説明

画像処理装置および画像処理方法

【課題】タッチパネル等によって画像の操作を受け付ける装置において、指先の下に隠れてしまう画像の視認性を向上させる。
【解決手段】画像処理装置10は、表示装置が有する所定の表示領域に第1の画像を表示する第1表示部と、表示領域内において指定された位置を検出する位置検出部と、第1の画像から、位置検出部によって検出された位置を含む所定範囲内の第2の画像を複製し、この第2の画像を、第1の画像上の、前記検出された位置から離れた所定の位置に表示する第2表示部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図画像などの画像を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やPDA(Personal Data Assistant)などの装置において、画面上に表示された地図画像などの画像を操作するために、ユーザインタフェースとしてタッチパネルを採用する例が増加している。
【0003】
特許文献1には、タッチパネルを採用する装置において、画面に表示された地図画像上の任意の位置にユーザが指を近づけた場合に、その指先付近に小さく表示されていた建物の名前を拡大表示する技術が開示されている(特許文献1の図19参照)。更に、この特許文献1には、拡大表示した建物の名前が指先の下に隠れてしまう場合に、その名前の表示位置を移動させる技術が開示されている。しかし、この特許文献1に記載の技術では、指先の下に建物の名前が表示されている場合に限って、その表示位置を移動させることができるに過ぎず、建物の名前以外、例えば、建物を表す画像が指先の下に隠れていたとしても、その画像の表示位置を移動させることはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−250948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した問題を考慮し、本発明が解決しようとする課題は、タッチパネル等によって画像の操作を受け付ける装置において、指先の下に隠れてしまう画像の視認性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]表示装置を備えた画像処理装置であって、前記表示装置が有する所定の表示領域に第1の画像を表示する第1表示部と、前記表示領域内において指定された位置を検出する位置検出部と、前記第1の画像から、前記位置検出部によって検出された位置を含む所定範囲内の第2の画像を複製し、該第2の画像を、前記第1の画像上の、前記検出された位置から離れた所定の位置に表示する第2表示部とを備える画像処理装置。
【0008】
このような構成の画像処理装置であれば、表示装置が有する表示領域内の位置を指先等で指定した場合において、その指先の下に隠れる画像(第2の画像)を、もともと表示されている画像(第1の画像)から複製して他の位置に表示する。そのため、表示されている画像の種別に関わらず、指先の下に隠れている画像を他の位置に表示することができる。この結果、指先の下に隠れた画像の視認性を向上させることが可能になる。
【0009】
[適用例2]適用例1に記載の画像処理装置であって、前記第2表示部は、前記位置検出部によって、前記位置の指定が所定時間以上なされたことを検出した場合に、前記第2の画像の表示を行う画像処理装置。このような構成であれば、位置を指定する操作の度に、第2の画像を表示する必要がない。この結果、画像処理装置の処理負担を軽減することが可能になる。
【0010】
[適用例3]適用例2に記載の画像処理装置であって、前記第1表示部は、前記位置検出部によって、前記指定された位置が前記表示領域内で連続的に移動されたことを検出した場合に、該指定された位置の移動に追従させて前記第1の画像を前記表示装置にスクロールさせて表示し、前記第2表示部は、前記第1の画像がスクロールされているか否かに関わらず、前記所定時間以上の位置の指定の検出を行う画像処理装置。このような構成であれば、第2の画像を表示するか否かを判断する所定時間のカウント中にも、第1の画像をスクロールさせることができる。そのため、第1の画像をスクロール表示させる操作と、第2の画像の表示を行うための操作とを一体の動作で行うことが可能となり、ユーザの利便性を向上させることが可能になる。
【0011】
[適用例4]適用例3に記載の画像処理装置であって、前記第2表示部は、前記第2の画像を表示した場合に、前記第1表示部による前記第1の画像のスクロールに追従させて前記第2の画像を移動させる画像処理装置。このような構成であれば、第2の画像を表示させたまま、第1の画像と第2の画像とを同時にスクロールさせることができるので、指先の下に隠れる画像と、画面外に表示される画像との対比を容易に行うことが可能になる。
【0012】
[適用例5]適用例4に記載の画像処理装置であって、前記第2表示部は、前記第2の画像の移動によって、該第2の画像の表示位置が、前記表示領域外になる場合に、前記第2の画像の表示位置を前記表示領域内の位置に変更する画像処理装置。このような構成であれば、第2の画像が、画面外に消失してしまうことを抑制することができる。
【0013】
[適用例6]適用例3ないし適用例5のいずれかに記載の画像処理装置であって、前記第1表示部は、スクロール表示可能な前記第1の画像と共に、スクロール表示不能なユーザインタフェースを表すインタフェース画像を表示可能であり、前記第2表示部は、前記所定範囲内に前記インタフェース画像が含まれる場合であっても、該インタフェース画像を含む第2の画像を、前記所定の位置に表示する画像処理装置。このような構成であれば、表示されている画像がスクロール表示可能な画像であるかスクロール表示不能な画像であるかを問わず、その画像上に指先が触れれば、その画像を含む第2の画像を、他の位置に表示することが可能になる。この結果、例えば、表示領域内に固定的に表示されているボタン等に指先が触れた場合に、そのボタン等を表す画像についても指先の位置から離れた位置に表示される。そのため、そのボタンが確実に操作されているかを容易に確認することが可能になる。
【0014】
本発明は、上述した画像処理装置としての構成のほか、画像処理方法や、コンピュータプログラムとしても構成することができる。コンピュータプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に記録されていてもよい。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスクや光ディスク、光磁気ディスク、メモリカード、フラッシュメモリ、ハードディスク等の種々の媒体を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例としての画像処理装置10の正面図である。
【図2】画像処理装置10の内部構成を示すブロック図である。
【図3】部分画像表示処理ルーチンのフローチャートである。
【図4】指先がタッチパネル12に触れた際の表示状態を示す図である。
【図5】タッチパネル12上で指先を滑らせた後の表示状態を示す図である。
【図6】指先の右上に部分画像が表示された例を示す図である。
【図7】部分画像が表示された状態で、タッチパネル12上で指先を滑らせた状態を示す図である。
【図8】メニューボタンが部分画像として表示された例を示す図である。
【図9】部分画像の表示位置が左側に反転された表示例を示す図である。
【図10】部分画像の表示位置が下側に反転された表示例を示す図である。
【図11】地図画像と部分画像とが回転表示された例を示す図である。
【図12】右手の2本の指でタッチパネル12を触れた場合の部分画像の表示例を示す図である。
【図13】左手の2本の指でタッチパネル12を触れた場合の部分画像の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づき次の順序で説明する。
A.携帯電話の構成:
B.部分画像表示処理:
C.変形例:
【0017】
A.携帯電話の構成:
図1は、本発明の実施例としての画像処理装置10の正面図である。図1に示すように、本実施例では、画像処理装置10として携帯電話を適用している。本実施例の画像処理装置10は、表示装置として、液晶ディスプレイ14を備えている。液晶ディスプレイ14内の表示領域には、例えば、地図画像や写真画像などの画像が表示される。図1には、液晶ディスプレイ14に、地図画像が表示されている例を示した。液晶ディスプレイ14には、光透過型のタッチパネル12が重ね合わせて設けられている。ユーザは、このタッチパネル12に指先やスタイラスペン等の各種ペンを接触させることで、液晶ディスプレイ14に表示された画像に対して種々の操作を行うことができる。タッチパネル12としては、例えば、静電容量方式や抵抗膜方式など、種々の方式のものを採用することができる。
【0018】
図2は、画像処理装置10の内部構成を示すブロック図である。図2に示すように、画像処理装置10は、CPU16とRAM18とROM20とを備えている。CPU16には、タッチパネル12が接続されており、更に、現在位置を測位するGPS受信機22や、アンテナ24を介して音声通信やデータ通信などの通信制御を行う無線通信回路26、電話番号等の入力を行う操作ボタン28、画像処理装置10の姿勢を検出する姿勢検出回路30、液晶ディスプレイ14に表示する画像データが一時的に記憶される画像メモリ32、画像メモリ32から画像データを読み込んで液晶ディスプレイ14に表示を行う表示制御回路34、が接続されている。また、図2には示していないが、画像処理装置10は、携帯電話として動作するためのマイクやスピーカ、音声の着信や発信を制御する回路などを備えている。
【0019】
CPU16は、ROM20に記憶された制御プログラムをRAM18にロードして実行することで、画像処理装置10の全般的な動作の制御を行うほか、地図画像表示部36(第1表示部)や、部分画像表示部38(第2表示部)として機能する。
【0020】
地図画像表示部36は、液晶ディスプレイ14に地図画像を表示する処理を実現する。具体的には、地図画像表示部36は、GPS受信機22から現在位置を示す経緯度を取得すると、無線通信回路26を用いて、外部のサーバ(図示せず)にアクセスし、その経緯度を中心とした所定範囲(例えば、液晶ディスプレイ14の表示領域の9つ分の範囲)の地図画像データを受信する。この地図画像データは、ベクター形式のデータである。地図画像表示部36は、サーバから地図画像データを取得すると、取得した地図画像データをRAM18に記憶する。地図画像表示部36は、RAM18に記憶された地図画像データのうち、液晶ディスプレイ14の表示領域分の地図画像データをラスタ形式に変換して画像メモリ32に転送する。表示制御回路34は、画像メモリ32からラスタ形式の地図画像データを読み込み、これを電気信号に変換して液晶ディスプレイ14を駆動する。地図画像表示部36は、これらの処理を行うことで、地図画像を液晶ディスプレイ14に表示することができる。
【0021】
部分画像表示部38は、ユーザがタッチパネル12を操作した場合に、ユーザの指先の下に隠れる画像を複製し、これを指先の位置から離れた位置に表示する処理を実現する。この処理の具体的な説明は後述する。
【0022】
画像処理装置10は、図2に示したように、姿勢検出回路30を備えている。この姿勢検出回路30は、加速度センサを備えており、この加速度センサを用いることで、重力方向に対する画像処理装置10の設置角度(持つ方向)を検出する。CPU16は、この姿勢検出回路30を用いて、図1に示した状態から画像処理装置10が所定角度以上(例えば、70°以上)回転させられたことを検出すると、表示制御回路34を制御して、地図画像の表示方向を90°回転させて液晶ディスプレイ14に表示させる。つまり、画像処理装置10は、液晶ディスプレイ14の表示方向を、ユーザが画像処理装置10を持つ方向に応じて、水平方向と垂直方向に切り換えることができる。
【0023】
B.部分画像表示処理:
図3は、CPU16の地図画像表示部36および部分画像表示部38によって実行される部分画像表示処理ルーチンのフローチャートである。この部分画像表示処理ルーチンでは、ユーザがタッチパネル12を操作した場合に、ユーザの指先の下に隠れる画像を、他の位置に移動させて表示する処理が行われる。
【0024】
この画像表示処理ルーチンが実行されると、CPU16は、まず、タッチパネル12にユーザの指先が接触したかを検出する(ステップS100)。ユーザの指先がタッチパネル12に接触したことを検出すると、CPU16は、タイマのカウントを開始する(ステップS102)。
【0025】
タイマのカウント開始後、CPU16は、タッチパネル12から、ユーザの指先が接触した座標を取得する(ステップS104)。座標を取得すると、CPU16は、地図画像表示部36を用いて、取得した座標に応じて地図画像をスクロール表示させる(ステップS106)。つまり、この処理によれば、ユーザがタッチパネル12上で指先を滑らせた場合に、その指先の動きに追従して、地図画像をスクロールさせることができる。もちろん、ステップS104で取得された座標が、以前の座標から変動しない場合には、地図画像はスクロールされず、その表示位置は変わらない。図4および図5には、指先の動きに追従して地図画像がスクロールされた例を示している。図4が、指先がタッチパネル12に触れた際の表示状態を示し、図5が、タッチパネル12上で指先を滑らせた後の表示状態を示している。なお、ステップS106の処理では、後述する部分画像が地図画像上に表示されている場合には、この部分画像についても、ユーザの指先の動きにあわせてスクロールさせる。
【0026】
続いて、CPU16は、ステップS102でカウントを開始したタイマの値が、0.5秒以上になったかを判断する(ステップS108)。タイマ値が0.5秒以上であれば、CPU16は、ステップS104で取得した座標を中心に含む部分画像(例えば、1cm×1cmに相当する画像)を画像メモリ32からコピーする(ステップS110)。そして、コピーされた部分画像を、ステップS104で取得した座標から所定の距離(例えば、1cm相当の距離)だけ離れた右上の位置に、地図画像に重畳させて表示する(ステップS112)。図6には、こうして、指先の右上に部分画像が表示された例を示している。本実施例では、図6のように部分画像が表示された状態で、タッチパネル12上で指先を滑らせると、上述したステップS106の処理によって、地図画像と部分画像とが指先の動きに追従して同時にスクロールする。図7には、図6に示した表示状態から地図画像と部分画像とが同時にスクロールした例を示した。このように、地図画像と部分画像とが指先の動きに追従して同時にスクロールすると、部分画像内の画像は、スクロールの前後で変動しない。
【0027】
上述したステップS110およびステップS112の処理では、画面上に固定的に表示された(つまり、スクロール表示がされない)メニューボタン等のユーザインタフェース上で指を0.5秒以上接触させた場合においても、そのユーザインタフェースが部分画像内に表示される。図8には、メニューボタンが部分画像内に表示された例を示した。但し、図8のように部分画像内にメニューボタンが表示された状態で、メニューボタンの上から指先を他の位置に滑らせると、当然ながら部分画像内からはメニューボタンが消去されることになる。加えて、本実施例では、メニューボタンがタッチパネル12を介してユーザによって押された場合には、そのボタンが凹む様子がアニメーションによって表示される。本実施例では、こうした本来のメニューボタンのアニメーション表示と同様に、部分画像内のメニューボタンについてもアニメーション表示される。このように、部分画像内のメニューボタンについても本来のメニューボタンと同様にアニメーション表示させれば、本当にボタンが押されているかを、部分画像内のボタンの表示状態によって容易に確認することが可能になる。このような効果は、ユーザインタフェースを表す画像が指先に隠れてしまうほど小さな場合に特に有効である。但し、本実施例では、他の位置からメニューボタンの上まで指先を滑らせて移動させた場合には、部分画像内にメニューボタンは表示するが、メニューボタンが操作されたとは扱わない。そのため、このような場合には、本来のメニューボタンおよび部分画像内のメニューボタン共に、アニメーション表示は行われないことになる。
【0028】
ステップS112において部分画像を地図画像上に重畳表示すると、CPU16は、表示された部分画像が、液晶ディスプレイ14の表示領域の右端からはみ出るかを判断する(ステップS114)。右端からはみ出た場合には、部分画像の表示位置を水平方向において反転させ、左側に移動させる(ステップS116)。右端からはみ出ていなければ、ステップS116の処理はスキップする。図9には、部分画像の表示位置が左側に反転された例を示している。続いて、CPU16は、表示された部分画像が、液晶ディスプレイ14の表示領域の上端からはみ出るかを判断する(ステップS118)。上端からはみ出た場合には、部分画像の表示位置を垂直方向に反転させ、下側に移動させる(ステップS120)。上側からはみ出ていなければ、ステップS120の処理はスキップする。図10には、部分画像の表示位置が下側に反転された例を示している。上述したステップS114〜S120によれば、部分画像を、常に、液晶ディスプレイ14の表示領域内に表示することができる。なお、図10には、部分画像が左側に反転表示された後に、更に、下側に反転表示された例を示している。そのため指先の左下に部分画像が表示されている。これに対して、部分画像が右側に表示されている時に、部分画像が上端からはみ出れば、部分画像の表示位置は指先の右下となる。
【0029】
ところで、上記ステップS100において、タッチパネル12にユーザの指先が接触したことが検出されない場合には、CPU16は、部分画像が既に表示されているかを判断する(ステップS122)。部分画像が既に表示されていれば、CPU16は、部分画像を消去し(ステップS124)、タイマをリセットする(ステップS126)。部分画像が表示されていなければ、これらの処理(ステップS124,S126)はスキップする。上述したステップS122〜S126の処理によれば、指先がタッチパネル12から離れた場合に、既に表示されている部分画像を画面上から消去することができる。
【0030】
なお、上述した部分画像表示処理ルーチンの実行中に、姿勢検出回路30によって、画像処理装置10の姿勢が変化させられたことを検出した場合には、CPU16は、表示制御回路34を制御して、画面全体の表示方向を切り換える。そのため、ユーザが、画像処理装置10を持つ方向を、垂直方向から水平方向に切り換えれば、図11に示すように、地図画像や部分画像、メニューボタン等の表示方向がすべて90°だけ変化することになる。
【0031】
以上で説明した本実施例の画像処理装置10であれば、タッチパネル12の操作によって、ユーザの指先の下に画像が隠れてしまった場合であっても、その指先の下の画像を他の位置に部分画像として表示させることが可能になる。そのため、指先の下に表示されている画像の視認性を向上させることが可能になる。
【0032】
また、本実施例では、地図画像等の画像だけではなく、メニューボタンなど、指先の下に隠れている他のオブジェクトについても他の位置に部分画像として表示する。そのため、地図画像などの画像に限らず、ユーザインタフェースも含めて、指先の下に表示されているすべての画像の視認性を向上させることができる。更に、本実施例では、メニューボタンが押されてアニメーション表示された場合に、部分画像内に表示されたメニューボタンもアニメーション表示される。そのため、ユーザインタフェースが確実に操作されたかを容易に確認することが可能になる。
【0033】
加えて、本実施例では、部分画像の表示中であっても、指先がタッチパネル12上を移動すると、その移動に追従して、地図画像と部分画像とがスクロール表示される。つまり、部分画像を表示させたまま地図画像と部分画像との両者をスクロールさせることができる。この結果、指先の下に隠れた画像と、画面外に表示される画像との対比を容易に行うことが可能になる。また、このスクロール表示の結果、部分画像が画面の端部からはみ出る状況になった場合でも、本実施例では、その端部の反対側、つまり、表示領域内に、部分画像の表示位置を変更する。そのため、部分画像自体が、画面の端からはみ出て見えなくなってしまうことがない。更に、本実施例では、部分画像の表示が開始される0.5秒の時間のカウント中にも、地図画像のスクロールを行うことができる。そのため、スクロール表示を行うための操作と、部分画像を表示させるための操作とを一体の動作で行うことが可能となるため、ユーザの利便性を向上させることが可能になる。
【0034】
また、上述したように、本実施例では、ユーザがタッチパネル12に指を接触させてから、所定時間後に、指先の下の画像を部分画像として他の位置に表示する。そのため、タッチパネル12が操作される度に、部分画像を表示する必要がない。この結果、CPU16の処理負担が軽減するので、画像処理装置10の消費電力を節減することが可能になる。
【0035】
C.変形例:
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明はこのような実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。例えば、ソフトウェアによって実現した機能は、ハードウェアによって実現するものとしてもよい。そのほか、以下のような変形が可能である。
【0036】
上記実施例は、タッチパネル12から取得される座標が1点であることを前提として説明した。つまり、上記実施例では、指1本でタッチパネル12が操作されることを想定している。しかし、タッチパネル12は、複数の座標、例えば、2点の座標を取得可能としてもよい。このとき、例えば、2点の座標のうち、先に取得された座標に基づいて、部分画像を表示することとしてもよい。また、取得された2点の座標が右上がりの関係となれば、右手によって操作していると判断し、図12に示すように、左上に部分画像を表示させてもよい。また、逆に、取得された2点の座標が右下がりの関係となれば、左手によって操作していると判断し、図13に示すように、右上に部分画像を表示させてもよい。このように、操作している手が左手か右手かに応じて部分画像の表示位置を切り換えることとすれば、2本の指の中に部分画像が隠れてしまうことを抑制することが可能になる。また、2点の座標を取得可能な場合において、例えば、最初に取得された座標を中心とし、次に取得された座標に追従させて地図画像を回転表示させることとしてもよい。この場合、例えば、最初に取得された座標、すなわち、円の中心の画像を部分画像として他の位置に表示させることが可能である。こうすることで、どの位置を中心として画像を回転させているかを容易に確認することが可能になる。
【0037】
上記実施例では、画像処理装置10の姿勢が垂直方向から水平方向(あるいはその逆)に変化した場合に、地図画像や部分画像の表示方向を90°回転している。これに対して、画像処理装置10は、液晶ディスプレイ14(およびタッチパネル12)のみが回転可能な機構を備えていてもよい。この場合には、加速度センサではなく、液晶ディスプレイ14が回転されたことを検出するための機械的あるいは光学的なスイッチを本体部分に設けておくことで、液晶ディスプレイ14が回転したかどうかを判断することができる。
【0038】
上記実施例では、指先の下に隠れている画像を複製して、部分画像として他の位置に表示している。つまり、部分画像内の画像は、指先の下に隠れている画像と等倍率の画像である。これに対して、部分画像として、指先の下に隠れた画像を拡大して表示することも可能である。このように、指先の下の画像を拡大して表示すれば、指先の下の画像の細部を容易に確認することが可能になる。また、逆に、指先の下の画像とその周囲を含む画像を縮小して部分画像として表示することも可能である。このように、指先の下の画像やその周囲を含む画像を縮小して表示すれば、指先の下の画像の位置が、地図画像の中のどの位置に該当するかを容易に確認することが可能になる。
【0039】
上記実施例では、画像処理装置10として携帯電話を適用している。しかし、画像処理装置10として適用可能な装置は携帯電話に限られない。例えば、PDAやPND(Personal Navigation Device)、ナビゲーションシステム、パーソナルコンピュータ、街頭端末など、表示装置とタッチパネルとを備える種々の装置を画像処理装置10として適用することが可能である。
【0040】
上記実施例では、指先が画面内の通常の位置に触れられた場合には、指先の右上の位置に部分画像が表示される。しかし、通常時における部分画像の表示位置はこれに限られない。例えば、指先の左上や左下、右下、あるいは、上下左右のいずれかに表示してもよい。通常時にどの方向に表示されるかは、指先によって表示が妨げられないことを指標として適宜決定することができる。
【0041】
上記実施例では、指先が画面に所定時間以上接触した場合に、部分画像を表示している。これに対して、指先が画面に接触された状態で、所定の図形形状を示すジェスチャが指先によって行われたことを検出した場合に部分画像を表示してもよい。
【符号の説明】
【0042】
10…画像処理装置
12…タッチパネル
14…液晶ディスプレイ
16…CPU
18…RAM
20…ROM
22…GPS受信機
24…アンテナ
26…無線通信回路
28…操作ボタン
30…姿勢検出回路
32…画像メモリ
34…表示制御回路
36…地図画像表示部
38…部分画像表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置を備えた画像処理装置であって、
前記表示装置が有する所定の表示領域に第1の画像を表示する第1表示部と、
前記表示領域内において指定された位置を検出する位置検出部と、
前記第1の画像から、前記位置検出部によって検出された位置を含む所定範囲内の第2の画像を複製し、該第2の画像を、前記第1の画像上の、前記検出された位置から離れた所定の位置に表示する第2表示部と
を備える画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記第2表示部は、前記位置検出部によって、前記位置の指定が所定時間以上なされたことを検出した場合に、前記第2の画像の表示を行う画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記第1表示部は、前記位置検出部によって、前記指定された位置が前記表示領域内で連続的に移動されたことを検出した場合に、該指定された位置の移動に追従させて前記第1の画像を前記表示装置にスクロールさせて表示し、
前記第2表示部は、前記第1の画像がスクロールされているか否かに関わらず、前記所定時間以上の位置の指定の検出を行う画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置であって、
前記第2表示部は、前記第2の画像を表示した場合に、前記第1表示部による前記第1の画像のスクロールに追従させて前記第2の画像を移動させる画像処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像処理装置であって、
前記第2表示部は、前記第2の画像の移動によって、該第2の画像の表示位置が、前記表示領域外になる場合に、前記第2の画像の表示位置を前記表示領域内の位置に変更する画像処理装置。
【請求項6】
請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記第1表示部は、スクロール表示可能な前記第1の画像と共に、スクロール表示不能なユーザインタフェースを表すインタフェース画像を表示可能であり、
前記第2表示部は、前記所定範囲内に前記インタフェース画像が含まれる場合であっても、該インタフェース画像を含む第2の画像を、前記所定の位置に表示する画像処理装置。
【請求項7】
表示装置を備えた画像処理装置による画像表示方法であって、
前記表示装置が有する所定の表示領域に第1の画像を表示し、
前記表示領域内において指定された位置を検出し、
前記第1の画像から、前記検出された位置を含む所定範囲内の第2の画像を複製し、該第2の画像を、前記第1の画像上の、前記検出された位置から離れた所定の位置に表示する
画像表示方法。
【請求項8】
表示装置を備えたコンピュータが画像を表示するためのプログラムであって、
前記表示装置が有する所定の表示領域に第1の画像を表示する機能と、
前記表示領域内において指定された位置を検出する機能と、
前記第1の画像から、前記検出された位置を含む所定範囲内の第2の画像を複製し、該第2の画像を、前記第1の画像上の、前記検出された位置から離れた所定の位置に表示する機能と
をコンピュータに実現させるプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2010−181940(P2010−181940A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22517(P2009−22517)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(500578216)株式会社ゼンリンデータコム (231)
【Fターム(参考)】