説明

画像処理装置

【課題】 画像の不連続を除去し、画質の劣化を防ぐことができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】 ビデオカメラから出力された画像は、入力端子201を介して画像入力部202に入力され、画像分割部203へ出力される。画像分割部203は、入力された画像の周辺画像を除いた中央画像を、互いに重なり合うようにオーバーラップ領域を持たせて4分割する。各分割画像は、出力部204a〜204dから出力端子205a〜205dを介して記録装置へ出力される。一方、記録装置から出力された分割画像は、入力端子206a〜206dを介して記録画像入力部207a〜207dに入力され、画像除去部208へ出力される。画像除去部208は、入力された4つの分割画像からオーバーラップ領域を除去する。画像結合部209は、オーバーラップ領域の除去された4つの分割画像を合成して1つの画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HD(High Definition)を超える高画素の画像を処理する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
HDビデオカメラを越える高画素のビデオカメラでは、高画素の動画像をそのまま記録できる専用の記録装置が用いられている。しかし、HD画像用の記録装置は、その普及が進み価格が下がっているのに対して、HDを超える高画素用の動画記録装置は特殊なため高価格であり、その普及が進んでいない。
【0003】
そこで、HD画像用の記録装置を複数台使用して、HDサイズを超える高解像度の画像を撮像可能なビデオカメラからの出力画像を複数に分割して記録装置に記録することが考えられる。しかし、以下に示すように、複数台の記録装置に記録された分割画像を結合して高解像度の画像を生成しても、分割境界付近に画像の不連続が発生し、画像の品質が劣化するという問題があった。
【0004】
例えば画像の平滑化、拡大縮小、エッジ強調等の画像処理を行うフィルタ処理では、3×3フィルタ、5×5フィルタ、5×3フィルタ等の2次元フィルタを用いて画像処理が行われる。フィルタ処理ではフィルタの中心に対応する中心画素しか処理できないため、外周(画像の周縁部)の画素は処理不可能な画素となり、その有効性が失われる。このため、分割画像に対してフィルタ処理を行った後、分割画像を結合する場合には、各分割画像の外周の画素では有効性が失われているため、結合時に画像の不連続が発生する。
【0005】
また、例えば画像符号化方式の1つであるDCT(Discrete Cosine Transform)では、画像が8×8画素、8×4画素等のブロックに分割され、DCTが施される。複数の画像符号化装置が並行して独立に符号化(DCT)を行うため、画像の分割境界において画像が不連続となり、結合時に画像の不連続が発生する。
【0006】
なお、特許文献1には、分割境界付近に発生する符号化画像の画質の不連続を除去する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−348597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであって、画像の不連続を除去し、画質の劣化を防ぐことができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、ビデオカメラによって撮像された画像を入力する第1の画像入力手段と、前記第1の画像入力手段から入力された前記画像の周辺画像を除いた中央画像を、互いに重なり合うように第1の重複領域を持たせて4分割する画像分割手段と、前記画像分割手段によって分割された4つの画像を4つの記録手段へ出力する第1の出力手段と、前記4つの記録手段から前記4つの画像を入力する第2の画像入力手段と、前記第2の画像入力手段から入力された前記4つの画像から前記第1の重複領域を除去する第1の画像除去手段と、前記第1の重複領域の除去された前記4つの画像を結合する画像結合手段と、前記画像結合手段によって結合された画像を出力する第2の画像出力手段とを有することを特徴とする画像処理装置である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記4つの記録手段の記録条件を制御する制御手段をさらに有することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、ビデオカメラによって撮像された画像を4分割する分割手段と、前記分割手段によって4分割された4つの画像を処理する4つの画像処理手段と、前記4つの画像処理手段によって処理された前記4つの画像を合成する合成手段とを有する画像処理装置であって、前記分割手段は、前記ビデオカメラによって撮像された画像を入力する第1の画像入力手段と、前記第1の画像入力手段から入力された前記画像の周辺画像を除いた中央画像を、互いに重なり合うように第1の重複領域を持たせて4分割する画像分割手段と、前記画像分割手段によって分割された4つの画像を前記4つの画像処理手段へ出力する第1の画像出力手段とを有し、前記合成手段は、前記4つの画像処理手段から前記4つの画像を入力する第2の画像入力手段と、前記第2の画像入力手段から入力された前記4つの画像から前記第1の重複領域を除去する画像除去手段と、前記第1の重複領域の除去された前記4つの画像を結合する画像結合手段と、前記画像結合手段によって結合された画像を出力する第2の画像出力手段とを有することを特徴とする画像処理装置である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像処理装置において、前記4つの画像処理手段の画像処理条件を制御する制御手段をさらに有することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載の画像処理装置において、前記分割手段は、ユーザからの指示に基づいて、前記第1の重複領域における画像同士の重なり量を決定する分割条件決定手段をさらに有することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像処理装置において、前記分割手段は、画像処理条件情報を前記画像処理手段から入力する画像処理条件入力手段をさらに有し、前記分割条件決定手段は、前記画像処理条件入力手段に入力された前記画像処理条件情報に基づいて、前記第1の重複領域における画像同士の重なり量を決定することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれかの項に記載の画像処理装置において、前記第1の重複領域における画像同士の重なり量を示す重複領域情報を、前記画像分割手段によって分割された前記4つの画像に付加する情報付加手段をさらに有し、前記画像除去手段は、前記重複領域情報に基づいて前記第1の重複領域の大きさを検出し、前記4つの画像から前記第1の重複領域を除去することを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれかの項に記載の画像処理装置において、前記周辺画像を記録する周辺画像記録手段をさらに有し、前記画像結合手段は、前記第1の重複領域の除去された前記4つの画像と、前記周辺画像記録手段によって記録された前記周辺画像とを結合することを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の画像処理装置において、前記周辺画像記録手段は、HDサイズの画像を記録する記録装置であることを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、請求項8または請求項9に記載の画像処理装置において、前記画像分割手段は、前記周辺画像と前記中央画像とが互いに重なり合うように第2の重複領域を持たせて前記画像から前記周辺画像を除去した上で、前記第1の重複領域を持たせて前記中央画像を4分割し、前記周辺画像記録手段は、前記周辺画像を記録し、前記画像除去手段は、前記第2の画像入力手段から入力された前記4つの画像から前記第1の重複領域を除去すると共に、前記周辺画像記録手段によって記録された前記周辺画像と前記4つの画像の前記第2の重複領域を除去し、前記画像結合手段は、前記第1の重複領域および前記第2の重複領域の除去された前記4つの画像と前記周辺画像とを結合することを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜請求項10のいずれかの項に記載の画像処理装置において、前記第1の画像入力手段に入力される前記画像はSHD(Super High Definition)サイズの画像であり、前記画像分割手段によって分割された前記4つの画像はHDサイズの画像であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、画像を分割する際には4つの画像に第1の領域を持たせ、画像を結合する際には第1の重複領域を除去して結合することによって、分割境界付近に発生する画像の不連続を除去し、画質の劣化を防ぐことができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態による画像処理システムの構成を示している。なお、本明細書において、画像とは、人間によって認識可能な画面上での画像と、その画像を画面に表示させるための画素のデータからなる画像データとの両方の意味で使用されるものとする。ビデオカメラ1はSHD(Super High Definition)画像(画像サイズ3840×2160)の撮像が可能な動画撮像カメラである。動画像処理装置2は、ビデオカメラ1によって撮像された動画像の分割および結合を行う。この動画像処理装置2によって、本発明の画像処理装置が実現されている。
【0021】
ビデオカメラ1から出力された画像は、動画像処理装置2によって4分割され、各分割画像は4つの記録装置3a〜3d(記録手段)へ出力される。記録装置3a〜3dはHDサイズ(1920×1080)の画像を記録可能な汎用の記録装置である。記録装置3a〜3dに一旦記録された分割画像は、動画像処理装置2によって1つの画像に結合され、プロジェクタ4へ出力される。プロジェクタ4は、この画像をスクリーン等に投影する。
【0022】
図2は動画像処理装置2の構成を示している。ビデオカメラ1から出力された画像(SHD画像)は、入力端子201を介して画像入力部202(第1の画像入力手段)に入力され、画像分割部203(画像分割手段)へ出力される。画像分割部203は、入力された画像の周縁部を構成する周辺画像を除いた中央画像を、互いに重なり合うようにオーバーラップ領域(第1の重複領域)を持たせて4分割する。図3は画像分割の様子を示している。画像分割部203は、原画像の左上、右上、左下、右下の各4分の1領域を水平および垂直方向に所定画素ずつずらした領域の画素からなる4つの分割画像を生成する。
【0023】
分割画像を生成する領域を設定する際には、図3に示されるように、4つの分割画像の各々の間で画素が重なるオーバーラップ領域を設けて、各分割画像を生成する。記録装置3a〜3dのフォーマットに合わせて、各分割画像の画像サイズはHDサイズ(1920×1080)であり、4つの分割画像からなる中央画像の周辺に位置する周辺画像は、画像分割部203によって除去される。なお、オーバーラップ領域における各分割画像同士の重なり量(水平画素数および垂直画素数)は予め所定量に設定されているものとする。
【0024】
図2に戻り、画像分割部203によって生成された分割画像は、出力部204a〜204d(第1の画像出力手段)から出力端子205a〜205dを介して記録装置3a〜3dへ出力される。一方、記録装置3a〜3dから出力された分割画像は、入力端子206a〜206dを介して記録画像入力部207a〜207d(第2の画像入力手段)に入力され、画像除去部208(画像除去手段)へ出力される。画像除去部208は、入力された4つの分割画像からオーバーラップ領域を除去する。
【0025】
画像結合部209(画像結合手段)は、オーバーラップ領域の除去された4つの分割画像を合成して1つの画像を生成し、結合画像出力部210(第2の画像出力手段)へ出力する。結合画像出力部210は、出力端子211を介して画像をプロジェクタ4へ出力する。図4は画像結合の様子を示している。4つの各分割画像に含まれるオーバーラップ領域が除去された後、4つの画像が結合されて1つの画像が生成される。この画像は、ビデオカメラ1によって撮像された原画像から周辺画像が除去された画像(中央画像)と同一である。
【0026】
本実施形態によれば、高精細な画像を4分割して記録することによって、汎用の記録装置を用いて画像記録を行うことができ、低コストの画像処理システムを実現することができる。また、画像を分割する際には4つの画像にオーバーラップ領域を持たせ、画像を結合する際にはオーバーラップ領域を除去して結合することによって、記録装置3a〜3dでの画像処理(DCT符号化等)によって分割境界付近に発生する画像の不連続を除去し、画質の劣化を防ぐことができる。
【0027】
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。図5は、本実施形態による画像処理システムの構成を示している。画像分割装置5(分割手段)は、ビデオカメラ1によって撮像された画像を4分割し、各分割画像を画像処理装置6a〜6d(画像処理手段)へ出力する。画像処理装置6a〜6dは、各分割画像に対してフィルタ処理等の画像処理を行って、各分割画像を画像合成装置7(合成手段)へ出力する。画像処理装置6a〜6dは、HDサイズの画像を処理する汎用の画像処理装置である。画像合成装置7は、各分割画像を結合して1つの画像を生成し、プロジェクタ4へ出力する。プロジェクタ4は、この画像をスクリーン等に投影する。これによって、ビデオカメラ1によって撮像された画像がリアルタイムにスクリーン等に表示される。画像分割装置5、画像処理装置6a〜6d、および画像合成装置7によって、本発明の画像処理装置が実現されている。
【0028】
図6は画像分割装置5の構成を示している。図6に示される入力端子501、画像入力部502(第1の画像入力手段)、画像分割部503(画像分割手段)、出力部504a〜504d(第1の画像出力手段)、出力端子505a〜505dは、それぞれ図2の入力端子201、画像入力部202、画像分割部203、出力部204a〜204d、出力端子205a〜205dと同等の構成である。
【0029】
図7は画像合成装置7の構成を示している。図7に示される入力端子701a〜701d、処理画像入力部702a〜702d(第2の画像入力手段)、画像除去部703(画像除去手段)、画像結合部704(画像結合手段)、結合画像出力部705(第2の画像出力手段)、出力端子706は、それぞれ図2の入力端子206a〜206d、記録画像入力部207a〜207d、画像除去部208、画像結合部209、結合画像出力部210、出力端子211と同等の構成である。
【0030】
本実施形態によれば、画像処理装置6a〜6dでの画像処理によって分割境界付近に発生する画像の不連続を除去し、画質の劣化を防ぐことができる。
【0031】
次に、本実施形態の変形例を説明する。図8は画像分割装置5の他の構成を示している。図8においては、ユーザからの指示に基づいて、オーバーラップ領域における画像同士の重なり量(分割条件)を決定する分割条件決定部506(分割条件決定手段)が設けられている。図1および図5は、固定的な分割条件が予め装置側に設定されている例を示しているが、図8は、分割条件を変更可能とした例を示している。
【0032】
分割条件決定部506は、ユーザによって操作されるスイッチやキー等の操作部と、ユーザの操作結果に応じて操作部から出力される信号に基づいて、分割条件の入力結果を判定し、分割条件を決定する判定部とを備えている。分割条件決定部506は、分割条件として、オーバーラップ領域における各分割画像同士の重なり量(水平画素数および垂直画素数)の情報を画像分割部503へ出力する。画像分割部503は、この情報に基づいて画像を処理する。
【0033】
図9は、図8に示される画像分割装置5と共に用いられる画像合成装置7の構成を示している。図9においては、ユーザからの指示に基づいて、各分割画像から除去する除去量(除去条件)を決定する除去条件決定部707が設けられている。各分割画像からオーバーラップ領域の画像を除去するため、画像の除去量は、分割条件決定部506によって決定された、オーバーラップ領域における各分割画像同士の重なり量と一致することが望ましい。したがって、分割条件決定部506に入力された画像の重なり量と同量の除去量が除去条件決定部707に入力されることが望ましい。
【0034】
除去条件決定部707は、ユーザによって操作されるスイッチやキー等の操作部と、ユーザの操作結果に応じて操作部から出力される信号に基づいて、除去条件の入力結果を判定し、除去条件を決定する判定部とを備えている。除去条件決定部707は、除去条件として、各分割画像から除去するオーバーラップ領域の画像の除去量(水平画素数および垂直画素数)の情報を画像除去部703へ出力する。画像除去部703は、この情報に基づいて画像を処理する。
【0035】
画像の不連続の発生を防止すると共に、オーバーラップ領域の面積をなるべく小さくするための理想的な画像の分割条件および除去条件は、画像処理装置6a〜6dでの画像処理条件に応じて決まる。分割条件および除去条件を設定する際には、例えば画像を投影面に投影させ、ユーザが投影画像を見ながら分割条件および除去条件を変化させ、所望の分割条件および除去条件を設定すればよい。また、画像処理装置6a〜6dでの画像処理条件(2次元フィルタの大きさ等)が予め分かっているのなら、その情報に基づいて所望の分割条件および除去条件を設定してもよい。
【0036】
次に、本実施形態の他の変形例を説明する。図10は画像分割装置5の他の構成を示している。図10においては、オーバーラップ領域における各分割画像同士の重なり量を示すオーバーラップ量情報(重複領域情報)を各分割画像に付加するオーバーラップ量情報付加部507が設けられている。この画像分割装置5に対応した画像合成装置7の構成は図7と同様である。画像除去部703は、分割画像に付加されたオーバーラップ量情報に基づいて、除去条件を決定し、画像を処理する。したがって、画像に付加されたオーバーラップ情報に基づいて、自動でオーバーラップ領域の除去量を決定することができる。
【0037】
図10に示される画像分割装置5に対して分割条件決定部506を設けてもよい。この場合、画像合成装置7には除去条件決定部707を設ける必要はなく、分割条件決定部506によって設定された分割条件に対応した除去条件が画像合成装置7に自動で設定される。したがって、除去条件の入力に係る手間を削減することができると共に、設定のミスを防止することができる。
【0038】
なお、図1に示される動画像処理装置2が本実施形態の分割条件決定部506および除去条件決定部707の少なくとも一方を備えていてもよい。また、動画像処理装置2がオーバーラップ量情報付加部507を備えていてもよい。
【0039】
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。図11は、本実施形態による画像処理システムの構成を示している。本実施形態においては、画像処理装置6aが画像分割装置5および画像合成装置7に画像処理内容の通知を行う。画像処理内容には、例えばフィルタ処理で用いる2次元フィルタの大きさ等の画像処理条件情報が含まれる。なお、各画像処理装置6a〜6dは、画像処理に関して同じ設定がなされているものとし、画像処理装置6aのみが画像処理内容の通知を行うものとする。
【0040】
図12は、本実施形態による画像分割装置5の構成を示している。図12においては、画像処理装置6aから画像処理条件情報が入力される処理条件入力部508(処理条件入力手段)が設けられている。処理条件入力部508に入力された処理条件情報は分割条件決定部506へ出力される。分割条件決定部506は、処理条件情報に基づいて、前述した分割条件を決定する。分割条件の決定の際に、分割条件決定部506は、例えば画像処理条件とオーバーラップ量とが関連付けられたテーブルを参照し、分割条件を決定する。
【0041】
図13は、本実施形態による画像合成装置7の構成を示している。図13においては、画像処理装置6aから画像処理条件情報が入力される処理条件入力部708が設けられている。処理条件入力部708に入力された処理条件情報は除去条件決定部707へ出力される。除去条件決定部707は、処理条件情報に基づいて、前述した除去条件を決定する。除去条件の決定の際に、除去条件決定部707は、例えば画像処理条件とオーバーラップ量とが関連付けられたテーブルを参照し、除去条件を決定する。
【0042】
本実施形態によれば、画像処理内容に対応した分割条件および除去条件が自動で設定されるので、分割条件および除去条件の入力に係る手間を削減することができると共に、設定のミスを防止することができる。また、予め設定された画像処理条件とオーバーラップ量との対応関係に基づいて分割条件を決定することによって、画像間の重なり量を最適量(例えば除去される周辺画像の量を最も少なくすることができるような重なり量)に設定することができる。
【0043】
次に、本発明の第4の実施形態を説明する。図14は、本実施形態による画像処理システムの構成を示している。本実施形態の動画像処理装置2は、画像分割の際に除去される周辺画像を記録する周辺画像記録部212(周辺画像記録手段)を備えている。図15は、本実施形態による動画像処理装置2の構成を示している。画像分割部203は、入力された画像を中央画像(4つの分割画像となる)と周辺画像とに分離し(図16参照)、周辺画像を周辺画像記録部212へ出力する。周辺画像記録部212は周辺画像を記録する。また、画像結合部209は、画像除去部208によってオーバーラップ領域の除去された4つの分割画像と、周辺画像記録部212によって記録された周辺画像とを結合する(図17参照)。
【0044】
本実施形態によれば、画像分割時に除去された周辺画像を記録し、画像合成時に4つの分割画像と周辺画像とを結合することによって、撮像画像と同じ画像サイズの画像を再生することができる。
【0045】
次に、本発明の第5の実施形態を説明する。図18は、本実施形態による画像処理システムの構成を示している。本実施形態においては、周辺画像を記録する記録装置3e(周辺画像記録手段)が動画像処理装置2とは別個に設けられている。記録装置3eは、HDサイズの画像を記録可能な汎用の記録装置である。図19は、本実施形態による動画像処理装置2の構成を示している。画像分割部203は、画像分割の際に除去した周辺画像を周辺画像出力部213へ出力する。周辺画像は、周辺画像出力部213から出力端子205eを介して記録装置3eへ出力される。一方、記録装置3eから出力された周辺画像は、入力端子206eを介して周辺画像入力部214に入力され、画像結合部209へ出力される。画像結合部209は、画像除去部208によってオーバーラップ領域の除去された4つの分割画像と、周辺画像入力部214からの周辺画像とを結合する。
【0046】
本実施形態によれば、第4の実施形態と同様に、撮像画像と同じ画像サイズの画像を再生することができる。また、汎用の記録装置を用いて周辺画像の記録を行うことができ、低コストの画像処理システムを実現することができる。
【0047】
次に、本発明の第6の実施形態を説明する。本実施形態による画像処理システムの構成は図14と同様である。図20は、本実施形態による動画像処理装置2の構成を示している。画像分割部203は、入力された画像から周辺画像を除去して中央画像と周辺画像とに分離する際に、中央画像と周辺画像とが互いに重なり合うようにオーバーラップ領域(第2の重複領域)を持たせて分離する(図21参照)。画像分割部203は周辺画像を周辺画像記録部212へ出力する。周辺画像記録部212は、オーバーラップ領域を有する周辺画像を記録する。
【0048】
画像除去部215(画像除去手段)は、周辺画像記録部212によって記録された周辺画像からオーバーラップ領域を除去し、残りの周辺画像を画像結合部209へ出力する。画像結合部209は、画像除去部208によってオーバーラップ領域の除去された4つの分割画像と、画像除去部215によってオーバーラップ領域の除去された周辺画像とを結合する(図22参照)。
【0049】
本実施形態によれば、中央画像と周辺画像との間にオーバーラップ領域を設けて両者を分離し、画像合成時にオーバーラップ領域を除去してから中央画像と周辺画像とを結合することによって、撮像画像と同じ画像サイズの画像を再生する際に、中央画像と周辺画像との境界付近に発生する画像の不連続を除去し、画質の劣化を防ぐことができる。なお、画像のつなぎ目をより目立たなくさせるため、オーバーラップ領域は中央画像と周辺画像の両方に持たせることがより望ましい。
【0050】
次に、本発明の第7の実施形態を説明する。本実施形態による画像処理システムの構成は図18と同様である。図23は、本実施形態による動画像処理装置2の構成を示している。画像分割部203は、第6の実施形態と同様に、入力された画像から周辺画像を除去して中央画像と周辺画像とに分離する際に、中央画像と周辺画像とが互いに重なり合うようにオーバーラップ領域を持たせて分離する。画像分割部203は、画像分割の際に除去した周辺画像を周辺画像出力部213へ出力する。周辺画像は周辺画像出力部213から、出力端子205eを介して記録装置3eへ出力される。
【0051】
一方、記録装置3eから出力された周辺画像は、入力端子206eを介して周辺画像入力部214に入力され、画像除去部215へ出力される。画像除去部215は、入力された周辺画像からオーバーラップ領域を除去し、残りの周辺画像を画像結合部209へ出力する。画像結合部209は、画像除去部208によってオーバーラップ領域の除去された4つの分割画像と、画像除去部215によってオーバーラップ領域の除去された周辺画像とを結合する。
【0052】
本実施形態によれば、第6の実施形態と同様に、撮像画像と同じ画像サイズの画像を再生する際に、中央画像と周辺画像との境界付近に発生する画像の不連続を除去し、画質の劣化を防ぐことができる。
【0053】
次に、本発明の第8の実施形態を説明する。図24は、本実施形態による画像処理システムの構成を示している。本実施形態においては、4つの記録装置3a〜3dに対して、記録開始や記録停止等の動作タイミングの指示を行うことによって、各記録装置の動作タイミング等の記録条件を制御するコントローラ8(制御手段)が設けられている。これによって、動画像処理装置2から出力される分割画像の入力に合わせて、4つの記録装置3a〜3dを同期させて画像記録を行うことができる。また、4つの記録装置3a〜3dの記録条件の設定の手間を削減することができると共に、設定のミスを防止することができる。
【0054】
次に、本発明の第9の実施形態を説明する。図25は、本実施形態による画像処理システムの構成を示している。本実施形態においては、4つの画像処理装置6a〜6dに対して、動作開始や動作停止等の動作タイミングの指示と、フィルタ処理で用いる2次元フィルタの大きさ等の指示とを行うことによって、各画像処理装置の動作タイミングや画像処理方法等の画像処理条件を制御するコントローラ8(制御手段)が設けられている。これによって、画像分割装置5から出力される分割画像の入力に合わせて、4つの画像処理装置6a〜6dを同期させて、同条件で画像処理を行うことができる。また、4つの画像処理装置6a〜6dの画像処理条件の設定の手間を削減することができると共に、設定のミスを防止することができる。
【0055】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、4分割されるSHD画像として、4096×2160や2880×2160等の画像サイズを有する画像を用いてもよい。したがって、4分割後のHD画像は、2048×1080や1440×1080等の画像サイズを有する画像でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1の実施形態による画像処理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による画像処理システムが備える動画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における画像分割の様子を示す参考図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における画像結合の様子を示す参考図である。
【図5】本発明の第2の実施形態による画像処理システムの構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施形態による画像処理システムが備える画像分割装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施形態による画像処理システムが備える画像合成装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施形態による画像処理システムが備える画像分割装置の他の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第2の実施形態による画像処理システムが備える画像合成装置の他の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第2の実施形態による画像処理システムが備える画像分割装置の他の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第3の実施形態による画像処理システムの構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の第3の実施形態による画像処理システムが備える画像分割装置の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第3の実施形態による画像処理システムが備える画像合成装置の構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第4の実施形態による画像処理システムの構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第4の実施形態による画像処理システムが備える動画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の第4の実施形態における画像分割の様子を示す参考図である。
【図17】本発明の第4の実施形態における画像結合の様子を示す参考図である。
【図18】本発明の第5の実施形態による画像処理システムの構成を示すブロック図である。
【図19】本発明の第5の実施形態による画像処理システムが備える動画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図20】本発明の第6の実施形態による画像処理システムが備える動画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図21】本発明の第6の実施形態における画像分割の様子を示す参考図である。
【図22】本発明の第6の実施形態における画像結合の様子を示す参考図である。
【図23】本発明の第7の実施形態による画像処理システムが備える動画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図24】本発明の第8の実施形態による画像処理システムの構成を示すブロック図である。
【図25】本発明の第9の実施形態による画像処理システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0057】
1・・・ビデオカメラ、2・・・動画像処理装置、3a,3b,3c,3d,3e・・・記録装置、4・・・プロジェクタ、5・・・画像分割装置、6a,6b,6c,6d・・・画像処理装置、7・・・画像合成装置、8・・・コントローラ、202,502・・・画像入力部、203,503・・・画像分割部、204a,204b,204c,204d,504a,504b,504c,504d・・・出力部、207a,207b,207c,207d・・・記録画像入力部、208,215,703・・・画像除去部、209,704・・・画像結合部、210,705・・・結合画像出力部、212・・・周辺画像記録部、213・・・周辺画像出力部、214・・・周辺画像入力部、506・・・分割条件決定部、507・・・オーバーラップ量情報付加部、508,708・・・処理条件入力部、702a,702b,702c,702d・・・処理画像入力部、707・・・除去条件決定部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオカメラによって撮像された画像を入力する第1の画像入力手段と、
前記第1の画像入力手段から入力された前記画像の周辺画像を除いた中央画像を、互いに重なり合うように第1の重複領域を持たせて4分割する画像分割手段と、
前記画像分割手段によって分割された4つの画像を4つの記録手段へ出力する第1の出力手段と、
前記4つの記録手段から前記4つの画像を入力する第2の画像入力手段と、
前記第2の画像入力手段から入力された前記4つの画像から前記第1の重複領域を除去する第1の画像除去手段と、
前記第1の重複領域の除去された前記4つの画像を結合する画像結合手段と、
前記画像結合手段によって結合された画像を出力する第2の画像出力手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記4つの記録手段の記録条件を制御する制御手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
ビデオカメラによって撮像された画像を4分割する分割手段と、前記分割手段によって4分割された4つの画像を処理する4つの画像処理手段と、前記4つの画像処理手段によって処理された前記4つの画像を合成する合成手段とを有する画像処理装置であって、
前記分割手段は、
前記ビデオカメラによって撮像された画像を入力する第1の画像入力手段と、
前記第1の画像入力手段から入力された前記画像の周辺画像を除いた中央画像を、互いに重なり合うように第1の重複領域を持たせて4分割する画像分割手段と、
前記画像分割手段によって分割された4つの画像を前記4つの画像処理手段へ出力する第1の画像出力手段と、
を有し、
前記合成手段は、
前記4つの画像処理手段から前記4つの画像を入力する第2の画像入力手段と、
前記第2の画像入力手段から入力された前記4つの画像から前記第1の重複領域を除去する画像除去手段と、
前記第1の重複領域の除去された前記4つの画像を結合する画像結合手段と、
前記画像結合手段によって結合された画像を出力する第2の画像出力手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
前記4つの画像処理手段の画像処理条件を制御する制御手段をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記分割手段は、ユーザからの指示に基づいて、前記第1の重複領域における画像同士の重なり量を決定する分割条件決定手段をさらに有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記分割手段は、画像処理条件情報を前記画像処理手段から入力する画像処理条件入力手段をさらに有し、前記分割条件決定手段は、前記画像処理条件入力手段に入力された前記画像処理条件情報に基づいて、前記第1の重複領域における画像同士の重なり量を決定することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第1の重複領域における画像同士の重なり量を示す重複領域情報を、前記画像分割手段によって分割された前記4つの画像に付加する情報付加手段をさらに有し、
前記画像除去手段は、前記重複領域情報に基づいて前記第1の重複領域の大きさを検出し、前記4つの画像から前記第1の重複領域を除去する
ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかの項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記周辺画像を記録する周辺画像記録手段をさらに有し、
前記画像結合手段は、前記第1の重複領域の除去された前記4つの画像と、前記周辺画像記録手段によって記録された前記周辺画像とを結合する
ことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかの項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記周辺画像記録手段は、HDサイズの画像を記録する記録装置であることを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記画像分割手段は、前記周辺画像と前記中央画像とが互いに重なり合うように第2の重複領域を持たせて前記画像から前記周辺画像を除去した上で、前記第1の重複領域を持たせて前記中央画像を4分割し、
前記周辺画像記録手段は、前記周辺画像を記録し、
前記画像除去手段は、前記第2の画像入力手段から入力された前記4つの画像から前記第1の重複領域を除去すると共に、前記周辺画像記録手段によって記録された前記周辺画像と前記4つの画像の前記第2の重複領域を除去し、
前記画像結合手段は、前記第1の重複領域および前記第2の重複領域の除去された前記4つの画像と前記周辺画像とを結合する
ことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記第1の画像入力手段に入力される前記画像はSHD(Super High Definition)サイズの画像であり、前記画像分割手段によって分割された前記4つの画像はHDサイズの画像であることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかの項に記載の画像処理装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2007−67499(P2007−67499A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−247410(P2005−247410)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】