説明

画像処理装置、表示装置、画像処理方法及び画像処理プログラム

【課題】色相のずれを軽減しつつ視野闘争を軽減したアナグリフ画像を生成する。
【解決手段】画像に含まれる画素毎に、第1の色成分の画素値と該第1の色成分以外の他の色成分のうち少なくとも一方の画素値との差を変更し、かつ他の色成分同士の画素値の差を変更する画素値変換部を備える。前記画素値変換部には差分算出部を備え、前記画素値変換部は、各画素において、前記差分算出部が算出した差分に基づいて、前記第1の色成分の画素値と前記他の色成分の画素値の差及び前記他の色成分同士の画素値の差を小さくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、表示装置、画像処理方法及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アナグリフ方式の3D表示が知られている。ここで、アナグリフ方式とは、一定間隔を置いた2台のカメラで撮影した画像(以降、それぞれ左目画像/右目画像と呼ぶ)からそれぞれ特定の色成分(赤成分、緑成分、青成分のうち1〜2つ)だけを抽出し、両者を合成する方式である。
【0003】
例えば、視聴者は、左右にそれぞれ赤フィルタとシアンフィルタが装着された眼鏡越しにアナグリフ画像を見ることにより、左目には赤フィルタを通過した光、右目にはシアンフィルタを通過した光が到達する。ここで、画像の赤成分は赤フィルタを通過するが、シアンフィルタで遮断されるので左目だけに映る。一方、画像の緑成分及び青成分はシアンフィルタを通過するが、赤フィルタで遮断されるので右目だけに映る。この結果、視聴者の左右の目には視差のついたカラーの画像が映るため、視聴者は立体視することができる。
【0004】
アナグリフ画像の場合、フィルタを通過したフィルタ色に近い色相で、彩度が高い部分は立体視が困難になるという問題がある。これは、各々のカラーフィルタを通過した像の明度(各色成分のうち最大の色成分の画素値)が左右で大きく異なるため、視覚に混乱(以下、「視野闘争」と言う。)が生じるためである。
例えば、RGB=(255,16,32)という画素値の画素があった場合、赤のフィルタを通過し左目に知覚される値は、(255,0,0)で、明度は255、シアンのフィルタを通過し右目に知覚される値は、(0,16,32)で明度は32となる。
視野闘争が発生すると、立体視がうまくできなかったり、目に疲労感を与えたりするという問題がある。
【0005】
その問題に対し、特許文献1の装置は、右カラービデオカメラからの緑及び青画像面と左カラービデオカメラからの赤画像面が結合された出力信号において、各ピクセルのカラー値が青もしくは緑色の第一のしきい値量に足りない時、もしくは赤もしくは緑色の第二のしきい値量に足りない時、青及び/もしくは緑色の量もしくは赤及び/もしくは緑色の量、それぞれがピクセルカラー値に加えられる。結果として,二つのカラービデオカメラからの情報が,赤/青ビューアーを透して観測される時により好ましく感じられる三次元カラービデオ画像に結合されることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表平11−504167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の装置では、赤成分、緑成分及び青成分のうち特定の色成分にのみ一定値を加えるので、各画素において赤成分、緑成分及び青成分の比率が変化する。その結果、表示される色が本来表示すべき色から変わってしまうので、視聴者は色に違和感を覚えるという問題があった。
【0008】
そこで本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、色相のずれを軽減しつつ視野闘争を軽減したアナグリフ画像を生成することを可能とする画像処理装置、表示装置、画像処理方法及び画像処理プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は前記事情に鑑みなされたもので、本発明の一態様は、画像に含まれる画素毎に、第1の色成分の画素値と該第1の色成分以外の他の色成分のうち少なくとも一方の画素値との差を変更し、かつ前記他の色成分同士の画素値の差を変更する画素値変換部を備えることを特徴とする画像処理装置である。
【0010】
(2)上記に記載の画像処理装置において、本発明の一態様は、前記画素値変換部は、画像に含まれる画素毎に、前記第1の色成分の画素値と該第1の色成分以外の他の色成分のうち少なくとも一方の画素値との差を小さくし、かつ前記他の色成分同士の画素値の差を小さくすることを特徴とする。
【0011】
(3)上記に記載の画像処理装置において、本発明の一態様は、前記画素値変換部は、前記第1の色成分の画素値と前記他の色成分の画素値の差及び前記他の色成分同士の画素値の差を類似した割合で小さくすることを特徴とする。
【0012】
(4)上記に記載の画像処理装置において、本発明の一態様は、前記画素値変換部は、前記第1の色成分の画素値と前記他の色成分の画素値の差及び前記他の色成分同士の画素値の差を予め決められた割合で小さくすることを特徴とする。
【0013】
(5)上記に記載の画像処理装置において、本発明の一態様は、前記第1の色成分の画素値と前記他の色成分の画素値の差分を算出する差分算出部を備え、前記画素値変換部は、各画素において、前記差分算出部が算出した差分に基づいて、前記第1の色成分の画素値と前記他の色成分の画素値の差及び前記他の色成分同士の画素値の差を小さくすることを特徴とする。
【0014】
(6)上記に記載の画像処理装置において、本発明の一態様は、前記画素値変換部は、各画素において、前記差分算出部が算出した差分が大きいほど、前記第1の色成分の画素値と前記他の色成分の画素値の差と、前記他の色成分同士の画素値の差を小さくすることを特徴とする。
【0015】
(7)上記に記載の画像処理装置において、本発明の一態様は、前記画素値変換部は、各画素において、前記差分算出部が算出した差分が予め決められた閾値を超えた場合、前記第1の色成分の画素値と前記他の色成分の画素値の差と、前記他の色成分同士の画素値の差を小さくすることを特徴とする。
【0016】
(8)上記に記載の画像処理装置において、本発明の一態様は、同一の被写体を異なる二つの位置から撮像することにより得られた二つの画像信号の視差値に基づいて、画素毎に奥行きを示す奥行き情報を算出する奥行き算出部を備え、前記画素値変換部は、前記奥行き算出部が算出した奥行き情報に基づいて、前記第1の色成分の画素値と前記他の色成分の画素値の差及び前記他の色成分同士の画素値の差を小さくすることを特徴とする。
【0017】
(9)上記に記載の画像処理装置において、本発明の一態様は、前記奥行き情報は、値が大きくなるほど前記被写体と撮像装置との距離が長いことを示す情報であり、前記画素値変換部は、前記奥行き情報が大きくなるほど前記第1の色成分の画素値と前記他の色成分の画素値の差及び前記他の色成分同士の画素値の差を小さくすることを特徴とする。
【0018】
(10)上記に記載の画像処理装置において、本発明の一態様は、前記奥行き情報は、値が大きくなるほど前記被写体と撮像装置との距離が長いことを示す情報であり、前記画素値変換部は、前記奥行き情報が予め決められた閾値より大きい場合、前記第1の色成分の画素値と前記他の色成分の画素値の差及び前記他の色成分同士の画素値の差を小さくすることを特徴とする。
【0019】
(11)本発明の一態様は、上記に記載の画像処理装置を備える表示装置である。
【0020】
(12)本発明の一態様は、画像処理装置が実行する画像処理方法であって、画像に含まれる画素毎に、第1の色成分の画素値と該第1の色成分以外の他の色成分のうち少なくとも一方の画素値との差を変更し、かつ前記他の色成分同士の画素値の差を変更する手順を有することを特徴とする画像処理方法である。
【0021】
(13)本発明の一態様は、コンピュータに、画像に含まれる画素毎に、第1の色成分の画素値と該第1の色成分以外の他の色成分のうち少なくとも一方の画素値との差を変更し、かつ前記他の色成分同士の画素値の差を変更するステップを実行させるための画像処理プログラムである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、色相のずれを軽減しつつ視野闘争を軽減したアナグリフ画像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施形態における表示装置の概略ブロック図である。
【図2】第1の実施形態における画像処理部の概略ブロック図である。
【図3】画像処理部に入力される画像信号が示す画像の一例である。
【図4】図3の左目画像101と右目画像102が入力された場合に、第1の実施形態における画像処理部から出力される画像の一例である。
【図5】第1の実施形態における表示装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】図5のステップS102における画像処理の詳細を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施形態の変形例における表示装置の概略ブロック図である。
【図8】第1の実施形態の変形例における画像処理部の概略ブロック図である。
【図9】第1の実施形態の変形例における画像処理の詳細を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施形態における表示装置の概略ブロック図である。
【図11】第2の実施形態における画像処理部の概略ブロック図である。
【図12】図3の左目画像101と右目画像102が入力された場合に、第2の実施形態における画像処理部から出力される画像の一例である。
【図13】第2の実施形態における画像処理の詳細を示すフローチャートである。
【図14】第2の実施形態の変形例における表示装置の概略ブロック図である。
【図15】第2の実施形態の変形例における画像処理部の概略ブロック図である。
【図16】第2の実施形態の変形例における画像処理の詳細を示すフローチャートである。
【図17】第3の実施形態における表示装置の概略ブロック図である。
【図18】第3の実施形態における画像処理部の概略ブロック図である。
【図19】第3の実施形態における画像処理の詳細を示すフローチャートである。
【図20】第3の実施形態の変形例における表示装置の概略ブロック図である。
【図21】第3の実施形態の変形例における画像処理部の概略ブロック図である。
【図22】第3の実施形態の変形例における画像処理の詳細を示すフローチャートである。
【図23】第4の実施形態における撮像装置の概略ブロック図である。
【図24】第5の実施形態における印刷装置の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1の実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態における表示装置1の概略ブロック図である。
表示装置1は、表示部7と、画像処理部10とを備える。また、撮像装置3は、左目画像撮像部3Lと、右目画像撮像部3Rとを備える。
左目画像撮像部3Lは、撮像装置3内において撮影の対象となる被写体に向かって左側に位置し、右目画像撮像部3Rは、撮像装置3内において撮影の対象となる被写体に向かって右側に位置する。したがって、左目画像撮像部3L及び右目画像撮像部3Rは、撮像装置3内において被写体に向かって左右に隔離して位置する。
【0025】
左目画像撮像部3Lは、被写体を撮像して左目画像を生成し、生成した画像の成分、成分及び成分の各成分の画素値を示す左目画像信号RGBを画像処理部10へ供給する。また、右目画像撮像部3Rは、被写体を撮像して右目画像を生成し、生成した画像の各成分の画素値を示す右目画像信号RGBを画像処理部10へ供給する。
【0026】
続いて、画像処理部10について説明する。
赤成分の画素値R、緑成分の画素値G及び青成分の画素値Bで表わされる色の色相Hの定義は、一例として以下の式(1)で表わされる。
【0027】
H=m(G−B)/(R−B)+n (1)
【0028】
ここで、m、nは正規化のための定数である。式(1)は、R≧G≧Bの場合の定義だが、他の場合もR、G、Bが入れ替わるだけで形式は同様である。色相は、彩度、明度と共に色の性質を表す尺度で、色合いを表す成分である。色相の値が近い色同士は同系統の色として認識される。
式(1)において、分母が3色の画素値のうちの最大値(ここでは、R)と3色の画素値のうちの最小値(ここでは、B)の差であり、分子が3色の画素値のうちの中央値(G)と3色の画素値のうちの最小値(ここでは、B)の差である。すなわち、式(1)は、最大値と最小値の差と中間値と最小値の差の比率つまりは三色の混合比を示している。
【0029】
画像処理部10は、各画素の第1の色成分の画素値(例えば、R)と第1の色成分以外の成分の画素値(例えば、B)との差(例えば、R−B)と、第1の色成分以外の成分同士の画素値の差(例えば、G−B)を同じ割合(例えば、a)で小さくする。
【0030】
具体的には、例えば、画像処理部10が変換した後の各色成分の画素値を赤、緑、青の順にそれぞれR’、G’、B’とすると、画像処理部10は、0≦a≦1である係数aを用いて、下記の式(3)の関係が成り立つように変換する。
【0031】
R’−B’=a(R−B)
G’−B’=a(G−B) (2)
【0032】
式(2)の定義から、変換後の赤成分の画素値(以下、変換後赤画素値と称する)R’と変換後の青成分の青画素値(以下、変換後青画素値と称する)B’の差は、変換前赤画素値Rと変換前青画素値Bの差より小さい。また、変換後の緑成分の画素値(以下、変換後緑画素値と称する)G’と変換後青画素値B’の差は、変換前緑画素値Gと変換前青画素値Bの差より小さい。
変換後赤画素値R’と変換後緑画素値G’の差は、下記の式(3)にように表される。
【0033】
R’−G’=R’−B’−(G’−B’)
=a(R−B)−a(G−B)
=a(R−G) (3)
【0034】
画像処理部10が、式(2)の関係が成り立つように変換することにより、変換後赤画素値R’と変換後緑画素値G’の差は、変換前赤画素値Rと変換前緑画素値Gの差より小さくなる。すなわち、画像処理部10は、第1の色の画素値(例えば、R)と第1の色成分以外の他の色成分のうち少なくとも一方の画素値(例えば、B)との差を小さくし、かつ他の色成分同士の画素値(例えば、GとB)の差を小さくすれば、第1の色の画素値(例えば、R)と他の色成分のうちの他方の画素値(例えば、G)との差を小さくすることができる。
【0035】
これにより、画像処理部10は、第1の色の画素値(例えば、R)と第1の色以外の色の画素値(例えば、G、B)との差を小さくできるため、視野闘争を低減できる。
ここで、前述の色相の定義の式(1)と同様に、変換後の色相H’を求めると、下記の式(4)が得られる。
【0036】
H’=m(G’−B’)/(R’−B’)+n
=ma(G−B)/a(R−B)+n
=m(G−B)/(R−B)+n=H (4)
【0037】
式(5)の通り、変換後の色相H’は変換前の色相Hと等しい。これにより、変換前後で色相が変化しないので、画像処理部10は、各画素において色相を維持することができる。その結果、画像処理部10は、色相を維持しつつ視野闘争を低減できるので、視聴者が心地よく見ることができるアナグリフ画像を提示することができる。
【0038】
以降の説明では、一例として、眼鏡の両眼のフィルタ色の組み合わせが赤(R)−シアン(G+B)で、かつ、画像中で赤の画素値が他の色の画素値よりも大きい場合について説明する。なお、色成分の組み合わせはこれに限らず、色成分の組み合わせは、赤、緑及び青の3色の色成分が異なるもの(例えば、青‐黄の組あわせ又は緑‐マゼンタの組み合わせ)であったり、主に印刷物で使用されるCMY(Cyan,Magenta,Yellow)、あるいはCMYK(CMY+Key)のような他の表色系であったりしても、フルカラー像を構成する全ての原色成分が眼鏡の両眼のフィルタのいずれかに含まれるフルカラーアナグリフであればよい。その場合、視野闘争を起こす色も、赤(R)−シアン(G+B)の組み合わせの場合の色とは異なる。
【0039】
本実施形態では、一例として、前述のとおり、画像処理部10は、各画素の変換前赤画素値Rと変換前赤画素値R以外の成分の変換前青画素値Bとの差(R−B)と、変換前赤画素値R以外の成分同士の画素値の差(G−B)を同じ割合aで小さくする。
そして、画像処理部10は、変換後の画像信号R’G’B’を表示部7に出力する。そして、表示部7は、変換後の画像信号R’G’B’を表示する。
【0040】
続いて、図2を用いて画像処理部10の処理の詳細について説明する。
図2は、第1の実施形態における画像処理部10の概略ブロック図である。
画像処理部10は、画素値変換部11と信号合成部15とを備える。画素値変換部11は赤変換部12と、緑変換部13と、青変換部14とを備える。図2には、左目画像撮像部3L、右目画像撮像部3R及び記憶部4も併せて示す。
【0041】
画素値変換部11は、左目画像撮像部3Lから供給された左目画像信号RGBと、右目画像撮像部3Rから供給された右目画像信号RGBを受け取る。左目画像信号RGBは、赤成分の画素値R、緑成分の画素値G及び青成分の画素値Bを含む。右目画像信号RGBは、赤成分の画素値R、緑成分の画素値G及び青成分の画素値Bを含む。
画素値変換部11は、各画素において、赤成分の画素値と赤以外の他の色成分の画素値との差を予め決められた割合で小さくし、かつ、他の色成分同士の画素値の差を上記予め決められた割合で小さくする。
【0042】
実際の画像処理回路では、赤変換部12は、下記の式(5)に従って、赤成分の画素値の変換を行うことができる。しかし、この方法に限定されない。
【0043】
R’=R−α(R−G)−α(R−B) (5)
【0044】
ここで、αは係数である。R’は変換後の赤成分の画素値(以下、「変換後赤画素値」と言う。)であり、Rは左目画像の赤成分の画素値であり、Gは左目画像の緑成分の画素値であり、Bは左目画像の青成分の画素値である。
変換後、赤変換部12は、変換により得られた変換後赤画素値R’を示す信号を信号合成部15へ供給する。
同様にして、緑変換部13は、下記の式(7)に従って、緑成分の画素値の変換を行う。
【0045】
G’=G−α(G−B)−α(G−R) (6)
【0046】
ここで、G’は右目画像の緑成分の画素値(以下、「変換後緑画素値」と言う。)であり、Rは右目画像の赤成分の画素値であり、Gは右目画像の緑成分の画素値であり、Bは右目画像の青成分の画素値である。
変換後、緑変換部13は、変換により得られた変換後緑画素値G’を示す信号を信号合成部15へ供給する。
同様にして、青変換部14は、下記の式(7)に従って、青成分の画素値の変換を行う。
【0047】
B’=B−α(B−R)−α(B−G) (7)
【0048】
ここで、B’は変換後の青成分の画素値(以下、「変換後青画素値」と言う。)である。
変換後、青変換部14は、変換により得られた変換後青画素値B’を示す信号を信号合成部15へ供給する。
【0049】
信号合成部15は、赤変換部12から供給された変換後赤画素値R’を示す信号と、緑変換部13から供給された変換後緑画素値G’を示す信号と、青変換部14から供給された変換後青画素値B’を示す信号とを合成する。
具体的には、信号合成部15は、各画素の各色成分が、変換後赤画素値R’と変換後緑画素値G’と変換後青画素値B’からなるように信号を合成する。信号合成部15は、合成により得られた合成信号R’G’B’を記憶部4に記憶させる。
【0050】
ここで、一例としてR=R=R、B=B=B、G=G=Gとし、式(5)と式(7)の関係を用いて変換後の各色成分の差を計算すると、下記の式(8)が得られる。
【0051】
R’−B’=R−α(R−G)−α(R−B)−B+α(B−R)+α(B−G)
=(1−3α)(R−B)
G’−B’=G−α(G−B)−α(G−R)−B+α(B−R)+α(B−G)
=(1−3α)(G−B) (8)
【0052】
ここで、0≦α≦1/3の範囲で 式(2)における係数aを1−3αに置き換えることで、式(8)の右辺が得られる。従って、式(5)〜(7)に従って、各色成分の画素値を変換することは、式(3)に従って各色成分の画素値を変換することと同等の処理である。
式(8)によれば、係数αが大きいほどより色成分の差が小さくなる。また、α=0の時は無変換(R’=R、G’=G、B’=B)で、α=1/3の時にはR=G=Bで、各色成分の画素値差が0すなわち無彩色になる。
【0053】
続いて、図3と図4を用いて、画像処理部10により処理結果の一例を説明する。
図3は、画像処理部10に入力される画像信号が示す画像の一例である。同図において、左目画像101と、右目画像102とが示されている。
図4は、図3の左目画像101と右目画像102が入力された場合に、第1の実施形態における画像処理部10から出力される画像の一例である。同図において、視野闘争対策のないアナグリフ画像103と、本実施形態の画像処理部10の出力画像104とが示されている。
図3と図4それぞれにおいて、符号「1」が付された太陽を模した画像領域と、符号「2」が付された星を模した画像領域と、符号「3」が付された月を模した画像領域と、符号「4」が付された正五角形の画像領域とが示されている。
【0054】
ここで、視野闘争対策のないアナグリフ画像103(図4)は、左目画像101の赤成分と、右目画像102の緑成分及び青成分を合成したものである。例えば、視野闘争対策のないアナグリフ画像103中の符号「1」が付された太陽を模した画像領域は赤く、赤成分の画素値とそれ以外の画素値との差が大きい。ゆえに、表示装置1の視聴者が、左目用の赤のフィルタと右目用のシアンのフィルタを備える眼鏡を通して、その符号「1」が付された太陽を模した画像領域を見た場合に、視野闘争がおこりやすい。
【0055】
一方、画像処理部10の出力画像104(図4)中の符号「1」が付された太陽を模した画像領域は、視野闘争対策のないアナグリフ画像103中(図4)の符号「1」が付された太陽を模した画像領域よりも、赤成分の画素値とそれ以外の画素値との差が小さい。ゆえに、表示装置1の視聴者が、左目用の赤のフィルタと右目用のシアンのフィルタを備える眼鏡を通して、出力画像104中の符号「1」が付された太陽を模した画像領域を見た場合に、視野闘争がおこりにくい。また、画像処理部10の出力画像104中の符号「1」が付された太陽を模した画像領域の色相は、左目画像101(図3)中の符号「1」が付された太陽を模した画像領域の色相と同一である。
【0056】
図5は、第1の実施形態における表示装置1の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、撮像装置3は、左目画像及び右目画像を撮像する(ステップS101)。
次に、画像処理部10は、左目画像信号RGB及び右目画像信号RGBに画像処理を施す(ステップS102)。この画像処理は、後で詳述する。表示部7は、画像処理により得られた変換後の画像信号R’G’B’が示す変換後の画像を表示する(ステップS103)。以上で、本フローチャートの処理を終了する。
【0057】
図6は、図5のステップS102における画像処理の詳細を示すフローチャートである。
まず、画素値変換部11は、赤成分の画素値と赤以外の他の色成分の画素値との差、及び他の色成分同士の画素値の差を、予め決められた割合で小さくする(ステップS201)。次に、信号合成部15は、変換後赤信号、変換後緑信号及び変換後青信号を合成する(ステップS202)。以上で、本フローチャートの処理を終了する。
【0058】
以上、本実施形態の画素値変換部11は、赤成分の画素値と赤以外の他の色成分の画素値との差、及び他の色成分同士の画素値の差を、予め決められた同一の割合で小さくする。
これにより、画像処理部10は、第1の色の画素値(例えば、R)と第1の色以外の色の画素値(例えば、G、B)との差を小さくできるため、視野闘争を低減できる。それとともに、画像処理部10は、変換前後で色相の変化をなくすことができるので、画像処理部10は、各画素において色相を維持することができる。その結果、画像処理部10は、色相を維持しつつ視野闘争を低減できるので、視聴者が心地よく見ることができるアナグリフ画像を生成することができる。
【0059】
<第1の実施形態の変形例>
続いて、第1の実施形態の変形例について説明する。図7は、第1の実施形態の変形例における表示装置1bの概略ブロック図である。
表示装置1bは、表示部7と、画像処理部10bとを備える。
表示装置1bと表示装置1(図1)とを比較すると、前者では後者の画像処理部10が画像処理部10bになっていて相違するが、表示部7は、同じである。したがって、同じ構成のものの具体的な説明を省略し、以下では画像処理部10bについて説明をする。
【0060】
図8は、第1の実施形態の変形例における画像処理部10bの概略ブロック図である。
画像処理部10bは、画素値変換部11bと、信号合成部15と、色成分抽出部20とを備える。図8には、左目画像撮像部3L、右目画像撮像部3R及び記憶部4も併せて示す。
画像処理部10bを画像処理部10(図2)と比較すると、前者には後者にはない色成分抽出部20が付加されており、また、前者と後者とでは、画素値変換部11bと信号合成部15の接続関係が相違する。しかし、前者の画素値変換部11bと信号合成部15の動作は、後者の画素値変換部11と信号合成部15の動作と同じである。
【0061】
色成分抽出部20は、赤成分抽出部21と、緑成分抽出部22と、青成分抽出部23とを備える。
赤成分抽出部21は、左目画像撮像部3Lから供給された左目画像信号RGBから赤成分の画素値(左目画像赤画素値)Rを抽出する。そして、赤成分抽出部21は、抽出した左目画像赤画素値Rを示す信号を信号合成部15へ供給する。
【0062】
また、緑成分抽出部22は、右目画像撮像部3Rから供給された右目画像信号RGBから緑成分の画素値(右目画像緑画素値)Gを抽出する。そして、緑成分抽出部22は、抽出した右目画像緑画素値Gを示す信号を信号合成部15へ供給する。
また、青成分抽出部23は、右目画像撮像部3Rから供給された右目画像信号RGBから青成分の画素値(右目画像青画素値)Bを抽出する。そして、青成分抽出部23は、抽出した右目画像青画素値Bを示す信号を信号合成部15へ供給する。
【0063】
画素値変換部11bは、信号合成部15から供給された合成信号RGBの各成分に対して、以下の式(9)〜(11)に従って画素値の変換を施す。
【0064】
R’=R−α(R−G)−α(R−B) (9)
G’=G−α(G−B)−α(G−R) (10)
B’=B−α(B−R)−α(B−G) (11)
【0065】
ここで、R’は変換後の赤成分の画素値で、G’は、変換後の緑成分の画素値で、B’は、変換後の青成分の画素値である。
すなわち、画素値変換部11bは、赤成分の画素値Rと赤以外の他の色成分の画素値(G又はB)との差、及び他の色成分同士の画素値(GとB)の差を、予め決められた同一の割合で小さくする。そして、画素値変換部11bは、変換後の信号R’G’B’を記憶部4に記憶させる。
【0066】
第1の実施形態の変形例における表示装置1b全体の処理の流れは、第1の実施形態の表示装置1の処理の流れ(図5に示すもの)と比較して、ステップS102の「画像処理」を除いて、同一である。したがって、その全体の処理の流れの説明を省略し、以下で専ら「画像処理」の説明をする。
図9は、第1の実施形態の変形例における「画像処理」の詳細を示すフローチャートである。
まず、色成分抽出部20は、左目画像の赤成分の画素値を示す信号と、右目画像の緑成分の信号及び青成分の信号を抽出する(ステップS301)。次に、信号合成部15は、抽出した赤信号、緑信号及び青信号を合成する(ステップS302)。次に、画素値変換部11bは、赤成分の画素値と赤以外の他の色成分の画素値との差、及び他の色成分同士の画素値の差を、予め決められた同一の割合で小さくする(ステップS303)。以上で、本フローチャートの「画像処理」を終了する。
【0067】
以上、画像処理部10bは、左目画像の赤成分の画素値を示す信号と、右目画像の緑成分の信号及び青成分の信号とを合成する。そして、画像処理部10bは、合成により得られた合成信号について、赤成分の画素値と赤以外の他の色成分の画素値との差、及び他の色成分同士の画素値の差を、予め決められた同一の割合で小さくする。
【0068】
これにより、画像処理部10は、第1の色の画素値(例えば、R)と第1の色以外の色の画素値(例えば、G、B)との差を小さくできるため、視野闘争を低減できる。それとともに、画像処理部10は、画素値の変換前後で色相が変化しないので、画像処理部10は、各画素において色相を維持することができる。その結果、画像処理部10は、色相を維持しつつ視野闘争を低減できるので、視聴者が心地よく見ることができるアナグリフ画像を生成することができる。
【0069】
<第2の実施形態>
続いて、第2の実施形態における表示装置1cについて説明する。
図10は、第2の実施形態における表示装置1cの概略ブロック図である。
表示装置1cは、表示部7と、画像処理部10cとを備える。
図10に示す表示装置1cと図1に示す表示装置1とを比較すると、後者の画像処理部10が前者では画像処理部10cとなっていて相違するが、表示部7は同じである。従って、同じ構成のものの説明は省略する。
【0070】
図11は、第2の実施形態における画像処理部10cの概略ブロック図である。
画像処理部10cは、画素値変換部11cと、信号合成部15と、差分算出部31とを備える。画素値変換部11cは、赤変換部12と、緑変換部13と、青変換部14と、係数算出部32とを備える。係数算出部32は、第1の係数算出部32Lと、第2の係数算出部32Rとを備える。差分算出部31は、第1の差分算出部31Lと、第2の差分算出部31Rとを備える。図11には、左目画像撮像部3L、右目画像撮像部3R及び記憶部4も併せて示す。
【0071】
画像処理部10cと画像処理部10(図2)とを比較すると、前者には後者にはない差分算出部31が付加されていること、そして前者の画素値変換部11cには、後者の画素値変換部11には存在しない係数算出部32が付加されていることが相違する。しかし、その他の構成(赤変換部12、緑変換部13、青変換部14、信号合成部15)は同じである。したがって、同じ構成のものは説明を以下では省略することがある。
【0072】
差分算出部31は、画素毎に第1の色成分と他の色成分との差を算出する。ここで、差分算出部31は、第1の差分算出部31Lと、第2の差分算出部31Rとを備える。
第1の差分算出部31Lは、左目画像撮像部3Lから供給された左目画像信号RGBから、各画素における赤成分の画素値Rと緑成分の画素値Gと青成分の画素値Bとを抽出する。そして、第1の差分算出部31Lは、画素毎に、赤成分の画素値Rとその他の成分の画素値(緑成分の画素値G又は/及び青成分の画素値B)との差である第1の差分Sを算出する。具体的には、例えば、第1の差分算出部31Lは、以下の式(13)に従って、第1の差分Sを算出する。
【0073】
=R−(G+B)/2 (12)
【0074】
ここで、第1の差分Sが正の値になるのは、赤成分の画素値Rが、緑成分の画素値Gと青成分の画素値Bの平均よりも大きい場合である。また、Sの値が1に近いほど赤成分の画素値Rが他の色成分の画素値に比べてより大きいので、赤成分と他の色成分の画素値差が大きい。
また、逆に第1の差分Sが負の値になるのは、他の色成分の画素値が赤成分の画素値Rよりも大きい場合であり、Sの値が−1に近いほど他の色成分の画素値が赤成分の画素値Rに比べてより大きいので、赤成分と他の色成分の画素値差が大きい。
【0075】
そして、第1の差分算出部31Lは、算出した第1の差分Sを示す信号を画素値変換部11cの係数算出部32の第1の係数算出部32Lへ供給する。
なお、式(12)は一例であって、第1の色成分と他の色成分との差が大きいほど、第1の差分Sの絶対値が大きくなればよい。
【0076】
同様に、第2の差分算出部31Rは、右目画像撮像部3Rから供給された右目画像信号RGBから、各画素における赤成分の画素値Rと緑成分の画素値Gと青成分の画素値Bとを抽出する。そして、第2の差分算出部31Rは、画素毎に、赤成分の画素値Rとその他の成分の画素値(緑成分の画素値G又は/及び青成分の画素値B)との差である第2の差分Sを算出する。具体的には、例えば、第1の差分算出部31Lは、以下の式(13)に従って、第2の差分Sを算出する。
【0077】
=R−(G+B)/2 (13)
【0078】
そして、第2の差分算出部31Rは、算出した第2の差分Sを示す信号を画素値変換部11cの係数算出部32の第2の係数算出部32Rへ供給する。
なお、式(13)は一例であって、第1の色成分と他の色成分との差が大きいほど、第1の差分Sの絶対値が大きくなればよい。
【0079】
画素値変換部11cは、差分算出部31から供給された第1の差分Sを示す信号と、左目画像撮像部3Lから供給された左目画像信号RGBとに基づいて、左目用の変換後赤画素値R’を示す信号を生成する。
また、画素値変換部11cは、差分算出部31から供給された第2の差分Sを示す信号と、右目画像撮像部3Rから供給された右目画像信号RGBとに基づいて、右目用の変換後緑画素値G’を示す信号と右目用の変換後青画素値B’を示す信号を生成する。以下、画素値変換部11cが備える各部の処理を説明する。
【0080】
係数算出部32は、第1の係数算出部32Lと第2の係数算出部32Rとを備える。
第1の係数算出部32Lは、第1の差分算出部31Lから供給された第1の差分Sに基づいて、第1の係数αを算出する。より詳細には、第1の係数算出部32Lは、第1の差分Sの絶対値が大きいほど、第1の係数αが大きくなるように第1の係数αを算出する。具体的には、例えば、第1の係数算出部32Lは、以下の式(14)に従って、第1の係数αを算出する。
【0081】
α=k|S| (14)
【0082】
ここで、kは正の数である。第1の係数算出部32Lは、算出した第1の係数αを示す信号を赤変換部12cへ供給する。
なお、式(15)は一例であって、第1の差分Sの絶対値が大きいほど、第1の係数αが大きくなればよい。
【0083】
第2の係数算出部32Rは、第2の差分算出部31Rから供給された第2の差分Sに基づいて、第2の係数αを算出する。より詳細には、第2の係数算出部32Rは、第2の差分Sの絶対値が大きいほど、第2の係数αが大きくなるように第2の係数αを算出する。具体的には、例えば、第2の係数算出部32Rは、以下の式(15)に従って、第2の係数αを算出する。
【0084】
α=k|S| (15)
【0085】
ここで、kは正の数である。第1の係数算出部32Rは、算出した第2の係数αを示す信号を緑変換部13cと青変換部14cへ供給する。
なお、式(16)は一例であって、第1の差分Sの絶対値が大きいほど、第1の係数αが大きくなればよい。
【0086】
赤変換部12cは、第1の係数算出部32Lから供給された第1の係数αを示す信号と左目画像撮像部3Lから供給された左目画像信号RGBとに基づいて、左目用の変換後赤画素値R’を示す信号を生成する。
具体的には、例えば、赤変換部12cは、以下の処理により左目用の変換後赤画素値R’を示す信号を生成する。赤変換部12cは、左目画像撮像部3Lから供給された左目画像信号RGBから左目画像の赤成分Rと左目画像の緑成分Gと左目画像の青成分Bを抽出する。そして、赤変換部12cは、第1の係数算出部32Lから供給された第1の係数αが示す信号と左目画像の赤成分Rと左目画像の緑成分Gと左目画像の青成分Bとに基づいて、左目用の変換後赤画素値R’を示す信号を生成する。具体的には、例えば、赤変換部12cは、以下の式(16)に従って、左目用の変換後赤画素値R’を算出する。
【0087】
R’=R−α(R−G)−α(R−B) (16)
【0088】
そして、赤変換部12cは、算出した左目用の変換後赤画素値R’を示す信号を信号合成部15へ供給する。
続いて、緑変換部13cは、第2の係数算出部から供給された第2の係数αを示す信号と右目画像撮像部3Rから供給された右目画像信号RGBとに基づいて、右目用の変換後緑画素値G’を示す信号を生成する。
【0089】
具体的には、例えば、緑変換部13cは、右目画像撮像部3Rから供給された右目画像信号RGBから右目画像の赤成分Rと右目画像の緑成分Gと右目画像の青成分Bを抽出する。そして、第2の係数算出部から供給された第2の係数αが示す信号と右目画像の赤成分Rと右目画像の緑成分Gと右目画像の青成分Bとに基づいて、右目用の変換後緑画素値G’を示す信号を生成する。具体的には、例えば、緑変換部13cは、以下の式(17)に従って、右目用の変換後緑画素値G’を算出する。
【0090】
G’=G−α(G−B)−α(G−R) (17)
【0091】
そして、緑変換部13cは、算出した右目用の変換後緑画素値G’を示す信号を信号合成部15へ供給する。
続いて、青変換部14cは、第2の係数算出部32Rから供給された第2の係数αを示す信号と右目画像撮像部3Rから供給された右目画像信号RGBとに基づいて、右目用の変換後青画素値B’を示す信号を生成する。
【0092】
具体的には、例えば、青変換部14cは、右目画像撮像部3Rから供給された右目画像信号RGBから右目画像の赤成分Rと右目画像の緑成分Gと右目画像の青成分Bを抽出する。そして、第2の係数算出部32Rから供給された第2の係数αが示す信号と右目画像の赤成分Rと右目画像の緑成分Gと右目画像の青成分Bとに基づいて、右目用の変換後青画素値B’を示す信号を生成する。具体的には、例えば、青変換部14cは、以下の式(18)に従って、右目用の変換後青画素値B’を算出する。
【0093】
B’=B−α(B−R)−α(B−G) (18)
【0094】
そして、青変換部14cは、算出した右目用の変換後青画素値B’を示す信号を信号合成部15へ供給する。
信号合成部15は、赤変換部12cから供給された左目用の変換後赤画素値R’を示す信号と、緑変換部13cから供給された右目用の変換後緑画素値G’を示す信号と、青変換部14cから供給された右目用の変換後青画素値B’を示す信号とを合成する。
具体的には、信号合成部15は、各画素において、赤成分を左目用の変換後赤画素値R’とし、緑成分を右目用の変換後緑画素値G’とし、青成分を右目用の変換後青画素値B’とする。信号合成部15は、合成後の合成信号R’G’B’を記憶部4に記憶させる。
【0095】
図12は、図3の左目画像101と右目画像102が入力された場合に、第2の実施形態における画像処理部10cから出力される画像の一例である。同図において、本実施形態の画像処理部10cの出力画像105が示されている。
画像処理部10の出力画像105中の符号「1」が付された太陽を模し画像領域は、図4における視野闘争対策のないアナグリフ画像103中の太陽マークよりも、赤成分の画素値とそれ以外の画素値との差が小さい。ゆえに、表示装置1の視聴者が、左目用の赤のフィルタと右目用のシアンのフィルタを備える眼鏡を通して、出力画像104中の符号「1」が付された太陽を模し画像領域を見た場合に、視野闘争がおこりにくい。
【0096】
また、出力画像105中の符号「1」が付された太陽を模し画像領域の色相は、視野闘争対策のないアナグリフ画像103中の符号「1」が付された太陽を模し画像領域の色相と同一である。
更に、出力画像105中の背景は、図4における出力画像104中の背景より鮮やかさが維持されている。これは、出力画像105中の背景において、赤成分の画素値と他の色成分の画素値との差が小さいので、第1の係数α又は第2の係数αが小さくなる。その結果、画素値変換部11cは、赤成分の画素値と他の色成分の画素値との差及び他の色成分同士の画素値の差を小さくすることを軽減するので、各色成分の画素値が維持されるからである。
【0097】
第2の実施形態における表示装置1c全体の処理の流れは、第1の実施形態の表示装置1の処理の流れ(図5に示すもの)と比較して、ステップS102の「画像処理」を除いて、同一である。したがって、その全体の処理の流れの説明を省略し、以下で専ら「画像処理」の説明をする。
図13は、第2の実施形態における画像処理の詳細を示すフローチャートである。
まず、差分算出部31は、第1の差分信号Sと第2の差分信号Sを生成する(ステップS401)。次に、係数算出部32は、第1の係数αと第2の係数αを算出する(ステップS402)。次に、画素値変換部11cは、左目画像の赤信号を変換する(ステップS403)。また、それと並行して、画素値変換部11cは、右目画像の緑信号と右目画像の青信号を変換する(ステップS404)。次に、信号合成部15は、左目用の変換後赤画素値R’と、右目用の変換後緑画素値G’と、右目用の変換後青画素値B’を合成する(ステップS405)。
以上で、本フローチャートの処理を終了する。
【0098】
本実施形態では、画像処理部10cは、各画素の第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値との差Sに基づいて、第1の色成分の画素値と他の色成分と画素値の差及び他の色成分同士の画素値の差を小さくする。
【0099】
具体的には、画像処理部10cは、各画素の第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値との差Sが大きいほど、第1の係数α及び第2の係数αを大きくすることにより、第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値との差をより小さくし、かつ他の色成分同士の画素値の差をより小さくする。
これにより、第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値との差が大きい画素では、色相を維持しながら第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値との差を小さくできるので、視野闘争を軽減することができる。
【0100】
また、第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値との差が小さい画素では、画像処理部10cは、第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値との差を小さくしないので、色成分の差である鮮やかさが失われることを軽減することができる。すなわち、視野闘争が起こらない画素の鮮やかさが失われることを軽減することができる。
その結果、画像処理部10cは、第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値との差が大きい画素では、色相をずらさないで視野闘争を軽減することができ、更に、視第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値との差が大きい画素では、鮮やかさを保ったアナグリフ画像を生成することができるので、視聴者が心地よく見ることができる。
【0101】
なお、画像処理部10cは、各画素の第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値との第1の差分Sが予め決められた閾値Th_Sを越えた場合、第1の係数αを予め決められた定数c(但し、0<c≦1/3)に設定してもよい。一方、第1の差分Sが予め決められた閾値Th_S以下の場合、第1の係数αを0に設定してもよい。
また、画像処理部10cは、各画素の第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値との第2の差分Sが予め決められた閾値Th_Sを越えた場合、第2の係数αを予め決められた定数c(但し、0<c≦1/3)に設定してもよい。一方、第1の差分Sが予め決められた閾値Th_S以下の場合、第2の係数αを0に設定してもよい。
【0102】
すなわり、画像処理部10cは、各画素の第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値との差Sが大きい場合、係数α及び係数αを予め決められた定数cに設定することにより、フィルタ色成分(第1の色成分)の画素値と他の色成分の画素値との差を小さくする。また、画像処理部10cは、上記と並行して、他の色成分同士の画素値の差を小さくする。
これにより、画像処理部10cは、画素毎に、画素値との差Sが大きい画素すなわち視野闘争が起こりやすい画素のみに対して、画素値を補正するので、色の鮮やかさが失われることを軽減することができる。その結果、画像処理部10cは、視聴者が心地よく見ることができるアナグリフ画像を生成することができる。
【0103】
<第2の実施形態の変形例>
続いて、第2の実施形態の変形例について説明する。
図14は、第2の実施形態の変形例における表示装置1dの概略ブロック図である。
表示装置1dは、表示部7と、画像処理部10dとを備える。
表示装置1dと図10に示す表示装置1cとを比較すると、後者の画像処理部10cが前者では画像処理部10dとなっていて相違するが、表示部7は同じである。したがって、同じ構成のものの説明は省略する。
【0104】
図15は、第2の実施形態の変形例における画像処理部10dの概略ブロック図である。
画像処理部10dは、色成分抽出部20と、信号合成部15と、画素値変換部11dと、第3の差分算出部34とを備える。色成分抽出部20は、赤成分抽出部21と、緑成分抽出部22と、青成分抽出部23とを備える。画素値変換部11dは、第3の係数算出部35と、変換部36とを備える。図15には、左目画像撮像部3Lと、右目画像撮像部3Rと、記憶部とを併せて示す。
画像処理部10dは、画像処理部10c(図11)の構成に対して、色成分抽出部20が追加され、また、後者の差分算出部31が前者では第3の差分算出部34に変更されたものとなっており、また、後者の画素値変換部11cが前者では画素値変換部11dに変更されたものになっている。
色成分抽出部20と信号合成部15は、第1の実施形態の変形例(図8)における色成分抽出部20と信号合成部15と同じであるので、その説明を省略する。
【0105】
第3の差分算出部34は、信号合成部15から供給された合成信号RGBから各成分を抽出し、抽出した赤成分の画素値Rから、緑成分の画素値Gと青成分の画素値Bの平均を減算した第3の差分S(=R−(G+B)/2)を算出する。第3の差分算出部34は、算出した第3の差分Sを示す信号を画素値変換部11dの第3の係数算出部35へ供給する。
【0106】
画素値変換部11dは、信号合成部15から供給された合成信号RGBと、第3の差分算出部34から供給された第3の差分Sを示す信号とに基づいて、変換後の合成信号R’G’B’を生成する。以下、画素値変換部11dが備える第3の係数算出部35と変換部36の処理を説明する。
【0107】
第3の係数算出部35は、第3の差分算出部34から供給された第3の差分Sを示す信号に基づいて、第3の係数αを算出する。例えば、第3の係数算出部35は、第3の差分Sの絶対値が大きくなるほど、第3の係数αを大きくする。具体的には、例えば、第3の係数算出部35は、以下の式(19)に従って、第3の係数αを算出する。
【0108】
α=k|S| (19)
【0109】
ここで、kは正の数である。そして、第3の係数算出部35は、算出した係数αを示す信号を変換部36へ供給する。
変換部36は、第3の係数算出部35から供給された第3の係数αを示す信号と信号合成部15から供給された合成信号RGBとに基づいて、変換後の信号R’G’B’を生成する。具体的には、例えば、変換部36は、合成信号RGBの各成分に対して、以下の式(20)〜(22)に従って画素値の変換を施す。
【0110】
R’=R−α(R−G)−α(R−B) (20)
G’=G−α(G−B)−α(G−R) (21)
B’=B−α(B−R)−α(B−G) (22)
【0111】
ここで、Rは合成信号RGBの赤成分の画素値で、Gは合成信号RGBの緑成分の画素値で、Bは合成信号RGBの青成分の画素値である。
すなわち、変換部36は、画素毎に、赤成分の画素値Rと赤以外の他の色成分の画素値(G又はB)との差、及び他の色成分同士の画素値(GとB)の差を、当該画素における同じ割合(1−3α)で小さくする。
そして、変換部36は生成した変換後の合成信号R’G’B’を記憶部4に記憶させる。
【0112】
第2の実施形態の変形例における表示装置1c全体の処理の流れは、第1の実施形態の表示装置1の処理の流れ(図5に示すもの)と比較して、ステップS102の「画像処理」を除いて、同一である。したがって、その全体の処理の流れの説明を省略し、以下で専ら「画像処理」の説明をする。
図16は、第2の実施形態の変形例における画像処理の詳細を示すフローチャートである。
まず、色成分抽出部20は、左目画像の赤成分の画素値を示す信号と、右目画像の緑成分の信号及び青成分の信号を抽出する(ステップS501)。次に、信号合成部15は、抽出した赤信号、緑信号及び青信号を合成する(ステップS502)。
次に、第3の差分算出部34は、合成後の合成信号RGBに基づいて、各画素における第3の差分Sを算出する(ステップS503)。次に、第3の係数算出部35は、第3の差分Sに基づいて、各画素における第3の係数αを算出する(ステップS504)。
次に、変換部36は、画素毎に、赤成分の画素値と赤以外の他の色成分の画素値との差、及び他の色成分同士の画素値の差を、同じ割合(1−3α)で小さくする(ステップS505)。以上で、本フローチャートの処理を終了する。
【0113】
以上、第2の実施形態の変形例における画像処理部10dは、各画素において、第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値との差である第3の差分Sに基づいて、第1の色成分の画素値と他の色成分と画素値の差及び他の色成分同士の画素値の差を小さくする。
【0114】
具体的には、画像処理部10dは、第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値との差である第3の差分Sが大きいほど、第3の係数αを大きくするので、第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値との差及び他の色成分同士の画素値の差が、同じ割合でより小さくする。
これにより、第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値との差が大きい画素では、色相を維持しながら第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値との差を小さくできるので、視野闘争を軽減することができる。
【0115】
また、第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値との差が小さい画素では、画像処理部10dは、第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値との差を小さくしないので、色成分の差である鮮やかさが失われることを軽減することができる。すなわち、画像処理部10dは、視野闘争が起こらない画素の鮮やかさが失われることを軽減することができる。その結果、画像処理部10dは、視聴者が心地よく見ることができるアナグリフ画像を生成することができる。
【0116】
なお、画像処理部10dは、各画素の第1の色成分(例えば、赤成分)の画素値と他の色成分の画素値との第3の差分Sが予め決められた閾値Th_Sを越えた場合、第3の係数を予め決められた定数c(但し、0<c≦1/3)に設定してもよい。一方、第3の差分Sが予め決められた閾値Th_S以下の場合、第3の係数αを0に設定してもよい。
【0117】
この場合、画像処理部10dは、各画素の第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値との差Sが大きい場合、第3の係数αを予め決められた定数cに設定することにより、第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値との差を小さくする。また、画像処理部(10c、10d)は、上記と並行して、他の色成分同士の画素値の差を小さくする。
【0118】
これにより、画像処理部10dは、画素毎に、上記画素値の差Sが大きい画素すなわち視野闘争が起こりやすい画素に対して色相をずらさないで視野闘争を軽減し、上記画素値の差Sが小さい画素すなわち視野闘争が起こりにくい画素に対しては画素値を補正しないので、色の鮮やかさが失われることを軽減することができる。その結果、画像処理部10dは、画素値の差Sが小さい画素については色相をずらさないで視野闘争を軽減し、画素値の差Sが大きい画素に対しては色の鮮やかさが失われることを軽減するので、視聴者が心地よくアナグリフ画像を見ることができる。
【0119】
<第3の実施形態>
続いて、第2の実施形態における表示装置1eについて説明する。図17は、第3の実施形態における表示装置1eの概略ブロック図である。
表示装置1eは、表示部7と、画像処理部10dとを備える。
図17に示す表示装置1dと図1に示す表示装置1aとを比較すると、後者の画像処理部10が前者では画像処理部10eとなっていて相違するが、表示部7は同じである。したがって、同じ構成のものの説明は省略する。
【0120】
図18は、第3の実施形態における画像処理部10eの概略ブロック図である。
画像処理部10eは、画素値変換部11eと、信号合成部15と、奥行き算出部41とを備える。画素値変換部11eは、赤変換部12eと、緑変換部13eと、青変換部14eとを備える。図18には、左目画像撮像部3L、右目画像撮像部3R及び記憶部4も併せて示す。
画像処理部10bを画像処理部10(図2)と比較すると、前者には後者にはない奥行き算出部41が付加されており、また、後者の画素値変換部11eには、前者の画素値変換部11にはない第4の係数算出部42が付加されている点で相違する。しかし、前者の信号合成部15の動作は、後者の信号合成部15の動作と同じである。
【0121】
奥行き算出部41は、同一の被写体を異なる二つの位置から撮像することにより得られた二つの画像信号(左目画像信号RGBと右目画像信号RGB)を取得し、該取得した二つの画像信号の視差値に基づいて、画素毎に奥行きを示す奥行き情報Dを算出する。
より詳細には、奥行き算出部41は、左目画像撮像部3Lから供給された左目画像信号RGBと右目画像撮像部3Rから供給された右目画像信号RGBとの視差値に基づいて、画素毎に奥行き情報Dを算出する。ここで、視差値は、その値が大きくなるほど手前に位置することを示す。奥行き情報Dは、一例として、その値が大きくなるほど被写体と撮像装置3との距離が長いことを示し、0から1の値を取るよう正規化されているものとする。また、本実施形態では、被写体と撮像部3との距離が長いことを奥に位置するといい、被写体と撮像部3との距離が短いことを手前に位置すると言う。
【0122】
具体的には、例えば、奥行き算出部41は、左目画像信号RGBの各画素において、その画素に対応する右目画像信号RGBの画素を抽出し、抽出した画素の水平方向の座標と、左目画像信号RGBの当該画素の水平方向の座標の差である視差値を算出する。
そして、奥行き算出部41は、例えば、算出した視差値を用いて、視差値が0のときすなわち撮像装置3と被写体との距離が無限大のときに1をとり、視差値が最大のときすなわち撮像装置3と被写体との距離がないときに0をとる奥行き情報Dを算出する。
そして、奥行き算出部41は、算出した奥行き情報Dを画素値変換部11eの後述する第4の係数算出部42へ出力する。
【0123】
画素値変換部11eは、奥行き算出部41が算出した奥行き情報に基づいて、第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値の差、及び他の色成分同士の画素値の差を小さくする。
具体的には、例えば、画素値変換部11eは、奥行き情報が小さくなるほど第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値の差、及び前記他の色成分同士の画素値の差を小さくする。
【0124】
第4の係数算出部42は、奥行き算出部41から入力された奥行き情報Dに基づいて、画素毎に、視野闘争抑制の程度を示す第4の係数αを算出する。
例えば、第4の係数算出部42は、画素毎に、奥行き情報Dが大きくなるほど、すなわち当該画素が奥に位置するほど、第4の係数αを小さくする。
具体的には、例えば、第4の係数算出部42は、以下の式(23)に従って、第4の係数αを算出する。
【0125】
α=k|1−D| (23)
【0126】
ここで、kは予め決められた正の定数である。式(24)は、奥行き情報Dが0以上1以下の範囲で大きくなるほど、第4の係数αが小さくなる。
第4の係数算出部42は、算出した第4の係数αを示す信号を赤変換部12e、緑変換部13e及び青変換部14eに供給する。
【0127】
赤変換部12eは、左目画像撮像部3Lから供給された左目画像信号RGBと、第4の係数算出部42から供給された第4の係数αを示す信号とに基づいて、変換後の赤画素値R’を示す信号(以下、変換後赤信号とも称す)を生成する。具体的には、赤変換部12eは、左目画像信号RGBから、左目画像の赤成分の画素値Rと、左目画像の緑成分の画素値Gと、左目画像の青成分の画素値Bとを抽出する。そして、赤変換部12eは、以下の式(24)に従って、変換後の赤画素値R’を算出する。
【0128】
R’=R−α(R−G)−α(R−B) (24)
【0129】
そして、赤変換部12eは、変換後の赤画素値R’を示す信号を信号合成部15へ供給する。
続いて、緑変換部13eは、右目画像撮像部3Rから供給された右目画像信号RGBと、第4の係数算出部42から供給された第4の係数αを示す信号とに基づいて、変換後の緑画素値G’を示す信号(以下、変換後緑信号とも称す)を生成する。
【0130】
具体的には、緑変換部13eは、右目画像信号RGBから、右目画像の赤成分の画素値Rと、右目画像の緑成分の画素値Gと、右目画像の青成分の画素値Bとを抽出する。そして、緑変換部13eは、以下の式(25)に従って、変換後の緑画素値G’を算出する。
【0131】
G’=G−α(G−B)−α(G−R) (25)
【0132】
そして、緑変換部13eは、変換後緑信号を信号合成部15へ供給する。
続いて、青変換部14eは、右目画像撮像部3Rから供給された右目画像信号RGBと、第4の係数算出部42から供給された第4の係数αを示す信号とに基づいて、変換後の青画素値B’を示す信号(以下、変換後青信号とも称する)を生成する。
【0133】
具体的には、青変換部14eは、右目画像信号RGBから、右目画像の赤成分の画素値Rと、右目画像の緑成分の画素値Gと、右目画像の青成分の画素値Bとを抽出する。そして、青変換部14eは、以下の式(26)に従って、変換後の青画素値B’を算出する。4
【0134】
B’=B−α(B−R)−α(B−G) (26)
【0135】
そして、青変換部14eは、変換後青信号を信号合成部15へ供給する。
第3の実施形態における表示装置1d全体の処理の流れは、第1の実施形態の表示装置1の処理の流れ(図5に示すもの)と比較して、ステップS102の「画像処理」を除いて、同一である。したがって、その全体の処理の流れの説明を省略し、以下で専ら「画像処理」の説明をする。
【0136】
図19は、第3の実施形態における画像処理の詳細を示すフローチャートである。
まず、奥行き算出部41は、奥行き情報Dを算出する(ステップS601)。
次に、第4の係数算出部42は、奥行き情報Dに基づいて第4の係数αを算出する(ステップS602)。
次に、赤変換部12eは、第4の係数αに基づいて左目画像の赤画素値Rを変換する(ステップS603)。
それと並行して、緑変換部13eは、第4の係数αに基づいて右目画像の緑画素値Gを変換し、青変換部14eは、第4の係数αに基づいて右目画像の青画素値Bを変換する(ステップS604)。
次に、信号合成部15は、変換後赤信号、変換後緑信号及び変換後青信号を合成する(ステップS605)。
以上で、本フローチャートの処理を終了する。
【0137】
本実施形態の画像処理部10eは、画素毎に、その画素に対応する被写体の位置が手前であるほど、第4の係数αを大きくする。そして、画像処理部10eは、第4の係数αを大きくなるほど、第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値との差、及び他の色成分同士の画素値の差を小さくする。
すなわち、画像処理部10eは、画素毎に、その画素に対応する被写体の位置が手前であるほど、第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値との差、及び他の色成分同士の画素値の差を小さくする。
【0138】
これにより、画像処理部10eは、画像領域(オブジェクト)に対応する被写体の位置が手前であるほど画素値を補正するので、画像処理部10eは、視野闘争が起こった場合に視聴者に与える影響が大きい手前に位置する被写体のオブジェクトに対して、において色相をずらすことなく視野闘争抑制の程度を大きくすることができる。
一方、画像処理部10eは、視野闘争が起こった場合に視聴者に与える影響が小さい奥に位置する被写体のオブジェクトあるいは背景の画像領域に対して、視野闘争抑制の程度を小さくすることができる。ゆえに、画像処理部10eは、手前の画像領域において色相をずらすことなく視野闘争を抑制しつつ、奥に位置する奥位置する被写体のオブジェクトあるいは背景のオブジェクトにおける色の鮮やかさを保つことができるので、視聴者が心地よくアナグリフ画像を見ることができる。
【0139】
<第3の実施形態の変形例>
続いて、第3の実施形態の変形例について説明する。
図20は、第3の実施形態の変形例における表示装置1fの概略ブロック図である。
表示装置1fは、表示部7と、画像処理部10fとを備える。
図20に示す表示装置1dと図17に示す表示装置1eとを比較すると、後者の画像処理部10eが前者では画像処理部10fとなっていて相違するが、表示部7は同じである。したがって、同じ構成のものの説明は省略する。
【0140】
図21は、第3の実施形態の変形例における画像処理部10fの概略ブロック図である。
画像処理部10fは、色成分抽出部20と、信号合成部15と、画素値変換部11fと、奥行き算出部41とを備える。色成分抽出部20は、赤成分抽出部21と、緑成分抽出部22と、青成分抽出部23とを備える。画素値変換部11fは、変換部36fと、第4の係数算出部42fとを備える。図21には、左目画像撮像部3L、右目画像撮像部3Rも併せて示す。
【0141】
色成分抽出部20は、第1の実施形態の変形例(図8)における色成分抽出部20と同じであるので、その説明を省略する。
画素値変換部11fは、奥行き算出部41から供給された奥行き情報Dと、信号合成部15から供給された合成信号RGBとに基づいて、変換後の合成信号R’G’B’を生成する。以下、画素値変換部11fが備える第4の係数算出部42fと変換部36fの処理を説明する。
【0142】
第4の係数算出部42fは、第3の実施形態における第4の係数算出部42(図18)と同一の処理で、第4の係数αを算出する。第4の係数算出部42fは、算出した第4の係数αを示す信号を変換部36fへ供給する。
【0143】
変換部36fは、第2の実施形態の変形例における変換部36(図15)と同様の処理で、変換後の合成信号R’G’B’を生成する。
変換部36fは、第4の係数算出部42fから供給された第4の係数αと、信号合成部15から供給された合成信号RGBとに基づいて、変換後の合成信号R’G’B’を生成する。
具体的には、例えば、変換部36fは、合成信号RGBの各成分に対して、以下の式(27)〜(29)に従って画素値の変換を施す。
【0144】
R’=R−α(R−G)−α(R−B) (27)
G’=G−α(G−B)−α(G−R) (28)
B’=B−α(B−R)−α(B−G) (29)
【0145】
すなわち、変換部36fは、画素毎に、赤成分の画素値Rと赤以外の他の色成分の画素値(G又はB)との差、及び他の色成分同士の画素値(GとB)の差を、当該画素における第4の係数αの割合で小さくする。
そして、変換部36fは、変換後の合成信号R’G’B’を記憶部4に記憶させる。
【0146】
第3の実施形態の変形例における表示装置1f全体の処理の流れは、第1の実施形態の表示装置1の処理の流れ(図5に示すもの)と比較して、ステップS102の「画像処理」を除いて、同一である。したがって、その全体の処理の流れの説明を省略し、以下で専ら「画像処理」の説明をする。
図22は、第3の実施形態の変形例における画像処理の詳細を示すフローチャートである。
まず、色成分抽出部20は、左目画像の赤成分の画素値を示す信号と、右目画像の緑成分の画素値Gを示す信号及び青成分の画素値Bを示す信号を抽出する(ステップS701)。
次に、信号合成部15は、抽出した信号を1つの合成信号に合成する(ステップS702)。
【0147】
ステップS701〜S702に並行して、奥行き算出部41は、左目画像信号RGBと右目画像信号RGBに基づいて各画素における奥行き情報Dを算出し(ステップS703)、第4の係数算出部42fは、奥行き情報Dに基づいて各画素における第4の係数αを算出する(ステップS504)。
次に、変換部36fは、画素毎に、赤成分の画素値と赤以外の他の色成分の画素値との差、及び他の色成分同士の画素値の差を、同じ割合(1−3α)で小さくする(ステップS705)。
以上で、本フローチャートの処理を終了する。
【0148】
以上、本実施形態の画像処理部10fは、画素毎に、その画素に対応する被写体の位置が手前であるほど、第4の係数αを大きくする。そして、画像処理部10fは、第4の係数αが大きくなるほど、第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値との差、及び他の色成分同士の画素値の差を小さくする。すなわち、画像処理部10fは、画素毎に、その画素に対応する被写体の位置が手前であるほど、第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値との差、及び他の色成分同士の画素値の差を小さくする。
【0149】
これにより、画像処理部10fは、画素毎に、その画素に対応する被写体の位置が手前であるほど画素値を補正するので、画像処理部10fは、視野闘争が起こった場合に視聴者に与える影響が大きい手前に位置する被写体に対応するオブジェクトに対して、色相をずらすことなく視野闘争抑制の程度を大きくすることができる。
一方、画像処理部10fは、視野闘争が起こった場合に視聴者に与える影響が小さい奥に位置する被写体に対応するオブジェクトあるいは背景のオブジェクトに対して、視野闘争抑制の程度を小さくすることができる。ゆえに、画像処理部10fは、手前の画像領域において色相をずらすことなく視野闘争を抑制しつつ、奥に位置する画像領域における色の鮮やかさを保つことができるので、視聴者が心地よくアナグリフ画像を見ることができる。
【0150】
なお、第3の実施形態又は第3の実施形態の変形例では、奥行き算出部41が奥行き情報Dを算出したが、これに限らず、左目画像信号と右目画像信号に加えて奥行き情報Dが画像処理部(10e、10f)に入力されてもよい。
【0151】
また、第3の実施形態又は第3の実施形態の変形例における画像処理部(10e、10f)は、奥行き情報Dが予め決められた閾値Th_D以下の場合、第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値の差、及び他の色成分同士の画素値の差を小さくしてもよい。また、一方、画像処理部(10e、10f)は、奥行き情報Dが予め決められた閾値Th_Dより大きい場合、第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値の差、及び他の色成分同士の画素値の差を変更しないようにしてもよい。
【0152】
これにより、画像処理部(10e、10f)は、画素毎に、その画素に対応する被写体の位置が予め決められた基準よりも手前でにある場合、当該画素の画素値を補正するので、被写体が手前に位置して視野闘争が目立ちやすい画像領域の視野闘争を抑制する。一方、画像処理部(10e、10f)は、画素毎に、その画素に対応する被写体の位置が予め決められた基準よりも奥に位置する場合、当該画素の画素値を補正しないことにより、奥に位置して視野闘争が目立ちにくい画像領域の視野闘争を抑制せずにその画素の色の鮮やかさを保つことができる。その結果、画像処理部(10e、10f)は、被写体が手前に位置する画像領域において色相をずらすことなく視野闘争を抑制しつつ、被写体が奥に位置する画像領域における色の鮮やかさを保つことができる。
【0153】
なお、第3の実施形態において、画像処理部(10e、10f)は、奥行き情報に基づいて、第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値の差、及び他の色成分同士の画素値の差を小さくしたが、これに限ったものではない。
画像処理部(10e、10f)は、奥行き情報Dと、第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値の差とに基づいて、第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値の差、及び他の色成分同士の画素値の差を小さくしてもよい。具体的には、例えば、画像処理部(10e、10f)は、画素毎にその画素の被写体が手前に位置し、かつ第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値の差が大きいほど、第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値の差、及び他の色成分同士の画素値の差を小さくしてもよい。
【0154】
これにより、画像処理部(10e、10f)は、手前に位置する被写体の画像領域において、第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値の差が大きい画素において、視野闘争抑制の程度を大きくして視野闘争を抑制する。一方、画像処理部(10e、10f)は、手前に位置する被写体の画像領域において、第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値の差が小さい画素において、視野闘争抑制の程度を小さくして色の鮮やかさを保つことができる。
また、画像処理部(10e、10f)は、奥に位置する被写体の画像領域において、色の鮮やかさを保ちつつ、第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値の差が大きい画素において視野闘争を抑制することができる。
【0155】
<第4の実施形態>
続いて、第4の実施形態における撮像装置50について説明する。図23は、第4の実施形態における撮像装置50の概略ブロック図である。撮像装置50は、撮像部51と、画像処理部10と、記憶部52と、表示部53とを備える。また、撮像部51は、左目画像撮像部3Lと、右目画像撮像部3Rとを備える。
【0156】
左目画像撮像部3Lは、第1の実施形態と同様に、被写体を撮像して左目画像を生成し、生成した画像の成分、成分及び成分の各成分の画素値を示す左目画像信号RGBを画像処理部10へ供給する。
また、右目画像撮像部3Rは、第1の実施形態と同様に、被被写体を撮像して右目画像を生成し、生成した画像の各成分の画素値を示す右目画像信号RGBを画像処理部10へ供給する。
【0157】
画像処理部10の処理は、第1の実施形態の画像処理部10の処理と同一である。画像処理部10は、左目画像撮像部3Lから供給された左目画像信号RGBと、右目画像撮像部3Rから供給された右目画像信号RGBとに基づいて、変換後の画像信号R’G’B’を生成する。そして、画像処理部10は、生成した変換後の画像信号R’G’B’を記憶部52に記憶させる。また、画像処理部10は、生成した変換後の画像信号R’G’B’を表示部53に供給する。
表示部7は、画像処理部10から供給された変換後の画像信号R’G’B’を表示する。
【0158】
なお、本実施形態における撮像装置50は、第1の実施形態の画像処理部10を備えることとしたが、これに限ったものではなく、第1の実施形態の画像処理部10に代わりに上述した各実施形態の画像処理部(10b〜10f)のいずれか一つを備えていてもよい。
【0159】
<第5の実施形態>
続いて、第5の実施形態における撮像装置50について説明する。図24は、第5の実施形態における印刷装置60の概略ブロック図である。印刷装置60は、通信部61と、記憶部62と、信号分解部63と、画像処理部10と、信号合成部64と、印刷部65とを備える。
【0160】
通信部61は、不図示のコンピュータから送信された左目画像CYMKと右目画像CYMKとを受信する。ここで、左目画像信号CYMKと右目画像信号CYMKは共にCMYK(Cyan−Magenta−Yellow−Key)形式である。通信部61は、受信した左目画像信号CYMKと右目画像信号CYMKとを記憶部62に記憶させる。
【0161】
信号分解部63は、記憶部62に記憶された左目画像信号CYMKと右目画像信号CYMKを読み出す。信号分解部63は、読み出した左目画像信号CYMKを、左目色成分信号CYMと左目明度信号Kとに分解する。また、信号分解部63は、読み出した右目画像信号CYMKを、右目色成分信号CYMと右目明度信号Kとに分解する。そして、信号分解部63は、分解により得られた左目色成分信号CYMと右目色成分信号CYMを画像処理部10へ供給する。
【0162】
また、信号分解部63は、分解により得られた左目明度信号Kを明度信号Kとして信号合成部64へ供給する。
なお、信号分解部63は、左目明度信号Kの代わりに、右目明度信号Kを明度信号Kとして信号合成部64へ供給してもよい。
【0163】
画像処理部10は、第1の実施形態の画像処理部10と同様の処理で、信号分解部63から供給された左目色成分信号CYMと右目色成分信号CYMとに基づいて、変換後の画像信号C’M’Y’を生成する。ここで、本実施形態の画像処理部10の処理は、第1の実施形態の画像処理部10の赤成分に対する処理をシアン成分に対する処理へ、緑成分に対する処理をマゼンタ成分に対する処理へ、青成分に対する処理を黄成分に対する処理へ変更したものになっている。
そして、画像処理部10は、生成した変換後の画像信号C’M’Y’を信号合成部64へ供給する。
【0164】
信号合成部64は、画像処理部10から供給された変換後の画像信号C’M’Y’と、信号分解部63から供給された明度信号Kとを合成し、合成信号C’M’Y’Kを生成する。そして、信号合成部64は、生成した合成信号C’M’Y’Kを印刷部65に供給する。
印刷部65は、信号合成部64から供給された合成信号C’M’Y’Kに従って、印刷する。
【0165】
なお、本実施形態における印刷装置60は、第1の実施形態の画像処理部10を備えることとしたが、これに限ったものではなく、第1の実施形態の画像処理部10に代わりに上述した各実施形態の画像処理部(10b〜10f)のいずれか一つを備えていてもよい。
【0166】
また、各実施形態の画素値変換部(11〜11f)は、第1の色成分の画素値と他の色成分のうち少なくとも一方の画素値との差及び他の色成分同士の画素値の差を、同じ割合で小さくしたがこれに限らず、類似した割合で小さくしてもよい。これにより、画素値変換部(11〜11f)は、色相のずれを軽減しつつ第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値との差を小さくできるので、色相のずれを軽減しつつ視野闘争を軽減することができる。
【0167】
更に、各実施形態の画素値変換部(11〜11f)は、第1の色成分の画素値と他の色成分のうち少なくとも一方の画素値との差及び他の色成分同士の画素値の差を、少なくとも小さくすればよく、類似していない割合同士で小さくしてもよい。
すなわち、各実施形態の画素値変換部(11〜11f)は、画像に含まれる画素毎に、第1の色成分の画素値と第1の色成分以外の他の色成分のうち少なくとも一方の画素値との差を小さくし、かつ他の色成分同士の画素値の差を小さくすればよい。
これにより、画素値変換部(11〜11f)は、色相のずれを軽減しつつ第1の色成分の画素値と他の色成分の画素値との差を小さくできるので、色相のずれを軽減しつつ視野闘争を軽減することができる。
【0168】
また、各実施形態において、第1の色成分を予め決められた色(一例として、赤)としたが、これに限らず、第1の色成分を色成分のうちで最も画素値が高い色成分としてもよい。すなわち、各実施形態の画素値変換部(11〜11f)は、画像に含まれる画素毎に、色成分のうちで最も画素値が高い第1の色成分の画素値と第1の色成分以外の他の色成分のうち少なくとも一方の画素値との差を小さくし、かつ他の色成分同士の画素値の差を小さくしてもよい。
【0169】
また、第1の色成分を色成分のうちで最も画素値が高い色成分とし、第2の色成分を色成分のうちで最も画素値が低い色成分としてもよい。その場合、各実施形態の画素値変換部(11〜11f)は、画像に含まれる画素毎に、色成分のうちで最も画素値が高い第1の色成分の画素値と色成分のうちで最も画素値が低い第2の画素値との差を小さくし、かつ第1の色成分以外の他の色成分同士の画素値の差を小さくしてもよい。
【0170】
また、各実施形態において、画素値変換部(11〜11f)は、赤成分と緑成分の画素値差を小さくし、緑成分と青成分の画素値差を小さくした結果、青成分と赤成分の画素値差が大きくなる場合がある。その場合の処理において、画素値変換部(11〜11f)は、上記の処理と等価な処理として、上記の処理の代わりに、以下の2つの処理のうちいずれかの処理を行ってもよい。
まず、第1の色成分を青成分とした場合に、上記の処理の代わりに、画素値変換部(11〜11f)は、第1の色成分である青成分の画素値と赤成分の画素値差を大きくし、かつ緑成分と青成分の画素値差を小さくしてもよい。
一方、第1の色成分を緑成分とした場合に、上記の処理の代わりに、画素値変換部(11〜11f)は、第1の色成分である緑成分の画素値と赤成分の画素値差を小さくし、青成分の画素値と赤成分の画素値差を大きくしてもよい。
【0171】
すなわち、各実施形態の画素値変換部(11〜11f)は、画像に含まれる画素毎に、第1の色成分の画素値と該第1の色成分以外の他の色成分のうち少なくとも一方の画素値との差を変更し、かつ前記他の色成分同士の画素値の差を変更してもよい。
【0172】
また、各実施形態の画像処理部(10〜10f)は、表示装置(1〜1f)、撮像装置50又は印刷装置60の一部として説明したが、これに限らず、画像処理装置という一つの装置として実現してもよい。
【0173】
また、各実施形態の画像処理部(10〜10f)の各処理を実行するための画像処理プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、画像処理部(10a〜10f)に係る上述した種々の処理を行ってもよい。
【0174】
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0175】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0176】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0177】
1、1b、1c、1d、1e、1f 表示装置
3 撮像部
3L 左目画像撮像部
3R 右目画像撮像部
7 表示部
10、10b、10c、10d、10e、10f 画像処理部
11、11b、11c、11d、11e、11f 画素値変換部
12、12c、12e 赤変換部
13、13c、13e 緑変換部
14、14c、14e 青変換部
15 信号合成部
20 色成分抽出部
21 赤成分抽出部
22 緑成分抽出部
23 青成分抽出部
31 差分算出部
31L 第1の差分算出部
31R 第2の差分算出部
32 係数算出部
32L 第1の係数算出部
32R 第2の係数算出部
34 第3の差分算出部
35 第3の係数算出部
36、36f 変換部
41 奥行き算出部
42、42f 第4の係数算出部
50 撮像装置
51 撮像部
52 記憶部
53 表示部
60 印刷装置
61 通信部
62 記憶部
63 信号分解部
64 信号合成部
65 印刷部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像に含まれる画素毎に、第1の色成分の画素値と該第1の色成分以外の他の色成分のうち少なくとも一方の画素値との差を変更し、かつ前記他の色成分同士の画素値の差を変更する画素値変換部を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画素値変換部は、画像に含まれる画素毎に、前記第1の色成分の画素値と該第1の色成分以外の他の色成分のうち少なくとも一方の画素値との差を小さくし、かつ前記他の色成分同士の画素値の差を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画素値変換部は、前記第1の色成分の画素値と前記他の色成分の画素値の差及び前記他の色成分同士の画素値の差を類似した割合で小さくすることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画素値変換部は、前記第1の色成分の画素値と前記他の色成分の画素値の差及び前記他の色成分同士の画素値の差を予め決められた割合で小さくすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1の色成分の画素値と前記他の色成分の画素値の差分を算出する差分算出部を備え、
前記画素値変換部は、各画素において、前記差分算出部が算出した差分に基づいて、前記第1の色成分の画素値と前記他の色成分の画素値の差及び前記他の色成分同士の画素値の差を小さくすることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画素値変換部は、各画素において、前記差分算出部が算出した差分が大きいほど、前記第1の色成分の画素値と前記他の色成分の画素値の差と、前記他の色成分同士の画素値の差を小さくすることを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画素値変換部は、各画素において、前記差分算出部が算出した差分が予め決められた閾値を超えた場合、前記第1の色成分の画素値と前記他の色成分の画素値の差と、前記他の色成分同士の画素値の差を小さくすることを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項8】
同一の被写体を異なる二つの位置から撮像することにより得られた二つの画像信号の視差値に基づいて、画素毎に奥行きを示す奥行き情報を算出する奥行き算出部を備え、
前記画素値変換部は、前記奥行き算出部が算出した奥行き情報に基づいて、前記第1の色成分の画素値と前記他の色成分の画素値の差及び前記他の色成分同士の画素値の差を小さくすることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記奥行き情報は、値が大きくなるほど前記被写体と撮像装置との距離が長いことを示す情報であり、
前記画素値変換部は、前記奥行き情報が小さくなるほど前記第1の色成分の画素値と前記他の色成分の画素値の差及び前記他の色成分同士の画素値の差を小さくすることを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記奥行き情報は、値が大きくなるほど前記被写体と撮像装置との距離が長いことを示す情報であり、
前記画素値変換部は、前記奥行き情報が予め決められた閾値より小さい場合、前記第1の色成分の画素値と前記他の色成分の画素値の差及び前記他の色成分同士の画素値の差を小さくすることを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項11】
請求項1に記載の画像処理装置を備える表示装置。
【請求項12】
画像処理装置が実行する画像処理方法であって、
画像に含まれる画素毎に、第1の色成分の画素値と該第1の色成分以外の他の色成分のうち少なくとも一方の画素値との差を変更し、かつ前記他の色成分同士の画素値の差を変更する手順を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項13】
コンピュータに、
画像に含まれる画素毎に、第1の色成分の画素値と該第1の色成分以外の他の色成分のうち少なくとも一方の画素値との差を変更し、かつ前記他の色成分同士の画素値の差を変更するステップを実行させるための画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図3】
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【図4】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−102384(P2013−102384A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245742(P2011−245742)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】