説明

画像処理装置及び画像処理方法

【課題】
高画質かつデータ量の少ない画像を生成することができる画像処理装置及び画像処理方法を提供することである。
【解決手段】
実施形態の画像処理装置は、画像データの画素値の分布に基づいて閾値を算出し、算出した閾値に基づいて各画素を2クラスに分離する分離部と、分離部によって分離された一方のクラスの画素を特定の色にした純粋化画像データを作成する純粋化部と、純粋化画像データを疑似階調法によって二値化する疑似階調二値化部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像処理装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばスキャナなどで入力された画像データを二値化する技術がある。二値化は、例えば固定閾値法や動的閾値法などの閾値法や、ディザ法、誤差拡散法、濃度パターン法などの疑似階調法によって行われる。
【0003】
しかしながら、上述の二値化処理においては、処理結果の画像データの画質とデータ量を両立できない、すなわち、画質を良くするとデータ量が多くなり、逆にデータ量を減らすと画質が悪く目視できないというような問題がある。
【0004】
具体的には、閾値法により二値化を行った画像データは、データ量は少なくなるが、かすれなどの発生により画質が悪く目視できない状態の画像データとなることが多い。
【0005】
疑似階調法により二値化を行った画像データは、かすれなどのノイズが少なく、高画質であるが、背景等細かく表現する必要のない部分も階調を表現するため、生成した画像のデータサイズが膨大になる。
【0006】
図13に従来技術における閾値法による二値化画像データと疑似階調法による二値化画像データの一例を示す。図13は写真が添付された住民基本台帳カードの二値化処理を示している。
【0007】
図13の(a)が二値化処理前の原画像データであり、図13(b)が閾値法による二値化画像データであり、(c)が疑似階調法による二値化画像データである。図13に示すように、画像データのサイズは(b)の閾値二値化処理結果の画像データのほうが(c)の画像データよりも小さい。しかしながら(b)の画像データは顔の識別ができない。
【0008】
(c)の画像データは顔の識別は可能であるが、背景の模様も階調表現されており、画像データのサイズが(b)と比べ大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−245148号公報
【特許文献2】特開2000−78405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、高画質かつデータ量の少ない画像を生成することができる画像処理装置及び画像処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態の画像処理装置は、画像データの画素値の分布に基づいて閾値を算出し、算出した閾値に基づいて各画素を2クラスに分離する分離部と、分離部によって分離された一方のクラスの画素を特定の色にした純粋化画像データを作成する純粋化部と、純粋化画像データを疑似階調法によって二値化する疑似階調二値化部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態の画像処理装置における全体構成を示す図。
【図2】実施形態の画像処理装置における動作を示すフローチャート。
【図3】実施形態の画像処理装置に入力される原画像データの一例を示す図。
【図4】実施形態の画像処理装置における二値化処理部の動作の一例を示すフローチャート。
【図5】実施形態の画像処理装置における閾値二値化処理部の動作の一例を示すフローチャート。
【図6】実施形態の画像処理装置における閾値二値化処理部の動作の一例を示すフローチャート。
【図7】実施形態の画像処理装置における画像データの画素を示す図の一例。
【図8】実施形態の画像処理装置における閾値二値化処理部の処理結果の画像データの一例を示す図。
【図9】実施形態の画像処理装置における背景純粋化処理部の動作の一例を示すフローチャート。
【図10】実施形態の画像処理装置における背景純粋化処理の概念を示す図の一例。
【図11】実施形態の画像処理装置における全体構成を示す図。
【図12】実施形態の画像処理装置における疑似階調二値化処理部の処理結果の画像データの一例を示す図。
【図13】従来技術による二値化処理結果の画像データの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態の画像処理装置について図面を参照して説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の画像処理装置100の全体構成を示すブロック図である。図1に示したように、画像処理装置100は、画像入力部10とPCなどのコンピュータ50とが接続された構成である。
【0015】
画像入力部10は、例えばスキャナであり、入力された帳票などの表面を読み取って画像データを取得し、コンピュータ50に送信する。なお、コンピュータ50に入力される画像データは、画像入力部10からに限らず、他のコンピュータに蓄積されている画像データを取得しても良い。
【0016】
コンピュータ50は、二値化処理部20、記憶装置30、及び表示部40を備える。コンピュータ50の機能は、CPU、RAM、ROMなどのメモリ、ハードディスク装置などの補助記憶装置、キーボードなどの入力装置及びマウスなどの指示装置、モニタなどの表示装置、画像入力部10とのインターフェースボードなどのハードウェア、オペレーティングシステム及び画像処理アプリケーションソフトウェアなどのプログラムが協動して実現される。
【0017】
画像入力部10からコンピュータ50に画像データが入力されると、入力された画像データは原画像記憶部31に記憶される。
【0018】
原画像記憶部31に記憶された画像データは、二値化処理部20において二値化処理が行われる。二値化処理部20の処理結果の画像データは、二値化画像記憶部32に記憶される。なお、二値化処理部20による二値化処理前の画像データを原画像データという。
【0019】
二値化処理部20は、閾値二値化処理部21、背景純粋化処理部22、及び疑似階調二値化処理部23を備える。
【0020】
閾値二値化処理部21は、原画像記憶部31に格納された原画像データの画素値の分布に基づいて、例えば判別分析法などによって閾値Tを算出し、その閾値Tに基づいて画素を2つのクラスに分離する閾値二値化処理を行う。なお、閾値二値化処理については後述する。
【0021】
本実施形態の画像処理装置100において、計算された閾値Tより輝度が高い画素をクラス1とする。また、設定された閾値T以下の輝度の画素による画像領域をクラス2とする。
【0022】
本実施形態では、原画像データにおいてクラス1に分離された部分を「背景」とし、クラス2に分離された部分を「前景」とする。ここでは、前景は、写真や文字等画像における有用情報、背景はその他の無用情報と想定している。前景と背景とをどのクラスとするかは、あらかじめユーザや装置の設計者などによって設定されており、画像データ毎に設定を変更することも可能である。すなわち、計算された閾値Tより輝度が高い画素を前景とし、閾値T以下の輝度の画素を背景としてもよい。
【0023】
背景純粋化処理部22は、閾値二値化処理部21の処理結果、前景と判定された画素は原画像データの画素のままとし、背景と判定された画素は特定の色に変換する背景純粋化処理を行う。背景純粋化処理については後ほど詳しく述べる。
【0024】
背景純粋化処理部22によって作成された画像データに対して、疑似階調二値化処理部23が白黒の画素で階調を表現する疑似階調二値化処理を行う。疑似階調二値化処理については後ほど詳しく述べる。
【0025】
疑似階調二値化処理部23によって生成された二値化画像データは、二値化画像記憶部32に記憶される。二値化画像記憶部32に記憶された二値化画像データは表示部40に出力される。表示部40は例えば液晶ディスプレイである。すなわち、画像処理装置100は、出力部として二値化画像記憶部32と表示部40を備える。
【0026】
図2乃至図13を参照して、本実施形態の画像処理装置100における画像処理について説明する。
【0027】
図2は、本実施形態の画像処理装置100における画像処理の一例を示すフローチャートである。
【0028】
まず、画像処理装置100の画像入力部10が、コンピュータ50に原画像データを入力する(ステップS10)。コンピュータ50は入力された画像データを原画像記憶部31に記憶させる(ステップS20)。図3に原画像記憶部31が記憶する原画像データG0の一例を示す。図3に示すように、本実施形態では顔写真が添付された住民基本台帳カードが原画像記憶部31に記憶される。
【0029】
二値化処理部20が、原画像記憶部31から原画像データを取得し、二値化処理を行う(ステップS30)。なお、二値化処理は画像データがコンピュータ50に入力される毎に開始してもよいし、ユーザの指示によって開始してもよい。もしくは、一定の周期毎に、原画像記憶部31に追加された画像データ二値化処理に行なってもよい。
【0030】
二値化処理部20は、二値化処理の結果生成した二値化画像データを二値化画像データ記憶部32に記憶する(ステップS40)。二値化画像データが二値化画像データ記憶部32に記憶されると、コンピュータ50は、二値化画像データ記憶部32に格納された画像データを表示部40に表示し(ステップS50)、画像処理を終了する。
【0031】
ここで、図4を参照して、本実施形態の二値化処理部20による画像データに二値化処理について具体的に説明する。図4は本実施形態の二値化処理部20による画像データの二値化処理の一例を示すフローチャートである。
【0032】
まず、二値化処理部20は、原画像データ記憶部30から原画像データを取得する(ステップS31)。図3に取得した原画像データG0を示す。
【0033】
閾値二値化処理部21は、原画像データG0の画素値の分布に基づいて、原画像データG0を前景と背景に分離する閾値Tを算出するための閾値算出処理を行う(ステップS32)。閾値Tの算出は、例えば判別分析法によって行なう。
【0034】
ここで、図5を参照して、ステップS32において閾値二値化処理部21によって行われる閾値算出処理の一例を具体的に説明する。なお、閾値二値化処理部21によって算出される閾値Tは0から255の間の値である。
【0035】
なお、閾値算出処理において閾値二値化処理部21は、分離度σが最大となる場合の閾値Tを算出する。
【0036】
分離度σは下記の式にて定義される。
【0037】
σ=クラス間分散σ/クラス内分散σ ・・・(1)
クラス内分散σ=(S1B1+S2B2)/(S1+S2)・・・(2)
クラス間分散σy=S1S2(A1−A2)/(S1+S2)・・・(3)
S1はクラス1の画素の画素数、A1はクラス1の輝度平均値、B1はクラス1の輝度分散である。同様に、S2はクラス2の画素の画素数、A2はクラス2の輝度平均値、B2はクラス2の輝度分散である。
【0038】
すなわち、S1S2(A1−A2)が最大であれば、分散度σは最大となる。閾値二値化処理部21は、このときの閾値Tを算出する。ここで、R=S1S2(A1−A2)とし、Rの最大値をRmaxとする。
【0039】
閾値二値化処理部21は、閾値T、クラス1の画素数をS1、クラス1の輝度平均値A1、クラス1の輝度分散B1、クラス2の画素数をS2、クラス2の輝度平均値A2、クラス2の輝度分散B2、Rmaxをすべて0とする(ステップS320)。
【0040】
また、ここでは整数「n」を用いる。nは0以上255以下の整数である。まず、閾値二値化処理部21はnに1を代入する(ステップS321)。
【0041】
閾値二値化処理部21は、輝度がn未満の画素数をS1に、輝度がn未満の画素の平均輝度値をA1に、輝度がn以上の画素数をS2に、輝度がn以上の画素の平均輝度値をA2に、それぞれ代入する(ステップS322)。閾値二値化処理部21は、このときのRを算出する(ステップS323)。
【0042】
算出したRがRmax以上である場合(ステップS324がNo)、閾値二値化処理部21は、RmaxにRを代入し、閾値Tにnを代入する(ステップS325)。すなわち、Rmaxと閾値Tを更新する。その後、nが255より大きい数値かどうかを判定する(ステップS326)。算出したRがRmax未満である場合(ステップS324がYes)、閾値二値化処理部21は、Rmaxと閾値Tを更新せずにnが255より大きい数値化どうかを判定する(ステップS326)。
【0043】
閾値Tが255以下数値である場合(ステップS326がNo)、閾値二値化処理部21は、nにn+1を代入する(ステップS327)。その後、閾値二値化処理部21は、ステップS322に戻り処理を繰り返す。
【0044】
閾値Tが255より大きい数値である場合(ステップS326がYes)、すなわち、すべての画素について閾値算出処理を行った場合、閾値二値化処理部21は閾値算出処理を終了する。
【0045】
ここで、図4の説明に戻る。閾値二値化処理部21は、算出した閾値Tと各画素の画素値を比較し、原画像データに含まれる画素のうち画素値が閾値T以上の画素を白色に変換し、閾値T未満の画素を黒色に変換した参照画像データを作成する(ステップS33)。すなわち、閾値二値化処理部21は、算出した閾値Tと各画素の画素値を比較して、画素値が閾値T以上の画素を背景と判定し、画素値が閾値T未満の画素を前景と判定する。閾値二値化処理部21は、背景と判定した画素を白色に、前景と判定した画素を黒色に変換した参照画像データを作成する。
【0046】
図6を参照して、図4のステップS33における閾値二値化処理部21による参照画像作成処理について説明する。
【0047】
なお、処理対象の原画像データG0に含まれる各画素の輝度をG0(a,b)と示す(0≦G0(a,b)≦255)。aは画素の行数を示し、bは画素の列数を示す。図7に原画像データG0の画素を示す概念図を示す。
【0048】
閾値二値化処理部21は、aに1を代入する(ステップS331)。aが画像データG0の画素行数以下の場合(ステップS332がNo)、閾値二値化処理部21は、bに1を代入する。
【0049】
bが画像データG0の画素列数以下の場合(ステップS334がYes)、閾値二値化処理部21は、対象の画素の輝度G0(a,b)が算出した閾値T以上かどうかを判定する(ステップS336)。G0(a,b)が閾値T未満である場合(ステップS336がYes)、閾値二値化処理部21は、この画素は前景であると判定し、「黒色」に変換する(ステップS337)。すなわち、閾値二値化処理後の画像データをG1とすると、「G1(a,b)=0(黒色)」とする。
【0050】
G0(a,b)が閾値T以上である場合(ステップS336がNo)、閾値二値化処理部21は、この画素は背景であると判定し、「白色」に変換する(ステップS338)。すなわち、閾値二値化処理後の画像データをG1とすると、「G1(a,b)=255(白色)」とする。
【0051】
閾値二値化処理部21は、bにb+1を代入し(ステップS339)、ステップS334から処理を繰り返す。
【0052】
bが画像データG0の画素列数より大きい場合(ステップS334がNo)、閾値二値化処理部21はaにa+1を代入する(ステップS335)。その後、ステップS332に戻り処理を繰り返す。
【0053】
aが画像データG0の画素行数より大きい場合(ステップS332がYes)、閾値二値化処理は終了する。
【0054】
上述の閾値二値化処理により、閾値二値化処理部21は、原画像データに含まれる画素を前景と背景に分離する。閾値二値化処理部21は、背景に分離された画素を白色に変換して参照画像データを作成する。図8に、図3に示した原画像データG0を用いて作成された参照画像データG1を示す。なお、参照画像データG1に含まれる各画素の輝度をG1(a,b)と示す(0≦G1(a,b)≦255)。
【0055】
図4のステップS34に戻る。背景純粋化処理部22は、原画像データG0と、閾値二値化処理部21の処理結果作成された参照画像データG1とを参照して原画像データG0の背景を特定の色とする背景純粋化処理を行う(ステップS34)。ここでは、特定の色を白とする。
【0056】
図9及び図10を参照して、背景純粋化処理部22による背景純粋化処理について説明する。図9は背景純粋化処理の一例を示すフローチャートである。なお、背景純粋化処理結果の画像データを純粋化画像データG2とする。
【0057】
背景純粋化処理部22は、aに1を代入する(ステップS341)。aが画像データG0の画素行数以下の場合(ステップS342がNo)、背景純粋化処理部22は、bに1を代入する。
【0058】
bが画像データG0の画素列数以下の場合(ステップS344がYes)、背景純粋化処理部22は、画像データG1の画素が白色かどうかを判定する(ステップS346)。すなわち、G1(a,b)が背景かどうかを判定する。
【0059】
G1(a,b)が白色である場合(ステップS346がYes)、背景純粋化処理部22は、G2(a,b)にG1(a,b)を代入する(ステップS347)。すなわち、G2(a,b)を白色とする。
【0060】
G0(a,b)が白色でない場合(ステップS346がNo)、背景純粋化処理部22は、この画素を原画像データG0の対応する画素と置換する(ステップS348)。すなわち、G1(a,b)にG0(a,b)を代入する。
【0061】
背景純粋化処理部22は、bにb+1を代入し(ステップS349)、ステップS344から処理を繰り返す。
【0062】
bが画像データG0の画素列数より大きい場合(ステップS344がNo)、背景純粋化処理部22はaにa+1を代入する(ステップS345)。その後、ステップS342に戻り処理を繰り返す。
【0063】
aが画像データG0の画素行数より大きい場合(ステップS342がYes)、背景純粋化処理は終了する。
【0064】
上述の背景純粋化処理によって、背景純粋化処理部22は、前景部分は原画像データであり、背景部分は特定の色である純粋化画像データG2が作成される。
【0065】
なお、参照画像データG1を作成せずに、純粋化画像データG2を作成することも可能である。この場合、背景純粋化処理部22は、算出された閾値Tと原画像データG0の各画素G0(a,b)を比較する。閾値TがG0(a,b)以上であれば、背景純粋化処理部22は、この画素を白色に変換する。すなわち、背景純粋化処理部22は、純粋化画像データG2におけるG2(a,b)=255とする。
【0066】
閾値TがG0(a,b)未満であれば、背景純粋化処理部22は、この画素を変換せず、原画像データのままとする。すなわち、背景純粋化処理部22は、純粋化画像データG2におけるG2(a,b)=G0(a,b)とする。
【0067】
図10に背景純粋化処理の概念図を示す。図10に示すように、背景純粋化処理部22によって作成される純粋化画像データG2は、参照画像データG1における背景の画素(斜線部分)はそのまま反映され、参照画像データG1における前景の画素は、対応する原画像データの画素が反映される。
【0068】
図4の説明に戻る。疑似階調二値化処理部23は、背景純粋化処理部22の処理結果の純粋化画像データG2を白黒の階調で表現する疑似階調二値化処理を行なう(ステップS35)。疑似階調二値化処理は例えば疑似階調法によって行なわれる。疑似階調法には、ディザ法、誤差拡散法、濃度パターン法などの方法があり、本実施形態では誤差拡散法を用いる。
【0069】
ここで、誤差拡散法は、階調を表現する疑似階調法の一種であり、明るさに応じて動的に黒画素の比率を変えて変換する方法である。すなわち、誤差拡散法は、前の画素で発生した誤差を次の画素に加算するものである。
【0070】
図11及び図12を参照して、疑似階調二値化処理部23の処理について説明する。
【0071】
図11は、疑似階調二値化処理部23の動作の一例を示すフローチャートである。また、疑似階調二値化処理部23によって作成される画像データをG3とし、画像データG3に含まれる各画素の輝度をG3(a,b)と示す。また、画素を閾値Tに基づいて二値化した際の二値化後の画素値と二値化前の画素値の差を誤差Er(a,b)と示す。
【0072】
まず、疑似階調二値化処理部23は、aに1を代入する(ステップS351)。aが画像データG2の画素行数以下の場合(ステップS352がNo)、疑似階調二値化処理部23は、bに1を代入する。
【0073】
bが画像データG2の画素列数以下の場合(ステップS354がYes)、疑似階調二値化処理部23は、画像データG2の画素の輝度が、閾値2値化処理部21が算出した閾値T未満かどうかを判定する(ステップS356)。すなわち、G2(a,b)<Tかどうかを判定する。
【0074】
G2(a,b)<Tである場合(ステップS356がYes)、疑似階調二値化処理部23は、誤差Er(a,b)にG2(a,b)を代入するとともにG3(a,b)に0を代入する(ステップS357)。
【0075】
G2(a,b)≧Tである場合(ステップS356がNo)、疑似階調二値化処理部23は、誤差Er(a,b)にG2(a,b)−255を代入するとともにG3(a,b)に255を代入する(ステップS358)。
【0076】
すなわち、背景純粋化処理部22による処理結果の画像データG2において、白色の画素においては、誤差Er(a,b)は0となる。背景純粋化処理部22による処理結果の画像データG2において、白色以外の画素においては、誤差Er(a,b)はこの画素の輝度となる。
【0077】
ここで、a+1がG2の画素行数以上、もしくはb+1がG2の画素列数以上である場合(ステップS359がNo)、疑似階調二値化処理部23は、G2(a+1,b)にG2(a+1,b)+Er(a,b)×3/8を代入し、G2(a+1,b+1)にG2(a+1,b+1)+Er(a,b)×1/4を代入し、G2(a,b+1)にG2(a,b+1)+Er(a,b)×3/8を代入する(ステップS360)。
【0078】
ステップS360に続いて、もしくは、a+1がG2の画素行数未満、かつb+1がG2の画素列数未満である場合(ステップS359がYes)、疑似階調二値化処理部23はbにb+1を代入し、S354から処理を繰り返す。
【0079】
bが画像データG2の画素列数より大きい場合(ステップS354がNo)、疑似階調二値化処理部23はaにa+1を代入する(ステップS355)。その後、ステップS352に戻り処理を繰り返す。
【0080】
aが画像データG2の画素行数より大きい場合(ステップS352がYes)、疑似階調二値化処理は終了する。
【0081】
これにより、閾値二値化処理部22によって、クラス2に分離された前景の画素のみに疑似階調二値化処理を行うことが可能となる。
【0082】
図4のステップS36に戻る。二値化処理部20は疑似階調二値化処理部23によって作成された画像データG3を二値化画像記憶部32に記憶する(ステップS36)。これにより、二値化処理部20による処理は終了する。図12に画像データG3の一例を示す。
【0083】
上述のように、本実施形態の画像処理装置100は、閾値二値化処理によって閾値T未満であると判定された画素を特定の1色に変換する。閾値二値化処理によって背景を特定の1色とされた画像データに疑似階調二値化処理を行うことによって、写真などの有用部分が識別可能であり、かつデータ量の少ない画像データを生成することができる。すなわち、画像処理装置100は高画質かつ低データ量である二値化画像を生成できる。
【0084】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態はあくまでも例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
10…画像入力部、20…二値化処理部、30…記憶装置、40…表示部、50…コンピュータ、100…画像処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データの画素値の分布に基づいて閾値を算出し、算出した閾値に基づいて各画素を2クラスに分離する分離部と、
前記分離部によって分離された一方のクラスの画素を特定の色にした純粋化画像データを作成する純粋化部と、
前記純粋化画像データを疑似階調法によって二値化する疑似階調二値化部と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
画像データを入力する入力部と、
入力された前記画像データを記憶する記憶部と、
前記画像データの画素値の分布に基づいて閾値を算出し、算出した前記閾値に基づいて前記画像データを二値化した参照画像データを作成する閾値2値化処理部と
前記参照画像データに含まれる画素のうち一方の画素値を持つ画素を前記原画像データの対応する画素と置換した純粋化画像データを作成する純粋化部と、
前記純粋化画像データを疑似階調法によって二値化する疑似階調二値化部と、
を備える画像処理装置。
【請求項3】
画像データを入力する入力部と、
入力された前記画像データを記憶する記憶部と、
前記画像データの画素値の分布に基づいて閾値を算出する算出部と
前記画像データに含まれる画素のうち、画素値が算出された前記閾値以上の画素を特定の色にした純粋化画像データを作成する純粋化部と、
前記純粋化画像データを疑似階調法によって二値化する疑似階調二値化部と、
を備える画像処理装置。
【請求項4】
画像データを入力する入力部と、
入力された前記画像データを記憶する記憶部と、
前記画像データの画素値の分布に基づいて閾値を算出する算出部と
画素値が、算出された前記閾値以下の画素を特定の色にする純粋化部と、
前記純粋化画像データを疑似階調法によって二値化する疑似階調二値化部と、
を備える画像処理装置。
【請求項5】
前記特定の色は白もしくは黒である請求項3乃至請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記疑似階調二値化処理部による処理結果の画像データを出力する出力部を備える請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の画像処理装置
【請求項7】
画像データを記憶する記憶部を備える画像処理装置の画像処理方法であって、
画像データを入力するステップと、
入力された前記画像データを記憶するステップと、
前記画像データの画素値の分布に基づいて閾値を算出し、算出した前記閾値に基づいて各画素を2クラスに分離するステップと、
前記画像データの分離された一方のクラスの画素を特定の色にした純粋化画像データを作成するステップと、
前記純粋化画像データを疑似階調法によって二値化するステップと、
を備える画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−77924(P2013−77924A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215735(P2011−215735)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】