説明

画像処理装置

【課題】投入済みのジョブを簡便且つ迅速にキャンセルする。
【解決手段】画像処理装置10において、印刷ジョブの停止要求を受け付けると、ジョブ停止部16bは、印刷中の印刷ジョブを停止させる。操作部12は、待機画面を操作部12に表示し、ログイン要求を受け付ける。ログイン処理部13は、ログイン処理を行い、ログイン成功のときには、入力された第1の利用者IDを保持する。利用者情報照合部15は、停止中の印刷ジョブの第2の利用者IDと、入力された第1の利用者IDとを照合する。一致しなかったときには、ジョブ再開部16cは、現在停止中の印刷ジョブを再開する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョブを受け付けて画像処理を行う画像処理装置に係り、特にその画像処理装置におけるジョブの制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、秘匿性の高い文書を処理する際、セキュリティの観点から利用者にパスワードの入力を促し、認証を行ってからジョブの処理を開始する画像処理装置が知られている。下記の特許文献1には、秘匿性の高い文書の印刷ジョブを実行する直前に、この印刷ジョブを依頼した情報処理装置に対し、印刷可能通知を送信して利用者のパスワード入力を促す画像処理装置が記載されている。このような、画像処理装置においては、秘匿性の高い文書の印刷ジョブをキャンセルする場合には、利用者にパスワード入力を促して、認証を行ってから印刷ジョブをキャンセルすることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−142900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像処理装置では、投入済みのジョブをキャンセルする際に、パスワード入力等の認証を行うと、実際にジョブがキャンセルされるまでに時間がかかってしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の画像処理装置は、各種メッセージを表示すると共に、利用者の操作情報を入力する操作部と、利用者情報がそれぞれ付加された複数のジョブを順次受け付けて実行するジョブ実行部と、前記操作部によりジョブ停止要求が入力されたときには、前記ジョブ実行部において実行中の前記ジョブの実行を停止させて前記ジョブを停止中とするジョブ停止部と、前記操作部により入力された第1の前記利用者情報に基づき、ログイン処理を行って前記利用者の正当性を確認するログイン処理部と、前記ジョブ実行部において停止中の前記ジョブに付加された第2の前記利用者情報と、前記操作部により入力された前記第1の利用者情報と、を照合して一致又は不一致の照合結果を出力する利用者情報照合部と、前記照合結果が前記不一致のときには、前記停止中の前記ジョブの実行を再開させるジョブ再開部とを有している。
【発明の効果】
【0006】
本発明の画像処理装置によれば、投入済みのジョブの実行を停止させるときには、ログイン処理を実施することなく実行中のジョブを停止することができる。そのため、ジョブの停止に時間をかけることなく、迅速に実行中のジョブを停止することが可能となる。更に、ジョブの停止後にログインを行い、停止したジョブがログインした利用者と関連しない場合には、停止したジョブの印刷を再開させるので、他の利用者のジョブの実行を妨げることがない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は本発明の実施例1における画像処理装置を示す構成図である。
【図2】図2は図1中の操作部を示す構成図である。
【図3】図3は図1中の利用者情報記憶部に記憶される利用者情報テーブルを示す図である。
【図4】図4は図1の画像処理装置に対する印刷ジョブの投入状態の例を示す図である。
【図5】図5は図1の画像処理装置に対する印刷ジョブの投入状態の例を示す図である。
【図6】図6は図1の画像処理装置に対する印刷ジョブの投入状態の例を示す図である。
【図7】図7は図2中のLCDパネルに表示されるジョブ停止画面を示す図である。
【図8】図8は図2中のLCDパネルに表示されるキャンセルジョブリスト画面を示す図である。
【図9】図9は本発明の実施例1における図1の画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】図10は本発明の実施例2における画像処理装置を示す構成図である。
【図11】図11は図10の画像処理装置に対する印刷ジョブの投入状態の例を示す図である。
【図12】図12は本発明の実施例2における図10の画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0009】
(実施例1の構成)
図1は、本発明の実施例1における画像処理装置10を示す構成図である。
【0010】
画像処理装置10は、例えば、電子写真方式のページプリンタであって、制御部11と、操作部12と、ログイン処理部13と、利用者情報記憶部14と、利用者情報照合部15と、ジョブ処理部16と、印刷部17と、リスト表示部18と、外部インターフェース(以下「I/F」という。)19とを有している。画像処理装置10は、外部I/F19を介してネットワーク30と接続されている。ネットワーク30には、画像処理装置10に印刷ジョブを依頼する複数の情報処理装置40(=40−1,・・・40−N)が接続されている。
【0011】
制御部11は、画像処理装置10の全体を制御する機能を有している。操作部12は、利用者からの入力操作を受け付けると共に、制御部11からのメッセージを表示する機能を有している。例えば、操作部12は、利用者の入力するジョブ停止要求や第1の利用者情報を入力してログイン要求を受け付け、制御部11に通知する機能を有している。利用者情報は、利用者を一意に特定する利用者識別子(以下「ID」という。)から構成されているが、パスワードを付加してもよい。
【0012】
ログイン処理部13は、制御部11の制御により、入力された第1の利用者情報に基づいてログイン処理を行う機能を有している。ログイン処理部13は、利用者情報記憶部15に予め登録されている複数の第3の利用者情報としての登録利用者情報と、操作部12により入力された第1の利用者情報とを照合して、登録利用者情報の中に、入力された第1の利用者情報に一致するものがあれば、ログイン成功とし、登録利用者情報に入力された第1の利用者情報に一致するものがないときには、ログイン失敗とする処理を行う。
【0013】
更に、ログイン処理部13は、ログイン処理の結果を制御部11に通知し、前記ログインが成功したときには、入力された第1の利用者情報を保持しておき、必要に応じて保持した第1の利用者情報を提示したり、制御部11からログオフ指示を受けると、保持した第1の利用者情報を削除する機能を有している。
【0014】
利用者情報照合部15は、与えられた2つの利用者情報を照合して照合結果を出力する機能を有している。例えば、停止中のジョブに付加された第2の利用者情報と、操作部12により入力された第1の利用者情報とを照合して照合結果を出力する機能を有している。
【0015】
ジョブ処理部16は、情報処理装置40から依頼された印刷ジョブを管理して実行する機能を有している。ジョブ処理部16は、印刷ジョブを実行するジョブ実行部16aと、印刷ジョブの実行を停止させるジョブ停止部16bと、停止中の印刷ジョブの実行を再開させるジョブ再開部16cと、依頼された印刷ジョブをキャンセルするジョブ中止部16cとを有している。
【0016】
ジョブ実行部16aは、印刷ジョブデータを受け付けて、画像データに変換し、印刷部17に出力する機能を有している。印刷ジョブデータには、この印刷ジョブを依頼した利用者の利用者情報が付加されている。ジョブ実行部16aは、印刷中に新たに印刷ジョブを受け付けると、順次印刷ジョブキューに格納して管理するようになっている。ジョブ停止部16bは、操作部12がジョブ停止要求を入力したときには、ジョブ実行部16aにおいて実行中の印刷ジョブを停止中にする機能を有している。ジョブ再開部16cは、停止中の印刷ジョブの実行を再開する機能を有している。更に、ジョブ中止部16dは、指定された印刷ジョブをキャンセルする機能を有している。
【0017】
印刷部17は、ジョブ実行部16aから受け取った画像データを記録紙に印刷して定着し、排紙する機能を有している。この印刷部17は、ジョブ処理部16から印刷停止又はキャンセル要求を受けたならば、それぞれ印刷を停止、又はキャンセルするようになっている。但し、印刷部17は、現在印刷中の記録紙においては印刷を継続して排紙した後に、指定されたジョブの実行を停止又はキャンセルにするようになっている。
【0018】
リスト表示部18は、実行中のジョブに付加された利用者情報と、操作部12により入力された第1の利用者情報とを、利用者情報照合部15により照合した結果、照合結果が一致のときに、操作部12により入力された第1の利用者情報と、利用者情報がそれぞれ付加された複数のジョブにおける利用者情報とを比較し、複数の利用者情報のうち、第1の利用者情報に一致する利用者情報が付加されている印刷ジョブのリストを作成して操作部12に表示する機能を有している。
【0019】
外部I/F19は、ネットワーク30を介して、各情報処理装置40(=40−1・・・40−N)に対して各種プロトコルで通信する機能を有している。ネットワーク30は、例えば、ローカルエリアネットワーク(以下「LAN」という。)であり、インターネットプロトコルであるTCP/IP(Transmission Control/Internet Protocol)により通信するようになっている。
【0020】
各情報処理装置40は、例えば、パーソナルコンピュータであり、図示しないプリンタドライバを用いて、利用者情報が付加された印刷ジョブを画像処理装置10に送信することにより、印刷ジョブを依頼するクライアントコンピュータに位置づけられる。
【0021】
図2は、図1中の操作部12を示す構成図である。
操作部12は、各種メッセージを表示する液晶表示(以下「LCD」という。)パネル12aと、数字入力を行うテンキー12bと、停止要求を受け付けるストップキー12cと、利用者から承認を受け付けるOKキー12dと、ログオフ要求を受け付けるログオフキー12eと、LCDパネル12aに表示された複数の選択項目を利用者に選択させる上下キー12fとを有している。
【0022】
図3は、図1中の利用者情報記憶部14に記憶される利用者情報テーブル14aを示す図である。
【0023】
利用者情報テーブル14aには、各画像処理装置10にアクセス可能な複数の利用者の利用者IDが登録されている。
【0024】
(実施例1の動作)
図4、図5、及び図6は、それぞれ図1の画像処理装置10に対する印刷ジョブの投入状態の例を示す図である。
【0025】
図4、図5、及び図6において、ジョブl、ジョブ2、及びジョブ3の3つの印刷ジョブが投入されている。各図において、横方向は、印刷順序を示している。印刷順序は、ジョブl、ジョブ2、ジョブ3の順である。各図において、縦方向は、時間の経過に伴う印刷ジョブキューの状態変化を示している。印刷ジョブキューの状態変化は、例えば、図4の例では、JA1,JA2,JA3,JA4,JA5の順に経過することを示している。
【0026】
図4のJA1のジョブ1を例にとれば、利用者情報である利用者IDが0002、ファイル名がテストファイルB、印刷ジョブの状態が印刷中であることを示している。ここで、ファイル名は、印刷ジョブに付加された情報であり、印刷ジョブデータを示すファイル名称である。ファイル名の他に、ジョブを依頼した情報処理装置40の名称であるホストコンピュータ名、ジョブを受け付けた受信時刻等の情報を印刷ジョブに付加してもよい。なお、本実施例1の動作の説明においては、利用者情報を単に利用者IDと記載する。
【0027】
図7は、図2中のLCDパネル12aに表示されるジョブ停止画面を示す図である。
【0028】
ログイン処理部13は、利用者からのジョブ停止要求により、ジョブ停止部16bが実行中の印刷ジョブを停止した後、利用者のログインを促すためにLCDパネル12aにジョブ停止画面を表示する。画面の中央部には、ログインを促す
「ジョブを停止しています ログインしてください」
のメッセージが表示され、その下方には、利用者IDの入力フィールドが表示されている。
【0029】
図8は、図2中のLCDパネル12aに表示されるキャンセルジョブリスト画面を示す図である。
【0030】
リスト表示部18は、ログインした利用者の第1の利用者IDと同じ利用者IDが付加された印刷ジョブのファイル名のリストをLCDパネル12aに表示し、利用者に対し、キャンセルすべきジョブの選択を促す。LCDパネル12aには、
「ジョブリスト表示 キャンセルしたいジョブを選択してください」
のメッセージが表示され、その下方には、キャンセル対象のファイル名がリスト表示されている。
【0031】
図9は、本発明の実施例1における図1の画像処理装置10の動作を示すフローチャートである。
【0032】
画像処理装置10には、図4、図5、及び図6に示したように情報処理装置40からジョブが投入され、印刷ジョブキューの先頭のジョブが印刷中になっている。
【0033】
画像処理装置10の処理が開始され、ステップS1において、操作部12は、制御部11の指示に基づき、図2に示す待機画面を表示する。ステップS2において、利用者によりストップキー12cが押下されと、操作部12は、ストップキー12cの押下を入力して印刷ジョブの停止要求を受け付け(YES)、制御部11に通知してステップS3へ進む。停止要求を受け付けなければ(NO)、ステップS1へ戻る。
【0034】
ステップS3において、制御部11は、ジョブ処理部16にジョブが存在するか否かを問い合わせる。ジョブが存在したときには(YES)、ステップS4へ進み、ジョブが存在しないときには(NO)、ステップS1へ戻る。
【0035】
ステップS4において、ジョブ処理部16のジョブ停止部16bは、現在、印刷部17で印刷中の印刷ジョブを停止させる。例えば、図4のJA1のジョブ投入状態であれば、印刷ジョブの停止により、ジョブ投入状態は、JA2の状態となり、ジョブ1が印刷を停止して印刷停止中になる。印刷ジョブが停止されると、制御部11の指示により、操作部12は、図7に示すログイン用の待機画面をLCDパネル12aに表示する。
【0036】
ステップS5において、操作部12は、テンキー12b及びOKキー12dの押下により、利用者からログイン要求を受け付けると(YES)、ログイン要求と共にテンキー12bにより入力された利用者IDをログイン処理部13に通知し、ステップS6へ進む。ログイン要求を受け付けていなければ(NO)、ステップS5へ戻る。
【0037】
ステップS6において、ログイン処理部13は、ログイン要求の通知を受けると、操作部12により入力された第1の利用者IDを用いてログイン処理を実行する。ステップS7において、ログイン処理部13は、入力された第1の利用者IDと、図3に示す利用者情報記憶部14に格納された利用者情報テーブル14a内の複数の第3の利用者情報である登録利用者IDとを比較し、一致するものがあるときには、第1の利用者IDは、正当であると判定してログイン成功とし(YES)、第1の利用者IDを保持してステップS8へ進む。利用者情報テーブル14a内の複数の登録利用者IDのうちに入力された第1の利用者IDと一致するものがないときには(NO)、第1の利用者IDは、不当であると判断してログイン不成功とし(NO)、ステップS5へ戻り再度、ログイン入力を促す。
【0038】
ステップS8において、利用者情報照合部15は、ジョブ処理部16から現在印刷停止中の印刷ジョブの第2の利用者IDを取得する。利用者情報照合部15は、取得した印刷停止中の印刷ジョブの第2の利用者IDと、入力された第1の利用者IDとを照合し、一致したときには(YES)、ステップS10へ進む。一致しなかったときには(NO)、ステップS9へ進む。
【0039】
例えば、操作部12により入力された第1の利用者IDが0002であった場合に、ジョブ投入状態が図4のJA2であれば、印刷停止中のジョブ1の利用者IDは、0002であるため、利用者IDが一致し、ステップS10へ進む。同様に、ジョブ投入状態が図6のJC2であれば、印刷停止中のジョブ1の利用者IDは、0002であるため、利用者IDが一致し、ステップS10へ進む。ジョブ投入状態が図5のJB2であれば、印刷停止中の印刷ジョブ1の利用者IDは、0001であるため、利用者ID不一致となり、ステップS9へ進む。
【0040】
ステップS9において、ジョブ再開部16cは、現在印刷停止中の印刷ジョブを再開し、印刷部17への印刷を再開させる。例えば、図5のJB2のジョブ投入状態であれば、印刷停止中のジョブ1は、利用者IDが0001であるため、ジョブ再開部16cによって、現在印刷停止中のジョブ1の印刷を再開し、ジョブ投入状態は、JB3へ遷移する。
【0041】
ジョブ再開部16cは、再開させたジョブ1が終了したときに、ログイン状態であったときには、利用者情報照合部15に、第1の利用者IDとジョブ1の次の印刷待ち中のジョブ2に付加された第4の利用者IDとを照合させ、一致したときには、前記ジョブ停止部16bに前記印刷待ち中のジョブ2を停止中にさせ、不一致のときには、ジョブ実行部16aに印刷待ち中のジョブ2を実行させる。
【0042】
ステップS10において、リスト表示部18は、ログイン処理部13が保持している第1の利用者IDを取得し、更に、ジョブ処理部16から、現在投入されているすべてのジョブの利用者IDを取得する。第1の利用者IDと、すべての印刷ジョブの利用者IDとを、利用者情報照合部15によって照合し、利用者IDが致した印刷ジョブのみをリストとして作成し、ジョブキャンセルの候補として操作部12にリスト表示させる。
【0043】
例えば、第1の利用者IDが0002の場合、図4のJA3のジョブ投入状態であれば、ジョブ1及びジョブ3の利用者IDが0002であるため、ジョブ1とジョブ3とが操作部12にリスト表示される。リスト表示の例が図8に示されている。図8において、印刷ジョブは、印刷ジョブデータのファイル名で識別されるようになっている。この場合、ファイル名は、印刷ジョブを特定する情報である。
【0044】
ステップS11において、利用者は、図2に示す上下キー12fを用いて、キャンセルをすべき図8のテキストファイルB又はテキストファイルCを選択し、OKキー12dを押下する。操作部12によりOKキー12dの押下が入力され、キャンセル要求が受け付けられると(YES)、ジョブ中止部16cに対して、キャンセル要求と選択されたキャンセル対象ジョブが通知され、ステップS13へ進む。キャンセル要求が受け付けられていなければ(NO)、ステップS12へ進む。
【0045】
ステップS12において、操作部12により、利用者によるログオフキー12eの押下が入力されてログオフ要求が受け付けられると(YES)、ログイン処理部13に対してログオフ要求が通知されて、ステップS14へ進む。ログオフ要求が受け付けられていなければ(NO)、ステップS11に戻る。
【0046】
ステップS13において、ジョブ中止部16dは、キャンセル要求と共に通知されたキャンセル対象ジョブの通知を受けて、指定されたキャンセル対象ジョブが、既に印刷中であれば、印刷部17に印刷をキャンセルさせて当該ジョブを印刷ジョブキューから削除する。このジョブ削除により、次にジョブ投入されている印刷ジョブがジョブ実行部16aにより実行される。ジョブ中止部16dは、指定されたキャンセル対象ジョブが、印刷待ち中の印刷ジョブであれば、単に印刷ジョブキューから削除する。
【0047】
例えば、図4のJA3のジョブ投入状態のとき、ステップS11において、ジョブ1が選択されたキャンセル要求を受けたならば、ジョブ投入状態は、JA4に遷移し、ジョブ1は、キャンセルされる。更に、ジョブ1のキャンセルが完了すると、ジョブ投入状態は、JA5に遷移し、印刷ジョブキューからジョブ1が削除されて、ジョブ実行部16aによりジョブ2が実行される。
【0048】
図6のJC3のジョブ投入状態のときには、ステップS11において、ジョブ3が選択されたキャンセル要求を受けたならば、ジョブ投入状態は、JC4に推移し、ジョブ3は、キャンセルされる。更に、ジョブ3のキャンセルが完了すると、ジョブ投入状態は、JC5となり、印刷ジョブキューからジョブ3が削除される。このジョブキャンセルの指示をトリガとしてログオフ処理が実行される。ログオフキー押下の必要はない。
【0049】
ステップS14において、ログイン処理部13は、保持していた利用者IDを削除するログオフ処理を実行する。ステップS15において、ログイン処理部13は、ジョブ処理部16に印刷停止中の印刷ジョブが存在するか否かを問い合わせ、存在したときには(YES)、ステップS16へ進む。存在しないときには(NO)、本処理を終了する。
【0050】
ステップS16において、印刷停止中の印刷ジョブが存在したときには、ジョブ処理部16のジョブ再開部16cは、印刷停止中の印刷ジョブの印刷を再開する。例えば、図6のJC5のジョブ投入状態のときに、ステップS14において、ログオフ処理したならば、ジョブ投入状態はJC6に遷移してジョブ1の印刷を再開し、本処理を終了する。
【0051】
(実施例1の効果)
本実施例1の画像処理装置10によれば、投入済みの印刷ジョブの実行を停止させるときには、ログイン処理を実施することなく、ジョブ停止部16bにより、印刷中の印刷ジョブを停止することができる。そのため、印刷ジョブの停止に時間をかけることなく、迅速に印刷中の印刷ジョブを停止することが可能となる。更に、印刷ジョブの停止後にログイン処理部13において、ログインを行い、停止した印刷ジョブがログインした利用者と関連しない場合には、ジョブ再開部16cにより、停止した印刷ジョブの印刷を再開させるので、他の利用者のジョブの実行を妨げることがない。
【実施例2】
【0052】
(実施例2の構成)
図10は、本発明の実施例2における画像処理装置10Aを示す構成図であり、実施例1を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0053】
本実施例2における画像処理装置10Aは、タイマ20aを有し、時間を計時するタイマ部20が追加されている点が実施例1と異なっている。他の構成は、実施例1と同様である。
【0054】
タイマ部20は、制御部11の指示により、タイマ20aを起動し、所定の時間が経過した場合には、タイマ20aをリセットして所定時間の経過を制御部11に通知する機能を有している。
【0055】
(実施例2の動作)
図11は、図10の画像処理装置10Aに対する印刷ジョブの投入状態の例を示す図である。
【0056】
図11において、ジョブ1、ジョブ2、及びジョブ3の3つの印刷ジョブが投入されている。図11において、横方向は、印刷順序を示している。印刷順序は、ジョブ1、ジョブ2、ジョブ3の順である。図11において、縦方向は、時間の経過に伴う印刷ジョブキューの状態変化を示している。印刷ジョブキューの状態変化は、例えば、JD1,JD2,JD3の順に経過することを示している。
【0057】
図11のJD1のジョブ投入状態では、ジョブ1の利用者IDが0001、ファイル名がテストファイルA、ジョブの状態が印刷中であり、ジョブ2の利用者IDが0002、ファイル名がテストファイルB、ジョブの状態が印刷待ち中であり、ジョブ3の利用者IDが0002、ファイル名がテストファイルC、ジョブの状態が印刷待ち中であることを示している。操作部12のストップキー12cが押下されると、ジョブ停止部16bは、印刷中のジョブ1を印刷停止中にして、JD2のジョブ投入状態に遷移する。JD2では、ジョブ1が印刷停止中になっている。
【0058】
JD2のジョブ投入状態において、ログインが行われずに一定時間が経過すると、JD3のジョブ投入状態に遷移する。JD3では、ジョブ1の印刷が再開され、ジョブの状態が印刷中になっている。
【0059】
図12は、本発明の実施例2における図10の画像処理装置10Aの動作を示すフローチャートであり、実施例1を示す図9中のステップと共通のステップには共通の符号が付されている。
【0060】
本実施例2のフローチャートは、実施例1と同様のステップS1〜S16に対して、新たに、ステップS21〜S23が追加されている。
【0061】
実施例1と同様のステップS1〜S4が実行され、ジョブ処理部16のジョブ停止部16bにより、現在、印刷部17で印刷中のジョブが停止させられる。例えば、図11のJD1のジョブ投入状態であれば、ジョブの停止により、ジョブ投入状態は、JD2の状態となり、ジョブ1が印刷を停止して印刷停止中になる。ジョブが停止されると、操作部12は、図7に示すログイン用の待機画面をLCDパネル12aに表示する。
【0062】
実施例1と異なるステップS21において、タイマ部20は、タイマ20aを起動して経過時間を計時する。実施例1と同様のステップS5において、ログイン要求があったか否かが判定される。ログイン要求があったときには(YES)、ステップS6へ進み、実施例1と同様のステップS6〜S16が実行され本処理を終了する。ログイン処理がなかったときには(NO)、ステップS22へ進む。
【0063】
ステップS22において、タイマ部20は、所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していないときには(NO)、ステップS5に戻る。タイマ部20は、所定時間が経過したときには(YES)、ジョブ再開部16cに所定時間の経過を通知してタイマ20aをリセットし、ステップS23へ進む。ステップS23において、ジョブ再開部16cは、停止中のジョブの印刷を再開させ、ステップS1に戻り、本処理を終了する。例えば、図11において、ジョブ投入状態がJD2であるときに所定時間が経過するとジョブ投入状態は、JD3に遷移して、印刷停止中であったジョブ1が印刷中になる。
【0064】
(実施例2の効果)
本実施例2の画像処理装置10Aによれば、実施例1の効果に加え、ジョブ停止部16bAによる印刷ジョブの停止後、ログインされずに所定の時間が経過したときには、ジョブ再開部16cにより、停止した印刷ジョブの印刷を再開させるので、他の利用者の印刷ジョブの実行を妨げることがない。
【0065】
(変形例)
本発明は、上記実施例1、2に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。
【0066】
例えば、実施例1、2では、画像処理装置10,10Aとして電子写真方式のページプリンタで説明したが、ファクシミリ装置や複合機であってもよい。更に、実施例1、2では、ジョブとして印刷ジョブを例に説明したが、ファクシミリ送信ジョブや電子メール送信ジョブ等であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
10,10A 画像処理装置
11 制御部
12 操作部
13 ログイン処理部
14 利用者情報記憶部
15 利用者情報照合部
16 ジョブ処理部
16a ジョブ実行部
16b,16bA ジョブ停止部
16c ジョブ再開部
16d ジョブ中止部
17 印刷部
18 リスト表示部
20 タイマ部
40(40−1,・・・40−N) 情報処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種メッセージを表示すると共に、利用者の操作情報を入力する操作部と、
利用者情報がそれぞれ付加された複数のジョブを順次受け付けて実行するジョブ実行部と、
前記操作部によりジョブ停止要求が入力されたときには、前記ジョブ実行部において実行中の前記ジョブの実行を停止させて前記ジョブを停止中とするジョブ停止部と、
前記操作部により入力された第1の前記利用者情報に基づき、ログイン処理を行って前記利用者の正当性を確認するログイン処理部と、
前記ジョブ実行部において停止中の前記ジョブに付加された第2の前記利用者情報と、前記操作部により入力された前記第1の利用者情報と、を照合して一致又は不一致の照合結果を出力する利用者情報照合部と、
前記照合結果が前記不一致のときには、前記停止中の前記ジョブの実行を再開させるジョブ再開部と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像処理装置は、更に、
前記照合結果が前記一致のときには、前記第1の利用者情報と、前記利用者情報がそれぞれ付加された前記複数のジョブにおける前記利用者情報とを比較し、複数の前記利用者情報のうち、前記第1の利用者情報に一致する前記利用者情報が付加されている前記ジョブのリストを作成して前記操作部に表示するリスト表示部と、
前記利用者により前記リストから選択された前記ジョブを特定する情報が前記操作部により入力されると、入力された前記情報に対応する前記ジョブの実行を中止するジョブ中止部と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の画像処理装置は、更に、
前記ジョブ停止部により停止された前記ジョブの前記停止中の経過時間を計時するタイマ部を有し、
前記ジョブ再開部は、
前記経過時間が所定の時間になると前記停止中の前記ジョブの実行を再開させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
前記ジョブ再開部は、更に、
前記再開させた前記ジョブが終了したときに、ログイン状態であったときには、前記利用者情報照合部に、前記第1の利用者情報と前記ジョブの次の印刷待ち中のジョブに付加された第4の前記利用者情報とを照合させ、一致したときには、前記ジョブ停止部に前記印刷待ち中のジョブを停止中にさせ、不一致のときには、前記ジョブ実行部に前記印刷待ち中のジョブを実行させる機能を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記ジョブは、
記録媒体に画像を形成する印刷ジョブであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記ログイン処理部は、
前記操作部により入力された前記第1の利用者情報と、登録された複数の第3の前記利用者情報とを比較し、前記複数の第3の利用者情報のうちに前記第1の利用者情報と一致するものがあるときには、前記操作部により入力された前記第1の利用者情報は、正当であると判定してログイン成功とし、前記複数の第3の利用者情報のうちに前記第1の利用者情報と一致するものがないときには、前記操作部により入力された前記第1の利用者情報は、不当であると判定してログイン不成功とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−45333(P2013−45333A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183544(P2011−183544)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】