説明

画像処理装置及び方法、並びにプログラム

【課題】 処理対象領域の境界線の形成作業を簡略化できるようにする。
【解決手段】 エッジ強度算出部は、画像データを処理対象として、画像データにより表される画像の全画素についてエッジ強度をそれぞれ算出する。カーソル位置取得部は、画像が表示される表示画面上のカーソルの位置を逐次取得する。カーソル速度設定部は、カーソル位置取得部により逐次取得されたカーソルの位置と、エッジ強度算出部により算出されたエッジ強度とに基づいて算出される、現在のカーソルの位置におけるエッジ強度の変化量に基づいて、カーソルの移動速度を設定する。本技術は、画像を編集する画像処理装置に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、画像処理装置及び方法、並びにプログラムに関し、特に、処理対象領域の境界線の形成作業を簡略化できる、画像処理装置及び方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像処理の処理対象領域の境界線の形成作業を簡略化するための手法として、次のような第1の手法と第2の手法が知られている。
【0003】
第1の手法は、ユーザのマウス操作によって所定のオブジェクトの輪郭が大雑把に指定されると、指定されたオブジェクトの輪郭を処理対象の境界線として抽出する手法である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
第2の手法は、ユーザの操作により指定された所定のオブジェクトの輪郭の位置と、所定のオブジェクトの輪郭の位置との間にずれが生じていた場合には、当該ずれが許容範囲内であれば、所定のオブジェクトの輪郭に沿った線を処理対象の境界線として抽出する手法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−191020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、第1の手法では、抽出される境界線が、ユーザの所望する境界線とは限らず、抽出された境界線をユーザが修正する必要がある場合が多くあり、境界線の形成作業が煩雑になるおそれがある。
【0007】
第2の手法では、抽出される境界線が、所定のオブジェクトの正しい輪郭を示しているとは限らない。また、上述のずれが許容範囲外である場合には、所定のオブジェクトの輪郭に沿った境界線は抽出されずに、ユーザに指定された所定のオブジェクトの輪郭からずれた線が処理対象を表わす境界線として抽出される。さらに、ユーザに指定された位置がユーザの所望する輪郭の位置であっても、誤った位置の輪郭に沿った境界線が処理対象を表わす境界線として抽出される場合がある。いずれの場合にも、抽出された境界線をユーザが修正する必要があり、境界線の形成作業が煩雑になるおそれがある。
【0008】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、処理対象領域の境界線の形成作業を簡略化できるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本技術の一側面の画像処理装置は、画像データを処理対象として、前記画像データにより表される画像の全画素についてエッジ強度をそれぞれ算出するエッジ強度算出部と、前記画像が表示される表示画面上のカーソルの位置を逐次取得するカーソル位置取得部と、前記カーソル位置取得部により逐次取得された前記カーソルの位置と、前記エッジ強度算出部により算出された前記エッジ強度とに基づいて算出される、現在の前記カーソルの位置における前記エッジ強度の変化量に基づいて、前記カーソルの移動速度を設定するカーソル速度設定部とを備える。
【0010】
前記カーソル速度設定部は、前記エッジ強度の変化量が正である場合には、当該エッジ強度の絶対値が大きいほど前記カーソルの移動速度を高速に設定し、前記エッジ強度の変化量が負である場合には、当該エッジ強度の絶対値が大きいほど前記カーソルの移動速度を低速に設定することができる。
【0011】
前記カーソル速度設定部は、前記現在のカーソルの位置の進行方向の前方のカーソルの位置を算出し、算出した前記前方のカーソルの位置と、前記カーソル位置取得部により既に取得されている、進行方向の後方のカーソルの位置との各々におけるエッジ強度を用いて、前記現在のカーソルの位置における前記エッジ強度の変化量を算出することができる。
【0012】
前記カーソル速度設定部は、前記現在のカーソルの位置を中心とする前記後方のカーソルの位置の点対象の位置を、前記前方のカーソルの位置として算出することができる。
【0013】
前記カーソル速度設定部は、前記後方のカーソルの位置から多次元多項式で表される近似曲線を求め、前記近似曲線を用いて前記前方のカーソルの位置を算出することができる。
【0014】
前記カーソル速度設定部は、前記後方のカーソルの位置における前記エッジ強度の最大値および最小値、並びに前記前方のカーソルの位置における前記エッジ強度の最大値および最小値を用いて、前記現在のカーソルの位置における前記エッジ強度の変化量を算出することができる。
【0015】
本技術の一側面の画像処理方法及びプログラムは、上述した本技術の一側面の画像処理装置に対応する方法及びプログラムである。
【0016】
本技術の一側面の画像処理装置及び方法並びにプログラムにおいては、画像データを処理対象として、前記画像データにより表される画像の全画素についてエッジ強度がそれぞれ算出され、前記画像が表示される表示画面上のカーソルの位置が逐次取得され、逐次取得された前記カーソルの位置と、算出された前記エッジ強度とに基づいて、現在の前記カーソルの位置における前記エッジ強度の変化量に基づいて、前記カーソルの移動速度が設定される。
【発明の効果】
【0017】
以上のごとく、本技術によれば、処理対象領域の境界線の形成作業を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本技術の概略について説明する図である。
【図2】本技術が適用される画像処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】カーソル速度設定部の構成例を示すブロック図である。
【図4】進行方向の前方の座標の予測手法を示す図である。
【図5】進行方向の前方の座標の予測手法の他の例を示す図である。
【図6】エッジ強度の変化量ΔLの算出に用いられる変数の例を示す図である。
【図7】エッジ強度の変化量ΔLとカーソルの移動速度の関係について示す図である。
【図8】カーソル速度設定処理の流れについて説明するフローチャートである。
【図9】他の画像処理装置の構成例を示す図である。
【図10】他の画像処理装置における軌跡情報の利用について説明する図である。
【図11】他の画像処理装置の構成例を示す図である。
【図12】他の画像処理装置における軌跡情報の利用について説明する図である。
【図13】本技術が適用される画像処理装置のハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[本技術の概略]
はじめに、本技術の理解を容易なものとすべく、その概略について説明する。
【0020】
本技術では、ユーザがマウス等のポインティングデバイスを用いて画像処理の対象領域の境界線の形成作業をする場合に、マウス等のカーソルの位置の画像特徴量に応じてカーソルの移動速度が動的に設定される。これにより、ユーザは、オブジェクトの輪郭に沿った境界線の形成作業を容易に行うことができるようになる。なお、本技術では、エッジ強度の変化量が画像特徴量として適用され、カーソルの移動速度は、カーソルの位置のエッジ強度の変化量に応じて動的に設定される。
【0021】
図1は、本技術の概略について説明するための図であって、画像の一部を示す図である。図1に示される画像の一部は、背景画像PBの上にオブジェクトPOの一部が重畳されている様子を示している。したがって、オブジェクトPOと背景画像PBとの境界線(すなわち、エッジ)は、オブジェクトPOの輪郭OLとなる。
【0022】
図1に示される矢印は、カーソルの動きを示している。すなわち、矢印の方向が、カーソルの移動方向を示しており、矢印の太さが、カーソルの移動速度を示している。このような矢印を、以下、カーソルの動きと称する。
【0023】
図1に示されるように、カーソルの動きV1,V2によれば、カーソルの移動方向がオブジェクトPOの輪郭OLに向かう方向になっている。具体的には、カーソルの動きV1によれば、カーソルの移動方向が、オブジェクトPOから背景画像PBに向かう方向で、オブジェクトPOの輪郭OLに向かう方向になっている。一方、カーソルの動きV2によれば、カーソルの移動方向が、背景画像PBからオブジェクトPOに向かう方向で、オブジェクトPOの輪郭OLに向かう方向になっている。
【0024】
このように、カーソルがオブジェクトPOの輪郭OLに向かう動きをする場合、カーソルの位置におけるエッジ強度は増加していく。つまり、カーソルの位置におけるエッジ強度の変化量は増加する。このような場合には、カーソルの動きV1,V2が太く示されているように、カーソルの移動速度はより高速に設定される。すなわち、ポインティングデバイスの実移動量に対する、表示画面上のカーソル移動量がより大きく設定される。
【0025】
カーソルの動きV11,V12によれば、カーソルの移動方向がオブジェクトPOの輪郭OLに沿う方向になっている。具体的には、カーソルの動きV11によれば、カーソルの移動方向が、図中上方に向かう方向で、オブジェクトPOの輪郭OLに沿う方向になっている。一方、カーソルの動きV12によれば、カーソルの移動方向が、図中下方に向かう方向で、オブジェクトPOの輪郭OLに沿う方向になっている。
【0026】
このように、カーソルがオブジェクトPOの輪郭OLに沿った動きをする場合、カーソルの位置におけるエッジ強度は一定となる。つまり、カーソルの位置におけるエッジ強度の変化量は一定になる。このような場合には、カーソルの動きV11,V12が中くらいの太さで示されているように、カーソルの移動速度は中速に設定される。
【0027】
カーソルの動きV21,V22によれば、カーソルの移動方向がオブジェクトPOの輪郭OLから離れる方向に向かっている。具体的には、カーソルの動きV21によれば、カーソルの移動方向が、背景画像PBからオブジェクトPOに向かう方向で、オブジェクトPOの輪郭OLから離れる方向になっている。一方、カーソルの動きV22によれば、カーソルの移動方向が、オブジェクトPOから背景画像PBに向かう方向で、オブジェクトPOの輪郭OLから離れる方向になっている。
【0028】
このように、カーソルがオブジェクトPOの輪郭OLから離れる方向に向かう動きをする場合、カーソルの位置におけるエッジ強度は減少していく。つまり、カーソルの位置におけるエッジ強度の変化量は減少する。このような場合には、カーソルの動きV21,V22が細く示されているように、カーソルの移動速度はより低速に設定される。すなわち、ポインティングデバイスの実移動量に対する、表示画面上のカーソル移動量がより小さく設定される。
【0029】
上述のように、カーソルの位置のエッジ強度の変化量に応じてカーソルの移動速度が動的に設定されるので、ユーザは、オブジェクトPOの輪郭OLに沿ったカーソルの移動操作を行いやすくなり、オブジェクトPOの輪郭OLに沿った境界線の形成作業を容易に行うことができるようになる。
【0030】
[画像処理装置の構成例]
図2は、本技術が適用される画像処理装置の構成例を示すブロック図である。
【0031】
図2に示されるように、画像処理装置10は、画像データ入力部21、エッジ強度算出部22、操作部23、カーソル位置取得部24、カーソル軌跡記憶部25、およびカーソル速度設定部26を有している。
【0032】
画像データ入力部21は、他の情報処理装置または図示せぬ記憶部から編集対象の画像データを入力し、エッジ強度算出部22およびカーソル速度設定部26に供給する。
【0033】
エッジ強度算出部22は、画像データ入力部21から供給された画像データを処理対象として、全画素についてエッジ強度をそれぞれ算出する。なお、エッジ強度の算出手法は、特に限定されない。例えば、画像データを構成する各画素を、処理の対象として注目すべき画素(以下、注目画素と称する)として設定し、注目画素とその隣接画素とのx方向及びy方向のそれぞれの1次微分Δx,Δyを、次の式(1)に代入して算出する、といった処理を、注目画素を順次変更して繰り返すことで、全画素についてエッジ強度Lをそれぞれ算出する手法を採用できる。
【0034】
【数1】

【0035】
なお、1次微分Δx,Δyの算出手法は、特に限定されず、隣接画素との差分を用いる手法や、Sobel、Roberts等の1次微分オペレータを用いる手法等任意の手法を採用することができる。また、1次微分Δx,Δyを用いてエッジ強度Lを算出するにあたり、画像データに対して平滑化フィルタをかけることにより、ノイズを予め除去するようにしてもよい。
【0036】
エッジ強度算出部22は、算出したエッジ強度Lを、カーソル速度設定部26に供給する。
【0037】
操作部23は、ユーザによるマウス等のポインティングデバイスの操作を受け付け、当該操作に応じた操作信号を、カーソル位置取得部24に供給する。
【0038】
カーソル位置取得部24は、操作部23から供給された操作信号に基づいて、現在のカーソルの位置Nとして、当該カーソルが表示される表示画面上の座標(xn,yn)を逐次取得する。カーソル位置取得部24は、現在のカーソルの位置Nの座標(xn,yn)をカーソル軌跡記憶部25およびカーソル速度設定部26に供給する。
【0039】
カーソル軌跡記憶部25は、カーソル位置取得部24から供給された現在のカーソルの位置Nの座標(xn,yn)を、軌跡情報として軌跡リストに追加して記憶する。すなわち、軌跡リストとは、カーソル位置取得部24によって順次取得された複数のカーソルの位置Nの座標(xn,yn)が、軌跡情報として取得順に記憶されたリストをいう。カーソル軌跡記憶部25に記憶された軌跡情報は、カーソル速度設定部26に供給される。また、カーソル軌跡記憶部25に記憶された軌跡情報は、他の画像処理装置11に供給されて利用される。なお、他の画像処理装置11における軌跡情報の利用については図9乃至図12を参照して後述する。
【0040】
カーソル速度設定部26は、現在のカーソルの位置Nにおけるエッジ強度Lの変化量ΔLに応じて、カーソルの移動速度を設定する。エッジ強度Lの変化量ΔLは、現在のカーソルの位置Nの座標を中心として進行方向の後方および前方の座標を算出し、算出した座標のエッジ強度を用いて算出される。このとき、現在のカーソルの位置Nを中心として進行方向の後方(すなわち、過去)のエッジ強度については、カーソル軌跡記憶部25から供給される軌跡情報を用いて算出される。一方、現在のカーソルの位置Nを中心として進行方向の前方のエッジ強度については、進行方向の後方のカーソルの軌跡情報から予測して算出される。このようにしてカーソルの移動速度を設定するカーソル速度設定部26の詳細な構成を、図3を参照して説明する。
【0041】
[カーソル速度設定部の構成例]
図3は、カーソル速度設定部26の構成例を示すブロック図である。
【0042】
図3に示されるようにカーソル速度設定部26は、前方進行方向予測部41、エッジ強度変化量算出部42、およびカーソル速度決定部43を有する。
【0043】
前方進行方向予測部41は、カーソル位置取得部24から供給された現在のカーソルの位置Nを中心として進行方向の前方の座標を予測して算出する。カーソルの進行方向の前方の座標の予測手法は、特に限定されない。例えば、図4に示されるように、カーソルの進行方向の後方(以下、過去と称する)の軌跡と同一の曲線(すなわち、各座標の点の集合体)を、現在のカーソルの位置Nを中心に点対象に配置することにより、進行方向の前方の軌跡を示す座標群を予測する手法を採用できる。
【0044】
[進行方向の前方の座標の予測手法]
図4は、進行方向の前方の座標の予測手法を示す図である。
【0045】
図4に示されるように、前方進行方向予測部41は、初期設定として、現在のカーソルの位置Nの座標を相対座標(0,0)に設定し、カーソルの移動方向をカーソルの動きV31が示す方向に設定する。この場合、前方進行方向予測部41は、カーソルの過去の軌跡Pの座標群(すなわち、軌跡情報群)を、カーソル軌跡記憶部25に記憶された軌跡リストから取得する。そして、前方進行方向予測部41は、カーソルの過去の軌跡Pの座標群の各点(すなわち、画素)を、現在のカーソルの位置Nの相対座標(0,0)を中心に点対象に配置した座標群の各対応点(すなわち、画素)を、カーソルの進行方向の前方の軌跡Fとする。
【0046】
具体的には、カーソルの過去の軌跡Pの中の相対座標(1,4)の点の対応点が、予測されるカーソルの相対座標(−1,−4)に配置される。また、カーソルの過去の軌跡Pの中の相対座標(1,3)の点の対応点が、予測されるカーソルの相対座標(−1,−3)に配置される。このようにして配置された、カーソルの過去の軌跡Pを構成する各点のそれぞれの対応点の集合(すなわち、座標群)により、カーソルの進行方向の前方の軌跡Fが表現される。すなわち、前方進行方向予測部41は、カーソルの過去の軌跡と同一の曲線を、現在のカーソルの位置を中心に点対象に配置することにより、進行方向の前方の軌跡Fを示す座標群を予測して算出することができる。
【0047】
また、例えば、進行方向の前方の軌跡を示す座標群の予測手法として、カーソルの過去の軌跡の各点から近似曲線を求め、当該近似曲線を用いて予測する手法を採用することができる。本手法について、図5を参照して説明する。
【0048】
[進行方向の前方の座標の予測手法の他の例]
図5は、進行方向の前方の座標の予測手法の他の例を示す図である。
【0049】
本予測手法では、カーソルの過去の軌跡Pの座標群P0(x0,y0)、P1(x1,y1)・・・Pm(xm,ym)からなる過去の軌跡Pの近似曲線ALとして、次の式(2)のn次多項式で表現される近似曲線を求める。
【0050】
【数2】

【0051】
式(2)における係数ak(kは、1乃至nの範囲内の整数値)は、次の式(3)に示されるように、実際のカーソルの位置Pi(xi,yi)に対する理論値Pi’(xi,f(xi))との残差の平方和が最小になるようにそれぞれ算出される。
【0052】
【数3】

【0053】
なお、式(2)で示されるn次多項式の次数nと近似に用いられるカーソルの過去の軌跡Pの座標群の範囲は、任意の範囲とする。
【0054】
次に、前方進行方向予測部41は、カーソルの進行方向の前方の軌跡Fを、式(2)により表わされる近似曲線ALに対する外挿予測により算出する。そして、前方進行方向予測部41は、カーソルの進行方向の前方の軌跡Fを、エッジ強度変化量算出部42に供給する。
【0055】
[エッジ強度の算出]
エッジ強度変化量算出部42は、エッジ強度の変化量ΔLを算出する。
【0056】
エッジ強度変化量算出部42は、エッジ強度算出部22から供給された全画素についてのエッジ強度Lと、カーソル軌跡記憶部25から供給された軌跡情報から求められるカーソルの過去の軌跡Pとを用いて、カーソルの過去の軌跡Pにおけるエッジ強度Lの最大値Lbmaxと最小値Lbminを算出する。なお、エッジ強度Lの最大値Lbmaxと最小値Lbminを算出する範囲は、カーソルの過去の軌跡Pの範囲内であれば任意の範囲とする。
【0057】
また、エッジ強度変化量算出部42は、エッジ強度算出部22から供給された全画素についてのエッジ強度Lと、前方進行方向予測部41から供給されたカーソルの進行方向の前方の軌跡Fとを用いて、カーソルの進行方向の前方の軌跡Fにおけるエッジ強度Lの最大値Lfmaxと最小値Lfminを算出する。なお、エッジ強度Lの最大値Lfmaxと最小値Lfminを算出する範囲は、カーソルの進行方向の前方の軌跡Fの範囲内であれば任意の範囲とする。
【0058】
そして、エッジ強度変化量算出部42は、最大値Lbmax,Lfmaxと最小値Lbmin,Lfminを次の式(4)に代入することによって、エッジ強度の変化量ΔLを算出する。
【0059】
【数4】

【0060】
式(4)の演算について、図6の例を用いて具体的に説明する。
【0061】
図6は、エッジ強度の変化量ΔLの算出に用いられる変数の例を示す図である。図6の縦軸はエッジ強度を示し、横軸はx座標を示している。カーソルの移動方向は、矢印に示されるように、右方向である。
【0062】
図6の白丸は、カーソルの軌跡を示し、黒丸は現在のカーソルの位置を示している。すなわち、黒丸よりも左側の軌跡はカーソルの過去の軌跡Pを表わし、右側の軌跡はカーソルの進行方向の前方の軌跡Fを表わしている。
【0063】
図6の例では、カーソルの進行方向の前方の軌跡Fの中のエッジ強度Lの最大値Lfmaxは、カーソルの過去の軌跡Pのエッジ強度Lの最大値Lbmaxよりも小さい。このため、式(4)の一番上の式のかっこ内の「Lfmax<Lbmax」の場合に該当し、エッジ強度の変化量ΔLは、「Lfmin−Lbmax」により算出され、負の値となる。エッジ強度の変化量ΔLが負の場合、カーソルの移動方向は、エッジから離れる方向、すなわちオブジェクトの輪郭から離れる方向になる。したがって、このようにエッジ強度の変化量ΔLが負の場合には、後述するカーソル速度決定部43によって、カーソルの移動速度はより低速に設定される。
【0064】
また、図示はしないが、カーソルの進行方向の前方の軌跡Fの中のエッジ強度Lの最大値Lfmaxが、カーソルの過去の軌跡Pのエッジ強度Lの最大値Lbmaxよりも大きい場合、式(4)の2番目の式のかっこ内の「Lfmax>Lbmax」の場合に該当し、エッジ強度の変化量ΔLは、「Lfmax−Lbmin」により算出され、正の値となる。エッジ強度の変化量ΔLが正の場合、カーソルの移動方向は、エッジに向かう方向、すなわちオブジェクトの輪郭OLに向かう方向になる。したがって、このようにエッジ強度の変化量ΔLが正の場合には、後述するカーソル速度決定部43によって、カーソルの移動速度はより高速に設定される。
【0065】
また、図示はしないが、カーソルの進行方向の前方の軌跡Fの中のエッジ強度Lの最大値Lfmaxと、カーソルの過去の軌跡Pのエッジ強度Lの最大値Lbmaxとが等しい場合、式(4)の一番下の式のかっこ内の「Lfmax=Lbmax」の場合に該当し、エッジ強度の変化量ΔLは、「0」となる。エッジ強度の変化量ΔLが0の場合、カーソルの移動方向は、エッジに沿う方向、すなわちオブジェクトの輪郭OLに沿う方向になる。したがって、このようにエッジ強度の変化量ΔLが0の場合には、後述するカーソル速度決定部43によって、カーソルの移動速度は中速に設定される。
【0066】
エッジ強度変化量算出部42は、算出したエッジ強度の変化量ΔLをカーソル速度決定部43に供給する。
【0067】
カーソル速度決定部43は、エッジ強度変化量算出部42から供給されたエッジ強度の変化量ΔLに基づいて、カーソルの移動速度を決定する。エッジ強度の変化量ΔLとカーソルの移動速度の関係について、図7を参照して説明する。
【0068】
[エッジ強度の変化量ΔLとカーソルの移動速度の関係]
図7は、エッジ強度の変化量ΔLとカーソルの移動速度の関係について示す図である。図7の縦軸はカーソルの移動速度を示し、横軸はエッジ強度の変化量ΔLを示している。
【0069】
図7に示されるように、カーソルの移動速度は、エッジ強度の変化量が正の方向に大きくなるのに比例して、速くなる。すなわち、カーソル速度決定部43は、カーソルの移動方向がオブジェクトの輪郭OLに向かう方向の場合、すなわちエッジ強度の変化量△Lが正の場合、エッジ強度の変化量△Lが大きくなる程、すなわち現在のカーソルの位置Nがオブジェクトの輪郭OLに近づく程、カーソルの移動速度をより高速に設定する。
【0070】
一方、カーソルの移動速度は、エッジ強度の変化量が負の方向に大きくなるのに比例して、遅くなる。すなわち、カーソル速度決定部43は、カーソルの移動方向がオブジェクトの輪郭OLから離れる方向の場合、すなわちエッジ強度の変化量△Lが負の場合、エッジ強度の変化量△Lが小さくなる(絶対値は大きくなる)程、すなわち現在のカーソルの位置がオブジェクトの輪郭OLから離れる程、カーソルの移動速度をより低速に設定する。
【0071】
要するに、カーソル速度決定部43は、エッジ強度の変化量が正である場合には、当該エッジ強度の絶対値が大きいほど、カーソルの移動速度を高速に設定する。一方、カーソル速度決定部43は、エッジ強度の変化量が負である場合には、当該エッジ強度の絶対値が大きいほど、カーソルの移動速度を低速に設定する。
【0072】
[カーソル速度設定処理]
次に、画像処理装置10がカーソルの移動速度を設定する処理(以下、カーソル速度設定処理と称する)について、図8を参照して説明する。
【0073】
図8は、カーソル速度設定処理の流れについて説明するフローチャートである。
【0074】
ステップS11において、エッジ強度算出部22は、画像データ入力部21から供給された画像データを処理対象として、全画素についてエッジ強度を算出する。
【0075】
ステップS12において、カーソル位置取得部24は、カーソルの位置が更新されたかを判定する。すなわち、カーソル位置取得部24は、操作部23から操作信号が供給されたかを判定する。
【0076】
カーソルの位置が更新されない場合、ステップS12においてNOであると判定されて、処理はステップS12に戻され、カーソルの位置が更新されるまでの間、ステップS12の判定処理が繰り返される。
【0077】
その後、カーソルの位置が更新された場合、ステップS12においてYESであると判定されて、処理はステップ13に進む。
【0078】
ステップS13において、カーソル位置取得部24は、操作部23から供給された操作信号に基づいて、現在のカーソルの位置Nの座標(xn,yn)を取得する。
【0079】
ステップS14において、カーソル軌跡記憶部25は、ステップS13で取得された現在のカーソルの位置Nの座標(xn,yn)を、軌跡情報として軌跡リストに追加して記憶する。
【0080】
ステップS15において、カーソル位置取得部24は、画像処理の対象領域の境界線の形成作業が完了したかを判定する。
【0081】
境界線の形成作業が完了していない場合、ステップS15においてNOであると判定されて、処理はステップS16に進む。
【0082】
ステップS16において、前方進行方向予測部41は、ステップS13で取得された現在のカーソルの位置Nを中心として進行方向の前方の軌跡を算出する。
【0083】
ステップS17において、エッジ強度変化量算出部42は、エッジ強度の変化量ΔLを算出する。すなわち、エッジ強度変化量算出部42は、ステップS16で算出されたカーソルの進行方向の前方の軌跡におけるエッジ強度Lの最大値Lfmaxと最小値Lfmin、カーソルの過去の軌跡Pにおけるエッジ強度Lの最大値Lbmaxと最小値Lbminから、エッジ強度の変化量ΔLを算出する。
【0084】
ステップS18において、カーソル速度決定部43は、ステップS17で算出されたエッジ強度の変化量ΔLに基づいて、カーソルの移動速度を決定する。
【0085】
カーソルの移動速度が決定されると、処理はステップS12に戻され、それ以降の処理が繰り返される。すなわち、ステップS15において、画像処理の対象領域の境界線の形成作業が完了したと判定されるまでの間、ステップS12乃至ステップS18の処理が繰り返される。
【0086】
その後、境界線の形成作業が完了した場合、ステップS15においてYESであると判定されて、カーソル速度設定処理は終了する。
【0087】
このように、画像処理の対象領域の境界線の形成作業が行われている間、カーソルの移動速度は、現在のカーソルの位置におけるエッジ強度の変化量に応じて動的に設定される。したがって、ユーザは、オブジェクトの輪郭に沿ったカーソルの移動操作を行いやすくなり、オブジェクトの輪郭に沿った境界線の形成作業を容易に行うことができるようになる。
【0088】
[他の画像処理装置における軌跡情報の利用例]
カーソル軌跡記憶部25に記憶された軌跡情報は、他の画像処理装置11に供給されて利用される。他の画像処理装置11における軌跡情報の利用について、図9乃至図12を参照して説明する。
【0089】
図9は、他の画像処理装置11の構成例を示す図である。
【0090】
図9に示されるように、他の画像処理装置11は、処理対象領域設定部61を有する。
【0091】
処理対象領域設定部61は、画像処理装置10のカーソル軌跡記憶部25から軌跡情報を取得する。そして、処理対象領域設定部61は、取得した軌跡情報を用いて処理対象の画像(画像処理装置10の処理対象の画像と同じ画像)に対して処理対象領域を設定し、所定の画像処理、例えば色補正等を実行する。
【0092】
図10は、このような図9の構成を有する他の画像処理装置11における軌跡情報の利用について説明する図である。
【0093】
図10の左側の図に示されるように、画像処理装置10における画像処理の処理対象領域の境界線の形成作業により、処理対象の画像の中から、処理対象領域D1の境界線L1が形成される。この場合、境界線L1上の座標が軌跡情報として、画像処理装置10のカーソル軌跡記憶部25に記憶される。
【0094】
他の画像処理装置11の処理対象領域設定部61は、軌跡情報を、画像処理装置10のカーソル軌跡記憶部25から取得する。そして、処理対象領域設定部61は、取得した軌跡情報を用いて、画像処理装置10における処理対象画像と同一の処理対象の画像に対して、処理対象領域D2の境界線L2を設定する。ここで、処理対象領域D2は、画像処理装置10における処理対象領域D1と同一であり、境界線L2は、画像処理装置10における境界線L1と同一である。これにより、他の画像処理装置11は、処理対象領域設定部61により設定された処理対象領域D2に対して所定の画像処理、例えば色補正等を施すことができる。
【0095】
このように、他の画像処理装置11は、本技術が適用される画像処理装置10に記憶されている軌跡情報を利用して、処理対象領域を設定することができる。これにより、他の画像処理装置11は、処理対象領域の境界線の形成作業を省略することが可能となり、当該処理対象領域に対する画像処理を効率よく行うことができるようになる。
【0096】
[他の画像処理装置における軌跡情報の他の利用例]
次に、画像処理の処理対象領域の境界線の形成作業を簡略化するための手法として、上述した第1の手法または第2の手法が他の画像処理装置11に採用されている場合における、軌跡情報の利用の仕方について説明する。
【0097】
上述したように、第1の手法または第2の手法を採用している他の画像処理装置11により境界線が抽出された場合、当該境界線をユーザが修正する必要があった。そこで、ユーザの修正を不要にすべく、他の画像処理装置11は、図11に示される構成を有している。
【0098】
図11は、他の画像処理装置11の構成例を示す図である。
【0099】
図11に示されるように、他の画像処理装置11は、境界線抽出部71および処理対象領域設定部72を有する。
【0100】
境界線抽出部71は、第1の手法または第2の手法にしたがって、ユーザの操作により指定されたオブジェクトの輪郭を処理対象領域の境界線として抽出する。より詳しくは、境界線抽出部71は、当該境界線の座標群を抽出する。そして、境界線抽出部71は、当該境界線の座標群を画像処理装置10に供給する。
【0101】
画像処理装置10は、当該境界線の座標群を取得すると、それを軌跡情報として記憶し、境界線の形成作業がなされる場合に、当該軌跡情報を用いて上述した各種処理を実行することで、境界線を修正させる。そして、画像処理装置10は、修正後の境界線の座標群を軌跡情報としてカーソル軌跡記憶部25に記憶する。
【0102】
処理対象領域設定部72は、修正後の軌跡情報を画像処理装置10から取得する。そして、処理対象領域設定部72は、取得した軌跡情報を用いて、処理対象の画像データから処理対象領域を設定し、当該処理対象領域に対して所定の画像処理、例えば色補正等を施す。
【0103】
図12は、このような図11の構成を有する他の画像処理装置11における軌跡情報の利用について説明する図である。
【0104】
他の画像処理装置11の境界線抽出部71は、第1の手法または第2の手法にしたがって、境界線の形成作業を行い、図12の左側の図に示されるように、処理対象の画像の中から、処理対象領域D11の境界線L11を形成する。形成された境界線L11は、点線で示されている。そして、境界線抽出部71は、点線で示される境界線L11の座標群を抽出して、画像処理装置10に供給する。
【0105】
画像処理装置10は、供給された境界線L11の座標群を軌跡情報として記憶し、境界線の形成作業がなされる場合に、当該軌跡情報を用いて上述した各種処理を実行することによって、図12の中央の図で示されるように、境界線L11を境界線L12に修正する。なお、同図において、修正前の境界線L11は点線で示されており、修正後の境界線L12は実線で示されている。画像処理装置10は、修正後の境界線L12の座標群を軌跡情報としてカーソル軌跡記憶部25に記憶する。そして、画像処理装置10は、他の画像処理装置11からの取得要求等を受けて、軌跡情報をカーソル軌跡記憶部25から読みだして他の画像処理装置11に供給する。
【0106】
他の画像処理装置11の処理対象領域設定部72は、軌跡情報を取得すると、図12の右側の図に示されるように、その軌跡情報を用いて、処理対象の画像データから処理対象領域D13の境界線L13を設定する。ここで、図12の右側の図と中央の図とを比較すると明らかなように、処理対象領域D13は、画像処理装置10における処理対象領域D12と同一であり、境界線L13は、画像処理装置10における境界線L13と同一である。
【0107】
これにより、他の画像処理装置11は、画像処理装置10において修正された処理対象領域D12と同一の処理対象領域D13に対して、色補正等の画像処理を施すことができるので、ユーザの手動操作による修正作業は不要になる。すなわち、他の画像処理装置11は、本技術が適用される画像処理装置10において修正された境界線の軌跡情報を利用して、処理対象の画像データから処理対象領域を設定することができる。これにより、他の画像処理装置11は、処理対象領域の境界線の形成作業において、抽出された境界線の修正作業を省略することが可能となり、画像処理を効率よく行うことができるようになる。
【0108】
なお、上述の例では、画像処理装置10と他の画像処理装置11は、異なる2つの画像処理装置として説明したが、これらを合わせて1つの画像処理装置としてもよい。すなわち、画像処理装置10と他の画像処理装置11が行う処理が、1つの画像処理装置内で行われてもよい。
【0109】
[本技術のプログラムへの適用]
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
【0110】
図13は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【0111】
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)201,ROM(Read Only Memory)202,RAM(Random Access Memory)203は、バス204により相互に接続されている。
【0112】
バス204には、さらに、入出力インタフェース205が接続されている。入出力インタフェース205には、入力部206、出力部207、記憶部208、通信部209、及びドライブ210が接続されている。
【0113】
入力部206は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。出力部207は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記憶部208は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部209は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ210は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブルメディア211を駆動する。
【0114】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU201が、例えば、記憶部208に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース205及びバス204を介して、RAM203にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0115】
コンピュータ(CPU201)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア211に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0116】
コンピュータでは、プログラムは、リムーバブルメディア211をドライブ210に装着することにより、入出力インタフェース205を介して、記憶部208にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部209で受信し、記憶部208にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM202や記憶部208に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0117】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0118】
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0119】
なお、本技術は、以下のような構成もとることができる。
(1)
画像データを処理対象として、前記画像データにより表される画像の全画素についてエッジ強度をそれぞれ算出するエッジ強度算出部と、
前記画像が表示される表示画面上のカーソルの位置を逐次取得するカーソル位置取得部と、
前記カーソル位置取得部により逐次取得された前記カーソルの位置と、前記エッジ強度算出部により算出された前記エッジ強度とに基づいて算出される、現在の前記カーソルの位置における前記エッジ強度の変化量に基づいて、前記カーソルの移動速度を設定するカーソル速度設定部とを備える
画像処理装置。
(2)
前記カーソル速度設定部は、前記エッジ強度の変化量が正である場合には、当該エッジ強度の絶対値が大きいほど前記カーソルの移動速度を高速に設定し、前記エッジ強度の変化量が負である場合には、当該エッジ強度の絶対値が大きいほど前記カーソルの移動速度を低速に設定する
前記(1)に記載の画像処理装置。
(3)
前記カーソル速度設定部は、前記現在のカーソルの位置の進行方向の前方のカーソルの位置を算出し、算出した前記前方のカーソルの位置と、前記カーソル位置取得部により既に取得されている、進行方向の後方のカーソルの位置との各々におけるエッジ強度を用いて、前記現在のカーソルの位置における前記エッジ強度の変化量を算出する
前記(1)または(2)に記載の画像処理装置。
(4)
前記カーソル速度設定部は、前記現在のカーソルの位置を中心とする前記後方のカーソルの位置の点対象の位置を、前記前方のカーソルの位置として算出する
前記(1)乃至(3)に記載の画像処理装置。
(5)
前記カーソル速度設定部は、前記後方のカーソルの位置から多次元多項式で表される近似曲線を求め、前記近似曲線を用いて前記前方のカーソルの位置を算出する
前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の画像処理装置。
(6)
前記カーソル速度設定部は、前記後方のカーソルの位置における前記エッジ強度の最大値および最小値、並びに前記前方のカーソルの位置における前記エッジ強度の最大値および最小値を用いて、前記現在のカーソルの位置における前記エッジ強度の変化量を算出する
前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の画像処理装置。
【0120】
本技術は、画像を編集する画像処理装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0121】
10 画像処理装置, 21 画像データ入力部, 22 エッジ強度算出部, 23 操作部, 24 カーソル位置取得部, 25 カーソル軌跡記憶部, 26 カーソル速度設定部, 26 カーソル速度設定部, 41 前方進行方向予測部, 42 エッジ強度変化量算出部, 43 カーソル速度設定部, 61 処理対象領域設定部,
71 境界線抽出部, 72 対象領域設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを処理対象として、前記画像データにより表される画像の全画素についてエッジ強度をそれぞれ算出するエッジ強度算出部と、
前記画像が表示される表示画面上のカーソルの位置を逐次取得するカーソル位置取得部と、
前記カーソル位置取得部により逐次取得された前記カーソルの位置と、前記エッジ強度算出部により算出された前記エッジ強度とに基づいて算出される、現在の前記カーソルの位置における前記エッジ強度の変化量に基づいて、前記カーソルの移動速度を設定するカーソル速度設定部と
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記カーソル速度設定部は、前記エッジ強度の変化量が正である場合には、当該エッジ強度の絶対値が大きいほど前記カーソルの移動速度を高速に設定し、前記エッジ強度の変化量が負である場合には、当該エッジ強度の絶対値が大きいほど前記カーソルの移動速度を低速に設定する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記カーソル速度設定部は、前記現在のカーソルの位置の進行方向の前方のカーソルの位置を算出し、算出した前記前方のカーソルの位置と、前記カーソル位置取得部により既に取得されている、進行方向の後方のカーソルの位置との各々におけるエッジ強度を用いて、前記現在のカーソルの位置における前記エッジ強度の変化量を算出する
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記カーソル速度設定部は、前記現在のカーソルの位置を中心とする前記後方のカーソルの位置の点対象の位置を、前記前方のカーソルの位置として算出する
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記カーソル速度設定部は、前記後方のカーソルの位置から多次元多項式で表される近似曲線を求め、前記近似曲線を用いて前記前方のカーソルの位置を算出する
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記カーソル速度設定部は、前記後方のカーソルの位置における前記エッジ強度の最大値および最小値、並びに前記前方のカーソルの位置における前記エッジ強度の最大値および最小値を用いて、前記現在のカーソルの位置における前記エッジ強度の変化量を算出する
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項7】
画像処理装置の画像処理方法において、
前記画像処理装置が、
画像データを処理対象として、前記画像データにより表される画像の全画素についてエッジ強度をそれぞれ算出し、
前記画像が表示される表示画面上のカーソルの位置を逐次取得し、
逐次取得された前記カーソルの位置と、前記エッジ強度とに基づいて算出される、現在の前記カーソルの位置における前記エッジ強度の変化量に基づいて、前記カーソルの移動速度を設定する
ステップを含む画像報処理方法。
【請求項8】
コンピュータを、
画像データを処理対象として、前記画像データにより表される画像の全画素についてエッジ強度をそれぞれ算出するエッジ強度算出部と、
前記画像が表示される表示画面上のカーソルの位置を逐次取得するカーソル位置取得部と、
前記カーソル位置取得部により逐次取得された前記カーソルの位置と、前記エッジ強度算出部により算出された前記エッジ強度とに基づいて算出される、現在の前記カーソルの位置における前記エッジ強度の変化量に基づいて、前記カーソルの移動速度を設定するカーソル速度設定部と
して機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−58138(P2013−58138A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197033(P2011−197033)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】