画像処理装置及び画像処理システム
【課題】簡便に被写体の画像を実寸大で出力する画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置10において、画像取得部14は、被写体の撮影画像を取得する。オペレーションパネル12は、被写体種類62及び出力解像度61を表示して被写体種類62及び出力解像度61を入力する。出力画像画素数算出部13は、被写体種類62に基づき、被写体の実寸サイズを取得し、これに出力解像度61を乗じて被写体を実寸サイズで出力する出力画像画素数を算出する。被写体抽出部16は、撮影画像から被写体領域を抽出し、画素数変更率算出部17は、被写体領域の画素数と出力画像画素数とが一致するように、画素数変更率を算出する。被写体領域変更部18は、その画素数変更率に基づき、被写体領域を変更する。このため、基準物を準備して被写体と同時に撮影する必要がなくなり、簡便に実物大画像を作成することができる。
【解決手段】画像処理装置10において、画像取得部14は、被写体の撮影画像を取得する。オペレーションパネル12は、被写体種類62及び出力解像度61を表示して被写体種類62及び出力解像度61を入力する。出力画像画素数算出部13は、被写体種類62に基づき、被写体の実寸サイズを取得し、これに出力解像度61を乗じて被写体を実寸サイズで出力する出力画像画素数を算出する。被写体抽出部16は、撮影画像から被写体領域を抽出し、画素数変更率算出部17は、被写体領域の画素数と出力画像画素数とが一致するように、画素数変更率を算出する。被写体領域変更部18は、その画素数変更率に基づき、被写体領域を変更する。このため、基準物を準備して被写体と同時に撮影する必要がなくなり、簡便に実物大画像を作成することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体の画像を実寸サイズで出力する画像処理装置及び画像処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、デジタルカメラで被写体を撮影するとき、被写体とデジタルカメラとの距離によって撮影画像中の被写体領域の大きさが異なる。撮影画像中の被写体領域を実寸サイズで印刷する場合、利用者(以下「ユーザ」という。)がパーソナルコンピュータ(以下「PC」という。)等で撮影画像のサイズを調整する必要があった。しかしながら、ユーザが手動で撮影画像中の被写体領域を正確に実寸サイズに合わせることは非常に時間が掛かっていた。
【0003】
この問題を解決するため、特許文献1に記載されているように、基準長を表す基準物と被写体とを一緒に撮影して撮影画像を作る。この撮影画像から基準物を抽出し、抽出した基準物が表す基準長が当該基準長と対応付けられた実寸長と一致するように撮影画像の拡大または縮小処理を行う技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−135578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の従来の技術では、基準長を表す基準物を準備し、被写体と共に同じ撮影画面に置いて撮影する必要があり、煩雑であるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像処理装置は、被写体の撮影画像を取得する画像取得部と、前記被写体の種類及び前記被写体の実寸サイズを対応付けて保存する記憶部と、前記記憶部に保存された前記被写体の種類と出力解像度とを表示し、ユーザに前記被写体の種類及び前記出力解像度の選択を促し、選択された前記被写体の種類及び前記出力解像度を入力する入力操作部と、前記入力操作部に入力された前記被写体の種類に基づき、前記記憶部から前記被写体の実寸サイズを取得し、前記被写体の実寸サイズと入力された前記出力解像度に基づき、前記被写体を前記被写体の実寸サイズで出力するための出力画像画素数を算出する出力画像画素数算出部とを備えている。
【0007】
更に、本発明の画像処理装置は、取得した前記撮影画像から被写体領域を抽出する被写体抽出部と、前記被写体抽出部で抽出された前記被写体領域の画素数と前記出力画像画素数とが一致するように、前記被写体領域の画素数変更率を算出する画素数変更率算出部と、前記画素数変更率算出部で算出された前記画素数変更率に基づき、前記被写体抽出部で抽出された前記被写体領域の画素数を変更して出力する被写体領域変更部とを備えている。
【0008】
本発明の画像処理システムは、前記画像処理装置と、前記画像処理装置から前記被写体領域の画像データを受信して画像を形成する画像形成装置とを備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の画像処理装置及び画像処理システムによれば、ユーザが被写体の種類及び出力解像度を選択することにより、撮影画像から被写体領域を抽出して実寸サイズの出力画像を作成するので、基準物を準備して被写体と同時に撮影する必要がなくなり、簡便に実物大画像を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は本発明の実施例1における画像処理システムを示す概略の機能ブロック図である。
【図2】図2は図1中の画像処理装置を示す概略の構成図である。
【図3】図3は図1中の画像形成装置を示す概略の構成図である。
【図4】図4は図1中の基準画像データベース(以下「DB」という。)を示す構成図である。
【図5】図5は図1中のオペレーションパネルの表示部に表示される出力画像設定画面の例を示す図である。
【図6】図6は図1中の画像取得部が取得した撮影画像の例を示す図である。
【図7】図7は図6中の横方向の垂直線L1の輝度分布を示すグラフである。
【図8】図8は図6中の縦方向の垂直線C1の輝度分布を示すグラフである。
【図9】図9は本発明の実施例1における図1中の画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】図10は図9中の被写体領域を抽出するステップの処理を示すフローチャートである。
【図11】図11は本発明の実施例2における画像処理システムを示す概略の機能ブロック図である。
【図12】図12は図11中のオペレーションパネルの表示部に表示される基準画像登録画面の例を示す図である。
【図13】図13は図11中の基準画像DBを示す構成図である。
【図14】図14は図11中のオペレーションパネルの表示部に表示される出力画像設定画面の例を示す図である。
【図15】図15は本発明の実施例2における図11中の画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0012】
(実施例1の構成)
図1は、本発明の実施例1における画像処理システムを示す概略の機能ブロック図である。
【0013】
本実施例1の画像処理システムは、実寸大の画像データを生成して出力する画像処理装置10と、前記画像データを入力して印刷媒体(例えば、用紙)Pに画像を形成する画像形成装置50とを有している。
【0014】
画像処理装置10は、例えば、静止画を生成するデジタルカメラであって、被写体の種類及び被写体の実寸サイズを対応付けて保存する記憶部(例えば、基準画像DB)11と、被写体の種類及び出力解像度を表示し、ユーザに被写体の種類及び出力解像度の選択を促し、選択された前記被写体の種類及び選択された出力解像度を入力する入力操作部(例えば、オペレーションパネル)12と、選択された被写体の種類に基づき、基準画像DB11から被写体の実寸サイズを取得し、被写体の実寸サイズと選択された出力解像度とに基づき、被写体を被写体の実寸サイズで出力するための出力画像画素数を算出する出力画像画素数算出部13とを有している。
【0015】
更に、画像処理装置10は、被写体を撮影して撮影画像を取得する画像取得部14と、画像取得部14で取得した被写体の撮影画像等を一時的に保存する一時データ保存部15と、取得した撮影画像から被写体領域を抽出する被写体抽出部16と、被写体抽出部16で抽出された被写体領域の画素数と出力画像画素数とが一致するように、被写体領域の画素数を変更するための画素数変更率を算出する画素数変更率算出部17と、画素数変更率算出部17で求めた画素数変更率に基づいて被写体抽出部16で抽出された被写体領域の画素数を変更して出力する被写体領域変更部18とを有している。
【0016】
オペレーションパネル12は、各種表示データを表示する表示部12aと、ユーザの操作を入力する操作部12bとを有している。表示部12aは、例えば、液晶ディスプレイにより構成され、操作部12bは、例えば、液晶ディスプレイ上に配置されたタッチパネルにより構成されている。
【0017】
出力画像画素数算出部13は、オペレーションパネル12からユーザが選択した被写体の種類と出力解像度とを入力し、被写体の種類に基づいて基準画像DB11から被写体の実寸サイズを取得し、更に、入力した出力解像度と取得した被写体の実寸サイズに基づいて被写体領域を実寸サイズに出力するための出力画像画素数を算出する機能を有している。
【0018】
一時データ保存部15は、画像取得部14で取得した被写体の撮影画像を一時的に保存する。被写体抽出部16は、一時データ保存部15に保存されている撮影画像から被写体領域を抽出し、更に、抽出した被写体領域を一時データ保存部15に保存する機能を有している。ここで被写体領域とは、撮影画像中の被写体の部分であり、背景を含まない。画素数変更率算出部17は、被写体抽出部16で抽出した被写体領域と、出力画像画素数算出部13で算出した出力画像画素数と、が一致するよう、被写体領域の画素数変更率を算出する機能を有している。
【0019】
被写体領域変更部18は、画素数変更率算出部17で求めた画素数変更率に基づき、一時データ保存部15に保存されている被写体領域の画素数を変更して出力する機能を有している。
【0020】
画像形成装置50は、例えば、電子写真方式のプリンタであって、ネットワーク80を介して画像処理装置10に接続されている。画像形成装置50は、画像処理装置10の被写体領域変更部18で実寸大に変更された被写体領域の画像データを受信して用紙Pに印刷する機能を有している。
【0021】
図2は、図1中の画像処理装置10を示す概略の構成図である。
画像処理装置10は、システムバス19を有している。システムバス19には、各種の画像を表示し、ユーザの操作を受け付けるオペレーションパネル12と、被写体の撮影画像を取得する画像取得部14と、揮発性メモリであるランダムアクセスメモリ(以下「RAM」という。)23と、不揮発性メモリであるリードオンリメモリ(以下「ROM」という。)24と、ネットワーク80に接続され、外部装置とのデータの送受信を行う外部インタフェース(以下「外部I/F」という。)25と、ROM24に格納されている図示しないプログラムをRAM23に読み出して実行することにより全体を制御する中央処理装置(以下「CPU」という。)26とが接続され、相互に通信可能になっている。
【0022】
オペレーションパネル12は、図1の説明で述べた通り、表示部12aと操作部12bとを有している。
【0023】
画像取得部14は、被写体を受光面に結像させる撮影レンズ14aと、光路を開閉するメカニカルシャッタ14bと、受光面に入射される光学像を電気信号に変換して出力する撮像素子14cと、撮像素子14cから入力した電気信号をデジタル画像データに変換して圧縮する信号処理部14dとを有している。
【0024】
信号処理部14dの出力側には、デジタル画像データを表示部12aに表示する表示回路20と、デジタル画像データをメモリカード等の記録媒体22に格納し、又は記録媒体22から読み出して表示回路20に出力する記録/再生回路21とが接続されている。
【0025】
図1において説明した一時データ保存部15は、RAM23内に設けられている。同様に、基準画像DB11は、ROM24内に設けられている。
【0026】
CPU26は、図1で説明した出力画像画素数算出部13と、被写体抽出部16と、画素数変更率算出部17と、被写体領域変更部18とを有している。これらの機能ブロック13,16,17,18は、CPU26がROM24に格納されている各プログラムをRAM23に読み出して実行することにより機能するように構成されている。
【0027】
ネットワーク80は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ケーブルであって、被写体領域変更部18は、被写体領域の画素数を変更して実寸サイズの被写体領域の画像データを生成し、外部I/F25を介してネットワーク80に出力するようになっている。通常、デジタルカメラで撮影された撮影画像は、PCを経由してプリンタに出力するか、或いは、メモリカードに格納され、このメモリカードの撮影画像をプリンタで読み込んで画像形成されるが、本実施例1では、USBケーブルであるネットワーク80を介して直接画像形成装置50に出力することで説明する。
【0028】
図3は、図1中の画像形成装置50を示す概略の構成図である。
画像形成装置50は、システムバス51を有している。このシステムバス51には、全体を制御する制御部52と、ネットワーク80を介して外部装置とデータの送受信を行う外部I/F53と、各種の画像を表示し、ユーザの操作を受け付ける操作パネル54と、画像データ等を記憶する記憶部55と、画像データに基づいて、例えば、用紙Pに画像を形成するプリンタエンジン56とが接続され、相互に通信可能に構成されている。
【0029】
制御部52は、画像データ生成部52aを有している。画像データ生成部52aは、図示しないPC等のクライアントコンピュータからPCL(登録商標)やポストスクリプト(登録商標)等のページ記述言語で記載された印刷ジョブデータを受信し、これをビットマップデータに変換する機能を有している。
【0030】
本実施例1では、実寸サイズの被写体領域の画像データが、例えば、JPEG(Joint Photographic Expert Group)の形式により圧縮されて、画像処理装置10から送信される。そのため、画像データ生成部52aは、受信した画像データをバッファ55aに格納し、印刷用のビットマップデータを生成して記憶部55内の画像データ格納エリア55bに格納するようになっている。プリンタエンジン56は、制御部52の制御により、ビットマップデータに基づいて被写体の実寸大の画像を用紙Pに形成するように構成されている。
【0031】
図4は、図1中の基準画像DB11を示す構成図である。
基準画像DB11の各レコードは、被写体種類、幅、高さ、及び単位の各項目を有している。被写体種類は一般的によく使われる物(例えば、名刺、免許証、はがき等)の被写体の種類を表している。幅は、被写体を正置したときの横方向の長さであり、高さは、被写体を正置したときの縦方向の長さである。単位は、長さの単位を表し、図4の例では、ミリメートルである。
【0032】
図5は、図1中のオペレーションパネル12の表示部12aに表示される出力画像設定画面60の例を示す図である。
【0033】
出力画像設定画面60は、ユーザが被写体を実寸サイズで出力したい場合に、ユーザの操作に基づき、オペレーションパネル12によって表示部12aに表示されるようになっている。
【0034】
出力解像度61は、実寸サイズの被写体領域を用紙Pに出力する際の解像度を表している。図5の例では、300dpi(ドット/インチ)と600dpiの解像度が選択可能に表示されている。被写体種類62は、出力する被写体の種類を表している。図5の例では、名刺、免許証、及びはがきがプルダウンメニューで表示されている。
【0035】
設定確認ボタン63は、出力画像設定画面60で選択された設定項目の情報を収集するボタンである。設定確認ボタン63を押下すると、出力画像画素数算出部13は、選択された被写体種類62と出力解像度61とを入力するようになっている。設定キャンセルボタン64は、出力画像設定画面60の設定項目で選択された設定項目の情報をクリアする機能を有している。
【0036】
図6は、図1中の画像取得部14が取得した撮影画像の例を示す図である。
図6には、一時データ保存部15に保存されている名刺の撮影画像Rの例が示されている。垂直線C1,C2,C3は、名刺の撮影画像Rの上辺h1及び下辺h2に対して垂直に、被写体抽出部16によって引かれた線である。同様に、垂直線L1,L2,L3は、名刺の撮影画像Rの左辺v1及び右辺v2に対して垂直に、被写体抽出部16によって引かれた線である。
【0037】
(xL,yU)は、一時データ保存部15の左下端を原点とし、この原点から横方向をx軸、縦方向をy軸とする座標系における名刺の撮影画像Rの左上頂点座標である。なお、この座標系におけるx軸及びy軸の単位は、ピクセルである。同様に、(XR,yU)は、名刺の撮影画像Rの右上頂点座標で、(xL,yL)は、名刺の撮影画像Rの左下頂点座標で、(xR,yL)は、名刺の撮影画像Rの右下頂点座標である。(x3,y2)は、名刺の撮影画像Rの上辺h1と垂直線C1との交点の座標であり、(x3,y4)は、名刺の撮影画像Rの下辺h2と垂直線C1との交点の座標である。(x1,y1)は、名刺の撮影画像Rの左辺v1と垂直線L1との交点の座標であり、(x2,y1)は、名刺の撮影画像Rの右辺v2と垂直線L1との交点の座標である。
【0038】
このように、図6では、縦方向に垂直線C1,C2,C3を引き、横方向に垂直線L1,L2,L3を引いているが、撮影画像のエッジを検出する精度を上げるには、垂直線の数を増やしたほうがよい。
【0039】
図7は、図6中の横方向の垂直線L1の輝度分布を示すグラフである。
図7において、横軸は名刺の撮影画像Rの横方向の位置を表し、名刺の撮影画像Rの左端が横軸の原点Oの位置である。縦軸は、輝度を表している。座標x1及び座標x2において、輝度が急激に低下している。これは、座標x1が垂直線L1と名刺の撮影画像Rの左辺v1との交点であることを示している。同様に、座標x2が垂直線L1と名刺の撮影画像Rの右辺v2との交点であることを示している。
【0040】
図8は、図6中の縦方向の垂直線C1の輝度分布を示すグラフである。
図8において、横軸は名刺の撮影画像Rの縦方向の位置を表し、名刺の撮影画像Rの上端が横軸の原点Oの位置である。縦軸は、輝度を表している。座標y2及び座標y4において、輝度が急激に低下している。これは、座標y2が垂直線C1と名刺の撮影画像Rの上辺h1との交点であることを示している。同様に、座標y4が垂直線C1と名刺の撮影画像Rの下辺h2との交点であることを示している。
【0041】
(実施例1の動作)
図9は、本発明の実施例1における図1中の画像処理装置10の動作を示すフローチャートである。
【0042】
ユーザがオペレーションパネル12の操作部12bを用いて、撮影画像の実寸サイズ出力の指示を行うことで本処理が開始される。
【0043】
ステップS1において、オペレーションパネル12は、基準画像DB11に保存されている図4の被写体の種類を読み取り、画像処理装置10の表示部12aに、図5に示す出力画像設定画面60を表示する。ステップS2において、ユーザにより、出力画像設定画面60の出力解像度61と被写体種類62とが選択され、設定確認ボタン63が押下される。例えば、ユーザは、図5の出力画像設定画面60の解像度61として、300dpiを選択し、被写体種類62として、名刺を選択し、設定確認ボタン63を押下する。
【0044】
ステップS3において、オペレーションパネル12は、ユーザが選択した出力解像度61と被写体種類62とを設定し、出力画像画素数算出部13へ出力する。ステップS4において、出力画像画素数算出部13は、オペレーションパネル12から出力された被写体種類62に基づき、基準画像DB11から被写体の実寸サイズを取得し、更に、入力した出力解像度61と取得した実寸サイズに基づき、被写体領域を実寸サイズに出力するための出力画像画素数を算出する。
【0045】
出力画像画素数算出部13は、例えば、出力画像画素数算出部13に入力された被写体種類62である名刺に基づき、基準画像DB11から名刺のサイズ9lmm×55mmを取得する。入力された出力解像度61である300dpiと取得した名刺の実寸サイズ91mm×55mmに基づき、被写体の出力画像画素数1075×650ピクセルを算出する。
【0046】
ステップS5において、ユーザが画像処理装置10のメカニカルシャッタ14bの撮影ボタンを押下すると、画像取得部14は、被写体の撮影画像を作成して一時データ保存部15に保存する。ステップS6において、被写体抽出部16は、前記ステップS5において、一時データ保存部15に保存された名刺の撮影画像Rを読み出し、読み出した名刺の撮影画像Rから被写体領域を抽出する。
【0047】
ステップS7において、画素数変更率算出部17は、前記ステップS6で抽出した被写体領域の画素数を、前記ステップS4で算出した被写体の出力画像画素数と一致させるよう、被写体領域の画素数変更率を算出する。例えば、前記ステップS4で求めた被写体の出力画像画素数が1075×650ピクセルであり、前記ステップS6において抽出した被写体領域の幅が2150ピクセル、高さが1300ピクセルとすると、被写体領域の縮小率は横方向に1/2、縦方向に1/2と算出する。
【0048】
ステップS8において、被写体領域変更部18は、前記ステップS7において、算出した画素数変更率に基づいて、前記ステップS6において、抽出した被写体領域に対して画素数の変更処理を行う。ここでの画素数の変更処理は、一般的な手法を使う。例えば、ダウン・サンプリング法は、画像縮小法として単純な方法であり、原画像に対して縦に1/L、横に1/Mにするように縮小する場合、原画像をL×Mの各領域に分割し、このL×Mの各領域から1画素を単純に選び出し、画像を再構成する方法である。直線補間法は、画像拡大法の代表的な方法であり、原画像に対して縦にL倍、横にM倍に拡大する場合、原画像中の各画素をL×Mの領域に配置し、拡大にともなう新たな画素を、原画素の隣接する画素間の直線近似により生成する方法である。
【0049】
画素数を変更することにより、縮小又は拡大された被写体領域は、例えば、JPEGの形式で圧縮され、ステップS9において、ネットワーク80を介して画像形成装置50に送信され、本処理が終了する。
【0050】
なお、画像形成装置50は、縮小又は拡大された被写体領域の画像データを受信する。制御部52内の画像データ生成部52aは、JPEG等で圧縮された画像データを解読してビットマップデータを生成する。プリンタエンジン56は、そのビットマップデータに基づいて用紙Pに画像を形成して本処理を終了する。
【0051】
図10は、図9中の被写体領域を抽出するステップS6の処理を示すフローチャートである。
【0052】
本処理は、図9に示す画像処理装置10の動作のステップS6のサブルーチンであり、ステップS6において呼び出されることにより実行される。
【0053】
ステップS11において、被写体抽出部16は、図6に示すように、一時データ保存部15に保存されている撮影画像に対し、横方向の垂直線L1,L2,L3及び縦方向の垂直線C1,C2,C3を引き、図7及び図8に示すようにその垂直線上の画素の輝度分布図を作成する。
【0054】
ステップS12において、被写体抽出部16は、前記ステップS11で作成した垂直線の輝度分布図を分析し、垂直線上の境界点を判別する。この境界点は、垂直線と被写体領域の境界線、即ち、図6の垂直線C1と上辺h1及び下辺h2の交点と、垂直線C2と上辺h1及び下辺h2の交点と、垂直線C3と上辺h1及び下辺h2の交点とをいう。更に、境界点は、垂直線L1と左辺v1及び右辺v2との交点と、垂直線L2と左辺v1及び右辺v2との交点と、垂直線L3と左辺v1及び右辺v2との交点とをいう。
【0055】
垂直線上の境界点の判別は、横方向の垂直線L1,L2,L3の順に、縦方向の垂直線C1,C2,C3の順に行う。ある垂直線の輝度分布において、横軸の画素の位置に従ってそれと対応する輝度値の変化に注目し、その輝度値が前後の画素の輝度値より小さい画素を境界点と判別し、その位置を記録する。例えば、図7に示す垂直線L1の輝度分布は、名刺の撮影画像Rの横方向の垂直線L1上の画素の輝度変化を表し、横方向の座標x1と座標x2の位置にある画素の輝度値がその前後画素の輝度値より小さいため、座標x1及びx2を境界点と判別する。
【0056】
図8に示すように、名刺の撮影画像Rの縦方向の垂直線Cl上の画素の輝度変化において、縦方向の座標y2と座標y4の位置の画素の輝度値がその前後画素の輝度値より小さいため、座標y2と座標y4を境界点と判別する。
【0057】
ステップS13において、被写体抽出部16は、前記ステップS12で求めた境界点に基づき、被写体領域の境界間距離を算出する。被写体抽出部16は、同一の垂直線C1,C2,C3,L1,L2,L3にある境界点を判別し、同じ垂直線上の境界点の間の距離を算出する。横方向のすべての垂直線L1,L2,L3上の境界点の間の距離を求め、その平均値を横方向の境界間距離とする。同様に、縦方向のすべての垂直線C1,C2,C3上の境界点の間の距離を求め、その平均値を縦方向の境界間距離とする。
【0058】
例えば、図6の名刺の撮影画像Rの横方向の垂直線L1上の境界点の間の距離は、座標(x2,y1)と座標(x1,y1)間の距離なので、x2−xlとなる。同様に垂直線L2,L3上の境界点の間の距離を算出し、3つの垂直線L1,L2,L3上の境界点の間の距離の平均値を求めて被写体領域の横方向の境界間距離とする。
【0059】
ステップS14において、前記被写体抽出部16は、前記ステップS13において、算出した被写体領域の横方向と縦方向の境界間距離に基づき、被写体領域の幅と高さの方向と大きさを算出する。被写体抽出部16は、図7のステップS4において取得した被写体の実寸サイズから、被写体の幅と高さの大小関係を求め、更に、前記ステップS13において算出した被写体領域の横方向の境界距離と縦方向の境界間距離とを比較し、被写体の幅と高さの大小関係と一致するよう被写体領域の幅と高さの方向と大きさを決める。
【0060】
例えば、図6の名刺の撮影画像Rの横方向の境界間距離を2150ピクセルとし、縦方向の境界間距離を1300ピクセルとすると、横方向の境界間距離が縦方向の境界間距離より大きい。図9のステップS4において求めた被写体のサイズが91mm×55mmとなり、被写体の幅が高さより大きい。従って被写体領域の幅が撮影画像の横方向に沿い、大きさが2150ピクセルとなり、被写体領域の高さが撮影画像の縦方向に沿い、大きさが1300ピクセルとなる。
【0061】
ステップS15において、被写体抽出部16は、前記ステップS12で求めた境界点に基づき、被写体領域の境界線を求める。前記ステップS12で求めた境界点において、例えば、横方向の垂直線L1上の2つの境界点のうち、位置が左側にある境界点を左境界点(x1,y1)とし、右側にある境界点を右境界点(x2,y1)とする。被写体抽出部16は、横方向の垂直線L1,L2,L3上の境界点を左境界点と右境界点に分け、左境界点から任意的に2つの境界点を選択し、選択した2つの境界点を通る線を左側の境界線とする。同様に、横方向の右側の境界線、縦方向の上側と下側の境界線を検出する。
【0062】
ステップS16において、被写体抽出部16は、前記ステップ15で検出した被写体領域の境界線の中に含まれる領域を被写体領域として抽出する。このような動作によって名刺の撮影画像Rから被写体領域を抽出して本処理を終了し、図9に示すステップS6に戻る。
【0063】
(実施例1の効果)
本実施例1の画像処理装置10及び画像処理システムによれば、ユーザが被写体種類62及び出力解像度61を選択することにより、撮影画像から被写体領域を抽出して実寸大サイズの出力画像を作成するので、基準物を準備して被写体と同時に撮影する必要がなくなる。このため、簡便に実物大画像を作成することができる。
【実施例2】
【0064】
(実施例2の構成)
図11は、本発明の実施例2における画像処理システムを示す概略の機能ブロック図であり、実施例1を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0065】
本実施例2の画像処理システムの構成は、実施例1の画像処理システムとほぼ同様である。本実施例2の画像処理システムでは、画像処理装置10Aの構成が実施例1の画像処理装置10の構成と異なっている。
【0066】
本実施例2の画像処理装置10Aの構成は、実施例1の画像処理装置10とほぼ同様である。本実施例2の画像処理装置10Aでは、実施例1に対し、新たに基準画像登録部27が追加され、更に、基準画像DB11Aの構成が実施例1と異なっている。
【0067】
基準画像登録部27は、画像処理装置10Aの表示部12aに基準画像登録画面を表示し、ユーザに対し、基準画像DB11Aに登録する被写体種類及び被写体種類の属性の入力を促し、入力された被写体種類及び被写体種類の属性を基準画像DB11Aに登録する機能を有している。
【0068】
図12は、図11中のオペレーションパネル12の表示部12aに表示される基準画像登録画面70の例を示す図である。
【0069】
表示部12aには、図12に示す基準画像登録画面70が表示される。基準画像登録画面70には、基準画像DB11Aに登録する被写体種類71、被写体幅72、被写体高さ73、及び単位74が表示されている。設定確認ボタン75の押下により、基準画像登録部27が基準画像登録画面70に入力された被写体種類71、被写体幅72、被写体高さ73、及び単位74を入力し、基準画像DB11Aに保存するようになっている。設定キャンセルボタン76は、基準画像登録部27が基準画像登録画面70に入力された被写体種類71、被写体幅72、被写体高さ73、及び単位74を削除する機能を有している。
【0070】
図13は、図11中の基準画像DB11Aを示す構成図である。
本実施例2の基準画像DB11Aの構成は、実施例1の基準画像DB11とほぼ同様である。実施例1の基準画像DB11に対し、本実施例2の基準画像DB11Aにおいては、ユーザ定義1・・・のレコードが追加されている点が実施例1と異なっている。ユーザ定義1・・・のレコードは、図12で説明した通り、基準画像登録部27がユーザの入力に基づいて基準画像DB11Aに格納した被写体種類71、被写体幅72、被写体高さ73、及び単位74を項目とするレコードである。
【0071】
図14は、図11中のオペレーションパネル12の表示部12aに表示される出力画像設定画面60Aの例を示す図である。
【0072】
本実施例2における出力画像設定画面60Aの構成は、実施例1の出力画像設定画面60とほぼ同様である。本実施例2における出力画像設定画面60Aにおいては、プルダウンされる被写体種類62A中にユーザ定義1・・・が含まれている点が実施例1と異なっている。
【0073】
(実施例2の動作)
図15は、本発明の実施例2における図11中の画像処理装置10Aの動作を示すフローチャートであり、実施例1を示す図9中のステップと共通のステップには共通の符号が付されている。
【0074】
図15のフローチャートにおいて、ステップS1〜S9は、実施例1と同様である。本実施例2の画像処理装置10Aの動作として、ステップS21〜S23が新たに追加されている。
【0075】
本処理が開始されると、ステップS21において、基準画像登録部27は、オペレーションパネル12の表示部12aに、図12に示す基準画像登録画面70を表示する。ステップS22において、ユーザにより、基準画像登録画面70に、新たな被写体種類71と、被写体の実寸サイズである被写体幅72、被写体高さ73、及び単位74が入力され、設定確認ボタン75が押下される。
【0076】
ステップS23において、ユーザによって、設定確認ボタン75が押されると、基準画像登録部27は、ユーザが入力した被写体種類71、被写体幅72、被写体高さ73、及び単位74を入力し、基準画像DB11Aに登録する。
【0077】
その後、実施例1と同様のステップS1〜S9が実行され、縮小又は拡大された被写体領域が出力され、本処理を終了する。
【0078】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、実施例1の効果に加え、ユーザが任意の被写体種類71とその実寸サイズ72、73,74を入力して登録できるので、より利便性が高まるという効果がある。
【0079】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(1)〜(5)のようなものがある。
【0080】
(1) 実施例1、2では、画像処理装置10,10Aとしてデジタルカメラを例とし、画像形成装置50として電子写真方式のプリンタを例に説明したが、例えば、画像処理装置10,10AをPCとし、デジタルカメラで撮影した撮影画像をPCに取り込み、PCにおいて撮影画像を実寸大に変換して、画像形成装置50に出力してもよい。この場合、デジタルカメラからPCへ送信する撮影画像データは、例えば、JPEGの形式で圧縮されていてもよい。PCから画像形成装置50へ送信する実寸大の撮影画像データは、例えば、PCL等のページ記述言語で記載して送信してもよい。
【0081】
(2) 実施例1、2では、画像形成装置50として電子写真方式のプリンタを例に説明したが、例えば、画像形成装置50は、ファクシミリ装置や複合装置であってもよいし、ローエンドのインクジェットプリンタ等であってもよい。
【0082】
(3) 実施例1、2では、画像処理装置10,10Aとしてデジタルカメラを例とし、画像形成装置50として電子写真方式のプリンタを例に説明したが、画像処理装置10,10Aと画像形成装置50とを一体化し、実寸大画像の出力機能付きの画像形成装置50Bとして構成してもよい。実寸大画像の出力機能付きの画像形成装置は、図示しないが、例えば、図3の画像形成装置50の制御部52内に画像取得部を設け、この画像取得部は、外部のデジタルカメラで撮影した撮影画像を外部I/Fを介して入力し、記憶部内のバッファに格納するように構成することができる。
【0083】
(4) 実施例1、2では、ネットワーク80として、USBケーブルの例で説明したが、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)であってもよい。
【0084】
(5) 実施例1、2では、被写体として名刺等の矩形の形状物で説明したが、矩形に限定されない。不定形状物であっても、その特定部位の長さを定義できれば、適用可能である。例えば、人体であれば、個々人の身長又は頭部長等を基準画像登録DB11,11Aに登録しておくことで実寸大の人物像を印刷するこができる。この場合、撮影画像から人物像や不定形状物の像を抽出し、特定部位の長さを算出する技術は、公知のエッジ検出技術等の画像処理技術で可能である。
【符号の説明】
【0085】
10,10A 画像処理装置
11,11A 基準画像DB
12 オペレーションパネル
13 出力画像画素数算出部
14 画像取得部
15 一時データ保存部
16 被写体抽出部
17 画素数変更率算出部
18 被写体領域変更部
50 画像形成装置
80 ネットワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体の画像を実寸サイズで出力する画像処理装置及び画像処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、デジタルカメラで被写体を撮影するとき、被写体とデジタルカメラとの距離によって撮影画像中の被写体領域の大きさが異なる。撮影画像中の被写体領域を実寸サイズで印刷する場合、利用者(以下「ユーザ」という。)がパーソナルコンピュータ(以下「PC」という。)等で撮影画像のサイズを調整する必要があった。しかしながら、ユーザが手動で撮影画像中の被写体領域を正確に実寸サイズに合わせることは非常に時間が掛かっていた。
【0003】
この問題を解決するため、特許文献1に記載されているように、基準長を表す基準物と被写体とを一緒に撮影して撮影画像を作る。この撮影画像から基準物を抽出し、抽出した基準物が表す基準長が当該基準長と対応付けられた実寸長と一致するように撮影画像の拡大または縮小処理を行う技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−135578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の従来の技術では、基準長を表す基準物を準備し、被写体と共に同じ撮影画面に置いて撮影する必要があり、煩雑であるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像処理装置は、被写体の撮影画像を取得する画像取得部と、前記被写体の種類及び前記被写体の実寸サイズを対応付けて保存する記憶部と、前記記憶部に保存された前記被写体の種類と出力解像度とを表示し、ユーザに前記被写体の種類及び前記出力解像度の選択を促し、選択された前記被写体の種類及び前記出力解像度を入力する入力操作部と、前記入力操作部に入力された前記被写体の種類に基づき、前記記憶部から前記被写体の実寸サイズを取得し、前記被写体の実寸サイズと入力された前記出力解像度に基づき、前記被写体を前記被写体の実寸サイズで出力するための出力画像画素数を算出する出力画像画素数算出部とを備えている。
【0007】
更に、本発明の画像処理装置は、取得した前記撮影画像から被写体領域を抽出する被写体抽出部と、前記被写体抽出部で抽出された前記被写体領域の画素数と前記出力画像画素数とが一致するように、前記被写体領域の画素数変更率を算出する画素数変更率算出部と、前記画素数変更率算出部で算出された前記画素数変更率に基づき、前記被写体抽出部で抽出された前記被写体領域の画素数を変更して出力する被写体領域変更部とを備えている。
【0008】
本発明の画像処理システムは、前記画像処理装置と、前記画像処理装置から前記被写体領域の画像データを受信して画像を形成する画像形成装置とを備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の画像処理装置及び画像処理システムによれば、ユーザが被写体の種類及び出力解像度を選択することにより、撮影画像から被写体領域を抽出して実寸サイズの出力画像を作成するので、基準物を準備して被写体と同時に撮影する必要がなくなり、簡便に実物大画像を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は本発明の実施例1における画像処理システムを示す概略の機能ブロック図である。
【図2】図2は図1中の画像処理装置を示す概略の構成図である。
【図3】図3は図1中の画像形成装置を示す概略の構成図である。
【図4】図4は図1中の基準画像データベース(以下「DB」という。)を示す構成図である。
【図5】図5は図1中のオペレーションパネルの表示部に表示される出力画像設定画面の例を示す図である。
【図6】図6は図1中の画像取得部が取得した撮影画像の例を示す図である。
【図7】図7は図6中の横方向の垂直線L1の輝度分布を示すグラフである。
【図8】図8は図6中の縦方向の垂直線C1の輝度分布を示すグラフである。
【図9】図9は本発明の実施例1における図1中の画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】図10は図9中の被写体領域を抽出するステップの処理を示すフローチャートである。
【図11】図11は本発明の実施例2における画像処理システムを示す概略の機能ブロック図である。
【図12】図12は図11中のオペレーションパネルの表示部に表示される基準画像登録画面の例を示す図である。
【図13】図13は図11中の基準画像DBを示す構成図である。
【図14】図14は図11中のオペレーションパネルの表示部に表示される出力画像設定画面の例を示す図である。
【図15】図15は本発明の実施例2における図11中の画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0012】
(実施例1の構成)
図1は、本発明の実施例1における画像処理システムを示す概略の機能ブロック図である。
【0013】
本実施例1の画像処理システムは、実寸大の画像データを生成して出力する画像処理装置10と、前記画像データを入力して印刷媒体(例えば、用紙)Pに画像を形成する画像形成装置50とを有している。
【0014】
画像処理装置10は、例えば、静止画を生成するデジタルカメラであって、被写体の種類及び被写体の実寸サイズを対応付けて保存する記憶部(例えば、基準画像DB)11と、被写体の種類及び出力解像度を表示し、ユーザに被写体の種類及び出力解像度の選択を促し、選択された前記被写体の種類及び選択された出力解像度を入力する入力操作部(例えば、オペレーションパネル)12と、選択された被写体の種類に基づき、基準画像DB11から被写体の実寸サイズを取得し、被写体の実寸サイズと選択された出力解像度とに基づき、被写体を被写体の実寸サイズで出力するための出力画像画素数を算出する出力画像画素数算出部13とを有している。
【0015】
更に、画像処理装置10は、被写体を撮影して撮影画像を取得する画像取得部14と、画像取得部14で取得した被写体の撮影画像等を一時的に保存する一時データ保存部15と、取得した撮影画像から被写体領域を抽出する被写体抽出部16と、被写体抽出部16で抽出された被写体領域の画素数と出力画像画素数とが一致するように、被写体領域の画素数を変更するための画素数変更率を算出する画素数変更率算出部17と、画素数変更率算出部17で求めた画素数変更率に基づいて被写体抽出部16で抽出された被写体領域の画素数を変更して出力する被写体領域変更部18とを有している。
【0016】
オペレーションパネル12は、各種表示データを表示する表示部12aと、ユーザの操作を入力する操作部12bとを有している。表示部12aは、例えば、液晶ディスプレイにより構成され、操作部12bは、例えば、液晶ディスプレイ上に配置されたタッチパネルにより構成されている。
【0017】
出力画像画素数算出部13は、オペレーションパネル12からユーザが選択した被写体の種類と出力解像度とを入力し、被写体の種類に基づいて基準画像DB11から被写体の実寸サイズを取得し、更に、入力した出力解像度と取得した被写体の実寸サイズに基づいて被写体領域を実寸サイズに出力するための出力画像画素数を算出する機能を有している。
【0018】
一時データ保存部15は、画像取得部14で取得した被写体の撮影画像を一時的に保存する。被写体抽出部16は、一時データ保存部15に保存されている撮影画像から被写体領域を抽出し、更に、抽出した被写体領域を一時データ保存部15に保存する機能を有している。ここで被写体領域とは、撮影画像中の被写体の部分であり、背景を含まない。画素数変更率算出部17は、被写体抽出部16で抽出した被写体領域と、出力画像画素数算出部13で算出した出力画像画素数と、が一致するよう、被写体領域の画素数変更率を算出する機能を有している。
【0019】
被写体領域変更部18は、画素数変更率算出部17で求めた画素数変更率に基づき、一時データ保存部15に保存されている被写体領域の画素数を変更して出力する機能を有している。
【0020】
画像形成装置50は、例えば、電子写真方式のプリンタであって、ネットワーク80を介して画像処理装置10に接続されている。画像形成装置50は、画像処理装置10の被写体領域変更部18で実寸大に変更された被写体領域の画像データを受信して用紙Pに印刷する機能を有している。
【0021】
図2は、図1中の画像処理装置10を示す概略の構成図である。
画像処理装置10は、システムバス19を有している。システムバス19には、各種の画像を表示し、ユーザの操作を受け付けるオペレーションパネル12と、被写体の撮影画像を取得する画像取得部14と、揮発性メモリであるランダムアクセスメモリ(以下「RAM」という。)23と、不揮発性メモリであるリードオンリメモリ(以下「ROM」という。)24と、ネットワーク80に接続され、外部装置とのデータの送受信を行う外部インタフェース(以下「外部I/F」という。)25と、ROM24に格納されている図示しないプログラムをRAM23に読み出して実行することにより全体を制御する中央処理装置(以下「CPU」という。)26とが接続され、相互に通信可能になっている。
【0022】
オペレーションパネル12は、図1の説明で述べた通り、表示部12aと操作部12bとを有している。
【0023】
画像取得部14は、被写体を受光面に結像させる撮影レンズ14aと、光路を開閉するメカニカルシャッタ14bと、受光面に入射される光学像を電気信号に変換して出力する撮像素子14cと、撮像素子14cから入力した電気信号をデジタル画像データに変換して圧縮する信号処理部14dとを有している。
【0024】
信号処理部14dの出力側には、デジタル画像データを表示部12aに表示する表示回路20と、デジタル画像データをメモリカード等の記録媒体22に格納し、又は記録媒体22から読み出して表示回路20に出力する記録/再生回路21とが接続されている。
【0025】
図1において説明した一時データ保存部15は、RAM23内に設けられている。同様に、基準画像DB11は、ROM24内に設けられている。
【0026】
CPU26は、図1で説明した出力画像画素数算出部13と、被写体抽出部16と、画素数変更率算出部17と、被写体領域変更部18とを有している。これらの機能ブロック13,16,17,18は、CPU26がROM24に格納されている各プログラムをRAM23に読み出して実行することにより機能するように構成されている。
【0027】
ネットワーク80は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ケーブルであって、被写体領域変更部18は、被写体領域の画素数を変更して実寸サイズの被写体領域の画像データを生成し、外部I/F25を介してネットワーク80に出力するようになっている。通常、デジタルカメラで撮影された撮影画像は、PCを経由してプリンタに出力するか、或いは、メモリカードに格納され、このメモリカードの撮影画像をプリンタで読み込んで画像形成されるが、本実施例1では、USBケーブルであるネットワーク80を介して直接画像形成装置50に出力することで説明する。
【0028】
図3は、図1中の画像形成装置50を示す概略の構成図である。
画像形成装置50は、システムバス51を有している。このシステムバス51には、全体を制御する制御部52と、ネットワーク80を介して外部装置とデータの送受信を行う外部I/F53と、各種の画像を表示し、ユーザの操作を受け付ける操作パネル54と、画像データ等を記憶する記憶部55と、画像データに基づいて、例えば、用紙Pに画像を形成するプリンタエンジン56とが接続され、相互に通信可能に構成されている。
【0029】
制御部52は、画像データ生成部52aを有している。画像データ生成部52aは、図示しないPC等のクライアントコンピュータからPCL(登録商標)やポストスクリプト(登録商標)等のページ記述言語で記載された印刷ジョブデータを受信し、これをビットマップデータに変換する機能を有している。
【0030】
本実施例1では、実寸サイズの被写体領域の画像データが、例えば、JPEG(Joint Photographic Expert Group)の形式により圧縮されて、画像処理装置10から送信される。そのため、画像データ生成部52aは、受信した画像データをバッファ55aに格納し、印刷用のビットマップデータを生成して記憶部55内の画像データ格納エリア55bに格納するようになっている。プリンタエンジン56は、制御部52の制御により、ビットマップデータに基づいて被写体の実寸大の画像を用紙Pに形成するように構成されている。
【0031】
図4は、図1中の基準画像DB11を示す構成図である。
基準画像DB11の各レコードは、被写体種類、幅、高さ、及び単位の各項目を有している。被写体種類は一般的によく使われる物(例えば、名刺、免許証、はがき等)の被写体の種類を表している。幅は、被写体を正置したときの横方向の長さであり、高さは、被写体を正置したときの縦方向の長さである。単位は、長さの単位を表し、図4の例では、ミリメートルである。
【0032】
図5は、図1中のオペレーションパネル12の表示部12aに表示される出力画像設定画面60の例を示す図である。
【0033】
出力画像設定画面60は、ユーザが被写体を実寸サイズで出力したい場合に、ユーザの操作に基づき、オペレーションパネル12によって表示部12aに表示されるようになっている。
【0034】
出力解像度61は、実寸サイズの被写体領域を用紙Pに出力する際の解像度を表している。図5の例では、300dpi(ドット/インチ)と600dpiの解像度が選択可能に表示されている。被写体種類62は、出力する被写体の種類を表している。図5の例では、名刺、免許証、及びはがきがプルダウンメニューで表示されている。
【0035】
設定確認ボタン63は、出力画像設定画面60で選択された設定項目の情報を収集するボタンである。設定確認ボタン63を押下すると、出力画像画素数算出部13は、選択された被写体種類62と出力解像度61とを入力するようになっている。設定キャンセルボタン64は、出力画像設定画面60の設定項目で選択された設定項目の情報をクリアする機能を有している。
【0036】
図6は、図1中の画像取得部14が取得した撮影画像の例を示す図である。
図6には、一時データ保存部15に保存されている名刺の撮影画像Rの例が示されている。垂直線C1,C2,C3は、名刺の撮影画像Rの上辺h1及び下辺h2に対して垂直に、被写体抽出部16によって引かれた線である。同様に、垂直線L1,L2,L3は、名刺の撮影画像Rの左辺v1及び右辺v2に対して垂直に、被写体抽出部16によって引かれた線である。
【0037】
(xL,yU)は、一時データ保存部15の左下端を原点とし、この原点から横方向をx軸、縦方向をy軸とする座標系における名刺の撮影画像Rの左上頂点座標である。なお、この座標系におけるx軸及びy軸の単位は、ピクセルである。同様に、(XR,yU)は、名刺の撮影画像Rの右上頂点座標で、(xL,yL)は、名刺の撮影画像Rの左下頂点座標で、(xR,yL)は、名刺の撮影画像Rの右下頂点座標である。(x3,y2)は、名刺の撮影画像Rの上辺h1と垂直線C1との交点の座標であり、(x3,y4)は、名刺の撮影画像Rの下辺h2と垂直線C1との交点の座標である。(x1,y1)は、名刺の撮影画像Rの左辺v1と垂直線L1との交点の座標であり、(x2,y1)は、名刺の撮影画像Rの右辺v2と垂直線L1との交点の座標である。
【0038】
このように、図6では、縦方向に垂直線C1,C2,C3を引き、横方向に垂直線L1,L2,L3を引いているが、撮影画像のエッジを検出する精度を上げるには、垂直線の数を増やしたほうがよい。
【0039】
図7は、図6中の横方向の垂直線L1の輝度分布を示すグラフである。
図7において、横軸は名刺の撮影画像Rの横方向の位置を表し、名刺の撮影画像Rの左端が横軸の原点Oの位置である。縦軸は、輝度を表している。座標x1及び座標x2において、輝度が急激に低下している。これは、座標x1が垂直線L1と名刺の撮影画像Rの左辺v1との交点であることを示している。同様に、座標x2が垂直線L1と名刺の撮影画像Rの右辺v2との交点であることを示している。
【0040】
図8は、図6中の縦方向の垂直線C1の輝度分布を示すグラフである。
図8において、横軸は名刺の撮影画像Rの縦方向の位置を表し、名刺の撮影画像Rの上端が横軸の原点Oの位置である。縦軸は、輝度を表している。座標y2及び座標y4において、輝度が急激に低下している。これは、座標y2が垂直線C1と名刺の撮影画像Rの上辺h1との交点であることを示している。同様に、座標y4が垂直線C1と名刺の撮影画像Rの下辺h2との交点であることを示している。
【0041】
(実施例1の動作)
図9は、本発明の実施例1における図1中の画像処理装置10の動作を示すフローチャートである。
【0042】
ユーザがオペレーションパネル12の操作部12bを用いて、撮影画像の実寸サイズ出力の指示を行うことで本処理が開始される。
【0043】
ステップS1において、オペレーションパネル12は、基準画像DB11に保存されている図4の被写体の種類を読み取り、画像処理装置10の表示部12aに、図5に示す出力画像設定画面60を表示する。ステップS2において、ユーザにより、出力画像設定画面60の出力解像度61と被写体種類62とが選択され、設定確認ボタン63が押下される。例えば、ユーザは、図5の出力画像設定画面60の解像度61として、300dpiを選択し、被写体種類62として、名刺を選択し、設定確認ボタン63を押下する。
【0044】
ステップS3において、オペレーションパネル12は、ユーザが選択した出力解像度61と被写体種類62とを設定し、出力画像画素数算出部13へ出力する。ステップS4において、出力画像画素数算出部13は、オペレーションパネル12から出力された被写体種類62に基づき、基準画像DB11から被写体の実寸サイズを取得し、更に、入力した出力解像度61と取得した実寸サイズに基づき、被写体領域を実寸サイズに出力するための出力画像画素数を算出する。
【0045】
出力画像画素数算出部13は、例えば、出力画像画素数算出部13に入力された被写体種類62である名刺に基づき、基準画像DB11から名刺のサイズ9lmm×55mmを取得する。入力された出力解像度61である300dpiと取得した名刺の実寸サイズ91mm×55mmに基づき、被写体の出力画像画素数1075×650ピクセルを算出する。
【0046】
ステップS5において、ユーザが画像処理装置10のメカニカルシャッタ14bの撮影ボタンを押下すると、画像取得部14は、被写体の撮影画像を作成して一時データ保存部15に保存する。ステップS6において、被写体抽出部16は、前記ステップS5において、一時データ保存部15に保存された名刺の撮影画像Rを読み出し、読み出した名刺の撮影画像Rから被写体領域を抽出する。
【0047】
ステップS7において、画素数変更率算出部17は、前記ステップS6で抽出した被写体領域の画素数を、前記ステップS4で算出した被写体の出力画像画素数と一致させるよう、被写体領域の画素数変更率を算出する。例えば、前記ステップS4で求めた被写体の出力画像画素数が1075×650ピクセルであり、前記ステップS6において抽出した被写体領域の幅が2150ピクセル、高さが1300ピクセルとすると、被写体領域の縮小率は横方向に1/2、縦方向に1/2と算出する。
【0048】
ステップS8において、被写体領域変更部18は、前記ステップS7において、算出した画素数変更率に基づいて、前記ステップS6において、抽出した被写体領域に対して画素数の変更処理を行う。ここでの画素数の変更処理は、一般的な手法を使う。例えば、ダウン・サンプリング法は、画像縮小法として単純な方法であり、原画像に対して縦に1/L、横に1/Mにするように縮小する場合、原画像をL×Mの各領域に分割し、このL×Mの各領域から1画素を単純に選び出し、画像を再構成する方法である。直線補間法は、画像拡大法の代表的な方法であり、原画像に対して縦にL倍、横にM倍に拡大する場合、原画像中の各画素をL×Mの領域に配置し、拡大にともなう新たな画素を、原画素の隣接する画素間の直線近似により生成する方法である。
【0049】
画素数を変更することにより、縮小又は拡大された被写体領域は、例えば、JPEGの形式で圧縮され、ステップS9において、ネットワーク80を介して画像形成装置50に送信され、本処理が終了する。
【0050】
なお、画像形成装置50は、縮小又は拡大された被写体領域の画像データを受信する。制御部52内の画像データ生成部52aは、JPEG等で圧縮された画像データを解読してビットマップデータを生成する。プリンタエンジン56は、そのビットマップデータに基づいて用紙Pに画像を形成して本処理を終了する。
【0051】
図10は、図9中の被写体領域を抽出するステップS6の処理を示すフローチャートである。
【0052】
本処理は、図9に示す画像処理装置10の動作のステップS6のサブルーチンであり、ステップS6において呼び出されることにより実行される。
【0053】
ステップS11において、被写体抽出部16は、図6に示すように、一時データ保存部15に保存されている撮影画像に対し、横方向の垂直線L1,L2,L3及び縦方向の垂直線C1,C2,C3を引き、図7及び図8に示すようにその垂直線上の画素の輝度分布図を作成する。
【0054】
ステップS12において、被写体抽出部16は、前記ステップS11で作成した垂直線の輝度分布図を分析し、垂直線上の境界点を判別する。この境界点は、垂直線と被写体領域の境界線、即ち、図6の垂直線C1と上辺h1及び下辺h2の交点と、垂直線C2と上辺h1及び下辺h2の交点と、垂直線C3と上辺h1及び下辺h2の交点とをいう。更に、境界点は、垂直線L1と左辺v1及び右辺v2との交点と、垂直線L2と左辺v1及び右辺v2との交点と、垂直線L3と左辺v1及び右辺v2との交点とをいう。
【0055】
垂直線上の境界点の判別は、横方向の垂直線L1,L2,L3の順に、縦方向の垂直線C1,C2,C3の順に行う。ある垂直線の輝度分布において、横軸の画素の位置に従ってそれと対応する輝度値の変化に注目し、その輝度値が前後の画素の輝度値より小さい画素を境界点と判別し、その位置を記録する。例えば、図7に示す垂直線L1の輝度分布は、名刺の撮影画像Rの横方向の垂直線L1上の画素の輝度変化を表し、横方向の座標x1と座標x2の位置にある画素の輝度値がその前後画素の輝度値より小さいため、座標x1及びx2を境界点と判別する。
【0056】
図8に示すように、名刺の撮影画像Rの縦方向の垂直線Cl上の画素の輝度変化において、縦方向の座標y2と座標y4の位置の画素の輝度値がその前後画素の輝度値より小さいため、座標y2と座標y4を境界点と判別する。
【0057】
ステップS13において、被写体抽出部16は、前記ステップS12で求めた境界点に基づき、被写体領域の境界間距離を算出する。被写体抽出部16は、同一の垂直線C1,C2,C3,L1,L2,L3にある境界点を判別し、同じ垂直線上の境界点の間の距離を算出する。横方向のすべての垂直線L1,L2,L3上の境界点の間の距離を求め、その平均値を横方向の境界間距離とする。同様に、縦方向のすべての垂直線C1,C2,C3上の境界点の間の距離を求め、その平均値を縦方向の境界間距離とする。
【0058】
例えば、図6の名刺の撮影画像Rの横方向の垂直線L1上の境界点の間の距離は、座標(x2,y1)と座標(x1,y1)間の距離なので、x2−xlとなる。同様に垂直線L2,L3上の境界点の間の距離を算出し、3つの垂直線L1,L2,L3上の境界点の間の距離の平均値を求めて被写体領域の横方向の境界間距離とする。
【0059】
ステップS14において、前記被写体抽出部16は、前記ステップS13において、算出した被写体領域の横方向と縦方向の境界間距離に基づき、被写体領域の幅と高さの方向と大きさを算出する。被写体抽出部16は、図7のステップS4において取得した被写体の実寸サイズから、被写体の幅と高さの大小関係を求め、更に、前記ステップS13において算出した被写体領域の横方向の境界距離と縦方向の境界間距離とを比較し、被写体の幅と高さの大小関係と一致するよう被写体領域の幅と高さの方向と大きさを決める。
【0060】
例えば、図6の名刺の撮影画像Rの横方向の境界間距離を2150ピクセルとし、縦方向の境界間距離を1300ピクセルとすると、横方向の境界間距離が縦方向の境界間距離より大きい。図9のステップS4において求めた被写体のサイズが91mm×55mmとなり、被写体の幅が高さより大きい。従って被写体領域の幅が撮影画像の横方向に沿い、大きさが2150ピクセルとなり、被写体領域の高さが撮影画像の縦方向に沿い、大きさが1300ピクセルとなる。
【0061】
ステップS15において、被写体抽出部16は、前記ステップS12で求めた境界点に基づき、被写体領域の境界線を求める。前記ステップS12で求めた境界点において、例えば、横方向の垂直線L1上の2つの境界点のうち、位置が左側にある境界点を左境界点(x1,y1)とし、右側にある境界点を右境界点(x2,y1)とする。被写体抽出部16は、横方向の垂直線L1,L2,L3上の境界点を左境界点と右境界点に分け、左境界点から任意的に2つの境界点を選択し、選択した2つの境界点を通る線を左側の境界線とする。同様に、横方向の右側の境界線、縦方向の上側と下側の境界線を検出する。
【0062】
ステップS16において、被写体抽出部16は、前記ステップ15で検出した被写体領域の境界線の中に含まれる領域を被写体領域として抽出する。このような動作によって名刺の撮影画像Rから被写体領域を抽出して本処理を終了し、図9に示すステップS6に戻る。
【0063】
(実施例1の効果)
本実施例1の画像処理装置10及び画像処理システムによれば、ユーザが被写体種類62及び出力解像度61を選択することにより、撮影画像から被写体領域を抽出して実寸大サイズの出力画像を作成するので、基準物を準備して被写体と同時に撮影する必要がなくなる。このため、簡便に実物大画像を作成することができる。
【実施例2】
【0064】
(実施例2の構成)
図11は、本発明の実施例2における画像処理システムを示す概略の機能ブロック図であり、実施例1を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0065】
本実施例2の画像処理システムの構成は、実施例1の画像処理システムとほぼ同様である。本実施例2の画像処理システムでは、画像処理装置10Aの構成が実施例1の画像処理装置10の構成と異なっている。
【0066】
本実施例2の画像処理装置10Aの構成は、実施例1の画像処理装置10とほぼ同様である。本実施例2の画像処理装置10Aでは、実施例1に対し、新たに基準画像登録部27が追加され、更に、基準画像DB11Aの構成が実施例1と異なっている。
【0067】
基準画像登録部27は、画像処理装置10Aの表示部12aに基準画像登録画面を表示し、ユーザに対し、基準画像DB11Aに登録する被写体種類及び被写体種類の属性の入力を促し、入力された被写体種類及び被写体種類の属性を基準画像DB11Aに登録する機能を有している。
【0068】
図12は、図11中のオペレーションパネル12の表示部12aに表示される基準画像登録画面70の例を示す図である。
【0069】
表示部12aには、図12に示す基準画像登録画面70が表示される。基準画像登録画面70には、基準画像DB11Aに登録する被写体種類71、被写体幅72、被写体高さ73、及び単位74が表示されている。設定確認ボタン75の押下により、基準画像登録部27が基準画像登録画面70に入力された被写体種類71、被写体幅72、被写体高さ73、及び単位74を入力し、基準画像DB11Aに保存するようになっている。設定キャンセルボタン76は、基準画像登録部27が基準画像登録画面70に入力された被写体種類71、被写体幅72、被写体高さ73、及び単位74を削除する機能を有している。
【0070】
図13は、図11中の基準画像DB11Aを示す構成図である。
本実施例2の基準画像DB11Aの構成は、実施例1の基準画像DB11とほぼ同様である。実施例1の基準画像DB11に対し、本実施例2の基準画像DB11Aにおいては、ユーザ定義1・・・のレコードが追加されている点が実施例1と異なっている。ユーザ定義1・・・のレコードは、図12で説明した通り、基準画像登録部27がユーザの入力に基づいて基準画像DB11Aに格納した被写体種類71、被写体幅72、被写体高さ73、及び単位74を項目とするレコードである。
【0071】
図14は、図11中のオペレーションパネル12の表示部12aに表示される出力画像設定画面60Aの例を示す図である。
【0072】
本実施例2における出力画像設定画面60Aの構成は、実施例1の出力画像設定画面60とほぼ同様である。本実施例2における出力画像設定画面60Aにおいては、プルダウンされる被写体種類62A中にユーザ定義1・・・が含まれている点が実施例1と異なっている。
【0073】
(実施例2の動作)
図15は、本発明の実施例2における図11中の画像処理装置10Aの動作を示すフローチャートであり、実施例1を示す図9中のステップと共通のステップには共通の符号が付されている。
【0074】
図15のフローチャートにおいて、ステップS1〜S9は、実施例1と同様である。本実施例2の画像処理装置10Aの動作として、ステップS21〜S23が新たに追加されている。
【0075】
本処理が開始されると、ステップS21において、基準画像登録部27は、オペレーションパネル12の表示部12aに、図12に示す基準画像登録画面70を表示する。ステップS22において、ユーザにより、基準画像登録画面70に、新たな被写体種類71と、被写体の実寸サイズである被写体幅72、被写体高さ73、及び単位74が入力され、設定確認ボタン75が押下される。
【0076】
ステップS23において、ユーザによって、設定確認ボタン75が押されると、基準画像登録部27は、ユーザが入力した被写体種類71、被写体幅72、被写体高さ73、及び単位74を入力し、基準画像DB11Aに登録する。
【0077】
その後、実施例1と同様のステップS1〜S9が実行され、縮小又は拡大された被写体領域が出力され、本処理を終了する。
【0078】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、実施例1の効果に加え、ユーザが任意の被写体種類71とその実寸サイズ72、73,74を入力して登録できるので、より利便性が高まるという効果がある。
【0079】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(1)〜(5)のようなものがある。
【0080】
(1) 実施例1、2では、画像処理装置10,10Aとしてデジタルカメラを例とし、画像形成装置50として電子写真方式のプリンタを例に説明したが、例えば、画像処理装置10,10AをPCとし、デジタルカメラで撮影した撮影画像をPCに取り込み、PCにおいて撮影画像を実寸大に変換して、画像形成装置50に出力してもよい。この場合、デジタルカメラからPCへ送信する撮影画像データは、例えば、JPEGの形式で圧縮されていてもよい。PCから画像形成装置50へ送信する実寸大の撮影画像データは、例えば、PCL等のページ記述言語で記載して送信してもよい。
【0081】
(2) 実施例1、2では、画像形成装置50として電子写真方式のプリンタを例に説明したが、例えば、画像形成装置50は、ファクシミリ装置や複合装置であってもよいし、ローエンドのインクジェットプリンタ等であってもよい。
【0082】
(3) 実施例1、2では、画像処理装置10,10Aとしてデジタルカメラを例とし、画像形成装置50として電子写真方式のプリンタを例に説明したが、画像処理装置10,10Aと画像形成装置50とを一体化し、実寸大画像の出力機能付きの画像形成装置50Bとして構成してもよい。実寸大画像の出力機能付きの画像形成装置は、図示しないが、例えば、図3の画像形成装置50の制御部52内に画像取得部を設け、この画像取得部は、外部のデジタルカメラで撮影した撮影画像を外部I/Fを介して入力し、記憶部内のバッファに格納するように構成することができる。
【0083】
(4) 実施例1、2では、ネットワーク80として、USBケーブルの例で説明したが、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)であってもよい。
【0084】
(5) 実施例1、2では、被写体として名刺等の矩形の形状物で説明したが、矩形に限定されない。不定形状物であっても、その特定部位の長さを定義できれば、適用可能である。例えば、人体であれば、個々人の身長又は頭部長等を基準画像登録DB11,11Aに登録しておくことで実寸大の人物像を印刷するこができる。この場合、撮影画像から人物像や不定形状物の像を抽出し、特定部位の長さを算出する技術は、公知のエッジ検出技術等の画像処理技術で可能である。
【符号の説明】
【0085】
10,10A 画像処理装置
11,11A 基準画像DB
12 オペレーションパネル
13 出力画像画素数算出部
14 画像取得部
15 一時データ保存部
16 被写体抽出部
17 画素数変更率算出部
18 被写体領域変更部
50 画像形成装置
80 ネットワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の撮影画像を取得する画像取得部と、
前記被写体の種類及び前記被写体の実寸サイズを対応付けて保存する記憶部と、
前記記憶部に保存された前記被写体の種類と出力解像度とを表示し、利用者に前記被写体の種類及び前記出力解像度の選択を促し、選択された前記被写体の種類及び前記出力解像度を入力する入力操作部と、
前記入力操作部に入力された前記被写体の種類に基づき、前記記憶部から前記被写体の実寸サイズを取得し、前記被写体の実寸サイズと入力された前記出力解像度とに基づき、前記被写体を前記被写体の実寸サイズで出力するための出力画像画素数を算出する出力画像画素数算出部と、
取得した前記撮影画像から被写体領域を抽出する被写体抽出部と、
前記被写体抽出部で抽出された前記被写体領域の画素数と前記出力画像画素数とが一致するように、前記被写体領域の画素数変更率を算出する画素数変更率算出部と、
前記画素数変更率算出部で算出された前記画素数変更率に基づき、前記被写体抽出部で抽出された前記被写体領域の画素数を変更して出力する被写体領域変更部と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像処理装置は、更に、
前記被写体の種類及び前記被写体の実寸サイズの入力を利用者に促す画面を作成して前記入力操作部に表示し、前記被写体の種類及び前記被写体の実寸サイズを入力して前記記憶部に保存する基準画像登録部を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記被写体の実寸サイズは、
前記被写体の特定部位の長さであることを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記出力画像画素数算出部は、
前記被写体の実寸サイズに前記出力解像度を乗じて前記出力画像画素数を算出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記被写体領域変更部は、
ダウン・サンプリング法により前記被写体の画素数を減少させ、又は、直線補間法により前記被写体の画素数を増加させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
画像処理装置10と画像形成装置とを備えた画像処理システムであって、
前記画像処理装置は、
被写体の撮影画像を取得する画像取得部と、
前記被写体の種類及び前記被写体の実寸サイズを対応付けて保存する記憶部と、
前記記憶部に保存された前記被写体の種類と出力解像度とを表示し、利用者に前記被写体の種類及び前記出力解像度の選択を促し、選択された前記被写体の種類及び前記出力解像度を入力する入力操作部と、
前記入力操作部に入力された前記被写体の種類に基づき、前記記憶部から前記被写体の実寸サイズを取得し、前記被写体の実寸サイズと入力された前記出力解像度に基づき、前記被写体を前記被写体の実寸サイズで出力するための出力画像画素数を算出する出力画像画素数算出部と、
取得した前記撮影画像から被写体領域を抽出する被写体抽出部と、
前記被写体抽出部で抽出された前記被写体領域の画素数と前記出力画像画素数とが一致するように、前記被写体領域の画素数変更率を算出する画素数変更率算出部と、
前記画素数変更率算出部で算出された前記画素数変更率に基づき、前記被写体抽出部で抽出された前記被写体領域の画素数を変更して出力する被写体領域変更部とを備え、
前記画像形成装置は、
前記画像処理装置から前記被写体領域の画像データを受信して画像を形成することを特徴とする画像処理システム。
【請求項1】
被写体の撮影画像を取得する画像取得部と、
前記被写体の種類及び前記被写体の実寸サイズを対応付けて保存する記憶部と、
前記記憶部に保存された前記被写体の種類と出力解像度とを表示し、利用者に前記被写体の種類及び前記出力解像度の選択を促し、選択された前記被写体の種類及び前記出力解像度を入力する入力操作部と、
前記入力操作部に入力された前記被写体の種類に基づき、前記記憶部から前記被写体の実寸サイズを取得し、前記被写体の実寸サイズと入力された前記出力解像度とに基づき、前記被写体を前記被写体の実寸サイズで出力するための出力画像画素数を算出する出力画像画素数算出部と、
取得した前記撮影画像から被写体領域を抽出する被写体抽出部と、
前記被写体抽出部で抽出された前記被写体領域の画素数と前記出力画像画素数とが一致するように、前記被写体領域の画素数変更率を算出する画素数変更率算出部と、
前記画素数変更率算出部で算出された前記画素数変更率に基づき、前記被写体抽出部で抽出された前記被写体領域の画素数を変更して出力する被写体領域変更部と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像処理装置は、更に、
前記被写体の種類及び前記被写体の実寸サイズの入力を利用者に促す画面を作成して前記入力操作部に表示し、前記被写体の種類及び前記被写体の実寸サイズを入力して前記記憶部に保存する基準画像登録部を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記被写体の実寸サイズは、
前記被写体の特定部位の長さであることを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記出力画像画素数算出部は、
前記被写体の実寸サイズに前記出力解像度を乗じて前記出力画像画素数を算出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記被写体領域変更部は、
ダウン・サンプリング法により前記被写体の画素数を減少させ、又は、直線補間法により前記被写体の画素数を増加させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
画像処理装置10と画像形成装置とを備えた画像処理システムであって、
前記画像処理装置は、
被写体の撮影画像を取得する画像取得部と、
前記被写体の種類及び前記被写体の実寸サイズを対応付けて保存する記憶部と、
前記記憶部に保存された前記被写体の種類と出力解像度とを表示し、利用者に前記被写体の種類及び前記出力解像度の選択を促し、選択された前記被写体の種類及び前記出力解像度を入力する入力操作部と、
前記入力操作部に入力された前記被写体の種類に基づき、前記記憶部から前記被写体の実寸サイズを取得し、前記被写体の実寸サイズと入力された前記出力解像度に基づき、前記被写体を前記被写体の実寸サイズで出力するための出力画像画素数を算出する出力画像画素数算出部と、
取得した前記撮影画像から被写体領域を抽出する被写体抽出部と、
前記被写体抽出部で抽出された前記被写体領域の画素数と前記出力画像画素数とが一致するように、前記被写体領域の画素数変更率を算出する画素数変更率算出部と、
前記画素数変更率算出部で算出された前記画素数変更率に基づき、前記被写体抽出部で抽出された前記被写体領域の画素数を変更して出力する被写体領域変更部とを備え、
前記画像形成装置は、
前記画像処理装置から前記被写体領域の画像データを受信して画像を形成することを特徴とする画像処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−46280(P2013−46280A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183543(P2011−183543)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
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