説明

画像処理装置

【課題】表示操作や画像処理を撮影時の撮影情報および表示パラメータに基いて複数の画像を同期させて表示でき、画像の比較を容易にし、経時変化や治療効果の確認も容易であって、また、診察や診断の援助となる医療情報の提供が可能な画像処理装置を提供することである。
【解決手段】複数の三次元画像を処理可能な画像処理装置において、所定の操作に従い、前記第1の三次元画像と同じ態様となるよう前記第2の三次元画像を同期処理する同期手段、前記同期処理された前記第1の三次元画像と前記第2の三次元画像とを指定した点を一致させるように合成する手段、及び前記合成した第1の三次元画像及び第2の三次元画像を表示可能な表示手段を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像診断装置により得られた医療画像や医療情報を表示する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来において、医用画像診断装置等にて撮影された患者の医用画像を観察するために画像表示および画像処理が行える画像処理装置が用いられている。この画像処理装置は二次元画像の表示に加え、三次元画像を観察することもできる。この観察の際には、比較のため例えば各々の画像表示の観察角度及び拡大率を全く同じ状態にして観察することにより、画像同士の比較が容易になる。三次元画像を表示する装置では、複数の三次元画像を表示することができるものもある。
【0003】
従来の図4に示される画像モニタ18を備えた画像処理装置にて表示される複数の画像は、主には別々にそれぞれの表示画像に対して操作することが行われる。一度に複数枚の表示画像を操作できる画像処理装置もあるが、それはその時々での表示状態からの変化分を同期させるのみであり、例えば角度同期して表示するためには、一度に操作できる装置で2つの画像の角度を同一に設定し、さらに一度に操作する表示機能を選択すると言う最低2アクションの操作により実行している。表示画面20には2つの三次元画像表示がされているが、互いの表示スケールは同期していないので、これを同期させるために数ステップの操作を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−212325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の画像処理装置においては以下のような解決すべき課題があった。
【0006】
表示画像の操作方法において、表示された患部画像の変化や治療効果を確認するためにはマニュアル操作により観察角度、拡大率、表示用画像処理といった画像処理操作を複数の画像に対して同じにして観察する必要があった。
【0007】
時間と労力、更に熟練を要するこれらの操作の手間の多さが、これまで三次元画像の比較読影を広めることへの一つの障害となっていた。比較読影が臨床医学的に有用な診断・診察手法であることは、X線撮影やCT、MRIの断層像等の二次元画像で既に広く認められている。同様に三次元画像の比較読影も有用であることは想像に難くなく、撮影角度、拡大率、表示用画像処理を同期することが可能な画像処理装置が望まれていた。
【0008】
本発明の画像処理装置はこれらの課題を解決するものであり、表示操作や画像処理を撮影時の撮影情報および表示パラメータに基いて複数の画像を同期させて表示でき、画像の比較を容易にし、経時変化や治療効果の確認も容易であって、また、診察や診断の援助となる医療情報の提供が可能な画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態に係る画像処理装置は、複数の三次元画像を処理可能な画像処理装置において、所定の操作に従い、前記第1の三次元画像と同じ態様となるよう前記第2の三次元画像を同期処理する同期手段、前記同期処理された前記第1の三次元画像と前記第2の三次元画像とを指定した点を一致させるように合成する手段、及び前記合成した第1の三次元画像及び第2の三次元画像を表示可能な表示手段を備えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態による画像処理装置の構成を説明するための概略図。
【図2】本発明の実施の形態による画像処理装置の構成を説明するための概略図。
【図3】本発明の実施の形態による画像処理装置による画面表示の一つの例を示す図。
【図4】従来の画像処理装置による画面表示の一つの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施の形態>
図1は本発明の第1の実施の形態による画像処理装置の構成を説明するための概略図である。
【0012】
この画像処理装置の構成は、ネットワーク8を経由してCT装置4、MRI装置5、超音波装置6、X線装置7または核医学装置等の画像診断装置及び画像データベース1に接続されている。各撮影装置では当該患者の内部構造を三次元的に画像化した三次元画像が再構成され、生成された画像は画像データベース1に格納される。また、画像処理装置は1台に限定されず、図1に示すように第一の画像処理装置2と、第二の画像処理装置3といったように複数の画像処理装置がネットワーク8に接続されている。
【0013】
また、図2には図1にて示した第一の画像処理装置2や第二の画像処理装置3の内部構成を説明するための概略図が示されている。この画像処理装置の構成は、全体の処理をコントロールするCPU14、患者や画像選択および角度情報を入力する入力装置13、三次元画像を格納する画像メモリ9、三次元的な拡大・縮小・移動・回転を行う三次元AFIN処理部10、ボリュームレンダリング処理やサーフェイスレンダリング処理等の三次元画像処理を行い、三次元表示画像を構成する三次元画像処理部11、三次元表示画像の階調を変換するLUT(Look Up Table)12と、および三次元表示画像を表示する表示部(モニタ)15と、情報送受における信号伝送を行う信号バス16と、によって構成される。
【0014】
また画像データベース1には、三次元画像だけでなく、画像に付帯する患者・撮影情報、画像のオリエンテーションを示す情報等も保管されている。なお三次元AFIN処理10及び三次元画像処理11をCPU14が兼ねても良い。また表示装置15は複数の表示領域を有し、複数の三次元表示画像を一度に表示できる。その構造はマルチウィンドウ表示でも良いし、また複数のモニタで溝成しても良い。
【0015】
次に画像処理装置の全体動作について説明する。
【0016】
たとえば、画像データベース1に登録されている三次元画像AとBが画像処理装置に三次元表示されている場合を考える。この画像A,Bは同一モダリテイで撮影された画像でも良いし、異なるモダリテイで撮影された画像でも良い。各々の表示画像は通常は意図的に合致させない限り、それぞれの表示されている角度が異なっており、同期スイッチをONにすることにより操作者の意図的な操作をすることなく同じ角度からの表示画像になる。
【0017】
この時に、例えば現状画像Aがコントローラブルな画像であるとすると、画像Bの表示角度は画像Aの表示角度に一致するように回転される。これは単に初期表示角度からの変更量を一致させるのではなく、画像のオリエンテーションを考慮して、解剖学的に同じ角度から観察されるように変換するということを示す。例えばCT装置4の例では、患者挿入方向、画像観察方向、患者体位などが画像オリエンテーションを示す情報として挙げられる。
【0018】
患者挿入方向は、患者をCT装置4に頭から入れるか、もしくは足から入れるかにより、再構成される三次元画像の並び順が代わる。これらはTop First(TF:頭頂方向から順番に画像を構成している)/Foot First(FF:足尾方向から順番に画像を構成している)のように表現される。画像観察方向は、画像を観察する方向を示し、View from Top(VFT:頭頂方向から見た画像)/View from Foot(VFF:足尾方向から見た画像)のように表現される。
【0019】
患者体位は、例えば、撮影時に患者が上下左右のどちらを向いていたかを示す。従って例えば画像Aと画像Bが共に初期表示角度であったとしても、画像AのオリエンテーションがVFTでTFであったとし、画像BのオリエンテーションがVFFでFFであったとする。患者体位は双方とも上向きであるとすると、この場合画像Bを上下反転させることにより、双方の観察角度は一致する。
【0020】
MRl装置の場合は更に複雑で、断層面を患者に対して自由に設定できるため、さらに詳細なオリエンテーション情報が必要になるが、原理的には同じである。同期スイッチがONになっている間は片方の画像に加える処理、例えば回転、移動、拡大/縮小等も同様にもう一方の画像にも適用される。但し移動、拡大/縮小については相対的な変化のみである。すなわち片方の画像を倍に拡大した場合、もう一方の画像も倍に拡大する。
【0021】
回転に関しては、装置的にはほぼ解剖学的に同じ角度から表示した画像を表示している場合でも、撮影前の患者の僅かな向きの変化により異なってしまう場合がある。本画像処理装置にはこのようなズレを補正する2種類の機能がある。
【0022】
1つめの機能は、解剖学的に一致する3点を画像A、B双方上で特定する方法である。例えば特定した点を画像A上の(aA、bA、cA)、画像B上の(aB、bB、cB)とする。さらにaA−aB、bA−bB、cA−cBがそれぞれ解剖学的に一致する点であるとする。この時直線aAbAとaBbBが同じ向きとなるように、且つaAcAとaBcBが同じ向きとなるように算出することにより、この補正が可能である。
【0023】
もう一つの機能がマニュアル操作による方法で、任意の機能が与えられた特別のボタンを押しつつの操作、例えばキーボードのSHIFTキーを押しながらの回転操作の際は、処理が片方の画像のみに対して行われ、SHIFTキーを離した時点で同期状態に復帰する。但しこの時最初の方法にしても後の方法にしても、最初の同期状態からの変化量を誤差として記憶しておき、その後の同期は誤差を補正した上で表示する。この同期をやめる際は、同期スイッチをOFFにすることにより同期状態は解除される。
【0024】
図3には本発明の第1の実施の形態による画像処理装置にて画像処理され、表示装置15にて表示された三次元画像の一つの例を示している。表示モニタ17の表示画面19には観察対象部位の三次元画像が表示されており、この図3に示されているのは2つの画像である。この2つの画像は互いに同期して表示されており、どちらか一方のスケールや観察角度、拡大率を操作すると、もう一方の三次元画像表示も同期して変更される。こうして常に同一条件で複数の三次元画像同士を比較することができる。
【0025】
本案施の形態では2つの三次元表示画像を表示した場合について説明しているが、本発明は画像の数に制限されることなく、たとえば3つ以上の画像表示でも可能である。また本実施の形態では、画像処理装置、検査装置、画像データベース1を全て別々の装置として記述しているが、本発明はその溝成に制限されることなく、これらの装置の2つ若しくは全てが一つの装置の中に構成されていても実施可能である。
【0026】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態について以下に説明する。なお、第1の実施の形態と同一の構成については説明を省略する。
【0027】
今画像データベース1に登録されている三次元画像AとBが画像処理装置に三次元表示されている場合を考える。この画像A、Bは同一モダリテイで撮影された画像でも良いし、異なるモダリテイで撮影された画像でも良い。各々の表示画像は意図的に合致させない限り、それぞれの表示角度や拡大率が異なっており、同期の指示入力をすることにより操作者の手を煩わせることなく同じ角度からで、且つ同じ拡大率の表示画像になる。
【0028】
ここで拡大率の同期とは、物理的に同じ長さを表示装置上で同じ長さに表示することを指している。例えば現状画像Aがコントローラブルな画像であるとすると、画像Bの表示角度及び拡大率は画像Aの表示角度に一致するように回転される。これは単に初期表示角度、初期拡大牽からの変更量を一致させるのではなく、画像のオリエンテーションや画素ピッチを考慮して、解剖学的に同じ角度から観察されるように、物理的に同じ長さを表示装置上で同じ長さに変換するものである。
【0029】
ここでは観察角度については第1の実施の形態と同様なので説明を省く。拡大率については、例えばCT装置の例では、撮影領域やマトリックスサイズにより断層面での画素ピッチが決まり、寝台移動幅(ヘリカルスキャン方式の場合は寝台移動速度)、コリメータ幅等により体軸方向の画素ピッチが決まる。今画像Aにおいて断層面及び体軸方向での画素ピッチが共に0.5mmであったとし、画像Bについては断層面及び体軸方向での画素ピッチが共に0.7mmであったとすると、全く同じ部位を撮影したとしても初期状態では画像Aの方が画像Bより1.4培に拡大されて表示される。
【0030】
同期スイッチがONの場合、この画素ピッチも考慮して補正され、この例の場合は例えば画像Aがコントローラブルで現状の初期表示状態から1.2培拡大表示されているとすると、画像Bは1.68(=1.2×1.4)倍に拡大されて表示される。同期スイッチがONになっている間は片方の画像に加える処理、例えば回転、移動、拡大・縮小等も同様にもう一方の画像にも適用される。
【0031】
但し移動、については相対的な変化のみである。すなわち片方の画像をz軸方向に5mm移動した場合、もう一方の画像もz軸方向に5mm移動する。但し回転、拡大に関しては、ほぼ解剖学的に同じ角度、同じ拡大率で表示した画像を表示している場合でも、撮影前の患者の僅かな向きの変化や、撮影画像の歪み等により観察角度や拡大率が異なってしまう場合がある。観察角度についての補正法については第1の実施の形態で説明してあるので、ここでは拡大率の補正につい
てのみ説明する。
【0032】
本発明の画像処理装置には、このようなズレを補正する2種類の機能がある。第1の機能は、解剖学的に一致する2点を画像A、B双方上で特定する方法である。例えば角度の誤差特定のために指定した点の内2点、画像A上の(aA,bA)、画像B上の(aB,bB)を使用するか、若しくは角度の誤差がないと判断した時は2点のみを画像A上の(aA,bA)、画像B上の(aB,bB)を指定しても良い。この時直線aAbAとaBbBが同じ長さとなるように拡大率を算出することにより、この補正が可能である。
【0033】
もう一つの機能がマニュアル操作による方法で、所定の機能が付与されたボタンを押しつつの操作、例えばキーボードのSHIFTキーを押しながらの拡大操作の際は処理が片方の画像のみに対して行われ、SHIFTキーを押した時点で同期状態に復帰する。但しこの時、前者の方法にしても後者の方法にしても、最初の同期状態からの変化量を誤差として記憶しておき、その後の同期は誤差を補正した上で表示する。この同期をやめる際は、同期スイッチをOFFにすることにより同期状態は解除される。
【0034】
なお、本実施の形態では2つの三次元表示画像を表示した場合について説明しているが、もちろん画像の数に制限されることなく、3つ以上の画像を同時に処理することも可能である。
【0035】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態の説明において、先に説明した第1および第2の実施の形態と重複する部分については説明を省略する。システム構成については第1の実施の形態と同様である。
【0036】
たとえば、画像データベース1に登録されている三次元画像AとBが画像処理装置に三次元表示されている場合について述べる。この画像A、Bは同じモダリテイで撮影された画像でも良いし、異なるモダリテイで撮影された画像でも良い。各々の表示画像は操作者の意図により故意に合致させない限り、それぞれに表示している角度や表示用画像処理は異なっている。そこで、同期スイッチをONにすることにより操作者の手を煩わせることなく同じ角度からで且つ同じ表面画像処理の表示画像になる。
【0037】
例えば現状の画像Aがコントローラブルな画像であるとすると、画像Bの表示角度及び表示用画像処理は画像Aの表示角度や表示用画像処理に一致するように回転、表示される。これは単に初期表示角度、初期表示用画像処理からの変更量を一致させるのではなく、画像のオリエンテーションを考慮して、解剖学的に同じ角度から観察されるように変更することを指すものである。
【0038】
また表示用画像処理についても同様に全く同じ処理が施されるようにする。ここでは代表的な2種類の画像処理について説明する。サーフェイスレンダリング法では、閾値を設定し、その閾値の範囲内に入る領域を対象領域として、その対象に対して任意の方向から光が当った状態のように擬似的に演算を行い、その反射光を演算することにより表示画像が算出される。
【0039】
この時の閾値、光源の位置、強度、対象の色等が合致するように処理される。ボリュームレンダリング法の場合は、画素数を例えば反射率や屈折率等光学パラメータに変換する関数(光学変換関数)が定義されており、その物体に対し任意の方向から光を当てて、その反射光を計算することにより表示画像データが演算される。サーフェイスレンダリング法と異なるのは、サーフェイスレンダリング法では物体の表面が明確に定義でき、表面の後ろに隠れた情報は表示できない。
【0040】
それに対し、ボリュームレンダリングでは光学変換関数の定義によっては、例えば霧の中に対象物がぼやけて見えるように、内部構造を可視化できる。
【0041】
同期スイッチがONとなった時はこの光学変換関数、光源の位置、強度、対象の色等が合致するように処理される。この同期をやめる際は、同期スイッチをOFFにすることにより同期状態は解除される。本実施の形態では2つの三次元表示画俵を表示した場合について説明しているが、もちろん画像の数に制限されることなく、3つ以上の画像処理も可能である。
【0042】
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態の説明について、第1〜3の実施の形態と重複する部分については説明を省略する。第4の実施の形態の画像処理装置が備えるシステム構成については第1の実施の形態と同様である。
【0043】
画像データベース1に登録されている三次元画像AとBが画像処理装置に三次元表示されている場合を説明のための一つの例とする。この例において、画像A、Bは同一モダリテイで撮影された画像でも良いし、異なるモダリテイで撮影された画像でも良い。各々の表示画像は操作者が故意に一致させない限りそれぞれに表示している角度や拡大率、表示用画像処理が異なっており、同期スイッチをONにすることにより操作者の手を煩わせることなく同じ角度で且つ同じ拡大率、同じ表面処理の表示画像になる。
【0044】
例えば現状画像Aがコントローラブルな画像であるとすると、画像Bの表示角度、拡大率及び表示用画像処理は画像Aの表示角度や拡大率、表示用画像処理に一致するように回転、拡大、縮小にて表示される。これは単に初期表示角度、初期拡大率、初期表示用画像処理からの変更量を一致させるのではなく、画像のオリエンテーシヨンを考慮して、解剖学的に同じ角度から、同じサイズで観察されるように変更するものである。また表示用画像処理についても同様に全く同じ処理が施されるようにする。但し、この時の光学変換関数は、画素ピッチによって補正される。例えば画像Aの画素ピッチをm、画像Aの画素ピッチをnとし、画像Bの光学変換関数は以下の関数によって補正される。
【0045】
【数1】

ここで反射率γは以下のような数式でモデル化しており、Nは画素値を示している。
【数2】

ここでxは距離を示す。この同期をやめる際は、同期スイッチをOFFにすることにより同期状態は解除される。
【0046】
本実施の形態では2つの三次元表示画像を表示した場合について説明しているが、本発明は画像の数に制限されることなく、3つ以上でも溝わない。
【0047】
<第5の実施の形態>
本実施の形態の内、実施の形態1、2、3、4と同じ部分については説明を省く。システム横成については実施の形態1と同様。
【0048】
画像データベース1に登録されている三次元画像AとBが画像処理装置に三次元表示されている場合を説明のための一つの例とする。この画像A、Bは同一モダリテイで撮影された画像でも良いし、異なるモダリテイで撮影された画像でも良い。各々の表示画像は操作者が故意に一致させない限り、それぞれに表示している角度や拡大率、表示用画像処理が異なっており、同期スイッチをONにすることにより自動的に同じ角度からの表示画像になる。拡大率については、補正しても良いし、もし同一モダリテイで同一条件で撮影した像であれば、わざわざ補正する必要はないし、必要であれば予めマニュアルで補正しても良い。また先に説明した第2の実施の形態と同じ方法で補正しても良い。表示条件についても先に説明した第3の実施の形態に示すような方法で補正することも可能である。
【0049】
この同期した状態から合成(フュージョン)スイッチを押すことができ、その場合はお互いの位置ズレを指定した点を−致させるようにして補正した後、三次元的に合成する。同期スイッチを一度ONにすると、画像同士の角度ズレ、位置ズレ、拡大率ズレ情報を保存しておき、再度合成スイッチが押された場合、表示角度、位置、拡大率が合致するように補正した後に合成を行う。
【0050】
<第6の実施の形態>
本発明の第6の実施の形態は、画像処理装置の基本的な構成は少なくとも先に説明した第1〜5の実施の形態のいずれかと同様であれば実施可能であり、以下の説明において第1〜5の実施の形態と重複する部分は省略する。
【0051】
ボリュームレンダリング法では、画素値が反射率や屈折率等の光学パラメータに変換され、この光学パラメータで構成される物体に光を当てたと仮定して、表示画像が計算される。一般的には合成は1ピクセルおきの互い違いのピクセルを1枚の画像に合成することにより行われる。しかし本発明の画像処理装置では、変換した画像A、画像Bの光学パラメータμA、μBを用いて合成画像の光学パラメータを以下のように算出する。
μ=f(μA、μB)
この時fは任意の関数を示し、例えば以下の2種類のように使用される。
μ=μA+μB
または
μ=μA−μB
【0052】
前者を用いることにより、解像度の良好な画像を得ることができる。また後者を用いることにより、画像Aと画像Bの違いを明瞭に観察することができる。
【0053】
また、一つの変形例として光学パラメータを合成する方法に代えて、別々の画像として処理した後、表示画線上で合成しても良い。本例では、例えば画像毎に別々の色、強度、光源の位置等を設定することにより、合成した画橡でありながら、両者の区別を明瞭にすることができる。
【0054】
また、別の変形例では画像毎に異なる色を使用しているが、例えば画素値の範囲を指定してそれに含まれる領域を決定し、その領域同士の重なった部分と重ならない部分との色を変化させても良い。これにより注目部位での両者の区別を明瞭にすることができる。
【0055】
<第7の実施の形態>
本発明の第7の実施の形態は、画像処理装置の基本的な構成は先に説明した第1〜6の実施の形態のいずれかと同様であっても実施可能であり、以下の説明においては基本的な構成が第1〜6の実施の形態のいずれかと同様であるとして、その重複する部分は省略して説明する。
【0056】
画像処理装置に読み込まれた診断画像、患者データ、検査データを元に診断を施し、それを診断結果として保存する。この時この診断データベースは「部位」、「病名」、「コメント(診断に至った経緯)」等からなり、それらをデータベースに登録しておく。またこれはレポーティングシステムの内容から、「部位」を示す辞書、「病名」を示す辞書などを有し、これらにヒットするキーワードを抽出して自動的にデータベースに登録しても良い。
【0057】
このようにして構築されたデータベースを利用して診断を行う際、新たな診断に有用な情報、例えば画像、検査結果などが加わった場合、そこでその結果を元に診断を行い、その結果を前記手順でデータベースに登録を行う。この時、この患者の過去のデータを検索し、その内容を比較して同じ部位若しくは関連する部位での診断情報があれば、その内容をポップアップウィンドゥで「診断日」、「診断者」、「症例」、「部位」等を提示し、その詳細を観察したい場合、そのウィンドゥ上で詳細ボタンを押すことにより、その画像等の検査内容、その時の結果(例えば診断に至った経緯)等を参照できる。
【0058】
以上説明した本発明の実施の形態によれば、同期スイッチをONにすることにより、観察角度、拡大率、表示用画像処理を、撮影装置固有の撮影条件、表示パラメータを元に同期して表示することができるため、三次元画像の比較を容易にし、患部の経時変化や治療効果を確認しやすくなる。
【0059】
また、同期スイッチをONにすることにより、観察角度について撮影装置固有の撮影角度情報を元に同期させることができる。
【0060】
また、観察角度と拡大率を撮影装置固有の撮影情報を元に同期させることができ、観察角度や拡大率および表示用画像処理を撮影装置固有の撮影条件や表示パラメータを元に同期して表示することができる。
【0061】
なお、以上説明した実施の形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施の形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0062】
1...画像データベース、2...第一の画像処理装置(画像処理装置)、3...第二の画像処理装置(画像処理装置)、8...ネットワーク、9...画像メモリ、10...三次元AFIN処理(AFIN)、11...三次元画像処理、12...LUT、15...表示部(モニタ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の三次元画像を処理可能な画像処理装置において、
所定の操作に従い、前記第1の三次元画像と同じ態様となるよう前記第2の三次元画像を同期処理する同期手段と、
前記同期処理された前記第1の三次元画像と前記第2の三次元画像とを指定した点を一致させるように合成する手段と、
前記合成した第1の三次元画像及び第2の三次元画像を表示可能な表示手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−477(P2012−477A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172434(P2011−172434)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【分割の表示】特願2000−324411(P2000−324411)の分割
【原出願日】平成12年10月24日(2000.10.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】