説明

画像処理装置

【課題】原稿の画像読取時に、メモリの空き容量の増量をするためのユーザの待ち時間を短縮する。
【解決手段】原稿の読み取り開始の指示を受け付ける第一の受付手段と、第一の受付手段が読み取り開始の指示を受け付けた場合に、原稿から画像を読み取る読取手段と、読み取った画像のデータをメモリに記憶する記憶手段と、メモリが記憶している既存データと組み合わせて一つのジョブにする、次原稿の画像データが有るか否かについて、ユーザの指示を受け付ける第二の受付手段と、第二の受付手段によって次原稿が有るとのユーザの指示を受け付けること、を少なくとも一つの条件とする規定条件を満たすか否か判別する判別手段と、判別手段が、規定条件を満たすと判別した場合は、メモリの空き容量の増量を行い、規定条件を満たさないと判別した場合は、メモリの空き容量の増量を行わない増量手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関する。さらに詳細には、複数枚の原稿の画像データを順次記憶し、組み合わせて一つのジョブとして出力することが可能な画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、読み取った複数枚の原稿の画像データを全て記憶し、組み合わせて一つのジョブとして出力することが広く行われている。例えば、読み取った画像データをまとめて出力するFAX送信や、部数ごとにまとめて印刷するソートコピーなどである。このような場合、原稿がメモリに記憶できないときは、それまでに読み取った原稿データを破棄するか、一旦出力してメモリの空き容量の増量が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−236042
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来はメモリの空き容量を増量させるために時間がかかり、その間ユーザを待たせてしまっていた。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、メモリの空き容量を増量させるための、ユーザの待ち時間を短縮することができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、第1の発明に係る画像処理装置は、原稿の読み取り開始の指示を受け付ける第一の受付手段と、前記第一の受付手段が読み取り開始の指示を受け付けた場合に、原稿から画像を読み取る読取手段と、読み取った画像のデータをメモリに記憶する記憶手段と、前記メモリが記憶している既存データと組み合わせて一つのジョブにする、次原稿の画像データが有るか否かについて、ユーザの指示を受け付ける第二の受付手段と、前記第二の受付手段によって次原稿が有るとのユーザの指示を受け付けること、を少なくとも一つの条件とする規定条件を満たすか否か判別する判別手段と、前記判別手段が、前記規定条件を満たすと判別した場合は、前記メモリの空き容量の増量を行い、前記規定条件を満たさないと判別した場合は、前記メモリの空き容量の増量を行わない増量手段とを備える。
【0007】
第1の発明によれば、次原稿が有るとのユーザの指示を受け付けることを少なくとも一つの条件とする規定条件を満たす場合に、メモリの空き容量を増量し、規定条件を満たさない場合にメモリの空き容量を増量しないことができる。
【0008】
また、第2の発明に係る画像処理装置は、前記メモリの空き容量が規定値より小さいか否か判断する判断手段を備え、前記規定条件は、前記判断手段が、前記メモリの空き容量が規定値より小さいと判断することを一つの条件とする、ことを特徴とする。
【0009】
第2の発明によれば、メモリの空き容量が規定値より小さいか否かを規定条件の一つとすることができる。つまり、メモリの空き容量が、規定値より小さい場合は空き容量を増量し、規定値より小さくない場合は空き容量は増量しないことができる。
【0010】
また、第3の発明にかかる画像処理装置は、原稿の画像データの大きさを計算する計算手段を備え、前記規定値が、原稿の画像データの大きさに相当する値である、ことを特徴とする。
【0011】
第3の発明によれば、原稿の画像データの大きさに相当する値を計算し、その値を規定値として用いることができる。
【0012】
また、第4の発明にかかる画像処理装置は、前記読取手段が原稿の画像を読み取る際の読取条件を特定する特定手段を備え、前記計算手段は、原稿の画像データの大きさを、少なくとも特定手段によって特定された読取条件を用いて計算する、ことを特徴とする。
【0013】
第4の発明によれば、原稿の画像を読み取る際の読取条件を特定し、少なくとも特定された読取条件を用いて、原稿の画像データの大きさを計算することができる。つまり、原稿の画像データを記憶するメモリの空き容量がない場合に、空き容量の増量を行うことができる。
【0014】
第5の発明にかかる画像処理装置は、前記計算手段は、原稿の画像データの大きさを、少なくとも既存データの大きさを用いて計算する、ことを特徴とする。
【0015】
また、第5の発明によれば、原稿の画像データの大きさを、少なくとも既存データの大きさを用いて計算することができる。
【0016】
また、第6の発明にかかる画像処理装置は、前記メモリの空き容量を増量するか否かのユーザの指示を受け付ける第三の受付手段を備え、前記規定条件は、前記第三の受付手段が、前記メモリの空き容量を増量するという指示を受け付けたことを一つの条件とする、ことを特徴とする。
【0017】
第6の発明によれば、メモリの空き容量を増量するとユーザに指示されたことを、規定条件の一つとすることができる。つまり、メモリの空き容量を増量するとユーザに指示された場合に空き容量を増量し、空き容量を増量しないと指示を受けた場合は、空き容量は増量しないことができる。
【0018】
また、第7の発明にかかる画像処理装置は、前記増量手段は、既存データの圧縮を行って前記メモリの空き容量を増量する、ことを特徴とする。
【0019】
第7の発明によれば、既存データの圧縮を行うことでメモリの空き容量を増量することができる。
【0020】
また、第8の発明にかかる画像処理装置は、前記記憶手段は、前記増量手段によって既存データの圧縮が行われた場合は、次原稿の画像データを圧縮して記憶し、前記増量手段によって既存データの圧縮が行われない場合は、次原稿の画像データは圧縮せずに記憶する、ことを特徴とする。
【0021】
第8の発明によれば、既存データの圧縮が行われた場合は、次原稿の画像データも圧縮して記憶し、既存データの圧縮が行われない場合は、次原稿の画像データは圧縮せずに記憶することができる。
【0022】
また、第9の発明にかかる画像処理装置は、既存データを出力する出力手段を備え、前記増量手段は、前記出力手段により既存データを出力して前記メモリの空き容量を増量する、ことを特徴とする。
【0023】
第9の発明によれば、既存データを出力することにより、メモリの空き容量を増量することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、次の原稿が有ることを少なくとも一つの条件として、メモリの空き容量を増量させることができる画像処理装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施の形態にかかるMFPの外観を示す図である。
【図2】MFPの画像読取部の構成を示す断面図である。
【図3】実施の形態にかかるMFPの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態における連続読取処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態における連続読取処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明にかかる画像処理装置を具体化した実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施形態は、スキャン機能、プリント機能、およびFAX送受信機能を備えた複合機(MFP:Multi Function Peripheral)に本発明を適用したものである。
【0027】
[MFPの構成]
本実施形態のMFP100は、図1に示すように、用紙に画像を印刷する画像形成部10(出力手段の一例)と、原稿の画像を読み取る画像読取部20(読取手段の一例)とを備えている。なお、画像形成部10の画像形成方式は、電子写真方式であっても、インクジェット方式であってもよい。また、画像形成部10は、カラー画像及びモノクロ画像の形成が可能であってもよいし、モノクロ画像のみの形成が可能であってもよい。さらに、画像読取部20は、カラー画像及びモノクロ画像の読み取りが可能であってもよいし、モノクロ画像のみの読み取りが可能であってもよい。
【0028】
画像読取部20には、前面側に、液晶ディスプレイからなる表示部41、各種のボタン(例えば、スタートキー43,ストップキー,テンキーの各ボタン)によって構成されるボタン群42等を備えた操作パネル40(第一の受付手段,第二の受付手段,第三の受付手段の一例)が設けられている。MFP100では、この表示部41やボタン群42により、動作状況の表示やユーザによる入力が可能になっている。
【0029】
[画像読取部の構成]
画像読取部20は、図2に示すように、原稿(例えば図2中の原稿90)の画像の読み取りを行うスキャナ部21と、原稿の自動搬送を行うADF(Auto Document Feeder:自動原稿供給装置)22とを備えている。
【0030】
スキャナ部21は、その上面に位置する透明なプラテンガラス23、24と、その内部に位置するイメージセンサ25とを備えている。イメージセンサ25は、ADF22によって原稿が自動搬送される際には、プラテンガラス23下に固定され、原稿の画像を読み取る。また、イメージセンサ25は、原稿がプラテンガラス24上に載置される際には、副走査方向(図2の矢印A方向)に移動して、原稿の画像を読み取る。
【0031】
ADF22は、読み取り前の原稿を載置する原稿トレイ221と、読み取り後の原稿を載置する排出トレイ222とを備えている。ADF22は、原稿トレイ221に載置された原稿を1枚ずつ取り出し、搬送路223を介してプラテンガラス23に対向する位置に搬送する。そして、イメージセンサ25が主走査方向に1ラインずつ原稿の画像を読み取る。その後、その原稿を排出トレイ222上に排出する。
【0032】
[MFPの電気的構成]
続いて、MFP100の電気的構成について説明する。MFP100は、図3に示すように、CPU31(判別手段、増量手段,判断手段,特定手段,計算手段の一例)と、ROM32と、RAM33(記憶手段の一例)と、NVRAM(Non Volatile RAM)34とを備えた制御部30を備えている。また、制御部30は、画像形成部10と、画像読取部20と、操作パネル40と、ネットワークインターフェース37とに、電気的に接続されている。
【0033】
ROM32には、MFP100を制御するための制御プログラムであるファームウェアや各種設定、初期値等が記憶されている。RAM33及びNVRAM34は、各種制御プログラムが読み出される作業領域として、あるいは読み取った画像データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。
【0034】
CPU31は、ROM32から読み出した制御プログラムや各種センサから送られる信号に従って、その処理結果をRAM33またはNVRAM34に記憶させながら、MFP100の各構成要素を制御する。
【0035】
ネットワークインターフェース37は、他の装置との通信を可能にするインターフェースである。MFP100は、ネットワークインターフェース37を介して他の装置へ読み取った画像データを送信する。
【0036】
[MFPの制御]
続いて、MFP100の制御について説明する。MFP100は、読み取った原稿の画像データを順次記憶し、組み合わせて一つのジョブとする連続読取モードを有する。この連続読取モードは、例えば読み取った画像データを全て記憶し、まとめて送信するFAX送信や、部数ごとに印刷するソートコピーといった、原稿の画像データを順次記憶して組み合わせ、一つのジョブにして、その後出力する場合に好適である。
【0037】
なお、連続読取モードでない場合は、非連続読取モードが実行される。非連続読取モードは、一般的な読み取り、すなわち読み取った原稿の画像データを順次記憶し、組み合わせて一つのジョブにすることなく、そのまま順次出力する場合に用いる。
【0038】
[連続読取処理]
[第1の実施形態]
以下、第1の実施形態に関する連続読取処理について、図4のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0039】
第1の実施形態の連続読取処理は、操作パネル40の操作を介して連続読取モードの実行指示が入力されると、CPU31によって実行が開始される。
【0040】
S100にてスタートキー43の押下が検出されると(S100:Yes、第一の受付手段の一例)、S101にて画像読取部20が、ユーザによってセットされている原稿の画像を読み取る(読取手段の一例)。原稿は、ADF20にセットされていてもよいし、プラテンガラス24にセットされていてもよい。
【0041】
一方、S100にてスタートキー43の押下が検出されない場合は(S100:No)、CPU31は再びS100に戻ってスタートキー43の押下が検出されるまで待機する。
【0042】
そして、CPU31はS101にて読み取った原稿の画像データを、RAM33に記憶する(S102、記憶手段の一例)。
【0043】
後述するS103,S105,S106においては、RAM33が記憶している既存データと組み合わせて一つのジョブにする次原稿の画像データが有ること、を少なくとも一つの条件とする規定条件を満たすか否かをCPU31が判別する(判別手段の一例)。
【0044】
まずS103にて、操作パネル40からの指示により(第二の受付手段の一例)、RAM33が記憶している既存の画像データと組み合わせて一つのジョブにする次原稿の画像データがあるか否かをCPU31が判定する。
【0045】
ここでは、例えば、表示部41に「次原稿有り?」と表示して、RAM33に記憶されている既存データと組み合わせて一つのジョブにする、次の原稿が有るか否かをユーザに尋ねる通知を行うと望ましい。そして、例えば操作パネル40のYesキーが押されて、次の原稿が有ると指示されると(S103:Yes)、CPU31は規定条件のうち少なくとも一つの条件を満たすと判別してS104へと移行する。
【0046】
一方、操作パネル40のNoキーが押されて、次原稿の画像データが無いと指示されると(S103:No)、CPU31は規定条件のうち少なくとも一つの条件を満たさないと判別してS108に移行し、所定出力を行った後、連続読取処理を終了する。
【0047】
なお、通知方法は表示部41に表示するものだけに限らない。アナウンスや、PCなどの外部装置に表示して通知してもよい。
【0048】
また、S108での所定出力とは、例えば、既存データをFAX送信したり、PCなどの外部装置に出力したり、画像形成部10によって印刷するなどである。これらの出力形態は予めユーザによって指定されているものであり、従来から一般的に行われている出力形態である。
【0049】
続いて、S104にて原稿の画像データの大きさをCPU31が計算する(計算手段の一例)。ここでは、CPU31が、少なくとも原稿の画像を読み取る読取条件か既存データのどちらかを用いて計算する。読取条件は、CPU31が特定する(特定手段の一例)。
【0050】
読取条件を用いて計算する場合、例えば読み取り範囲がA4で、カラー読み取りという読取条件が特定されたら、それに基づいて原稿の画像データの大きさに相当する値を計算する。ここでの読取条件は、ユーザから指定されたものでも自動認識でもよい。例えば、ユーザから操作パネル40を介して、読取範囲はA4であると指定されていてもよいし、プラテンガラス24を用いた読み取りであれば、一旦画像読取部20を走査して原稿サイズを自動認識してもよい。
【0051】
既存データを用いて計算する場合、原稿の画像データの大きさに相当する値は、例えば直前の原稿のデータの大きさに相当する値でもよいし、既存データのうちデータの大きさが最大のものに相当する値であってもよい。また、既存データの原稿1枚あたりのデータの大きさの平均値でもよい。これらにより、ADFを用いた読み取りのように、原稿サイズを自動認識できないものでも、原稿の画像データの大きさに相当する値が計算できる。
【0052】
そして、S105にてCPU31がRAM33の空き容量が規定値より小さいか判断する(判断手段の一例)。例えば、規定値が原稿の画像データの大きさに相当する値だった場合、RAM33の空き容量が、S104にて計算された原稿の画像データの大きさに相当する値より小さいか否かを判断する。
【0053】
なお、S104の処理は行わず、S103の後にS105に移行してもよい。この場合、S104にて原稿の画像データの大きさに相当する値は計算せず、規定値には一定値を用いる。すなわち、例えば、RAM33容量の20%に相当する値を規定値として用いることが予め決められている。
【0054】
S105にて、RAM33の空き容量が規定値より小さくないと判断されたら(S105:No)、CPU31は規定条件のうちの一つを満たさないと判別してS100に戻り、S100にてスタートキー43の押下が検出されるまで待機する。一方、S105にてRAM33の空き容量が規定値より小さいと判断されたら(S105:Yes)、CPU31は規定条件のうちの一つを満たすと判別してS106へと移行する。
【0055】
S106ではRAM33の空き容量を増量するか否かが、操作パネル40から指示される(第三の受付手段の一例)。ここでは、例えば表示部41に「メモリの空き容量を増量?」と表示して、RAM33の空き容量を増量するか否かをユーザに尋ねる通知をすると望ましい。
【0056】
ここで、例えば、Noキーが押されたら(S105:No)、CPU31は規定条件のうちの一つを満たさないと判別し、S108へと移行して所定出力を行った後、連続読取処理を終了する。一方、Yesキーが押されたら(S105:Yes)、CPU31は規定条件のうちの一つを満たすと判別してS107へと移行し、CPU31がRAM33の空き容量を増量する(増量手段の一例)。これにより、ユーザが意図したときに、RAM33の空き容量を増量することができる。
【0057】
S107において、空き容量を増量する方法としては、例えばRAM33に記憶されている既存データを圧縮してRAM33の空き容量を増量する。また、空き容量を増量させる方法は圧縮に限らず、例えば、RAM33の既存データを、PCなどの外部装置に送ったり、画像形成部10により印刷したりした後(出力手段の一例)、RAM33から消去して空き容量を増量させてもよい。これにより、空き容量を確実に増量できることが期待される。
【0058】
なお、S106の処理は行わなくてもよい。この場合、S105にての空き容量が規定値より小さいと判断されたら、S107に移行して、RAM33の空き容量を増量する。これにより、空き容量が規定値より小さいときに、空き容量を増量することができる。
【0059】
S107にてRAM33の空き容量を増量したら、S100に戻り、スタートキー43の押下が検出されるまで待機し、それ以降S101からS107の処理を繰り返す。そして、S102においては、S101にて新しく読み取った画像データをRAM33の既存データと組み合わせ、一つのジョブにして記憶する。
【0060】
上記第一の実施形態では、読み取った画像データをRAM33に記憶したが、これはNVRAM34に記憶してもよい。
【0061】
また、上記第一の実施形態では、S103,S105,S106において規定条件を満たすか否かを判別した。しかし、規定条件は、S103にて次原稿の画像データが有ると指示を受けることを少なくとも一つの条件とすればよい。つまり、S105とS106の処理は行わなくてもよい。
【0062】
この場合、少なくともS103にて次原稿の画像データが有ると指示を受け付けたら(S103:Yes)、規定条件を満たすと判別してS107に移行し、空き容量の増量を行う。
【0063】
以上記述したように、第一の実施形態によれば、少なくとも次原稿の画像データが有ると指示を受け付けた(S103:Yes)ことを条件に、空き容量の増量を行うことが可能である。そのため、画像を読み取ってから空き容量を増量する場合に比べて、早い段階から空き容量を増量させることができる。つまり、空き容量の増量のために、ユーザを待たせる時間を短縮することが期待できる。
【0064】
[第2の実施形態]
続いて、連続読取処理の別実施形態について、図5を参照しつつ説明する。本実施形態の連続読取処理では、空き容量の増量方法として既存データの圧縮を行い、圧縮がそれ以前に行われていたら、次原稿のデータも圧縮して記憶する。この点、RAM33の空き容量の増量方法が圧縮に限らず、また空き容量の増量以降も記憶するデータ形式が変わらない第1の実施形態とは異なる。なお、第1の実施形態と同じ処理については、第1の実施形態同じ符号を付し、説明を省略する。
【0065】
第2の実施形態の連続読取処理では、S100からS101までの処理、S103からS108までの処理は、第1の実施形態と同様である。ただし、S107において、既存データを圧縮することにより、空き容量を増量する。
【0066】
S101にて原稿の画像が読み取られた後、S200にて空き容量の増量、つまり既存データの圧縮が実行済みか否かをCPU31が判定する。S200にて既存データの圧縮が実行済みでないと判定されたら(S200:No)、図4のS102と同じく読み取った画像を圧縮せずにそのまま記憶する(S201)。
【0067】
一方、既存データの圧縮が実行済みと判定されたら(S200:Yes)、S105にて圧縮された既存データと同じ圧縮形式で記憶する(S202)。これにより、既存データの再圧縮を、すぐに行わなければいけなくなる可能性を抑えられる。
【0068】
前述したように、第2の実施形態では、過去に圧縮が実行済みだったら次原稿データも圧縮して記憶する。そのため、既存データの再圧縮によるユーザの無駄な待ち時間を短縮できることが期待される。
【0069】
なお、本実施形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。
【0070】
例えば、MFPに限らず、複写機等、画像読取機能を備えるものであれば適用可能である。
【0071】
また、上記実施形態では、1つのCPU31が印刷処理及び補正処理を全て実行したが本発明はこれに限られず、複数のCPUや、専用回路ASIC(Application
Specific Integrated Circuit)などで実行してもよい。例えば、連続読取処理中の規定条件を満たすか否かの判別と、空き容量の増量を別々のCPUに実行させてもよい。また、原稿の画像データの計算,次原稿有無の判断,読取条件の特定を別々のCPUに実行させてもよい。
【符号の説明】
【0072】
10 画像形成部
20 画像読取部
31 CPU
33 RAM
34 NVRAM
40 操作パネル
43 スタートキー
90 原稿
91 用紙
100 MFP

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の読み取り開始の指示を受け付ける第一の受付手段と、
前記第一の受付手段が読み取り開始の指示を受け付けた場合に、原稿から画像を読み取る読取手段と、
読み取った画像のデータをメモリに記憶する記憶手段と、
前記メモリが記憶している既存データと組み合わせて一つのジョブにする、次原稿の画像データが有るか否かについて、ユーザの指示を受け付ける第二の受付手段と、
前記第二の受付手段によって次原稿が有るとのユーザの指示を受け付けること、を少なくとも一つの条件とする規定条件を満たすか否か判別する判別手段と、
前記判別手段が、前記規定条件を満たすと判別した場合は、前記メモリの空き容量の増量を行い、前記規定条件を満たさないと判別した場合は、前記メモリの空き容量の増量を行わない増量手段と
を備える画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記メモリの空き容量が規定値より小さいか否か判断する判断手段を備え、
前記規定条件は、前記判断手段が、前記メモリの空き容量が規定値より小さいと判断することを一つの条件とする、ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置において、
原稿の画像データの大きさを計算する計算手段を備え、
前記規定値が、原稿の画像データの大きさに相当する値である、ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置において、
前記読取手段が原稿の画像を読み取る際の読取条件を特定する特定手段を備え、
前記計算手段は、原稿の画像データの大きさを、少なくとも特定手段によって特定された読取条件を用いて計算する、ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の画像処理装置において、
前記計算手段は、原稿の画像データの大きさを、少なくとも既存データの大きさを用いて計算する、ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像処理装置において、
前記メモリの空き容量を増量するか否かのユーザの指示を受け付ける第三の受付手段を備え、
前記規定条件は、前記第三の受付手段が、前記メモリの空き容量を増量するという指示を受け付けたことを一つの条件とする、ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の画像処理装置において、
前記増量手段は、既存データの圧縮を行って前記メモリの空き容量を増量する、ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像処理装置において、
前記記憶手段は、
前記増量手段によって既存データの圧縮が行われた場合は、次原稿の画像データを圧縮して記憶し、前記増量手段によって既存データの圧縮が行われない場合は、次原稿の画像データは圧縮せずに記憶する、ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の画像処理装置において、
既存データを出力する出力手段を備え、
前記増量手段は、前記出力手段により既存データを出力して前記メモリの空き容量を増量する、ことを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−110681(P2013−110681A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256132(P2011−256132)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】