説明

画像処理装置および画像処理装置の制御方法

【課題】 例外的に、オートシャットダウンにより電源断される時刻に画像処理装置を使用するためには、オートシャットダウン指定時刻の設定を変更する、また、オートシャットダウンの設定を無効にするということをユーザが行う必要がある。
【解決手段】 定常的なオートシャットダウンの設定とは別に、例外的なイベントを設定可能とすることにより、例外イベントを実行するために最も省電力なスリープ状態に移行することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートシャットダウンする機能を備えた画像処理装置および画像処理装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像処理装置ではオートシャットダウン機能により指定時刻に自動で電源断することが可能になっている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−21501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、オートシャットダウンにより電源断された状態では、タイマー等により指定時刻に自動で復帰することが不可能となっている。そのため、例外的に、オートシャットダウンにより電源断される時刻に画像処理装置を使用するためには、オートシャットダウン指定時刻の設定を変更する、また、オートシャットダウンの設定を無効にするということをユーザが行う必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明における画像処理装置(100)は、消費電力を抑えたスリープ状態の制御を行うスリープ制御手段と、自動で電源断するオートシャットダウン手段を備えた画像処理装置(100)において、オートシャットダウン時刻を設定するオートシャット時刻設定手段(301)と、オートシャットダウンの実行を延長する時間を設定するオートシャットダウン延長時間設定手段(302)と、前記オートシャット時刻設定手段(301)により設定したオートシャットダウン時刻になり、前記オートシャットダウン延長時間設定手段(302)により延長時間が設定されていると判断すると、ジョブ投入により自動復帰可能な最も省電力なスリープ状態に移行するジョブ復帰可能スリープ制御手段(S204)と、前記ジョブ復帰可能スリープ制御手段(S204)によりジョブ投入により自動復帰可能な最も省電力なスリープ状態に移行してから前記オートシャットダウン延長時間設定手段(302)により設定された延長時間が経過後に電源断するオートシャットダウン手段(S207)、とを備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明における画像処理装置(100)は、消費電力を抑えたスリープ状態の制御を行うスリープ制御手段と、自動で電源断するオートシャットダウン手段を備えた画像処理装置(100)において、オートシャットダウン時刻を設定するオートシャット時刻設定手段(601)と、オートシャットダウンを解除する開始時刻と終了時刻を設定するオートシャットダウン解除時刻設定手段(602)と、前記オートシャット時刻設定手段(601)により設定したオートシャットダウン時刻になり、前記オートシャットダウン解除時刻設定手段(602)により時刻が設定されていると判断すると、タイマーで自動復帰可能な最も省電力なスリープ状態に移行するタイマー復帰可能スリープ制御手段(S503)と、前記オートシャットダウン解除時刻設定手段(602)により設定された開始時刻になったと判断すると、ジョブ投入により自動復帰可能な最も省電力なスリープ状態に移行するジョブ復帰可能スリープ制御手段(S505)と、前記オートシャットダウン解除時刻設定手段(602)により設定された終了時刻になったと判断すると、電源断するオートシャットダウン手段(S508)、とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、定常的なオートシャットダウンの設定とは別に、例外的なイベントを設定可能になり、この例外イベントを実行するために最も省電力なスリープ状態に移行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明における画像処理装置の構成を示す図である。
【図2】本発明における第1の実施形態を示すフローチャートである。
【図3】第1の実施形態における設定画面を示す図である。
【図4】第1の実施形態における電力状態の遷移を示す図である。
【図5】本発明における第2の実施形態を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施形態における設定画面を示す図である。
【図7】第3の実施形態における電力状態の遷移を示す図である。
【図8】第3の実施形態における設定画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0010】
図1は本発明のひとつの実施形態である画像装置100の構成を示す図である。
【0011】
図1において、画像処理装置100は、CPU101、ROM102、RAM103、スキャナ104、プリンタ105、操作表示部106、CODEC107、回線I/F108、USB I/F110、ネットワークI/F113、電源制御114を有する。
【0012】
CPU101は、システム制御部であり、画像処理装置100の全体を制御する。
【0013】
ROM102は、CPU101の制御プログラムを格納している。なお、上記制御プログラムは、以下に説明する上記実施例を実行する制御プログラムである。
【0014】
RAM103は、実行プログラム、プログラム制御変数、各種ワーク用バッファ等や、画像処理装置100のユーザが登録した設定値、管理データ等を格納するものである。
【0015】
スキャナ104はCSイメージセンサ、原稿搬送機構などで構成され、原稿を光学的に読み取って電気的な画像データに変換するものである。
【0016】
プリンタ105は受信画像やファイルデータを記録紙に記録する装置である。
【0017】
操作表示部106はキーボード、タッチパネル、LCD、LED等で構成され、ユーザが各種操作や、ユーザに対して表示通知を行うものである。
【0018】
CODEC107は、JBIG、JPEG等の符号化、および、復号化を行うモジュールであり、所定の規格に準拠した画像データの圧縮、伸張処理を実行する処理部である。
【0019】
回線I/F108は、モデム(変復調装置)、NCU(網制御装置)等により構成されるものであり、公衆網を介してファクスの送受信を行うものである。
【0020】
外部I/F109はUSBやネットワーク(LAN)等を介してPC(ホストコンピュータ)との通信処理を行う。
【0021】
電源制御110は、画像処理装置100の消費電力を抑えたスリープ状態の制御、また、オートシャットダウンにより自動で電源断するための制御を行うものである。
【0022】
図2は、本発明における第1の実施形態を示すフローチャートである。また、図3は第1の実施形態における設定画面を、図4は第1の実施形態における装置状態の遷移を示す図である。
【0023】
図2において、画像処理装置100のCPU101は、S201においてオートシャットダウン時刻に設定された時刻になったか判断する。オートシャットダウン時刻は301に示す設定画面により設定されるものである。
【0024】
CPU101はS201においてオートシャットダウン時刻になったと判断すると、S202においてオートシャットダウン延長時間が設定されているかどうか判断する。オートシャットダウン延長時間は302に示す設定画面により設定されるものである。
【0025】
CPU101はS202においてオートシャットダウン延長時間が設定されていると判断すると、S203において302で設定したオートシャットダウン延長時間を計測するためのタイマーをスタートさせる。次にCPU101はS204においてジョブ復帰可能スリープ状態に移行する。ここでジョブ復帰可能スリープ状態とは、画像処理装置100がネットワークやUSBを介してプリントジョブ等のジョブを受信した時に、スリープ状態から自動で復帰ができる最も省電力なスリープ状態を示している。
【0026】
次にCPU101はS205において、S203でスタートしたオートシャットダウン延長時間を計測するタイマーが満了するまで待つ。CPU101はS203において、オートシャットダウン延長時間を計測するタイマーが満了したと判断すると、S206において302で設定したオートシャットダウン延長時間を解除する。次にCPU101はS207においてオートシャットダウンを実行し画像処理装置100を電源断する。
【0027】
CPU101はS202においてオートシャットダウン延長時間が設定されていないと判断すると、S207においてオートシャットダウンを実行し画像処理装置100を電源断する。
【0028】
401は301のオートシャットダウン時刻が22:00に設定され、302のオートシャットダウン延長時間が設定されなかった場合の装置状態の遷移を示している。この設定においては、22:00にS207によりオートシャットダウンが実行され、それ以降シャットダウン状態となっている。
【0029】
402は301のオートシャットダウン時刻が22:00に、302のオートシャットダウン延長時間が2時間に設定された場合の装置状態の遷移を示している。この設定において、22:00にS204によりジョブ復帰可能スリープ状態に移行している。また、2時間が経過した0:00にS207によりオートシャットダウンが実行され、それ以降シャットダウン状態となっている。
【0030】
図5は、本発明における第2の実施形態を示すフローチャートである。また、図6は第2の実施形態における設定画面を、図7は第2の実施形態における装置状態の遷移を示す図である。
【0031】
図5において、画像処理装置100のCPU101は、S501においてオートシャットダウン時刻に設定された時刻になったか判断する。オートシャットダウン時刻は601に示す設定画面により設定されるものである。
【0032】
CPU101はS501においてオートシャットダウン時刻になったと判断すると、S502においてオートシャットダウン解除時刻が設定されているかどうか判断する。オートシャットダウン解除時刻は602に示す設定画面により設定されるものである。
【0033】
CPU101はS502においてオートシャットダウン解除時刻が設定されていると判断すると、S503においてタイマー復帰可能スリープ状態に移行する。ここでタイマー復帰可能スリープ状態とは、画像処理装置100がタイマーにより指定時刻にスリープ状態から自動で復帰ができる最も省電力なスリープ状態を示している。タイマー復帰可能スリープ状態では、ジョブ受信でスリープ状態から復帰することはできないので、ジョブ復帰可能スリープ状態より省電力なスリープ状態となっている。
【0034】
次にCPU101はS504において、オートシャットダウン解除設定の開始時刻になるまで待つ。オートシャットダウン解除設定の開始時刻は602に示す設定画面により設定されるものである。CPU101はS504において、オートシャットダウン解除設定の開始時間になったと判断すると、S505においてジョブ実行可能スリープ状態に移行する。ここでジョブ復帰可能スリープ状態とは、画像処理装置100がネットワークやUSBを介してプリントジョブ等のジョブを受信した時に、スリープ状態から自動で復帰ができる最も省電力なスリープ状態を示している。
【0035】
CPU101はS506においてオートシャットダウン解除設定の終了時刻になるまで待つ。オートシャットダウン解除設定の終了時刻は602に示す設定画面により設定されるものである。CPU101はS506においてオートシャットダウン解除設定の終了時刻になったと判断すると、S507においてオートシャットダウン解除時刻の設定を解除する。次にCPU101はS508においてオートシャットダウンを実行し画像処理装置100を電源断する。
【0036】
CPU101はS502においてオートシャットダウン解除時刻が設定されていないと判断すると、S508においてオートシャットダウンを実行し画像処理装置100を電源断する。
【0037】
701は、601のオートシャットダウン時刻が22:00に設定され、602のオートシャットダウン解除時刻が設定されなかった場合の装置状態の遷移を示している。この設定においては、22:00にS207によりオートシャットダウンが実行され、それ以降シャットダウン状態となっている。
【0038】
702は601のオートシャットダウン時刻が22:00に、602のオートシャットダウン解除設定の開始時刻が23:00に、終了時刻が0:00に設定された場合の装置状態の遷移を示している。この設定において、22:00にS503によりタイマー復帰可能スリープ状態に移行している。また、23:00にS505によりジョブ復帰可能スリープ状態に、0:00にS508によりオートシャットダウンが実行され、それ以降シャットダウン状態となっている。
【0039】
図8は本発明における第3の実施形態における設定画面を示す図である。図8においてオートシャットダウン解除設定の開始時間が23:00に、終了時刻が0:00に設定されている。また、この期間に使用する機能がネットワーク・プリントと設定されている。この設定において、S505により移行するジョブ復帰可能スリープ状態はネットワーク・プリントでのみスリープ状態から復帰可能となる最も省電力なスリープ状態とする。
【符号の説明】
【0040】
100 画像処理装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 スキャナ
105 プリンタ
106 操作表示部
107 CODEC
108 回線I/F
109 外部I/F
110 電源制御

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費電力を抑えたスリープ状態の制御を行うスリープ制御手段と、自動で電源断するオートシャットダウン手段を備えた画像処理装置(100)において、
オートシャットダウン時刻を設定するオートシャット時刻設定手段(301)と、
オートシャットダウンの実行を延長する時間を設定するオートシャットダウン延長時間設定手段(302)と、
前記オートシャット時刻設定手段(301)により設定したオートシャットダウン時刻になり、前記オートシャットダウン延長時間設定手段(302)により延長時間が設定されていると判断すると、ジョブ投入により自動復帰可能な最も省電力なスリープ状態に移行するジョブ復帰可能スリープ制御手段(S204)と、
前記ジョブ復帰可能スリープ制御手段(S204)によりジョブ投入により自動復帰可能な最も省電力なスリープ状態に移行してから前記オートシャットダウン延長時間設定手段(302)により設定された延長時間が経過後に電源断するオートシャットダウン手段(S207)と、
を備えることを特徴とする画像処理装置(100)。
【請求項2】
消費電力を抑えたスリープ状態の制御を行うスリープ制御手段と、自動で電源断するオートシャットダウン手段を備えた画像処理装置(100)において、
オートシャットダウン時刻を設定するオートシャット時刻設定手段(601)と、
オートシャットダウンを解除する開始時刻と終了時刻を設定するオートシャットダウン解除時刻設定手段(602)と、
前記オートシャット時刻設定手段(601)により設定したオートシャットダウン時刻になり、前記オートシャットダウン解除時刻設定手段(602)により時刻が設定されていると判断すると、タイマーで自動復帰可能な最も省電力なスリープ状態に移行するタイマー復帰可能スリープ制御手段(S503)と、
前記オートシャットダウン解除時刻設定手段(602)により設定された開始時刻になったと判断すると、ジョブ投入により自動復帰可能な最も省電力なスリープ状態に移行するジョブ復帰可能スリープ制御手段(S505)と、
前記オートシャットダウン解除時刻設定手段(602)により設定された終了時刻になったと判断すると、電源断するオートシャットダウン手段(S508)と、を備えることを特徴とする画像処理装置(100)。
【請求項3】
オートシャットダウン解除時に有効にする機能を設定するオートシャットダウン解除時有効機能設定手段(801)を備え、
前記ジョブ復帰可能スリープ制御手段(S505)は前記オートシャットダウン解除時有効機能設定手段(801)により設定された機能が動作可能な最も省電力なスリープ状態に移行することを特徴とする請求項2記載の画像処理装置(100)。
【請求項4】
消費電力を抑えたスリープ状態の制御を行うスリープ制御ステップと、自動で電源断するオートシャットダウンステップを備えた画像処理装置(100)の制御方法において、
オートシャットダウン時刻を設定するオートシャット時刻設定ステップ(301)と、
オートシャットダウンの実行を延長する時間を設定するオートシャットダウン延長時間設定ステップ(302)と、
前記オートシャット時刻設定ステップ(301)により設定したオートシャットダウン時刻になり、前記オートシャットダウン延長時間設定ステップ(302)により延長時間が設定されていると判断すると、ジョブ投入により自動復帰可能な最も省電力なスリープ状態に移行するジョブ復帰可能スリープ制御ステップ(S204)と、
前記ジョブ復帰可能スリープ制御ステップ(S204)によりジョブ投入により自動復帰可能な最も省電力なスリープ状態に移行してから前記オートシャットダウン延長時間設定ステップ(302)により設定された延長時間が経過後に電源断するオートシャットダウンステップ(S207)と、
を備えることを特徴とする画像処理装置(100)の制御方法。
【請求項5】
消費電力を抑えたスリープ状態の制御を行うスリープ制御ステップと、自動で電源断するオートシャットダウンステップを備えた画像処理装置(100)の制御方法において、
オートシャットダウン時刻を設定するオートシャット時刻設定ステップ(601)と、
オートシャットダウンを解除する開始時刻と終了時刻を設定するオートシャットダウン解除時刻設定ステップ(602)と、
前記オートシャット時刻設定ステップ(601)により設定したオートシャットダウン時刻になり、前記オートシャットダウン解除時刻設定ステップ(602)により時刻が設定されていると判断すると、タイマーで自動復帰可能な最も省電力なスリープ状態に移行するタイマー復帰可能スリープ制御ステップ(S503)と、
前記オートシャットダウン解除時刻設定ステップ(602)により設定された開始時刻になったと判断すると、ジョブ投入により自動復帰可能な最も省電力なスリープ状態に移行するジョブ復帰可能スリープ制御ステップ(S505)と、
前記オートシャットダウン解除時刻設定ステップ(602)により設定された終了時刻になったと判断すると電源断するオートシャットダウンステップ(S508)と、
を備えることを特徴とする画像処理装置(100)の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−187777(P2012−187777A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52304(P2011−52304)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】