画像処理装置、表示制御方法及びプログラム
【課題】比較される画像の表示形態をユーザが簡単かつ柔軟に切り替えることを可能とする。
【解決手段】入力画像を取得する入力画像取得部と、前記入力画像に映る被写体の過去画像を取得する過去画像取得部と、前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に重ね合わせる第1のモード及び前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に並置する第2のモードを含む複数のモードから、前記入力画像を用いていずれかのモードを選択するモード選択部と、前記モード選択部により選択されたモードに従って、前記過去画像を前記入力画像に重畳する表示制御部と、を備える画像処理装置を提供する。
【解決手段】入力画像を取得する入力画像取得部と、前記入力画像に映る被写体の過去画像を取得する過去画像取得部と、前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に重ね合わせる第1のモード及び前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に並置する第2のモードを含む複数のモードから、前記入力画像を用いていずれかのモードを選択するモード選択部と、前記モード選択部により選択されたモードに従って、前記過去画像を前記入力画像に重畳する表示制御部と、を備える画像処理装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、表示制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、日々変化する事物の状態を画像に記録することが行われている。異なる時点において撮像された画像を比較すれば、対象の事物の外観上の変化を把握することが容易となる。一例として、人間の健康状態の変化又は生物の成長過程などが、日々記録される画像を通じて把握され得る。
【0003】
下記特許文献1は、ユーザの顔画像を定期的に撮像し、鏡のように表示される現在の顔画像の近傍に過去の画像を並置して表示すると共に、これら顔画像の差分に基づいて分析されるユーザの健康状態に関するメッセージを出力する画像表示装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−053328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された手法は、顔画像の比較に基づく分析を装置が自動的に行うことを目的としており、どのような形で画像を対比したいかをユーザが指示できるようなユーザインタフェースは提供されない。対象の事物(ユーザ自身又はその他の被写体)の変化をユーザが視覚を通じて適切に把握するためには、比較される画像の表示形態をユーザが簡単かつ柔軟に切替えられることが望ましい。
【0006】
そこで、本開示に係る技術は、比較される画像の表示形態をユーザが簡単かつ柔軟に切り替えることを可能とするユーザインタフェースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、入力画像を取得する入力画像取得部と、前記入力画像に映る被写体の過去画像を取得する過去画像取得部と、前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に重ね合わせる第1のモード及び前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に並置する第2のモードを含む複数のモードから、前記入力画像を用いていずれかのモードを選択するモード選択部と、前記モード選択部により選択されたモードに従って、前記過去画像を前記入力画像に重畳する表示制御部と、を備える画像処理装置が提供される。
【0008】
また、本開示によれば、画像処理装置において画像の表示を制御するための表示制御方法であって、入力画像を取得することと、前記入力画像に映る被写体の過去画像を取得することと、前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に重ね合わせる第1のモード及び前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に並置する第2のモードを含む複数のモードから、前記入力画像を用いていずれかのモードを選択することと、選択されたモードに従って、前記過去画像を前記入力画像に重畳することと、を含む表示制御方法が提供される。
【0009】
また、本開示によれば、画像処理装置を制御するコンピュータを、入力画像を取得する入力画像取得部と、前記入力画像に映る被写体の過去画像を取得する過去画像取得部と、前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に重ね合わせる第1のモード及び前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に並置する第2のモードを含む複数のモードから、前記入力画像を用いていずれかのモードを選択するモード選択部と、前記モード選択部により選択されたモードに従って、前記過去画像を前記入力画像に重畳する表示制御部と、として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る技術よれば、比較される画像の表示形態をユーザが簡単かつ柔軟に切り替えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施形態に係る画像処理装置の概要について説明するための第1の説明図である。
【図2】一実施形態に係る画像処理装置の概要について説明するための第2の説明図である。
【図3】一実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図4】一実施形態に係る画像処理装置の論理的機能の構成の一例を示すブロック図である。
【図5A】表示モードの第1の例について説明するための説明図である。
【図5B】表示モードの第2の例について説明するための説明図である。
【図5C】表示モードの第3の例について説明するための説明図である。
【図6】表示モードの切り替えのための動きの例について説明するための説明図である。
【図7A】表示モードの切り替えの第1のシナリオについて説明するための説明図である。
【図7B】表示モードの切り替えの第2のシナリオについて説明するための説明図である。
【図7C】表示モードの切り替えの第3のシナリオについて説明するための説明図である。
【図7D】表示モードの切り替えの第4のシナリオについて説明するための説明図である。
【図8】被写体位置と過去画像の撮像日時との対応付けの一例について説明するための説明図である。
【図9】一実施形態に係る表示制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図10】図9に示した過去画像重畳処理の詳細な流れの一例を示すフローチャートである。
【図11】一応用例の概要について説明するための説明図である。
【図12A】一応用例における表示モードの第1の例について説明するための説明図である。
【図12B】一応用例における表示モードの第2の例について説明するための説明図である。
【図12C】一応用例における表示モードの第3の例について説明するための説明図である。
【図13】一応用例における表示モードの切り替えのための操作の例について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
また、以下の順序で説明を行う。
1.概要
2.一実施形態に係る画像処理装置の構成例
2−1.ハードウェア構成
2−2.機能構成
3.処理の流れ
4.応用例
5.まとめ
【0014】
<1.画像処理装置の概要>
図1及び図2は、一実施形態に係る画像処理装置100の概要について説明するための説明図である。図1を参照すると、ユーザUaが有する画像処理装置100が示されている。画像処理装置100は、内側カメラである撮像部102と表示部110とを備える。ユーザUaが撮像部102のレンズを自分に向けると、撮像部102によりユーザUaを映した画像が撮像され、撮像画像が表示部102により表示される。図1に示した画像Im01は、画像処理装置100により撮像される画像の一例である。画像Im01には、被写体であるユーザUaの顔が映っている。画像処理装置100は、このような撮像画像を入力画像として取得する。画像処理装置100により取得される入力画像は、画像処理装置100の内部又は外部のデータベース(DB)内で、日時情報と関連付けて過去画像として蓄積される。そして、画像処理装置100は、後に説明する様々な表示モードに従って、入力画像と蓄積された過去画像とを表示する。
【0015】
図1では、画像処理装置100の一例として携帯端末を示している。しかしながら、画像処理装置100は、かかる例に限定されない。画像処理装置100は、例えば、タブレットPC、ノートブックPC、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ又はゲーム端末などの端末装置であってもよい。図2の例では、画像処理装置100は、撮像部102と表示部110とを有する、鏡付き化粧台のような役割を有する装置である。当該装置は、例えば、デスクトップPC又はデジタルテレビジョン装置などの情報処理装置であってもよい。
【0016】
<2.画像処理装置の構成例>
次に、図1及び図2に示した画像処理装置100の構成例について詳細に説明する。
【0017】
[2−1.ハードウェア構成]
図3は、本実施形態に係る画像処理装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図3を参照すると、画像処理装置100は、撮像部102、センサ部104、入力部106、記憶部108、表示部110、通信部112、バス116及び制御部118を備える。
【0018】
(1)撮像部
撮像部102は、画像を撮像するカメラモジュールである。撮像部102は、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を用いて被写体を撮像し、撮像画像を生成する。図1及び図2の例では、撮像部102により撮像される画像の被写体は、画像処理装置100のユーザである。一方、後に説明される応用例では、撮像部102により撮像される画像の被写体は、画像処理装置100のユーザではない。撮像部102は、必ずしも画像処理装置100の一部でなくてもよい。例えば、画像処理装置100と有線又は無線で接続される撮像装置が撮像部102として扱われてもよい。
【0019】
(2)センサ部
センサ部104は、画像処理装置100において実行される処理を支援するためのセンサモジュールである。例えば、センサ部104は、GPS(Global Positioning System)センサ又は無線信号の強度に基づく無線測位センサなどの測位センサを含んでもよい。また、センサ部104は、3軸加速度センサ及びジャイロセンサを含んでもよい。
【0020】
(3)入力部
入力部106は、ユーザが画像処理装置100を操作し又は画像処理装置100へ情報を入力するために使用される入力デバイスである。入力部106は、例えば、表示部110の画面上へのユーザによるタッチを検出するタッチセンサを含んでもよい。その代わりに(又はそれに加えて)、入力部106は、マウス若しくはタッチパッドなどのポインティングデバイスを含んでもよい。さらに、入力部106は、キーボード、キーパッド、ボタン、スイッチ又はリモートコントローラなどのその他の種類の入力デバイスを含んでもよい。
【0021】
(4)記憶部
記憶部108は、半導体メモリ又はハードディスクなどの記憶媒体により構成され、画像処理装置100による処理のためのプログラム及びデータを記憶する。記憶部108により記憶されるデータは、例えば、撮像部102により生成される撮像画像データ、センサ部104により生成されるセンサデータ、及びデータベース内に蓄積される過去画像データなどを含み得る。なお、本明細書で説明するプログラム及びデータの一部又は全部は、記憶部108により記憶されることなく、外部のデータソース(例えば、データサーバ、ネットワークストレージ又は外付けメモリなど)から取得されてもよい。
【0022】
(5)表示部
表示部110は、LCD(Liquid Crystal Display)、OLED(Organic light-Emitting Diode)又はCRT(Cathode Ray Tube)などにより構成される表示モジュールである。表示部110は、例えば、入力画像に過去画像を重畳することにより生成される出力画像を表示するために使用され得る。なお、表示部110もまた、必ずしも画像処理装置100の一部でなくてもよい。例えば、画像処理装置100と有線又は無線で接続される表示装置が表示部110として扱われてもよい。
【0023】
(6)通信部
通信部112は、画像処理装置100による他の装置との間の通信を仲介する通信インタフェースである。通信部112は、任意の無線通信プロトコル又は有線通信プロトコルをサポートし、他の装置との間の通信接続を確立する。
【0024】
(7)バス
バス116は、撮像部102、センサ部104、入力部106、記憶部108、表示部110、通信部112及び制御部118を相互に接続する。
【0025】
(8)制御部
制御部118は、CPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサに相当する。制御部118は、記憶部108又は他の記憶媒体に記憶されるプログラムを実行することにより、後に説明する画像処理装置100の様々な機能を動作させる。
【0026】
[2−2.機能構成]
図4は、図3に示した画像処理装置100の記憶部108及び制御部118により実現される論理的機能の構成の一例を示すブロック図である。図4を参照すると、画像処理装置100は、入力画像取得部120、識別部130、蓄積制御部140、画像DB150、過去画像取得部160、表示制御部170、動き検出部180及びモード選択部190を含む。
【0027】
(1)入力画像取得部
入力画像取得部120は、撮像部102により生成される撮像画像を入力画像として取得する。図1及び図2の例では、入力画像取得部120により取得される入力画像には、ユーザUaの顔画像が映る。当該入力画像は、静止画であってもよく、動画を構成する各フレームであってもよい。入力画像取得部120は、取得した入力画像を、識別部130、蓄積制御部140、表示制御部170及び動き検出部180へ出力する。
【0028】
(2)識別部
識別部130は、入力画像取得部120から入力される入力画像に映る被写体を識別する。識別部130は、例えば、公知の画像認識技術に基づく識別アルゴリズムを用いて、入力画像に映る被写体を識別してもよい。その代わりに、識別部130は、画像処理装置100にログインしているユーザが被写体であると識別してもよい。また、識別部130は、入力部106を介して被写体の識別子などの識別情報をユーザに入力させることにより、被写体を識別してもよい。識別部130は、被写体の識別に成功すると、被写体の識別情報(例えば、ユーザIDなどの識別子)を蓄積制御部140及び過去画像取得部160へ出力する。
【0029】
なお、1人のユーザのみが被写体として入力画像に映るような用途においては、識別部130による識別処理は省略されてもよい。
【0030】
(3)蓄積制御部/画像DB
蓄積制御部140は、画像DB150における過去画像の蓄積を制御する。画像DB150は、被写体を過去に撮像した1つ以上の過去画像を蓄積するデータベースである。例えば、蓄積制御部140は、所定の期間(例えば、1日又は1週間など)が経過するごとに、入力画像取得部120から入力される入力画像を過去画像として画像DB150に記憶させてもよい。その代わりに、蓄積制御部140は、入力部106を介するユーザからの指示に応じて、入力画像を過去画像として画像DB150に記憶させてもよい。蓄積制御部140は、例えば、識別部130から入力される被写体の識別情報及び撮像日時を示す日時情報と関連付けて、過去画像を画像DB150に記憶させる。
【0031】
(4)過去画像取得部
過去画像取得部160は、画像DB150から、入力画像に映る被写体の過去画像を取得する。例えば、過去画像取得部160は、画像DB150に記憶されている複数の過去画像のうち識別部130から入力される被写体の識別情報と関連付けられている過去画像を取得してよい。過去画像取得部160は、同じ被写体の複数の過去画像のうち、所定の日時(例えば、現在の日時の1日前、1週間前、1ヶ月前及び1年前など)に撮像された過去画像のみを選択的に取得してもよい。過去画像取得部160は、このように取得される過去画像を表示制御部170へ出力する。
【0032】
なお、過去画像取得部160は、被写体を過去に撮像した過去画像を取得する代わりに、過去に記憶され又は事後的に指定される被写体の過去の属性と現在の入力画像とに基づいて、被写体の推定される過去の外観を表す過去画像を動的に生成してもよい。例えば、被写体が人物である場合、その人物の身長及び体重などの体型データ、年齢データ、又は血圧値若しくは疲労度などの健康関連データの現在と過去との差分を用いて、現在の入力画像に映る被写体の外観から過去の被写体の外観が推定され得る。
【0033】
(5)表示制御部
表示制御部170は、後述するモード選択部190により選択される表示モードに従って、過去画像取得部160により取得される過去画像を入力画像に重畳することにより、出力画像を生成する。そして、表示制御部170は、生成した出力画像を表示部110のディスプレイ上に表示する。
【0034】
本実施形態において、過去画像の表示モードは、図5A〜図5Cに例示する3つの表示モードM1、M2及びM3のいずれかである。第1の表示モードM1は、過去画像に映る被写体を入力画像に映る被写体に重ね合わせるモードであり、本明細書ではこれを「オーバラップ(重ね合わせ)」モードという。第2の表示モードM2は、過去画像に映る被写体を入力画像に映る被写体に並べて配置するモードであり、本明細書ではこれを「パラレル(並置)」モードという。第3の表示モードM3は、過去画像取得部160により取得される複数の過去画像の一覧を入力画像に重畳するモードであり、本明細書ではこれを「一覧」モードという。
【0035】
図5Aは、表示モードの第1の例であるオーバラップモードについて説明するための説明図である。図5Aを参照すると、オーバラップモードで表示される出力画像Im11が示されている。出力画像Im11は、2011年9月15日に撮像された入力画像に、過去画像P01〜P03のうち2011年8月15日に撮像された過去画像P02を重畳することにより生成された画像である。入力画像には、ショートヘアの髪型を有するユーザUaが映っている。過去画像P02には、ロングヘアの髪型を有するユーザUaが映っている。オーバラップモードでは、このように現在及び過去の被写体が重ね合わせて表示されるため、ユーザにとって、被写体の細部の外観上の違いを観察することが容易である。オーバラップモードは、例えば、現在及び過去の被写体の互いに対応する特徴点の位置を出力画像において略一致させることにより実現されてよい。被写体の特徴点の位置は、例えば、人物(あるいは動物)の目、口、肩若しくは腰などの位置であってもよく、又は人物以外の被写体のエッジ上のいずれかの位置であってもよい。
【0036】
図5Bは、表示モードの第2の例であるパラレルモードについて説明するための説明図である。図5Bを参照すると、パラレルモードで表示される出力画像Im12が示されている。出力画像Im12もまた、2011年9月15日に撮像された入力画像に、2011年8月15日に撮像された過去画像P02を重畳することにより生成された画像である。パラレルモードでは、図5Bに示したように現在及び過去の被写体が出力画像内で並列的に配置されるため、ユーザが、表示された2つの被写体を比較しながら、各被写体をより明瞭に視認することができる。パラレルモードは、例えば、現在及び過去の被写体の注目部分(例えば、人物の顔など)が重ならないようにこれら被写体を互いに間隔を空けて配置することにより実現されてよい。過去画像の被写体は、フレームからフレームにわたり上記間隔を維持しながら現在の被写体に追従するように移動されてもよく、又は一度表示された後で現在の被写体に追従しなくてもよい。
【0037】
図5Cは、表示モードの第3の例である一覧モードについて説明するための説明図である。図5Cを参照すると、一覧モードで表示される出力画像Im13が示されている。出力画像Im13の下部には、縮小された過去画像P01〜P03が一覧化されている。一覧モードにおいて、表示制御部170は、ユーザUaの動きに応じて過去画像の一覧をスクロールしてもよい。例えば、表示制御部170は、ユーザUaの左方向への移動に応じて過去画像の一覧を右方向へスクロールし、過去画像P01よりも古い過去画像を新たに表示し得る。同様に、表示制御部170は、ユーザUaの右方向への移動に応じて過去画像の一覧を左方向へスクロールし得る。過去画像の一覧のスクロール量は、被写体の速度に応じて動的に変更されてもよい。なお、過去画像の一覧は、図示された例に限定されず、出力画像内のいずれの位置に重畳されてもよい。
【0038】
表示制御部170は、選択されるモードに応じて、表示される過去画像の透明度を変化させてもよい。例えば、オーバラップモードでは、重なり合う被写体の双方が十分に視認可能となるように、重畳される過去画像の透明度は相対的に高く設定され得る。パラレルモードでは、過去画像は入力画像において被写体が映っていない領域に重畳されるため、過去画像の透明度は相対的に低く設定されてよい。一覧モードでは、過去画像の透明度は中間的な値に設定されてよい。
【0039】
また、表示制御部170は、オーバラップモード及びパラレルモードにおいて、入力画像に映る被写体のサイズ、明るさ又は色合いに応じて、表示される過去画像の被写体のサイズ、明るさ又は色合いをそれぞれ変化させてもよい。例えば、入力画像に映る被写体のサイズが過去画像に映る被写体のサイズよりも大きい場合には、過去画像はサイズの比に応じて拡大され得る。入力画像において被写体が過去画像よりも明るく映っている場合には、過去画像の被写体がより明るくなるように過去画像の輝度が調整され得る。それにより、変動する撮像条件の影響を排除して被写体をより適切に比較することが可能となる。
【0040】
本実施形態において、表示モードの切り替えは、入力画像に映る被写体の動きに応じて行われ得る。図6は、表示モードの切り替えのための動きの例について説明するための説明図である。図6を参照すると、3つの表示モードの各ペアの間の切り替えのトリガとなり得る被写体の動きの例が記載されている。例えば、一覧モード又はパラレルモードからオーバラップモードへの切り替えのトリガは、表示されているいずれかの過去画像に被写体が近付く動き、又は表示されているいずれかの過去画像を被写体が引き寄せる動きであってよい。オーバラップモードからパラレルモードへの切り替えのトリガは、重ね合わされた過去画像を振り払うような、所定の速さを超える被写体の動き(例えば、体又は頭を揺らす動きなど)であってよい。一覧モードからパラレルモードへの切り替えのトリガは、表示されているいずれかの過去画像を被写体の存在しない領域へ運ぶような動きであってよい。オーバラップモード又はパラレルモードから一覧モードへの切り替えのトリガは、画面の端部への被写体の移動であってよい。これら被写体の動きは、次に説明する動き検出部180により検出される。
【0041】
なお、図6に示した表示モードの切り替えのための動きは一例に過ぎない。即ち、表示モードの切り替えは、被写体の他の種類の動きをトリガとして行われてもよい。また、入力部106を介して検出されるユーザ入力(例えば、タッチ、クリック又は所定のボタンの押下など)が、表示モードの切り替えのための操作として補完的に採用されてもよい。
【0042】
(6)動き検出部
動き検出部180は、入力画像取得部120から入力される入力画像に映る被写体の動きを検出する。動き検出部180は、例えば、背景差分抽出又は肌色領域抽出などの公知の手法に従って、入力画像に映る被写体領域を抽出する。次に、動き検出部180は、一連の入力画像から抽出される被写体領域の動きが表示モードの切り替えのトリガとして定義されたいずれかの動きに合致するかを判定する。そして、動き検出部180は、表示モードの切り替えのトリガとして定義された動きを検出すると、検出した動きの種別、及び(必要に応じて)その動きにより指定された過去画像の識別子とを、モード選択部190へ出力する。以下、図7A〜図7Dを用いて、表示モードの切り替えの例示的な4つのシナリオについて説明する。
【0043】
図7Aは、表示モードの切り替えの第1のシナリオについて説明するための説明図である。図7Aに例示した出力画像Im21には、ユーザUbが映っており、さらに出力画像Im21の下部に過去画像P11〜P13が一覧モードで表示されている。出力画像Im22において、ユーザUbは、自身の頭部を過去画像P12に近付けている。動き検出部180は、このようなユーザUbの動きを、オーバラップモードへの切り替えのトリガとして検出し得る。
【0044】
図7Bは、表示モードの切り替えの第2のシナリオについて説明するための説明図である。図7Bに例示した出力画像Im31には、ユーザUbが映っており、さらにユーザUbの近傍に過去画像P12がパラレルモードで表示されている。出力画像Im32において、ユーザUbは、自身の手を使って過去画像P12を自身に引き寄せる動きをしている。動き検出部180は、このようなユーザUbの動きを、オーバラップモードへの切り替えのトリガとして検出し得る。
【0045】
図7Cは、表示モードの切り替えの第3のシナリオについて説明するための説明図である。図7Cに例示した出力画像Im41には、ユーザUbが映っており、さらにユーザUbに重ね合わせて過去画像P12がオーバラップモードで表示されている。出力画像Im42において、ユーザUbは、頭を揺り動かす動きをしている。動き検出部180は、このようなユーザUbの動きを、オーバラップモードからパラレルモードへの切り替えのトリガとして検出し得る。
【0046】
図7Dは、表示モードの切り替えの第4のシナリオについて説明するための説明図である。図7Dに例示した出力画像Im51には、ユーザUbが映っており、さらにユーザUbに重ね合わせて過去画像P12がオーバラップモードで表示されている。出力画像Im52において、ユーザUbは、画面の端部へ移動している。動き検出部180は、このようなユーザUbの動きを、一覧モードへの切り替えのトリガとして検出し得る。
【0047】
(7)モード選択部
モード選択部190は、入力画像を用いて動き検出部180により検出される被写体の動きに応じて、上述した3つの表示モードを含む複数の表示モードから表示モードを選択する。例えば、モード選択部190は、図7Aに示したように、一覧モード又はパラレルモードで表示されているいずれかの過去画像に被写体が近付く動きが検出された場合に、オーバラップモードを選択し得る。また、モード選択部190は、図7Bに示したように、一覧モード又はパラレルモードで表示されている過去画像を被写体であるユーザが引き寄せる動きが検出された場合に、オーバラップモードを選択し得る。また、モード選択部190は、図7Cに示したように、オーバラップモードで過去画像が表示されている場合において、所定の速さを超える被写体の動きが検出された場合に、パラレルモードを選択し得る。また、モード選択部190は、図7Dに示したように、オーバラップモード又はパラレルモードで過去画像が表示されている場合において被写体が画面の端部へ移動したことが検出された場合に、一覧モードを選択し得る。モード選択部190は、このように選択される表示モードの識別子を、表示制御部170へ出力する。そして、表示制御部170は、モード選択部190により選択されたモードに従って、指定された過去画像又は過去画像の一覧を入力画像に重畳する。
【0048】
なお、表示制御部170は、オーバラップモードにおいて、入力画像に重畳される過去画像を、入力画像内の被写体の位置に応じて変化させてもよい。即ち、表示制御部170は、オーバラップモードが選択されている場合に、入力画像内の被写体の位置に応じて異なる時間に撮像された過去画像を、入力画像に重畳してよい。例えば、入力画像内の水平方向の被写体位置が、過去画像の撮像日時に対応付けられ得る。
【0049】
図8は、被写体位置と過去画像の撮像日時との対応付けの一例について説明するための説明図である。図8の下部には、入力画像Im6内の水平方向の被写体位置を示す座標軸が示されている。かかる座標軸は、過去画像の撮像日時の時間軸に対応付けられる。例えば、入力画像Im6内で被写体が位置H1に位置する場合にはより古い過去画像P11が入力画像Im6に重畳され、被写体が位置H2に位置する場合にはより新しい過去画像P12が入力画像Im6に重畳され得る。このような被写体位置と過去画像の撮像日時との対応付けにより、ユーザは、左右に移動するだけで過去画像を自在に変更し、様々な時点の過去画像を現在の自身の画像と比較することができる。
【0050】
<3.処理の流れ>
図9は、本実施形態に係る画像処理装置100による表示制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0051】
図9を参照すると、まず、入力画像取得部120は、撮像部102により生成される撮像画像を入力画像として取得する(ステップS102)。その後のステップS106〜S110の処理は、過去画像取得部160により過去画像が既に取得されている場合にはスキップされ得る(ステップS104)。
【0052】
過去画像が未だ取得されていない場合には、識別部130は、入力画像取得部120から入力される入力画像に映る被写体を識別する(ステップS106)。次に、過去画像取得部160は、識別部130により識別された被写体を過去に撮像した過去画像を画像DB150から取得する(ステップS108)。モード選択部190は、初期状態において、予め設定される既定の表示モード(例えば、一覧モード)を選択する(ステップS110)。
【0053】
次に、動き検出部180は、入力画像取得部120により取得された入力画像に映る被写体の動きを検出する(ステップS112)。次に、モード選択部190は、表示モードの切り替えに対応する動きが動き検出部180により検出されたか否かを判定する(ステップS114)。表示モードの切り替えに対応する動きが検出された場合には、モード選択部190は、切り替え後の表示モードを選択する(ステップS116)。そして、表示制御部170は、モード選択部190により選択されたモードに従って、図10に例示する過去画像重畳処理を実行する(ステップS120)。
【0054】
図10は、図9のステップS120の過去画像重畳処理の詳細な流れの一例を示すフローチャートである。
【0055】
図10に示した処理は、現在選択されている表示モードに応じて分岐する。例えば、オーバラップモードが選択されている場合には、処理はステップS126へ進む(ステップS122)。パラレルモードが選択されている場合には、処理はステップS132へ進む(ステップS124)。一覧モードが選択されている場合には、処理はステップS138へ進む。
【0056】
オーバラップモードが選択されている場合、表示制御部170は、まず、表示すべき過去画像を特定する(ステップS126)。ここで特定される過去画像は、例えば、図7A若しくは図7Bに例示したような被写体の動きによって指定された過去画像であってもよい。その代わりに、図8の例のように、入力画像内の被写体位置に応じて決定される日時に撮像された過去画像が、表示すべき過去画像として特定されてもよい。次に、表示制御部170は、特定した過去画像の表示属性を調整する(ステップS128)。例えば、表示制御部170は、重なり合う被写体の双方が十分に視認可能となるように、過去画像の透明度を高めてもよい。また、表示制御部170は、入力画像に映る被写体のサイズ、明るさ又は色合いに応じて、表示される過去画像の被写体のサイズ、明るさ又は色合いをそれぞれ変化させてもよい。そして、表示制御部170は、入力画像及び過去画像に映る被写体が重なり合うように、表示属性の調整された過去画像を入力画像に重畳する(ステップS130)。
【0057】
パラレルモードが選択されている場合、表示制御部170は、まず、表示すべき過去画像を特定する(ステップS132)。ここで特定される過去画像は、オーバラップモードの場合と同様、例えば被写体の動きによって指定された過去画像であってよい。次に、表示制御部170は、特定した過去画像の表示属性を調整する(ステップS134)。例えば、表示制御部170は、オーバラップモードの場合と比較して過去画像の透明度をより低く設定し得る。また、表示制御部170は、入力画像に映る被写体のサイズ、明るさ又は色合いに応じて、表示される過去画像の被写体のサイズ、明るさ又は色合いをそれぞれ変化させてもよい。そして、表示制御部170は、入力画像及び過去画像に映る被写体が並列的に配置されるように、表示属性の調整された過去画像を入力画像に重畳する(ステップS136)。
【0058】
一覧モードが選択されている場合、表示制御部170は、まず、一覧化される複数の過去画像の表示属性を調整する(ステップS138)。例えば、表示制御部170は、各過去画像のサイズを縮小してもよい。そして、表示制御部170は、複数の過去画像を撮像日時の順に一覧化して入力画像に重畳する(ステップS140)。
【0059】
<4.応用例>
上述した画像処理装置100は、現在画像と過去画像とを比較するための表示モードを切り替えるための、簡単かつ柔軟なユーザインタフェースをユーザに提供する。上述した例では、主に画像処理装置100のユーザ自身の画像が比較の対象であったが、画像処理装置100の構成は、他の被写体が比較の対象となる場合にも適用可能である。そこで、本節では、図11〜図13を用いてそのような応用例について説明する。
【0060】
図11は、一応用例の概要について説明するための説明図である。図11を参照すると、ユーザUcが有する画像処理装置100が示されている。画像処理装置100は、撮像装置である。画像処理装置100は、例えば、デジタルカメラ又はカメラモジュールを有するスマートフォンなどであってよい。画像処理装置100の入力部106は、図11に示したボタン106a及び106bを含む。ボタン106aは、レリーズボタン106aであり、ユーザによる撮像操作を受け付ける。ボタン106bは、後に説明するように、ユーザによる表示モードの操作のために利用され得る。図11の例において、画像処理装置100の撮像部102のレンズは、被写体B1に向けられている。被写体B1の奥には背景が存在する。
【0061】
本応用例においても、過去画像の表示モードは、オーバラップモード、パラレルモード及び一覧モードを含み得る。さらに、過去画像が入力画像に重畳されず、入力画像がそのままディスプレイ上に表示される通常モードも存在し得る。
【0062】
図12Aは、本応用例におけるオーバラップモードについて説明するための説明図である。図12Aを参照すると、オーバラップモードで表示される出力画像Im7が示されている。出力画像Im7は、2011年9月15日に撮像された入力画像に、過去画像P21〜P23のうち2011年6月15日に撮像された過去画像P21を重畳することにより生成された画像である。過去画像P21には、3ヶ月前の被写体B1が映っている。入力画像には、より成長した被写体B1が映っている。オーバラップモードにおいて、これら2つの被写体は重ね合わせて表示されている。
【0063】
図12Bは、本応用例におけるパラレルモードについて説明するための説明図である。図12Bを参照すると、パラレルモードで表示される出力画像Im8が示されている。出力画像Im8もまた、図12Aと同様の入力画像に過去画像P21を重畳することにより生成された画像である。但し、パラレルモードにおいて、入力画像及び過去画像P21にそれぞれ映る被写体は、重ね合わされる代わりに、並べて配置されている。このようなパラレルモードは、オーバラップモードに従って過去画像が表示されている場合において、ユーザが画角を変化させた際に選択され得る。
【0064】
図12Cは、本応用例における一覧モードについて説明するための説明図である。図12Cを参照すると、一覧モードで表示される出力画像Im91が示されている。出力画像Im91は、やや縮小された入力画像Im92と過去画像P21〜P23の一覧とを含む。本応用例において、一覧モードは、入力画像に重畳すべき過去画像をユーザに指定させるための指定画面を提供するモードとして用いられてもよい。
【0065】
図13は、本応用例における表示モードの切り替えのための操作の例について説明するための説明図である。図13には、オーバラップモード、パラレルモード及び一覧モードに加えて通常モードを含む4つの表示モードの間の遷移が例示されている。このうち、例えば、既定の表示モードは、入力画像がそのままディスプレイ上に表示される通常モードである。通常モードにおいて、入力部106を介する所定のユーザ入力が検出されると、表示モードは一覧モードに切り替わる。一覧モードにおいて、いずれかの過去画像が指定されると、モード選択部190は、指定された過去画像の背景が入力画像の背景に適合する位置を探索する。そして、モード選択部190は、背景が適合する位置を発見できた場合に、オーバラップモードを選択する。その後、ユーザが画角を変化させることにより入力画像内で被写体が移動すると、モード選択部190は、パラレルモードを選択する。なお、パラレルモードにおいて過去画像が重畳される入力画像内の位置は、オーバラップモードにおいて当該過去画像が重畳されていた位置から変化しない。オーバラップモード又はパラレルモードが選択されている状態において、入力部106を介する所定のユーザ入力が検出されると、表示モードは通常モードに切り替わる。
【0066】
図13の例において、オーバラップモードへの切り替えは、図11に例示したボタン106bのような所定のボタンの押下をトリガとして行われてもよい。その場合には、モード選択部190は、ボタン106bの押下に応じて過去画像と入力画像との照合を実行し、オーバラップモードを選択し得る。さらに、ユーザがボタン106bを押下したままで画角を変化させた場合に、モード選択部190は、パラレルモードを選択してもよい。一方、ボタン106bが解放されると、表示モードは通常モードに戻る。
【0067】
なお、本応用例のように画像処理装置100が撮像機能を有するケースでは、オーバラップモード又はパラレルモードに従って過去画像が表示されている状態において撮像操作が受け付けられた場合に、入力画像に過去画像が重畳された画像が撮像画像として取得され記憶されてもよい。それにより、ユーザは、記憶された画像を参照することで、事後的に2つの被写体を比較することが可能となる。
【0068】
<5.まとめ>
ここまで、図1〜図13を用いて、一実施形態に係る画像処理装置100及びその応用例について詳細に説明した。上述した実施形態によれば、被写体を重ね合わせるオーバラップモード及び被写体を並置するパラレルモードを含む複数の過去画像の表示モードの間の切り替えが、入力画像を用いて行われる。従って、ユーザは、比較される2つの画像の表示形態を簡単かつ柔軟に切り替えることができる。表示モードの選択は、入力画像に映る被写体の動きに応じて行われ得る。即ち、比較の対象である被写体の動き自体が表示モードの切り替えのトリガとなる。従って、ユーザは、被写体に関連しない入力手段に注意を奪われることなく表示形態を切り替えることができる。
【0069】
例えば、オーバラップモードへの切り替えのトリガは、いずれかの過去画像に被写体が近付く動き、又はいずれかの過去画像を被写体が引き寄せる動きの検出であってよい。また、オーバラップモードからパラレルモードへの切り替えのトリガは、重ね合わされた過去画像を振り払うような動きの検出であってよい。これら動きは、ユーザにとって直感的であって憶え易い。従って、かかる構成によれば、表示モードの切り替えのためのユーザインタフェースのユーザビリティを一層高めることができる。
【0070】
なお、本明細書において説明した各装置による一連の制御処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられる記憶媒体に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、実行時にRAM(Random Access Memory)に読み込まれ、CPUなどのプロセッサにより実行される。
【0071】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0072】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
入力画像を取得する入力画像取得部と、
前記入力画像に映る被写体の過去画像を取得する過去画像取得部と、
前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に重ね合わせる第1のモード及び前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に並置する第2のモードを含む複数のモードから、前記入力画像を用いていずれかのモードを選択するモード選択部と、
前記モード選択部により選択されたモードに従って、前記過去画像を前記入力画像に重畳する表示制御部と、
を備える画像処理装置。
(2)
前記モード選択部は、前記入力画像に映る被写体の動きに応じていずれかのモードを選択する、前記(1)に記載の画像処理装置。
(3)
前記モード選択部は、前記第1のモードとは異なるモードに従って表示されている前記過去画像に前記被写体が近付く動きが検出された場合に、前記第1のモードを選択する、前記(2)に記載の画像処理装置。
(4)
前記被写体は、前記画像処理装置のユーザであり、
前記モード選択部は、前記第1のモードとは異なるモードに従って表示されている前記過去画像を前記ユーザが引き寄せる動きが検出された場合に、前記第1のモードを選択する、
前記(2)に記載の画像処理装置。
(5)
前記モード選択部は、前記第1のモードに従って前記過去画像が表示されている場合において所定の速さを超える前記被写体の動きが検出された場合に、前記第2のモードを選択する、前記(2)に記載の画像処理装置。
(6)
前記過去画像取得部は、撮像された時間の互いに異なる複数の前記過去画像を取得し、
前記表示制御部は、前記第1のモードが選択されている場合に、前記入力画像内の被写体の位置に応じて異なる時間に撮像された前記過去画像を前記入力画像に重畳する、
前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の画像処理装置。
(7)
前記過去画像取得部は、撮像された時間の互いに異なる複数の前記過去画像を取得し、
前記複数のモードは、前記過去画像取得部により取得される複数の前記過去画像の一覧を前記入力画像に重畳する第3のモードをさらに含む、
前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の画像処理装置。
(8)
前記モード選択部は、前記第1のモード又は前記第2のモードに従って前記過去画像が表示されている場合において前記被写体が画面の端部へ移動したことが検出された場合に、前記第3のモードを選択する、前記(7)に記載の画像処理装置。
(9)
前記モード選択部は、前記第1のモードに従って前記過去画像が表示されている状態から画角が変化することにより前記被写体が移動した場合に、前記第2のモードを選択する、前記(2)に記載の画像処理装置。
(10)
前記表示制御部は、前記モード選択部により選択されるモードに応じて、表示される前記過去画像の透明度を変化させる、前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の画像処理装置。
(11)
前記表示制御部は、前記入力画像に映る被写体のサイズ、明るさ又は色合いに応じて、表示される前記過去画像の被写体のサイズ、明るさ又は色合いをそれぞれ変化させる、前記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の画像処理装置。
(12)
前記画像処理装置は、前記入力画像を撮像する撮像部と、ユーザによる撮像操作を受け付ける入力部と、を備える撮像装置であり、
前記第1のモード又は前記第2のモードに従って前記過去画像が表示されている状態において前記撮像操作が受け付けられた場合には、前記入力画像に前記過去画像が重畳された画像が撮像画像として取得される、
前記(1)〜(11)のいずれか1項に記載の画像処理装置。
(13)
画像処理装置において画像の表示を制御するための表示制御方法であって、
入力画像を取得することと、
前記入力画像に映る被写体の過去画像を取得することと、
前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に重ね合わせる第1のモード及び前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に並置する第2のモードを含む複数のモードから、前記入力画像を用いていずれかのモードを選択することと、
選択されたモードに従って、前記過去画像を前記入力画像に重畳することと、
を含む表示制御方法。
(14)
画像処理装置を制御するコンピュータを、
入力画像を取得する入力画像取得部と、
前記入力画像に映る被写体の過去画像を取得する過去画像取得部と、
前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に重ね合わせる第1のモード及び前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に並置する第2のモードを含む複数のモードから、前記入力画像を用いていずれかのモードを選択するモード選択部と、
前記モード選択部により選択されたモードに従って、前記過去画像を前記入力画像に重畳する表示制御部と、
として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0073】
100 画像処理装置
120 入力画像取得部
160 過去画像取得部
170 表示制御部
190 モード選択部
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、表示制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、日々変化する事物の状態を画像に記録することが行われている。異なる時点において撮像された画像を比較すれば、対象の事物の外観上の変化を把握することが容易となる。一例として、人間の健康状態の変化又は生物の成長過程などが、日々記録される画像を通じて把握され得る。
【0003】
下記特許文献1は、ユーザの顔画像を定期的に撮像し、鏡のように表示される現在の顔画像の近傍に過去の画像を並置して表示すると共に、これら顔画像の差分に基づいて分析されるユーザの健康状態に関するメッセージを出力する画像表示装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−053328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された手法は、顔画像の比較に基づく分析を装置が自動的に行うことを目的としており、どのような形で画像を対比したいかをユーザが指示できるようなユーザインタフェースは提供されない。対象の事物(ユーザ自身又はその他の被写体)の変化をユーザが視覚を通じて適切に把握するためには、比較される画像の表示形態をユーザが簡単かつ柔軟に切替えられることが望ましい。
【0006】
そこで、本開示に係る技術は、比較される画像の表示形態をユーザが簡単かつ柔軟に切り替えることを可能とするユーザインタフェースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、入力画像を取得する入力画像取得部と、前記入力画像に映る被写体の過去画像を取得する過去画像取得部と、前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に重ね合わせる第1のモード及び前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に並置する第2のモードを含む複数のモードから、前記入力画像を用いていずれかのモードを選択するモード選択部と、前記モード選択部により選択されたモードに従って、前記過去画像を前記入力画像に重畳する表示制御部と、を備える画像処理装置が提供される。
【0008】
また、本開示によれば、画像処理装置において画像の表示を制御するための表示制御方法であって、入力画像を取得することと、前記入力画像に映る被写体の過去画像を取得することと、前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に重ね合わせる第1のモード及び前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に並置する第2のモードを含む複数のモードから、前記入力画像を用いていずれかのモードを選択することと、選択されたモードに従って、前記過去画像を前記入力画像に重畳することと、を含む表示制御方法が提供される。
【0009】
また、本開示によれば、画像処理装置を制御するコンピュータを、入力画像を取得する入力画像取得部と、前記入力画像に映る被写体の過去画像を取得する過去画像取得部と、前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に重ね合わせる第1のモード及び前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に並置する第2のモードを含む複数のモードから、前記入力画像を用いていずれかのモードを選択するモード選択部と、前記モード選択部により選択されたモードに従って、前記過去画像を前記入力画像に重畳する表示制御部と、として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る技術よれば、比較される画像の表示形態をユーザが簡単かつ柔軟に切り替えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施形態に係る画像処理装置の概要について説明するための第1の説明図である。
【図2】一実施形態に係る画像処理装置の概要について説明するための第2の説明図である。
【図3】一実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図4】一実施形態に係る画像処理装置の論理的機能の構成の一例を示すブロック図である。
【図5A】表示モードの第1の例について説明するための説明図である。
【図5B】表示モードの第2の例について説明するための説明図である。
【図5C】表示モードの第3の例について説明するための説明図である。
【図6】表示モードの切り替えのための動きの例について説明するための説明図である。
【図7A】表示モードの切り替えの第1のシナリオについて説明するための説明図である。
【図7B】表示モードの切り替えの第2のシナリオについて説明するための説明図である。
【図7C】表示モードの切り替えの第3のシナリオについて説明するための説明図である。
【図7D】表示モードの切り替えの第4のシナリオについて説明するための説明図である。
【図8】被写体位置と過去画像の撮像日時との対応付けの一例について説明するための説明図である。
【図9】一実施形態に係る表示制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図10】図9に示した過去画像重畳処理の詳細な流れの一例を示すフローチャートである。
【図11】一応用例の概要について説明するための説明図である。
【図12A】一応用例における表示モードの第1の例について説明するための説明図である。
【図12B】一応用例における表示モードの第2の例について説明するための説明図である。
【図12C】一応用例における表示モードの第3の例について説明するための説明図である。
【図13】一応用例における表示モードの切り替えのための操作の例について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
また、以下の順序で説明を行う。
1.概要
2.一実施形態に係る画像処理装置の構成例
2−1.ハードウェア構成
2−2.機能構成
3.処理の流れ
4.応用例
5.まとめ
【0014】
<1.画像処理装置の概要>
図1及び図2は、一実施形態に係る画像処理装置100の概要について説明するための説明図である。図1を参照すると、ユーザUaが有する画像処理装置100が示されている。画像処理装置100は、内側カメラである撮像部102と表示部110とを備える。ユーザUaが撮像部102のレンズを自分に向けると、撮像部102によりユーザUaを映した画像が撮像され、撮像画像が表示部102により表示される。図1に示した画像Im01は、画像処理装置100により撮像される画像の一例である。画像Im01には、被写体であるユーザUaの顔が映っている。画像処理装置100は、このような撮像画像を入力画像として取得する。画像処理装置100により取得される入力画像は、画像処理装置100の内部又は外部のデータベース(DB)内で、日時情報と関連付けて過去画像として蓄積される。そして、画像処理装置100は、後に説明する様々な表示モードに従って、入力画像と蓄積された過去画像とを表示する。
【0015】
図1では、画像処理装置100の一例として携帯端末を示している。しかしながら、画像処理装置100は、かかる例に限定されない。画像処理装置100は、例えば、タブレットPC、ノートブックPC、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ又はゲーム端末などの端末装置であってもよい。図2の例では、画像処理装置100は、撮像部102と表示部110とを有する、鏡付き化粧台のような役割を有する装置である。当該装置は、例えば、デスクトップPC又はデジタルテレビジョン装置などの情報処理装置であってもよい。
【0016】
<2.画像処理装置の構成例>
次に、図1及び図2に示した画像処理装置100の構成例について詳細に説明する。
【0017】
[2−1.ハードウェア構成]
図3は、本実施形態に係る画像処理装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図3を参照すると、画像処理装置100は、撮像部102、センサ部104、入力部106、記憶部108、表示部110、通信部112、バス116及び制御部118を備える。
【0018】
(1)撮像部
撮像部102は、画像を撮像するカメラモジュールである。撮像部102は、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を用いて被写体を撮像し、撮像画像を生成する。図1及び図2の例では、撮像部102により撮像される画像の被写体は、画像処理装置100のユーザである。一方、後に説明される応用例では、撮像部102により撮像される画像の被写体は、画像処理装置100のユーザではない。撮像部102は、必ずしも画像処理装置100の一部でなくてもよい。例えば、画像処理装置100と有線又は無線で接続される撮像装置が撮像部102として扱われてもよい。
【0019】
(2)センサ部
センサ部104は、画像処理装置100において実行される処理を支援するためのセンサモジュールである。例えば、センサ部104は、GPS(Global Positioning System)センサ又は無線信号の強度に基づく無線測位センサなどの測位センサを含んでもよい。また、センサ部104は、3軸加速度センサ及びジャイロセンサを含んでもよい。
【0020】
(3)入力部
入力部106は、ユーザが画像処理装置100を操作し又は画像処理装置100へ情報を入力するために使用される入力デバイスである。入力部106は、例えば、表示部110の画面上へのユーザによるタッチを検出するタッチセンサを含んでもよい。その代わりに(又はそれに加えて)、入力部106は、マウス若しくはタッチパッドなどのポインティングデバイスを含んでもよい。さらに、入力部106は、キーボード、キーパッド、ボタン、スイッチ又はリモートコントローラなどのその他の種類の入力デバイスを含んでもよい。
【0021】
(4)記憶部
記憶部108は、半導体メモリ又はハードディスクなどの記憶媒体により構成され、画像処理装置100による処理のためのプログラム及びデータを記憶する。記憶部108により記憶されるデータは、例えば、撮像部102により生成される撮像画像データ、センサ部104により生成されるセンサデータ、及びデータベース内に蓄積される過去画像データなどを含み得る。なお、本明細書で説明するプログラム及びデータの一部又は全部は、記憶部108により記憶されることなく、外部のデータソース(例えば、データサーバ、ネットワークストレージ又は外付けメモリなど)から取得されてもよい。
【0022】
(5)表示部
表示部110は、LCD(Liquid Crystal Display)、OLED(Organic light-Emitting Diode)又はCRT(Cathode Ray Tube)などにより構成される表示モジュールである。表示部110は、例えば、入力画像に過去画像を重畳することにより生成される出力画像を表示するために使用され得る。なお、表示部110もまた、必ずしも画像処理装置100の一部でなくてもよい。例えば、画像処理装置100と有線又は無線で接続される表示装置が表示部110として扱われてもよい。
【0023】
(6)通信部
通信部112は、画像処理装置100による他の装置との間の通信を仲介する通信インタフェースである。通信部112は、任意の無線通信プロトコル又は有線通信プロトコルをサポートし、他の装置との間の通信接続を確立する。
【0024】
(7)バス
バス116は、撮像部102、センサ部104、入力部106、記憶部108、表示部110、通信部112及び制御部118を相互に接続する。
【0025】
(8)制御部
制御部118は、CPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサに相当する。制御部118は、記憶部108又は他の記憶媒体に記憶されるプログラムを実行することにより、後に説明する画像処理装置100の様々な機能を動作させる。
【0026】
[2−2.機能構成]
図4は、図3に示した画像処理装置100の記憶部108及び制御部118により実現される論理的機能の構成の一例を示すブロック図である。図4を参照すると、画像処理装置100は、入力画像取得部120、識別部130、蓄積制御部140、画像DB150、過去画像取得部160、表示制御部170、動き検出部180及びモード選択部190を含む。
【0027】
(1)入力画像取得部
入力画像取得部120は、撮像部102により生成される撮像画像を入力画像として取得する。図1及び図2の例では、入力画像取得部120により取得される入力画像には、ユーザUaの顔画像が映る。当該入力画像は、静止画であってもよく、動画を構成する各フレームであってもよい。入力画像取得部120は、取得した入力画像を、識別部130、蓄積制御部140、表示制御部170及び動き検出部180へ出力する。
【0028】
(2)識別部
識別部130は、入力画像取得部120から入力される入力画像に映る被写体を識別する。識別部130は、例えば、公知の画像認識技術に基づく識別アルゴリズムを用いて、入力画像に映る被写体を識別してもよい。その代わりに、識別部130は、画像処理装置100にログインしているユーザが被写体であると識別してもよい。また、識別部130は、入力部106を介して被写体の識別子などの識別情報をユーザに入力させることにより、被写体を識別してもよい。識別部130は、被写体の識別に成功すると、被写体の識別情報(例えば、ユーザIDなどの識別子)を蓄積制御部140及び過去画像取得部160へ出力する。
【0029】
なお、1人のユーザのみが被写体として入力画像に映るような用途においては、識別部130による識別処理は省略されてもよい。
【0030】
(3)蓄積制御部/画像DB
蓄積制御部140は、画像DB150における過去画像の蓄積を制御する。画像DB150は、被写体を過去に撮像した1つ以上の過去画像を蓄積するデータベースである。例えば、蓄積制御部140は、所定の期間(例えば、1日又は1週間など)が経過するごとに、入力画像取得部120から入力される入力画像を過去画像として画像DB150に記憶させてもよい。その代わりに、蓄積制御部140は、入力部106を介するユーザからの指示に応じて、入力画像を過去画像として画像DB150に記憶させてもよい。蓄積制御部140は、例えば、識別部130から入力される被写体の識別情報及び撮像日時を示す日時情報と関連付けて、過去画像を画像DB150に記憶させる。
【0031】
(4)過去画像取得部
過去画像取得部160は、画像DB150から、入力画像に映る被写体の過去画像を取得する。例えば、過去画像取得部160は、画像DB150に記憶されている複数の過去画像のうち識別部130から入力される被写体の識別情報と関連付けられている過去画像を取得してよい。過去画像取得部160は、同じ被写体の複数の過去画像のうち、所定の日時(例えば、現在の日時の1日前、1週間前、1ヶ月前及び1年前など)に撮像された過去画像のみを選択的に取得してもよい。過去画像取得部160は、このように取得される過去画像を表示制御部170へ出力する。
【0032】
なお、過去画像取得部160は、被写体を過去に撮像した過去画像を取得する代わりに、過去に記憶され又は事後的に指定される被写体の過去の属性と現在の入力画像とに基づいて、被写体の推定される過去の外観を表す過去画像を動的に生成してもよい。例えば、被写体が人物である場合、その人物の身長及び体重などの体型データ、年齢データ、又は血圧値若しくは疲労度などの健康関連データの現在と過去との差分を用いて、現在の入力画像に映る被写体の外観から過去の被写体の外観が推定され得る。
【0033】
(5)表示制御部
表示制御部170は、後述するモード選択部190により選択される表示モードに従って、過去画像取得部160により取得される過去画像を入力画像に重畳することにより、出力画像を生成する。そして、表示制御部170は、生成した出力画像を表示部110のディスプレイ上に表示する。
【0034】
本実施形態において、過去画像の表示モードは、図5A〜図5Cに例示する3つの表示モードM1、M2及びM3のいずれかである。第1の表示モードM1は、過去画像に映る被写体を入力画像に映る被写体に重ね合わせるモードであり、本明細書ではこれを「オーバラップ(重ね合わせ)」モードという。第2の表示モードM2は、過去画像に映る被写体を入力画像に映る被写体に並べて配置するモードであり、本明細書ではこれを「パラレル(並置)」モードという。第3の表示モードM3は、過去画像取得部160により取得される複数の過去画像の一覧を入力画像に重畳するモードであり、本明細書ではこれを「一覧」モードという。
【0035】
図5Aは、表示モードの第1の例であるオーバラップモードについて説明するための説明図である。図5Aを参照すると、オーバラップモードで表示される出力画像Im11が示されている。出力画像Im11は、2011年9月15日に撮像された入力画像に、過去画像P01〜P03のうち2011年8月15日に撮像された過去画像P02を重畳することにより生成された画像である。入力画像には、ショートヘアの髪型を有するユーザUaが映っている。過去画像P02には、ロングヘアの髪型を有するユーザUaが映っている。オーバラップモードでは、このように現在及び過去の被写体が重ね合わせて表示されるため、ユーザにとって、被写体の細部の外観上の違いを観察することが容易である。オーバラップモードは、例えば、現在及び過去の被写体の互いに対応する特徴点の位置を出力画像において略一致させることにより実現されてよい。被写体の特徴点の位置は、例えば、人物(あるいは動物)の目、口、肩若しくは腰などの位置であってもよく、又は人物以外の被写体のエッジ上のいずれかの位置であってもよい。
【0036】
図5Bは、表示モードの第2の例であるパラレルモードについて説明するための説明図である。図5Bを参照すると、パラレルモードで表示される出力画像Im12が示されている。出力画像Im12もまた、2011年9月15日に撮像された入力画像に、2011年8月15日に撮像された過去画像P02を重畳することにより生成された画像である。パラレルモードでは、図5Bに示したように現在及び過去の被写体が出力画像内で並列的に配置されるため、ユーザが、表示された2つの被写体を比較しながら、各被写体をより明瞭に視認することができる。パラレルモードは、例えば、現在及び過去の被写体の注目部分(例えば、人物の顔など)が重ならないようにこれら被写体を互いに間隔を空けて配置することにより実現されてよい。過去画像の被写体は、フレームからフレームにわたり上記間隔を維持しながら現在の被写体に追従するように移動されてもよく、又は一度表示された後で現在の被写体に追従しなくてもよい。
【0037】
図5Cは、表示モードの第3の例である一覧モードについて説明するための説明図である。図5Cを参照すると、一覧モードで表示される出力画像Im13が示されている。出力画像Im13の下部には、縮小された過去画像P01〜P03が一覧化されている。一覧モードにおいて、表示制御部170は、ユーザUaの動きに応じて過去画像の一覧をスクロールしてもよい。例えば、表示制御部170は、ユーザUaの左方向への移動に応じて過去画像の一覧を右方向へスクロールし、過去画像P01よりも古い過去画像を新たに表示し得る。同様に、表示制御部170は、ユーザUaの右方向への移動に応じて過去画像の一覧を左方向へスクロールし得る。過去画像の一覧のスクロール量は、被写体の速度に応じて動的に変更されてもよい。なお、過去画像の一覧は、図示された例に限定されず、出力画像内のいずれの位置に重畳されてもよい。
【0038】
表示制御部170は、選択されるモードに応じて、表示される過去画像の透明度を変化させてもよい。例えば、オーバラップモードでは、重なり合う被写体の双方が十分に視認可能となるように、重畳される過去画像の透明度は相対的に高く設定され得る。パラレルモードでは、過去画像は入力画像において被写体が映っていない領域に重畳されるため、過去画像の透明度は相対的に低く設定されてよい。一覧モードでは、過去画像の透明度は中間的な値に設定されてよい。
【0039】
また、表示制御部170は、オーバラップモード及びパラレルモードにおいて、入力画像に映る被写体のサイズ、明るさ又は色合いに応じて、表示される過去画像の被写体のサイズ、明るさ又は色合いをそれぞれ変化させてもよい。例えば、入力画像に映る被写体のサイズが過去画像に映る被写体のサイズよりも大きい場合には、過去画像はサイズの比に応じて拡大され得る。入力画像において被写体が過去画像よりも明るく映っている場合には、過去画像の被写体がより明るくなるように過去画像の輝度が調整され得る。それにより、変動する撮像条件の影響を排除して被写体をより適切に比較することが可能となる。
【0040】
本実施形態において、表示モードの切り替えは、入力画像に映る被写体の動きに応じて行われ得る。図6は、表示モードの切り替えのための動きの例について説明するための説明図である。図6を参照すると、3つの表示モードの各ペアの間の切り替えのトリガとなり得る被写体の動きの例が記載されている。例えば、一覧モード又はパラレルモードからオーバラップモードへの切り替えのトリガは、表示されているいずれかの過去画像に被写体が近付く動き、又は表示されているいずれかの過去画像を被写体が引き寄せる動きであってよい。オーバラップモードからパラレルモードへの切り替えのトリガは、重ね合わされた過去画像を振り払うような、所定の速さを超える被写体の動き(例えば、体又は頭を揺らす動きなど)であってよい。一覧モードからパラレルモードへの切り替えのトリガは、表示されているいずれかの過去画像を被写体の存在しない領域へ運ぶような動きであってよい。オーバラップモード又はパラレルモードから一覧モードへの切り替えのトリガは、画面の端部への被写体の移動であってよい。これら被写体の動きは、次に説明する動き検出部180により検出される。
【0041】
なお、図6に示した表示モードの切り替えのための動きは一例に過ぎない。即ち、表示モードの切り替えは、被写体の他の種類の動きをトリガとして行われてもよい。また、入力部106を介して検出されるユーザ入力(例えば、タッチ、クリック又は所定のボタンの押下など)が、表示モードの切り替えのための操作として補完的に採用されてもよい。
【0042】
(6)動き検出部
動き検出部180は、入力画像取得部120から入力される入力画像に映る被写体の動きを検出する。動き検出部180は、例えば、背景差分抽出又は肌色領域抽出などの公知の手法に従って、入力画像に映る被写体領域を抽出する。次に、動き検出部180は、一連の入力画像から抽出される被写体領域の動きが表示モードの切り替えのトリガとして定義されたいずれかの動きに合致するかを判定する。そして、動き検出部180は、表示モードの切り替えのトリガとして定義された動きを検出すると、検出した動きの種別、及び(必要に応じて)その動きにより指定された過去画像の識別子とを、モード選択部190へ出力する。以下、図7A〜図7Dを用いて、表示モードの切り替えの例示的な4つのシナリオについて説明する。
【0043】
図7Aは、表示モードの切り替えの第1のシナリオについて説明するための説明図である。図7Aに例示した出力画像Im21には、ユーザUbが映っており、さらに出力画像Im21の下部に過去画像P11〜P13が一覧モードで表示されている。出力画像Im22において、ユーザUbは、自身の頭部を過去画像P12に近付けている。動き検出部180は、このようなユーザUbの動きを、オーバラップモードへの切り替えのトリガとして検出し得る。
【0044】
図7Bは、表示モードの切り替えの第2のシナリオについて説明するための説明図である。図7Bに例示した出力画像Im31には、ユーザUbが映っており、さらにユーザUbの近傍に過去画像P12がパラレルモードで表示されている。出力画像Im32において、ユーザUbは、自身の手を使って過去画像P12を自身に引き寄せる動きをしている。動き検出部180は、このようなユーザUbの動きを、オーバラップモードへの切り替えのトリガとして検出し得る。
【0045】
図7Cは、表示モードの切り替えの第3のシナリオについて説明するための説明図である。図7Cに例示した出力画像Im41には、ユーザUbが映っており、さらにユーザUbに重ね合わせて過去画像P12がオーバラップモードで表示されている。出力画像Im42において、ユーザUbは、頭を揺り動かす動きをしている。動き検出部180は、このようなユーザUbの動きを、オーバラップモードからパラレルモードへの切り替えのトリガとして検出し得る。
【0046】
図7Dは、表示モードの切り替えの第4のシナリオについて説明するための説明図である。図7Dに例示した出力画像Im51には、ユーザUbが映っており、さらにユーザUbに重ね合わせて過去画像P12がオーバラップモードで表示されている。出力画像Im52において、ユーザUbは、画面の端部へ移動している。動き検出部180は、このようなユーザUbの動きを、一覧モードへの切り替えのトリガとして検出し得る。
【0047】
(7)モード選択部
モード選択部190は、入力画像を用いて動き検出部180により検出される被写体の動きに応じて、上述した3つの表示モードを含む複数の表示モードから表示モードを選択する。例えば、モード選択部190は、図7Aに示したように、一覧モード又はパラレルモードで表示されているいずれかの過去画像に被写体が近付く動きが検出された場合に、オーバラップモードを選択し得る。また、モード選択部190は、図7Bに示したように、一覧モード又はパラレルモードで表示されている過去画像を被写体であるユーザが引き寄せる動きが検出された場合に、オーバラップモードを選択し得る。また、モード選択部190は、図7Cに示したように、オーバラップモードで過去画像が表示されている場合において、所定の速さを超える被写体の動きが検出された場合に、パラレルモードを選択し得る。また、モード選択部190は、図7Dに示したように、オーバラップモード又はパラレルモードで過去画像が表示されている場合において被写体が画面の端部へ移動したことが検出された場合に、一覧モードを選択し得る。モード選択部190は、このように選択される表示モードの識別子を、表示制御部170へ出力する。そして、表示制御部170は、モード選択部190により選択されたモードに従って、指定された過去画像又は過去画像の一覧を入力画像に重畳する。
【0048】
なお、表示制御部170は、オーバラップモードにおいて、入力画像に重畳される過去画像を、入力画像内の被写体の位置に応じて変化させてもよい。即ち、表示制御部170は、オーバラップモードが選択されている場合に、入力画像内の被写体の位置に応じて異なる時間に撮像された過去画像を、入力画像に重畳してよい。例えば、入力画像内の水平方向の被写体位置が、過去画像の撮像日時に対応付けられ得る。
【0049】
図8は、被写体位置と過去画像の撮像日時との対応付けの一例について説明するための説明図である。図8の下部には、入力画像Im6内の水平方向の被写体位置を示す座標軸が示されている。かかる座標軸は、過去画像の撮像日時の時間軸に対応付けられる。例えば、入力画像Im6内で被写体が位置H1に位置する場合にはより古い過去画像P11が入力画像Im6に重畳され、被写体が位置H2に位置する場合にはより新しい過去画像P12が入力画像Im6に重畳され得る。このような被写体位置と過去画像の撮像日時との対応付けにより、ユーザは、左右に移動するだけで過去画像を自在に変更し、様々な時点の過去画像を現在の自身の画像と比較することができる。
【0050】
<3.処理の流れ>
図9は、本実施形態に係る画像処理装置100による表示制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0051】
図9を参照すると、まず、入力画像取得部120は、撮像部102により生成される撮像画像を入力画像として取得する(ステップS102)。その後のステップS106〜S110の処理は、過去画像取得部160により過去画像が既に取得されている場合にはスキップされ得る(ステップS104)。
【0052】
過去画像が未だ取得されていない場合には、識別部130は、入力画像取得部120から入力される入力画像に映る被写体を識別する(ステップS106)。次に、過去画像取得部160は、識別部130により識別された被写体を過去に撮像した過去画像を画像DB150から取得する(ステップS108)。モード選択部190は、初期状態において、予め設定される既定の表示モード(例えば、一覧モード)を選択する(ステップS110)。
【0053】
次に、動き検出部180は、入力画像取得部120により取得された入力画像に映る被写体の動きを検出する(ステップS112)。次に、モード選択部190は、表示モードの切り替えに対応する動きが動き検出部180により検出されたか否かを判定する(ステップS114)。表示モードの切り替えに対応する動きが検出された場合には、モード選択部190は、切り替え後の表示モードを選択する(ステップS116)。そして、表示制御部170は、モード選択部190により選択されたモードに従って、図10に例示する過去画像重畳処理を実行する(ステップS120)。
【0054】
図10は、図9のステップS120の過去画像重畳処理の詳細な流れの一例を示すフローチャートである。
【0055】
図10に示した処理は、現在選択されている表示モードに応じて分岐する。例えば、オーバラップモードが選択されている場合には、処理はステップS126へ進む(ステップS122)。パラレルモードが選択されている場合には、処理はステップS132へ進む(ステップS124)。一覧モードが選択されている場合には、処理はステップS138へ進む。
【0056】
オーバラップモードが選択されている場合、表示制御部170は、まず、表示すべき過去画像を特定する(ステップS126)。ここで特定される過去画像は、例えば、図7A若しくは図7Bに例示したような被写体の動きによって指定された過去画像であってもよい。その代わりに、図8の例のように、入力画像内の被写体位置に応じて決定される日時に撮像された過去画像が、表示すべき過去画像として特定されてもよい。次に、表示制御部170は、特定した過去画像の表示属性を調整する(ステップS128)。例えば、表示制御部170は、重なり合う被写体の双方が十分に視認可能となるように、過去画像の透明度を高めてもよい。また、表示制御部170は、入力画像に映る被写体のサイズ、明るさ又は色合いに応じて、表示される過去画像の被写体のサイズ、明るさ又は色合いをそれぞれ変化させてもよい。そして、表示制御部170は、入力画像及び過去画像に映る被写体が重なり合うように、表示属性の調整された過去画像を入力画像に重畳する(ステップS130)。
【0057】
パラレルモードが選択されている場合、表示制御部170は、まず、表示すべき過去画像を特定する(ステップS132)。ここで特定される過去画像は、オーバラップモードの場合と同様、例えば被写体の動きによって指定された過去画像であってよい。次に、表示制御部170は、特定した過去画像の表示属性を調整する(ステップS134)。例えば、表示制御部170は、オーバラップモードの場合と比較して過去画像の透明度をより低く設定し得る。また、表示制御部170は、入力画像に映る被写体のサイズ、明るさ又は色合いに応じて、表示される過去画像の被写体のサイズ、明るさ又は色合いをそれぞれ変化させてもよい。そして、表示制御部170は、入力画像及び過去画像に映る被写体が並列的に配置されるように、表示属性の調整された過去画像を入力画像に重畳する(ステップS136)。
【0058】
一覧モードが選択されている場合、表示制御部170は、まず、一覧化される複数の過去画像の表示属性を調整する(ステップS138)。例えば、表示制御部170は、各過去画像のサイズを縮小してもよい。そして、表示制御部170は、複数の過去画像を撮像日時の順に一覧化して入力画像に重畳する(ステップS140)。
【0059】
<4.応用例>
上述した画像処理装置100は、現在画像と過去画像とを比較するための表示モードを切り替えるための、簡単かつ柔軟なユーザインタフェースをユーザに提供する。上述した例では、主に画像処理装置100のユーザ自身の画像が比較の対象であったが、画像処理装置100の構成は、他の被写体が比較の対象となる場合にも適用可能である。そこで、本節では、図11〜図13を用いてそのような応用例について説明する。
【0060】
図11は、一応用例の概要について説明するための説明図である。図11を参照すると、ユーザUcが有する画像処理装置100が示されている。画像処理装置100は、撮像装置である。画像処理装置100は、例えば、デジタルカメラ又はカメラモジュールを有するスマートフォンなどであってよい。画像処理装置100の入力部106は、図11に示したボタン106a及び106bを含む。ボタン106aは、レリーズボタン106aであり、ユーザによる撮像操作を受け付ける。ボタン106bは、後に説明するように、ユーザによる表示モードの操作のために利用され得る。図11の例において、画像処理装置100の撮像部102のレンズは、被写体B1に向けられている。被写体B1の奥には背景が存在する。
【0061】
本応用例においても、過去画像の表示モードは、オーバラップモード、パラレルモード及び一覧モードを含み得る。さらに、過去画像が入力画像に重畳されず、入力画像がそのままディスプレイ上に表示される通常モードも存在し得る。
【0062】
図12Aは、本応用例におけるオーバラップモードについて説明するための説明図である。図12Aを参照すると、オーバラップモードで表示される出力画像Im7が示されている。出力画像Im7は、2011年9月15日に撮像された入力画像に、過去画像P21〜P23のうち2011年6月15日に撮像された過去画像P21を重畳することにより生成された画像である。過去画像P21には、3ヶ月前の被写体B1が映っている。入力画像には、より成長した被写体B1が映っている。オーバラップモードにおいて、これら2つの被写体は重ね合わせて表示されている。
【0063】
図12Bは、本応用例におけるパラレルモードについて説明するための説明図である。図12Bを参照すると、パラレルモードで表示される出力画像Im8が示されている。出力画像Im8もまた、図12Aと同様の入力画像に過去画像P21を重畳することにより生成された画像である。但し、パラレルモードにおいて、入力画像及び過去画像P21にそれぞれ映る被写体は、重ね合わされる代わりに、並べて配置されている。このようなパラレルモードは、オーバラップモードに従って過去画像が表示されている場合において、ユーザが画角を変化させた際に選択され得る。
【0064】
図12Cは、本応用例における一覧モードについて説明するための説明図である。図12Cを参照すると、一覧モードで表示される出力画像Im91が示されている。出力画像Im91は、やや縮小された入力画像Im92と過去画像P21〜P23の一覧とを含む。本応用例において、一覧モードは、入力画像に重畳すべき過去画像をユーザに指定させるための指定画面を提供するモードとして用いられてもよい。
【0065】
図13は、本応用例における表示モードの切り替えのための操作の例について説明するための説明図である。図13には、オーバラップモード、パラレルモード及び一覧モードに加えて通常モードを含む4つの表示モードの間の遷移が例示されている。このうち、例えば、既定の表示モードは、入力画像がそのままディスプレイ上に表示される通常モードである。通常モードにおいて、入力部106を介する所定のユーザ入力が検出されると、表示モードは一覧モードに切り替わる。一覧モードにおいて、いずれかの過去画像が指定されると、モード選択部190は、指定された過去画像の背景が入力画像の背景に適合する位置を探索する。そして、モード選択部190は、背景が適合する位置を発見できた場合に、オーバラップモードを選択する。その後、ユーザが画角を変化させることにより入力画像内で被写体が移動すると、モード選択部190は、パラレルモードを選択する。なお、パラレルモードにおいて過去画像が重畳される入力画像内の位置は、オーバラップモードにおいて当該過去画像が重畳されていた位置から変化しない。オーバラップモード又はパラレルモードが選択されている状態において、入力部106を介する所定のユーザ入力が検出されると、表示モードは通常モードに切り替わる。
【0066】
図13の例において、オーバラップモードへの切り替えは、図11に例示したボタン106bのような所定のボタンの押下をトリガとして行われてもよい。その場合には、モード選択部190は、ボタン106bの押下に応じて過去画像と入力画像との照合を実行し、オーバラップモードを選択し得る。さらに、ユーザがボタン106bを押下したままで画角を変化させた場合に、モード選択部190は、パラレルモードを選択してもよい。一方、ボタン106bが解放されると、表示モードは通常モードに戻る。
【0067】
なお、本応用例のように画像処理装置100が撮像機能を有するケースでは、オーバラップモード又はパラレルモードに従って過去画像が表示されている状態において撮像操作が受け付けられた場合に、入力画像に過去画像が重畳された画像が撮像画像として取得され記憶されてもよい。それにより、ユーザは、記憶された画像を参照することで、事後的に2つの被写体を比較することが可能となる。
【0068】
<5.まとめ>
ここまで、図1〜図13を用いて、一実施形態に係る画像処理装置100及びその応用例について詳細に説明した。上述した実施形態によれば、被写体を重ね合わせるオーバラップモード及び被写体を並置するパラレルモードを含む複数の過去画像の表示モードの間の切り替えが、入力画像を用いて行われる。従って、ユーザは、比較される2つの画像の表示形態を簡単かつ柔軟に切り替えることができる。表示モードの選択は、入力画像に映る被写体の動きに応じて行われ得る。即ち、比較の対象である被写体の動き自体が表示モードの切り替えのトリガとなる。従って、ユーザは、被写体に関連しない入力手段に注意を奪われることなく表示形態を切り替えることができる。
【0069】
例えば、オーバラップモードへの切り替えのトリガは、いずれかの過去画像に被写体が近付く動き、又はいずれかの過去画像を被写体が引き寄せる動きの検出であってよい。また、オーバラップモードからパラレルモードへの切り替えのトリガは、重ね合わされた過去画像を振り払うような動きの検出であってよい。これら動きは、ユーザにとって直感的であって憶え易い。従って、かかる構成によれば、表示モードの切り替えのためのユーザインタフェースのユーザビリティを一層高めることができる。
【0070】
なお、本明細書において説明した各装置による一連の制御処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられる記憶媒体に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、実行時にRAM(Random Access Memory)に読み込まれ、CPUなどのプロセッサにより実行される。
【0071】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0072】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
入力画像を取得する入力画像取得部と、
前記入力画像に映る被写体の過去画像を取得する過去画像取得部と、
前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に重ね合わせる第1のモード及び前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に並置する第2のモードを含む複数のモードから、前記入力画像を用いていずれかのモードを選択するモード選択部と、
前記モード選択部により選択されたモードに従って、前記過去画像を前記入力画像に重畳する表示制御部と、
を備える画像処理装置。
(2)
前記モード選択部は、前記入力画像に映る被写体の動きに応じていずれかのモードを選択する、前記(1)に記載の画像処理装置。
(3)
前記モード選択部は、前記第1のモードとは異なるモードに従って表示されている前記過去画像に前記被写体が近付く動きが検出された場合に、前記第1のモードを選択する、前記(2)に記載の画像処理装置。
(4)
前記被写体は、前記画像処理装置のユーザであり、
前記モード選択部は、前記第1のモードとは異なるモードに従って表示されている前記過去画像を前記ユーザが引き寄せる動きが検出された場合に、前記第1のモードを選択する、
前記(2)に記載の画像処理装置。
(5)
前記モード選択部は、前記第1のモードに従って前記過去画像が表示されている場合において所定の速さを超える前記被写体の動きが検出された場合に、前記第2のモードを選択する、前記(2)に記載の画像処理装置。
(6)
前記過去画像取得部は、撮像された時間の互いに異なる複数の前記過去画像を取得し、
前記表示制御部は、前記第1のモードが選択されている場合に、前記入力画像内の被写体の位置に応じて異なる時間に撮像された前記過去画像を前記入力画像に重畳する、
前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の画像処理装置。
(7)
前記過去画像取得部は、撮像された時間の互いに異なる複数の前記過去画像を取得し、
前記複数のモードは、前記過去画像取得部により取得される複数の前記過去画像の一覧を前記入力画像に重畳する第3のモードをさらに含む、
前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の画像処理装置。
(8)
前記モード選択部は、前記第1のモード又は前記第2のモードに従って前記過去画像が表示されている場合において前記被写体が画面の端部へ移動したことが検出された場合に、前記第3のモードを選択する、前記(7)に記載の画像処理装置。
(9)
前記モード選択部は、前記第1のモードに従って前記過去画像が表示されている状態から画角が変化することにより前記被写体が移動した場合に、前記第2のモードを選択する、前記(2)に記載の画像処理装置。
(10)
前記表示制御部は、前記モード選択部により選択されるモードに応じて、表示される前記過去画像の透明度を変化させる、前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の画像処理装置。
(11)
前記表示制御部は、前記入力画像に映る被写体のサイズ、明るさ又は色合いに応じて、表示される前記過去画像の被写体のサイズ、明るさ又は色合いをそれぞれ変化させる、前記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の画像処理装置。
(12)
前記画像処理装置は、前記入力画像を撮像する撮像部と、ユーザによる撮像操作を受け付ける入力部と、を備える撮像装置であり、
前記第1のモード又は前記第2のモードに従って前記過去画像が表示されている状態において前記撮像操作が受け付けられた場合には、前記入力画像に前記過去画像が重畳された画像が撮像画像として取得される、
前記(1)〜(11)のいずれか1項に記載の画像処理装置。
(13)
画像処理装置において画像の表示を制御するための表示制御方法であって、
入力画像を取得することと、
前記入力画像に映る被写体の過去画像を取得することと、
前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に重ね合わせる第1のモード及び前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に並置する第2のモードを含む複数のモードから、前記入力画像を用いていずれかのモードを選択することと、
選択されたモードに従って、前記過去画像を前記入力画像に重畳することと、
を含む表示制御方法。
(14)
画像処理装置を制御するコンピュータを、
入力画像を取得する入力画像取得部と、
前記入力画像に映る被写体の過去画像を取得する過去画像取得部と、
前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に重ね合わせる第1のモード及び前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に並置する第2のモードを含む複数のモードから、前記入力画像を用いていずれかのモードを選択するモード選択部と、
前記モード選択部により選択されたモードに従って、前記過去画像を前記入力画像に重畳する表示制御部と、
として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0073】
100 画像処理装置
120 入力画像取得部
160 過去画像取得部
170 表示制御部
190 モード選択部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像を取得する入力画像取得部と、
前記入力画像に映る被写体の過去画像を取得する過去画像取得部と、
前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に重ね合わせる第1のモード及び前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に並置する第2のモードを含む複数のモードから、前記入力画像を用いていずれかのモードを選択するモード選択部と、
前記モード選択部により選択されたモードに従って、前記過去画像を前記入力画像に重畳する表示制御部と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記モード選択部は、前記入力画像に映る被写体の動きに応じていずれかのモードを選択する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記モード選択部は、前記第1のモードとは異なるモードに従って表示されている前記過去画像に前記被写体が近付く動きが検出された場合に、前記第1のモードを選択する、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記被写体は、前記画像処理装置のユーザであり、
前記モード選択部は、前記第1のモードとは異なるモードに従って表示されている前記過去画像を前記ユーザが引き寄せる動きが検出された場合に、前記第1のモードを選択する、
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記モード選択部は、前記第1のモードに従って前記過去画像が表示されている場合において所定の速さを超える前記被写体の動きが検出された場合に、前記第2のモードを選択する、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記過去画像取得部は、撮像された時間の互いに異なる複数の前記過去画像を取得し、
前記表示制御部は、前記第1のモードが選択されている場合に、前記入力画像内の被写体の位置に応じて異なる時間に撮像された前記過去画像を前記入力画像に重畳する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記過去画像取得部は、撮像された時間の互いに異なる複数の前記過去画像を取得し、
前記複数のモードは、前記過去画像取得部により取得される複数の前記過去画像の一覧を前記入力画像に重畳する第3のモードをさらに含む、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記モード選択部は、前記第1のモード又は前記第2のモードに従って前記過去画像が表示されている場合において前記被写体が画面の端部へ移動したことが検出された場合に、前記第3のモードを選択する、請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記モード選択部は、前記第1のモードに従って前記過去画像が表示されている状態から画角が変化することにより前記被写体が移動した場合に、前記第2のモードを選択する、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記表示制御部は、前記モード選択部により選択されるモードに応じて、表示される前記過去画像の透明度を変化させる、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記表示制御部は、前記入力画像に映る被写体のサイズ、明るさ又は色合いに応じて、表示される前記過去画像の被写体のサイズ、明るさ又は色合いをそれぞれ変化させる、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記画像処理装置は、前記入力画像を撮像する撮像部と、ユーザによる撮像操作を受け付ける入力部と、を備える撮像装置であり、
前記第1のモード又は前記第2のモードに従って前記過去画像が表示されている状態において前記撮像操作が受け付けられた場合には、前記入力画像に前記過去画像が重畳された画像が撮像画像として取得される、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項13】
画像処理装置において画像の表示を制御するための表示制御方法であって、
入力画像を取得することと、
前記入力画像に映る被写体の過去画像を取得することと、
前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に重ね合わせる第1のモード及び前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に並置する第2のモードを含む複数のモードから、前記入力画像を用いていずれかのモードを選択することと、
選択されたモードに従って、前記過去画像を前記入力画像に重畳することと、
を含む表示制御方法。
【請求項14】
画像処理装置を制御するコンピュータを、
入力画像を取得する入力画像取得部と、
前記入力画像に映る被写体の過去画像を取得する過去画像取得部と、
前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に重ね合わせる第1のモード及び前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に並置する第2のモードを含む複数のモードから、前記入力画像を用いていずれかのモードを選択するモード選択部と、
前記モード選択部により選択されたモードに従って、前記過去画像を前記入力画像に重畳する表示制御部と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
入力画像を取得する入力画像取得部と、
前記入力画像に映る被写体の過去画像を取得する過去画像取得部と、
前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に重ね合わせる第1のモード及び前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に並置する第2のモードを含む複数のモードから、前記入力画像を用いていずれかのモードを選択するモード選択部と、
前記モード選択部により選択されたモードに従って、前記過去画像を前記入力画像に重畳する表示制御部と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記モード選択部は、前記入力画像に映る被写体の動きに応じていずれかのモードを選択する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記モード選択部は、前記第1のモードとは異なるモードに従って表示されている前記過去画像に前記被写体が近付く動きが検出された場合に、前記第1のモードを選択する、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記被写体は、前記画像処理装置のユーザであり、
前記モード選択部は、前記第1のモードとは異なるモードに従って表示されている前記過去画像を前記ユーザが引き寄せる動きが検出された場合に、前記第1のモードを選択する、
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記モード選択部は、前記第1のモードに従って前記過去画像が表示されている場合において所定の速さを超える前記被写体の動きが検出された場合に、前記第2のモードを選択する、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記過去画像取得部は、撮像された時間の互いに異なる複数の前記過去画像を取得し、
前記表示制御部は、前記第1のモードが選択されている場合に、前記入力画像内の被写体の位置に応じて異なる時間に撮像された前記過去画像を前記入力画像に重畳する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記過去画像取得部は、撮像された時間の互いに異なる複数の前記過去画像を取得し、
前記複数のモードは、前記過去画像取得部により取得される複数の前記過去画像の一覧を前記入力画像に重畳する第3のモードをさらに含む、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記モード選択部は、前記第1のモード又は前記第2のモードに従って前記過去画像が表示されている場合において前記被写体が画面の端部へ移動したことが検出された場合に、前記第3のモードを選択する、請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記モード選択部は、前記第1のモードに従って前記過去画像が表示されている状態から画角が変化することにより前記被写体が移動した場合に、前記第2のモードを選択する、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記表示制御部は、前記モード選択部により選択されるモードに応じて、表示される前記過去画像の透明度を変化させる、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記表示制御部は、前記入力画像に映る被写体のサイズ、明るさ又は色合いに応じて、表示される前記過去画像の被写体のサイズ、明るさ又は色合いをそれぞれ変化させる、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記画像処理装置は、前記入力画像を撮像する撮像部と、ユーザによる撮像操作を受け付ける入力部と、を備える撮像装置であり、
前記第1のモード又は前記第2のモードに従って前記過去画像が表示されている状態において前記撮像操作が受け付けられた場合には、前記入力画像に前記過去画像が重畳された画像が撮像画像として取得される、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項13】
画像処理装置において画像の表示を制御するための表示制御方法であって、
入力画像を取得することと、
前記入力画像に映る被写体の過去画像を取得することと、
前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に重ね合わせる第1のモード及び前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に並置する第2のモードを含む複数のモードから、前記入力画像を用いていずれかのモードを選択することと、
選択されたモードに従って、前記過去画像を前記入力画像に重畳することと、
を含む表示制御方法。
【請求項14】
画像処理装置を制御するコンピュータを、
入力画像を取得する入力画像取得部と、
前記入力画像に映る被写体の過去画像を取得する過去画像取得部と、
前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に重ね合わせる第1のモード及び前記過去画像に映る被写体を前記入力画像に映る被写体に並置する第2のモードを含む複数のモードから、前記入力画像を用いていずれかのモードを選択するモード選択部と、
前記モード選択部により選択されたモードに従って、前記過去画像を前記入力画像に重畳する表示制御部と、
として機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【公開番号】特開2013−101242(P2013−101242A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245301(P2011−245301)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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