説明

画像処理装置及び画像処理方法

【課題】夜間画像のようにノイズが多い画像に対しても、被写体の輪郭情報を保ちつつ、ノイズを軽減すること。
【解決手段】ノイズ推定部150は、ノイズ推定対象のチャンネル画像のエッジ画像である推定対象エッジ画像と、ノイズ推定対象のチャンネル画像と異なるチャンネル画像のエッジ画像である基準エッジ画像との比較結果に基づいて、ノイズ推定対象のチャンネル画像のノイズを推定する。また、ノイズ除去係数決定部160は、ノイズ推定対象のチャンネル画像のノイズ量に応じてノイズ推定対象のチャンネル画像の平滑化領域サイズを決定する。そして、ノイズ除去処理部170は、ノイズ推定対象のチャンネル画像の平滑化領域サイズを用いて、ノイズ推定対象のチャンネル画像を平滑化することにより、ノイズ推定対象のチャンネル画像のノイズを除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のチャンネル情報から構成される撮影画像の画質を改善する画像処理装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ等の撮影センサー(又は撮影素子)により撮影された画像から被写体を検出する場合、露出制御が行われる。露出制御では、AGC(Auto Gain Control)アンプの増幅率を制御する。ここで、AGCアンプは、撮影センサー(又は撮影素子)から出力される信号成分を増幅するのに用いられる。例えば、被写体の照度が低くなるほど、AGCアンプの増幅率を上げる。ただし、この場合には、カメラの信号処理回路内の各種のノイズ成分も、信号成分と一緒に増幅されてしまう。そのため、低照度で撮影された画像ほど、ノイズが目立ってしまうという問題がある。このため、低照度で撮影された画像からノイズを除去する手法が必要となる。特許文献1、特許文献2、特許文献3には、当該ノイズ除去の手法に関連する技術が記載されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の技術では、夜間、昼間等の撮影モード、撮影感度、露出条件、シャープネス等の撮影状況に応じて、画像全体の基準値を生成する。そして、注目画素値とその周辺画素値の平均値との差が当該基準値より大きければ、周辺画素値の平均値を注目画素値に代入することにより、ノイズ除去が行なわれる。
【0004】
また、特許文献2に記載の技術では、低照度で撮影された動画を改善するために、帰還フィルタ処理を行い、フレーム間の相関に基づいた帰還係数を用いてノイズ除去を行う。具体的には、AF(Auto Focus)評価値が一定値を超えている場合、被写体がある程度静止していて、フレーム間相関が大きいと判定される。この場合、帰還係数が大きく設定される。一方、AF評価値が一定値以下の場合、被写体がある程度移動していて、フレーム間相関が小さいと判定される。この場合、残像をなくすため、帰還係数が小さく設定される。
【0005】
また、特許文献3に記載の技術では、単板式撮影センサーからの出力信号のうち、輝度への影響が大きいGチャンネルに対しては、特殊メディアン(median)処理を行い、輝度への影響が小さいR,Bチャンネルに対して、一般的なフィルタ処理を行うことにより、ノイズを低減する。Gチャンネルに対する特殊メディアン処理では、注目画素の周辺画素の平均値と注目画素値との差が所定の閾値より大きければ、注目画素値はノイズと判定される。そして、注目画素の周辺画素の平均値を注目画素値に代入することにより、ノイズ除去が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−10108号公報
【特許文献2】特開2005−175864号公報
【特許文献3】特開2004−159176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、画像にノイズが多く存在する場合、画像全体が平滑化されてしまうため、被写体の輪郭情報が欠落してしまう問題がある。そのため、特許文献1に記載の技術は、ノイズが多い夜間画像に適さない。また、夜間車載画像には、車などの移動体が多く存在するため、フレーム間の相関が小さい画像が多い。そのため、特許文献2に記載の技術を利用することにより、残像を無くすことができるものの、ノイズが除去されない問題があり、特許文献2に記載の技術は、夜間車載画像には適さない。また、特許文献3に記載の技術におけるノイズ除去効果は、従来の画像全体に対してメディアン・フィルタ処理を行った場合と同様である。そのため、ノイズが多く存在する画像の場合、画像全体が平滑化されてしまうため、被写体の輪郭情報が欠落してしまう問題がある。よって、特許文献3に記載の技術は、ノイズが多い夜間画像に適さない。
【0008】
本発明の目的は、夜間画像のようにノイズが多い画像に対しても、被写体の輪郭情報を保ちつつ、ノイズを軽減することができる画像処理装置及び画像処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像処理装置の一つの態様は、複数のチャンネル情報を含む撮影画像の画質を改善する画像処理装置であって、前記複数のチャンネル情報に対応する各チャンネル画像のエッジ画像をそれぞれ生成するエッジ画像生成手段と、前記エッジ画像のうち、ノイズ推定対象のチャンネル画像のエッジ画像である推定対象エッジ画像と、前記ノイズ推定対象のチャンネル画像と異なるチャンネル画像のエッジ画像である基準エッジ画像との比較結果に基づいて、前記ノイズ推定対象のチャンネル画像のノイズを推定するノイズ推定手段と、前記ノイズに応じて前記ノイズ推定対象のチャンネル画像の平滑化領域サイズを決定する決定手段と、前記平滑化領域サイズを用いて前記ノイズ推定対象のチャンネル画像を平滑化することにより、前記ノイズ推定対象のチャンネル画像のノイズを除去するノイズ除去手段と、を具備する。
【0010】
本発明の画像処理方法の一つの態様は、複数のチャンネル情報を含む撮影画像の画質を改善する画像処理方法であって、前記複数のチャンネル情報に対応する各チャンネル画像のエッジ画像をそれぞれ生成し、前記エッジ画像のうち、ノイズ推定対象のチャンネル画像のエッジ画像である推定対象エッジ画像と、前記ノイズ推定対象のチャンネル画像と異なるチャンネル画像のエッジ画像である基準エッジ画像との比較結果に基づいて、前記ノイズ推定対象のチャンネル画像のノイズを推定し、前記ノイズに応じて前記ノイズ推定対象のチャンネル画像の平滑化領域サイズを決定し、前記平滑化領域サイズを用いて前記ノイズ推定対象のチャンネル画像を平滑化することにより、前記ノイズ推定対象のチャンネル画像のノイズを除去する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、夜間画像のようにノイズが多い画像に対しても、被写体の輪郭情報を保ちつつ、ノイズを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の要部構成を示すブロック図
【図2】上記実施の形態における画像処理動作を示すフローチャート図
【図3】ノイズ推定処理の内部処理を説明するためのフローチャート図
【図4】Gチャンネル画像ノイズ推定処理の内部処理を説明するためのフローチャート図
【図5】ノイズ推定部の内部構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像処理装置の要部構成を示すブロック図である。本発明の実施の形態は、低照度で撮影した画像のノイズを除去するカメラ等の撮影装置に適用できる。
【0015】
図1において、画像処理装置100は、撮影部110、画像格納部120、各チャンネル画像生成部130、各チャンネル画像のエッジ画像生成部140、ノイズ推定部150、ノイズ除去係数決定部160、ノイズ除去処理部170、及び、改善画像格納部180を有する。
【0016】
撮影部110は、撮影センサー(又は、撮影素子)を有し、撮影センサーを用いて撮影対象(被写体)を撮影する。これにより、撮影部110は、複数のチャンネル情報を含む撮影情報を取得する。ここで、複数のチャンネル情報とは、例えば、RGBフォーマットが用いられる場合には、R(Red)チャンネル情報、G(Green)チャンネル情報、B(Blue)チャンネル情報である。また、YUVフォーマットが用いられる場合には、Y(輝度信号)チャンネル情報、U(輝度信号と青色成分との差)チャンネル情報、V(輝度信号と赤色成分との差)チャンネル情報である。また、撮影情報は、動画若しくは静止画である。
【0017】
なお、以下では、撮影部110においてRGBフォーマットが用いられる場合を例に説明する。
【0018】
画像格納部120は、撮影部110において撮影された撮影情報を複数のチャンネル情報を含む画像(以下、撮影画像という)として格納する。
【0019】
各チャンネル画像生成部130は、画像格納部120に格納される複数のチャンネル情報を含む撮影画像から、それぞれ、R,G,Bチャンネル画像を生成する。
【0020】
エッジ画像生成部140は、各チャンネル画像生成部130により生成された各チャンネル画像のエッジ画像を生成する。具体的には、エッジ画像生成部140は、R,G,Bチャンネルエッジ画像を生成する。以降、R,G,Bチャンネルエッジ画像を、それぞれ、R,G,Bエッジ画像と呼ぶ。エッジ画像を生成する方法は特に限られず、エッジ画像生成部140は、例えば、一般的なラプラス処理などを利用してエッジ画像を生成する。
【0021】
ノイズ推定部150は、R,G,Bエッジ画像を入力とし、エッジ画像間のエッジ類似特性を利用して、各チャンネル画像のノイズ強度値を推定する。ここで、各チャンネル画像のノイズ強度値とは、各チャンネル画像に含まれるノイズの量を表す指標である。なお、ノイズ強度値の推定方法については後述する。
【0022】
ノイズ除去係数決定部160は、ノイズ推定部150により推定された各チャンネル画像のノイズ強度値に基づいて、各チャンネル画像のノイズ除去係数を決定する。ここで、ノイズ除去係数とは、各チャンネル画像からどのくらいノイズ除去するか、すなわち、ノイズ除去処理として平滑化処理を行う場合の平滑化の範囲(平滑化の大きさ)を表わす指標である。ノイズ除去係数(以下、「平滑化領域サイズ」とも呼ぶ)としては、例えば、注目画素の近傍画素領域を用いることができる。具体的には、近傍画素領域を3ピクセル×3ピクセルに設定する場合、ノイズ除去係数は3と表わすことができる。なお、ノイズ除去係数の詳細及び決定方法については後述する。
【0023】
ノイズ除去処理部170は、ノイズ除去係数決定部160により決定された各チャンネル画像のノイズ除去係数を利用して各チャンネル画像を平滑化する。これにより、ノイズ除去処理部170は、各チャンネル画像からノイズを除去して、改善画像を取得する。ノイズ除去方法は、特に限られず、例えば、ノイズ除去処理部170は、メディアン・フィルタを利用した平滑化処理によりノイズを除去する。このようにして、ノイズ除去処理部170は、各チャンネル画像のノイズ強度値に応じた平滑化領域サイズを用いて、各チャンネル画像を平滑化することによりノイズを除去する。ノイズ除去処理部170は、得られたノイズ除去後の各チャンネル画像を、画質改善チャンネル画像として改善画像格納部180に出力する。
【0024】
改善画像格納部180は、ノイズ除去処理部170により生成された各画質改善チャンネル画像を、RGB方式画像に変換して格納する。
【0025】
以上のように構成された画像処理装置100の全体動作について、図2を用いて説明する。
【0026】
図2は、画像処理装置100における画像処理を示すフローチャート図である。
【0027】
まず、ステップS101で、撮影部110は、撮影対象(被写体)を撮影し、取得した撮影情報を画像格納部120に出力する。撮影部110は、撮影情報として、複数のチャンネル情報を含む動画又は静止画像のいずれか(撮影画像)を取得する。
【0028】
ステップS102で、画像格納部120は、撮影画像が動画の場合、時系列に準じて先頭の1フレームから順にフレーム画像を取得し、フレーム画像を内部のバッファに格納する。画像格納部120は、撮影画像が静止画像の場合、静止画像を内部バッファに格納する。
【0029】
ステップS103で、各チャンネル画像生成部130は、複数のチャンネル情報を含むフレーム画像から、各チャンネル情報、すなわち、R,G,B信号をそれぞれ取得する。そして、各チャンネル画像生成部130は、取得したR,G,B信号から、それぞれに対応するR,G,Bチャンネル画像を生成する。そして、各チャンネル画像生成部130は、生成した各チャンネル画像を、エッジ画像生成部140及びノイズ除去係数決定部160に出力する。
【0030】
ステップS104で、エッジ画像生成部140は、Rチャンネル画像からエッジを抽出して、Rエッジ画像を生成する。Rエッジ画像は、Rチャンネルのエッジ画像である。エッジ画像の生成方法としては、特に限られず、エッジ画像生成部140は、一般的な手法を用いればよい。例えば、エッジ画像生成部140は、ラプラス処理を用いてエッジ画像を生成する。同様に、エッジ画像生成部140は、G,Bチャンネル画像からそれぞれエッジを抽出して、G,Bエッジ画像を生成する。Gエッジ画像は、Gチャンネル画像のエッジ画像である。また、Bエッジ画像は、Bチャンネル画像のエッジ画像である。そして、エッジ画像生成部140は、生成したこれらエッジ画像をノイズ推定部150に出力する。
【0031】
ステップS105で、ノイズ推定部150は、R,G,Bエッジ画像を利用して、R,G,Bチャンネル画像のノイズ強度値を推定する。
【0032】
図3は、ステップS105(ノイズ推定処理)の内部処理を説明するためのフローチャート図である。
【0033】
図3において、ステップS1051で、ノイズ推定部150は、エッジ画像生成部140からRエッジ画像、Gエッジ画像、及び、Bエッジ画像を取得する。
【0034】
ステップS1052で、ノイズ推定部150は、Rチャンネル画像のノイズ強度値を推定し、推定したRチャンネル画像のノイズ強度値RNoiseをノイズ除去係数決定部160に出力する。
【0035】
ステップS1053で、ノイズ推定部150は、Gチャンネル画像のノイズ強度値を推定し、推定したGチャンネル画像のノイズ強度値GNoiseをノイズ除去係数決定部160に出力する。
【0036】
ステップS1054で、ノイズ推定部150は、Bチャンネル画像のノイズ強度値を推定し、推定したBチャンネル画像のノイズ強度値BNoiseをノイズ除去係数決定部160に出力する。
【0037】
このようにして、ノイズ推定部150は、各チャンネルのノイズ強度値をノイズ除去係数決定部160に出力する。
【0038】
図4は、ステップS1053(Gチャンネル画像のノイズ推定処理)の内部処理を説明するためのフローチャート図である。ステップS1052,S1054におけるR,Bチャンネル画像のノイズ推定方法は、ステップS1053におけるGチャンネル画像のノイズ推定方法と同様である。そのため、以下では、Gチャンネル画像をノイズ推定対象のチャンネル画像として、Gチャンネル画像のノイズ推定処理(ステップS1053)を例にしてノイズ推定方法について説明する。
【0039】
なお、図5は、ノイズ推定部150の内部構成を示すブロック図である。ノイズ推定部150は、エッジ抽出部151、平滑化部152、減算部153及びノイズ算出部154を有する。
【0040】
エッジ抽出部151は、各エッジ画像のみに存在するエッジ情報を抽出する。エッジ情報の抽出方法については、後述する。
【0041】
平滑化部152は、エッジ情報を平滑化することにより、エッジ情報に含まれるノイズを除去して平滑化エッジ情報を取得する。
【0042】
減算部153は、エッジ情報から平滑化エッジ情報を減算し、減算結果をエッジ画像に特有のノイズを表すエッジ情報をノイズ算出部154に出力する。
【0043】
ノイズ算出部154は、エッジ画像に特有のノイズを表すエッジ情報に基づいて、チャンネル画像のノイズ強度値を算出する。なお、ノイズ強度値の算出方法については、後述する。
【0044】
以上のように構成されたノイズ推定部150は、まず、エッジ抽出部151において、エッジ情報を抽出する。以下、エッジ情報の抽出方法について説明する。
【0045】
Gチャンネル画像のノイズ強度値を推定する場合、ステップS10531で、エッジ抽出部151は、Gエッジ画像と、Gエッジ画像以外のエッジ画像からエッジ画像を基準エッジ画像として一つ取得する。以下では、ノイズ推定部150が、Gエッジ画像及びRエッジ画像を取得する場合を例に説明する。ここで、Gエッジ画像は、ノイズ推定対象のチャンネル画像のエッジ画像である推定対象エッジ画像である。また、基準エッジ画像として取得されるRエッジ画像は、ノイズ推定対象のチャンネル画像と異なるチャンネル画像のエッジ画像である。
【0046】
エッジ画像には、被写体の輪郭を表わすエッジ情報(「被写体輪郭情報」という)とノイズを表わすエッジ情報(以下「ノイズ情報」という)との両方が存在する。例えば、Gエッジ画像Gは、式(1)に示すように、被写体輪郭情報Gedge及びノイズ情報GNoiseを含む。また、Rエッジ画像Rは、式(2)に示すように、被写体輪郭情報Redge及びノイズ情報RNoiseを含む。
【数1】

【数2】

【0047】
ところで、撮影画像に含まれる各チャンネル画像には、相互に重複する被写体輪郭情報とノイズ情報とが存在する。これらの情報は、各チャンネルのエッジ画像にエッジ情報として存在する。よって、各チャンネルのエッジ画像間では、エッジ情報が類似するという特徴がある。そこで、エッジ抽出部151は、各チャンネルのエッジ画像間では、エッジ情報が類似するという特徴を利用して、各チャンネル画像に特有のエッジ情報を抽出する。
【0048】
具体的には、ステップS10532で、エッジ抽出部151は、Gエッジ画像GとRエッジ画像Rとの差分画像Gを算出する(式(3)参照)。
【数3】

【0049】
ただし、差分画像Gの算出する式(3)の演算は、通常の減算とは異なり、エッジ抽出部151は、以下のようにして、差分画像Gを算出する。なお、以下では、エッジ画像が2値化で記述される場合を例にして説明する。2値化により、エッジありの部分(画素)の輝度値は数値1と表され、エッジなしの部分(画素)の輝度値は数値0と表される。
【0050】
[1]1−0=1:G=1、R=0の場合、Gエッジ画像にのみエッジ情報がある。この場合、エッジ抽出部151は、Gエッジ画像にのみあるエッジ情報を残す。
【0051】
[2]0−1=0:G=0、R=1の場合、Gエッジ画像にはエッジ情報はない。この場合、エッジ抽出部151は、Rエッジ画像のみにあるエッジ情報を除去する。
【0052】
[3]1−1=0:G=1、R=1の場合、Gエッジ画像及びRエッジ画像の両方にエッジ情報がある。この場合、エッジ抽出部151は、両方に存在するエッジ情報を除去する。
【0053】
[4]0−0=0:G=0、R=0の場合、Gエッジ画像及びRエッジ画像の両方にエッジ情報がない。この場合、エッジ抽出部151は、エッジ情報がないことを示す情報をそのまま保持する。
【0054】
すなわち、Gエッジ画像G及びRエッジ画像Rを用いて式(3)により定義される差分画像Gには、Gエッジ画像Gに特有な被写体輪郭を表すエッジ情報Gunique_edge、及び、Gエッジ画像に特有なノイズ情報Gunique_noiseのみが残ることになる。
【0055】
このようにして、エッジ抽出部151は、各チャンネルのエッジ画像には、相互に重複する被写体輪郭情報とノイズ情報とが存在し、各チャンネルのエッジ画像でのエッジ情報が類似するという特徴を利用する。すなわち、エッジ抽出部151は、推定対象エッジ画像及び基準エッジ画像に共通のエッジ情報は、推定対象エッジ画像に特有のエッジ情報ではないと判定する。そして、エッジ抽出部151は、推定対象エッジ画像にのみ存在するエッジ情報のみを推定対象エッジ情報として抽出する。つまり、エッジ抽出部151は、Gエッジ画像G(推定対象エッジ画像)とRエッジ画像R(基準エッジ画像)との比較結果に基づいて、Gエッジ画像G(推定対象エッジ画像)のみに存在する差分画像Gを推定対象エッジ情報として抽出する。
【0056】
エッジ抽出部151は、抽出した差分画像G(推定対象エッジ情報)を平滑化部152に出力する。
【0057】
ステップS10533で、平滑化部152は、ステップS10532で生成された差分画像Gに対して平滑化を行い、平滑化画像G’(平滑化推定対象エッジ情報)を取得する。この結果、式(4)に示すように、差分画像GからGエッジ画像に特有なノイズ情報Gunique_noiseが除去される。
【数4】

【0058】
すなわち、平滑化部152は、平滑化画像G’として、Gエッジ画像独有の被写体輪郭を表すエッジ情報Gunique_edgeを抽出することができる。平滑化方法は、特に限定されず、平滑化部152は、例えば、メディアン・フィルタ処理を利用して差分画像Gに対して平滑化してもよい。そして、平滑化部152は、平滑化画像G’を減算部153に出力する。
【0059】
ステップS10534で、減算部153は、ステップS10532で生成された差分画像G(推定対象エッジ情報)と、ステップS10533で生成された平滑後画像G’(平滑化推定対象エッジ情報)との差分を、差分画像GE_Noiseとして算出する(式(5)参照)。
【数5】

【0060】
ここで、式(3)及び式(4)を式(5)に代入すると、式(6)を得る。
【数6】

【0061】
すなわち、式(6)から分かるように、GE_Noiseは、Gunique_noiseそのものとなる。
【0062】
このように、減算部153は、差分画像G(推定対象エッジ情報)から平滑後画像G’(平滑化推定対象エッジ情報)を減算し、差分画像GE_Noise(減算結果)を取得する。これにより、減算部153は、差分画像GE_Noise(減算結果)として、Gエッジ画像特有のノイズを表すエッジ情報Gunique_noiseを抽出することができる。減算部153は、エッジ情報Gunique_noiseをノイズ算出部154に出力する。
【0063】
ステップS10535で、ノイズ算出部154は、ステップS10534で生成された差分画像GE_Noise(減算結果)に基づいて、Gチャンネル画像のノイズ強度値GNoiseを算出する。具体的には、ノイズ算出部154は、差分画像GE_Noise(減算結果)において輝度値が数値1となる画素の合計を計算する。そして、ノイズ算出部154は、合計結果を、Gチャンネル画像のノイズ強度値GNoiseとして、ノイズ除去係数決定部160に出力する。
【0064】
このようにして、ノイズ推定部150は、Gエッジ情報(推定対象エッジ情報)とRエッジ情報(基準エッジ情報)との比較結果に基づいて、Gチャンネル画像のノイズ強度値GNoiseを推定する。
【0065】
なお、以上の説明では、ノイズ推定部150は、Gエッジ画像及びRエッジ画像を利用して、Gチャンネル画像のノイズ強度値(第1ノイズ強度値)を推定する場合について説明した。これに代えて、ノイズ推定部150が、Gエッジ画像及びBエッジ画像を利用して、Gチャンネル画像のノイズ強度値(第2ノイズ強度値)を推定するようにしてもよい。また、ノイズ推定部150が、第1ノイズ強度値と第2ノイズ強度値をそれぞれ推定し、更に、第1ノイズ強度値及び第2ノイズ強度値の平均値を、Gチャンネル画像のノイズ強度値として推定するようにしてもよい。
【0066】
以上、Gチャンネル画像のノイズ強度値の推定方法について説明した。
【0067】
同様にして、ノイズ推定部150は、Rエッジ画像とBエッジ画像(又は、Gエッジ画像、若しくは、B,Gエッジ画像)とを利用して、Rチャンネル画像のノイズ強度値を推定することができる。また、ノイズ推定部150は、Bエッジ画像とGエッジ画像(又は、Rエッジ画像、若しくは、G,Rエッジ画像)を利用して、Bチャンネル画像のノイズ強度値を推定することができる。
【0068】
次に、図2に戻り、ノイズ除去係数決定部160におけるノイズ除去係数の決定方法について説明する。
【0069】
ステップS106で、ノイズ除去係数決定部160は、ノイズ推定部150が生成した各チャンネル画像のノイズ強度値を用いて、各チャンネル画像のノイズ除去係数を決定する。
【0070】
ここで、ノイズ除去係数とは、上述したように、ノイズ除去処理として平滑化処理を行う場合の平滑化の範囲(平滑化領域サイズ)を示す。ノイズ除去係数(平滑化領域サイズ)が大きいと、ノイズ除去効果は大きいが、平滑化後の画像は全体的にぼけた画像となる場合がある。これに対し、ノイズ除去係数(平滑化領域サイズ)が小さいと、ノイズ除去効果は小さいが、平滑化後の画像はくっきりした画像となる。このように、ノイズ除去効果(平滑化処理)と輪郭維持効果とはトレードオフの関係にある。そして、ノイズ除去係数(平滑化領域サイズ)の大きさによって、ノイズ除去効果(平滑化処理)及び輪郭の維持処理効果のうち、どちらの効果が優先されるか決定される。このように、ノイズ除去係数(平滑化領域サイズ)の大きさは、ノイズ除去効果(平滑化処理)及び輪郭維持効果に影響を与える。
【0071】
そこで、本実施の形態では、ノイズ除去係数決定部160は、各チャンネル画像のノイズ強度値に応じて、各チャンネル画像ごとにノイズ除去係数(平滑化領域サイズ)を決定する。
【0072】
一例として、R,G,Bチャンネル画像のノイズ強度値RNoise,GNoise,BNoiseが、それぞれ、RNoise=7900,GNoise=15880,BNoise=30656の場合を例に、ノイズ除去係数wR,wG,wBの決定方法について説明する。ここで、wRは、Rチャンネル画像のノイズ除去係数であり、wGは、Gチャンネル画像のノイズ除去係数であり、wBは、Rチャンネル画像のノイズ除去係数である。
【0073】
ノイズ除去係数決定部160は、[1]ノイズ除去係数の絶対値の決定、及び、[2]ノイズ除去係数の相対値の維持、という2段階のステップを用いて、ノイズ除去係数を決定する。なお、ノイズ除去係数は、注目画素を中心とする近傍画素領域を表わす。そのため、ノイズ除去係数は、奇数となる。
【0074】
[1]ノイズ除去係数の絶対値(大きさ)の決定
上述したように、ノイズ除去係数(平滑化領域サイズ)が大きいほど、ノイズ除去効果は大きくなり、平滑化(ノイズ除去)後の画像は、全体的にぼけた画像となる。これに対し、ノイズ除去係数(平滑化領域サイズ)が小さいほど、ノイズ除去効果が小さくなり被写体の輪郭が維持されるので、平滑化後の画像は輪郭がくっきりした画像となる。
【0075】
したがって、各チャンネルのノイズ強度値が所定のノイズ閾値より小さく、ノイズが少ない場合には、ノイズ除去係数決定部160は、輪郭維持効果を優先して、ノイズ除去係数(平滑化領域サイズ)を小さい値に設定する。また、ノイズ強度値が小さい場合には、ノイズ除去係数(平滑化領域サイズ)を小さい値に設定しても、ノイズは十分に除去されると考えられる。これにより、被写体の輪郭がくっきりした画像が得られる。
【0076】
これに対し、各チャンネルのノイズ強度値が所定のノイズ閾値より小さく、ノイズが少ない場合に、ノイズ除去係数(平滑化領域サイズ)を大きい値に設定すると、輪郭が維持されず、平滑化後の画像は輪郭がぼんやりした画像となる。
【0077】
したがって、各チャンネルのノイズ強度値が所定のノイズ閾値より小さく、ノイズが少ない場合には、ノイズ除去係数(平滑化領域サイズ)を小さい値に設定するのが好ましい。
【0078】
また、各チャンネルのノイズ強度値が所定のノイズ閾値以上であり、ノイズが多い場合には、ノイズ除去係数(平滑化領域サイズ)を小さい値に設定すると、十分にノイズを除去することが難しい。これに対し、各チャンネルのノイズ強度値が所定のノイズ閾値以上であり、ノイズが多い場合には、ノイズ除去係数(平滑化領域サイズ)を大きい値に設定すると、ノイズ除去効果が増大する。
【0079】
したがって、各チャンネルのノイズ強度値が所定のノイズ閾値以上であり、ノイズが多い場合には、ノイズ除去係数(平滑化領域サイズ)を大きい値に設定するのが好ましい。
【0080】
そこで、本実施の形態では、ノイズ除去係数決定部160は、ノイズ強度値と所定のノイズ閾値との比較結果に応じて、ノイズ除去係数の値に制限を設ける。
【0081】
例えば、昼間画像は、一般的に夜間画像と比較してノイズが少ない。よって、各チャンネルのノイズ強度値が基準ノイズ値より小さい場合、ノイズ除去係数決定部160は、該当画像を昼間画像と判定する。そして、この場合、ノイズ除去係数決定部160は、ノイズ除去係数wR,wG,wBの絶対値を所定値より小さい値に設定する。例えば、wR,wG,wBをそれぞれ数値5以下に設定する。
【0082】
すなわち、各チャンネルのノイズ強度値が基準ノイズ値より小さい場合、ノイズ除去係数決定部160は、ノイズ除去係数wR,wG,wBの上限値(例えば5)を設定する。
【0083】
一方、各チャンネルのノイズ強度値が基準ノイズ値以上の場合、ノイズ除去係数決定部160は、該当画像を夜間画像と判定する。そして、ノイズ除去係数決定部160は、ノイズ除去係数wR,wG,wBの絶対値を所定値以上の値に設定する。例えば、wR,wG,wBをそれぞれ5以上に設定する。
【0084】
すなわち、各チャンネルのノイズ強度値が基準ノイズ値より大きい場合、ノイズ除去係数決定部160は、ノイズ除去係数wR,wG,wBの下限値(例えば5)を設定する。
【0085】
このように、ノイズ除去係数決定部160は、R,G,Bチャンネル画像のノイズ強度値RNoise,GNoise,BNoiseと基準ノイズとの閾値判定結果に基づいて、ノイズ除去係数wR,wG,wBの絶対値(大きさ)に制限を設ける。
【0086】
なお、以上の説明では、上限値及び下限値が5の場合の場合について説明したが、上限値及び下限値は5には限られない。上限値は、昼間画像のように、ノイズが少ない撮影画像に用いられる平滑化領域サイズの最大値である。また、下限値は、夜間画像のように、ノイズが多い撮影画像に用いられる平滑化領域サイズの最小値である。したがって、上限値は、輪郭維持効果が得られる平滑化領域サイズとして適した値であればよい。また、下限値は、ノイズ除去効果が得られる平滑化領域サイズとして適した値であればよい。
【0087】
また、昼間画像又は夜間画像の判定に用いられる基準ノイズ値は、実験等により経験値として設定する。
【0088】
このようにして、ノイズ除去係数決定部160は、上記[1]にて、各チャンネルのノイズ推定値に応じて、各チャンネルのノイズ除去係数の絶対値(大きさ)の上限値又は下限値を決定し、各チャンネルのノイズ除去係数の絶対値(大きさ)に制限を設ける。ここで、上限値は、輪郭維持効果が得られる平滑化領域サイズを示し、下限値は、ノイズ除去効果が得られる平滑化領域サイズを示す。すなわち、ノイズ除去係数決定部160は、ノイズ推定値に応じてノイズ除去係数の絶対値(大きさ)に制限を設けることにより、輪郭維持効果を優先させて平滑化を行うか、ノイズ除去効果を優先させて平滑化を行うか、を選択していることになる。
【0089】
[2]ノイズ除去係数の相対値の維持
ノイズ除去係数決定部160は、上記[1]にて、各チャンネルのノイズ除去係数の絶対値(大きさ)の上限値又は下限値を決定した後、各チャンネルのノイズ除去係数wR,wG,wBを決定する。具体的には、ノイズ除去係数決定部160は、各チャンネルのノイズ除去係数wR,wG,wBの比例関係が、各チャンネルのノイズ強度値RNoise,GNoise,BNoiseの比例関係に近くなるように、各チャンネルのノイズ除去係数wR,wG,wBを設定する。
【0090】
例えば、撮影画像が夜間画像であり、上記[1]において、ノイズ除去係数決定部160が、ノイズ除去係数の絶対値の下限値を5に設定する場合を考える。このとき、RNoise=7900,GNoise=15880,BNoise=30656の場合、RNoise,GNoise,BNoiseの比例関係は、約1:2:4である。そこで、ノイズ除去係数決定部160は、wR,wG,wBの比例関係が、RNoise,GNoise,BNoiseの比例関係(約1:2:4)に出来るだけ近く、かつ、絶対値(大きさ)が5以上(下限値以上)となるwR,wG,wBを設定する。例えば、ノイズ除去係数決定部160は、wR=5,wG=11,wB=21と設定する。この場合、wR,wG,wBの絶対値は5以上であり、また、wR,wG,wBの比例関係は、約1:2:4であり、RNoise,GNoise,BNoiseの比例関係がほぼ維持されている。
【0091】
なお、上記の例で、wB=21としてBチャンネル画像を平滑化すると、平滑化領域サイズが大きすぎるため、ぼけた画像になる可能性がある。そこで、ノイズ除去係数決定部160は、ノイズ除去係数wR,wG,wBの比例関係のうち、ノイズ量が小さい2つのチャンネルのノイズ除去係数wR,wGについてのみ、RNoise,GNoiseの比例関係ができるだけ維持されるよう設定し、ノイズ量が最も大きいチャンネルのノイズ除去係数wBについては、wR<wG<wBの関係を満たすように設定してもよい。例えば、wR,wG,wBの比例関係が、RNoise,GNoise,BNoiseの比例関係に出来るだけ近くなるように、wR=5,wG=11,wB=21と設定される場合、ノイズ除去係数決定部160は、11(=wG)<wB≦21を満たす13,15,17のうちいずれかの値をwBに設定するようにしてもよい。例えば、ノイズ除去係数決定部160が、wB=17と設定する場合には、wB=21と設定する場合に比べ、平滑化後のBチャンネル画像がぼけた画像になるのを抑えることができる。
【0092】
このようにして、ノイズ除去係数決定部160は、各チャンネル画像のノイズ除去係数をそれぞれ設定する。ノイズ除去係数決定部160は、設定した各チャンネル画像のノイズ除去係数(平滑化領域サイズ)をノイズ除去処理部170に出力する。
【0093】
そして、ステップS107で、ノイズ除去処理部170は、ノイズ除去係数決定部160が設定した各チャンネル画像のノイズ除去係数を用いて平滑化処理を行うことにより、各チャンネル画像からノイズを除去する。
【0094】
例えば、ノイズ除去処理部170は、式(7−1)〜(7−3)にしたがって、各チャンネル画像に対するノイズ除去を行う。
【0095】
【数7】

なお、式(7−1)において、RoriginalはRチャンネル画像を表し、R’はRチャンネル画像の改善後画像を表す。また、wR×RoriginalはRチャンネル画像のノイズ相当分の画像情報を表わす。
【0096】
同様に、式(7−2)において、GoriginalはGチャンネル画像を表し、G’はGチャンネル画像の改善後画像を表す。また、wG×GoriginalはGチャンネル画像のノイズ相当分の画像情報を表わす。
【0097】
同様に、式(7−3)において、BoriginalはBチャンネル画像を表し、B’はBチャンネル画像の改善後画像を表す。また、wB×BoriginalはBチャンネル画像のノイズ相当分の画像情報を表わす。
【0098】
ノイズ除去方法については、各チャンネル画像で同様のため、式(7−2)を用いて、Gチャンネル画像のノイズを除去する場合を例に、ノイズ除去方法について説明する。
【0099】
まず、ノイズ除去処理部170は、wG×Goriginalを算出する。wG×Goriginalを算出する方法として、ノイズ除去処理部170は、Gチャンネル画像に対して注目画素を含む所定の周囲画素に対してメディアン・フィルタ処理を実施する。ここで、ノイズ除去処理部170は、所定の周囲画素の範囲にノイズ除去係数を利用する。例えば、wG=11の場合、メディアン・フィルタ処理を実施する所定の周囲画素の範囲を11×11の領域とする。
【0100】
ノイズ除去処理部170は、wG×Goriginalを算出後、Gチャンネル画像GoriginalとwG×Goriginalとの差分を算出し、差分をノイズ除去後画像G’として取得する。
【0101】
同様にして、ノイズ除去処理部170は、Rチャンネル画像のノイズ除去後画像R’及びBチャンネル画像のノイズ除去後画像B’を取得する。
【0102】
そして、ノイズ除去処理部170は、取得したノイズ除去後画像を改善画像格納部180へ出力する。
【0103】
そして、ステップS108で、改善画像格納部180は、ノイズ除去処理部170が生成したノイズ除去後画像R’,G’,B’チャンネル画像を、RGB方式の画像に合成して、合成後の画像を格納する。
【0104】
ステップS109で、画像格納部120は、処理する撮影画像の有無を判定する。そして、処理する撮影画像が無い場合、画像処理を終了する。一方、処理する撮影画像が有る場合、ステップS110で、各チャンネル画像生成部130は、次のフレーム画像を取得して、ステップS102からの処理を開始する。
【0105】
以上のように、本実施の形態では、エッジ画像生成部140は、各チャンネル画像のエッジ画像を生成する。ノイズ推定部150は、ノイズ推定対象のチャンネル画像のエッジ画像である推定対象エッジ画像と、ノイズ推定対象のチャンネル画像と異なるチャンネル画像のエッジ画像である基準エッジ画像との比較結果に基づいて、ノイズ推定対象のチャンネル画像のノイズを推定する。これにより、複数のチャンネル情報に対応する各チャンネル画像のノイズを個別に推定することができる。
【0106】
また、ノイズ除去係数決定部160は、ノイズ推定対象のチャンネル画像のノイズ量に応じてノイズ推定対象のチャンネル画像の平滑化領域サイズを決定する。そして、ノイズ除去処理部170は、ノイズ推定対象のチャンネル画像の平滑化領域サイズを用いて、ノイズ推定対象のチャンネル画像を平滑化することにより、ノイズ推定対象のチャンネル画像のノイズを除去する。これにより、各チャンネル画像ごとに適した平滑化領域サイズが用いられてノイズが除去される。この結果、夜間画像のようにノイズが多い画像に対しても、被写体の輪郭情報を保ちつつ、ノイズを軽減することができる。また、昼・夜の撮影環境に自動的に適応し、当該撮影環境下において撮影された撮影画像のノイズ強度値及びノイズ除去係数を判定することができる。
【0107】
なお、以上の説明では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明をソフトウェアで実現することも可能である。例えば、本発明に係るアルゴリズムをプログラミング言語によって記述し、このプログラムをメモリに記憶しておいて情報処理手段によって実行させることにより、本発明に係る画像処理装置と同様の機能を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明に係る画像処理装置および画像処理方法は、夜間のような低照度車載画像・監視画像のノイズを除去する撮影装置等として有用である。
【符号の説明】
【0109】
100 画像処理装置
110 撮影部
120 画像格納部
130 各チャンネル画像生成部
140 エッジ画像生成部
150 ノイズ推定部
151 エッジ抽出部
152 平滑化部
153 減算部
154 ノイズ算出部
160 ノイズ除去係数決定部
170 ノイズ除去処理部
180 改善画像格納部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャンネル情報を含む撮影画像の画質を改善する画像処理装置であって、
前記複数のチャンネル情報に対応する各チャンネル画像のエッジ画像をそれぞれ生成するエッジ画像生成手段と、
前記エッジ画像のうち、ノイズ推定対象のチャンネル画像のエッジ画像である推定対象エッジ画像と、前記ノイズ推定対象のチャンネル画像と異なるチャンネル画像のエッジ画像である基準エッジ画像との比較結果に基づいて、前記ノイズ推定対象のチャンネル画像のノイズを推定するノイズ推定手段と、
前記ノイズに応じて前記ノイズ推定対象のチャンネル画像の平滑化領域サイズを決定する決定手段と、
前記平滑化領域サイズを用いて前記ノイズ推定対象のチャンネル画像を平滑化することにより、前記ノイズ推定対象のチャンネル画像のノイズを除去するノイズ除去手段と、
を具備する画像処理装置。
【請求項2】
前記ノイズ推定手段は、
前記推定対象エッジ画像と前記基準エッジ画像とに含まれるエッジ情報を用いて、前記推定対象エッジ画像のみに存在するエッジ情報を、推定対象エッジ情報として抽出する抽出手段と、
前記推定対象エッジ情報を平滑化することにより、前記推定対象エッジ情報に含まれるノイズを除去して平滑化推定対象エッジ情報を取得する平滑化手段と、
前記推定対象エッジ情報と前記平滑化推定対象エッジ情報との差分に基づいて、前記ノイズ推定対象のチャンネル画像のノイズを算出するノイズ算出手段と、を具備する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記決定手段は、
前記各チャンネル画像のノイズと基準ノイズとの閾値判定結果に基づいて、前記各チャンネル画像の平滑化領域サイズの上限値又は下限値を設定する、
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記決定手段は、
前記各チャンネル画像の平滑化領域サイズの比例関係が、前記各チャンネル画像のノイズの比例関係に近くなるように、前記各チャンネル画像の平滑化領域サイズを設定する、
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
複数のチャンネル情報を含む撮影画像の画質を改善する画像処理方法であって、
前記複数のチャンネル情報に対応する各チャンネル画像のエッジ画像をそれぞれ生成し、
前記エッジ画像のうち、ノイズ推定対象のチャンネル画像のエッジ画像である推定対象エッジ画像と、前記ノイズ推定対象のチャンネル画像と異なるチャンネル画像のエッジ画像である基準エッジ画像との比較結果に基づいて、前記ノイズ推定対象のチャンネル画像のノイズを推定し、
前記ノイズに応じて前記ノイズ推定対象のチャンネル画像の平滑化領域サイズを決定し、
前記平滑化領域サイズを用いて前記ノイズ推定対象のチャンネル画像を平滑化することにより、前記ノイズ推定対象のチャンネル画像のノイズを除去する、
画像処理方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−18466(P2012−18466A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153983(P2010−153983)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】