説明

画像処理装置

【課題】 経験の浅いユーザであっても対象物の検査に適した前処理(画像処理)を設定することができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】 画像処理装置10は、対象物を撮像した画像データを用いて、予め設定された複数種類の画像処理を施すことが可能な画像処理部13と、画像処理が施された処理後画像を用いて、当該処理後画像に含まれる対象物の検査を行う検査処理部14と、画像処理の種類、当該画像処理の種類ごとのパラメータ及び画像処理の実施回数を決定する操作入力部21と、設定された画像処理の種類、パラメータ、画像処理の実施回数の全てを組み合わせて得た複数の処理後画像を画像処理部13により作成させ、当該処理後画像と検査結果とを含む表示画像を一覧形式にて表示させるモニタ装置22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の検査のために対象物の撮像画像に対して処理を行う画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、対象物を撮像して、撮像した画像を検査する技術が、下記の特許文献1などにて知られている。
【0003】
特許文献1に記載された画像処理装置は、検査される撮像画像と比較されるモデル画像を表示画面上で参照するときに、その位置が正しく容易に認識でき、また、撮像画像との対比も容易になるようにする。
【0004】
具体的には、この画像処理装置は、被検査対象物を撮像する撮像手段と、撮像した画像を記憶する画像メモリと、画像検査時に前記画像と対比するために参照されるモデル画像およびその位置情報を記憶するモデル画像メモリと、画像メモリに記憶されている画像に対しモデル画像をその位置情報に基づいて上書きして表示する表示手段とを備えている。
【0005】
これにより、オペレータは、モデル画像の被検査対象物に対する登録位置を表示画面上で容易に知ることができ、また、両方の画像がエッジ画像等の前処理が施されたものなのかどうかを直ちに識別することができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−096134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、画像により対象物を検査するため、経験の浅いオペレータである場合には、前処理が施された画像を見ただけでは、容易に判断できないことがある。すなわち、どの前処理を使用すれば良いのか、複数の前処理をどのように組み合わせればよいのか、各前処理に対してどのようなパラメータを設定すれば良いのかの判断が困難となることが多い。この場合には、前動作の設定に多くの時間を費やし、検査の精度も低下してしまう。
【0008】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、経験の浅いユーザであっても対象物の検査に適した前処理(画像処理)を設定することができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像処理装置は、対象物を撮像した画像データを用いて、予め設定された複数種類の画像処理を施すことが可能な画像処理手段と、画像処理手段による画像処理が施された処理後画像を用いて、当該処理後画像に含まれる対象物の検査を行う検査手段と、画像処理手段による画像処理の種類、当該画像処理の種類ごとのパラメータ及び画像処理の実施回数を決定する設定手段と、設定手段により設定された画像処理の種類、パラメータ、画像処理の実施回数の全てを組み合わせて得た複数の処理後画像を画像処理手段により作成させ、当該処理後画像と検査結果とを含む表示画像を一覧形式にて表示させる表示手段とを備える。
【0010】
また、この画像処理装置は、処理後画像と検査結果とを組み合わせた表示画像のうち、表示手段に表示させる表示画像の選択条件を設定する選択手段を備え、表示手段により、選択手段により設定された選択条件に従った表示画像のみを一覧形式にて表示させても良い。
【0011】
更に、この画像処理装置は、選択手段により、表示画像の選択条件として、検査結果の良判定又は不良判定、検査結果としての範囲を設定可能とすることが望ましい。
【0012】
更に、この画像処理装置は、検査手段により、画像処理の実施回数ごとに得た処理後画像に対する検査結果に基づいて、次の画像処理の実施に用いる処理後画像を選択しても良い。
【0013】
更に、この画像処理装置は、検査手段により、画像処理の実施回数が多くなるほど、処理後画像に対して正常である検査結果を得るためのしきい値を厳しくし、表示手段により、複数回に亘る画像処理によって得た処理後画像及び正常である検査結果を含む表示画像を一覧形式にて表示させても良い。
【0014】
更に、この画像処理装置は、表示手段により表示された表示画像のうち何れの表示画像を選択させる操作手段と、操作手段により選択された表示画像に含まれる処理後画像に対して施された画像処理の種類、当該画像処理の種類ごとのパラメータ及び画像処理の実施回数を記憶する記憶手段とを備え、表示手段により、操作手段により選択されて記憶手段に記憶された画像処理の種類、当該画像処理の種類ごとのパラメータ及び画像処理の実施回数と同じ処理後画像を含む表示画像を優先して表示しても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、設定された画像処理の種類、パラメータ、画像処理の実施回数の全てを組み合わせて得た複数の処理後画像を画像処理手段により作成させ、当該処理後画像と検査結果とを含む表示画像を一覧形式にて表示させるので、当該表示させた内容に基づいて、経験の浅いユーザであっても対象物の検査に適した前処理(画像処理)を設定することができる。
【0016】
また、この画像処理装置は、処理後画像と検査結果とを組み合わせた表示画像のうち、表示手段に表示させる表示画像の選択条件を設定して、選択条件に従った表示画像のみを一覧形式にて表示させるので、当該選択条件のうち何れかの適切な表示画像を選択するのみで、対象物の検査に適した前処理(画像処理)を設定することができる。
【0017】
更に、この画像処理装置は、表示画像の選択条件として、検査結果の良判定又は不良判定、検査結果としての範囲を設定可能とするので、対象物の検査に適した前処理(画像処理)を設定することができる。
【0018】
更に、この画像処理装置は、画像処理の実施回数ごとに得た処理後画像に対する検査結果に基づいて、次の画像処理の実施に用いる処理後画像を選択するので、対象物の検査に適した前処理(画像処理)を設定することができる効果に加えて、画像処理の回数を少なくできる。
【0019】
更に、この画像処理装置は、画像処理の実施回数が多くなるほど、処理後画像に対して正常である検査結果を得るためのしきい値を厳しくするので、より精度の高い検査をした表示画像のみを表示させることができ、対象物の検査に適した前処理(画像処理)を設定することができる。
【0020】
更に、この画像処理装置は、表示手段により表示された表示画像のうち何れの表示画像を選択操作させ、選択された表示画像に含まれる処理後画像に対して施された画像処理の種類、当該画像処理の種類ごとのパラメータ及び画像処理の実施回数を記憶する。これにより、次回には、記憶された画像処理の種類、当該画像処理の種類ごとのパラメータ及び画像処理の実施回数と同じ処理後画像を含む表示画像を優先して表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態として示す画像処理装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施形態として示す画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態として示す画像処理装置における画像処理について説明する図である。
【図4】本発明の実施形態として示す画像処理装置により複数の検査用表示画像を表示した状態を示す図である。
【図5】本発明の実施形態として示す画像処理装置における他の画像処理について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0023】
本発明の実施形態として示す画像処理装置は、例えば図1に示すように構成される。この画像処理装置10は、対象物を撮像した画像(濃淡画像)を対象画像として対象物の外観検査を行う場合を例として説明する。
【0024】
この画像処理装置10は、画像メモリ11,記憶装置12,画像処理部13,検査処理部14,操作入力部21に対する操作I/F部15,モニタ装置22に対する表示I/F部16を有する。
【0025】
操作入力部21は、対象物の検査結果を管理するユーザによって操作されるマウスやキーボード等からなる。操作入力部21は、後述するように画像処理装置10における画像処理部13による画像処理の種類、当該画像処理の種類ごとのパラメータ及び画像処理の実施回数を決定するための操作入力信号を生成する(設定手段)。この操作入力信号は、画像処理装置10に供給される。
【0026】
モニタ装置22は、対象物の検査結果を管理するユーザにより画像処理の結果としての処理後画像、検査結果等の検査用表示画像、画像処理の種類、当該画像処理の種類ごとのパラメータ及び画像処理の実施回数を決定する設定画像を表示させる。モニタ装置22は、画像処理装置10から供給された表示データに基づいて各種情報を表示させる。
【0027】
特に、モニタ装置22は、処理後画像と検査結果とを含む検査用表示画像を一覧形式にて表示させる。これにより、画像処理装置10は、複数の検査用表示画像のうち、何れかの検査用表示画像をユーザによる操作入力部21の操作によって決定させる。これにより、画像処理装置10は、以降において行う検査の画像処理の種類、当該画像処理の種類ごとのパラメータ及び画像処理の実施回数を決定できる。
【0028】
この画像処理装置10は、画像メモリ11に対して複数の撮像装置20が接続されている。各撮像装置20は、対象物を異なる角度又は位置で撮像するように配置されている。各撮像装置20にて撮像された撮像画像は、所定のタイミングで画像処理装置10に出力される。画像メモリ11は、例えば撮像装置20ごとのフレームメモリを有する。このフレームメモリに記憶された撮像装置20ごとの撮像画像は、必要に応じて読み取られる。
【0029】
記憶装置12は、画像メモリ11に供給された各撮像装置20の撮像画像を蓄積する。また、記憶装置12は、画像処理の種類、当該画像処理の種類ごとのパラメータ及び画像処理の実施回数を蓄積する。また、記憶装置12は、画像処理の種類、当該画像処理の種類ごとのパラメータ及び画像処理の実施回数によって作成した処理後画像と、当該処理後画像の検査結果を蓄積する。
【0030】
更に、記憶装置12は、画像処理の種類、当該画像処理の種類ごとのパラメータ及び画像処理の実施回数に対して作成された処理後画像及び検査結果に対して、ユーザの操作によって選択した情報を記憶しておいても良い。例えばユーザが操作入力部21に対する操作により、一覧形式にて表示された検査用表示画像を選択したとする。この選択された検査用表示画像に対応した処理後画像及び検査結果に対して画像処理の種類、当該画像処理の種類ごとのパラメータ及び画像処理の実施回数は、ユーザが対象物の検査に適したものと判断されたものである。したがって、記憶装置12は、当該選択された検査用表示画像に対応した検査結果に対して画像処理の種類、当該画像処理の種類ごとのパラメータ及び画像処理の実施回数を記憶しておく。これにより、画像処理装置10は、後に記憶装置12に記憶された検査結果に対して画像処理の種類、当該画像処理の種類ごとのパラメータ及び画像処理の実施回数を読み出して、過去の検査内容を確認できるようにすることが望ましい。
【0031】
画像処理部13は、対象物を撮像した画像データ(撮像画像)を用いて、予め設定された複数種類の画像処理を施すことが可能となっている(画像処理手段)。この画像処理部13による画像処理は、検査処理部14による検査の前処理となる。画像処理部13による画像処理は、画像処理の種類、当該画像処理の種類ごとのパラメータ及び画像処理の実施回数によって特定される。
【0032】
この画像処理部13による画像処理の種類としては、例えば、2値化、エッジ抽出、拡大、縮小、画像の明暗、画像の色合いを変更する処理などが挙げられる。また、画像処理の種類ごとのパラメータとは、例えば2値化の強度、エッジ抽出の強度、拡大の度合い、縮小の度合い、画像の明暗の度合い、画像の色合いの度合いが挙げられる。更に、画像処理の実施回数は、上記画像処理の種類を、上記画像処理の種類ごとのパラメータによって、何回繰り返した処理後画像を検査処理部14による検査対象とするのかを表す。
【0033】
検査処理部14は、画像処理部13による画像処理が施された処理後画像を用いて、当該処理後画像に含まれる対象物の検査を行う(検査手段)。検査処理部14は、処理後画像を検査することにより、対象物が正常な製品であるかの検査をする。具体的には、検査処理部14は、エッジの検査、面積の検査など、処理後画像に対する所定のしきい値、所定の画像範囲を判定することにより、処理後画像ごとに対象物の合否結果を作成する。
【0034】
このような画像処理装置10は、例えば図2に示すような手順で対象物の検査を行う。先ず、ステップS1において、画像処理装置10は、各撮像装置20から撮像画像を入力する。ここで、複数の処理後画像は、予め検査結果が既知な対象物を撮像した撮像画像に対して画像処理が施されたものである。
【0035】
次のステップS2において、画像処理装置10は、画像処理の種類、当該画像処理の種類ごとのパラメータ及び画像処理の実施回数を設定する。また、このステップS2においては、検査処理におけるしきい値等を設定しても良い。更に、このステップS2においては、後述のステップS6にて検査用表示画像の一覧に表示させるフィルタ条件、検査用表示画像の表示順序も設定しても良い。
【0036】
次のステップS3において、画像処理装置10は、検査処理の前処理としての画像処理を行う。このとき、画像処理部13は、ステップS2にて設定された画像処理の種類、当該画像処理の種類ごとのパラメータ及び画像処理の実施回数にしたがって、画像処理を行う。この画像処理部13は、操作入力部21の操作により設定された画像処理の種類、パラメータ、画像処理の実施回数の全てを組み合わせて得た複数の処理後画像を作成する。これらの処理後画像は、記憶装置12に蓄積される。
【0037】
次のステップS4において、検査処理部14は、ステップS3にて画像処理部13により前処理としての画像処理が施された処理後画像を記憶装置12から読み出す。そして、検査処理部14は、処理後画像の画像状態を判定することにより、対象物の検査結果(OK又はNG)を生成する。
【0038】
次のステップS5において、画像処理装置10は、ステップS2にて設定された画像処理の種類、当該画像処理の種類ごとのパラメータ及び画像処理の実施回数の組み合わせごとの処理後画像について検査結果が生成されたか否かを判定する。これら組み合わせの全パターンについて処理後画像及び検査結果の生成が完了した場合にはステップS6に処理を進める。一方、完了していない場合には、ステップS3に処理を戻して、次の組合せについて処理後画像を作成して、当該処理後画像についての検査結果を作成する。
【0039】
具体的には、図3に示すように、画像処理の種類である前処理P1,P2,・・・,PNと、前処理ごとのパラメータPr1,Pr2,・・・,Prn、画像処理の実施回数としての段数mが設定される。そして、画像処理部13は、前処理とパラメータとの全ての組み合わせP1(Pr1)〜PN(Prn)について1段目の画像処理を行って、組み合わせ数と同じ個数の処理後画像を得る。次に画像処理部13は、1段目の画像処理で得た処理後画像を用いて、前処理とパラメータとの全ての組み合わせP1(Pr1)〜PN(Prn)について1段目の画像処理を行う。このように、画像処理部13は、設定された段数mの実施回数に亘り前処理とパラメータとの全ての組み合わせP1(Pr1)〜PN(Prn)について画像処理を行う。
【0040】
これにより、例えば画像処理の種類数N=2,パラメータ数n=3,段数m=2と設置された場合、Σ(N×n)^k(k=1〜m)から、画像処理回数は、合計で42回となる。そして、各処理後画像は、検査処理部14によって検査結果が生成される。
【0041】
次のステップS6において、画像処理装置10は、操作入力部21の操作により設定された画像処理の種類、パラメータ、画像処理の実施回数の全てを組み合わせて得た複数の処理後画像を用いて、モニタ装置22に表示させる表示データを作成する。このとき、画像処理装置10は、各処理後画像と当該処理後画像についての検査結果とを含む検査用表示画像を、一覧表示する表示画像を作成する。
【0042】
具体的には、図4に示すように、例えばICに対して画像処理を施した処理後画像30と、当該処理後画像30の検査結果31(OK又はNG)とを含む検査用表示画像を一覧表示させる。これにより、ユーザは、操作入力部21の操作によって、処理後画像30及び検査結果31を目視にて確認し、検査対象となった対象物に対して最も適切な処理後画像30及び検査結果31を含む検査用表示画像を選択できる。
【0043】
また、この画像処理装置10は、処理後画像30と検査結果31とを組み合わせた検査用表示画像のうち、モニタ装置22に表示させる検査用表示画像の選択条件を設定しても良い(選択手段)。これにより、画像処理装置10は、モニタ装置22に、設定された選択条件に従った表示画像のみを一覧形式にて表示させることができる。例えばステップS1にて撮像する対象物が正常「OK」のものである時に画像処理の種類、当該画像処理の種類ごとのパラメータ及び画像処理の実施回数の組み合わせを設定するとする。この場合、ステップS2にてユーザの操作によって、検査結果が正常である「OK」のみを選択させることができる。これにより、適切ではない検査用表示画像を表示させることを回避できる。また、画像処理装置10は、検査結果が「OK」又は「NG」のみではなく数値である場合など、検査結果としての範囲を設定できる。これにより、当該設定した範囲に該当する検査結果及び処理後画像の検査用表示画像を一覧表示させることが可能となる。
【0044】
つぎに、第2実施形態に係る画像処理装置10について説明する。なお、上述の第1実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0045】
第2実施形態に係る画像処理装置10は、図5に示すように、1段目の画像処理を全て実行した時点で、検査処理部14により処理後画像を用いた検査を行う。そして、検査処理部14により正常である検査結果を得た処理後画像を選択する。ここで、検査処理部14は、所定の範囲によって検査結果を得ている場合には、当該範囲に含まれる又は最も近い処理後画像を1段目の処理後画像(PL1(Prl1))として残す。
【0046】
次に、画像処理部13は、1段目にて選択された処理後画像(PL1(Prl1))に対して、2段目の全ての組み合わせの画像処理の種類及びパラメータで画像処理を行う。そして、2段目の処理後に得た複数の処理後画像のうち、正常である検査結果である処理後画像(PL2(Prl2))を残す。
【0047】
このように、画像処理部13は、各段について、画像処理の種類及びパラメータの全ての組み合わせで処理後画像を得る。そして、検査処理部14は、各段の処理後画像について判定を行って、正常である検査結果の処理後画像を残し、次の段において、更に全ての画像処理の種類及びパラメータにて画像処理を行わせる。これにより、例えば画像処理の種類数N=2,パラメータ数n=3,段数m=2と設置された場合、画像処理回数を12回とすることができる。
【0048】
このように、検査処理部14は、画像処理の実施回数ごとに得た処理後画像に対する検査結果に基づいて、次の画像処理の実施に用いる処理後画像を選択することができる。これにより、画像処理装置10は、対象物が正常である場合には、正常である検査結果を得た処理後画像を用いて、複数回数に亘る画像処理を実施でき、処理回数を削減できる。
【0049】
また、検査処理部14は、画像処理の実施回数が多くなるほど、処理後画像に対して正常である検査結果を得るためのしきい値を厳しくしても良い。これにより、画像処理装置10は、少ない段数で得た処理後画像は多くの処理後画像に対して正常である検査結果をしても、最終的には、精査した処理後画像のみに対して正常である検査結果を得ることができる。そして、モニタ装置22は、複数回に亘る画像処理によって得た処理後画像及び正常である検査結果を含む表示画像を一覧形式にて表示させることができる。これにより、対象物が正常である場合に、より精度の高い検査結果を得た処理後画像のみを表示して、最適な画像処理の種類、画像処理の種類ごとのパラメータ及び実施回数を選択させることができる。
【0050】
更に、画像処理装置10は、モニタ装置22により表示された表示画像のうち何れの検査用表示画像を操作入力部21の操作によって選択させ、当該選択された検査用表示画像に含まれる処理後画像30に対して施された画像処理の種類、当該画像処理の種類ごとのパラメータ及び画像処理の実施回数を記憶装置12に記憶しても良い(記憶手段)。これにより、画像処理装置10は、過去にユーザにより選択されて記憶装置12に記憶された画像処理の種類、当該画像処理の種類ごとのパラメータ及び画像処理の実施回数がある場合には、当該画像処理の種類、当該画像処理の種類ごとのパラメータ及び画像処理の実施回数と同じ処理後画像を含む表示画像を優先して表示することができる。
【0051】
したがって、この画像処理装置10によれば、経験の浅いユーザであっても対象物の検査に適した前処理(画像処理)を設定することができる。
【0052】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0053】
10 画像処理装置
11 画像メモリ
12 記憶装置
13 画像処理部
14 検査処理部
15 操作I/F部
16 表示I/F部
20 撮像装置
21 操作入力部
22 モニタ装置
30 処理後画像
31 検査結果

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を撮像した画像データを用いて、予め設定された複数種類の画像処理を施すことが可能な画像処理手段と、
前記画像処理手段による画像処理が施された処理後画像を用いて、当該処理後画像に含まれる対象物の検査を行う検査手段と、
前記画像処理手段による画像処理の種類、当該画像処理の種類ごとのパラメータ及び画像処理の実施回数を決定する設定手段と、
前記設定手段により設定された前記画像処理の種類、前記パラメータ、前記画像処理の実施回数の全てを組み合わせて得た複数の処理後画像を前記画像処理手段により作成させ、当該処理後画像と検査結果とを含む表示画像を一覧形式にて表示させる表示手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記処理後画像と検査結果とを組み合わせた表示画像のうち、前記表示手段に表示させる表示画像の選択条件を設定する選択手段を備え、
前記表示手段は、前記選択手段により設定された選択条件に従った表示画像のみを一覧形式にて表示させること
を特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記選択手段は、前記表示画像の選択条件として、前記検査結果の良判定又は不良判定、前記検査結果としての範囲を設定可能であることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記検査手段は、前記画像処理の実施回数ごとに得た処理後画像に対する検査結果に基づいて、次の画像処理の実施に用いる処理後画像を選択することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記検査手段は、前記画像処理の実施回数が多くなるほど、前記処理後画像に対して正常である検査結果を得るためのしきい値を厳しくし、
前記表示手段は、複数回に亘る画像処理によって得た処理後画像及び正常である検査結果を含む表示画像を一覧形式にて表示させること
を特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記表示手段により表示された表示画像のうち何れの表示画像を選択させる操作手段と、
前記操作手段により選択された表示画像に含まれる処理後画像に対して施された画像処理の種類、当該画像処理の種類ごとのパラメータ及び画像処理の実施回数を記憶する記憶手段とを備え、
前記表示手段は、前記操作手段により選択されて前記記憶手段に記憶された画像処理の種類、当該画像処理の種類ごとのパラメータ及び画像処理の実施回数と同じ処理後画像を含む表示画像を優先して表示すること特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−244320(P2010−244320A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−92723(P2009−92723)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】