説明

画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法及びプログラム

【課題】記録領域に記録される印刷ジョブの保存・削除に関する管理をユーザーの手を煩わすことなく、ユーザーにとってより好適に行う。
【解決手段】プリントコントローラー4であって、CPU42aは、印刷用の画像データと印刷に係る設定内容に関するジョブチケットとを有する印刷ジョブを取得し、取得された印刷ジョブを記録部3に記録させ、記録部に記録された印刷ジョブに対応した校了済フラグの設定を行い、設定された校了済フラグにより、当該校了済フラグに対応した印刷ジョブが校了済か否かを判定し、所定の削除タイミングにおいて、校了済となっていないと判定された印刷ジョブを記録部から削除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置は、プリンターと、プリンターに画像形成を行わせる命令(印刷ジョブ)を出力するクライアント装置(例えばPCや携帯端末等)との間にプリントコントローラー等の画像処理装置を介在させることが知られている。具体的には、クライアント装置から画像データを含む印刷ジョブがプリントコントローラーに入力されると、プリントコントローラーは、印刷ジョブに含まれるページ記述言語(Page Description Language、以下「PDL」と記載する)等に基づいてビットマップ等の画像データを生成するラスタライズ処理を行い、画像データを出力する。その後、当該画像データを含む印刷ジョブは、画像形成装置により印刷されたり、画像形成装置に設けられたハードディスク等の大容量の記録領域に記録されたりする。
【0003】
また、画像形成装置は、クライアント装置からの再印刷要求に応じて記録領域に記録された印刷ジョブを読み出して、再印刷処理を行うことが知られている。これにより、ユーザーは、一回のみ印刷データを画像形成装置に送信すれば、それ以降、印刷データを送信することなく複数回の印刷出力を行うことができる。
【0004】
このため、画像形成装置の記録領域は、常に大量の印刷ジョブが保存された状態となってしまう。そこで、印刷ジョブが保存される際に設定された条件(例えば、再印刷回数、再印刷者数、保存期間等)を越えた印刷ジョブを削除する方法が知られている(例えば、特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−75748号公報
【特許文献2】特開2001−175442号公報
【特許文献3】特開2008−83754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ユーザーは、所望する印刷品質が得られるまで、つまり印刷品質に関する校正が完了するまで(校了済みになるまで)、繰り返し、お試し印刷を行う場合がある。このとき、画像データを編集する毎に新たな印刷ジョブとして記憶領域に記憶されるため、編集途中の不必要な印刷ジョブが大量に記憶領域に記憶されてしまうという問題があった。
これに対して、特許文献1〜3に記載の方法では、設定された削除条件によっては、再度利用する可能性の高い印刷ジョブが削除される一方、編集途中の不必要な印刷ジョブがそのまま残されてしまう場合がある。このため、ユーザーは、再度利用する可能性の高い印刷ジョブを保存しておきたい場合、保存しておきたい印刷ジョブを選別し、削除されないよう印刷ジョブ毎に対応する必要があった。
【0007】
そこで、本発明の課題は、記録領域に記録される印刷ジョブの保存・削除に関する管理をユーザーの手を煩わすことなく、ユーザーにとってより好適に行うことができる画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、画像処理装置であって、印刷用の画像データと印刷に係る設定内容に関するジョブチケットとを有する印刷ジョブを取得する取得部と、前記取得部により取得された印刷ジョブを記録部に記録させる記録制御部と、前記記録制御部により前記記録部に記録された印刷ジョブに対応した校了済フラグの設定を行うフラグ設定部と、前記フラグ設定部により設定された前記校了済フラグにより、前記校了済フラグに対応した印刷ジョブが校了済か否かを判定するフラグ判定部と、所定の削除タイミングにおいて、前記フラグ判定部により、校了済となっていないと判定された印刷ジョブを前記記録部から削除する削除部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置であって、前記フラグ設定部は、所定の部数以上の印刷が一度の印刷で行われた印刷ジョブの校了済フラグをオンに設定することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像処理装置であって、前記取得部により新たに取得された印刷ジョブと、前記フラグ判定部により校了済であると判定された、前記記録部に既に記録された印刷ジョブと、が類似しているか否かを、所定の項目における内容の一致割合に基づいて判定する類似判定部を更に備え、前記削除部は、前記類似判定部により類似していると判定された印刷ジョブのうち、前記記録部に既に記録された印刷ジョブを削除することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像処理装置であって、前記所定の項目は、印刷ジョブ名であることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、画像形成装置であって、請求項1〜4の何れか一項に記載の画像処理装置と、前記画像処理装置により画像処理された画像データを印刷する印刷部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、画像処理方法であって、印刷用の画像データと印刷に係る設定内容に関するジョブチケットとを有する印刷ジョブを取得する取得工程と、前記取得工程により取得された印刷ジョブを記録部に記録させる記録工程と、前記記録工程により前記記録部に記録された印刷ジョブに対応した校了済フラグの設定を行うフラグ設定工程と、前記フラグ設定工程により設定された前記校了済フラグにより、前記校了済フラグに対応した印刷ジョブが校了済か否かを判定するフラグ判定工程と、所定の削除タイミングにおいて、前記フラグ判定工程により、校了済となっていないと判定された印刷ジョブを前記記録部から削除する削除工程と、を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載のプログラムは、コンピューターに、印刷用の画像データと印刷に係る設定内容に関するジョブチケットとを有する印刷ジョブを取得する取得機能、前記取得機能により取得された印刷ジョブを記録部に記録させる記録機能、前記記録機能により前記記録部に記録された印刷ジョブに対応した校了済フラグの設定を行うフラグ設定機能、前記フラグ設定機能によりされた前記校了済フラグにより、前記校了済フラグに対応した印刷ジョブが校了済か否かを判定するフラグ判定機能、所定の削除タイミングにおいて、前記フラグ判定機能により、校了済となっていないと判定された印刷ジョブを前記記録部から削除する削除機能、を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、記録領域に記録される印刷ジョブの保存・削除に関する管理をユーザーの手を煩わすことなく、ユーザーにとってより好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態による画像処理装置を有する画像形成装置の主要構成を示すブロック図である。
【図2】ジョブチケットの構成の一例を示す図である。
【図3】印刷ジョブを送信された画像形成装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】図1の画像処理装置の表示画面に表示されるメッセージの一例を示す図である。
【図5】保存ジョブを印刷実行した際の画像形成装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
以下に述べる「画像」は、表示装置による表示又は画像形成装置によって印刷媒体に形成される文字、記号、図形、絵、写真及びこれらの組み合わせによるすべての内容を含む。
【0018】
次に、図を用いて本発明を適用した画像形成装置1について説明する。図1のブロック図に、画像形成装置1の構成を示す。画像形成装置1は、通信制御部2、記録部3、プリントコントローラー4、表示操作部5及び印刷部6を備え、画像形成装置1の各部はバス7によって接続されている。画像形成装置1は、相互通信可能に接続された外部の機器から入力される画像データを記録紙上に画像形成を行うプリンター機能を有する。
【0019】
通信制御部2は、画像形成装置1を通信回線に接続するネットワークインターフェースとして機能し、外部の機器、例えば、クライアントPC101等から送信される印刷ジョブ等のデータを受信する。
【0020】
記録部3は、後述するCPU42aによる制御に従い、印刷ジョブを記録する。具体的には、記録部3は、ハードディスクやフラッシュメモリーその他の書き換え可能な不揮発性の記録装置からなる記録領域31を有し、画像形成装置1が扱う各種のデータを記録する。記録部3が記録するデータとして、例えば、前述の印刷ジョブやスキャナー等を備える画像読取部(図示略)等により読み取られた画像データ等が挙げられる。
なお、記録領域31は、複数の記録領域からなっていてもよい。さらに、記録領域31が複数の記録領域からなる場合に、複数の記録領域は、それぞれの記録領域が異なる種類のメディアからなっていてもよい。
また、記録部3の記録領域31に記録された印刷ジョブを「保存ジョブ」とする。
【0021】
プリントコントローラー4は、データ処理部41と、制御部42と、を備えている。
データ処理部41は、クライアントPC101から送信された印刷ジョブに基づいてラスタライズ処理を行い、印刷ジョブに含まれる画像データからビットマップイメージ等のラスターデータを生成する。
制御部42は、該プリントコントローラー4の動作を統括制御するCPU42a(Central Processing Unit)と、当該CPU42aが読み出して実行するプログラムや固定データが記憶されたプログラムメモリ42cと、CPU42aがプログラムを実行する際に各種データを一時的に格納するためのワークメモリとして機能するRAM(Random Access Memory)42bなどを備えている。
プログラムメモリ42cは、ROM(Read Only Memory)などにより構成され、取得プログラムc1、記録制御プログラムc2、フラグ設定プログラムc3、フラグ判定プログラムc4、削除プログラムc5及び類似判定プログラムc6などを備えている。以下、各機能について説明する。
【0022】
取得プログラムc1は、CPU42aに印刷用の画像データと印刷に係る設定内容に関するジョブチケットとを有する印刷ジョブを取得する処理を実行させるためのプログラムである。
具体的には、CPU42aは、クライアントPC101から送信され、通信制御部2により受信された印刷ジョブを取得する。
ここで、CPU42aは、取得プログラムc1を実行することで、印刷部6により印刷される画像データと印刷に係る設定内容に関するジョブチケットからなる印刷ジョブを取得する取得部を構成している。
【0023】
画像データは、例えば、ワードファイル(登録商標)やPDFファイル(登録商標)等の文字、図形等を含む種々の印刷用データである。プリンタドライバーは、この画像データからPDLにより記述されるジョブチケットを含む印刷ジョブを生成する。
【0024】
ジョブチケットは、画像形成に関する各種の項目及びそのパラメーターを有するデータが含まれており、当該ジョブチケットと当該ジョブチケットが適用される印刷ジョブとを対応付ける情報や、当該ジョブチケットと画像データとを対応付ける情報等を含んでいる。具体的には、ジョブチケットが有する項目として、例えば、図2に示すように、当該ジョブチケットと対応付けられている印刷ジョブのID(図2の「印刷ジョブID」)、当該印刷ジョブ名(図2の「印刷ジョブ名」)、当該印刷ジョブを画像形成装置1に送信したユーザー名(「ユーザー名」)、当該画像データのページ数(図2の「ページ数」)、当該印刷ジョブによって画像を形成させる印刷媒体の部数(図2の「部数」)、印刷部6により当該画像データが印刷され、記録領域31に記録された日時又は保存ジョブのジョブチケットをCPU42aにより編集された更新日時(図2の「更新日時」)、当該印刷ジョブが校了済であるか否かを示す校了済フラグ(図2の「校了済フラグ」)、装置に印刷ジョブを保存するか否かを示すフラグ(図2の「保存フラグ」)があるが、図2に示す項目に限らず、その他の画像形成に関する各種の項目をジョブチケットに含ませることができる。
なお、ジョブチケットに含まれる校了済フラグは、全ての印刷ジョブについて、最初の印刷が終了するまではオフとなっている。
また、ジョブチケットの編集は、CPU42aが行う場合に加えて、クライアントPC101又は表示操作部5からも印刷ジョブチケット編集アプリケーションを介することにより行うことができる。
【0025】
記録制御プログラムc2は、CPU42aに取得された印刷ジョブを記録部3の記録領域31に記録させる処理を実行させるためのプログラムである。
ここで、CPU42aは、記録制御プログラムc2を実行することで、取得された印刷ジョブを記録部3に記録させる記録制御部を構成している。
【0026】
フラグ設定プログラムc3は、CPU42aに記録部3に記録された印刷ジョブに対応した校了済フラグの設定を行う処理を実行させるためのプログラムである。
具体的には、CPU42aは、記録部3に記録された印刷ジョブ(保存ジョブ)の画像データが印刷部6により印刷された後に、当該印刷ジョブに対応したジョブチケットの校了済フラグの項目をオンに設定する。なお、以降の記載において校了済フラグの設定をオン(又はオフ)にするという記載は、対応するジョブチケットの校了済フラグの項目をオン(又はオフ)に設定することを表している。
また、ユーザーにより設定された場合を除き、CPU42aにより校了済フラグの設定が行われる前の印刷ジョブは、全て校了済フラグがオフとなっている。
【0027】
また、CPU42aは、所定の部数以上の印刷が一度の印刷で行われた印刷ジョブの校了済フラグをオンに設定する。
具体的には、CPU42aは、記録部3に記録された印刷ジョブ(保存ジョブ)の画像データが印刷された後に、当該画像データが一度の印刷で所定の部数以上の印刷がされた場合に校了済フラグの設定をオンにし、当該画像データが一度の印刷で所定の部数以上印刷されない場合に校了済フラグの設定をオフのままにする。なお、所定の部数は、予めCPU42aに設定されていてもよいし、ユーザーが印刷を行う前に予め指定してもよい。また、所定の部数としては、お試し印刷と明確に区別するためには、2部以上であることが好ましい。
ここで、CPU42aは、フラグ設定プログラムc3を実行することで、記録部3に記録された印刷ジョブに対応した校了済フラグの設定を行うフラグ設定部を構成している。
【0028】
フラグ判定プログラムc4は、CPU42aに校了済フラグにより、当該校了済フラグに対応した印刷ジョブが校了済か否かを判定する処理を実行させるためのプログラムである。
具体的には、CPU42aは、一の印刷ジョブ(保存ジョブ)の校了済フラグがオンであるか否かにより、当該印刷ジョブが校了済であるか否かを判定する。例えば、CPU42aは、保存ジョブの校了済フラグがオフである場合、当該保存ジョブが校了済ではないものと判定し、保存ジョブの校了済フラグがオンである場合、当該保存ジョブが校了済であると判定することができる。
ここで、CPU42aは、フラグ判定プログラムc4を実行することで、校了済フラグにより、当該校了済フラグに対応した印刷ジョブが校了済か否かを判定するフラグ判定部を構成している。
【0029】
削除プログラムc5は、CPU42aに所定の削除タイミングにおいて、校了済となっていないと判定された印刷ジョブを削除する処理を実行させるためのプログラムである。
具体的には、CPU42aは、所定の削除タイミングにおいて、校了済フラグがオフのまま(校了済となっていない)の印刷ジョブ(保存ジョブ)を削除する。例えば、CPU42aは、所定部数以上の印刷が一度の印刷で行われていないため校了済フラグがオフのままである保存ジョブを再印刷される可能性が低い印刷ジョブとして削除し、所定部数以上の印刷が一度の印刷で行われたため校了済フラグがオンに編集された保存ジョブを再印刷される可能性が高い重要な印刷ジョブとして削除しない。
なお、CPU42aは、削除する校了済フラグがオフとなっている保存ジョブを削除する場合に、当該保存ジョブを自動的に削除する構成としてもよいし、表示操作部5又はクライアントPC101の表示部により当該保存ジョブを表示させ、ユーザーに確認させてから削除する構成としてもよい。
所定の削除タイミングとしては、例えば、記録領域31に新しく取得された印刷ジョブを記録領域31に記録しようとした場合、記録領域31に記録容量に空きがないと判断されたタイミングである。
また、CPU42aは、校了済フラグがオフの保存ジョブが記録領域31に複数保存されている場合に、記録領域31に新しく取得された印刷ジョブを記録できる記録容量を確保するために、予めCPU42aに設定された方法(例えば、更新日時、印刷された部数等)に基づいて、削除してもよい。例えば、CPU42aは、校了済フラグがオフの保存ジョブの削除する順位を決定し、削除する順位の高いもの(例えば、更新日時が古い、印刷された部数が少ない等)から順に削除する。この場合、CPU42aは、新しく記録領域31に記録する印刷ジョブのファイルサイズ以上の空き容量ができるまで校了済フラグがオフの保存ジョブの削除を行う。
また、所定の削除タイミングとして、新しい印刷ジョブの取得の有無に関係なく、定期的なタイミングとしてもよい。
ここで、CPU42aは、削除プログラムc5を実行することで、所定の削除タイミングにおいて、フラグ判定部により、校了済となっていないと判定された印刷ジョブを削除する削除部を構成している。
【0030】
類似判定プログラムc6は、CPU42aに新たに取得された印刷ジョブと保存ジョブと、が類似しているか否かを、所定の項目における内容の一致割合に基づいて判定する処理を実行させるためのプログラムである。
具体的には、CPU42aは、校了済フラグがオンの保存ジョブが全て削除されたが、記録領域31に印刷ジョブを記録する空きがない場合に、当該印刷ジョブと記録領域31の保存ジョブとが類似しているか否かの判定を行う。つまり、CPU42aは、校了済フラグがオフの保存ジョブが全て削除された後に、当該処理を行っている印刷ジョブと校了済フラグがオンの保存ジョブと、が類似しているか否かを、所定の項目(例えば、ファイル名、画像データ等)における内容の一致割合に基づいて判定する。つまり、CPU42aは、例えば、当該印刷ジョブのジョブ名と校了済フラグがオンの保存ジョブのジョブ名が所定の割合で前方一致、後方一致、部分一致等しているか否かを判定する。
例えば、CPU42aは、保存ジョブと当該印刷ジョブのジョブ名から二つのジョブが類似した印刷ジョブであるか否かを判定する。例えば、記録領域31に保存ジョブ「製品マニュアル_2校」が既に保存されており、印刷ジョブ「製品マニュアル_3校」を新たに記録する場合、CPU42aは、ジョブ名が類似している保存ジョブ「製品マニュアル_2校」を類似した印刷ジョブとする。
ここで、CPU42aは、類似判定プログラムc6を実行することで、新たに取得された印刷ジョブと、校了済であると判定された印刷ジョブと、が類似しているか否かを、所定の項目における内容の一致割合に基づいて判定する類似判定部として構成する。
【0031】
また、CPU42aは、類似していると判定された印刷ジョブのうち校了済であると判定された印刷ジョブを削除する。
例えば、CPU42aは、校了済フラグがオンとして設定された保存ジョブ「製品マニュアル_2校」が記録領域31に既に保存されており、印刷ジョブ「製品マニュアル_3校」を新たに記録する場合に、保存ジョブ「製品マニュアル_2校」及び印刷ジョブ「製品マニュアル_3校」が所定の項目における内容の一致割合に基づいて(ここでは、ファイル名)類似していると判定されると、既に校了済フラグがオンである保存ジョブ「製品マニュアル_2校」を削除する。つまり、二つの印刷ジョブが類似していると判定される場合、既に校了済フラグがオフの保存ジョブは全て削除されているため、次に重要度が低い保存ジョブとして類似していると判定された保存ジョブは、新たに記録しようとしている印刷ジョブの古い版であると考えられるため、削除されてもよい。
なお、類似していると判定された保存ジョブは、自動的に削除される構成としてもよいし、当該保存ジョブをクライアントPC101の表示部又は操作表示部5に表示させ、当該保存ジョブをユーザーが確認あるいは選択した後に削除される構成としてもよい。
また、CPU42aは、校了済フラグがオフの保存ジョブを削除した処理と同様に、新しく記録領域31に記録する印刷ジョブのファイルサイズ以上の空き容量ができるまで類似した保存ジョブの削除を行う。
【0032】
また、CPU42aは、類似していると判定された印刷ジョブのうち新たに取得された印刷ジョブを記録領域31に記録させる。
具体的には、先ず、記録領域31に新たに取得された印刷ジョブを記録する空き領域がない場合に、CPU42aは、校了済フラグがオフの保存ジョブを削除する。記録領域31に空きが確保できた場合には、CPU42aは、当該印刷ジョブを記録領域31に記録させる。一方、更に空きがない場合、CPU42aは、類似している判定された校了済フラグがオンの保存ジョブが削除されることにより空き容量を確保した上で当該印刷ジョブを記録領域31に記録させる。
【0033】
表示操作部5は、画像形成装置1の動作に関する各種情報を表示する、例えば、液晶表示装置として機能すると共に、画像形成装置1に対して各種の入力を行う、例えば、タッチパネル等を備える入力装置として機能する。
【0034】
印刷部6は、例えば、紙等の印刷媒体に対して画像を形成する。具体的には、紙等にインク滴を吐出するインクジェット装置や、電子写真方式、熱転写、熱融解、感熱、ドットインパクトその他あらゆるプリンターに用いられている印刷の為の構成を採用することができる。
【0035】
次に、画像形成装置1による画像処理について図3及び図4を参照して説明する。以下の記載では、CPU42aが各種プログラムを読み込む処理については省略する。
図3は、印刷ジョブ記録処理に係る動作の一例を示すフローチャートである。
印刷ジョブ記録処理は、クライアントPC等により印刷ジョブが送信される場合に実行される処理である。
【0036】
CPU42aは、通信制御部2により受信された印刷ジョブを新たに取得する(ステップS1:取得工程)。
CPU42aは、当該印刷ジョブを記録できる記録領域31の空きがあるか否かを判定する(ステップS2)。ここで、記録領域31に印刷ジョブを記録できる空きがあると判定されると(ステップS2;Yes)、CPU42aは、印刷ジョブを記録領域31に記録する(ステップS3:記録工程)。
一方、記録領域31に印刷ジョブを記録できる空きがないと判定されると(ステップS2;No)、CPU42aは、記録領域31に校了済フラグがオフの保存ジョブがあるか否かを判定する(ステップS4:フラグ判定工程)。
【0037】
ここで、記録領域31に校了済フラグがオフの保存ジョブがあると判定されると(ステップS4;Yes)、CPU42aは、記録領域31に保存されている校了済フラグがオフの一の保存ジョブを削除する(ステップS5:削除工程)。
なお、このとき削除する保存ジョブは、記録領域31に当該印刷ジョブを記録できる空きができるまで一つずつ削除してもよいし、校了済フラグがオフの保存ジョブを一度に全て削除してもよい。
【0038】
続けて、CPU42aは、処理をステップS2に移行し、それ以降の処理を実行する。そして、ステップS2にて、当該印刷ジョブを記録する記録領域31に空きがある場合、表示操作部5又はクライアントPC101の表示部は、例えば、図4(a)に示すように、校了済フラグがオフの保存ジョブを削除し、当該印刷ジョブを記録領域31に記録した旨のメッセージを表示させる。なお、表示操作部5又はクライアントPC101の表示部は、校了済フラグがオフの保存ジョブを表示させ、ユーザーに確認させる又は削除する校了済フラグがオフの保存ジョブを選択する構成としてもよい。
一方、ステップS4にて、記録領域31に校了済フラグがオフの保存ジョブがないと判定されると(ステップS4;No)、CPU42aは、処理をステップS6に移行し、それ以降の処理を実行する。
【0039】
続けて、CPU42aは、印刷ジョブと類似している保存ジョブが記録領域31にあるか否かを判定する(ステップS6)。ここで、当該処理を行っている印刷ジョブと類似する保存ジョブが記録領域31にあると判定されると(ステップS6;Yes)、当該一の保存ジョブは、削除される(ステップS7:削除工程)。
なお、ここで削除される保存ジョブは、ステップS5と同様に、類似していると判定された保存ジョブを全て削除してもよい。
続けて、CPU42aは、処理をステップS2に移行し、それ以降の処理を実行する。そして、ステップS2にて、当該印刷ジョブを記録する記録領域31に空きがある場合、表示操作部5又はクライアントPC101の表示部は、例えば、図4(b)に示すように、類似する保存ジョブを削除し、当該印刷ジョブを記録領域31に記録した旨のメッセージを表示させる。
【0040】
一方、当該処理を行っている印刷ジョブと類似する保存ジョブが記録領域31にないと判定されると(ステップS6;No)、CPU42aは、当該処理を行っている印刷ジョブの記録が不可であることを警告する(ステップS8)。具体的には、CPU42aは、記録領域31の容量が一杯であるため、新たな印刷ジョブを記録することができない旨のメッセージを操作表示部又はクライアントPC101の表示部に表示させ(図4(c)参照)、処理を終了する。
なお、ユーザーは、図4(c)に示したメッセージを確認した後、記録領域31に記録されている保存ジョブを手動で削除してもよく、ユーザーが手動で保存ジョブを削除することにより記録領域31に印刷ジョブを記録できる容量が空いた場合、印刷ジョブを記録できる構成としてもよい。
また、ステップS8にて、当該処理を行っている印刷ジョブの記録が不可である場合、予め画像処理装置に設定された方法に基づいて(例えば、更新日時、印刷部数)、校了済フラグがオンの保存ジョブを削除する構成としてもよい。
【0041】
図5は、校了済フラグ設定処理に係る動作の一例を示すフローチャートである。
校了済フラグ設定処理は、入力された印刷ジョブの印刷が行われる場合に実行される処理である。
なお、ここでの印刷とは、例えば、お試し印刷等の仮刷り及び校正者や著者等による校正済みの画像データに基づいた印刷である。また、ここでの校了済フラグ設定処理として、所定の部数以上の印刷が一度の印刷で行われたことにより校了済と設定する処理を例示するが、その他予めフラグ設定プログラムc3に設定された方法に基づいて校了済フラグの設定を行ってもよい。
【0042】
図5に示すように、印刷部6による画像データの印刷が開始されると、先ず、プリントコントローラー4は、印刷ジョブに基づいた画像データの印刷が終了したか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11にて、画像データの印刷が終了したと判定されると(ステップS11;Yes)、CPU42aは、所定の部数以上の印刷が一度の印刷で行われたか否かを判定する(ステップS12)。具体的には、CPU42aは、所定の部数以上の印刷が一度の印刷で行われたと判定することにより、再度印刷する可能性が高い印刷ジョブとして判定する。そして、ステップS11にて、印刷ジョブに基づいた画像データの印刷が終了していないと判定されると(ステップS11;No)、当該印刷が終了するまで待機する。
【0043】
続いて、所定部数の印刷が行われたと判定されると(ステップS12;Yes)、CPU42aは、ジョブチケットの校了済フラグをオンに設定する(ステップS13:フラグ設定工程)。なお、ジョブチケットの校了済フラグの項目がオンに設定されたため、CPU42aは、ジョブチケットの「更新日時」の項目を編集する。一方、ステップS12にて、所定部数の印刷が行われていないと判定されると(ステップS12;No)、ジョブチケットの校了済フラグはオフのままの状態である。
【0044】
以上のように、本実施形態の画像形成装置1によれば、記録された印刷ジョブに対応した校了済フラグの設定を行い、設定された校了済フラグにより、当該校了済フラグに対応した印刷ジョブが校了済か否かを判定し、所定の削除タイミングにおいて、校了済となっていないと判定された印刷ジョブを削除するので、校了済に設定された増刷の可能性が高い印刷ジョブが削除されずに保存しておくことができる。
このように、記録領域に記録される印刷ジョブの保存・削除に関する管理をユーザーの手を煩わすことなく、ユーザーにとってより好適に行うことができる。
【0045】
また、所定の部数以上の印刷が一度の印刷で行われた印刷ジョブの校了済フラグをオンに設定するので、一度の印刷で所定の部数以上の印刷が行われた場合には、増刷の可能性があると判断して、削除しないようにすることができる一方で、一度の印刷で所定の部数以上の印刷が行われない場合は、増刷の可能性が低いと判断して、削除することができる。
【0046】
また、新たに取得された印刷ジョブと、校了済であると判定された印刷ジョブと、が類似しているか否かを、所定の項目における内容の一致割合に基づいて判定し、類似していると判定された印刷ジョブのうち校了済であると判定された印刷ジョブを削除し、新たに取得された印刷ジョブを記録するので、複数の印刷ジョブのうち既に記録されている校了済の印刷ジョブを新たに取得された印刷ジョブの前の版の印刷ジョブとして削除することができる。
【0047】
また、印刷ジョブ名に基づいて、新たに取得された印刷ジョブと、校了済であると判定された印刷ジョブと、が類似しているか否かを判定するので、校了前の版や、以前に印刷した前の版を簡単に削除することができる。
【0048】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに変更を行っても良い。
例えば、上記実施形態では、校了済フラグがオフと判定された保存ジョブを削除された後、類似していると判定された保存ジョブが削除されたが、削除される保存ジョブの順序は一例であってこれに限られるものではなく、適宜任意に変更可能である。
また、ジョブチケットの編集により保存フラグをオンにすることで、校了済フラグの設定に係らず削除されない構成としてもよい。
【0049】
また、記録部3は、画像形成装置1に含まれる構成としたが、これに限定されるものではなく、プリントコントローラー4に含まれる構成としてもよいし、画像形成装置1に外付けハードディスク等を適用する構成としてもよい。
【0050】
以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体としてROMを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリー等の不揮発性メモリー、CD−ROM等の可搬型記録媒体を利用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0051】
なお、本発明の実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内で全ての変更が含まれていることが意図される。
【符号の説明】
【0052】
1 画像形成装置
2 通信制御部
3 記録部
4 プリントコントローラー(画像処理装置)
42a CPU(取得プログラム、記録制御プログラム、フラグ設定プログラム、フ
ラグ判定プログラム、削除プログラム、類似判定プログラム)
c1 取得プログラム(取得部)
c2 記録制御プログラム(記録制御部)
c3 フラグ設定プログラム(フラグ設定部)
c4 フラグ判定プログラム(フラグ判定部)
c5 削除プログラム(削除部)
c6 類似判定プログラム(類似判定部)
6 印刷部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷用の画像データと印刷に係る設定内容に関するジョブチケットとを有する印刷ジョブを取得する取得部と、
前記取得部により取得された印刷ジョブを記録部に記録させる記録制御部と、
前記記録制御部により前記記録部に記録された印刷ジョブに対応した校了済フラグの設定を行うフラグ設定部と、
前記フラグ設定部により設定された前記校了済フラグにより、前記校了済フラグに対応した印刷ジョブが校了済か否かを判定するフラグ判定部と、
所定の削除タイミングにおいて、前記フラグ判定部により、校了済となっていないと判定された印刷ジョブを前記記録部から削除する削除部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記フラグ設定部は、
所定の部数以上の印刷が一度の印刷で行われた印刷ジョブの校了済フラグをオンに設定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記取得部により新たに取得された印刷ジョブと、前記フラグ判定部により校了済であると判定された、前記記録部に既に記録された印刷ジョブと、が類似しているか否かを、所定の項目における内容の一致割合に基づいて判定する類似判定部を更に備え、
前記削除部は、
前記類似判定部により類似していると判定された印刷ジョブのうち、前記記録部に既に記録された印刷ジョブを削除することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記所定の項目は、印刷ジョブ名であることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置により画像処理された画像データを印刷する印刷部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
印刷用の画像データと印刷に係る設定内容に関するジョブチケットとを有する印刷ジョブを取得する取得工程と、
前記取得工程により取得された印刷ジョブを記録部に記録させる記録工程と、
前記記録工程により前記記録部に記録された印刷ジョブに対応した校了済フラグの設定を行うフラグ設定工程と、
前記フラグ設定工程により設定された前記校了済フラグにより、前記校了済フラグに対応した印刷ジョブが校了済か否かを判定するフラグ判定工程と、
所定の削除タイミングにおいて、前記フラグ判定工程により、校了済となっていないと判定された印刷ジョブを前記記録部から削除する削除工程と、
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
コンピューターに、
印刷用の画像データと印刷に係る設定内容に関するジョブチケットとを有する印刷ジョブを取得する取得機能、
前記取得機能により取得された印刷ジョブを記録部に記録させる記録機能、
前記記録機能により前記記録部に記録された印刷ジョブに対応した校了済フラグの設定を行うフラグ設定機能、
前記フラグ設定機能によりされた前記校了済フラグにより、前記校了済フラグに対応した印刷ジョブが校了済か否かを判定するフラグ判定機能、
所定の削除タイミングにおいて、前記フラグ判定機能により、校了済となっていないと判定された印刷ジョブを前記記録部から削除する削除機能、を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−103397(P2013−103397A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248277(P2011−248277)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】