説明

画像処理装置及びプログラム

【課題】出力先となった画像形成装置の画像形成方式に対応する単位で画像情報を区分して送信することが望まれている。
【解決手段】画像情報を予め定めた単位に分割した受信単位情報を、画像形成の要求元から逐次的に受信し、当該受信した受信単位情報の分割前の画像情報に対して指定されている画像処理を行う。出力先となる画像形成装置3ごとの画像形成方式に係る情報を取得し、当該取得した情報に基づいて、出力先となった画像形成装置3に対して送信する画像情報の分割の単位を決定し、当該決定した単位で画像処理の結果を分割した送信単位情報を生成し、当該送信単位情報を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ装置及びプリンタ装置がネットワーク上に接続されて成るネットワークシステムにおいて、スキャナ装置が、複数頁の原稿画像を順次読み取り、その読み取った画像データを、複数頁の原稿画像の読み取り動作の完了を待つことなくプリンタ装置に対して頁単位で転送するという技術が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−184379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されている技術においては、プリンタ装置ごとの画像形成方式に適した頁単位で画像データを転送することは開示されていないが、ネットワーク等の通信手段等を介して、出力先である画像形成装置に画像情報を送信する場合に、出力先となった画像形成装置の画像形成方式に対応する単位で画像情報を区分して送信することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、画像処理装置であって、画像情報を予め定めた単位に分割した受信単位情報を、画像形成の要求元から逐次的に受信する受信手段と、前記受信した受信単位情報の分割前の画像情報に対して指定されている画像処理を行う画像処理手段と、出力先となる画像形成装置ごとの画像形成方式に係る情報を取得する取得手段と、前記取得した情報に基づいて、出力先となった画像形成装置に対して送信する画像情報の分割の単位を決定する決定手段と、前記決定した単位で、前記画像処理の結果を分割した送信単位情報を生成する生成手段と、前記生成した送信単位情報を逐次的に送信する送信手段と、を含むものである。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像処理装置であって、前記取得手段が取得する画像形成方式に係る情報には画像形成の速度に関する情報が含まれ、前記決定手段は、当該画像形成の速度に関する情報を含む画像形成方式に係る情報と、出力先となる画像形成装置への情報の送信速度に係る情報とに基づいて、出力先となった画像形成装置に対して送信する画像情報の分割の単位を決定することとしたものである。
【0007】
請求項3記載の発明は、プログラムであって、コンピュータを、画像情報を予め定めた単位に分割した受信単位情報を、画像形成の要求元から逐次的に受信する受信手段と、前記受信した受信単位情報の分割前の画像情報に対して指定されている画像処理を行う画像処理手段と、出力先となる画像形成装置ごとの画像形成方式に係る情報を取得する取得手段と、前記取得した情報に基づいて、出力先となった画像形成装置に対して送信する画像情報の分割の単位を決定する決定手段と、前記決定した単位で、前記画像処理の結果を分割した送信単位情報を生成する生成手段と、前記生成した送信単位情報を逐次的に送信する送信手段と、として機能させることとしたものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1,3記載の発明によると、出力先となった画像形成装置の画像形成方式に対応する単位で画像情報を区分して送信することができる。
【0009】
請求項2記載の発明によると、出力先となった画像形成装置の画像形成速度に対応する単位で画像情報を区分して送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の構成、並びに、接続例を表すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像処理装置が受け入れる受信単位情報の例を表す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の保持する画像形成装置ごとの情報の例を表す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る画像処理装置が保持する分割単位を表すテーブルの例を表す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像処理装置における画像処理の例を表すフローチャート図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る画像処理装置による画像処理の結果の例を表す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の送信の処理例を表すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態に係る画像処理装置について図面を参照しながら説明する。本実施の形態の画像処理装置1は、図1に例示するように、画像提供装置2と、少なくとも一つの画像形成装置3とに対してそれぞれネットワーク等の通信手段を介して接続される。
【0012】
ここで画像処理装置1は、制御部11と、記憶部12と、通信部13とを含んで構成される。ここで制御部11は、CPU(Central Processing Unit)等のプログラム制御デバイスを含む。この制御部11は、記憶部12に格納されているプログラムを実行し、当該プログラムに従って動作する。本実施の形態の制御部11は、いわゆるマルチタスク処理を行っており、複数のプログラムに従った処理を並列的に実行している。
【0013】
本実施の形態の画像処理装置1は、画像形成の要求元である画像提供装置2から予め定められた単位に分割された画像情報を受信単位情報として受信する。ここで分割の単位は、通信プロトコルの都合により分割して送信する際のサイズではなく、例えば画像情報上有意な単位を意味し、例えば画像情報全体(全ページ)、1ページごと、Nラインごと等であり、画像情報の一部分を表す情報ずつであるとする。従ってその情報量は、必ずしも一定ではない。本実施の形態においては、画像処理装置1と画像提供装置2との間の通信プロトコルによっては、この受信単位情報をさらに複数のパケットに分割して送信することとしてもよいが、送受信される画像情報は上記単位に分割された上で一度に送受信される。
【0014】
制御部11は、通信部13が受信した受信単位情報を受け入れる。制御部11は、この受信単位情報から形成対象となった各ページの画像情報を再現し、当該各ページの画像情報について、予め指定された処理を行う。以下の説明ではこの処理の一例として、画像情報の形成先となる媒体に割り付ける処理を行うものとする。つまり、本実施の形態では、少なくとも1ページ分の画像データを1枚の媒体上に配列する、いわゆる面付け処理を実行する。
【0015】
またこの制御部11は、上記面付けの処理と並行して、面付けが完了した後の画像を別途定めた単位に分割して送信する送信処理を実行する。この送信処理では制御部11は、出力先となり得る画像形成装置3ごとに、その画像形成方式に係る情報を取得する。そしてこの取得した情報に基づいて、出力先となった画像形成装置3に対して送信する画像情報の分割の単位を決定して、面付け処理後の画像情報を、上記決定した単位に分割する。そして当該分割して得られた画像情報(送信単位情報)を、出力先となった画像形成装置3へ送信する。ここでの分割の単位も受信単位情報における単位と同じように、例えばページごと、Nラインごと等であり、面付け処理後の画像情報の有意な一部分を表す情報を一つの単位とするものであり、通信プロトコルの都合により分割して送信する際のサイズとは異なる。そして画像処理装置1と画像形成装置3との間の通信プロトコルによっては、この送信単位情報をさらに複数のパケットに分割して送信することとしてもよいが、送受信される情報は上記単位に分割された上で一度に送受信される。この制御部11の具体的な処理の内容は後に述べる。
【0016】
また、以下の説明では、区別のために、画像提供装置2から受信される割り付け前のページごとの画像情報を「原画像情報」と呼び、割り付け後の媒体1枚あたりの画像情報を「割付画像情報」と呼ぶこととする。
【0017】
記憶部12は、メモリデバイスや、ディスクデバイス等であり、制御部11によって実行されるプログラムを保持する。このプログラムは、DVD−ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)などのコンピュータ可読な記録媒体に格納された状態で提供され、この記憶部12に格納されたものでよい。さらに本実施の形態の記憶部12は、制御部11のワークメモリとしても動作する。
【0018】
通信部13は、ネットワークインタフェース等であり、制御部11から入力される指示に従い、画像提供装置2から、形成の対象となる原画像情報に係る受信単位情報を逐次的に受信して制御部11に出力する。また、この通信部13は、出力先となった画像形成装置3に対して、画像形成の対象となる割付画像情報を別途決定された単位ごとに、送信単位情報として逐次的に送信する。
【0019】
画像提供装置2は、パーソナルコンピュータやスキャナ装置等であり、画像処理装置1に対して、処理の対象となる原画像情報と、出力先の画像形成装置3を特定する情報とを送信し、画像形成を要求する。また、この画像提供装置2は、画像処理装置1において行われるべき画像処理を指定する情報を、画像情報や画像形成装置3を特定する情報と併せて、画像処理装置1に対して送信し、画像処理装置1に当該処理をさせてもよい。さらに画像提供装置2は、画像情報に係る概要情報としてページ数の情報等を併せて画像処理装置1へ送信してもよい。
【0020】
本実施の形態の画像提供装置2は、この形成の対象となる原画像情報を、予め定められた単位に分割して、画像処理装置1へ送信する。本実施の形態において、この画像提供装置2が形成処理の対象となる原画像情報とする情報は複数ページ分あり、それぞれの原画像情報はビットマップの情報(画素ごとの色を表す情報を羅列した情報)であるとする。この原画像情報の例は、図2(a)に例示するように、ページ先端を表す情報(S)と、画像情報の1ページ当たりの画素数(幅方向と高さ方向のそれぞれの画素数Px,Py)と、Px×Py個の画素の画素値(色)の情報(P)とページ終端を表す情報(E)とを含んで構成されるものとする。
【0021】
画像提供装置2は、この原画像情報を予め定められた単位に分割する。例えばNラインずつに分割するときには、図2(b)に例示するように、各ページの最初の受信単位情報には、ページ先端を表す情報(S)と、原画像情報の(1ページ当たりの)画素数(幅方向と高さ方向のそれぞれの画素数Px,Py)と、Px×N個の画素の画素値(色)の情報(P1)とを含める。また引き続く受信単位情報として、画像提供装置2は、Px×N個の画素の画素値(色)の情報(P2,P3,…Pn-1)を含む受信単位情報を生成し、各ページの最後の受信単位情報には、Px×M個の画素の画素値(色)の情報と、ページ終端を表す情報(E)とを含める。ここでM=Py−(n−1)×Nである。
【0022】
また画像提供装置2は、この原画像情報を予め定められた単位として例えば1ページずつに分割するときには、各受信単位情報に、各ページ先端を表す情報(S)と、画像情報の1ページ当たりの画素数(幅方向と高さ方向のそれぞれの画素数Px,Py)と、Px×Py個の画素の画素値(色)の情報(P)と、ページ終端を表す情報(E)とを含める。つまり、この場合は、各ページの画像を表す原画像情報(図2(a)に例示した情報)がそのまま受信単位情報となる。
【0023】
画像提供装置2は、これらの例のように分割して得られた単位の画像情報(受信単位情報)を逐次的に送信する。また、この画像提供装置2は、最後の受信単位情報を送信したときに、最終の情報である旨(最終情報)を併せて送信することとする。さらに画像提供装置2は、各受信単位情報を予め定めた方法(画像処理装置1側で復号可能な方法)で暗号化してから画像処理装置1へ送信してもよい。
【0024】
画像形成装置3は、用紙などの媒体に画像を形成するプリンタなどである。この画像形成装置3は、画像処理装置1が送信する送信単位情報に基づき、当該送信単位情報の元となった割付画像情報を形成する処理を行う。
【0025】
本実施の形態のある例では、画像処理装置1の記憶部12に、出力先となり得る画像形成装置3ごとの画像形成方式に係る情報(画像形成方式テーブル)が保持される。具体的にこの画像形成方式に係る情報は、画像形成装置3の画像形成が(1)レーザービーム方式により行われるか、(2)インクジェット方式により行われるか、(3)昇華型方式により行われるか、等の別を表す情報(形成方式情報)を含み、図3に例示するように、対応する画像形成装置3を特定する情報に関連づけて保持される。ここでは画像形成装置3を特定する情報が画像形成装置3のネットワークアドレスであるとし、ネットワークアドレスがaである画像形成装置3aがレーザービーム方式による画像形成を行い、ネットワークアドレスがbである画像形成装置3bがインクジェット方式による画像形成を行い、ネットワークアドレスがcである画像形成装置3cが昇華型方式による画像形成を行う例を示している。なお、この例のように画像形成方式テーブルを記憶しておかなくても、画像処理装置1は、出力先として指定された画像形成装置3から画像形成方式に係る情報を取得してもよい。この場合、画像形成装置3は、要求に応答して画像形成方式に係る情報を提供することとしておく。
【0026】
これらの例において、(1)レーザービーム方式による画像形成とは、帯電した像担持体であるドラムに対し、レーザー等を照射して、形成の対象となる画像に対応して各部の電圧を変化させて、像担持体に潜像を形成し、当該像担持体の潜像にトナーを付着させ、当該トナーを用紙に転写することで画像を形成する方式である。一般に像担持体上には、次媒体に形成する画像など複数媒体分の画像が担持されることがある。従って画像形成の処理を開始した後は、複数の媒体に対して画像情報を続けて形成することになり、画像形成の開始時点で、すべての媒体分の画像情報が得られている必要がある。
【0027】
一方(2)インクジェット方式による画像形成とは、用紙に対して画像情報に従ってインクを吹き付けることで画像を形成する方式であり、インクの吹き付けは一度に高々Nライン(Nは1以上の整数)ごとに行われ、1媒体分の画像が一度に形成されることはない。従って、インクジェット方式の場合、画像形成のための画像情報は、Nライン分を単位として逐次的に受信されれば十分である。
【0028】
さらに(3)昇華型方式による画像形成とは、インクを熱して昇華させ、専用の用紙上に定着させる方法である。この場合は1媒体ごとに画像の形成が行われる。従ってこの昇華型方式の場合、少なくとも1媒体を単位として画像情報が受信されればよい。
【0029】
このように、画像形成の方式により、画像形成装置3において画像形成の開始時点でどの単位(Nライン単位、1媒体単位、全媒体分)で画像情報が得られていればよいかが異なる。本実施の形態では図4(a)に例示するように、予め画像形成方式の情報に対して割付画像情報の分割の単位を表す情報(D)と、画像形成の開始を指示するか否かを表す情報(すなわち最終ページの転送を完了したことを表す情報を送信するか否か:F)とを関連づけた単位情報テーブルを記憶部12に格納しておく。
【0030】
ここでは(1)レーザービーム方式に対しては、全媒体分の割付画像情報が転送されてから画像形成を開始させるため、割付画像情報の分割の単位を1媒体単位とし、画像形成の開始を指示する(最終ページの転送が完了したことを表す情報を送信する)ものとする。また(2)インクジェット方式に対しては、割付画像情報の分割の単位をNライン単位(数値Nは予め定めておく)とする。さらに(3)昇華型方式に対しては、割付画像情報の分割の単位を1媒体単位とし、画像形成の開始を指示しないものとしておく。なお、これらの他の画像形成方式についても、同様に割付画像情報の分割の単位を表す情報(D)と、画像形成の開始を指示するか否かを表す情報(すなわち最終ページの転送を完了したことを表す情報を送信するか否か:F)とを関連づけて、この単位情報テーブルに格納しておいてもよい。
【0031】
制御部11は、この単位情報テーブルを参照して、画像形成装置3ごとの画像形成方式の相違に応じて、各画像形成装置3に対してどの単位で画像情報を転送すればよいか、並びに画像形成の開始を指示するか否かを判断する。すなわち、本実施の形態の制御部11は、次の図5の例のように動作する。制御部11は、画像提供装置2から原画像情報を分割した受信単位情報を受信して記憶部12に蓄積する。このとき、受信単位情報がそれぞれ暗号化されている場合は、それぞれを復号してから記憶部12に蓄積する。
【0032】
そして制御部11は、図5に示す割り付け処理と、図7に示す送信の処理とを並列的に開始する。まず割り付けの処理では、制御部11は、画像提供装置2から受信するページ数の情報と、処理の指示(1枚の媒体に何ページ分の画像を割り付けるかを表す情報)とに基づいて必要な媒体の枚数を算出し、算出した枚数分の媒体のイメージ(割付画像情報)を記憶する領域を記憶部12に確保する。この割付画像情報は、それぞれ媒体のサイズ(例えば画像提供装置2から指定されたものであってもよいし、画像提供装置2が出力先として指定した画像形成装置3から使用している媒体のサイズの情報を取得する等としてもよい)と、出力先となった画像形成装置3における画像形成の解像度とによって定まる画素数だけの画素値の列を記憶するものである。
【0033】
制御部11は、蓄積した受信単位情報に基づいて各ページに対応する原画像情報を取得する(S1)。既に述べたように本実施の形態のある例では、画像情報と受信単位情報とは図2に例示した構造を備えてなる。そこで制御部11は、Nラインごとの単位に分割された受信単位情報を連接してページごとの画像情報の一部を生成するか、またはページごとの単位に分割された受信単位情報をそのままページごとの画像情報の一部とする。
【0034】
制御部11は、取得した原画像情報が最終ページに対応する原画像情報であるか否かを調べる(S2)。これは本実施の形態の例の場合、画像提供装置2が最後の受信単位情報を送信するときに、最終の情報である旨(最終情報)を併せて送信することとしているので、当該最終情報を含む受信単位情報に基づいて取得された原画像情報であるときに、最終ページに対応する画像情報であると判断すればよい。
【0035】
ここで取得したページが最終ページでなければ(Noならば)、制御部11は、取得したページを予め定めた方法で、いずれかの媒体イメージに係る割付画像情報に割り付けする(S3)。この処理S3の処理は、一般のレイアウト印刷の処理で構わないので詳しい処理の内容については省略するが、その一例として、図6に、全体で12ページ分の画像情報が画像提供装置2から送信され、2ページずつを1枚の媒体の表裏にそれぞれ形成するよう配列する例について示した。制御部11は、それぞれ配する位置に対応する割付画像情報の画素を、対応するページの原画像情報の画素に基づいて定めるのである。制御部11はここで、原画像情報の配置(本実施の形態における画像処理)が完了した割付画像情報については、画像処理が完了した割付画像情報であるとし、画像処理が完了した旨を表す情報を当該割付画像情報に関連づけて記録する。
【0036】
この図6に示した例では、最終的に出力する媒体の枚数は3枚で、1枚目には1,12ページ目と2,11ページ目の画像が表裏にそれぞれ配され、2枚目には3,10ページ目と4,9ページ目の画像が表裏にそれぞれ配され、3枚目には5,8ページ目と6,7ページ目の画像が表裏にそれぞれ配される。従って、例えば、5ページ目から8ページ目の割り付けの処理が完了すると、3枚目の媒体に対応する割付画像情報については割り付けの処理が完了したものとして、画像処理が完了したことを表す情報を割付画像情報に関連づけて記録する。
【0037】
なお、図6の例では、表裏に形成する画像においてページ順が互いに入れ替えられている(例えば3枚目の媒体表面では紙面左側に6ページ目の画像が配され、右側に7ページ目の画像が配されているのに、その裏面においては紙面左側に8ページ目の画像が配され、右側に5ページ目の画像が配されている)が、これは、画像形成装置3における用紙反転機構の特性に応じて定められる順とすればよい。つまり本実施の形態の一例では、この割り付けの処理のために、予め出力先の画像形成装置3でのページの配置態様に関する情報を記憶部12に保持しておき、制御部11は当該保持された情報を参照することとすればよい。
【0038】
その後制御部11は、処理S1に戻って処理を続ける。一方処理S2において取得した原画像情報が最終ページの原画像情報であれば(Yesであれば)、制御部11は、取得した最終ページの原画像情報を予め定めた方法で、いずれかの割付画像情報に割り付けする(S4)。そして制御部11は、さらに最終ページの画像情報が配された後にのみ実行可能な処理(仕上げ処理)を行ってもよい(S5)。このような仕上げ処理の例には、ページ数を表す画像を、最終ページの原画像情報を含む割付画像情報に合成する等の処理がある。そして制御部11は処理を終了する。
【0039】
一方、制御部11は、この割り付けの処理に並行して、図7に例示する割付画像情報の送信処理を実行している。この処理では、制御部11は、出力先の画像形成装置3の画像形成方式に係る情報を取得する(S11)。制御部11は、取得した情報に関連づけて設定された割付画像情報の分割の単位を表す情報(D)と、画像形成の開始を指示するか否かを表す情報(すなわち最終ページの転送を完了したことを表す情報を送信するか否か:F)とを、単位情報テーブルを参照して取得する(S12)。
【0040】
制御部11は、処理S12で取得した分割の単位を表す情報に応じて分岐する(S13)。ここでは分割の単位として「1媒体(媒体1枚ごとの)単位」であるか、「Nライン単位」(ただしNは1以上の具体的な数値であるとする)であるかのいずれかとしているので、このいずれかに応じて次の処理を行う。すなわち分割の単位が「1媒体単位」であれば、さらに、画像形成の開始を指示するか否かを表す情報が「する」であるか否かを判断する(S14)。ここで、画像形成の開始を指示するか否かを表す情報が「する」となっている場合は、画像処理が完了した媒体ごとの画像情報を取り出し、当該取り出した画像情報を送信単位情報として、出力先の画像形成装置3へ送信する(S15)。ここでは画像処理として図5に例示した割付処理が行われているので、当該割付処理において生成される割付画像情報を、画像処理(ここでは割付処理)が完了した順に読み出す。そして制御部11は、当該読み出した割付画像情報を、そのまま1媒体単位の送信単位情報として、逐次的に出力先の画像形成装置3へ送信する。
【0041】
制御部11は形成するべき媒体ごとの画像情報の出力がすべて完了したか否かを判断する(S16)。ここでの例では、画像提供装置2から受信した画像情報を、受信した順に割付画像情報のいずれか割り付けているので、最終ページの原画像情報を含む割付画像情報が最後となる。そこで処理S16では、直前の処理S15で出力した割付画像情報に最終ページの原画像情報が含まれている場合に、割付画像情報の出力がすべて完了したと判断することとしてもよい。また別の例では、制御部11は、処理S15にて送信した回数と、記憶部12に保持している媒体イメージの数とを比較して、これらが一致するときに、割付画像情報の出力がすべて完了したと判断することとしてもよい。
【0042】
制御部11は、処理S16において、割付画像情報(画像処理後の媒体ごとの画像情報)の出力がすべて完了した(Yes)と判断したときには、画像形成を開始するべき旨の情報(または最後の画像情報が送信された旨の情報)を、出力先の画像形成装置3に送信して(S17)、処理を終了する。また制御部11は、処理S16において、割付画像情報(画像処理後の媒体ごとの画像情報)の出力が未だ完了していない(No)と判断したときには、処理S15に戻って処理を続ける。
【0043】
また制御部11は、処理S14において、画像形成の開始を指示するか否かを表す情報が「する」となっていない場合(Noの場合)は、図5に例示した割り付け処理において生成される割付画像情報(画像処理後の媒体ごとの画像情報)のうちから、画像処理が完了した順に読み出し、読み出した媒体ごとの画像情報を、そのまま1媒体単位の画像情報として、逐次的に出力先の画像形成装置3へ送信する(S18)。そして制御部11は形成するべき媒体ごとの画像情報の出力がすべて完了したか否かを判断する(S19)。この処理S19での処理は、処理S16におけるものと同じで構わない。制御部11は、処理S19において、媒体ごとの画像情報の出力が完了した(Yes)と判断したときには処理を終了する。また制御部11は、処理S19において、形成するべき媒体ごとの画像情報の出力が完了していない(No)と判断したときには、処理S18に戻って処理を続ける。
【0044】
さらに制御部11は、処理S13において、「Nライン単位」であると判断すると、画像処理が完了した媒体ごとの画像情報の各々を、Nライン単位ごとに分割して送信単位情報を生成する(S20)。ここでは画像処理が、図5に例示した割付処理であるものとしているので、当該割付情報で生成される割付画像情報を、画像処理が完了した順に読み出し、当該読み出した割付画像情報をNライン単位に分割して送信単位情報を生成する。制御部11は、分割して得られた複数の送信単位情報を逐次的に出力先の画像形成装置3に送信する(S21)。そして制御部11は形成するべき画像情報の出力がすべて完了したか否か(全媒体分の画像情報が送信できたか否か)を判断する(S22)。この処理S22での処理は、処理S16やS19におけるものと同じで構わない。制御部11は、処理S22において、画像情報の出力がすべて完了した(Yes)と判断したときには処理を終了する。また制御部11は、処理S22において、画像情報の出力が完了していない(No)と判断したときには、処理S20に戻って処理を続ける。
【0045】
なお、制御部11は、処理S15,S18,S21において送信単位情報を送信する際、当該送信単位情報を予め定められた方法(画像形成装置3で復号可能な方法)で暗号化してから送信してもよい。
【0046】
本実施の形態は以上の構成を備えており、次のように動作する。ここでは画像提供装置2が形成対象としての12ページ分の原画像情報をページ単位に分割し、暗号化して、受信単位情報として送信するものとする。また、画像提供装置2は出力先となる画像形成装置3を指定する情報と、4ページ分の画像情報を1枚の媒体の表裏に割り付ける(表に2ページ、裏に2ページを割り付ける)処理を行うべき旨の情報とを併せて送信する。
【0047】
画像処理装置1は、画像提供装置2からこれら受信単位情報と、画像形成装置3を指定する情報と、行うべき画像処理に係る情報とを受信する。ここでは画像処理装置1は、受信単位情報は、ページごとの原画像情報そのものとなっているので、1ページ目から順に12ページ目までの原画像情報を受信単位情報として受信する。そして画像処理装置1は、受信した(暗号化されている)受信単位情報を復号して蓄積し、当該蓄積した復号後の受信単位情報から各ページに対応する原画像情報を取得する。画像処理装置1は、最終ページである受信単位情報を受信すると、それまでに蓄積した画像情報のページ数をカウントし(ここでは12ページ)、割り付けの処理で1枚あたりの媒体に割り付けるべきページ数(ここでは4ページ)で除して、必要な媒体の枚数(12/4=3枚)を算出する。
【0048】
そして、最終ページの原画像情報を読み出すまで、予め定めた方法で割り付けの処理を行う。ここでは画像処理装置1は、図6に示したように1ページ目の原画像情報から順に、各媒体イメージ(割付画像情報)に割り付ける処理を行う。ここでは画像形成後の媒体を重ねて中央で綴じたときに書籍の状態となるよう配置するので、1ページ目が媒体1枚目の表、右側に、2ページ目が媒体1枚目の裏、左側に、3ページ目が媒体2枚目の表、右側に…と順次配置される。その後、5から8ページ目は、それぞれ3枚目の媒体の表右側、裏左側、裏右側、表左側に順に配されて3枚目の媒体についての割り付けが最初に完了する。以降10ページ目の原画像情報の割付が完了したときに2枚目の媒体の割り付けが完了し、最後に1枚目の媒体の割り付けが完了する。
【0049】
画像処理装置1は、この割り付けの画像処理に並行して、出力先として指定された画像形成装置3の画像形成方式に係る情報を取得し、さらに当該取得した情報に関連づけて設定された画像処理後の画像情報(ここでは割付画像情報)の分割の単位を表す情報(D)と、画像形成の開始の指示を送信するか否か(F)とを、単位情報テーブルを参照して取得する。画像処理装置1はさらに、取得した分割の単位を表す情報が「1媒体(媒体1枚)単位」であるか、「Nライン単位」であるかを判断する。
【0050】
ここではまず、画像形成装置3としてレーザービーム方式のページプリンタが指定された場合を例とする。この場合画像情報の分割の単位を表す情報は「1媒体単位」であり、最終ページの転送を完了したことを表す情報を送信するか否か(F)は、「する」となる。そこで画像形成装置3は、割り付け処理が完了した順に、各割付画像情報を1媒体単位の送信単位情報として、予め定めた方法で暗号化する。そしてこの暗号化した送信単位情報を、出力先の画像形成装置3へ送信する。
【0051】
画像処理装置1は、すべての割付画像情報を送信するまでこの処理を繰り返し、すべての割付画像情報を送信し終えると、画像形成の開始の指示(最終ページの転送を完了したことを表す情報)を、出力先の画像形成装置3に送信する。
【0052】
画像形成装置3では、暗号化された送信単位情報を順次受け入れて復号し、媒体1枚ごとの割付画像情報を得る、そして各割付画像情報を図示しない記憶手段(ディスクデバイス等)に蓄積する。画像形成装置3は、さらに最後の割付画像情報の送信が完了し、画像形成の開始の指示を受信すると、記憶手段に蓄積した割付画像情報(媒体ごとの画像情報)に基づいて用紙等の媒体にそれぞれの画像を形成する。
【0053】
また、画像形成装置3としてインクジェット方式のプリンタが指定された場合、割り付けの処理は上述のものと同じであるが、画像情報の分割の単位を表す情報が「Nライン単位」、例えば「10ライン単位」となっている点が異なる。この場合、画像形成の開始の指示(最終ページの転送を完了したことを表す情報)を送信するか否か(F)は、「しない」となる。そこで画像形成装置3は、画像処理(ここでは割付処理)が完了した順に、各媒体に対応する画像情報(ここでは割付画像情報の各々)を、先頭から10ラインずつの画像情報に分割して送信単位情報とする。そして画像処理装置1は、分割後の送信単位情報を予め定めた方法で暗号化し、この暗号化後の送信単位情報を、順次出力先の画像形成装置3へ送信する。このとき、送信の対象となる送信単位情報は、具体的に次のようになる。すなわち、各ページの最初のNラインに相当する送信単位情報には、ページ先端を表す情報(S)と、画像情報の1ページ当たりの画素数(幅方向と高さ方向のそれぞれの画素数Px,Py)と、Px×N個の画素の画素値(色)の情報(P1)とを含める。また以降のNラインずつの画像情報に対応する送信単位情報として、画像処理装置1は、Px×N個の画素の画素値(色)の情報(P2,P3,…Pn-1)を含む送信単位情報を生成し、ページの最後の送信単位情報には、Px×M個の画素の画素値(色)の情報と、ページ終端を表す情報(E)とを含める。ここでM=Py−(n−1)×Nである。
【0054】
画像処理装置1は、すべての割付画像情報を送信するまで上記の処理を繰り返し、すべての割付画像情報を送信した後に処理を終了する。画像形成装置3では、暗号化された送信単位情報を順次受け入れて復号し、10ラインずつの画像情報を得る。そしてこの10ラインずつの画像情報に基づいて、用紙などの媒体上に10ラインずつ画像を形成する。また復号して得た情報にページ終端を表す情報を見いだすと、媒体を排出する。この場合の画像形成装置3は、送信単位情報が受信されなくなれば処理を停止するので、最終ページを表す情報を受け入れる必要はない。
【0055】
さらにここまでの説明では、画像形成方式の情報としてレーザービーム方式、インクジェット方式などの別を表す情報を用いる例を述べたが、本実施の形態はこれに限られない。例えば画像形成方式を表す情報には、画像形成の速度に関する情報が含まれてもよい。この場合、図3に例示したテーブルにおいてこれらの情報を含めてもよいし、また各画像形成装置3が要求に応じて画像形成方式を表す情報として、この画像形成の速度に関する情報を含む情報を送信するようにしておき、画像処理装置1が出力先の画像形成装置3に対してその画像形成方式を表す情報を要求し、画像形成の速度に関する情報を含む情報を取得するようにしておいてもよい。
【0056】
またこの場合、図4(b)に例示するように、レーザービーム方式で、かつ画像形成の速度が予め定めたしきい値Tlを上回る場合に媒体2枚分の画像情報を単位として送信することとし、レーザービーム方式で、かつ画像形成の速度が予め定めたしきい値Tlを下回る場合には媒体1枚分の画像情報を単位として送信することとし、インクジェット方式で、かつ画像形成の速度が予め定めたしきい値Tiを上回る場合に10ライン分の画像情報を単位として送信することとし、インクジェット方式で、かつ画像形成の速度が予め定めたしきい値Tiを下回る場合に5ライン分の画像情報を単位として送信することとするなどと定めておいてもよい。
【0057】
さらに、ここまでの説明においては、画像提供装置2と画像形成装置3とが別体の装置であるものとしたが、本実施の形態においてこれら画像提供装置2と画像形成装置3とは一体的な装置であってもよい。例えば、画像提供装置2がスキャナであるとして、これら画像提供装置2と画像形成装置3とを一体的に含む装置としてスキャナやプリンタとしての機能を複合的に提供する複合機であるものとしてもよい。この場合、この複合機は、画像提供装置2としてのスキャナにて読み取った原画像情報を予め定めた単位に分割して、外部の画像処理装置1に対して画像処理を要求し、当該画像処理装置1から画像形成装置3としてのプリンタの性状に基づいて予め定められている単位に分割された画像処理後の画像情報を受信して、形成処理の単位(1媒体ごと)の画像情報を再生し、当該再生した画像情報に基づいて用紙などの媒体に画像形成を行うといった処理が行われることになる。
【符号の説明】
【0058】
1 画像処理装置、2 画像提供装置、3 画像形成装置、11 制御部、12 記憶部、13 通信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報を予め定めた単位に分割した受信単位情報を、画像形成の要求元から逐次的に受信する受信手段と、
前記受信した受信単位情報の分割前の画像情報に対して指定されている画像処理を行う画像処理手段と、
出力先となる画像形成装置ごとの画像形成方式に係る情報を取得する取得手段と、
前記取得した情報に基づいて、出力先となった画像形成装置に対して送信する画像情報の分割の単位を決定する決定手段と、
前記決定した単位で、前記画像処理の結果を分割した送信単位情報を生成する生成手段と、
前記生成した送信単位情報を逐次的に送信する送信手段と、
を含む画像処理装置。
【請求項2】
前記取得手段が取得する画像形成方式に係る情報には画像形成の速度に関する情報が含まれ、
前記決定手段は、当該画像形成の速度に関する情報を含む画像形成方式に係る情報と、出力先となる画像形成装置への情報の送信速度に係る情報とに基づいて、出力先となった画像形成装置に対して送信する画像情報の分割の単位を決定する
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
コンピュータを、
画像情報を予め定めた単位に分割した受信単位情報を、画像形成の要求元から逐次的に受信する受信手段と、
前記受信した受信単位情報の分割前の画像情報に対して指定されている画像処理を行う画像処理手段と、
出力先となる画像形成装置ごとの画像形成方式に係る情報を取得する取得手段と、
前記取得した情報に基づいて、出力先となった画像形成装置に対して送信する画像情報の分割の単位を決定する決定手段と、
前記決定した単位で、前記画像処理の結果を分割した送信単位情報を生成する生成手段と、
前記生成した送信単位情報を逐次的に送信する送信手段と、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−41000(P2011−41000A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186637(P2009−186637)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】