説明

画像処理装置および画像形成装置

【課題】 モノクロ画像の画質の低下などを抑えつつ、カラー画像の配色を復元可能なモノクロ画像をカラー画像から生成する。
【解決手段】 変換テーブル生成部31は、カラー画像データの色分布を特定し、その色分布における複数の色領域と互いに異なる濃度を有する複数のグレー濃度値とを対応付ける変換テーブル41を生成し、色変換部32は、その変換テーブル41に従ってカラー画像データをグレースケール画像データへ変換する。また、色変換部32は、その変換テーブル41を読み出し、その変換テーブル41に従って、グレースケール画像データを元のカラー画像データへ変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、原稿に忠実な色を再現できるカラー複合機等が普及し、オフィス等において誰でも気軽に高品質なカラー印字物を得ることができるようになってきた。しかし、このような状況においてもモノクロコピーの需要は依然として多く、オフィス等において印字コストを抑えるためにカラー原稿であってもモノクロコピーを行うことがある。
【0003】
カラー原稿をモノクロコピーすると、モノクロコピーにより得られたモノクロ印字物においては、カラー情報が通常失われている。しかしながら、モノクロ印字物から、元のカラー原稿のような色を復元したい場合がある。このため、モノクロ画像からカラー画像を復元する技術が種々提案されている(例えば特許文献1〜4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−324025号公報
【特許文献2】特開平11−284866号公報
【特許文献3】特開2007−142986号公報
【特許文献4】特開2008−167388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の画像形成装置では、擬似カラーテーブルを使用してモノクロ画像からカラー画像を得ているが、この技術では、擬似カラーテーブルによるカラー画像が元のカラー原稿と同様の配色にならない。
【0006】
特許文献2に記載の画像形成装置では、カラー画像内の色を、その色に対応する模様に置き換えて、カラー画像をモノクロ画像に変換しているが、カラー画像内の色が多い場合、モノクロ画像内に様々な模様が混在し、モノクロ画像の表現力が低下してしまう。
【0007】
特許文献3,4に記載の画像処理装置では、カラー画像のカラー情報を電子透かしでモノクロ画像に埋め込み、その電子透かしを使用してモノクロ画像からカラー画像を復元しているが、モノクロ画像の画質が劣化したり(例えばベタ領域に濃淡ができてしまう)、モノクロ印刷物の汚れなどで電子透かしが抽出できなくなることがあるなどの問題点がある。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、モノクロ画像の画質の低下などを抑えつつ、カラー画像の配色を復元可能なモノクロ画像をカラー画像から生成する画像処理装置および画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0010】
本発明に係る画像処理装置は、カラー画像データの色分布を特定し、その色分布における複数の色領域と互いに異なる濃度を有する複数のグレー濃度値とを対応付ける変換テーブルを生成する変換テーブル生成部と、その変換テーブルに従ってカラー画像データをグレースケール画像データへ変換する色変換部とを備える。
【0011】
これにより、グレースケール画像データにおけるグレー濃度でカラー情報を保持するため、モノクロ画像の画質の低下などを抑えつつ、カラー画像の配色を復元可能なモノクロ画像がカラー画像から生成される。
【0012】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、上述の複数の色領域は、それぞれ、カラー画像データの色空間を分割して得られる色領域のいずれかであり、カラー画像データの色空間を分割して得られる色領域の数は、カラー画像データの色空間で取り得る座標値の数より少ない。
【0013】
これにより、上述の複数の色領域の数が少なくなり各色領域を、良好に分離可能なグレー濃度値に対応付けることができるとともに、変換テーブルのデータ量が少なくなる。
【0014】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、変換テーブル生成部は、カラー画像データの色分布内のグレーのグレー濃度値を特定し、特定したグレー濃度値を除外して、色領域に対応付ける複数のグレー濃度値を決定する。色変換部は、カラー画像データの色分布内のグレーを変換せずに、カラー画像データをグレースケール画像データへ変換する。
【0015】
これにより、カラー画像データの色分布内にグレーが存在しても、モノクロ画像からカラー画像を復元する際に、カラー画像内のグレーが誤って復元されない。
【0016】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、変換テーブル生成部は、上述の複数の色領域の数が所定の上限値以下である場合、変換テーブルを生成し、その複数の色領域の数がその上限値を超える場合、変換テーブルを生成せず、色変換部は、その複数の色領域の数がその所定の上限値以下である場合、変換テーブルに従ってカラー画像データをグレースケール画像データへ変換し、その複数の色領域の数がその上限値を超える場合、変換テーブルに従ってカラー画像データをグレースケール画像データへ変換しない。
【0017】
これにより、モノクロ画像における複数のグレー濃度値が良好に分離して検出されるため、カラー画像の配色を復元可能なモノクロ画像がカラー画像から生成される。
【0018】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、変換テーブル生成部は、上述の複数の色領域の数に応じて、複数のグレー濃度値の間隔を決定する。
【0019】
これにより、モノクロ画像における複数のグレー濃度値が良好に分離して検出されるため、カラー画像の配色を復元可能なモノクロ画像がカラー画像から生成される。
【0020】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、変換テーブル生成部は、上述の複数の色領域の数が所定の上限値を超える場合、色領域の広さを広げて、その複数の色領域の数を上述の所定の上限値以下に減らす。
【0021】
これにより、モノクロ画像における複数のグレー濃度値が良好に分離して検出されるため、カラー画像の配色を復元可能なモノクロ画像がカラー画像から生成される。
【0022】
また、本発明に係る画像処理装置は、上記の画像処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、画像処理装置は、変換テーブルを保存する記憶装置をさらに備える。
【0023】
これにより、この画像処理装置でモノクロ画像からカラー画像を復元する際に、記憶装置に保存されている変換テーブルを使用してただちに復元することができる。
【0024】
本発明に係る画像形成装置は、上記の画像処理装置いずれかと、その画像処理装置の色変換部により生成されたグレースケール画像データに基づくモノクロ画像を出力する画像出力部とを備える。
【0025】
これにより、グレースケール画像データにおけるグレー濃度でカラー情報を保持するため、モノクロ画像の画質の低下などを抑えつつ、カラー画像の配色を復元可能なモノクロ画像がカラー画像から生成され、出力される。
【0026】
本発明に係る画像処理装置は、カラー画像データの色分布における複数の色領域と互いに異なる濃度を有する複数のグレー濃度値とを対応付ける変換テーブルを記憶する記憶装置と、その変換テーブルを読み出し、変換テーブルに従って、グレースケール画像データを元のカラー画像データへ変換する色変換部とを備える。
【0027】
これにより、グレースケール画像データにおけるグレー濃度でカラー情報を保持するため、モノクロ画像の画質の低下などを抑えつつ、カラー画像の配色を復元可能なモノクロ画像がカラー画像から生成される。
【0028】
本発明に係る画像形成装置は、上記の画像処理装置と、その画像処理装置の色変換部により生成されたカラー画像データに基づくカラー画像を出力する画像出力部とを備える。
【0029】
これにより、グレースケール画像データにおけるグレー濃度でカラー情報を保持するため、モノクロ画像の画質の低下などを抑えつつ、カラー画像の配色を復元可能なモノクロ画像がカラー画像から生成され、出力される。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、モノクロ画像の画質の低下などを抑えつつ、カラー画像の配色を復元可能なモノクロ画像をカラー画像から生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す画像形成装置の、カラー画像をモノクロ画像へ変換する際の動作を説明するフローチャートである。
【図3】図3は、RGB色空間内の色領域単位の一例を示す図である。
【図4】図4は、図1における変換テーブルの一例を示す図である。
【図5】図5は、図1に示す画像形成装置の、モノクロ画像からカラー画像を復元する際の動作を説明するフローチャートである。
【図6】図6は、変換テーブルのリスト表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0033】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【0034】
図1に示す画像形成装置は、プリンター機能とスキャナー機能とを有する。この画像形成装置1は、印刷装置11、画像読取装置12、操作パネル13、コントローラー14、通信装置15、画像処理装置16、および記憶装置17を有する。
【0035】
印刷装置11は、カラー画像データまたはグレースケール画像データに基づいて、カラー画像またはモノクロ画像を印刷用紙に電子写真方式で印刷する内部装置である。カラー画像データは、例えば、画像読取装置12によるスキャンで生成されたカラー画像データ、画像処理装置16によりグレースケール画像データから復元されたカラー画像データなどである。グレースケール画像データは、画像処理装置16によりカラー画像データから変換されたグレースケール画像データなどである。カラー画像データおよびグレースケール画像データは、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)などのラスター画像データである。
【0036】
また、画像読取装置12は、原稿の画像を1ページずつ光学的に読み取り、各ページ画像のカラー画像データまたはグレースケール画像データを生成する内部装置である。
【0037】
また、操作パネル13は、画像形成装置の筐体表面に配置され、ユーザーに対して各種情報を表示する表示装置と、ユーザー操作を検出する入力装置とを有する。表示装置としては例えば液晶ディスプレイが使用される。入力装置としては、キースイッチ、タッチパネルなどが使用される。
【0038】
また、コントローラー14は、マイクロコンピューターやASIC(Application Specific Integrated Circuit)で各種処理部を実現する。この実施の形態では、コントローラー14において、印刷制御部21、スキャン制御部22、およびジョブ制御部23が実現される。
【0039】
印刷制御部21は、カラー画像データまたはグレースケール画像データに基づいて印刷データを生成して印刷装置11に供給し、印刷を実行させる。印刷データは、例えば、ハーフトーニングなどの画像処理によりカラー画像データまたはグレースケール画像データから得られるデータである。
【0040】
スキャン制御部22は、画像読取装置12を制御して、原稿または印字物の画像をページごとに読み取らせ、各ページ画像のラスター画像データを生成する。
【0041】
ジョブ制御部23は、操作パネル13に対するユーザー操作に基づくジョブ要求を受け付け、印刷制御部21、スキャン制御部22などを使用して、受け付けたジョブを実行する。例えば、ジョブ制御部23は、後述するように、操作パネル13に対するユーザー操作に基づいて、カラー原稿に対するモノクロコピージョブ、モノクロ印字物に対するカラー原稿復元コピージョブなどを実行する。
【0042】
また、通信装置15は、図示せぬコンピューターネットワークに接続され、そのネットワークに接続された他の装置(ホスト装置など)とデータ通信を行う回路である。
【0043】
また、画像処理装置16は、マイクロコンピューターやASICで各種処理部を実現する。記憶装置17は、フラッシュメモリー、ハードディスクドライブなどの不揮発性の記憶装置である。
【0044】
この実施の形態では、画像処理装置16において、変換テーブル生成部31および色変換部32が実現される。
【0045】
カラー画像データからグレースケール画像データへの変換において、変換テーブル生成部31は、カラー画像データの色分布を特定し、その色分布における複数の色領域と互いに異なる濃度を有する複数のグレー濃度値とを対応付ける変換テーブル41を生成し、色変換部32は、その変換テーブル41に従ってカラー画像データをグレースケール画像データへ変換する。
【0046】
この実施の形態では、変換テーブル生成部31は、記憶装置17に、生成した変換テーブル41を記憶する。
【0047】
また、この実施の形態では、変換テーブル生成部31は、カラー画像データの色分布内のグレーのグレー濃度値を特定し、特定したグレー濃度値を除外して、色領域に対応付ける複数のグレー濃度値を決定し、色変換部32は、カラー画像データの色分布内のグレーを変換せずに、カラー画像データをグレースケール画像データへ変換する。
【0048】
また、変換テーブル生成部31は、上述の複数の色領域の数が所定の上限値以下である場合、変換テーブル41を生成し、その複数の色領域の数がその上限値を超える場合、変換テーブル41を生成せず、色変換部32は、その複数の色領域の数がその所定の上限値以下である場合、変換テーブル41に従ってカラー画像データをグレースケール画像データへ変換し、その複数の色領域の数がその上限値を超える場合、変換テーブル41に従ってカラー画像データをグレースケール画像データへ変換しない。その複数の色領域の数がその上限値を超える場合には、例えばエラーメッセージが操作パネル13において表示される。この上限値は、この画像形成装置により互いに分離可能なグレー濃度値の数とされ、グレー濃度値の取り得る値の数(例えば256)以下とされる。
【0049】
なお、変換テーブル生成部31は、上述の複数の色領域の数に応じて、複数のグレー濃度値の間隔を決定するようにしてもよい。つまり、上述の複数の色領域の数が少ない場合にはグレー濃度値の間隔を広くし、上述の複数の色領域の数が多い場合にはグレー濃度値の間隔を狭くする。
【0050】
また、変換テーブル生成部31は、上述の複数の色領域の数が所定の上限値を超える場合、色領域の広さを広げて、その複数の色領域の数を上述の所定の上限値以下に減らすようにしてもよい。
【0051】
一方、グレースケール画像データからカラー画像データへの復元において、色変換部32は、記憶装置17から変換テーブル41を読み出し、その変換テーブル41に従って、グレースケール画像データを元のカラー画像データへ変換する。
【0052】
この実施の形態では、色変換部32は、変換テーブル41に登録されていないグレー濃度値については、元のカラー画像データにおいてもグレー(無彩色)であったと判断し、そのグレー濃度値については色の変換を行わない。
【0053】
次に、上記画像形成装置の動作について説明する。
【0054】
ここでは、カラー画像をモノクロ画像へ変換する際の動作と、モノクロ画像からカラー画像を復元する際の動作とを説明する。
【0055】
(1)カラー画像からモノクロ画像への変換
【0056】
図2は、図1に示す画像形成装置の、カラー画像をモノクロ画像へ変換する際の動作を説明するフローチャートである。
【0057】
ユーザーが、操作パネル13を操作して、カラー原稿についてのモノクロコピーの指示を入力すると、ジョブ制御部23は、そのユーザー操作を従って、以下のモノクロコピーを開始する(ステップS1)。
【0058】
まず、スキャン制御部22は、画像読取装置12を制御して、カラー原稿のカラー画像データを取得する(ステップS2)。カラー画像データは、図示せぬメモリーなどに記憶される。
【0059】
次に、画像処理装置16の変換テーブル生成部31は、そのカラー画像データを読み出し、カラー画像データ内の各画素の画素値(例えばRGB値)から、そのカラー画像データの色分布を特定する(ステップS3)。
【0060】
このとき、変換テーブル生成部31は、カラー画像データの色空間を所定の複数の色領域に分割して得られる色領域に、カラー画像データの各画素の色値(画素値)を分類し、少なくとも1つの画素が分類された色領域を特定する。
【0061】
図3は、RGB色空間内の色領域単位の一例を示す図である。例えば図3に示すように、カラー画像データが8ビットのRGBデータである場合、カラー画像データは、RGB色空間の座標値を有し、各座標の値の範囲が0から255までであり、各座標が均等に16分割される場合、カラー画像データの画素値が、4096個(=16×16×16)の色領域に分類される。この場合、1つの色領域は、1辺が16である立方体となる。
【0062】
つまり、カラー画像データの色分布における上述の複数の色領域は、それぞれ、カラー画像データの色空間を分割して得られる色領域(ここでは4096個の色領域)のいずれかであり、カラー画像データの色空間を分割して得られる色領域の数(ここでは、4096)は、カラー画像データの色空間で取り得る座標値の数(ここでは、約1677万=256×256×256)より少ない。また、ここでは、カラー画像データの色分布における上述の複数の色領域(つまり、少なくとも1つの画素が分類された色領域)の数は、4096以下となるため、変換テーブル41のデータ量は少なくて済む。
【0063】
次に、変換テーブル生成部31は、特定した色領域(つまり、少なくとも1つの画素が分類された色領域)を特定する色座標情報と、その色領域に対応する、グレースケールにおけるグレー濃度値とを対応付けて、変換テーブル41を生成する(ステップS4)。このとき、1つも画素が分類されなかった色領域については、グレー濃度値が割り当てられず、変換テーブル41に、その色領域は登録されない。
【0064】
図4は、図1における変換テーブル41の一例を示す図である。図4に示す変換テーブル41では、例えば、R座標の範囲が0〜15であり、G座標の範囲が160〜175であり、B座標の範囲が48〜63である色領域が、16であるグレー濃度値に関連付けられている。
【0065】
変換テーブル生成部31は、生成した変換テーブル41を記憶装置17に格納する(ステップS5)。このとき、変換テーブル生成部31は、操作パネル13に対してユーザーにより入力された名称を、その変換テーブル41に関連付けて記憶装置17に格納する。例えば、変換テーブル生成部31は、その名称をファイル名として、その変換テーブル41を1つのファイルとして記憶装置17に格納する。そのとき、変換テーブル41の名称とともに、その変換テーブル41の保存日の情報をその変換テーブル41に関連付けて記憶装置17に格納するようにしてもよい。
【0066】
変換テーブル41が生成されると、色変換部32は、その変換テーブル41を参照し、カラー画像データの各画素値を、その画素の画素値(カラー値)に対応する色領域に関連付けられているグレー濃度値に変換して、グレースケール画像データを生成する(ステップS6)。このグレースケール画像データは、図示せぬメモリーに記憶される。
【0067】
グレースケール画像データの生成が完了すると、印刷制御部21は、そのグレースケール画像データを読み出し、そのグレースケール画像データから印刷データを生成し、グレースケール画像データに基づくモノクロ画像を印刷装置11に印刷させる(ステップS7)。
【0068】
このようにして、モノクロコピーが実行され、モノクロ印字物が得られる。
【0069】
(2)モノクロ画像からのカラー画像の復元
【0070】
ここでは、上述のようにして得られたモノクロ印字物から、元のカラー原稿を復元する処理について説明する。図5は、図1に示す画像形成装置の、モノクロ画像からカラー画像を復元する際の動作を説明するフローチャートである。
【0071】
ユーザーが、操作パネル13を操作して、上述のモノクロ印字物からのカラー原稿の復元の指示を入力すると、ジョブ制御部23は、そのユーザー操作を従って、以下のカラー復元コピーを開始する(ステップS21)。
【0072】
まず、スキャン制御部22は、画像読取装置12を制御して、モノクロ印字物のグレースケール画像データを取得する(ステップS22)。このグレースケール画像データは、図示せぬメモリーなどに記憶される。
【0073】
次に、画像処理装置16の色変換部32は、変換テーブル41を記憶装置17から読み出す(ステップS23)。このとき、色変換部32は、記憶装置17に記憶されている1または複数の変換テーブル41のリストを操作パネル13に表示し、ユーザーによりリストから選択された変換テーブル41を読み出す。図6は、変換テーブル41のリスト表示の一例を示す図である。図6に示すように、リストでは、各変換テーブル41の名称および保存日が表示される。
【0074】
そして、色変換部32は、その変換テーブル41に従って、グレースケール画像データを元のカラー画像データへ変換する(ステップS24)。つまり、色変換部32は、グレースケール画像データのグレー濃度値に対応する色の値を変換テーブル41に基づいて特定し、そのグレー濃度値をその色の値に変換することで、元のカラー画像データを復元する。そのカラー画像データは、図示せぬメモリーに記憶される。
【0075】
カラー画像データの復元が完了すると、印刷制御部21は、そのカラー画像データを読み出し、そのカラー画像データから印刷データを生成し、カラー画像データに基づくカラー画像を印刷装置11に印刷させる(ステップS25)。
【0076】
このようにして、カラー復元コピーが実行され、カラー原稿が復元される。
【0077】
以上のように、上記実施の形態によれば、変換テーブル生成部31は、カラー画像データの色分布を特定し、その色分布における複数の色領域と互いに異なる濃度を有する複数のグレー濃度値とを対応付ける変換テーブル41を生成し、色変換部32は、その変換テーブル41に従ってカラー画像データをグレースケール画像データへ変換する。また、色変換部32は、その変換テーブル41を読み出し、その変換テーブル41に従って、グレースケール画像データを元のカラー画像データへ変換する
【0078】
これにより、グレースケール画像データにおけるグレー濃度でカラー情報を保持するため、モノクロ画像の画質の低下などを抑えつつ、カラー画像の配色を復元可能なモノクロ画像がカラー画像から生成される。そして、ユーザーが必要なときに、カラー画像を復元することができる。
【0079】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0080】
例えば、上記実施の形態において、色領域に分類された画素の数が多い順または少ない順でグレー濃度値が増加していくように、複数の色領域にグレー濃度値を対応付けるようにしてもよい。あるいは、カラー画像データの画素値についての輝度値またはその近傍の値を、グレー濃度値として選択するようにしてもよい。
【0081】
また、上記実施の形態において、通常のモノクロコピーの他に専用モードを設け、その専用モードが操作パネル13に対するユーザー操作により指定されたときに上述のモノクロコピーを実行するようにしてもよい。また、上記実施の形態において、通常のカラーコピーにおいて、グレースケール画像データのグレー濃度値の分布と変換テーブル41のグレー濃度値の分布とを比較し、その比較結果から、上述のカラー復元コピーを行うか否かを自動的に判定するようにしてもよい。つまり、両者が一致していれば、上述のカラー復元コピーを行う。
【0082】
また、上記実施の形態において、変換テーブル41に、各色領域についての代表色の色値(例えばRGB値)を、色領域に関連付けて記憶させておき、カラー復元の際に、グレー濃度値を、その代表色の色値へ変換するようにしてもよい。その代表色は、色領域の中心の色値でもよいし、色領域に分類された色(画素値)のうち、最も数が多かった色(画素値)としてもよい。
【0083】
また、上記実施の形態において各色座標において取り得る値の範囲(図3の場合、0から255)が16分割されて得られる色領域が設定されているが、色領域の数は上記以外のものでももちろんよい。また、色領域は、1つの色座標値のみで構成されていてもよい。
【0084】
また、上記の実施の形態において、画像処理装置16が記憶装置17を内蔵していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、例えば、複写機、複合機などの画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0086】
11 印刷装置(画像出力部の一例)
16 画像処理装置
17 記憶装置
31 変換テーブル生成部
32 色変換部
41 変換テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー画像データの色分布を特定し、前記色分布における複数の色領域と互いに異なる濃度を有する複数のグレー濃度値とを対応付ける変換テーブルを生成する変換テーブル生成部と、
前記変換テーブルに従って前記カラー画像データをグレースケール画像データへ変換する色変換部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記複数の色領域は、それぞれ、前記カラー画像データの色空間を分割して得られる色領域のいずれかであり、
前記カラー画像データの色空間を分割して得られる色領域の数は、前記カラー画像データの色空間で取り得る座標値の数より少ないこと、
を特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記変換テーブル生成部は、前記カラー画像データの色分布内のグレーのグレー濃度値を特定し、特定したグレー濃度値を除外して、前記色領域に対応付ける前記複数のグレー濃度値を決定し、
前記色変換部は、前記カラー画像データの色分布内の前記グレーを変換せずに、前記カラー画像データを前記グレースケール画像データへ変換すること、
を特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記変換テーブル生成部は、前記複数の色領域の数が所定の上限値以下である場合、前記変換テーブルを生成し、前記複数の色領域の数が前記上限値を超える場合、前記変換テーブルを生成せず、
前記色変換部は、前記複数の色領域の数が前記所定の上限値以下である場合、前記変換テーブルに従って前記カラー画像データを前記グレースケール画像データへ変換し、前記複数の色領域の数が前記上限値を超える場合、前記変換テーブルに従って前記カラー画像データを前記グレースケール画像データへ変換しないこと、
を特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記変換テーブル生成部は、前記複数の色領域の数に応じて、前記複数のグレー濃度値の間隔を決定することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記変換テーブル生成部は、前記複数の色領域の数が所定の上限値を超える場合、色領域の広さを広げて、前記複数の色領域の数を前記所定の上限値以下に減らすことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記変換テーブルを保存する記憶装置をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置の前記色変換部により生成された前記グレースケール画像データに基づくモノクロ画像を出力する画像出力部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
カラー画像データの色分布における複数の色領域と互いに異なる濃度を有する複数のグレー濃度値とを対応付ける変換テーブルを記憶する記憶装置と、
前記変換テーブルを読み出し、前記変換テーブルに従って、グレースケール画像データを元の前記カラー画像データへ変換する色変換部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項9記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置の前記色変換部により生成された前記カラー画像データに基づくカラー画像を出力する画像出力部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−98669(P2013−98669A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238135(P2011−238135)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】