画像処理装置
【課題】 原稿をセットする向きが予め決められているときに、すべての原稿が正しい向きにセットされた状態で原稿を読み取って印刷するための技術を提供する。
【解決手段】
原稿台と、原稿台上に置かれた矩形形状の原稿を読み取って画像データを出力するスキャナ部と、スキャナ部から出力された画像データに基づいて、印刷媒体上に前記原稿の画像を印刷して出力するプリンタ部30とを有する画像処理装置であって、スキャナ部が出力した画像データに基づいて、原稿の領域を抽出する原稿領域抽出部530と、原稿領域抽出部530が抽出した原稿領域の向きが所定の向きであるかを判別する向き判別部540と、向き判別部540による判別の結果、原稿領域の向きが所定の向きでないときは、原稿の並べ替えを促す情報を表示する表示部とを備える。
【解決手段】
原稿台と、原稿台上に置かれた矩形形状の原稿を読み取って画像データを出力するスキャナ部と、スキャナ部から出力された画像データに基づいて、印刷媒体上に前記原稿の画像を印刷して出力するプリンタ部30とを有する画像処理装置であって、スキャナ部が出力した画像データに基づいて、原稿の領域を抽出する原稿領域抽出部530と、原稿領域抽出部530が抽出した原稿領域の向きが所定の向きであるかを判別する向き判別部540と、向き判別部540による判別の結果、原稿領域の向きが所定の向きでないときは、原稿の並べ替えを促す情報を表示する表示部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿となる画像を読み取り、読み取った画像を印刷する画像処理装置に関し、特に、原稿が予め決められた向きにセットされているかを印刷前に判定する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の複写装置は、原稿台上に載置された原稿の位置やサイズを自動的に検知して、最適なサイズの用紙を自動的に選択する機能や、選択された用紙に合わせて自動的に変倍する機能が搭載されている。また、原稿台上に載置された複数枚の原稿を検出し、原稿台上に載置された複数枚の原稿のそれぞれに対して異なる処理を行う機能を有する複写装置もある。ここで、原稿台上に載置された複数枚の原稿を検出し、原稿ガラス上に載置された複数枚の原稿のそれぞれに対して異なる処理を行う機能を有する複写装置は、原稿の原稿枚数を検出する枚数検出手段と、各原稿の位置座標を検出する座標検出手段と、枚数検出手段により検出された枚数分の処理を座標検出手段により検出された位置座標に従って処理を行う。すなわち、当該複写装置は原稿台上に複数の原稿が雑然と載置されていても、各画像の位置座標を回転及び移動処理することで、印刷用紙に方向精度良く印刷することができる機能を有している(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開平4−150560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような複写装置は、高機能であるが故に、高速のCPU、大容量のメモリ、そして高度なプログラムを必要とする。つまり、このような複写装置を実用化するには、多大なコストがかかる。そこで、必要な機能を厳選することにより、低コストで複写装置を実現することもできる(例えば、公知でない関連技術として特願2003−350137号がある)。
【0005】
例えば、読み込んだ画像データをCPUで処理し、画像を回転させて印刷するという機能を省略すれば、複写装置に搭載するメモリの容量を少なく抑えることができる。この場合、原稿をセットする向きが予め決められ、正しい向きにセットされていない原稿は正しく印刷されない。従って、正しい向きにセットされていない原稿があるときは、その旨をユーザに知らせて、正しく置き直させるのが好ましい。
【0006】
そこで、本発明の目的は、原稿をセットする向きが予め決められているときに、すべての原稿が正しい向きにセットされた状態で原稿を読み取って印刷するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの実施態様に従う画像処理装置は、原稿台と、前記原稿台上に置かれた矩形形状の原稿を読み取って画像データを出力するスキャナ部と、前記スキャナ部から出力された画像データに基づいて、印刷媒体上に前記原稿の画像を印刷して出力する画像出力部とを有する画像処理装置であって、前記スキャナ部が出力した画像データに基づいて、前記原稿の領域を抽出する原稿抽出部と、前記原稿抽出部が抽出した原稿領域の向きが所定の向きであるかを判別する判別部と、前記判別部による判別の結果、前記原稿領域の向きが前記所定の向きでないときは、原稿の並べ替えを促す情報を表示する表示部とを備える。
【0008】
好適な実施形態では、前記原稿のサイズの指定を受け付ける原稿サイズ受付部をさらに備え、前記判別部は、前記原稿抽出部が抽出した原稿領域に対する、前記所定の向きの外接矩形を求め、前記指定された原稿サイズの辺の長さと、前記外接矩形の辺の長さとに基づいて、前記原稿の向きが前記所定の向きであるかを判定するようにしてもよい。
【0009】
好適な実施形態では、前記原稿台に複数枚の矩形形状の原稿が置かれている場合、前記表示部は、前記所定の向きでない原稿が一つ以上あるときに、前記スキャナ部が出力した画像データ、または、前記原稿抽出部により抽出された各原稿領域に基づいて、前記原稿台上での向きを示す画像を表示するようにしてもよい。
【0010】
好適な実施形態では、前記表示部は、前記原稿台における前記原稿の向きを示す画像において、前記所定の向きの原稿と、前記所定の向きでない原稿とを異なる表示態様で表示することもできる。
【0011】
本発明の一つの実施態様に従う画像処理装置は、原稿台と、前記原稿台上に置かれた複数の矩形形状の原稿を読み取って画像データを出力するスキャナ部と、前記スキャナ部から出力された画像データに基づいて、印刷媒体上に前記原稿の画像を印刷して出力する画像出力部とを有する画像処理装置であって、前記スキャナ部から出力された画像データに基づいて、前記複数の原稿のそれぞれの領域を抽出し、抽出された各原稿領域に対応して各原稿領域の向きが所定の向きであるかを判定する画像処理を行う画像処理部と、前記画像処理部に入力された画像データ、または、前記画像処理部で抽出された各原稿領域に基づいて、各原稿の向きを示す画像を表示させると共に、前記画像処理部によって判定された各原稿領域に対応した判定結果に基づいて、前記各原稿の向きを示す画像に対応させて前記判定結果を示す情報を表示させる表示制御部とを備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る、原稿画像を入力するためのスキャナ機能、画像データに基づいて画像を用紙等の媒体に記録するプリンタ機能、スキャナ機能により入力した画像を用紙等に記録するローカルコピー機能を有するスキャナ・プリンタ・コピー複合装置(以下、SPC複合装置という)について、図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係るSPC複合装置1の概略構成を示した斜視図、図2はスキャナ部10のカバーを開いた状態を示す斜視図、図3はSPC複合装置1の内部構成を示す説明図、図4はプリンタ部の内部を露出させた状態を示す斜視図である。
【0013】
SPC複合装置1は、原稿5の画像を読み取って画像データとして取り込むためのスキャナ部10と、スキャナ部10が取り込んだ画像データに基づいて画像を用紙等の媒体に記録するプリンタ部30と、SPC複合装置1全体の制御を司る制御回路50と、入力手段をなす操作パネル部70とを有している。そして制御回路50の制御により、スキャナ機能、プリンタ機能、及び、スキャナ部10から入力されたデータをプリンタ部30にて記録するローカルコピー機能を実現する。
【0014】
スキャナ部10はプリンタ部30の上に配置され、スキャナ部10の上部に、読み取る原稿5を載置するための原稿台12と、シート状の原稿5を読み取る際や、不使用時に原稿台12を覆う原稿台カバー14と、原稿台カバー14の開閉を検知するためのセンサ13が設けられている。原稿台カバー14は、開閉可能に形成され、閉止した際には原稿台12上に載置された原稿を原稿台12側に押圧する機能も有している。また、SPC複合装置1の背面側にはプリンタ部30へ用紙7を供給するための用紙供給部32が設けられ、前面側には下側に、印刷された用紙7が排紙される排紙部34、上側に入力手段としての操作パネル部70が設けられており、プリンタ部30に制御回路50が内蔵されている。
【0015】
排紙部34には、不使用時に排紙口を塞ぐことが可能な排紙トレー341が備えられ、用紙供給部32には、カット紙(図示しない)を保持する給紙トレー321が備えられている。印刷に用いる媒体としては、カット紙など単票状印刷用紙のみならず、ロール紙などの連続した印刷用紙でも構わず、SPC複合装置1がロール紙への印刷を可能とする給紙構造を備えていてもよい。
【0016】
図4に示すように、プリンタ部30とスキャナ部10とは、背面側にてヒンジ機構41により結合されており、ヒンジ機構41の回動部を中心としてユニット化されたスキャナ部10が手前側から持ち上げられる。スキャナ部10を持ち上げた状態では、プリンタ部30を覆うカバーの上部に設けられた開口301からプリンタ部30の内部が露出される構成となっている。このようにプリンタ部30の内部を露出させることにより、インクカートリッジ等の交換や、用紙詰まりの処理等を容易に行える構成としている。
【0017】
また、本SPC複合装置1への電源部はプリンタ部30側に設けられており、前記ヒンジ機構41の近傍にスキャナ部10へ電源を供給するための給電ケーブル43が設けられている。
【0018】
<<操作パネル部70の構成>>
図5は、SPC複合装置1の操作パネル部70の構成の一例を示す図である。図5に示すように、操作パネル部70はそのほぼ中央に表示部としての液晶ディスプレイ72と、報知ランプ74とが設けられている。液晶ディスプレイ72は、設定項目や設定状態、動作状態等を文字にて表示することが可能である。液晶ディスプレイ72の脇に設けられた報知ランプ74は、エラー発生時に点灯してユーザにエラー発生を報知する。液晶ディスプレイ72の右側には、カラーコピーボタン84と、モノクロコピーボタン86と、ストップボタン88と、コピー枚数設定ボタン90とが設けられている。
【0019】
カラーコピーボタン84は、カラーコピーを開始させるためのボタンであり、モノクロボタン86はモノクロコピーを開始させるためのボタンである。コピー枚数・設定変更ボタン90は、表面に「+」又は「−」が表記された2つのボタン901,902で構成され、「+」ボタン901を押すことにより設定枚数が増加され、「−」ボタン902を押すことにより設定枚数が減少される。また、前記ボタン901,902は、液晶ディスプレイ72に表示された設定項目を変更する機能も有する。液晶ディスプレイ72の手前側には、液晶ディスプレイ72に表示される設定項目を切り替えるメニューボタン92が設けられている。メニューボタン92は、左右に配置された2つのボタンで構成され、それぞれ左向きの矢印又は右向きの矢印が表記されている。左右いずれかのメニューボタン92が押される毎に、表示される設定項目が決められた順に順次切り替わる。
【0020】
<<スキャナ部10の構成>>
スキャナ部10は、原稿5が載置される原稿台12と、原稿台12に載置された原稿5の読み取り面を原稿台12側に押圧するための原稿台カバー14と、原稿台12を介して対向し原稿5と一定の間隔を保ちながら原稿5に沿って走査する読取キャリッジ16と、読取キャリッジ16を走査するための駆動手段18と、読取キャリッジ16を安定した状態にて走査させるための規制ガイド20とで構成されている。
【0021】
読取キャリッジ16は、原稿台12を介して原稿5に光を照射するための光源としての露光ランプ22と、原稿5による反射光を集光させるレンズ24と、原稿5による反射光をレンズ24に導くための4枚のミラー26と、レンズを透過した反射光を受光するCCDセンサ28と、前記規制ガイド20と係合するガイド受け部29とで構成されている。
【0022】
CCDセンサ28は、光信号を電気信号に変換するフォトダイオードが列状に配置された3本のリニアセンサで構成され、これら3本のリニアセンサは平行に配置されている。CCDセンサ28は、図示しないR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の3つのフィルタを備え、リニアセンサ毎に異なる色のフィルタが設けられている。各リニアセンサはフィルタの色に対応した成分の光をそれぞれ検出する。例えば、Rのフィルタを備えたリニアセンサは赤色成分の光の強弱を検出する。3本のリニアセンサは、読取キャリッジ16の移動方向(以下、「副走査方向」という)にほぼ直交する方向(以下、「主走査方向」という)に沿わされて配置される。
【0023】
CCDセンサ28の長さは、読み取り可能な原稿5の幅(主走査方向の長さ)より十分に短いため、原稿5の反射光による像は、レンズ24によって縮小させてCCDセンサ28上に結像させることになる。すなわち、原稿5とCCDセンサ28との間に介在されるレンズ24は、CCDセンサ28側に近づけて配置するとともに、原稿5とレンズ24との距離を長く設定する必要があり長い光路長が要求される。このため、走査する読取キャリッジ16の限られたスペースの中で原稿5とレンズ24との距離を確保すべく4枚のミラー26にて反射させて長い光路長を確保している。
【0024】
また、原稿5による反射光は、4枚のミラー26によって反射されレンズ24を透過してCCDセンサ28に至るが、3本のリニアセンサは平行に配置されているため、各リニアセンサに同時に結像する反射光の原稿に対する反射位置は、リニアセンサの間隔分だけ副走査方向にズレが生じることになる。このため、制御回路50のスキャナコントロールユニット58(図10)では、このズレを補正するためのライン間補正処理が行われる。ライン間補正処理については後述する。
【0025】
前記規制ガイド20は、副走査方向に沿って設けられ、ステンレス製の円筒材で形成されている。この規制ガイド20は、読取キャリッジ16に設けられ、スラスト軸受けでなる2カ所のガイド受け部29を貫通している。読取キャリッジ16に設けられた2カ所のガイド受け部29の副走査方向における間隔を広げることにより、読取キャリッジ16を安定させて走査させることが可能となる。
【0026】
駆動手段18は、読取キャリッジ16に固定された環状のタイミングベルト181と、このタイミングベルト181と噛み合うプーリ182を備え、副走査方向の一方の端部側に配置されたパルスモータ183と、他方の端部側に配置されてタイミングベルト181に張力を付与するアイドラプーリー184とで構成されている。このパルスモータ183は、制御回路50のスキャナコントロールユニット58(図10)により駆動されるが、パルスモータ183の速度に応じて変更される読取キャリッジ16の走査速度により、読み取った画像を副走査方向に拡大及び縮小することが可能となる。
【0027】
そして、スキャナ部10では、露光ランプ22の光を原稿5に照射し、その反射光をCCDセンサ28上に結像させつつ、読取キャリッジ16を原稿5に沿って移動させる。このとき、CCDセンサ28が受光した光量を示す電圧値として所定の周期で読み込むことにより、1周期の間に読み取りキャリッジ16が移動した距離分の画像を、出力する画像の1ライン分のデータとして取り込んでいく。このとき、1ライン分のデータとして、R成分、G成分、B成分の3つのデータが取り込まれる。
【0028】
<<プリンタ部30の構成>>
図6は印刷ヘッド周辺の配置を示した説明図、図7は印刷用紙搬送機構の駆動部を説明するための説明図である。次に、図3、図6、図7を参照してプリンタ部30について説明する。
【0029】
プリンタ部30は、カラー画像の出力が可能な構成であり、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、ブラック(K)の4色の色インクを、印刷用紙等の媒体上に吐出してドットを形成することによって画像を形成するインクジェット方式を採用している。なお、色インクとして、上記4色に加えて、ライトシアン(薄いシアン、LC)、ライトマゼンタ(薄いマゼンタ、LM)、ダークイエロ(暗いイエロ、DY)を用いてもよい。
【0030】
プリンタ部30は、図示するように、書込キャリッジ36に搭載された印刷ヘッド38を駆動してインクの吐出及びドット形成を行う機構と、この書込キャリッジ36をキャリッジモータ40によって用紙7の搬送方向と直交する方向に往復動させる機構と、紙送りモータ(以下、PFモータともいう)42によって給紙トレー321(図1参照)から供給される用紙7を搬送する機構とを有している。
【0031】
インクの吐出及びドット形成を行う機構は、インク吐出部としての複数のノズルを備えた印刷ヘッド38を備え、印刷指令信号に基づいて所定のノズルからインクを吐出させる。印刷ヘッド38の下面381には、用紙7の搬送方向に沿って、複数のノズルが列をなし、用紙7の搬送方向と直交する方向に複数列設けられている。印刷ヘッド38及びノズル配列の詳細は後述する。印刷ヘッド38には各ノズルに対応させて16ビットのメモリを備えており、後述するヘッドコントロールユニット68(図10)からは、各ノズルに16ビット単位でデータが転送される。
【0032】
書込キャリッジ36を往復動させる機構は、書込キャリッジ36を駆動するキャリッジモータ(以下、CRモータともいう)40と、用紙7の搬送方向と直交する方向に設けられ、書込キャリッジ36を摺動可能に保持する摺動軸44と、書込キャリッジ36に固定されたリニア式エンコーダ46と、所定の間隔にスリットが形成されたリニア式エンコーダ用符号板461と、キャリッジモータ40の回転軸に取付けられたプーリ48と、プーリ48によって駆動されるタイミングベルト49から構成されている。
【0033】
書込キャリッジ36には、印刷ヘッド38と、この印刷ヘッド38と一体に設けられたカートリッジ装着部が固定され、このカートリッジ装着部には、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)等のインクが収容されたインクカートリッジが装着される。
【0034】
給紙トレー321から供給される用紙7を搬送する機構は、前記印刷ヘッド38と対向して配置され、用紙7と印刷ヘッド38とが適切な距離となるように用紙7を案内する案内部材としてのプラテン35と、このプラテン35に対し用紙7の搬送方向の上流側に設けられ、供給された用紙7をプラテン35に所定の角度にて接触するように搬送する搬送ローラ37と、プラテン35に対し用紙7の搬送方向の下流側に設けられ、搬送ローラ37から外れた用紙7を搬送して排紙するための排紙ローラ39と、搬送ローラ37及び排紙ローラ39を駆動するためのPFモータ42と、用紙7の搬送量を検出するためのロータリ式エンコーダ47と、用紙7の有無及び用紙7の先端・後端を検出するための用紙検出センサ45とを有している。
【0035】
搬送ローラ37は用紙7の搬送経路下側に設けられており、その上側には搬送ローラ37と対向させて用紙7を保持するための従動ローラ371が設けられている。排紙ローラ39も用紙7の搬送経路下側に設けられて、その上側に排紙ローラ39と対向させて用紙7を保持するための従動ローラ391が設けられているが、排紙ローラ39と対向する従動ローラ391は薄板でなり外周部に細かな歯が設けられたローラであり、印刷後の用紙7の表面と接触してもインクが擦れないように構成されている。
【0036】
また、搬送ローラ37と用紙7との接触位置は、プラテン35と用紙7との接触位置より高くなるように配置されている。すなわち搬送ローラ37から搬送された用紙7はプラテン35と所定の角度にて接触し、さらに搬送される。これにより、用紙7はプラテン35の後述する案内面351に押し付けられるように沿わされて搬送される。このため、プラテン35によって用紙7をノズルから適正な位置に維持させて良好な画像を得ることが可能となる。
【0037】
また、搬送ローラ37と排紙ローラ39とは、ギア列31により繋げられ、PFモータ42の回転が伝達されて回動され、両ローラ37,39による用紙7の搬送速度は一致している。
【0038】
プラテン35は、印刷ヘッド38の下面381、即ちノズルが設けられている面と対向し、用紙7を接触させて案内する案内面351を有している。この案内面351は、印刷ヘッド38下面381のノズルが設けられている領域より狭く形成され、用紙7の搬送方向における最上流側および最下流側に位置するノズルの幾つかはプラテン35と対向していない。これにより、用紙7の先端及び後端を印刷する際に、用紙7の外側に吐出したインクがプラテン35に付着することを防止し、その後搬送される用紙7の裏面が汚れることを防止している。すなわち、上流側端及び下流側端のノズルと対向する位置にはプラテン35を設けることなく空間としている。そしてこの空間部分には、プラテン35の案内面351より低い位置にインク受けを備え、不要なインクを回収してプリンタ内が汚れないようにしている。
【0039】
用紙検知センサ45は、搬送ローラ37より搬送方向の上流側に設けられ、用紙7の搬送経路より高い位置に回動中心を持つレバー451とその上方に設けられ、発光部と受光部とを有する透過型光センサ452とを有している。レバー451は、自重によって搬送経路に垂れ下がるように配置され給紙トレー321から供給された用紙7によって回動される作用部453と、この作用部453と回動中心を挟んで反対側に位置し、発光部と受光部との間を通過するように設けられた遮光部454とで構成されている。そして、用紙検知センサ45は、供給された用紙7によりレバー451が押され、用紙7が所定位置に達すると遮光部454は発光部が発した光を遮るため、用紙7が所定の位置に達したことが検出される。その後、搬送ローラ7により用紙7が搬送されて、用紙7の後端が通過すると、レバー451は自重によって垂れ下がり、遮光部454が発光部と受光部との間から外れ、発光部の光が受光部に受光され、用紙7の後端が所定の位置に到達することを検出する。したがって、遮光部454が発光部の光を遮っている間は、少なくとも搬送経路内に用紙7が存在することが検出される。
【0040】
<<ノズルの構成について>>
図8は、印刷ヘッド38の下面381におけるノズルの配列を示す説明図である。印刷ヘッド38の下面381には、ブラックインクノズル列33(K)と、シアンインクノズル列33(C)と、マゼンタインクノズル列33(M)と、イエローインクノズル列33(Y)が形成されている。各ノズル列33は、各色のインクを吐出するための吐出口であるノズルを複数個(本実施形態では10個)備えている。
【0041】
各ノズル列33の複数のノズルは、紙搬送方向に沿って、一定の間隔(ノズルピッチ:k・D)でそれぞれ整列している。ここで、Dは、紙搬送方向における最小のドットピッチ(つまり、用紙32に形成されるドットの最高解像度での間隔)であり、例えば、解像度が720dpiであれば1/720インチ(約35.3μm)である。また、kは、1以上の整数である。
また、各ノズル列33のノズルは、下流側のノズルほど小さい番号が付され、それぞれ第1ノズルN1〜第10ノズルN10とする。各ノズルには、各ノズルを駆動してインク滴を吐出させるための駆動素子としてピエゾ素子(不図示)が設けられている。
【0042】
なお、印刷時には、用紙7が搬送ローラ37及び排紙ローラ39によって間欠的に所定の搬送量Fで搬送され、その間欠的な搬送の間に書込キャリッジ36が走査方向に移動して各ノズルからインク滴が吐出される。
【0043】
<<印刷ヘッドの駆動>>
図9は、ヘッドコントロールユニット68(図10)内に設けられた駆動信号発生部の構成を示すブロック図である。次に、印刷ヘッド38の駆動について、図9を参照しつつ説明する。
【0044】
図10は、制御回路50の一例を示すブロック図であり、駆動信号発生部は、複数のマスク回路204と、原駆動信号発生部206と、駆動信号補正部230とを備えている。マスク回路204は、印刷ヘッド38のノズルN1〜N10をそれぞれ駆動するための複数のピエゾ素子に対応して設けられている。なお、図8において、各信号名の最後に付されたかっこ内の数字は、その信号が供給されるノズルの番号を示している。原駆動信号発生部206は、ノズルN1〜N10に共通に用いられる原駆動信号ODRVを生成する。この原駆動信号ODRVは、一画素分の主走査期間内に、第1パルスW1と第2パルスW2の2つのパルスを含む信号である。駆動信号補正部230は、マスク回路204が整形した駆動信号波形のタイミングを復路全体で前後にずらし、補正を行う。この駆動信号波形のタイミングの補正によって、往路と復路におけるインク滴の着弾位置のズレが補正される、すなわち、往路と復路におけるドットの形成位置のズレが補正される。
【0045】
図9に示すように、入力されたシリアル印刷信号PRT(i)は、原駆動信号発生部206から出力される原駆動信号ODRVとともにマスク回路204に入力される。このシリアル印刷信号PRT(i)は、一画素当たり2ビットのシリアル信号であり、その各ビットは、第1パルスW1と第2パルスW2とにそれぞれ対応している。
【0046】
そして、マスク回路204は、シリアル印刷信号PRT(i)のレベルに応じて原駆動信号ODRVをマスクするためのゲートである。すなわち、マスク回路204は、シリアル印刷信号PRT(i)が1レベルのときには原駆動信号ODRVの対応するパルスをそのまま通過させて駆動信号DRVとしてピエゾ素子に供給し、一方、シリアル印刷信号PRT(i)が0レベルのときには原駆動信号ODRVの対応するパルスを遮断する。
【0047】
<<制御回路50の内部構造>>
図10は、制御回路50の一例を示すブロック図である。SPC複合装置1の制御回路50は、SPC複合装置1全体の制御を司るCPU54と、制御のためのプログラムを記憶したROM55と、スキャナ機能、プリント機能、ローカルコピー機能の各制御を司る制御ASIC51と、CPU54から直接データを読み書き可能なSDRAM56と、入力手段としての操作パネル部70とがバスによって繋がっている。制御ASIC51には、スキャナユニット10、印刷ヘッド38、および制御ASIC51から直接データを読み書き可能なASIC用SDRAM69などが繋げられている。
【0048】
制御ASIC51は、スキャナコントロールユニット58と、2値化処理ユニット60と、インターレース処理ユニット62と、イメージバッファユニット64と、CPUインターフェイスユニット(以下、CPUIFユニットという)66と、ヘッドコントロールユニット68と、外部のホストコンピュータ3との入出力手段としてのUSBインターフェイス(以下、USBIFという)52と、スキャナ部10及びプリンタ部30が備える各モータやランプ等のドライバを備えている。また、制御ASIC用SDRAM69には、ラインバッファ691、インターレースバッファ692、イメージバッファ693がそれぞれ割り当てられている。制御ASIC51とASIC用SDRAM69との間では、データ転送の高速化を図るためにデータの転送単位を64bitとする所謂バースト転送が行われる。
【0049】
スキャナコントロールユニット58は、スキャナ部10が備える露光ランプ22、CCDセンサ28、読取キャリッジ駆動モータとしてのパルスモータ183等の各制御や、CCDセンサ28を介して読み込んだデータを、ラインバッファ691を介して2値化処理ユニット60に送出する機能を有する。
【0050】
2値化処理ユニット60は、送出された多階調のRGBデータをCMYKの2値データに変換し、インターレース処理ユニット62に送出する機能を有する。
【0051】
インターレース処理ユニット62は、1ラスタライン(印刷画像における主走査方向の1ライン)を複数回の書込キャリッジ36の走査にて印刷する所謂オーバーラップ印刷する際には、1ラスタラインのCMYKのデータを書込キャリッジ36の走査毎に印刷するデータに振り分けてオーバーラップ印刷対応データ(以下、「OL対応データ」という)を生成する機能を有する。生成されたOL対応データは、ASIC用SDRAM69のインターレースバッファ692に記憶される。
【0052】
また、インターレース処理ユニット62では、インターレースバッファ692に記憶されたデータを、インターレース処理ユニット62内のSRAM621に所定のサイズ毎に読み出して、SRAM621上で、ノズル配列に対応させるべく並び替えてイメージバッファユニット64に送出する機能を有する。
【0053】
イメージバッファユニット64では、インターレース処理ユニット62から送出されたデータを、書込キャリッジ36の走査毎の各ノズルにインクを吐出させるためのヘッド駆動データを生成する機能を有する。
【0054】
CPUIFユニット66は、制御ASIC51に接続された制御ASIC用SDRAM69へのCPU54からのアクセスを可能とする機能を有している。本制御回路50においては、イメージバッファユニット64により生成されたヘッド駆動データに基づいてヘッドコントロールユニット68を駆動する際に用いられる。
【0055】
ヘッドコントロールユニット68は、CPU54の制御によりヘッド駆動データに基づいて印刷ヘッド38を駆動しノズルからインクを吐出させる機能を有する。
【0056】
<<スキャナ機能時の動作について>>
制御ASIC51のUSBIF52に接続されたホストコンピュータ3から、スキャナユニット10による画像読み取り指令信号と、読み取り解像度、読み取り領域等の読み取り情報データとが制御回路50に送信される。制御回路50では、CPU54により画像読み取り指令信号と読み取り情報データとに基づいて、スキャナコントロールユニット58が制御され、スキャナユニット10による原稿5の読み取りが開始される。このとき、スキャナコントロールユニット58では、ランプ駆動ユニット、CCD駆動ユニット、読取キャリッジ走査駆動ユニット等が駆動され、所定の周期にてCCDセンサ28からRGBデータが読み込まれる。読み込まれたRGBデータは、ASIC用SDRAM69に割り振られたラインバッファ691に一旦蓄えられ、R、G、Bの各データのライン間補正処理が施され、USBIF52を介してホストコンピュータ3に送出される。ライン間補正処理とは、スキャナ部10の構造上発生するR、G、Bの各リニアセンサ間の読み取り位置のズレを補正する処理である。詳述すると、スキャナユニット10が有するCCDセンサ28は、カラーセンサでありR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の3色に対し色毎に1ラインずつのリニアセンサを有している。これら3本のリニアセンサは、主走査方向に平行に並べられているため、原稿5の同一ラインに照射された反射光を同時に受光することができない。すなわち、原稿5の同一ラインに照射された反射光が各リニアセンサに受光される際には、時間的なズレが生じることになる。このため、リニアセンサの配列に伴う遅延時間分だけ遅れて送られてくるデータを同期させるための処理である。
【0057】
<<プリンタ機能時の動作について>>
プリンタ機能時には、制御ASIC51のUSBIF52に接続されたホストコンピュータ3のプリンタドライバにて、印刷すべき画像データをSPC複合装置1のプリンタ部30にて印刷することが可能なヘッド駆動データに変換されてUSBIF52から入力される。このヘッド駆動データは、例えば、インターレース方式の印刷をする場合には、印刷する画像の解像度と書込キャリッジ36のノズル列33が有するノズルのピッチ及び数に対応させたラスタデータを抽出し、書込キャリッジ36の走査毎に印刷する順に並び換え、印刷ヘッド38を駆動するための信号となるデータである。
【0058】
ヘッド駆動データはCPU54が直接読み取り可能なSDRAM56に割り付けられたイメージバッファ57に記憶される。イメージバッファ57は書込キャリッジ36の1回の走査により印刷するためのヘッド駆動データを記憶することができる容量を有するメモリ領域を2つ分備えている。そして、一方のイメージバッファ571に1回の走査分のデータが書き込まれると、ヘッドコントロールユニット68に転送される。このとき、一方のイメージバッファ571の画像データがヘッドコントロールユニット68に転送されると、他方のイメージバッファ572には次の走査の際に印刷するためのヘッド駆動データが記憶される。そして他方のイメージバッファ572に1回の走査分のデータが書き込まれると、ヘッドコントロールユニット68に転送され、前記一方のイメージバッファ571に画像データが書き込まれる。このように、2つのイメージバッファ571,572を用いて、ヘッド駆動データの書き込み、読み出しを交互に行いながらヘッドコントロールユニット68にて印刷ヘッド38が駆動されて印刷が実行される。
【0059】
<<コピー機能時の動作について>>
次に、コピー機能時におけるデータの流れを説明する。スキャナユニット10により読み込まれたデータは、スキャナコントロールユニット58を介してラインバッファ691に取り込まれる。ラインバッファ691に取り込まれたRGBデータは、前述したRGBのライン間補正処理が順次施され、同一ラインに対するRGBデータがスキャナコントロールユニット58から2値化処理ユニット60に送り込まれる。
【0060】
2値化処理ユニット60に送り込まれたRGBデータは、ハーフトーン処理された後、制御ASIC用SDRAM69内に格納されているルックアップテーブル(LUT)695が参照されて、CMYKの色毎の2値データに変換され、インターレース処理ユニット62に送り込まれる。
【0061】
インターレース処理ユニット62に送り込まれたCMYKの2値データは、指定されたインターレース方式に基づいて、各ラスタラインの全データから書込キャリッジ36の1回の走査毎に印刷されるデータに振り分けられる。例えば、1ラスタラインを書込キャリッジ36の2回の走査にて形成する場合には、ラスタラインの端から奇数番目のドットを形成するデータと、偶数番目のドットを形成するデータとに振り分けられてOL対応データが生成される。このOL対応データは、インターレースバッファ692に64bitずつバースト転送されて記憶される。
【0062】
また、インターレース処理ユニット62では、インターレースバッファ692に記憶されたデータを所定サイズ毎に読み出して、インターレース処理ユニット62内のSRAM621にバースト転送する。このとき、インターレースバッファ692からは、印刷する画像解像度とノズルピッチとに基づいて印刷ヘッド38のノズル配列に対応させてOL対応データが読み出される。例えば、印刷する画像の解像度が720dpiであり、ノズルピッチが1/180inchの場合には、隣接するノズルにて印刷した2本のラスタライン間に3本のラスタラインが印刷されることになる。このため、OL対応データからは3ラスタラインずつ間隔を空けたデータが書込キャリッジ36の走査に対応したデータとして読み出されることになる。
【0063】
転送されたデータはSRAM621上で、ノズル配列に対応させるべく並び替えられてイメージバッファユニット64に送出される。
【0064】
イメージバッファユニット64では、SRAM621の容量により細かくブロック化された画像データをイメージバッファ693にバースト転送し、書込キャリッジ36の走査毎の各ノズルにインクを吐出させるためのヘッド駆動データとなるように整列させて記憶する。ここでイメージバッファ693,694は、書込キャリッジ36の2回の走査分のヘッド駆動データを記憶するメモリ領域が割り当てられており、1回の走査分のヘッド駆動データが蓄積される毎に、CPU54によりヘッドコントロールユニット68に送出されると共に、残りの1回の走査分のメモリ領域に次の走査に対応したヘッド駆動データの書き込みが開始される。この処理は、プリンタ機能の説明にて前述したイメージバッファの処理と同様である。
【0065】
イメージバッファ693,694に記憶された走査毎のヘッド駆動データは、CPU54に制御されてCPUIFユニット66を介してCPU54に読み込まれ、CPU54によりヘッドコントロールユニット68に転送される。ヘッドコントロールユニット68によりヘッド駆動データに基づいて印刷ヘッド38が駆動され画像が印刷される。以下、このコピー機能時における、本発明の特徴的な記録方式について詳細に説明する。
【0066】
SPC複合装置1は、一枚の写真原稿または同一サイズの複数の写真画像を同時に読み取った後に、読み取った画像のそれぞれを、原稿(写真画像)と同一サイズの用紙7に、所望の数だけ印刷する。この画像の複写機能は、例えば、L版もしくは2L版の銀塩写真を焼増し感覚でコピーするために用いると好適である。そこで、以下の説明では、この複写機能を写真コピーと呼ぶ。この写真コピーの好適な利用例は、例えば、図14に示すように、表面に「A」、「B」、「C」がそれぞれ表されているような画像(以下、それぞれを「画像A」、「画像B」、「画像C」という)を原稿として同時に読み取り、画像A、画像B及び画像Cを、それぞれ別の用紙に印刷する。以下、この写真コピーについて説明する。
【0067】
図10に示すハードウェア構成を用いて所定のプログラム(例えば、ROM55に格納されている)を実行することによって実現される、写真コピーを行うための機能ブロック図を図11に示す。すなわち、SPC複合機1は、操作パネル部70を制御するパネル制御部510と、原稿を読み取るときにスキャナ部10の制御を行うスキャナ制御部520と、スキャナ部10が読み込んだ画像データから原稿の領域を抽出する原稿領域抽出部530と、原稿領域抽出部530によって抽出された各原稿の向きをそれぞれ判定する向き判定部540と、スキャナ部10が読み込んだ画像データの加工を行う印刷データ生成部550と、プリンタ部30の制御を行って印刷を実行させる印刷制御部560とを、写真コピーを行うための機能として有する。
【0068】
パネル制御部510は、操作パネル部70の入出力を制御する。例えば、ユーザが操作パネル部70の操作ボタンを操作したときはその入力を受け付けたり、表示部72に種々の情報を表示させたりする。
【0069】
例えば、パネル制御部510は、原稿サイズの選択画面を表示部72に表示させ、ユーザからの原稿サイズの選択入力を受け付けると、原稿領域抽出部530へ原稿サイズを通知する。また、後述するプレスキャンまたは本スキャンの開始を指示する操作入力を受け付けると、スキャナ制御部520へプレスキャンまたは本スキャンの開始を指示する。さらには、パネル制御部510は、後述する向き判定部540の判定結果に基づいて、表示部72に判定結果を示す情報を表示させる。
【0070】
スキャナ制御部520は、スキャナ部10を制御して、原稿台12上に戴置された原稿5を読み取らせる。そして、スキャナ制御部520は、スキャナ部10が読み込んだ画像データを取得する。ここで、スキャナ制御部520がスキャナ部10に実行させるスキャンには、印刷を行うためのデータを取得する本スキャンと、本スキャンを行う前に原稿領域を特定するために行うプレスキャンとがある。プレスキャンは、本スキャンよりも低い解像度で画像を読み取る。例えば、このプレスキャンでは、RGBのリニアセンサのうちのG(グリーン)のリニアセンサのみのデータを取得すれば、読み取るデータ量が小さいので、スキャン動作を早くすることができる。
【0071】
原稿領域抽出部530は、プレスキャンにより読み取った画像データをスキャナ制御部520から取得し、取得した画像データを解析して、原稿が存在する原稿領域を抽出する。例えば、図13及び図14のようにセットされた原稿を読み込んだ画像データに基づいて原稿領域を抽出すると、それぞれ、原稿Aについては、A1(X11,Y11),A2(X12,Y11),A3(X12,Y12),A4(X11,Y12)で囲まれる領域、原稿BについてはB1(X21,Y21),B2(X22,Y21),B3(X22,Y22),B4(X21,Y22)で囲まれる領域、そして原稿Cについては、C1(X31,Y31),C2(X32,Y31),C3(X32,Y32),C4(X31,Y32)で囲まれる領域が、それぞれ原稿領域として抽出される。
【0072】
印刷データ生成部550は、スキャナ制御部520から、スキャナ部10が本スキャンを行って読み取った画像データを取得し、取得した画像データを用いて印刷するために必要な処理を行い、印刷データを生成する。
【0073】
印刷制御部560は、印刷データ生成部550から印刷データを取得し、プリンタ部30を制御して印刷を実行させる。
【0074】
向き判定部540は、原稿領域抽出部530がプレスキャンにより取得した画像データから抽出したそれぞれの原稿領域について、各原稿の向きが予め決められた所定の向きであるかを判定する。そして、この向き判定の判定結果を、パネル制御部510へ通知する。ここで、まず原稿の向きについて説明する。
【0075】
例えば、写真コピーを行うときは、図12,図13に示すようにして、ユーザが原稿台12上に複数のL版写真画像(原稿5)をセットする。このとき、正しく写真コピーを行うためには、セットすべき原稿の向きが予め定められている。すなわち、図13に示すように、L版の原稿の長い辺が原稿台12のX方向に沿うようにセットすることが予め決められている。さらに、上記の向きで原稿をセットするだけでなく、原稿台12の原点122に1枚目の原稿の一つの頂点が来るようにセットさせるようにしてもよい。この場合、2枚目以降の原稿は、順次、適当な間隔で隣り合うようにセットさせるようにしてもよい。
【0076】
従って、図13の例では、1枚目の原稿(画像A)を、画像「A」が表された側を下面にし、原稿台12の左奥の原点122に原稿5の一つの頂点が合うように、かつ、長い辺がX方向へ向くようにセットさせる。次に、2枚目の原稿(画像B)を、同様に画像「B」が表された側を下面にし、1枚目の原稿の右隣にすきまを取り、長い辺がX方向へ向くようにして載置させ、同様に3枚目の原稿(画像C)を2枚目の原稿の右隣にすきまを取って載置させる。
【0077】
ここで、図13で示すように原稿がセットされた場合には、向き判定部540は、すべての原稿が正しい向きであると認識する。しかしながら、原稿カバー14を閉じるときに原稿5の向きがずれてしまったり、ユーザが誤った向きに原稿をセットしてしまったりすることもある。例えば、図14に示すような状態では、原稿B、Cの向きがずれてしまっていて、写真コピーを適切に行うことができない。そこで、向き判定部540は、以下に説明するような手順で、各原稿の向きが予め決められた向きである(○)か、予め決められた向きでない(×)かを判定する。なお、判定結果は、図13の例では原稿A:○、原稿B:○、原稿C:○となり、図14の例では原稿A:○、原稿B:×、原稿C:×となる。
【0078】
すなわち、向き判定部540は、図14に示すように、抽出されたそれぞれの原稿領域の外接矩形(破線の矩形)を求める。そして、予め指定されている原稿サイズの辺の長さと、原稿領域の外接矩形の辺の長さとに基づいて、各原稿の向き判定を行う。この外接矩形の各辺は、X方向とY方向のいずれかに平行である。従って、画像Aの原稿5のように、原稿5の長い辺が原稿台12のX方向に沿ってまっすぐセットされていれば、抽出された原稿領域と外接矩形とが一致する。一方、画像BおよびCのように、原稿5が予め決められた向きからずれて、斜めにセットされた場合、画像Bの外接矩形はB1’(X21,Y21)、B2’(X22,X21)、B3’(X22,Y22)、B4’(X21,Y22)となり、画像Cの外接矩形はC1’(X31,Y31)、C2‘’(X32,Y31)、C3’(X32,Y32)、C4’(X31,Y32)となる。つまり、画像B,Cの外接矩形には、原稿領域でない部分(図14の斜線部分)が含まれる。そして、外接矩形の各辺の長さは、原稿がまっすぐにセットされている画像Aの場合よりも長くなる。すなわち、画像の傾きに応じて外接矩形の各辺の長さが変動する。そこで、向き判定部540は、外接矩形の各辺の長さが所定の閾値を越えたかどうかを判定することにより、画像が予め決められた向きを向いているかどうかを判定する。
【0079】
ここで、原稿が斜めにセットされたときの傾き角と外接矩形との関係について、図15を用いて説明する。外接矩形のX方向の辺の長さをL1、Y方向の辺の長さをH1、原稿の長い辺の長さをL、短い辺の長さをH(LとHはそれぞれ予め指定された原稿サイズにより定まる)とすると、幾何学的関係よりL1、H1、L、H、には、それぞれ次のような関係がある。なお、原稿の傾き角をθとする。
L1=Lcosθ+Hsinθ・・・(1)
H1=Lsinθ+Hcosθ・・・(2)
ここで、例えば、L1の上限値を1.1L、H1の上限値を1.1Hと定め、L1およびH1のいずれか一方、または双方がこの上限値を超える場合に、向き判定部540は、原稿が予め決められた向きを向いていないと判定するようにしてもよい。あるいは、傾き角θの上限値を定めて、それに対応するL1,H1を越えるときに、原稿が予め決められた向きを向いていないと判定するようにしてもよい。
【0080】
向き判定部540が、上記のようにして各原稿の向きについて判定を行うと、判定に用いた画像データと判定結果とをパネル制御部510へ通知する。
【0081】
パネル制御部510は、向き判定部540から上記の通知を受けると、判定結果を知らせるための画像を表示部72に表示させる。例えば、図13のように、すべての画像が所定の向きを向いているときは、図16(a)のように、プレスキャンによって読み取られた画像データに基づいて、印刷対象の画像を選択するためのプレビュー画面610を表示させる。このプレビュー画面610に対して、ユーザは操作パネル70から各原稿の印刷枚数611の指定入力ができる。また、図14のように、所定の向きを向いていない画像が含まれているときは、原稿の向きを示し、所定の向きでない原稿の並べ替えを促す情報を表示部72に表示させる。例えば、図16(b)のような、どの画像の向きが正しくないかをユーザへ知らせ、並べ替えを促す画面620でよい。この画面620は、例えば、プレスキャンによって読み込まれた画像データをそのまま表示させた画像、または、原稿領域として抽出された領域の輪郭621,622,623を2値化した画像である。そして、すでに所定の向きにセットされていると判定された原稿領域と、所定の向きにセットされているとは判定されなかった原稿領域とは、それぞれ異なる態様で表示してもよい。例えば、図16(b)の例では、所定の向きにセットされていると判定された原稿領域621には「○」、所定の向きにセットされているとは判定されなかった原稿領域622,623には「×」が表示されている。つまり、それぞれの原稿領域の向き判定の結果に基づいて、各原稿の向きを示す画像に対応させてその判定結果を示す情報を表示させる。例えば、上記のように、各原稿領域の画像と判定結果(「○」、「×」)を対応づけて示すほかに、各原稿領域を判定結果を示す色(例えば、正しい向きは「青」、誤った向きは「赤」など)で着処理して表示したり、各原稿領域に識別番号を付し、その識別番号で対応付けられるように判定結果を表示したりしてもよい。このような画像を表示させることにより、原稿台カバー14によって隠れている原稿台12上に戴置されている原稿の配置状態を把握でき、かつ、各原稿とそれぞれの向き判定の結果との対応を容易に理解することができる。
【0082】
次に、図17に示すフローチャートを用いて、SPC複合装置1が写真コピーを行うときの処理手順について説明する。
【0083】
まず、ユーザが、図12、図13に示すように、原稿台12上に原稿5をセットし、操作パネル70で所定の操作を行って写真コピーモードを選択し、かつ、原稿のサイズを選択して決定する。図12,図13の例は、原稿サイズはL版である。そして、カラーコピーボタン84が押されると、SPC複合装置1は、以下に説明する手順で写真コピーを実行する。
【0084】
すなわち、カラーコピーボタン84が押されると、パネル制御部510がこの入力を受け付け、スキャナ制御部520に対してプレスキャンの実行を指示する。これに応じて、スキャナ制御部520がスキャナ部10にプレスキャンを実行させる(S11)。
【0085】
このプレスキャンで読み取った画像データに基づいて、原稿領域抽出部530が、画像A,B,およびCの各原稿について、原稿領域を抽出する(S12)。
【0086】
向き判定部540は、ステップS12で抽出された各原稿の原稿領域が、予め決められた向きを向いているかどうかを、上述の要領でチェックする(S13)。
【0087】
そして、図14に示す例のように、予め決められた向きを向いていない原稿が1枚以上あるときは(S14:No)、パネル制御部510は、図16(b)のような画像を操作パネル70の表示部72に表示させる(S21)。
【0088】
ここで、図16(b)に示す画像によれば、並べ替えが必要な原稿があることがわかるので、ユーザは原稿台カバー14を開けて、すべての原稿が所定の向きになるように原稿の並べ替えを行う。そして、原稿の並べ替えが終わると、ユーザは再び原稿台カバー14を閉める。そして、原稿の並べ替え後に、改めてカラーコピーボタン84が押されると、ステップS11へ戻ってプレスキャン以降の処理が再度実行される(S22)。しかし、所定時間内にカラーコピーボタン84が押されないようなとき、あるいは、ユーザがキャンセルしたときは、処理を終了する(S23)。
【0089】
一方、図13に示す例のように、抽出された原稿領域のすべてが、予め決められた向きを向いているときは(S14:Yes)、図16(a)に示すようなプレビュー画面を表示部72に表示させる(S31)。ユーザは、このプレビュー画面で印刷対象の画像を選択し、印刷枚数を指定する(S32)。このとき、原稿カバー14の開閉を検知する開閉センサ13により、原稿カバー14が開いたことが検出されると(S33:Yes)、写真コピーの処理を強制終了させる。原稿カバー14が閉じたままの状態であるときに(S33:No)、ユーザによって改めてカラーコピーボタン84が押されると、パネル制御部510はスキャナ制御部520へ本スキャンの実行を指示する。これに従って、スキャナ制御部520がスキャナ部10に本スキャンを実行させて、印刷で使用するための画像データを読み取らせる。そして、この画像データに対して、印刷データ生成部550が所定の処理を行った後、印刷制御部560がプリンタ部30を制御し、L版の印刷用紙に対して印刷を実行させる(S34,S35)。これにより、原稿として原稿台に置かれた一枚以上の写真が、同じサイズの印刷用紙にコピーされる。
【0090】
以上のような処理により、同一サイズの複数の原稿を同時に読み取った後に、それぞれの原稿を、原稿と同一サイズの用紙に所望の数だけ印刷することができる。さらに、このときに原稿をセットする向きが予め定められている場合、実際にセットされている原稿の向きが予め決められた向きでない原稿を検出し、正しくセットするようにユーザに促すことができる。これにより、すべての原稿が正しい向きにセットされた状態で写真コピーを行うことができる。
【0091】
上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【0092】
例えば、上記の実施形態では、予め定められた原稿の向きは、原稿の長い辺を原稿台のX方向にまっすぐ沿う向きであったが、これと90度回転させた向きであってもよい。
【0093】
さらに、原稿の向きが予め定められた向きであるかの判定は、上記実施形態以外の方法で行ってもよい。例えば、原稿領域の内接矩形、あるいはまったく接しない単なる、外接矩形と相似の長方形を用いて行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本実施の形態に係るSPC複合装置の概略構成を示した斜視図である。
【図2】スキャナ部のカバーを開いた状態を示す斜視図である。
【図3】SPC複合装置の内部構成を示す説明図である。
【図4】プリンタ部の内部を露出させた状態を示す斜視図である。
【図5】操作パネル部の一例を示す図である。
【図6】印刷ヘッド周辺の配置を示した説明図である。
【図7】印刷用紙搬送機構の駆動部を説明するための説明図である。
【図8】ノズルの配列を示す説明図である。
【図9】駆動信号発生部の構成を示すブロック図である。
【図10】制御回路の一例を示すブロック図である。
【図11】写真コピーのための機能ブロック図である。
【図12】原稿台上に原稿がセットされた状態を示す斜視図である。
【図13】原稿台上に複数の原稿が載置された状態を示す説明図である。
【図14】傾いて載置された原稿を含む状態を示す説明図である。
【図15】原稿の傾きと外接矩形の辺の長さの関係を示す説明図である。
【図16】プレスキャンにより抽出された原稿領域の向き判定の結果を表示した画面の例である。
【図17】本実施形態での写真コピーでの処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
1 SPC複合装置、5 原稿、7 用紙、10 スキャナ部、12 原稿台、13 開閉検知センサ、14 原稿台カバー、30 プリンタ部、50 制御回路、70 操作パネル部、72 表示部、510 パネル制御部、520 スキャナ制御部、530 原稿領域抽出部、540 向き判定部、550 画像処理部、560 印刷制御部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿となる画像を読み取り、読み取った画像を印刷する画像処理装置に関し、特に、原稿が予め決められた向きにセットされているかを印刷前に判定する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の複写装置は、原稿台上に載置された原稿の位置やサイズを自動的に検知して、最適なサイズの用紙を自動的に選択する機能や、選択された用紙に合わせて自動的に変倍する機能が搭載されている。また、原稿台上に載置された複数枚の原稿を検出し、原稿台上に載置された複数枚の原稿のそれぞれに対して異なる処理を行う機能を有する複写装置もある。ここで、原稿台上に載置された複数枚の原稿を検出し、原稿ガラス上に載置された複数枚の原稿のそれぞれに対して異なる処理を行う機能を有する複写装置は、原稿の原稿枚数を検出する枚数検出手段と、各原稿の位置座標を検出する座標検出手段と、枚数検出手段により検出された枚数分の処理を座標検出手段により検出された位置座標に従って処理を行う。すなわち、当該複写装置は原稿台上に複数の原稿が雑然と載置されていても、各画像の位置座標を回転及び移動処理することで、印刷用紙に方向精度良く印刷することができる機能を有している(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開平4−150560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような複写装置は、高機能であるが故に、高速のCPU、大容量のメモリ、そして高度なプログラムを必要とする。つまり、このような複写装置を実用化するには、多大なコストがかかる。そこで、必要な機能を厳選することにより、低コストで複写装置を実現することもできる(例えば、公知でない関連技術として特願2003−350137号がある)。
【0005】
例えば、読み込んだ画像データをCPUで処理し、画像を回転させて印刷するという機能を省略すれば、複写装置に搭載するメモリの容量を少なく抑えることができる。この場合、原稿をセットする向きが予め決められ、正しい向きにセットされていない原稿は正しく印刷されない。従って、正しい向きにセットされていない原稿があるときは、その旨をユーザに知らせて、正しく置き直させるのが好ましい。
【0006】
そこで、本発明の目的は、原稿をセットする向きが予め決められているときに、すべての原稿が正しい向きにセットされた状態で原稿を読み取って印刷するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの実施態様に従う画像処理装置は、原稿台と、前記原稿台上に置かれた矩形形状の原稿を読み取って画像データを出力するスキャナ部と、前記スキャナ部から出力された画像データに基づいて、印刷媒体上に前記原稿の画像を印刷して出力する画像出力部とを有する画像処理装置であって、前記スキャナ部が出力した画像データに基づいて、前記原稿の領域を抽出する原稿抽出部と、前記原稿抽出部が抽出した原稿領域の向きが所定の向きであるかを判別する判別部と、前記判別部による判別の結果、前記原稿領域の向きが前記所定の向きでないときは、原稿の並べ替えを促す情報を表示する表示部とを備える。
【0008】
好適な実施形態では、前記原稿のサイズの指定を受け付ける原稿サイズ受付部をさらに備え、前記判別部は、前記原稿抽出部が抽出した原稿領域に対する、前記所定の向きの外接矩形を求め、前記指定された原稿サイズの辺の長さと、前記外接矩形の辺の長さとに基づいて、前記原稿の向きが前記所定の向きであるかを判定するようにしてもよい。
【0009】
好適な実施形態では、前記原稿台に複数枚の矩形形状の原稿が置かれている場合、前記表示部は、前記所定の向きでない原稿が一つ以上あるときに、前記スキャナ部が出力した画像データ、または、前記原稿抽出部により抽出された各原稿領域に基づいて、前記原稿台上での向きを示す画像を表示するようにしてもよい。
【0010】
好適な実施形態では、前記表示部は、前記原稿台における前記原稿の向きを示す画像において、前記所定の向きの原稿と、前記所定の向きでない原稿とを異なる表示態様で表示することもできる。
【0011】
本発明の一つの実施態様に従う画像処理装置は、原稿台と、前記原稿台上に置かれた複数の矩形形状の原稿を読み取って画像データを出力するスキャナ部と、前記スキャナ部から出力された画像データに基づいて、印刷媒体上に前記原稿の画像を印刷して出力する画像出力部とを有する画像処理装置であって、前記スキャナ部から出力された画像データに基づいて、前記複数の原稿のそれぞれの領域を抽出し、抽出された各原稿領域に対応して各原稿領域の向きが所定の向きであるかを判定する画像処理を行う画像処理部と、前記画像処理部に入力された画像データ、または、前記画像処理部で抽出された各原稿領域に基づいて、各原稿の向きを示す画像を表示させると共に、前記画像処理部によって判定された各原稿領域に対応した判定結果に基づいて、前記各原稿の向きを示す画像に対応させて前記判定結果を示す情報を表示させる表示制御部とを備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る、原稿画像を入力するためのスキャナ機能、画像データに基づいて画像を用紙等の媒体に記録するプリンタ機能、スキャナ機能により入力した画像を用紙等に記録するローカルコピー機能を有するスキャナ・プリンタ・コピー複合装置(以下、SPC複合装置という)について、図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係るSPC複合装置1の概略構成を示した斜視図、図2はスキャナ部10のカバーを開いた状態を示す斜視図、図3はSPC複合装置1の内部構成を示す説明図、図4はプリンタ部の内部を露出させた状態を示す斜視図である。
【0013】
SPC複合装置1は、原稿5の画像を読み取って画像データとして取り込むためのスキャナ部10と、スキャナ部10が取り込んだ画像データに基づいて画像を用紙等の媒体に記録するプリンタ部30と、SPC複合装置1全体の制御を司る制御回路50と、入力手段をなす操作パネル部70とを有している。そして制御回路50の制御により、スキャナ機能、プリンタ機能、及び、スキャナ部10から入力されたデータをプリンタ部30にて記録するローカルコピー機能を実現する。
【0014】
スキャナ部10はプリンタ部30の上に配置され、スキャナ部10の上部に、読み取る原稿5を載置するための原稿台12と、シート状の原稿5を読み取る際や、不使用時に原稿台12を覆う原稿台カバー14と、原稿台カバー14の開閉を検知するためのセンサ13が設けられている。原稿台カバー14は、開閉可能に形成され、閉止した際には原稿台12上に載置された原稿を原稿台12側に押圧する機能も有している。また、SPC複合装置1の背面側にはプリンタ部30へ用紙7を供給するための用紙供給部32が設けられ、前面側には下側に、印刷された用紙7が排紙される排紙部34、上側に入力手段としての操作パネル部70が設けられており、プリンタ部30に制御回路50が内蔵されている。
【0015】
排紙部34には、不使用時に排紙口を塞ぐことが可能な排紙トレー341が備えられ、用紙供給部32には、カット紙(図示しない)を保持する給紙トレー321が備えられている。印刷に用いる媒体としては、カット紙など単票状印刷用紙のみならず、ロール紙などの連続した印刷用紙でも構わず、SPC複合装置1がロール紙への印刷を可能とする給紙構造を備えていてもよい。
【0016】
図4に示すように、プリンタ部30とスキャナ部10とは、背面側にてヒンジ機構41により結合されており、ヒンジ機構41の回動部を中心としてユニット化されたスキャナ部10が手前側から持ち上げられる。スキャナ部10を持ち上げた状態では、プリンタ部30を覆うカバーの上部に設けられた開口301からプリンタ部30の内部が露出される構成となっている。このようにプリンタ部30の内部を露出させることにより、インクカートリッジ等の交換や、用紙詰まりの処理等を容易に行える構成としている。
【0017】
また、本SPC複合装置1への電源部はプリンタ部30側に設けられており、前記ヒンジ機構41の近傍にスキャナ部10へ電源を供給するための給電ケーブル43が設けられている。
【0018】
<<操作パネル部70の構成>>
図5は、SPC複合装置1の操作パネル部70の構成の一例を示す図である。図5に示すように、操作パネル部70はそのほぼ中央に表示部としての液晶ディスプレイ72と、報知ランプ74とが設けられている。液晶ディスプレイ72は、設定項目や設定状態、動作状態等を文字にて表示することが可能である。液晶ディスプレイ72の脇に設けられた報知ランプ74は、エラー発生時に点灯してユーザにエラー発生を報知する。液晶ディスプレイ72の右側には、カラーコピーボタン84と、モノクロコピーボタン86と、ストップボタン88と、コピー枚数設定ボタン90とが設けられている。
【0019】
カラーコピーボタン84は、カラーコピーを開始させるためのボタンであり、モノクロボタン86はモノクロコピーを開始させるためのボタンである。コピー枚数・設定変更ボタン90は、表面に「+」又は「−」が表記された2つのボタン901,902で構成され、「+」ボタン901を押すことにより設定枚数が増加され、「−」ボタン902を押すことにより設定枚数が減少される。また、前記ボタン901,902は、液晶ディスプレイ72に表示された設定項目を変更する機能も有する。液晶ディスプレイ72の手前側には、液晶ディスプレイ72に表示される設定項目を切り替えるメニューボタン92が設けられている。メニューボタン92は、左右に配置された2つのボタンで構成され、それぞれ左向きの矢印又は右向きの矢印が表記されている。左右いずれかのメニューボタン92が押される毎に、表示される設定項目が決められた順に順次切り替わる。
【0020】
<<スキャナ部10の構成>>
スキャナ部10は、原稿5が載置される原稿台12と、原稿台12に載置された原稿5の読み取り面を原稿台12側に押圧するための原稿台カバー14と、原稿台12を介して対向し原稿5と一定の間隔を保ちながら原稿5に沿って走査する読取キャリッジ16と、読取キャリッジ16を走査するための駆動手段18と、読取キャリッジ16を安定した状態にて走査させるための規制ガイド20とで構成されている。
【0021】
読取キャリッジ16は、原稿台12を介して原稿5に光を照射するための光源としての露光ランプ22と、原稿5による反射光を集光させるレンズ24と、原稿5による反射光をレンズ24に導くための4枚のミラー26と、レンズを透過した反射光を受光するCCDセンサ28と、前記規制ガイド20と係合するガイド受け部29とで構成されている。
【0022】
CCDセンサ28は、光信号を電気信号に変換するフォトダイオードが列状に配置された3本のリニアセンサで構成され、これら3本のリニアセンサは平行に配置されている。CCDセンサ28は、図示しないR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の3つのフィルタを備え、リニアセンサ毎に異なる色のフィルタが設けられている。各リニアセンサはフィルタの色に対応した成分の光をそれぞれ検出する。例えば、Rのフィルタを備えたリニアセンサは赤色成分の光の強弱を検出する。3本のリニアセンサは、読取キャリッジ16の移動方向(以下、「副走査方向」という)にほぼ直交する方向(以下、「主走査方向」という)に沿わされて配置される。
【0023】
CCDセンサ28の長さは、読み取り可能な原稿5の幅(主走査方向の長さ)より十分に短いため、原稿5の反射光による像は、レンズ24によって縮小させてCCDセンサ28上に結像させることになる。すなわち、原稿5とCCDセンサ28との間に介在されるレンズ24は、CCDセンサ28側に近づけて配置するとともに、原稿5とレンズ24との距離を長く設定する必要があり長い光路長が要求される。このため、走査する読取キャリッジ16の限られたスペースの中で原稿5とレンズ24との距離を確保すべく4枚のミラー26にて反射させて長い光路長を確保している。
【0024】
また、原稿5による反射光は、4枚のミラー26によって反射されレンズ24を透過してCCDセンサ28に至るが、3本のリニアセンサは平行に配置されているため、各リニアセンサに同時に結像する反射光の原稿に対する反射位置は、リニアセンサの間隔分だけ副走査方向にズレが生じることになる。このため、制御回路50のスキャナコントロールユニット58(図10)では、このズレを補正するためのライン間補正処理が行われる。ライン間補正処理については後述する。
【0025】
前記規制ガイド20は、副走査方向に沿って設けられ、ステンレス製の円筒材で形成されている。この規制ガイド20は、読取キャリッジ16に設けられ、スラスト軸受けでなる2カ所のガイド受け部29を貫通している。読取キャリッジ16に設けられた2カ所のガイド受け部29の副走査方向における間隔を広げることにより、読取キャリッジ16を安定させて走査させることが可能となる。
【0026】
駆動手段18は、読取キャリッジ16に固定された環状のタイミングベルト181と、このタイミングベルト181と噛み合うプーリ182を備え、副走査方向の一方の端部側に配置されたパルスモータ183と、他方の端部側に配置されてタイミングベルト181に張力を付与するアイドラプーリー184とで構成されている。このパルスモータ183は、制御回路50のスキャナコントロールユニット58(図10)により駆動されるが、パルスモータ183の速度に応じて変更される読取キャリッジ16の走査速度により、読み取った画像を副走査方向に拡大及び縮小することが可能となる。
【0027】
そして、スキャナ部10では、露光ランプ22の光を原稿5に照射し、その反射光をCCDセンサ28上に結像させつつ、読取キャリッジ16を原稿5に沿って移動させる。このとき、CCDセンサ28が受光した光量を示す電圧値として所定の周期で読み込むことにより、1周期の間に読み取りキャリッジ16が移動した距離分の画像を、出力する画像の1ライン分のデータとして取り込んでいく。このとき、1ライン分のデータとして、R成分、G成分、B成分の3つのデータが取り込まれる。
【0028】
<<プリンタ部30の構成>>
図6は印刷ヘッド周辺の配置を示した説明図、図7は印刷用紙搬送機構の駆動部を説明するための説明図である。次に、図3、図6、図7を参照してプリンタ部30について説明する。
【0029】
プリンタ部30は、カラー画像の出力が可能な構成であり、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、ブラック(K)の4色の色インクを、印刷用紙等の媒体上に吐出してドットを形成することによって画像を形成するインクジェット方式を採用している。なお、色インクとして、上記4色に加えて、ライトシアン(薄いシアン、LC)、ライトマゼンタ(薄いマゼンタ、LM)、ダークイエロ(暗いイエロ、DY)を用いてもよい。
【0030】
プリンタ部30は、図示するように、書込キャリッジ36に搭載された印刷ヘッド38を駆動してインクの吐出及びドット形成を行う機構と、この書込キャリッジ36をキャリッジモータ40によって用紙7の搬送方向と直交する方向に往復動させる機構と、紙送りモータ(以下、PFモータともいう)42によって給紙トレー321(図1参照)から供給される用紙7を搬送する機構とを有している。
【0031】
インクの吐出及びドット形成を行う機構は、インク吐出部としての複数のノズルを備えた印刷ヘッド38を備え、印刷指令信号に基づいて所定のノズルからインクを吐出させる。印刷ヘッド38の下面381には、用紙7の搬送方向に沿って、複数のノズルが列をなし、用紙7の搬送方向と直交する方向に複数列設けられている。印刷ヘッド38及びノズル配列の詳細は後述する。印刷ヘッド38には各ノズルに対応させて16ビットのメモリを備えており、後述するヘッドコントロールユニット68(図10)からは、各ノズルに16ビット単位でデータが転送される。
【0032】
書込キャリッジ36を往復動させる機構は、書込キャリッジ36を駆動するキャリッジモータ(以下、CRモータともいう)40と、用紙7の搬送方向と直交する方向に設けられ、書込キャリッジ36を摺動可能に保持する摺動軸44と、書込キャリッジ36に固定されたリニア式エンコーダ46と、所定の間隔にスリットが形成されたリニア式エンコーダ用符号板461と、キャリッジモータ40の回転軸に取付けられたプーリ48と、プーリ48によって駆動されるタイミングベルト49から構成されている。
【0033】
書込キャリッジ36には、印刷ヘッド38と、この印刷ヘッド38と一体に設けられたカートリッジ装着部が固定され、このカートリッジ装着部には、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)等のインクが収容されたインクカートリッジが装着される。
【0034】
給紙トレー321から供給される用紙7を搬送する機構は、前記印刷ヘッド38と対向して配置され、用紙7と印刷ヘッド38とが適切な距離となるように用紙7を案内する案内部材としてのプラテン35と、このプラテン35に対し用紙7の搬送方向の上流側に設けられ、供給された用紙7をプラテン35に所定の角度にて接触するように搬送する搬送ローラ37と、プラテン35に対し用紙7の搬送方向の下流側に設けられ、搬送ローラ37から外れた用紙7を搬送して排紙するための排紙ローラ39と、搬送ローラ37及び排紙ローラ39を駆動するためのPFモータ42と、用紙7の搬送量を検出するためのロータリ式エンコーダ47と、用紙7の有無及び用紙7の先端・後端を検出するための用紙検出センサ45とを有している。
【0035】
搬送ローラ37は用紙7の搬送経路下側に設けられており、その上側には搬送ローラ37と対向させて用紙7を保持するための従動ローラ371が設けられている。排紙ローラ39も用紙7の搬送経路下側に設けられて、その上側に排紙ローラ39と対向させて用紙7を保持するための従動ローラ391が設けられているが、排紙ローラ39と対向する従動ローラ391は薄板でなり外周部に細かな歯が設けられたローラであり、印刷後の用紙7の表面と接触してもインクが擦れないように構成されている。
【0036】
また、搬送ローラ37と用紙7との接触位置は、プラテン35と用紙7との接触位置より高くなるように配置されている。すなわち搬送ローラ37から搬送された用紙7はプラテン35と所定の角度にて接触し、さらに搬送される。これにより、用紙7はプラテン35の後述する案内面351に押し付けられるように沿わされて搬送される。このため、プラテン35によって用紙7をノズルから適正な位置に維持させて良好な画像を得ることが可能となる。
【0037】
また、搬送ローラ37と排紙ローラ39とは、ギア列31により繋げられ、PFモータ42の回転が伝達されて回動され、両ローラ37,39による用紙7の搬送速度は一致している。
【0038】
プラテン35は、印刷ヘッド38の下面381、即ちノズルが設けられている面と対向し、用紙7を接触させて案内する案内面351を有している。この案内面351は、印刷ヘッド38下面381のノズルが設けられている領域より狭く形成され、用紙7の搬送方向における最上流側および最下流側に位置するノズルの幾つかはプラテン35と対向していない。これにより、用紙7の先端及び後端を印刷する際に、用紙7の外側に吐出したインクがプラテン35に付着することを防止し、その後搬送される用紙7の裏面が汚れることを防止している。すなわち、上流側端及び下流側端のノズルと対向する位置にはプラテン35を設けることなく空間としている。そしてこの空間部分には、プラテン35の案内面351より低い位置にインク受けを備え、不要なインクを回収してプリンタ内が汚れないようにしている。
【0039】
用紙検知センサ45は、搬送ローラ37より搬送方向の上流側に設けられ、用紙7の搬送経路より高い位置に回動中心を持つレバー451とその上方に設けられ、発光部と受光部とを有する透過型光センサ452とを有している。レバー451は、自重によって搬送経路に垂れ下がるように配置され給紙トレー321から供給された用紙7によって回動される作用部453と、この作用部453と回動中心を挟んで反対側に位置し、発光部と受光部との間を通過するように設けられた遮光部454とで構成されている。そして、用紙検知センサ45は、供給された用紙7によりレバー451が押され、用紙7が所定位置に達すると遮光部454は発光部が発した光を遮るため、用紙7が所定の位置に達したことが検出される。その後、搬送ローラ7により用紙7が搬送されて、用紙7の後端が通過すると、レバー451は自重によって垂れ下がり、遮光部454が発光部と受光部との間から外れ、発光部の光が受光部に受光され、用紙7の後端が所定の位置に到達することを検出する。したがって、遮光部454が発光部の光を遮っている間は、少なくとも搬送経路内に用紙7が存在することが検出される。
【0040】
<<ノズルの構成について>>
図8は、印刷ヘッド38の下面381におけるノズルの配列を示す説明図である。印刷ヘッド38の下面381には、ブラックインクノズル列33(K)と、シアンインクノズル列33(C)と、マゼンタインクノズル列33(M)と、イエローインクノズル列33(Y)が形成されている。各ノズル列33は、各色のインクを吐出するための吐出口であるノズルを複数個(本実施形態では10個)備えている。
【0041】
各ノズル列33の複数のノズルは、紙搬送方向に沿って、一定の間隔(ノズルピッチ:k・D)でそれぞれ整列している。ここで、Dは、紙搬送方向における最小のドットピッチ(つまり、用紙32に形成されるドットの最高解像度での間隔)であり、例えば、解像度が720dpiであれば1/720インチ(約35.3μm)である。また、kは、1以上の整数である。
また、各ノズル列33のノズルは、下流側のノズルほど小さい番号が付され、それぞれ第1ノズルN1〜第10ノズルN10とする。各ノズルには、各ノズルを駆動してインク滴を吐出させるための駆動素子としてピエゾ素子(不図示)が設けられている。
【0042】
なお、印刷時には、用紙7が搬送ローラ37及び排紙ローラ39によって間欠的に所定の搬送量Fで搬送され、その間欠的な搬送の間に書込キャリッジ36が走査方向に移動して各ノズルからインク滴が吐出される。
【0043】
<<印刷ヘッドの駆動>>
図9は、ヘッドコントロールユニット68(図10)内に設けられた駆動信号発生部の構成を示すブロック図である。次に、印刷ヘッド38の駆動について、図9を参照しつつ説明する。
【0044】
図10は、制御回路50の一例を示すブロック図であり、駆動信号発生部は、複数のマスク回路204と、原駆動信号発生部206と、駆動信号補正部230とを備えている。マスク回路204は、印刷ヘッド38のノズルN1〜N10をそれぞれ駆動するための複数のピエゾ素子に対応して設けられている。なお、図8において、各信号名の最後に付されたかっこ内の数字は、その信号が供給されるノズルの番号を示している。原駆動信号発生部206は、ノズルN1〜N10に共通に用いられる原駆動信号ODRVを生成する。この原駆動信号ODRVは、一画素分の主走査期間内に、第1パルスW1と第2パルスW2の2つのパルスを含む信号である。駆動信号補正部230は、マスク回路204が整形した駆動信号波形のタイミングを復路全体で前後にずらし、補正を行う。この駆動信号波形のタイミングの補正によって、往路と復路におけるインク滴の着弾位置のズレが補正される、すなわち、往路と復路におけるドットの形成位置のズレが補正される。
【0045】
図9に示すように、入力されたシリアル印刷信号PRT(i)は、原駆動信号発生部206から出力される原駆動信号ODRVとともにマスク回路204に入力される。このシリアル印刷信号PRT(i)は、一画素当たり2ビットのシリアル信号であり、その各ビットは、第1パルスW1と第2パルスW2とにそれぞれ対応している。
【0046】
そして、マスク回路204は、シリアル印刷信号PRT(i)のレベルに応じて原駆動信号ODRVをマスクするためのゲートである。すなわち、マスク回路204は、シリアル印刷信号PRT(i)が1レベルのときには原駆動信号ODRVの対応するパルスをそのまま通過させて駆動信号DRVとしてピエゾ素子に供給し、一方、シリアル印刷信号PRT(i)が0レベルのときには原駆動信号ODRVの対応するパルスを遮断する。
【0047】
<<制御回路50の内部構造>>
図10は、制御回路50の一例を示すブロック図である。SPC複合装置1の制御回路50は、SPC複合装置1全体の制御を司るCPU54と、制御のためのプログラムを記憶したROM55と、スキャナ機能、プリント機能、ローカルコピー機能の各制御を司る制御ASIC51と、CPU54から直接データを読み書き可能なSDRAM56と、入力手段としての操作パネル部70とがバスによって繋がっている。制御ASIC51には、スキャナユニット10、印刷ヘッド38、および制御ASIC51から直接データを読み書き可能なASIC用SDRAM69などが繋げられている。
【0048】
制御ASIC51は、スキャナコントロールユニット58と、2値化処理ユニット60と、インターレース処理ユニット62と、イメージバッファユニット64と、CPUインターフェイスユニット(以下、CPUIFユニットという)66と、ヘッドコントロールユニット68と、外部のホストコンピュータ3との入出力手段としてのUSBインターフェイス(以下、USBIFという)52と、スキャナ部10及びプリンタ部30が備える各モータやランプ等のドライバを備えている。また、制御ASIC用SDRAM69には、ラインバッファ691、インターレースバッファ692、イメージバッファ693がそれぞれ割り当てられている。制御ASIC51とASIC用SDRAM69との間では、データ転送の高速化を図るためにデータの転送単位を64bitとする所謂バースト転送が行われる。
【0049】
スキャナコントロールユニット58は、スキャナ部10が備える露光ランプ22、CCDセンサ28、読取キャリッジ駆動モータとしてのパルスモータ183等の各制御や、CCDセンサ28を介して読み込んだデータを、ラインバッファ691を介して2値化処理ユニット60に送出する機能を有する。
【0050】
2値化処理ユニット60は、送出された多階調のRGBデータをCMYKの2値データに変換し、インターレース処理ユニット62に送出する機能を有する。
【0051】
インターレース処理ユニット62は、1ラスタライン(印刷画像における主走査方向の1ライン)を複数回の書込キャリッジ36の走査にて印刷する所謂オーバーラップ印刷する際には、1ラスタラインのCMYKのデータを書込キャリッジ36の走査毎に印刷するデータに振り分けてオーバーラップ印刷対応データ(以下、「OL対応データ」という)を生成する機能を有する。生成されたOL対応データは、ASIC用SDRAM69のインターレースバッファ692に記憶される。
【0052】
また、インターレース処理ユニット62では、インターレースバッファ692に記憶されたデータを、インターレース処理ユニット62内のSRAM621に所定のサイズ毎に読み出して、SRAM621上で、ノズル配列に対応させるべく並び替えてイメージバッファユニット64に送出する機能を有する。
【0053】
イメージバッファユニット64では、インターレース処理ユニット62から送出されたデータを、書込キャリッジ36の走査毎の各ノズルにインクを吐出させるためのヘッド駆動データを生成する機能を有する。
【0054】
CPUIFユニット66は、制御ASIC51に接続された制御ASIC用SDRAM69へのCPU54からのアクセスを可能とする機能を有している。本制御回路50においては、イメージバッファユニット64により生成されたヘッド駆動データに基づいてヘッドコントロールユニット68を駆動する際に用いられる。
【0055】
ヘッドコントロールユニット68は、CPU54の制御によりヘッド駆動データに基づいて印刷ヘッド38を駆動しノズルからインクを吐出させる機能を有する。
【0056】
<<スキャナ機能時の動作について>>
制御ASIC51のUSBIF52に接続されたホストコンピュータ3から、スキャナユニット10による画像読み取り指令信号と、読み取り解像度、読み取り領域等の読み取り情報データとが制御回路50に送信される。制御回路50では、CPU54により画像読み取り指令信号と読み取り情報データとに基づいて、スキャナコントロールユニット58が制御され、スキャナユニット10による原稿5の読み取りが開始される。このとき、スキャナコントロールユニット58では、ランプ駆動ユニット、CCD駆動ユニット、読取キャリッジ走査駆動ユニット等が駆動され、所定の周期にてCCDセンサ28からRGBデータが読み込まれる。読み込まれたRGBデータは、ASIC用SDRAM69に割り振られたラインバッファ691に一旦蓄えられ、R、G、Bの各データのライン間補正処理が施され、USBIF52を介してホストコンピュータ3に送出される。ライン間補正処理とは、スキャナ部10の構造上発生するR、G、Bの各リニアセンサ間の読み取り位置のズレを補正する処理である。詳述すると、スキャナユニット10が有するCCDセンサ28は、カラーセンサでありR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の3色に対し色毎に1ラインずつのリニアセンサを有している。これら3本のリニアセンサは、主走査方向に平行に並べられているため、原稿5の同一ラインに照射された反射光を同時に受光することができない。すなわち、原稿5の同一ラインに照射された反射光が各リニアセンサに受光される際には、時間的なズレが生じることになる。このため、リニアセンサの配列に伴う遅延時間分だけ遅れて送られてくるデータを同期させるための処理である。
【0057】
<<プリンタ機能時の動作について>>
プリンタ機能時には、制御ASIC51のUSBIF52に接続されたホストコンピュータ3のプリンタドライバにて、印刷すべき画像データをSPC複合装置1のプリンタ部30にて印刷することが可能なヘッド駆動データに変換されてUSBIF52から入力される。このヘッド駆動データは、例えば、インターレース方式の印刷をする場合には、印刷する画像の解像度と書込キャリッジ36のノズル列33が有するノズルのピッチ及び数に対応させたラスタデータを抽出し、書込キャリッジ36の走査毎に印刷する順に並び換え、印刷ヘッド38を駆動するための信号となるデータである。
【0058】
ヘッド駆動データはCPU54が直接読み取り可能なSDRAM56に割り付けられたイメージバッファ57に記憶される。イメージバッファ57は書込キャリッジ36の1回の走査により印刷するためのヘッド駆動データを記憶することができる容量を有するメモリ領域を2つ分備えている。そして、一方のイメージバッファ571に1回の走査分のデータが書き込まれると、ヘッドコントロールユニット68に転送される。このとき、一方のイメージバッファ571の画像データがヘッドコントロールユニット68に転送されると、他方のイメージバッファ572には次の走査の際に印刷するためのヘッド駆動データが記憶される。そして他方のイメージバッファ572に1回の走査分のデータが書き込まれると、ヘッドコントロールユニット68に転送され、前記一方のイメージバッファ571に画像データが書き込まれる。このように、2つのイメージバッファ571,572を用いて、ヘッド駆動データの書き込み、読み出しを交互に行いながらヘッドコントロールユニット68にて印刷ヘッド38が駆動されて印刷が実行される。
【0059】
<<コピー機能時の動作について>>
次に、コピー機能時におけるデータの流れを説明する。スキャナユニット10により読み込まれたデータは、スキャナコントロールユニット58を介してラインバッファ691に取り込まれる。ラインバッファ691に取り込まれたRGBデータは、前述したRGBのライン間補正処理が順次施され、同一ラインに対するRGBデータがスキャナコントロールユニット58から2値化処理ユニット60に送り込まれる。
【0060】
2値化処理ユニット60に送り込まれたRGBデータは、ハーフトーン処理された後、制御ASIC用SDRAM69内に格納されているルックアップテーブル(LUT)695が参照されて、CMYKの色毎の2値データに変換され、インターレース処理ユニット62に送り込まれる。
【0061】
インターレース処理ユニット62に送り込まれたCMYKの2値データは、指定されたインターレース方式に基づいて、各ラスタラインの全データから書込キャリッジ36の1回の走査毎に印刷されるデータに振り分けられる。例えば、1ラスタラインを書込キャリッジ36の2回の走査にて形成する場合には、ラスタラインの端から奇数番目のドットを形成するデータと、偶数番目のドットを形成するデータとに振り分けられてOL対応データが生成される。このOL対応データは、インターレースバッファ692に64bitずつバースト転送されて記憶される。
【0062】
また、インターレース処理ユニット62では、インターレースバッファ692に記憶されたデータを所定サイズ毎に読み出して、インターレース処理ユニット62内のSRAM621にバースト転送する。このとき、インターレースバッファ692からは、印刷する画像解像度とノズルピッチとに基づいて印刷ヘッド38のノズル配列に対応させてOL対応データが読み出される。例えば、印刷する画像の解像度が720dpiであり、ノズルピッチが1/180inchの場合には、隣接するノズルにて印刷した2本のラスタライン間に3本のラスタラインが印刷されることになる。このため、OL対応データからは3ラスタラインずつ間隔を空けたデータが書込キャリッジ36の走査に対応したデータとして読み出されることになる。
【0063】
転送されたデータはSRAM621上で、ノズル配列に対応させるべく並び替えられてイメージバッファユニット64に送出される。
【0064】
イメージバッファユニット64では、SRAM621の容量により細かくブロック化された画像データをイメージバッファ693にバースト転送し、書込キャリッジ36の走査毎の各ノズルにインクを吐出させるためのヘッド駆動データとなるように整列させて記憶する。ここでイメージバッファ693,694は、書込キャリッジ36の2回の走査分のヘッド駆動データを記憶するメモリ領域が割り当てられており、1回の走査分のヘッド駆動データが蓄積される毎に、CPU54によりヘッドコントロールユニット68に送出されると共に、残りの1回の走査分のメモリ領域に次の走査に対応したヘッド駆動データの書き込みが開始される。この処理は、プリンタ機能の説明にて前述したイメージバッファの処理と同様である。
【0065】
イメージバッファ693,694に記憶された走査毎のヘッド駆動データは、CPU54に制御されてCPUIFユニット66を介してCPU54に読み込まれ、CPU54によりヘッドコントロールユニット68に転送される。ヘッドコントロールユニット68によりヘッド駆動データに基づいて印刷ヘッド38が駆動され画像が印刷される。以下、このコピー機能時における、本発明の特徴的な記録方式について詳細に説明する。
【0066】
SPC複合装置1は、一枚の写真原稿または同一サイズの複数の写真画像を同時に読み取った後に、読み取った画像のそれぞれを、原稿(写真画像)と同一サイズの用紙7に、所望の数だけ印刷する。この画像の複写機能は、例えば、L版もしくは2L版の銀塩写真を焼増し感覚でコピーするために用いると好適である。そこで、以下の説明では、この複写機能を写真コピーと呼ぶ。この写真コピーの好適な利用例は、例えば、図14に示すように、表面に「A」、「B」、「C」がそれぞれ表されているような画像(以下、それぞれを「画像A」、「画像B」、「画像C」という)を原稿として同時に読み取り、画像A、画像B及び画像Cを、それぞれ別の用紙に印刷する。以下、この写真コピーについて説明する。
【0067】
図10に示すハードウェア構成を用いて所定のプログラム(例えば、ROM55に格納されている)を実行することによって実現される、写真コピーを行うための機能ブロック図を図11に示す。すなわち、SPC複合機1は、操作パネル部70を制御するパネル制御部510と、原稿を読み取るときにスキャナ部10の制御を行うスキャナ制御部520と、スキャナ部10が読み込んだ画像データから原稿の領域を抽出する原稿領域抽出部530と、原稿領域抽出部530によって抽出された各原稿の向きをそれぞれ判定する向き判定部540と、スキャナ部10が読み込んだ画像データの加工を行う印刷データ生成部550と、プリンタ部30の制御を行って印刷を実行させる印刷制御部560とを、写真コピーを行うための機能として有する。
【0068】
パネル制御部510は、操作パネル部70の入出力を制御する。例えば、ユーザが操作パネル部70の操作ボタンを操作したときはその入力を受け付けたり、表示部72に種々の情報を表示させたりする。
【0069】
例えば、パネル制御部510は、原稿サイズの選択画面を表示部72に表示させ、ユーザからの原稿サイズの選択入力を受け付けると、原稿領域抽出部530へ原稿サイズを通知する。また、後述するプレスキャンまたは本スキャンの開始を指示する操作入力を受け付けると、スキャナ制御部520へプレスキャンまたは本スキャンの開始を指示する。さらには、パネル制御部510は、後述する向き判定部540の判定結果に基づいて、表示部72に判定結果を示す情報を表示させる。
【0070】
スキャナ制御部520は、スキャナ部10を制御して、原稿台12上に戴置された原稿5を読み取らせる。そして、スキャナ制御部520は、スキャナ部10が読み込んだ画像データを取得する。ここで、スキャナ制御部520がスキャナ部10に実行させるスキャンには、印刷を行うためのデータを取得する本スキャンと、本スキャンを行う前に原稿領域を特定するために行うプレスキャンとがある。プレスキャンは、本スキャンよりも低い解像度で画像を読み取る。例えば、このプレスキャンでは、RGBのリニアセンサのうちのG(グリーン)のリニアセンサのみのデータを取得すれば、読み取るデータ量が小さいので、スキャン動作を早くすることができる。
【0071】
原稿領域抽出部530は、プレスキャンにより読み取った画像データをスキャナ制御部520から取得し、取得した画像データを解析して、原稿が存在する原稿領域を抽出する。例えば、図13及び図14のようにセットされた原稿を読み込んだ画像データに基づいて原稿領域を抽出すると、それぞれ、原稿Aについては、A1(X11,Y11),A2(X12,Y11),A3(X12,Y12),A4(X11,Y12)で囲まれる領域、原稿BについてはB1(X21,Y21),B2(X22,Y21),B3(X22,Y22),B4(X21,Y22)で囲まれる領域、そして原稿Cについては、C1(X31,Y31),C2(X32,Y31),C3(X32,Y32),C4(X31,Y32)で囲まれる領域が、それぞれ原稿領域として抽出される。
【0072】
印刷データ生成部550は、スキャナ制御部520から、スキャナ部10が本スキャンを行って読み取った画像データを取得し、取得した画像データを用いて印刷するために必要な処理を行い、印刷データを生成する。
【0073】
印刷制御部560は、印刷データ生成部550から印刷データを取得し、プリンタ部30を制御して印刷を実行させる。
【0074】
向き判定部540は、原稿領域抽出部530がプレスキャンにより取得した画像データから抽出したそれぞれの原稿領域について、各原稿の向きが予め決められた所定の向きであるかを判定する。そして、この向き判定の判定結果を、パネル制御部510へ通知する。ここで、まず原稿の向きについて説明する。
【0075】
例えば、写真コピーを行うときは、図12,図13に示すようにして、ユーザが原稿台12上に複数のL版写真画像(原稿5)をセットする。このとき、正しく写真コピーを行うためには、セットすべき原稿の向きが予め定められている。すなわち、図13に示すように、L版の原稿の長い辺が原稿台12のX方向に沿うようにセットすることが予め決められている。さらに、上記の向きで原稿をセットするだけでなく、原稿台12の原点122に1枚目の原稿の一つの頂点が来るようにセットさせるようにしてもよい。この場合、2枚目以降の原稿は、順次、適当な間隔で隣り合うようにセットさせるようにしてもよい。
【0076】
従って、図13の例では、1枚目の原稿(画像A)を、画像「A」が表された側を下面にし、原稿台12の左奥の原点122に原稿5の一つの頂点が合うように、かつ、長い辺がX方向へ向くようにセットさせる。次に、2枚目の原稿(画像B)を、同様に画像「B」が表された側を下面にし、1枚目の原稿の右隣にすきまを取り、長い辺がX方向へ向くようにして載置させ、同様に3枚目の原稿(画像C)を2枚目の原稿の右隣にすきまを取って載置させる。
【0077】
ここで、図13で示すように原稿がセットされた場合には、向き判定部540は、すべての原稿が正しい向きであると認識する。しかしながら、原稿カバー14を閉じるときに原稿5の向きがずれてしまったり、ユーザが誤った向きに原稿をセットしてしまったりすることもある。例えば、図14に示すような状態では、原稿B、Cの向きがずれてしまっていて、写真コピーを適切に行うことができない。そこで、向き判定部540は、以下に説明するような手順で、各原稿の向きが予め決められた向きである(○)か、予め決められた向きでない(×)かを判定する。なお、判定結果は、図13の例では原稿A:○、原稿B:○、原稿C:○となり、図14の例では原稿A:○、原稿B:×、原稿C:×となる。
【0078】
すなわち、向き判定部540は、図14に示すように、抽出されたそれぞれの原稿領域の外接矩形(破線の矩形)を求める。そして、予め指定されている原稿サイズの辺の長さと、原稿領域の外接矩形の辺の長さとに基づいて、各原稿の向き判定を行う。この外接矩形の各辺は、X方向とY方向のいずれかに平行である。従って、画像Aの原稿5のように、原稿5の長い辺が原稿台12のX方向に沿ってまっすぐセットされていれば、抽出された原稿領域と外接矩形とが一致する。一方、画像BおよびCのように、原稿5が予め決められた向きからずれて、斜めにセットされた場合、画像Bの外接矩形はB1’(X21,Y21)、B2’(X22,X21)、B3’(X22,Y22)、B4’(X21,Y22)となり、画像Cの外接矩形はC1’(X31,Y31)、C2‘’(X32,Y31)、C3’(X32,Y32)、C4’(X31,Y32)となる。つまり、画像B,Cの外接矩形には、原稿領域でない部分(図14の斜線部分)が含まれる。そして、外接矩形の各辺の長さは、原稿がまっすぐにセットされている画像Aの場合よりも長くなる。すなわち、画像の傾きに応じて外接矩形の各辺の長さが変動する。そこで、向き判定部540は、外接矩形の各辺の長さが所定の閾値を越えたかどうかを判定することにより、画像が予め決められた向きを向いているかどうかを判定する。
【0079】
ここで、原稿が斜めにセットされたときの傾き角と外接矩形との関係について、図15を用いて説明する。外接矩形のX方向の辺の長さをL1、Y方向の辺の長さをH1、原稿の長い辺の長さをL、短い辺の長さをH(LとHはそれぞれ予め指定された原稿サイズにより定まる)とすると、幾何学的関係よりL1、H1、L、H、には、それぞれ次のような関係がある。なお、原稿の傾き角をθとする。
L1=Lcosθ+Hsinθ・・・(1)
H1=Lsinθ+Hcosθ・・・(2)
ここで、例えば、L1の上限値を1.1L、H1の上限値を1.1Hと定め、L1およびH1のいずれか一方、または双方がこの上限値を超える場合に、向き判定部540は、原稿が予め決められた向きを向いていないと判定するようにしてもよい。あるいは、傾き角θの上限値を定めて、それに対応するL1,H1を越えるときに、原稿が予め決められた向きを向いていないと判定するようにしてもよい。
【0080】
向き判定部540が、上記のようにして各原稿の向きについて判定を行うと、判定に用いた画像データと判定結果とをパネル制御部510へ通知する。
【0081】
パネル制御部510は、向き判定部540から上記の通知を受けると、判定結果を知らせるための画像を表示部72に表示させる。例えば、図13のように、すべての画像が所定の向きを向いているときは、図16(a)のように、プレスキャンによって読み取られた画像データに基づいて、印刷対象の画像を選択するためのプレビュー画面610を表示させる。このプレビュー画面610に対して、ユーザは操作パネル70から各原稿の印刷枚数611の指定入力ができる。また、図14のように、所定の向きを向いていない画像が含まれているときは、原稿の向きを示し、所定の向きでない原稿の並べ替えを促す情報を表示部72に表示させる。例えば、図16(b)のような、どの画像の向きが正しくないかをユーザへ知らせ、並べ替えを促す画面620でよい。この画面620は、例えば、プレスキャンによって読み込まれた画像データをそのまま表示させた画像、または、原稿領域として抽出された領域の輪郭621,622,623を2値化した画像である。そして、すでに所定の向きにセットされていると判定された原稿領域と、所定の向きにセットされているとは判定されなかった原稿領域とは、それぞれ異なる態様で表示してもよい。例えば、図16(b)の例では、所定の向きにセットされていると判定された原稿領域621には「○」、所定の向きにセットされているとは判定されなかった原稿領域622,623には「×」が表示されている。つまり、それぞれの原稿領域の向き判定の結果に基づいて、各原稿の向きを示す画像に対応させてその判定結果を示す情報を表示させる。例えば、上記のように、各原稿領域の画像と判定結果(「○」、「×」)を対応づけて示すほかに、各原稿領域を判定結果を示す色(例えば、正しい向きは「青」、誤った向きは「赤」など)で着処理して表示したり、各原稿領域に識別番号を付し、その識別番号で対応付けられるように判定結果を表示したりしてもよい。このような画像を表示させることにより、原稿台カバー14によって隠れている原稿台12上に戴置されている原稿の配置状態を把握でき、かつ、各原稿とそれぞれの向き判定の結果との対応を容易に理解することができる。
【0082】
次に、図17に示すフローチャートを用いて、SPC複合装置1が写真コピーを行うときの処理手順について説明する。
【0083】
まず、ユーザが、図12、図13に示すように、原稿台12上に原稿5をセットし、操作パネル70で所定の操作を行って写真コピーモードを選択し、かつ、原稿のサイズを選択して決定する。図12,図13の例は、原稿サイズはL版である。そして、カラーコピーボタン84が押されると、SPC複合装置1は、以下に説明する手順で写真コピーを実行する。
【0084】
すなわち、カラーコピーボタン84が押されると、パネル制御部510がこの入力を受け付け、スキャナ制御部520に対してプレスキャンの実行を指示する。これに応じて、スキャナ制御部520がスキャナ部10にプレスキャンを実行させる(S11)。
【0085】
このプレスキャンで読み取った画像データに基づいて、原稿領域抽出部530が、画像A,B,およびCの各原稿について、原稿領域を抽出する(S12)。
【0086】
向き判定部540は、ステップS12で抽出された各原稿の原稿領域が、予め決められた向きを向いているかどうかを、上述の要領でチェックする(S13)。
【0087】
そして、図14に示す例のように、予め決められた向きを向いていない原稿が1枚以上あるときは(S14:No)、パネル制御部510は、図16(b)のような画像を操作パネル70の表示部72に表示させる(S21)。
【0088】
ここで、図16(b)に示す画像によれば、並べ替えが必要な原稿があることがわかるので、ユーザは原稿台カバー14を開けて、すべての原稿が所定の向きになるように原稿の並べ替えを行う。そして、原稿の並べ替えが終わると、ユーザは再び原稿台カバー14を閉める。そして、原稿の並べ替え後に、改めてカラーコピーボタン84が押されると、ステップS11へ戻ってプレスキャン以降の処理が再度実行される(S22)。しかし、所定時間内にカラーコピーボタン84が押されないようなとき、あるいは、ユーザがキャンセルしたときは、処理を終了する(S23)。
【0089】
一方、図13に示す例のように、抽出された原稿領域のすべてが、予め決められた向きを向いているときは(S14:Yes)、図16(a)に示すようなプレビュー画面を表示部72に表示させる(S31)。ユーザは、このプレビュー画面で印刷対象の画像を選択し、印刷枚数を指定する(S32)。このとき、原稿カバー14の開閉を検知する開閉センサ13により、原稿カバー14が開いたことが検出されると(S33:Yes)、写真コピーの処理を強制終了させる。原稿カバー14が閉じたままの状態であるときに(S33:No)、ユーザによって改めてカラーコピーボタン84が押されると、パネル制御部510はスキャナ制御部520へ本スキャンの実行を指示する。これに従って、スキャナ制御部520がスキャナ部10に本スキャンを実行させて、印刷で使用するための画像データを読み取らせる。そして、この画像データに対して、印刷データ生成部550が所定の処理を行った後、印刷制御部560がプリンタ部30を制御し、L版の印刷用紙に対して印刷を実行させる(S34,S35)。これにより、原稿として原稿台に置かれた一枚以上の写真が、同じサイズの印刷用紙にコピーされる。
【0090】
以上のような処理により、同一サイズの複数の原稿を同時に読み取った後に、それぞれの原稿を、原稿と同一サイズの用紙に所望の数だけ印刷することができる。さらに、このときに原稿をセットする向きが予め定められている場合、実際にセットされている原稿の向きが予め決められた向きでない原稿を検出し、正しくセットするようにユーザに促すことができる。これにより、すべての原稿が正しい向きにセットされた状態で写真コピーを行うことができる。
【0091】
上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【0092】
例えば、上記の実施形態では、予め定められた原稿の向きは、原稿の長い辺を原稿台のX方向にまっすぐ沿う向きであったが、これと90度回転させた向きであってもよい。
【0093】
さらに、原稿の向きが予め定められた向きであるかの判定は、上記実施形態以外の方法で行ってもよい。例えば、原稿領域の内接矩形、あるいはまったく接しない単なる、外接矩形と相似の長方形を用いて行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本実施の形態に係るSPC複合装置の概略構成を示した斜視図である。
【図2】スキャナ部のカバーを開いた状態を示す斜視図である。
【図3】SPC複合装置の内部構成を示す説明図である。
【図4】プリンタ部の内部を露出させた状態を示す斜視図である。
【図5】操作パネル部の一例を示す図である。
【図6】印刷ヘッド周辺の配置を示した説明図である。
【図7】印刷用紙搬送機構の駆動部を説明するための説明図である。
【図8】ノズルの配列を示す説明図である。
【図9】駆動信号発生部の構成を示すブロック図である。
【図10】制御回路の一例を示すブロック図である。
【図11】写真コピーのための機能ブロック図である。
【図12】原稿台上に原稿がセットされた状態を示す斜視図である。
【図13】原稿台上に複数の原稿が載置された状態を示す説明図である。
【図14】傾いて載置された原稿を含む状態を示す説明図である。
【図15】原稿の傾きと外接矩形の辺の長さの関係を示す説明図である。
【図16】プレスキャンにより抽出された原稿領域の向き判定の結果を表示した画面の例である。
【図17】本実施形態での写真コピーでの処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
1 SPC複合装置、5 原稿、7 用紙、10 スキャナ部、12 原稿台、13 開閉検知センサ、14 原稿台カバー、30 プリンタ部、50 制御回路、70 操作パネル部、72 表示部、510 パネル制御部、520 スキャナ制御部、530 原稿領域抽出部、540 向き判定部、550 画像処理部、560 印刷制御部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿台と、前記原稿台上に置かれた矩形形状の原稿を読み取って画像データを出力するスキャナ部と、前記スキャナ部から出力された画像データに基づいて、印刷媒体上に前記原稿の画像を印刷して出力する画像出力部とを有する画像処理装置であって、
前記スキャナ部が出力した画像データに基づいて、前記原稿の領域を抽出する原稿抽出部と、
前記原稿抽出部が抽出した原稿領域の向きが所定の向きであるかを判別する判別部と、
前記判別部による判別の結果、前記原稿領域の向きが前記所定の向きでないときは、原稿の並べ替えを促す情報を表示する表示部とを備える画像処理装置。
【請求項2】
前記原稿のサイズの指定を受け付ける原稿サイズ受付部をさらに備え、
前記判別部は、前記原稿抽出部が抽出した原稿領域に対する、前記所定の向きの外接矩形を求め、前記指定された原稿サイズの辺の長さと、前記外接矩形の辺の長さとに基づいて、前記原稿の向きが前記所定の向きであるかを判定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記原稿台に複数枚の矩形形状の原稿が置かれている場合、
前記表示部は、前記所定の向きでない原稿が一つ以上あるときに、前記スキャナ部が出力した画像データ、または、前記原稿抽出部により抽出された各原稿領域に基づいて、前記原稿台上での向きを示す画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記表示部は、前記原稿台における前記原稿の向きを示す画像において、前記所定の向きの原稿と、前記所定の向きでない原稿とを異なる表示態様で表示することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
原稿台と、前記原稿台上に置かれた複数の矩形形状の原稿を読み取って画像データを出力するスキャナ部と、前記スキャナ部から出力された画像データに基づいて、印刷媒体上に前記原稿の画像を印刷して出力する画像出力部とを有する画像処理装置であって、
前記スキャナ部から出力された画像データに基づいて、前記複数の原稿のそれぞれの領域を抽出し、抽出された各原稿領域に対応して各原稿領域の向きが所定の向きであるかを判定する画像処理を行う画像処理部と、
前記画像処理部に入力された画像データ、または、前記画像処理部で抽出された各原稿領域に基づいて、各原稿の向きを示す画像を表示させると共に、前記画像処理部によって判定された各原稿領域に対応した判定結果に基づいて、前記各原稿の向きを示す画像に対応させて前記判定結果を示す情報を表示させる表示制御部とを備える画像処理装置。
【請求項1】
原稿台と、前記原稿台上に置かれた矩形形状の原稿を読み取って画像データを出力するスキャナ部と、前記スキャナ部から出力された画像データに基づいて、印刷媒体上に前記原稿の画像を印刷して出力する画像出力部とを有する画像処理装置であって、
前記スキャナ部が出力した画像データに基づいて、前記原稿の領域を抽出する原稿抽出部と、
前記原稿抽出部が抽出した原稿領域の向きが所定の向きであるかを判別する判別部と、
前記判別部による判別の結果、前記原稿領域の向きが前記所定の向きでないときは、原稿の並べ替えを促す情報を表示する表示部とを備える画像処理装置。
【請求項2】
前記原稿のサイズの指定を受け付ける原稿サイズ受付部をさらに備え、
前記判別部は、前記原稿抽出部が抽出した原稿領域に対する、前記所定の向きの外接矩形を求め、前記指定された原稿サイズの辺の長さと、前記外接矩形の辺の長さとに基づいて、前記原稿の向きが前記所定の向きであるかを判定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記原稿台に複数枚の矩形形状の原稿が置かれている場合、
前記表示部は、前記所定の向きでない原稿が一つ以上あるときに、前記スキャナ部が出力した画像データ、または、前記原稿抽出部により抽出された各原稿領域に基づいて、前記原稿台上での向きを示す画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記表示部は、前記原稿台における前記原稿の向きを示す画像において、前記所定の向きの原稿と、前記所定の向きでない原稿とを異なる表示態様で表示することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
原稿台と、前記原稿台上に置かれた複数の矩形形状の原稿を読み取って画像データを出力するスキャナ部と、前記スキャナ部から出力された画像データに基づいて、印刷媒体上に前記原稿の画像を印刷して出力する画像出力部とを有する画像処理装置であって、
前記スキャナ部から出力された画像データに基づいて、前記複数の原稿のそれぞれの領域を抽出し、抽出された各原稿領域に対応して各原稿領域の向きが所定の向きであるかを判定する画像処理を行う画像処理部と、
前記画像処理部に入力された画像データ、または、前記画像処理部で抽出された各原稿領域に基づいて、各原稿の向きを示す画像を表示させると共に、前記画像処理部によって判定された各原稿領域に対応した判定結果に基づいて、前記各原稿の向きを示す画像に対応させて前記判定結果を示す情報を表示させる表示制御部とを備える画像処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−41892(P2006−41892A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−218576(P2004−218576)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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