説明

画像処理装置

【課題】感光体ドラム等で構成された画像形成機構の寿命を延伸させる。
【解決手段】印刷媒体を収納する複数の給紙トレイと、それぞれの前記給紙トレイから印刷媒体を搬送する給紙機構と、前記給紙機構で搬送された印刷媒体に画像を形成する画像形成機構とを備えた画像処理装置において、前記給紙機構により前記給紙トレイから搬送された印刷媒体が前記画像形成機構に到達するまでの時間から前記画像形成機構で画像を形成するまでに要する時間を減算した時間を画像形成待ち時間として記憶する記憶部と、前記給紙機構が前記給紙トレイから印刷媒体の搬送を開始してから前記画像形成機構に画像の形成を開始させるまでの待機時間を前記画像形成待ち時間に基づいて決定する制御部とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイに積載した媒体を分離して供給し、その媒体上に画像を形成する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像処理装置は、画像を形成するために必要な画像形成機構の印刷準備動作を行うとともに媒体をトレイから給紙し、その媒体上に画像形成機構で画像を形成するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−39694号公報(段落「0008」、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、媒体をトレイから画像形成機構まで給紙する時間が画像形成機構の印刷準備動作の時間よりも長い場合、画像形成機構を必要以上に作動させてしまい画像形成機構の寿命が短くなってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、画像形成機構の寿命を延伸させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため、本発明は、印刷媒体を収納する複数の給紙トレイと、それぞれの前記給紙トレイから印刷媒体を搬送する給紙機構と、前記給紙機構で搬送された印刷媒体に画像を形成する画像形成機構とを備えた画像処理装置において、前記給紙機構により前記給紙トレイから搬送された印刷媒体が前記画像形成機構に到達するまでの時間から前記画像形成機構で画像を形成するまでに要する時間を減算した時間を画像形成待ち時間として記憶する記憶部と、前記給紙機構が前記給紙トレイから印刷媒体の搬送を開始してから前記画像形成機構に画像の形成を開始させるまでの待機時間を前記画像形成待ち時間に基づいて決定する制御部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このようにした本発明は、画像形成機構の寿命を延伸させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施例における画像処理装置の制御系の構成を示すブロック図
【図2】第1の実施例における画像処理装置の構成を示す概略側面図(モノクロ直接転写方式)
【図3】第1の実施例における画像処理装置の構成を示す概略側面図(カラー中間転写方式)
【図4】第1の実施例における印刷処理を示すフローチャート
【図5】第1の実施例におけるデータ受信処理を示すフローチャート
【図6】第1の実施例におけるデータ解析処理を示すフローチャート
【図7】第1の実施例における給紙判定処理を示すフローチャート
【図8】第1の実施例におけるトレイ情報の構成を示す説明図
【図9】第1の実施例における媒体補充処理を示すフローチャート
【図10】第1の実施例におけるタイミング判別処理を示すフローチャート
【図11】第1の実施例における待ち時間対応テーブルを示す説明図
【図12】第1の実施例における定着機構稼動開始待ち処理を示すフローチャート
【図13】第1の実施例における給紙処理を示すフローチャート
【図14】第1の実施例における画像形成処理を示すフローチャート
【図15】第1の実施例における給紙動作と画像形成動作のタイムチャート
【図16】第1の実施例における給紙動作と画像形成動作のタイムチャート
【図17】第1の実施例における待ち時間対応テーブルを示す説明図
【図18】第2の実施例における画像処理装置の外観斜視図
【図19】第2の実施例における画像処理装置の構成を示す概略側面図
【図20】第2の実施例における画像処理装置の制御系の構成を示すブロック図
【図21】第2の実施例における印刷処理を示すフローチャート
【図22】第2の実施例における設定データ受信処理を示すフローチャート
【図23】第2の実施例における設定データ転送処理を示すフローチャート
【図24】第2の実施例における画像読取処理を示すフローチャート
【図25】第2の実施例における画像変換処理を示すフローチャート
【図26】第2の実施例における給紙判定処理を示すフローチャート
【図27】第2の実施例におけるタイミング判別処理を示すフローチャート
【図28】第2の実施例における待ち時間対応テーブルを示す説明図
【図29】第2の実施例における給紙動作と印刷準備動作のタイムチャート
【図30】第2の実施例における給紙動作と印刷準備動作のタイムチャート
【図31】第2の実施例における給紙処理を示すフローチャート
【図32】第2の実施例における画像形成処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明による画像処理装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0010】
図2は第1の実施例における画像処理装置の構成を示す概略側面図(モノクロ直接転写方式)である。
【0011】
図2において、画像処理装置としてのモノクロ直接転写方式のプリンタ500には、印刷媒体1を搬送する方向である図中矢印Aが示す方向の媒体搬送路2に沿って、媒体繰出し部3、トナー転写部5、および熱定着部6が配置されている。媒体搬送路2の一端部には、印刷媒体1を載積した多目的トレイ(以下、「MPT」(Multi Purpose Tray)という。)7aが設けてあり、他端部には印刷済みの印刷媒体1を排出する排出トレイ13が設けてある。
【0012】
給紙機構としての媒体繰出し部3は、図中矢印が示す方向に回転してMPT7aから印刷媒体1を1枚ずつ繰出すピックアップローラ9を有している。
【0013】
ピックアップローラ9により媒体搬送路2に挿入された印刷媒体1は、それぞれ図中に示した矢印方向に回転するレジストローラ12によりトナー転写部5まで搬送される。この際媒体搬送路2上の搬送センサ41が、印刷媒体1の先端が通過したことを検知し、これによってその印刷媒体1への画像書き込みタイミングを制御する。
【0014】
トナー転写部5は、それぞれ図中矢印が示す方向に回転する感光体ドラム21と転写ローラ22との接触部であり、また、感光体ドラム21、転写ローラ22、帯電ローラ23、LED(発光ダイオード)ヘッド24、現像ローラ25、およびトナーカートリッジ29を含む画像形成機構50の一部を構成している。
【0015】
帯電ローラ23は、感光体ドラム21の表面全体にマイナスの電荷を付着してマイナスに帯電させる。LEDヘッド24は、印刷パターンに対応した光を発光して帯電した感光体ドラム21の表面を露光する。感光体ドラム21では、露光された表面部分の電荷の状態が変わって電位がゼロに近くなり、この部分に静電潜像が形成される。
【0016】
トナーカートリッジ29中に充填されたトナーは、複数のローラを経て現像ローラ25に供給される。
【0017】
現像ローラ25に供給されたトナーは、マイナスに帯電している。感光体ドラム21と現像ローラ25との接触部26において、感光体ドラム21の露光していない箇所、即ち帯電ローラ23によって付着されたマイナスの電荷が残っている場所には、マイナスに帯電したトナーは反発して付着しないが、露光により電位がゼロになった部位には付着し、可視画像として現像される。
【0018】
トナーが付着した感光体ドラム21は、回転によってトナー転写部5に達し、搬送されてきた印刷媒体1にトナーを転写する。この際、転写ローラ22が印刷媒体1の裏からプラスの高電位を与えることにより、感光体ドラム21上にあるマイナスに帯電したトナーを引き離し、印刷媒体1上に転写する。
【0019】
トナーが転写された印刷媒体1は、媒体搬送路2上を熱定着部6まで搬送される。
【0020】
熱定着機構としての熱定着部6は、それぞれ図中矢印が示す方向に回転する定着ローラ10と圧接ローラ11とを有する。定着ローラ10は、ハロゲンランプ等の熱源を内在させ、印刷媒体1に付着した現像トナーを圧接ローラ11との圧接部で熱定着させる。
【0021】
現像トナーによる画像の熱定着が終了した印刷媒体1は、それぞれ図中矢印が示す方向に回転する搬送ローラ31、32によって媒体搬送路2を図中矢印Aが示す方向に搬送され、排紙ローラ33、34によって排出トレイ13上に送出される。媒体搬送路2途中に設置された排出センサ42は、送出される印刷媒体1の後端を検出し、印刷媒体1が排出されたものと判断する。
【0022】
インタフェースコネクタ111は、LAN(Local Area Network)インターフェイス、USB(Universal Serial Bus)インターフェイス等の手段を介してパーソナルコンピュータ等(以下、「PC」という。)の上位装置から印刷データを受信する。
【0023】
表示パネル191は、液晶ディスプレイ等で構成され、ユーザに対して情報を表示する。
【0024】
着脱可能な用紙(給紙)トレイ7b、7c、7d、7e、7fは、それぞれに印刷媒体1を収納している。各用紙トレイ7には、異なる寸法や向きの印刷媒体1を収納可能であり、使用する印刷媒体1は印刷データの指定によって決定される。
【0025】
用紙トレイ7bに収納された印刷媒体1は、給紙機構としてのピックアップローラ9bにより繰出され、分離ローラ8bが1枚に分離して媒体搬送路2bに送出し、レジストローラ12bが位置合わせをして搬送し、そのレジストローラ12bの位置から媒体搬送路2に合流する。途中、給紙センサ40bが印刷媒体1bの進行方向の先頭端を検知して、用紙トレイ7bから印刷媒体1bが送出されたと判断する。以下、用紙トレイ7c、7d、7e、7fに収納されたそれぞれの印刷媒体1についても同様の動作を行う。
【0026】
なお、ピックアップローラ9以外の各ローラは、図示しない伝動機構によって駆動される。
【0027】
図3は第1の実施例における画像処理装置の構成を示す概略側面図(カラー中間転写方式)である。
【0028】
図3において、画像処理装置としてのカラー中間転写方式のプリンタ500が、図2におけるモノクロ直接転写方式のプリンタと異なるのは、トナー転写部5が転写ローラ22と図中矢印Bが示す方向に駆動される中間転写体55との接触部であること、及び画像形成機構50がそれぞれイエロー(Yellow)、マゼンタ(Magenta)、シアン(Cyan)、黒(blacK)の各色の画像形成を担当する4つの画像形成機構51Y、51M、51C、51Kの集合体として構成されていることである。
【0029】
一次トナー転写部5Kは、それぞれ図中矢印が示す方向に回転する感光体ドラム21Kと一次転写ローラ22Kとの接触部であり、また、感光体ドラム21K、一次転写ローラ22K、帯電ローラ23K、LEDヘッド24K、現像口−ラ25K、トナーカートリッジ29Kを含む画像形成機構51Kの一部を構成している。
【0030】
帯電ローラ23Kは、感光体ドラム21Kの表面全体にマイナスの電荷を付着してマイナスに帯電させる。LEDヘッド24Kは、印刷データのうち黒のトナーを乗せるべき部分を画像化した印刷パターンに対応した光を発光し、帯電した感光体ドラム21Kの表面を露光する。
【0031】
トナーカートリッジ29K中に充填された黒色のトナーは、複数のローラを経て現像ローラ25Kに供給される。現像ローラ25Kに供給されたトナーは、感光体ドラム21Kとの接触面において感光体ドラム21Kの露光された箇所に付着する。
【0032】
トナーが付着した感光体ドラム21Kは、回転によって一次トナー転写部5Kに達する。ここで、一次転写ローラ22Kが中間転写体55の裏からプラスの高電位を与えることにより、感光体ドラム21K上にあるマイナスに帯電したトナーを引き離し、中間転写体55に転写する。
【0033】
他の3つの画像形成機構51Y、51M、51Cによる一次トナー転写部5Y、5M、5Cでの一次トナー転写までの動作は、上記画像形成機構51Kによる動作と同じである。
【0034】
一次トナー転写部5Y、5M、5C、5Kで各色のトナーを転写された中間転写体55は、それぞれ図中矢印が示す方向に回転する少なくとも3つの駆動ローラ52、53、54によって支持され図中矢印Bが示す方向に駆動され、トナー転写部5に達する。このトナー転写部5は、二次トナー転写部を構成する。
【0035】
二次トナー転写部5で、中間転写体55に転写されているトナーは媒体搬送路2上を図中矢印Aが示す方向に搬送されてきた印刷媒体1に転写される。この際、二次転写ローラ22が印刷媒体1の裏からプラスの高電位を与えることにより、中間転写体55上にあるマイナスに帯電したトナーを引き離して印刷媒体1に転写する。
【0036】
トナーが転写された印刷媒体1は、媒体搬送路2上を熱定着部6まで搬送される。
【0037】
以降の動作は、図2に示すモノクロ直接転写方式の例と同様である。
【0038】
なお、ピックアップローラ9以外の各ローラは、図示しない伝動機構によって駆動される。
【0039】
図1は第1の実施例における画像処理装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【0040】
図1において、プリンタ500は、図2に示したインタフェースコネクタ111を介してPCと接続されるデータ受信部110と、用紙判定部125を含むデータ解析部120と、給紙判定部130と、タイミング算出部141、給紙制御部142、画像形成制御部143、熱定着制御部144、演算手段及び制御手段としてのメインコントローラ145を含む制御部140と、給紙機構150と、画像形成機構160と、熱定着機構170と、トレイ情報検出部180と、図2に示す表示パネル191によって実現される表示部190と、図2に示す用紙トレイ7a、7b、7c、7d、7e、7fによって実現される用紙トレイ7と、イメージデータバッファ200と、トレイ情報格納部300と、待ち時間対応テーブル400とを備えている。なお、イメージデータバッファ200、トレイ情報格納部300、及び待ち時間対応テーブル400は不揮発性メモリ等の記憶手段としての記憶部に記憶されて実現される。
【0041】
データ受信部110は、PCから送信された印刷データを受信し、受信した印刷データをデータ解析部120に転送する。
【0042】
データ解析部120は、受け取った印刷データから出力すべき印刷媒体の寸法を用紙判定部125により検出して取得し、給紙判定部130に通知するとともに、印刷データを解析し印刷画像データ化してイメージデータバッファ200に格納する。
【0043】
給紙判定部130は、トレイ情報格納部300を検索して受信した寸法の印刷媒体が収納されている用紙トレイ7を識別し、当該用紙トレイに印刷媒体がなければ表示部190を介してユーザに印刷媒体の補充を促す。印刷媒体が収納されている場合は、該当する用紙トレイ7の番号を制御部140に伝達する。
【0044】
制御部140は、タイミング算出部141において受け取った用紙トレイ番号をもとに待ち時間対応テーブル400を参照し、使用する用紙トレイ7に対応する給紙タイミング(給紙待ち時間)および画像形成のタイミング(画像形成待ち時間)を取得して、それぞれを給紙制御部142、画像形成制御部143に通知する。このタイミングは、メインコントローラ145が印刷開始を指令してから、給紙機構150及び画像形成機構160が動作を開始するまでの待ち時間として設定されている。
【0045】
また、制御部140は給紙機構150に対し、使用するべき用紙トレイの番号を指示する。
【0046】
更に、制御部140は、メインコントローラ145により熱定着制御部144を監視する。熱定着制御部144は、熱定着機構170が備える図2に示す定着ローラ10を制御し、これを印刷可能な温度の範囲に保つ。メインコントローラ145は、熱定着制御部144により熱定着機構170が稼動可能と判断した時点で、給紙制御部142及び画像形成制御部143に対し、印刷開始を指令する。
【0047】
給紙制御部142及び画像形成制御部143は、メインコントローラ145から印刷開始指令を受け取ると、タイミング算出部141から受信したタイミング、即ち待ち時間に従って、それぞれ給紙機構150及び画像形成機構160を稼動させる。
【0048】
給紙機構150は、指定されたタイミングに従って制御部140から指示された用紙トレイ7から印刷媒体を繰出し、搬送する。
【0049】
画像形成機構160は、イメージデータバッファ200から印刷画像データを読み出し、受信したタイミングで感光体ドラムに画像を形成し、図2で説明したトナー転写部5において搬送されてきた印刷媒体に画像を転写する。
【0050】
熱定着機構170は、画像形成機構160で画像が転写された印刷媒体に熱定着を施す。
【0051】
トレイ情報検出部180は、所定のタイミングで用紙トレイ7の各用紙トレイ7a、7b、7c、7d、7e、7fを点検し、いずれかのトレイに収納されている印刷媒体の量が変化した場合や設定する印刷媒体の寸法や向きが変更された場合はトレイ情報格納部300にアクセスして、格納したデータを書き換える。したがって、トレイ情報格納部300には、用紙トレイ7の各用紙トレイ7a、7b、7c、7d、7e、7fに設定された印刷媒体の寸法や材質、収納されている印刷媒体の量が記録される。
【0052】
待ち時間対応テーブル400には、用紙トレイ7のそれぞれの用紙トレイ7a、7b、7c、7d、7e、7fに対応した給紙動作と画像形成動作を開始するまでの待ち時間が予め設定されている。
【0053】
このように構成されたプリンタ500は、メモリ等の記憶手段に記憶された制御プログラム(ソフトウェア)に基づいて制御部140が装置全体の動作を制御する。なお、制御部140は、タイマー等の計時手段を備えている。
【0054】
上述した構成の作用について説明する。
【0055】
まず、プリンタが行う印刷処理を図4の第1の実施例における印刷処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップに従い、図1を参照しながら説明する。
【0056】
S100:プリンタ500に対し、PC等の上位装置から印刷データが送信されると、データ受信部110がデータ受信処理を行い、受信した印刷データをデータ解析部120に転送する。
【0057】
S200:データ解析部120は、データ解析処理を実行し、出力に使用する印刷媒体の寸法を検出して給紙判定部130に伝達する。また、受信した印刷データを解析し、画像化して印刷画像データを作成する。
【0058】
S300:給紙判定部130は、給紙判定処理を実行し、受信した寸法の印刷媒体が収納されている用紙トレイを判定して制御部140に通知する。
【0059】
S400:制御部140は、タイミング判別処理を実行し受信した用紙トレイの番号をもとに、給紙動作と画像形成動作のタイミングを取得してそれぞれ給紙制御部142および画像形成制御部143に通知するとともに、給紙機構150に使用するトレイを指示する。
【0060】
S500:次に、制御部140は、メインコントローラ145により定着機構稼動開始待ち処理を実行する。メインコントローラ145は、熱定着制御部144を監視し、定着ローラ10が十分に加熱されて稼動可能な状態であることが示されていれば、給紙制御部142及び画像形成制御部143に対し印刷開始を指令する。
【0061】
S600:印刷開始指令を受信した給紙制御部142は、給紙機構150を制御し、指定されたタイミングで指示された用紙トレイから印刷媒体を搬送する給紙処理を行う。
【0062】
S700:同様に、印刷開始指令を受信した画像形成制御部143は、画像形成機構160を制御し、指定されたタイミングで図2に示す感光体ドラム21に画像を形成し、画像形成部5において搬送された印刷媒体にトナー画像を転写する画像形成処理を行う。
【0063】
S800:熱定着制御部144は、熱定着機構170を制御してトナー画像が転写された印刷媒体に熱定着処理を施す。プリンタ500は、トナー画像が熱定着された印刷媒体を排出トレイに送出して印刷処理を終了する。
【0064】
次に、図4のS100におけるデータ受信処理を図5の第1の実施例におけるデータ受信処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップに従い、図1を参照しながら説明する。なお、データ受信処理は、データ受信部110が実行する。
【0065】
S110:データ受信部110は、通信回線を介してPC等の上位装置から印刷データを受信する。
【0066】
S120:データ受信部110は、受信した印刷データをデータ解析部120に転送する。
【0067】
次に、図4のS200におけるデータ解析処理を図6の第1の実施例におけるデータ解析処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップに従い、図1を参照しながら説明する。なお、データ解析処理は、データ解析部120が実行する。
【0068】
S210:データ解析部120は、データ受信部110から転送された印刷データを受信する。
【0069】
S220:データ解析部120は、用紙判定部125を起動して受信した印刷データを解析して出力する印刷媒体の寸法を検出する。
【0070】
S230:データ解析部120は、さらに印刷データを解析し、画像化して印刷画像データを作成する。
【0071】
S240:データ解析部120は、作成した印刷画像データをイメージデータバッファ200に格納する。
【0072】
S250:データ解析部120は、S220において検出した印刷媒体の寸法を給紙判定部130に通知してデータ解析処理を終了する。
【0073】
次に、図4のS300における給紙判定処理を図7の第1の実施例における給紙判定処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップに従い、図1を参照しながら説明する。なお、給紙判定処理は、給紙判定部130が実行する。
【0074】
S310:給紙判定部130は、データ解析部120から出力する印刷媒体の寸法を取得する。
【0075】
S320:給紙判定部130は、取得した印刷媒体の寸法に基づいてトレイ情報格納部300を参照してトレイ情報を取得する。このトレイ情報とは、該当する寸法の印刷媒体がセットされる用紙トレイを識別するためのトレイの番号と、収納されている印刷媒体のおおまかな量である。
【0076】
ここで、トレイ情報格納部300に格納されているトレイ情報の例を図8に示す。図8に示すようにトレイ情報は、トレイ番号(トレイNo.)毎に、印刷媒体の寸法、向き、収容量(%)が格納され、例えば本実施例でデータ解析部120から印刷媒体の寸法として「A4」、さらに向きが「横向き」を取得した場合、給紙判定部130は、トレイ情報を検索して目的の印刷媒体が収納されているトレイを「トレイ2」として抽出する。
【0077】
S330:給紙判定部130は、取得したトレイ情報により目的の印刷媒体がいずれかのトレイに収納されていることが確認できると処理をS350へ移行し、一方目的の印刷媒体が収納されているトレイが空であることを確認すると処理をS340へ移行する。
【0078】
S340:給紙判定部130は、目的の印刷媒体が収納されているトレイが空であることを確認した場合は、媒体補充処理を起動する。
【0079】
S350:給紙判定部130は、該当するトレイの番号を制御部140に通知して処理を終了する。なお、図8に示すトレイ情報の例では、寸法「A4」、向き「横向き」の印刷媒体はトレイ2に容量のおよそ20%程度収納されているので、給紙判定部130は「トレイ2」のトレイ番号の情報を制御部140に通知する。
【0080】
次に、図7のS340における媒体補充処理を図9の第1の実施例における媒体補充処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップに従い、図1を参照しながら説明する。なお、媒体補充処理は、給紙判定部130が実行する。
【0081】
S341:目的の印刷媒体がトレイに収納されていなかった場合、給紙判定部130は表示部190を介してユーザに対し印刷媒体がない旨の警告を表示する。
【0082】
S342:給紙判定部130は、ユーザの操作によりトレイに印刷媒体が補充されることを待機する。
【0083】
S343:給紙判定部130は、センサ等により印刷媒体が補充されたことを検知すると、表示部190に表示した警告を消去して媒体補充処理を終了し、処理を図7のS350へ移行する。
【0084】
次に、図4のS400におけるタイミング判別処理を図10の第1の実施例におけるタイミング判別処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップに従い、図1を参照しながら説明する。なお、タイミング判別処理は、制御部140がタイミング算出部141を起動して実行する。
【0085】
S410:制御部140は、給紙判定部130からトレイ番号を取得する。
【0086】
S420:制御部140は、トレイ番号を引数としてタイミング算出部141を起動する。タイミング算出部141は、トレイ番号を用いて待ち時間対応テーブル400を参照し、給紙待ち時間と画像形成待ち時間を取得する。
【0087】
ここで、待ち時間対応テーブル400の例を図11の第1の実施例における待ち時間対応テーブルを示す説明図に基づいて説明する。
【0088】
図11に示すように、待ち時間対応テーブルには、使用するトレイに対応して給紙と画像形成を開始するタイミングが待ち時間として設定されている。これは給紙動作と画像形成動作のタイミングを合わせるためのもので、例えば図2に示すトナー転写部5に至近のMPT7aに載置されている印刷媒体に画像を形成する場合は、画像形成機構160の感光体ドラム21が帯電し、露光し、トナーを載せてトナー転写部5まで回転する画像形成動作の時間よりも、MPT7aからトナー転写部5に印刷媒体が搬送されて到着するまでの給紙動作の時間が短いので、画像形成動作を開始してから給紙動作を開始するまでに待ち時間が3秒必要となる。
【0089】
一方、図2に示すトナー転写部5から最も遠いトレイ5(図2に示すトレイ7f)に収納された印刷媒体に印刷する場合は、給紙動作と画像形成動作を同時に開始すると、即ち印刷媒体のピックアップと同時に画像形成動作を開始すると、印刷媒体がトナー転写部5に到達するまでの間、感光体ドラム21側に待ち時間が発生して無駄な空回転を繰り返すことになる。
【0090】
そこで、感光体ドラム21は、所定時間を待って印刷媒体が搬送経路の途中に達した頃合で画像形成動作を開始すれば、無駄な回転を省くことができる。この画像形成動作を開始するまでの所定の待ち時間が、図11に示したトレイ5の例では、画像形成待ち時間の5秒となる。また、トレイ2を使用する例を用いて図11の待ち時間対応テーブルを参照すると、画像形成待ち時間が2秒となる。
【0091】
ここで、ある印刷処理において画像形成機構160が稼動を開始し、感光体ドラム21が帯電し、露光し、トナーを乗せて回転し、トナー転写部5に到達するまでに要する画像形成準備時間をt1(秒)、給紙機構150が稼動を開始し、指定されたトレイから印刷媒体をピックアップして搬送し、トナー転写部5に到達するまでに要する給紙時間をt2(秒)とすると、
画像形成準備時間t1>給紙時間t2
の関係を有する場合は、給紙機構側に(画像形成準備時間t1−給紙時間t2)秒の給紙待ち時間が発生し、
給紙時間t2>画像形成準備時間t1
の関係を有する場合は、画像形成機構側に(給紙時間t2−画像形成準備時間t1)秒の画像形成待ち時間が発生するといえる。図11に示した待ち時間対応テーブルは、印刷処理において時間t1を固定とし、時間t2をトレイごとに設定してその差を表に表したものである。
【0092】
なお、画像形成準備時間とは、画像形成機構160においてドラムモータを駆動して感光体ドラム21に帯電を開始してから、露光し、トナーを載せて該当する印刷画像の先端がトナー転写部5に到達するまでに必要な時間であり、本実施例では、プリンタ500固有の値であるものとする。
【0093】
また、各用紙トレイ7からトナー転写部5に印刷媒体を搬送する速度は、所定の速度であり、同速度である。
【0094】
S430:待ち時間を取得したタイミング算出部141は、給紙制御部142に給紙待ち時間と使用するトレイ番号を通知する。
【0095】
S440:また、タイミング算出部141は、画像形成制御部143に画像形成待ち時間を通知してタイミング判別処理を終了する。
【0096】
次に、図4のS500における定着機構稼動開始待ち処理を図12の第1の実施例における定着機構稼動開始待ち処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップに従い、図1を参照しながら説明する。なお、定着機構稼動開始待ち処理は、制御部140のメインコントローラ145が実行する。
【0097】
S510:一般に、図2に示す定着ローラ10は定着処理をしていない間は内部に備えるヒータヘの通電を遮断し温度を下げているため、新たにプリンタ500が印刷データを受信して出力を開始するにあたっては、この定着ローラ10が必要な温度に上昇するまで、プリンタ500内の他の処理機構が待つことになる。そのため、メインコントローラ145は、熱定着制御部144の監視を開始する。
【0098】
S520:熱定着制御部144は、熱定着機構170に含まれる定着ローラ10の温度を制御し、印刷での熱定着処理に最適な温度範囲に保っている。メインコントローラ145は、熱定着制御部144により定着器の温度が熱定着処理に最適な温度範囲にあることを確認する。
【0099】
S530:定着器の温度が至適範囲に達するとメインコントローラ145は、給紙制御部142に印刷開始を指令する。
【0100】
S540:また、メインコントローラ145は、画像形成制御部143に印刷開始を指令する。
【0101】
次に、図4のS600における給紙処理を図13の第1の実施例における給紙処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップに従い、図1を参照しながら説明する。なお、給紙処理は、給紙制御部142の制御により給紙機構150が実行する。
【0102】
S610:給紙制御部142は、メインコントローラ145から印刷開始指令を受信する。
【0103】
S620:給紙制御部142は、タイミング算出部141から使用するトレイ番号と給紙待ち時間を取得する。
【0104】
S630:取得した待ち時間が「0」であれば処理をS660へ移行し、直ちに給紙動作を開始する。一方、取得した待ち時間が「0」でなければ処理をS640へ移行する。
【0105】
S640:待ち時間がある場合、給紙制御部142は、タイマーを起動する。
【0106】
S650:給紙制御部142は、所定の待ち時間の経過を待機する。
【0107】
S660:所定の待ち時間が経過すると給紙制御部142は、給紙機構150を制御して指定の用紙トレイ7からの給紙動作を開始する。
【0108】
次に、図4のS700における画像形成処理を図14の第1の実施例における画像形成処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップに従い、図1を参照しながら説明する。なお、画像形成処理は、画像形成制御部143の制御により画像形成機構160が実行する。
【0109】
S710:画像形成制御部143は、メインコントローラ145から印刷開始指令を受信する。
【0110】
S720:画像形成制御部143は、タイミング算出部141から画像形成待ち時間を取得する。
【0111】
S730:画像形成制御部143は、待ち時間に関係なくイメージデータバッファ200にアクセスしてイメージデータバッファ200から印刷画像データを読み出し、画像形成の準備を行う。
【0112】
S740:画像形成制御部143は、取得した待ち時間が「0」であれば処理をS770へ移行し、直ちに画像形成動作を開始する。一方、取得した待ち時間が「0」でなければ処理をS750へ移行する。
【0113】
S750:待ち時間がある場合、画像形成制御部143は、タイマーを起動する。
【0114】
S760:画像形成制御部143は、所定の待ち時間の経過を待機する。
【0115】
S770:所定の待ち時間が経過すると画像形成制御部143は、読み出した印刷画像データに基づいて画像形成動作を開始する。
【0116】
以上の処理によりトナー画像が形成された印刷媒体は、その後図2おいて説明した熱定着部6を通り、搬送ローラ31、32によって搬送され、排紙ローラ33、34によって排出トレイ13上に排出される。
【0117】
次に、給紙動作および画像形成動作を開始するタイミングについて図15および図16に基づき、図1および図2を参照しながら説明する。
【0118】
図15および図16は、第1の実施例における給紙動作と画像形成動作のタイムチャートであり、給紙機構150、画像形成機構160、熱定着機構170が動作するタイミングを示している。
【0119】
図15は、用紙トレイがトナー転写部5に近いため画像形成機構160が先に起動し、給紙機構150側に待ち時間が発生する例を示している。
【0120】
図15において、プリンタ500が上位装置から印刷開始を指示する開始コマンド(印刷データ)を受信すると、熱定着制御部144が熱定着機構170を制御し、定着可能な温度まで昇温させる(定着温度待ち)。熱定着機構170が至適温度に達すると(定着温度待ち終了)メインコントローラ145が給紙制御部142及び画像形成制御部143に印刷指令を発する(印刷コマンド)。
【0121】
画像形成制御部143は、図示しないドラムモータを駆動して感光体ドラム21を回転せしめ、帯電(W1)、露光(W2)を経て転写可能とする。画像形成制御部143が印刷コマンドを受信してから画像形成機構160が転写可能な状態に至るまでに必要な時間をt1とする。
【0122】
一方、給紙制御部142は、給紙機構150により用紙トレイから印刷媒体を給紙する給紙動作を開始(W3)してからその印刷媒体がトナー転写部5に達するまでに必要な時間をt2とすると、給紙待ち時間twk=(t1−t2)の時間を待ってから給紙を開始し、トナー転写部5において給紙された印刷媒体が感光体ドラム21のトナー付着面と適切なタイミングで接合できるようにする。
【0123】
図16は、用紙トレイがトナー転写部5から遠く離れ、印刷媒体の搬送に時間がかかるため、画像形成機構160側に待ち時間が発生する例を示している。
【0124】
図16において、プリンタ500が上位装置から印刷開始を指示する開始コマンド(印刷データ)を受信すると、熱定着制御部144が熱定着機構170を制御し、定着可能な温度まで昇温させる(定着温度待ち)。熱定着機構170が至適温度に達すると(定着温度待ち終了)メインコントローラ145が給紙制御部142及び画像形成制御部143に印刷指令を発する(印刷コマンド)。
【0125】
給紙制御部142は、給紙機構150を制御して直ちに給紙を開始(P3)する。給紙制御部142が印刷指令を受信してから印刷媒体がトナー転写部5に到達するまでに要する時間をt2とする。
【0126】
一方、画像形成制御部143は、図示しないドラムモータを駆動して感光体ドラム21を回転せしめ、帯電(P1)、露光(P2)を経て転写可能とする。画像形成制御部143が印刷コマンドを受信してから画像形成機構160が転写可能な状態に至るまでに必要な時間をt1とすると、画像形成制御部143は、画像形成待ち時間twg=(t2−t1)の時間を待ってからドラムモータの駆動を開始し、トナー転写部5において給紙された印刷媒体が感光体ドラム21のトナー付着面と適切なタイミングで接合できるように制御することにより、感光体ドラム21を余分に回転させないようにする。
【0127】
なお、図11に例示した待ち時間対応テーブル400は、図15に例示した(t1−t2)、及び図16に例示した(t2−t1)を予めデータ化し、テーブルとして格納したものである。
【0128】
本実施例では、画像形成準備時間を所定の時間t1として説明したが、画像形成準備時間は、所定の時間内に印刷動作を行わないときに移行する省電力モードにおいて印刷指示を上位装置等から受信した場合、通常モードにおいて印刷指示を受信した場合よりも長くなる。これは、省電力モードから通常モードに復旧する場合において、感光体ドラム21に付着したトナー等のゴミをクリーニング等する必要があり、画像形成機構160の感光体ドラム21を一様に帯電させるために必要な感光体ドラム21の回転量が増加するためである。
【0129】
したがって、省電力モードにおいて印刷指示を上位装置等から受信した場合、すなわち省電力モードから復帰した初めての印刷動作において、制御部140がタイミング算出部141を起動して実行する図10に示すタイミング判別処理のS420において参照する待ち時間対応テーブル400を図17(a)に示す待ち時間対応テーブルとする。図17(a)に示したトレイ5の例では、画像形成待ち時間の4.8秒となり、またトレイ2の例では、画像形成待ち時間が1.8秒となる。
【0130】
また、本実施例において、図11に示した待ち時間対応テーブルは、プリンタ500の印刷速度を一定として算出した待ち時間を記憶するようにしたが、印刷媒体の種類、環境状況、カラー/モノクロ印刷等の画像形成条件により変化する印刷速度に基づいて待ち時間を算出して記憶するようにしてもよい。
【0131】
例えば、印刷媒体の種類として印刷媒体の紙厚が厚いほど印刷速度は遅くなり、また環境状況として低温・低湿(例えば、温度10℃以上15℃以下、湿度20%以上25%以下)の環境での印刷速度は高温・高湿(例えば、温度25℃以上32℃以下、湿度55%以上80%以下)または常温・常湿(例えば、温度15℃より高く25℃未満、湿度25%より高く55%未満)の環境での印刷速度より遅くなり、さらにカラー印刷の印刷速度はモノクロ印刷の印刷速度よりも遅くなる。
【0132】
したがって、紙厚が普通紙より厚い印刷媒体を印刷する場合、低温・低湿の環境で印刷する場合、またはカラー印刷で印刷する場合、制御部140がタイミング算出部141を起動して実行する図10に示すタイミング判別処理のS420において参照する待ち時間対応テーブル400を図17(b)に示す待ち時間対応テーブルとする。図17(b)に示したトレイ5の例では、画像形成待ち時間の4秒となり、またトレイ2の例では、給紙待ち時間が0.4秒となる。
【0133】
このように、画像形成条件を省電力モードから復旧した初めての画像形成動作、印刷媒体の厚さ、温度ならびに湿度、およびカラー/モノクロ印刷のうちいずれかひとつまたはその組み合わせとし、待ち時間対応テーブル400を設定するようにしてもよい。
【0134】
なお、紙厚が普通紙より厚い印刷媒体か否かの判定は、図8に示すトレイ情報にトレイ番号毎に、収納されている印刷媒体の紙厚(普通紙または厚紙)を表す情報を追加して格納しておき、給紙判定部130が目的の印刷媒体が収納されているトレイを抽出すると同時に当該印刷媒体の紙厚情報を抽出して制御部140へ通知し、制御部140が通知された紙厚情報に基づいて行うものとする。
【0135】
また、低温・低湿の環境で印刷するか否かの判定は、プリンタ500の内部に温度センサおよび湿度センサを備え、その温度センサおよび湿度センサからの入力信号に基づいて行うものとする。
【0136】
さらに、カラー印刷かモノクロ印刷かの判定は、制御部140が上位装置から受信した印刷データに含まれる情報に基づいて行うものとする。
【0137】
以上説明したように、第1の実施例では、使用する媒体が格納されたトレイの位置を勘案して画像形成のタイミングを制御し、画像形成機構の感光体ドラムの無駄な回転をなくすことにより、感光体ドラムの寿命を延伸させることができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0138】
第2の実施例の構成を図18、図19および図20に基づいて説明する。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0139】
図18は第2の実施例における画像処理装置の外観斜視図である。
【0140】
図18において、600は、画像処理装置としての複合機(MultiFunction Peripheral:以下、「MFP」という。)である。
【0141】
MFP600は、自動原稿搬送装置(Auto Document Feeder:以下、「ADF」という。)610及び画像読取部620からなる画像読取手段と、ユーザと当該MFP600との間で情報の入出力を行う操作パネル195からなる操作表示手段と、図1を用いて説明した画像処理装置500が有する画像形成手段630と、用紙トレイ7a、7b、7c、7d、7e、7fとから構成されている。
【0142】
図19は第2の実施例における画像処理装置の構成を示す概略側面図である。
【0143】
図19において、操作パネル195は、ユーザによる入力操作を受付ける操作ボタン等の操作手段を備え、必要な情報の入力を受付ける。また操作パネル195は、液晶ディスプレイ等の表示手段を備え、ユーザに対して必要な情報を表示する。
【0144】
ADF610は、原稿給紙トレイ611上にセットされた複数枚の原稿を図示しないローラにより1枚ずつ分離して繰出し、画像読取部620のプラテンガラス613上に設定された所定の原稿読取り位置まで搬送する。
【0145】
画像読取部620は、原稿読取位置に搬送されてきた原稿に光を照射する光源と、原稿で反射した光を受光する光電変換素子とを備え、原稿のサイズに応じた原稿画像を走査して画像データを生成する。光電変換素子は、受光した光を電気信号である読取データに変換し、さらにデジタルデータとして画像データを生成する。読取りが終了した原稿は、ADF610により搬送され、原稿排紙トレイ612上に排出される。
【0146】
なお、MFP600は、図2に示すプリンタ500を画像形成手段として備えており、その画像形成手段の構成は、第1の実施例と同様であるので同一の符号を付してその説明を省略する。
【0147】
図20は第2の実施例における画像処理装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【0148】
図20において、MFP600は操作パネル195と、入出力処理部197と、画像読取部620と、画像処理部625と、給紙判定部130と、タイミング算出部141、給紙制御部142、画像形成制御部143、及び熱定着制御部144を含む演算手段ならびに制御手段としての制御部140と、給紙機構150と、画像形成機構160と、熱定着機構170と、トレイ情報検出部180と、図19に示す用紙トレイ7a、7b、7c、7d、7e、7fによって実現される用紙トレイ7と、イメージデータバッファ200と、トレイ情報格納部300と、待ち時間対応テーブル410とを備えている。なお、イメージデータバッファ200、トレイ情報格納部300、及び待ち時間対応テーブル410は不揮発性メモリ等の記憶手段としての記憶部に記憶されて実現される。
【0149】
操作パネル195は、ユーザが入力設定したデータを入出力処理部197に転送する。また、給紙判定部130から入出力処理部197を介して所定の用紙トレイに印刷媒体が収納されていないことを示す信号を受信した場合は、ユーザに対して印刷媒体の補充を促す表示を行う。
【0150】
入出力処理部197は、操作パネル195から受信したデータを判定し、内容に応じて画像読取部620、画像処理部625、給紙判定部130、または制御部140に転送する。また、給紙判定部130から所定の用紙トレイに印刷媒体が収納されていないことを示す信号を受信した場合は、これを操作パネル195に転送する。
【0151】
画像読取部620は、プラテンガラス613上に載置された原稿を入出力処理部197から受信した原稿寸法の範囲でスキャンして読取り、読取った画像データを画像処理部625に伝達する。また、読取りを開始した時点と終了した時点で、読取りを開始した旨と読取りを終了した旨を制御部140に通知する。
【0152】
画像処理部625は、画像読取部620から画像データを受信し、入出力処理部197から受信したユーザの指定に従って、その画像データの濃度、サイズ等を変換し、印刷用の画像データを生成してイメージデータバッファ200に格納する。
【0153】
給紙判定部130は、入出力処理部197から印刷媒体の寸法指定と出力部数を受信し、トレイ情報格納部300を検索して受信した寸法の印刷媒体が収納されている用紙トレイを識別し、当該用紙トレイに印刷媒体がなければ入出力処理部197に対して該当する用紙トレイの番号と、印刷媒体が収納されていない旨の信号を送信する。印刷媒体が収納されている場合は、該当する用紙トレイ7の番号と出力部数を制御部140に伝達する。
【0154】
制御部140は、タイミング算出部141において、読取り原稿寸法と印刷媒体が収納されている用紙トレイ番号をもとに待ち時間対応テーブル410を参照し、画像読取部620が画像読取に要する時間と、給紙機構150が印刷媒体をピックアップしてからその印刷媒体がトナー転写部5に到達するまでの所要時間(給紙時間)と、画像形成機構160がトナー転写可能となるまでの準備時間(画像形成準備時間)とを勘案して、画像形成待ち時間または給紙待ち時間を算出し、それぞれの待ち時間を画像形成制御部143、給紙制御部142に通知する。なお、待ち時間対応テーブル410には、原稿寸法ごとの画像読取に要する時間と、用紙トレイ別の給紙に要する時間が記憶されている。
【0155】
また、制御部140は、給紙機構150に対し、使用するべき用紙トレイの番号を指示する。
【0156】
給紙制御部142は、画像読取部620が画像読取りを開始したことを通知する信号を受信した制御部140からその信号を受信し、給紙待ち時間だけ待った後に、給紙機構150を稼動させて給紙を開始する。給紙機構150は、指定されたタイミングに従って制御部140から指示された用紙トレイ7から印刷媒体を繰出し、搬送する。
【0157】
画像形成制御部143は、画像読取部620が画像読取りを終了したことを通知する信号を受信した制御部140からその信号を受信し、画像形成待ち時間だけ待った後に、画像形成機構160を稼動させて画像形成を開始する。
【0158】
画像形成機構160は、イメージデータバッファ200から印刷画像データを読み出し、受信したタイミングで感光体ドラムに画像を形成し、図19で説明したトナー転写部5において搬送されてきた印刷媒体に画像を転写する。この動作を、給紙判定部130から取得した部数の回数だけ繰り返す。
【0159】
熱定着機構170は、画像形成機構160で画像が転写された印刷媒体に熱定着を施す。
【0160】
トレイ情報検出部180は、所定のタイミングで用紙トレイ7の各用紙トレイ7a、7b、7c、7d、7e、7fを点検し、いずれかの用紙トレイに収納されている印刷媒体の量が変化したり、設定する印刷媒体の寸法や向きが変更されたりした場合はトレイ情報格納部300にアクセスして、格納したデータを書き換える。したがって、トレイ情報格納部300には、用紙トレイに設定された媒体の寸法や材質、収納されている媒体の量が記録される。
【0161】
このように構成されたMFP600は、メモリ等の記憶手段に記憶された制御プログラム(ソフトウェア)に基づいて制御部140が装置全体の動作を制御する。なお、制御部140は、タイマー等の計時手段を備えている。
【0162】
上述した構成の作用について説明する。
【0163】
本実施例では、MFP600でコピー処理を行う際に、画像読取りに必要な時間と、用紙トレイごとに給紙に必要な時間と、画像形成機構が印刷媒体に転写可能な状態まで準備するのに必要な時間とを相互に勘案して、給紙機構または画像形成機構に待ち時間を設定する。なお、説明を簡単にするため、第1の実施例で説明した定着機構の温度待ちは省略するものとする。
【0164】
まず、MFPが行う印刷処理を図21の第2の実施例における印刷処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップに従い、図19および図20を参照しながら説明する。
【0165】
S1100:MFP600の操作パネル195は、ユーザの操作により設定されたデータを受信し、そのデータを入出力処理部197へ転送する設定データ受信処理を行う。
【0166】
S1200:入出力処理部197は、受信した設定データの内容に従って必要なモジュールにその設定データを転送する設定データ転送処理を行う。
【0167】
S1300:画像読取部620は、プラテンガラス613上に載置された原稿を入出力処理部197から受信した原稿寸法の範囲で読取り、読取った画像データを画像処理部625に伝達する。
【0168】
S1400:画像処理部625は、画像読取部620から画像データを受信し、入出力処理部197から受信したユーザの指定に従って、その画像データの濃度調節、サイズ(拡大/縮小)等を変換する画像変換処理を行い、印刷用の画像データを生成してイメージデータバッファ200に格納する。
【0169】
S1500:給紙判定部130は、ユーザが指定した印刷媒体の寸法をもとに給紙判定処理を実行し、受信した寸法の媒体が収納されている用紙トレイを判定して制御部140に通知する。
【0170】
S1600:制御部140は、ユーザが指定した原稿サイズと印刷媒体の寸法に基づいてタイミング判別処理を実行し、給紙機構または画像形成機構の動作開始待ち時間を算出し、それぞれを給紙制御部142、画像形成制御部143に通知するとともに、給紙機構150に使用する用紙トレイを指示する。
【0171】
なお、制御部140は、熱定着制御部144を監視し、定着ローラ10が十分に加熱されて稼動可能な状態であることが示されていれば、給紙制御部142及び画像形成制御部143に対し印刷開始を指令する。
【0172】
S1700:印刷開始指令を受信した給紙制御部142は、給紙機構150を制御し、指定されたタイミングで指示された用紙トレイから印刷媒体を搬送する給紙処理を行う。
【0173】
S1800:同様に、印刷開始指令を受信した画像形成制御部143は、画像形成機構160を制御し、指定されたタイミングで感光体ドラム21に画像を形成し、画像形成部5において搬送された印刷媒体にトナー画像を転写する画像形成処理を行う。
【0174】
S1900:熱定着制御部144は、熱定着機構170を制御してトナー画像が転写された印刷媒体に熱定着処理を施す。MFP600は、トナー画像が熱定着された印刷媒体を排出トレイに送出して印刷処理を終了する。
【0175】
次に、図21のS1100における設定データ受信処理を図22の第2の実施例における設定データ受信処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップに従い、図20を参照しながら説明する。なお、設定データ受信処理は、操作パネル195が実行する。
【0176】
S1110:操作パネル195は、ユーザによる出力濃度や原稿寸法等の設定値の入力、および入力した設定値を確定する操作を受付けると、その設定値を取得する。
【0177】
S1120:操作パネル195は、取得した設定値を入出力処理部197に転送する。
【0178】
次に、図21のS1200における設定データ転送処理を図23の第2の実施例における設定データ転送処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップに従い、図20を参照しながら説明する。なお、設定データ転送処理は、入出力処理部197が実行する。
【0179】
S1210:入出力処理部197は、操作パネル195から転送された設定値を受信する。
【0180】
S1220:入出力処理部197は、受信した設定値の内容に応じて必要なモジュールにこれを転送する。
【0181】
S1221:設定値が出力濃度の場合は、画像処理部625に伝達する。
【0182】
S1222:設定値が原稿寸法の場合は、画像読取部620に伝達する。
【0183】
S1223:また、制御部140にも伝達する。
【0184】
S1224:設定値が縮尺の場合は、画像処理部625に伝達する。
【0185】
S1225:設定値が印刷媒体寸法の場合は、給紙判定部130に伝達する。
【0186】
S1226:設定値が部数の場合は、給紙判定部130に伝達する。
【0187】
次に、図21のS1300における画像読取処理を図24の第2の実施例における画像読取処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップに従い、図20を参照しながら説明する。なお、画像読取処理は、画像読取部620が実行する。
【0188】
S1310:画像読取部620は、入出力処理部197から原稿寸法を受信する。
【0189】
S1320:画像読取部620は、スキャン開始を制御部140に通知する。
【0190】
S1330:画像読取部620は、スキャン開始を制御部140に通知すると同時にプラテンガラス13上に載置された原稿を受信した寸法の範囲でスキャンする。
【0191】
S1340:画像読取部620は、スキャンが終了すると制御部140に終了を通知する。
【0192】
S1350:画像読取部620は、スキャンデータ(読取った画像データ)を画像処理部625へ転送する。
【0193】
次に、図21のS1400における画像変換処理を図25の第2の実施例における画像変換処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップに従い、図20を参照しながら説明する。なお、画像変換処理は、画像処理部625が実行する。
【0194】
S1410:画像変換部625は、画像読取部620からスキャンデータを受信する。
【0195】
S1420:画像変換部625は、入出力処理部197から出力濃度を受信する。
【0196】
S1430:また、画像変換部625は、入出力処理部197から縮尺を受信する。
【0197】
S1440:画像変換部625は、S1420において受信した出力濃度の値に従って濃度補正を施す。
【0198】
S1450:更に、画像変換部625は、S1420において受信した縮尺の値に従って、S1410において受信したスキャンデータに拡大/縮小処理を施す。
【0199】
S1460:画像変換部625は、スキャンデータを印刷用の出力画像データに変換する。
【0200】
S1470:画像変換部625は、変換した出力画像データをイメージデータバッファ200に格納する。
【0201】
次に、図21のS1500における給紙判定処理を図26の第2の実施例における給紙判定処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップに従い、図20を参照しながら説明する。なお、給紙判定処理は、給紙判定部130が実行する。
【0202】
S1510:給紙判定部130は、入出力処理部197から出力する印刷媒体の寸法を取得する。
【0203】
S1520:給紙判定部130は、取得した印刷媒体の寸法に基づいてトレイ情報格納部300を参照してトレイ情報を取得する。このトレイ情報とは、該当する寸法の印刷媒体がセットされる用紙トレイを識別するためのトレイの番号と、収納されている印刷媒体のおおまかな量である。なお、トレイ情報格納部300に格納されているトレイ情報は、図8に例示する第1の実施例と同様である。
【0204】
S1530:給紙判定部130は、取得したトレイ情報により目的の印刷媒体がいずれかのトレイに収納されていることが確認できると処理をS1550へ移行し、一方目的の印刷媒体が収納されているトレイが空であることを確認すると処理をS1540へ移行する。
【0205】
S1540:給紙判定部130は、目的の印刷媒体が収納されているトレイが空であることを確認した場合は、媒体補充処理を起動する。なお、媒体補充処理は図9で説明した第1の実施例と同様なのでその説明を省略する。
【0206】
S1550:給紙判定部130は、該当するトレイの番号を制御部140に通知して処理を終了する。
【0207】
次に、図21のS1600におけるタイミング判別処理を図27の第2の実施例におけるタイミング判別処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップに従い、図20を参照しながら説明する。なお、タイミング判別処理は、制御部140がタイミング算出部141を起動して実行する。
【0208】
S1610:制御部140は、給紙判定部130からトレイ番号を取得する。
【0209】
S1620:制御部140は、入出力処理部197から原稿寸法を取得する。
【0210】
S1630:制御部140は、トレイ番号および原稿寸法を引数としてタイミング算出部141を起動する。タイミング算出部141は、トレイ番号を用いて待ち時間対応テーブル410を参照し、トレイ別の給紙に要する時間(給紙時間)を取得する。
【0211】
S1640:また、タイミング算出部141は、原稿寸法を用いて待ち時間対応テーブル410を参照し、原稿寸法別のスキャンに要する時間(スキャン時間)を取得する。
【0212】
ここで、待ち時間対応テーブル410の例を図28の第2の実施例における待ち時間対応テーブルを示す説明図に基づいて説明する。
【0213】
待ち時間対応テーブル410は、図28(a)に示すトレイ別の給紙に要する時間(給紙時間)と図28(b)に示す原稿寸法別のスキャンに要する時間(スキャン時間)のテーブルで構成されている。
【0214】
このトレイ別の給紙に要する時間は、使用するトレイで印刷媒体がピックアップされてからその印刷媒体が搬送されてトナー転写部5に到達するまでにかかる時間である。例えば、図28(a)に示すようにトレイ2に収納されている印刷媒体を使用すると仮定すると、トレイ2からピックアップされた印刷媒体の進行方向の先頭端がトナー転写部5に到達するまでに必要な時間は2秒である。
【0215】
また、原稿寸法別のスキャンに要する時間は、ある寸法の原稿を原稿読取部620でスキャンを開始してから終了するまでに必要な時間である。例えば、図28(b)に示すようにA3判の原稿をスキャンすると仮定すると、このスキャンに必要な時間は3秒である。
【0216】
S1650:次に、タイミング算出部141は、取得した給紙時間およびスキャン時間と画像形成準備時間を用いて画像形成待ち時間を算出する。ここで、画像形成準備時間とは、画像形成機構160においてドラムモータを駆動して感光体ドラム21に帯電を開始してから、露光し、トナーを載せて該当する印刷画像の先端がトナー転写部5に到達するまでに必要な時間であり、本実施例では、MFP600固有の値であるものとする。
【0217】
画像形成準備時間をt1、給紙時間をt2、スキャン時間をtsとすると、画像形成待ち時間は、次の様に算出される。
【0218】
図29において、スキャン開始と同時に給紙を開始した印刷媒体がトナー転写部5に到達するまでに給紙時間t2秒を要するものとする。また、画像読取部620でスキャン終了と同時に画像形成機構160でトナー転写の準備を完了させるまでに画像形成準備時間t1秒を要するものとする。このとき、(給紙時間t2>画像形成準備時間t1)であるとすると、(t2−t1)秒間、感光体ドラムは無駄に回転し、印刷媒体の到着を待たなければならない。
【0219】
そこで、画像形成機構160は、スキャン終了から所定の時間だけ待ってから画像形成準備である帯電を開始する。
【0220】
スキャンに要する時間をtsとすると、画像形成待ち時間twgは以下の式で算出できる。
【0221】
画像形成待ち時間twg=給紙時間t2−スキャン時間ts−画像形成準備時間t1(秒)
S1650:タイミング算出部141は、算出した画像形成待ち時間が0より大きいか否かを判定し、0より大きいと判定すると処理をS1665へ移行し、0より小さいと判定すると処理をS1666へ移行する。
【0222】
S1665:タイミング算出部141は、算出した画像形成待ち時間が0より大きい、すなわち画像形成機構側に待ち時間が生じた場合、給紙待ち時間を0秒とする。
【0223】
S1666:一方、タイミング算出部141は、算出した画像形成待ち時間が0より小さい、すなわちスキャン時間と画像形成準備時間に比べて給紙時間が短い場合は、給紙機構側に待ち時間が発生する。この場合は、S1650で算出した画像形成待ち時間が負の値になるので、画像形成待ち時間を0秒とし、給紙待ち時間を算出する。
【0224】
図30において、図29と同様に画像形成準備時間をt1、給紙時間をt2、スキャン時間をtsとすると、給紙待ち時間twkは、次の様に算出される。
【0225】
給紙待ち時間twk=スキャン時間ts+画像形成準備時間t1−給紙時間t2(秒)
S1670:給紙待ち時間と画像形成待ち時間が確定するとタイミング算出部141は、給紙制御部142に給紙待ち時間と使用するトレイ番号を通知する。
【0226】
S1680:また、タイミング算出部141は、画像形成制御部143に画像形成待ち時間を通知してタイミング判別処理を終了する。
【0227】
次に、図21のS1700における給紙処理を図31の第2の実施例における給紙処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップに従い、図20を参照しながら説明する。なお、給紙処理は、給紙制御部142の制御により給紙機構150が実行する。
【0228】
S1710:給紙制御部142は、制御部140からスキャン開始指令を受信する。
【0229】
S1720:給紙制御部142は、タイミング算出部141から使用するトレイ番号と給紙待ち時間を取得する。
【0230】
S1730:取得した待ち時間が「0」以下であれば処理をS1760へ移行し、直ちに給紙動作を開始する。一方、取得した待ち時間が「0」より大きい、すなわち待ち時間があれば処理をS1740へ移行する。
【0231】
S1740:待ち時間がある場合、給紙制御部142は、タイマーを起動する。
【0232】
S1750:給紙制御部142は、所定の待ち時間の経過を待機する。
【0233】
S1760:所定の待ち時間が経過すると給紙制御部142は、給紙機構150を制御して指定の用紙トレイ7からの給紙動作を開始する。
【0234】
次に、図21のS1800における画像形成処理を図32の第2の実施例における画像形成処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップに従い、図20を参照しながら説明する。なお、画像形成処理は、画像形成制御部143の制御により画像形成機構160が実行する。
【0235】
S1810:画像形成制御部143は、制御部140からスキャン終了通知を受信する。
【0236】
S1820:画像形成制御部143は、タイミング算出部141から画像形成待ち時間を取得する。
【0237】
S1830:画像形成制御部143は、待ち時間に関係なくイメージデータバッファ200にアクセスしてイメージデータバッファ200から印刷画像データを読み出し、画像形成の準備を行う。
【0238】
S1840:画像形成制御部143は、取得した待ち時間が「0」以下であれば処理をS1870へ移行し、直ちに画像形成動作を開始する。一方、取得した待ち時間が「0」より大きい、すなわち待ち時間があれば処理をS1850へ移行する。
【0239】
S1850:待ち時間がある場合、画像形成制御部143は、タイマーを起動する。
【0240】
S1860:画像形成制御部143は、所定の待ち時間の経過を待機する。
【0241】
S1870:所定の待ち時間が経過すると画像形成制御部143は、読み出した印刷画像データに基づいて画像形成動作を開始する。
【0242】
以上の処理によりトナー画像が形成された印刷媒体は、その後図2おいて説明した熱定着部6を通り、搬送ローラ31、32によって搬送され、排紙ローラ33、34によって排出トレイ13上に排出される。
【0243】
なお、第1の実施例と同様に、画像形成条件を省電力モードから復旧した初めての画像形成動作、印刷媒体の厚さ、温度ならびに湿度、およびカラー/モノクロ印刷のうちいずれかひとつまたはその組み合わせとし、待ち時間対応テーブル410を設定するようにしてもよい。
【0244】
以上説明したように、第2の実施例では、スキャンを行う装置においても、スキャン時間、用紙の搬送時間、および画像形成時間を勘案して画像形成のタイミングを制御し、感光体ドラムの無駄な回転をなくすことにより、より高価な部品が使用される複合機等の装置においても感光体ドラムの寿命を延伸させることができるという効果が得られる。
【0245】
なお、第1の実施例および第2の実施例では、本発明をプリンタ及び複合機(MFP)に適用した例で説明したが、これに限られず、ファクシミリ装置、複写機等の電子写真方式で印刷処理を行う画像形成手段を備える装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0246】
1 印刷媒体
2 媒体搬送路
3 媒体繰出し部
5 トナー転写部
6 熱定着部
7 用紙トレイ
8 分離ローラ
9 ピックアップローラ
10 定着ローラ
11 圧接ローラ
12 レジストローラ
13 排出トレイ
21 感光体ドラム
22 転写ローラ
23 帯電ローラ
24 LEDヘッド
25 現像ローラ
29 トナーカートリッジ
50 画像形成機構
110 データ受信部
120 データ解析部
130 給紙判定部
140 制御部
141 タイミング算出部
142 給紙制御部
143 画像形成制御部
144 熱定着制御部
145 メインコントローラ
150 給紙機構
160 画像形成機構
170 熱定着機構
180 トレイ情報検出部
190 表示部
200 イメージバッファ
300 トレイ情報格納部
400、410 待ち時間対応テーブル
500 プリンタ
600 MFP
610 ADF
620 画像読取部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体を収納する複数の給紙トレイと、それぞれの前記給紙トレイから印刷媒体を搬送する給紙機構と、前記給紙機構で搬送された印刷媒体に画像を形成する画像形成機構とを備えた画像処理装置において、
前記給紙機構により前記給紙トレイから搬送された印刷媒体が前記画像形成機構に到達するまでの時間から前記画像形成機構で画像を形成するまでに要する時間を減算した時間を画像形成待ち時間として記憶する記憶部と、
前記給紙機構が前記給紙トレイから印刷媒体の搬送を開始してから前記画像形成機構に画像の形成を開始させるまでの待機時間を前記画像形成待ち時間に基づいて決定する制御部とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1の画像処理装置において、
印刷する印刷媒体が収納されている給紙トレイを判別する給紙判定部を備え、
前記記憶部に記憶される画像形成待ち時間を、給紙トレイ毎の画像形成待ち時間とし、
前記制御部は、前記給紙判定部で判別された給紙トレイに対応する前記画像形成待ち時間に基づいて前記待機時間を決定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2の画像処理装置において、
前記記憶部は、前記画像形成待ち時間に加え、前記画像形成機構で画像を形成するまでに要する時間から前記給紙機構により前記給紙トレイから搬送された印刷媒体が前記画像形成機構に到達するまでの時間を減算した時間を給紙待ち時間として給紙トレイ毎に記憶し、
前記制御部は、前記給紙判定部で判別された給紙トレイに対応する前記給紙待ち時間が0よりも大きいとき、前記画像形成機構が画像の形成を開始してから前記給紙機構に前記給紙トレイから印刷媒体の搬送を開始させるまでの待機時間を前記給紙待ち時間に基づいて決定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
原稿の画像を読取る画像読取部と、印刷媒体を収納する複数の給紙トレイと、それぞれの前記給紙トレイから印刷媒体を搬送する給紙機構と、前記給紙機構で搬送された印刷媒体に前記画像読取部で読取った原稿の画像を形成する画像形成機構とを備えた画像処理装置において、
前記給紙機構により前記給紙トレイから搬送された印刷媒体が前記画像形成機構に到達するまでの時間から前記画像形成機構で画像を形成するまでに要する時間および前記画像読取部が原稿を読取るまでに要する時間を減算した時間を画像形成待ち時間として記憶する記憶部と、
前記給紙機構が前記給紙トレイから印刷媒体の搬送を開始してから前記画像形成機構に画像の形成を開始させるまでの待機時間を前記画像形成待ち時間に基づいて決定する制御部とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項4の画像処理装置において、
印刷する印刷媒体が収納されている給紙トレイを判別する給紙判定部を備え、
前記記憶部に記憶される画像形成待ち時間を、給紙トレイ毎の画像形成待ち時間とし、
前記制御部は、前記給紙判定部で判別された給紙トレイに対応する前記画像形成待ち時間に基づいて前記待機時間を決定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項5の画像処理装置において、
前記記憶部は、前記画像形成待ち時間に加え、前記画像形成機構で画像を形成するまでに要する時間から前記給紙機構により前記給紙トレイから搬送された印刷媒体が前記画像形成機構に到達するまでの時間および前記画像読取部が原稿を読取るまでに要する時間を減算した時間を給紙待ち時間として給紙トレイ毎に記憶し、
前記制御部は、前記給紙判定部で判別された給紙トレイに対応する前記給紙待ち時間が0よりも大きいとき、前記画像形成機構が画像の形成を開始してから前記給紙機構に前記給紙トレイから印刷媒体の搬送を開始させるまでの待機時間を前記給紙待ち時間に基づいて決定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項の画像処理装置において、
前記記憶部に記憶される画像形成待ち時間は、前記画像形成機構の画像形成条件に応じて決定された画像形成待ち時間であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項7の画像処理装置において、
前記画像形成条件は、省電力モードから復旧した初めての画像形成動作、印刷媒体の厚さ、温度ならびに湿度、およびカラー/モノクロ印刷のうちいずれかひとつまたはその組み合わせとしたことを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2011−59465(P2011−59465A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210135(P2009−210135)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(594202361)株式会社沖データシステムズ (259)
【Fターム(参考)】