説明

画像処理装置及び画像処理方法

【課題】細線化に応じた先端かすれの補正又は掃き寄せの補正を行う。
【解決手段】画像処理装置10は、画像データを解析して、画像の輪郭を形成する外エッジの画素を検出し、そのエッジ方向を判定する輪郭検出部1と、検出された前記外エッジの画素を細線化処理し、当該画素の画素値を減じる細線化処理部2と、前記画像データを印刷処理する際の用紙の搬送方向と、前記外エッジの画素のエッジ方向とに応じて、当該外エッジの画素に対する先端かすれの補正値を決定し、前記細線化処理によって当該外エッジの画素の画素値が減じられた割合に応じて、前記先端かすれの補正値を減じ、減じられた補正値を、当該外エッジの画素の画素値に加算して先端かすれを補正する輪郭調整部3と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の印刷処理を行うプリンター等では、用紙上に印刷された画像に、あたかもトナーが掃き寄せられたかのような濃度ムラが生じることがあった。これは、文字や図形等の画像の濃度が、用紙の搬送方向先端側で減少し、後端側で上昇する現象である。一般に、先端側の濃度が減少する濃度ムラは先端かすれと呼ばれ、後端側の濃度が上昇する濃度ムラは掃き寄せと呼ばれている。
【0003】
掃き寄せの問題に対しては、従来、掃き寄せが知覚されにくい補正オブジェクトを生成する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この方法によれば、オブジェクトの色、用紙の搬送方向に対するオブジェクトの輪郭線の角度等に応じて、掃き寄せが知覚されやすい領域の濃度が調整される。
【0004】
一般に、文字等の画像は鮮鋭性が要求されるため、画像の輪郭の画素値を減ずる細線化処理や、文字の輪郭線を強調する処理が行われることが多い(例えば、特許文献2参照)。
しかし、細線化処理が行われても、掃き寄せが生じると、文字の画像の濃度が用紙の搬送方向の後端側で上昇するため、細線化の効果が得られない。逆に、先端かすれが生じると、細線化処理による濃度の減少に、先端かすれによる濃度の減少も加わるため、過剰に細線化されることになる。元の画像自体が細線であると、過剰な細線化によって線がかすれたり消失したりすることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−58765号公報
【特許文献2】特許第4189467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、細線化処理だけでなく、掃き寄せや先端かすれの補正も、画像の輪郭線を形成する画素を対象として画素値を増減する処理であるため、従来は細線化処理と掃き寄せ等の補正を両立させることは困難であった。
【0007】
本発明の課題は、細線化に応じた先端かすれの補正又は掃き寄せの補正を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、
画像データを解析して、画像の輪郭を形成する外エッジの画素を検出し、そのエッジ方向を判定する輪郭検出部と、
検出された前記外エッジの画素を細線化処理し、当該画素の画素値を減じる細線化処理部と、
前記画像データを印刷処理する際の用紙の搬送方向と、前記外エッジの画素のエッジ方向とに応じて、当該外エッジの画素に対する先端かすれの補正値を決定し、前記細線化処理によって当該外エッジの画素の画素値が減じられた割合に応じて、前記先端かすれの補正値を減じ、減じられた補正値を、当該外エッジの画素の画素値に加算して先端かすれを補正する輪郭調整部と、
を備える画像処理装置が提供される。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、
前記輪郭検出部は、前記外エッジより1画素内側の輪郭を形成する内エッジの画素を検出してそのエッジ方向を判定し、
前記輪郭調整部は、
前記用紙の搬送方向と、前記内エッジの画素のエッジ方向とに応じて、当該内エッジの画素に対する先端かすれの補正値を決定し、
前記細線化処理によって前記外エッジの画素の画素値が減じられた割合に応じて、前記外エッジの画素に対し決定された補正値を分割して、当該外エッジの画素と当該外エッジの画素のエッジ方向に隣接する内エッジの画素に割り振り、
前記外エッジの画素の画素値に、分割され、外エッジの画素に割り振られた前記補正値を加算し、前記内エッジの画素の画素値に、内エッジの画素に対し決定された前記補正値と、分割され、内エッジの画素に割り振られた前記外エッジの補正値とを加算して、先端かすれを補正する請求項1に記載の画像処理装置が提供される。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、
画像データを解析して、画像の輪郭を形成する外エッジの画素を検出し、そのエッジ方向を判定する輪郭検出部と、
検出された外エッジの画素を細線化処理し、当該画素の画素値を減じる細線化処理部と、
前記画像データを印刷処理する際の用紙の搬送方向と、前記外エッジの画素のエッジ方向とに応じて、当該外エッジの画素に対する掃き寄せの補正値を決定し、前記細線化処理によって当該外エッジの画素の画素値が減じられた割合に応じて、前記掃き寄せの補正値を減じ、減じられた補正値を、当該外エッジの画素の画素値に加算して掃き寄せを補正する輪郭調整部と、
を備える画像処理装置が提供される。
【0011】
請求項4に記載の発明によれば、
前記輪郭検出部は、前記外エッジより1画素内側の輪郭を形成する内エッジの画素を検出してそのエッジ方向を判定し、
前記輪郭調整部は、
前記用紙の搬送方向と、前記内エッジの画素のエッジ方向とに応じて、内エッジの画素に対する掃き寄せの補正値を決定し、
前記細線化処理によって前記外エッジの画素の画素値が減じられた割合に応じて、前記外エッジの画素に対し決定された補正値を分割して、当該外エッジの画素と当該外エッジの画素のエッジ方向に隣接する内エッジの画素に割り振り、
前記外エッジの画素の画素値に、分割され、外エッジの画素に割り振られた前記補正値を加算し、前記内エッジの画素の画素値に、内エッジの画素に対し決定された前記補正値と、分割され、内エッジの画素に割り振られた前記補正値を加算して、掃き寄せを補正する請求項3に記載の画像処理装置が提供される。
【0012】
請求項5に記載の発明によれば、
前記補正値は、補正値が加算される画素値が所定値dより大きいとき、一定値tnであり、当該画素値が所定値d以下のとき、tn/dに当該画素値を乗算して得られる値である請求項1〜4の何れか一項に記載の画像処理装置が提供される。
【0013】
請求項6に記載の発明によれば、
前記輪郭調整部は、前記内エッジの画素をγ補正処理し、その画素値を調整する請求項2又は4に記載の画像処理装置が提供される。
【0014】
請求項7に記載の発明によれば、
前記輪郭調整部から出力された画像データを、コントーン処理するコントーン処理部と、
前記細線化処理部から出力された画像データを、スクリーン処理するスクリーン処理部と、
外エッジ及び内エッジの画素については、コントーン処理された画像データを選択して出力し、外エッジ及び内エッジでない画素については、スクリーン処理された画像データを選択して出力する選択部と、
を備える請求項2、4又は6に記載の画像処理装置が提供される。
【0015】
請求項8に記載の発明によれば、
画像データの各画素のうち画像の輪郭を形成する外エッジの画素を検出し、そのエッジ方向を判定する工程と、
検出された外エッジの画素を細線化処理し、当該画素の画素値を減じる工程と、
前記画像データの印刷処理時の用紙の搬送方向と、前記外エッジの画素のエッジ方向とに応じて、当該外エッジの画素に対する先端かすれの補正値を決定する工程と、
前記細線化処理によって前記外エッジの画素の画素値が減じられた割合に応じて、前記先端かすれの補正値を減じる工程と、
減じられた前記補正値を、前記外エッジの画素の画素値に加算して先端かすれを補正する工程と、
を含む画像処理方法が提供される。
【0016】
請求項9に記載の発明によれば、
画像データの各画素のうち画像の輪郭を形成する外エッジの画素を検出し、そのエッジ方向を判定する工程と、
検出された外エッジの画素を細線化処理し、当該画素の画素値を減じる工程と、
前記画像データの印刷処理時の用紙の搬送方向と、前記外エッジの画素のエッジ方向とに応じて、当該外エッジの画素に対する掃き寄せの補正値を決定する工程と、
前記細線化処理によって前記外エッジの画素の画素値が減じられた割合に応じて、前記掃き寄せの補正値を減じる工程と、
減じられた前記補正値を、前記外エッジの画素の画素値に加算して掃き寄せを補正する工程と、
を含む画像処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、先端かすれの補正値の加算により、先端かすれの補正を行うことができる。細線化処理によって減じられた画素値の割合に応じて、補正値が減じられるので、外エッジにおいて細線化の効果を現すことができ、細線化に応じた先端かすれの補正が可能である。
【0018】
また、本発明によれば、掃き寄せの補正値の加算により、掃き寄せの補正を行うことができる。細線化処理によって減じられた画素値の割合に応じて、補正値が減じられるので、外エッジにおける過剰な細線化を防止でき、細線化に応じた掃き寄せの補正が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施の形態に係る画像処理装置の構成図である。
【図2】5×5画素の図である。
【図3】(a)、(b)外エッジのエッジ方向の判定例を示す図である。
【図4】内エッジのエッジ方向の判定例を示す図である。
【図5】エッジ方向が表された画像の図である。
【図6】異なる複数の補正値の例を示す図である。
【図7】(a)外エッジの画素のγ補正処理に用いられる補正関数を示す図である。(b)内エッジの画素のγ補正処理に用いられる補正関数を示す図である。
【図8】実施例と比較例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の画像処理装置及び画像処理方法の実施の形態について説明する。
【0021】
図1は、本実施の形態に係る画像処理装置10を示す。
画像処理装置10は、入力された画像データを細線化処理、スクリーン処理して出力する。プリンターやコピー機、MFPs(Multi-Functional Peripherals)等の印刷処理を行う印刷装置に、画像処理装置10を搭載することができる。画像処理装置10は、印刷装置の印刷特性によって生じる、先端かすれ、掃き寄せの補正処理を行うこともできる。
【0022】
画像処理装置10は、図1に示すように、輪郭検出部1、細線化処理部2、輪郭調整部3、コントーン処理部4、スクリーン処理部5、選択部6を備える。
【0023】
輪郭検出部1は、画像データを解析して、画像の輪郭を形成するエッジの画素を検出し、そのエッジ方向及びエッジ分類を判定する。エッジ方向とは画素値が小さい画素から大きい画素へ向かう方向である。エッジには外エッジと内エッジのエッジ分類があり、外エッジは画像の輪郭を形成するエッジ、内エッジは外エッジより1画素内側の輪郭を形成するエッジである。エッジ方向及びエッジ分類の判定結果は、画像データとともに細線化処理部2に出力される。
【0024】
輪郭検出部1は、5×5画素単位で画像データを入力してその中心に注目する。
図2は5×5画素を示す。図2において、各画素に付されている数字は各画素の識別番号を表す。輪郭検出部1は、5×5画素の中心に位置する、識別番号12の注目画素がエッジであるか否かを判定し、エッジであればさらにエッジ方向及びエッジ分類を判定する。
【0025】
以下、判定方法を具体的に説明する。
まず、輪郭検出部1は、注目画素と注目画素の上下左右に隣接する周辺画素との画素値の差分SP、注目画素と注目画素の上下左右において注目画素から2画素離れた周辺画素との画素値の差分SFをそれぞれ算出する。
算出式は以下の通りである。Cは[]内の識別番号で示される各画素の画素値を表す。
SP[u]=C[12]−C[7]
SP[l]=C[12]−C[11]
SP[r]=C[12]−C[13]
SP[d]=C[12]−C[17]
SF[u]=C[12]−C[2]
SF[l]=C[12]−C[10]
SF[r]=C[12]−C[14]
SF[d]=C[12]−C[22]
【0026】
次に、輪郭検出部1は、SP[r]とSP[l]の大小関係から、注目画素の主走査方向におけるエッジ方向Pxを判定し、SP[u]とSP[d]の大小関係から、副走査方向におけるエッジ方向Pyを判定する。Px、Pyは0又は±1の値をとり得る。0はエッジが無いことを表し、1はエッジがあることを表す。正負の符号はエッジ方向を表し、主走査方向において左方向を−、右方向を+で表す。また、副走査方向において上方向を+、下方向を−で表す。
【0027】
例えば、SP[l]<SP[r]であれば、図3(a)に示すように注目画素の左右に隣接する周辺画素のうち右側の方が、画素値が小さい。よって、輪郭検出部1は主走査方向におけるエッジ方向を左方向と判定し、Px=−1を出力する。一方、SP[l]>SP[r]であれば、図3(b)に示すように注目画素の左右の周辺画素のうち左側の方が、画素値が小さい。よって、輪郭検出部1は主走査方向におけるエッジ方向を右方向と判定し、Px=+1を出力する。SP[l]=SP[r]であれば、輪郭検出部1はPx=0を出力し、SP[u]=SP[d]であれば、Py=0を出力する。
【0028】
エッジ方向Px又はエッジ方向Pyの何れかが+1又は−1である場合、注目画素を境界にその上下左右に隣接する周辺画素間で画素値に差が生じている。よって、エッジ方向Px又はエッジ方向Pyの何れかが+1又は−1のとき、輪郭検出部1は注目画素をエッジであると判定し、外エッジに分類する。
【0029】
次に、輪郭検出部1は、主走査方向のエッジ方向Pxと副走査方向のエッジ方向Pyの組み合わせによって、外エッジである注目画素の総合的なエッジ方向P(P=0〜7)を下記のように決定し、注目画素のエッジ方向Pとして出力する。
Px=+1かつPy=−1のとき、P=4
Px=+1かつPy=0のとき、P=2
Px=+1かつPy=+1のとき、P=7
Px=0かつPy=−1のとき、P=0
Px=0かつPy=+1のとき、P=1
Px=−1かつPy=−1のとき、P=6
Px=−1かつPy=0のとき、P=3
Px=−1かつPy=+1のとき、P=5
【0030】
下記表はエッジ方向Pの値とエッジ方向の対応関係を示す。エッジ方向Pは、上下左右の4方向に、斜め方向の4方向を加えた合計8方向である。
【表1】

【0031】
一方、Px=Py=0の場合、注目画素に隣接する周辺画素間で画素値の差が生じていないので、注目画素は外エッジではないが、内エッジである可能性がある。そこで、輪郭検出部1は、注目画素から上下左右に2画素離れた周辺画素から求めた、SF[r]とSF[l]、SF[u]とSF[d]をそれぞれ比較する。
SF[r]=SF[l]又はSF[u]=SF[d]のとき、注目画素と2画素離れた周辺画素間でも画素値の差が無いので、輪郭検出部1は注目画素が内エッジではないと判定する。これにより、注目画素は外エッジでもなく内エッジでもない、つまりエッジではないという判定結果が得られる。
【0032】
SF[r]とSF[l]、SF[u]とSF[d]の比較において差があれば、輪郭検出部1は注目画素が内エッジであると判定する。この場合、輪郭検出部1は、上述の外エッジの場合と同様に、SF[r]とSF[l]の大小関係から主走査方向のエッジ方向Pxを求め、SF[u]とSF[d]の大小関係から副走査方向のエッジ方向Pyを求める。例えば、図4に示すように、SP[l]=SP[r]であるが、SF[l]<SF[r]である場合、輪郭検出部1は注目画素が内エッジであり、主走査方向のエッジ方向Pxを左方向と判定してPx=−1を出力する。最終的に、輪郭検出部1はエッジ方向Px、Pyの組み合わせによって、内エッジの総合的なエッジ方向Pを、上記と同様に求める。
【0033】
細線化処理部2は、入力された画像データを細線化処理し、輪郭検出部1により外エッジと判定された画素の画素値を減じる。細線化処理された画像データは、エッジの判定結果、つまりエッジ方向、エッジ分類とともに、輪郭調整部3に出力される。また、細線化処理された画像データはスクリーン処理部5にも出力される。
【0034】
以下、エッジ方向Pに応じて外エッジの画素の画素値を減じる例を説明するが、外エッジの画素の画素値の減じ方は特に限定されない。所定値だけ減じることとしてもよいし、外エッジの画素値に応じて減じるようにしてもよい。
【0035】
細線化処理時、細線化処理部2は、外エッジの画素の画素値と、当該画素のエッジ方向Pの逆方向に隣接する画素の画素値を補間して、外エッジの画素の細線化処理後の画素値を算出する。算出式は以下の通りである。
C[OEs]=C[OE]×f/100+C[PA]×(100−f)/100
上記式において、C[OEs]は外エッジの画素の細線化処理後の画素値、C[OE]は外エッジの画素の元の画素値、C[PA]はエッジ方向Pの逆方向に隣接する画素の画素値を表す。
fは細線化強度(%)を表す係数であり、f=0〜100である。fは適宜設定可能である。細線化の程度を大きくしたい場合は70%、細線化の程度を小さくしたい場合は30%というように、設定することができる。
【0036】
例えば、図2において識別番号12の画素が外エッジであり、エッジ方向Pが右方向を示すP=2の場合、エッジ方向と逆方向に隣接する画素は識別番号11の画素である。細線化強度が30%に設定された場合、f=30が上記式に入力され、識別番号12の画素の画素値の30%と識別番号11の画素の画素値の70%が合算され、識別番号12の画素の細線化処理後の画素値として出力される。このように、エッジ方向Pと逆方向に隣接する画素、つまり外エッジよりも画素値が小さい背景の画素値を、前景の外エッジの画素の画素値に取り込むことにより、外エッジの画素の画素値を減じることができる。
【0037】
輪郭調整部3は、図1に示すようにエッジ方向処理部31、エッジ分類処理部32を備える。
エッジ方向処理部31は、細線化処理された画像データの各画素のうち、エッジと判定された画素の画素値に、先端かすれの補正値又は掃き寄せの補正値を加算して、先端かすれ又は掃き寄せの補正を行う。なお、エッジであれば外エッジ又は内エッジの分類によらず、補正の対象となる。エッジ方向処理部31は、先端かすれの補正値又は掃き寄せの補正値を、細線化処理によって外エッジの画素値が減じられた割合に応じて減じる。
【0038】
図5は、ある画像について判定されたエッジ方向を示している。
図5に例示するように、先端かすれが生じやすい、用紙の搬送方向先端側の画素は、そのエッジ方向Pが用紙の搬送方向と逆方向であるか、逆方向に近い斜め方向である。また、掃き寄せが生じやすい、用紙の搬送方向後端側の画素は、そのエッジ方向Pが搬送方向と同じ方向であるか、搬送方向に近い斜め方向である。
【0039】
よって、エッジ方向処理部31は、画像データを印刷処理する際の用紙の搬送方向と、エッジ方向Pとによって、先端かすれ又は掃き寄せの補正の対象とその補正値を決定する。
エッジ方向処理部31は、先端かすれの補正の対象を、エッジ方向PがP=2、4、7である外エッジ又は内エッジの画素とし、先端かすれの補正値として、正の補正値に決定する。正の補正値を加算することにより、先端かすれの発生によって減少する画像の濃度値を補う。
また、エッジ方向処理部31は、掃き寄せの補正の対象を、エッジ方向PがP=3、5、6である外エッジ又は内エッジの画素とし、掃き寄せの補正値として負の補正値に決定する。負の補正値を加算することにより、掃き寄せの発生によって上昇する画像の濃度値を相殺する。
【0040】
具体的には、エッジ方向処理部31は、先端かすれ及び掃き寄せの補正値として、異なる複数の補正値を有し、このなかから、用紙の搬送方向と、外エッジ及び内エッジと判定された画素のエッジ方向Pに応じた補正値に決定する。先端かすれ及び掃き寄せによる画像の濃度変化は、用紙の搬送方向とエッジ方向Pが近いほど大きく現れる傾向がある。よって、先端かすれと掃き寄せのそれぞれに1つの補正値を用いるのではなく、図6に示すように大きさを変えた補正値を切り替えて用いることにより、先端かすれ及び掃き寄せによる濃度変化の大きさに合わせて、補正の程度も切り替えられるようにする。
【0041】
図6は、補正値の一例を示す。
図6に示すように、大小2つの正の補正値T1、T2と、大小2つの負の補正値T3、T4の合計4つの補正値Tn(n=1〜4)がある。補正値T1、T2は、印刷処理を経て生じる先端かすれにより減少する画像の濃度値を予め特定し、その減少分を補える補正値を、実験的、経験的に求めればよい。同様に、補正値T3、T4は、掃き寄せにより上昇する濃度値を予め特定して、その上昇分を相殺できる補正値を、実験的、経験的に求めればよい。
【0042】
図6に示すように、各補正値Tnは、補正値Tnが加算される画素値が所定値dより大きいとき、一定値tn(n=1〜4)であるが、当該画素値が0以上所定値d以下の低濃度領域にあるとき、それぞれ傾きtn/dに、当該画素値を乗算することで得られる値である。
低濃度領域において補正値Tnを一定値tnから減じた値とすることにより、補正による画質の劣化を防止することができる。補正値Tnは外エッジ及び内エッジの画素の画素値に加算されるが、低濃度領域では画素値の急激な変化が視覚的に目立ちやすい。よって、低濃度領域では一定値tnではなく、画素値に応じて減じられた補正値を用いることにより、補正値Tnの加算によるエッジの画素の画素値の変化を緩和し、補正による画質の劣化を防止する。
【0043】
エッジ方向処理部31は、外エッジ及び内エッジの画素のエッジ方向PがP=2であれば、当該画素に対する先端かすれの補正値として、最も補正の程度が大きい正の補正値T1に決定する。また、エッジ方向処理部31は、エッジ方向PがP=4又はP=7であれば、当該画素に対する先端かすれの補正値として、次に補正の程度が大きい正の補正値T2に決定する。
【0044】
エッジ方向処理部31は、外エッジ及び内エッジの画素のエッジ方向PがP=3であれば、当該画素に対する掃き寄せの補正値として、最も補正の程度が大きい負の補正値T4に決定する。また、エッジ方向処理部31は、エッジ方向PがP=5又はP=6であれば、当該画素に対する掃き寄せの補正値として、次に補正の程度が大きい負の補正値T3に決定する。
【0045】
エッジ方向PがP=0又はP=1である画素に対しては、エッジ方向処理部31は補正値0に決定する。すなわち、搬送方向と垂直のエッジ方向Pを持つ画素は補正の対象外である。
【0046】
エッジ方向Pに応じた補正値Tnが決定されると、エッジ方向処理部31は細線化処理によって外エッジの画素の画素値が減じられた割合に応じて、外エッジの画素に対し決定された補正値Tnを減じる。単に、割合に比例して補正値Tnを減じ、割合が大きいほど補正値Tnを小さくしてもよいが、外エッジの補正値Tnを外エッジと内エッジの2画素に割り振ることにより、外エッジの補正値Tnを減じてもよい。この場合、細線化処理によって減じられた画素値の割合に応じて、外エッジの画素に対し決定された補正値Tnを分割し、外エッジの画素とそのエッジ方向に隣接する内エッジの画素にそれぞれ振り分ける。
【0047】
内エッジの画素は細線化処理の対象ではないので、細線化処理を経て残存する内エッジの画素の画素値の割合は100%である。細線化処理によって外エッジの画素の画素値が減じられた割合をx%とすると、細線化処理を経て残存する外エッジの画素の画素値の割合は(100−x)である。エッジ方向処理部31は、外エッジに対し決定された補正値Tnを、Tn×(100−x)/{100+(100−x)}とTn×100/{100+(100−x)}に分割する。エッジ方向処理部31は、分割された補正値のうち、Tn×(100−x)/{100+(100−x)}を外エッジの画素に割り振り、Tn×100/{100+(100−x)}を内エッジの画素値に割り振る。
【0048】
これにより、x=0%であれば、内エッジ、外エッジともに細線化はされていないので、内エッジ、外エッジの画素のそれぞれに均等に補正値1/2Tnが割り振られる。x=50%のとき、内エッジには補正値2/3Tnが割り振られ、外エッジには補正値1/3Tnが割り振られる。x=100%のとき、外エッジの画素は細線化されて画素値が0であるため、内エッジに全ての補正値Tnが振り分けられる。
【0049】
エッジ方向処理部31は、外エッジの画素の画素値に、分割され、外エッジに割り振られた補正値Tn×(100−x)/{100+(100−x)}を加算する。また、エッジ方向処理部31は、内エッジの画素の画素値に、内エッジの画素に対し決定された補正値Tnと、分割され、内エッジの画素に割り振られた、外エッジの補正値Tn×100/{100+(100−x)}とを加算する。
【0050】
補正値Tnを分割し、その一方を外エッジに割り振ることにより、外エッジの画素の画素値に加算される補正値Tnを減じることができる。細線化処理によって減じられた画素値の割合が大きいほど、外エッジの画素値に割り振られる補正値Tnは小さくなるので、細線化の強度に比例して補正の程度を小さくすることができる。これにより、細線化処理と先端かすれ又は掃き寄せの補正の双方を両立することが可能である。
【0051】
具体的にいえば、細線化処理後、先端かすれの補正を行うと、先端かすれの補正によって正の補正値T1又はT2が加算されるため、細線化処理によって減じられた画素値が、先端かすれの補正によって増やされる。このため、細線化の効果が十分に得られない場合がある。しかしながら、本実施の形態によれば、細線化の強度が大きいほど、外エッジの画素に加算される正の補正値T1又はT2が小さくなるので、先端かすれの補正を行いつつ、細線化の効果も得ることができる。
【0052】
また、掃き寄せの補正については、細線化処理後、掃き寄せの補正を行うと、掃き寄せの補正によって負の補正値T3又はT4が加算されるため、細線化処理によって減じられた画素値が、掃き寄せの補正によってさらに減じられる。このため、細線化が過剰に行われる場合がある。しかしながら、本実施の形態によれば、細線化の強度が大きいほど、外エッジの画素に加算される負の補正値T3又はT4が小さくなるので、掃き寄せの補正を行いつつ、過剰な細線化を防ぐことができる。
【0053】
さらに、分割された外エッジの画素の補正値Tnの他方を、内エッジの画素に割り振ることにより、内エッジと外エッジの2画素で補正の効果を現すことができる。
上述のように、先端かすれの場合、外エッジの画素値が細線化処理によって大きく減じられているにも拘わらず、先端かすれの補正のため画素値を増やすと、細線化の効果が十分に得られない。よって、正の補正値T1又はT2の一部を内エッジに負担させ、内エッジの画素値を増やすことにより、外エッジで細線化の効果を現し、外エッジと内エッジの2画素によって先端かすれの補正の効果を現すことができる。
【0054】
また、掃き寄せの場合、細線化処理によって既に外エッジの画素の画素値が大きく減じられていると、掃き寄せの補正のために減じる十分な画素値がないため、補正の効果が現れにくい。しかしながら、負の補正値の一部を内エッジに負担させ、内エッジの画素値を減じることにより、外エッジで細線化の効果を現し、外エッジと内エッジの2画素によって掃き寄せの補正の効果を現すことができる。
【0055】
エッジ分類処理部32は、エッジ方向処理部31によって先端かすれ又は掃き寄せの補正が行われた画像データを、外エッジか内エッジかのエッジ分類に応じてγ補正処理する。γ補正処理された画像データは、コントーン処理部4に出力される。
【0056】
エッジ分類処理部32は、外エッジに分類された画素を対象として、図7(a)に示すような補正関数F1によってγ補正処理する。図7(a)に示す補正関数F1は入力と出力の関係が1:1である。すなわち、入力された画素値がそのまま出力される。
【0057】
一方、内エッジ用の補正関数として、図7(b)に示すように3つの補正関数F21〜F23が用意されている。エッジ分類処理部32は、内エッジに分類された画素を対象として、3つのうちの何れかの補正関数F21〜F23を用いて、γ補正処理する。何れを用いるかは適宜設定が可能であり、ユーザが設定してもよい。
【0058】
外エッジ及び内エッジからなる輪郭は、後のコントーン処理によって強調される。コントーン処理後も細線化の効果を残すため、外エッジについてはγ補正処理によって画素値を調整せずに、そのまま出力する。
一方、内エッジについては、補正関数F21〜F23を切り替えて画素値を調整することができる。外エッジの画素が細線化処理によって画素値が0に近付くと、視覚的に内エッジが最外郭の輪郭となる。よって、内エッジによって輪郭の強調の程度を調整できるように、複数の補正関数F21〜F23が準備されている。補正関数F21>補正関数F22>補正関数F21の順に輪郭強調の程度が大きいので、どの程度強調したいかによって、用いる補正関数F21〜F23を切り替えて用いればよい。
【0059】
コントーン処理部4は、輪郭調整部3から出力された画像データをコントーン処理し、選択部6に出力する。コントーン処理は、画像データをそのまま出力する処理である。
【0060】
スクリーン処理部5は、細線化処理部2から出力された画像データをスクリーン処理する。スクリーン処理された画像データは選択部6に出力される。
【0061】
選択部6は、輪郭検出部1の判定結果に基づいて、外エッジ及び内エッジである画素についてはコントーン処理部4から入力された画像データを選択し、外エッジ及び内エッジでない画素についてはスクリーン処理部5から出力された画像データを選択し、出力する。
スクリーン処理された画像データは、ドットの集合によって階調表現されているため、画像の輪郭はドットが有ったり無かったりして輪郭線が不鮮明になることもある。これに対し、コントーン処理された画像データは、各画素の画素値がそのままドットに反映されるので、エッジの画素についてはコントーン処理された画像データを選択することにより、画像の輪郭線を他のスクリーン処理された領域より強調することができる。
【0062】
図8は、上述した画像処理方法によって先端かすれ及び掃き寄せを補正した処理結果の例を示す。
画像データG1は比較例であり、画像G2は画像データG1の印刷処理によって用紙上に印刷された画像である。画像データG1は、輪郭調整部3による先端かすれ及び掃き寄せの補正を行わずに、細線化処理された画像データを、コントーン処理部4、スクリーン処理部5にそれぞれ出力した結果、選択部6から得られた。
【0063】
画像データG3は実施例であり、画像G4は画像データG3の印刷処理によって用紙上に印刷された画像である。画像データG3は、細線化処理された画像データを、輪郭調整部3による先端かすれ及び掃き寄せの補正を経てコントーン処理部4に出力し、同時にスクリーン処理部5にも出力した結果、選択部6から得られた画像データである。
【0064】
図8に示すように、画像データG1、G3は何れもコントーン処理によって文字の画像の輪郭線が強調されている。しかし、画像データG1が印刷処理されると、画像G2の文字の濃度が用紙の搬送方向先端側で減少し、先端かすれが生じている。そのため、文字の輪郭線が一部消失し、文字の鮮鋭性が失われている。一方、搬送方向後端側では濃度が上昇し、掃き寄せが生じている。
これに対し、実施例に係る画像データG3は、比較例に係る画像データG1に比較して、文字の画像の画素値が、用紙の搬送方向の先端側で増やされ、後端側で減じられている。その結果、印刷処理を経た画像G4は搬送方向の先端側も後端側も濃度ムラは無く、先端かすれ及び掃き寄せが解消している。また、文字の輪郭の濃度が全体として均一に減少しており、細線化の効果も現れている。
【0065】
以上のように、本実施の形態に係る画像処理装置10は、画像データを解析して、画像の輪郭を形成する外エッジの画素を検出し、そのエッジ方向を判定する輪郭検出部1と、 検出された外エッジの画素を細線化処理し、当該画素の画素値を減じる細線化処理部2と、画像データを印刷処理する際の用紙の搬送方向と、外エッジの画素のエッジ方向とに応じて、当該外エッジの画素に対する先端かすれの補正値を決定し、細線化処理によって当該外エッジの画素の画素値が減じられた割合に応じて、先端かすれの補正値を減じ、減じられた補正値を、当該外エッジの画素の画素値に加算して先端かすれを補正する輪郭調整部3と、を備える。
【0066】
これにより、先端かすれを解消することができる。先端かすれの補正値は、細線化処理後の画素値の減少の割合に応じて減じられるので、外エッジにおいて細線化の効果を現すことができる。従って、細線化に応じた先端かすれの補正が可能となる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、輪郭調整部3は、画像データを印刷処理する際の用紙の搬送方向と、外エッジの画素のエッジ方向とに応じて、当該外エッジの画素に対する掃き寄せの補正値を決定し、細線化処理によって当該外エッジの画素の画素値が減じられた割合に応じて、掃き寄せの補正値を減じ、減じられた補正値を、当該外エッジの画素の画素値に加算して掃き寄せを補正する。
【0068】
これにより、掃き寄せを解消することができる。掃き寄せの補正値は、細線化処理後の画素値の減少の割合に応じて減じられるので、外エッジにおける過剰な細線化を防止することができる。従って、細線化に応じた掃き寄せの補正が可能となる。
【0069】
なお、上記実施の形態は本発明の好適な一例であり、これに限定されない。本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記実施の形態では掃き寄せと先端かすれの両方を補正する例を示したが、何れか一方のみ補正する構成でもよい。
【0070】
また、エッジ方向を8方向に分類したが、より細かく分類し、エッジ方向毎に切り替えられる補正値を増やしてもよい。これにより、より精度の高い補正が可能である。
【0071】
また、エッジ方向によって補正値Tnを決定する際、上記実施の形態において、外エッジか内エッジかのエッジ分類に関係なく、エッジ方向のみによって補正値Tnを決定する例を示したが、エッジ方向とエッジ分類の組み合わせによって補正値Tnを決定してもよい。内エッジよりも外エッジの方が、先端かすれによる濃度減少又は掃き寄せによる濃度上昇が大きいので、外エッジか内エッジかによって補正値Tnを切り替えることにより、補正の程度を調整することができ、補正の精度が向上する。
【0072】
例えば、先端かすれの補正値として、エッジ方向処理部31は、外エッジであり、エッジ方向Pが用紙の搬送方向と同じである場合、補正の程度が大きい正の補正値T1に決定する。また、エッジ方向処理部31は、外エッジでありエッジ方向Pが用紙の搬送方向に近い斜め方向である場合、内エッジでありエッジ方向Pが用紙の搬送方向と同じ方向又は搬送方向に近い斜め方向である場合、補正の程度が次に大きい正の補正値T2に決定する。
【0073】
なお、補正値Tnの数を増やして、エッジ方向Pとエッジ分類による補正値の切り替えの幅を広げてもよい。これにより、補正の精度がより向上する。
【0074】
また、上記画像処理装置10の各部の動作をプログラム化し、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアがプログラムを読み込むことによって、細線化処理、先端かすれ及び掃き寄せの補正処理、γ補正処理、スクリーン処理等の一連の画像処理を行うこととしてもよい。このときのプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としては、ROM、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【符号の説明】
【0075】
10 画像処理装置
1 輪郭検出部
2 細線化処理部
3 輪郭調整部
31 エッジ方向処理部
32 エッジ分類処理部
4 コントーン処理部
5 スクリーン処理部
6 選択部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを解析して、画像の輪郭を形成する外エッジの画素を検出し、そのエッジ方向を判定する輪郭検出部と、
検出された前記外エッジの画素を細線化処理し、当該画素の画素値を減じる細線化処理部と、
前記画像データを印刷処理する際の用紙の搬送方向と、前記外エッジの画素のエッジ方向とに応じて、当該外エッジの画素に対する先端かすれの補正値を決定し、前記細線化処理によって当該外エッジの画素の画素値が減じられた割合に応じて、前記先端かすれの補正値を減じ、減じられた補正値を、当該外エッジの画素の画素値に加算して先端かすれを補正する輪郭調整部と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記輪郭検出部は、前記外エッジより1画素内側の輪郭を形成する内エッジの画素を検出してそのエッジ方向を判定し、
前記輪郭調整部は、
前記用紙の搬送方向と、前記内エッジの画素のエッジ方向とに応じて、当該内エッジの画素に対する先端かすれの補正値を決定し、
前記細線化処理によって前記外エッジの画素の画素値が減じられた割合に応じて、前記外エッジの画素に対し決定された補正値を分割して、当該外エッジの画素と当該外エッジの画素のエッジ方向に隣接する内エッジの画素に割り振り、
前記外エッジの画素の画素値に、分割され、外エッジの画素に割り振られた前記補正値を加算し、前記内エッジの画素の画素値に、内エッジの画素に対し決定された前記補正値と、分割され、内エッジの画素に割り振られた前記外エッジの補正値とを加算して、先端かすれを補正する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
画像データを解析して、画像の輪郭を形成する外エッジの画素を検出し、そのエッジ方向を判定する輪郭検出部と、
検出された外エッジの画素を細線化処理し、当該画素の画素値を減じる細線化処理部と、
前記画像データを印刷処理する際の用紙の搬送方向と、前記外エッジの画素のエッジ方向とに応じて、当該外エッジの画素に対する掃き寄せの補正値を決定し、前記細線化処理によって当該外エッジの画素の画素値が減じられた割合に応じて、前記掃き寄せの補正値を減じ、減じられた補正値を、当該外エッジの画素の画素値に加算して掃き寄せを補正する輪郭調整部と、
を備える画像処理装置。
【請求項4】
前記輪郭検出部は、前記外エッジより1画素内側の輪郭を形成する内エッジの画素を検出してそのエッジ方向を判定し、
前記輪郭調整部は、
前記用紙の搬送方向と、前記内エッジの画素のエッジ方向とに応じて、内エッジの画素に対する掃き寄せの補正値を決定し、
前記細線化処理によって前記外エッジの画素の画素値が減じられた割合に応じて、前記外エッジの画素に対し決定された補正値を分割して、当該外エッジの画素と当該外エッジの画素のエッジ方向に隣接する内エッジの画素に割り振り、
前記外エッジの画素の画素値に、分割され、外エッジの画素に割り振られた前記補正値を加算し、前記内エッジの画素の画素値に、内エッジの画素に対し決定された前記補正値と、分割され、内エッジの画素に割り振られた前記補正値を加算して、掃き寄せを補正する請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記補正値は、補正値が加算される画素値が所定値dより大きいとき、一定値tnであり、当該画素値が所定値d以下のとき、tn/dに当該画素値を乗算して得られる値である請求項1〜4の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記輪郭調整部は、前記内エッジの画素をγ補正処理し、その画素値を調整する請求項2又は4に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記輪郭調整部から出力された画像データを、コントーン処理するコントーン処理部と、
前記細線化処理部から出力された画像データを、スクリーン処理するスクリーン処理部と、
外エッジ及び内エッジの画素については、コントーン処理された画像データを選択して出力し、外エッジ及び内エッジでない画素については、スクリーン処理された画像データを選択して出力する選択部と、
を備える請求項2、4又は6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
画像データの各画素のうち画像の輪郭を形成する外エッジの画素を検出し、そのエッジ方向を判定する工程と、
検出された外エッジの画素を細線化処理し、当該画素の画素値を減じる工程と、
前記画像データの印刷処理時の用紙の搬送方向と、前記外エッジの画素のエッジ方向とに応じて、当該外エッジの画素に対する先端かすれの補正値を決定する工程と、
前記細線化処理によって前記外エッジの画素の画素値が減じられた割合に応じて、前記先端かすれの補正値を減じる工程と、
減じられた前記補正値を、前記外エッジの画素の画素値に加算して先端かすれを補正する工程と、
を含む画像処理方法。
【請求項9】
画像データの各画素のうち画像の輪郭を形成する外エッジの画素を検出し、そのエッジ方向を判定する工程と、
検出された外エッジの画素を細線化処理し、当該画素の画素値を減じる工程と、
前記画像データの印刷処理時の用紙の搬送方向と、前記外エッジの画素のエッジ方向とに応じて、当該外エッジの画素に対する掃き寄せの補正値を決定する工程と、
前記細線化処理によって前記外エッジの画素の画素値が減じられた割合に応じて、前記掃き寄せの補正値を減じる工程と、
減じられた前記補正値を、前記外エッジの画素の画素値に加算して掃き寄せを補正する工程と、
を含む画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図4】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−70359(P2013−70359A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−141528(P2012−141528)
【出願日】平成24年6月25日(2012.6.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】