説明

画像処理装置及びその制御方法、並びにプログラム

【課題】本発明は、セキュアプリントジョブのレンダリング後の画像データの保存領域が足りずに印刷できないという課題を解決し、認証から印刷開始までの待ち時間を短縮することができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置にてセキュアプリントジョブのレンダリング処理中に容量フルが発生する場合にキャンセルを発生させずに、レンダリング処理を一時停止する。認証後の処理をレンダリング処理とプリンタエンジンの印刷処理の速度差に依り、切り替える。つまり、認証後のプリンタエンジンの印刷する頁間に記憶装置に画像データを保存済みであれば、レンダリング処理とプリンタエンジンの印刷処理を並行して継続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及びその制御方法、並びにプログラムに関し、特に、画像処理装置のセキュアプリント技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像処理装置のセキュアプリントとは、LANに接続された情報処理装置から画像処理装置に投入された印刷物を第三者に閲覧されることを抑制し、機密性を保持する機能である。
【0003】
セキュアプリント機能の概略をユーザの視点で説明する。
【0004】
ユーザは情報処理装置からパスワードを付与したプリントジョブをLAN経由で画像処理装置に投入する。次に、ユーザは、ジョブ投入後に画像処理装置側に移動し、操作部にてパスワードを入力する。そして、認証が完了した後に印刷が開始されるため、印刷結果を適切に手にすることができる。例えば、特許文献1では、画像処理装置の内部処理は、受信したプリントジョブをPDL解釈及びレンダリング処理し、画像データをHDDなどの記憶装置に一時的に蓄積する。画像処理装置は投入データの全頁分の展開処理が終了後にジョブを認証待ち状態に遷移する。画像処理装置は、操作部にてパスワード入力を受け付け、認証後に蓄積した画像データの印刷処理を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−293933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、少容量の記憶装置しか持たない安価な画像処理装置が提供されているが、セキュアプリント機能搭載に対する要望が高い。
【0007】
しかしながら、従来は、画像処理装置がHDDなどの大容量の記憶装置を持つことを前提としており、少容量の記憶装置を有する画像処理装置に適用すると問題が発生する。
【0008】
また、少容量セキュアプリント課題に関する先行技術があるが、別課題が発生する。
【0009】
従来方法と、先行技術とにおける少容量セキュアプリントの課題を各々述べる。
【0010】
まず、従来方法を少容量の記憶装置しかもたない画像処理装置に適用した課題について述べる。この場合の課題は、画像処理装置にてレンダリング後の画像データの保存領域が足りず、印刷できないジョブが存在することである。プリントジョブのレンダリング後の画像データ容量はユーザ次第であり、画像処理装置はレンダリング処理しなければその容量が分からない。画像処理装置は、ジョブ処理を開始し容量フルが発生した場合は、保護処理のためジョブキャンセルを行っていた。この容量フルは、HDDなどの大容量の記憶装置を持つ画像処理装置では実用面でほぼ発生しないが、HDDなどを持たない少容量の画像処理装置では顕著に発生する。これを課題(a)とする。
【0011】
次に、先行技術における少容量セキュアプリントの課題を説明する。少容量セキュアプリントの課題に関する先行技術に特許技術文献1がある。先行技術ではプリントジョブ受信前にパスワードを含むジョブチケットを使用する。画像処理装置は、ホストからパスワードを含むジョブチケットを受信し、認証後にジョブ本体となるプリントジョブの受信を開始し、展開及び印刷処理を行うことで、少容量セキュアプリントを実現する。
【0012】
しかし、この方法を適用すると、画像処理装置は、認証後にジョブ受信からの全ての処理を実行するため、認証から印刷開始までにユーザ待ち時間が発生する場合がある。画像処理装置のレンダリング中にフォールバックなどが発生するジョブの場合、数分間の待ちが起きうる。このような場合、ユーザは機密性を保持したい原稿に対してセキュアプリントを実行しているのにも関わらず、画像処理装置の操作部にて認証指示を実行しても、直後に印刷処理が開始されない好ましくない状況が起きうる。これを課題(b)とする。なお、従来のHDD付きモデルでのセキュアプリント方法では、全頁展開処理が完了後に認証し、印刷を開始するため、この待ち時間は発生しない。
【0013】
本発明は、上述した課題(a)、(b)に鑑み、セキュアプリントジョブのレンダリング後の画像データの保存領域が足りずに印刷できないという課題を解決し、認証から印刷開始までの待ち時間を短縮することができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の画像処理装置は、セキュアプリントジョブを受信して印刷処理を実行する画像処理装置において、受信したセキュアプリントジョブをレンダリング処理し、展開した画像データを記憶装置の展開領域に保存する保存手段と、前記セキュアプリントジョブを、ユーザからの認証指示の受付が可能である認証待ち状態に遷移させる遷移手段と、認証待ち状態のままレンダリング処理中に前記展開領域に保存された画像データがフルに達した場合にレンダリング処理を一時停止する停止手段と、前記レンダリング処理が停止した後にユーザ認証が成功すると前記セキュアプリントジョブを認証成功状態に遷移させる遷移手段と、前記展開領域に保存済みの画像データを印刷処理し、印刷処理が完了した画像データを前記展開領域から削除して、後続頁のレンダリング処理を開始して、展開した画像データを前記展開領域に保存する保存手段と、前記レンダリング処理が前記画像データの印刷処理より速く、1頁分の画像データを印刷する間に、前記展開領域に画像データが保存済みとなる場合に、前記レンダリング処理と前記印刷処理を印刷完了まで並行して行う制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、セキュアプリントジョブのレンダリング後の画像データの保存領域が足りずに印刷できないという課題を解決し、認証から印刷開始までの待ち時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】(a)画像処理装置の記憶装置に保存される画像データの保存領域の概要を示す図、(b)画像処理装置の操作部に表示されるセキュアプリント設定画面の一例を示す図である。
【図3A】画像処理装置におけるセキュアプリント処理の流れを示すフローチャートである。
【図3B】画像処理装置におけるセキュアプリント処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】(a)ジョブ状況リストの画面構成例を示す図、(b)パスワード入力画面の一例を示す図である。
【図5】(a)認証完了画面の一例を示す図、(b)パスワード再設定画面の一例を示す図である。
【図6】図3BのステップS3014、S3015の処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【0019】
画像処理装置1200は、例えば、プリンタ、ファクシミリ、複合機等から成り、LAN1100を介してパーソナルコンピュータ等の情報処理装置1001と接続されている。
【0020】
画像処理装置1200では、図示のように、以下に説明する各部がシステムバス1210を介して相互に接続されている。CPU1201は、画像処理装置全体の制御処理及び画像処理を担う。ネットワークI/F1202は、情報処理装置1001等からLAN1100を介して、セキュアプリントジョブや通常のプリントジョブを受信するネットワークインターフェースである。セキュアプリントジョブは、例えば情報処理装置1001において、プリンタドライバなどのソフトウェアを使用して作成されたPDLデータに、ユーザにより設定されたパスワード等が付加されたプリントジョブである。
【0021】
画像処理装置1200では、受信したセキュアプリントジョブは、記憶装置1204に設定された領域に一時保存される。その後、PDL解析処理部1206が、セキュアプリントジョブに対してPDL解析処理を行い、中間データ(不図示)を生成する。レンダリング処理部1207は、生成された中間データに基づいて描画処理を行い、画像データを生成する。生成された画像データは、ページ単位で、画像データ保存処理部1208により記憶装置1204に設定された展開領域に保存される。
【0022】
画像処理装置1200が通常のプリントジョブを受信した場合、上述したセキュアプリントジョブと同様にして画像データが生成され、記憶装置1204の展開領域に保存された画像データがプリンタエンジン1209に出力されて、印刷処理が行われる。
【0023】
一方、画像処理装置1200がセキュアプリントジョブを受信した場合は、操作部1203にてユーザの認証情報の入力を受け付けた後に、認証処理部1205にて認証処理が行われる。そして、認証が成功した後に、画像データがプリンタエンジン1209に出力され、印刷処理が行われる。プリンタエンジン1209が印刷処理を完了すると、記憶装置1204に保存されている画像データは消去される。
【0024】
図2(a)は、画像処理装置1200の記憶装置1204に保存される画像データの保存領域の概要を示す図である。図2(b)は、画像処理装置1200の操作部1203に表示されるセキュアプリント設定画面の一例を示す図である。
【0025】
セキュアプリントジョブの画像データが保存される展開領域は、図2(b)に示すセキュアプリント設定画面2001で設定されたセキュアプリントジョブの上限数2002に応じて分割される。例えば、上限数が5に設定された場合、図示のように、5つの領域1301,1302,1303,1303,1304,1305に分割される。これらのうちの一つの領域が一つのセキュアプリントジョブの展開領域に割り当てられる。一方、セキュアプリントジョブ以外の通常のプリントジョブやコピージョブは、セキュアプリントジョブとは異なる展開領域(領域1401,1402)に割り当てられる。
【0026】
図2(b)において、セキュアプリント設定画面2001は、操作部1203に表示され、セキュアプリントジョブの上限数2002と消去時間2003の設定が可能である。これらの設定値は、図示の設定キーをクリックすることにより変更が可能になっている。図示例では、上限数10ジョブに設定されている。セキュアプリントジョブの上限数2002の設定値は、セキュアプリントジョブの展開領域の分割数となる。
【0027】
セキュアプリントジョブの消去時間2003は、例えば、画像処理装置1200に投入されたセキュアプリントジョブが認証されずに放置されている場合に、一定時間経過後に該ジョブを削除するための機能である。
【0028】
セキュアプリントジョブの上限数2002と消去時間2003の設定値は、画像処理装置1200が再起動後に反映される。また、再起動時にセキュアプリントジョブが保存されていた場合は削除される。
【0029】
図3A及び図3Bは、画像処理装置1200におけるセキュアプリント処理の流れを示すフローチャートである。本処理は、CPU1201が図1の各部を制御することにより実行される。
【0030】
CPU1201は、LAN1100に接続された情報処理装置1001よりセキュアプリントジョブを受信する(ステップS3001)。次に、CPU1201は、PDL解析処理部1206、レンダリング処理部1207を制御して、受信したセキュアプリントジョブをPDL解釈及びレンダリング処理し、展開した画像データを記憶装置1204の展開領域に保存する(ステップS3002)。
【0031】
次に、CPU1201は、セキュアプリントジョブを認証待ち状態に遷移させ(ステップS3002)、ユーザの認証指示を受け付けるまで(ステップS3003)、レンダリング処理を継続する(ステップS3004)。認証待ち状態とは、画像処理装置1200が、操作部1203にてユーザからの認証指示の受付が可能である状態を指す。認証指示とは、パスワード等の認証情報の入力などを指す。認証待ち状態時以外では、CPU1201は、ユーザの認証指示の受付を不可とする。後述するが、CPU1201は、操作部1203に表示されたジョブ状況リスト画面5001(図4(a)参照)上で、認証待ち状態にあるセキュアプリントジョブの選択指示を受け付けた場合は、「パスワード」ボタン5004の押下を可能にする。それ以外の状態にあるジョブの選択指示を受け付けた場合は、CPU1201は、「パスワード」ボタン5004をグレーアウト表示にして、当該「パスワード」ボタン5004の押下を不可能にする。
【0032】
まず、画像処理装置1200が記憶装置1204上の展開領域内で全頁分の展開処理を完了する場合について説明する。この場合は、ステップSS3005にてYESに分岐するセキュアプリントジョブの処理を指す。
【0033】
CPU1201は、セキュアプリントジョブの全頁分のレンダリング処理が完了したと判断すると(ステップS3005でYES)、ユーザの認証指示を受け付けるまで認証待ち状態を維持する(ステップS3006)。CPU1201がユーザの認証指示を受け付けてユーザ認証が成功した場合は(ステップS3006でYES)、セキュアプリントジョブを認証成功状態に遷移させる(ステップS3007)。そして、保存済みの画像データをプリンタエンジン1209にて印刷処理する(ステップS3008)。これらの一連の処理では、既に全頁の画像データが記憶装置1204上の展開領域に保存済みであり、その画像データがプリンタエンジン1209に出力され、印刷処理が行われる。つまり、この場合は、従来の大容量の記憶装置付きの画像処理装置におけるセキュアプリント方法と同じ動作となる。
【0034】
次に、画像処理装置1200が全頁の展開処理を完了するまでに、記憶装置1204上の展開領域がフルになる場合について説明する。展開領域フルとは、セキュアプリントジョブに利用される記憶装置1204上の1ジョブ分の領域(1301などの1ブロック分)が埋まることを示す。この場合は、ステップS3009にてYESに分岐すること指す。
【0035】
CPU1201は、記憶装置1204上の展開領域がフルになったと判断した場合(ステップS3009でYES)、セキュアプリントジョブのレンダリング処理を一時停止する(ステップS3010)。これは、CPU1201が記憶装置1204上の展開領域に画像データを保存する処理も一時停止することを意味する。CPU1201は、ユーザの認証指示を受け付けるまで処理を一時停止し、指示を受け付けた場合に(ステップS3011でYES)、セキュアプリントジョブを認証成功状態に遷移させる(ステップS3012)。次に、CPU1201は、プリンタエンジン1209を制御して、記憶装置1204に保存済みの画像データの印刷処理を行う。そして、レンダリング処理部1207を制御してレンダリング処理を開始させ、印刷処理とレンダリング処理を並行して行わせて、印刷完了に伴って記憶装置1204上の空いた展開領域に画像データを保存する(ステップS3013)。
【0036】
次に、全頁を印刷完了するまでの並行処理中のステップS3015について説明する。
【0037】
レンダリング処理が画像データの印刷処理より速く、記憶装置に保存する画像データ数が、保存済みの画像データを印刷する枚数より多い場合は以下のようになる。すなわち、1頁分の画像データの印刷処理が完了し、次頁の画像データの印刷処理が開始するまでに、必ず次頁以降の画像データが保存されていることになる。このように、プリンタエンジン1209が1頁分の画像データを印刷する間に、記憶装置1204に画像データが保存済みとなる場合(ステップS3015でYES)には、CPU1201は、レンダリング処理と印刷処理の並行処理を継続する。この場合、印刷処理中に、記憶装置1204に画像データが保存されていないことで印刷処理が停止することが無い。そのため、画像処理装置1200が記憶装置1204上の展開領域内で全頁分の展開処理を完了する場合と同様に処理が行われることから、ユーザに展開領域フルを意識させることなく、セキュアプリントジョブ処理を継続することが可能である。
【0038】
一方、レンダリング処理が画像データの印刷処理より遅く、記憶装置1204に保存する画像データ数が、保存済みの画像ファイルを印刷する枚数よりも少ない場合は以下のようになる。すなわち、保存済みの全ての画像データの印刷処理が完了し、次頁の画像データの印刷処理が開始するまでに、次頁の画像データをレンダリング処理して記憶装置1204に保存できないおそれがある。この場合は、プリンタエンジン1209の印刷処理にて紙間が開くことになる。
【0039】
そこで、CPU1201は、図5(b)に示すように、操作部1203に表示されたジョブ状況リスト画面5001上にパスワード再設定画面5041を表示する。パスワード再設定画面5041には、次頁の印刷処理までに紙間が開くので、パスワード認証が行われたセキュアプリントジョブに対してパスワードの再設定(再認証設定)を行うか否かを問う旨が表示される。ユーザは、パスワードの再設定を行う場合は、「パスワード設定する」ボタン5042を押下し、パスワードの再設定を行わない場合は、「パスワード設定しない」ボタン5043を押下する。また、ジョブを中止する場合は、「ジョブ中止」ボタン5044を押下する。
【0040】
CPU1201は、ユーザからパスワードの再設定の指示を受け付けた場合(ステップS3016でYES)、印刷処理を一時停止し(ステップS3017)、ステップS3002に戻る。このとき、セキュアプリントジョブを認証待ち状態に戻す。これにより、ユーザが画像処理装置1200に印刷を再開させる場合、画像処理装置1200にパスワード入力を行うことが必要となる。再認証設定を設ける理由は、紙間が開いたことにより、ユーザが画像処理装置1200から離れ、その間に次頁の印刷が行われた場合に出力結果を第三者に閲覧される可能性があり、これを防止することである。また、ユーザが画像処理装置1200から離れずに次頁の印刷を待つ場合には、再認証設定を行わないこともでき、不要なパスワード入力をユーザに求めない柔軟な対応が可能である。
【0041】
図3BのステップS3014とステップS3015の処理について図6を参照して説明する。
【0042】
図6において、レンダリング処理して展開した画像データを記憶装置1204に保存するレンダリング処理4001とする。そして、記憶装置1204に保存された画像データをプリンタエンジン1209に出力して実行する印刷処理4002とする。さらに、その処理で生成・削除処理される記憶装置1204上の画像データ4003とする。
【0043】
1頁分のレンダリング処理が完了すると、記憶装置1204に画像データが1つ生成され、1頁分の印刷処理が完了すると記憶装置1204の画像データが1つ削除される。例えば、画像処理装置1200の性能が30PPMの場合を考える。画像処理装置1200は、少容量の記憶装置しか持たない。30PPMであると、画像処理装置1200は、プリンタエンジン1209にて2秒間隔で1枚を印刷処理する。
【0044】
(A)ステップS3014でYESのケース:
CPU1201は、認証成功状態にて、前頁を印刷処理して次頁の印刷処理の前に、少なくとも1頁分のレンダリング処理を行い、展開した画像データを記憶装置1204に保存済みであれば、印刷処理4002にて紙間が開かずに処理することが可能である。
【0045】
(B)ステップS3008でYESのケース:
CPU1201は、認証待ち状態にて、記憶装置1204の展開領域が画像データ4003でフルになったため、レンダリング処理4001を一時停止する。認証待ち状態のため、印刷処理4002を行っていない。
【0046】
(C)ステップS3014でNOのケース:
CPU1201は、前頁を印刷処理(4002)して次頁の印刷処理(4002)前に、次頁をレンダリング(4001)中で画像データを記憶装置1204に保存できない場合、印刷処理する画像データが存在しないため、紙間が開くことになる。この際に、前頁の印刷処理後の2秒以内に再認証設定の確認画面を表示してよいし、遊びを設けて3秒以内などとしてもよい。
【0047】
(D)ステップS3007のケース、あるいは、従来のHDDを前提としたセキュアプリント方法:
CPU1201は、レンダリング処理4001が終了し、全頁分の画像データを保存済み後に、認証指示を受け付け、印刷処理のみを行う。なお、以上の方法は、用紙種類や高解像度処理によって画像処理装置が印刷処理速度を切り替える場合にも対応可能である。例えば、30PPMの画像処理装置にて、坪量の多い厚紙や特殊紙の印刷処理を半速の15PPMにする必要があった場合にも同様の処理で対応可能である。
【0048】
図4(a)、図4(b)、図5(a)、図5(b)は、ジョブ状況リスト画面5001の画面構成例を示す図である。
【0049】
CPU1201は、操作部1203にジョブ状況リスト画面5001を表示し、ジョブのリスト表示や、リスト上のジョブ選択指示の受け付けや、認証指示の受け付けを行なう。
【0050】
まず、ジョブ状況リスト画面5001の構成を説明する。
【0051】
図4(a)において、ジョブ状況リスト画面5001では、プルダウンメニュー5002にて、セキュアプリントジョブのみのリストか、その他のコピージョブなどを含む全ジョブのリストを表示させるかを選択可能である。その下に画像処理装置1200で処理中のジョブのジョブリスト5003を表示する。ジョブリストの項目は、アイコン、時刻、ジョブ名、ジョブ状況などである。CPU1201は、ジョブリスト5003上の複数のジョブ(例えば、ジョブA5011,ジョブB5012,ジョブC5013,ジョブD5014)のうちいずれかが押下されると、当該ジョブの選択指示を受け付ける。CPU1201は、選択されたジョブの背景色の表示を変えて、ジョブの選択指示を受け付けたことをユーザに通知する。図示例では、ジョブリスト5003に4つのジョブが表示されているが、表示しきれない場合には、ページ送り/戻りボタン5006が押下することにより他のジョブを表示させることができる。ジョブが選択された後に「中止」ボタン5005が押下されると、当該ジョブに対する処理が中止される。
【0052】
CPU1201がセキュアプリントジョブに対してレンダリング処理を行っている場合は、ジョブリスト5003のジョブ状況に「展開中」と表示する(5014)。図3AのステップS3002のように、CPU1201がセキュアプリントジョブを認証待ち状態に遷移させた場合は、ジョブリスト5003のジョブ状況に「認証待ち」と表示する(5012,5013)。さらに、選択されたジョブの認証処理が成功した場合、CPU1201は、プリンタエンジン1209で印刷処理を開始させると共に、ジョブリスト5003のジョブ状況に「プリント中」と表示させる(5011)。なお、選択されたジョブに対して中止指示を受け付けた場合は、ジョブリスト5003のジョブ状況に「中止中」と表示させる(不図示)。CPU1201は、中止処理が完了すると、該ジョブをジョブ状況リストより削除する。
【0053】
CPU1201は、例えば、ジョブリスト5003上の認証待ちのジョブB5012、ジョブC5013のいずれかの選択を受け付け、「パスワード」ボタン5004が押下されると、図4(b)に示すパスワード入力画面5021を表示する。パスワード入力画面5021にてパスワードの入力を受け付けた後、「OK」ボタン5022が押下されると、認証処理部1205にて認証処理が行われる。認証が成功すると、CPU1201は、図5(a)に示す認証完了画面5031を表示する。「キャンセル」ボタン5023が押下された場合、認証処理は実行されない。
【0054】
CPU1201は、認証が成功するとジョブ状況リスト画面5001を図4(a)に示す画面に戻し、認証が成功したジョブのジョブ状況を「プリント中」に変更して、レンダリング処理と印刷処理を継続する。一方、CPU1201は、認証が失敗した場合は、ジョブ状況リスト画面5001を図4(a)に示す画面に戻し、認証が失敗したジョブのジョブ状況を認証待ちのままとし、レンダリング処理を継続する。
【0055】
CPU1201は、レンダリング処理中に展開領域フルが発生した場合にレンダリング処理を一時停止するが(図3AのステップS3009)、ジョブリスト5003上のジョブ状況を「認証待ち」と表示したままとする。また、CPU1201は、展開領域フルが発生したジョブに対して認証指示を受け付けた後に、印刷処理を開始した場合も、ジョブリスト5003上のジョブ状況を「プリント中」と表示する。これにより、ユーザに展開領域フルが発生したことを意識させることなく、セキュアプリントジョブ処理を継続することが可能となる。
【0056】
CPU1201は、印刷処理中に紙間が開いた場合は、図5(b)に示すパスワード再設定画面5041を表示する(ステップS3015)。CPU1201は、「パスワード設定する」ボタン5042の押下を受け付けた場合は、セキュアプリントジョブに設定されていたパスワードを再度設定する。このときに、別のパスワード設定するための選択画面を設けて、別のパスワードの設定を受け付けてもよい。その際は、最初に設定されたパスワードでなく、再設定したパスワードが入力された場合にのみ認証を成功させる。CPU1201は、「パスワード設定しない」ボタン5043の押下を受け付けた場合は、ジョブ状況リスト画面5001を図4(a)に示す画面に戻す。
【0057】
上記実施形態によれば、認証待ち状態のままレンダリング処理中に記憶装置1204に設定された展開領域が画像データでフルに達した場合、レンダリング処理を一時停止し、認証成功後にセキュアプリントジョブを認証成功状態に遷移させる。そして、記憶装置1204に保存済みの画像データをプリンタエンジン1209にて印刷処理し、印刷処理が完了した画像データを記憶装置1204から削除し、並行して後続頁をレンダリング処理し展開した画像データを記憶装置1204に保存する。レンダリング処理が画像データの印刷処理より速く、プリンタエンジン1209が1頁分の画像データを印刷する間に記憶装置1204に画像データが保存済みの場合には、レンダリング処理と並行して印刷処理を印刷完了まで継続する。これにより、セキュアプリントジョブのレンダリング後の画像データの保存領域が足りずに印刷できないという課題を解決し、認証から印刷開始までの待ち時間を短縮することができる。
【0058】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0059】
1001 情報処理装置
1100 LAN
1200 画像処理装置
1203 操作部
1204 記憶装置
1205 認証処理部
1207 レンダリング処理部
1208 画像データ保存処理部
1209 プリンタエンジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セキュアプリントジョブを受信して印刷処理を実行する画像処理装置において、
受信したセキュアプリントジョブをレンダリング処理し、展開した画像データを記憶装置の展開領域に保存する保存手段と、
前記セキュアプリントジョブを、ユーザからの認証指示の受付が可能である認証待ち状態に遷移させる遷移手段と、
認証待ち状態のままレンダリング処理中に前記展開領域に保存された画像データがフルに達した場合にレンダリング処理を一時停止する停止手段と、
前記レンダリング処理が停止した後にユーザ認証が成功すると前記セキュアプリントジョブを認証成功状態に遷移させる遷移手段と、
前記展開領域に保存済みの画像データを印刷処理し、印刷処理が完了した画像データを前記展開領域から削除して、後続頁のレンダリング処理を開始して、展開した画像データを前記展開領域に保存する保存手段と、
前記レンダリング処理が前記画像データの印刷処理より速く、1頁分の画像データを印刷する間に、前記展開領域に画像データが保存済みとなる場合に、前記レンダリング処理と前記印刷処理を印刷完了まで並行して行う制御手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記レンダリング処理が前記画像データの印刷処理より遅く、1頁分の画像データを印刷する間に、前記展開領域に画像データが保存できなかった場合は、紙間が開く旨をユーザに通知して再認証設定の選択指示を受け付ける受付手段と、
前記再認証設定の指示を受け付けた場合は、前記印刷処理を一時停止する停止手段と、
前記再認証設定の指示を受け付けた場合は、前記セキュアプリントジョブを認証待ち状態に遷移させ、レンダリング処理を開始して、展開した画像データを保存する処理を継続する保存手段とを備え、
前記制御手段は、前記再認証設定の指示を受け付けなかった場合は、前記セキュアプリントジョブを認証成功状態のままにして、受信したセキュアプリントジョブをレンダリング処理し、展開した画像データを記憶装置の展開領域に保存する処理を継続させることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記展開領域を前記セキュアプリントジョブの上限数に分割する分割手段と、
前記上限数を設定するための設定手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項4】
セキュアプリントジョブを受信して印刷処理を実行する画像処理装置の制御方法において、
受信したセキュアプリントジョブをレンダリング処理し、展開した画像データを記憶装置の展開領域に保存する保存工程と、
前記セキュアプリントジョブを、ユーザからの認証指示の受付が可能である認証待ち状態に遷移させる遷移工程と、
認証待ち状態のままレンダリング処理中に前記展開領域に保存された画像データがフルに達した場合にレンダリング処理を一時停止する停止工程と、
前記レンダリング処理が停止した後にユーザ認証が成功すると前記セキュアプリントジョブを認証成功状態に遷移させる遷移工程と、
前記展開領域に保存済みの画像データを印刷処理し、印刷処理が完了した画像データを前記展開領域から削除して、後続頁のレンダリング処理を開始して、展開した画像データを前記展開領域に保存する保存工程と、
前記レンダリング処理が前記画像データの印刷処理より速く、1頁分の画像データを印刷する間に、前記展開領域に画像データが保存済みとなる場合に、前記レンダリング処理と前記印刷処理を印刷完了まで並行して行う制御工程と、
を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載の制御方法を画像処理装置に実行させるためのコンピュータに読み取り可能なプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−86415(P2013−86415A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230597(P2011−230597)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】