、強いエッジ強調フィルタ処理を行わせ、色変換&クリアトナー付与処理部27の色変換処理で、背景領域の色とのコントラストが強くなる色変換処理を行わせるとともに、色変換&クリアトナー付与処理部27でのクリアトナー付与画像データ生成処理を禁止する。また、MFP1は、大サイズであって色差の小さい文字領域に対しては、フィルタ処理部25で、弱いエッジ強調フィルタ処理を行わせるとともに、色変換&クリアトナー付与処理部27で、通常よりも多くのクリアトナーを付与させるクリアトナー付与画像データ生成処理を行わせる。さらに、MFP1は、大サイズであって色差が大きく、文字色が白色である文字領域に対しては、フィルタ処理部25で、弱いエッジ強調フィルタ処理を行わせるとともに、色変換&クリアトナー付与処理部2727でのクリアトナー付与画像データ生成処理を禁止し、大サイズであって色差が大きく、文字色が白色以外の色である文字領域に対しては、フィルタ処理部25で、弱いエッジ強調フィルタ処理を行わせるとともに、色変換&クリアトナー付与処理部2727でのクリアトナー付与画像データ生成処理を、操作表示部13でのユーザの選択に応じて処理させる画像処理内容を採用している。
【0107】
したがって、訴求効果が文字色と文字背景色との色差(コントラスト)にも依存することから、文字領域と背景領域との色差を、クリアトナー付与の判断材料として、クリアトナーの消費量を低減しつつ、効果的に訴求効果を向上させることができる。
【0108】
具体的には、例えば、文字サイズが大きく、背景とのコントラストが小さい場合には、クリアトナーを通常よりも多く載せることで、光沢度を大きく上げて、クリアトナーを使用しない場合よりも訴求性をより一層向上させることができる。また、文字サイズが大きく、背景とのコントラストが大きい場合には、ある程度訴求性が存在するため、通常よりも少なくまたはクリアトナーを付与しないことで、訴求性を保ちつつ、クリアトナーの消費量を低減することができる。さらに、文字サイズが大サイズで、背景色とのコントラストが大きく、その文字が白である場合には、背景にトナーが載っており、文字部には何もトナーを載っていない状態であるので、既にトナーの光沢差分に基づくコントラストによって訴求性が十分にあるため、クリアトナーを載せないことで、訴求性を保ちつつ、クリアトナーの消費量を抑えることができる。
【0109】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、透明トナー等のクリアトナーを効果的に付与する画像処理装置及び該画像処理装置を搭載するプリンタ、複写装置、複合装置等の画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に利用することができる。
【符号の説明】
【0111】
1 MFP
2 読み取り部
3 読み取り画像データ処理部
4 バス制御部
5 プロッタ画像データ処理部
6 プロッタI/F部
7 プロッタ部
8 HDD(ハードディスク)
9 CPU
10 メモリ
11 SB
12 ROM
13 操作表示部
14 回線I/F部
15 外部I/F部
16 拡張バス
21 像域分離&文字サイズ判断処理部
22 地肌除去処理部
23 γ変換部
24 孤立点除去処理部
25 フィルタ処理部
26 変倍処理部
27 色変換&クリアトナー付与処理部
31 色相分割マスキング処理部
32 三次元LUT処理部
33 UCR/UCA処理部
34 クリアトナー付与処理部
41 エッジ抽出処理部
42 γ変換処理部
43 階調処理部
50 読み取り画像データ処理部
51 色差算出処理部
61 ラインバッファ
62 文字領域ラベリング部
63 文字色抽出部
64 文字背景色抽出部
65 色差算出部
66 色差分類処理部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0112】
【特許文献1】特開2009−58941号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に関し、詳細には、画像にクリアトナーの付与を伴う画像処理を行う画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
複写装置、複合装置等の画像形成装置においては、近年、出力画像の高品質化が要望され、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の基準4色のトナー(現像剤)の他に、透明トナーや白色トナー等の特殊な色のトナー(以下、クリアトナーという。)を加えて5色以上のトナーで画像形成することで画像品質を向上させることが行われている。
【0003】
また、今日、省資源を図るために、トナー等の画像形成材料を削減して画像形成する省材料画像形成(例えば、トナーセーブ印刷)が行われるようになってきており、この省材料画像形成で画像形成材料を削減して画像形成すると、形成画像を見る人を引きつける力である訴求効果や周囲画像との判別性が低減する。ここでいう訴求効果とは、形成画像を見る人の視線を引きつける効果のことをいう。
【0004】
そして、従来、光沢度の高い透明画像形成モードと光沢度の低い透明画像形成モードのうち指定された画像形成モードに応じて記録材に形成すべき透明画像の単位面積当たりのトナー量を設定することで、透明画像の光沢的な視認性を変更する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
すなわち、この従来技術は、例えば、トナーセーブ印刷を行うことで、訴求効果や判別性が低減する文字領域にクリアトナー(特に、透明トナー)を載せることで、文字領域の光沢的な視認性の向上を図っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記公報記載の従来技術にあっては、文字に訴求効果や判別性を向上させるために、単に文字領域にクリアトナーを載せているのみであるため、細かい文字の場合、背景との境界をまたいでクリアトナーが載ってしまい、かえって細かい文字の判読性が低減するという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、細かい文字についても、判読性を向上させつつ、訴求性を向上させることのできるクリアトナーの付与を伴う画像処理を行う画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、画像データの出力モードが文字原稿モードであるか否かを検出して、文字原稿モードであると、該画像データの画素データ毎に文字の画素データであるか否かを判断し、文字領域毎にその文字領域サイズを判定して、画像データに対して、該画像データの出力画像としてクリアトナーを付与した画像を形成させるクリアトナー付与画像データを生成するクリアトナー付与画像データ生成処理を含む複数種類の画像処理を施す場合の該画像処理の内容として、該画像データの出力モードが該文字原稿モード以外であると、該クリアトナー付与画像データ生成処理を決定し、該画像データの出力モードが該文字原稿モードであると、該文字領域の文字領域サイズの大きさに基づいて該文字領域の画像データに対して施す画像処理の内容を決定することを特徴としている。
【0009】
また、本発明は、前記文字領域を、大サイズ、中サイズ及び小サイズの3種類の文字領域サイズに判定し、前記画像処理の内容として、該小サイズの文字領域の画像データに対して、背景濃度を小さくさせるγ変換処理、強調フィルタ処理、文字色を変更する色変換処理を行わせるとともに、前記クリアトナー付与画像データ生成処理を禁止する画像処理内容を決定することを特徴としてもよい。
【0010】
さらに、本発明は、前記文字領域を、大サイズ、中サイズ及び小サイズの3種類の文字領域サイズに判定し、前記画像処理の内容として、該中サイズの文字領域の画像データに対して、太線化処理と大サイズの文字への拡大処理を行わせるとともに、前記クリアトナー付与画像データ生成処理を行わせる画像処理内容を決定することを特徴としてもよい。
【0011】
また、本発明は、前記文字領域を、大サイズ、中サイズ及び小サイズの3種類の文字領域サイズに判定し、前記画像処理の内容として、該大サイズの文字領域の画像データに対して、弱いエッジ強調フィルタ処理を行わせるとともに、前記クリアトナー付与画像データ生成処理を行わせる画像処理内容を決定することを特徴としてもよい。
【0012】
さらに、本発明は、前記文字領域と該文字領域の背景領域との色差の所定の閾値色差に対する大小を検出し、前記文字領域を大サイズと小サイズの2種類の文字領域サイズに判定して、前記画像処理の内容として、該小サイズであって該色差の大きい文字領域に対しては、前記クリアトナー付与画像データ生成処理を禁止し、該小サイズであって該色差の小さい文字領域に対しては、強いエッジ強調フィルタ処理と該背景領域の色とのコントラストが強くなる色変換処理を行わせるとともに、該クリアトナー付与画像データ生成処理を禁止し、該大サイズであって該色差の小さい文字領域に対しては、弱いエッジ強調フィルタ処理を行わせるとともに、通常よりも多くのクリアトナーを付与させる該クリアトナー付与画像データ生成処理を行わせ、該大サイズであって色差が大きく、文字色が白色である文字領域に対しては、弱いエッジ強調フィルタ処理を行わせるとともに、該クリアトナー付与画像データ生成処理を禁止し、該大サイズであって色差が大きく、文字色が白色以外の色である文字領域に対しては、弱いエッジ強調フィルタ処理を行わせるとともに、該クリアトナー付与画像データ生成処理を選択に応じて処理させる画像処理内容を決定することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、細かい文字についても、判読性を向上させつつ、訴求性を向上させるクリアトナー付与を伴う画像処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施例を適用したMFPのブロック構成図。
【図2】読み取り画像データ処理部のブロック構成図。
【図3】色変換&クリアトナー付与処理部のブロック構成図。
【図4】プロッタ画像データ処理部のブロック構成図。
【図5】クリアトナー付与画像データ生成処理を示すフローチャート。
【図6】文字サイズ判断方法の説明図。
【図7】文字のエッジ強調を行なった場合の一例を示す図。
【図8】太線化処理の説明図。
【図9】文字拡大処理の説明図。
【図10】中サイズの文字のみを拡大処理する場合の説明図。
【図11】第2実施例におけるMFPの読み取り画像データ処理部のブロック構成図。
【図12】色差算出処理部のブロック構成図。
【図13】文字と背景との色差の求め方の説明図。
【図14】文字サイズと色差に基づくクリアトナー付与画像データ生成処理を示すフローチャート。
【図15】図14の続きの処理を示すフローチャート。
【図16】黒地上に白文字がある場合の一例を示す図。
【図17】ユーザ設定と色差及びトナー付与量の関係を示す図。
【図18】グレー地上に黒文字がある場合の一例を示す図。
【図19】シアン地上に青文字がある場合の一例を示す図。
【図20】色相調整方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【実施例1】
【0016】
図1〜図10は、本発明の画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体の第1実施例を示す図であり、図1は、本発明の画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体の第1実施例を適用したMFP(Multi Functional Products:複合装置)1のブロック構成図である。
【0017】
図1において、MFP(画像形成装置)1は、読み取り部2、読み取り画像データ処理部3、バス制御部4、プロッタ画像データ処理部5、プロッタI/F部6、プロッタ部7、HDD(ハードディスク)8、CPU(Central Processing Unit )9、メモリ10、SB(サウスブリッジ)11及びROM(Read Only Memory)12、操作表示部13、回線I/F部14、外部I/F部15等を備えており、CPU9とSB11とは、拡張バス16で接続されている。
【0018】
読み取り部2は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)を利用したラインイメージセンサ、アナログ/デジタル(A/D)変換回路及びこれらを駆動する駆動回路等を備えており、一般的にADFを備えている。ADFには、複数枚の原稿がセットされ、ADFは、セットされた原稿を1枚ずつ読み取り部2の原稿読み取り位置に送給する。読み取り部2は、ADFから搬送されてきた原稿を主走査及び副走査して原稿の濃淡情報から画像を所定の解像度で読み取って、RGB各所定ビット(例えば、各8ビット)の画像データを生成して読み取り画像データ処理部3に出力する。なお、読み取り部2は、CCDを用いたものに限るものではなく、例えば、CIS(Contact Image Sensor:密着イメージセンサ)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor )等を用いたものであってもよい。
【0019】
読み取り画像データ処理部(画像処理装置)3は、読み取り部2からのデジタル画像データに対して、予め定められている特性に統一する処理を施す。この読み取り画像データ処理部3の統一する特性は、画像データをMFP1内部に蓄積して、再利用する場合に出力先の変更に適した特性であり、例えば、MFP1の動作モードがコピーモードであると、CMYK形式+透明トナー(クリアトナーともいわれている。)、MFPの動作モードが読み取り画像を配信するスキャナ配信モードであると、RGB形式である。
【0020】
バス制御部4は、MFP1内で必要な画像データや制御コマンド等の各種データのやり取りを行うデータバスの制御を司り、複数種のバス規格間のブリッジ機能も有している。バス制御部4は、本実施例のMFP1では、読み取り画像データ処理部3、プロッタ画像データ処理部5及びCPU9とはPCI(Peripheral Component Interconnect)−Expressバスで接続し、HDD8とはATAバスで接続して、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)化されている。
【0021】
プロッタ画像データ処理部5は、読み取り画像データ処理部3で予め定められた特性に統一されたデジタルの画像データ及び回線I/F部14や外部I/F部15を通じて入力される画像データに対して、画像の調整・加工やユーザから指定される出力先に適した画像処理を施す。
【0022】
HDD8は、通常のパーソナルコンピュータ等にも用いられている大容量記憶装置のハードディスクであり、主にデジタルの画像データ及び該画像データの付帯情報(画像関連情報)を蓄積する。また、本実施例のHDD8は、IDE(Integrated Development Environment)を拡張して規格化されているATAバス接続のハードディスクが用いられている。なお、大容量の記憶装置としては、HDD8に限るものではなく、例えば、近年大容量化してきているフラッシュメモリを用いたシリコンディスク等を用いてもよい。
【0023】
CPU(画像処理制御手段)9は、MFP1全体の制御を行うマイクロプロセッサであり、本実施例では、近年普及してきているCPUコア単体に所定の周辺機能を追加したIntegrated CPUを使用している。このIntegrated CPUは、汎用規格I/Fとの接続機能やクロスバースイッチを使用したこれらバス接続機能がインテグレートされたCPUである。
【0024】
メモリ10は、複数種のバス規格間をブリッジする際の速度差や接続された部品自体の処理速度差を吸収するために、一時的にやりとりするデータの記憶やCPU9がMFP1の制御を行う際に、プログラムや中間処理データを一時的に記憶する揮発性メモリである。CPU9には高速処理が求められるため、通常起動時にROM12に記憶されたブートプログラムによってシステムを起動し、その後は高速にアクセス可能なメモリ10に展開されたプログラムによって処理を行う。本実施例のMFP1では、メモリ10として、規格化されパーソナルコンピュータに使用されているDIMM(Dual Inline Memory Module)が使用されている。
【0025】
プロッタI/F部6は、CPU9にインテグレートされた汎用規格I/F経由で送られてくるCMYKやCMYK+クリアトナー(以下、必要に応じて、CMYK+αという。)からなるデジタル画像データを受け取ると、該画像データをプロッタ部7の専用I/Fに出力するバスブリッジ処理を行い、この汎用規格I/Fとしては、PCI−Expressバスが用いられている。
【0026】
プロッタ部7は、CMYKからなるデジタル画像データを受け取ると、レーザビームを用いた電子写真プロセスによって、記録材に該画像データの画像を記録出力する。プロッタ部7は、CMYK+αの5色をプロットする機能を備えており、プロット+定着器としては、CMYK4版とクリアトナー(主に、透明トナー)を別々にしてもよい。
【0027】
SB11は、パーソナルコンピュータに使用されるチップセットのひとつであり、サウスブリッジ(South Bridge)と呼ばれる汎用の電子デバイスである。SB11は、主にPCI−Expressである汎用規格の拡張バス16とISA(Industrial Standard Architecture)ブリッジを含むCPUシステムを構築する際によく使用されるバスのブリッジ機能を汎用回路化したものであり、ROM12との間をブリッジしている。
【0028】
ROM12は、MFP1の基本プログラム及び後述する本発明の画像処理方法を実行する画像処理プログラム等のプログラム及び必要なシステムデータが格納されており、CPU9が、該ROM12内のプログラムに基づいて上記メモリ10をワークメモリとして利用しつつ、MFP1の各部を制御して、MFP1の基本動作制御及び後述する画像処理を実行する。
【0029】
操作表示部(クリアトナー処理選択手段)13は、ユーザへのインターフェイスを行う部分であって、ディスプレイ、例えば、LCD(Liquid Crystal Display:液晶表示装置)及びキースイッチ等を備えている。操作表示部13は、PCI−Expressバスである拡張バス16を介してCPU9と接続されており、CPU9の制御下で、MFP1の各種状態や操作方法をディスプレイに表示し、また、ユーザからのキースイッチ入力操作を検知する。特に、操作表示部13では、画像データの出力モード(写真原稿モード、文字原稿モード等)を選択する操作が行われる。上記CPU9及び操作表示部13は、全体として、出力モード検出手段として機能している。
【0030】
回線I/F部14は、PCI−Expressバスである拡張バス16と電話回線を接続し、MFP1の電話回線を介した各種データのやり取り、例えば、外部のファクシミリ装置FXとのファクシミリ通信を可能として、外部のファクシミリ装置FXとの間で、画像データの入出力を行う。
【0031】
外部I/F部15は、PCI−Expressバスである拡張バス16と外部装置GSを接続し、外部装置GSと各種データのやり取りを行う。外部I/F部15は、例えば、イーサネット(登録商標)等のネットワークに接続され、該ネットワーク上の外部装置GSと接続されて、該外部装置GSとの間で画像データの入出力を行う。
【0032】
外部装置GSは、例えば、パーソナルコンピュータ等であり、ユーザは、パーソナルコンピュータ等の外部装置GSにインストールされているアプリケーションソフトやドライバを利用して、外部I/F部15を介して、MFP1の各種制御や画像データの入出力を行うことができる。
【0033】
上記読み取り画像データ処理部3は、図2に示すようにブロック構成されており、像域分離&文字サイズ判断処理部21、地肌除去処理部22、γ変換部23、孤立点除去処理部24、フィルタ処理部25、変倍処理部26及び色変換&クリアトナー付与処理部27等を備えている。読み取り画像データ処理部3は、像域分離&文字サイズ判断処理部21に、読み取り部2からの画像データが入力画像データとして入力され、入力画像データを予め定めた特性に統一して、バス制御部4に送る。
【0034】
像域分離&文字サイズ判断処理部(文字画素判断手段、文字領域サイズ判定手段)21は、読み取り部2から受け取ったRGB画像データを1画素毎に文字であるか絵柄(網点)であるか等を判断し、文字と認識した場合には、その文字サイズがどの程度の大きさであるかを複数の閾値に基づいて分類する。
【0035】
地肌除去処理部22は、読み取り部2から受け取ったRGB画像データの地肌部を、ライン毎に追従しながら算出し、適切な地肌値を除去する処理を行う。地肌除去処理部22は、この地肌処理において、通常の白い紙の原稿だけでなく、新聞紙や色紙等の地肌を飛ばして、真っ白い原稿として出力する効果も発揮する。
【0036】
γ変換部23は、読み取り部2から入力されるデジタル化された入力画像データをγ変換(ガンマ変換処理)して反射率を基にした特性から予め定められた明るさの特性、例えば、明度リニアな特性に変換する。γ変換部23は、特に、階調性の補正、グレーバランスの補正等を行う。
【0037】
孤立点除去処理部24は、画像データ中の孤立点を検出し、削除を行う。
【0038】
フィルタ処理部25は、γ補正された入力画像データに対して、像域分離処理で得られた分離情報に応じて、RGB画像データの文字部では、鮮鋭性を向上させ、RGB画像データの絵柄部(網点部)では、平滑処理を行って、滑らかな階調性を向上させるフィルタ処理を行う。
【0039】
変倍処理部26は、読み取り部2から入力された画像データのサイズ(解像度)の変換(特に拡大処理)及び文字の線を太くする太線化処理を行う。
【0040】
色変換&クリアトナー付与処理部27は、図3に示すようにブロック構成されており、色相分割マスキング処理部31、三次元LUT処理部32、UCR/UCA処理部33及びクリアトナー付与処理部34を備えている。
【0041】
色変換&クリアトナー付与処理部27は、変倍処理部26から入力されるRGB信号を色相分割マスキング処理部31により、予め統一された色空間、例えば、色空間がAdobe社で定義されるAdobe−RGBのような色空間になるように変換し、三次元LUT処理部32が、非線形変換によって、出力の形式にあった色空間に変換する。例えば、三次元LUT処理部32は、コピーモードでは、RGBデータをCMYK各8ビットに変換する。
【0042】
UCR(下色除去:Under Color Removal)/UCA(下色追加:Under Color Addition)処理部33は、墨生成を行った後、像域分離&文字サイズ判断処理部21で求めた文字サイズ情報に基づいて、クリアトナー量の付与量を求める。このクリアトナー付与量は、MFP1のユーザが操作表示部13や外部装置GSからの指示に基づいてもよいし、MFP1自身が判断してもよい。例えば、ユーザが操作表示部13で写真原稿を選択した場合に、MFP1自身が写真であればトナーの凸凹をなくし、画像全体が均一の光沢であるほうが出力画像がきれいに見えると判断して、凸凹をなくすようにクリアトナー量を決める。また、クリアトナー量を決定する場合は、CMYK+αのトータルでの総量規制量に注意する必要がある。ただし、MFP1が、定着器がクリアトナー用にCMYK用とは別に設けられている場合やCMYKで一度定着して、その後に別途クリアトナーを定着するような場合には、CMYKの総量規制とクリアトナーの総量規制を独立に扱うことが可能であり、それぞれのトナーを載せる量を増やすことができるため、自由度があがる。本発明では、一度の定着であっても二度の定着であっても適用することができる。なお、UCR/UCA処理部33は、ユーザからウォーターマークやセキュリティマーク等が指示された場合は、その指示に従って、各画素のクリアトナー量を決定する。
【0043】
少なくとも上記γ変換部23、フィルタ処理部25、変倍処理部26及び色変換&クリアトナー付与処理部27は、全体として、ガンマ変換処理、フィルタ処理、太線化処理、拡大処理及び色変換処理を行う画像処理手段として機能している。
【0044】
プロッタ画像データ処理部5は、図4に示すようにブロック構成されており、エッジ抽出処理部41、γ変換処理部42及び階調処理部43を備えている。
【0045】
エッジ抽出処理部41は、CMYK画像データまたはCMYK+α画像データから、エッジ部、絵柄部等を切り分け、主に、1次微分フィルタや2次微分フィルタ等を上下左右斜め方向でそれぞれ算出して、その最大の値をエッジ量として求める。
【0046】
γ変換処理部42は、CMYK画像データまたはCMYK+α画像データをプロッタ部7の特性に合わせるγ変換処理を行って、滑らかな階調表現を出力可能とし、また、このγ変換処理においては、エッジ抽出処理で抽出されたエッジ部や絵柄部に応じて、γ変換を切り替えて、処理を行うようにしてよい。
【0047】
階調処理部43は、CMYK各8bitのデータをプロッタ部7で再現可能なbit数に変換する。本実施例のMFP1では、2bitに変換する。階調処理部43は、通常の文字写真原稿での処理においては、エッジ抽出処理部41のエッジ抽出処理結果から、文字と絵柄部の閾値を変化させながら、疑似中間調処理の誤差拡散処理を実施する。なお、クリアトナー量については、色変換&クリアトナー付与処理部27で、予め2bitのデータとなっているので、特に階調処理で処理を行う必要はない。
【0048】
なお、MFP1は、ROM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )、DVD(Digital Video Disk)、SD(Secure Digital)カード、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている本発明の画像処理方法を実行する画像処理プログラムを読み込んでROM12やHDD8に導入することで、後述する細かい文字でも判別性・訴求性を向上させるクリアトナー付与を含む画像処理方法を実行する画像処理装置を搭載する画像形成装置として構築されている。この画像処理プログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記記録媒体に格納して頒布することができる。
【0049】
次に、本実施例の作用について説明する。本実施例のMFP1は、細かい文字についても、判読性を向上させつつ、訴求性を向上させるクリアトナー付与を伴う画像処理を行う。
【0050】
なお、本実施例は、コピー動作において、クリアトナー付与画像データ生成処理を行うものとして、以下説明するが、外部装置GSからの印刷データに基づくプリント動作においても、同様にクリアトナー付与画像データ生成処理を行うことができるが、この場合には、読み取り画像データ処理部3の色変換&クリアトナー付与処理部27のクリアトナー付与処理を外部装置GSのプリンタドライバまたはMFP1のCPUが実行することで、対応することができる。また、本発明では、CMYKのトナー量が十分でない場合に、より効果的であるが、CMYKのトナー量が十分な場合であっても適切な効果を得ることができるため、以下の説明においては、トナー量については、言及しない。なお、CMYKトナー量が十分でない場合としては、例えば、トナー残量が少ないが、現在行っているジョブの印刷処理を、トナーを補給することなく完了させたい場合、高速出力(特に、ファーストプリント)のために、トナー量を抑えて定着温度を低くしたい場合やトナーセーブモード等がある。
【0051】
まず、MFP1におけるコピー動作について説明する。MFP1は、ユーザが原稿を読み取り部2の原稿台にセットして、所望するモード等の設定とコピー開始の入力を操作表示部13で行うと、操作表示部13が、ユーザから入力された情報を、制御コマンドデータに変換して、発行する。MFP1は、操作表示部13の発行した制御コマンドデータを、PCI-Expressバスを介してCPU9に通知し、CPU9は、コピー開始の制御コマンドデータに従って、コピー動作プロセスのプログラムを実行して、コピー動作に必要な設定や動作を順に行う。
【0052】
すなわち、MFP1は、CPU9の制御下で、読み取り部2に原稿をスキャンさせて、取得されたRGB各8ビットのデジタル画像データを、読み取り画像データ処理部3に送って、読み取り画像データ処理部3が、読み取り画像データに対して、必要な補正処理を行って、CMYK+α(クリアトナー)画像データとして、バス制御部4に送り出す。
【0053】
バス制御部4は、読み取り画像データ処理部3からのCMYK+α画像データを受け取ると、CPU9を介してメモリ10に蓄積する。
【0054】
次に、CPU9は、メモリ10に蓄積されたCMYK+α画像データを、バス制御部4を介して、プロッタ画像データ処理部5に送る。
【0055】
プロッタ画像データ処理部5は、受け取ったCMYK+α画像データを、プロッタ出力用に階調処理を行って、プロッタ出力用のCMYK+αデータに変換し、プロッタI/F部6を介して、プロッタ部7に送り出す。
【0056】
プロッタ部7は、受け取ったCMYK+α画像データに基づいてCMYKトナー及びクリアトナーを用いて画像を用紙に出力し、原稿のコピーを生成する。
【0057】
そして、MFP1は、上記コピー処理において、図5に示すように、読み取り画像データ処理部3が、クリアトナー付与画像データ生成処理を行う。すなわち、読み取り画像データ処理部3は、まず、文字に訴求効果を与え、かつ、判読性を向上させるために、操作表示部13でのユーザによるコピー開始操作によって設定された情報がCPU9から通知されると、該通知によって文字原稿モードであるかどうかを確認する(ステップS101)。
【0058】
ステップS101で、NOのとき、すなわち、原稿モードが文字原稿モードでないときには、読み取り画像データ処理部3は、色変換&クリアトナー付与処理部27に、それぞれのモードに応じたクリアトナーの載せ方でクリアトナー付与量を設定したクリアトナー付与画像データを生成するクリアトナー付与画像データ生成処理を行わせる(ステップS102)。例えば、読み取り画像データ処理部3は、写真原稿モードの場合は、トナーの凸凹をなくし、画像全体が均一の光沢であったほうが写真画像はきれいに見えるため、色変換&クリアトナー付与処理部27に、凸凹をなくすように、クリアトナー量を決定させる。
【0059】
ステップS101で、YESのとき、すなわち、文字原稿モードのときには、読み取り画像データ処理部3の像域分離&文字サイズ判断処理部21が、各々の画素が文字であるかどうかを判定した後に、文字領域のサイズを判断する(ステップS103、S105)。文字サイズの判断方法は、OCR(Optical Character Reader)機能によって、辞書データとマッチング処理を行って、その文字が何ポイントのデータであるかを検出する方法、簡略的に縦横の文字領域における画素数のうち最小の値をサイズとする方法等の種々の方法を用いることができる。
【0060】
例えば、図6に示すように、「H」の文字の場合、主走査(横)画素の最小幅は、図6にa、または、bで示す画素領域であり、副走査(縦)画素の最小幅は、cで示す画素領域となる。そして、像域分離&文字サイズ判断処理部21は、これらの画素領域の最小幅に基づいて、以下に示すような文字サイズ分類用の2つの閾値TH1、TH2と比較して、文字サイズを、以下のように、大、中、小の3種類のサイズに分類する。
【0061】
文字サイズ大:文字の大きさ≧TH1
文字サイズ中:TH2≦文字の大きさ<TH1
文字サイズ小:文字の大きさ<TH2
なお、以下の説明では、文字サイズを大、中、小、3つのサイズに分類するものとして説明するが、文字サイズを分類する数は、3つに限るものではなく、4つ以上であってもよいし、2つであってもよい。
【0062】
なお、本実施例のMFP1は、文字原稿モードであれば、原稿に存在する文字の全部の訴求性、判読性を向上させるように処理を行うが、文字全てに対して訴求性、判読性を向上させる処理方法に限るものではなく、例えば、原稿の中で特に訴求性を向上させたい文字部分があるときには、その文字部分のみを、操作表示部13等で選択する等の方法で訴求性対象文字部分を選択し、該当する文字部分のみを対象にして、以下に説明するクリアトナー付与画像データ生成処理を行うようにしてもよい。また、後述するように、赤色等の他の文字と色の異なる文字を、読み取り画像データ処理部3が訴求性対象文字として自動選択して、以下に説明するクリアトナー付与画像データ生成処理を行うようにしてもよい。
【0063】
ステップS103で、YESのとき、すなわち、文字サイズが大サイズのときには、像域分離&文字サイズ判断処理部21は、文字サイズが大サイズである旨の情報を、後続の各画像処理モジュール22〜27に画素データとともに送信する。すなわち、像域分離&文字サイズ判断処理部21は、RGB各8bitデータの他に、分離データ(文字、白背景、絵柄のいずれかを示すデータ)及び文字サイズデータ(大、中、小のいずれかを示すデータ)も合わせて、後続の各画像処理モジュール22〜27に送信する。
【0064】
この場合、読み取り画像データ処理部3は、色変換&クリアトナー付与処理部27で、基本的には、クリアトナーを文字領域全体に載せることで、訴求性と判読性を向上させる処理を行って、クリアトナー付与画像データ生成処理を終了する(ステップS104)。具体的には、読み取り画像データ処理部3は、フィルタ処理部25で、文字サイズが大サイズの画像データにおいては、訴求性の向上を図ることができる場合であっても、必要以上にエッジ部を強調しないように、すなわち、エッジ強調フィルタを弱くする。すなわち、エッジ部を強調すると、図7に示すように、背景部と文字部との境界部分の画素のみが濃くなり、文字の線の中が薄くなって、濃度ムラが発生するおそれがある。また、読み取り画像データ処理部3は、色変換&クリアトナー付与処理部27で、文字サイズが大サイズの画像データに対して、クリアトナーを付与するために、α=1(αは、1bitデータであり、クリアトナーを付与する場合、α=1、付与しない場合、α=0)として、バス制御部4に送信する。
【0065】
ステップS103で、NOのとき、すなわち、文字サイズが大サイズでないときには、読み取り画像データ処理部3は、文字サイズが中サイズであるかチェックして(ステップS105)、YESのとき、すなわち、文字サイズが中サイズのときには、文字サイズが中サイズである旨の情報を、後続の各画像処理モジュールに画素データとともに送信し、変倍処理部26で文字領域の拡大処理を行うとともに、色変換&クリアトナー付与処理部27で、クリアトナーを文字領域残対に載せることで、訴求性と判読性を向上させる処理を行って、クリアトナー付与画像データ生成処理を終了する(ステップS106)。すなわち、文字サイズが中サイズのときには、通常の文字データ処理と同様に処理を行うと、クリアトナーが文字の背景部にまたがって付与されて、判読性が悪化するおそれがある。そこで、文字サイズが中サイズのときには、読み取り画像データ処理部3は、まず、変倍処理部26で、文字データの太線化処理及び拡大処理を行う。すなわち、変倍処理部26は、例えば、図8に示すように、文字が「H」の場合、線を大きく(太く)させる太線化処理を行い、クリアトナーを載せやすくする。また、変倍処理部26は、図9(a)に示す中サイズの文字(例えば、「A」)を、図9(b)に示すように、大サイズの文字へ拡大処理を行う。変倍処理部26は、文字の線の太線化処理においては、あまり線を太くする割合を増やしてしまうと、文字の鮮鋭性が損なわれたり、文字のなかの非エッジ部(例えば、図9の斜線部)が小さくなってしまうため、線を太くする割合のバランスを考慮する必要があり、特に、文字サイズが「小」の場合には、後述するように、文字の線の太線化を行うことができない。また、変倍処理部26は、文字サイズの拡大処理においては、文字サイズを拡大しすぎると、文章のバランスが崩れてしまうため、画像全体の文字のサイズを考慮した拡大処理を行うことが好適である。すなわち、中サイズの文字の場合、図9(a)に示すように、文字エッジに囲まれている斜線部の面積が小さいため、版ズレにより文字領域をはみ出たクリアトナーによって斜線部のほとんどが塗られてしまう可能性があるが、図9(b)に示すように、拡大処理を行うと、クリアトナーが塗られない斜線部の面積が大きくなり、斜線部と文字自体との間における光沢差を鮮明にさせて、判読性を向上させることができる。
【0066】
なお、文字サイズがもともと「大」の場合、または、「中」の文字サイズを「大」にした場合、図9(b)に示したように、背景部にクリアトナーが多少はみ出しても、文字の中部分が全て塗られることもなく、文字が大きいために、明度差がくっきり保たれているため、訴求性及び判読性が損なわれることがないだけでなく、上記処理を行うことで、文字品質を向上させることができる。
【0067】
すなわち、MFP1は、読み取り画像データ処理部3において、原稿の画像データに、図10に示すように、文字領域の有無を判別して、サイズの異なる文字が混在する場合、中サイズの文字に対してのみ、文字サイズを大サイズに拡大処理して、クリアトナーを載せ易くしているとともに、文字サイズを大きくすることによって、明度差を向上させている。
【0068】
そして、ステップS105で、NOのとき、すなわち、文字サイズが小サイズのときには、像域分離&文字サイズ判断処理部21が、文字サイズが小サイズである旨の情報を、後続の各画像処理モジュールに画素データとともに送信する。そして、文字サイズが小サイズの場合、上述のように、文字部にクリアトナーを載せると、背景部にもクリアトナーが載ってしまい、文字の判読性が低下するおそれがある。そこで、読み取り画像データ処理部3は、小サイズの文字の判読性、訴求性の低下を防止するために、γ変換部23で、文字の背景部の濃度を通常よりも小さくし、フィルタ処理部25で、文字部の強調フィルタを通常よりも大きく、さらに、色変換&クリアトナー付与処理部27で、文字色を変更する、すなわち、文字色変更処理を行うとともに、色変換&クリアトナー付与処理部27で、クリアトナーの付与を禁止する処理(α=0)を行う(ステップS107)。
【0069】
すなわち、文字サイズが小サイズのときには、読み取り画像データ処理部3は、小サイズの文字の訴求性、判読性を向上させるために、まず、γ変換部23で、小サイズの文字の背景部の濃度を、通常よりも小さくし、フィルタ処理部25で、文字部の強調フィルタを通常よりも大きくする。読み取り画像データ処理部3は、さらに、色変換&クリアトナー付与処理部27の色変換処理で、文字色を変更する。色変換&クリアトナー付与処理部27の色変換処理においては、基本的に、トナー量が制限されている場合には、2次色、3次色であると、彩度が出にくい方向となるため、1次色方向で、かつ、視認性の高い色相の方向に文字色の色相をずらすことで、彩度を上げて訴求性を向上させる。例えば、赤文字の場合、CMYKのうち、Y(イエロー)方向よりも、M(マゼンタ)方向に、小サイズ文字の色をずらすことで訴求性を上げる。そして、読み取り画像データ処理部3は、色変換&クリアトナー付与処理部27のクリアトナー付与画像データ生成処理では、文字が小さい場合には、訴求性、判読性にとっては、クリアトナーを付与しない方が良好であるため、小サイズの文字領域には、α=0として、バス制御部4に画像データを送信する。このように、小サイズの文字に対しては、クリアトナーを付与しないことで、訴求効果や判読性を上げることができる。
【0070】
ところが、フィルタ処理部25のフィルタ処理において、強調フィルタを通常よりも強くすると、特に、文字が大きくなると、図7に示したように、副作用が目立ってくるため、全ての文字サイズに使用できるわけではない。さらに、色変換&クリアトナー付与処理部27の色補正処理で、文字色を変更しているため、原稿に忠実ではなくなっているが、最も重要である文字の訴求性や判読性を向上させることができる。
【0071】
このように、本実施例のMFP1は、画像データの出力モードが文字原稿モードであるか否かを検出して、文字原稿モードであると、該画像データの画素データ毎に文字の画素データであるか否かを判断し、文字領域毎にその文字領域サイズを判定して、画像データに対して、該画像データの出力画像としてクリアトナーを付与した画像を形成させるクリアトナー付与画像データを生成するクリアトナー付与画像データ生成処理を含む複数種類の画像処理を施す場合の該画像処理の内容として、該画像データの出力モードが該文字原稿モード以外であると、該クリアトナー付与画像データ生成処理を決定し、該画像データの出力モードが該文字原稿モードであると、該文字領域の文字領域サイズの大きさに基づいて該文字領域の画像データに対して施す画像処理の内容を決定している。
【0072】
したがって、細かい文字についても、判読性を向上させつつ、訴求性を向上させることのできるクリアトナーの付与を伴う画像処理を行うことができる。
【0073】
また、本実施例のMFP1は、文字領域を、大サイズ、中サイズ及び小サイズの3種類の文字領域サイズに判定し、該文字領域に施す画像処理の内容として、該小サイズの文字領域の画像データに対して、γ変換処理部23で、背景濃度を小さくさせ、フィルタ処理部25で、強調フィルタ処理を行わせ、色変換&クリアトナー付与処理部27の色変換処理で、文字色の変更処理を行わせるとともに、クリアトナー付与画像データ生成処理を禁止する画像処理内容を採用している。
【0074】
したがって、文字サイズが小さい場合に、文字領域にクリアトナーを載せないことで、文字の背景部にもクリアトナーがまたがって付与されることで判読性が低下することを防止することができるとともに、小サイズの文字を、通常の文字データ処理よりも訴求性を向上させる画像処理を行うことができる。
【0075】
さらに、本実施例のMFP1は、中サイズの文字領域の画像データに施す画像処理の内容として、変倍処理部26で、太線化処理を行わせ、該変倍処理部26で、大サイズの文字への拡大処理を行わせるとともに、色変換&クリアトナー付与処理部27で、クリアトナー付与画像データ生成処理を行わせている。
【0076】
したがって、文字サイズが中サイズの場合に、文字の印字面積を大きくさせることで、文字領域にそのままクリアトナーを載せることによる文字の背景部にもクリアトナーがまたがって付与されることで、判読性が低下することを防止することができ、判読性を向上させることができる。
【0077】
また、本実施例のMFP1は、大サイズの文字領域の画像データに施す画像処理の内容として、フィルタ処理部25で、弱いエッジ強調フィルタ処理を行わせるとともに、色変換&クリアトナー付与処理部27で、クリアトナー付与画像データ生成処理を行わせる画像処理内容を採用している。
【0078】
したがって、文字サイズが大サイズの場合に、文字の輪郭部での強調フィルタを弱くすることで、強調フィルタで単純にエッジ部を強調すると、文字の輪郭のみ目立って、文字のなか部が薄くなり、線に濃度ムラができてしまうことを防止することができるとともに、文字が大サイズであることから背景部にまたがることなく、クリアトナーを載せることで、文字の訴求性を向上させることができる。
【実施例2】
【0079】
図11から図20は、本発明の画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体の第2実施例を示す図であり、図11は、本発明の画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体の第2実施例を適用したMFP1の読み取り画像データ処理部50のブロック構成図である。
【0080】
なお、本実施例は、第1実施例のMFP1と同様のMFPに適用したものであり、本実施例の説明においては、第1実施例のMFP1と同様の構成部分には、同一の符号を伏してその説明を省略するとともに、図示しない部分についても、必要に応じて、第1実施例の説明で用いた符号をそのまま用いて説明する。
【0081】
本実施例のMFP1は、図1に示した第1実施例のMFP1と同様の構成を有しており、その読み取り画像データ処理部50が、図11に示すようにブロック構成されている。
【0082】
図11において、読み取り画像データ処理部50は、像域分離&文字サイズ判断処理部21、色差算出処理部51、地肌除去処理部22、γ変換部23、孤立点除去処理部24、フィルタ処理部25、変倍処理部26、色変換&クリアトナー付与処理部27を備えている。
【0083】
像域分離&文字サイズ判断処理部21は、第1実施例と同様であるが、本実施例では、1つの閾値THに基づいて、文字サイズの大きさを、「大」と「小」の2種類の文字サイズに分類する。
【0084】
色差算出処理部(色差検出手段)51は、図12に示すようにブロック構成されており、ラインバッファ61、文字領域ラベリング部62、文字色抽出部63、文字背景色抽出部64、色差算出部65及び色差分類処理部66等を備えており、文字領域と背景領域との色差の所定の閾値色差に対する大小を検出する。
【0085】
ラインバッファ62は、像域分離&文字サイズ判断処理部21からの画像データを数百〜数千ライン分蓄積し、文字領域ラベリング部62は、ラインバッファ61の画像データの画素毎の文字領域情報を用いて、文字領域ラベリングを行う。
【0086】
文字色抽出部63は、文字領域ラベリング部62のラベリングを行った文字領域の各画素のRGN値から、その平均のRGB値を求める。
【0087】
文字背景色抽出部64は、図13に示すように、文字領域の周囲数画素を抽出して、その平均のRGB値を求め、色差算出部65は、文字領域の平均RGB値と背景部の平均RGB値から、色差、主に、色相の相違を求める。この色差の求め方は、RGBからLabに色変換を行い、Lab空間上のユークリッド距離を算出する正規の手法であってもよいし、R信号、G信号、B信号の相対的な差分から色相角を算出して、その色相角がどの程度離れているかを比較することで求める方法であってもよい。
【0088】
色差分類処理部66は、色差算出部65の求めた色差の数値と、ある所定の閾値とを比較して、文字色と背景色とが同系色かどうかを判断する。
【0089】
再び、図11に戻って、読み取り画像データ処理部50は、地肌除去処理部22、γ変換部23、孤立点除去処理部24、フィルタ処理部25、変倍処理部26及び色変換&クリアトナー付与処理部27は、第1実施例と同様であるが、色差算出処理部51の求めた色差と文字サイズに基づいて画像処理とクリアトナー付与画像データ生成処理を行う。
【0090】
次に、本実施例の作用について説明する。本実施例のMFP1は、文字サイズだけでなく、文字色と文字背景色の色差に基づいて文字に対する画像処理とクリアトナー付与画像データ生成処理を制御する。
【0091】
なお、本実施例においても、コピー動作において、クリアトナー付与画像データ生成処理を行うものとして、以下説明するが、外部装置GSからの印刷データに基づくプリント動作においても、同様にクリアトナー付与画像データ生成処理を行うことができる。また、以下の説明では、出力モードが文字原稿モードであるものとして説明する。
【0092】
MFP1は、コピー処理において、図14に示すように、読み取り画像データ処理部3が、文字サイズと色差に基づくクリアトナー付与画像データ生成処理を行う。すなわち、読み取り画像データ処理部50は、まず、文字に訴求効果を与え、かつ、判読性を向上させるために、操作表示部13でのユーザによるコピー開始操作によって設定された情報がCPU9から通知されて、該通知によって文字原稿モードであることを確認すると、像域分離&文字サイズ判断処理部21で、各々の画素が文字であるかどうかを判定した後に、文字領域のサイズを判断する(ステップS201)。文字サイズの判断方法は、第1実施例の場合と同様であるが、本実施例の像域分離&文字サイズ判断処理部21は、文字サイズ判定用の1つの閾値に基づいて、文字サイズを、大サイズと小サイズの2種類に分類する。
【0093】
なお、以下の説明では、文字サイズを大、小の2つのサイズに分類するものとして説明するが、文字サイズを分類する数は、2つに限るものではない。
【0094】
ステップS201で、YESのとき、すなわち、文字サイズが大サイズのときには、像域分離&文字サイズ判断処理部21は、文字サイズが大サイズである旨の情報を、後続の各画像処理モジュールに画素データとともに送信し、色差算出処理部51が、文字色と文字背景色との色差が、所定の閾値(閾値色差)と比較して、大きいか否か判断する(ステップS202)。
【0095】
ステップS202で、YESのとき、すなわち、文字色と背景色との色差が大きい(文字色と背景色が同系色でない)ときには、図15に示すように、色差算出処理部51が、文字色が白色(白文字)であるかチェックする(ステップS203)。
【0096】
ステップS203で、YESのとき、すなわち、例えば、図16に示すように、白文字(黒地上の白文字)のときには、色差算出処理部51が、文字サイズが大サイズで、文字色と背景色との色差が大きく、文字色が白文字であるとの情報を後段の画像処理モジュールに送信して、フィルタ処理部25が、エッジ強調フィルタを弱くしてエッジ強調処理を行ない、色変換&クリアトナー付与処理部27は、クリアトナー付与画像データ生成処理が自動的にOFFとなって、白文字の箇所へのクリアトナーの付与を行わない(α=0)(ステップS204)。すなわち、図16に示すように、文字サイズが大サイズで、文字色と背景色との色差が大きく、文字色が白文字である場合、白文字は、トナーが無く、背景には、ある程度濃度の濃いトナー(図16では、黒色トナー)が載っているため、クリアトナーを載せない方が相対的な光沢差がでて、訴求性を向上させることができる。
【0097】
ステップS203で、NOのとき、すなわち、文字色が白文字でないときには、色差算出処理部51が、文字サイズが大サイズで、文字色と背景色との色差が大きく、文字色が白文字ではないとの情報を後段の画像処理モジュールに送信して、フィルタ処理部25が、エッジ強調フィルタを弱くしてエッジ強調処理を行ない、色変換&クリアトナー付与処理部27が、クリアトナーの消費量をセーブするのか、画質を優先するのかのユーザによる操作表示部13での選択に応じて文字部にクリアトナーを付与するかしないかを決定する(ステップS205)。このユーザによる設定情報(クリアトナーセーブモードか、画質優先(高画質)モードか)、文字色と文字背景色との色差の大きさ及びクリアトナーの付与量の関係は、例えば、図17に示すような関係にある。図17では、クリアトナー(透明トナー)セーブモードであって、色差が中程度であると、少量のクリアトナーを文字部に載せ、色差が大程度であると、クリアトナーを文字部に載せない設定となっている。また、ユーザの設定が画質優先(高画質)モードであり、色差が中程度であると、中程度の量のクリアトナーを文字部に載せ、色差が大程度であると、少量のクリアトナーを文字部に載せる。すなわち、色差が大きいほどクリアトナーの量を少なくし、高画質モードよりもクリアトナーセーブモードの方が、クリアトナーを少なくする。要するに、文字サイズが大サイズで、文字色と背景色との色差が大きく、文字色が白文字でないときには、クリアトナーを載せなくても判別性がある程度のレベルに達しているため、クリアトナーを載せる量を、ユーザの判断に任せている。
【0098】
図14のステップS202で、NOのとき、すなわち、例えば、図18に示すように、グレー地上に黒文字がある場合のように、文字色と背景色との色差が小さい(文字色と背景色が同系色である)ときには、色差算出処理部51が、文字サイズが大サイズで、文字色と背景色との色差が小さいとの情報を後段の画像処理モジュールに送信して、フィルタ処理部25が、エッジ強調フィルタを弱くしてエッジ強調処理を行ない、色変換&クリアトナー付与処理部27が、通常文字よりも多くのクリアトナーを付与する(ステップS206)。すなわち、文字の背景が同系色であると、訴求性が弱いため、フィルタ処理部25では、文字サイズが大サイズの画素においては訴求性を上げる場合であっても、必要以上にエッジ部を強調しないようにする。この場合、エッジ部を強調すると、図7に示したように、背景部と文字部との境界部の画素のみが濃くなり、文字の線の中が薄くなってしまう。そして、色変換&クリアトナー付与処理部27では、文字領域とされた箇所にクリアトナーを付与するが、クリアトナーの付与量を、通常の付与量よりも多く(厚く)して、文字部の光沢度を向上させる。この場合、クリアトナーの付与量をさらに増やすと、文字が立体的に見えるようにすることができ、訴求性をより一層向上させることができる。また、この場合、文字サイズが大サイズであるので、多少クリアトナーがずれても、文字の判読性が低下することがない。このように、文字サイズが大サイズで、文字色と背景色との色差が小さいときには、エッジ強調フィルタを弱くし、文字部に付与するクリアトナーの量を通常よりも多くすることで、文字の訴求性をより一層向上させ、かつ、判読性も維持することができる。
【0099】
そして、ステップS201で、NOのとき、すなわち、文字サイズが小サイズのときには、色差算出処理部51が、文字色と背景色との色差が大きいか判断し(ステップS207)、YESのとき、すなわち、文字色と背景色との色差が大きいときには、色差算出処理部51が、文字サイズが小サイズで、文字色と背景色との色差が大きいとの情報を後段の画像処理モジュールに送信して、特に大きな画像処理の変更を行わず、また、クリアトナーの文字部への付与も行わない(ステップS208)。すなわち、文字サイズが小さく、文字色と背景色との色差が大きいときには、コントラストがとれていて、文字部は、訴求性、判読性をある程度有していると考えられる。したがって、読み取り画像データ処理部50は、γ変換部23で背景部の濃度を多少低くしたり、フィルタ処理部25で多少エッジ強調を強く行ったりする程度の画像処理を行わせる程度として、特に大きな画像処理の変更を行わず、かつ、色変換&クリアトナー付与処理部27でのクリアトナーの付与も行わない。すなわち、文字サイズが小さく、文字色と背景色との色差が大きいときには、通常の状態において既に判読性、訴求性ともに、一定レベルに達していると考えられ、画像処理を行なってしまうと、かえって、副作用の方が大きくなる可能性が高いため、あえてなんの画像処理も行わない。
【0100】
ステップS207で、NOのとき、すなわち、文字色と背景色との色差が小さいときには、色差算出処理部51は、文字サイズが小サイズで、文字色と背景色との色差が小さいとの情報を後段の画像処理モジュールに送信して、フィルタ処理部25で、文字部の強調フィルタを通常よりも大きくすることで、訴求性を上げるようにし、また、色変換&クリアトナー付与処理部27で、文字色を文字背景色に対して色差が大きくなる方向に色変換を行うとともに、文字部にクリアトナーを付与しない(α=0)(ステップS209)。すなわち、文字サイズが小サイズで、色差が小さい場合は、訴求性が低い。例えば、図19に示すようにシアン色が背景で、青文字の場合(シアン地上に青文字の場合)、図20に太い矢印で示すように、青(B)の二次色をシアン(C)とは逆のマゼンタ(M)の方向に文字の色相をずらす処理を行うことで、背景色とのコントラストをつけ、訴求性を向上させることができる。また、同色のグレー地に黒文字であれば、背景の濃度を低くすることで、コントラストをつけることができる。
【0101】
また、文字サイズが小サイズの場合、上述のように、クリアトナーを文字に付与すると、文字背景にクリアトナーがはみ出てしまうため、クリアトナーを付与することができない。そこで、文字サイズが小さく、文字色と背景色との色差が小さいときには、エッジ強調を行ったり、色相を変化させたりすることで、訴求性と判読性を向上させる。ただし、画像処理を通常よりも強く行っている分、原稿からは少しずれてしまうが、より一層重要である訴求性や判読性を向上させることができる。
【0102】
なお、上記各実施例においては、原稿の文字部全てを対象として、クリアトナーの付与を伴う画像処理を行っているが、原稿のうち特定の文字部分のみをクリアトナーの付与を伴う画像処理の対象としてもよい。
【0103】
例えば、赤色と黒色が混在する赤黒原稿の場合、ユーザが通常最も重要と考えていると思われる赤文字部をクリアトナーの付与を伴う画像処理対象として、訴求性を向上させる上記クリアトナー付与画像データ生成処理を行う。また、例えば、蛍光ペンが使用されている原稿においては、蛍光ペンで塗られている文字をクリアトナーの付与を伴う画像処理対象として、訴求性を向上させる上記クリアトナー付与画像データ生成処理を行う。さらに、蛍光ペンが使用されている原稿においては、文字が蛍光ペンで塗られている分、訴求性はあっても判読性が低減している場合があるため、蛍光ペン部に対して積極的にクリアトナーを付与するようにしてもよい。
【0104】
そして、原稿の画像データから赤文字部分や蛍光ペンで塗られた部分の検出は、赤文字部であれば、第2実施例の場合では、文字色抽出部63で、赤文字であるか否かを判断することで行ない、蛍光ペンであれば、第2実施例の場合では、文字背景色抽出64で、白背景以外であることを判断することで行う。
【0105】
このようにすると、赤黒原稿の重要な赤文字部分や蛍光ペンの施された原稿の蛍光ペンで塗られた文字を自動的に判別して、訴求性を向上させることができる。
【0106】
このように、本実施例のMFP1は、文字領域と該文字領域の背景領域との色差の所定の閾値色差に対する大小を検出し、文字領域を大サイズと小サイズの2種類の文字領域サイズに判定する。そして、MFP1は、文字領域に施す画像処理の内容として、小サイズであって色差の大きい文字領域に対しては、色変換&クリアトナー付与処理部27でのクリアトナー付与画像データ生成処理を禁止し、小サイズであって色差の小さい文字領域に対しては、フィルタ処理部25で、強いエッジ強調フィルタ処理を行わせ、色変換&クリアトナー付与処理部27の色変換処理で、背景領域の色とのコントラストが強くなる色変換処理を行わせるとともに、色変換&クリアトナー付与処理部27でのクリアトナー付与画像データ生成処理を禁止する。また、MFP1は、大サイズであって色差の小さい文字領域に対しては、フィルタ処理部25で、弱いエッジ強調フィルタ処理を行わせるとともに、色変換&クリアトナー付与処理部27で、通常よりも多くのクリアトナーを付与させるクリアトナー付与画像データ生成処理を行わせる。さらに、MFP1は、大サイズであって色差が大きく、文字色が白色である文字領域に対しては、フィルタ処理部25で、弱いエッジ強調フィルタ処理を行わせるとともに、色変換&クリアトナー付与処理部2727でのクリアトナー付与画像データ生成処理を禁止し、大サイズであって色差が大きく、文字色が白色以外の色である文字領域に対しては、フィルタ処理部25で、弱いエッジ強調フィルタ処理を行わせるとともに、色変換&クリアトナー付与処理部2727でのクリアトナー付与画像データ生成処理を、操作表示部13でのユーザの選択に応じて処理させる画像処理内容を採用している。
【0107】
したがって、訴求効果が文字色と文字背景色との色差(コントラスト)にも依存することから、文字領域と背景領域との色差を、クリアトナー付与の判断材料として、クリアトナーの消費量を低減しつつ、効果的に訴求効果を向上させることができる。
【0108】
具体的には、例えば、文字サイズが大きく、背景とのコントラストが小さい場合には、クリアトナーを通常よりも多く載せることで、光沢度を大きく上げて、クリアトナーを使用しない場合よりも訴求性をより一層向上させることができる。また、文字サイズが大きく、背景とのコントラストが大きい場合には、ある程度訴求性が存在するため、通常よりも少なくまたはクリアトナーを付与しないことで、訴求性を保ちつつ、クリアトナーの消費量を低減することができる。さらに、文字サイズが大サイズで、背景色とのコントラストが大きく、その文字が白である場合には、背景にトナーが載っており、文字部には何もトナーを載っていない状態であるので、既にトナーの光沢差分に基づくコントラストによって訴求性が十分にあるため、クリアトナーを載せないことで、訴求性を保ちつつ、クリアトナーの消費量を抑えることができる。
【0109】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、透明トナー等のクリアトナーを効果的に付与する画像処理装置及び該画像処理装置を搭載するプリンタ、複写装置、複合装置等の画像形成装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に利用することができる。
【符号の説明】
【0111】
1 MFP
2 読み取り部
3 読み取り画像データ処理部
4 バス制御部
5 プロッタ画像データ処理部
6 プロッタI/F部
7 プロッタ部
8 HDD(ハードディスク)
9 CPU
10 メモリ
11 SB
12 ROM
13 操作表示部
14 回線I/F部
15 外部I/F部
16 拡張バス
21 像域分離&文字サイズ判断処理部
22 地肌除去処理部
23 γ変換部
24 孤立点除去処理部
25 フィルタ処理部
26 変倍処理部
27 色変換&クリアトナー付与処理部
31 色相分割マスキング処理部
32 三次元LUT処理部
33 UCR/UCA処理部
34 クリアトナー付与処理部
41 エッジ抽出処理部
42 γ変換処理部
43 階調処理部
50 読み取り画像データ処理部
51 色差算出処理部
61 ラインバッファ
62 文字領域ラベリング部
63 文字色抽出部
64 文字背景色抽出部
65 色差算出部
66 色差分類処理部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0112】
【特許文献1】特開2009−58941号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データの出力モードが文字原稿モードであるか否かを検出する出力モード検出手段と、
前記画像データの出力モードが文字原稿モードであると、該画像データの画素データ毎に文字の画素データであるか否かを判断する文字画素判断手段と、
前記文字画素判断手段の判断結果に基づいて、文字領域毎にその文字領域サイズを判定する文字領域サイズ判定手段と、
前記画像データに対して、該画像データの出力画像としてクリアトナーを付与した画像を形成させるクリアトナー付与画像データを生成するクリアトナー付与画像データ生成処理を含む複数種類の画像処理を施す画像処理手段と、
前記画像処理手段の画像処理の内容として、前記画像データの出力モードが前記文字原稿モード以外であると、前記クリアトナー付与画像データ生成処理を決定し、該画像データの出力モードが該文字原稿モードであると、前記文字領域の文字領域サイズの大きさに基づいて該文字領域の画像データに対して施す画像処理の内容を決定する画像処理制御手段と、
を備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記文字領域サイズ判定手段は、
前記文字領域を、大サイズ、中サイズ及び小サイズの3種類の文字領域サイズに判定し、
前記画像処理手段は、
前記画像処理として、少なくともガンマ変換処理、フィルタ処理及び色変換処理を行う機能を有し、
前記画像処理制御手段は、
前記画像処理手段の前記画像処理の内容として、前記小サイズの文字領域の画像データに対して、前記γ変換処理で、背景濃度を小さくさせ、前記フィルタ処理で、強調フィルタ処理を行わせ、前記色変換処理で、文字色の変更処理を行わせるとともに、前記クリアトナー付与画像データ生成処理を禁止する画像処理内容を決定することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記文字領域サイズ判定手段は、
前記文字領域を、大サイズ、中サイズ及び小サイズの3種類の文字領域サイズに判定し、
前記画像処理手段は、
前記画像処理として、少なくとも文字の太線化処理及び文字の拡大処理を行う機能を有し、
前記画像処理制御手段は、
前記画像処理手段の前記画像処理の内容として、前記中サイズの文字領域の画像データに対して、前記太線化処理で、太線化処理を行わせ、前記拡大処理で、前記大サイズの文字への拡大処理を行わせるとともに、前記クリアトナー付与画像データ生成処理を行わせる画像処理内容を決定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記文字領域サイズ判定手段は、
前記文字領域を、大サイズ、中サイズ及び小サイズの3種類の文字領域サイズに判定し、
前記画像処理手段は、
前記画像処理として、少なくともガンマ変換処理及びフィルタ処理を行う機能を有し、
前記画像処理制御手段は、
前記画像処理手段の前記画像処理の内容として、前記大サイズの文字領域の画像データに対して、前記フィルタ処理で、弱いエッジ強調フィルタ処理を行わせるとともに、前記クリアトナー付与画像データ生成処理を行わせる画像処理内容を決定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像処理装置は、
前記文字領域と該文字領域の背景領域との色差の所定の閾値色差に対する大小を検出する色差検出手段と、
前記クリアトナー付与画像データ生成処理の実行と実行禁止を選択するクリアトナー処理選択手段と、
を備え、
前記文字領域サイズ判定手段は、
前記文字領域を大サイズと小サイズの2種類の文字領域サイズに判定し、
前記画像処理手段は、
前記画像処理として、少なくともガンマ変換処理、フィルタ処理及び色変換処理を行う機能を有し、
前記画像処理制御手段は、
前記画像処理手段の前記画像処理の内容として、前記小サイズであって前記色差の大きい文字領域に対しては、前記クリアトナー付与画像データ生成処理を禁止し、該小サイズであって該色差の小さい文字領域に対しては、前記フィルタ処理で、強いエッジ強調フィルタ処理を行わせ、前記色変換処理で、前記背景領域の色とのコントラストが強くなる色変換処理を行わせるとともに、該クリアトナー付与画像データ生成処理を禁止し、前記大サイズであって該色差の小さい文字領域に対しては、該フィルタ処理で、弱いエッジ強調フィルタ処理を行わせるとともに、通常よりも多くのクリアトナーを付与させる該クリアトナー付与画像データ生成処理を行わせ、該大サイズであって色差が大きく、文字色が白色である文字領域に対しては、該フィルタ処理で、弱いエッジ強調フィルタ処理を行わせるとともに、該クリアトナー付与画像データ生成処理を禁止し、該大サイズであって色差が大きく、文字色が白色以外の色である文字領域に対しては、該フィルタ処理で、弱いエッジ強調フィルタ処理を行わせるとともに、該クリアトナー付与画像データ生成処理を前記クリアトナー処理選択手段での選択に応じて処理させる画像処理内容を決定することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像処理装置は、
前記文字領域が特定色であるか否かを検出する特定色検出手段を備え、
前記画像処理制御手段は、
前記特定色である前記文字領域に対してのみ、前記画像処理手段の処理内容として、前記画像処理を決定することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の画像処理装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
画像データの出力モードが文字原稿モードであるか否かを検出する出力モード検出処理ステップと、
前記画像データの出力モードが文字原稿モードであると、該画像データの画素データ毎に文字の画素データであるか否かを判断する文字画素判断処理ステップと、
前記文字画素判断処理ステップでの判断結果に基づいて、文字領域毎にその文字領域サイズを判定する文字領域サイズ判定処理ステップと、
前記画像データに対して、該画像データの出力画像としてクリアトナーを付与した画像を形成させるクリアトナー付与画像データを生成するクリアトナー付与画像データ生成処理を含む複数種類の画像処理を施す画像処理ステップと、
前記画像処理ステップでの画像処理の内容として、前記画像データの出力モードが前記文字原稿モード以外であると、前記クリアトナー付与画像データ生成処理を決定し、該画像データの出力モードが該文字原稿モードであると、前記文字領域の文字領域サイズの大きさに基づいて該文字領域の画像データに対して施す画像処理の内容を決定する画像処理制御処理ステップと、
を有していることを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
画像データの出力モードが文字原稿モードであるか否かを検出する出力モード検出処理と、
前記画像データの出力モードが文字原稿モードであると、該画像データの画素データ毎に文字の画素データであるか否かを判断する文字画素判断処理と、
前記文字画素判断処理での判断結果に基づいて、文字領域毎にその文字領域サイズを判定する文字領域サイズ判定処理と、
前記画像データに対して、該画像データの出力画像としてクリアトナーを付与した画像を形成させるクリアトナー付与画像データを生成するクリアトナー付与画像データ生成処理を含む複数種類の処理を施す画像処理と、
前記画像処理での処理内容として、前記画像データの出力モードが前記文字原稿モード以外であると、前記クリアトナー付与画像データ生成処理を決定し、該画像データの出力モードが該文字原稿モードであると、前記文字領域の文字領域サイズの大きさに基づいて該文字領域の画像データに対して施す処理内容を決定する画像処理制御処理と、
を実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項10】
請求項9記載の画像処理プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
画像データの出力モードが文字原稿モードであるか否かを検出する出力モード検出手段と、
前記画像データの出力モードが文字原稿モードであると、該画像データの画素データ毎に文字の画素データであるか否かを判断する文字画素判断手段と、
前記文字画素判断手段の判断結果に基づいて、文字領域毎にその文字領域サイズを判定する文字領域サイズ判定手段と、
前記画像データに対して、該画像データの出力画像としてクリアトナーを付与した画像を形成させるクリアトナー付与画像データを生成するクリアトナー付与画像データ生成処理を含む複数種類の画像処理を施す画像処理手段と、
前記画像処理手段の画像処理の内容として、前記画像データの出力モードが前記文字原稿モード以外であると、前記クリアトナー付与画像データ生成処理を決定し、該画像データの出力モードが該文字原稿モードであると、前記文字領域の文字領域サイズの大きさに基づいて該文字領域の画像データに対して施す画像処理の内容を決定する画像処理制御手段と、
を備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記文字領域サイズ判定手段は、
前記文字領域を、大サイズ、中サイズ及び小サイズの3種類の文字領域サイズに判定し、
前記画像処理手段は、
前記画像処理として、少なくともガンマ変換処理、フィルタ処理及び色変換処理を行う機能を有し、
前記画像処理制御手段は、
前記画像処理手段の前記画像処理の内容として、前記小サイズの文字領域の画像データに対して、前記γ変換処理で、背景濃度を小さくさせ、前記フィルタ処理で、強調フィルタ処理を行わせ、前記色変換処理で、文字色の変更処理を行わせるとともに、前記クリアトナー付与画像データ生成処理を禁止する画像処理内容を決定することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記文字領域サイズ判定手段は、
前記文字領域を、大サイズ、中サイズ及び小サイズの3種類の文字領域サイズに判定し、
前記画像処理手段は、
前記画像処理として、少なくとも文字の太線化処理及び文字の拡大処理を行う機能を有し、
前記画像処理制御手段は、
前記画像処理手段の前記画像処理の内容として、前記中サイズの文字領域の画像データに対して、前記太線化処理で、太線化処理を行わせ、前記拡大処理で、前記大サイズの文字への拡大処理を行わせるとともに、前記クリアトナー付与画像データ生成処理を行わせる画像処理内容を決定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記文字領域サイズ判定手段は、
前記文字領域を、大サイズ、中サイズ及び小サイズの3種類の文字領域サイズに判定し、
前記画像処理手段は、
前記画像処理として、少なくともガンマ変換処理及びフィルタ処理を行う機能を有し、
前記画像処理制御手段は、
前記画像処理手段の前記画像処理の内容として、前記大サイズの文字領域の画像データに対して、前記フィルタ処理で、弱いエッジ強調フィルタ処理を行わせるとともに、前記クリアトナー付与画像データ生成処理を行わせる画像処理内容を決定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像処理装置は、
前記文字領域と該文字領域の背景領域との色差の所定の閾値色差に対する大小を検出する色差検出手段と、
前記クリアトナー付与画像データ生成処理の実行と実行禁止を選択するクリアトナー処理選択手段と、
を備え、
前記文字領域サイズ判定手段は、
前記文字領域を大サイズと小サイズの2種類の文字領域サイズに判定し、
前記画像処理手段は、
前記画像処理として、少なくともガンマ変換処理、フィルタ処理及び色変換処理を行う機能を有し、
前記画像処理制御手段は、
前記画像処理手段の前記画像処理の内容として、前記小サイズであって前記色差の大きい文字領域に対しては、前記クリアトナー付与画像データ生成処理を禁止し、該小サイズであって該色差の小さい文字領域に対しては、前記フィルタ処理で、強いエッジ強調フィルタ処理を行わせ、前記色変換処理で、前記背景領域の色とのコントラストが強くなる色変換処理を行わせるとともに、該クリアトナー付与画像データ生成処理を禁止し、前記大サイズであって該色差の小さい文字領域に対しては、該フィルタ処理で、弱いエッジ強調フィルタ処理を行わせるとともに、通常よりも多くのクリアトナーを付与させる該クリアトナー付与画像データ生成処理を行わせ、該大サイズであって色差が大きく、文字色が白色である文字領域に対しては、該フィルタ処理で、弱いエッジ強調フィルタ処理を行わせるとともに、該クリアトナー付与画像データ生成処理を禁止し、該大サイズであって色差が大きく、文字色が白色以外の色である文字領域に対しては、該フィルタ処理で、弱いエッジ強調フィルタ処理を行わせるとともに、該クリアトナー付与画像データ生成処理を前記クリアトナー処理選択手段での選択に応じて処理させる画像処理内容を決定することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像処理装置は、
前記文字領域が特定色であるか否かを検出する特定色検出手段を備え、
前記画像処理制御手段は、
前記特定色である前記文字領域に対してのみ、前記画像処理手段の処理内容として、前記画像処理を決定することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の画像処理装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
画像データの出力モードが文字原稿モードであるか否かを検出する出力モード検出処理ステップと、
前記画像データの出力モードが文字原稿モードであると、該画像データの画素データ毎に文字の画素データであるか否かを判断する文字画素判断処理ステップと、
前記文字画素判断処理ステップでの判断結果に基づいて、文字領域毎にその文字領域サイズを判定する文字領域サイズ判定処理ステップと、
前記画像データに対して、該画像データの出力画像としてクリアトナーを付与した画像を形成させるクリアトナー付与画像データを生成するクリアトナー付与画像データ生成処理を含む複数種類の画像処理を施す画像処理ステップと、
前記画像処理ステップでの画像処理の内容として、前記画像データの出力モードが前記文字原稿モード以外であると、前記クリアトナー付与画像データ生成処理を決定し、該画像データの出力モードが該文字原稿モードであると、前記文字領域の文字領域サイズの大きさに基づいて該文字領域の画像データに対して施す画像処理の内容を決定する画像処理制御処理ステップと、
を有していることを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
画像データの出力モードが文字原稿モードであるか否かを検出する出力モード検出処理と、
前記画像データの出力モードが文字原稿モードであると、該画像データの画素データ毎に文字の画素データであるか否かを判断する文字画素判断処理と、
前記文字画素判断処理での判断結果に基づいて、文字領域毎にその文字領域サイズを判定する文字領域サイズ判定処理と、
前記画像データに対して、該画像データの出力画像としてクリアトナーを付与した画像を形成させるクリアトナー付与画像データを生成するクリアトナー付与画像データ生成処理を含む複数種類の処理を施す画像処理と、
前記画像処理での処理内容として、前記画像データの出力モードが前記文字原稿モード以外であると、前記クリアトナー付与画像データ生成処理を決定し、該画像データの出力モードが該文字原稿モードであると、前記文字領域の文字領域サイズの大きさに基づいて該文字領域の画像データに対して施す処理内容を決定する画像処理制御処理と、
を実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項10】
請求項9記載の画像処理プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−64994(P2012−64994A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205049(P2010−205049)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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