説明

画像処理装置

【課題】立体物について品質の高い複写出力を得る。
【解決手段】原稿を載置するコンタクトガラス23と、コンタクトガラス23の一の辺側を上方に回動させて開閉可能にコンタクトガラス23の覆いをするスキャナカバー21と、コンタクトガラス23に載置された原稿を読み取り、読み取った原稿データを出力するスキャナユニット20と、スキャナカバー21の開閉側に配置されてスキャナカバー方向の立体物35を撮影し、撮影した画像データを出力するカメラユニット33と、原稿データおよび画像データを印刷物として出力するプリンタ部10と、スキャナユニット20による読み取り動作、カメラユニット33による撮影動作、およびプリンタ部10による画像形成動作を設定する操作パネル30と、備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関する。さらに詳述すると、コンタクトガラス上に立体物を載置して複写を行う画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写装置、これらの複合機等の画像処理装置として、像担持体である感光ドラムの表面に静電潜像を形成し、感光ドラム上の静電潜像を現像剤であるトナー等によって現像して可視像化し、現像された画像を転写装置により記録紙(用紙、記録媒体、記録材ともいう)に転写して画像を担持させ、圧力や熱等を用いる定着装置によって記録紙上のトナー画像を定着する電子写真方式の画像処理装置(画像形成装置)が知られている。
【0003】
このような画像処理装置のスキャナユニットにおけるコンタクトガラスに原稿を載置し、等倍の複写(コピー)出力を得ることは、日常的に行われているが、商品説明などのために立体物(例えば、ペットボトルなど)を複写することへの要求も存在する。
【0004】
例えば、特許文献1には、複数の光源と光学装置により薄いライトスクリーンを形成して複写物に照射し、被複写物の反射光をCCDで受光して電気画像信号を形成し、プリンタ部にて適合した出力信号に処理し、プリンタ部において画像信号に応じて画像を形成することと、ライトスクリーンを形成する光学系と受光用CCDを含む読取り光学系をライトスクリーンに直交する方向に被複写物に対し相対走査移動し順次画像を読取る立体物の複写方法が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、スキャナに、立体物照明装置と、スケール付き立体物移動用装置と、矢印付き立体物移動用ガラスプレートと、立体物固定用ガラスプレートと、スケール付きスキャナのレンズ位置調整装置とを設けた立体画像原版取り込み装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の立体物の複写方法では、立体物をコンタクトガラスに載置しても立体物の等倍出力を得ることができず、品質の高いコピー出力を得ることができないという問題があった。これは、画像処理装置では、一般に平面の原稿を対象とした読み取り設定(ピント位置、被写界深度、照明方法など)とされているため、コンタクトガラス上に立体物を載置しても品質の高いコピー出力を得ることができないことによるものである。
【0007】
また、例えば、上記特許文献1に記載の技術では、反射光を読み取る必要があるため、スキャナ及びCCD等の光学系を暗所に置く必要があり、使用の際の制限が大きいという問題があった。また、上記特許文献2では、立体物原版取り込みのための装置(スケール付治具)を備えているが、読み取り時には、スキャナ及び被写体となる立体物の両方を移動させる必要があるため操作が煩雑であるという問題があった。
【0008】
一方、昨今ではデジタルカメラの普及により、デジタルカメラで立体物を撮影し、撮影画像を情報処理装置(パーソナルコンピュータ等)に入力した後、画像処理装置のプリンタで所望の大きさ(等倍含む)に出力することは可能となっている。しかしながら、画像処理装置と併せて、デジタルカメラおよび情報処理装置が必要となり、原稿から等倍のコピー出力を得ることと比べると、多くの手順を必要とし、即時性がないという問題があった。
【0009】
そこで本発明は、スキャナ部と、撮像部と、画像形成部と、を備えて、簡易に、コンタクトガラス上に立体物を載置して品質の高い複写出力を得ることができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するため、本発明に係る画像処理装置は、原稿を載置するコンタクトガラスと、コンタクトガラスの一の辺側を上方に回動させて開閉可能にコンタクトガラスの覆いをするスキャナカバーと、コンタクトガラスに載置された原稿を読み取り、読み取った原稿データを出力するスキャナ部と、スキャナカバーの開閉側に配置されてスキャナカバー方向の立体物を撮影し、撮影した画像データを出力する撮像部と、原稿データおよび画像データを印刷物として出力する画像形成部と、スキャナ部による読み取り動作、撮像部による撮影動作、および画像形成部による画像形成動作を設定する操作部と、備えるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡易に、コンタクトガラス上に立体物を載置して品質の高い複写出力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】画像処理装置の一実施形態であるタンデム型カラー複写機の全体構成を説明する概略構成図である。
【図2】画像処理装置の立体物の等倍出力制御に係る構成を示す機能ブロック図である。
【図3】画像処理装置の外観を示す斜視図である。
【図4】画像処理装置のスキャナカバーを開いた状態を示す斜視図である。
【図5】画像処理装置のスライド式のスクリーンをコンタクトガラス上に敷いた状態を示す斜視図である。
【図6】画像処理装置の操作パネルを起立させ、カメラユニットを使用可能とした状態を示す斜視図である。
【図7】画像処理装置のスクリーンに立体物を載置した状態を示す斜視図である。
【図8】図7に示すスクリーンに立体物を載置した状態の上方図である。
【図9】操作パネルに表示されるモニタ画像の一例である。
【図10】操作パネルに表示されるプレビュー画面の一例である。
【図11】等倍出力の出力画像結果の一例を示す模式図である。
【図12】画像処理装置による立体物の読取/出力処理の一例を示すフローチャートである。
【図13】画像処理装置のスクリーンに立体物と基準治具とを載置した状態を示す斜視図である。
【図14】図13に示すスクリーンに立体物と基準治具とを載置した状態の上方図である。
【図15】操作パネルに表示されるモニタ画像の他の例である。
【図16】操作パネルに表示されるプレビュー画面の他の例である。
【図17】画像処理装置による立体物の読取/出力処理の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る構成を図1から図17に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0014】
本実施形態に係る画像処理装置は、原稿を載置するコンタクトガラス(コンタクトガラス23)と、コンタクトガラスの一の辺側を上方に回動させて開閉可能にコンタクトガラスの覆いをするスキャナカバー(スキャナカバー21)と、コンタクトガラスに載置された原稿を読み取り、読み取った原稿データを出力するスキャナ部(スキャナユニット20のスキャナ部24)と、スキャナカバーの開閉側に配置されてスキャナカバー方向の立体物(立体物35)を撮影し、撮影した画像データを出力する撮像部(カメラユニット33)と、原稿データおよび画像データを印刷物として出力する画像形成部(プリンタ部10)と、スキャナ部による読み取り動作、撮像部による撮影動作、および画像形成部による画像形成動作を設定する操作部(操作パネル30)と、備えるものである。
【0015】
なお、本実施形態における等倍、等倍出力、等倍印刷とは、対象物(原稿、立体物)の大きさについての等倍出力、等倍印刷(1/1)が可能であることは勿論、実物の大きさを基にした任意倍数の拡大/縮小を行った出力、印刷を可能であることを含むものである。なお、画像処理装置の方式によっては、等倍出力、等倍印刷といっても主走査方向と副走査方向、あるいはX方向とY方向で倍率が僅かに異なる場合もあるが、これらも等倍出力、等倍印刷に含むものとする。
【0016】
[第1の実施形態]
(画像処理装置の構成)
図1は、本発明に係る画像処理装置の一実施形態であるタンデム型カラー複写機の内部構成を説明する概略構成図である。図1を参照して、この画像処理装置の内部構成の概要及び動作について説明する。
【0017】
図1において、1は画像処理装置本体、2は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部、6は画像形成後の記録材Pが排紙される排紙部、7は記録材Pが収容される給紙部、8は給紙ローラ、9は記録材Pの搬送タイミングを調整するレジストローラ、11Y,11M,11C,11BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される感光体ドラム、12は各感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK上を帯電する帯電部、13は各感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK上に形成される静電潜像を現像する現像部、14は各感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK上に形成されたトナー像を記録材P上に重ねて転写する転写バイアスローラ(1次転写バイアスローラ)、15は各感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK上の未転写トナーを回収するクリーニング部を示す。
【0018】
また、16は中間転写ベルト17を清掃する中間転写ベルトクリーニング部、17は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写ベルト、18は中間転写ベルト17上のカラートナー像を記録材P上に転写するための2次転写バイアスローラ、19は記録材P上のトナー像を定着する定着装置を示す。
【0019】
また、20は、原稿Dの画像情報を読み込むスキャナユニットであり、スキャナユニット20は、スキャナカバー21内部に設けられ、原稿Dを搬送する原稿搬送部(ADF)22と、原稿を載置するためのコンタクトガラス23、原稿読取を行う原稿読取部(スキャナ部)24を備えている。
【0020】
以下、画像処理装置1における、通常のカラー画像形成時(カラー印刷、カラーコピー等)の動作について説明する。まず、原稿Dは、原稿搬送部22の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部24のコンタクトガラス23上に載置される。そして、原稿読込部24で、コンタクトガラス23上に載置された原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。詳しくは、原稿読込部24は、コンタクトガラス23上の原稿Dの画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿Dにて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿Dのカラー画像情報は、カラーセンサにてRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号をもとにして画像処理部で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理をおこない、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー画像情報を得る。
【0021】
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部2に送信される。そして、書込み部2からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光(露光光)が、それぞれ、対応する感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK上に向けて発せられる。
【0022】
一方、4つの感光体ドラム11Y,11M,11C,11BKは、それぞれ、図1の時計方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム11Y,11M,11C,11BKの表面は、帯電部12との対向部で、一様に帯電される(帯電工程)。こうして、感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK表面は、それぞれのレーザ光の照射位置に達する。
【0023】
書込み部2において、4つの光源から画像信号に対応したレーザ光が各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザ光は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程)。
【0024】
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目の感光体ドラム11Y表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム11Yの回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電部12にて帯電された後の感光体ドラム11Y上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
【0025】
同様に、マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から2番目の感光体ドラム11M表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザ光は、紙面左から3番目の感光体ドラム11C表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目の感光体ドラム11BK表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0026】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK表面は、それぞれ、現像部13との対向位置に達する。そして、各現像部13から感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK上の潜像が現像される(現像工程)。
【0027】
その後、現像工程後の感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK表面は、それぞれ、中間転写ベルト17との対向部に達する。ここで、それぞれの対向部には、中間転写ベルト17の内周面に当接するように転写バイアスローラ14が設置されている。そして、転写バイアスローラ14の位置で、中間転写ベルト17上に、感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(1次転写工程)。
【0028】
そして、転写工程後の感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK表面は、それぞれ、クリーニング部15との対向位置に達する。そして、クリーニング部15で、感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程)。
【0029】
その後、感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK表面は、不図示の除電部を通過して、感光体ドラム11Y,11M,11C,11BKにおける一連の作像プロセスが終了する。
【0030】
他方、感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK上の各色のトナーが重ねて転写(担持)された中間転写ベルト17は、図中の時計方向に走行して、2次転写バイアスローラ18との対向位置に達する。そして、2次転写バイアスローラ18との対向位置で、記録材P上に中間転写ベルト17上に担持されたカラーのトナー像が転写される(2次転写工程)。
【0031】
その後、中間転写ベルト17表面は、中間転写ベルトクリーニング部16の位置に達する。そして、中間転写ベルト17上に付着した未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング部16に回収されて、中間転写ベルト17における一連の転写プロセスが終了する。
【0032】
ここで、中間転写ベルト17と2次転写バイアスローラ18との間(2次転写ニップ)に搬送される記録材Pは、給紙部7からレジストローラ9等を経由して搬送されたものである。
【0033】
詳しくは、記録材Pを収納する給紙部7から、給紙ローラ8により給送された記録材Pが、搬送ガイドを通過した後に、レジストローラ9に導かれる。レジストローラ9に達した記録材Pは、タイミングを合わせて、2次転写ニップに向けて搬送される。
【0034】
そして、フルカラー画像が転写された記録材Pは、搬送ベルトによって定着装置19に導かれる。定着装置19では、定着ベルトと加圧ローラとのニップにて、カラー画像(トナー)が記録材P上に定着される。
【0035】
そして、定着工程後の記録材Pは、排紙ローラによって、排紙部6に出力画像として排出されて、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0036】
(立体物の等倍出力制御に係る構成)
本実施形態に係る画像処理装置1の立体物の等倍出力制御に係る部分の機能ブロック図を図2に示す。
【0037】
画像処理装置1は、操作パネル30、スキャナユニット20、本体制御部3及び記憶部4により構成される。
【0038】
操作パネル30は、LCDやLED等の液晶ディスプレイであって、ユーザへの各種の情報の表示や、カメラユニット33で撮影した画像データを表示するための表示部31と、液晶ディスプレイのタッチパネル入力やハードキー等、ユーザからの入力が可能である入力部32と、立体物を撮影してモニタ画像データ、画像データを取得するカメラユニット33と、これらを制御して、画像処理装置1の本体制御部3と各種の通信を行う操作パネル制御部(画像解析部)34を備えている。
【0039】
また、スキャナユニット20は、スキャナカバー21に格納されている立体物撮影用背景シート(スクリーンともいう)25と、スクリーン25を広げ立体物を載置するためのコンタクトガラス23、原稿読込部24として原稿をスキャンする際に光から電気信号にするスキャナセンサ26、その光の元であるスキャナ光源ユニット27、これらを制御し画像処理装置1の本体制御部3と各種の通信を行うスキャナ制御部(画像解析部)28を備えている。なお、等倍撮影時に基準位置情報として基準治具29を用いる場合もある(後述の第2の実施形態)。
【0040】
次に、画像処理装置1の操作例について説明する。図3は、画像処理装置1の外観の一例を示す斜視図である。図3に示すように、画像処理装置1は、画像読取装置としてのスキャナユニット20と、各種情報の入出力、操作を可能とする操作パネル30と、印刷動作を行うプリンタ部10と、用紙をプリンタ部10に給紙する給紙部7と、複写された用紙が排紙される排紙部6と、を備えている。なお、図3以降は、図1とは排紙部6の位置が異なる例を示している。
【0041】
画像処理装置1では、スキャナカバー21を開閉動作することが可能である。スキャナカバー21を開いた状態とすることで、図4に示すように、コンタクトガラス23が表現した状態となる。なお、本実施形態では、スキャナカバー21の開閉方向を装置手前側(操作パネル30側)から奥側に開閉可能な構成としているが、開閉方向はこれに限られるものではなく、開閉方向が図4中の左右方向となるものであっても良い。
【0042】
スキャナユニット20は、立体物撮影用背景シートであるスクリーン25を収容している。なお、本実施形態では、スライド式のスクリーン25がスキャナカバー21側にスライド可能に収容されており、スクリーン25をコンタクトガラス23上にスライド可能としている。
【0043】
図5は、スライド式のスクリーン25をコンタクトガラス23上に敷いた状態を示す図である。なお、スクリーン25は、スキャナユニット20のコンタクトガラス23側に収容されていても良く、また、スライド式に限らず、折り畳み可能に収容されているものであっても良い。また、スクリーン25は、コンタクトガラス23全体を覆った状態で、操作パネル側30に設けられるスクリーン固定部(留め具など、図示せず)により固定される。
【0044】
ここで、スクリーン25は、商品撮影時等において、スクリーン25が折り曲がることで立体物の背景に余計な影の発生等を抑制するために、所定の曲率(図5中の符号25aで示す)を持たせることが好ましい。また、固定位置等を調整することにより、この曲率をユーザが所望の曲率になるようにスクリーン25を敷くことができるようにすることも好ましい。
【0045】
また、操作パネル30は、図5に示すように、操作パネル30のコンタクトガラス23側が起立して回動可能に装置本体に収容されている。操作パネル30の液晶画面(表示部31、入力部32)の反対側(本体収容時における下部)には、スクリーン25上に載置される立体物(対象物)を撮像可能なカメラユニット33(撮像部)を備えている。また、カメラユニット33は、図6に示すように上下方向に高さ位置を調整可能な調整部を有しており、所望の高さ位置での撮像を可能としている。
【0046】
カメラユニット33の構成は、特に限られるものではないが、例えば、デジタルスチルカメラのカメラユニットや携帯電話やノートパソコン等に搭載される小型のカメラユニットを適用可能である。また、本実施形態では、カメラユニット33を操作パネル30の一部として構成しているが、これに限られるものではなく、別途設けられるものであっても良い。
【0047】
次に、立体物35をスクリーン25に載置した状態を図7に示す。また、立体物35をスクリーン25に載置した状態の上方図を図8に示す。
【0048】
図8に示すように、スクリーン25には、カメラユニット33に対する立体物35の配置位置を示す基準位置情報(等倍基準位置)としての基準線25b,cが表示されている。本実施形態では、基準線25b,cの交差位置に立体物35の最先端位置を配置することで、カメラユニット33と立体物35との位置決めを行っている。
【0049】
基準線25b,cにしたがって、立体物35を載置した後、操作パネル30を操作することにより、カメラユニット33の写真撮影モードが起動される。
【0050】
写真撮影モードでは、図9に示すように、カメラユニット33がモニタリングしている立体物35の画像(モニタ画像)が操作パネル30の液晶画面(表示部31)に表示される。ユーザは、撮影対象が画面に収まっていて、表示されているモニタ画面に問題が無い場合は、液晶画面の撮影アイコン31aをタッチすることで、カメラユニット33での撮影が実行され、立体物35の読み取りが完了する。
【0051】
スキャナ制御部28、操作パネル制御部34は、上記基準線25b,cに従って立体物35が載置されている場合、画像処理によって立体物35の縮尺を等倍で処理して、本体制御部3へ渡し、プリンタ部10での等倍出力が可能となる。
【0052】
読み取り完了後、図10に示すように、液晶画面には、読み取った立体物35のプレビュー画面が表示される。ユーザは、プレビュー画面の、編集アイコン31b、印刷アイコン31c、保存アイコン31d、中止アイコン31eの各アイコンを選択することにより、それぞれ対応する操作が可能となる。
【0053】
図11に等倍出力の出力画像の一例を示す。なお、上記プレビュー画面において編集アイコン31bを選択して、図11に示すように、出力画像に実際の立体物のスケールや、グリッド表示の追加情報36を付加することが可能となる。
【0054】
以上説明した画像処理装置1による立体物の読取/出力処理について、図12のフローチャートを参照して説明する。図12のフローチャートは、ユーザが、スクリーン25上の基準線25b,cに合わせて立体物35を載置する場合の処理を示している。
【0055】
先ず、スキャナユニット20のスキャナカバー21からスクリーン25を引き出し(S101)、スクリーン25上に立体物35を載置する(S102)。この状態で、操作パネル30から写真撮影モードを起動すると、操作パネル30の液晶画面(表示部31)に、立体物35が基準線25b,cに合わせて載置されているかどうかのダイアログ(「はい」または「いいえ」を選択するダイアログ)が表示される(S103)。
【0056】
基準線25b,cに合わせて立体物35が載置されていない場合(基準線25b,cに合わせることが困難な場合を含む)は(S103:N)、「いいえ」をタッチパネル上で選択すると、基準治具29を用いた処理となる(S108:後述の第2の実施形態、図17)。
【0057】
一方、基準線25b,cに合わせて立体物35が載置されている場合は(S103:Y)、「はい」をタッチパネル上で選択することで、カメラユニット33により現在の画像データを読み取り、スクリーン25内に立体物35の大きさが収まっているか否かの判断が行われる(S104)。当該判断は、操作パネル制御部34がカメラユニット33の撮影可能範囲に立体物が収まっているかどうかの判断によるものである。
【0058】
撮影可能領域に立体物35が収まっている場合(S104:Y)は、液晶画面の撮影アイコン31aが表示され(図9)、撮影アイコン31aが選択されることでカメラユニット33のシャッターが切られ撮影される(S105)。
【0059】
撮影後は、操作パネル30にプレビュー画面(図10)が表示される(S106)。ユーザはプレビュー画面を確認し、印刷、編集、保存、中止の所望の操作を実行して立体物35についての所望の出力結果を得ることができる(S107)。
【0060】
また、スクリーン25内に立体物35が収まっていない場合(S104:N)に、以下の処理を行うことが好ましい。本実施形態では、この場合、操作パネル制御部34が操作パネル30上に警告表示を通知するようにしている(S109)。
【0061】
このように操作パネル30を通じてユーザにその旨を通知することで、ユーザが立体物35を正しい位置に載せ直すことが可能となり、撮影時に撮影可能領域から読み取りたい立体物35がはみ出していても、ユーザは簡易に所望の等倍出力を得ることができる。
【0062】
本実施形態に係る画像処理装置1によれば、平面原稿を等倍出力可能なコピー機能を有した画像処理装置の基本構成を利用しつつ、少ない追加構成により、容易に立体物の等倍印刷を得ることが可能となる。すなわち、画像処理装置1の操作パネル30の後部に内蔵したカメラユニット33を使用して、スキャナユニット20のコンタクトガラス23上にスライドさせて引き出したスクリーン25上に載置した立体物35を撮影することにより、ユーザはスクリーン25上に設けられた基準線25b,25cに立体物35を合わせて撮影するだけで、容易に立体物35を等倍で読み取り、複写することが可能となる。
【0063】
したがって、従来の画像処理装置のように、立体物を読み取る際の操作が煩雑であったり、画像読取装置自体の設置場所に特殊な環境を要する等の制限もなく、操作性、利便性の向上を図ることが可能となる。
【0064】
また、等倍出力する際に、操作パネル30の液晶画面で読み取った立体物35のプレビュー画像を確認することができるため、出力ミス等も減少させて再読取をなくし、ユーザの利便性が向上するものである。
【0065】
[第2の実施形態]
以下、本発明に係る画像処理装置のその他の実施形態について説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の点についての説明は省略する。
【0066】
第1の実施形態では、ユーザはスクリーン25の所定位置(基準線25b,cの位置)に立体物35を載置する必要があったが、本実施形態では、撮影距離の基準位置示す立体物である基準治具29を認識すると、スキャナ制御部28、操作パネル制御部34は、該基準治具29の配置距離に基づいて撮影する立体物35をプリンタ部10で等倍出力するための倍率補正をして、本体制御部3へ渡すようにしている。
【0067】
立体物35の隣に基準治具29をスクリーン25に載置した状態を図13に示す。また、立体物35と基準治具29をスクリーン25に載置した状態の上方図を図14に示す。ここで、基準治具29は立体物35と、その先端位置がカメラユニット33に対して水平に揃った位置となるように配置される。
【0068】
本実施形態では、立体物35の載置位置は、スクリーン25上であればどこでも良い。スキャナ制御部28、操作パネル制御部34は、基準治具29と立体物35との先端位置がカメラユニット33に対して水平に揃った位置となるように配置されていることで、画像処理によって立体物35の縮尺を等倍で処理して、本体制御部3へ渡し、プリンタ部10での等倍出力が可能となる。
【0069】
本実施形態の写真撮影モードでの操作パネル30の液晶画面(表示部31)への表示例を図15に示す。また、図16に示すプレビュー画面においては、操作パネル制御部34は、基準治具29を画像処理により削除し、最終的な等倍出力時にも立体物35の画像のみ出力することが好ましい。なお、画像処理による基準治具29の消去時には、周囲の画像情報(スクリーン25部分等)で置換することで、スクリーンの色(柄のある場合はその柄)を違和感なく出力することができる。
【0070】
基準治具29を用いた場合の画像処理装置1による立体物の読取/出力処理について、図17のフローチャートを参照して説明する。なお、図12と同様の処理についての説明は省略する(S201〜S203,S209)。
【0071】
基準治具29を用いる場合、読み取りたい立体物35と基準治具29とをスクリーン25上に載置するが、その際、立体物35の最前面と基準治具29の最前面とを揃えてから撮影を行う(S204〜S205)。最前面同士が揃っていれば、立体物35はスクリーン25上のどこに載置しても撮影可能である。
【0072】
撮影後は、画像処理により、基準治具29をプレビュー画面から消去し、立体物35を等倍に処理するようにしている(S206〜S207、図16)。ユーザはプレビュー画面を確認し、印刷、編集、保存、中止の所望の操作を実行して立体物35についての所望の出力結果を得ることができる(S208)。
【0073】
本実施形態によれば、基準治具29を利用することによりカメラユニット33による撮影時、スクリーン25上の基準線に立体物を合わせる必要がなく、ユーザがスキャナ上の任意の位置に立体物35と基準治具29を載置して等倍読取を行うことが可能となり、更に、ユーザの利便性の向上を図ることができる。なお、基準治具29としては、任意の立体物を用いることができるため、特別な装置等を用いる必要もなく、簡易に立体物の等倍出力を行うことができる。
【0074】
[第3の実施形態]
また、カメラユニット33側から立体物35を照明する照明手段(図示せず)を設けることが好ましい。また、照明手段は、照明位置を適宜変更可能な調整手段を備えることが好ましい。また、カメラユニット33側の両側に照明手段を設けることも好ましい。
【0075】
照明手段を用いた撮像により、立体物35の影の出方をコントロールすることが容易となる。また、照明手段と併せて、またはこれに替えて、カメラユニット33に発光手段(ストロボ)を設けることも好ましい。また、発光手段も両側から発光させることが好ましい。
【0076】
尚、上述の実施形態は本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 画像処理装置
2 書込み部
3 本体制御部
4 記憶部
6 排紙部
7 給紙部
8 給紙ローラ
9 レジストローラ
10 プリンタ部
11Y,11M,11C,11BK 感光体ドラム
12 帯電部
13 現像部
14 転写バイアスローラ(1次転写バイアスローラ)
15 クリーニング部
16 中間転写ベルトクリーニング部
17 中間転写ベルト
18 2次転写バイアスローラ
19 定着装置
20 スキャナユニット
21 スキャナカバー
22 原稿搬送部(ADF)
23 コンタクトガラス
24 原稿読取部(スキャナ部)
25 立体物撮影用背景シート(スクリーン)
25a 曲部
25b,25c 基準線
26 スキャナセンサ
27 スキャナ光源ユニット
28 スキャナ制御部
29 基準治具
30 操作パネル
31 表示部
32 入力部
33 カメラユニット
34 操作パネル制御部
35 立体物
36 追加情報
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】
【特許文献1】特開昭59 −224971号公報
【特許文献2】特開2003−186126号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を載置するコンタクトガラスと、
前記コンタクトガラスの一の辺側を上方に回動させて開閉可能に前記コンタクトガラスの覆いをするスキャナカバーと、
前記コンタクトガラスに載置された原稿を読み取り、読み取った原稿データを出力するスキャナ部と、
前記スキャナカバーの開閉側に配置されて前記スキャナカバー方向の立体物を撮影し、撮影した画像データを出力する撮像部と、
前記原稿データおよび前記画像データを印刷物として出力する画像形成部と、
前記スキャナ部による読み取り動作、前記撮像部による撮影動作、および前記画像形成部による画像形成動作を設定する操作部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
開時の前記スキャナカバーの上方から回動中心の近傍を通って、前記コンタクトガラスの一の辺側に配置されて、前記撮像部による読み取り時の背景となるスクリーンを有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記スクリーンの配置位置を固定するスクリーン固定部を有し、
前記スクリーンが前記スクリーン固定部で配置された状態において、立体物を前記画像形成部で等倍出力するための等倍基準位置が前記スクリーンに記されていることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記スクリーンは、前記撮像部による読み取り実行時に折り曲げ状態に写らないように所定の曲率を有するように配置されることを特徴とする請求項2または3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記撮像部は前記スキャナカバーの開閉側を中心として、前記スキャナカバーの回動中心側が上方に回動するように配置されて、開時の前記スキャナカバー押え面に正対可能であることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記撮像部は回動動作に加えて、回動中心から遠ざかる方向に伸縮自在に設定可能であることを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
画像情報を表示する表示部を有し、
前記表示部は立体物のモニタ画像データおよび前記画像データを表示することを特徴とする請求項1から6までのいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記表示部はタッチパネル機能を有し、
前記表示部は前記操作部の機能の一部または全部を備えると共に、背面側に前記撮像部を備えることを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記画像データを解析する画像解析部を有し、
前記画像解析部は、撮影距離の基準位置示す立体物である基準治具を認識すると、該基準治具の配置距離に基づいて撮影する立体物を前記画像形成部で等倍出力するための倍率補正を行うと共に、該基準治具の画像情報を消去した画像データを生成することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記画像データを解析する画像解析部を有し、
前記画像解析部は、立体物が撮影可能領域を逸脱していると判断したとき、前記表示部に警告を表示することを特徴とする請求項7または8に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図12】
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【図13】
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【図17】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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