説明

画像処理装置及び画像処理プログラム

【課題】 身体情報読取動作と原稿画像読取動作とが連携して円滑に行われ、操作者に対する操作性に優れた画像処理装置及び画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】 操作者にコピー動作等を許可するか否かを判断するために操作者の掌紋を照合する複合機1において、原稿台13における原稿読取部及び掌紋読取部131における両方の読取をスキャナ装置による1回の読取動作で行うようにする。これにより、スキャナ装置による掌紋読取動作と原稿画像読取動作とを別個独立とせずに円滑に行わせ、原稿画像の取得と、掌紋照合のために必要な掌紋データの取得とを一括して行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人認証機能を有する画像処理装置及び画像処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、個人認証機能を有する画像処理装置としては、フラットベッドスキャナ装置を備えた読取部にてユーザの掌紋を読み取り、予め登録しておいた特定のユーザの掌紋の画データと、実際に読み取ったユーザの掌紋の画データとが一致するか否かを判定し、一致する場合には、そのユーザに対して、当該画像処理装置で所定の処理を行うことを許可するものがある(特許文献1)。この画像処理装置では、元々備えられているフラットベッドスキャナ装置を利用してユーザの掌紋を読み取ることによって、掌紋読み取りのための別個の機器を不要として、装置のコストを低減している。
【特許文献1】特開2002−237914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の画像処理装置は、フラットベッドスキャナ装置による原稿画像読取動作と掌紋読取動作とが別個独立して行われるため、フラットベッドスキャナ装置による原稿画像読込時には、掌紋読取動作と原稿画像読取動作とが連携した円滑な動作を行わないという問題があり、また、操作者にとっては操作性の面でも更なる改善が望まれる。
【0004】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、身体情報読取動作と原稿画像読取動作とが連携して円滑に行われ、操作者にとっての操作性に優れた画像処理装置及び画像処理プログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載の発明は、スキャナ装置によって原稿画像が読み取られる原稿読取部と、当該原稿読取部のスキャナ装置によって操作者の身体情報が読み取られる身体情報読取部とを有する画像読取手段と、
当該画像処理装置の操作が許可される各操作者の身体情報が記憶される身体情報記憶手段と、
前記身体情報読取部で読み取られた身体情報と、前記身体情報記憶手段に記憶されている身体情報とが適合するか否かを照合する照合手段と、
前記照合手段の照合によって前記両身体情報が適合するとされた場合に、前記操作者の操作に基づいた動作を当該画像処理装置に行わせる制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記画像読取手段に、前記原稿読取部及び身体情報読取部における両方の読取を、前記スキャナ装置による1回の読取動作で行わせる画像処理装置である。
【0006】
請求項6に記載の発明は、スキャナ装置によって原稿画像が読み取られる原稿読取部と、当該原稿読取部のスキャナ装置によって操作者の身体情報が読み取られる身体情報読取部とを有する画像読取手段と、当該情報処理装置の操作が許可される各操作者の身体情報が記憶される身体情報記憶手段とを備えた情報処理装置を、
前記身体情報読取部で読み取られた身体情報と、前記身体情報記憶手段に記憶されている身体情報とが適合するか否かを照合する照合手段と、
前記照合手段の照合によって前記両身体情報が適合するとされた場合に、前記操作者の操作に基づいた動作を当該情報処理装置に行わせる制御手段とを備え、
前記制御手段が、前記画像読取手段に、前記原稿読取部及び身体情報読取部における両方の読取を前記スキャナ装置による1回の読取動作で行わせる画像処理装置として、機能させる画像処理プログラムである。
【0007】
これらの発明によれば、画像読取手段の原稿読取部及び身体情報読取部における両方の読取をスキャナ装置による1回の読取動作で行うので、身体情報読取動作と原稿画像読取動作とが別個独立とならず円滑に行われる。これにより、原稿画像の取得と、照合手段による照合のために必要な上記身体情報の取得とが一括して行われ、操作者に対する操作性を向上させることができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置であって、前記画像読取手段において、前記身体情報読取部の身体情報読取位置と、前記原稿読取部の原稿読取位置とは、前記スキャナ装置の読取動作ライン上の異なる位置に設定されているものである。
【0009】
この構成によれば、身体情報読取部の身体情報読取位置と、原稿読取部の原稿読取位置とが、スキャナ装置の読取動作ライン上の異なる位置に設定されているので、スキャナ装置が一度読み取り動作ラインを移動すれば、身体情報読取と原稿読取とをまとめて行うことができる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像処理装置であって、前記スキャナ装置のホームポジションに隣接して前記原稿読取部の原稿読取位置が配置され、前記身体情報読取部の身体情報読取位置は、前記スキャナ装置の読取動作ラインにおける前記原稿読取部の原稿読取位置の延長に配置されているものである。
【0011】
この構成では、身体情報読取部の身体情報読取位置を、スキャナ装置の読取動作ラインにおける原稿読取部の原稿読取位置の延長に配置したので、原稿読取動作を複数回連続して行う場合には、スキャナ装置がホームポジションから身体情報読取位置までの間を移動することなく、原稿読取位置の範囲内だけを繰り返し走行して原稿読取動作を行うことができる。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の画像処理装置であって、前記スキャナ装置のホームポジションに隣接して前記身体情報読取部の身体情報読取位置が配置され、前記原稿読取部の原稿読取位置は、前記スキャナ装置の読取動作ラインにおける前記身体情報読取部の身体情報読取位置の延長に配置されているものである。
【0013】
この構成によれば、原稿読取部の原稿読取位置が、スキャナ装置の読取動作ラインにおける身体情報読取部の身体情報読取位置の延長に配置されており、スキャナ装置のホームポジションからみて身体情報読取位置が手前側にあるので、照合手段による照合で、身体情報が不適合とされた場合に、スキャナ装置が原稿読取動作を中断してホームポジションに戻るときの移動距離を短くでき、原稿読み取りを行わない場合におけるスキャナ装置のホームポジションへの復帰動作を迅速に行わせることができる。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像処理装置であって、前記身体情報読取部は、読取対象となる操作者の身体の一部が身体情報読取位置に置かれたことを検知する検知部を更に備え、
前記操作者の身体の一部が前記読取位置に載置されたと前記検知部によって検知された場合に、前記制御手段が、当該載置された身体情報の前記身体情報読取部による読取と、前記原稿読取部による原稿読取とを前記スキャナ装置に行わせるものである。
【0015】
この構成によれば、検知部によって、操作者の身体の一部が身体情報読み取り位置におかれたことが検知されると、制御手段による制御で、身体情報読取部による当該載置された身体情報の読取と、原稿読取部による原稿読取とがスキャナ装置によって行われるので、操作者は身体情報読取及び原稿読取の開始の指示を入力しなくても、これらの動作を開始させることができる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1及び請求項6に記載の発明によれば、身体情報読取動作と原稿画像読取動作とが別個独立とならず円滑に行われる。これにより、原稿画像の取得と、照合手段による照合のために必要な上記身体情報の取得とが一括して行われ、操作者にとっての操作性を向上させることができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、スキャナ装置が一度読み取り動作ラインを移動すれば、身体情報読取動作と原稿読取動作とがまとめて読み取られるので、身体情報読取動作及び原稿読取動作相互間の動作の連携を円滑に行うことができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、原稿読取動作を複数回連続して行う場合に、スキャナ装置がホームポジションから身体情報読取位置までの間を移動しなくても、原稿読取位置の範囲内だけを繰り返し走行して原稿読取動作を行うことができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、照合手段による照合で、身体情報が不適合とされた場合には、スキャナ装置が原稿読取動作を中断してホームポジションに戻る際の移動距離を短くすることができ、原稿読み取りを行わない場合におけるスキャナ装置のホームポジションへの復帰動作を迅速に行わせることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、操作者は身体情報読取及び原稿読取の開始の指示を入力しなくても、これらの動作を開始させることができるので、操作者にとって操作性が更に向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る画像処理装置の一実施形態である複合機について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る複合機の外観構成を示す図、図2は原稿台の原稿読取部及び掌紋読取部を示す図である。複合機1の上部には、本機をスキャナ装置、ファクシミリ又は複写機として使用する場合に原稿を連続して読み取るための自動原稿送り装置10が、画像読取部(後述)の一部であるガラス製の原稿台13に対して開閉可能に設けられている。原稿台13は、図1に示すように、水平横方向に自動原稿送り装置10よりも大きく形成され、また、図2に示すように、自動原稿送り装置10の左端部の下側であって、原稿台13の下方に配置されるホームポジションから自動原稿送り装置10の右端部近傍までが原稿読取部132とされ、自動原稿送り装置10から水平横方向に右側にはみ出した部分が、操作者の掌紋を読み取る掌紋読取部(身体情報読取部の一例)131とされている。この掌紋読取部131には、図1及び図2に2点鎖線で示すように、操作者が掌を載置する場所を示すガイド線135が付されている。なお、この掌紋読取部131において、操作者の掌紋の読取に必要でない原稿台13部分(例えば、ガイド線135の外側部分など)は、スキャナ装置からの光が漏れないように覆うようにしてもよい。また、複合機1の上部前方には、この複合機1を操作するための各種スイッチ、キーが配列された操作部20が設けられている。
【0022】
原稿読取時には、自動原稿送り装置10の原稿装填部11に原稿を載置し、操作部20のスタートキー21をオンする等により、操作者からの指示があると、自動原稿送り装置10の駆動部12に設けられたローラなどにより、原稿装填部11から原稿が順次自動原稿送り装置10の内部に取り込まれ、画像読取部の原稿台13まで搬送され、CCDなどの撮像素子(ラインセンサ)等からなるスキャナ装置により、原稿の搬送方向に直交する方向(主走査方向)の1ラインごとに画像データとして読み込まれ、メモリに記憶される。
【0023】
スキャナ装置は、自動原稿送り装置10を使用して原稿を読みとる場合は、例えば、図1において自動原稿送り装置10の左端部の下側であって、原稿台13の下方に配置されるホームポジションで固定され、原稿台13上の所定の位置を通過する原稿を読みとる。一方、自動原稿送り装置10を使用せずに、原稿台13に直接原稿を載置する場合、スキャナ装置は、原稿台13の下側から主走査方向に直交する副走査方向に走行しながら、原稿台13上に載置された原稿を読みとる。また、上記の掌紋読取部131に置かれた操作者の掌の掌紋を読み取る場合も、スキャナ装置は、原稿台13の下側から上記副走査方向に走行して掌紋を読み取る。なお、スキャナ装置は、読みとった画像データを、LANなどを介して接続されているパーソナルコンピュータに送信できる。複合機1の本体内部には、例えばレーザビームプリンタ等と同様の構成を有する画像記録部(後述)が設けられている。
【0024】
また、この複合機1を複写機として使用する場合、画像記録部は、スキャナ装置により読みとった画像データを、上記画像記録部によって記録紙上に画像形成することでコピー出力を実現する。さらに、この複合機1をネットワークプリンタとして使用する場合、ネットワーク接続されたパーソナルコンピュータから送信されてくる文書や画像などのプリントデータに基づいて、画像記録部が記録紙上に画像を形成する。
【0025】
複合機1は、上記のように複数の機能を有するため、操作部20は、上記スタートキー21の他に、ファクシミリ、複写機、プリンタ及びスキャナ装置としての機能のいずれかを選択するための機能選択キー22を有し、さらに、コピー枚数やFAX番号などを入力するためのテンキー23、誤入力を取り消すためのリセットキー24、ファクシミリの送信やプリント動作を中止するためのストップキー25、受信したファクスデータや、各種選択可能な機能を表示するための表示装置と機能選択用の入力装置(タッチパネル)を兼ねた液晶ディスプレイ等からなる表示部26、受信したファクシミリに関する情報などを表示部26に一覧表示させるためのJOBリスト表示キー27などを備えている。
【0026】
次に、複合機1の概略構成を説明する。図3は複合機1の構成概略を示すブロック図である。複合機1は、装置の各部の動作を制御する制御ユニット100と、原稿画像を読み取るスキャナ装置133等を有する画像読取部110と、画像読取部110によって読み取られた原稿画像のデータや、画像読取部110によって読み取られた画像データ等を一時的に記憶する画像メモリ120と、画像読取部110によって読み取られた原稿画像のデータ等に基づいて電子写真方式等により記録紙上に画像形成を行う画像記録部130とを有する。
【0027】
上記画像読取部110は、上記スキャナ装置133の他、原稿台13(図1、図2)を備えている。この原稿台13は、フラットベッド状のガラス台からなり、上述したように、原稿読取部132及び掌紋読取部131からなる。画像読取部110のスキャナ装置133は、原稿読取部132の領域、及び掌紋読取部131の領域のいずれの領域にも移動して原稿台13上に載置された原稿又は操作者の掌の掌紋を読み取る。スキャナ装置133は、これら原稿及び掌紋の両方の読取を、制御部102による制御の下、ホームポジションから掌紋読取部131における読み取り可能領域の図1及び図2における右端部まで移動することにより、まとめて1回の読取動作で行うようになっている。
【0028】
また、複合機1は、ファクシミリ通信に必要な諸機能を実行し、公衆回線を通じて外部のファクシミリ装置から画像データを受信するファクシミリ通信部140と、操作者からの各種操作指示(印刷枚数や、バックアップの対象とする印刷データを特定する指示等)を受け付けるスタートキー21、テンキー23及び機能選択キー22等からなる操作部20と、操作者への操作案内等を表示するLCD(Liquid Crystal Display)等からなる表示部26とを備える。なお、この表示部26がタッチパネル機能を備えることにより、操作者からの各種操作指示を受け付けるようにしてもよい。
【0029】
さらに、複合機1は、HDD170を備えている。HDD170は、読取データ記憶部171と、掌紋データ記憶部(身体情報記憶手段の一例)172とを備える。読取データ記憶部171は、画像読取部110によって読み取られた画像のデータ(以下、読取データという)を記憶する。掌紋データ記憶部172は、本複合機1の操作が許可される各操作者の掌紋が電子データ化された掌紋データ(身体情報の一例)を記憶する。この掌紋データ記憶部172には、複合機1の操作が許可される、掌紋読取部131で読み取られた各操作者の掌紋データや、ネットワーク接続されたパーソナルコンピュータから送信されてきた各操作者の掌紋データ等が予め記憶されている。
【0030】
制御ユニット100は、照合部(照合手段)101及び制御部(制御手段)102を備えている。照合部101は、掌紋読取部131で読み取られた掌紋のデータと、掌紋データ記憶部172に記憶されている掌紋データとが適合するか否かを照合する。この掌紋照合処理としては、掌紋データ記憶部172に記憶されている各操作者の掌紋データと、掌紋読取部131でスキャナによって読み取られた掌紋データとの一致・不一致を直接比較する処理や、掌紋画像を線画に変換してから分岐や行き止まりといった特徴点に基づいて一致又は不一致を判別する処理等が用いられる。掌紋データ記憶部172に記憶されている各操作者の掌紋データと、掌紋読取部131でスキャナによって読み取られた掌紋データとが適合するか否かの判断は、例えば、互いのデータ同士の完全一致、一部一致等により行われ、一致と判断できた場合に適合とされる。
【0031】
制御部102は、本複合機1の全体的な動作制御を司るものである。また、制御部102は、照合部101による上記照合によって、掌紋データ記憶部172に記憶されている各操作者の掌紋データと、掌紋読取部131でスキャナによって読み取られた掌紋データとが一致するとされた場合に、操作者による操作部20の操作に基づいて、本複合機1によるスキャナ動作、プリンタ動作、コピー動作等を制御する。
【0032】
検知センサ(検知部)28は、操作者の掌が掌紋読取部131に置かれたことを検知するものである。検知センサ28は、掌紋読取部131の下方に配設され、例えば、掌紋読取部131に載置された操作者の掌に向けて光を発する発光部と、当該操作者の掌からの反射光を受光する受光部とを有し、この受光部で当該反射光を受光した場合に、操作者の掌が掌紋読取部に載置されていることを示す信号を制御部102に送信する構成となっている。なお、複合機1は、スキャナ装置133が読み取った画像イメージデータ編集/加工(符/復号処理、拡大/縮小処理、圧縮/伸長処理)処理等を行う画像処理部190を有している。
【0033】
次に、複合機1における掌紋の照合処理及びその結果に基づく動作制御について説明する。図4は、複合機1における掌紋の照合処理及びその結果に基づく動作制御を示すフローチャートである。
【0034】
操作者が掌紋読取部131に掌を載置し、この掌が検知センサ28によって検知されると(S1でYES)、制御部102は、掌紋読取部131の掌紋読み取り位置135(図1)に向けて、スキャナ装置133を移動させる(S2)。当該移動において、スキャナ装置133は、掌紋読取部131に到達するまでに原稿読取部132を通過するが、この原稿読取部132の通過時には、原稿読取部132の領域となる原稿台13に載置されている原稿の画像を読み取り、その後、掌紋読取部131に到達すると、掌紋読み取り位置に載置されている操作者の掌の掌紋を読み取る(S3)。
【0035】
スキャナ装置133によって読み取られた掌紋データは、スキャナ装置133から照合部101に送られ、照合部101によって、当該掌紋データと、掌紋データ記憶部172に記憶されている各操作者の掌紋データとが適合するかの照合が行われる(S4)。
【0036】
ここで、両掌紋データが適合しない場合は(S4でNO)、制御部102は、スキャナ装置133をホームポジションに戻す(S8)。また、上記両掌紋データが適合した場合は(S4でYES)、制御部102は、操作者の操作部20の操作によって既に入力されている指示に基づいて、例えば、コピーの指示が入力されている場合は、スキャナ装置133によって読み取られている原稿画像のデータを画像記録部130に画像形成(プリント)させ、スキャナの指示が入力されている場合は、スキャナ装置133によって読み取られた原稿画像を読取データ記憶部171に記憶させる(S5)。
【0037】
操作者による操作部20の操作で、コピー指示又はスキャナ指示等が続けて入力された場合は(S6でYES)、制御部102は、スキャナ装置133を、原稿読取部132における原稿読取位置の領域でのみ移動させて、原稿画像の読み取りを行わせる(S7)。すなわち、制御部102は、同一の操作者によってコピー指示又はスキャン指示等の画像処理の指示が続けて入力された場合は、上述した掌紋の読み取り動作及び照合処理を行うことなくコピー動作又はスキャン動作等を実行させる。この原稿画像読取後は、制御部102は、操作者によって操作部20から入力された指示に基づいて、コピー指示の場合は、画像記録部130に読み取られた画像データを画像形成させ、スキャン指示の場合は、読み取られた画像データを読取データ記憶部171に記憶させる(S5)。
【0038】
操作者から操作部20に指示が入力されなくなり、全てのジョブを終了した場合は(S6でNO)、制御部102は、スキャナ装置133をホームポジションに戻して(S8)、処理を終了する。
【0039】
次に、複合機1の第2実施形態について説明する。図5は本発明の第2実施形態に係る複合機の外観構成を示す図である。上記第1実施形態に係る複合機1では、原稿読取部132による原稿読み取り位置の延長に、掌紋読取部131が配設されているが、図5に示す第2実施形態に係る複合機1’では、スキャナ装置133のホームポジションに隣接させて掌紋読取部131’が配置され、この掌紋読取部131’の掌紋読み取り位置の延長に、原稿読取部が配置されている。すなわち、スキャナ装置133が、画像読取動作を行う場合、先に掌紋読取部131’で掌紋読取を行い、この後に原稿画像を読み取るようになっている。複合機1’では、自動原稿送り装置10’に、操作者の掌を原稿台13内に挿入するための挿入口180が設けられている。操作者は、掌を下にして当該挿入口180内に手を挿入して掌紋読取部131’に掌を載置するようになっている。
【0040】
第2実施形態に係る複合機1’による掌紋の照合処理及びその結果に基づく動作制御について説明する。図6は、複合機1’における掌紋の照合処理及びその結果に基づく動作制御を示すフローチャートである。なお、図4に示した処理と同様の処理は、同符号を付して説明を省略する。
【0041】
複合機1’では、操作者が挿入口180から原稿台13の中に手を挿入して掌紋読取部131’上に掌を載置し、この掌が検知センサ28によって検知されると(S1でYES)、制御部102は、この掌紋読取部131’の掌紋読み取り位置(図5に2点鎖線で示される部分)に向けて、スキャナ装置133を移動させ(S12)、スキャナ装置133に操作者の掌の掌紋を読み取らせる(S13)。そして、制御部102は、スキャナ装置133の走行動作を止めることなく、そのまま原稿読取部132に向けてスキャナ装置133を移動させ(S14)、続けて原稿台13の原稿読取部に載置された原稿の画像をスキャナ装置133に読み取らせる(S15)。
【0042】
スキャナ装置133によって読み取られた掌紋データが、照合部101によって、掌紋データ記憶部172に記憶されている掌紋データに不適合とされた場合(S4でNO)、制御部102は、スキャナ装置133に原稿読み取り動作を中止させ(S17)、スキャナ装置133をホームポジションに戻す(S8)。
【0043】
また、上記両掌紋データが適合した場合は(S4でYES)、制御部102は、スキャナ装置133による原稿読み取り動作を続行させる(S16)。スキャナ装置133による原稿読み取り後、制御部102は、操作者によって入力されている指示に基づいて、画像記録部130による画像形成(プリント)、又は、読み取られた原稿画像の読取データ記憶部171への記憶を行わせる(S5)。
【0044】
以上のように、上記の複合機1,1’では、スキャナ装置133による一回のスキャン動作で、操作者の掌紋読み取り及び原稿画像読取を行い、掌紋読取動作と原稿画像読取動作とを別個独立させずに連携して円滑に行うので、照合部101による照合のために必要な掌紋情報の取得と、原稿画像の取得とが一括して行われ、操作者にとって複合機1,1’の操作性が向上する。
【0045】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、例えば、掌紋読取部を、図1における自動用紙送り装置10の左端部よりも更に左側に配置してもよい。この場合には、制御部102は、スキャナ装置133を原稿台13の掌紋読取部の左端部(原稿台13の左端部)まで移動させ、この位置からスキャナ装置133を原稿台13の原稿読取部の右端部に向けて移動させて掌紋及び原稿画像を連続して読み取らせることによって、スキャナ装置133による一回のスキャン動作で、操作者の掌紋読み取り及び原稿画像読取を行わせるようにする。
【0046】
また、複合機1,1’の制御ユニット100に備えられる照合部101及び制御部102はそれぞれ個別に回路で構成されていてもよいし、HDD170等に記憶された画像処理プログラムに従って、CPUが上記照合部101及び制御部102として動作する構成としてもよい。
【0047】
また、上記各実施形態では、複合機1,1’による画像処理動作を許可するか否かの判断に用いる身体情報の例として、操作者の掌紋をあげているが、当該身体情報として、操作者の指紋、掌の静脈パターンなど、操作者の身体特徴を示す他の情報を用いるようにしても構わない。
【0048】
また、上記実施形態では、本発明に係る画像処理装置を複合機1,1’として説明しているが、他の電気機器であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1実施形態に係る複合機の外観構成を示す図である。
【図2】原稿台の原稿読取部及び掌紋読取部を示す図である。
【図3】複合機の構成概略を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態に係る複合機における掌紋の照合処理及びその結果に基づく動作制御を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態に係る複合機の外観構成を示す図である。
【図6】第2実施形態に係る複合機における掌紋の照合処理及びその結果に基づく動作制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1,1’ 複合機
10,10’ 自動用紙送り装置
11 原稿装填部
13 原稿台
28 検知センサ
100 制御ユニット
101 照合部
102 制御部
110 画像読取部
131,131’ 掌紋読取部
132 原稿読取部
133 スキャナ装置
135 ガイド線
140 ファクシミリ通信部
171 読取データ記憶部
172 掌紋データ記憶部
180 挿入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャナ装置によって原稿画像が読み取られる原稿読取部と、当該原稿読取部のスキャナ装置によって操作者の身体情報が読み取られる身体情報読取部とを有する画像読取手段と、
当該画像処理装置の操作が許可される各操作者の身体情報が記憶される身体情報記憶手段と、
前記身体情報読取部で読み取られた身体情報と、前記身体情報記憶手段に記憶されている身体情報とが適合するか否かを照合する照合手段と、
前記照合手段の照合によって前記両身体情報が適合するとされた場合に、前記操作者の操作に基づいた動作を当該画像処理装置に行わせる制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記画像読取手段に、前記原稿読取部及び身体情報読取部における両方の読取を、前記スキャナ装置による1回の読取動作で行わせる画像処理装置。
【請求項2】
前記画像読取手段において、前記身体情報読取部の身体情報読取位置と、前記原稿読取部の原稿読取位置とは、前記スキャナ装置の読取動作ライン上の異なる位置に設定されている請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記スキャナ装置のホームポジションに隣接して前記原稿読取部の原稿読取位置が配置され、前記身体情報読取部の身体情報読取位置は、前記スキャナ装置の読取動作ラインにおける前記原稿読取部の原稿読取位置の延長に配置されている請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記スキャナ装置のホームポジションに隣接して前記身体情報読取部の身体情報読取位置が配置され、前記原稿読取部の原稿読取位置は、前記スキャナ装置の読取動作ラインにおける前記身体情報読取部の身体情報読取位置の延長に配置されている請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記身体情報読取部は、読取対象となる操作者の身体の一部が身体情報読取位置に置かれたことを検知する検知部を更に備え、
前記操作者の身体の一部が前記読取位置に載置されたと前記検知部によって検知された場合に、前記制御手段が、当該載置された身体情報の前記身体情報読取部による読取と、前記原稿読取部による原稿読取とを前記スキャナ装置に行わせる請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
スキャナ装置によって原稿画像が読み取られる原稿読取部と、当該原稿読取部のスキャナ装置によって操作者の身体情報が読み取られる身体情報読取部とを有する画像読取手段と、当該情報処理装置の操作が許可される各操作者の身体情報が記憶される身体情報記憶手段とを備えた情報処理装置を、
前記身体情報読取部で読み取られた身体情報と、前記身体情報記憶手段に記憶されている身体情報とが適合するか否かを照合する照合手段と、
前記照合手段の照合によって前記両身体情報が適合するとされた場合に、前記操作者の操作に基づいた動作を当該情報処理装置に行わせる制御手段とを備え、
前記制御手段が、前記画像読取手段に、前記原稿読取部及び身体情報読取部における両方の読取を前記スキャナ装置による1回の読取動作で行わせる画像処理装置として、機能させる画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−245963(P2006−245963A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−58203(P2005−58203)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】