画像処理装置
【課題】超音波診断装置等の画像処理装置において、表示セルからの文字列のはみ出しを自動的に判定し、またそれを自動的に修正できるようにする。
【解決手段】ビットマップイメージを生成する前段階において、文字に対して与える画素値と、表示セル内に対して与える画素値と、表示セル外に与える画素値とをそれぞれ異ならせておく。ビットマップイメージの評価の段階で、文字を構成する各画素を注目画素とし、その周囲を参照し、そこにセル外の画素値が存在していた場合にはみ出し有りを判定する。そして文字サイズの変更等の修正処理を施した上で再びはみ出しの有無が検査される。
【解決手段】ビットマップイメージを生成する前段階において、文字に対して与える画素値と、表示セル内に対して与える画素値と、表示セル外に与える画素値とをそれぞれ異ならせておく。ビットマップイメージの評価の段階で、文字を構成する各画素を注目画素とし、その周囲を参照し、そこにセル外の画素値が存在していた場合にはみ出し有りを判定する。そして文字サイズの変更等の修正処理を施した上で再びはみ出しの有無が検査される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置に関し、特に多言語中から選択された使用言語に適合する画像を生成する、超音波診断装置等の画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等の電子機器は、世界中で使用され得ることから、表示内容を各国の言語に適合させる機能を備えている。すなわち、複数の言語の中から使用言語が選択された場合に、その使用言語で表現された語句(文章、単語、文字等)を画面上に表示することが可能である。あるいは、既に表示されている特定言語対応の画像を他の言語対応の画像に自由に切り替えることが可能である。そのような画像上においては、通常、個々の語句ごとにそれを表示するエリアが事前に画定又は指定されており、当該エリア内には使用言語の語句が表示される。
【0003】
同じ意味を表す語句であっても言語間では文字数や表記が相違する。文字サイズを維持して使用言語に従った語句を表示した場合、語句表示エリアから語句がはみ出てしまうこともある。例えば、ボタンアイコンからボタンの意味を示す文字列がはみ出てしまうと、見栄えが悪いし、隣接するボタン間で文字の重なり合いが生じて操作性や視認性が低下するおそれもある。
【0004】
上記問題は汎用装置の他、専用装置においても指摘できる。例えば、電子機器の一例として超音波診断装置がある。超音波診断装置は各国で使用されており、通常、数ヶ国の言語に対応している。そのような装置において例えば医学用語を画面上に表示する場合、使用言語によって医学用語の表記が区々であり、略語も多く存在する。超音波診断装置上に登場する画面の種類は非常に多く数百にも及ぶ。各画面内には多数の語句表示エリア(表示セル)が設定されており、それぞれに対して語句がマッピングされる。使用言語が選択されると、語句変換テーブルに従って当該言語に対応する語句が表示されるが、それが表示セル内に適切に収まっているのか否かについては実際に画像を目視検査してみないことには判断できない。
【0005】
近時、プロポーショナルフォントが使用される場合が多く、文字列の構成によって語句の全長は区々であり、各言語において各語句の長さを事前に計算することは結構煩雑であり時間がかかる。製品製作段階で、全言語における全語句についてはみ出し判断を目視で行うのは非常に大変であり、そのような検査の全部又は一部を自動化することが望まれる。特に、キャラクタ単位での弁別判定が困難なビットマップイメージの段階において、はみ出し検査を行える技術が要望される。
【0006】
特許文献1には訳文が出力できない場合に出力フォントを小さくする処理を実行する翻訳装置が開示されている。特許文献2には翻訳文が原文と同一レイアウトで配置することができない場合に省略語を代替挿入する翻訳装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−262492号公報
【特許文献2】特開2007− 34430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、語句表示エリアからの語句のはみ出しを検出できるようにすることにある。本発明の他の目的は、ビットマップイメージの段階で語句表示エリアからの語句のはみ出しを検出できるようにすることにある。本発明の他の目的は、画面検査段階においてはみ出し検査を的確に行えるように検査対象イメージに対して事前の仕込みを行った上で検査対象イメージに対するはみ出し検査を迅速かつ的確に行えるようにすることにある。更に本発明の他の目的ははみ出し防止の調整を自動的に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像処理装置は、複数の言語の中から使用言語を選択するための選択手段と、語句表示セルと、前記選択された使用言語に属する語句であって1又は複数の文字からなり前記語句表示セルにマッピングされる語句と、を含むイメージを生成するイメージ生成手段と、前記イメージ中の前記語句に対してはみ出し検査を適用することによって前記語句表示セルからのはみ出しを判定する判定手段と、を含み、前記イメージにおいて、前記語句に与えられた語句画素値と、前記語句表示セル内に与えられた内部画素値と、前記語句表示セル外に与えられた外部画素値と、が互いに異なり、前記はみ出し判定手段は、前記語句の近傍に前記外部画素値が存在する場合に前記はみ出しを判定する。
【0010】
上記構成によれば、イメージが生成されると、そこに含まれる語句に対してはみ出し検査が適用される。具体的には、イメージ上において、語句表示セルからの語句(使用言語の1又は複数の文字)の部分的な突出(又はそれに近い状態)が生じているか否かが検査される。はみ出しの有無だけではなく、はみ出しの程度、はみ出し位置、はみ出し方向、等が判定されてもよい。語句を構成する画素群の全部又は一部には固有の語句画素値が与えられており、逆に言えば、語句画素値を有する画素を検査用の注目画素であると特定できる。注目画素の近傍(例えば同一位置及び周囲)に外部画素値が存在する場合、注目画素が語句表示セルから出ている又はその直前の状態であるので、その場合にははみ出しありと判定される。この手法によれば、ビットマップイメージへの展開後、つまり文字や図形が渾然一体となった段階でも、はみ出し判定を行える。語句画素値、内部画素値及び外部画素値は互いに異なる値を有し、つまり何らかの属性において個々の画素を互いに識別できるように画素値が定められる。その場合、カラー(色相)を異ならせるのが簡便であり、かつ目視確認において便利である。原イメージにおいて画素値の差があればそれをそのまま検査することができ、原イメージにおいて、画素値の差がないか十分でない場合には原イメージから検査用のイメージを変換生成した上で上記のはみ出し判定を適用するのが望ましい。その場合、検査後の実際の表示に際しては原イメージを表示することになる。画像処理装置は、望ましくは、多数の医学用語を多言語に変換する必要がある超音波診断装置である。そのような装置では、1又は複数の超音波イメージを画面内で優先的に表示する必要があり、その周囲のグラフィックレイアウトを容易には変更できないという特殊事情がある。1枚のグラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)イメージにつき、多数の言語に適合した多数の合成イメージが生成され、それらの全部を検査し必要な修正を施すためには、検査及び修正を自動化するのが望ましい。
【0011】
望ましくは、前記イメージはビットマップイメージであり、前記判定手段は、前記イメージにおいて前記語句の一部又は全部を構成し且つ前記語句画素値を有する注目画素群を特定する手段と、前記注目画素群を構成する各注目画素の近傍に参照領域を設定する手段と、前記注目画素群について設定されたいずれかの参照領域内で前記外部画素値が検出された場合に前記はみ出しを判定する手段と、を含む。参照領域は注目画素を中心としたエリアとすることができる。参照領域が文字を包囲する矩形領域の更に外側に設定されてもよい。この場合、注目画素として文字における上下左右のもっとも端の画素を指定するようにしてもよい。文字を構成する画素全部ではなくその辺縁に存在する画素だけを注目画素としてもよい。また文字列における左端及び右端の文字だけを検査対象としてもよい。
【0012】
望ましくは、前記イメージ生成手段は、オリジナルイメージに対するカラー変換処理によりはみ出し判定用の前記イメージを生成し、前記語句画素値を有する語句画素群、前記内部画素値を有する内部画素群及び前記外部画素値を有する外部画素群はそれぞれカラー画素群である。
【0013】
望ましくは、前記外部画素群は、前記語句表示セルの枠を構成する第1外部画素群と、前記枠の外側領域を構成する第2外部画素群と、を含み、前記第1外部画素群は、前記外部画素値として第1外部画素値を有し、前記第2外部画素群は、前記外部画素値として前記第1外部画素値とは異なる第2外部画素値を有する。この構成によれば、枠に文字がかかった場合あるいはそれに近接した場合、見栄えが悪くなるのではみ出し有りと判定することができる。文字の種類に応じて何をもってはみ出しとするのかの定義を変更するようにしてもよい。
【0014】
望ましくは、更に、前記はみ出しが判定された語句に対してはみ出し修正処理を適用する修正手段を含む。望ましくは、前記修正手段は、はみ出しが解消されるまで前記語句に対して縮小処理を施す。望ましくは、前記修正手段は、はみ出しが解消されるように前記語句を他の語句に置換する。はみ出し判定がなされた場合に自動的に修正処理を施せばユーザーの負担を大幅に軽減できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、語句表示エリアからの語句のはみ出しを検出できる。あるいは、ビットマップイメージの段階で語句表示エリアからの語句のはみ出しを検出できる。あるいは、画面検査段階においてはみ出し検査を的確に行えるように検査対象イメージに対して事前の仕込みを行った上で検査対象イメージに対するはみ出し検査を迅速かつ的確に行える。あるいは、はみ出し防止の調整を自動的に行える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の好適な実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示す主制御部が有するGUI検査修正機能を表すブロック図である。
【図3】表示イメージの一例を示す図である。
【図4】表示イメージを構成している複数のレイヤ(プレーン)を示す図である。
【図5】GUIイメージの他の例を示す図である。
【図6】言語変換に伴う文字のはみ出しを示す図である。
【図7】はみ出しが生じている文字列と背景との関係を示す図である。
【図8】はみ出し部分の拡大図である。
【図9】はみ出し検査修正処理を示すフローチャートである。
【図10】図9に示すS18の具体的な処理内容を示すフローチャートである。
【図11】はみ出し修正処理の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1には、本発明に係る超音波診断装置に係る好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示すブロック図である。この超音波診断装置は広い意味において画像処理装置の一つである。特に、この超音波診断装置は後に詳述するはみ出し検査修正機能を備えている。そのような機能は超音波診断以外の他の技術分野においても利用可能である。特に複数の言語の中から使用言語を選択し、その使用言語に従ってGUIを構成する場合において有用なものである。
【0019】
図1において、プローブ12は超音波の送受波を行う超音波探触子である。プローブ12は複数の振動素子からなるアレイ振動子を有しており、それによって超音波ビームが形成される。超音波ビームは電子走査される。電子走査方式としては、電子リニア走査、電子セクタ走査等が知られている。プローブ12の送受波面は被検体の表面上に当接される。但し、プローブ12が体腔内に挿入されるものであってもよい。また、プローブ12が2Dアレイ振動子を備えていてもよい。
【0020】
送受信部14は送信ビームフォーマ及び受信ビームフォーマとして機能する。送信時において、送受信部14は、複数の振動素子に対して複数の送信信号を供給する。これによりプローブ12において送信ビームが形成される。受信時において、生体内からの反射波が複数の振動素子にて受波され、これにより複数の受信信号が生成される。その複数の受信信号は送受信部14において整相加算処理され、これによりビームデータが構成される。そのビームデータは信号処理部16に出力される。
【0021】
信号処理部16は、対数圧縮回路、利得可変回路、検波回路等の各種の回路を備え、ビームデータに対して必要な信号処理を実行する。そのビームデータがドプラ情報を有するデータであってもよい。信号処理後のビームデータはデジタルスキャンコンバータ(DSC)18へ出力される。
【0022】
DSC18は、複数のビームデータに基づいてBモード断層画像(二次元断層画像)を生成するモジュールであり、具体的には、補間機能、座標変換機能等を備えている。DSC18によって生成された超音波画像すなわちBモード画像は、表示処理部20を経由して表示器22へ送られ、そこにおいて超音波画像が表示される。表示処理部20は後に図2を用いて説明するように複数のイメージを合成する機能を有している。具体的には、グラフィックイメージと超音波イメージとを合成して合成イメージとしての表示画像を生成している。本実施形態においては、表示処理部20が作成した表示イメージが主制御部24へ送られており、そこにおいてはみ出し検査及びはみだし修正のための制御が実行される。
【0023】
主制御部24は、CPU及び動作プログラムにより構成され、主制御部24は図1に示される各構成の動作制御を行っている。本実施形態において、主制御部24はGUI検査修正機能を備えている。すなわち表示セルからの文字のはみ出しを検査する機能及びそのようなはみ出しが生じないように文字列を修正する機能を備えている。それらの機能について図2以降の各図を参照して詳しく説明することにする。
【0024】
図2において、記憶部26内には、複数のGUIソースデータが格納されている。超音波診断装置においては、多数の表示画面が登録されており、それらの個々がGUIを構成し、それを記述したものがGUIソースデータである。例えば当該データはページ記述言語(PDL)によって表現されたデータである。GUIソースデータは、テンプレートあるいは背景を構成するフレーム情報(テンプレート情報)と、そこに上書き合成されるテキストを特定するテキスト情報と、により構成される。もちろん、より多くの情報により構成されてもよい。
【0025】
変換テーブル28は、標準言語で記述された文字列をユーザにより選択された使用言語の文字列に変換するためのテーブルである。例えば、標準言語の文字列を表すコードに複数の言語に対応する複数の文字列を表すコードが対応付けられている。ここで標準言語は例えば日本語あるいは英語であり、その標準言語の他に例えば十あるいは数十の言語が一定の関係をもって対応付けられている。ちなみに、後に説明する置換テーブル42は、各言語において、特定の語句に対してそれに置換される語句を対応付けたテーブルであり、置換語句は例えば略語あるいは類義語等である。
【0026】
記憶部26から特定のGUIソースデータを構成するテキスト情報が読み出されると、それに基づいて変換テーブル28が作用して、使用言語のテキスト情報が生成されることになる。そのようなテキスト情報はコードの集合体である。テキストイメージ生成部30は、個々のコードをビットマップイメージとしての文字あるいは文字列に変換するものであり、すなわちテキストイメージ生成部は後に説明するフレームイメージ生成部32と同様にイメージャーである。テキストイメージ生成部32からは特定のプレーン上に表示される複数の語句を表すビットマップイメージが出力され、それが表示処理部20へ入力される。
【0027】
一方、記憶部26から特定のGUIソースデータを構成するフレーム情報が読み出されると、それがフレームイメージ生成部32に送られ、フレームイメージ生成部32はグラフィックプレーンの背景をなすビットマップイメージを生成する。すなわち、各語句を表示するための複数の表示セルを備えたフレームがビットマップの形式で生成されることになる。
【0028】
表示処理部20においては、ビットマップイメージとしてのフレームイメージ及びテキストイメージを合成し、これによって一枚のグラフィックイメージを生成する。これは、生体から得られた情報に基づく超音波イメージに対し、人工的なイメージと言い得るものである。表示処理部20は、そのようなグラフィックイメージに対して必要に応じて超音波イメージを合成し、これによって表示イメージを構成する。ちなみに、この表示処理部20がカラーコーディング機能を備えていてもよい。
【0029】
表示処理部20は、以上のように合成機能を有し、そこから出力される表示イメージは表示器22へ出力される。図示される表示器22は、例えば超音波診断装置におけるメイン表示器であってもよいし、操作パネル上に設置されるサブ表示器であってもよい。あるいはそれらの両者であってもよい。
【0030】
以上説明した構成を基本として、以下に説明するようなはみ出し検査及び修正のための構成が付加されている。
【0031】
検査制御部44は、カラー設定機能及び読み出し制御機能を備えている。カラー設定機能は、はみ出し検査を行う前処理として、表示文字を構成する文字画素の文字画素値と、表示セル内であって文字以外の部分を構成する画素の内部画素値と、表示セル外の外部画素分の外部画素値、をそれぞれ異ならせるのである。もっとも、オリジナルイメージが以上のような条件を満たしていれば前処理として格別なカラー変換処理を行う必要はない。また、検査制御部44は、具体的には、色を指定するコードを変更することにより上記のカラー変換を実行している。ちなみに、後に説明するように、外部画素値は表示セルの枠に相当する画素値及び表示セルの完全に外部を構成する画素値の両者を含む概念である。もちろん、枠を表示セルの内部とみなすように取り扱うことも可能である。
【0032】
このようなカラー条件が満たされた上で、上述したようにテキストイメージ及びフレームイメージがそれぞれビットマップイメージとして生成され、それらが表示処理部20において合成される。必要に応じて超音波イメージも合成される。このような合成処理により生成された表示イメージ(表示イメージデータ)は上述したように表示器22へ送られる他、本実施形態においては画像評価部34へ送られている。
【0033】
画像評価部34は、上述した画素値の相違すなわちカラー値の相違を利用して、審査対象となる個々の注目画素を特定すると共に、各注目画素の周囲に外部画素値が存在しているか否かを判定し、そのような画素値が存在している場合にははみ出し有りを判定している。そのような画像評価部の評価結果は修正制御部36へ送られる。
【0034】
修正制御部36は、特定の語句すなわち文字列についてはみ出し有りが判定された場合、テキストイメージ生成部30に対してあるいは検査制御部44に対して当該文字列についての文字サイズを一段階下げるすなわち小さくする制御を実行している(符号38参照)。あるいは、そのようなサイズ変更ではなく、置換テーブル42を利用して、当該文字列について対応付けられた略語あるいは類義語を指定する制御を実行している(符号40参照)。置換テーブル42から置換語句が出力されると、それがはみ出し判定対象となった文字列と置換され、新しいテキストイメージが生成されることになる。そのような語句の置換が検査制御部44の作用によって記憶部26上において行われるようにしてもよい。本実施形態においては、上記のようにサイズ変更及び語句置換のいずれか一方においてはみ出し修正を行うようにしたが、もちろん他の手法を利用してもよい。
【0035】
以上のようなはみ出し修正制御の適用によってもなおはみ出しが判定される場合には、上記のサイズ変更等が繰り返し実行される。一般には、文字サイズを段階的に小さくしていき、はみ出しが生じなくなった時点でのサイズが最適サイズであると決定されることになる。このような試行錯誤的な自動プロセスにより各プレーン上の文字列ごとにはみ出し判定及びはみ出し修正が適用され、いずれの文字列についてもはみ出しが生じなくなった時点で、当該プレーンについての処理が完了する。検査制御部44は、複数のプレーンに対して順番付けを行っており、一番から最終番までのプレーンを順次読み出しつつ、上記のようなはみ出し判定及びはみ出し修正が適用されるようにしている。あるプレーンについて全てのはみ出し修正が完了した時点で次の新しいプレーンが読み出される。
【0036】
保存制御部46は、以上のようなプロセスにおいて、はみ出しが判定されなかったあるいははみ出しが判定されたプレーンを保存しておくものである。その際において、はみ出しが判定されたプレーンについてはマーキングが付されるようにしている。これはユーザーが事後的に目視確認する場合においてはみ出し部分を迅速に特定できるようにするためである。保存制御部46は、記憶部48へのイメージの保存にあたって、正常プレーン、はみ出し発生プレーン、はみ出し修正プレーンといった区分に従って書き込みを行っており、ユーザーにおいては、必要に応じてNGが判定されたプレーンだけを目視確認することも可能である。ちなみに、画像評価部34において、はみ出し判定を行うに際し、はみ出しの有無のみならず、はみ出し量やはみ出し方向を更に判定するようにしてもよい。また上記とは逆に、文字列の周囲に余白が多すぎるような場合に、文字サイズの拡大を行わせるようにしてもよい。その場合においても上記同様の手法を利用可能である。
【0037】
図3には、表示イメージの一例が示されている。図3に示す表示イメージ50は超音波イメージ52を有している。また表示イメージ50はグラフィックイメージ54を有している。グラフィックイメージ54は複数のアイコンを有している。各アイコンはポインティングデバイスによって操作可能なボタンイメージであり、それは四角形の形態をもったボックスとその内部の文字列とからなる。
【0038】
図4には表示イメージの構造が示されている。すなわち表示イメージは複数のレイヤあるいはプレーンからなり、符号56によって第1レイヤが示され、符号58によって第2レイヤが示され、符号60によって第3レイヤが示されている。第1レイヤ56はフレームイメージであり、第2レイヤは58は文字イメージであり、それら併せてグラフィックイメージ54が構成される。そのグラフィックイメージ54に対しては超音波イメージ52が合成されることになる。
【0039】
図4に示される順番あるいは構造は一例に過ぎない。第1レイヤ56は複数の表示セル62を備えており、それらは複数のアイコンに対応している。文字イメージである第2レイヤ58は複数の文字列64を有している。個々の文字列はそれに対応する表示セル内に配置されるものであり、すなわち、使用言語によっては長い文字列となってそれは表示セルからはみ出してしまう。
【0040】
図5にはGUIイメージの他の例が示されている。符号66はアイコンを表しており、それはボタンイメージ68とそこの内部に表現された文字列70とにより構成されている。アイコン以外においても文字列が存在している箇所には表示領域としての表示セルが設定されており、すなわち表示すべき一定の区画が設定されており、それを超えた場合には文字列同士が重なりあったりあるいは見栄えが悪くなったりする。
【0041】
図6には表示セル72が示されている。それは枠74とその内部76とからなる。表示セル72の中には文字列80が表示されている。(A)においては文字列80の全部が表示セル72の内部に収容されており、はみ出しは生じていない。
【0042】
このような文字列に対して言語変換が適用されると、すなわち他の言語への翻訳が発生すると(B)に示すような状態となる。すなわち表示セル72には文字列82がうめ込まれているが、符号84,86で示されるように文字列82の一部分がはみ出している。枠74に文字列の一部分がかかった時にはみ出しを判定してもよいし、あるいは更に外側の領域まで文字列の一部が及んだ時にはみ出しを判定するようにしてもよい。あるいは、枠74の近くまで文字列の一部が到達した場合に見栄えが悪いという観点からはみ出しを判定してもよい。
【0043】
図7には表示セル72と背景88との関係が示されている。図示されるように、はみ出し部分84,86は背景88上に存在している。したがってそれぞれの領域における画素値すなわちカラー値を異ならせれば、注目する部分をビットマップイメージ上において特定した上で、更にその周囲の画素値を参照することによりはみ出しを判定することが可能となる。
【0044】
図8には、拡大図が示されている。符号90Aは文字を構成する文字エリアを表しており、それは複数の画素により構成される。符号76Aは内部エリアを表しており、それは内部画素値をもった複数の画素により構成される。符号74Aは枠エリアを表しており、それは枠画素値をもった複数の画素により構成されている。符号88Aは背景エリアを表しており、それは背景画素値をもった複数の画素により構成されている。ここで、文字エリア90A内の各画素が注目画素とされており、例えば注目画素92に着目すると、それを中心として参照エリア94が設定される。参照エリア94は注目画素92から見て近傍領域である。その参照エリア94内に背景画素値が存在する場合すなわち背景画素が参照エリア94内に取り込まれている場合、文字のはみ出し状態が判定されることになる。また参照エリア94内に枠画素値が存在する場合にも本実施形態においてははみ出しが判定される。このように画素値あるいはカラーの関係を利用してはみ出しを判定することが可能となっている。
【0045】
はみ出しを判定する注目画素が文字を構成する全ての画素であってもよいが、文字における辺縁を構成する画素だけが注目画素とされるようにしてもよい。あるいは文字列における右端及び左端の画素だけが検査対象となってもよい。上述した参照エリア94の縦及び横の大きさを変更することにより、はみ出し判定条件を可変することが可能である。上記の実施形態においては参照エリア94が四角形の領域だったが、もちろんそれは必要に応じて変形することが可能である。
【0046】
図9及び図10を用いて図1に示した主制御部24、具体的にはGUI検査修正機能、についてより具体的に説明する。
【0047】
図9にははみ出し判定修正プロセスの全体がフローチャートとして示されている。図10には図9に示したS18の評価ステップの具体的な構成がフローチャートとして示されている。
【0048】
図9において、S10では、検査対象となるプレーンの番号をNとしてそのNに1が初期設定される。S12においては、N番目のGUIデータが読み出される。S14においては、読み出されたデータに基づいてイメージが生成される。この場合においては文字イメージ及びフレームイメージが生成される。ちなみにこの段階においてあるいはそれよりも前に必要に応じて前処理としてのカラー設定が実行される。すなわち後においてはみ出し検査が可能となるように個々の画素についてのカラー値が設定されることになる。
【0049】
S16においては、上記のように生成されたテキストイメージ及びフレームイメージが合成され、更に必要に応じて超音波イメージが合成されて、これによって表示イメージが合成される。S18においては表示イメージに対する評価が実行される。具体的にははみ出しが発生しているか否かが判定される。S20においては、はみ出しが判定されたプレーンが保存され、そのようなプレーンに対してはスタンプが付加される。すなわちどの部分においてはみ出しが生じたのかを特定する情報が付加される。S20においてはみ出しが判定されていないプレーンが保存されてよい。
【0050】
S22においては、はみ出しが判定されたものがあればS24において修正処理が実行される。この場合においては、上述したように文字サイズの段階的縮小あるいは語句置換が実行される。そして再びS22が実行され、はみ出しが解消されるまで修正処理が繰り返し実行される。但し、一定の修正を施してもはみ出しが解消されない場合にはエラーが判定されることになる。S26においては次のデータがあるか否かが判定され、それがある場合にはS28においてNが1つインクリメントされた上で、上述したS12以降の各行程が繰り返し実行される。
【0051】
したがって、図9に示すプロセスを実行すると、各使用言語ごとに装置が備えている多数のプレーンに対して文字のはみ出しを自動判定することが可能であり、しかもはみ出しが発生した場合にはそれを自動的に修正することが可能である。その上で、そのような自動判定及び自動修正の結果をユーザーが目視において確認することも可能である。
【0052】
図10にははみ出し判定の具体例が示されている。注目画素の番号がkで表されている。S30ではkに1が初期設定される。S32においては注目画素を基準としてそれを含む近傍エリアすなわち参照エリアが設定される。S34においてはそのような近傍エリア内にセル外の画素が含まれているか否かが判断され、含まれていればS36においてはみ出し有りの判定がなされる。一方、含まれていなければS38において次の画素があるか否かが判断され、ある場合にはS40が実行される。
【0053】
S40においてはkが1つインクリメントされ、上述したS32以降の各行程が繰り返し実行される。あるプレーンについて最後の注目画素に至ってもはみ出し有りの判定されなかった場合、S42においてはみ出し無しが判定されることになる。すなわちそのプレーンについては修正不要と判断されることになる。
【0054】
図10に示したプロセスによればはみ出し有りが判定された時点で速やかに修正を行うことが可能である。図10に示したプロセスにおいては文字を構成する画素が全て注目画素とされていたが、もちろん文字を構成する一部の画素が注目画素とされるようにしてもよい。また文字列中における特定の文字だけが検査対象となるように定めることも可能である。
【0055】
図11にははみ出し修正処理の具体例が示されている。(A)に示すようにはみ出しが生じている場合に、すなわち符号84,86で示すように文字列の一部分がはみ出している場合、例えば(B)に示すようにサイズ縮小処理が適用され、これによって文字列82が縮小された文字列88とされる。その場合においてはサイズ変更前に比べて符号90で示すように一定の縮小率分だけ左右の幅が小さくなり、はみ出しが解消されている。この場合において縦横同一比率で縮小をかけるようにしてもよいし、横方向にだけ縮小をかけるようにしてもよい。はみ出し方向が判定されるならば、当該方向だけに縮小処理を適用することも可能である。また(C)で示すように、文字列82を他のより短い文字列92に置換することによりはみ出し部分を解消することも可能である。
【0056】
上述した実施形態においては、画素値あるいはカラー値が所定条件を満たしていることを前提としてビットマップイメージの段階においてはみ出し判定を行えるので、イメージ生成の段階で複雑な演算を行わなくてもよいという利点が得られる。したがってプロコーショナルフォント等の様々なフォントが利用される場合であっても、複雑な関数演算や座標演算を行う必要がなく、結果に対して実際にはみ出しが生じているか否かを判断するだけでよいので、迅速な演算を行えるという利点がある。またはみ出しが判定された場合には直ちに自動修正処理が適用され試行錯誤的にはみ出しが解消されるようにされているので、はみ出し修正にあたってのユーザーの負担が大幅に軽減される。特に多数の言語に対応している装置においてそのような利点が顕著に得られる。また上記実施形態においては、はみ出し評価結果及び修正結果を事後的に目視確認することが可能である。ちなみに上記実施形態において、はみ出し検査及びはみ出し修正の部分を他の技術分野の装置において利用することも可能である。複数の言語の中から使用言語が選択されるような装置において上記機能が実現されるのが望ましい。
【符号の説明】
【0057】
20 表示処理部、22 表示器、24 主制御部(GUI検査修正機能)、26 記憶部、28 変換テーブル、30 テキストイメージ生成部、32 フレームイメージ生成部、34 画像評価部、36 修正制御部、44 検査制御部、46 保存制御部。
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置に関し、特に多言語中から選択された使用言語に適合する画像を生成する、超音波診断装置等の画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等の電子機器は、世界中で使用され得ることから、表示内容を各国の言語に適合させる機能を備えている。すなわち、複数の言語の中から使用言語が選択された場合に、その使用言語で表現された語句(文章、単語、文字等)を画面上に表示することが可能である。あるいは、既に表示されている特定言語対応の画像を他の言語対応の画像に自由に切り替えることが可能である。そのような画像上においては、通常、個々の語句ごとにそれを表示するエリアが事前に画定又は指定されており、当該エリア内には使用言語の語句が表示される。
【0003】
同じ意味を表す語句であっても言語間では文字数や表記が相違する。文字サイズを維持して使用言語に従った語句を表示した場合、語句表示エリアから語句がはみ出てしまうこともある。例えば、ボタンアイコンからボタンの意味を示す文字列がはみ出てしまうと、見栄えが悪いし、隣接するボタン間で文字の重なり合いが生じて操作性や視認性が低下するおそれもある。
【0004】
上記問題は汎用装置の他、専用装置においても指摘できる。例えば、電子機器の一例として超音波診断装置がある。超音波診断装置は各国で使用されており、通常、数ヶ国の言語に対応している。そのような装置において例えば医学用語を画面上に表示する場合、使用言語によって医学用語の表記が区々であり、略語も多く存在する。超音波診断装置上に登場する画面の種類は非常に多く数百にも及ぶ。各画面内には多数の語句表示エリア(表示セル)が設定されており、それぞれに対して語句がマッピングされる。使用言語が選択されると、語句変換テーブルに従って当該言語に対応する語句が表示されるが、それが表示セル内に適切に収まっているのか否かについては実際に画像を目視検査してみないことには判断できない。
【0005】
近時、プロポーショナルフォントが使用される場合が多く、文字列の構成によって語句の全長は区々であり、各言語において各語句の長さを事前に計算することは結構煩雑であり時間がかかる。製品製作段階で、全言語における全語句についてはみ出し判断を目視で行うのは非常に大変であり、そのような検査の全部又は一部を自動化することが望まれる。特に、キャラクタ単位での弁別判定が困難なビットマップイメージの段階において、はみ出し検査を行える技術が要望される。
【0006】
特許文献1には訳文が出力できない場合に出力フォントを小さくする処理を実行する翻訳装置が開示されている。特許文献2には翻訳文が原文と同一レイアウトで配置することができない場合に省略語を代替挿入する翻訳装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−262492号公報
【特許文献2】特開2007− 34430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、語句表示エリアからの語句のはみ出しを検出できるようにすることにある。本発明の他の目的は、ビットマップイメージの段階で語句表示エリアからの語句のはみ出しを検出できるようにすることにある。本発明の他の目的は、画面検査段階においてはみ出し検査を的確に行えるように検査対象イメージに対して事前の仕込みを行った上で検査対象イメージに対するはみ出し検査を迅速かつ的確に行えるようにすることにある。更に本発明の他の目的ははみ出し防止の調整を自動的に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像処理装置は、複数の言語の中から使用言語を選択するための選択手段と、語句表示セルと、前記選択された使用言語に属する語句であって1又は複数の文字からなり前記語句表示セルにマッピングされる語句と、を含むイメージを生成するイメージ生成手段と、前記イメージ中の前記語句に対してはみ出し検査を適用することによって前記語句表示セルからのはみ出しを判定する判定手段と、を含み、前記イメージにおいて、前記語句に与えられた語句画素値と、前記語句表示セル内に与えられた内部画素値と、前記語句表示セル外に与えられた外部画素値と、が互いに異なり、前記はみ出し判定手段は、前記語句の近傍に前記外部画素値が存在する場合に前記はみ出しを判定する。
【0010】
上記構成によれば、イメージが生成されると、そこに含まれる語句に対してはみ出し検査が適用される。具体的には、イメージ上において、語句表示セルからの語句(使用言語の1又は複数の文字)の部分的な突出(又はそれに近い状態)が生じているか否かが検査される。はみ出しの有無だけではなく、はみ出しの程度、はみ出し位置、はみ出し方向、等が判定されてもよい。語句を構成する画素群の全部又は一部には固有の語句画素値が与えられており、逆に言えば、語句画素値を有する画素を検査用の注目画素であると特定できる。注目画素の近傍(例えば同一位置及び周囲)に外部画素値が存在する場合、注目画素が語句表示セルから出ている又はその直前の状態であるので、その場合にははみ出しありと判定される。この手法によれば、ビットマップイメージへの展開後、つまり文字や図形が渾然一体となった段階でも、はみ出し判定を行える。語句画素値、内部画素値及び外部画素値は互いに異なる値を有し、つまり何らかの属性において個々の画素を互いに識別できるように画素値が定められる。その場合、カラー(色相)を異ならせるのが簡便であり、かつ目視確認において便利である。原イメージにおいて画素値の差があればそれをそのまま検査することができ、原イメージにおいて、画素値の差がないか十分でない場合には原イメージから検査用のイメージを変換生成した上で上記のはみ出し判定を適用するのが望ましい。その場合、検査後の実際の表示に際しては原イメージを表示することになる。画像処理装置は、望ましくは、多数の医学用語を多言語に変換する必要がある超音波診断装置である。そのような装置では、1又は複数の超音波イメージを画面内で優先的に表示する必要があり、その周囲のグラフィックレイアウトを容易には変更できないという特殊事情がある。1枚のグラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)イメージにつき、多数の言語に適合した多数の合成イメージが生成され、それらの全部を検査し必要な修正を施すためには、検査及び修正を自動化するのが望ましい。
【0011】
望ましくは、前記イメージはビットマップイメージであり、前記判定手段は、前記イメージにおいて前記語句の一部又は全部を構成し且つ前記語句画素値を有する注目画素群を特定する手段と、前記注目画素群を構成する各注目画素の近傍に参照領域を設定する手段と、前記注目画素群について設定されたいずれかの参照領域内で前記外部画素値が検出された場合に前記はみ出しを判定する手段と、を含む。参照領域は注目画素を中心としたエリアとすることができる。参照領域が文字を包囲する矩形領域の更に外側に設定されてもよい。この場合、注目画素として文字における上下左右のもっとも端の画素を指定するようにしてもよい。文字を構成する画素全部ではなくその辺縁に存在する画素だけを注目画素としてもよい。また文字列における左端及び右端の文字だけを検査対象としてもよい。
【0012】
望ましくは、前記イメージ生成手段は、オリジナルイメージに対するカラー変換処理によりはみ出し判定用の前記イメージを生成し、前記語句画素値を有する語句画素群、前記内部画素値を有する内部画素群及び前記外部画素値を有する外部画素群はそれぞれカラー画素群である。
【0013】
望ましくは、前記外部画素群は、前記語句表示セルの枠を構成する第1外部画素群と、前記枠の外側領域を構成する第2外部画素群と、を含み、前記第1外部画素群は、前記外部画素値として第1外部画素値を有し、前記第2外部画素群は、前記外部画素値として前記第1外部画素値とは異なる第2外部画素値を有する。この構成によれば、枠に文字がかかった場合あるいはそれに近接した場合、見栄えが悪くなるのではみ出し有りと判定することができる。文字の種類に応じて何をもってはみ出しとするのかの定義を変更するようにしてもよい。
【0014】
望ましくは、更に、前記はみ出しが判定された語句に対してはみ出し修正処理を適用する修正手段を含む。望ましくは、前記修正手段は、はみ出しが解消されるまで前記語句に対して縮小処理を施す。望ましくは、前記修正手段は、はみ出しが解消されるように前記語句を他の語句に置換する。はみ出し判定がなされた場合に自動的に修正処理を施せばユーザーの負担を大幅に軽減できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、語句表示エリアからの語句のはみ出しを検出できる。あるいは、ビットマップイメージの段階で語句表示エリアからの語句のはみ出しを検出できる。あるいは、画面検査段階においてはみ出し検査を的確に行えるように検査対象イメージに対して事前の仕込みを行った上で検査対象イメージに対するはみ出し検査を迅速かつ的確に行える。あるいは、はみ出し防止の調整を自動的に行える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の好適な実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示す主制御部が有するGUI検査修正機能を表すブロック図である。
【図3】表示イメージの一例を示す図である。
【図4】表示イメージを構成している複数のレイヤ(プレーン)を示す図である。
【図5】GUIイメージの他の例を示す図である。
【図6】言語変換に伴う文字のはみ出しを示す図である。
【図7】はみ出しが生じている文字列と背景との関係を示す図である。
【図8】はみ出し部分の拡大図である。
【図9】はみ出し検査修正処理を示すフローチャートである。
【図10】図9に示すS18の具体的な処理内容を示すフローチャートである。
【図11】はみ出し修正処理の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1には、本発明に係る超音波診断装置に係る好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示すブロック図である。この超音波診断装置は広い意味において画像処理装置の一つである。特に、この超音波診断装置は後に詳述するはみ出し検査修正機能を備えている。そのような機能は超音波診断以外の他の技術分野においても利用可能である。特に複数の言語の中から使用言語を選択し、その使用言語に従ってGUIを構成する場合において有用なものである。
【0019】
図1において、プローブ12は超音波の送受波を行う超音波探触子である。プローブ12は複数の振動素子からなるアレイ振動子を有しており、それによって超音波ビームが形成される。超音波ビームは電子走査される。電子走査方式としては、電子リニア走査、電子セクタ走査等が知られている。プローブ12の送受波面は被検体の表面上に当接される。但し、プローブ12が体腔内に挿入されるものであってもよい。また、プローブ12が2Dアレイ振動子を備えていてもよい。
【0020】
送受信部14は送信ビームフォーマ及び受信ビームフォーマとして機能する。送信時において、送受信部14は、複数の振動素子に対して複数の送信信号を供給する。これによりプローブ12において送信ビームが形成される。受信時において、生体内からの反射波が複数の振動素子にて受波され、これにより複数の受信信号が生成される。その複数の受信信号は送受信部14において整相加算処理され、これによりビームデータが構成される。そのビームデータは信号処理部16に出力される。
【0021】
信号処理部16は、対数圧縮回路、利得可変回路、検波回路等の各種の回路を備え、ビームデータに対して必要な信号処理を実行する。そのビームデータがドプラ情報を有するデータであってもよい。信号処理後のビームデータはデジタルスキャンコンバータ(DSC)18へ出力される。
【0022】
DSC18は、複数のビームデータに基づいてBモード断層画像(二次元断層画像)を生成するモジュールであり、具体的には、補間機能、座標変換機能等を備えている。DSC18によって生成された超音波画像すなわちBモード画像は、表示処理部20を経由して表示器22へ送られ、そこにおいて超音波画像が表示される。表示処理部20は後に図2を用いて説明するように複数のイメージを合成する機能を有している。具体的には、グラフィックイメージと超音波イメージとを合成して合成イメージとしての表示画像を生成している。本実施形態においては、表示処理部20が作成した表示イメージが主制御部24へ送られており、そこにおいてはみ出し検査及びはみだし修正のための制御が実行される。
【0023】
主制御部24は、CPU及び動作プログラムにより構成され、主制御部24は図1に示される各構成の動作制御を行っている。本実施形態において、主制御部24はGUI検査修正機能を備えている。すなわち表示セルからの文字のはみ出しを検査する機能及びそのようなはみ出しが生じないように文字列を修正する機能を備えている。それらの機能について図2以降の各図を参照して詳しく説明することにする。
【0024】
図2において、記憶部26内には、複数のGUIソースデータが格納されている。超音波診断装置においては、多数の表示画面が登録されており、それらの個々がGUIを構成し、それを記述したものがGUIソースデータである。例えば当該データはページ記述言語(PDL)によって表現されたデータである。GUIソースデータは、テンプレートあるいは背景を構成するフレーム情報(テンプレート情報)と、そこに上書き合成されるテキストを特定するテキスト情報と、により構成される。もちろん、より多くの情報により構成されてもよい。
【0025】
変換テーブル28は、標準言語で記述された文字列をユーザにより選択された使用言語の文字列に変換するためのテーブルである。例えば、標準言語の文字列を表すコードに複数の言語に対応する複数の文字列を表すコードが対応付けられている。ここで標準言語は例えば日本語あるいは英語であり、その標準言語の他に例えば十あるいは数十の言語が一定の関係をもって対応付けられている。ちなみに、後に説明する置換テーブル42は、各言語において、特定の語句に対してそれに置換される語句を対応付けたテーブルであり、置換語句は例えば略語あるいは類義語等である。
【0026】
記憶部26から特定のGUIソースデータを構成するテキスト情報が読み出されると、それに基づいて変換テーブル28が作用して、使用言語のテキスト情報が生成されることになる。そのようなテキスト情報はコードの集合体である。テキストイメージ生成部30は、個々のコードをビットマップイメージとしての文字あるいは文字列に変換するものであり、すなわちテキストイメージ生成部は後に説明するフレームイメージ生成部32と同様にイメージャーである。テキストイメージ生成部32からは特定のプレーン上に表示される複数の語句を表すビットマップイメージが出力され、それが表示処理部20へ入力される。
【0027】
一方、記憶部26から特定のGUIソースデータを構成するフレーム情報が読み出されると、それがフレームイメージ生成部32に送られ、フレームイメージ生成部32はグラフィックプレーンの背景をなすビットマップイメージを生成する。すなわち、各語句を表示するための複数の表示セルを備えたフレームがビットマップの形式で生成されることになる。
【0028】
表示処理部20においては、ビットマップイメージとしてのフレームイメージ及びテキストイメージを合成し、これによって一枚のグラフィックイメージを生成する。これは、生体から得られた情報に基づく超音波イメージに対し、人工的なイメージと言い得るものである。表示処理部20は、そのようなグラフィックイメージに対して必要に応じて超音波イメージを合成し、これによって表示イメージを構成する。ちなみに、この表示処理部20がカラーコーディング機能を備えていてもよい。
【0029】
表示処理部20は、以上のように合成機能を有し、そこから出力される表示イメージは表示器22へ出力される。図示される表示器22は、例えば超音波診断装置におけるメイン表示器であってもよいし、操作パネル上に設置されるサブ表示器であってもよい。あるいはそれらの両者であってもよい。
【0030】
以上説明した構成を基本として、以下に説明するようなはみ出し検査及び修正のための構成が付加されている。
【0031】
検査制御部44は、カラー設定機能及び読み出し制御機能を備えている。カラー設定機能は、はみ出し検査を行う前処理として、表示文字を構成する文字画素の文字画素値と、表示セル内であって文字以外の部分を構成する画素の内部画素値と、表示セル外の外部画素分の外部画素値、をそれぞれ異ならせるのである。もっとも、オリジナルイメージが以上のような条件を満たしていれば前処理として格別なカラー変換処理を行う必要はない。また、検査制御部44は、具体的には、色を指定するコードを変更することにより上記のカラー変換を実行している。ちなみに、後に説明するように、外部画素値は表示セルの枠に相当する画素値及び表示セルの完全に外部を構成する画素値の両者を含む概念である。もちろん、枠を表示セルの内部とみなすように取り扱うことも可能である。
【0032】
このようなカラー条件が満たされた上で、上述したようにテキストイメージ及びフレームイメージがそれぞれビットマップイメージとして生成され、それらが表示処理部20において合成される。必要に応じて超音波イメージも合成される。このような合成処理により生成された表示イメージ(表示イメージデータ)は上述したように表示器22へ送られる他、本実施形態においては画像評価部34へ送られている。
【0033】
画像評価部34は、上述した画素値の相違すなわちカラー値の相違を利用して、審査対象となる個々の注目画素を特定すると共に、各注目画素の周囲に外部画素値が存在しているか否かを判定し、そのような画素値が存在している場合にははみ出し有りを判定している。そのような画像評価部の評価結果は修正制御部36へ送られる。
【0034】
修正制御部36は、特定の語句すなわち文字列についてはみ出し有りが判定された場合、テキストイメージ生成部30に対してあるいは検査制御部44に対して当該文字列についての文字サイズを一段階下げるすなわち小さくする制御を実行している(符号38参照)。あるいは、そのようなサイズ変更ではなく、置換テーブル42を利用して、当該文字列について対応付けられた略語あるいは類義語を指定する制御を実行している(符号40参照)。置換テーブル42から置換語句が出力されると、それがはみ出し判定対象となった文字列と置換され、新しいテキストイメージが生成されることになる。そのような語句の置換が検査制御部44の作用によって記憶部26上において行われるようにしてもよい。本実施形態においては、上記のようにサイズ変更及び語句置換のいずれか一方においてはみ出し修正を行うようにしたが、もちろん他の手法を利用してもよい。
【0035】
以上のようなはみ出し修正制御の適用によってもなおはみ出しが判定される場合には、上記のサイズ変更等が繰り返し実行される。一般には、文字サイズを段階的に小さくしていき、はみ出しが生じなくなった時点でのサイズが最適サイズであると決定されることになる。このような試行錯誤的な自動プロセスにより各プレーン上の文字列ごとにはみ出し判定及びはみ出し修正が適用され、いずれの文字列についてもはみ出しが生じなくなった時点で、当該プレーンについての処理が完了する。検査制御部44は、複数のプレーンに対して順番付けを行っており、一番から最終番までのプレーンを順次読み出しつつ、上記のようなはみ出し判定及びはみ出し修正が適用されるようにしている。あるプレーンについて全てのはみ出し修正が完了した時点で次の新しいプレーンが読み出される。
【0036】
保存制御部46は、以上のようなプロセスにおいて、はみ出しが判定されなかったあるいははみ出しが判定されたプレーンを保存しておくものである。その際において、はみ出しが判定されたプレーンについてはマーキングが付されるようにしている。これはユーザーが事後的に目視確認する場合においてはみ出し部分を迅速に特定できるようにするためである。保存制御部46は、記憶部48へのイメージの保存にあたって、正常プレーン、はみ出し発生プレーン、はみ出し修正プレーンといった区分に従って書き込みを行っており、ユーザーにおいては、必要に応じてNGが判定されたプレーンだけを目視確認することも可能である。ちなみに、画像評価部34において、はみ出し判定を行うに際し、はみ出しの有無のみならず、はみ出し量やはみ出し方向を更に判定するようにしてもよい。また上記とは逆に、文字列の周囲に余白が多すぎるような場合に、文字サイズの拡大を行わせるようにしてもよい。その場合においても上記同様の手法を利用可能である。
【0037】
図3には、表示イメージの一例が示されている。図3に示す表示イメージ50は超音波イメージ52を有している。また表示イメージ50はグラフィックイメージ54を有している。グラフィックイメージ54は複数のアイコンを有している。各アイコンはポインティングデバイスによって操作可能なボタンイメージであり、それは四角形の形態をもったボックスとその内部の文字列とからなる。
【0038】
図4には表示イメージの構造が示されている。すなわち表示イメージは複数のレイヤあるいはプレーンからなり、符号56によって第1レイヤが示され、符号58によって第2レイヤが示され、符号60によって第3レイヤが示されている。第1レイヤ56はフレームイメージであり、第2レイヤは58は文字イメージであり、それら併せてグラフィックイメージ54が構成される。そのグラフィックイメージ54に対しては超音波イメージ52が合成されることになる。
【0039】
図4に示される順番あるいは構造は一例に過ぎない。第1レイヤ56は複数の表示セル62を備えており、それらは複数のアイコンに対応している。文字イメージである第2レイヤ58は複数の文字列64を有している。個々の文字列はそれに対応する表示セル内に配置されるものであり、すなわち、使用言語によっては長い文字列となってそれは表示セルからはみ出してしまう。
【0040】
図5にはGUIイメージの他の例が示されている。符号66はアイコンを表しており、それはボタンイメージ68とそこの内部に表現された文字列70とにより構成されている。アイコン以外においても文字列が存在している箇所には表示領域としての表示セルが設定されており、すなわち表示すべき一定の区画が設定されており、それを超えた場合には文字列同士が重なりあったりあるいは見栄えが悪くなったりする。
【0041】
図6には表示セル72が示されている。それは枠74とその内部76とからなる。表示セル72の中には文字列80が表示されている。(A)においては文字列80の全部が表示セル72の内部に収容されており、はみ出しは生じていない。
【0042】
このような文字列に対して言語変換が適用されると、すなわち他の言語への翻訳が発生すると(B)に示すような状態となる。すなわち表示セル72には文字列82がうめ込まれているが、符号84,86で示されるように文字列82の一部分がはみ出している。枠74に文字列の一部分がかかった時にはみ出しを判定してもよいし、あるいは更に外側の領域まで文字列の一部が及んだ時にはみ出しを判定するようにしてもよい。あるいは、枠74の近くまで文字列の一部が到達した場合に見栄えが悪いという観点からはみ出しを判定してもよい。
【0043】
図7には表示セル72と背景88との関係が示されている。図示されるように、はみ出し部分84,86は背景88上に存在している。したがってそれぞれの領域における画素値すなわちカラー値を異ならせれば、注目する部分をビットマップイメージ上において特定した上で、更にその周囲の画素値を参照することによりはみ出しを判定することが可能となる。
【0044】
図8には、拡大図が示されている。符号90Aは文字を構成する文字エリアを表しており、それは複数の画素により構成される。符号76Aは内部エリアを表しており、それは内部画素値をもった複数の画素により構成される。符号74Aは枠エリアを表しており、それは枠画素値をもった複数の画素により構成されている。符号88Aは背景エリアを表しており、それは背景画素値をもった複数の画素により構成されている。ここで、文字エリア90A内の各画素が注目画素とされており、例えば注目画素92に着目すると、それを中心として参照エリア94が設定される。参照エリア94は注目画素92から見て近傍領域である。その参照エリア94内に背景画素値が存在する場合すなわち背景画素が参照エリア94内に取り込まれている場合、文字のはみ出し状態が判定されることになる。また参照エリア94内に枠画素値が存在する場合にも本実施形態においてははみ出しが判定される。このように画素値あるいはカラーの関係を利用してはみ出しを判定することが可能となっている。
【0045】
はみ出しを判定する注目画素が文字を構成する全ての画素であってもよいが、文字における辺縁を構成する画素だけが注目画素とされるようにしてもよい。あるいは文字列における右端及び左端の画素だけが検査対象となってもよい。上述した参照エリア94の縦及び横の大きさを変更することにより、はみ出し判定条件を可変することが可能である。上記の実施形態においては参照エリア94が四角形の領域だったが、もちろんそれは必要に応じて変形することが可能である。
【0046】
図9及び図10を用いて図1に示した主制御部24、具体的にはGUI検査修正機能、についてより具体的に説明する。
【0047】
図9にははみ出し判定修正プロセスの全体がフローチャートとして示されている。図10には図9に示したS18の評価ステップの具体的な構成がフローチャートとして示されている。
【0048】
図9において、S10では、検査対象となるプレーンの番号をNとしてそのNに1が初期設定される。S12においては、N番目のGUIデータが読み出される。S14においては、読み出されたデータに基づいてイメージが生成される。この場合においては文字イメージ及びフレームイメージが生成される。ちなみにこの段階においてあるいはそれよりも前に必要に応じて前処理としてのカラー設定が実行される。すなわち後においてはみ出し検査が可能となるように個々の画素についてのカラー値が設定されることになる。
【0049】
S16においては、上記のように生成されたテキストイメージ及びフレームイメージが合成され、更に必要に応じて超音波イメージが合成されて、これによって表示イメージが合成される。S18においては表示イメージに対する評価が実行される。具体的にははみ出しが発生しているか否かが判定される。S20においては、はみ出しが判定されたプレーンが保存され、そのようなプレーンに対してはスタンプが付加される。すなわちどの部分においてはみ出しが生じたのかを特定する情報が付加される。S20においてはみ出しが判定されていないプレーンが保存されてよい。
【0050】
S22においては、はみ出しが判定されたものがあればS24において修正処理が実行される。この場合においては、上述したように文字サイズの段階的縮小あるいは語句置換が実行される。そして再びS22が実行され、はみ出しが解消されるまで修正処理が繰り返し実行される。但し、一定の修正を施してもはみ出しが解消されない場合にはエラーが判定されることになる。S26においては次のデータがあるか否かが判定され、それがある場合にはS28においてNが1つインクリメントされた上で、上述したS12以降の各行程が繰り返し実行される。
【0051】
したがって、図9に示すプロセスを実行すると、各使用言語ごとに装置が備えている多数のプレーンに対して文字のはみ出しを自動判定することが可能であり、しかもはみ出しが発生した場合にはそれを自動的に修正することが可能である。その上で、そのような自動判定及び自動修正の結果をユーザーが目視において確認することも可能である。
【0052】
図10にははみ出し判定の具体例が示されている。注目画素の番号がkで表されている。S30ではkに1が初期設定される。S32においては注目画素を基準としてそれを含む近傍エリアすなわち参照エリアが設定される。S34においてはそのような近傍エリア内にセル外の画素が含まれているか否かが判断され、含まれていればS36においてはみ出し有りの判定がなされる。一方、含まれていなければS38において次の画素があるか否かが判断され、ある場合にはS40が実行される。
【0053】
S40においてはkが1つインクリメントされ、上述したS32以降の各行程が繰り返し実行される。あるプレーンについて最後の注目画素に至ってもはみ出し有りの判定されなかった場合、S42においてはみ出し無しが判定されることになる。すなわちそのプレーンについては修正不要と判断されることになる。
【0054】
図10に示したプロセスによればはみ出し有りが判定された時点で速やかに修正を行うことが可能である。図10に示したプロセスにおいては文字を構成する画素が全て注目画素とされていたが、もちろん文字を構成する一部の画素が注目画素とされるようにしてもよい。また文字列中における特定の文字だけが検査対象となるように定めることも可能である。
【0055】
図11にははみ出し修正処理の具体例が示されている。(A)に示すようにはみ出しが生じている場合に、すなわち符号84,86で示すように文字列の一部分がはみ出している場合、例えば(B)に示すようにサイズ縮小処理が適用され、これによって文字列82が縮小された文字列88とされる。その場合においてはサイズ変更前に比べて符号90で示すように一定の縮小率分だけ左右の幅が小さくなり、はみ出しが解消されている。この場合において縦横同一比率で縮小をかけるようにしてもよいし、横方向にだけ縮小をかけるようにしてもよい。はみ出し方向が判定されるならば、当該方向だけに縮小処理を適用することも可能である。また(C)で示すように、文字列82を他のより短い文字列92に置換することによりはみ出し部分を解消することも可能である。
【0056】
上述した実施形態においては、画素値あるいはカラー値が所定条件を満たしていることを前提としてビットマップイメージの段階においてはみ出し判定を行えるので、イメージ生成の段階で複雑な演算を行わなくてもよいという利点が得られる。したがってプロコーショナルフォント等の様々なフォントが利用される場合であっても、複雑な関数演算や座標演算を行う必要がなく、結果に対して実際にはみ出しが生じているか否かを判断するだけでよいので、迅速な演算を行えるという利点がある。またはみ出しが判定された場合には直ちに自動修正処理が適用され試行錯誤的にはみ出しが解消されるようにされているので、はみ出し修正にあたってのユーザーの負担が大幅に軽減される。特に多数の言語に対応している装置においてそのような利点が顕著に得られる。また上記実施形態においては、はみ出し評価結果及び修正結果を事後的に目視確認することが可能である。ちなみに上記実施形態において、はみ出し検査及びはみ出し修正の部分を他の技術分野の装置において利用することも可能である。複数の言語の中から使用言語が選択されるような装置において上記機能が実現されるのが望ましい。
【符号の説明】
【0057】
20 表示処理部、22 表示器、24 主制御部(GUI検査修正機能)、26 記憶部、28 変換テーブル、30 テキストイメージ生成部、32 フレームイメージ生成部、34 画像評価部、36 修正制御部、44 検査制御部、46 保存制御部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の言語の中から使用言語を選択するための選択手段と、
語句表示セルと、前記選択された使用言語に属する語句であって1又は複数の文字からなり前記語句表示セルにマッピングされる語句と、を含むイメージを生成するイメージ生成手段と、
前記イメージ中の前記語句に対してはみ出し検査を適用することによって前記語句表示セルからのはみ出しを判定する判定手段と、
を含み、
前記イメージにおいて、前記語句に与えられた語句画素値と、前記語句表示セル内に与えられた内部画素値と、前記語句表示セル外に与えられた外部画素値と、が互いに異なり、
前記はみ出し判定手段は、前記語句の近傍に前記外部画素値が存在する場合に前記はみ出しを判定する、ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記イメージはビットマップイメージであり、
前記判定手段は、
前記イメージにおいて前記語句の一部又は全部を構成し且つ前記語句画素値を有する注目画素群を特定する手段と、
前記注目画素群を構成する各注目画素の近傍に参照領域を設定する手段と、
前記注目画素群について設定されたいずれかの参照領域内で前記外部画素値が検出された場合に前記はみ出しを判定する手段と、
を含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置において、
前記イメージ生成手段は、オリジナルイメージに対するカラー変換処理によりはみ出し判定用の前記イメージを生成し、
前記語句画素値を有する語句画素群、前記内部画素値を有する内部画素群及び前記外部画素値を有する外部画素群はそれぞれカラー画素群である、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項3記載の装置において、
前記外部画素群は、前記語句表示セルの枠を構成する第1外部画素群と、前記枠の外側領域を構成する第2外部画素群と、を含み、
前記第1外部画素群は、前記外部画素値として第1外部画素値を有し、
前記第2外部画素群は、前記外部画素値として前記第1外部画素値とは異なる第2外部画素値を有する、ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1記載の装置において、
更に、前記はみ出しが判定された語句に対してはみ出し修正処理を適用する修正手段を含む、ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項5記載の装置において、
前記修正手段は、はみ出しが解消されるまで前記語句に対して縮小処理を施す、ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項5記載の装置において、
前記修正手段は、はみ出しが解消されるように前記語句を他の語句に置換する、ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項1記載の装置において、
前記イメージは、超音波診断用のグラフィカルユーザーインターフェイスを構成するイメージである、ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
画像処理装置において実行される画像処理プログラムであって、
複数の言語の中から選択された使用言語を特定するモジュールと、
語句表示セルと、前記選択された使用言語に属する語句であって1又は複数の文字からなり前記語句表示セルにマッピングされる語句と、を含むイメージを生成するモジュールと、
前記イメージ中の前記語句に対してはみ出し検査を適用することによって前記語句表示セルからのはみ出しを判定するモジュールと、
を含み、
前記イメージにおいて、前記語句に与えられた語句画素値と、前記語句表示セル内に与えられた内部画素値と、前記語句表示セル外に与えられた外部画素値と、が互いに異なり、
前記はみ出し判定では、前記語句の近傍に前記外部画素値が存在する場合に前記はみ出しが判定される、ことを特徴とするプログラム。
【請求項1】
複数の言語の中から使用言語を選択するための選択手段と、
語句表示セルと、前記選択された使用言語に属する語句であって1又は複数の文字からなり前記語句表示セルにマッピングされる語句と、を含むイメージを生成するイメージ生成手段と、
前記イメージ中の前記語句に対してはみ出し検査を適用することによって前記語句表示セルからのはみ出しを判定する判定手段と、
を含み、
前記イメージにおいて、前記語句に与えられた語句画素値と、前記語句表示セル内に与えられた内部画素値と、前記語句表示セル外に与えられた外部画素値と、が互いに異なり、
前記はみ出し判定手段は、前記語句の近傍に前記外部画素値が存在する場合に前記はみ出しを判定する、ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記イメージはビットマップイメージであり、
前記判定手段は、
前記イメージにおいて前記語句の一部又は全部を構成し且つ前記語句画素値を有する注目画素群を特定する手段と、
前記注目画素群を構成する各注目画素の近傍に参照領域を設定する手段と、
前記注目画素群について設定されたいずれかの参照領域内で前記外部画素値が検出された場合に前記はみ出しを判定する手段と、
を含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置において、
前記イメージ生成手段は、オリジナルイメージに対するカラー変換処理によりはみ出し判定用の前記イメージを生成し、
前記語句画素値を有する語句画素群、前記内部画素値を有する内部画素群及び前記外部画素値を有する外部画素群はそれぞれカラー画素群である、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項3記載の装置において、
前記外部画素群は、前記語句表示セルの枠を構成する第1外部画素群と、前記枠の外側領域を構成する第2外部画素群と、を含み、
前記第1外部画素群は、前記外部画素値として第1外部画素値を有し、
前記第2外部画素群は、前記外部画素値として前記第1外部画素値とは異なる第2外部画素値を有する、ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1記載の装置において、
更に、前記はみ出しが判定された語句に対してはみ出し修正処理を適用する修正手段を含む、ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項5記載の装置において、
前記修正手段は、はみ出しが解消されるまで前記語句に対して縮小処理を施す、ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項5記載の装置において、
前記修正手段は、はみ出しが解消されるように前記語句を他の語句に置換する、ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項1記載の装置において、
前記イメージは、超音波診断用のグラフィカルユーザーインターフェイスを構成するイメージである、ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
画像処理装置において実行される画像処理プログラムであって、
複数の言語の中から選択された使用言語を特定するモジュールと、
語句表示セルと、前記選択された使用言語に属する語句であって1又は複数の文字からなり前記語句表示セルにマッピングされる語句と、を含むイメージを生成するモジュールと、
前記イメージ中の前記語句に対してはみ出し検査を適用することによって前記語句表示セルからのはみ出しを判定するモジュールと、
を含み、
前記イメージにおいて、前記語句に与えられた語句画素値と、前記語句表示セル内に与えられた内部画素値と、前記語句表示セル外に与えられた外部画素値と、が互いに異なり、
前記はみ出し判定では、前記語句の近傍に前記外部画素値が存在する場合に前記はみ出しが判定される、ことを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図9】
【図10】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図9】
【図10】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【公開番号】特開2013−20444(P2013−20444A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153164(P2011−153164)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(390029791)日立アロカメディカル株式会社 (899)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(390029791)日立アロカメディカル株式会社 (899)
【Fターム(参考)】
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