説明

画像処理装置に対する保守計画を作成する管理装置、保守計画システムおよび保守計画作成方法

【課題】 保守計画を効率良く作成できる管理装置、保守計画システムおよび保守計画の作成方法を提供する。
【解決手段】 管理装置は、設定部と、データ変換部と、保守計画部とを有する。前記設定部は、保守計画の対象となる画像処理装置における動作数と前記画像処理装置における消耗品のライフを示すデータとの関係を示す関係値を設定する。前記データ変換部は、前記関係値を用いて前記画像処理装置から取得した動作数を前記画像処理装置における消耗品のライフを示すデータに変換する。前記保守計画部は、前記データ変換部により算出した前記画像処理装置における消耗品のライフを示すデータを用いて前記画像処理装置に対する保守計画を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、画像処理装置に対する保守計画を作成する管理装置、保守計画システムおよび保守計画作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル複合機などの画像処理装置に対する保守計画は、複数の部品からなる製品の故障時期、および、各部品の劣化度などを推定して立てられる。従来、画像処理装置に対する保守計画は、サービスマンの経験と勘に頼って人的に作成されることが多い。このため、当該装置が利用できなくなることにより生じるユーザの損害のリスクと保守にかかるコストとのバランスを取ることが難しい。また、デジタル複合機などの画像処理装置は、様々な形態で運用されることが多い。このため、複数の画像処理装置に対する保守サービスを提供する管理装置は、各画像処理装置の運用形態に応じて効率的に保守計画を立てるのは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許公報7774169 B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態によれば、保守計画を効率良く作成できる管理装置、保守計画システムおよび保守計画の作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、管理装置は、設定部と、データ変換部と、保守計画部とを有する。前記設定部は、保守計画の対象となる画像処理装置における動作数と前記画像処理装置における消耗品のライフを示すデータとの関係を示す関係値を設定する。前記データ変換部は、前記関係値を用いて前記画像処理装置から取得した動作数を前記画像処理装置における消耗品のライフを示すデータに変換する。前記保守計画部は、前記データ変換部により算出した前記画像処理装置における消耗品のライフを示すデータを用いて前記画像処理装置に対する保守計画を作成する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、保守計画システムの概要を示す図である。
【図2】図2は、MFPの構成例を示す断面図である。
【図3】図3は、MFPにおける制御系の構成例を示すブロック図である。
【図4】図4は、保守計画システムおよび管理装置の構成を示す図である。
【図5】図5は、第1のMFPに対する保守計画の作成処理の概要を示す図である。
【図6A】図6Aは、保守計画システムにて利用されるデータのフォーマットと、各データテーブルの関係を示す図である。
【図6B】図6Bは、保守計画システムにて利用されるデータのフォーマットと、各データテーブルの関係を示す図である。
【図7】図7は、MFPの状態情報テーブルに保持する情報を示す図である。
【図8】図8は、保守履歴テーブルの一例を示す図である。
【図9】図9は、消耗品テーブルの一例を示す図である。
【図10】図10は、ライフカウンタ履歴テーブルの一例を示す図である。
【図11】図11は、機体テーブルの一例を示す図である。
【図12】図12は、消耗品状態テーブルのデータの一例を示す図である。
【図13】図13は、ユーザ/機体対応テーブルの一例を示す図である。
【図14】図14は、訪問間隔および交換間隔の算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図15】図15は、訪問間隔とコストとの関係を示す図である。
【図16】図16は、コストに対する許容値に応じた「訪問間隔下限」及び「訪問間隔上限」の例を示す図である。
【図17】図17は、交換間隔とコストとの関係を示す図である。
【図18】図18は、MFPが保持する情報の一例を示す図である。
【図19】図19は、「訪問日提示モード」の処理手順を示すフローチャートである。
【図20】図20は、訪問計画テーブルの一例を示す図である。
【図21】図21は、「訪問日提示モード」での処理結果として訪問予定日を一覧表示した表示例を示す図である。
【図22】図22は、「訪問日提示モード」での処理結果としてカレンダに訪問予定日を表示した表示例を示す図である。
【図23】図23は、「訪問日提示モード」での処理結果として各ユーザに対する保守作業の詳細内容を示す出力例を示す図である。
【図24】図24は、第2のMFPに対する保守計画の作成処理の概要を示す図である。
【図25】図25は、トータルカウンタ値とライフカウンタ値の関係を示す図である。
【図26】図26は、サービスマンによる取得データ(スポット収集データ)の一例を示す図である。
【図27】図27は、第2のMFPに対する保守計画の作成処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図28】図28は、第3のMFPに対する保守計画の作成処理の概要を示す図である。
【図29】図29は、トータルカウンタ値の推移を示す図である。
【図30】図30は、第3のMFPに対する保守計画の作成処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る画像処理装置の保守計画システムの概要を示す図である。
図1に示す保守計画システムは、複数の画像処理装置(画像形成装置)としてのデジタル複合機(MFP: Multi Function Periphera1)2と管理装置3とを有する。デジタル複合機2は、コピー、スキャナ、プリンタ、あるいは、各種のデータ通信機能などを有する。また、デジタル複合機2は、画像処理を行う機器であれば良く、たとえば、コピー機能のみのコピー機であっても良い。また、デジタル複合機2は、スキャナあるいはプリンタのみの機能を有する装置であっても良い。管理装置3は、当該システム内の各デジタル複合機2に対する保守計画を作成する機能を有する。
【0008】
各デジタル複合機2は、様々な形態(利用目的、設置環境、設置条件など)で運用される。たとえば、デジタル複合機は、運用形態に応じて、データ通信機能によるデータ通信量が制限されたり、データ通信機能を停止又は省略されたりすることがある。図1に示す保守計画システムでは、データ通信機能により通信回線10を介して定期的に詳細データを管理装置3へ送信するデジタル複合機2と、データ通信機能により通信回線10を介して定期的に簡易データのみを管理装置3へ送信するデジタル複合機2と、データ通信機能による通信回線10を介したデータ送信を行わないデジタル複合機2とがある。
【0009】
本実施の形態においては、詳細データを管理装置3へ定期的に送信するデジタル複合機2を第1のデジタル複合機2Aとし、簡易データを管理装置3へ定期的に送信するデジタル複合機を第2のデジタル複合機2Bとし、管理装置3への定期的なデータ送信を行わないデジタル複合機を第3のデジタル複合機2Cと分類するものとする。
【0010】
管理装置3は、第1のデジタル複合機2Aに対しては、通信回線10を介して定期的に取得する詳細データにより保守計画を作成する。また、管理装置3は、第2のデジタル複合機2Bに対しては、通信回線10を介して定期的に取得する簡易データと簡易データから推定されるデータとにより保守計画を作成する。また、管理装置3は、第3のデジタル複合機2Cに対しては、人的な作業により第3のデジタル複合機2Cから取得するデータ(スポット収集データ)により保守計画を作成する。すなわち、管理装置3は、様々な形態で運用されている各デジタル複合機に対して保守計画を作成する機能を有する。
【0011】
次に、保守計画による保守の対象となる画像処理装置としてのデジタル複合機(MFP)2の構成について説明する。
【0012】
図2は、MFP2内の構成を示す図である。
MFP2は、スキャナ100、制御部101、感光体ドラム102、帯電器103、走査露光部104、現像器105、転写チャージャ106、剥離チャージャ107、クリーナ108、給紙部109、用紙搬送部110、定着器111、排紙部112及び排紙トレイ114を備えている。なお、感光体ドラム102、帯電器103、走査露光部104、現像器105、転写チャージャ106、剥離チャージャ107、クリーナ108、給紙部109、用紙搬送部110、定着器111、排紙部112及び排紙トレイ114は、プリンタ120を構成する。
【0013】
スキャナ100は、原稿の画像を光学的に読み取って画像データを取得する。スキャナ100は、読み取った画像データを制御部101へ出力する。制御部101は、各部を制御する。原稿をコピーする場合、制御部101は、スキャナ100が読み取った原稿の画像データに応じてプリンタ120の各部を制御することにより被画像形成媒体としての用紙に原稿の画像を形成(プリント)する。
【0014】
感光体ドラム102は、副走査方向(感光体ドラム102の周方向)に回転する。感光体ドラム102の周辺近傍には、帯電器103が配置される。帯電器103は、感光体ドラム102の表面を均一に帯電する。走査露光部104は、走査露光部104内の半導体レーザを走査しながら画像信号に応じて発光/消灯する。この半導体レーザから出射されるレーザ光は、ポリゴンミラーなどの偏向器によって主走査方向(感光体ドラム102の回転軸方向)に走査する光となる。そしてレンズ等の光学系によって、レーザ光は感光体ドラム102上に照射される。帯電した感光体ドラム102にレーザ光が照射されると、照射された部位の電位が低下し、静電潜像が形成される。
【0015】
現像器105は、現像剤を感光体ドラム102に塗布することで、感光体ドラム102上にトナー像を形成する。一方、MFP2の底部には用紙トレイ113が設けられている。給紙ローラ115は、用紙トレイ113内の用紙130を1枚ずつ分離して、給紙部109に送り出す。給紙部109は、感光体ドラム102の転写位置まで用紙130を供給する。転写チャージャ106は、供給される用紙130にトナー像を転写する。剥離チャージャ107は、感光体ドラム102から用紙130を剥離する。
【0016】
トナー像が転写された用紙130は、用紙搬送部110によって搬送される。定着器111は、トナー像を用紙130に定着させる。排紙部112は、排紙トレイ114に画像が印刷された用紙130を排出する。
また、用紙130へトナー像の転写が終了した後、感光体ドラム102上の残留トナーはクリーナ108によって取り除かれる。感光体ドラム102は、初期状態に復帰し、次の画像形成の待機状態となる。
以上のプロセス動作を繰り返すことにより、画像形成動作が連続して行われる。
【0017】
次に、MFP2における制御系の構成について説明する。
図3は、MFP2における制御部101の構成例を示すブロック図である。
制御部101は、CPU(プロセッサ)150、ROM151、RAM152、不揮発性メモリ153、通信インターフェース154、スキャナ制御部155、プリンタ制御部156、操作パネル157および出力インターフェース158などを有する。
【0018】
CPU150は、例えば、プロセッサである。CPU150は、当該MFP2全体の制御を司る。CPU150は、ROM151あるいは不揮発性メモリ153に記憶されたプログラムを実行することにより種々の処理を実行する。ROM151は、制御プログラムおよび制御データなどを記憶する。RAM152は、ワーキングメモリ或はバッファメモリとして利用される。不揮発性メモリ153は、書換え可能な不揮発性のメモリである。不揮発性メモリ153は、制御プログラムおよび制御データなどを記憶する。
【0019】
また、不揮発性メモリ153は、MFP2の使用状況を示す値を記憶する状態情報テーブル153aを有する。状態情報テーブル153aは、詳細データあるいは簡易データとして用いるデータを記憶する。たとえば、状態情報テーブル153aは、当該MFP全体および各消耗品の動作(使用)回数を示すトータルカウンタ値を記憶する。また、状態情報テーブル153aは、各消耗品に対するライフを判定するためのライフカウンタ値を記憶する。さらに、不揮発性メモリ153は、当該MFP2内に設けた各センサが検知した値なども記憶する。
【0020】
また、状態情報テーブル153aは、プリントした総数を示すトータルカウンタ値として記憶する。また、状態情報テーブル153aは、プリントモード(カラープリント、モノクロプリントなど)ごとのプリント数をそれぞれカウントしたカウンタ値を記憶しても良い。状態情報テーブル153aには、用紙サイズごとのプリント数を記憶しても良い。また、状態情報テーブル153aには、プリンタ120以外の動作回数を示すカウンタ値を記憶しても良い。たとえば、状態情報テーブル153aは、スキャナ100が読み取った原稿の数をカウントしたカウンタ値を記憶しても良い。
【0021】
通信インターフェース154は、外部機器との通信を行うためのインターフェースである。通信インターフェース154は、ネットワークを介して管理装置3と通信するためのインターフェースである。スキャナ制御部155は、CPU150からの指示に応じてスキャナ100を制御する。プリンタ制御部156は、CPU150からの指示に応じてプリンタ120を制御する。操作パネル157は、ユーザによる操作指示が入力されるパネルである。操作パネル157は、表示部および操作キーを有する。たとえば、操作パネル157は、タッチパネルを有する表示装置とハードキーとにより構成する。
【0022】
出力インターフェース158は、サービスマンの操作によって出力するデータ(スポット収集データを出力するインターフェースである。スポット収集データは、たとえば、第1のMFPが定期的に送信する詳細データに相当するもので良い。また、サービスマンの操作によって、スポット収集データとして、たとえば、第2のMFPが定期的に送信する簡易データに相当するデータのみを出力できるようにしても良い。
【0023】
出力インターフェース158は、サービスマンがサービスセンタへ運び、サービスマンが管理装置3に入力できるデータを出力するものであれば良い。たとえば、管理装置3の入力インターフェース24がローカルに接続したメモリカードあるいは外部記憶装置などの記憶媒体からデータを取り込むインターフェースであれば、出力インターフェース158も、ローカルに接続したメモリカードあるいは外部記憶装置などの記憶媒体にスポット収集データを出力できるもので良い。また、管理装置3の入力インターフェース24がキーボードなどによりキー入力された情報を入力するインターフェースであれば、出力インターフェース158は、スポット収集データを示す情報をプリント120により紙に印刷するための出力を行うものであっても良い。
【0024】
図4は、保守計画システムの構成および管理装置3の構成例を示す図である。
保守計画システム(保守システム)は、管理装置3を設置したサービスセンタSが拠点となって、各MFP2に対する保守サービスを行う。サービスセンタSには、ルータ11およびファイアウォール12を設け、外部からの不正なアクセスを排除する。管理装置3は、ファイアウォール12による非武装地帯(DMZ)に設置される。管理装置3は、特定のアクセスのみが許可される。
【0025】
管理装置3は、CPU(プロセッサ)20、メモリ21、通信インターフェース22、記憶部23、入力インターフェース24及び出力インターフェース25を有する。
CPU20は、管理装置3全体の統括的な制御を司る。また、CPU20は、プログラムを実行することにより種々の処理を実現する機能を有する。メモリ21は、CPU20により実行されるプログラムが格納する。例えば、CPU20が後述する故障履歴解析部204、保守計画部206、カウンタ変換部208あるいは最新値算出部209として機能するためのプログラムは、メモリ21に記憶する。なお、CPU20が実行するプログラムは、記憶部23に記憶しても良い。
【0026】
通信インターフェース22は、通信回線10を介してMFP2との間で情報を授受するためのインターフェースである。また、通信インターフェース22は、サービスセンタS内のファイアウォール12およびLANを介して端末26と通信するインターフェースとしても機能する。記憶部23は、通信インターフェース22あるいは入力インターフェース24を介して各MFP2から取得したデータなどを記憶する。各MFP2から取得するデータは、保守履歴に関するデータ、使用状況に関するデータなどである。
【0027】
入力インターフェース24は、データを入力するためのインターフェースである。入力インターフェース24は、たとえば、キーボード、マウスなどの入力装置により動作指示又はデータを入力するためのインターフェースである。また、入力インターフェース24は、ローカルに接続されるメモリカードあるいは外部記憶装置などの記憶媒体からデータを入力するインターフェースであっても良い。出力インターフェース25は、情報を出力するためのインターフェースである。出力インターフェース25は、ローカルに接続されるメモリカードあるいは外部記憶装置などの記憶媒体にデータを出力するものであっても良いし、プリンタにより情報を紙に印刷するためのデータを出力するものであっても良いし、表示装置に表示データを出力するものであっても良い。
【0028】
次に、MFP2に対する保守計画の概要について説明する。
MFP2などの画像処理装置の保守には、定期保守(PM: Preventive Maintenance)と突発的な保守(EM: Emergency Maintenance)がある。PMでは、MFP毎に設定された定期的なタイミングでサービスマンPが保守対象であるMFP2を訪れて当該MFP2の消耗品交換や清掃、動作確認をしていた。また、EMでは、偶発的に故障が発生した場合に、ユーザからのサービスコールを受けてMFP2の修理に出かけていた。
【0029】
PM作業に関しては、1台のMFP2に対して複数の消耗品が存在するため、PM時に全ての消耗品が劣化している訳ではない。まだ寿命に達していない消耗品を交換してしまうとロスが生じる。また、偶発的に故障が発生した場合に故障した一部の消耗品のみをその時に交換してしまうと、交換した消耗品についてはPMのサイクルから交換時期のずれが生じてしまう。
【0030】
このような状況で、PMやEMで客先を訪れた場合に、どの部品を交換し、どの部品を使い続けるかを判断することは困難である。
即ち、サービスマンPは、設定されたPMサイクルを基本とするものの、経験に基づいて個別に各消耗品の交換時期の調整を行い、ロスを減らそうとする。しかし、むやみに交換時期を遅らせて消耗品の使用時間を延ばすことによるコスト削減を計ると、逆に消耗品の故障リスクが高くなり、MFPが使用できないことによるユーザの損害が生じてしまう。また、消耗品個々に交換時期を変えてしまうと訪問回数が増加して反対にメンテナンスコストがかかってしまうことも考えられる。
【0031】
そこで、本実施の形態の保守計画システムは、消耗品に対しては、PMサイクルのみで交換するのではなく、よりキメ細かい保全計画を作成する。即ち、「いつ客先を訪問するか」を示す「訪問間隔」と、客先訪問時に「どの部品を交換するべきか」を示す「交換間隔」の2つの指標を設定する。そして、「訪問間隔」に従ってPMで客先を訪問するとともに、PMやEMで客先を訪れた場合に、PMやEMの対象となった部品以外の部品に対して、「交換間隔」に従って交換の必要性を決定する。これによって、保守のコストと故障のリスクを最適化する。
【0032】
次に、本実施の形態の保守計画システムにおいて保守計画の対象となる各デジタル複合機(MFP)2の分類について説明する。
本実施の形態の保守計画システムでは、保守計画の対象となるデジタル複合機が第1、第2、第3のデジタル複合機2A、2B、2Cの3つに分類されるものとする。
上述したように、第1のデジタル複合機2Aは、通信回線10を介して管理装置3へ定期的に詳細データを送信する。詳細データは、デジタル複合機2内の各センサおよび各カウンタの値などの装置全体の動作状況(使用状況)を詳細に示すデータである。たとえば、詳細データには、感光体ドラム102の表面電位を測定するセンサの出力値、あるいは、定着器111の内部温度を測定するセンサの出力値などの各種センサが検知した値、各消耗品の現在のライフカウンタ値(各消耗品の劣化度を把握するのに有効である物理量に対応したカウンタ値)、トータルカウンタ値(MFPがプリントした総数)などが含まれる。また、詳細データは、デジタル複合機の使用状況を示す出力可能な全てのデータを含むものであっても良い。
【0033】
上記のような詳細データは、不揮発性メモリ153の状態情報テーブル153aに記憶するようにすれば良い。第1のデジタル複合機2Aは、定期的に状態情報テーブル153aから詳細データを抽出し、抽出した詳細データを管理装置3へ送信するようにすれば良い。
【0034】
また、第2のデジタル複合機2Bは、通信回線10を介して定期的に簡易データを管理装置3へ送信する。簡易データとは、上述した詳細データに含まれるデータのうち一部のデータである。たとえば、簡易データは、プリント枚数に応じて課金するためのデータであっても良い。課金に利用される簡易データとしては、たとえば、カラーのプリント数、モノクロのプリント数、サイズ別のプリント数などのカウンタ値、および、全プリント数としてのトータルカウンタ値が含まれることが多い。本実施の形態では、簡易データには、少なくともトータルカウンタ値が含まれるものとする。
【0035】
なお、第2のMFP2Bは、たとえば、不揮発性メモリ153の状態情報テーブル153aに上述したような詳細データに相当するデータを記憶するようにして良い。この場合、第2のMFP2Bは、定期的に、状態情報テーブル153aに記憶したデータからトータルカウンタ値を含む簡易データを抽出し、抽出した簡易データを管理装置3へ送信する。また、第2のMFP2Bは、状態情報テーブル153aが記憶する簡易データ以外のデータを、後述する第3のMFP2Cと同様に、サービスマンPの人的な操作によりスポット収集データとして出力できる。
【0036】
また、第3のデジタル複合機2Cは、通信回線10を介した管理装置3との通信は行わず、サービスマンなどの人手を介して詳細データあるいは簡易データを管理装置3へ入力する。第3のデジタル複合機2Cは、通信回線10を介した外部機器(管理装置3を含む)とのネットワーク接続を不可(不要)とする運用形態である。このため、第3のデジタル複合機2Cは、ネットワークに接続させなければ、ハードウエア構成自体は第1或いは第2のデジタル複合機と同様であっても良い。
【0037】
なお、第3のMFP2Cは、不揮発性メモリ153の状態情報テーブル153aに上述したような詳細データに相当するデータを記憶するようにして良い。この場合、第3のMFP2Cは、サービスマンPによる直接的な操作に応じて状態情報テーブル153aに記憶したデータを出力インターフェース158により出力する。つまり、第3のMFP2Cは、サービスマンPによる人的な操作によって詳細データに相当するスポット収集データあるいは簡易データに相当するスポット収集データを所定の形式で出力できる。サービスマンPの操作により第3のMFP2Cから取り出したデータは、サービスマンPによる人的な操作によって管理装置3に入力される。
【0038】
上記のような3つの分類は、各MFPの運用形態に応じたものである。つまり、同じ機種のMFP2であっても、各MFPごとに利用環境あるいは利用目的が異なるため、取得可能なデータあるいはデータの取得方法が異なる運用となっている。
たとえば、コピー専用機として運用するデジタル複合機は、外部装置との通信機能を持たない第3のデジタル複合機2Cとして運用されることが多い。また、通信回線を介した外部装置とのネットワーク接続できる整備がない設置環境では、デジタル複合機は、第3のデジタル複合機2Cとして運用されることが多い。また、通信回線を介した外部装置とのネットワーク接続を厳しく制限している設置環境においても、デジタル複合機は、第3のデジタル複合機2Cとして運用されることが多い。
【0039】
また、遠隔からのメンテナンスなどには対応せず、遠隔からの課金サービスにだけ対応する運用形態のデジタル複合機は、第2のデジタル複合機2Bとして運用される。課金サービスにだけ対応する第2のデジタル複合機2Bは、機体の状態に関する詳細データを管理装置3へ通知せず、課金に関連するトータルカウンタ値などの簡易データのみを管理装置3へ通知する。また、通信環境が不十分で、大容量のデータ送信が出来ないなどの理由から送信するデータを制限している設置環境においても、デジタル複合機は、第2のデジタル複合機2Bとして運用される。
【0040】
上記のように、管理装置3への通信機能を有するデジタル複合機であっても、実際の運用形態では詳細データを管理装置3へ送信できないことが多い。したがって、実際のさまざまな運用形態に対応するには、第1のデジタル複合機2Aに対する保守計画の作成だけでは、システム全体としては効率的とは言えないことがある。このため、本実施の形態の保守計画システムは、第1のデジタル複合機2Aだけでなく、第2のデジタル複合機2Bおよび第3のデジタル複合機2Cに対しても保守計画を作成する。
【0041】
たとえば、管理装置3は、第2のデジタル複合機2Bに対しては、定期的に取得可能な簡易データから保守計画の作成(最適化)に必要なデータ(詳細データに相当するデータ)を推定し、推定したデータから保守計画を作成する。
また、管理装置3は、第3のデジタル複合機2Cに対しては、通信回線10を介した通信以外の方法(人的なデータ入力)により、詳細データあるいは簡易データを取得し、取得したデータから保守計画の作成(最適化)に必要なデータ(詳細データに相当するデータ)を推定し、保守計画を作成する。
【0042】
次に、第1のデジタル複合機2Aに対する保守計画の作成について説明する。
図5は、第1のデジタル複合機(MFP)2Aに対する保守計画の作成処理の概要を示す図である。 図5に示す第1のMFP2Aに対する保守計画作成処理について説明する。サービスマンPは、サービスセンタSを拠点に、複数の箇所に設置され、様々な形態で運用されている複数のMFP2に対する保守サービスを提供する。
【0043】
サービスマンPによる保守作業終了した後、通信機能を有するMFP2A及び2Bは、通信回線10を介して管理装置3へ保守履歴データを送信する。管理装置3は、通信インターフェース22によりMFPからの保守履歴データを受信し、受信した保守履歴データを記憶部に記憶する。
【0044】
また、通信機能を有しないMFP2Cに対する保守作業を行った場合、サービスマンPはサービスセンタSに戻ってから、保守業務の報告としてまとめられた作業記録から、管理装置3に保守履歴データを入力する。管理装置3は、サービスマンPが入力した保守履歴データを入力インターフェース24を介して受け取り、受け取った保守履歴データを記憶部23に記憶する。なお、保守履歴データは、通信機能を有するMFP2A及び2Bであっても、サービスマンが管理装置3に入力するようにしても良い。
【0045】
また、通信機能を有するMFP2Aは、設定されている定期通信時刻(例えば、毎日10時)になると、使用状況に関するデータを収集し、収集したデータを詳細データとして管理装置3へ送信する。管理装置3は、通信インターフェース22によりMFP2Aからの詳細データを受信し、受信した詳細データを記憶部23に記憶する。また、通信機能を有するMFP2Bは、設定されている定期通信時刻(例えば、毎日10時)になると、所定の簡易データを管理装置3へ送信する。管理装置3は、通信インターフェース22によりMFP2Aからの簡易データを受信し、受信した簡易データを記憶部23に記憶する。 管理装置3は、記憶部23に記憶した保守履歴データおよび詳細データにより第1のMFP2Aに対する保守計画を作成する。管理装置3は、保守計画を作成するための機能として、故障履歴解析部204と保守計画部206とを有する。故障履歴解析部204および保守計画部206は、たとえば、CPU20がメモリ21に記憶したプログラムを実行することにより実現する処理機能であって良い。故障履歴解析部204は、記憶部23に記憶した過去の保守履歴データをもとに各消耗品毎に故障率分布を算出し、その故障率分布に基づいて故障予測を行う。保守計画部206はが、通信回線10を介して各MFP2から収集した使用状況に関するデータ(詳細データ)により次回の訪問時期及び訪問時に交換する消耗品のリストを算出する。
【0046】
続いて、管理装置3が、第1のMFP2Aから定期通信により取得する詳細データにより保守計画を作成するための各構成の機能について説明する。 故障履歴解析部204は、MFP2に対して行った保守作業に関する履歴情報としての保守履歴データに基づいて各消耗品についての故障率分布を算出する。上述のように、MFP2に対して行った保守作業に関する履歴情報(保守履歴データ)は、MFP2からの通信、あるいは保守作業を行なったサービスマンPの操作によって管理装置3に入力されることにより、記憶部23に記憶される。
【0047】
また、保守計画部206は、図5に示すように、主たる処理機能として、訪問間隔算出部211、交換間隔算出部212および保守計画算出部213を有する。
保守計画部206は、訪問間隔算出部211により各消耗品の故障率分布と所定のコストとリスクに基づいて、保守作業のために訪問するべき時間間隔を規定する「訪問間隔」を各消耗品について算出する。また、保守計画部206は、交換間隔算出部212により各消耗品の故障率分布と所定のコストとリスクに基づいて、交換するべき時間間隔を規定する「交換間隔」を各消耗品について算出する。
【0048】
「消耗品」としては、例えば感光体ドラム102、帯電チャージャワイヤ、定着ローラおよび転写ベルト等が挙げられる。「消耗品」としては、それぞれが異なる機能を有する複数の消耗部品が一体的にユニット化されたカートリッジをも含んでも良い。
【0049】
また、ここでの「所定のコストとリスク」とは、サービスマンによる保守作業にかかる人件費、消耗品の材料費およびユーザが保守対象である機器を使用できないことにより生じる損失額の合計である。
【0050】
一方、第1のMFP2Aは、通信回線10を介して、各消耗品の現在のライフカウンタ値などを含む詳細データを定期的に管理装置3へ送信する。ここでのライフカウンタ値とは、感光体ドラム102であれば、例えば累積の回転数であり、帯電器103であれば、例えば累積の駆動時間のように、MFP2に装着される各消耗品の劣化度を把握するのに有効である物理量に対応したカウンタ値を意味している。MFP2における各部品の保守には、当該MFP2における画像処理数(例えば、原稿をスキャンした枚数、印刷した枚数などのシート処理枚数)を示すトータルカウンタ値を利用することも多い。ただし、MFPの機能が複雑になればなるほど、トータルカウンタ値だけでは部品毎に適合した劣化の進行を判定するのが難しくなる。例えばカラー機(カラー対応のMFP)では、モノクロ印刷時にはカラー用の感光体ドラム102は稼働しないため、トータルカウンタ値だけでは、各感光体ドラムの劣化を適切に判定するのが難しい。また、用紙トレイ113が用紙サイズに応じて多段化したMFPでは、用紙トレイによって使用頻度が大きく異なることが多くなるため、部品毎に劣化の進行の乖離が大きいことが予測される。従って、MFPに対する保守計画では、各種の消耗品に対してそれぞれに対応するライフカウンタによって管理する必要性が高い。本保守計画システムでは、管理装置3は、MFPにおける各消耗品に対応するライフカウンタ値を記憶部23に格納する。
【0051】
保守計画部206は、保守計画算出部213により訪問間隔算出部211が算出した訪問時期に関する情報と交換間隔算出部212が算出した交換時期に関する情報、および第1のMFP2Aから詳細データとして取得した各消耗品のライフカウンタ値に基づいて、次回訪問すべきタイミングと該タイミングにおいて交換すべき消耗品のリストを算出する。
【0052】
図6A、図6Bは、本実施の形態の保守計画システムにて利用されるデータのフォーマットと、各データテーブルの関係を示す図である。
本システムで使用するデータテーブルには、「ユーザ」テーブル301、「サポートセンタ」テーブル302、「機種」テーブル303、「機体」テーブル304、「消耗品」テーブル305、「ユーザ/機体対応」テーブル306、「保守履歴」テーブル307、「消耗品状態」テーブル308、「トータルカウンタ履歴」テーブル309、「サービスマン」テーブル310、「訪問計画」テーブル311及び「ライフカウンタ履歴」テーブル312が備えられている。これらのテーブル301〜312は、記憶部23に設けられる。
【0053】
「ユーザ」テーブル301には、各ユーザに対する定数が設定されている。「サポートセンタ」テーブル302には、サービスセンタSに対する定数が設定されている。「機種」テーブル303には、機種に対する定数が設定されている。「機体」テーブル304には、各機体に対する定数や使用状況から算出される変数が設定される。「消耗品」テーブル305には、消耗品に対する定数や市場データから算出される故障率用変数が設定される。「ユーザ/機体対応」テーブル306には、ユーザが所有する機体とユーザとの対応が示される。「保守履歴」テーブル307には、サービスマンの保守作業履歴が記録される。「消耗品状態」テーブル308には、各消耗品の状態が設定される。「トータルカウンタ履歴」テーブル309には、各機体のトータルカウンタ履歴が記録される。「サービスマン」テーブル310には、サービスマンに対する定数が設定される。「訪問計画」テーブル311には、各機体の訪問予定日と交換消耗品リストが設定される。「ライフカウンタ履歴」テーブル312には、各機体の消耗品毎のライフカウンタ履歴が記録される。
【0054】
図中の矢印は、矢印の元の属性を矢印の先の属性に設定することを示す。矢印の先の属性の「.」の前は参照元のテーブル名、「.」の後は参照元の属性名を示す。例えば、「保守履歴」テーブル307の「機体.ID」は、「機体」テーブル304の「ID」を表す。
【0055】
サービスマンPは保守業務を行った時に、MFP2のメモリに設定されているデータを更新する。
図7は、MFP2の不揮発性メモリ153の状態情報テーブル153aに保持する情報の例を示す図である。サービスマンPは、交換対象となった消耗品に対して、MFP2のメモリに設定されている現在の使用トータルカウンタ値を「前回交換トータルカウント」に、現在の使用ライフカウンタ値を「前回交換ライフカウント」にセットし、使用トータルカウンタ値と使用ライフカウンタ値を0にリセットする。交換の理由が、壊れて交換した場合は、状態情報テーブル153aに設定されている「ライフ到達」に「×」をセットし、壊れてはいないが設定ライフに到達したため交換した場合は、「ライフ到達」に「○」をセットする。
【0056】
第1のMFP2Aは、通信インターフェース154により、通信回線10を介して、管理装置3に接続する。サービスマンPによる保守作業が終了した場合、第1のMFP2Aは、保守作業の内容を示す保守履歴データを管理装置3へ送信する。保守履歴データを受信した管理装置3は、記憶部23の保守履歴テーブル307を更新する。図8は、上述のようにして内容が更新された保守履歴テーブル307の一例を示す図である。
【0057】
また、第1のMFP2Aは、定期通信時刻(例えば、毎日10時)になると、管理装置3へ詳細データを送信する処理を行う。たとえば、第1のMFP2AのCPU150は、定期通信時、当該MFPのID番号、現在の日時、現在のトータルカウンタ値、各消耗品の現在のトータルカウンタ値、ライフカウンタ値等を含む詳細データを作成する。第1のMFP2AのCPU150は、作成した詳細データを管理装置3に対して送信する。管理装置3は、第1のMFP2Aから受信した詳細データを、記憶部23のトータルカウンタ履歴テーブル309、ライフカウンタ履歴テーブル312に反映させる。詳細データを送信した後、第1のMFP2Aは、通信のステータスおよび追加情報を確認し、管理装置3との通信を終了する。
【0058】
故障履歴解析部204は、保守履歴テーブル307をもとに、各消耗品の故障率分布の推定を行う。故障分布解析では、式(1)に示すワイブル分布(m:形状パラメータ、η:尺度パラメータ)へのフィッテイングを行う。
F(t)=1−e{−(t/η)^m} ・・・式(1)
以下、図8を参照しつつ機種Aの消耗品である感光体ドラム102の故障分布解析方法を説明する。
故障履歴解析部204は、感光体ドラム102の故障率分布を求めるために、記憶部23の保守履歴テーブル307から読込んだ「前回交換ライフカウンタ」と「ライフ到達」を参照する。
なお、保守履歴テーブル307の右端「ライフ到達」が「×」の項目は、感光体ドラム102がPMの時期に到達する前に故障したときのデータであり、「○」の項目は、故障せずにPMに到達したために交換してしまったときのデータである。このように故障前に交換が行われたデータ(○の項目)を含むデータを「打ち切りデータ」と言う。「打ち切りデータ」を含むデータの解析手法として累積ハザード法が知られている。累積ハザード法を用いて、各タプルの故障間隔(前回交換ライフカウンタ)をもとにワイブル分布の形状パラメータmと尺度パラメータηを推定する。そして、消耗品テーブル305の故障分布関連変数を更新する。図9は、消耗品テーブル305の一例を示す図である。
故障履歴解析部204は、消耗品テーブル305の「機種.名称」と「略称」が、「機種A」と「感光体ドラム」に合致するタプルを抽出し、「故障分布パラメータ1」に形状パラメータmを「故障分布パラメータ2」に尺度パラメータηを代入する。「故障分布分類」には、ワイブル分布に相当する定数(=0)を設定する。消耗品毎にこの計算を行い、記憶部23の消耗品テーブル305を更新する。なお、図中、「故障分布パラメータ2」にある「K」の表記は、単位の「1000」を表す。この故障率分布の推定は、一定量の保守履歴データが追加入力された場合や月に一度等の定期的なタイミングで実行される。
【0059】
図10は、ライフカウンタ履歴テーブル312の一例を示す図である。図11は、機体テーブル304の一例を示す図である。
【0060】
故障履歴解析部204は、ライフカウンタ履歴テーブル312をもとに、消耗品毎に1日当たりのライフカウンタの進度分布を算出する。即ち、ライフカウンタ履歴テーブル312から「機体.ID」、「消耗品.略称」が同じタプルを抽出する。そして、「ライフカウンタ取得日」の差(日数)と「ライフカウンタ」の変化量をもとに、一日あたりのカウンタ変化量(進度)の平均値と分散を算出する。そして、「消耗品状態」テーブル308の「ライフカウンタ進度平均」には算出したカウンタ進度の平均値を代入し、「ライフカウンタ進度分散」には算出したカウンタ進度の分散を代入する。
【0061】
次に、故障履歴解析部204は、ライフカウンタ履歴テーブル312から「機体.ID」「消耗品.略称」が同じタプルを抽出する。そして抽出された全タプルから最新の「ライフカウンタ取得日」を持つタプルを特定する。特定されたタプルの「ライフカウンタ取得日」を消耗品状態テーブル308の「ライフカウンタ取得日」に代入し、特定されたタプルの「ライフカウンタ」値を消耗品状態テーブル308の「ライフカウンタ」に代入する。図12は、消耗品状態テーブル308のデータの一例を示す図である。 次に、保守計画部206の動作について説明する。
保守計画部206は、「戦略策定モード」と、「訪問日提示モード」とを備えている。「戦略策定モード」は、ある一定量の保守履歴データが記憶部23に追加登録された場合や、月に一度等の定期的なタイミングで最適な保守計画の作成を実行するモードである。「訪問日提示モード」は、サービスマンPが作成された保守計画の内容を確認するモードである。サービスマンPは、ほぼ毎日このモードを使用する。
【0062】
まず、「戦略策定モード」について説明する。
保守計画部206は、同一の場所に設置されているMFPを抽出するために「ユーザ/機体対応」テーブル306を参照する。図13は、「ユーザ/機体対応」テーブル306の一例を示す。保守計画部206は、「ユーザ/機体対応」テーブルの「ユーザID」で照合された全てのタプルを抽出し、「機体ID」の一覧を得る。保守計画部206は、各MFPについて、訪問間隔算出部211により消耗品毎に「訪問間隔」「訪問間隔下限」「訪問間隔上限」を算出し、交換間隔算出部212により「交換間隔」を算出する。更に、保守計画部206は、保守計画作成部213により「訪問間隔」「訪問間隔下限」「訪問間隔上限」および「交換間隔」をもとに、サービスマンPが客先の訪問を行うべき訪問予定日と、訪問時に交換すべき各機体の消耗品のリストを算出する。サービスマンPは、これに基づいて保守作業を行う。
【0063】
続いて、「訪問間隔」「訪問間隔下限」「訪問間隔上限」と「交換間隔」の算出方法について説明する。ユーザIDがA00012のユーザを例に、図14のフローチャートを用いて、詳しく説明する。
【0064】
保守計画部206は、ACT1001において、図13に示す「ユーザ/機体対応」テーブルから、「ユーザID」が「A00012」に対応する全タプルを抽出する。ユーザIDが同一のMFPは、同一場所に設置しているMFP群である。図13に示す例では、ユーザIDが「A00012」に対応する「機体ID」は「100213」「100214」「101501」の3つである。次に、保守計画部206は、ACT1002において、訪問間隔算出部211により「機体ID」が「100213」の機体の各消耗品について「訪問間隔」を算出する。訪問間隔算出部211は、故障率分布と所定のコストとリスクに基づいて、保守作業のために訪問するべき時間間隔を規定する「訪問間隔」を各消耗品について算出する。
【0065】
ここで、所定のコストとリスクとは、一定期間に発生する、サービスマンの修理にかかる人件費、交換した消耗品の材料費、予期せぬ機体故障によりユーザが機体を使えないことにより生じる損失(即ち、ダウンタイム損失)の合計を指し、以下の式で算出される。
【0066】
人件費=(「ユーザ.移動時間」+Σ交換消耗品の「消耗品.交換時間」)×「サポートセンタ.サービスマン単価」
材料費=Σ交換消耗品の「消耗品.単価」
ダウンタイム損失=「ユーザ.移動時間」×「機体.ダウンタイム損失単価」
なお、「ユーザ.移動時間」はサービスセンタSからユーザ所在地までの移動時間を示す。
【0067】
図15に示すように、「訪問間隔」を大きく設定すると、訪問回数が減るため、コスト(人件費と材料費)が小さくなるが、一方で故障率が高くなるため、リスク(ダウンタイム損失)が大きくなる。従って、コストとリスクの合計が最小となる「訪問間隔」が存在する。更に図16に示すように、コストリスク曲線の最小値に予め設定された比率(例えば、1.05倍)を掛けた値を許容値として、コストリスク曲線との交点を求め、この交点を「訪問間隔下限」「訪問間隔上限」とする。
【0068】
上記の計算のために、保守計画部206は、対象機体のIDを機体テーブル304の「機体ID」から検索して、その機体テーブル304の「機種.名称」を抽出する。そして、保守計画部206は、抽出した「機種.名称」を備える消耗品テーブル305を全て抽出する。同様に、保守計画部206は、ユーザ/機体対応テーブルから、「ユーザID」を抽出する。次に、保守計画部206は、消耗品毎に消耗品テーブル305の「単価」「交換時間」「故障分布分類」、「故障分布パラメータ1」、「故障分布パラメータ2」で表される故障確率と消耗品状態テーブル308の「ライフカウンタ進度平均」「ライフカウンタ進度分散」を抽出する。
【0069】
また、保守計画部206は、ユーザテーブル301から「移動時間」を、サポートセンタテーブル302から「サービスマン単価」を抽出する。保守計画部206は、抽出した各パラメータから、図15に示すコストリスク曲線(コストとリスクの合計)を計算し、各消耗品についての「訪問間隔」「訪問間隔下限」「訪問間隔上限」を求める。保守計画部206は、算出した各消耗品についての「訪問間隔」「訪問間隔下限」「訪問間隔上限」を消耗品状態テーブル308に設定する。同様に、保守計画部206は、「機体ID」が「100214」「101501」の2機体の各消耗品に対しても、「訪問間隔」「訪問間隔下限」「訪問間隔上限」を算出し、各消耗品についての「訪問間隔」「訪問間隔下限」「訪問間隔上限」を消耗品状態テーブル308に設定する。
【0070】
また、保守計画部206は、ACT1003において、交換間隔算出部212により「機体ID」が「100213」の機体の各消耗品について、「交換間隔」を算出する。「交換間隔」とは、サービスマンPが、「機体ID」が「100213」の他の消耗品と「機体ID」が「100214」「101501」の全ての消耗品の都合(「訪問間隔」に従ったPM、突発的な故障によるEM)で訪問した際に、ついでに交換した方が所定のコストとリスクが小さいか否かを判定する指標である。つまり、対象の消耗品を別の消耗品の交換のついでに交換することにより、改めて当該消耗品のPMやEMによる訪問の訪問回数を削減できるが、一方でライフに達す前に交換してしまうため、交換回数は増加する。
【0071】
従って、図16に示すように、他の消耗品の都合による訪問時のついでに交換時のコスト(交換コスト)と、対象の消耗品自体のPM到達、EM発生により生じるコストとリスク(訪問コストリスク)の損益分岐点が「交換間隔」であり、訪問時に「交換間隔」に到達している消耗品は交換した方が所定のコストとリスクは低くなる。
【0072】
このようにして、保守計画部206は、「機体ID」が「100213」の他の消耗品と「機体ID」が「100214」「101501」の全ての消耗品の都合による訪問時のついでに交換時のコスト(交換コスト曲線)と、対象の消耗品自体のPM到達、EM発生により生じるコストとリスク(訪問コストリスク曲線)を計算して、「交換間隔」を求める。保守計画部206は、各消耗品についての「交換間隔」を消耗品状態テーブル308に設定する。
【0073】
同様に、保守計画部206は、「機体ID」が「100214」の機体の各消耗品について、「機体ID」が「100214」の他の消耗品と「機体ID」が「100213」「101501」の全ての消耗品の都合による訪問時のついでに交換時のコスト(交換コスト曲線)と、対象の消耗品自体の訪問コストリスク曲線から「交換間隔」を求め、「機体ID」が「101501」の機体の各消耗品について、「機体.ID」が「101501」の他の消耗品と「機体ID」が「100213」「100214」の全ての消耗品の都合による訪問時のついでに交換時のコスト(交換コスト曲線)と、対象の消耗品自体の訪問コストリスク曲線から「交換間隔」を求める。保守計画部206は、各消耗品についての「交換間隔」を消耗品状態テーブル308に設定する。
【0074】
また、第1のMFP2Aは、定期通信時に追加情報として消耗品状態テーブル308の「訪問間隔(最適訪問間隔)」「訪問間隔下限」「訪問間隔上限」と「交換間隔」を管理装置3からダウンロードし、自らの不揮発性メモリ153に設定する。これにより、第1のMFP2Aは、適宜自らの操作パネル157の表示部に最適戦略である「訪問間隔」「訪問間隔下限」「訪問間隔上限」、「交換間隔」を表示し、ユーザに提示することができる。図18は、MFP2の不揮発性メモリ153に保持する情報の一例を示す図である。図18に示す例では、各消耗品ごとに、「最適訪問間隔」、「訪問間隔下限」、「訪問間隔上限」、および「交換間隔」が記憶される。
【0075】
続いて、「訪問日提示モード」について説明する。
「訪問日提示モード」では、サービスマンPが、日常的に次回の訪問日、即ち、機器の訪問タイミングを確認する場合を想定している。保守計画部206は、定期的に(例えば、毎日6時)実行されるスケジュール機能を有する。保守計画部206は、定期的に、機体テーブル304に登録されている全ての機体に対して、「訪問予定日」と「交換消耗品リスト」を算出して、訪問計画テーブル311を更新する。
【0076】
図19は、訪問日提示モードの概略の処理手順を示すフローチャートである。
【0077】
保守計画部206は、ACT1101において、「ユーザ」テーブル301に登録されている全てのユーザに対して、ユーザ/機体対応テーブル306の「ユーザ.ID」を照合し、合致する「ユーザID」を持つ全てのタプルを抽出し、「ユーザ.ID」毎の「機体ID」を得る。更に、保守計画部206は、ACT1102において、抽出された全ての「機体ID」と消耗品状態テーブル308の「機体ID」を照合する。保守計画部206は、合致する「機体ID」を持つ消耗品状態テーブル308を全て抽出し、「ライフカウンタ取得日」、「ライフカウンタ」、「ライフカウンタ進度平均」、「訪問間隔」「訪問間隔下限」「訪問間隔上限」、「交換間隔」を参照する。
【0078】
ACT1103において、保守計画部206は、訪問日算出部216により同一場所に設置されている保守対象の各機体の全ての消耗品について、次回の訪問推奨日を算出する。保守計画部206は、次回の訪問推奨日を式(4)で算出する。
訪問推奨日=ライフカウンタ取得日+(訪問間隔−ライフカウンタ)/ライフカウンタ進度平均 ・・・式(4)
ACT1104において、保守計画部206は、各消耗品の訪問推奨日のうち最短のものを、最適訪問日として確定し、更に該当する消耗品から訪問日下限と訪問日上限を算出する。保守計画部206は、訪問日下限と訪問日上限とを式(6)、式(7)で算出する。
訪問日下限=ライフカウンタ取得日+(訪問間隔下限−ライフカウンタ)/ライフカウンタ進度平均・・・式(6)
訪問日上限=ライフカウンタ取得日+(訪問間隔上限−ライフカウンタ)/ライフカウンタ進度平均・・・式(7)
保守計画部206は、算出した「最適訪問日」「訪問日下限」「訪問日上限」を訪問計画テーブル311に設定する。
【0079】
ACT1105において、保守計画部206は、サポートセンタ毎に所属する全てのサービスマンに対して、管理対象となる機体の訪問予定日と交換消耗品リストを算出する。訪問予定日の算出方法として線形計画法が知られている。線形計画法は、一次式で表された制約条件のもとで、一次式で表された目的関数を最小あるいは最大にする手法であり、具体的なアルゴリズムとしてはシンプレックス法などが知られている。線形計画法は、制約条件と目的関数さえ記述できれば、公開されているツールで自動的に問題を解くことが出来る。従って、制約条件と目的関数の設定について、詳細に記述する。
【0080】
保守計画をたてる期間を、明日からn日後までとする。今日からの日数を表す変数をi(1≦i≦n)、対象となるユーザ拠点数をm個とする。移動もとを表す変数j、異動先を表す変数をkとする。今日からi日後に、ユーザ拠点jからユーザ拠点kに移動して保守作業を行うことを表す変数をx(i,j,k)とする。(x(i,j,k)∈{0,1}、「1」は移動して保守作業を行うことを表し、「0」は移動しないことを表す)。なお、サポートセンタもユーザ拠点と同じ扱いで、拠点番号を0とする(0≦j≦m、0≦k≦m)。
【0081】
制約条件としては、以下が考えられる。
【0082】
条件1:各ユーザの訪問日下限a(k)と訪問日上限b(k)間に1回訪問する
条件2:サービスマンが1日に保守作業を行う時間の合計は保守時間上限c以内
条件3:保守を行う日は、サポートセンタから移動を開始しサポートセンタに帰る
条件4:サービスマンの休日はどこにも訪れない。 条件1は、式(8)で表される。
【0083】
x(a(k),0,k)+x(a(k),1,k)+ … +x(a(k),m,k)
+ x(a(k)+1,0,k)+x(a(k)+1,1,k)+ … +x(a(k)+1,m,k)
+ …
+ x(b(k),0,k)+x(b(k),1,k)+ … +x(b(k),m,k)
= 1 ・・・ 式(8)。
【0084】
条件2は、式(9)で表される。
【0085】
d(i,0,0)・x(i,0,0)+d(i,1,0)・x(i,1,0)+ …
+d(i,m,0)・x(i,m,0)
+d(i,0,1)・x(i,0,1)+d(i,1,1)・x(i,1,1)+ …
+d(i,m,1)・x(i,m,1)
+ …
d(i,0,m)・x(i,0,m)+d(i,1,m)・x(i,1,m)+ …
+d(i,m,m)・x(i,m,m) ≦ c ・・・ 式(9)
ここで、d(i,j,k)は、ユーザ拠点jからkへの移動時間とi日の拠点kにおける作業時間の合計を表す。
【0086】
条件3は、式(10)〜式(14)で表される。
【0087】
x(i,j,0)+x(i,j,1)+ … +x(i,j,m) ≦ 1 ・・・ 式(10)
x(i,0,k)+x(i,1,k)+ … +x(i,m,k) ≦ 1 ・・・ 式(11)
x(i,0,0)+x(i,1,1)+ … +x(i,m,m) = 0 ・・・ 式(12)
x(i,j,0)+x(i,j,1)+ … +x(i,j,m)
−x(i,0,j)−x(i,1,j)− … −x(i,m,j) = 0 ・・・ 式(13)
−m・(x(i,0,0)+x(i,0,1)+ … +x(i,0,m))
+x(i,1,1)+x(i,1,2)+ … +x(i,1,m)
+x(i,2,1)+x(i,2,2)+ … +x(i,2,m)
+ …
+x(i,m,1)+x(i,m,2)+ … +x(i,m,m)≦0 ・・・ 式(14)。
【0088】
条件4は、式(15)で表される。休日をl日として、
x(l,0,0)+x(l,0,1)+ … +x(l,0,m)
+x(l,1,0)+x(l,1,1)+ … +x(l,1,m)
+ …
+x(l,m,0)+x(l,m,1)+ … +x(l,m,m)=0・・・式(15)。
【0089】
目的関数Fは以下の式(16)で表され、これを最小にする。
【0090】
F = e(1,0,0)・x(1,0,0)+e(1,0,1)・x(1,0,1)+…
+e(1,0,m)・x(1,0,m)
+e(1,1,0)・x(1,1,0)+e(1,1,1)・x(1,1,1)+…
+e(1,1,m)・x(1,1,m)
+ …
+e(1,m,0)・x(1,m,0)+e(1,m,1)・x(1,m,1)+…
+e(1,m,m)・x(1,m,m)
+ …
+e(n,m,0)・x(n,m,0)+e(n,m,1)・x(n,m,1)+…
+e(n,m,m)・x(n,m,m) ・・・ 式(16)
ここで、e(i,j,k)は、ユーザ拠点jからkへの移動コストとi日の拠点kにおける作業コスト、部品代の合計を表す。
【0091】
上記の式に必要な各定数を算出するために、保守計画部206は、各テーブルを参照する。まず、保守計画部206は、対象となるサービスマンPの「サービスマンID」をサービスマンテーブル310に照合して、「サポートセンタID」を得て、「サポートセンタID」をサポートセンタテーブル302に照合して、「シミュレーション期間」を得て保守計画算出期間であるnに設定する。
【0092】
次に、保守計画部206は、対象となるサービスマンPの「サービスマンID」を機体テーブル304に照合して、合致する全タプルの「機体.ID」を抽出する。保守計画部206は、抽出された全ての「機体ID」をユーザ/機体対応テーブル306に照合して、「ユーザID」を得る。保守計画部206は、「ユーザID」が同一の「機体ID」群毎に訪問計画テーブル311を参照して、「訪問日下限」「訪問日上限」を抽出し、訪問日下限のうち最小のものから現在の日にちを引いてa(k)とし、対応する訪問日上限から現在の日にちを引いてb(k)とする。
【0093】
保守計画部206は、「サービスマン.ID」をサービスマンテーブル310に照合して、「保守時間上限」を得てcとする。 保守計画部206は、ユーザ間移動時間テーブル313に「ユーザ.ID」の組み合わせを照合して、拠点間の「移動時間」を抽出する。保守計画部206は、ユーザテーブル301に「ユーザID」を照合して、サポートセンタとユーザ間の「移動時間」を得る。更に、保守計画部206は、今後n日までの各日にちに対して、交換対象の消耗品を確定するために、対象となる「機体.ID」の全ての消耗品の「交換間隔」「ライフカウンタ取得日」「ライフカウンタ」「ライフカウンタ進度」を消耗品状態テーブル308から抽出し、交換予定日を、式(5)に従って算出する。保守計画部206は、交換予定日が、i日後以前の消耗品をi日の交換対象消耗品として、その「交換時間」を消耗品テーブル305から得て、これら、「移動時間」「交換時間」から、d(i,j,k)を算出する。
【0094】
交換予定日=ライフカウンタ取得日+(交換間隔−ライフカウンタ)/ライフカウンタ進度平均 ・・・式(5)
e(i,j,k)の算出には、上記と同様に、拠点間の「移動時間」とi日の交換対象消耗品を抽出してから、交換対象消耗品の「交換時間」「単価」を消耗品テーブル305から得る。更に、保守計画部206は、「サービスマンID」から、サービスマンテーブル310、サポートセンタテーブル302を辿って、「サービスマン単価」を抽出する。保守計画部206は、これら「移動時間」と交換対象消耗品の「交換時間」に「サービスマン単価」を掛け合わせたものに交換対象消耗品の「単価」を合計して、e(i,j,k)を算出する。
【0095】
保守計画部206は、上記のようにして定式化された制約条件と目的関数から、線形計画法を利用して、各機体の訪問予定日を求める。保守計画部206は、訪問予定日と交換予定日を比較することで、訪問予定日の交換消耗品リストを決定して、訪問計画テーブル311に設定する。
【0096】
図20は、「訪問日提示モード」実行後の訪問計画テーブル311の一例を示す図である。 図21、及び図22は、「訪問日提示モード」の処理により算出した訪問予定日などの表示例を示す図である。図21は、算出された訪問予定日を一覧表示した表示例である。図22は、カレンダ上に訪問予定日を表示した表示例である。サービスマンPは、たとえば、サービスセンタSの端末で図21あるいは図22に示すような表示画面を見ることにより今後のスケジュールが把握できる。また、図23は、各ユーザの保守作業の詳細内容を紙に印刷した例を示す図である。図23に示すような内容は、サービスセンタSの端末で表示するようにしても良い。更に図23に示す例によれば、サービスマンPは、各ユーザの保守作業の詳細内容が確認できる。
【0097】
次に、第2のデジタル複合機2Bに対する保守計画の作成処理について説明する。
上述したように、第1のMFP2Aに対して、管理装置3は、定期的に第1のMFP2Aから送信される詳細データに含まれるライフカウンタ値により保守計画を作成する。第2のMFP2Bは、定期的に管理装置3へ送信する簡易データにはライフカウンタ値を含めないものとする。上記した第1のMFP2Aと同様な算出手法で保守計画を作成するために、第2のMFP2Bは、簡易データからライフカウンタ値を予測し、予測したライフカウンタ値を用いて保守計画を作成する。
【0098】
図24は、第2のデジタル複合機(MFP)2Bに対する保守計画の作成処理の概要を示す図である。
第2のMFP2Bは、簡易データから保守計画を作成するためのデータを算出する。図24に示すシステムにおいて、管理装置3は、第2のMFP2Bから定期的に供給されるトータルカウンタ値を含む簡易データを通信インターフェース22により受信する。通信インターフェースにより受信した簡易データは、記憶部23に記憶する。一方、管理装置3の入力インターフェース24には、サービスマンPの操作により第2のMFP2Bから収集したスポット収集データが入力される。スポット収集データは、例えば、詳細データに相当するデータが含まれる。入力インターフェース24により入力されたスポット収集データは、記憶部23に保存される。
【0099】
故障履歴解析部204は、記憶部23に記憶したスポット収集データによりトータルカウンタ値と各消耗品のライフカウンタ値との関係を解析する。ここでは、故障履歴解析部204は、トータルカウンタ値と各消耗品のライフカウンタ値との関係を示す関係値としてのLT値を算出するLT値算出部204aを有する。故障履歴解析部204は、トータルカウンタ値と各消耗品のライフカウンタ値との関係を示すLT値をカウンタ変換部208に設定する。カウンタ変換部208は、故障履歴解析部204に設定されるLT値により、トータルカウンタ値をライフカウンタ値に変換する。
【0100】
カウンタ変換部208は、最新のトータルカウンタ値(第2のMFP2Bから取得した最新の簡易データ)を記憶部23から読出し、読み出した最新のトータルカウンタ値をLT値により各消耗品のライフカウンタ値(当該第2のMFP2Bに対する保守計画を作成するためのデータ)に変換する。つまり、カウンタ変換部208は、故障履歴解析部204が設定する関係値を用いて、簡易データを保守計画を作成するためのデータに変換する。カウンタ変換部208は、算出した保守計画を作成するためのデータ(例えば、最新のライフカウンタ値)を保守計画部206へ出力する。保守計画部206は、カウンタ変換部208が算出するデータを用いて、上述した第1のMFP2Aに対する保守計画と同様に、第2のMFP2Bに対する保守計画を作成する。
【0101】
図25は、ある消耗品に対するライフカウンタ値とトータルカウンタ値との関係例を示す図である。図25に示す例によれば、トータルカウンタ値とライフカウンタ値とは、正比例の関係があると考えられる。すなわち、図25に示すトータルカウンタ値とライフカウンタ値とは、単位トータルカウンタあたりのライフカウンタ値(LT値)により関係が示される。カウンタ変換部208は、LT値が設定されれば、トータルカウンタ値にLT値を乗算することによりライフカウンタ値の推定値を算出できる。
【0102】
例えば、図25に示す例では、感光体ドラムのLT値は、「5.1」である。この場合、感光体ドラムのトータルカウンタ値を5.1倍した値が、感光体ドラムのライフカウンタ値の推定値である。すなわち、管理装置3のカウンタ変換部208は、第2のMFP2Bから取得する簡易データに含まれるトータルカウンタの最新値と各消耗品のLT値とから最新のライフカウンタの推定値を算出する。
【0103】
なお、トータルカウンタ値(簡易データ)とライフカウンタ値(保守計画を作成するためのデータ)との関係を示す関係値(LT値)は、上述したようなトータルカウンタ値とライフカウンタ値との比に限定されるものはなく、トータルカウンタ値からライフカウンタ値を算出できるものであれば良い。
【0104】
本実施の形態においては、トータルカウンタ値とライフカウンタ値との関係を示す関係値(LT値)は、スポット収集データからLT値算出部204aが算出し、カウンタ変換部208に設定するものとする。LT値算出部204aは、スポット収集データが入力されるごとにLT値を算出しても良いし、保守計画を作成する際に記憶部23に記憶したスポット収集データを読み出してLT値を算出するようにしても良い。スポット収集データが入力されるごとに、LT値を算出する場合、LT値算出部204aは、算出したLT値を記憶部23などに記憶しておけば良い。
【0105】
なお、LT値は、予め設定される値であっても良い。この場合、LT値は、記憶部23などに記憶される。たとえば、トータルカウンタ値(簡易データ)とライフカウンタ値(保守計画を作成するためのデータ)との関係を示すLT値は、MFPの機種ごとに予め設定しても良い。ただし、トータルカウンタ値とライフカウンタ値との関係を示す関係値(LT値)は、設置環境などの各MFPの運用形態に影響される場合、各第2のMFP2Bごとに算出するものとする。
【0106】
図26は、スポット収集データの例である。本実施の形態においては、スポット収集データには、LT値を算出するために必要なデータが含まれるものとする。図26に示すスポット収集データは、複数のデータ取得日におけるトータルカウンタ値と各消耗品のライフカウンタの累積値とが含まれる。図26に示すスポット収集データは、たとえば、不揮発性メモリ153に記憶される。不揮発性メモリ153に記憶したスポット収集データは、サービスマンPの操作に応じて出力インターフェース158から出力される。
【0107】
すなわち、第2のMFP2Bが定期的に管理装置へ送信する簡易データにはライフカウンタ値を含まない。これに対して、サービスマンの人的な操作によって第2のMFP2Bの出力インターフェース158から出力するスポット収集データには、各消耗品のライフカウンタ値を含む。たとえば、サービスマンPが保守作業を行った際、出力インターフェース158は、当該第2のMFP2B内の状態を示すスポット収集データ(例えば、詳細データに相当するライフカウンタ値を含むデータ)を出力する。第2のMFP2Bが出力したスポット収集データは、サービスマンPがサービスセンタSへ運び、管理装置3の入力インターフェース24に入力される。
【0108】
出力インターフェース158は、サービスマンPがサービスセンタSへ運び、管理装置3に入力できるスポット収集データを出力するものであれば良い。たとえば、出力インターフェース158は、スポット収集データを紙にプリントして出力するものであっても良い。また、出力インターフェース158は、ローカルに接続可能な記憶媒体にスポット収集データを記憶するものであっても良い。
【0109】
次に、第2のMFP2Bに対する保守計画の作成処理の流れについて説明する。
図27は、第2のMFP2Bに対する保守計画の作成処理の流れに説明するためのフローチャートである。
サービスマンPの操作によって第2のMFP2Bから収集したスポット収集データが入力インターフェース24に入力された場合(ACT201、YES)、管理装置3のCPU20は、入力されたスポット収集データを記憶部23に保存する(ACT202)。第2のMFP2Bからのスポット収集データを保存すると、故障履歴解析部204は、MFPごとにスポット収集データに含まれるトータルカウンタ値とライフカウンタ値とを抽出し、LT値算出部204aによりトータルカウンタ値とライフカウンタ値との関係を示すLT値を算出する(ACT203)。たとえば、記憶部23は、LT値算出部204aにより算出したLT値を当該第2のMFP2Bに対応づけて記憶する。
【0110】
第2のMFP2Bからの定期通信により簡易データを通信インターフェース22により受信した場合(ACT204、YES)、管理装置3のCPU20は、受信した簡易データを記憶部23に保存する(ACT205)。保守計画を作成する第2のMFP2Bが決定した場合(ACT206、YES)、管理装置3のCPU20は、カウンタ変換部208に当該第2のMFP2Bに対応するLT値を設定する(ACT207)。
【0111】
保守計画の作成対象とする第2のMFP2Bが決定すると、CPU20は、当該第2のMFP2Bから取得した最新の簡易データに含まれる最新のトータルカウンタ値を記憶部23から抽出する(ACT208)。最新のトータルカウンタ値を抽出すると、CPU20は、カウンタ変換部208により当該第2のMFP2Bに対応するLT値を用いて、最新のトータルカウンタ値から最新のライフカウンタの推定値を算出する(ACT209)。
【0112】
カウンタ変換部208により最新のライフカウンタの推定値を算出すると、CPU20は、算出した最新のライフカウンタの推定値を用いて、保守計画部206により当該第2のMFP2Bに対する保守計画を作成する(ACT210)。保守計画部206は、カウンタ変換部208が算出したライフカウンタの推定値を最新のライフカウンタ値として、上述した第1のMFP2Aに対する保守計画の作成処理と同様な処理により、当該第2のMFP2Bに対する保守計画を作成する。
【0113】
上記保守計画システムによれば、保守計画の最適化に必要な機体の状態を表す詳細データが取得できないMFPに対しても、簡易データから詳細データを推定することにより、保守計画の最適化することができ、サービスマンの効率的な訪問スケジュールが実現される。結果として、本保守計画システムによれば、簡易データだけを管理装置に通知するMFPを含むシステムであっても、保守業務に関するコストを低減すると共に、製品のダウンタイムも低減することができる。
【0114】
次に、第3のデジタル複合機2Cに対する保守計画の作成処理について説明する。
上述したように、管理装置3は、第1のMFP2Aに対する保守計画あるいは第2のMFP2Bに対する保守計画を、定期的に受信するデータを基に作成する。しかしながら、第3のMFP2Cは、通信回線10を介した管理装置3との通信機能を持たず、定期的に管理装置3へデータを送信することがない。
【0115】
すなわち、管理装置3は、第3のMFP2Cからの定期的な通信が無いため、第3のMFP2Cにおける動作回数を示す情報を定期的に更新することができない。たとえば、管理装置3は、第3のMFP2Cにおけるトータルカウンタ値を定期的に更新できない。ただし、管理装置3は、サービスマンPの操作によって、不定期(例えば、PM或はEMで訪問した時)に第3のMFP2Cから取得したデータが入力される。不定期にサービスマンPが入力するデータは、例えば、詳細データに相当するデータ(スポット収集データ)である。管理装置3は、不定期にサービスマンPが入力するデータを参照して、最新のトータルカウンタ値を推定する機能を有する。
【0116】
図28は、第3のデジタル複合機(MFP)2Cに対する保守計画の作成処理の概要を示す図である。
管理装置3は、サービスマンの操作により第3のMFP2Cから取得するスポット収集データにより保守計画を作成する。図28に示すシステムにおいて、管理装置3は、第3のMFP2Cとの通信回線10を介した通信ができず、サービスマンPの操作によって第3のMFP2Cから収集したスポット収集データを入力インターフェース24に入力する。スポット収集データは、例えば、詳細データおよび簡易データに相当するデータが含まれる。入力インターフェース24により入力されたスポット収集データは、記憶部23に保存される。
【0117】
故障履歴解析部204は、記憶部23に記憶したスポット収集データによりトータルカウンタ値と各消耗品のライフカウンタ値との関係を示すLT値を算出するLT値算出部204aと、トータルカウンタ進度を算出する進度算出部204bとを有する。LT値算出部204aは、記憶部23に記憶したスポット収集データに含まれるトータルカウンタ値と各消耗品のライフカウンタ値との関係を示すLT値を算出する。進度算出部204bは、記憶部23に記憶したスポット収集データに含まれるデータ取得日とトータルカウンタ値との関係から、一日あたりのトータルカウンタ値(以下、トータルカウンタ進度と称する)を算出する。
【0118】
故障履歴解析部204は、LT値算出部204aが算出するLT値をカウンタ変換部208に設定する。また、故障履歴解析部204は、進度算出部204bが算出するトータルカウンタ進度を最新値算出部209に設定する。最新値算出部209は、記憶部23に記憶したスポット収集データからトータルカウンタ値とその取得日とを抽出し、抽出したデータと故障履歴解析部204に設定されたトータルカウンタ進度とにより最新のトータルカウンタの推定値を算出する。最新値算出部209は、算出した最新のトータルカウンタの推定値をカウンタ変換部208へ供給する。カウンタ変換部208は、故障履歴解析部204に設定されるLT値により、最新のトータルカウンタの推定値を最新のライフカウンタの推定値に変換する。
【0119】
すなわち、最新値算出部209およびカウンタ変換部208は、故障履歴解析部204に設定されるトータルカウンタ進度およびLT値を用いて、スポット収集データに含まれるトータルカウンタ値から最新のライフカウンタ値を算出する。最新値算出部209が算出した最新のトータルカウンタの推定値およびカウンタ変換部208が算出した最新のライフカウンタの推定値は、保守計画を作成するためのデータとして保守計画部206へ出力される。保守計画部206は、最新値算出部209が算出した最新のトータルカウンタの推定値およびカウンタ変換部208が算出した最新のライフカウンタの推定値等を用いて、上述した第1のMFP2Aに対する保守計画と同様に、第3のMFP2Cに対する保守計画を作成する。
【0120】
なお、トータルカウンタ進度は、予め設定される値であっても良い。この場合、トータルカウンタ進度は、記憶部23などに記憶される。たとえば、トータルカウンタ進度は、ユーザごとに予め設定しても良い。ただし、トータルカウンタ進度は、LT値と同様に、利用目的及び設置環境などの各MFPの運用形態に影響されることが多いと考えらるため、本実施の形態では、各第2のMFP2Cごとに算出されるものとする。
【0121】
図29は、データ取得日とトータルカウンタ値との関係を示す図である。故障履歴解析部204は、スポット収集データに含まれるデータ取得日とトータルカウンタ値とからトータルカウンタ進度を算出する進度算出部204bを有する。進度算出部204bは、記憶部23に記憶したスポット収集データからデータ取得日とトータルカウンタ値とを抽出し、図29に示すようなデータ取得日とトータルカウンタ値との関係を解析し、一日あたりのトータルカウンタ値(以下、トータルカウンタ進度と称する)を算出する。たとえば、図29に示す例では、トータルカウンタ進度は、162枚である。この場合、最後に取得したトータルカウンタ値に、経過日数を162倍した値を加えることにより、現在のトータルカウンタの推定値(最新のトータルカウンタ値)が算出される。
【0122】
次に、第3のMFP2Cに対する保守計画の作成処理の流れについて説明する。
図30は、第3のMFP2Cに対する保守計画の作成処理の流れに説明するためのフローチャートである。
サービスマンPの操作によって第3のMFP2Cから収集したスポット収集データが入力インターフェース24に入力された場合(ACT301、YES)、管理装置3のCPU20は、入力されたスポット収集データを記憶部23に保存する(ACT302)。第3のMFP2Cからのスポット収集データを保存すると、CPU20は、記憶部23に記憶したスポット収集データにより当該第3のMFP3Cから過去に取得したトータルカウンタ値とそれらの取得日とを抽出し、故障履歴解析部204の進度算出部204bにより1日あたりトータルカウンタ値としてのトータルカウンタ進度を算出する(ACT303)。この場合、記憶部23は、進度算出部204bにより算出したトータルカウンタ進度を当該第3のMFP2Cを示す情報(例えば機体ID)に対応づけて記憶する。
【0123】
さらに、第3のMFP2Cからのスポット収集データを保存した場合、CPU20は、記憶部23に記憶したスポット収集データにより当該第3のMFP3Cから過去に取得したトータルカウンタ値とライフカウンタ値とを抽出し、故障履歴解析部204のLT値算出部204aによりLT値を算出する(ACT304)。この場合、記憶部23は、LT値算出部204aにより算出したLT値を当該第3のMFP2Cを示す情報(例えば機体ID)に対応づけて記憶する。
【0124】
なお、ACT303の処理とACT304の処理とは、保守計画を作成すると判断した後(ACT305、YES)、実行するようにしても良い。つまり、保守計画を作成すべきMFPが決定した後、CPU20は、進度算出部204bによるACT303の処理とLT値算出部204aによるACT304の処理とを実行してトータルカウンタ進度とLT値とを算出するようにしても良い。
【0125】
保守計画を作成する第3のMFP2Cが決定した場合(ACT305、YES)、CPU20は、最新値算出部209に当該第3のMFP2Cに対応するトータルカウンタ進度を設定し(ACT306)、カウンタ変換部208に当該第3のMFP2Cに対応するLT値を設定する(ACT307)。
【0126】
保守計画の作成対象となる第3のMFP2Cが決定されると、CPU20は、保守計画の作成対象とする第3のMFP2Cから取得したスポット収集データに含まれる過去のトータルカウンタ値とその取得日とを記憶部23から抽出する(ACT308)。トータルカウンタ値とその取得日とを抽出すると、CPU20は、最新値算出部209により、当該第3のMFP2Cに対応するトータルカウンタ進度を用いて、過去のトータルカウンタ値とその取得日とから現在(最新)のトータルカウンタの推定値を算出する(ACT309)。
【0127】
最新のトータルカウンタ値としてのトータルカウンタの推定値を算出すると、CPU20は、カウンタ変換部208により、当該第3のMFP2Cに対応するLT値を用いて、最新値算出部209が算出した最新のトータルカウンタの推定値から最新のライフカウンタの推定値を算出する(ACT310)。CPU20は、最新値算出部209で算出した最新のトータルカウンタの推定値とカウンタ変換部208で算出した最新のライフカウンタの推定値とを用いて、保守計画部206により当該第3のMFP2Cに対する保守計画を作成する(ACT311)。保守計画部206は、最新値算出部209が算出したトータルカウンタの推定値を最新のトータルカウンタ値とし、かつ、カウンタ変換部208が算出したライフカウンタの推定値を最新のライフカウンタ値として、上述した第1のMFP2Aに対する保守計画の作成処理と同様な処理により、当該第3のMFP2Cに対する保守計画を作成する。
【0128】
上記保守計画システムによれば、管理装置が通信回線を介してデータ通信できないMFPに対しても、人的な操作によって収集されるスポット収集データから保守計画の最適化に必要な機体の状態を表す詳細データを推定することにより、保守計画の最適化することができ、サービスマンの効率的な訪問スケジュールが実現される。結果として、本保守計画システムによれば、管理装置との通信機能がないMFPを含むシステムであっても、保守業務に関するコストを低減すると共に、製品のダウンタイムも低減することができる。
【0129】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0130】
2…デジタル複合機(MFP)、3…管理装置、10…通信回線、11…ルータ、12…ファイアウォール、20…CPU、21…メモリ、22…通信インターフェース、23…記憶部、24…入力インターフェース、25…出力インターフェース、204…故障履歴解析部、206…保守計画部、208…カウンタ変換部、209…最新値算出部、211…訪問間隔算出部、212…交換間隔算出部、213…保守計画算出部、216…訪問日算出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保守計画の対象となる画像処理装置における動作数と前記画像処理装置における消耗品のライフを示すデータとの関係を示す関係値を設定する設定部と、
前記関係値を用いて前記画像処理装置から取得した動作数を前記画像処理装置における消耗品のライフを示すデータに変換するデータ変換部と、
前記データ変換部により算出した前記画像処理装置における消耗品のライフを示すデータを用いて前記画像処理装置に対する保守計画を作成する保守計画部と、
を有することを特徴とする管理装置。
【請求項2】
前記画像処理装置における過去の動作数と消耗品のライフを示すデータとを入力する入力インターフェースと、
前記入力インターフェースにより入力した前記画像処理装置における過去の動作数と消耗品のライフを示すデータとにより前記関係値を算出する関係値算出部と、を有する、
ことを特徴とする前記請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記画像処理装置から通信回線を介して当該画像処理装置の動作数を含む簡易データを受信する受信部を有し、
前記データ変換部は、前記受信部により前記画像処理装置から受信した簡易データを、前記関係値を用いて当該画像処理装置における消耗品のライフを示すデータに変換する、
ことを特徴とする前記請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記画像処理装置における過去の動作数と動作数の取得日とを入力する入力インターフェースと、
前記画像処理装置における動作数の進度を用いて前記画像処理装置の過去の動作数から前記画像処理装置における現在の動作数の推定値を算出する最新値算出部と、を有し、
前記データ変換部は、前記関係値を用いて前記最新値算出部により算出した現在の動作数の推定値から当該画像処理装置における消耗品のライフを示すデータを算出する、
ことを特徴とする前記請求項1に記載の管理装置。
【請求項5】
管理装置と画像処理装置とを有する保守計画システムであって、
前記管理装置は、
前記画像処理装置における動作数と前記画像処理装置における消耗品のライフを示すデータとの関係を示す関係値を設定する設定部と、
前記関係値を用いて前記画像処理装置から取得した動作数を前記画像処理装置における消耗品のライフを示すデータに変換するデータ変換部と、
前記データ変換部により算出した前記画像処理装置における消耗品のライフを示すデータを用いて前記画像処理装置に対する保守計画を作成する保守計画部と、を有し、
前記画像処理装置は、
当該装置における動作数と消耗品のライフを示すデータとを記憶するデータ記憶部と、
前記データ記憶部に記憶した動作数と消耗品のライフを示すデータとを出力する出力インターフェースと、を有する、
ことを特徴とする保守計画システム。
【請求項6】
前記管理装置は、さらに、
前記画像処理装置における過去の動作数と消耗品のライフを示すデータとを入力する入力インターフェースと、
前記入力インターフェースにより入力した前記画像処理装置における過去の動作数と消耗品のライフを示すデータとにより前記関係値を算出する関係値算出部と、を有する、
ことを特徴とする前記請求項5に記載の保守計画システム。
【請求項7】
前記画像処理装置は、さらに、
前記動作数を含み、前記消耗品のライフを示すデータを含まない簡易データを通信回線を介して前記管理装置へ送信する送信部を有し、
前記管理装置は、さらに、
前記画像処理装置からの前記簡易データを受信する受信部を有し、
前記データ変換部は、前記受信部により受信した簡易データを前記関係値を用いて当該画像処理装置における消耗品のライフを示すデータに変換する、
ことを特徴とする前記請求項5に記載の保守計画システム。
【請求項8】
前記管理装置は、
前記画像処理装置における過去の動作数と動作数の取得日とを入力する入力インターフェースと、
前記画像処理装置における動作数の進度を用いて前記画像処理装置の過去の動作数から前記画像処理装置における現在の動作数の推定値を算出する最新値算出部と、を有し、
前記データ変換部は、前記関係値を用いて前記最新値算出部により算出した現在の動作数の推定値から当該画像処理装置における消耗品のライフを示すデータを算出する、
ことを特徴とする前記請求項5に記載の保守計画システム。
【請求項9】
画像処理装置に対する保守計画の作成方法であって、
保守計画の対象となる画像処理装置における動作数と前記画像処理装置における消耗品のライフを示すデータとの関係を示す関係値を設定し、
前記関係値を用いて前記画像処理装置から取得した動作数を前記画像処理装置における消耗品のライフを示すデータに変換し、
前記データ変換により算出した前記画像処理装置における消耗品のライフを示すデータを用いて前記画像処理装置に対する保守計画を作成する、
ことを特徴とする保守計画の作成方法。
【請求項10】
前記画像処理装置における過去の動作数と消耗品のライフを示すデータとを入力し、
前記入力した前記画像処理装置における過去の動作数と消耗品のライフを示すデータとにより前記関係値を算出する、
ことを特徴とする前記請求項9に記載の保守計画の作成方法。
【請求項11】
前記画像処理装置から通信回線を介して当該画像処理装置の動作数を含む簡易データを受信し、
前記データ変換は、前記画像処理装置から受信した簡易データを、前記関係値を用いて当該画像処理装置における消耗品のライフを示すデータに変換する、
ことを特徴とする前記請求項9に記載の保守計画の作成方法。
【請求項12】
前記画像処理装置における過去の動作数と動作数の取得日とを入力し、
前記画像処理装置における動作数の進度を用いて前記画像処理装置の過去の動作数から前記画像処理装置における現在の動作数の推定値を算出し、
前記データ変換は、前記関係値を用いて前記算出した現在の動作数の推定値から当該画像処理装置における消耗品のライフを示すデータを算出する。
ことを特徴とする前記請求項9に記載の保守計画の作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2011−181073(P2011−181073A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46879(P2011−46879)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)