説明

画像処理装置およびこれを備えた包装装置

【課題】被撮像物を適切に認識することができる画像処理装置およびこれを備えた包装装置を提供する。
【解決手段】基準線作成部は、仮想円BCの複数の接線をそれぞれ引き、これらをそれぞれ基準線SL1とする。平行移動部は、基準線作成部により作成された複数の基準線SL1をそれぞれ仮想円BCの中心CPに向かう方向へ平行移動させる。基準線停止部は、平行移動部により平行移動された各基準線SL1が2値画像データに係る画像GT1と交差した場合に各基準線SL1の移動を停止させる。輪郭抽出部は、基準線停止部により停止された各基準線SL1内に含まれる画像GT1のドットの数およびこれらのドットの並びに基づいて複数の補完画像HGを形成する。これにより、2値画像データに係る画像GT1の欠損部分が複数の補完画像HGにより補完される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を認識するための画像処理装置および当該画像処理装置を備えた包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置によって物品を撮像し、当該撮像に基づいて生成された画像データを処理する際に、物品を認識する上で画像の輪郭を抽出することが必要となる。
【0003】
例えば、特許文献1には、特定したトレーの情報に基づいて、包装、値付けおよび風袋引等の処理を行う商品処理装置が開示されている。当該商品処理装置は、トレーの寸法を検出する寸法検出手段と、当該寸法検出手段により検出された検出値と比較されることでトレーを特定するための情報として用いる特定用トレーサイズ、および、商品を処理するための基準となる情報として用いる商品処理用トレーサイズをトレーごとに関連付けて記憶するトレー情報記憶部とを備える。
【0004】
また、特許文献2には、被測定物についての寸法測定を行う寸法測定装置およびこれを備えた商品処理装置が開示されている。当該寸法測定装置では、撮像装置の撮像領域上の少なくとも1つの方向に複数本の基準線が設けられ、当該複数本の基準線における被測定物のエッジが検出される。そして、検出されたエッジの位置に基づいて、被測定物における基準線を設けた少なくとも1つの方向について少なくとも2箇所の寸法が算出され、算出された寸法に基づいて被測定物の寸法が決定される。
【0005】
さらに、特許文献3には、被測定物についての寸法測定を行う寸法測定装置および商品処理装置が開示されている。当該寸法測定装置では、被測定物が撮像装置により撮像され、撮像情報から被測定物のエッジが閾値に基づいて検出されることにより、被測定物の寸法が測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−245906号公報
【特許文献2】特開平11−337314号公報
【特許文献3】特開平11−325836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、透明な物品、明るい環境あるいは暗い環境で撮像した物品、または近年の傾向において形状が一定でなく複雑な特殊形状を有する物品等の輪郭を検出する場合に、上記従来のようにエッジを抽出しても、これらの物品の断片的な輪郭しか得られず、物品の形状を正確に認識するのが困難なことがある。近年、物品の形状が一定でなく特殊になってきているため、形状認識の正確性は不可欠である。
【0008】
本発明の目的は、被撮像物を適切に認識することができる画像処理装置およびこれを備えた包装装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)一局面に従う画像処理装置は、撮像装置により撮像した被撮像物の2値画像データに対して、当該2値画像データのサイズよりも大きな仮想円における複数の接線をそれぞれ基準線とする基準線作成部と、基準線作成部により作成された当該複数の基準線をそれぞれ仮想円の中心側へ平行移動させる平行移動部と、平行移動部により移動された前記基準線が当該2値画像データの変化位置と交差した場合にそれぞれの基準線を停止させる基準線停止部と、基準線停止部により停止した複数の基準線を補完することにより被撮像物の輪郭を抽出する輪郭抽出部と、含むものである。
【0010】
画像処理装置においては、撮像装置により撮像した被撮像物の2値画像データに対して、当該2値画像データのサイズよりも大きな仮想円における複数の接線をそれぞれ基準線とし、作成された当該複数の基準線をそれぞれ仮想円の中心側へ平行移動させ、移動された基準線が当該2値画像データの変化位置と交差した場合にそれぞれの基準線を停止させ、停止した複数の基準線を補完することにより被撮像物の輪郭を抽出するものである。
【0011】
この場合、2値画像データにおいて被撮像物の一部に相当する部分が存在しない場合であっても、被撮像物の輪郭を複数の基準線で補完することができるので、確実に被撮像物の輪郭を抽出することができる。それにより、被撮像物を適切に認識することができる。
【0012】
(2)他の一局面に従う包装装置は、商品およびトレイの少なくとも一方を含む被撮像物を撮像する撮像装置と、撮像装置により撮像された2値画像データを処理する画像処理装置と、被撮像物をフィルムで包装するフィルムパック装置と、を含み、画像処理装置は、撮像装置により撮像した被撮像物の2値画像データに対して、当該2値画像データのサイズよりも大きな仮想円における複数の接線をそれぞれ基準線とする基準線作成部と、前記基準線作成部により作成された当該複数の基準線をそれぞれ前記仮想円の中心側へ平行移動させる平行移動部と、前記平行移動部により移動された基準線が当該2値画像データの変化位置と交差した場合にそれぞれの基準線を停止させる基準線停止部と、前記基準線停止部により停止した複数の基準線を補完することにより前記被撮像物の輪郭を抽出する輪郭抽出部と、を含み、フィルムパック装置は、画像処理装置による被撮像物の輪郭に基づいて、フィルムで包装する包装条件を制御する制御装置を含むものである。
【0013】
包装装置は、商品およびトレイの少なくとも一方を含む被撮像物を撮像する撮像装置と、撮像装置により撮像された2値画像データを処理する画像処理装置と、被撮像物をフィルムで包装するフィルムパック装置と、を含む。
【0014】
画像処理装置は、撮像装置により撮像した被撮像物の2値画像データに対して、当該2値画像データのサイズよりも大きな仮想円における複数の接線をそれぞれ基準線とし、当該複数の基準線をそれぞれ仮想円の中心側へ平行移動させ、移動された基準線が当該2値画像データの変化位置と交差した場合にそれぞれの基準線を停止させ、停止した複数の基準線を補完することにより被撮像物の輪郭を抽出する。それにより、被撮像物を適切に認識することができる。また、フィルムパック装置は、画像処理装置による被撮像物の輪郭に基づいて、フィルムで包装する包装条件を制御する。
【0015】
この場合、フィルムパック装置は、画像処理装置による商品、または商品およびトレイに対して輪郭が確実に抽出されているので、フィルムの張力を調整しつつ、安定して包装を行うことができる。
【0016】
(3)被撮像物は、特殊トレイからなってもよい。
【0017】
被撮像物は、特殊トレイからなる場合であっても、予め包装装置に登録することなく、特殊トレイの大きさに応じて、包装を行うことができる。したがって、包装装置に登録する手間および時間を削減することができる。
【0018】
(4)特殊トレイは、透明トレイからなってもよい。
【0019】
透明トレイを撮像装置により撮像した場合、2値画像データは欠損が生じやすい。この場合であっても、基準線を補完することで、透明トレイの輪郭を確実に抽出することができるので、透明トレイに対しても適切な張力でフィルムを包装することができる。
【0020】
(5)撮像装置は、1または複数の光源装置を有してもよい。この場合、1または複数の光源装置を有するので、2値画像データの欠損を極力防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る画像処理装置およびこれを備えた包装装置によれば、2値画像データにおいて被撮像物の一部に相当する部分が存在しない場合であっても、被撮像物の輪郭を複数の基準線で補完することができるので、確実に被撮像物の輪郭を抽出することができる。それにより、被撮像物を適切に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係る包装装置の構成を示す模式的斜視図である。
【図2】包装装置の各構成部の機能を説明するための概略的な図である。
【図3】包装方法を示す斜視図である。
【図4】本実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成の例を示すブロック図である。
【図5】本実施形態に係る画像処理装置の機能的構成の例を示すブロック図である。
【図6】トレイの種類を示す模式図である。
【図7】撮像装置により撮像したトレイの2値画像データに係る画像を示す模式図である。
【図8】画像処理装置による処理工程を順に示した説明図である。
【図9】画像処理装置による補完後の2値画像データに係る画像を示す模式図である。
【図10】トレイの変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態に係る画像処理装置およびこれを備えた包装装置について図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1は本実施形態に係る包装装置300の構成を示す模式的斜視図であり、図2は包装装置300の各構成部の機能を説明するための概略的な図である。最初に、包装装置300における計量および包装について図1および図2を参照しながら説明する。
【0025】
図1に示すように、本実施形態に係る包装装置300は、被撮像物の計量を行う計量コンベア100、被撮像物の包装を行う包装機構200(図2)、および被撮像物の2値画像データを処理する画像処理装置400を主として備える。包装機構200は、画像処理装置400による処理結果に基づいて包装条件を制御する制御装置250を有する。以下、被撮像物と記載した場合には、例えば食品等の内容物M(図2)および内容物Mを収納するトレイT(図2)を示している。
【0026】
図2に示すように、計量コンベア100は、内容物Mの重量を計量する重量検出器(ロードセル)101、重量検出器101の上方に支持された一対のプーリ102、および一対のプーリ102間に掛け渡された複数の駆動ベルト103を主として備える。
【0027】
また、包装機構200は、リフタ201、移送機構202、フィルム折込み機構203、および排出コンベア209を主として備える。フィルム折込み機構203は、一対の左右折込板204、後折込板205、丸棒状の前折込部材206、およびプッシャー207により構成される。また、リフタ201は昇降手段208およびポスト210により構成される。
【0028】
駆動ベルト103の近傍には、トレイTの端部を押すことにより包装機構200側に当該トレイTを送り込む突起部材104が設けられている。このような構成において、包装装置300に供給された被撮像物は、計量コンベア100により計量された後、搬送面105上を滑りながらポスト210上に送り込まれる。
【0029】
ポスト210は、包装ステーションSの直下に配設されるとともに、昇降手段208により昇降自在とされる。計量コンベア100から被撮像物が供給されると、昇降手段208によりポスト210が上昇されることによって、被撮像物が包装ステーションSまで持ち上げられる。
【0030】
一方、包装処理に先立って、包装ステーションSには、所定の長さに切断された張設状態のフィルムFが移送機構202により供給されている。このフィルムFは、被撮像物が押し上げられると、当該被撮像物の上面に密着する。
【0031】
続いて、包装機構200による包装方法について説明する。図3は包装方法を示す斜視図である。
【0032】
図3に示すように、フィルムFが被撮像物の上面に密着された状態で、フィルム折込み機構203(図2)は、一対の左右折込板204と、後折込板205と、丸棒状の前折込部材206と、プッシャー207(図2)とによって、フィルムFの前後左右の各縁部を、トレイTの底面側に折り込んで当該トレイTを包装する。その後、フィルム折込み機構203は、包装済みのトレイTを排出コンベア209(図2)上に排出する。なお、図3では内容物Mは図示していない。
【0033】
図1に戻り、本体フレーム301の内部には、幅F2(図3)が互いに異なる複数本のフィルムロールFrが収納されており、いずれかのフィルムロールFrを選択して包装ステーションSにフィルムFを巻き出せるようになっている。
【0034】
包装ステーションSの上方には、ラベル貼付機302が設けられている。ラベル貼付機302は、ラベルプリンタ303により発行されたラベルを、包装ステーションSにおいてフィルムFの表面に貼り付ける。
【0035】
ラベルプリンタ303およびラベル貼付機302は、これらの上方に設けられた支持フレーム304によって移動自在に支持されている。また、貼付ヘッド302aが鉛直軸回りに旋回自在に支持されている。このような構成により、ラベルLの貼り付け位置を選択できる。
【0036】
また、ラベルプリンタ303の近傍にタッチスクリーンからなる表示部401および入力部402が設けられている。表示部401には、ユーザに対してメッセージまたは指示を与えるための画面、ユーザが所望する処理の種類および処理条件を入力するための画面、および処理結果を示す画面等が表示される。
【0037】
ユーザは、表示部401または入力部402を操作することによって、後述する画像処理装置400に対して、処理の実行開始または中断等の指令を与え、その他種々の事項を指定することができる。なお、表示部401および入力部402は、後述する画像処理装置400に含まれる。
【0038】
図2において、計量コンベア100の上方には、赤外線を撮像領域に出射する照明装置310および撮像装置(例えば、C−MOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ)311が排出コンベア209の下部に設けられている。また、撮像装置311は、撮像領域に対して光を照射する複数のLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)312を有する。撮像装置311の下方には、撮像装置311に向かう赤外線以外の光を遮断するフィルタ311aが設けられている。
【0039】
撮像装置311は、撮像領域からの赤外線を検出することによりトレイTを撮像し、当該撮像情報を後述する基準線作成部410に与える。なお、トレイTが透明である場合に、トレイTの外部の背景色を青色にすると当該トレイTの輪郭を撮像し易くなる。
【0040】
次に、撮像装置311により得られた撮像情報を含む2値画像データを処理することにより、被撮像物を適切に認識する画像処理装置について説明する。図4は本実施形態に係る画像処理装置400のハードウェア構成の例を示すブロック図である。
【0041】
図4に示すように、CPU(中央演算処理装置)403、演算処理の作業領域であるRAM(Random Access Memory)404、プログラムを記憶するROM(Read-Only
Memory)405、ハードディスク等からなる記憶部406、LANインタフェース407、上述した表示部401および入力部402等によって構成される。CPU403は、RAM404、ROM405、記憶部406、LANインタフェース407、表示部401および入力部402とそれぞれ接続されており、CPU403によりこれらの各構成部の個々が制御される。なお、LANインタフェース407は、他の各種装置と通信を行うためのNIC(Network Interface Card)である。
【0042】
図5は本実施形態に係る画像処理装置400の機能的構成の例を示すブロック図である。
【0043】
図5に示すように、画像処理装置400は、機能的構成部としての、基準線作成部410、平行移動部411、基準線停止部412および輪郭抽出部413等によって構成される。
【0044】
CPU403がRAM404またはROM405に格納されている画像処理プログラムを実行することによって、上記の基準線作成部410、平行移動部411、基準線停止部412および輪郭抽出部413が機能的に実現されている。
【0045】
このような画像処理プログラムは、当該画像処理プログラムが記録されたCD−ROM、DVD−ROM等の記録媒体BT1または半導体メモリ等の記録媒体BT2等の可搬型の記録媒体BTからインストールすることが可能である。また、ネットワークを介してサーバから画像処理プログラムをダウンロードすることも可能である。なお、基準線作成部410、平行移動部411、基準線停止部412および輪郭抽出部413の全体または一部が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等としてLSI化され、ファームウェアまたはハードウェアによって実現されることもある。
【0046】
図6はトレイTの種類を示す模式図である。トレイTには、図6(a)に示すような透明色で矩形形状のトレイT1、および図6(b)に示すような特殊形状である扇形状のトレイT2等が含まれる。
【0047】
次に、被撮像物を認識するための処理について各構成部の機能とともに説明する。なお、以下の説明では、被撮像物の一例として、図6(a)のトレイT1を用いる。
【0048】
図7は撮像装置311により撮像したトレイT1の2値画像データGDT1に係る画像GT1を示す模式図であり、図8は画像処理装置400による処理工程を順に示した説明図であり、図9は画像処理装置400による補完後の2値画像データGDT1aに係る画像を示す模式図である。
【0049】
まず、図5において、撮像装置311により被撮像物であるトレイT1が撮像されることによって、当該被撮像物の2値画像データGDT1が生成される。上述したように、トレイT1は透明であるので、図7に示すように、撮像装置311により撮像したトレイT1の2値画像データGDT1に係る画像GT1においては、被撮像物であるトレイT1の一部に相当する部分が存在しない、すなわち、一部欠損が生じている。これは、トレイT1が透明であるため、撮像装置311による撮像が適切に行われないからである。
【0050】
次に、基準線作成部410(図5)は、図8(a)に示すように、生成された上記の2値画像データGDT1に係る画像GT1のサイズよりも大きな仮想円BCを形成する。この仮想円BCの中心をCPとする。
【0051】
そして、基準線作成部410は、仮想円BCの複数の接線をそれぞれ引き、これらをそれぞれ基準線SL1とする。この場合、仮想円BCの中心CPと基準線SL1の接点とを結ぶ線分L1と、当該中心CPと次に引くべき基準線SL1の接点とを結ぶ線分L2とのなす角度αが例えば5°となるように、当該次の基準線SL1が引かれる。図8(a)では、簡略化のために一部の基準線SL1のみ図示している。なお、角度αは、上記のように5°の設定でもよいし、その他に、0.1°、1°または10°等の設定でもよい。
【0052】
平行移動部411(図5)は、基準線作成部410により作成された複数の基準線SL1をそれぞれ仮想円BCの中心CPに向かう方向へ平行移動させる。
【0053】
基準線停止部412(図5)は、図8(b)に示すように、平行移動部411により平行移動された各基準線SL1が2値画像データGDT1に係る画像GT1と交差した場合に各基準線SL1の移動を停止させる。なお、図8(b)では、一の基準線SL1についての平行移動についてのみ図示しているが、他の複数の基準線SL1についても同様に中心CPに向かって平行移動される。
【0054】
輪郭抽出部413(図5)は、基準線停止部412により停止された各基準線SL1内に含まれる画像GT1のドットの数およびこれらのドットの並びに基づいて、図8(c)に示すように、複数の補完画像HGを形成する。これにより、2値画像データGDT1に係る画像GT1の欠損部分が複数の補完画像HGにより補完される。それにより、被撮像物であるトレイT1の輪郭が抽出される、すなわち、図9に示すように、トレイT1について補完後の2値画像データGDT1aが生成される。なお、図8(c)では、複数の補完画像HGを視覚的に強調するためにそれぞれ太く図示している。
【0055】
そして、制御装置250は、輪郭抽出部413により生成された2値画像データGDT1aに基づいて包装条件を制御する。そして、包装機構200は、制御装置250により指示された包装条件に基づいて包装処理を適切に行う。なお、上記の包装条件はフィルムFの大きさおよび張力等を含む。
【0056】
<本実施形態における効果>
本実施形態においては、2値画像データGDT1に係る画像GT1において、被撮像物であるトレイT1の一部に相当する部分が存在しない場合でも、補完画像HGを用いた画像処理装置400による補完が行われるので、被撮像物の輪郭を適切に抽出することができる。それにより、被撮像物を適切に認識することができる。
【0057】
また、被撮像物が特殊形状を有する特殊トレイからなる場合であっても、画像処理装置400により補完を行うことによって、包装装置300に被撮像物の情報を予め登録することなく、当該特殊トレイの大きさに応じて包装を行うことができる。したがって、包装装置300に上記情報を登録する手間および時間を削減することができる。
【0058】
また、透明色のトレイT1を撮像装置311により撮像した場合、2値画像データGDT1は上述したように一部欠損が生じやすい。このような場合であっても、画像処理装置400により補完することで、トレイT1の輪郭を確実に抽出することができる。それにより、被撮像物であるトレイT1を適切に認識することができる。
【0059】
また、画像処理装置400により被撮像物が適切に認識されるので、制御装置250は画像処理装置400による処理結果に基づいて包装条件を適切に制御することができる。これにより、フィルムFの張力を調整しつつ、包装処理を安定して行うことができる。
【0060】
<請求項の各構成要素と上記実施形態の各部との対応関係>
上記実施形態においては、撮像装置311が撮像装置に相当し、2値画像データGDT1が2値画像データに相当し、仮想円BCが仮想円に相当し、基準線SL1が基準線に相当し、基準線作成部410が基準線作成部に相当し、平行移動部411が平行移動部に相当し、基準線停止部412が基準線停止部に相当し、輪郭抽出部413が輪郭抽出部に相当し、画像処理装置400が画像処理装置に相当し、包装機構200がフィルムパック装置に相当し、制御装置250が制御装置に相当し、トレイT1が透明トレイに相当し、トレイT2が特殊トレイに相当し、LED312が光源装置に相当する。
【0061】
<変形例>
図10はトレイT1の変形例であるトレイT1aを示す模式図である。図10に示すように、トレイT1の輪郭近傍に複数のマークMを付加しておくと、トレイT1の輪郭をより補完し易くなる。
【0062】
また、上記実施形態では、画像処理装置400において、平行移動部411と基準線停止部412とをそれぞれ別個独立で構成することとしたが、これに限定されるものではなく、平行移動部411が基準線停止部412の機能を有してもよい。すなわち、平行移動部411が、平行移動された基準線SL1が2値画像データGDT1に係る画像GT1と交差した場合に当該基準線SL1の移動を停止させてもよい。
【0063】
また、本実施形態に係る画像処理装置400を包装装置300に用いるだけでなく、画像認識を行ってその結果を用いる、例えばトレイ選別装置等の他の装置にも画像処理装置400を適用できる。
【0064】
また、上記実施形態では、撮像装置311として、C−MOSカメラを用いたが、これに限定されるものではなく、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラまたは3次元カメラ等の他の撮像装置を用いてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、表示部401および入力部402を画像処理装置400の構成部としたが、これに限定されるものではなく、これらを包装装置300に設けることとしてもよい。
【0066】
さらに、本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これらの作用および効果は一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0067】
100 計量コンベア
200 包装機構
250 制御装置
300 包装装置
311 撮像装置
312 LED
400 画像処理装置
410 基準線作成部
411 平行移動部
412 基準線停止部
413 輪郭抽出部
BC 仮想円
GDT1 2値画像データ
HG 補完画像
SL1 基準線
T1、T2 トレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置により撮像した被撮像物の2値画像データに対して、当該2値画像データのサイズよりも大きな仮想円における複数の接線をそれぞれ基準線とする基準線作成部と、
前記基準線作成部により作成された当該複数の基準線をそれぞれ前記仮想円の中心側へ平行移動させる平行移動部と、
前記平行移動部により移動された前記基準線が、当該2値画像データの変化位置と交差した場合にそれぞれの基準線を停止させる基準線停止部と、
前記基準線停止部により停止した複数の基準線を補完することにより前記被撮像物の輪郭を抽出する輪郭抽出部と、を含む、画像処理装置。
【請求項2】
商品およびトレイの少なくとも一方を含む被撮像物を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置により撮像された2値画像データを処理する画像処理装置と、
前記被撮像物をフィルムで包装するフィルムパック装置と、を含み、
前記画像処理装置は、
撮像装置により撮像した被撮像物の2値画像データに対して、当該2値画像データのサイズよりも大きな仮想円における複数の接線をそれぞれ基準線とする基準線作成部と、
前記基準線作成部により作成された当該複数の基準線をそれぞれ前記仮想円の中心側へ平行移動させる平行移動部と、
前記平行移動部により移動された前記基準線が当該2値画像データの変化位置と交差した場合にそれぞれの基準線を停止させる基準線停止部と、
前記基準線停止部により停止した複数の基準線を補完することにより前記被撮像物の輪郭を抽出する輪郭抽出部と、を含み、
前記フィルムパック装置は、前記画像処理装置による被撮像物の輪郭に基づいて、フィルムで包装する包装条件を制御する制御装置を含む、包装装置。
【請求項3】
前記被撮像物は、特殊トレイからなる、請求項2記載の包装装置。
【請求項4】
前記特殊トレイは、透明トレイからなる、請求項3記載の包装装置。
【請求項5】
前記撮像装置は、1または複数の光源装置を有する、請求項2から4のいずれか1項に記載の包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−107870(P2011−107870A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260769(P2009−260769)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】