説明

画像処理装置及びプログラム

【課題】画像の1面を2面分の2値データによって表現した3階調の画像データを、少ない処理回数でインデックスの集合に変換する。
【解決手段】画像処理装置は、2N桁のビット列をN桁の3値のインデックスに変換するための変換テーブルを用いて、画像データをインデックスに変換する(図ではN=4)。入力される画像データは、面順次フォーマットの2面分の2値データであり、ここでは一方が黒であるか否かを表す第1データであり、他方が赤であるか否かを表す第2データである。入力値は、4画素分の第1データと第2データとを連結したものである。例えば、入力値「01010011」は、第1データが「0101(白黒白黒)」であり、第2データが「0011(白白赤赤)」であることを表している。変換テーブルの出力値は、入力値に対応するインデックスの組み合わせになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カラー画像データには、点順次フォーマットや面順次フォーマットといったフォーマットがある。ここにおいて、点順次フォーマットとは、カラー画像データの色成分を画素毎に切り替えて単一面のデータで表現するデータ形式をいい、面順次フォーマットとは、カラー画像データの色成分毎の面のデータで表現するデータ形式をいう(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
また、カラー画像データの別のフォーマットとして、インデックスカラーと呼ばれるフォーマットがある。ここにおいて、インデックスカラーとは、画像の各画素の色を、色そのものを示す値ではなくインデックス(参照番号)によって表現するデータ形式をいう。インデックスカラーによる画像の表現に対応した汎用的なファイルフォーマットとしては、例えばTIFF(Tagged Image File Format)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3381827号公報
【特許文献2】特開2000−305891号公報
【特許文献3】特開2004−220585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、画像の1面を2面分の2値データによって表現した3階調の画像データを、少ない処理回数でインデックスの集合に変換することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る画像処理装置は、画像の面を構成する各画素を3色のいずれかで示す3階調の画像データであって、前記面を2面分の2値データである第1データ及び第2データの組により表現する画像データを取得する取得手段と、2N桁(N≧2)のビット列をN桁の3値のインデックスに変換するための変換テーブルを参照する参照手段と、前記取得手段により取得された第1データ及び第2データの前記面において共通する位置に相当する画素を連続してN画素ずつ抽出及び連結することで得られる2N桁のビット列を、前記参照手段により参照される変換テーブルを用いてN桁の前記インデックスに変換する変換手段と、前記変換手段により変換されたインデックスを出力する出力手段とを備える構成を有する。
【0007】
本発明の請求項2に係る画像処理装置は、請求項1に記載の構成において、前記変換テーブルは、22N通りの前記ビット列を3種類の中間データに変換する第1テーブルと、前記中間データを前記インデックスに変換する第2テーブルとを含み、前記変換手段は、前記ビット列を前記中間データに変換してから前記インデックスに変換する構成を有する。
【0008】
本発明の請求項3に係るプログラムは、2N桁(N≧2)のビット列をN桁の3値のインデックスに変換するための変換テーブルを参照可能なコンピュータに、画像の面を構成する各画素を3色のいずれかで示す3階調の画像データであって、前記面を2面分の2値データである第1データ及び第2データの組により表現する画像データを取得する第1ステップと、前記第1ステップにおいて取得された第1データ及び第2データの前記面において共通する位置に相当する画素を連続してN画素ずつ抽出及び連結することで得られる2N桁のビット列を、前記変換テーブルを用いてN桁のインデックスに変換する第2ステップと、前記第2ステップにおいて変換されたインデックスを出力する第3ステップとを実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1、3の構成によれば、2面分の2値データによって表現される3階調の画像データを、同構成よりも少ない画素単位(例えば1画素毎)で変換する場合に比べ、より少ない変換回数でインデックスの集合に変換することが可能である。
請求項2の構成によれば、中間データを用いない場合に比べ、N桁のインデックスの総数を少なくすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像処理システムの全体構成を示すブロック図
【図2】画像入力装置のハードウェア構成を示すブロック図
【図3】変換テーブルを例示する図
【図4】変換ルールを説明するための図
【図5】変換テーブルの入力値であるビット列の意味を説明するための図
【図6】画像処理部の機能的構成を示す機能ブロック図
【図7】画像処理部によるデータ変換を例示する模式図
【図8】N=4の場合の第1テーブルを例示する図
【図9】N=4の場合の第2テーブルを例示する図
【図10】N=8の場合の第1テーブルを例示する図
【図11】N=8の場合の第2テーブルを例示する図
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態である画像処理システムの全体構成を示すブロック図である。図1に示す画像処理システム10は、画像入力装置100と画像出力装置200とを備えるものである。
【0012】
画像入力装置100は、画像データの元となる原稿を読み取って画像データを生成し、これを画像出力装置200に供給するものである。画像入力装置100は、例えば、いわゆるスキャナである。また、画像出力装置200は、画像入力装置100から供給された画像データを出力するものである。本実施形態において、画像出力装置200による出力とは、画像データを可視化することに相当する。画像出力装置200は、例えば、画像データに応じた画像を表示する表示装置や、かかる画像を用紙等の記録媒体に形成する画像形成装置であり、より具体的には、パーソナルコンピュータやプリンタがこれに該当する。あるいは、画像処理システム10は、スキャナの機能とプリンタの機能を兼ね備えたコピー機やファクシミリ装置であってもよい。
【0013】
なお、本実施形態は、原稿を赤、黒及び白の3階調で表現するものであるとする。よって、本実施形態の画像データ(画像入力装置100により供給される画像データ)は、赤、黒及び白の3色で表現され、また、これらの3色が混色されることはない。すなわち、画像入力装置100により供給され、画像出力装置200において取り扱われる画像データは、3値の画像データである。
【0014】
図2は、画像入力装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。図2に示すように、画像入力装置100の構成は、画像読取部110と、画像処理部120と、記憶部130と、通信部140とに大別される。画像処理部120は、本発明の画像処理装置の一例に相当するものであり、後述される機能的構成を有する。
【0015】
画像読取部110は、原稿たる画像を光学的に読み取って2値データを生成し、これを画像データとして供給する手段である。画像読取部110は、面順次フォーマットの2値データを同一の面について2面分生成することによって3階調を表現する。画像読取部110により生成される2つの2値データは、それぞれ、ある原稿の面を複数行及び複数列に配列した2値の画素によって表現したデータであり、一方が原稿の黒い位置とそうでない位置とを「1(黒)」と「0」で表し、他方が原稿の赤い位置とそうでない位置とを「1(赤)」と「0」で表す。この2つの2値データは、黒でも赤でもない位置、すなわちいずれの2値データにおいても「0」を示す画素に対応する位置が白に相当する。
【0016】
以下においては、説明の便宜上、原稿の黒い位置を記述した2値データを「黒白データ」といい、原稿の赤い位置を記述した2値データを「赤白データ」という。画像読取部110が画像処理部120に供給する画像データは、かかる黒白データ及び赤白データを組にして構成したデータである。黒白データ及び赤白データは、本発明の第1データ及び第2データの一例に相当するものである。
【0017】
画像読取部110は、かかる画像データを生成するために、黒白データを生成するためのイメージセンサと赤白データを生成するためのイメージセンサとを別個に備えてもよいし、例えば2回の走査によって単一のイメージセンサで黒白データ及び赤白データの双方を生成するようにしてもよい。また、黒白データと赤白データは、これらが画像処理部120において面順次フォーマットの2値データとして認識されるようになっていればよく、面順次フォーマットになっている状態で画像読取部110から画像処理部120に供給される必要はない。例えば、画像読取部110は、画像処理部120とシリアル通信を行い、黒白データと赤白データとを一部ずつ交互に送信してもよい。
【0018】
画像処理部120は、画像読取部110から供給された画像データ(すなわち黒白データと赤白データの組)をインデックスカラーに対応したインデックスの集合に変換する手段である。画像処理部120は、ビット演算等の演算処理を実行する演算処理装置と、黒白データ及び赤白データを一時的に記憶するための書き換え可能な画像メモリとを備える。画像処理部120は、ビット列をインデックスに変換するための変換テーブルを用いることにより、1画素につき1つのインデックスを求めて出力する。なお、本実施形態においては、白に対応するインデックスを「0」、赤に対応するインデックスを「1」、黒に対応するインデックスを「2」としている。ただし、どの色に対してインデックスのどの値を割り当てるかは、この例に限定されない。
【0019】
記憶部130は、画像処理部120により参照される変換テーブルを記憶する手段である。変換テーブルは、2N桁のビット列をN桁の3値のインデックスの集合と対応付けて記憶したデータ群である。Nの値は、2以上の整数であり、望ましくは4又は8の倍数であるが、その最適な数値は画像入力装置100のハードウェア性能に依存する。このNの値は、一括して処理する画素の数に対応する。なお、変換テーブルは、ある2N桁のビット列が入力値として入力されたときに、あらかじめ決められたN桁の3値のインデックスの集合を出力値として出力するものであれば、その具体的なデータ構造は特に問わない。また、記憶部130は、ROM(Read Only Memory:読み出し専用のメモリ)によって構成されれば十分であるが、書き換え可能なメモリであってもよい。
【0020】
通信部140は、画像出力装置200と通信する手段である。通信部140は、画像処理部120によって変換及び出力されたインデックスの集合を画像出力装置200に送信する。この結果、画像出力装置200においては、インデックスの羅列がインデックスカラーの画像データとして認識される。
【0021】
図3は、本実施形態の変換テーブルを例示する図である。また、図4は、本実施形態における変換ルールを説明するための図である。ここでは、上述したNの値を「4」としている。すなわち、図3に示す変換テーブルは、8桁のビット列を4桁のインデックスに変換するためのデータである。なお、変換ルールは、事前の取り決めであり、記憶部130にデータとして記憶されている必要はない。
【0022】
変換ルールは、黒白データ及び赤白データにおいて共通する位置に相当する画素の組み合わせとインデックスとの対応付けに相当するものである。本実施形態においては、黒白データの「0」と赤白データの「0」の組み合わせが「0」(すなわち白)のインデックスに対応し、黒白データの「0」と赤白データの「1」の組み合わせが「1」(すなわち赤)のインデックスに対応し、黒白データの「1」と赤白データの「0」の組み合わせが「2」(すなわち黒)のインデックスに対応し、黒白データの「1」と赤白データの「1」の組み合わせが「2」(すなわち黒)のインデックスに対応している。
【0023】
なお、本実施形態の画像データは3階調であるため、黒白データ及び赤白データの双方が「1」である画素、すなわち黒でもあり赤でもあるという画素は、色として存在し得ない。しかしながら、画像読取部110における読み取りや2値化処理の態様によっては、このような存在し得ない画素が生じることもある。そのため、かかる画素に対しては、あらかじめ決められたいずれかのインデックスを割り当てるものとする。この例においては、黒白データの「1」と赤白データの「1」の組み合わせを「2」、すなわち黒とみなしているが、もちろん他のインデックスを割り当ててもよい。
【0024】
また、図3において、入力値である8桁のビット列は、黒白データ及び赤白データの共通の位置に相当する連続した4画素分ずつの2値データを連結したものである。本実施形態においては、このビット列の上位4桁を4画素分の黒白データとし、下位4桁を4画素分の赤白データとしている。
【0025】
図5は、変換テーブルの入力値であるビット列の意味を説明するための図である。ここでは、各画素が先頭から順に「0101010101010101…」という値を示す黒白データと「0011010000110011…」という値を示す赤白データとが与えられた場合を例示している。この場合において、先頭から1画素目から4画素目までのビット列は、黒白データが「0101」であり、赤白データが「0011」である。これらの4桁のビット列は、連結すると「01010011」であり、これを10進数で表現すると「83」である。また、この要領で5画素目から8画素目までのビット列を表現すると、2進数では「01010100」、10進数では「84」である。
【0026】
一方、図5に示す画像データを変換ルールに従ってインデックスで表現すると、1画素目は「0」と「0」の組み合わせで「0」、すなわち白であり、以下、2画素目は「2」、3画素目は「1」、4画素目は「2」である。よって、先頭から1画素目から4画素目までの画像データをインデックスで表現すると、「0212」という4桁の数値になる。また、この要領で5画素目から8画素目までの画像データをインデックスで表現すると、「0202」となる。
【0027】
図4に示す変換テーブルは、このようにして得られる8桁のビット列と4桁のインデックスとをあらかじめ対応付けたものである。よって、この変換テーブルは、「01010011」という入力値(10進数の「83」)に対して「0212」という出力値が対応付けられ、「01010100」という入力値(10進数の「84」)に対して「0202」という出力値が対応付けられている。
【0028】
なお、本実施形態において、入力値として想定され得る数値は、2値データが8桁であるから、全部で2(2の8乗)通り、すなわち256通りある。一方、出力値として想定され得る数値は、3種類のインデックスが4桁であるから、全部で3(3の4乗)通り、すなわち81通りある。したがって、この変換テーブルは、異なる入力値に対して同一の出力値を与える場合がある。これは、上述した変換ルールが示すように、黒白データが「1」であって赤白データが「0」である場合のインデックスと、黒白データと赤白データがいずれも「1」である場合のインデックスとが、いずれも「2」であるためである。例えば、入力値が「01010010(10進数の「82」)」である場合と「01010011(10進数の「83」)」である場合の出力値は、4画素目がいずれも「2」になるため、双方とも「0212」である。
【0029】
図6は、画像処理部120の機能的構成を示す機能ブロック図である。画像処理部120は、取得部121と、参照部122と、変換部123と、出力部124とを備える。画像処理部120は、図4に示す変換テーブルを以下のように利用し、黒白データ及び赤白データにより表現される画像データに基づいてインデックスを出力する。なお、取得部121、参照部122、変換部123及び出力部124は、それぞれ、本発明の取得手段、参照手段、変換手段及び出力手段の一例に相当するものである。
【0030】
まず、取得部121は、黒白データ及び赤白データにより表現される画像データを取得する。取得部121は、本実施形態においては、画像データを画像読取部110から取得する。参照部122は、記憶部130に記憶された変換テーブルを参照し、与えられた入力値(すなわちビット列)に対応する出力値(すなわちインデックス)を得る。
【0031】
変換部123は、取得部121により取得された黒白データ及び赤白データから共通の位置に相当する連続した4画素分のビット列を抽出するとともに、これを連結して8桁のビット列にする。ビット列の連結は、例えば、一方を他方に対して4ビット分ビットシフトして加算するビット演算によって実現される。変換部123は、この8桁のビット列を入力値として参照部122に与え、これに対応する出力値を参照部122から得る。これにより、4画素分の黒白データ及び赤白データは、4画素分のインデックスに変換される。出力部124は、変換部123により得られた出力値、すなわちインデックスを、通信部140に出力する。
【0032】
画像処理部120は、取得された黒白データ及び赤白データの全部が処理されるまで、これらの動作を繰り返す。このとき、画像処理部120は、連続する1画素目から4画素目までの4画素群の2値データをインデックスに変換したら、次いで5画素目から8画素目までの4画素群の2値データをインデックスに変換する、というように、隣り合う(すなわち連続する)画素群に相当するビット列を行の先頭から順次処理していき、行の末尾に達したら、次の行の先頭からこれらの処理を順次繰り返す。
【0033】
図7は、画像処理部120によるデータ変換を例示する模式図である。画像処理部120は、図7に示すように、2面分の2値データである黒白データ及び赤白データから、3値のインデックスにより表現される画像データを出力する。画像処理部120により出力される画像データは、汎用的な8ビット(すなわち256色)のインデックスカラーの画像データであってもよい。ただし、この場合であっても、インデックスとして実際に利用されるのは3種類の値(すなわち3値)のみであって、残りの253種類のインデックスは画素の階調を示す値として利用されない。
【0034】
なお、画像入力装置100は、画像データをTIFFデータとして画像出力装置200に送信してもよいし、他のフォーマットのデータとして送信してもよい。あるいは、画像出力装置200が画像入力装置100から送信された画像データをTIFFデータに変換する機能を有していてもよい。
【0035】
[第2実施形態]
以下に説明する本発明の第2の実施形態は、上述した第1実施形態の構成のうち、特に変換テーブルに関するものを変形したものである。本実施形態のその他の構成は、第1実施形態のそれに準じたものであるため、重複する説明は省略される。
【0036】
本実施形態の変換テーブルは、中間データを用いて、2つのテーブル(以下それぞれ、「第1テーブル」及び「第2テーブル」という。)によって表現される。すなわち、本実施形態において、画像データは、2N桁のビット列が中間データにいったん変換されてから、さらに、この中間データがN桁のインデックスに変換されるようになっている。中間データは、便宜的に付与される値であり、互いに異なる値であればどのような値であってもよいが、ビット列又はインデックスの並びに対して何らかの規則性を有することが望ましい。また、ここでは、説明の便宜上、中間データが10進数で表記されている。
【0037】
図8及び図9は、N=4の場合の第1テーブルと第2テーブルをそれぞれ例示する図である。なお、本実施形態の変換テーブルの内容を容易に理解せしめるため、図8に例示した入力値は、図3に示した入力値と同じものとしている。この例において、図8に示す第1テーブルは、256通り(2通り)の8桁のビット列を81種類(3種類)の中間データに変換するためのテーブルである。また、図9に示す第2テーブルは、81種類の中間データを4桁のインデックスに変換するためのテーブルである。
【0038】
第2テーブルは、第1実施形態の変換テーブルと比較すると、出力値に重複が生じていない点において異なっている。そのため、第2テーブルは、出力値として記憶されている値の総数が81個であり、第1実施形態の変換テーブルのそれ(256個)よりも少ない。第2テーブルの出力値の総数は、4桁の3種類のインデックスに想定され得る組み合わせの総数と一致する。
【0039】
第1テーブルは、第2テーブルの出力値に重複が生じないようにするために設定されるものである。すなわち、第1テーブルは、第2テーブルに対する入力値(すなわち第1テーブルによる出力値)が全部で81通り(3通り)になるように中間データを設定したものである。この例において、中間データは、第2テーブルの出力値からいわゆる“逆引き”を行うことによって求められている。すなわち、中間データは、81通りのインデックスの組み合わせ(「0000」〜「2222」)に基づいて、これらに対して順番に「0」〜「80」の値を割り当てることで得られている。ここでは、4桁のインデックスを三進数として捉え、その数が小さいものほど小さい値の中間データが割り当てられている。
【0040】
上述したように、第2テーブルは、第1実施形態の変換テーブルよりも出力値の総数が少なくなる。したがって、第2テーブルを記憶するために必要な記憶容量と第1実施形態の変換テーブルを記憶するために必要な記憶容量とを比較すると、前者の記憶容量の方が少ない(ただし、変換テーブル全体としての記憶容量を比較するためには、第1テーブルの記憶容量も考慮する必要がある)。
【0041】
第2テーブルに必要な記憶容量と第1実施形態の変換テーブルに必要な記憶容量の相違は、Nの値が大きくなるほど顕著である。よって、本実施形態は、第1実施形態と比較した場合、Nの値、すなわち一括して変換する画素の数が大きいほど記憶部130の記憶容量が相対的に少なくて済むといえる。しかしながら、Nの値は、大きければ大きいほどよいというわけではなく、画像入力装置100の全体的な処理速度や画像メモリの容量といったハードウェア性能によってその最適な値が定まる。
【0042】
図10及び図11は、N=8の場合の第1テーブルと第2テーブルをそれぞれ例示する図である。この例において、16桁のビット列は、上位8桁が黒白データに相当し、下位8桁が赤白データに相当するものであり、全部で65536通り(216通り)ある。また、8桁のインデックスは、全部で6561通り(3通り)ある。それゆえ、中間データは、全部で6561種類ある。
【0043】
N=8の場合の変換テーブルを第1実施形態のように、すなわち第1テーブルと第2テーブルに分けずに実現しようとした場合、入力値と出力値の組み合わせは、(出力値が同位置となるものを含めて)65536通りになる。すなわち、この場合の入力値と出力値の組み合わせは、本実施形態のそれ(6561通り)に比してほぼ10倍(より正確には、22N/3倍、すなわち4/3倍)となる。
【0044】
[他の実施形態]
本発明は、面順次フォーマットの2値データを3面分以上用いて、4階調以上の階調の画像を表現するものであってもよい。すなわち、本発明は、インデックスによって3色を表現する場合だけでなく、3色以上の色を表現する場合に適用され得るものである。この点にかんがみると、本発明に係る画像処理装置は、
画像の面を構成する各画素をM色(M≧3)のいずれかで示すM階調の画像データであって、前記面を(M−1)面分の2値データの組により表現する画像データを取得する取得手段と、
2N桁(N≧2)のビット列をN桁のM値のインデックスに変換するための変換テーブルを参照する参照手段と、
前記取得手段により取得された2値データの組の前記面において共通する位置に相当する画素を連続してN画素ずつ抽出及び連結することで得られるN(M−1)桁のビット列を、前記参照手段により参照される変換テーブルを用いてN桁の前記インデックスに変換する変換手段と、
前記変換手段により変換されたインデックスを出力する出力手段と
を備える構成としても把握され得るものである。
【0045】
[変形例]
本発明の実施の態様は、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に示す変形例のようであってもよい。また、これらの変形例は、必要に応じて組み合わせて実施されてもよいものである。
【0046】
まず、本発明に係る画像処理装置は、画像入力装置側ではなく画像出力装置側に備わっていてもよい。また、本発明において画像の表現に用いる色は、上述した3色(黒、赤及び白)に限定されない。例えば、本発明は、地の色が白でない原稿を読み取る場合や、描画されている画像に赤い色が含まれない場合などであれば、インデックスに白や赤を含まずに他の色(地の色等)を含めてもよい。
【0047】
また、本発明は、画像の面全体ではなく、当該面の一部毎(例えば、1行毎又は複数行毎)に処理を実行するものであってもよい。例えば、本発明は、3個の画像処理装置を備えるとともに、原稿を上部、中央部、下部というように列方向に3つに分割した上で、上部を第1の画像処理装置に、中央部を第2の画像処理装置に、下部を第3の画像処理装置にそれぞれ処理させる、といった具合に、インデックスへの変換を複数の装置で並列的に実行するものであってもよい。
【0048】
なお、本発明は、上述した画像処理部120に相当する機能的構成を、CPU(Central Processing Unit)やメモリといったハードウェア資源とソフトウェアの協働によっても実現され得る。すなわち、本発明は、ハードウェア資源によって本発明に係る画像処理装置を実現するためのプログラムや、これを記録した記録媒体といった形態でも実施され得るものである。
【符号の説明】
【0049】
10…画像処理システム、100…画像入力装置、110…画像読取部、120…画像処理部、121…取得部、122…参照部、123…変換部、124…出力部、130…記憶部、140…通信部、200…画像出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の面を構成する各画素を3色のいずれかで示す3階調の画像データであって、前記面を2面分の2値データである第1データ及び第2データの組により表現する画像データを取得する取得手段と、
2N桁(N≧2)のビット列をN桁の3値のインデックスに変換するための変換テーブルを参照する参照手段と、
前記取得手段により取得された第1データ及び第2データの前記面において共通する位置に相当する画素を連続してN画素ずつ抽出及び連結することで得られる2N桁のビット列を、前記参照手段により参照される変換テーブルを用いてN桁の前記インデックスに変換する変換手段と、
前記変換手段により変換されたインデックスを出力する出力手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記変換テーブルは、
2N通りの前記ビット列を3種類の中間データに変換する第1テーブルと、
前記中間データを前記インデックスに変換する第2テーブルとを含み、
前記変換手段は、前記ビット列を前記中間データに変換してから前記インデックスに変換する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
2N桁(N≧2)のビット列をN桁の3値のインデックスに変換するための変換テーブルを参照可能なコンピュータに、
画像の面を構成する各画素を3色のいずれかで示す3階調の画像データであって、前記面を2面分の2値データである第1データ及び第2データの組により表現する画像データを取得する第1ステップと、
前記第1ステップにおいて取得された第1データ及び第2データの前記面において共通する位置に相当する画素を連続してN画素ずつ抽出及び連結することで得られる2N桁のビット列を、前記変換テーブルを用いてN桁のインデックスに変換する第2ステップと、
前記第2ステップにおいて変換されたインデックスを出力する第3ステップと
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−156572(P2012−156572A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11023(P2011−11023)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】