説明

画像処理装置の動作方法および画像処理装置

【課題】成功もしくは失敗した画像伝送の信頼性のある識別を可能にし、従ってフリーズ画像の識別も可能にする。
【解決手段】画像信号が送信装置(2)と少なくとも1つの受信装置(3)との間でディジタル伝送され、その画像信号が時間的に連続する複数の画像(7,8,9,10)を有する画像処理装置(1)を動作させる方法において、画像(7,8,9,10)の画像内容が、伝送の前に、信号交番周波数にて変化する交番信号を重畳され、その信号交番周波数が人間の目によって分解可能である知覚周波数より大きい又は同じである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像信号が送信装置と少なくとも1つの受信装置との間でディジタル伝送され、その画像信号が、時間的に連続する複数の画像を有する画像処理装置の動作方法に関する。本発明は更に画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭に述べた如き方法は従来技術から公知である。その方法は、送信装置と受信装置との間で画像信号を伝送するように設計された画像処理装置を動作させるために使用される。送信装置は、例えば、画像信号を検出する撮影装置又は検出装置に接続されている。画像信号は、撮影装置により撮影された画像内容を有する時間的に連続する複数の画像の画像列からなる。
【0003】
送信装置と受信装置との間の伝送は専らディジタルで行なわれ、選択的に圧縮が使用することができる。画像信号を伝送前に圧縮する場合には、損失のない圧縮を使用するのが好ましい。しかし、代わりに損失のある圧縮を使用してもよい。伝送は、シールドケーブルからなる伝送区間、又はグラスファイバを有する伝送区間を介して行なわれることが好ましい。しかし、基本的には伝送区間を任意に構成できることは自明である。
【0004】
画像信号のアナログ伝送の場合には、伝送区間の障害が伝送特性に著しい影響をもたらすので、表示装置により表示される画像信号を観察する際に、画像伝送が成功したか又は失敗したかを殆ど確実に推定することができる。これに対して、ディジタル伝送の場合には、伝送区間の強い障害にも拘らず、例えば時間的に先行する画像の1つが繰り返されることによって、質的に外見上は損傷を受けていない表示が行なわれ得るという問題が発生する。これは、特に、その受信装置に、最後に成功裡に伝送された画像の1つを改めて再生することができる画像メモリが付設されているケースである。それゆえ、静止画像もしくはフリーズ画像がもたらされるが、その画像は現在の画像内容を示していない。
【0005】
冒頭に述べた方法は、特に医学の分野において画像発生装置に使用される。この画像発生装置では、瞬間的に表示装置により表示された画像が現在のものであるのか、即ち撮影装置により検出された現在の画像内容を有するのか、それとも、例えば失敗した画像伝送のために画像再生系列がフリーズ状態になっているのかを知ることは非常に重要である。表示された画像に基づいて、例えば患者の治療が行なわれ、治療担当者は表示画像が現在のものであることを出発点としているのに対して、実際にはフリーズ状態にあって現在のものでない画像が存在している場合には、このことは重大な結果をもたらし、特に患者損傷という結果になり兼ねない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の課題は、上述の欠点を持たず、成功もしくは失敗した画像伝送の信頼性のある識別を可能にし、従ってフリーズ画像の識別も可能にする画像処理装置の動作方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、本発明によれば、画像信号が送信装置と少なくとも1つの受信装置との間でディジタル伝送され、その画像信号が、時間的に連続する複数の画像を有する画像処理装置を動作させる方法において、画像の画像内容が、伝送の前に、信号交番周波数にて変化する交番信号を重畳され、その信号交番周波数が人間の目によって分解可能である知覚周波数より大きい又は同じであることによって解決される(請求項1)。
この方法では、画像の画像内容が伝送前に信号交番周波数にて変化する交番信号(alternating signal)を重畳され、信号交番周波数(signal alternation frequency)が人間の目によって分解可能な知覚周波数より大きい又は同じである。画像信号は送信装置から伝送区間を介して受信装置にディジタル伝送される。その前に複数の画像の画像内容に交番信号が重畳される。これは、必要に応じて伝送系列内に設けられている画像メモリの前で、それゆえ特に画像内容の撮影直後に、しかし少なくとも伝送前に行なわれることが好ましい。それゆえ、伝送される画像は画像内容および交番信号もしくは交番信号の部分信号から成る。交互に生じる交番信号は、連続する画像が相違を有するように配慮する。この相違は、例えば自動的に、特に受信装置又は表示装置において、確認されるとよい。
本発明による画像処理装置の動作方法の有利な実施態様は次の通りである。
・表示装置による表示が、前記信号交番周波数より大きい又は同じである再生周波数にて行なわれる(請求項2)。
・重畳が撮影装置において画像内容の撮影時又は撮影直後および/又はディジタル伝送前に行なわれる(請求項3)。
・各画像およびそれぞれの画像内容が、それぞれ1つの画素値を有する複数の画素を含み、交番信号が画像の変更領域内の画素に影響を及ぼす(請求項4)。
・交番信号が少なくとも2つの異なる交替する部分信号を含み、各部分信号が少なくとも1つの画素から成り、その画素の画素値が、画像内容の対応する画素値に加算されるか、又は画像内容の対応する画素値に上書きされる(請求項5)。
・画像内容への交番信号の重畳の際に、画像信号の連続する複数の画像の第1の画像については、変更領域内の1つの画素値、好ましくは全ての画素値の少なくとも1つのビットが特定の第1の値にセットされ、第2の画像については、変更領域内の1つの画素値、好ましくは全ての画素値の少なくとも1つのビットが特定の第2の値にセットされる(請求項6)。
・それぞれの画素値の全てのビットがセットされ、第1の値が画素値の最大値であり、第2の値が画素値の最小値である(請求項7)。
・ビットがそれぞれの画素値の最下位ビットである(請求項8)。
・第1の値および第2の値は、ビットのセット時に、特定の画素値パリティ、特に連続する複数の画像の第1の画像と第2の画像との間で異なる特定の画素値パリティが生じるように選ばれている(請求項9)。
・画像信号への交番信号の重畳時に、画像信号の連続する複数の画像の第1の画像については、変更領域内の少なくとも1つの画素値、好ましくは全ての画素値が規定値だけ増加させられ、第2の画像については、同じ値だけ減少させられる(請求項10)。
・規定値が、増加および/又は減少が画素値のオーバーフローをもたらす場合には減少させられ、オーバーフローがない場合には規定の最大値まで増加させられる(請求項11)。
・画像信号の複数の画像が画像交番周波数にて連続し、画像交番周波数が信号交番周波数より大きい又は同じに選ばれる(請求項12)。
・各画像が、表示装置による表示時に表示される有効領域と、有効領域の外側にあって同様に表示される縁領域と、表示されない外側領域とを有し、変更領域が有効領域、縁領域および/又は外側領域にある(請求項13)。
・交番信号がシンボル、特に絵文字又は記号を有する(請求項14)。
【0008】
従って、画像信号の連続する画像間に相違がある場合には、伝送区間を介する信号伝送の成功が推定される。相違の確認は、例えば、画像信号の少なくとも2つの連続する画像、特に直接的に連続する画像の自動的な比較により行なわれ、その際にこれらの画像は領域的に少なくとも互いに比較される。比較は、有利には、2つよりも多い連続する画像に拡張されるとよく、それによって、成功又は失敗した画像伝送の誤認のリスクが低減され、従って識別精度が高められる。それゆえに、3つ又はそれ以上の連続する画像が互いに比較される。
【0009】
代替として、成功もしくは失敗した画像伝送の識別を、画像処理装置、特に受信装置もしくは表示装置の使用者に任せることもできる。人間の目によって分解可能な知覚周波数(約20Hz)より大きい又は同じである信号交番周波数で交番信号が交替するので、成功した画像伝送の場合に使用者は交番信号の個々の部分信号を互いに分離することができない。それらの部分信号は使用者にはむしろ重畳された部分信号として見える。信号交番周波数は知覚周波数よりも明確に大きく、特にこれの数倍であることが好ましい。交番信号の個々の部分信号は例えば色表示および/又はそれの模様に関して異なる。ここで画像伝送においてエラーが発生する場合に、従ってフリーズ画像が現れる場合に、使用者は交番信号を構成する部分信号のうちの一方の孤立した部分信号に気づく。
【0010】
使用者は、それゆえ簡単に、画像伝送が成功したか又は失敗したかを確認することができる。この場合に特別に重要な観点は、信号交番周波数が知覚周波数に等しいかそれよりも大きいことである。このようにしてのみ、画像処理装置の動作中に画像表示装置において使用者にとって障害となる画像のゆらぎが全く発生せずに、常に落ち着いた画像表示が行なわれることを保証することができる。知覚周波数よりも小さい信号交番周波数の場合には、使用者は個々の部分信号を互いに区別することができる。それに応じて使用者は常に画像の本来の画像内容から気をそらされる。このために使用者は表示された部分信号を評価し、画像伝送が成功したか又は誤ったかを判定せざるを得ない。これに対して、本発明による方法では、成功した画像伝送の場合には、常に、交番信号の一定の落ち着いた画像印象が現れるように交番信号の個々の部分信号が重なり合う。使用者は、それゆえ、伝送されて表示された画像の本来の内容から気をそらされることはない。
【0011】
特に医学分野において、例えば撮影装置により撮影されたシーンが変化しなかったために、2つの連続する画像、とりわけ直接的に連続する画像が同一の画像内容を有することが起こり得る。このようなケースは、例えば血管造影検査時の造影剤なしの撮影の際に、又はX線撮影の際にしばしば発生する。従って、交番信号の重畳がなければ、変化のないシーンにおいて必要に応じて画像信号の連続する画像間の相違を確認することができないので、使用者は、成功した画像伝送が存在しているのか又は失敗した画像伝送が存在しているのかを確信できない。
【0012】
この理由から、本発明による方法にとって、伝送前に画像内容に交番信号を重畳することが特に重要である。このケースにおいて、連続する画像は本来同じ画像内容である場合にも伝送後には異なる。従って、連続する画像を比較すると、相違を確認することができ、もしくは使用者が、交番信号の部分信号の重ねられた表示が存在するのか、それとも分離された表示が存在するのかを確認し、それにより、成功した画像伝送か、それとも失敗した画像伝送かを識別することができる。
【0013】
本発明の実施形態によれば、表示装置による表示が、信号交番周波数より大きい又は同じである再生周波数にて行なわれる。表示装置は画像信号の連続する画像を表示するために用いられる。表示は再生周波数で行なわれ、これは画像信号の画像が再生周波数の逆数の時間間隔で連続することを意味する。特に成功した画像伝送であるか、それとも失敗した画像伝送であるかの識別を使用者自身によって可能にするためには、交番信号の個々の部分信号が表示装置に表示されることが保証されていなければならない。この理由から再生周波数は信号交番周波数に比べて大きいか又は等しい。好ましくは、再生周波数と信号交番周波数とが一致するのがよい。それゆえ、交番信号の各部分信号は、変わらない一定の表示時間間隔の期間中に現れる。従って、個々の部分信号は見えなくなり、これは、表示装置上に、例えば交番信号の部分信号の重ね表示の明滅の形で現れる交番信号の不規則な表示を生じさせる。
【0014】
本発明の実施形態によれば、重畳が撮影装置において画像内容の撮影時又は撮影直後および/又はディジタル伝送前に行なわれる。原理的には、画像伝送系列のどの個所で交番信号が画像信号に重畳されるかは重要なことではない。これがディジタル伝送前に行なわれることだけが重要である。交番信号が画像内容の撮影時又は撮影直後に既に画像信号に重畳されるならば、格別に有利である。このようにして、撮影装置から受信装置もしくは表示装置までの画像伝送区間全体において、必要に応じて発生する失敗した画像伝送の確実な識別を保証することができる。
【0015】
本発明による実施形態によれば、各画像およびそれぞれの画像内容が、それぞれ少なくとも1つの画素値を有する複数の画素を含み、交番信号が画像の変更領域内の画素に影響を及ぼす。各画像および同様にそれぞれの画像内容も、基本的には任意に(例えば行および列に)編成された複数の画素から構成され、各画素は少なくとも1つの画素値を有する。画素値は、使用される色空間に応じて、表示装置による表示時に画素が表示される色および/又は強度を表す。
【0016】
画像信号の色深度もしくはその画像信号の中に含まれる画像の色深度に応じて、異なった数の画素値が用意されなければならない。単色画像、特に黒白画像又はグレースケール画像は、通常、画素当たり1つの画素値だけを含むが、しかし画素値は異なった分解能を持つことができる。黒白画像の場合には、例えば画素値当たり1ビットの分解能で十分である(従って、画像信号の色深度は1ビットである)のに対して、グレースケール画像の画素値は、例えば8ビット以上、特に10、12又は16ビットの分解能を有する。画素値は、グレースケール画像については、強度を再生し、この強度で当該画素が表示装置において再生される。画像がカラー画像として存在する場合、各画素には、異なった分解能を有し得る複数の画素値が割り当てられている。例えば、使用される色空間に応じて、少なくとも3つの画素値が用いられ、これらの画素値は、それぞれ少なくとも8ビット、特に10、12又は16ビットの分解能を有し、3つの基本色の赤、緑、青の表示強度を表す。
【0017】
画像の変更領域は、少なくとも1つの画素、好ましくは複数の画素を含む。交番信号は、変更領域に割り当てられたこれらの画素に重畳される。このようにして、画像信号もしくは該当画像のそれぞれの画像内容は、変更領域内にのみ交番信号を供給され、しかしこれの外側には交番信号を供給されない。
【0018】
本発明の実施形態によれば、交番信号が少なくとも2つの異なる交替する部分信号を含み、各部分信号が少なくとも1つの画素から成り、その画素の画素値が、加算によって画像内容の対応する画素値に供給されるか、又は上書きによって画像内容の対応する画素値と置き換えられる。画像および画像内容と同様に、交番信号の部分信号は少なくとも1つの画素、しかし好ましくは複数の画素から成る。部分信号の各画素は、画像もしくは画像内容の1つの画素に割り当てられている。画像信号への交番信号の重畳時に、部分信号の画素の画素値が、画像内容の画素の対応する画素値に供給されるか、又は画像内容の画素の対応する画素値と置き換えられる。従って、前記供給の場合には部分信号の画素値が画像内容の画素値に加算される。この加算の結果が、合成画像の対応する画素の画素値を形成する。代替として、画像内容の元の画素を、上書きによっても部分信号の画素値で置き換えることができる。それゆえ、合成画像の画素値は、部分信号の画素値と対応し、(変更領域の外側におけるように)画像内容の画素値と対応しない。最初の方法の場合には元の画像内容が少なくとも部分的に保存されたままで異化されるだけであるのに対して、上書きの場合には元の画像内容が完全に置き換えられるので、今となっては(変更領域においては)部分信号の画素値が存在するだけである。
【0019】
本発明の実施形態によれば、画像内容への交番信号の重畳の際に、画像信号の連続する複数の画像の第1の画像については、変更領域内の1つの画素値、好ましくは全ての画素値の少なくとも1つのビットが特定の第1の値にセットされ、第2の画像については、変更領域内の1つの画素値、好ましくは全ての画素値の少なくとも1つのビットが特定の第2の値にセットされる。従って、対応する画素もしくは対応する画素値の少なくとも1つのビットが、特に唯一のビットだけが、交番信号もしくは各部分信号の画素値で置き換えられる。例えば、全てのビット、従って画素値全体が置き換えられる。その際に、対応する1つ又は複数の画素が、交番信号もしくはそれぞれの部分信号の画素値で置き換えられる。従って第1の画像に割り当てられる部分信号の画素値は第1の値を有し、第2の画像に割り当てられる部分信号の画素値は第2の値を有する。それにより交番信号においては第1の値を有する部分信号と第2の値を有する部分信号とが交互に現れる。例えば3番目の画像のための画素値が特定の第3の画素値にセットされるように、より多くの部分信号および画素値を用いることができる。この系列は任意に継続することができる。
【0020】
それゆえ、ここに紹介した画像信号への交番信号の重畳の場合には、前述の上書きが提案されている。従って、画像信号の画素値は、それぞれ割り当てられた部分信号の画素値によって完全に置き換えられる。画像は、特に直接的に連続し、従って第1の画像と第2の画像との間に中間画像は存在しない。
【0021】
この実施形態の場合には、変更領域を取り囲む画素(これらは交番信号のための背景領域を成す。)が、信号交番周波数で画像内容に重畳される部分信号と同一の又は少なくとも類似の色印象を使用者において生じさせる画素を有するならば、格別に有利である。例えば、これらの画素は、特定の第1の値と特定の第2の値との平均値に相当する画素値を有するべきである。画像信号のエラーのない伝送の場合には、使用者にとって、殆ど単色の面の印象が生じる。これに対して、エラーが発生すると、使用者は、取り囲む背景領域とは異なる第1の部分信号か第2の部分信号かのいずれか一方を認識する。背景領域は、変更領域に対して分離して存在してよいし、又はその代わりに変更領域の構成要素であってもよく、従って変更領域と一緒に画像内容に重畳されてよい。
【0022】
本発明の実施形態によれば、それぞれの画素値の全てのビットがセットされ、第1の値が画素値の最大値であり、第2の値が画素値の最小値である。同様に画素値全体のセットもしくは置換えが行なわれる。上述の実施形態によれば、画素値はさまざまの分解能を有することができる。今や第1の値は最大値、従って画素値が最大限取り得る値に相当するべきである。これに対応して、第2の値は、画素値が最小限再生できる最小値を再生すべきである。一般に最小値は0に等しく、最大値は2n−1に等しく、nは画像の色深度、従って画素の分解能を表す。例えば8ビットの色深度については、最小値が0、最大値が255である。
【0023】
本発明の実施形態によれば、ビットがそれぞれの画素値の最下位ビットである。各画素値は2進系でコード化され、従って色深度に相当するビット数を有する。最下位ビット(least significant bit ; LSB)は、それの変化が画素値の最も少ない値変化、一般には1の大きさだけの値変化になるビットである。最下位ビットの変化は、一般に表示装置による再生時に、画像内容の僅かしか見えない、殆ど見えない又は全く見えない変化をもたらす。従って、ここで述べた最下位ビットだけの変化の際に、知覚周波数よりも小さい信号交番周波数も選択することができる。それゆえ、信号交番周波数が知覚周波数より大きい又は同じであることは必要でない。再生時の変化は僅かだけであるので、一般に、失敗した画像伝送か成功した画像伝送かの判定は、連続する画像の比較による自動評価によってしか可能でない。これに対して、使用者は変化を知覚できないか、又はかろうじて知覚できるにすぎず、そのかぎりでは失敗した画像伝送か又は成功した画像伝送かを信頼性をもって判定できない。その点では、この場合、使用者が直接的に評価できないが、画像伝送の状態の自動評価を可能にするディジタル透かし模様が存在する。
【0024】
本発明の実施形態によれば、第1の値および第2の値は、ビットのセット時に、特に連続する複数の画像の第1の画像と第2の画像との間で異なる特定の画素値パリティが生じるように選ばれている。従って、先ず、全てのビットを観察して、それぞれの画素値のパリティが求められる。続いて少なくとも1つのビットが、所望のパリティが生じるようにセットされる。その際に唯一のビット、特に最下位ビットだけが第1の値もしくは第2の値にセットされる。成功した画像伝送か又は失敗した画像伝送かを判定するために、伝送後に、好ましくは再生直前に、連続する画像のパリティが求められて評価される。
【0025】
例えば、異なる画像内容にもかかわらずパリティが常に等しいままであるように、値が選ばれる。しかし、好ましくは、(とりわけ直接的に)連続する複数の画像についてはパリティがそれぞれ異なるべきである。これは、例えば、画素値が第1の画像については偶数、第2の画像については奇数、これに直ぐ続く画像については再び偶数、・・・等であることを意味する。交互に現れるパリティに基づいて、伝送後には、成功した画像伝送か又は失敗した画像伝送かを確実に判定することができる。
【0026】
本発明の実施形態によれば、画像信号への交番信号の重畳時に、画像信号の連続する複数の画像の第1の画像については、変更領域内の少なくとも1つの画素値、好ましくは全ての画素値が規定値だけ増大させられ、第2の画像については、同じ値だけ減少させられる。従って、対応する画素値が交番信号もしくはそれぞれの部分信号の画素値により変更される。例えば、それぞれの部分信号の画素値が、画像内容の画素値に対して加算され、それにより画像の最終的な画素値がもたらされる。その際に第1の画像に割り当てられた部分信号の画素値は、特に正であり、1つの前記規定値又は(複数の画素値が変更される場合には)特に異なる複数の規定値を有する。これに対して、第2の画像に割り当てられた部分信号の画素値は、負であり、しかし絶対値としては同じ値、もしくは特に異なる複数の規定値を有する。これらの画像は、特に直接的に連続し、従って第1の画像と第2の画像との間に中間画像は存在しない。
【0027】
正の値を有する部分信号と負の値を有する部分信号とが交互に現れ、それらの順序に応じて画像信号のそれぞれの画像の画像内容に供給される。それゆえ、ここでは画像内容の画素値と部分信号の画素値との前述の加算が行なわれ、その加算により画像のそれぞれの画素の画素値が得られる。このようにして、特に、相補記号が画像信号の複数の画像内に導入され、相補記号は第1の画像においては正で、第2の画像においては負で供給されている。知覚周波数より大きい又は同じである信号交番周波数の存在のもとで表示装置によって画像信号を表示する際に、交番信号は使用者による観察時にほぼ平均化されるので、元の画像に対して全く又は僅かしか変化を認識することができない。しかし、失敗した画像伝送が発生した場合もしくはフリーズ画像の場合には、常に交番信号の同じ部分信号が表示されるので、相補記号が表示装置上で負か正かのいずれか一方の形で識別可能である。これらは使用者によって明確に画像内容から区別することができるので、使用者は確実に失敗した画像伝送を識別することができる。
【0028】
実施形態によれば、規定値が、増大および/又は減少が画素値のオーバーフローをもたらす場合には減少させられ、オーバーフローがない場合には規定の最大値まで増加させられる。交番信号の部分信号の1つもしくは複数の規定値は、画像信号の複数の画像の画像内容に適応するように調整される。オーバーフローとは、画像内容の画素値へのそれぞれの部分信号の画素値の重畳が、その重畳により生じる合成画素値が最大値を上回ることによって又は最小値を下回ることによって規定の値範囲から外れることであると理解すべきである。このオーバーフローが発生する場合、画像内容の強い改変を回避するために、画素値を、上に向かっては最大値に制限し、下に向かっては最小値に制限する第1の可能性が存在する。しかし、このような方法は、それにもかかわらず、十分に高い周波数で表示する場合にも、連続する部分信号の相殺が行なわれないので、表示装置上では、少なくとも交番信号の弱まった表示が見える。
【0029】
この理由から、追加又は代替として、オーバーフローが発生する場合には、規定値を減少させることによって、後続の画像内容の画素値には減少させられた規定値だけが重畳されるようにする。その減少は一般に絶対値の減少であると解釈すべきであり、従って正の画素値は減少させられ、負の画素値は増大させられる。減少は、連続する画像に対して、オーバーフローがもはや発生しなくなるまで行なわれる。追加又は代替として、規定値を、特にオーバーフローが確認されない規定の最大値まで、増加させるようにしてもよい。このようにして、現在の画像内容に応じて、常に、失敗した画像伝送のできるだけ有効な識別ができることを保証することができる。例えば部分信号がグレースケール画像又はカラー画像を含むために交番信号の部分信号が複数の異なる規定値を有する場合には、画素値の1つだけがオーバーフローする際に、全ての規定値を比例して減少させるとよい。同様なことが規定値の増加に対しても行われる。
【0030】
本発明の実施形態によれば、画像信号の画像が画像交番周波数にて連続し、画像交番周波数が信号交番周波数より大きくまたは同じに選ばれる。画像交番周波数が再生周波数に一致するのが理想的である。しかし、画像交番周波数はこれよりも小さくてもよく、従って画像交番周波数よりも大きい再生周波数での表示を可能にするためには、表示装置による画像信号の表示の際に画像信号の個々の画像が繰り返される。しかし、交番信号の連続する部分信号をそれぞれ画像信号の少なくとも1つの画像に割り当て得ることを保証するために、画像交番周波数が信号交番周波数より大きい又は同じであるように構成されている。このようにして、交番信号の個々の部分信号が考慮されず、従って画像のどれにも割り当てられないことが防止される。画像交番周波数、信号交番周波数、再生周波数および画像伝送周波数が等しいことが格別に好ましい。
【0031】
本発明の実施形態によれば、画像が、表示装置による表示時に表示される有効領域と、有効領域の外側にあって同様に表示される縁領域と、表示されない外側領域とを有し、規定された変更領域が有効領域、縁領域および/又は外側領域にある。それに応じて、画像は3つの異なる領域を有する。有効領域は、一般に使用者にとって重要な画像内容が再生される領域である。縁領域は、例えばステータス情報の表示に用いられ、特に規則正しい又は失敗した画像伝送の存在に関する情報の表示にも用いられ、あるいはロゴの挿入に用いられる。外側領域は表示装置により表示されない。外側領域は縁領域の外側にあり、縁領域は有効領域を取り囲む、つまり有効領域の外側にある。
【0032】
それにもかかわらず、外側領域は、送信装置から受信装置へ伝送される。外側領域は、送信装置と受信装置との間で実効情報、例えば同期化情報を伝送するために利用される。交番信号が画素に影響を及ぼす変更領域は、これらの3つの領域のどれに設けてもよく、特にこれらの複数の領域に部分的に重なり合っていてもよい。失敗した画像伝送の識別を使用者によって行なわなければならない場合に、変更領域は、特に少なくとも部分的に有効領域および/又は縁領域に存在する。成功した画像伝送か又は失敗した画像伝送かの判定を自動的に行なう場合には、変更領域は外側領域にあってもよく、あるいは外側領域のみにあってもよい。
【0033】
本発明の実施形態によれば、交番信号がシンボル、特に絵文字又は記号を有する。それゆえ、シンボルは、例えば使用者に対して成功した画像伝送又は失敗した画像伝送を象徴する重要情報媒体である。シンボルは、例えば絵文字として、又は記号として存在する。絵文字とは、情報が簡単なグラフィック表示によって伝える単独のシンボルであると理解することができる。例えば、特に変更領域が外側領域にある場合には、絵文字として、交番信号の第1の部分信号としての垂直線と、交番信号の第2の部分信号としての水平線とを使用するとよい。知覚周波数より大きい又は同じである信号交番周波数で画像信号のそれぞれの画像に供給される両部分信号を交互表示すると、成功した画像伝送の場合には使用者にプラス記号の印象を与えるのに対して、失敗した画像伝送の場合にはマイナス記号もしくは垂直線が認識される。その点で、使用者は、画像伝送が規則正しいか、それともエラーを有するかという絵文字の意味内容を明確に察知することができる。代替として、シンボルは、記号として、例えば文字等として存在することができる。
【0034】
更に、本発明は、画像送信装置と少なくとも1つの受信装置とを有し、これらは時間的に連続する複数の画像を有する画像信号をディジタル伝送するように構成されている画像処理装置、特に上述の方法を実施するための画像処理装置に関する。
この画像処理装置において、画像処理装置が、複数の画像の画像内容に伝送前に信号交番周波数にて変化する交番信号を重畳するように構成され、その信号交番周波数が人間の目によって分解可能な知覚周波数より大きい又は同じである(請求項15)。
ディジタル伝送は送信装置と少なくとも1つの受信装置との間で行なわれる。画像処理装置は前述の実施形態に従って発展させることができる。
【0035】
以下において図面に示す実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、これに本発明は限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は時間的に連続する複数の画像からなる1つの画像信号をディジタル伝送するための画像処理装置の概略図を示す。
【図2】図2は本発明の第1の実施形態のための画像信号の概略図を示す。
【図3】図3は本発明の第2の実施形態のための画像信号の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は画像処理装置1を示す。画像処理装置1は、とりわけ送信装置2および受信装置3から成る。これらは、伝送区間4(通常はシールドケーブル)により互いに接続され、画像信号をディジタル伝送するように構成されている。送信装置2には画像処理装置1の撮影装置5が接続されている。この代わりに、送信装置が撮影装置5と一体的に構成されていてもよい。撮影装置5は、シーンを撮影し、撮影周波数を有する画像列の画像を作成するのに使われる。撮影装置5は、画像を送信装置2に入力信号として供給する。その入力信号は、送信装置2によって、画像信号として受け取られるか、又はその入力信号がアナログ形式で存在する場合には画像信号にディジタル化される。受信装置3は表示装置6内に組み込まれている。このようにして外部ケーブルを介する画像信号の付加的な伝送が回避される。送信装置2と受信装置3との間の画像信号の画像の伝送は、単位時間当たりの画像数として表わされる伝送周波数で行なわれる。表示装置6は、好ましくは伝送周波数に相当する再生周波数で伝送画像を再生するのに使われる。一般に送信装置2も受信装置3もそれぞれディジタル画像メモリ(ここには図示されていない)を有する。
【0038】
送信装置2および/又は撮影装置5が画像処理手段を有するとよい。この画像処理手段により、例えば撮影直後に、もしくは伝送区間4を介する伝送前に、画像の少なくとも1つを変更することができる。好ましくは、撮影画像もしくは伝送画像の全ての変更が予定されているとよい。例えば、画像の画像内容のコントラスト調整および/又は色深度の調整のための手段を設けることができる。後者の場合には、特に画像列の画像が例えば16ビットの比較的高い色深度で撮影されるのに対して、再生は例えば8ビットの比較的低い色深度で行われる。従って、伝送すべきデータ量を低減するために、撮影直後に、又は少なくとも伝送前に、色深度を画像処理手段により低減するように設計されている。しかし、原理的には任意の画像変更を行うことができる。
【0039】
送信装置2から受信装置3へ伝送される画像信号は、時間的に連続する複数の画像7,8,9および10から成り、これらが図2に例として純粋に模範的に示されている。言うまでもなく、ここに示された画像信号は説明に用いているだけであって、基本的には任意の個数の画像を有することができる。画像7〜10は、互いにそれぞれΔtの時間間隔で画像信号に含まれ、多数の画素を有し、これらの画素のうち若干の画素だけが、模範的に画像7〜10内の画素位置に応じて参照符号a〜nで示されている。画素a〜nは、例えば列(矢印11)および行(矢印12)に編成されている。
【0040】
各画素a〜nは、表示装置6による各画像7〜10の表示を記述する少なくとも1つの画素値を持つ。グレースケール画像の場合に、各画素a〜nは、通常、任意の分解能を有し得る1つの画素値だけを含んでいる。通常の分解能は、例えば8ビット、10ビット、12ビット又は16ビットである。カラー画像の場合に、各画素a〜nは、通常、複数の画素値、特に3つの画素値を有する。各画素値は、特定の色もしくはその色の強さに割り当てられている。赤、緑および青の色に関しては、各画素a〜nにそれぞれ1つの画素値を割り当てるのが通例である。
【0041】
画像信号の画像7〜10は画像内容および部分信号から構成されている。画像内容は、主として撮影装置5により撮影されるシーンもしくはそれの、特に色空間を考慮した電子形式への変換に相当する。部分信号は、伝送区間4を介する伝送前に画像内容に重畳される交番信号の成分である。交番信号(alternating signal)は信号交番周波数(signal alternation frequency)で変化し、このことは交番信号に割り当てられた部分信号がこの周波数で交替することを意味する。画像内容への交番信号の重畳は、例えば送信装置2において、又は既に撮影装置5において、従って少なくとも伝送前に、しかし好ましくは画像内容の撮影直後に、行なわれる。特に、その重畳は、画像処理装置の、必要に応じて設けられている全ての画像メモリの前で行なわれなければならない。撮影装置5は、例えば、ここには特に示されていないCCDセンサ又はCMOSセンサを持ち、このセンサは、撮影周波数(単位時間当たりの画像数)を有するディジタル入力信号を送信装置2に供給する。
【0042】
画像内容への交番信号の部分信号の重畳とは、部分信号が、撮影装置5により撮影された本来のシーンから画像内容の相違を生じさせることであると理解すべきである。部分信号は、画素a〜nの1つ又は複数と少なくとも部分的に入れ替わることができ、あるいは画素a〜nの1つ又は複数を単に変更することができる。例えば、部分信号は、画像7〜10もしくはそれらの画像内容と同様に、画素もしくは画素値で編成されているとよい。その際に各部分信号が絶対値を表し、伝送前にそれらの絶対値が画像7〜10もしくはそれらの画像内容に上書きされる。あるいは、部分信号が相対値だけを表し、それらの相対値を用いて、例えば相対値を画像7〜10の画像内容の画素の画素値に加算することによって、画像7〜10を変更してもよい。
【0043】
既に説明したように、図2は、時間間隔Δtで連続する複数の画像7〜10を示す。画像7〜10は、送信装置2から受信装置3へディジタル伝送される画像信号の成分である。それゆえ、時間間隔Δtは伝送周波数の逆数値である。撮影装置5により撮影された画像内容つまり画像7〜10をディジタル伝送した際に、伝送区間4を介する画像伝送が成功したかそれとも失敗したかを、撮影装置6もしくは画像処理装置1の使用者に信号で知らせることは有意義である。この場合に、成功した画像伝送とは、画像7〜10が、撮影装置5による撮影後に、処理および伝送によって生じる僅かな遅れで表示装置6により表示可能であり、しかも画像7〜10の画像内容の時間的順序が維持されたままであることと理解すべきである。
【0044】
これに対して、例えば伝送区間4でエラーが発生した場合に、もしくは既に撮影装置5による撮影時又は送信装置2による撮影入力信号の受取時にエラーが発生した場合にも、画像7〜10の時間的順序に変化が生じ、あるいは少なくとも画像7〜10の幾つかが表示できないことがある。特に、この場合には、画像の7〜10の少なくとも1つが繰り返され、従ってフリーズ画像が現れる結果となる。これは、とりわけ受信装置3が既述の画像メモリを有する場合である。画像メモリには成功裡に伝送された画像7〜10が書き込まれる。続いて失敗した画像伝送が起きると、場合によっては最後に書き込まれた画像7〜10が、成功した画像伝送が再び行なわれ得るまでの間、繰り返される。成功又は失敗した画像伝送であることを識別するために、連続する画像7〜10を互いに比較するように構成する場合に、その比較は、伝送つまり伝送区間4の直後に行なうのではなくて、受信装置3の画像メモリの後にはじめて行なうのが好ましい。追加又は代替として、表示装置6に画像メモリが付設されている場合に、その比較は、画像メモリの後の表示装置6においてはじめて行なうことが好ましい。
【0045】
画像伝送が成功したか又は失敗したかの確認および表示は、特に、例えば治療担当者が表示装置6により表示された画像7〜10に基づいて治療を行なう医学分野にとって有意義である。表示された画像7〜10が、例えば送信装置2と受信装置3との間の失敗した画像伝送のために、現在の画像でない場合には、治療担当者は正しく治療行為をすることができず、このことは患者もしくは治療担当者にとって必要に応じて重大な結果をもたらし得る。この理由から、ここに示された時間的に連続する複数の画像7〜10もしくはそれらの画像内容は、伝送前に、従って特に送信装置2において、あるいは既にそれより前に、信号交番周波数で変化する交番信号を重畳される。信号交番周波数は人間の目によって分解可能な知覚周波数より大きい又は同じ、従って特に少なくとも20Hzでなければならない。
【0046】
図2に示されている実施例において、画像7〜10もしくはそれらの画像内容は、部分的にだけ符号a〜nで示された10×10画素の分解能を有する。しかし、この分解能は純粋に例示であって、通常は、特に医学分野においては、明らかにより高い分解能が使用される。交番信号は、ここでの事例では2つの部分信号13,14から成り、これらの部分信号はここでの事例では2(水平方向)×7(垂直方向)画素の分解能を有する。部分信号13,14に関しても、分解能は純粋に例示であって、より大きくても、より小さくてもよい。交番信号の部分信号13,14は交互に交替するので、部分信号13は画像7,9に割り当てられ、部分信号14は画像8,10に割り当てられている。
【0047】
部分信号13は正の画素値(斜線)および中性の画素値(点線)を有する。これに対して、部分信号14は負の画素値(逆方向の斜線)および中性の画素値(点線)を有する。部分信号13,14の画素はここでの事例ではそれぞれ1つの感嘆符(!)である。しかし、あらゆる任意のシンボルが使用可能である。中性の画素値は零に等しいので、画像内容の画素値の加算時に変更されない。交番信号は画像信号つまり画像7〜10に相補記号の形で供給される。従って、画像信号への交番信号の重畳時に、画像7および9については画像内容の画素値は部分信号13の画素値を加算される。その加算の結果が、当該画像7又は9の画素値である。部分信号13の正の画素値の加算によって、その画素内容の画素値が増大させられる。これに対応して、その画素内容の画素値は、画像8,10の画像内容への部分信号14の負の画素値の加算によって減少させられる。部分信号13,14の中性の画素値の領域(点線)においてだけ、画像7〜10の画像内容の画素値が変化されないままである。
【0048】
交番信号を含んだ連続する画像7〜10が表示装置6により再生される際には、部分信号13,14を周期的に交替させる信号交番周波数に基づいて、部分信号13,14が平均化されるので、画像伝送、特に伝送区間4を介する画像伝送が成功した場合には、画像処理装置1の使用者にとって画像内容の変化を全く又は僅かしか認識できない。これに対して画像7〜10の伝送時にエラーが発生し、その結果画像7〜10の1つがフリーズ状態となり、それによりΔtよりも長い時間に亘って表示装置6により再生される場合には、部分信号13,14の1つが使用者にとって認識可能である。従って使用者は即刻、画像伝送でのエラーに反応することができる。
【0049】
交番信号、従って部分信号13,14は、画像7〜10の有効領域内に重畳されることが特に好ましい。有効領域の外に画像7〜10はそれぞれ外側領域および縁領域を持つことができる。有効領域および縁領域は表示装置6により再生されるのに対して、外側領域に関してはそうではない。例えば縁領域は、画像7〜10の外側にある画素を含むのに対して、有効領域はその縁領域によって取り囲まれている。これに対して、外側領域は図2には示されていない。通常は、外側領域は縁領域を完全に包囲している。この場合に外側領域および縁領域は任意の分解能もしくは任意個数の画素を有することができる。
【0050】
図3は、本発明の第2の実施形態について、複数の画像7〜10からなる画像信号の概略図を示す。この実施形態の場合には、画像信号への交番信号の重畳時に、画像7,9の画素値を変更領域15において特定の第1の値にセットするように設計されている。これに対して、画像8,10については、変更領域15における画素領域が特定の第2の値にセットされる。第1の値は例えば最小値であり、第2の値は最大値であり、その逆の順序も可能である。表示装置6により、最小値を有する画素値は黒として表示され、最大値を有する画素値は白として表示される。ここで紹介した実施形態はグレースケール画像に使用するのに適している。
【0051】
変更領域15はそれぞれ背景領域16によって取り囲まれており、その背景領域16は、表示された際に変更領域15における画素の交替表示によって引き起こされる色印象に対応する画素値を有する。背景領域16は変更領域15の成分であってもよい。画像7〜10のエラーのない伝送もしくは表示の場合には、変更領域15における画素値は、変更領域15および背景領域16からなる一色の面の印象が生じるように平均化される。これに対してエラーが発生した場合には、従って画像7〜10の1つがフリーズ状態になった場合には、変更領域15が画像処理装置1の使用者にとって明確に認識可能に前面に出てきて、従って背景領域16から際立って見える。このようにして、画像伝送もしくは表示が誤っていないかどうかを使用者が簡単に判断することができる。
【0052】
部分信号13は、第1の値に対応する画素値を有する変更領域15と背景領域16とから成るのに対して、部分信号14は、第2の値に対応する画素値を有する変更領域15と背景領域16とから成る。しかし、選択的に、部分信号13もしくは14が変更領域15だけを含むように背景領域16を省略してもよい。この種の実施形態において、背景領域16は、画像内容の枠内に表示するか、又は完全に省略することができる。図3は、部分信号13および14を画像7〜10の縁領域内に存在させるものであることは明白である。この理由から、部分信号13,14はそれぞれ拡大表示されている。信号13,14つまりそれらの画素が画像7〜10の画素と入れ替わるので、通常は、部分信号13,14もしくはそれらの画素を有効領域において画像7〜10の画像内容に重畳することは望ましくない。
【0053】
ここに図示されていない本発明の第3の実施形態では、交番信号が部分信号13,14を有し、第1の部分信号13が第1のシンボルを有し、第2の部分信号14が第1のシンボルとは異なる第2のシンボルを有し、両シンボル13,14が表示装置6による表示の際に重なるように設計されている。例えば、第1のシンボルが垂直線で、第2のシンボルが水平線であり、両線が中点で交差するように両シンボルが互いに配置されている。このようにして、画像7〜10の規則どおりの伝送および表示の場合にはプラス記号の印象が得られるのに対して、失敗した伝送もしくは画像7〜10の1つのフリーズ状態の場合には垂直又は水平な線が表示される。このようにしても、エラーのない画像伝送もしくは画像再生であるか否かを画像処理装置1の使用者が簡単に識別することができる。
【0054】
画像信号への交番信号の重畳は伝送系列内においてできるだけ早く実行し、検査はできるだけ遅く実行するように構成するのが基本である。従って、重畳は、撮影の直後に、又は少なくとも伝送の前、もしくは必要に応じて設けられている画像メモリの前で行なうことが好ましい。これに対して成功又は失敗した画像伝送の検査は、使用者によって再生後に行なわれ、又は代替として自動的に好ましくは再生直前に、しかし少なくとも伝送後に行なわれる。
【0055】
以上において説明した本発明の実施形態において、評価は、使用者自身による代わりに自動的に、特に(直接に)連続する画像の比較によって行ない、使用者にはこの評価の結果だけを示すのがよい。従って、使用者はもはや自分で、失敗した画像伝送又は規則どおりの画像伝送が現れているかどうかを識別する必要がない。むしろ、画像伝送の状態は自動的に確認される。自動的な評価が行われる場合には、画像信号への交番信号の重畳時に、失敗した画像伝送の場合にも使用者が交番信号を殆ど又は全く認識することができないように交番信号を選んでもよい。例えば、好ましくはそれぞれの画素値の特定のパリティをセットすべく、変更領域15内の画素の最下位ビットだけが変更される。特に、重畳による個々の画像7〜10の変更を使用者がいずれにせよ知覚することができない実施形態では、信号交番周波数を知覚周波数よりも小さく選ぶことも容易に可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 画像処理装置
2 送信装置
3 受信装置
4 伝送区間
5 撮影装置
6 表示装置
7〜10 時間的に連続する画像
11 列
12 行
13 部分信号
14 部分信号
15 変更領域
16 背景領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像信号が送信装置(2)と少なくとも1つの受信装置(3)との間でディジタル伝送され、その画像信号が、時間的に連続する画像(7,8,9,10)を有する画像処理装置(1)を動作させる方法において、画像(7,8,9,10)の画像内容が、伝送の前に、信号交番周波数にて変化する交番信号を重畳され、その信号交番周波数が人間の目によって分解可能である知覚周波数より大きい又は同じであることを特徴とする画像処理装置の動作方法。
【請求項2】
表示装置(6)による表示が、前記信号交番周波数より大きい又は同じである再生周波数にて行なわれることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
重畳が撮影装置(5)において画像内容の撮影時又は撮影直後および/又はディジタル伝送前に行なわれることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
各画像(7,8,9,10)およびそれぞれの画像内容が、それぞれ1つの画素値を有する複数の画素(a〜n)を含み、交番信号が画像(7,8,9,10)の変更領域(15)内の画素(a〜n)に影響を及ぼすことを特徴とする請求項1乃至3の1つに記載の方法。
【請求項5】
交番信号が少なくとも2つの異なる交替する部分信号(13,14)を含み、各部分信号(13,14)が少なくとも1つの画素から成り、その画素の画素値が、画像内容の対応する画素値に加算されるか、又は画像内容の対応する画素値に上書きされることを特徴とする請求項1乃至4の1つに記載の方法。
【請求項6】
画像内容への交番信号の重畳の際に、画像信号の連続する画像(7,8,9,10)の第1の画像については、変更領域(15)内の1つの画素値、好ましくは全ての画素値の少なくとも1つのビットが特定の第1の値にセットされ、第2の画像については、変更領域(15)内の1つの画素値、好ましくは全ての画素値の少なくとも1つのビットが特定の第2の値にセットされることを特徴とする請求項1乃至5の1つに記載の方法。
【請求項7】
それぞれの画素値の全てのビットがセットされ、第1の値が画素値の最大値であり、第2の値が画素値の最小値であることを特徴とする請求項1乃至6の1つに記載の方法。
【請求項8】
ビットがそれぞれの画素値の最下位ビットであることを特徴とする請求項1乃至7の1つに記載の方法。
【請求項9】
第1の値および第2の値は、ビットのセット時に、特定の画素値パリティ、特に連続する画像の第1の画像と第2の画像との間で異なる特定の画素値パリティが生じるように選ばれていることを特徴とする請求項1乃至8の1つに記載の方法。
【請求項10】
画像信号への交番信号の重畳時に、画像信号の連続する画像(7,8,9,10)の第1の画像については、変更領域(15)内の少なくとも1つの画素値、好ましくは全ての画素値が規定値だけ増加させられ、第2の画像については、同じ値だけ減少させられることを特徴とする請求項1乃至9の1つに記載の方法。
【請求項11】
規定値が、増加および/又は減少が画素値のオーバーフローをもたらす場合には減少させられ、オーバーフローがない場合には規定の最大値まで増加させられることを特徴とする請求項1乃至10の1つに記載の方法。
【請求項12】
画像信号の画像(7,8,9,10)が画像交番周波数にて連続し、画像交番周波数が信号交番周波数より大きい又は同じに選ばれることを特徴とする請求項1乃至11の1つに記載の方法。
【請求項13】
画像(7,8,9,10)が、表示装置(6)による表示時に表示される有効領域と、有効領域の外側にあって同様に表示される縁領域と、表示されない外側領域とを有し、変更領域が有効領域、縁領域および/又は外側領域にあることを特徴とする請求項1乃至12の1つに記載の方法。
【請求項14】
交番信号がシンボル、特に絵文字又は記号を有することを特徴とする請求項1乃至13の1つに記載の方法。
【請求項15】
送信装置(2)と少なくとも1つの受信装置(3)とを有し、これらが時間的に連続する画像(7,8,9,10)を含む画像信号をディジタル伝送するように構成されており、特に請求項1乃至14の1つに記載の方法を実施するための画像処理装置(1)において、画像処理装置(1)が、画像(7,8,9,10)の画像内容に伝送前に信号交番周波数にて変化する交番信号を重畳するように構成され、その信号交番周波数が人間の目によって分解可能な知覚周波数より大きい又は同じであることを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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